埋め込み用体積ホログラムシート、偽造防止用紙およびカード

申请号 JP2011515624 申请日 2011-01-18 公开(公告)号 JPWO2011090030A1 公开(公告)日 2013-05-23
申请人 大日本印刷株式会社; 发明人 伸子 老川; 伸子 老川; 実 阿座上; 実 阿座上;
摘要 本発明は、 薄膜 で、加熱条件下であっても、加工時に引っ張り応 力 や剪断応力または圧縮応力などの機械的ストレスに対する十分な耐性を有する埋め込み用体積ホログラムシート、これを用いた偽造防止用紙およびカードを提供することを主目的とする。本発明は、体積ホログラム層と、上記体積ホログラム層のいずれか一方の表面のみに接着手段を用いて配置された基材とを有し、上記体積ホログラム層および上記基材の剥離強度が25gf/25mm以上であることを特徴とする埋め込み用体積ホログラムシートを提供することにより、上記目的を達成する。
权利要求
  • 体積ホログラム層と、
    前記体積ホログラム層のいずれか一方の表面のみに接着手段を用いて配置された基材とを有し、
    前記体積ホログラム層および前記基材の剥離強度が25gf/25mm以上であることを特徴とする埋め込み用体積ホログラムシート。
  • 前記体積ホログラム層に用いられている樹脂材料の主成分が、アクリル系の樹脂材料であり、かつ、前記基材が、ポリエステル系樹脂からなることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の埋め込み用体積ホログラムシート。
  • 前記接着手段が、接着剤層であり、前記接着剤層に用いられる接着剤が、硬化性の接着剤であることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の埋め込み用体積ホログラムシート。
  • 前記接着手段が、易接着処理であり、前記易接着処理が、プライマー剤を用いた化学的処理であることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の埋め込み用体積ホログラムシート。
  • スレッド用体積ホログラムシートであることを特徴とする請求の範囲第1項から第4項までのいずれかに記載の埋め込み用体積ホログラムシート。
  • カード用体積ホログラムシートであることを特徴とする請求の範囲第1項から第4項までのいずれかに記載の埋め込み用体積ホログラムシート。
  • 請求の範囲第1項から第4項までのいずれかに記載の埋め込み用体積ホログラムシートが用いられたことを特徴とする偽造防止用紙。
  • 2枚のシートの間に、請求の範囲第1項から第4項までのいずれかに記載の埋め込み用体積ホログラムシートが配置されていることを特徴とするカード。
  • 说明书全文

    本発明は、偽装防止用紙やカード等に用いられる埋め込み用体積ホログラムシートに関するものである。

    ホログラムは、波長の等しい二つの光(物体光と参照光)を干渉させることによって、物体光の波面が干渉縞として感光材料に記録されたものであり、干渉縞記録時の参照光と同一波長の光が当てられると干渉縞によって回折現象が生じ、元の物体光と同一の波面が再生できるものである。 このようなホログラムは、外観が美しく、複製が困難である等の利点を有することから、セキュリティ用途等に多く使用されている。 なかでもクレジットカードや、キャッシュカード等に代表されるプラスチックカードにおいては、主として複製防止および意匠性付与の観点からホログラム付カードが広く用いられるに至っている。

    ホログラムは、干渉縞の記録形態によっていくつかの種類に分類することができるが、表面レリーフホログラムと体積ホログラムとが代表的である。 ここで、表面レリーフホログラムは、ホログラム層の表面に微細な凹凸パターンが賦型されることによりホログラム像が記録されたものである。 一方、上記体積ホログラムは光の干渉によって生じる干渉縞が、屈折率の異なる縞として厚み方向に三次元的に設けられることによってホログラム像が記録されたものである。 このうち、上記体積ホログラムは材料の屈折率差によってホログラム像が記録されたものであるため、上記表面レリーフホログラムに比べて複製することが困難であるという利点を有することから、有価証券やカード類の偽造防止手段としての用途が期待されている。

    上記ホログラムを偽造防止手段や意匠性向上手段に用いる例は数多く知られているが、その中の一つに各種紙媒体に用いられるスレッドホログラムがある。

    上記スレッドホログラムは、有価証券等の財産的価値を有する紙媒体の偽造を防止することを目的として、上記紙媒体の一部に形成されるものである。 このようなスレッドホログラムは上記紙媒体の一部のみに形成されることにより、高い偽造防止効果を発揮でき、かつ、紙媒体に意匠性を付与できることから、現在、表面レリーフホログラムについては、種々の紙媒体に広く用いられるに至っている。 また、ホログラムを体積ホログラムにすることで、さらに偽造防止性能を高めることができる。

    上記スレッドホログラムが形成された紙媒体は、通常、紙媒体を製紙する際に、スレッド用ホログラムシートを紙媒体中に漉き込むことにより製造される。 ここで、スレッド用ホログラムシートを紙媒体中に漉き込む工程(以下、漉き込み工程と称する場合がある。)においては、通常、加熱条件下で、上記スレッド用ホログラムシートを機械的に引き伸ばすことにより紙媒体に漉き込むことから、上記スレッド用ホログラムシートは、上記漉き込み工程に耐え得るために、加熱条件下における引っ張り応や剪断応力に対する機械的強度が高い、すなわち引っ張り応力や剪断応力などの機械的ストレスに対する耐性が高い必要がある。

    ここで、特許文献1には、体積ホログラムのスレッド用ホログラムシートとして、スレッド用体積ホログラムシートの層構成を、第1保護層/体積ホログラム層/第2保護層とすることにより、加熱条件下における高い耐久性を付与することができることが開示されている。 しかしながら、特許文献1におけるスレッド用体積ホログラムシートは加熱条件下でのある程度の引っ張り応力や剪断応力などの機械的ストレスに対する耐性は有するものの、保護層を2層必要とすることから、膜厚の大きなものとなるため、上記スレッド用体積ホログラムシートが漉き込まれた紙媒体は表面に凹凸を有し、表面が平滑な紙媒体を得ることが困難であるといった問題があった。
    そこで、加熱条件下における引っ張り応力や剪断応力などの機械的ストレスに対する耐性に優れた薄膜なスレッド用体積ホログラムシートが要望されている。

    また、上記ホログラムを偽造防止手段や意匠性向上手段に用いる他の例として、上述のようなホログラム付カードが知られている。

    ホログラムをカードに付与する方法としては、例えば、ホログラムシールを貼付する方法、ホログラム転写箔からホログラムを転写する方法、ホログラムを外部から視認可能なようにカード媒体中に埋め込む方法等が挙げられる。
    ホログラムシールを貼付する方法やホログラムを転写する方法は、簡便な方法であるが、ホログラムが剥がされて転用されるおそれがある。 特に、体積ホログラムは、屈折率差が三次元的に配列されることによってホログラム像が記録されるものであるという性質上、表面レリーフホログラムと比較して厚くなる傾向にある。 そのため、体積ホログラムの厚みによってカード表面に段差が生じ、意匠性が損なわれるとともに、ホログラムの剥離を容易とし偽造を誘引する可能性がある。
    一方、ホログラムをカード媒体中に埋め込む方法の場合、ホログラムの剥離が困難であり、偽造を防ぐことができる。 例えば特許文献2には、コアシートとオーバーシートとの間にホログラムが配置されたカードが開示されている。 このようなカードにおいては、オーバーシートがホログラムよりも厚いため、上記のような体積ホログラムの厚みによる段差に起因する不具合を改善することができる。

    ホログラムをカード媒体中に埋め込む際には、例えば特許文献2に記載されているように、加熱条件下で、ホログラムが配置されたコアシートとオーバーシートとをプレスラミネートして積層一体化する。 このとき、ホログラムが基材上にホログラム層が形成されたものである場合には、熱圧着時に、ホログラムに内包されている空気が抜けて基材とホログラム層との層間で発泡が起こり、ホログラム層が剥離するという問題がある。 また、熱圧着時に、基材とホログラム層とにズレが生じるという問題もある。 そのため、ホログラムは、このような工程に耐え得るために加熱条件下における圧縮応力などの機械的ストレスに対する耐性が高い必要がある。

    このように、紙媒体中に漉き込む場合またはカード媒体中に埋め込む場合に用いられる埋め込み用ホログラムシートには、所定の加熱条件下における機械的ストレスに対する耐性に優れることが望まれている。

    特開2007−108253号公報

    特開2002−307879号公報

    本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、薄膜で、加熱条件下であっても、加工時に機械的ストレスに対する十分な耐性を有する埋め込み用体積ホログラムシート、これを用いた偽造防止用紙およびカードを提供することを主目的とする。

    本発明者らは、上述した加熱条件下での紙媒体への漉き込みに使用可能な薄膜のスレッド用体積ホログラムシートを得るために、体積ホログラム層および上記体積ホログラム層のいずれか一方の表面のみに配置された基材といった層構成の体積ホログラムシートに、上述した加熱条件下における加工時に十分な引っ張り応力や剪断応力などの機械的ストレスに対する耐性を付与することを試みた。 また、本発明者らは、上述した加熱条件下でのカード媒体への埋め込みに使用可能な薄膜のカード用体積ホログラムシートを得るために、体積ホログラムシートに、上述した加熱条件下における加工時に圧縮応力などの機械的ストレスに対する十分な耐性を付与することを試みた。 そして、鋭意研究の結果、上記体積ホログラム層および基材の剥離強度を25gf/25mm以上とすることにより、上述した加熱条件下であっても加工時に引っ張り応力や剪断応力または圧縮応力等の応力などの機械的ストレスに対する十分な耐性を示すことを見出し、本発明を完成させるに至ったのである。

    すなわち、本発明は、体積ホログラム層と、上記体積ホログラム層のいずれか一方の表面のみに接着手段を用いて配置された基材とを有し、上記体積ホログラム層および上記基材の剥離強度が25gf/25mm以上であることを特徴とする埋め込み用体積ホログラムシートを提供する。

