インサート成形用加飾フィルム及び加飾インサート成形品

申请号 JP2015508000 申请日 2014-03-03 公开(公告)号 JPWO2014155976A1 公开(公告)日 2017-02-16
申请人 セーレン株式会社; 发明人 明広 河村; 明広 河村;
摘要 紫外線硬化型インクジェットインクによって加飾され、インサート成形時に良好な柔軟性を発揮するインサート成形用加飾フィルムを得る。インサート成形用加飾フィルム(1)は、フィルム基材(2)上に、紫外線硬化型インクジェットインクによる加飾層(3)を有し、インサート成形用加飾フィルム(1)の伸び率が、180℃条件下で150%以上、かつ25℃条件下で50%以上である。
权利要求

フィルム基材上に紫外線硬化型インクジェットインクにより形成された加飾層を有するインサート成形用加飾フィルムであって、該インサート成形用加飾フィルムの伸び率が、180℃条件下で150%以上、かつ25℃条件下で50%以上である、インサート成形用加飾フィルム。前記加飾層に用いる紫外線硬化型インクジェットインクが、ガラス転移温度(Tg)が100℃前記紫外線硬化型インクジェットインクが、前記100℃前記ウレタンアクリレートオリゴマーの塗膜弾性率が、25℃条件下で5〜50MPaである、請求項2または3に記載のインサート成形用加飾フィルム。請求項1〜4のいずれか1項に記載の加飾フィルムと、前記加飾フィルムの一方面に積層一体化された樹脂射出成形体と、を備える加飾インサート成形品

说明书全文

本発明は、フィルム基材上に紫外線硬化型インクジェットインクによる加飾層を有する、インサート成形用途に適した加飾フィルムに関する。また、該加飾フィルムを用いたインサート成形品に関する。

従来、合成樹脂成形品の表面を加飾する方法の一つとして、予め加飾された樹脂フィルムを成形型内に配置し、成形型内に合成樹脂を射出することにより、加飾された樹脂フィルムと合成樹脂射出成形体とを一体化する方法(インサート成形)が知られている。また、インサート成形に用いる樹脂フィルムの加飾に紫外線硬化型インクジェットインクを用いることも提案されている(例えば特許文献1〜3)。

紫外線硬化型インクジェットインクを用いて加飾した樹脂フィルムをインサート成形に用いた場合、予備成形時や射出成形加工時に加飾層が延伸に耐えきれずにひび割れるなどの問題があった。それを解決すべく、例えば特許文献4には、N−ビニルカプロラクタムと、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートと、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート及び/又はウレタン(メタ)アクリレートとを含有する紫外線硬化型インクジェットインクを用いて加飾した樹脂フィルムを使用することにより、高画質なインサート成形品が得られることが記載されている。しかしながら、特許文献4の場合、予備成形後に加飾フィルムに割れが生じるなどの不具合が生じやすくなるという問題があった。

特開2003−145573号公報

特開2008−272946号公報

特開2012−153107号公報

特開2008−087248号公報

本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、紫外線硬化型インクジェットインクによって加飾され、インサート成形時に良好な柔軟性を発揮する、インサート成形用加飾フィルムを得ることを目的とするものである。

本発明は、下記(1)〜(5)の実施形態を包含する。 (1)フィルム基材上に紫外線硬化型インクジェットインクにより形成された加飾層を有するインサート成形用加飾フィルムであって、該インサート成形用加飾フィルムの伸び率が、180℃条件下で150%以上、かつ25℃条件下で50%以上である、インサート成形用加飾フィルムである。 (2)前記加飾層に用いる紫外線硬化型インクジェットインクが、ガラス転移温度(Tg)が100℃

(3)前記紫外線硬化型インクジェットインクが、前記100℃

(4)前記ウレタンアクリレートオリゴマーの塗膜弾性率が、25℃条件下で5〜50MPaである、(2)または(3)に記載のインサート成形用加飾フィルムである。 (5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の加飾フィルムと、前記加飾フィルムの一方面に積層一体化された樹脂射出成形体と、を備える加飾インサート成形品である。

