有機物含有の処理装置及び方法

申请号 JP2014104021 申请日 2014-05-20 公开(公告)号 JP6322477B2 公开(公告)日 2018-05-09
申请人 国立大学法人 熊本大学; 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構; 发明人 浪平 隆男; 関野 宏之; 川村 和幸; 国司 洋介;
摘要
权利要求

油田随伴から油分、固形分を除去して水溶性有機物及び揮発性有機物を含有する1次処理水を得る分離手段と、 前記1次処理水に含有される前記水溶性有機物及び揮発性有機物を分解する分解手段と、を備え、 前記分解手段は、 外側の第1の電極と、第1の電極の内部空間内で当該第1の電極の長さ方向に延びる第2の電極と、からなる電極対と、 前記電極対にパルス高電圧を付与するパルス電源と、 前記第1の電極の内部空間と連通する被処理水の導入口及び排出口と、 前記第1の電極の内部空間と連通する酸素含有ガスの導入口及び排出口と、 を備え、 前記パルス電源は、パルス幅10ns以下で電圧立ち上がり速度10kV/ns以上のパルスを生成するナノ秒パルス電源であり、前記導入口から前記内部空間に噴霧された前記1次処理水中の前記水溶性有機物及び揮発性有機物が、酸素雰囲気下で生成されたナノ秒パルス放電プラズマに曝されて分解される、 油田随伴水の処理装置。前記第2の電極は、前記第1の電極の内部空間内で当該第1の電極の長さ方向に延びており、 前記第2の電極は、第1端と第2端を有し、第1端側に入された高周波電圧信号としてのパルスが第2端に向かって進行するようになっており、 前記第1の電極の内周面と前記第2の電極間の距離を、第1端側からパルスの進行方向に向かって漸次小さくしてなる、請求項1に記載の処理装置。前記第2の電極は、前記第1の電極の内部空間内で当該第1の電極の長さ方向に延びており、 前記第2の電極は、第1端と第2端を有し、第1端側に入力された高周波電圧信号としてのパルスが第2端に向かって進行するようになっており、前記第2端は開放端であり、 前記第1の電極の内周面と前記第2の電極間の距離を、第1端側からパルスの進行方向に向かって、第2の電極の所定部位まで漸次小さくすると共に、前記所定部位から第2端に向かって漸次大きくしてなる、請求項1に記載の処理装置。前記第1の電極は筒状電極であり、前記第2の電極は、前記第1の電極の内部空間内で当該第1の電極の長さ方向に延びており、 前記第2の電極は、第1端と第2端を有し、第1端側に入力されたパルスが第2端に向かって進行するようになっており、 第1の電極の内径bと、第2の電極の外径aとの比b/aが、第1端側及び第2端側に比べて、第2の電極の長さ方向中間部位で大きくなっている、請求項1に記載の処理装置。酸素含有ガスが、前記外側電極の内周面に沿って渦流を形成するように噴射される、請求項1〜4いずれか1項に記載の処理装置。油田随伴水から油分、固形分を除去して水溶性有機物及び揮発性有機物を含有する1次処理水を得る工程と、 前記1次処理水を放電プラズマに曝して前記水溶性有機物及び揮発性有機物を分解する分解工程と、を備え、 前記放電プラズマはパルス幅10ns以下で電圧立ち上がり速度10kV/ns以上のパルスを出力するナノ秒パルス電源によって生成され、 前記分解工程は、 1次処理水をナノ秒放電プラズマ中に噴霧させる工程と、 噴霧され、ナノ秒放電プラズマに曝された1次処理水を回収する工程と、 回収された1次処理水をナノ秒放電プラズマ中に噴霧させる工程と、 を繰り返すものである、 油田随伴水の処理方法。前記1次処理水及び回収された1次処理水は、酸素含有ガスと共にナノ秒放電プラズマ中に噴射される、請求項6に記載の処理方法。

说明书全文

本発明は、有機物含有の処理方法及び装置に係り、特に、難分解性有機物を含有する水の分解方法及び装置に関するものである。本発明の1つの好ましい実施形態では、難分解性有機物を含む水は油田随伴水である。

油田やガス田から産出される油田随伴水の中には、油分に加えて、難分解性の水溶性有機物(フェノール、多環芳香族炭化水素等)や重金属類が含まれている場合が多い。このような油田随伴水を未処理の状態で環境に放出することは避けるべきであり、油田随伴水に含まれる油分、重金属類、水溶性有機物等をいかに処理するかは重要な課題である。

油分含有水から油分を除去するための手法として、幾つかの提案がなされている。 特許文献1には、油を含有する被処理水から油成分を除去する油水分離装置において、被処理水を、エマルジョン化生成手段あるいは油相除去手段により、含有油をエマルジョン化し、これに磁性粉及び凝集剤を注入して磁性フロックを形成し、前記磁性フロックを磁気により吸引分離して大気中で回収する手法が開示されている。 特許文献2には、原油採掘工程等で排出される原油含有排水の廃水処理に関して、原油含有排水中に懸濁状態で浮遊している油分を、有機系の高分子凝集剤を使って、凝集沈殿分離し、さらに、廃水中に溶解している油分を、高分子凝集剤と酸化剤を使って、酸化分解する工程を設けた、原油含有排水の廃水処理方法、が開示されている。 特許文献3には、油田随伴水に磁性粉を含んだ凝集剤を混入させることで、油田随伴水中の油分や固形分(重金属類を含む)をフロック化し、磁気ドラムで取り除く凝集磁気分離システムが提案されている。 これらの手法は、油田随伴水から油分等を除去する一次処理手法として用いられ得る。

