【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、交換刃及び握りを持つナイフであつて、握りが本体とこの本体に対してその縦方向に移動可能な蓋とを持ち、この蓋が開放位置から閉鎖位置へ移動可能であり、閉鎖位置で蓋の前部押圧面が刃の幅広い側を本体の刃支持面へ押付け、閉鎖位置で蓋の少なくとも1つの中間の保持面が、本体のそれぞれ1 つの支持体に係合し、更に刃の先端とは反対側にある蓋の後端範囲が、後部支持台の所で移動可能にかつ閉鎖位置で拘束可能に握りの本体に設けられているものに関する。 【0002】 【従来の技術】このようなナイフはドイツ連邦共和国特許出願公開第2839067号明細書により公知である。 この公知のナイフは下部握り殻体部分、本体、上部握り殻体部分及び蓋を持つている。 本体及び蓋は、刃の先端とは反対側の後方範囲で、回転継手を介して互いに結合されている。 従つて縦方向移動可能な破断刃を交換しようとする場合、回転継手の周りに蓋を本体から離れるように揺動させることができる。 【0003】蓋の閉鎖位置を生ずるため、蓋が再び本体の方へ揺動され、この揺動後刃の先端の方へ前方に移動され、それにより閉鎖位置へ達する。 閉鎖位置で蓋と本体は、両方の縦辺に設けられてほぼ段状に形成されかつ楔状に近づく2対の面により内外に係合する。 後部握り範囲に設けられるねじ伝動装置状の蝶ねじが蓋をその前部閉鎖位置へ押すことにより、閉鎖位置が確保される。 前述したように楔状に近づく2対の面により、蓋の前部押圧面が刃の両側を本体の刃載置体へ押付ける。 閉鎖位置で蓋の両側に設けられて楔状に延びる保持面が、本体の支持体の対応する対向保持面に係合する。 刃の先端とは反対の側にある蓋の後端範囲は、前述したねじ伝動装置状の蝶ねじにより移動可能に、かつ閉鎖位置で拘束可能に本体の後部支持台に設けられている。 【0004】ドイツ連邦共和国特許出願公開第2839 067号明細書により公知のナイフは、交換刃の前部範囲を確実に摩擦即ち締付けで固定するので、有利であり、こうして切断物品への比較的大きい切断力の伝達が保証され、このことは例えば職業的なじゆうたんナイフにとつて重要である。 他方公知のナイフの取扱い及び構造は、費用がかかりすぎるものと感じられる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】この公知のナイフから出発して、本発明の基礎になつている課題は、一層簡単な取扱い方及び構造の移動不能に保持される交換刃を持つナイフを提供することである。 【0006】 【課題を解決するための手段】この課題を解決するため本発明によれば、開放位置で蓋の前部押圧面が、ばね戻し作用に抗して刃の方へ内方へ押付け可能であり、閉鎖位置で蓋が、支持体に係合する蓋の保持面を、ばね戻し作用により外方へ支持体の方へ押付け、閉鎖位置における蓋の拘束が、蓋の後端範囲と後部支持台との間の摩擦結合によるか又ははまり合いによる係合又は差込み結合により行われる。 【0007】 【発明の効果】交換刃を交換する際本発明によるナイフの取扱い方は、ドイツ連邦共和国特許による公知のナイフに比較して著しく簡単である。 即ち蓋の押圧面が刃の上部主面へ載せられ、その前部押圧面がばね戻し作用に抗して刃の方向に下方即ち内方へ押される。 その際ばね戻し作用は、蓋のどこかの軸線方向範囲例えば押圧面のすぐ前、中間の保持面と支持体との間、又は例えば蓋の後端範囲と本体の後部支持台との間で、作用することができる。 【0008】前部押圧面を交換刃の上部主面へ押下げることにより、交換刃の下部主面は本体側刃支持面へ押付けられ、従つて前部押圧面と刃支持面との間に両側を締付けられる。 【0009】それから蓋をその縦軸線に沿つて本体に対し移動させて、蓋の各保持面を本体の支持体の下に係合させることによつて、蓋の閉鎖位置が生ずる。 この係合は摩擦又ははまり合いで行うことができる。 閉鎖位置における蓋の拘束は、蓋の後端範囲と本体の後部支持台との間の摩擦結合によるか、又ははまり合いによる係合又は差込み結合によつて行われる。 