    本発明によれば、上記体積ホログラム層および上記基材の剥離強度が25gf/25mm以上であることから、加熱条件下において、埋め込み用体積ホログラムシートを用いて偽造防止用紙やカード等を製造するに際して、体積ホログラム層の剥離、体積ホログラム層と基材の層間での発泡、体積ホログラム層と基材のズレ等の問題が生じない程度の引っ張り応力や剪断応力または圧縮応力等の応力などの機械的ストレスに対する耐性を有する埋め込み用体積ホログラムシートとすることができる。 また、上記埋め込み用体積ホログラムシートを薄膜なものとすることができることから、上記漉き込み工程で紙媒体に漉き込んだ場合やカード媒体に埋め込んだ場合であっても、紙媒体やカードの表面を平滑なものとすることができる。

    本発明においては、上記体積ホログラム層に用いられている樹脂材料の主成分が、アクリル系の樹脂材料であり、かつ、上記基材が、ポリエステル系樹脂からなることが好ましい。 上記樹脂材料を主成分とした体積ホログラム層および上記樹脂からなる基材を用いることにより、加熱条件下において偽造防止用紙やカード等を製造するに際して引っ張り応力や剪断応力または圧縮応力等の応力に対する好適な機械的強度を付与することができる。

    本発明においては、上記接着手段が、接着剤層であり、上記接着剤層に用いられる接着剤が、硬化性の接着剤であることが好ましい。 上記接着剤層に硬化性の接着剤を用いることにより、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートに、加熱条件下において偽造防止用紙やカード等を製造するに際して引っ張り応力や剪断応力または圧縮応力等の応力などの機械的ストレスに対する好適な耐性を付与することができる。

    本発明においては、上記接着手段が、易接着処理であり、上記易接着処理が、プライマー剤を用いた化学的処理であることが好ましい。 上記プライマー剤を用いた化学的処理を行うことにより、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートに、加熱条件下において偽造防止用紙やカード等を製造するに際して引っ張り応力や剪断応力または圧縮応力等の応力などの機械的ストレスに対する好適な耐性を付与することができる。

    本発明の埋め込み用体積ホログラムシートは、スレッド用体積ホログラムシートであることが好ましい。 本発明によれば、体積ホログラム層および基材の剥離強度が25gf/25mm以上であることから、加熱条件下において、スレッド用体積ホログラムシートを用いて偽造防止用紙等を製造するに際して、体積ホログラム層の剥離等の問題が生じない程度の引っ張り応力や剪断応力に対する機械的強度を有するスレッド用体積ホログラムシートとすることができる。 また、スレッド用体積ホログラムシートを薄膜なものとすることができることから、上記漉き込み工程で紙媒体に漉き込んだ場合であっても、紙媒体の表面を平滑なものとすることができる。

    また、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートは、カード用体積ホログラムシートであることも好ましい。 本発明によれば、上記体積ホログラム層および上記基材の剥離強度が25gf/25mm以上であることから、加熱条件下において、カード用体積ホログラムシートを用いてカードを製造するに際して、体積ホログラム層と基材の層間での発泡、体積ホログラム層と基材のズレ等の問題が生じない程度の圧縮応力などの機械的ストレスに対する耐性を有するカード用体積ホログラムシートとすることができる。

    本発明は、上述した埋め込み用体積ホログラムシートを用いたことを特徴とする偽造防止用紙を提供する。
    また、本発明は、2枚のシートの間に、上述した埋め込み用体積ホログラムシートが配置されていることを特徴とするカードを提供する。
    本発明によれば、上述した埋め込み用体積ホログラムシートが用いられていることから、製造に際しての問題がなく、かつ、高い偽造防止効果を発揮することが可能である。

    本発明においては、体積ホログラム層および基材の剥離強度を25gf/25mm以上とすることにより、薄膜で、加熱条件下で加工を行った際にも引っ張り応力や剪断応力または圧縮応力等の応力などの機械的ストレスに対する十分な耐性を有する埋め込み用体積ホログラムシートを提供することができる。

    本発明の埋め込み用体積ホログラムシートの一例を示す概略断面図である。

    本発明の埋め込み用体積ホログラムシートの他の例を示す概略断面図である。

    本発明の埋め込み用体積ホログラムシートの他の例を示す概略断面図である。

    本発明の埋め込み用体積ホログラムシートの他の例を示す概略断面図である。

    本発明のカードの一例を示す模式図である。

    本発明のカードの他の例を示す概略断面図である。

    以下、本発明の埋め込み用体積ホログラムシート、偽造防止用紙およびカードについてそれぞれ説明する。

    A. 埋め込み用体積ホログラムシート 本発明の埋め込み用体積ホログラムシートは、体積ホログラム層と、上記体積ホログラム層のいずれか一方の表面のみに接着手段を用いて配置された基材とを有し、上記体積ホログラム層および上記基材の剥離強度が25gf/25mm以上であることを特徴とするものである。

    ここで、本発明における剥離強度は、JIS Z0237の180度引き剥がし法に準じて測定される値である。 用いる引張試験機は、例えばインストロン5565型材料試験機などである。 試験片は、ホログラムシートを幅25mm、長さ150mmに切断し、体積ホログラム層側に同サイズの両面テープを貼り合わせ、それをさらに固定するためのSUS板に貼り合わせて基材フィルムを毎分300mmの速さで引き剥がし、安定に剥離が行われている状態の引張荷重(gf)を25mm幅における剥離強度として測定する。 また、幅25mm未満のサンプルについては、その幅をa mmとすると、a mm幅で同様に測定した剥離強度に25/aを乗じた値を幅25mmにおける剥離強度とみなす。

    次に、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートについて図面を用いて説明する。 図1は、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートの一例を示す概略断面図である。 図1に示すように、本発明の埋め込み用体積ホログラムシート10は、体積ホログラム層1と、体積ホログラム層1のいずれか一方の表面のみに接着剤層3を用いて配置された基材2とを有するものである。
    また、本発明においては、図1に示すように、接着手段として接着剤層3を用いる代わりに、図2に示すように、基材2の表面に易接着処理aを施すことにより、体積ホログラム層1および基材2が接着されて配置されていてもよい。 また、本発明は、接着手段として接着剤層3を用いた場合、および易接着処理aを用いた場合のいずれも、体積ホログラム層1および基材2の剥離強度が25gf/25mm以上であることを特徴とするものである。

    ここで、埋め込み用体積ホログラムシート(スレッド用体積ホログラムシート)を用いて、偽造防止用紙等を製造するに際しては、加熱条件下で、上記スレッド用体積ホログラムシートを機械的に引き伸ばすことにより紙媒体に漉き込むことから、上記工程に耐え得る程度の、加熱条件下における引っ張り応力や剪断応力などの機械的ストレスに対する耐性が必要となる。 従来から提案されている第1保護層/体積ホログラム層/第2保護層の層構成を有するスレッド用体積ホログラムシートにおいては、ある程度の加熱条件下における引っ張り応力や剪断応力などの機械的ストレスに対する耐性は有するものの、保護層を2層必要とすることから、膜厚の大きなものとなるため、上記スレッド用体積ホログラムシートが漉き込まれた紙媒体は表面に凹凸を有し、表面が平滑な紙媒体を得ることが困難であるといった問題があった。

    また、埋め込み用体積ホログラムシート(カード用体積ホログラムシート)をカード媒体中に埋め込む際には、加熱条件下で、カード媒体と体積ホログラムシートとを圧着することから、体積ホログラムシートには、このような工程に耐え得る程度の、加熱条件下における圧縮応力などの機械的ストレスに対する耐性が必要となる。

    このように、スレッド用体積ホログラムシートやカード用体積ホログラムシート等の埋め込み用体積ホログラムシートには、加熱条件下における機械的ストレスに対する耐性に優れることが望まれている。

    そこで、本発明者らは、体積ホログラム層および上記体積ホログラム層のいずれか一方の表面のみに配置された基材といった層構成の体積ホログラムシートをスレッド用体積ホログラムシートやカード用体積ホログラムシートに用いることを試みた。
    しかしながら、上記の層構成の体積ホログラムシートを実際に紙媒体に漉き込んだ場合は、上記体積ホログラムシートから体積ホログラム層が剥離してしまうことや、体積ホログラム層が剥離してしまうことによって体積ホログラムシートが加工に耐え得る程度の加熱条件下における引っ張り応力や剪断応力などの機械的ストレスに対する耐性を有さないことが分かった。 この問題を解決するため、本発明者らは、鋭意検討の結果、上述した剥離強度の測定方法において、上記層構成の体積ホログラムシートの体積ホログラム層および基材の剥離強度が25gf/25mm以上であれば、加熱条件下において、上記層構成の体積ホログラムシートを用いて偽造防止用紙等を製造した場合に体積ホログラム層の剥離等の問題が生じないことを見出した。
    また、上記の層構成の体積ホログラムシートを実際にカード媒体中に埋め込んだ場合は、基材とホログラム層との層間で発泡が生じて体積ホログラムシートから体積ホログラム層が剥離すること、基材とホログラム層とにズレが生じること、基材と体積ホログラム層との層間での発泡や基材とホログラム層とのズレによって体積ホログラムシートが加工に耐え得る程度の加熱条件下における圧縮応力などの機械的ストレスに対する耐性を有さないことが分かった。 この問題を解決するため、本発明者らは、鋭意検討の結果、上述した剥離強度の測定方法において、上記層構成の体積ホログラムシートの体積ホログラム層および基材の剥離強度が25gf/25mm以上であれば、加熱条件下において、上記層構成の体積ホログラムシートを用いてカードを製造した場合にも、基材および体積ホログラム層の層間での発泡や基材および体積ホログラム層のズレ等の問題が生じないことを見出した。
    本発明者らはこのような知見に基づいて、本発明を完成させるに至ったのである。