油田随伴水から油分や固形分を除去した場合であっても、一次処理水には、多量・多種の水溶性有機物が含まれており、これらを如何に処理するかが問題となる。 特許文献4、特許文献5では、「油田随伴水の油滴を除去したとしても、依然として、大量の有機化合物、例えば、酢酸、プロピオン酸、吉草酸などが溶存し、これらが悪臭や環境に対するダメージの原因であるとして、その除去が検討されている。」という課題に言及しており、油田随伴水に含まれる溶存有機化合物を除去する処理方法を提案している。

特許文献4には、原油と塩水との混合物から原油を分離して得られた油田随伴水と吸着剤を接触して、油田随伴水中の溶存有機物を吸着除去し、該吸着剤から被吸着物を脱着し吸着剤を再生することを特徴とする油田随伴水中の溶存有機物の除去方法、が開示されている。 特許文献5には、原油の採掘により産出された原油産出水から油を分離除去した後の油田随伴水を、SiO2/Al2O3のモル比が100〜200の範囲内にあるゼオライトと接触させて、前記油田随伴水に含まれている溶存有機化合物を吸着除去するようにしたことを特徴とする油田随伴水の処理方法、が開示されている。

上記従来の手法は、吸着剤を用いた溶存有機物の分離除去に主眼が置かれており、除去された有機物をさらに処理する必要があった。特許文献4では、吸着処理の前処理として、曝気処理装置を用いた揮発性有機化合物の気化除去、吸着処理の後処理として、吸着剤の加熱再生及び排気ガス中の有機化合物の燃焼、が行われる。 本発明者等は、多種多様な有機物(多種の水溶性有機物、多種の揮発性有機物)を含有する油田随伴水を一括して処理することを目指して放電に着目し、溶存有機加工物を吸着除去する手法とは異なるアプローチで油田随伴水を処理することを考えた。 特に、油田随伴水には、採掘現場毎に多種多様の有機物が含まれ得るものであり、これらを一括して分解除去できれば有利である。

放電を用いた水処理自体は既に知られており、例えば、特許文献6、特許文献7、特許文献8に記載されている。しかしながら、よりコンパクトかつ簡易な装置でより高効率の処理が望まれている。また、油田随伴水に限らず、多種の難分解性の有機物を含有する水の有機物を効率良く処理することが望まれている。

特開2003−144805

特開2004−255290

特開2012−40536

特許5098334号

特開2007−283203

特許第4073240号

特開2009−241055号

特開2012−236131

本発明は、簡単な構成でありながら、難分解性の有機物を含有する水から有機物を分解除去する装置及び方法を提供することを目的とするものである。

本発明が採用した第1の技術手段は、 外側の第1の電極と、第1の電極の内部空間内で当該第1の電極の長さ方向に延びる第2の電極と、からなる電極対と、 前記電極対にパルス高電圧を付与するパルス電源と、 前記第1の電極の内部空間と連通する被処理水の導入口及び排出口と、 前記第1の電極の内部空間と連通する酸素含有ガスの導入口及び排出口と、 を備えた処理装置であって、 前記パルス電源は、パルス幅10ns以下で電圧立ち上がり速度10kV/ns以上のパルスを生成するナノ秒パルス電源であり、前記導入口から前記内部空間に噴霧された被処理水中の有機物が、酸素雰囲気下で生成されたナノ秒パルス放電プラズマに曝されて分解される、 有機物含有水の処理装置、である。 1つの態様では、第1の電極は、筒状電極であり、第2の電極は、筒状電極の中心を当該筒状電極の長さ方向に延びる線状ないしロッド状の中心電極である。 1つの態様では、前記パルス電源のパルス出力の伝送路は前記第2の電極に電気的に接続されており、電圧立ち上がり速度10kV/ns以上のパルスが当該第2の電極に供給され、前記第2の電極から前記第1の電極へ向かって放射状にストリーマが進展してプラズマ放電が行われ、前記導入口から導入された被処理水中の有機物が、前記プラズマ放電に曝されて分解される。

電圧立ち上がり速度10kV/ns以上を得るためには、例えば、印加電圧100kVで立ち上がり時間10ns以下、印加電圧30kVで立ち上がり時間3ns以下、印加電圧10kVで立ち上がり時間1ns以下となる。 本明細書において、パルス幅は半値幅、具体的には、パルスのピーク値の立ち上がり半値点と立ち下り半値点との間の時間を意味する。 本発明において、パルス幅は、10ns以下のいかなる値(例えば、9ns,8ns,7ns,6ns,5ns,4ns,3ns,2ns,1ns、ないし、これらの間の任意の数値)を取り得る。

1つの態様では、前記被処理水の導入口と排出口は循環流路によって接続されている。 1つの態様では、前記内部空間に供給された被処理水を回収する貯水部を備えており、前記排出口は前記貯水部に設けてある。 酸素含有ガスは、典型的には、酸素ないし空気である。 1つの態様では、前記酸素含有ガスの導入口と排出口は循環流路によって接続されている。 こうすることで、酸素含有ガス源から供給される酸素の量を削減することができる。 1つの態様では、前記被処理水は、前記被処理水の導入口から前記内部空間に噴霧ないし散水される。 1つの態様では、前記被処理水の導入口及び前記酸素含有ガスの導入口は、二流体ノズルから構成されている。 1つの態様では、酸素含有ガスが、筒状電極からなる第1の電極の内周面に沿って渦流を形成するように噴射される。こうすることで、筒状電極の内壁に被処理水が付着することを可及的に防止し、被処理水を良好に循環させる。例えば、1つあるいは複数のノズルから筒状電極の内周面に向けて斜め下方に酸素含有ガスを噴射する。二流体ノズルを用いる場合であっても、当該二流体ノズルとは別に1つあるいは複数の渦流形成用ノズルを設けてもよい。

