光硬化性組成物及びこれを用いた膜の製造方法

申请号 JP2013188418 申请日 2013-09-11 公开(公告)号 JP6278645B2 公开(公告)日 2018-02-14
申请人 キヤノン株式会社; 发明人 伊藤 俊樹; 飯田 賢一; 松藤 奈央子; 北川 健司;
摘要
权利要求

表面に凹凸を有するモールドと接触させた状態で光を用いて硬化することにより、所定のパターン形状を有する膜を製造するために用いられる光硬化性組成物であって、 重合性化合物と、光重合開始剤と、光刺激によりガスを発生する感光性ガス発生剤と、ガスの凝集速度を上昇させるためのガス発生促進剤と、を有し、 前記ガス発生促進剤が、重合性置換基を有さないフッ素原子含有界面活性剤であることを特徴とする、光硬化性組成物。前記感光性ガス発生剤が、前記重合性化合物の全重量に対して1重量%乃至15重量%配合されており、 前記ガス発生促進剤が、前記重合性化合物の全重量に対して0.005重量%乃至3重量%含まれていることを特徴とする、請求項1に記載の光硬化性組成物。前記ガス発生促進剤が、下記式(1)に示される化合物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光硬化性組成物。 Rf1−Rc1−X1 (1) (式(1)において、Rf1は、フッ素原子と炭素原子とから構成される1価の官能基である。Rc1は、素原子と酸素原子と炭素原子とから構成される2価の官能基である。X1は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、又はアルコキシ基である。)前記ガス発生促進剤が、下記式(2)に示される化合物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光硬化性組成物。 Rf1−Rc1−Rf2 (2) (式(2)において、Rf1及びRf2は、それぞれフッ素原子と炭素原子とから構成される1価の官能基である。Rf1及びRf2は、同一であってもよいし異なっていてもよい。Rc1は、水素原子と酸素原子と炭素原子とから構成される2価の官能基である。)前記ガス発生促進剤が、下記式(3)に示される化合物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光硬化性組成物。 X1−Rc1−Rf3−Rc2−X2 (3) (式(3)において、Rf3は、フッ素原子と炭素原子とから構成される2価の官能基である。Rc1及びRc2は、水素原子と酸素原子と炭素原子とから構成される2価の官能基である。Rc1及びRc2は、同一であってもよいし異なっていてもよい。X1及びX2は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、又はアルコキシ基である。X1及びX2は、同一であってもよいし異なっていてもよい。)前記ガス発生促進剤が、下記式(4)に示される化合物であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。 F(CF2)6CH2CH2(OCH2CH2)15OH (4)前記ガス発生促進剤が、下記式(5)に示される化合物であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。 F(CF2)6CH2(OCH2CH2)6OH (5)基板上に、請求項1乃至7に記載の光硬化性組成物を配置する配置工程と、 前記光硬化性組成物とモールドとを接触させる型接触工程と、 前記光硬化性組成物に光を照射する光照射工程と、 前記光照射工程の後、前記光硬化性組成物と前記モールドとを引き離す離型工程と、 を有し、 前記基板の上に、所定のパターン形状を有する膜を得ることを特徴とする、膜の製造方法。前記光硬化性組成物と接する前記モールドの表面が石英であることを特徴とする、請求項8に記載の膜の製造方法。前記型接触工程が、凝縮性ガスを含むガス雰囲気中で行われることを特徴とする、請求項8又は9に記載の膜の製造方法。前記光照射工程が、前記モールドを介して前記光硬化性組成物に光を照射する工程であり、 前記モールドが、表面に凹凸を有することを特徴とする、請求項8乃至10のいずれか一項に記載の膜の製造方法。請求項8乃至11のいずれか一項に記載の膜の製造方法により得られた膜のパターン形状に基づいてエッチング又はイオン注入を行い、前記パターン形状に基づいて前記基板に回路構造を形成することを特徴とする、回路付基板の製造方法。

说明书全文

本発明は、光硬化性組成物及びこれを用いた膜の製造方法に関する。

光ナノインプリント方法は、被加工基材等の基板上に、所定のパターン形状を有するレジスト膜を作製する方法であり、例えば、下記(a)乃至(d)の製造プロセスを有している。 (a)レジスト(光硬化性組成物)を配置する配置工程 (b)光硬化性組成物と表面に微細凹凸パターンが形成された型(モールド)とを接触させる型接触工程 (c)光硬化性組成物に光を照射する光照射工程 (d)光照射工程の後、光硬化性組成物とモールドとを引き離す離型工程

尚、上記(a)乃至(d)の製造プロセスを経て作製されるレジスト膜が有するパターン形状は、モールドの凹凸を基板上に配置されているレジスト膜に転写することによって形成される。

ところで光ナノインプリント方法を利用する際には、離型工程(工程(d))においてモールドをレジスト硬化物から引き離す(離型する)ために要する、即ち、離型力を低減させることが重要な課題となっている。離型力が大きいと、パターンに欠陥が生じたり、基板がステージから浮き上がって位置合わせ精度が低下したりする等の課題が発生するためである。

上記課題を解決する方法として、特許文献1に提案されている方法がある。具体的には、光反応により窒素や二酸化炭素等のガスを発生させる感光性ガス発生剤が添加された光硬化性組成物を用いる方法が提案されている。この方法を用いると、光照射工程で発生したガスによる圧力によりモールドと光硬化性組成物との間の界面結合が切断され離型力が低減される。

特開2010−262980号公報

SPIE,Vol.3676,P.379

しかしながら、特許文献1にて提案された方法では、ガスを発生させるために行われる光照射に要する時間が長くかかるため生産性が低い、という課題があった。

本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、生産性が高い膜の製造するために使用される光硬化性組成物を提供することにある。

本発明の光硬化性組成物は、表面に凹凸を有するモールドと接触させた状態で光を用いて硬化することにより、所定のパターン形状を有する膜を製造するために用いられる光硬化性組成物であって、 重合性化合物と、光重合開始剤と、光刺激によりガスを発生する感光性ガス発生剤と、ガスの凝集速度を上昇させるためのガス発生促進剤と、を有し、 前記ガス発生促進剤が、重合性置換基を有さないフッ素原子含有界面活性剤であることを特徴とする。

本発明によれば、生産性が高い膜の製造するために使用される光硬化性組成物を提供することができる。

モールドを光硬化性組成物に接触する際のモールドと光硬化性組成物との界面の様子を示す断面模式図である。

本発明の膜の製造方法における実施形態の例を示す断面模式図である。

以下、本発明の実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。ただし本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また本発明においては、その趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下に説明する実施形態に対して適宜変更、改良等が加えられたものについても本発明の範囲に含まれる。