これは、後述する好ましい実施態様に関連して、取扱い方に関して簡単に言うと、次の通りである。 即ち蓋が交換刃を保持する本体上に載せられ、ばね戻し作用に抗して下方へ押され、それから蓋の閉鎖位置を確保するため、押圧運動を維持しながら後方へ移動される。 【0010】刃交換の際における上述した簡単な取扱い方により、特にドイツ連邦共和国特許により公知のナイフに比較して、蓋の後端範囲のねじ伝動装置状蝶ねじを省略できるので、著しく簡単な構造が得られる。 【0011】前述したようにばね戻し作用を蓋の異なる軸線方向範囲で使用できる点を別として、このばね戻し作用を異なるやり方でも生ずることができる。 【0012】本発明の好ましい実施態様によれば、弾性材料から成る蓋の縦軸線に沿う撓みにより、ばね戻し作用が生ずる。 弾性材料として例えばPOM又はPA、繊維で強化されるPOM又はPAも使用される。 このような蓋はプラスチツク射出成形品として構成可能であり、 本体はプラスチツク成形品又は金属ダイカスト品として構成可能である。 【0013】弾性材料から成る蓋と組合わせて又はその代りに、蓋の前部押圧面と刃との間、又は蓋の後端範囲と後部支持台との間に、蓋を外方へ戻すばね素子が設けられるようにすることができる。 【0014】別の変形例によれば、刃支持面が、刃の下部主面用の互いに離れて設けられる2つの載置体を形成し、この刃が、蓋の前部押圧面の押圧力を受けて、前部押圧面を外方へ押す押圧ばね素子を形成することによつて、このような外方へ戻すばね素子を提供することができる。 従つて弾性帯鋼から製造されて両側縁で2つの本体側載置体上に載る交換刃は、蓋の前部押圧面により押下げられ、その際曲げられて、弾性的に撓む刃のポテンシヤルエネルギーが、支持体に係合する保持面を充分なばね戻し作用で外方へ支持体へ向かつて押付けるのに充分であるようにする。 【0015】本発明の別の構成では、後部支持台と後端範囲との間に湾曲ばね、ゴムばねのような押圧ばね素子が設けられている。 このような押圧ばね素子のばね戻し作用は後端範囲を上方へ押すので、蓋の前部押圧面は、 双腕レバーのように、支持体へ係合する保持面を支点としてその周りに、下方へ刃の上部主面へある程度押付けられる。 【0016】別個の戻しばね素子が、圧縮の際充分なポテンシヤルエネルギーを利用可能である場合、藍を剛体として構成し、即ち蓋がその縦軸線に沿つて手の力では撓まない剛体を形成しているように、剛性的に構成することも可能である。 【0017】蓋の閉鎖位置への拘束のために、本発明は種々の可能性を与える。 本発明によるこれらの可能性の1つによれば、後端範囲が、本体の後部支持台上で移動可能な摺動面を形成している。 移動可能な摺動面は、ばね戻し作用従つて法線力により本体の対応する支持台面へ押付けられるので、適当な摩擦結合により両方の面の付着摩擦は、蓋を閉鎖位置に保持するのに充分である。 【0018】本発明による別の実施態様では、後端範囲及び後部支持台に係合素子が付属して、蓋の閉鎖位置で互いにかみ合う。 これらの係合素子ははまり合い又は摩擦で内外に係合することができる。 【0019】本発明の別の実施態様に従つて、後端範囲及び後部支持台が互いに平行で平らな摺動面を形成している。 これらの摺動面は、本発明の別の構成では、移動方向に対して平行に延びている。 【0020】後端範囲及び後部支持台がそれぞれ傾斜した平らな摺動面を形成し、両方の傾斜した面が閉鎖方向に上昇している場合、ばね戻し作用を強めることができる。 【0021】本発明の別の実施態様に従つて、後部支持台が、閉鎖方向に関してその傾斜した平らな摺動面の前に続いて、この摺動面と鈍角をなす傾斜した支持台側係合面を持ち、後端範囲が、閉鎖方向に関してその傾斜した平らな摺動面の後に、支持台側係合面に対して平行な係合面素子を形成し、閉鎖方向に関して後でこの係合面素子に、支持台側の傾斜した平らな摺動面に対して平行なストツパ面が続いている。 