本発明によれば、紫外線硬化型インクジェットインクによって加飾され、インサート成形時に良好な柔軟性を発揮する、インサート成形用加飾フィルムを得ることができる。

一実施形態に係る加飾フィルムの断面図である。

該加飾フィルムの予備成形後の断面図である。

該加飾フィルムを用いた射出成形時の断面図である。

一実施形態に係る加飾インサート成形品の断面図である。

本実施形態に係るインサート成形用加飾フィルムは、フィルム基材上に紫外線硬化型インクジェットインクによる加飾層を有し、180℃条件下での伸び率が150%以上、かつ25℃条件下での伸び率が50%以上である。前記伸び率は、好ましくは、180℃条件下で180%以上であり、より好ましくは200%以上である。また、25℃条件下で80%以上であることが好ましく、より好ましくは100%以上である。180℃条件下での伸び率が150%未満であると、絞りの深い金型を使った高温雰囲気下でのインサート成形時(例えば、予備成形時)に加飾層やフィルム基材が延伸に耐えきれずにひび割れるおそれがある。また、25℃条件下での伸び率が50%未満であると、予備成形後やインサート成形後に加飾層やフィルム基材が割れるなどの不具合が生じやすくなるおそれがある。前記伸び率は高いほど好ましいので、上限は特に限定されないが、例えば、180℃条件下では300%以下であってもよく、25℃条件下では200%以下であってもよい。

なお、上記伸び率は、破断時の伸び率であり、短冊状にカットした加飾フィルムをオートグラフにて引張速度200mm/minにて測定することで求めることができる。詳細は、JIS K7127に準じる(試験片タイプ2)。

本実施形態に係るインサート成形用加飾フィルムに用いられるフィルム基材としては特に限定するものではないが、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのポリメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、またはそれらの2種以上のアロイ品などがあげられる。また、それらの積層品でもよい。中でも、インクとフィルム基材との密着性の点で、フィルム基材のインクジェット加飾面はポリカーボネート、ポリメタクリレート、またはそれらのアロイ品が好ましい。当然、フィルム基材自体の伸び率は、180℃条件下での伸び率が150%以上、かつ25℃条件下での伸び率が50%以上であることが望ましい。好ましい範囲も加飾フィルムの伸び率と同様であり、すなわち、フィルム基材自体の伸び率は、180℃条件下で180%以上が好ましく、より好ましくは200%以上であり、25℃条件下で80%以上が好ましく、より好ましくは100%以上である。また、伸び率の上限は特に限定されず、例えば、180℃条件下では300%以下であってもよく、25℃条件下では200%以下であってもよい。なお、フィルム基材自体の伸び率の測定は、上記の加飾フィルムと同じ方法で行うことができる。

インサート成形用加飾フィルムとして上記伸び率を満足させるためには、前記加飾層に用いる紫外線硬化型インクジェットインクに次のものを使用することが好ましい。すなわち、前記加飾層に用いる紫外線硬化型インクジェットインクは、ガラス転移温度(Tg)が100℃

なお、本明細書において、単官能モノマーについてのTgは、当該単官能モノマーの硬化物でのガラス転移温度のことである。詳細には、示差走査熱量測定(DSC)によってTgを測定することが出来る。硬化物は、ベンジルジメチルケタールを単官能モノマーに対して3重量%添加し、メタルハライドランプにてピーク照度800mW/cm2、積算光量1000mJ/cm2の条件にて空気雰囲気下で硬化させて調製する。DSCは、セイコー電子工業(株)製RDC220型示差走査熱量測定装置を用い、窒素気流中、昇温速10℃/minで行い、DSCカーブの変曲点をTgとした。

前記高Tg単官能モノマーのTgは、110〜160℃であることが好ましい。前記高Tg単官能モノマーとしては、上記範囲のTgを有する単官能アクリレートモノマーもしくは単官能アクリルアミドモノマーが好ましい。例えば、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、アダマンチルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、及び、イソプロピルアクリルアミドが挙げられ、これらはいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。中でも、臭気や皮膚刺激性が少ない点で、アクリロイルモルフォリンが好ましい。

前記高Tg単官能モノマーは、紫外線硬化型インクジェットインク中に25〜45質量%含有していることが好ましく、さらに好ましくは35〜45質量%である。含有量が25質量%以上であることにより、180℃条件下での加飾層の伸び率を向上することができる。また、含有量が45質量%以下であることにより、25℃条件下での加飾層の伸び率の低下を抑制して、予備成形後やインサート成形後に加飾層やフィルム基材が割れるなどの不具合を回避することができる。