また後述する本発明に係る膜の製造方法は、例えば、光インプリント方法を利用した膜の作製方法である。ここで光インプリント方法を利用する際には、好ましくは、1nm乃至10mmのサイズのパターンを有する膜の形成方法である。より好ましくは、およそ10nm乃至100μmのサイズのパターンを有する膜の形成方法である。一般に、光を利用してナノサイズ(1nm乃至100nm)のパターン(凹凸構造)を有する膜を作製するパターン形成技術は、光ナノインプリント法と呼ばれている。本発明は、光ナノインプリント法を利用している。

[光硬化組成物] 本発明の光硬化性組成物は、表面に凹凸を有するモールドと接触させた状態で光を用いて硬化することにより、所定のパターン形状を有する膜を製造するために用いられる。また本発明の光硬化性組成物は、下記成分(A)乃至(D)を有している。 (A)重合性化合物 (B)光重合開始剤 (C)感光性ガス発生剤 (D)ガス発生促進剤

以下、各成分について、詳細に説明する。

<重合性化合物(成分(A))> 本発明において、重合性化合物(成分(A))は、光重合開始剤(成分(B))から発生した重合因子(ラジカル、カチオン等)と反応する化合物である。また重合性化合物(成分(A))は、上記重合因子と反応した後、連鎖反応(重合反応)により高分子化合物からなる膜を形成する。

本発明の光硬化性組成物を構成する重合性化合物として、例えば、ラジカル重合性化合物又はカチオン重合性化合物が挙げられる。

ラジカル重合性化合物としては、アクリロイル基又はメタクリロイル基を1つ以上有する化合物が好ましい。カチオン重合性化合物としては、ビニルエーテル基、エポキシ基又はオキセタニル基を1つ以上有する化合物が好ましい。

(重合性化合物(A)−ラジカル重合性成分) アクリロイル基又はメタクリロイル基を1つ有する単官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2ーフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性p−クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、EO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、PO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられるが、これらに限定されない。

上記単官能(メタ)アクリル化合物の市販品としては、アロニックスM101、M102、M110、M111、M113、M117、M5700、TO−1317、M120、M150、M156(以上、東亞合成製)、MEDOL10、MIBDOL10、CHDOL10、MMDOL30、MEDOL30、MIBDOL30、CHDOL30、LA、IBXA、2−MTA、HPA、ビスコート#150、#155、#158、#190、#192、#193、#220、#2000、#2100、#2150(以上、大阪有機化学工業製)、ライトアクリレートBO−A、EC−A、DMP−A、THF−A、HOP−A、HOA−MPE、HOA−MPL、PO−A、P−200A、NP−4EA、NP−8EA、エポキシエステルM−600A(以上、共栄社化学製)、KAYARAD TC110S、R−564、R−128H(以上、日本化薬製)、NKエステルAMP−10G、AMP−20G(以上、新中村化学工業製)、FA−511A、512A、513A(以上、日立化成製)、PHE、CEA、PHE−2、PHE−4、BR−31、BR−31M、BR−32(以上、第一工業製薬製)、VP(BASF製)、ACMO、DMAA、DMAPAA(以上、興人製)等が挙げられるが、これらに限定されない。

アクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)イソシアヌレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、PO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、EO,PO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン等が挙げられるが、これらに限定されない。

上記多官能(メタ)アクリル化合物の市販品としては、ユピマーUV SA1002、SA2007(以上、三菱化学製)、ビスコート#195、#230、#215、#260、#335HP、#295、#300、#360、#700、GPT、3PA(以上、大阪有機化学工業製)、ライトアクリレート4EG−A、9EG−A、NP−A、DCP−A、BP−4EA、BP−4PA、TMP−A、PE−3A、PE−4A、DPE−6A(以上、共栄社化学製)、KAYARAD PET−30、TMPTA、R−604、DPHA、DPCA−20、−30、−60、−120、HX−620、D−310、D−330(以上、日本化薬製)、アロニックスM208、M210、M215、M220、M240、M305、M309、M310、M315、M325、M400(以上、東亞合成製)、リポキシVR−77、VR−60、VR−90(以上、昭和高分子製)等が挙げられるが、これらに限定されない。

以上列挙したラジカル重合性化合物は、一種類を単独で用いてもよいし二種類以上を組み合わせて用いてもよい。尚、上述した化合物群において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味する。(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基及びそれに対応するメタクリロイル基を意味する。EOは、エチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物とは、エチレンオキサイド基のブロック構造を有する化合物をいう。また、POは、プロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物とは、プロピレンオキサイド基のブロック構造を有する化合物をいう。

(重合性化合物(A)−カチオン重合性成分) ビニルエーテル基を1つ有する化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられるが、これらに限定されない。

ビニルエーテル基を2つ以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテル等のジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル等の多官能ビニルエーテル類等が挙げられるが、これらに限定されない。

エポキシ基を1つ有する化合物としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられるが、これらに限定されない。

エポキシ基を2つ以上有する化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,1,3−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられるが、これらに限定されない。

オキセタニル基を1つ有する化合物としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、4−メトキシ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル〕フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられるが、これらに限定されない。

オキセタニル基を2つ以上有する化合物としては、例えば、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等の多官能オキセタン等が挙げられるが、これらに限定されない。

以上列挙したカチオン重合性化合物は、一種類を単独で用いてもよいし二種類以上を組み合わせて用いてもよい。尚、上述した化合物群において、EOは、エチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物とは、エチレンオキサイド基のブロック構造を有する化合物を示す。またPOは、プロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物とは、プロピレンオキサイド基のブロック構造を有する化合物を示す。また水添とは、ベンゼン環等のC=C二重結合に対して水素原子を付加させることをいう。

<光重合開始剤(成分(B))> 本発明において、光重合開始剤(成分(B))は、所定の波長の光を感知して上記重合因子(ラジカル、カチオン等)を発生させるための化合物である。具体的には、光重合開始剤(成分(B))は、成分(A)である重合性化合物がラジカル重合性化合物の場合では、光(赤外線、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の荷電粒子線等、放射線)によりラジカルを発生する重合開始剤である。一方、成分(A)である重合性化合物がカチオン重合性化合物の場合では、光により酸を発生する重合開始剤である。