    本発明によれば、上記体積ホログラム層および基材の剥離強度が25gf/25mm以上であることにより、上記体積ホログラム層のいずれか一方のみに接着手段を用いて基材が配置されているという構成であっても、埋め込み用体積ホログラムシート(スレッド用体積ホログラムシート)を用いて偽造防止用紙等を製造するに際して、体積ホログラム層の剥離等の問題が生じない程度の、加熱条件下における引っ張り応力や剪断応力などの機械的ストレスに対する耐性を有する埋め込み用体積ホログラムシート(スレッド用体積ホログラムシート)とすることが可能となる。
    また、本発明の埋め込み用体積ホログラムシート(スレッド用体積ホログラムシート)は、体積ホログラム層のいずれか一方のみに、接着手段を用いて基材が配置されている構成を有することから、埋め込み用体積ホログラムシート(スレッド用体積ホログラムシート)を薄膜なものとすることができるため、漉き込み工程で紙媒体に漉き込んだ場合に、紙媒体の表面を平滑なものとすることが可能である。

    また本発明によれば、上記体積ホログラム層および基材の剥離強度が25gf/25mm以上であることにより、上記体積ホログラム層のいずれか一方のみに接着手段を用いて基材が配置されているという構成であっても、埋め込み用体積ホログラムシートを用いてカードを製造するに際して、体積ホログラム層と基材の層間での発泡や体積ホログラム層と基材のズレ等の問題が生じない程度の、加熱条件下における圧縮応力などの機械的ストレスに対する耐性を有する埋め込み用体積ホログラムシートとすることが可能となる。
    また、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートは、体積ホログラム層のいずれか一方のみに、接着手段を用いて基材が配置されている構成を有することから、埋め込み用体積ホログラムシートを薄膜なものとすることができるため、カード媒体中に埋め込んだ場合に、カードの表面を平滑なものとすることが可能である。

    ここで、本発明における「埋め込み用体積ホログラムシート」とは、ホログラムを媒体中に埋め込む場合に用いられる体積ホログラムシートをいう。 例えば、ホログラムを紙媒体中に漉き込む場合に用いられるスレッド用体積ホログラムシートや、ホログラムをプラスチックカード媒体中に埋め込む場合に用いられるカード用体積ホログラムシートが含まれる。

    本発明における「加熱条件下における引っ張り応力や剪断応力に対する機械的強度」とは、本発明の埋め込み用体積ホログラムシート(スレッド用体積ホログラムシート)を紙媒体に漉き込む際にかかる引っ張り応力や剪断応力により、上記スレッド用体積ホログラムシートの基材および体積ホログラム層のいずれもが破断等を起こさない程度の強度を示すものである。 本発明において、「加熱条件下における引っ張り応力や剪断応力に対する機械的強度」を有することは、すなわち、「加熱条件下における引っ張り応力や剪断応力などの機械的ストレスに対する耐性」を有することである。
    「加熱条件下における引っ張り応力や剪断応力などの機械的ストレスに対する耐性」とは、本発明の埋め込み用体積ホログラムシート(スレッド用体積ホログラムシート)を紙媒体に漉き込む際にかかる引っ張り応力や剪断応力により、上記スレッド用体積ホログラムシートの基材と体積ホログラム層の間で剥離が起こらず、それに起因する各層の破断やヨレやシワ等を起こさない性質を示すものである。
    また、本発明における「加熱条件下における圧縮応力などの機械的ストレスに対する耐性」とは、本発明の埋め込み用体積ホログラムシート(カード用体積ホログラムシート)をカード媒体中に埋め込む際にかかる圧縮応力により、体積ホログラム層と基材の層間での発泡や体積ホログラム層と基材のズレ等を起こさない性質を示すものである。
    なお、以下、「引っ張り応力や剪断応力などの機械的ストレスに対する耐性」および「圧縮応力などの機械的ストレスに対する耐性」を単に機械的ストレスに対する耐性と称する場合がある。

    また、上記「加熱条件」とは、具体的には、本発明の埋め込み用体積ホログラムシート(スレッド用体積ホログラムシート)を紙媒体に漉き込む際の加熱条件、および、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートをカード媒体中に埋め込む際の加熱条件を指す。 本発明の埋め込み用体積ホログラムシートを紙媒体に漉き込む際の加熱条件とは、具体的には、90℃〜110℃の範囲内の温度条件であることを指す。 また、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートをカード媒体中に埋め込む際の加熱条件とは、具体的には、120℃〜180℃の範囲内の温度条件であることを指す。

    また本発明においては、埋め込み用体積ホログラムシートが加熱条件下における加工時に十分な機械的ストレスに対する耐性を有するための条件として、上記体積ホログラム層および基材の剥離強度が25gf/25mm以上である点を見出したことから、上記の条件を用いることにより、埋め込み用体積ホログラムシートの製造前の設計や、製造後の検査を有効に行うことが可能となるといった効果も奏する。

    具体的には、埋め込み用体積ホログラムシートを製造する場合には、上記体積ホログラム層および基材の剥離強度が上記範囲となるように、各部材に用いられる材料の処方を調整したり、各部材の組み合わせ等を設計して製造することが可能となる。
    また、製造された埋め込み用体積ホログラムシートについては、上記体積ホログラム層および基材の剥離強度を調べることにより、使用可能か否かの検査を行うことが可能となる。

    以下、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートに用いられる各構成についてそれぞれ説明する。

    1. 体積ホログラム層 まず、本発明における体積ホログラム層について説明する。 本発明に用いられる体積ホログラム層は、体積ホログラムの原理により屈折率差が記録され、これにより光像を発現する機能を有するものである。
    また、本発明に用いられる体積ホログラム層は、いずれか一方の表面に接着手段を用いて基材が配置されている構成を有するものである。

    (1)構成材料 まず、本発明における体積ホログラム層に用いられる構成材料について説明する。
    本発明に用いられる体積ホログラム層を構成する材料としては、体積ホログラムを記録することができ、かつ、上記体積ホログラム層のいずれか一方の表面のみに接着手段を用いて基材を配置することができ、上記体積ホログラム層および基材の剥離強度を所定の値とすることができるのであれば特に限定されるものではなく、一般的な体積ホログラム層に用いられる材料を任意に用いることができる。 このような材料としては、例えば、銀塩材料、重クロム酸ゼラチン乳剤、光重合性樹脂、光架橋性樹脂等の公知の体積ホログラム記録材料が挙げることできるが、なかでも本発明においては、(a)樹脂材料、光重合可能な化合物、光重合開始剤および増感色素を含有する第1の感光材料、または、(b)カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系および光カチオン重合開始剤系を含有する第2の感光材料を好適に用いることができる。
    以下、このような第1の感光材料および第2の感光材料について順に説明する。

    (a)第1の感光材料 まず、上記第1の感光材料について説明する。 上述したように第1の感光材料は樹脂材料、光重合可能な化合物、光重合開始剤および増感色素を含有するものである。

    (i)樹脂材料 本発明に用いられる樹脂材料としては、上記体積ホログラム層および後述する基材の剥離強度が25gf/25mm以上となるような体積ホログラム層とすることができるものであれば特に限定されるものではない。 このような体積ホログラム層に用いることが可能な樹脂材料としては、ポリ(メタ)アクリル酸エステルもしくはその部分加分解物、ポリ酢酸ビニルもしくはその部分加水分解物、ポリビニルアルコールもしくはその部分アセタール化物、トリアセチルセルロース、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリ塩化ビニル、ポリアリレート、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール又はその誘導体、ポリ−N−ビニルピロリドンもしくはその誘導体、スチレンと無水マレイン酸の共重合体もしくはその半エステル、または、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、もしくは酢酸ビニル等の共重合可能なモノマー群の� ��なくとも1つを重合成分とする共重合体等を用いることができる。 また、それらの樹脂を2種以上混合してもよい。 本発明においては、上述した樹脂のなかでもアクリル系の樹脂を主成分として用いることが好ましい。 また、アクリル系の樹脂のなかでも、特にポリメチルメタクリレート系の樹脂を主成分として用いることが好ましい。

    (ii)光重合可能な化合物 上記光重合可能な化合物としては、後述するような1分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合、光架橋可能なモノマー、オリゴマー、プレポリマーおよびそれらの混合物を用いることができる。 具体例としては、不飽和カルボン酸およびその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド化合物等を挙げることができる。

    ここで、上記不飽和カルボン酸のモノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等を挙げることができる。 また上記脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート等を挙げることができる。

    上記メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等を挙げることができる。 また、上記イタコン酸エステルとしてはエチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート等を挙げることができる。 また、上記クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラクロトネート等を挙げることができる。 さらに上記イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等を挙げることができる。 さらにまた、上記マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレエート、トリエチレングリコールジマレエート、ペンタエリスリトールジマレエート、ソルビトールテトラマレエート等を挙げることができる。

    上記ハロゲン化不飽和カルボン酸としては、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート等を挙げることができる。
    また、上記不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド等を挙げることができる。

    (iii)光重合開始剤 本発明に用いられる光重合開始剤としては、例えば、1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、N−フェニルグリシン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、また、イミダゾール二量体類等を挙げることができる。 なかでも本発明に用いられる光重合開始剤は、記録された体積ホログラムの安定化の観点から、ホログラム記録後に分解処理されるものが好ましい。 例えば有機過酸化物系にあっては紫外線照射することにより容易に分解されるので好ましい。

