【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、もやしの根を切除するもやしの根切除方法及び根切除装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、もやしの見栄えを良くして商品価値を高めるために、収穫されたもやしの根を切除してから袋詰めして出荷する場合がある。 このようなもやしの根の切除作業を自動化するために、特開平10−136 959号公報に示すように、収穫されたもやしを搬送するコンベアの上面に、移動方向と直角に第1の角材を取り付けると共に、このコンベアの上方に、第1の角材と平行に第2の角材を配置して、この第2の角材をコンベアよりも速い速度で移動させて停止するという動作を繰り返すことによって、2本の角材間にもやしの根を挟み込んで切り落とすようにしたものがある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報のように、コンベアと角材の水平方向の相対移動でもやしの根を挟み込んで切り落とす方法では、もやしの根が2本の角材間に挟み込まれる動作がスムーズに行われるとは言い難く、根の切除能率が悪く、大量のもやしの根を切除するには不向きである。 しかも、根の切除能率が悪いために、根の切除作業に時間がかかり、その分、コンベア上でもやしが擦れ合う時間が長くなってもやしが傷みやすく、品質が低下するという欠点もある。 【0004】本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、根切除作業時のもやしの傷みをできるだけ少なくしながら、もやしの根を能率良く切除することができ、生産性向上と品質向上とを実現することができるもやしの根切除方法及び根切除装置を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の請求項1のもやしの根切除方法は、もやしの根が落ち込み可能な隙間幅の切断スリットを多数有する切断テーブル上にもやしを供給し、且つ、この切断テーブル上に散水することで、切断テーブル上のもやしの根を切断スリット内に流し込み、切断スリットに落ち込んだもやしの根をカッターブレードで切除するようにしたものである。 この場合、切断テーブル上に散水された水は、切断スリットから流出するため、切断テーブル上に供給されたもやしの根は、切断スリットに向かって流れる水流によって切断スリット内にスムーズに流し込まれて、カッターブレードで切除される。 これにより、もやしの傷みをできるだけ少なくしながら、もやしの根を能率良く切除することができ、生産性を向上しながら品質も向上することができる。 【0006】この場合、カッターブレードと切断テーブルとの関係は、いずれか一方を移動させれば良く、また、カッターブレードを移動させる場合は、切断テーブルの厚みが薄ければ、カッターブレードを切断テーブルの下面に沿って移動させても良いが、請求項2のように、カッターブレードを切断テーブルの上面に沿って移動させることが好ましい。 このようにすれば、カッターブレードは、もやしの根を切除する役割の他に、切除後のもやしを切断テーブル上から搬出する役割を果たし、 カッターブレードの移動によって、もやしの根の切除ともやしの搬出とを連続的に極めて能率良く行うことができる。 【0007】また、切断テーブルは、例えば金属板に切断スリットを打ち抜き加工等により形成して構成しても良いが、請求項3のように、もやしの根を切断するためのエッジが形成された多数の棒状部材を、もやしの根が落ち込み可能な幅の隙間を隔てて平行に配列して切断テーブルを構成し、各棒状部材間の隙間を切断スリットとするようにしても良い。 このようにすれば、もやしの種類や大きさに応じて、棒状部材間の間隔を変更することで、切断スリットの隙間幅を簡単に調整することができる。 【0008】ところで、平板状に形成したカッターブレードを切断スリットと平行に設置すると、カッターブレードの刃先で切断スリット内の全てのもやしの根を同時に挟み込んで切除しなければならないため、切除時の負荷が大きくなり、その分、カッターブレードの駆動モータの駆動力を大きくする必要があり、駆動モータの大型化や消費電力量増加を招く欠点がある。 【0009】そこで、請求項4のように、カッターブレードは、刃先が上方から見て切断スリットに対して斜め方向に交差するようにジグザグ状に形成しても良い。 このようにすれば、カッターブレードの刃先が切断スリットを通過する際に、カッターブレードの刃先が切断スリットのエッジと斜めに交差して、その交差点がカッターブレードの移動に伴って切断スリットのエッジに沿って移動するため、切断スリット内のもやしの根を徐々に切除することができ、もやしの根を切除しやすくなると共に、カッターブレードの駆動モータの駆動力も小さくて済み、その分、駆動モータの小型化、低消費電力化が可能となる。 