ラジカル発生剤として挙げられる化合物として、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−又はp−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の置換基を有してもよい2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノンのようなベンゾフェノン誘導体;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパノン−1−オン等の芳香族ケトン誘導体;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル誘導体;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン、プロピルベンゾイン等のベンゾイン誘導体;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン等のN−フェニルグリシン誘導体;アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体;チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン誘導体:キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられるが、これらに限定されない。尚、列挙した化合物は、一種類を単独で用いてもよいし二種類以上を組み合わせて用いてもよい。

上記光ラジカル発生剤の市販品として、Irgacure184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI−1700、−1750、−1850、CG24−61、Darocur l116、1173(以上、チバ・ジャパン製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF製)、ユベクリルP36(UCB製)等が挙げられるが、これらに限定されない。

光により酸を発生する重合開始剤として用いられる化合物としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明においては、これら化合物のうちオニウム塩化合物を用いるのが好ましい。

オニウム塩化合物としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等を挙げることができる。オニウム塩化合物の具体例としては、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムピレンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムn−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムn−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムピレンスルホネート、トリフェニルスルホニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムn−オクタンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムピレンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムベンゼンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム10−カンファースルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムn−オクタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムピレンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムベンゼンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム10−カンファースルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムn−オクタンスルホネート等が挙げられるが、これらに限定されない。

スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンや、これらのα−ジアゾ化合物等を挙げることができる。スルホン化合物の具体例としては、フェナシルフェニルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン、4−トリスフェナシルスルホン等が挙げられるが、これらに限定されない。

スルホン酸エステル化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等を挙げることができる。スルホン酸エステル化合物の具体例としては、α−メチロールベンゾインパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、α−メチロールベンゾイントリフルオロメタンスルホネート、α−メチロールベンゾイン2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート等が挙げられるが、これらに限定されない。

スルホンイミド化合物の具体例としては、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−フルオロフェニル)フタルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド等が挙げられるが、これらに限定されない。

ジアゾメタン化合物の具体例としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニルp−トルエンスルホニルジアゾメタン、(シクロヘキシルスルホニル)(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられるが、これらに限定されない。

これらの光酸発生剤のうち、オニウム塩化合物が好ましい。本発明において、光酸発生剤は、一種類を単独で用いてもよいし二種類以上を混合して用いてもよい。

成分(B)である重合開始剤の配合割合は、成分(A)である重合性化合物の全量に対して、0.01重量%以上10重量%以下であり、好ましくは、0.1重量%以上7重量%以下である。重合開始剤の配合割合が0.01重量%未満であると、硬化速度が低下して反応効率が低くなることがある。一方、重合開始剤の配合割合が10重量%を超えると、光硬化性組成物の硬化物の機械的特性の点で劣ることがある。

<感光性ガス発生剤(成分(C))> 本発明において、感光性ガス発生剤(成分(C))は、紫外線等の光の感知(光刺激)により気体が発生する物質である。即ち、感光性ガス発生剤(成分(C))は、特定の光を吸収すると化学反応(脱離反応)が起こり、この化学反応の際に気体が発生する。感光性ガス発生剤としては、例えば、アゾ系化合物、ジアゾニウム塩系化合物、アジド系化合物、ジアゾナフトキノン系化合物、スルホヒドラジド系化合物、ヒドラゾ系化合物、ニトロベンジルカルバメート系化合物、ベンゾインカルバメート系化合物、ジアゾメタンスルホン酸系化合物等がある。尚、感光性ガス発生剤から発生する気体としては、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、酸素、水素等があるが、好ましくは、二酸化炭素又は窒素である。窒素を発生する化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)(VAm−110、和光純薬製)のアゾ系化合物、ジアゾニウム塩系化合物、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル系化合物等のジアゾナフトキノン系化合物が挙げられる。また二酸化炭素を発生する化合物としては、ベンゾインカルバメート系化合物、ニトロベンジルカルバメート系化合物が挙げられる。

成分(C)である感光性ガス発生剤は、光重合組成物に含まれる重合性化合物(成分(A))の全量に対して、例えば、0.1重量%乃至50重量%配合されている。

感光性ガス発生剤(成分(C))は、重合性化合物(成分(A))の全量に対して、好ましくは、0.5重量%乃至20重量%配合され、さらに好ましくは、1重量%乃至15重量%配合される。ここで感光性ガス発生剤(成分(C))の配合割合が0.1重量%未満であると、本発明の効果が十分に得られない恐れがある。また感光性ガス発生剤(成分(C))の配合割合が50重量%を超えると、製造される膜の機械強度が十分確保できずにパターン欠陥が生じることがある。

<ガス発生促進剤(成分(D))> 本発明において、ガス発生促進剤(成分(D))は、後述する光照射工程において、成分(C)である感光性ガス発生剤から発生したガスを、光硬化性組成物とモールドとの界面に凝集させるために光硬化性組成物に含ませる成分である。

光照射工程中に感光性ガス発生剤から発生するガスは、当初は光硬化性組成物の膜中に溶存する。そして光反応が進行し、溶存するガスの量が光硬化性組成物の飽和溶解度を上回ったときには、ガスは所定の場所において凝集(発泡)する。ここで所定の場所における一定時間当たりのガスの凝集量を、凝集速度と定義する。本発明においては、光硬化性組成物とモールドとの界面におけるガスの凝集速度が最も重要となる。

ここでガスの凝集がモールドと光硬化性組成物との界面において生じた場合、モールドと光硬化性組成物との界面において光硬化性組成物はモールドから剥離するため、離型力が低減される。ただしガスの凝集が光硬化性組成物の硬化膜の内部において生じた場合、モールドと光硬化性組成物との界面において上述した剥離は生じず、離型力は低減されない。

ここでモールドと光硬化性組成物との界面におけるガスの凝集速度の評価方法を以下に述べる。光硬化性組成物において、この光硬化性組成物にガス発生促進剤を添加した場合と添加していない場合の、一定の光照射時間後の光硬化性組成物とモールドとの界面におけるガス発生量を比較する。この方法を採用することで、凝集速度の上昇の有無を判定することができる。

本発明では、光硬化性組成物に、所定の場所に選択的にガスを凝集させるためのガス発生促進剤が含まれている。感光性ガス発生剤から発生したガスをガス発生促進剤にて、光硬化性組成物とモールドとの界面に選択的に凝集させることにより、離型動作に要する時間を短縮させることが可能になる。また感光性ガス発生剤から発生したガスを離型力の低下に有効に利用することができる。

成分(D)であるガス発生促進剤として、具体的には、重合性置換基(二重結合、三重結合、極性置換基等)を有さないフッ素原子含有界面活性剤が用いられる。

ガス発生促進剤(成分(D))となるフッ素原子含有界面活性剤は、具体的には、下記一般式(1)乃至(3)のいずれかで表わされる化合物である。 Rf1−Rc1−X1 (1) Rf1−Rc1−Rf2 (2) X1−Rc1−Rf3−Rc2−X2 (3)