前述した実施態様により、 閉鎖方向に上昇する摺動面に沿つて増大するばね戻し作用が形成され、蓋の閉鎖位置においてこのばね戻し作用が、後端範囲と後部支持台との係合と組合わされる。 【0022】別の本発明による実施態様では、後端範囲及び後部支持台の摺動面及び係合面が、場合によつては交換可能な挿入片により形成されている。 この構成により、例えば本体が金属ダイカストから成る場合、他の材料例えば適当なプラスチツクから成る挿入片に後端範囲面を形成することができる。 【0023】別の好ましい実施態様によれば、後部支持台と後端範囲との間に設けられる湾曲鋼板製ばねが同時に係合素子として構成されて、ばね戻し作用により後端範囲を外方へ押す。 その際支持体に保持面を含めて、前部押圧面は内方へ刃へ向かつて押付けられる。 同時に湾曲ばねと蓋の後端範囲との間で係合が行われて、蓋の閉鎖位置を確保する。 【0024】本発明による構成では、蓋が、その前部押圧面と後端範囲との間でその両方の縦辺にそれぞれ保持面を持ち、両保持面に本体側の支持体がそれぞれ対応している。 その際両方の保持面が、蓋の縦軸線に関して互いに対向しているのがよい。 【0025】更に本発明によれば、各保持面が蓋側の保持突起により形成されている。 蓋の各保持突起は、蓋の移動方向に対してほぼ直角に、本体側の切欠きを通つて開放位置へ本体の側方へはめ込み可能であり、ばね戻し作用に打勝つた後開放位置から閉鎖位置へ移動可能であり、閉鎖位置で各保持突起の保持面が本体側支持体に係合するのがよい。 【0026】別の本発明による変形例では、各保持面が平らに形成されている。 その際支持体は保持面に対して平行な対向保持面を形成することができる。 これに関して特に本発明による構成では、保持面及び対向保持面が傾斜し、蓋の閉鎖方向へ上昇している。 従つて蓋が開放位置から閉鎖位置へ押込まれた時、保持面と対向保持面が互いに拘束し合う。 それにより前述した構成と組合わせて又はその代りに、蓋の後端範囲と本体の後部支持台との間で、同様に閉鎖位置における蓋の拘束を行うことができる。 【0027】特に蓋が前述したように剛体である場合、 本発明によれば、保持面及び対向保持面が、蓋の閉鎖位置において、蓋の縦軸線に対して直角な回転軸線の周りに、蓋の限られた揺動を可能にするのがよい。 【0028】別の本発明による実施態様では、各保持突起が、それぞれ蓋の縦辺から始まつて直角に屈曲されかつ本体の側方を覆う保持腕の端部に設けられている。 【0029】蓋を移動操作するため本発明によれば、蓋の外方へ向く上部主面が、蓋の縦軸線に対して直角に延びかつ互いに逆に向く2つの移動操作面を持つている。 両方の移動操作面がつかみ凹所により形成され、これらのつかみ凹所が蓋の縦軸線の方向に互いに離れて設けられているのがよい。 この実施態様は、蓋が、つかみ凹所の間の範囲に、対向する保持面又は保持突起の間の弱められない材料連絡部を形成し、それにより充分大きいばね戻し作用の伝達が保証されるのを可能にする。 【0030】本発明の特に好ましい実施態様では、両方の保持突起のうち1つが、蓋の縦軸線に対して平行に延びる丁番軸線を持ちかつ蓋と本体とを結合する丁番結合装置の丁番素子を形成し、蓋の開放位置で丁番結合装置が閉鎖方向への蓋の移動を可能にする。 【0031】ドイツ連邦共和国特許第4421351号明細書から、揺動可能な蓋により交換刃を閉鎖可能に覆うことは公知であり、刃の背に隣接する揺動掛け金により蓋が閉鎖位置に拘束可能である。 この特許明細書によれば、別個の揺動掛け金が存在するが、本発明は、付加的な部材を使用することなく蓋が片側で掛け金部分により揺動され、それからこの掛け金部分が拘束位置へ移動されるように、蓋を構成する。 従つて本発明は特に有利に揺動掛け金も形成する。 【0032】更に本発明によれば、本体が丁番ピンを持ち、この丁番ピンの軸線方向長さが、移動方向に沿う移動操作面行程だけ、丁番素子を形成する保持突起の軸線方向幅より大きい。 丁番ピンを本体に物質的に一体に形成することができる。 【0033】本発明の別の有利な実施態様では、丁番素子を形成する保持突起が、丁番ピンをかぎ状に包囲するか、保持殻及びこれに付属する弾性挟み腕によりスナツプ係合するように包囲している。 