前記中Tg単官能モノマーのTgは、30〜100℃であることが好ましい。前記中Tg単官能モノマーとしては、上記範囲のTgを有する単官能アクリレートモノマーが好ましい。例えば、イソボルニルアクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキサノールアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、及び、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートなどが挙げられ、これらはいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。中でも、低粘度である点や臭気が少ない点で、イソボルニルアクリレートが好ましい。

前記中Tg単官能モノマーは、紫外線硬化型インクジェットインク中に2〜15質量%含有していることが好ましく、さらに好ましくは2〜10質量%である。含有量が2〜15質量%の範囲内であることにより、180℃条件下での加飾層の伸び率と25℃条件下での加飾層の伸び率の両立が容易となる。

前記低Tg単官能モノマーのTgの下限は、特に限定されず、例えば−60℃以上、より好ましくは−30℃以上であることが好ましい。前記低Tg単官能モノマーとしては、上記範囲のTgを有する単官能アクリレートモノマーが好ましい。例えば、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、及び、1,2−エタンジオール1−アクリラート2−(N−ブチルカルバマート)などが挙げられ、これらはいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。中でも、低粘度で臭気が少なく、反応性が比較的高い点で、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレートが好ましい。

前記低Tg単官能モノマーは、紫外線硬化型インクジェットインク中に25〜45質量%含有していることが好ましく、さらに好ましくは35〜45質量%である。含有量が25質量%以上であることにより、25℃条件下での加飾層の伸び率を向上して、予備成形後やインサート成形後に加飾層やフィルム基材が割れにくくすることができる。また、含有量が45質量%以下であることにより、180℃条件下での加飾層の伸び率の低下を抑えることができる。

前記紫外線硬化型インクジェットインクに用いられるウレタンアクリレートオリゴマーとしては、脂肪族系の2官能ウレタンアクリレートオリゴマーが好ましく用いられる。具体例としては、ダイセル・サイテック(株)製のEB8411、EB8413、KRM7735、荒川化学工業(株)製のビームセット504H、ビームセット505A−6、アルケマ(株)製のCN959、CN966、CN9290などがあげられる。

前記ウレタンアクリレートオリゴマーは、紫外線硬化型インクジェットインク中に5〜15質量%含有していることが好ましく、さらに好ましくは5〜12質量%である。含有量が5質量%以上であることにより、加飾層の強度を向上して、予備成形後やインサート成形後に加飾層やフィルム基材が割れにくくすることができ、また、塗装耐性(耐溶剤性)の低下を抑えることができる。含有量が15質量%を超えると、インク粘度が高くなり、インクジェット加飾装置での吐出が困難になるおそれがある。

また、前記ウレタンアクリレートオリゴマーは、塗膜弾性率が、25℃条件下で5〜50MPaであることが好ましく、さらに好ましくは5〜30MPaである。塗膜弾性率が5MPa以上であることにより、加飾層の強度を向上して、予備成形後やインサート成形後に加飾層やフィルム基材が割れにくくすることができる。また、50MPa以下であることにより、180℃条件下での加飾層の伸び率の低下を抑制することができる。

なお、本明細書において塗膜弾性率とは、前記ウレタンアクリレートオリゴマーを塗膜化した際の塗膜弾性率を意味する。具体的には、ウレタンアクリレートオリゴマー、およびIrgacure 184(BASFジャパン(株)製 光ラジカル重合開始剤)を100:5(質量比)で調合した液を、アプリケータを用いて膜厚125μmにて塗工し、ピーク照度500mW/cm2、積算光量800mJ/cm2照射して塗膜を形成した後、短冊状にカットしたものをオートグラフにて引張速度200mm/minにて弾性率を測定することで求めることができる。弾性率測定の詳細については、JIS K7161に準じる。

本発明においては、上記モノマーおよびオリゴマー以外にも、加飾層の伸び率に影響しない範囲で各種反応性希釈剤を添加することができる。なお、その他の反応性希釈剤として2官能以上の多官能アクリレートを添加する場合には、紫外線硬化型インクジェットインク中に5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。2官能以上の多官能アクリレートは含有量が増えるにつれて加飾層の柔軟性が低下する傾向がある。含有量が5質量%以下であることにより、加飾層の伸び率に対する影響を抑えることができる。

前記紫外線硬化型インクジェットインクに用いられる光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系、チオキサントン系、ベンゾフェノン系、ケタール系、アセトフェノン系があげられ、これらを1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。