式(1)において、Rf1は、フッ素原子と炭素原子とから構成される1価の官能基であり、具体的には、1価の撥水撥油性官能基である。より具体的には、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、パーフルオロデシル基等のフッ素原子が置換された炭素数2乃至20の直鎖状アルキル基が挙げられる。環境安全性が良好であるという観点から、炭素数は7以下が好ましい。

式(1)において、Rc1は、水素原子と酸素原子と炭素原子とから構成される2価の官能基であり、具体的には、2価の親油性官能基である。より具体的には、繰り返し単位数1乃至100のポリエチレンオキサイド鎖、繰り返し単位数1乃至100のポリプロピレンオキサイド鎖、炭素数2乃至100の直鎖状あるいは環状構造を含んでもよいアルキル基等が挙げられる。

式(1)において、X1は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、又はアルコキシ基である。

式(2)において、Rf1及びRf2は、それぞれフッ素原子と炭素原子とから構成される1価の官能基であり、具体的には、1価の撥水撥油性官能基である。より具体的には、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、パーフルオロデシル基等のフッ素原子が置換された炭素数2乃至20の直鎖状アルキル基が挙げられる。環境安全性が良好であるという観点から、炭素数は7以下が好ましい。式(2)において、Rf1及びRf2は、同一であってもよいし異なっていてもよい。

式(2)において、Rc1は、水素原子と酸素原子と炭素原子とから構成される2価の官能基であり、具体的には、2価の親油性官能基である。より具体的には、繰り返し単位数1乃至100のポリエチレンオキサイド鎖、繰り返し単位数1乃至100のポリプロピレンオキサイド鎖、炭素数2乃至100の直鎖状あるいは環状構造を含んでもよいアルキル基等が挙げられる。

式(3)において、X1及びX2は、それぞれヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、又はアルコキシ基である。式(3)において、X1及びX2は、同一であってもよいし異なっていてもよい。

式(3)において、Rf3は、フッ素原子と炭素原子とから構成される2価の官能基であり、具体的には、2価の撥水撥油性官能基である。より具体的には、パーフルオロエチレン基、パーフルオロプロピレン基、パーフルオロブチレン基、パーフルオロペンチレン基、パーフルオロヘキシレン基、パーフルオロヘプチレン基、パーフルオロオクチレン基、パーフルオロノニレン基、パーフルオロデシレン基等のフッ素原子が置換された炭素数2乃至20の直鎖状アルキレン基が挙げられる。環境安全性が良好であるという観点から、炭素数は7以下が好ましい。

式(3)において、Rc1及びRc2は、それぞれ水素原子と酸素原子と炭素原子とから構成される2価の官能基であり、具体的には、2価の親油性官能基である。より具体的には、繰り返し単位数1乃至100のポリエチレンオキサイド鎖、繰り返し単位数1乃至100のポリプロピレンオキサイド鎖、炭素数2乃至100の直鎖状あるいは環状構造を含むアルキル基等が挙げられる。式(3)において、Rc1及びRc2は、同一であってもよいし異なっていてもよい。

上記一般式(1)乃至(3)で表わされる化合物であれば、市販のフッ素原子含有界面活性剤を用いることもできる。市販のフッ素原子含有界面活性剤としては、例えば、メガファックF−444、TF−2066(いずれもDIC(株)製)、フロラードFC−430、FC−431(住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382(AGC(株)製)、EFTOP EF−122A、122B、122C、EF−121、EF−126、EF−127、MF−100((株)トーケムプロダクツ製)、PF−636、PF−6320、PF−656、PF−6520(いずれもOMNOVA Solutions,Inc.)、ユニダインDS−401、DS−403、DS−451(いずれもダイキン工業(株)製)等が挙げられる。

本発明において、成分(D)であるガス発生促進剤として、特に好ましい化合物は、下記一般式(4)に示される化合物である。 F(CF2)6CH2CH2(OCH2CH2)15OH (4)

また下記一般式(5)に示される化合物も成分(D)であるガス発生促進剤として、特に好ましい化合物である。 F(CF2)6CH2(OCH2CH2)6OH (5)

本発明の発明者らは鋭意検討の結果、成分(D)であるフッ素原子含有界面活性剤を光硬化性組成物に含ませることにより、感光性ガス発生剤(成分(C))からガスを発生させるために行われる光照射工程にかかる時間を短くできることを見出した。これは、本発明の膜の製造方法は生産性が高いことを意味する。ここで本発明の光硬化性組成物を用いると離型力を小さくすることができる示す理由について、本発明の発明者らは以下のように考察している。

図1は、モールドを光硬化性組成物に接触する際のモールドと光硬化性組成物との界面の様子を示す断面模式図である。

成分(D)であるガス発生促進剤は、界面活性剤でもあるため、モールド3と光硬化性組成物1とが接触する際に、光硬化性組成物とモールドとの界面に偏析する。これにより、モールド3と光硬化性組成物1との間に、ガス発生促進剤からなるガス発生層10が形成される。

モールド3と光硬化性組成物1とが接触した後、モールド3を介して光が照射される。このとき光硬化性組成物1に含まれる重合性化合物(成分(A))は、光重合開始剤(成分(B))から発生する重合因子(ラジカル、カチオン等)により重合するが、ガス発生層10を形成するガス発生促進剤(成分(D))は上記重合因子とは反応しない。このためガス発生促進剤(成分(D))は、光照射後においても硬化せずに、光照射前と同じ状態(液体又は固体)のままガス発生層10内に存在する。ここで、図1中のガス発生層10は、モールド3や光硬化性組成物1を硬化してなる硬化膜よりも機械的に弱い層である。このため、光照射工程において、重合性化合物(成分(A))が硬化した後に発生するガスは、光硬化性組成物1から離れて光硬化性組成物1よりも物理的強度が小さいガス発生層10に集中的に凝集する。そうするとガス発生層10におけるガスの凝集によりガス発生層10自体の物理的強度がより小さくなるため、モールドの離型を容易に行うことができると考えられる。