従つて本発明は、かぎ丁番又は2つの弾性挟み腕により蓋を半径方向に丁番ピン上へ拘束するような丁番を使用する。 【0034】本発明は、原理的には、軸線方向に順次に続き所定破断線により互いに分離される破断部分から成る破断刃を持つナイフに使用可能であるが、本発明は交換可能な個別刃例えば台形刃、かぎ状刃等を持つナイフにも使用可能である。 このような個別刃の使用のため本発明によれば、刃が、刃支持面から蓋の方へ刃の厚さを越えて突出する少なくとも1つの保持ピンにより本体に固定され、蓋の内面が、保持ピンに合わされかつ蓋の移動方向に対して平行に延びかつ蓋の移動行程を考慮する軸線方向切欠き又は軸線方向溝を持つている。 このような保持ピンは、切断作業の際ナイフの縦軸線に対して平行に生ずる切断反作用力をほぼ完全に伝達できるように、構成されているのがよい。 本発明による蓋は、保持ピン上に刃を固定して刃の横方向移動を防止する。 【0035】別の構造による蓋は、後から前へ又は前から後へ閉鎖位置まで移動させることができるが、本発明の好ましい実施態様によれば、蓋が刃の先端から離れて後方へ閉鎖位置まで移動可能である。 従つて作業する手がナイフの握りを引くように握ると、蓋はそれをつかむ手により自動的に閉鎖位置へ引込まれ、それにより誤操作が大幅に防止される。 【0036】更に前述したように、刃支持面は刃の下部主面のため互いに離れて設けられる2つの載置体を形成し、この刃は蓋の前部押圧面により押圧されて、前部押圧面を外方へ押す押圧ばね素子を形成する。 【0037】従つて刃を同時に固定する閉鎖位置に蓋を保持するため、本発明は帯鋼刃の弾性を利用する。 この有利な構成に関連する本発明の別の実施態様によれば、 刃支持面が、移動方向に対して平行に直線的に延びかつ本体の内面から刃の下部主面に対して直角に刃の方へ突出する2つの軸線方向突起を形成し、これらの軸線方向突起がほぼ線状の2つの載置体をなしている。 【0038】この場合蓋の前部押圧面が、刃の上部主面をほぼ線状に押圧する押圧ひれを形成し、この押圧ひれが両方の線状載置体に対して平行に延びているので、蓋の閉鎖位置において刃がその縦軸線に沿つてほぼ殻状に弾性的に曲げられている。 本発明のこの手段により、側方力に対する刃の抵抗モーメントが著しく増大され、それにより例えば円弧状又は曲線状切断の際における切断の精度が著しく高められる。 この場合押圧ひれが両方の載置体のほぼ中間に延びているようにすることができる。 刃先の範囲における刃の適切な安定化は、押圧ひれが、刃の刃先に近い側で、両方の載置体の間に偏心して延びていることによつて、行うことができる。 【0039】 【実施例】図面には本発明の好ましい実施例が示されている。 図面において交換刃11を受入れるナイフは、それぞれの実施態様に関係なく符号10をつけられている。 ナイフ10は、本体13と蓋14とから成る握り1 2を持つている。 【0040】本体13は、前に即ち刃の先端15に隣接して、ほぼ台形の基本形状を持つ刃11いわゆる台形刃を支持する刃支持面16を形成している。 更に後方へ本体13は、両方向矢印xで示す蓋14の移動方向に対してほぼ平行に延びるそれぞれ1つの対向保持面31を持つ2つの支持体17を形成している。 本体13は更に平らな支持面19を持つ後部支持台18を持つている。 【0041】刃支持面16に対応して蓋14は、その前部範囲に、刃支持面16に面する前部押圧面20を持ち、この前部押圧面20が刃11の上部主面21を押圧している。 刃先端15とは反対の側にある蓋14の後端範囲22は、本体側後部支持台18の平らな支持面19 に面する平らな摺動面23を持つている。 【0042】支持体17は前で案内体24へ移行し、この案内体の軸線方向案内面25は蓋14の前部範囲にある軸線方向案内面26に対応している。 更に本体13は後部範囲に軸線方向案内面27を持ち、この軸線方向案内面は蓋側軸線方向案内面と共同作用する。 