1つの態様では、前記有機物含有水は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ナフテン酸、フェノール類、多環芳香族炭化水素からなる水溶性有機物群の少なくとも2つを含む。油田随伴水は、この水溶性有機物群の全てを含むものが多いと考えられる。 なお、上記水溶性有機物は典型的な例示であって、本発明の処理対象の有機物含有水は他の水溶性有機物を含んでいてもよい。 1つの態様では、前記有機物含有水は、油田随伴水である。 本明細書において、油田随伴水には、シェール層への水圧破砕後に排出されるフローバック水を含むものとする。 1つの態様では、前記被処理水は、油分、固形分が除去された油田随伴水の1次処理水である。 もっとも、油田随伴水は、本発明が適用される被処理水の一例であり、本発明は、石炭・地熱等の開発にかかわる生産水や製油所等での排水などのように、多種の難分解性の有機物を含有する水の処理全般に広く適用され得るものである。

本発明が採用した第2の技術手段は、 空間を介して対向する第1及び第2の電極とからなる電極対と、 前記電極対に高周波電圧を供給する電源と、 とを備え、 前記電極対間の空間に被処理水を噴霧状に供給する、有機物含有水の処理装置であって、 前記第1の電極と第2の電極との距離が、高周波電圧信号の進行方向に沿って変化していることを特徴とする有機物含有水の処理装置、である。 1つの態様では、前記第2の電極は、前記第1の電極の内部空間内で当該第1の電極の長さ方向に延びている。 1つの態様では、前記第1の電極は外側に位置する筒状電極(長さ方向に内径が変化するものも含む)であり、前記第2の電極は、前記筒状電極の中心に位置して延びる線状ないしロッド状の中心電極である。 1つの態様では、前記高周波電圧信号はパルスである。

1つの態様では、前記第2の電極は、第1端と第2端を有し、第1端側に入力されたパルスが第2端に向かって進行するようになっており、 前記第1の電極の内周面と前記第2の電極間の距離を、第1端側からパルスの進行方向に向かって漸次小さくしてなる。 第1の電極の内周面と第2の電極間の距離を、第1端側からパルスの進行方向に向かって漸次小さくすることで、エネルギーがパルスの進行方向に減衰したとしても、より均一な放電エネルギーを得ることができる。

1つの態様では、前記第2の電極は、第1端と第2端を有し、第1端側に入力されたパルスが第2端に向かって進行するようになっており、前記第2端は開放端であり、 前記第1の電極の内周面と前記第2の電極間の距離を、第1端側からパルスの進行方向に向かって、第2の電極の所定部位まで漸次小さくすると共に、前記所定部位から第2端に向かって漸次大きくしてなる。 第1の電極の内周面と中心電極間の距離を、第1端側からパルスの進行方向に向かって、第2の電極の所定部位まで漸次小さくすると共に、前記所定部位から第2端に向かって漸次大きくすることで、エネルギーがパルスの進行方向に減衰することを考慮し、かつ、第2端部でパルス電圧が反転重畳(電圧反射)することに着目して、より均一な放電エネルギーを得ることができる。

1つの態様では、前記第2の電極は、第1端と第2端を有し、第1端側に入力されたパルスが第2端に向かって進行するようになっており、 第1の電極の内径bと、第2の電極の外径aとの比b/aが、第1端側及び第2端側に比べて、第2の電極の長さ方向中間部位で大きくなっている。 比b/aを、第1端側及び第2端側に比べて、第2の電極の長さ方向中間部位で大きくすることで、放電空間の長さ方向の中央部位での電界を大きくすることができる。

本発明が採用した他の技術手段は、 油田随伴水から油分、固形分を除去して有機物を含有する1次処理水を得る工程と、 前記1次処理水を放電プラズマに曝して有機物を分解する工程であって、前記放電プラズマは、パルス幅10ns以下で電圧立ち上がり速度10kV/ns以上のパルスを生成するナノ秒パルス電源によって生成される、分解工程と、 を備えた油田随伴水の処理方法、である。 1つの態様では、前記1次処理水を得る工程は、油田随伴水に磁性粉を含んだ凝集剤を混入させることで、油田随伴水中の油分や固定分をフロック化し、磁気回収手段でフロックを取り除くものである。 前記1次処理水を得る工程には、従来の他の手法(複数の手法を組み合わせてもよい)を用いることができる。 1つの態様では、前記分解工程は、 1次処理水をナノ秒放電プラズマ中に噴霧させる工程と、 噴霧され、ナノ秒放電プラズマに曝された1次処理水を回収する工程と、 回収された1次処理水をナノ秒放電プラズマ中に噴霧させる工程と、 を繰り返すものである。 1つの態様では、前記1次処理水及び回収された1次処理水は、酸素含有ガスと共にナノ秒放電プラズマ中に噴射される。

本発明によれば、多種多様な難分解性物質を含む被処理水を1つの装置で処理することができる。 被処理水が油田随伴水の場合には、油田随伴水の含有物質やその濃度は油田によって異なるが、本発明は、分解処理対象である有機物の種類を選ばないので、油田随伴水の処理手法として汎用性がある。