    (iv)増感色素 本発明に用いられる増感色素としては、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン染料、ローダミン染料、チオピリリウム塩系色素、ピリリウムイオン系色素、ジフェニルヨードニウムイオン系色素等を挙げることができる。

    (b)第2の感光材料 次に、本発明に用いられる第2の感光材料について説明する。 上述したように第2の感光材料は、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系、および、カチオン重合開始剤系を含有するものである。

    ここで、このような第2感光材料が用いられる場合、体積ホログラム層に体積ホログラムが記録する方法としては、光ラジカル重合開始剤系が感光するレーザー光等の光を照射(第1露光)し、次いで、光カチオン重合開始剤系が感光する上記レーザー光とは別の波長の光を照射する方法が用いられることになる。

    (i)カチオン重合性化合物 上記カチオン重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物の重合が比較的低粘度の組成物中で行われることが好ましいという点から、室温で液状のものが好適に用いられる。 このようなカチオン重合性化合物としては、例えば、ジグリセロールジエーテル、ペンタエリスリトールポリジグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等を挙げることができる。

    (ii)ラジカル重合性化合物 上記ラジカル重合性化合物としては、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましい。 また、本発明に用いられるラジカル重合性化合物の平均屈折率は、上記カチオン重合性化合物の平均屈折率より大きいことが好ましく、なかでも0.02以上大きいことが好ましい。 これは、ラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物との屈折率の差によって、体積ホログラムが形成されることによるものである。 したがって、平均屈折率の差が上記値以下である場合には、屈折率変調が不十分となるからである。 本発明に用いられるラジカル重合性化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、2−ブロモスチレン、フェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2,3−ナフタレンジカルボン酸(アクリロキシエチル)モノエステル、メチルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、β−アクリロキシエチルハイドロゲンフタレート等を挙げることができる。

    (iii)光ラジカル重合開始剤系 本発明に用いられる光ラジカル重合開始剤系としては、体積ホログラムを記録する際に、第1露光によって活性ラジカルを生成し、該活性ラジカルがラジカル重合性化合物を重合させることができるものであれば特に限定されるものではない。 また、一般に光を吸収する成分である増感剤と活性ラジカル発生化合物や酸発生化合物を組み合わせて用いてもよい。 このような光ラジカル重合開始剤系における増感剤は可視レーザー光を吸収するために色素のような有色化合物が用いられる場合が多いが、無色透明ホログラムとする場合には、シアニン系色素の使用が好ましい。 シアニン系色素は一般に光によって分解しやすいため、本発明における後露光、または室内光や太陽光の下に数時間から数日放置することでホログラム中の色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明な体積ホログラムを得ることができるからである。

    上記シアニン系色素の具体例としては、アンヒドロ−3,3′−ジカルボキシメチル−9−エチル−2,2′チアカルボシアニンベタイン、アンヒドロ−3−カルボキシメチル−3′,9′−ジエチル−2,2′チアカルボシアニンベタイン、3,3′,9−トリエチル−2,2′−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,9−ジエチル−3′−カルボキシメチル−2,2′−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3′,9−トリエチル−2,2′−(4,5,4′,5′−ジベンゾ)チアカルボシアニン・ヨウ素塩、2−[3−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)−1−プロペニル]−6−[2−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)エチリデンイミノ]−3−エチル−1,3,5−チアジアゾリウム・ヨウ素塩、2−[[3−ア� ��ル−4−オキソ−5−(3−n−プロピル−5,6−ジメチル−2−ベンゾチアゾリリデン)−エチリデン−2−チアゾリニリデン]メチル]3−エチル−4,5−ジフェニルチアゾリニウム・ヨウ素塩、1,1′3,3,3′,3′−ヘキサメチル−2,2′−インドトリカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3′−ジエチル−2,2′−チアトリカルボシアニン・過塩素酸塩、アンヒドロ−1−エチル−4−メトキシ−3′−カルボキシメチル−5′−クロロ−2,2′−キノチアシアニンベタイン、アンヒドロ−5,5′−ジフェニル−9−エチル−3,3′−ジスルホプロピルオキサカルボシアニンヒドロキシド・トリエチルアミン塩等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。

    上記活性ラジカル発生化合物としては、例えば、ジアリールヨードニウム塩類、あるいは2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類が挙げられる。 高い感光性が必要なときは、ジアリールヨードニウム塩類の使用が特に好ましい。 上記ジアリールヨードニウム塩類の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4,4′−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4′−ジメトキシジフェニルヨードニウム、4,4′−ジターシャリーブチルジフェニルヨードニウム、3,3′−ジニトロジフェニルヨードニウムなどのクロリド、ブロミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメタンスルホン酸塩、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸塩などが例示される。 又2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類の具体例としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4′−メトキシ−1′−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。

    (iv)光カチオン重合開始剤系 本発明に用いられる光カチオン重合開始剤系としては、体積ホログラムが記録される際の第1露光に対しては低感光性で、第1露光と異なる波長の光を照射する後露光に感光してブレンステッド酸あるいはルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物を重合させるような開始剤系であれば特に限定されるものではない。 なかでも本発明においては第1露光の間はカチオン重合性化合物を重合させないものが用いられることが特に好ましい。 このような光カチオン重合開始剤系としては、例えばジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、鉄アレン錯体類等が挙げられる。 ジアリールヨードニウム塩類で好ましいものとしては上述した光ラジカル重合開始剤系で示したヨードニウムのテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネートなどが挙げられる。 トリアリールスルホニウム塩類で好ましいものとしては、トリフェニルスルホニウム、4−ターシャリーブチルトリフェニルスルホニウム等が挙げられる。

    (2)その他 本発明の埋め込み用体積ホログラムシートは、紙媒体に漉き込んで用いられたり、カード媒体に埋め込んで用いられたりするため、本発明に用いられる体積ホログラム層の厚みは、後述する基材等に応じて、埋め込み用体積ホログラムシートの厚みを紙媒体に漉き込む又はカード媒体に埋め込むことが容易となる程度にできる範囲内であることが好ましい。 具体的には、0.1μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、なかでも1μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。

    2. 基材 本発明に用いられる基材は、上記体積ホログラム層のいずれか一方の表面のみに、接着手段を用いて配置されるものである。

    ここで、本発明における基材とは、上記基材の溶融温度が、上述した加熱条件よりも高いものを指す。 上記基材の溶融温度が、上記加熱条件以下である場合は、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートを紙媒体に漉き込む又はカード媒体に埋め込むことが困難となるからである。

    上記基材の材料としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂や、ポリイミド樹脂系の樹脂等を挙げることができ、なかでも、ポリエステル系樹脂を用いることが好ましく、さらに上記ポリエステル系樹脂のなかでもポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。
    上記樹脂からなる基材を用いることにより、加熱条件下において埋め込み用体積ホログラムシートを用いて偽造防止用紙やカード等を製造するに際して、好適な機械的強度を有する埋め込み用体積ホログラムシートとすることができる。

    上記基材としては上述した樹脂が1種類のみ用いられたものであっても良く、または、2種類以上を混合して用いられたものであってもよい。

    本発明に用いられる基材としては、透明性を有するものであっても、透明性を有しないものであってもよい。 また、上記基材は体積ホログラム層を視認できる程度に着色されていても良い。

    本発明においては、上記基材に添加剤が含まれていても良い。 このような添加剤としては、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートにおいて上記体積ホログラム層の光像の視認性を向上させる機能を有するものや、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートに意匠性を付与する機能を有するもの等を例示することができる。 このような添加剤としては、例えば、染料・顔料等の着色剤や、耐候性を付与するための紫外線吸収剤および安定剤を挙げることができる。 基材が紫外線吸収剤を含有する場合には、後述の紫外線防止層を兼ねることができる。 基材が紫外線防止層を兼ねている場合、基材としては紫外線吸収剤が練りこまれたものを使用することができる。

    本発明に用いられる基材の厚みは、上記体積ホログラム層の厚み等に応じて、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートの厚みを紙媒体に漉き込む又はカードに埋め込むことが可能な程度にできる範囲内であることが好ましい。 より具体的には2μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、なかでも6μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。

    3. 接着手段 本発明に用いられる接着手段は、上記体積ホログラム層の一方の表面のみに上記基材を配置するために用いられるものである。

    このような接着手段としては、上記体積ホログラム層および基材の剥離強度が25gf/25mm以上となるように、上記体積ホログラム層および基材を接着させることができるものであれば、特に限定されるものではなく、具体的には、接着剤層や易接着処理を挙げることができる。 以下、接着剤層および易接着処理についてそれぞれ説明する。

    (1)接着剤層 本発明に用いられる接着剤層は、上記体積ホログラム層および基材の剥離強度が25gf/25mm以上となるように接着させるために、上記体積ホログラム層および基材の間に形成されるものである。

    上記接着剤層に用いられる接着剤としては、上述した体積ホログラム層および基材の剥離強度を上記範囲のものとすることができるのであれば特に限定されるものではないが、硬化性の接着剤であることが好ましい。 ここで、本発明における「硬化性の接着剤」とは、熱やエネルギー線(紫外線や電子線)の刺激により化学反応して架橋することにより網目構造ができて硬化する、いわゆる熱硬化性接着剤、エネルギー線硬化性接着剤などを指す。 上記硬化性の接着剤を用いることにより、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートに、加熱条件下において偽造防止用紙やカード等を製造するに際して好適な機械的強度を付与することができるからである。
    なお、本発明においては、上記硬化性の接着剤としては、光硬化性接着剤および熱硬化性接着剤のいずれも用いることが可能である。

    本発明に用いられる硬化性の接着剤としては、なかでも熱硬化性接着剤を用いることが好ましい。 また、上記熱硬化性接着剤としては、特に溶剤系熱硬化性接着剤を用いることが好ましい。 上記溶剤系熱硬化性接着剤を用いることにより、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートに、加熱条件下において偽造防止用紙やカード等を製造するに際して、より好適な機械的強度を付与することができるからである。