【0043】蓋14は、各縦辺に、直角に屈曲されて本体13の側方を下方へ覆う保持腕34を持ち、この保持腕は端部に保持突起29を持つている。 この保持突起2 9は上方即ち外方へ向く保持面30を持ち、この保持面30が各支持体17の下方へ向く対向保持面31に係合する。 【0044】本体13は、2つの後部側壁32と両方の支持体17との間にそれぞれ案内切欠き33を形成している。 蓋14は、保持突起29を持つそれぞれの保持腕34により、その移動方向xに対してほぼ直角に本体側の案内切欠き33を通つて、開放位置へ本体13にはめることができる。 【0045】蓋14が作業する手により内方へ向く押圧力Pを受けることによつて、図6に示すように、蓋14 はその鎖線で示す中立縦軸線LNから始まつて曲げられるので、撓み線LBが生ずる。 それにより弾性材料例えばガラス繊維PA又はPOMから成る蓋14は、ポテンシヤルエネルギーを得る。 さて蓋14が移動方向xに沿つて閉鎖方向Sへ移動されると、結局保持突起29の保持面30が支持体17の対向保持面31に係合する。 【0046】図4及び5によりこの過程が明らかにされる。 図5は蓋14の開放位置を概略的に示しているが、 蓋14は作業する手により及ぼされる押圧力Pにより既に下方へ押されているので、蓋14の縦軸線は撓み線L Bに従つている。 特に保持面30と対向保持面31との軸線方向間隔及び後部支持台18と後端範囲22との軸線方向関隔が示すように、方向Sへの移動方向xに沿う移動はまだ行われない。 図5に概略的に示すように、蓋14の前部押圧面20もまだ刃11の後部範囲上にある。 【0047】方向Sに閉鎖位置へ移動される蓋14が図4に概略的に示されている。 予荷重をかけられている蓋14は手の押圧力Pを除かれる。 拘束されて弾性的に予荷重をかけられている状態で蓋14は、その保持面30 を、その縦辺におけるばね戻し作用FRにより、下から対向保持面31へ押付ける。 他方予荷重をかけられている蓋14は、ばね戻し作用FRによりその前部押圧面2 0を刃11の上部主面21へ押付け、一方この刃11の下部主面55は刃支持面16上に載つている。 蓋14の後端範囲22は、ばね戻し作用FRによりその平らな摺動面23を上から後部支持台18の平らな支持面19へ押付けている。 摩擦結合で蓋14の閉鎖位置における固定を保証する。 【0048】図7には、図5に既に示した後部支持台1 8と蓋14の後端範囲22との相対位置が拡大断面図で示されている。 【0049】図8は、後端範囲22及び後部支持台18 がそれぞれ傾斜した平らな摺動面35,36をを持つていることを示す。 両方の摺動面35,36は閉鎖方向S へ角αで上昇している。 この構成により蓋14の一層強い撓み従つて一層大きいばね戻し作用が得られる。 上昇角αは、面35,36の間に自縛作用が生ずるような大きさにのみ選ぶのがよい。 【0050】図9は図8とは変つた構成を示し、ここでは後部支持台18が、閉鎖方向Sにおいて傾斜した平らな摺動面35の前に続いて、この摺動面36と鈍角βをなして傾斜する支持台側係合面37を持つている。 蓋1 4の後端範囲22は、閉鎖方向Sにおいて傾斜した平らな摺動面35の後に、支持台側係合面37に対して平行な係合面素子38を形成 する。 閉鎖方向Sにおいて係合面素子38の後に、支持台側の傾斜した摺動面36に対して平行な平らなストツパ面39が続いている。 係合面素子38が係合面37に接し、平らなストツパ面39 が傾斜した摺動面36に接する時、蓋14の閉鎖位置が得られることがわかる。 【0051】図10は、保持面30及び対向保持面31 が傾斜しかつ閉鎖方向Sへ上昇することを示している。 傾斜した保持面30が同じ角度で傾斜した対向保持面3 1へ係合できるようにするため、蓋14を閉鎖方向Sに左方へ移動させる前に、蓋14へまず押圧力を及ぼさねばならないことがわかる。 互いに接する傾斜した面3 1,30は、閉鎖方向Sとは逆への蓋14の移動を困難にする。 【0052】図11において後部支持台18は湾曲ばね40を持ち、 この湾曲ばねは係合素子41としての係合カム41を形成し、自由に突出する摺動脚42を持ち、43の所で後部支持台18に取付けられている。 