放電処理装置の概略図である。

ナノ秒パルス発生装置を示す図である。

油田随伴水の処理工程を示す図である。

凝集磁気分離システムの概略図である。

油田随伴水PW−1に係る処理結果を示す図である。

油田随伴水PW−1に係る処理結果(COD除去率、TOC除去率)を示す図である。

油田随伴水PW−2に係る処理結果(COD除去率、TOC除去率)を示す図である。

油田随伴水PW−2に係る処理結果(COD除去率、TOC除去率)を示す図である。

放電処理装置を構成する電極対(外側電極+中心電極)の他の実施形態を示す。

放電処理装置を構成する電極対(外側電極+中心電極)の他の実施形態を示す。

放電処理装置を構成する電極対(外側電極+中心電極)の他の実施形態を示す。

放電処理装置を構成する電極対(外側電極+中心電極)の他の実施形態を示す。

放電処理装置を構成する電極対(外側電極+中心電極)の他の実施形態を示す。

放電処理装置を構成する電極対(外側電極+中心電極)の他の実施形態を示す。

放電処理装置を構成する電極対(外側電極+中心電極)の他の実施形態を示す。

放電処理装置を構成する電極対(外側電極+中心電極)の他の実施形態を示す。

放電処理装置を構成する電極対(外側電極+中心電極)の他の実施形態を示す。

[A]放電処理装置 図1に放電処理装置の概略図を示す。放電処理装置は、有機物含有水を放電プラズマに曝して有機物を分解するための装置である。放電処理部は、円筒状の外側電極1と、外側電極1の内部に同軸状に設けられた中心電極2と、を備え、外側電極1は接地されており、中心電極2には、後述するパルス発生装置からの高電圧パルスが供給されるようになっている。パルス発生装置で生成されたナノ秒パルスを中心電極2に伝送することで、中心電極2と外側電極1との間に高電圧パルスが印加されて、中心電極2から外側電極1に向けてストリーマ放電が進展してナノ秒放電プラズマが生成される。円筒状の外側電極1は円筒状の壁体が垂直となるように立姿状に配置されており、中心電極2も垂直状に延びている。

外側電極1の材料としては、ステンレススチール、真鍮を例示することができ、中心電極2の材料としては、タングステン、ステンレススチールを例示することができる。もちろん、電極対を形成する金属材料の種類は特には限定されず、当業者において適宜選択される。

図示の態様では、処理容器の外壁は、円筒状の外側電極1から構成され、処理容器の上端側には、被処理水の導入口3が設けられ、処理容器の下端側には、被処理水の貯水部4が設けてある。導入口3と貯水部4とは、貯水部4に収容されている被処理水を導入口3へ供給するため循環流路(ポンプP)を備えている)5によって流体連通されており、貯水部4の被処理水は繰り返し放電プラズマに曝されるようになっている。

導入口3は二流体ノズルから構成されており、酸素含有ガス源としての酸素源6から酸素が導入口3に導入されるようになっている。二流体ノズルによって、貯水部4から供給される被処理水と、酸素源6から供給される酸素と、を混合させ、微細な粒子として外側電極1と中心電極2との間の内部空間に噴出する。 酸素源5から供給される酸素には、二流体ノズルの気体源の他に、酸素起源ラジカル(酸素原子やオゾン等)の量を増加させる役割がある。図示の態様では、処理容器には内部空間から気体を排出するための排気路7が形成されているが、排気された気体(酸素を含む)をポンプにより二流体ノズルへ再循環させることで、酸素源6から供給される使用酸素量の削減を図ってもよい。

パルス発生装置からパルス幅10ns以下で電圧立ち上がり速度10kV/ns以上のパルスが中心電極2に供給され、中心電極2から外側電極1へ向かって放射状にストリーマが進展してナノ秒パルス放電プラズマ放電が生成され、二流体ノズルから噴出された被処理水の粒子は酸素と共にナノ秒放電プラズマに曝されながら落下し、貯水部4で回収される。回収された被処理水は再び循環流路5を通って二流体ノズルから噴出され、ナノ秒放電プラズマに曝されながら落下して貯水部4で回収され、循環流路5を通って二流体ノズルから噴出され、ナノ秒放電プラズマに曝される。このように被処理水を繰り返しナノ秒放電プラズマで処理することで、被処理水に含まれる有機物が分解される。

ナノ秒パルス放電は、パルス放電による非熱平衡プラズマ形成時の低エネルギー効率の要因であったパルス電源と放電電極との不整合及びグロー様放電時の熱損失の両要因を解消できる。

本発明におけるナノ秒パルス放電の内容を限定するものではないが、WO2010/074195には、立ち上り時間がストリーマヘッド形成時間より短いパルス電圧を放電部の電極間に印加することで中心電極から外側電極へストリーマヘッドを等速で進展させ、パルスの持続時間、印加電圧を、電極間距離に対応して、進展するストリーマヘッドが外側電極に到達する時(少なくとも、ストリーマ放電の時間の1.5倍の時間内)に放電が終了するように選択することが記載されている。放電をストリーマ放電でのみで行なうことで、パルス電源の特性インピーダンスをストリーマ放電時の電極間インピーダンスに一致させるだけでよく、ストリーマ放電からグロー様放電への移行時のインピーダンスの急変に起因するパルス電源と放電電極とのインピーダンスの不整合を解消することができる。したがって、パルス電源から放電反応器へのエネルギー転送効率を向上させることができる。