前記光重合開始剤の含有量は、紫外線硬化型インクジェットインク全量に対して3〜15質量%であることが好ましく、5〜12質量%であることがより好ましい。含有量が3質量%以上であることにより、重合を進めて、加飾層を十分に硬化させることができる。なお、光重合開始剤の含有量が15質量%を超えてもそれ以上の硬化率や硬化スピードの向上が期待できず、コスト高となる。

前記紫外線硬化型インクジェットインクに用いられる着色剤としては特に限定するものではないが、加飾フィルムに耐候性や耐光性が求められる場合は、顔料を使用することが好ましく、有機、無機を問わず任意のものが選択される。

有機顔料としては、たとえばニトロソ類、染付レーキ類、アゾレーキ類、不溶性アゾ類、モノアゾ類、ジスアゾ類、縮合アゾ類、ベンゾイミダゾロン類、フタロシアニン類、アントラキノン類、ペリレン類、キナクリドン類、ジオキサジン類、イソインドリン類、アゾメチン類、ピロロピロール類などがあげられ、これらはいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。

無機顔料としては、酸化物類、酸化物類、硫化物類、フェロシアン化物類、クロム酸塩類、炭酸塩類、ケイ酸塩類、リン酸塩類、炭素類(カーボンブラック)、金属粉類などがあげられ、これらはいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。

紫外線硬化型インクジェットインク中の着色剤の含有量は0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%であることがより好ましい。着色剤の含有量が0.01質量%未満であると十分な着色が施されないおそれがある。一方、10質量%を超えると、インクジェット加飾時に吐出不良となるおそれや、インクの硬化不良が発生するおそれがある。

また、耐候性や耐光性をあまり重視しない場合には染料を利用することも可能であり、その際の染料は特に限定されず任意のものが選択される。

染料としては、例えば、アゾ類、アントラキノン類、インジゴイド類、フタロシアニン類、カルボニウム類、キノンイミン類、メチン類、キサンテン類、ニトロ類、ニトロソ類のような油溶性染料、分散染料、酸性染料、反応染料、カチオン染料、直接染料などがあげられる。

また、前記紫外線硬化型インクジェットインクには、必要に応じて、分散剤を添加してもよい。

分散剤としては、高分子タイプのものが好ましく、さらには、末端に酸性吸着基や塩基性吸着基を持つものが好ましい。分散剤の添加量は、添加する着色剤の質量に対して0.01〜1%であることが好ましく、0.1〜0.5%であることがより好ましい。0.01%未満では十分な分散効果が得られないおそれがある。一方、1%を超えるとインクの粘度が上昇して、インクジェット加飾時に吐出不良となるおそれがある。

その他、前記紫外線硬化型インクジェットインクには、添加剤として、例えば光安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、酸化防止剤、防腐剤、pH調整剤、消泡剤、浸透剤、スリップ剤などを添加することも可能である。また、光ラジカル重合開始剤の開始反応を促進させるために増感剤などの助剤を併用することも可能である。

前記紫外線硬化型インクジェットインクは、60℃条件下における粘度が5〜20cps(センチポアズ)、即ち5〜20mPa・sであることが好ましく、さらには10〜15cpsであることが好ましい。粘度が5cps未満または20cpsを超えると、インクジェット加飾時に吐出不良となるおそれがある。

前記紫外線硬化型インクジェットインクは、公知のインクジェット加飾装置にて付与することができる。インクジェット加飾装置としては、荷電変調方式、マイクロドット方式、帯電噴射制御方式、インクミスト方式等の連続方式、ピエゾ方式、バブルジェット(登録商標)方式、静電吸引方式等のオンデマンド方式などがあげられ、いずれも採用可能である。

インク付与量は1〜150g/m2であることが好ましく、5〜100g/m2であることがより好ましい。1g/m2以上であることにより、十分な着色表現が可能となり、また、150g/m2以下であることにより、加飾フィルムの成形性の悪化を抑えることができる。

また、前記紫外線硬化型インクジェットインクの硬化条件等についても、公知技術から適宜選定すればよい。

必要に応じて、紫外線硬化型インクジェットインク層の上部からさらなる機能性や意匠性、接着性を付与するために、伸び性に影響を与えない範囲で塗装層を有しても構わない。塗装方法や塗料は公知技術から適宜選定すればよい。