    上記接着剤層には、紫外線吸収剤が含まれていてもよい。 接着剤層が紫外線吸収剤を含有する場合には、後述の紫外線防止層を兼ねることができる。

    上記接着剤層の膜厚としては、上記体積ホログラム層および基材の剥離強度を所定の値とすることができる程度の接着性を発現することが可能であれば特に限定されるものではないが、1μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。 上記接着剤層の膜厚が上記範囲に満たない場合は、上記体積ホログラム層および基材の剥離強度を所定の値とすることが困難であるからである。 また、上記接着剤層の膜厚が上記範囲を超える場合は、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートの膜厚が厚くなりすぎるため、紙媒体に漉き込んだりカードに埋め込んだりした場合、表面凹凸の大きなものになるからである。

    (2)易接着処理 本発明に用いられる易接着処理としては、上記体積ホログラム層および基材の剥離強度が25gf/25mm以上となるように、上記体積ホログラム層および基材を接着させることができるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、プラズマ処理、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理等の物理的処理、或いは、クロム酸、シランカップリング剤、プライマー剤等を使用した化学的処理を挙げることができる。
    本発明においては、なかでも、プライマー剤を用いた化学的処理であることが好ましい。 上記プライマー剤は、基材フィルム製造時に処理されるものと、製造後の基材フィルム上に処理されるものと、いずれの場合も好適である。 このようなプライマー剤を処理した基材フィルムとしては、一般に市販されているものを用いることができる。 具体的には、例えば、東洋紡績(株)製の易接着層付PETフィルムA4100、T4100や、帝人デュポンフィルム(株)製のテイジン(登録商標)テトロン(登録商標)フィルムHPE、ユニチカ社(株)製のエンブレット(登録商標)S、PTM、PET、パナック(株)製の易接着材料AC−X、AC−L、AC−Wなどが挙げられる。 また、製造後の基材フィルム上に処理するプライマー剤としては、体積ホログラム材料と密着する材料であれば良い。 特に、アクリル系樹脂材料が好ましく、さらにポリメチルメタクリレート等のメタクリル系樹脂を主成分として密着性を向上させるガラス転移点の低い材料を添加剤として含むものなどが好ましい。 また、アクリル系樹脂以外では、ポリウレタン系材料と硬化剤との混合物も、好適に用いることができる。 これにより、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートに、加熱条件下において偽造防止用紙やカード等を製造するに際して好適な機械的強度を付与することができるからである。
    プライマー剤により処理された基材フィルムにおいて、プライマー剤が層として存在する場合には、その層の厚みは1μm以下であることが好ましい。

    4. 体積ホログラム層、基材、および接着手段の組み合わせ 本発明の埋め込み用体積ホログラムシートとしては、上述した体積ホログラム層、基材、および接着手段をそれぞれ組み合わせることにより、所定の膜厚を有し、体積ホログラム層および基材の剥離強度を25gf/25mm以上となるようにすることができるのであれば特に限定されるものではない。 本発明においては、上述した体積ホログラム層、基材、および接着手段の組み合わせとして以下の組み合わせを好適に用いることができる。

    上記体積ホログラム層、基材、および接着手段の組み合わせとしては、上記体積ホログラム層に用いられている樹脂材料の主成分が、アクリル系の樹脂材料であり、かつ、上記基材が、ポリエステル系樹脂からなるものであり、上記接着手段として、接着剤層を用い、上記接着剤層が熱硬化性接着剤を用いたものであることが好ましい。 また、上記の組み合わせの中でも、上記体積ホログラム層が、樹脂材料の主成分として、ポリメチルメタクリレート系の樹脂材料を用いたものであり、上記基材が、ポリエチレンテレフタレート系の樹脂からなるものであり、上記接着剤層が、接着剤として溶剤系熱硬化性接着剤を用いたものであることがより好ましい。 上記体積ホログラム層、基材、および接着剤層の組み合わせを上記組み合わせにすることにより、加熱条件下において偽造防止用紙やカード等を製造するに際して好適な機械的強度を有する埋め込み用体積ホログラムシートとすることができるからである。

    5. その他の部材 本発明の埋め込み用体積ホログラムシートは、上記体積ホログラム層および基材が上述した接着手段を用いて配置されているのであれば特に限定されるものではなく、必要な部材を適宜追加することが可能である。 このような部材としては、例えば、本発明の体積ホログラムシートの最外層に配置されるヒートシール層を挙げることができる。

    また、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートには、必要に応じて、層構成の層間(体積ホログラム層および基材の層間を除く)及び/又は表面に、保護層、着色層、磁気印刷層、紫外線発光層や赤外線発光層などの蛍光発光層、OVI(Optical Variable Ink)層と言われる光学可変インキ層及び/又は樹脂層などの他の層、並びに/又は印刷層、プライマ層などを設けてもよい。 特に、体積ホログラム層上に基材と接している面と反対の面に、着色層を配置することが効果的である。

    さらに、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートには、必要に応じて、体積ホログラム層より基材側の任意の位置に紫外線防止層を設けてもよい。
    以下、ヒートシール層、着色層、紫外線防止層について説明する。

    (1)ヒートシール層 本発明においては、体積ホログラムシートの最外層にヒートシール層が配置されていてもよい。
    ここで、ヒートシール層とは、所定の温度で溶融若しくは軟化する感熱接着剤である。 例えば、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートがスレッド用体積ホログラムシートである場合、上記ヒートシール層は、上記スレッド用体積ホログラムシートを用いて偽造防止用紙等を製造する際に用いられる抄紙機の乾燥ゾーンの温度で溶融若しくは軟化する感熱接着剤となる。 また例えば、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートがカード用体積ホログラムシートである場合、上記ヒートシール層は、熱圧着のプレスラミネート工程での温度で溶融もしくは軟化する感熱接着剤となる。

    このヒートシール層は、アイオノマー樹脂系、ポリエステル樹脂系、ポリ酢酸ビニル樹脂系、ポリ塩化ビニル樹脂系、ポリアクリル酸エステル樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂系、ポリビニルアルコール樹脂系等の公知の感熱接着剤が使用できる。 その塗工量は、通常で0.1g/m 〜10g/m (乾燥質量換算)とする。 ヒートシール層には必要に応じて、ブロッキング防止剤、潤滑剤、着色剤、紫外線発光剤や赤外線発光剤などの蛍光発光剤等を含有していてもよい。 また、ヒートシール層には紫外線吸収剤を含有していてもよい。 ヒートシール層が紫外線吸収剤を含有していて、基材側に配置されている場合には、後述の紫外線防止層を兼ねることができる。

    ヒートシール層の配置としては、ヒートシール層が体積ホログラムシートの最外層に配置されていればよく、例えば、体積ホログラムシートの体積ホログラム層側の面に配置されていてもよく、体積ホログラムシートの基材側の面に配置されていてもよく、あるいはその両方に配置されていてもよい。

    (2)着色層 本発明においては、例えば図3に示すように、体積ホログラム層1の基材2側とは反対側の面に着色層5が配置されていてもよい。

    体積ホログラムは、表面レリーフホログラムと異なり、アルミなどの無機金属化合物の反射層を必要としないため、ホログラムの背景として着色層を導入することにより、効果的なデザインが可能となる。 アルミなどの反射層が必要な表面レリーフホログラムでは、あらゆる観察度においてアルミの銀色が認められると同時に、レリーフホログラムがあらゆる角度において虹色に観察される。 一方、緑色の体積ホログラムが記録された体積ホログラム層に、例えば、赤色の着色層を重ねた場合は、あらゆる観察角度において着色層の赤色が認められ、特定の観察方向でのみ緑色のホログラム画像が同時に観察されるという特異な表現が可能となる。

    また、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートがスレッド用体積ホログラムシートである場合、着色層の色がスレッドの基本色となり、着色層の色と、紙に抄き込んだ後の券面に施された色とを同調させるなど、デザインバリエーションが広がる。 例えば、着色層の色を青とし、金券券面の印刷は青を基調、あるいは寒色系の同系色にするなどである。 また、金券などの場合、金額などによりスレッドの色を変えたりすることにより、区別することができる。 冊子に加工した場合などは、ページ毎にスレッドの色を変えて区別することができる。
    同様に、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートがカード用体積ホログラムシートである場合、着色層の色がカードの基本色となり、着色層の色と、カード面に施された色とを同調させるなど、デザインバリエーションが広がる。 例えば、着色層の色を青とし、カード面の印刷は青を基調、あるいは寒色系の同系色にするなどである。

    また、着色層は、基材に対して全面に設けられていてもよく、パターン状に設けられていてもよい。 着色層がパターン状に設けられている場合には、次のような特異な表現が可能である。 例えば、緑色の体積ホログラムが記録された体積ホログラム層に、青色の絵柄または文字のパターン状の着色層を重ねる場合、あらゆる角度においてこの青色の着色パターンを観察できる。 そして、ある特定の観察角度でのみ、青色の着色パターンに緑色の体積ホログラムが重なった状態で観察される。 この場合、体積ホログラムの絵柄は着色層のパターンとどのような位置関係にあってもよい。

    着色層は、公知な印刷方法により設けることができ、漉き込み工程(抄紙工程)またはカード媒体に埋め込む工程に耐えうるものであれば良い。

    (3)紫外線防止層 本発明においては、体積ホログラム層の基材側の面に紫外線防止層が配置されていてもよい。 紫外線防止層は、日光下あるいは照明光源の下に長時間暴露された際に、ホログラム画像、着色層の色や画像が経時的に劣化するのを防ぐために設けられるものである。