ストリーマ放電時間は、「ストリーマヘッドの形成時間」+「ストリーマヘッドの電極間進展時間」である。ナノ秒パルス放電の電圧立ち上がり時間(例えば、電圧立ち上がり時間2ns)はストリーマヘッド形成時間より短いため、ストリーマヘッドの電極間進展が始まる前に電圧が立ちあがり、ストリーマが進展しているときに電極への印加電圧がほぼ一定となって、結果としてストリーマヘッドが等速運動することとなる。

[B]パルス発生装置 パルス発生装置は、パルス幅10ns以下のナノ秒パルスを出力する高圧パルス電源である。図2を参照しつつ、パルス発生装置について説明する。パルス発生装置は、分布定数線路からなるパルス成形線路8と、パルス成形線路8を充電するための充電手段9と、パルス成形線路8からパルスを出力させるためのスイッチ10と、を備えている。

パルス成形線路8として、3軸ブルームライン型線路(Triaxial Blumlein Line)が採用されている。3軸ブルームライン型線路は、円筒状の外側導体11と、外側導体11内に設けた円筒状の中間導体12と、中間導体12内に設けたロッド状(円柱状)の中心導体(内側導体)13と、からなる。外側導体11、中間導体12、中心導体13は、同心状に互いに離間して配置されており、外側導体11と中間導体12の間、中間導体12と中心導体13との間、には空間が形成されている。これらの空間には、誘電性の液体(分布定数線路の誘電体を形成する)が充填されている。本実施形態では、誘電性液体は、シリコーン油であるが、所定の誘電率を備えていれば、他の誘電性液体を用いてもよい。ブルームライン型線路の長さは、非限定的な例として500mmであり、外側導体11、中間導体12、中心導体13の径は、非限定的な例として、110mm(外側導体内径)、22mm(中間導体外径)、20mm(中間導体内径)、4mm(中心導体外径)、である。本実施形態では、これらの導体は真鍮(黄銅)から形成されているが、もちろん、導体として他の金属を用いてもよい。

円筒状の外側導体11の長さ方向の一端側には、絶縁体からなる内壁14が形成されており、円筒状の中間導体12の長さ方向の一端側は内壁14に片持ち状に支持されており、長さ方向他端側は開口している。中心導体13の一端側も内壁14に支持されている。中間導体12の一端側と中心導体13の一端側は絶縁体を介して絶縁されている。

パルス成形線路8を充電するための充電手段9は、例えば、充電キャパシタ、サイラトロンスイッチ、パルス変圧器からなるパルスフォーミング回路(初段パルス発生回路)であり、パルス成形線路1にパルス電圧を提供する。充電手段9(パルス電源)としては、マイクロ秒パルス発生装置(電圧立上がり・立下がり時間:数十から数千ナノ秒)を広く用いることができる。

外側導体11には、内壁14に位置して、充電ポート15が形成されており、充電手段9と中間導体12は電気的に接続されている。パルスフォーミング回路からのパルス電力により中間導体12が充電される。中心導体13と外側導体11は、充電インダクタ16を介して連結されており、外側導体4は接地されている。充電インダクタ16は例えば0.5から3.0μHである。

パルス成形線路8からパルスを出力させるためのスイッチ10は、低インダクタンスで高速自己閉鎖型のスイッチとしての高圧スパークギャップスイッチ(SGS)である。外側導体11の一端側の端面17と内壁14との間の空間には、SF6絶縁ガスが充填されている。中間導体12の一端側は内壁7から前記空間内に突出しており、中間導体12の一端側の端部には第1電極が形成され、外側導体11の一端側の端面17の内面には第2電極が形成されている。第1電極と第2電極との間のギャップ間隔は、1mmである。SF6絶縁ガスの圧力は、例えば、0.1から1.0MPaである。パルス発生装置からの出力電圧の大きさは、SF6の圧力値を選択することで調整可能である。ギャップスイッチが短絡すると、外側導体11と中間導体12とが導通される。

外側導体11は中間導体12に比べて長尺であり、外側導体11の他端側は、中間導体12の他端を越えて延びており、外側導体11の他端には絶縁体の端壁18が形成されている。中心導体13の一端側は内壁14に支持されており、他端側は中間導体12の開口状の他端から延出しており、延出部130は、ブルームライン型線路から負荷(Load)へのエネルギー伝送線路(Transmission Line)となっている。中心導体13の延出部130は誘電性液体が充填された外側導体4の内部空間を外側導体11の長さ方向に延びると共に端壁18を貫通して、放電部の円筒状の外側電極1と中心電極2との間にナノ秒パルス高電圧を供給して、ナノ秒パルス放電が行われる。

1つの態様では、3軸ブルームライン型線路のユニットインダクタンス、ユニットキャパシタンスは、それぞれ、322nH/m、76pF/mであり、130Ωの特性インピーダンスを与える。ブルームライン型線路の長さは500mmであり、5nsの持続時間のパルスを与える。分布定数線路で形成されるパルスのパルス幅(持続時間)は、分布定数線路の長さ及びその内部誘電体の誘電率・透磁率に依存することから、ブルームライン型線路長を選択することで、パルス幅を変更することができる。1つの態様では、3軸ブルームライン型線路は負のパルス電圧が充電され、正極が負荷に与えられる。尚、負荷に負極を与えるようにパルス発生装置を構成してもよい。ブルームライン型線路から負荷へのエネルギー伝送線路としては、130Ωの特性インピーダンスを備えた同軸伝送線路が用いられる。