【0010】この場合、カッターブレード全体をジグザグ状に形成しても良いが、カッターブレードの上端縁がジグザグ状に形成されていると、カッターブレードの上方からもやしを切断テーブル上に供給する際に、もやしがカッターブレードの上端縁に引っ掛かる割合が多くなる。 【0011】そこで、請求項5のように、カッターブレードは、上側ほど切断スリットに対する傾斜角度が小さくなるように形成して、上端縁を一直線状に形成しても良い。 このようにすれば、カッターブレードの上方からもやしを切断テーブル上に供給する際に、もやしがカッターブレードの上端縁に引っ掛かる割合が著しく少なくなる。 【0012】更に、請求項6のように、カッターブレードの上端縁に、もやしを滑り落とすための滑り落し手段を設けても良い。 このようにすれば、もやしがカッターブレードの上端縁に引っ掛かることを滑り落し手段によって一層確実に防止することができる。 【0013】ところで、カッターブレードを搬出方向のみに移動させると、切断テーブル上のもやしがカッターブレードで掻き集められて積み重なった状態となり、その上層側のもやしの根を切除できないことがある。 【0014】この対策として、請求項7のように、カッターブレードの移動は、所定距離の前進と、その前進距離よりも短い距離の後退とを交互に繰り返すようにしても良い。 このようにすれば、カッターブレードの後退時に切断テーブル上のもやしの積み重なり状態を崩して、 未切除のもやしの根を切断スリット内に流し込むことができ、切断テーブル上に積み重なったもやしの根をむらなく切除することができる。 【0015】また、請求項8のように、カッターブレードを所定間隔で複数枚配置し、各カッターブレードを、 回転駆動されるチェーンに連結するようにしても良い。 このようにすれば、複数枚のカッターブレードを単一の駆動源で駆動することができ、駆動系の構造を簡単化できる。 【0016】また、本発明のもやしの根切除方法を実施する際に用いるもやしの根切除装置は、請求項9のように、もやしの根が落ち込み可能な隙間幅の切断スリットを多数有する切断テーブルと、この切断テーブル上に配置されたカッターブレードと、前記切断テーブル上にもやしを供給するもやし供給手段と、前記切断テーブル上に散水する散水手段と、前記カッターブレードを前記切断テーブルの上面に沿って移動させるカッター駆動手段とを備えた構成としても良い。 これにより、根切除作業時のもやしの傷みをできるだけ少なくしながら、もやしの根を能率良く切除することができるもやしの根切除装置を実現できる。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。 まず、もやしの根切除装置の構成を説明する。 切断テーブル11は、断面が三角形状の棒状部材12を所定間隔で平行に配列して構成されている。 各棒状部材12は、1つの角部が下向きになり、残り2つの角部が水平方向に位置するように固定されている。 各棒状部材12の角部は、もやしの根を切断するためのエッジ(刃)となるように形成され、各棒状部材1 2のエッジ間に形成される切断スリット13の隙間寸法は、もやしの根が落ち込み可能な寸法に設定されている。 例えば、もやしの茎の太さが2.5〜5mmである場合は、各棒状部材12のエッジ間の切断スリット13 の隙間寸法は、1.5〜2.5mm、より好ましくは、 もやしの茎の太さのほぼ半分程度に設定すると良い。 【0018】この切断テーブル11上には、複数枚のカッターブレード14が所定間隔で配置され、各カッターブレード14はチェーン15(カッター駆動手段)に連結されている。 このチェーン15は、切断テーブル11 の入口側と出口側に配置されたスプロケット16,17 にかけ渡され、モータ(図示せず)によってチェーン1 5が回転駆動されることで、各カッターブレード14が切断テーブル11の上面に沿って切断スリット13と直角方向に移動される。 この際、各カッターブレード14 の刃先(下端縁)が棒状部材12の上面に軽く摺接し又は僅かなクリアランスをあけて移動し、図4に示すように、各棒状部材12間の切断スリット13に落ち込んだもやしの根をカッターブレード14の刃先で切除する。 【0019】図2に示すように、各カッターブレード1 4は、刃先が上方から見て切断スリット13に対して斜め方向に交差するようにジグザグ状に形成され、且つ、 各カッターブレード14は、上側ほど切断スリット13 に対する傾斜角度が小さくなるように形成され、上端縁が一直線状に形成されている(図1及び図3参照)。 