【0053】図11によれば、保持面30及び対向保持面31は平らに形成されている。 図11に示す開放位置から矢印Sに従つて蓋14を閉鎖位置へ移動することができるために、蓋14を方向Sへ動かしさえすればよく、それにより蓋14の後端範囲22が係合カム41上へ乗り、この係合カムが係合素子としての係合凹所44 へはまると、蓋14は湾曲ばね40へ自動的に荷重をかける。 【0054】これに反し図12による実施例では、係合部が前方へ面30,31の範囲へ移されている。 ここで保持面30は凹に、対向保持面31はこれに対応して凸に構成されている。 これに反しばね40の自由摺動脚4 2は平らに構成されている。 図12の場合凸に湾曲して構成される保持面30を凹に構成される対向保持面31 に係合させるには、蓋14を閉鎖方向Sに左方へ動かす前に、まず上から押圧力Pを蓋14へ及ぼさねばならない。 その際ばね40の自由に突出する摺動脚42は押下げられ、従つて荷重をかけられる。 【0055】図12の実施例では、その代りに蓋14を前述したように剛体とすることができる。 凸に湾曲する保持面30が対向保持面31の下に係合すると、蓋14 の縦軸線Lに対して直角に延びる図示しない回転軸線が生じ、この回転軸線が蓋14の限られた揺動を可能にする。 【0056】図13〜16から明らかなように、両方の保持突起29のうち1つが、蓋14と本体13とを結合するため蓋14の縦軸線Lに対して平行に延びる丁番軸線Aを持つ丁番結合装置46の丁番素子45を形成している。 丁番素子45を形成する保持突起29は、保持殻48とこれに付属する弾性挟み腕49とにより、丁番ピン47にスナツプ係合してこれを包囲している。 保持殻48はほぼ殻部分状に片側へ開く軸受のように構成されている。 丁番ピン47の軸線方向長さは、移動方向xに沿う移動行程wだけ、丁番素子を形成する保持突起29 の軸線方向幅より大きい。 【0057】図13〜18からわかるナイフの機能は次の通りである。 まず図15において蓋14が側方へ開くように揺動されている。 その際蓋14の上部主面50が本体側当り面51上に載り、従つてこの当り面51が揺動制限部をなしている。 それから蓋14が本体13上へ閉じるように揺動され、丁番結合装置46とは反対の側にある保持突起29のかぎ爪52が、まず本体13の支持体17の切欠き53へはまり、一方かぎ爪52が切欠き73を形成し、この切欠き73によりかぎ爪52が支持体17の周りに係合する。 それにより蓋14の開放位置が得られる。 【0058】それからほぼつかみ凹所54の範囲で、蓋14の上部主面50に対して直角に、蓋14が図5及び6に示す押圧力Pを加えられ、閉鎖方向Sに後方へ移動されるので、図13及び図16〜18からわかる閉鎖位置が得られ、特に図16に明らかに示すように、この閉鎖位置で蓋14の保持面30が本体13の支持体17の対向保持面31の下に係合する。 【0059】図14〜16からわかるように丁番ピン4 7の周囲の一部に一体に形成される充填片76は、蓋1 4が開くように揺動される位置(図15)において、蓋14が閉鎖方向Sへ移動するのを防止する。 【0060】図18からわかるように、刃支持面16 は、移動方向xに平行に直線的に延びかつ本体13の内面から刃11の下部主面55に対して直角に刃11の方へ突出して2つのほぼ線状の載置体58,59をなす2 つの軸線方向突起56,57又は桟片を形成している。 蓋14の前部押圧面20は、刃11の上部主面21へ小さい面で又は線状に押圧力を加える押圧ひれ60を持ち、この押圧ひれ60は両方の線状載置体58,59に対してほぼ平行にかつ刃11の縦軸線y(図15参照) に対して平行に延びている。 しかも押圧ひれ60は、刃11の刃先61に近い側で、両方の載置体58,59の間に偏心して延びている。 押圧ひれ60のこの非対称配置により、刃11は特に刃先61に隣接して刃11の縦軸線yに対して平行に湾曲するので、刃11は、困難な切断作業例えばじゆうたんを敷く際曲線状切断線に関連して生ずる横方向力に対して、大きい抵抗モーメント及び慣性モーメントを与えられる。 