    紫外線防止層の配置としては、体積ホログラム層の基材側の面に紫外線防止層が配置されていればよく、例えば、基材が紫外線吸収剤を含有しており紫外線防止層を兼ねていてもよく、接着手段が接着剤層である場合には接着剤層が紫外線吸収剤を含有しており紫外線防止層を兼ねていてもよい。 また、紫外線防止層が基材や接着剤層とは別に設けられている場合、図3に例示するように、基材2の体積ホログラム層1側とは反対側の面に紫外線防止層6が設けられていてもよく、図4に例示するように、体積ホログラム層1および基材2の間に紫外線防止層6が設けられていてもよく、図示しないが、基材の体積ホログラム層側とは反対側の面と体積ホログラム層および基材の間との両方に紫外線防止層が設けられていてもよい。

    紫外線防止層が体積ホログラム層と基材との間に設けられている場合においても、体積ホログラム層と基材との十分な密着力が必要であり、体積ホログラム層および基材の剥離強度は25gf/25mm以上であることが必要である。 すなわち、体積ホログラム層および紫外線防止層の剥離強度も25gf/25mm以上、紫外線防止層および基材の剥離強度も25gf/25mm以上となる。

    本発明の体積ホログラムシートに必要な紫外線防止能としては、体積ホログラム層より基材側にある基材を含む全ての層の吸光度の合計が、波長340nmにおいて0.5以上、中でも0.7以上であることが好ましい。 体積ホログラム層より基材側にある基材を含む全ての層の吸光度が低いと、日光下あるいは照明光源の下に長時間暴露された際に、ホログラム画像、着色層の色や画像が著しく劣化するおそれがあるからである。
    なお、体積ホログラム層より基材側にある基材を含む全ての層の吸光度の合計は、以下のようにして測定することができる。 すなわち、まず、体積ホログラムシートより体積ホログラム層を取り除く。 次いで、その際に残留した基材を含むフィルムに膜厚方向に波長340nmの光を入射した場合の吸光度を測定する。 吸光度Aとは、入射光の強度をIとして、フィルムを透過した光の強度をI'とすると、A=−log(I'/I)で求められる値である。 吸光度の測定は、例えば日本分光株式会社製の顕微紫外可視近赤外分光光度計 MSV-350や、島津製作所株式会社製の紫外可視近赤外分光光度計UV-3100PC等を用いて測定することができる。

    紫外線防止層は、少なくとも紫外線吸収剤を含有するものである。
    紫外線吸収剤としては、例えば、有機系紫外線吸収剤、無機系紫外線吸収剤を挙げることができる。 有機系紫外線吸収剤としては、具体的に、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系サリチル酸系、ハイドロキノン系、トリアジン系等の紫外線吸収剤が挙げられる。 また、無機系紫外線吸収剤としては、具体的に、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等の金属酸化物系微粒子を広く使用できる。
    また、紫外線吸収剤は、紫外線吸収性基が側鎖に結合した紫外線吸収性樹脂であってもよい。 紫外線吸収性基としては、上記の有機系紫外線吸収剤や無機系紫外線吸収剤の構造を有するものを挙げることができる。

    紫外線吸収剤としては、特に、紫外線吸収性基が側鎖に結合した紫外線吸収性樹脂が好適に用いられる。 このような紫外線吸収性樹脂では、紫外線吸収成分が樹脂中に固定化されているために、体積ホログラム層へ紫外線吸収剤が移行することがない。 このため、紫外線防止層と体積ホログラム層とが接することによってホログラムが変色等するのを防止することができる。 また、固定化されている紫外線吸収成分はブリードアウトして紫外線吸収能力が低下することもない。
    このような紫外線吸収性樹脂の例としては、メタクリル酸メチルとベンゾフェノン系紫外線吸収剤との共重合体(BASFジャパン製UVA635L)、メタクリル酸メチルとベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤との共重合体(新中村化学工業(株)製 バナレジンUVA−73A、大塚化学(株)製 PUVA50M−40TM、(株)ニッコー化学研究所製 NCI−700、NCI−900)等が挙げられるが、これらに限定されない。

    また、このような紫外線吸収性基が側鎖に結合した紫外線吸収性樹脂を含有する紫外線防止層を得るために、紫外線防止層の形成に使用する紫外線防止材料として、紫外線吸収性モノマーと、紫外線吸収性モノマーと重合し得るモノマーあるいはオリゴマーやポリマーと、重合開始剤とを含有する組成物を準備し、塗布後に重合して紫外線防止層を形成してもよい。 その際は、紫外線防止材料が硬化性の材料であるため、前述のように紫外線防止層を兼ねた接着剤層とすることができる。
    紫外線吸収性モノマーとしては、例えば重合性の不飽和結合を持ったベンゾフェノン系の紫外線吸収性モノマーや、重合性の不飽和結合を持ったベンゾトリアゾール系の紫外線吸収性モノマーが挙げられる。 重合性の不飽和結合を持ったベンゾフェノン系の紫外線吸収性モノマーは、例えば2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン等が挙げられる。 重合性の不飽和結合を持ったベンゾトリアゾール系の紫外線吸収性モノマーは、例えば(2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシ)エチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2[2′−ヒドロキシ−5′−(アクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−(メタクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5−メチル−3−ビニルフェニル]ベンゾトリアゾール等が挙げられるが、これらに限定されない。
    紫外線吸収性モノマーと重合し得るモノマーあるいはオリゴマーやポリマーとしては、アクリル酸およびそのエステル、メタクリル酸およびそのエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、ビニルスルフォン酸およびその塩、メタリルスルフォン酸およびその塩、スチレンスルフォン酸およびその塩など、またはその共重合体を挙げることができる。

    また、紫外線防止層は、適宜バインダー樹脂を含有していてもよい。 バインダー樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸、ポリメタクリルアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂;エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂を1種又は2種以上を混合したものや、紫外線や電子線等に反応する電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられる。

    6. 埋め込み用体積ホログラムシート 本発明の埋め込み用体積ホログラムシートは、上記体積ホログラム層および基材の剥離強度が25gf/25mm以上であれば、好適に紙媒体に漉き込んだりカードに埋め込んだりすることができる。

    本発明の埋め込み用体積ホログラムシートは、紙媒体に漉き込まれたりカードに埋め込まれたりすることにより使用されるため、本発明の埋め込み用体積ホログラムシートの膜厚としては、紙媒体に漉き込んだりカードに埋め込んだりすることが可能であれば特に限定されるものではないが、10μm〜70μmの範囲内であることが好ましく、特に20μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。 上記埋め込み用体積ホログラムシートの膜厚が上記範囲を超える場合は、紙媒体に漉き込んだりカードに埋め込んだりした際に均一な膜厚のものとすることが困難になる可能性があるからであり、上記埋め込み用体積ホログラムシートの膜厚が上記範囲に満たないような埋め込み用体積ホログラムシートは形成するのが困難であるからである。

    上記埋め込み用体積ホログラムシートの形状としては、必要な加工を施すことにより紙媒体に漉き込んだりカードに埋め込んだりすることができるような形状であれば特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択される。 埋め込み用体積ホログラムシートがスレッド用体積ホログラムシートである場合、スレッド用体積ホログラムシートの形状としては、具体的には、短冊状、シート状、および長尺シートがロール状に巻き取られた形状を挙げることができる。 また、埋め込み用体積ホログラムシートがカード用体積ホログラムシートである場合、カード用体積ホログラムシートの形状としては、枚葉状であってもよく長尺状であってもよい。

    B. 偽造防止用紙 本発明の偽造防止用紙は、上述した「A.埋め込み用体積ホログラムシート」を用いたことを特徴とするものである。

    本発明によれば、上記埋め込み用体積ホログラムシートを有することから、製造に際しての問題が無く、かつ、偽造防止機能の高いものとすることができる。

    本発明の偽造防止用紙は、通常、上記埋め込み用体積ホログラムシート及び紙媒体を有するものである。 ここで、紙媒体については、一般的な偽造防止用紙に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。

    また、本発明の偽造防止用紙の製造方法についても、一般的な偽造防止用紙の製造方法と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。

    本発明の偽造防止用紙の用途としては、例えば有価証券等を挙げることができる。

    C. カード 本発明のカードは、2枚のシートの間に、上述の「A.埋め込み用体積ホログラムシート」に記載の埋め込み用体積ホログラムシートが配置されていることを特徴とするものである。

    本発明のカードについて図面を参照しながら説明する。
    図5(a)〜(c)は本発明のカードの一例を示す模式図であり、図5(a)はオーバーシート12b側から見た平面図、図5(b)は図5(a)のA−A線断面図、図5(c)は図5(a)のB−B線断面図である。 図5(a)〜(c)に示すように、カード20は、オーバーシート12a、コアシート11a、コアシート11b、およびオーバーシート12bの四層の積層体を有している。 コアシート11bとオーバーシート12bとの間であって、カード20の右下隅には、埋め込み用体積ホログラムシート10が配置されている。 この埋め込み用体積ホログラムシート10の体積ホログラム層1は、ホログラム絵柄を有しており、「ABCD」の文字列および星の形状がホログラム絵柄である。 また、コアシート11aのオーバーシート12a側の面には、カードの名称やカードの番号等の文字が印刷されており、印刷層13が形成されている。 さらに、オーバーシート12bの表面には、カード20の長辺に沿って磁気記録層14が埋め込まれている。

    本発明のカードは、上述の埋め込み用体積ホログラムシートを有することから、製造に際しての発泡やズレ等の問題が無く、かつ、偽造防止機能の高いものとすることができる。 また本発明によれば、埋め込み用体積ホログラムシートがカード内部に埋め込まれているので、体積ホログラム層を単独で分離することが非常に困難であり、偽造防止効果をより一層向上させることができる。