[C]油田随伴水の処理工程 本発明の典型的な処理対象である油田随伴水の処理工程について説明する。油田随伴水には、油分や固形分(金属類を含む)が含まれており、油分や固形分を除去することが望ましい。本明細書では、油田随伴水から油分や固形分を除去する処理を1次処理と言う。図3に示すように、油田随伴水から1次処理によって油分や固形物を除去して1次処理水を得て、1次処理水に対してナノ秒パルスプラズマ放電を適用することで、1次処理水に含まれる有機物を分解除去して、処理水を得る。1次処理の典型的な手段は、凝集剤を用いて油分や固形分をフロック化するステップと、フロックを分離・回収するステップと、からなる。

1次処理手段として例示する凝集磁気分離システムを図4に示す。凝集磁気分離システムは、油田随伴水に磁性粉を含んだ凝集剤を混入させることで、油田随伴水中の油分や固定分(重金属類を含む)をフロック化し、磁気ドラムで取り除くものであり、詳細については特許文献3を参照することができる。また、特許文献5には、油田随伴水を凝集槽に送り、硫酸第二鉄やポリ塩化アルミニウム等の凝集剤或いはマグネタイト(Fe3O4)、γヘマタイト(Fe2O3)等の磁性粒子を用いて、浮遊物を凝集させてフロック化する処理を行い、回転濾過装置で油分とフロックを油田随伴水から分離する手段が開示されており、この手法を1次処理として用いてもよい。1次処理手段としては、その他の公知の手法(複数の手法の組み合わせも含む)を用いてもよい。例えば、特許文献1、2に記載された手法を用いてもよい。

[D]実験結果 油田随伴水に含まれる有機物の処理実験を行った。処理対象は、3種類の油田随伴水(PW−1、PW−2、PW−3)である。表1、表5、表8に示すように、油田随伴水PW−1は、他の油田随伴水に比べてプロピオン酸が比較的多く、油田随伴水PW−2は、他の油田随伴水に比べてベンゼンが比較的多く、油田随伴水PW−3は、他の油田随伴水に比べてナフテン酸が比較的多いものの、各油田随伴水は、多種多様な有機物を含んでいる。また、各油田随伴水は、表1、表5、表8に記載されている物質以外にも、重金属類を含む多種の金属、多種の多環芳香族炭化水素が含まれる。具体的には、Cd, Pb, As, T-Hg, Cr6,Se, B, F、Cu, Zn, Fe, Mn, T-Cr, l, T-Sの一部の複数あるいは全部が含まれ得る。多環芳香族炭化水素としては、Naphthalene、Acenaphthene、Fluoroene、Phenanthreneが例示される。

処理方法は、図1に示す放電処理装置、図2に示すパルス発生装置を用いたナノ秒パルス放電処理(処理水循環シャワー方式)である。被処理水を二流体ノズルから散水させるシャワー方式とすることで、被処理水を満遍なく放電処理することができる。被処理水は、3種類の油田随伴水(PW−1、PW−2、PW−3)の原水を図4に示す凝集磁気分離システムで処理して得られた1次処理水である。実験方法は、放電条件(放電電圧や電圧時間幅、放電周波数、放電電極形状)は、放電周波数以外を固定とした。有機物の処理状況については、COD(Chemical Oxygen Demand、生物化学的酸素要求量)、TOC(Total Organic Carbon、全有機炭素)よって確認した。CODを計測することで溶存有機化合物の処理状況を確認した。TOCを計測することで有機物の処理状況(多量成分の同時処理状況)を確認した。

[実験1] 実験1の実験条件は、以下のとおりである。 処理対象:PW1 処理液量:5,000 mL 処理液循環流量:200 mL/min 処理時間:77 hours 酸素流量:5 L/min at 0.2MPa 印加パルス幅:5 ns 印加パルス電圧:60 kV 印加パルス繰り返し周波数:300 pps

油田随伴水PW1に含まれている主要な物質を表1に示す。

油田随伴水PW−1には、その他、重金属類や多環芳香族炭化水素が含まれている。油田随伴水PW−1の1次処理水を、ナノ秒パルス放電プラズマを用いた処理を実行した。油田随伴水PW−1のCODMnについて計測を行った。処理結果を表2及び図5に示す。ナノ秒パルス放電による油田随伴水PW−1のCODMn低減が実証され、その低減が低減率70%程度までは時間に比例することも確認された。

[実験2] 実験2の実験条件は以下のとおりである。 処理対象:PW1 処理液量:600 mL 処理液循環流量:400 mL/min 処理時間:12 hours 酸素流量:5 L/min at 0.2MPa 印加パルス幅:5 ns 印加パルス電圧:60 kV 印加パルス繰り返し周波数:300 pps

油田随伴水PW−1の1次処理水を、ナノ秒パルス放電プラズマを用いた処理を実行した。油田随伴水PW−1のCODMn、TOCについて計測を行った。処理結果を、表3、表4、図6に示す。ナノ秒パルス放電によるPW−1のCOD・TOC低減が実証され、その低減が低減率70%程度までは時間に比例することも確認された。なお、シャワリングのみの結果は、COD: 358→543、TOC: 1,284→1,403、であった。シャワリングによる水の蒸発が発生しているものと考えられる。また、GC-MS(ガスクロマトグラフ)によって、ナノ秒パルス放電によるフェノール類及び他の未確定含有物の処理が確認された。