本発明において、成分(D)であるガス発生促進剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。

また本発明において、成分(D)であるガス発生促進剤は、重合性化合物(成分(A))の全重量に対して、例えば、0.001重量%乃至10重量%含まれていればよい。好ましくは、0.002重量%乃至5重量%含まれており、さらに好ましくは、0.005重量%乃至3重量%含まれる。ここで重合性化合物の全重量に対する配合割合が0.001重量%未満であると、本発明の効果を十分に発揮することができない。一方、重合性化合物の全重量に対する配合割合が10重量%を超えると、光硬化性組成物の表面張力が低くなったり又はモールドや基板に対する光硬化性組成物の接触が低くなったりすることにより、本発明の光硬化性組成物の充填性が低くなる。

<その他添加成分> また本発明の光硬化性組成物は、上述した成分(A)乃至成分(D)の他にさらに添加成分を含有していてもよい。即ち、本発明の光硬化性組成物は、重合性化合物、重合開始剤、感光性ガス発生剤、ガス発生促進剤の他に、種々の目的に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、増感剤、酸化防止剤、溶剤、ポリマー成分等の添加成分を含ませてもよい。

増感剤は、重合反応促進や反応転化率の向上を目的として、適宜添加される化合物である。増感剤として、例えば、水素供与体、増感色素等が挙げられる。

水素供与体は、成分(B)である重合開始剤から発生した開始ラジカルや、重合生長末端のラジカルと反応し、より反応性が高いラジカルを発生させるための化合物である。水素供与体は、重合開始剤として光ラジカル発生剤を用いた場合に添加するのが好ましい。

水素供与体の具体例としては、N−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、アリルチオ尿素、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネート、トリエチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレンテトラミン、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエタノールアミン、N−フェニルグリシン等のアミン化合物、2−メルカプト−N−フェニルベンゾイミダゾール、メルカプトプロピオン酸エステル等のメルカプト化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。

増感色素は、特定の波長の光を吸収することにより励起され、成分(B)である重合開始剤へ相互作用する化合物である。尚、ここでいう相互作用とは、励起状態の増感色素から成分(B)である重合開始剤へのエネルギー移動や電子移動等である。

増感色素の具体例としては、アントラセン誘導体、アントラキノン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、カルバゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、フェノチアジン誘導体、カンファキノン誘導体、アクリジン系色素、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム塩系色素等が挙げられるが、これらに限定されない。

増感剤は、一種類を単独で用いてもよいし二種類以上を混合して用いてもよい。

本発明の光硬化性組成物において、増感剤は、成分(A)である重合性化合物の全量に対して、好ましくは、0乃至20重量%であり、より好ましくは、0.1重量%乃至5.0重量%であり、さらに好ましくは、0.2重量%乃至2.0重量%である。増感剤の含量が少なくとも0.1重量%以上含まれていれば、増感剤の効果をより効果的に発現することができる。また増感剤の含量を5.0重量%以下とすることにより、作製される光硬化物を構成する高分子化合物の分子量が十分に高くなると共に、溶解不良や保存安定性の劣化を抑えることができる。

<光硬化性組成物の配合時の温度> 試薬、溶媒を混合・溶解させることによって光硬化性組成物を調製する際には所定の温度条件下で行う。具体的には、0℃乃至100℃の範囲で行う。

<光硬化性組成物の粘度> 本発明の光硬化性組成物の粘度は、溶剤を除く成分の混合物について23℃での粘度が、好ましくは、1cP乃至100cPであり、より好ましくは、3cP乃至50cPであり、さらに好ましくは、3cP乃至20cPである。光硬化性組成物の粘度が100cPより高いと、光硬化性組成物をモールドに接触する際にモールド上の微細パターンのうち凹部に組成物が充填するのに長い時間が必要となったり、充填不良によるパターン欠陥が生じたりすることがある。一方、粘度が1cPより低いと、光硬化性組成物を塗布する際に塗りムラを生じたり、光硬化性組成物をモールドに接触する際に、モールドの端部から光硬化性組成物が流出したりする恐れがある。

<光硬化性組成物の表面張力> 本発明の光硬化性組成物の表面張力は、溶剤を除く成分の混合物について23℃での表面張力が、好ましくは、5mN/m乃至70mN/mであり、より好ましくは、7mN/m乃至35mN/mであり、さらに好ましくは、10mN/m乃至32mN/mである。ここで表面張力が5mN/mより低いと、光硬化性組成物をモールドに接触する際にモールド上の微細パターンのうち凹部に組成物が充填するのに長い時間が必要となる。一方、表面張力が70mN/mより高いと、表面平滑性が低くなる。

<光硬化性組成物に混入しているパーティクル等の不純物> 本発明の光硬化性組成物は、できる限り不純物を取り除くのが望ましい。例えば、光硬化性組成物に混入したパーティクルによって光硬化物に不用意に凹凸が生じてパターンの欠陥が発生するのを防止するためにパーティクル等の不純物を取り除くのが望ましい。具体的には、光硬化性組成物に含まれる各成分を混合した後、例えば、孔径0.001μm乃至5.0μmのフィルタで濾過することが好ましい。フィルタを用いた濾過を行う際には、多段階で行ったり、多数回繰り返したりすることがさらに好ましい。また、濾過した液を再度濾過してもよい。濾過に使用するフィルタとしては、ポリエチレン樹脂製、ポリプロピレン樹脂製、フッ素樹脂製、ナイロン樹脂製等のフィルタを使用することができるが、特に限定されるものではない。

尚、本発明の光硬化性組成物を、半導体集積回路を製造するために使用する場合、製品の動作を阻害しないようにするため、組成物中に金属不純物が混入するのを極力避けることが好ましい。このため、本発明の光硬化性組成物において、組成物中に含まれる金属不純物の濃度としては、10ppm以下が好ましく、100ppb以下にすることがさらに好ましい。

[膜の形成方法] 次に、本発明の膜の形成方法について説明する。図2は、本発明の膜の製造方法における実施形態の例を示す断面模式図である。図2に示される製造プロセスは、下記[1]乃至[5]あるいは[6]に示される工程からなる製造プロセスである。 [1]塗布工程(図2(a)) [2]接触工程(図2(b1)、(b2)) [3]光照射工程(図2(c)) [4]離型工程(図2(d)) [5]残膜除去工程(図2(e)) [6]基板加工工程(図2(f))

上記製造プロセスにおいて、残膜除去工程(図2(e))は、離型工程(図2(d))の後に、光硬化性組成物の凹部に残った膜(残膜)をエッチングにより取り除き、パターン凹部において被加工基材表面を露出させる工程である。上記製造プロセスを利用して光学素子や電子部品を作製する際には、残膜除去工程(図2(e))を行うのが望ましい。

本発明において、接触工程において光硬化性組成物と接するモールドの表面は、好ましくは、石英である。

また本発明において、光照射工程は、好ましくは、モールドを介して光硬化性組成物に光を照射する工程であり、使用されるモールドが、表面に凹凸を有している。このモールドを使用することにより、モールド表面に備える凹凸に対応したパターン形状を有する膜を形成することができる。

