【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、収穫されたもやしに付いている、またはもやしに混じっている滓、殻、細かい根等を除去することによってもやしを精製する装置に関する。 【0002】 【従来の技術】収穫されたもやしには、原料豆の殻や滓、それに細かい根等の不要物が重量にして約10%含まれている。 収穫されたもやしからこれらの不要物を取り除くため従来は多量の水を入れた水槽内にもやしを浸漬し、殻や滓等の不要物を沈降させて除去する方法をとっていた。 【0003】しかしながら、従来のこのやり方では、多量の水を必要とするばかりか、工場内に大きな水槽を置くための広いスペースを必要とする。 従来のやり方の更に大きな欠点は、洗浄工程でもやしの折損がおこり、また、水中にある間にもやしが過剰に吸水することによって著しく日持ちが悪くなるということであった。 【0004】そこで本出願人は先に水を使わずに、穴あき無端ベルトにもやしを載せて搬送しつつその無端ベルトを振動させて、もやしから殻や滓等の不要物を除去するようにしたもやし精製装置を提供した(特願昭54− 25752号)。 この装置は極めて有効であるが、もやしから不要物を完全に除去するという面ではなお不十分な面があった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のもやし精製装置とは全く考え方を異にするもやし精製装置を提供するものであって、水槽を使用しないことはもとより、小さいスペースを占めるにすぎないながら、もやしから不要物を満足できる状態まできれいに除去できる性能を持つ装置を提供することを課題としている。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は前記した課題を解決するため、水に濡れ易い表面を持つ無端平ベルトを移動方向が上向きになるように傾斜させて支持する振動フレーム、前記無端平ベルトを前記移動方向に走行させる駆動装置、前記無端平ベルト上のもやしを同ベルトの移動方向と反対方向に送るよう前記振動フレームに前記無端平ベルトの移動方向と反対向きの振動を与える加振機、及び前記無端平ベルトに対向して配設され同ベルトへの付着物を除去するスクレーパを有することを特徴とするもやし精製装置を提供する。 【0007】本発明による装置で用いる無端平ベルトは穴なしの無端平ベルトベルトが好ましいが、穴あきのベルトであってよい。 また、そのベルトは一段でもよいが、二段以上の複数段を直列に配置したものとして構成し精製機能を更に高めたものにするのが好ましい。 この場合、2段以上の無端平ベルトを上下に積層状態に直列に配置した構成すればスペース節約上有効である。 【0008】本発明のもやし精製装置は前記した構成を有しているので、その無端平ベルト上に供給されたもやしは、無端平ベルトの移動方向と反対向きの振動を与えられて無端平ベルト上をその傾斜に沿ってだんだん下方へ送られてゆく。 その間、跳ね上げと進行を繰り返しそれによってもやしの細い根の部分が折られる。 このように折られた根や、もやしに付着したり混っていた不要物は表面が水に濡れている無端平ベルトの上面に付着し、 もやしの移送方向とは反対向きに無端平ベルトの移動と共に上向きに移送されて行く。 【0009】無端平ベルトの水に濡れた表面に付着して無端平ベルトと共に上方に運ばれた不要物は無端平ベルトに対向して配設され同ベルトへの付着物を除去するスクレーパによって取り除かれて排出される。 無端平ベルトの下端に達したもやしはそのまま製品として収穫されるか、同様の精製作用を行う次段の無端平ベルトに供給され更にきれいなもやしとなる。 【0010】無端平ベルトを複数段配置したものでは、 もやしに対して上記した精製操作を各段で繰り返し精製度を高める。 【0011】 【発明の実施形態】以下、本発明によるもやし精製装置を添付した図1に示した実施の一形態により詳細に説明する。 図1は、本発明よるもやし精製装置の全体構成を示している。 図1において、1は下方のもやし貯槽(図示していない)からもやしを持ち上げてくる掻き上げコンベアで、針状体を植設した無端平ベルトを使っている。 2は掻き上げコンベア1の針状体にくっついているもやしを分離するためのエアーブローである。 【0012】掻き上げコンベア1の下方にはリンク4によって支点5の回りに揺動自在に支持された振動フレーム3が配設されている。 振動フレーム3は、右下がりに約10゜傾斜して配設されている。 