[実験3] 実験3の実験条件は以下のとおりである。 処理対象:PW2 処理液量:600 mL 処理液循環流量:400 mL/min 処理時間:12 hours 酸素流量:5 L/min at 0.2MPa 印加パルス幅:5 ns 印加パルス電圧:60 kV 印加パルス繰り返し周波数:300 pps

油田随伴水PW2に含まれている主要な物質を表5に示す。

油田随伴水PW−2には、その他、重金属類や多環芳香族炭化水素が含まれている。油田随伴水PW−2の1次処理水を、ナノ秒パルス放電プラズマを用いた処理を実行した。油田随伴水PW−2のCODMn、TOCについて計測を行った。処理結果を、表5、表6、図7に示す。ナノ秒パルス放電による油田随伴水PW−2のCOD・TOC低減が実証され、その低減が低減率70%程度までは時間に比例し、以降、飽和することが確認された。なお、シャワリングのみの結果は、COD:155→204、TOC:125→140、であった。シャワリングによる水の蒸発が発生し ているものと考えられる。また、GC-MS(ガスクロマトグラフ)によって、ナノ秒パルス放電によるフェノール類の処理が確認された。

[実験4] 実験4の実験条件は以下のとおりである。 処理対象:PW3 処理液量:600 mL 処理液循環流量:400 mL/min 処理時間:12 hours 酸素流量:5 L/min at 0.2MPa 印加パルス幅:5 ns 印加パルス電圧:60 kV 印加パルス繰り返し周波数:300 pps

油田随伴水PW3に含まれている主要な物質を表8に示す。

油田随伴水PW−3には、その他、重金属類や多環芳香族炭化水素が含まれている。油田随伴水PW−3の1次処理水を、ナノ秒パルス放電プラズマを用いた処理を実行した。油田随伴水PW−3のCODMn、TOCについて計測を行った。処理結果を、表9、表10、図8に示す。ナノ秒パルス放電によるPW−3のCOD・TOC低減が実証され、その低減が低減率70%程度までは時間に比例し、以降、飽和することが確認された。なお、シャワリングのみの結果は、COD: 260→335、TOC:160→171、であった。シャワリングによる水の蒸発が発生しているものと考えられる。 また、GC-MS(ガスクロマトグラフ)によって、ナノ秒パルス放電による塩化物の生成が確認された。

実験結果をまとめると以下の通りである。 PW−1,2,3において、シャワリングにより水分が蒸発し、その結果、COD・TOCが増加することが確認された。 PW−1,2,3において、ナノ秒パルス放電により有機物が分解し、その結果、COD・TOCが低減することが確認された。 初期COD・TOCが低い随伴水ほど、その低減率が高くなることが確認された。 低減率70%程度までは、時間に比例して有機物の分解が進むことが確認された。 PW−1,2において、フェノール類の分解が進むことが確認された。 PW−3において、有機物の分解とともに塩化物の生成が確認された。

[E]放電処理部の他の実施形態 効率の良い処理のためには、放電エネルギーがパルスの進行方向に減衰することを考慮して、放電空間においてより均一な放電を形成することが望ましい。図9〜図17に、放電処理装置を構成する外側電極1と外側電極1の内側の中心電極2の他の実施形態を示す。図1と同様に、図9〜図17の放電処理部の外側電極1及び中心電極2は、高さ方向に延びており、外側電極1と中心電極2との間の処理空間に上側から被処理水が導入されるようになっている。図9〜図17には、外側電極1と中心電極2の構成についてのみ示し他の要素は省略されている。被処理水の処理のための構造については、図1及び図1に関連する記載を参照することができる。図9〜図17において、外側電極1、中心電極2の支持構造等は省略されているが、外側電極1、中心電極2の支持構造については、当業者において適宜なし得る事項である。

図9〜図13において、左側の(A)図は、中心電極2の下端側がパルスの入力側となっており、中心電極2の下端から上端に向かってパルスが進行ないし伝搬する態様である。右側の(B)図は、中心電極2の上端側がパルスの入力側となっており、中心電極2の上端から下端に向かってパルスが進行ないし伝搬する態様である。図14〜図17は、中心電極2の下端側がパルスの入力側となっており、中心電極2の下端から上端に向かってパルスが進行ないし伝搬する態様である。図9〜図17は、外側電極1、中心電極2の形状及びパルスの進行方向を表す模式図であり、各図における「パルス電源」の位置は、放電処理部とパルス電源(パルス発生装置)の位置関係を示すものではない。当業者において、パルス発生装置は適宜位置に置かれ、パルス発生装置で生成されたパルスを放電処理部に供給するように、当該放電処理部と適宜電気的に接続されている。

図9に示す態様は、電極対間で生成される放電が電極の長手方向へ進展するにしたがって、そのエネルギーが減衰することに着目したものであり、パルス進行方向に亘って、外側電極1の内周面と中心電極2との間の距離が漸次小さくなっている。ここで、本明細書において、外側電極1の内周面と中心電極2との間の距離とは、中心電極2の長さ方向(パルス進行方向)に直交する方向の距離であり、図示の態様では、外側電極1の内周面と中心電極2との間の水平方向の距離である。本態様では、被処理水は図面上側に設けられた被処理水導入口(図示せず)より、外側電極1内に噴霧され、外側電極1の内側と、中心電極2の間の空間を落下し、図面の下側に設けられた受水槽(図示せず)に集められる。