以上[1]乃至[6]に示される工程(あるいは[1]乃至[5]に示される工程)を経ることで、光硬化性組成物1から光硬化物12、及び光硬化物12を有する電子部品(電子デバイス)あるいは光学部品を得ることができる。以下、各工程の詳細について説明する。

<配置工程(図2(a))> まず光硬化性組成物1を基板2上に配置(塗布)して塗布膜を形成する(図2(a))。ここでいう光硬化性組成物とは、本発明の光硬化性組成物である。

基板2に相当する被加工基板としては、通常、シリコンウエハが用いられるが、これに限定されるものではない。シリコンウエハ以外にも、アルミニウム、チタン−タングステン合金、アルミニウム−ケイ素合金、アルミニウム−銅−ケイ素合金、酸化ケイ素、窒化ケイ素等の半導体デバイス用基板として知られているものの中からも任意に選んで用いることができる。尚、使用される基板(被加工基板)には、シランカップリング処理、シラザン処理、有機薄膜の成膜、等の表面処理により光硬化性組成物との密着性を向上させた基板を被加工基板として用いてもよい。

本発明の光硬化性組成物を被加工基板上に配置する方法としては、例えば、インクジェット法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコード法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート法、スリットスキャン法等を用いることができる。尚、被形状転写層(塗布膜)の膜厚は、使用する用途によっても異なるが、例えば、0.01μm乃至100.0μmである。

<型接触工程(図2(b1)、(b2))> 次に、前工程(配置工程)で形成された光硬化性組成物1からなる塗布膜にモールドを接触させる工程(接触工程、図2(b1)、図2(b2))を行う。尚、モールド3は印章と見立てることができるので、この工程は、押印工程とも呼ばれる。本工程で、光硬化性組成物1(被形状転写層)にモールド3を接触させる(図2(b1))と、モールド3上に形成された微細パターンの凹部に塗布膜(の一部)11が充填される(図2(b2))。

接触工程で使用されるモールド3は、次の工程(光照射工程)を考慮して光透過性の材料で構成される必要がある。モールド3の構成材料として、具体的には、ガラス、石英、PMMA、ポリカーボネート樹脂等の光透明性樹脂、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサン等の柔軟膜、光硬化膜、金属膜等を挙げることができる。ただしモールド3の構成材料として光透明性樹脂を使用する場合は、光硬化性組成物1に含まれる溶媒に溶解しない樹脂を選択する必要がある。

本発明の光硬化物の製造方法において用いられるモールド3は、光硬化性組成物1とモールド3の表面との剥離性を向上させるための表面処理を行ったものを用いてもよい。表面処理の方法としては、型接触工程を行う前に、モールドの表面に離型剤を塗布して離型剤層を形成する方法が挙げられる。ここでモールドの表面に塗布する離型剤としては、シリコン系離型剤、フッ素系離型剤、ポリエチレン系離型剤、ポリプロピレン系離型剤、パラフィン系離型剤、モンタン系離型剤、カルナバ系離型剤等が挙げられる。例えば、ダイキン工業(株)製のオプツールDSX等の市販の塗布型離型剤も好適に用いることができる。尚、離型剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用して用いてもよい。これらの中でも、フッ素系の離型剤が特に好ましい。

型接触工程において、図2(b1)に示されるように、モールド3を光硬化性組成物1に接触する際に、光硬化性組成物1に加わる圧力は特に限定されないが、通常、0.1MPa乃至100MPaである。その中でも0.1MPa乃至50MPaであることが好ましく、0.1MPa乃至30MPaであることがより好ましく、0.1MPa乃至20MPaであることがさらに好ましい。また接触工程においてモールド3を被形状転写層1に接触させる時間は、特に限定されないが、通常、0.1秒乃至600秒であり、0.1秒乃至300秒であることが好ましく、0.1秒乃至180秒であることがより好ましく、0.1秒乃至120秒であることが特に好ましい。

また型接触工程を行う際には、大気雰囲気下、減圧雰囲気下、不活性ガス雰囲気下のいずれの条件下でも行うことができる。酸素や水分による光硬化反応への影響を防ぐことができるため、減圧雰囲気や不活性ガス雰囲気が好ましい。不活性ガス雰囲気下で接触工程を行う場合、使用される不活性ガスの具体例としては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、各種フロンガス等、あるいはこれらの混合ガスが挙げられる。大気雰囲気下を含めて特定のガスの雰囲気下で本工程(接触工程)を行う場合、好ましい圧力は、0.0001気圧乃至10気圧である。尚、酸素や水分による光硬化反応への影響を防ぐことができる理由から、減圧雰囲気や不活性ガス雰囲気にするのが好ましい。

また、本発明においては、雰囲気ガスとして凝縮性ガスを用いてもよい。本発明において、凝縮性ガスとは、所望のパターンを有する光硬化物の製造装置内の温度条件及び圧力条件においては、通常気体として存在する一方で、型接触工程では、所定の条件において凝縮(液化)するガスを示す。尚、所定の条件の詳細については、後述する。また本発明においては、凝縮性ガスを含むガス雰囲気中で型接触工程を行ってもよい。

このような凝縮性ガスは、ガスの沸点が−10℃乃至23℃、又は、室温での蒸気圧が0.1MPa乃至0.4MPaのガスである。これらの範囲の中でも、沸点が10℃乃至23℃の凝縮性ガスが特に好ましい。

室温で蒸気圧が0.1MPa乃至0.4MPaのガスであれば、光硬化性組成物1が基板2とモールド3との間隙やモールド3上の凹部に侵入する際に発生する毛細管圧力で容易に凝縮し、液化されて気泡が消滅する。

尚、室温での蒸気圧が0.4MPaより大きいと、気泡の消滅の効果を十分に得ることができないため好ましくない。一方、常温での蒸気圧が0.1MPaよりも小さいと、減圧が必要となり、装置が煩雑となるため好ましくない。

また、通常、紫外線硬化型のインプリント装置のインプリント領域は、室温で使用される。凝縮性ガスが、インプリント領域の温度よりも低い温度の沸点をもつガスであれば、温度を制御することにより、インプリントを行う際に気体となるため、装置が複雑にならず好ましい。ここで、本発明において、「室温」とは、20℃乃至25℃の温度範囲を示すものと定義する。

凝縮性ガスとして、具体的には、クロロフルオロカーボン(CFC)、フルオロカーボン(FC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)等のフロン類が挙げられる。