図1は、一実施形態に係る加飾フィルム(1)の断面構造を模式的に示したものである。該加飾フィルム(1)は、フィルム基材(2)の一方面に、紫外線硬化型インクジェットインクからなる加飾層(3)を備える。図示しないが、加飾層(3)の上に、保護層などの合成樹脂層を設けてもよく、また、加飾層(3)と基材フィルム(2)の間にベース層などの合成樹脂層を設けてもよく、更に、基材フィルム(1)の裏面に接着層などの合成樹脂層を設けてもよい。図1では、加飾層(3)を、フィルム基材(2)の一方面の全体に連続した層として示したが、加飾層(3)は、不連続層として、フィルム基材(2)の一方面に部分的に設けてもよい。

加飾フィルムを用いたインサート成形は、公知のインサート成形方法により行うことができる。好ましくは、第1工程として、真空成形加工または圧空成形加工にてあらかじめ予備成形し、その後の第2工程において、予備成形した加飾フィルムを用いた射出成形を行うことである。

予備成形とは、射出成形する前に、最終品に近い形状に加飾フィルムを成形することであり、予備賦形とも称される。図2は、予備成形した加飾フィルム(1)の一例を示したものである。加飾フィルムを予備成形において真空成形加工又は圧空成形する装置としては、公知の装置を使用することができ、前記インクジェット加飾装置と一体の装置であっても、別の装置であってもよい。このように一実施形態において、真空成形加工又は圧空成形加工を行うが、真空圧空成形加工はこれらに含まれるものである。

ここで、真空成形は、加飾フィルムを予め熱変形可能な温度まで予熱し、これを金型へ減圧によって吸引して延伸しながら金型に圧着冷却し成形する方法である。圧空成形は、加飾フィルムを予め熱変形可能な温度まで予熱し、金型の反対側から加圧して金型に圧着冷却し成形する方法である。真空圧空成形は、前記減圧及び加圧を同時に行い成形する方法である。

インサート成形における射出成形は、公知の成形機を用いて行うことができる。例えば、図3に示すように、予備成形した加飾フィルム(1)を射出成形型(10)内に配置して、成形型(10)を閉じた後、ゲート部(11)を通じて溶融した合成樹脂をキャビティ内に射出する。これにより、加飾フィルム(1)の一方面に樹脂射出成形体を積層一体化することができる。

図4は、このようにして得られる加飾インサート成形品(5)の一例を示したものである。該加飾インサート成形品(5)は、加飾フィルム(1)と、その一方面に積層一体化された樹脂射出成形体(6)と、を備える。この例では、加飾層(3)が成形品のオモテ側となるように、基材フィルム(2)のオモテ面に加飾層(3)を設け、基材フィルム(2)のウラ面に樹脂射出成形体(6)を設けている。これとは逆に、基材フィルム(2)が成形品のオモテ側となるように、加飾フィルム(1)における加飾層(3)が設けられた側の面に樹脂射出成形体(6)を積層一体化してもよい。

加飾インサート成形品の用途としては、特に限定されず、例えば、家電製品や通信機器などの各種電化製品の筺体の一部を構成するものとして、また自動車などの車両の内装部品として用いることができる。

以下、実施例をあげて説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

[実施例1] まず、下記処方に従い、各材料をミキサーにて混合後、ビーズミルにて3分間分散を実施し、ろ過することにより、紫外線硬化型インクジェットインクを得た。 <紫外線硬化型インクジェットインク処方> MEDOL−10 42質量% (大阪有機化学工業(株)製(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート;低Tg単官能モノマー) ACMO 35質量% (興人(株)製アクリロイルモルフォリン;高Tg単官能モノマー) IBXA 4.5質量% (共栄社化学(株)製 イソボルニルアクリレート;中Tg単官能モノマー) IRGALITE BLUE GLNF 2質量% (チバスペシャルティケミカルズ(株)製 顔料 銅フタロシアニン) フローレンDOPA−33 1質量% (共栄社化学(株)製 分散剤 変性アクリル系共重合物) Ebecryl8411 7質量% (ダイセルサイテック(株)製 脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー) Irgcure184 5質量% (BASFジャパン(株)製 光ラジカル重合開始剤 1−ヒドロキシ−シクロへキシル−フェニル−ケトン) LucirinTPO 3質量% (BASFジャパン(株)製 光ラジカル重合開始剤 2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド) BYK−UV3570 0.5質量% (ビックケミー・ジャパン(株)製 スリップ剤 アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン)

<粘度測定方法> 本実施例における粘度測定は、B型粘度計:Viscoblock Model VTB−250(東機産業(株)製)を用い、60℃条件下で、ローターの回転数60rpmで粘度測定を行った。