更に、各カッターブレード14の上端縁には、もやしを滑り落とすためのパイプ状の滑り落し手段18が設けられている。 【0020】また、切断テーブル11の上方には、切断テーブル11上に散水するための複数の散水樋19(散水手段)が所定間隔で配置されている。 各散水樋19 は、供給された水をオーバーフローさせることで、切断テーブル11上に散水する。 切断テーブル11の入口側には、もやし供給コンベア20(もやし供給手段)が設置され、このもやし供給コンベア20によって切断テーブル11上にもやしが連続的に供給される。 また、切断テーブル11の出口側には、カッターブレード14の移動によって切断テーブル11から掻き出されるもやしを搬送する搬送コンベア21が設置されている。 【0021】以上のように構成されたもやしの根切除装置の稼働中は、モータによりチェーン15を回転駆動して各カッターブレード14を切断テーブル11の上面に沿って切断スリット13と直角方向に移動させると共に、各散水樋19に水を供給して各散水樋19から水をオーバーフローさせることで、切断テーブル11上に散水しながら、もやし供給コンベア20でもやしを切断テーブル11上に連続的に供給する。 【0022】切断テーブル11上に散水した水は、各棒状部材12間の切断スリット13から流出するため、切断テーブル11上に供給されたもやしの根は、切断スリット13に向かって流れる水流によって切断スリット1 1内にスムーズに流し込まれて(図4参照)、カッターブレード14で切除される。 これにより、もやしの傷みをできるだけ少なくしながら、もやしの根を能率良く切除することができ、生産性を向上しながら品質も向上することができる。 【0023】切断テーブル11上で根が切除されたもやしは、カッターブレード14の移動によって切断テーブル11から搬送コンベア21上に掻き出され、次の工程(例えばもやし洗浄工程)へ搬送される。 これにより、 カッターブレード14は、もやしの根を切除する役割の他に、切除後のもやしを切断テーブル11上から搬出する役割を果たし、カッターブレード14の移動によって、もやしの根の切除ともやしの搬出とを連続的に極めて能率良く行うことができる。 【0024】ところで、カッターブレード14を搬出方向のみに移動させると、切断テーブル11上のもやしがカッターブレード14で掻き集められて積み重なった状態となり、その上層側のもやしの根が切除できないことがある。 【0025】この対策として、カッターブレード14の移動は、所定距離の前進と、その前進距離よりも短い距離の後退とを交互に繰り返すようにすることが望ましい。 このようにすれば、カッターブレード14の後退時に切断テーブル11上のもやしの積み重なり状態を崩して、未切除のもやしの根を切断スリット13内に流し込むことができ、切断テーブル11上に積み重なったもやしの根をむらなく切除することができる。 この場合、前進距離と後退距離の割合は、例えば、2:1又は3:1 又は4:1等に設定すれば良い。 【0026】本実施形態では、カッターブレード14 を、刃先が上方から見て切断スリット13に対して斜め方向に交差するようにジグザグ状に形成したが、これに代えて、平板状に形成したカッターブレードを用いても良い。 しかし、平板状に形成したカッターブレードを切断スリット13と平行に設置すると、カッターブレードの刃先で切断スリット13内の全てのもやしの根を同時に挟み込んで切除しなければならないため、切除時の負荷が大きくなり、その分、カッターブレードの駆動モータの駆動力を大きくする必要があり、駆動モータの大型化や消費電力量増加を招く欠点がある。 【0027】その点、本実施形態では、カッターブレード14を刃先が上方から見て切断スリット13に対して斜め方向に交差するようにジグザグ状に形成しているため、カッターブレード14の刃先が切断スリット13を通過する際に、カッターブレード14の刃先が切断スリット13のエッジと斜めに交差して、その交差点がカッターブレード14の移動に伴って切断スリット13のエッジに沿って移動するようになる。 このため、切断スリット13内のもやしの根を徐々に切除することができ、 もやしの根を切除しやすくなると共に、カッターブレード14の駆動モータの駆動力も小さくて済み、その分、 駆動モータの小型化、低消費電力化が可能となる。 【0028】この場合、カッターブレード14全体をジグザグ状に形成しても良いが、カッターブレード14の上端縁がジグザグ状に形成されていると、カッターブレード14の上方からもやしを切断テーブル11上に供給する際に、もやしがカッターブレード14の上端縁に引っ掛かる割合が多くなる。 