フロン類の中でも、特に、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(CHF2CH2CF3、HFC−245fa、PFP)が好ましい。尚、PFPは、室温付近である23℃での蒸気圧が0.14MPaであり、沸点が15℃である。

これら凝縮性ガスは、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。またこれら凝縮性ガスは、空気、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の非凝縮性ガスと混合した状態で用いてもよい。

<光照射工程(図2(c))> 次に、モールド3を介して塗布膜11に光を照射する(図2(c))。この工程において、塗布膜11は、照射される光によって硬化して光硬化物12を形成する。

本工程(光照射工程)において、所定の波長の光を受ける本発明の光硬化性組成物は、下記(c1)及び(c2)の化学反応が生じる。 (c1)重合性化合物の重合反応 (c2)感光性ガス発生剤の光分解反応(ガス発生反応)

上記(c1)及び(c2)の化学反応は競争的に発生するが、本発明においては、反応(c1)の反応速度(重合反応の反応速度)が、反応(c2)の反応速度(ガス発生反応の反応速度)よりも速くなるように制御することが好ましい。反応(c1)の反応速度を反応(c2)の反応速度よりも速くすることにより、成分(A)である重合性化合物が硬化した後にモールド3と光硬化性組成物1との界面で集中的にガスが凝集し、離型力低減効果を得ることができるからである。逆に、反応(c2)の反応速度が反応(c1)の反応速度よりも速いと、硬化膜12内で発泡したり、離型力低減効果が得られなかったりするという問題が生じる。

ところで、光インプリント方法を利用した膜の製造方法において、光硬化性組成物に成分(C)である感光性ガス発生剤が含まれている場合、この感光性ガス発生剤から発生するガスの量が多ければ多いほど離型力が低い。これは、光照射時間が長ければ長いほど離型力が低いことにも繋がる。本発明においては、成分(C)である感光性ガス発生剤に加えて、成分(D)であるガス発生促進剤がさらに含まれている。これにより、図1に示されているように、モールド3と光硬化性組成物1との界面に形成されるガス発生促進剤からなるガス発生層に速やかにガスが凝集する。このため、要求される離型力を得るために必要な光照射時間が相対的に短くて済む。従って、本発明の膜の製造方法は、生産性が高い。

ここで、塗布膜11を構成する光硬化性組成物1に照射する光は、光硬化性組成物1の感度波長に応じて選択されるが、具体的には、150nm乃至400nm程度の波長の紫外光や、X線、電子線等を適宜選択して使用することが好ましい。ここで硬化助剤(光重合開始剤)として市販されているものは、紫外光に感度を有する化合物が多い。このことから、光硬化性組成物1に照射する光(照射光4)は、紫外光が特に好ましい。ここで紫外光を発する光源としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、Deep−UVランプ、炭素アーク灯、ケミカルランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、F2エキシマレーザ等が挙げられるが、超高圧水銀灯が特に好ましい。また使用する光源の数は1つでもよいし又は複数であってもよい。また、光照射を行う際には、光硬化性組成物1の全面に行ってもよく、一部領域にのみ行ってもよい。

また、熱によっても被形状転写層が硬化する場合は、加熱硬化を更に行ってもよい。熱硬化を行う場合、加熱雰囲気及び加熱温度等は特に限定されない。例えば、不活性雰囲気下又は減圧下では、40℃乃至200℃の範囲で光硬化性組成物1を加熱することができる。また被形状転写層1を加熱する際には、ホットプレート、オーブン、ファーネス等を用いることができる。

<離型工程(図2(d))> 次に、光硬化物12からモールド3を離し、基板2上に所定のパターン形状を有する硬化膜を形成する工程(離型工程、図2(d))を行う。この工程(離型工程)は、光硬化物12からモールド3を剥離する工程であり、前の工程(光照射工程)において、モールド3上に形成された微細パターンの反転パターンが、光硬化物12のパターンとして得られる。

光硬化物12からモールド3を剥離する方法としては、剥離の際に光硬化物12の一部が物理的に破損しなければ特に限定されず、各種条件等も特に限定されない。例えば、被加工基板(基板2)を固定してモールド3を被加工基板から遠ざかるように移動させて剥離してもよく、モールド3を固定して被加工基板をモールドから遠ざかるように移動させて剥離してもよく、これらの両方を正反対の方向へ引っ張って剥離してもよい。

<残膜除去工程(図2(e))> 上記離型工程を行ったときに得られる硬化膜は、特定のパターン形状を有するものの、このパターン形状が形成される領域以外の領域においても膜の一部が残膜として存在することがある。そこで上記パターン形状のうち、光硬化物を除去すべき領域について残存する光硬化膜(残膜)を除去する工程(残膜除去工程、図2(e))を行う。

ここで残膜を除去する方法としては、例えば、光硬化物12の凹部に残った膜(残膜)をエッチングにより取り除き、パターン凹部において基板2の表面を露出させる方法が挙げられる。

エッチングを利用する場合、その具体的な方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法、例えば、ドライエッチングを行うことで形成することができる。ドライエッチングには、従来公知のドライエッチング装置を用いることができる。そして、ドライエッチング時のソースガスは、被エッチ膜の元素組成によって適宜選択されるが、O2、CO、CO2等の酸素原子を含むガス、He、N2、Ar等の不活性ガス、Cl2、BCl3等の塩素系ガス、H2、NH3のガス等を使用することができる。尚、これらのガスは混合して用いることもできる。

上記[1]乃至[5]の製造プロセスによって、所望の凹凸パターン形状(モールド3の凹凸形状に因むパターン形状)を有する光硬化物12を得ることができる。ここでこの光硬化物12を利用して、基板2を加工する場合は、さらに後述する基板の加工工程を行うことがある。

一方、得られた光硬化物12を光学部材(光学部材の一部材として用いる場合を含む。)として利用することもできる。係る場合、少なくとも、基板2と、この基板2の上に配置された光硬化物12と、を有する光学部材として提供することができる。

<基板加工工程(図2(f)> 本発明の製造方法によって得られる所望の凹凸パターン形状を有する光硬化物12は、例えば、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体素子に代表される電子部品に含まれる層間絶縁膜用膜として利用可能である。一方、この光硬化物12は、半導体素子製造時におけるレジスト膜として利用することもできる。

光硬化物12をレジスト膜として利用する場合、具体的には、図3(f)で示すように、エッチング工程にて表面が露出した基板の一部分(符号20の領域)に対して、エッチング又はイオン注入等を行う。尚、このとき光硬化物12は、マスクとして機能する。これにより、光硬化物12のパターン形状に基づく回路構造(不図示)を基板2に形成することができる。これにより、半導体素子等で利用される回路付基板を製造することができる。尚、この回路付基板に電子部材を設けることにより電子部品が形成される。