    本発明のカードは、2枚のシートの間に埋め込み用体積ホログラムシートが配置されているものであればよく、その他の構成としては一般的なカードと同様とすることができる。 本発明のカードとしては、例えば図5(a)〜(c)に示すように、コアシート11bとオーバーシート12bとの間に埋め込み用体積ホログラムシート10が配置されたものを挙げることができる。 図5(a)〜(c)に示す例において、オーバーシート12a、コアシート11a、コアシート11b、およびオーバーシート12bの四層の積層体としているのは、入手し得るシートの厚みや印刷等の加工上の理由によるものであり、事情が許せば、コアシートは1枚でもよい。 また、必ずしも2枚のオーバーシートで表裏を覆う必要はなく、一方のオーバーシートを省くこともできる。

    以下、本発明のカードにおける、埋め込み用体積ホログラムシート以外の構成について説明する。

    1. コアシート 本発明に用いられるコアシートは、通常、プラスチックシートで構成される。 コアシートとしては、白色の不透明プラスチックシートで構成されるのが一般的であるが、これに限定されるものではない。 コアシートを構成するプラスチックシートとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、もしくはポリオレフィンビニルアルコール等のプラスチックを素材とするものを使用することができる。 耐熱性が要求される場合には、非晶質ポリエステルのシートや、非晶質ポリエステルとポリカーボネートのブレンド樹脂のシートも用いることができる。

    また、コアシートが不透明である場合には、例えば、アルミニウム、銅等の金属の箔、紙、樹脂またはラテックス等の含浸紙等を用いることもできる。 これらは、単独で用いてもよく、任意の2種以上の複合体シートとして用いてもよい。 また、これらのシートと上記のプラスチックシートとの複合体シートも用いることができる。

    2. オーバーシート 本発明に用いられるオーバーシートは、通常、プラスチックシートで構成される。 オーバーシートとしては、無色透明のプラスチックシートで構成されるのが一般的であるが、これに限定されるものではない。 ただし、オーバーシートは、有色であるか無色であるかは別として透明であることが好ましい。
    オーバーシートを構成するプラスチックシートとしては、上記のコアシートを構成するプラスチックシートと同様とすることができる。

    3. 情報 本発明においては、カードの名称やカードの番号等の文字や、絵柄等の情報が印刷されており印刷層が形成されていてもよく、また上記情報がエンボス加工されていてもよい。

    印刷層13は、図5(a)に示すようにコアシート11aのオーバーシート12a側の面に形成されていてもよく、図示しないがコアシート11bのオーバーシート12b側の面に形成されていてもよく、図示しないがオーバーシート12a,12bのコアシート11a,11b側の面や、オーバーシート12a,12bのコアシート11a,11b側とは反対側の面に形成されていてもよい。

    4. 磁気記録層 本発明のカードが磁気カードである場合、磁気記録層が形成されていてもよい。 磁気記録層としては、一般的なカードの磁気記録層と同様とすることができる。

    5. カード 本発明のカードの厚さとしては、コアシートやオーバーシートの材質によっても異なるが、通常、10μm〜5mm程度である。 磁気カードの場合、カードをISO規格に準拠したものとするには、カードの厚さは0.76mmである。 また、通常のカードの場合、例えば、コアシートとして厚さ280μmの白色ポリ塩化ビニル(PVC)シートを用い、オーバーシートとして厚さ100μmの透明ポリ塩化ビニル(PVC)シートを用いて、コアシートを2枚重ね、その両側にそれぞれオーバーシートを重ねて、熱プレスなどにより積層する四層構成のカード(合計厚さ0.76mm)を用いるのが一般的である。

    本発明のカードのサイズとしては、種々のサイズとすることができる。 本発明のカードは、例えば、一般的な銀行カードやクレジットカードの平面のサイズとすることができ、具体的には、縦横が約54mm×約86mmである。

    本発明のカードの製造方法としては、2枚のシートの間に埋め込み用体積ホログラムシートを配置することができる方法であればよく、一般的なカードの製造方法と同様とすることができる。 例えば、オーバーシートと、埋め込み用体積ホログラムシートと、コアシートとを重ね合わせ、所定の温度および圧力の条件でプレスラミネートして積層一体化した後、所定のカードのサイズに打ち抜くことにより、カードを得ることができる。

    本発明のカードの用途としては、例えば、ID(本人確認)カード、銀行等の預貯金カード、クレジットカード、身分証明書(学生証もしくは社員証)等が挙げられる。 また、カード形式ではないが、ID用である受験票、パスポート等、あるいは、運転免許証、カード型の証書、具体的には、防火、消毒もしくは防火等の保安、衛生上の資格、もしくは等級を示すもの等の各種証明書等に使用することができる。

    なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。 上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

    以下、実施例および比較例を用いて本発明についてさらに具体的に説明する。

    [実施例1]
    PETフィルム(東レ(株)製、ルミラー(登録商標)T−60、厚み50μm)(離型フィルム)上に下記の処方で調製された体積ホログラム記録材料(体積ホログラム層材料)を、乾燥膜厚10μmとなるようにグラビアコートにて塗工し、塗工面にPETフィルム(東セロ(株)、「SP−PET」、厚み50μm)(離型フィルム)をラミネートし、第1の積層体(離型フィルム/体積ホログラム層/離型フィルム)を作製した。 上記第1の積層体に514nmの波長レーザー光を用いてリップマンホログラムを記録し、100℃、10分間加熱した後、一方の離型フィルムを剥離し、その裏面に基材として易接着処理PETフィルム(東洋紡(株)製、A4100、厚み50μm)を80℃でラミネートし、基材/体積ホログラム層/離型フィルムの積層構成とした。

    <体積ホログラム記録材料>
    ・エポキシ基含有アクリル樹脂;ブレンマーCP−50M(日本油脂(株)製)(質量平均分子量10,000、エポキシ当量310g/eq.):17質量部・ポリ酢酸ビニル;デンカサクノールSN−08H(電気化学工業(株)製)(重合度800):17質量部・1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(デナコールEX−212;ナガセケムテックス(株)製):25質量部・ジフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート(BPEFA;大阪ガスケミカル(株)製):35質量部・ジアリールヨードニウム塩(PI2074;ローディア製):4質量部・2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン:1質量部・メチルイソブチルケトン:100質量部・1−ブタノール:100質量部

    得られた積層構成に、高圧水銀灯を利用して2500mJ/cm の照射量でホログラムを定着処理した後、離型フィルムを剥離し、体積ホログラムシートを得た。 上記体積ホログラムシートの基材および体積ホログラム層の剥離強度は30gf/25mmであった。

    なお、上記剥離強度および以下の実施例および比較例の剥離強度は、JIS Z0237の180度引き剥がし法に準じて測定した。 具体的には、体積ホログラムシートを幅25mm、長さ150mmに切り出して基材面に両面テープを貼り付けたものを研磨済みのSUS基板に貼り付けて、基材フィルムを引張速度300mm/分の条件で引き剥がした際に安定に剥離が行われている状態の基材フィルム・体積ホログラム層間の剥離強度の値であり、引張試験機としてインストロン5565型材料試験機を用いた。

    [実施例2]
    上記実施例1の第1の積層体に514nmの波長のレーザー光を用いてリップマンホログラムを記録し、100℃、10分間加熱した後、高圧水銀灯を使用して2500mJ/cm の照射量でホログラムを定着処理した後、一方の離型フィルムを剥離し、その剥離面に溶剤系の熱硬化性接着剤層として、下記組成からなる脂肪族エステル系のポリウレタン接着剤を3μmの厚みで塗布し、接着剤層とした。

    <接着剤層の材料>
    ・ポリオール成分(三井化学(株)製 タケラック(登録商標)A−505):30質量部・イソシアネート成分(三井化学(株)製 タケネート(登録商標)A−20):2質量部・溶剤(酢酸エチル):70質量部

    その塗工面に基材としてPETフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)T−60 厚み25μm)を常温でラミネートし、40℃で、3日間エージングを行った。 その後、もう一方の離型フィルムを剥離し、体積ホログラムシートを得た。 上記体積ホログラムシートの基材および体積ホログラム層の剥離強度は1.4kgf/25mmであった。

    [実施例3]
    実施例1の基材の代わりに、易接着処理PETフィルム(東洋紡績(株)製、T4100、厚み16μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして体積ホログラムシートを得た。 上記体積ホログラムシートの基材および体積ホログラム層の剥離強度は25gf/25mmであった。

    [実施例4]
    実施例1の基材の代わりに、易接着処理PETフィルム(ユニチカ(株)製、エンブレット(登録商標)PTM−12、厚み12μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして体積ホログラムシートを得た。 上記体積ホログラムシートの基材および体積ホログラム層の剥離強度は57gf/25mmであった。

    [実施例5]
    実施例1の基材の代わりに、フィルム製造時に易接着処理されたPETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジン(登録商標)テトロン(登録商標)フィルムHPE−16、厚み16μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして体積ホログラムシートを得た。 上記体積ホログラムシートの基材および体積ホログラム層の剥離強度は154gf/25mmであった。

    [実施例6]
    実施例1の基材の代わりに、プライマー剤で処理をしたPET基材を用いた。 プライマー剤としてアクリル系樹脂材料である下記組成からなる材料を、コロナ処理PETフィルム(東洋紡績(株)製、E5102、厚み16μm)のコロナ処理面上に乾燥膜厚1μmとなるようにグラビアコートにて塗工し、プライマー剤処理層を作製した。

    <プライマー剤の材料>
    ・ポリメチルメタクリレート(重量平均分子量100,000):97質量部・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン/酢酸エチル=2/1/1(質量比)):60質量部

    得られたPETフィルム/プライマー剤処理層の積層体を基材として、実施例1と同様にして体積ホログラムシートを得た。 上記体積ホログラムシートの基材および体積ホログラム層の剥離強度は27gf/25mmであった。