【0061】図15からわかるように、刃11の厚さを越えて蓋14の方へ突出する2つの保持ピン62,63 により刃11が本体13に固定され、蓋14の内面64 が、保持ピン62,63に一致して移動方向xへ延びかつ蓋14の移動行程wを考慮するそれぞれ1つの軸線方向切欠き65及び軸線方向溝66を持ち、これらの切欠き及び溝へ保持ピン62,63の自由端がそれぞれはまることができる。 閉鎖方向Sへの蓋14の操作に用いられるつかみ凹所54のほかに、蓋14の上部主面50 は、蓋14を閉鎖方向Sとは逆に図14の開放位置へ動かすために操作される第2のつかみ凹所67を持つている。 つかみ凹所54,67は、互いに逆向きで蓋14の縦軸線Lに対してほぼ直角に延びる2つの操作面71, 72を持つている。 【0062】両方のつかみ凹所54,67は軸線方向に互いに離れて設けられている。 こうして蓋14は、両方のつかみ凹所54,67の間の軸線方向範囲に、保持突起29を持ちかつ互いに対向する2つの保持腕34の間に弱められない材料連絡部68を形成している。 従つてこの範囲はばね戻し作用FRを伝達するのに特に適している。 【0063】図17は閉鎖位置にある蓋14の後端範囲22を示している。 その他の点でこの図は図9に大幅に一致しているので、類似した部分には同じ符号を付けてある。 係合面37及び摺動面36は、植込みねじ70により本体13に交換可能に保持される挿入片69により形成されている。 挿入片69は、例えば大きい摩擦係数を持つ特に適したプラスチツクから作ることができ、本体13は例えばアルミニウムダイカストから作ることができる。 【0064】図1〜3による実施例とは異なり、図15 及び17からわかるように、後部軸線方向案内面27, 28は後端範囲22のみに限られている。 【0065】図19及び20には、本体13への蓋14 の拘束に関して異なる概略図が示されている。 図19によれば、支持体17は保持面30に内側から係合し、一方図20はその逆を示し、支持体17が外側から保持面30の周りに係合している。 【0066】握り12の後部範囲74は中空であり、こうして刃11の堆積空間として役立つ。 図15によれば、握り12の後部範囲74により包囲される空所は、 開口75を経て操作可能である。 【図面の簡単な説明】 【図1】本体と蓋から成る握りを持ちかつ破線で示す交換刃を持つナイフの斜視図である。 【図2】図1による本体の斜視図である。 【図3】図1による蓋の斜視図である。 【図4】ばね戻し作用の伝達にとつて重要な面を持つ図3の蓋の斜視図である。 【図5】図4による蓋の概略側面図である。 【図6】変形しない蓋及び弾性的に変形した蓋の縦軸線の概略側面図である。 【図7】蓋の後端範囲及び本体側後部支持台の縦断面図である。 【図8】図7とは異なる実施例の縦断面図である。 【図9】図7とは更に異なる実施例の縦断面図である。 【図10】本発明によるナイフの別の実施例の側面図である。 【図11】ナイフの更に別の実施例の側面図である。 【図12】ナイフの異なる実施例の側面図である。 【図13】揺動可能な蓋が閉鎖位置にあるナイフの具体的な実施例の平面図である。 【図14】蓋が開放位置にあるナイフの図13に対応する平面図である。 【図15】蓋が側方へ開かれるように揺動されているナイフの図13及び14に対応する平面図である。 【図16】図13のXVI−XVI線による断面図である。 【図17】図14のXVII−XVII線による断面図である。 【図18】図13のXVIII−XVIII線による断面図である。 【図19】図16とは異なる実施例の概略横断面図である。 【図20】異なる実施例の図19に対応する概略横断面図である。 【符号の説明】 10 ナイフ 11 交換刃 12 握り 13 本体 14 蓋 15 又の先端 16 刃支持面 17 支持体 18 後部支持台 20 前部押圧面 22 後端範囲 30 保持面 |