【0029】その点、本実施形態では、カッターブレード14を、上側ほど切断スリット13に対する傾斜角度が小さくなるように形成して、上端縁を一直線状に形成しているため、カッターブレード14の上方からもやしを切断テーブル11上に供給する際に、もやしがカッターブレード14の上端縁に引っ掛かる割合が著しく少なくなる。 更に、カッターブレード14の上端縁に、もやしを滑り落とすための滑り落し手段18を設けているので、もやしがカッターブレード14の上端縁に引っ掛かることを滑り落し手段18によって一層確実に防止することができる。 【0030】ところで、平板状に形成したカッターブレードを用いる場合は、切断スリット13に対してカッターブレードを傾斜させて配置しても、カッターブレードと切断スリット13とを斜め方向に交差させることができるが、カッターブレードを傾斜させると、カッターブレードに押されて移動するもやしが徐々にカッターブレードの傾斜に沿って片側に片寄って積み重なった状態となってしまい、その上層側のもやしの根が切除できないことがある。 【0031】その点、本実施形態では、カッターブレード14を刃先が上方から見て切断スリット13に対して斜め方向に交差するようにジグザグ状に形成しているため、カッターブレード14をその移動方向に対して直角に配置しても、カッターブレード14の刃先を切断スリット13に対して斜め方向に交差させることができる。 このため、カッターブレード14に押されて移動するもやしがカッターブレード14の片側に片寄ってしまうことを防止でき、カッターブレード14全体を有効に利用してもやしの根をむらなく切除することができる。 【0032】尚、平板状に形成したカッターブレードを用いる場合は、そのカッターブレードの移動方向に対して棒状部材12(切断スリット13)を斜め方向に交差させるように配置すると良い。 このようにすれば、カッターブレードが移動方向に対して直角に配置されるため、カッターブレードによって押されて移動するもやしがカッターブレードの片側に片寄らずに済む。 【0033】また、本実施形態では、切断テーブル11 を固定してカッターブレード14を移動させるようにしたが、これとは反対に、カッターブレード14を固定して切断テーブル11を移動させるようにしても良い。 【0034】また、切断テーブル11は、例えば金属板に切断スリットを打ち抜き加工等により形成して構成しても良いが、本実施形態のように、もやしの根を切断するためのエッジが形成された多数の棒状部材12を、もやしの根が落ち込み可能な幅の隙間を隔てて平行に配列して切断テーブル11を構成し、各棒状部材12間の隙間を切断スリット13とすれば、もやしの種類や大きさに応じて、棒状部材12間の間隔を変更することで、切断スリット13の隙間幅を簡単に調整することができる。 この場合、棒状部材12は、断面が三角形状のものに限定されず、棒状部材12の少なくとも1つの角部がもやしの根を切断するためのエッジとなるように形成されていれば良い。 【0035】また、切断スリット13の隙間幅を少し大きめに形成して、切除工程の時間を長くすれば、もやしの根の切除の他に、もやし上端の葉部も切断して、もやしの茎のみの商品も生産することができる。 【0036】尚、金属板に切断スリットを打ち抜き加工等により形成して構成した切断テーブルを用いる場合は、切断テーブルの厚みが薄いため、カッターブレードを切断テーブルの下面に沿って移動させるようにしても良い。 【0037】また、本実施形態では、切断テーブル11 上に散水するための散水手段として水をオーバーフローさせる散水樋19を用いたが、シャワー装置等を用いても良いことは言うまでもない。 その他、本発明は、カッターブレード14を駆動する構造を適宜変更しても良い。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施形態を示すもやしの根切除装置の正面図【図2】切断テーブルの一部分の平面図【図3】カッターブレードの一部分の斜視図【図4】切断テーブルとカッターブレードでもやしの根を切除するときの状態を示す主要部の斜視図【符号の説明】 11…切断テーブル、12…棒状部材、13…切断スリット、14…カッターブレード、15…チェーン(カッター駆動手段)、16,17…スプロケット、18…滑り落し手段、19…散水樋(散水手段)、20…もやし供給コンベア(もやし供給手段)、21…搬送コンベア。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI テーマコート゛(参考) B26D 7/08 B26D 7/08 Z Fターム(参考) 3C021 EA08 3C024 BB00 3C027 GG03 GG04 GG07 |