    [比較例1]
    実施例1の基材として、易接着処理を施したフィルムの代わりに、易接着処理を施していないPETフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標) T−60 厚み25μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして体積ホログラムシートを得た。 上記体積ホログラムシートの基材および体積ホログラム層の剥離強度は20gf/25mmであった。

    [比較例2]
    実施例2の接着剤層の代わりに、熱可塑性材料である下記組成からなる材料を、未処理PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)テイジン(登録商標)テトロン(登録商標)フィルム G2−16 厚み16μm)上に乾燥膜厚4μmとなるようにグラビアコートにて塗工した。

    <接着剤層の材料>
    ・ポリエステル樹脂(バイロナールMD1985;東洋紡績(株)製):100質量部・溶剤(水/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)):100質量部

    得られたPETフィルム/接着剤層の積層体を基材として、実施例2と同様にホログラムを定着処理した後、一方の離型フィルムを剥離し、その剥離面に接着剤層が体積ホログラム層と密着するように、120℃でラミネートし、基材/体積ホログラム層/離型フィルムの積層構成とした。 その後、もう一方の離型フィルムを剥離し、体積ホログラムシートを得た。 上記体積ホログラムシートの基材および体積ホログラム層の剥離強度は22gf/25mmであった。

    [評価]
    実施例1から実施例6、および比較例1および比較例2で得られた体積ホログラムシートを幅2mmにスリット加工し、100℃において長さを150%に伸長させた。 伸長の際は、インストロン社製5565型万能試験機を用いた。 実施例1から実施例6においては、ホログラム画像に乱れは生じなかった。 このような、加熱時の引っ張りに耐久性のある体積ホログラムシートは、紙の抄き込み用のスレッドとして好適に利用できる。 一方、比較例1および比較例2においては、体積ホログラム層に剥がれが発生し、体積ホログラムシートの加熱条件下における引っ張り応力や剪断応力に対する機械的強度が不十分であった。

    [実施例7]
    実施例5と同様にして得られた、基材(HPE-16)/体積ホログラム層の積層体の体積ホログラム層の上に、下記組成の着色層用インキをグラビアコーターにより乾燥後の膜厚が2μmになるように塗布した。

    <着色用樹脂組成物>
    ・塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂(ソルバインC 日信化学工業(株)製):100重量部・キナクリドン系 赤色顔料 :80重量部・溶媒(メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1):100重量部

    赤色の着色層を設けることにより、基材側から観察した際には全ての観察角度で着色層の赤色が確認され、体積ホログラムのホログラム画像が見える観察角度領域においては、着色層の赤を背景に緑色のホログラム画像が観察された。 また、上記体積ホログラムシートの基材および体積ホログラム層の剥離強度は154gf/25mmであった。

    [実施例8]
    実施例4と同様にして得られた、基材(PTM-12)/体積ホログラム層の積層体の体積ホログラム層の上に、下記組成の着色層用インキを5mm角の四角上に等間隔でロールシルク印刷機にて、乾燥後の膜厚が0.5μmになるようにパターン塗布した。

    <着色用樹脂組成物>
    ・青色顔料含有ポリエステル系樹脂(JET−E1 440ブルー:セイコーアドバンス社製):100重量部・イソシアネート硬化剤(D硬化剤:セイコーアドバンス社製):5重量部・溶剤(T977:セイコーアドバンス社製):30重量部

    青色の着色層をパターン状に設けることにより、基材側から観察した際には全ての観察角度で着色層の青色が確認され、体積ホログラムのホログラム画像が見える観察角度領域においては、着色層の青色パターンを背景に緑色のホログラム画像が観察された。 また、上記体積ホログラムシートの基材および体積ホログラム層の剥離強度は57gf/25mmであった。 また、イソシアネート硬化剤を用いることにより、着色層の耐熱性をあげることができる。

    [実施例9]
    実施例3〜5および比較例2で得られた体積ホログラムシートを用いてカードを作製した。
    体積ホログラムシートを10mm×15mmの大きさに切り出した。 図6に例示するように、コアシート11a,11bとして厚み0.28mmの白色ポリ塩化ビニル樹脂シートを2枚準備し、1枚目のコアシート11aの片面に体積ホログラムシート10を体積ホログラム層1側の面が接するように配置した。 次いで、オーバーシート12a,12bとして厚み0.1mmの透明な塩化ビニル樹脂シートを2枚準備し、全てのシートを図6に示すような順で重ね合わせた。 すなわち、透明オーバーシート12b、白色コアシート11b、体積ホログラムシート10が配置された白色コアシート11a(体積ホログラムシート10側の面が白色コアシート11bに接するように配置)、および透明オーバーシート12aの順に重ね合わせた。 全てのシートを重ね合わせたものを温度150℃、転写圧25kg/cm 2 、加圧時間15分の条件で熱圧着した。 その後、所定のカードサイズに打ち抜いた。

    実施例3〜5の体積ホログラムシートを用いたカードでは、体積ホログラム像の乱れのないものが得られた。 一方、比較例2の体積ホログラムシートを用いた場合は、体積ホログラム像にゆがみが生じた。 このゆがみは、体積ホログラムシートのPETフィルムと体積ホログラム層との層間での発泡や、体積ホログラムシートの端面においてPETフィルムと体積ホログラム層がずれてしまうことによるものであった。

    [実施例10]
    易接着処理PETフィルム(ユニチカ(株)製、エンブレット(登録商標)PTM−12、厚み12μm)の上に下記の処方で調製された紫外線防止材料を乾燥膜厚1μmとなるようにグラビアコートにて塗工した。
    <紫外線防止材料>
    ・紫外線吸収性基が側鎖に結合した共重合樹脂(BASF社製UVA−635L):100重量部・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=1/1(重量比)):200重量部

    次に、紫外線防止材料の塗工面に、実施例1と同様の方法で体積ホログラム層を設け、体積ホログラムシートを得た。
    上記体積ホログラムシートの基材および体積ホログラム層の剥離強度は48gf/25mmであった。
    また、体積ホログラムシートから体積ホログラム層を除去し、島津製作所社製の紫外可視近赤外分光光度計 UV-3100PCを用いて、波長340nmにおける吸光度を測定したところ、1.3であった。

    [実施例11]
    易接着処理PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジン(登録商標)テトロン(登録商標)フィルムHPE−16、厚み16μm)の上に下記の処方で調製された紫外線防止材料を乾燥膜厚2μmとなるようにグラビアコートにて塗工した。
    <紫外線防止材料>
    ・ウレタンアクリレート(日本合成化学工業(株)製 紫光(登録商標)UV−7630B:36重量部・紫外線吸収性モノマー(2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシ)エチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール)(商品名「RUVA−93」、大塚化学(株)製):4重量部・開始剤(イルガキュア184 チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製):1重量部・開始剤(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)(「ルシリンTPO」、BASF社製):0.3重量部・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=1/1(重量比)):100重量部

    次に、紫外線防止材料の塗工面に、実施例1と同様の方法で体積ホログラム層を設け、体積ホログラムシートを得た。 なお、高圧水銀灯を用いてホログラムを定着処理した際に、紫外線防止材料からなる紫外線防止層についても高圧水銀灯を用いて硬化させた。
    上記体積ホログラムシートの基材および体積ホログラム層の剥離強度は144gf/25mmであった。
    また、体積ホログラムシートから体積ホログラム層を除去し、波長340nmにおける吸光度を測定したところ、0.8であった。

    [実施例12]
    未処理PETフィルム(東レ(株)製、ルミラー(登録商標)T−60、厚み25μm)の上に下記の処方で調製された組成物を乾燥膜厚2μmとなるようにグラビアコートにて塗工し、紫外線防止層を兼ねる接着剤層を形成した。
    <紫外線防止層も兼ねる接着剤層の材料>
    ・2液混合型アクリル系接着剤の主剤:アクリル酸エステル共重合樹脂溶液(綜研化学株式会社製、製品名:SKダイン2094)(樹脂固形分25%):8重量部・2液混合型アクリル系接着剤の硬化剤:多官能エポキシ系架橋剤(綜研化学株式会社製、製品名:E−5XM)(固形分5%):0.02重量部・紫外線吸収性モノマー(2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシ)エチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(商品名「RUVA−93」、大塚化学(株)製):4重量部・UV硬化型ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学工業(株)製 紫光(登録商標)UV−3520T):30重量部・開始剤(イルガキュア184 チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製):1重量部・開始剤(2,� �,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)(「ルシリンTPO」、BASF社製):0.3重量部・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=1/1(重量比)):100重量部

    次に、上記組成物の塗工面に、実施例1と同様の方法で体積ホログラム層を設け、体積ホログラムシートを得た。 なお、高圧水銀灯を用いてホログラムを定着処理した際に、紫外線防止層を兼ねる接着剤層についても高圧水銀灯を用いて硬化させた。
    上記体積ホログラムシートの基材および体積ホログラム層の剥離強度は42gf/25mmであった。
    また、体積ホログラムシートから体積ホログラム層を除去し、波長340nmにおける吸光度を測定したところ、0.9であった。

    [評価]
    実施例9〜11で得られた体積ホログラムシートを幅2mmにスリット加工し、100℃において長さを150%に伸長させた。 この場合においてもホログラム画像に乱れは生じなかった。 また、アトラス社製 サンテストXLS+を用いた100時間の耐光性試験後にもホログラム画像の劣化はなかった。

    1 … 体積ホログラム層 2 … 基材 3 … 接着剤層 5 … 着色層 6 … 紫外線防止層 10 … 埋め込み用体積ホログラムシート 11a,11b … コアシート 12a,12b … オーバーシート a … 易接着処理

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