尚、回路付基板や電子部品を作製する場合、最終的には、加工された基板から光硬化物のパターンを除去してもよいが、素子を構成する部材として残す構成も好ましい。

以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下に説明する実施例に限定されるものではない。

[実施例1] (1)光硬化性組成物 まず下記に示される成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)を配合することで混合溶液を得た。 (1−1)成分(A):トリメチロールプロパントリアクリラート(アルドリッチ製)100重量部 (1−2)成分(B):2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(Darocur1173、チバ・ジャパン製):3重量部、 (1−3)成分(C):2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)(VAm−110、和光純薬製):15重量部 (1−4)成分(D):下記に示されるヘキサエチレングリコールモノ1H,1H−パーフルオロヘプチルエーテル:2重量部 F(CF2)6CH2(OCH2CH2)6OH

次に、得られた混合溶液を、フィルタの目の粗さが0.2μmの超高分子量ポリエチレン製フィルタにてろ過した。これにより、本実施例(実施例1)の光硬化性組成物(a−1)を調製した。

(2)塗布工程 ディスペンサを用いて、密着層として厚さ60nmの密着促進層が形成された200mmシリコンウエハ上に、光硬化性組成物(a−1)の液滴4.8μLを滴下した。

(3)型接触工程、光照射工程 次に、液滴周辺を窒素雰囲気に置換した後、パターンが形成されていない合成石英製のモールドを液滴に接触させた。ここで液滴とモールドとが接触している面積は約50mm2であった。次に、波長365nm、照度19.1mW/cm2の光を、モールド越しに一定時間照射し、光硬化性組成物を硬化させると共に、成分(C)である感光性ガス発生剤からガスを発生させた。

(4)離型工程 次に、石英モールドを引き上げて光硬化物からモールドを離した。以上の工程により、硬化された膜を得た。尚、得られた膜の平均膜厚は約100μmであった。

(5)光硬化物の評価(離型力測定) 離型工程の際に、離型に要した力を、ロードセルで測定した。尚、測定にあたっては、同一条件で10回の測定(離型力測定)を行い、その平均値を離型力とした。測定結果を表1に示す。

[比較例1] 実施例1において、成分(D)を添加しなかったこと以外は実施例1と同様の方法により光硬化性組成物(b−1)を調製した。そして、この光硬化性組成物(b−1)を用いて、実施例1と同様の方法により硬化された膜を得た。

ここで実施例1と同様に、離型工程の際に、離型に要した力を、ロードセルで測定した。測定結果を表2に示す。

光ナノインプリント法による膜の製造方法において、要求される離型力(15N以下)になるために必要な露光時間は、実施例1では40秒乃至100秒であったのに対して、比較例1では200秒乃至600秒であった。この結果から、感光性ガス発生剤を含んだ光硬化性組成物を用いて光インプリント方法を利用して所望のパターン形状を有する膜を作製する際に、本発明のように光硬化性組成物にガス発生促進剤が含まれている方が生産性は高いことが示された。

[実施例2] (1)光硬化性組成物 まず下記に示される成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)を配合することで混合溶液を得た。 (1−1)成分(A):合計94重量部

イソボルニルアクリレート(共栄社化学製、商品名:IB−XA):61.6重量部

(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート(大阪有機化学工業製、商品名:MEDOL−10):10重量部

ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業製、商品名:ビスコート#230):22.4重量部、 (1−2)成分(B):3重量部 Darocur1173(BASF製) (1−3)成分(C):15重量部 2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)(VAm−110、和光純薬製):15重量部 (1−4)成分(D):1.1重量部 ペンタデカエチレングリコールモノ1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルエーテル(F(CF

2)

6CH

2CH

2(OCH

2CH

2)

15OH、DIC製):1.1重量部

次に、得られた混合溶液を、フィルタの目の粗さが0.2μmの超高分子量ポリエチレン製フィルタにてろ過した。これにより、本実施例(実施例2)の光硬化性組成物(a−2)を調製した。

(2)塗布工程 密着層として厚さ60nmの密着促進層が形成された4インチシリコンウエハ上に、マイクロピペットを用いて本実施例の組成物(a−2)を16μl滴下した。尚、後述する離型工程後に得られた膜の平均膜厚は約10μmであった。

(3)型接触工程、光照射工程 上記のシリコンウエハ上に、表面処理がされておらず、パターンも形成されていない石英モールド(40mm×40mm)を押印した。

次に、モールド越しに光照射を60秒行い、光硬化性組成物(a−2)を硬化させると共に、成分(C)である感光性ガス発生剤からガスを発生させた。尚、光照射工程を行う際に、照射光源として、200W水銀キセノンランプを備えたUV光源EXECURE 3000(HOYA CANDEO OPTRONICS CORPORATION製)を用いた。また光源と石英モールドとの間に、干渉フィルタVPF−50C−10−25−36500(シグマ光機製)を配した。一方、石英モールド直下における照度は、波長365nmにおいて100mW/cm2であった。

(4)離型工程 次に、石英モールドを引き上げて光硬化物からモールドを離した。以上の工程により、硬化された膜を得た。尚、得られた膜の平均膜厚は約10μmであった。

(5)光硬化物の評価(離型力測定) 離型工程の際に、離型に要した力をロードセルで測定したところ、離型力はほぼゼロ(ロードセルのノイズレベル以下)であった。

[比較例2] 実施例2において、成分(D)を添加しなかったこと以外は実施例2と同様の方法により光硬化性組成物(b−2)を調製した。そして、この光硬化性組成物(b−2)を用いて、実施例2と同様の方法により硬化された膜を得た。

ここで実施例2と同様に、離型工程の際に、離型に要した力を、ロードセルで測定した。同一条件で4回の離型力測定を行い、2回目乃至4回目の離型力の平均値を求めると、111Nだった。

光ナノインプリント法による膜の製造方法において、要求される離型力(15N以下)になるために必要な露光時間は、実施例2では60秒以下であったのに対して、比較例2では60秒以上を要することがわかった。この結果から、感光性ガス発生剤を含んだ光硬化性組成物を用いて光インプリント方法を利用して所望のパターン形状を有する膜を作製する際に、本発明のように光硬化性組成物にガス発生促進剤が含まれている方が生産性は高いことが示された。

1:光硬化性組成物、2:基板、3:モールド、10:ガス発生層、11:塗布膜、12:光硬化物

QQ群二维码
意见反馈