振動フレーム3には、二つのロール7と8が回転自在に支持されており、 これにゴム製の無端平ベルト6が架け渡されている。 ロール8は駆動モータ9によって駆動回転され、これによって無端平ベルト6は傾斜の上向きに矢印方向に移動される。 【0013】振動フレーム3にはその下部に振動フレーム3を加振するための回転式の加振機11が取り付けられている。 この加振機11は例えば、毎分1000〜2 000回の振動数を有している。 振動フレーム3はリンク4によって支点5の回りに揺動自在に支持されているので、加振機11によって振動を与えられた振動フレーム3は、図1に白矢印で示す方向に揺動する。 これによって、無端平ベルト6上のもやしは無端平ベルト6の移動方向とは反対向きに下方に送られる。 【0014】一方、もやしの根や、もやしに付着したり混っていた不要物は表面が水に濡れている無端平ベルト6の上面に付着し、もやしの移送方向とは反対の下向きに無端平ベルト6の移動と共に移送される。 無端平ベルト6の戻り側には無端平ベルト6の表面と係合関係を保って滓とり用のスクレーパ12が配設されている。 スクレーパ12の下側にはスクレーパ12によって無端平ベルト6から剥ぎとられた滓を受けるトレー13が配設されている。 【0015】図示してあるように、無端平ベルト6、加振機11などを有しリンク4によって支点5の回りに揺動自在に支持された前記したと同じ構造の振動フレーム3が下に更に二段配置されている。 これらの振動フレーム3等は全てフレーム10によって支持されているのであるが、図面を分かりやすく簡略化するためその詳細構造は図示を省略している。 【0016】なお、図示した装置では振動フレーム3は3段設けられているが、必要に応じて二段でも四段以上の振動フレームを設けて精製をより良好に行わせてもよい。 また、図示した装置では振動フレーム3を加振するのに回転式の加振機11を使っているが、偏心カムや、 ピストン・クランク式の加振機を使ったり、或いは、特願昭54−25753号に示したようなバネとレバーを用いて斜め上方にもやしを放り上げるような機構を採用してもよい。 【0017】以上説明した装置によれば次のようにしてもやしを精製することができる。 精製すべきもやしは、 図示していない貯槽から掻き上げコンベア1によってもやしの塊を分解しながら掻き上げられ、振動フレーム3 上の無端平コンベア6の上に落下される。 【0018】振動フレーム3は加振機11によって加振されているので、前記したように、もやしは無端平コンベア6の上で下向きに跳ね上げられつ、無端平コンベア3の傾斜に沿って次第に下の方に移動される。 一方、もやしに含まれていた根、殻、滓などの不要物は無端平コンベア6の表面上に付着した状態で無端平コンベア6と共に上向きに移送され、スクレーパ8によって掻き取られてトレー13に排出される。 【0019】精製されたもやしは、無端平コンベア6の右端から下段の無端平コンベア6の上に落下され、もやしに残っている不要物が除去されもやしは更に精製され、きれいなもやしとして取り出される。 【0020】以上、本発明を実施の一形態について図面に基づいて具体的に説明したが、本発明の装置はこの実施形態に制限されるものではなく、種々の変更を加えてよいことはいうまでもない。 例えば前記した実施形態では、無端平ベルトの傾斜を10°としているが、この角度は取り扱うもやしの形状に応じてよりよい結果をもたらすよう適宜の角度を選定すべきである。 【0021】また、前記した実施形態では振動フレーム3を上下に九十九折り状態に重ねているが、横にスペースを取れる場合には、これを横に並べた状態で直列に配置してもよい。 【0022】 【発明の効果】以上のように、本発明のもやし精製装置によれば、もやしの日持ちを悪くする水を使わずにもやしを精製することができる。 特に、本発明の装置は、移動方向に対して上向きに傾斜させた振動フレームに無端平ベルトを支持させ、その無端平ベルトの表面に付着した根や滓等は無端平ベルトとともに上方へ、一方、無端平ベルト上のもやしに対しては下向きに送る振動を与えるようにした独特の構成を用いて、従来見られなかった効率の良いもやし精製を可能としている。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施例によるもやし精製装置の構成を示す側面図。 【符号の説明】 1 掻き上げコンベア 2 エアーブロー 3 振動フレーム 4 リンク 5 支点 6 無端平ベルト 7 ロール 8 ロール 9 駆動モータ 10 フレーム 11 加振機 12 スクレーパ 13 トレー |