ポリカーボネートフィルム(ユーピロンNF−2000 三菱ガス化学(株)製、厚み:0.5mm、180℃条件下での伸び率:240%、25℃条件下での伸び率:120%)に対し、紫外線硬化型インクジェットインクを、インクジェット加飾装置を用いて付与した。紫外線硬化型インクジェットインクの付与条件および硬化条件については、次のように設定した。 <付与条件> ヘッド加熱温度 60℃ ノズル径 70μm 印加電圧 50V パルス幅 20μs 駆動周波数 5kHz 解像度 360×720dpi インク付与量 50g/m2 柄 5mm×5mm格子柄 <硬化条件> ランプ種類 メタルハライドランプ 出 80W/cm 照射時間 0.3秒×4回照射 照射高さ 10mm このときピーク照度800mW/cm2、積算光量1000mJ/cm2であった。

以上の工程により、実施例1の加飾フィルムを得た。得られた加飾フィルムの各温度条件下における伸び率を表1に記載する。

実施例2〜6および比較例1〜3については、表1に示すインク処方に基づいた紫外線硬化型インクジェットインクを使用した以外は、実施例1と同様にして、各加飾フィルムを得た。

表1中の「KRM7735」、「EB8804」、「M−140」、「V#150」、「FA−511AS」及び「SR217」の詳細は以下の通りである。 ・KRM7735:ダイセルサイテック(株)製 脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー ・EB8804:ダイセルサイテック(株)製 脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー ・M−140:東亜合成(株)製 N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド ・V#150:大阪有機化学工業(株)製 テトラヒドロフルフリルアクリレート ・FA−511AS:日立化成工業(株)製 ジシクロペンテニルアクリレート ・SR217:アルケマ(株)製 4−tert−ブチルシクロヘキサノールアクリレート

[評価:予備成形時の柔軟性] 実施例および比較例の加飾フィルムについて、下記方法により真空成形にて予備成形を実施した。真空成形装置フォーミング300X(成光産業(株)製)を用い真空成形を行った。加飾フィルム表面の温度が180℃になるようにヒーターの温度を設定し、真空テーブルの中心に縦6cm×横10cm×高さ6cmの金属型を設置し真空成形を行った。その後、成形品の加飾層およびフィルム基材の状態を目視で確認し、下記基準に基づいて評価した。 ○:加飾層、フィルム基材ともに割れなどの不具合が認められない △:加飾層、フィルム基材のいずれか一方に割れなどの不具合が認められる ×:加飾層、フィルム基材ともに割れなどの不具合が認められる

[評価:予備成形後の柔軟性] 予備成形時評価で記載した内容と同じ条件で真空成形した後の加飾フィルムに対し、下記方法により柔軟性を評価した。 JIS K5600 5−1に従い、円筒形マンドレル法による耐屈曲性試験を実施した。マンドレルの直径は5mmとした。その後、成形品の加飾層およびフィルム基材の状態を目視で確認し、下記基準に基づいて評価した。下記評価項目における「不具合」は、耐屈曲性試験で発生した不具合であり、予備成形時に生じた不具合は除いて評価した。 (評価項目) ○:180°折り曲げても、加飾フィルムに割れなどの不具合が認められない △:90°折り曲げても、加飾フィルムに割れなどの不具合が認められないが、180°折り曲げると不具合が見られる。 ×:90°折り曲げると、加飾フィルムに割れなどの不具合が認められる。

表1に示すように、実施例1〜6の加飾フィルムは、いずれも予備成形時の柔軟性、予備成形後の柔軟性ともに優れるものであった。そのため、実施例1〜6の加飾フィルムは、インサート成形時の柔軟性とインサート成形後の柔軟性がともに優れるものである。

一方、比較例1の加飾フィルムは、予備成形後の柔軟性は優れているものの、予備成形時に加飾層がフィルム基材に追従せず、加飾層に割れが発生していた。

また、比較例2の加飾フィルムは、予備成形時の柔軟性は良好であったが、予備成形後の柔軟性に劣るものであった。

また、比較例3の加飾フィルムは、予備成形時の柔軟性に劣るものであった。

本発明に係る加飾フィルムは、各種の合成樹脂成形品の表面を加飾するためのフィルムとして好適に用いることができる。

1…加飾フィルム、2…フィルム基材、3…加飾層、5…加飾インサート成形品、6…樹脂射出成形体

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