図9(A)において、放電処理部は全体として概ね円錐台形状を備えている。より具体的には、外側電極1は、全体として筒状であって、下端から上端に向かって漸次縮径しており、外周面及び内周面はテーパ状ないし傾斜状となっている。中心電極2は、筒状の外側電極1の中心に位置して、垂直状に延びるワイヤないしロッドである。外側電極1の内周面と中心電極2間の距離は、下端から上端に向かって(すなわち、パルスの進行方向に沿って)漸次小さくなっている。本態様では、外側電極1の内径が、下に行く程広がるため外側電極内に噴霧された被処理水が落下に伴い、外側電極1に付着しにくく、高い処理効率を得ることができる。

図9(B)において、放電処理部は全体として概ね逆円錐台形状を備えている。より具体的には、外側電極1は、全体として筒状であって、下端から上端に向かって漸次拡径しており、外周面及び内周面はテーパ状ないし傾斜状となっている。中心電極2は、筒状の外側電極1の中心に位置して、垂直状に延びるワイヤないしロッドである。外側電極1の内周面と中心電極2間の距離は、上端から下端に向かって(すなわち、パルスの進行方向に沿って)漸次小さくなっている。本態様では、中心電極2を上方より吊るすため、受水槽と中心電極の保持機構を独立して設置できるため、設備の設計が容易となる。

図10に示す態様は、図9に示す態様の変形である。図10に示す態様は、電極対間で生成される放電が電極の長手方向へ進展するにしたがって、そのエネルギーが減衰することに着目したものであり、パルス進行方向に亘って、外側電極1の内周面と中心電極2との間の距離が漸次小さくなっている。

図10(A)において、外側電極1は、外周面が高さ方向に同径の円筒面となっているが、内周面は下端から上端に向かって漸次縮径しており、テーパ状ないし傾斜状となっている。中心電極2は、筒状の外側電極1の中心に位置して、垂直状に延びるワイヤないしロッドである。外側電極1の内周面と中心電極2間の距離は、下端から上端に向かって(すなわち、パルスの進行方向に沿って)漸次小さくなっている。

図10(B)において、外側電極1は、外周面が高さ方向に同径の円筒面となっているが、内周面は下端から上端に向かって漸次拡径しており、テーパ状ないし傾斜状となっている。中心電極2は、筒状の外側電極1の中心に位置して、垂直状に延びるワイヤないしロッドである。外側電極1の内周面と中心電極2間の距離は、上端から下端に向かって(すなわち、パルスの進行方向に沿って)漸次小さくなっている。

図11に示す態様は、電極対間で生成される放電が電極の長手方向へ進展するにしたがって、そのエネルギーが減衰することに加え、電極の開放端において、パルス電圧が反転重畳(電圧反射)してそのエネルギーが増加することに着目したものであり、パルス進行方向に亘って、外側電極1の内周面と中心電極2との間の距離が漸次小さくなると共に、長手方向の中間地点を越えた部位から終端に向かって漸次大きくなっている。

図11(A)において、外側電極1は、図9(A)に示す外側電極1の上端側が拡経した形状となっている。より具体的には、外側電極1は、全体として筒状であって、高さ方向の中間部位の上側の位置まで、下端から上端に向かって漸次縮径しており、かかる位置から上端に向かって漸次拡経している。中心電極2は、筒状の外側電極1の中心に位置して、垂直状に延びるワイヤないしロッドである。外側電極1の内周面と中心電極2間の距離は、高さ方向の中間部位の上側の位置まで、下端から上端に向かって(すなわち、パルスの進行方向に沿って)漸次小さくなっており、かかる位置から上端に向かって漸次大きくなっている。図示では、外側電極1の下端側の径は、上端側の径よりも大きくなっているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、下端側の径と上端側の径が略同じであってもよい。

図11(B)において、外側電極1は、図9(B)に示す外側電極1の下端側が拡経した形状となっている。より具体的には、外側電極1は、全体として筒状であって、高さ方向の中間部位の下側の位置まで、上端から下端に向かって漸次縮径しており、かかる位置から下端に向かって漸次拡経している。中心電極2は、筒状の外側電極1の中心に位置して、垂直状に延びるワイヤないしロッドである。外側電極1の内周面と中心電極2間の距離は、高さ方向の中間部位の下側の位置まで、上端から下端に向かって(すなわち、パルスの進行方向に沿って)漸次小さくなっており、かかる位置から下端に向かって漸次大きくなっている。図示では、外側電極1の上端側の径は、下端側の径よりも大きくなっているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、上端側の径と下端側の径が略同じであってもよい。

図11に示す外側電極1では、パルス進行方向において、外側電極1の長手方向の中間地点を越えた部位が最も径が小さくなっているが、例えば、図12(A)、(B)に示すように、外側電極1の長手方向の中間地点の径を最小とし、高さ方向中央部位から上方、下方に向かって漸次拡径するようにしてもよい。図示では、外側電極1の下端側の径と上端側の径が略同じであるが、必ずしもこれに限定されるものではない。

図13に示す態様は、図11に示す態様の変形であり、外側電極1の外周面が高さ方向に同径の円筒面となっている点において、図11と異なる。図13に示す態様は、電極対間で生成される放電が電極の長手方向へ進展するにしたがって、そのエネルギーが減衰することに加え、電極の開放端において、パルス電圧が反転重畳(電圧反射)してそのエネルギーが増加することに着目したものであり、パルス進行方向に亘って、外側電極1の内周面と中心電極2との間の距離が漸次小さくなると共に、長手方向の中間地点を越えた部位から終端に向かって漸次大きくなっている。図13に示す外側電極1では、パルス進行方向において、外側電極の長手方向の中間地点を越えた部位が最も径が小さくなっているが、外側電極の最も径が小さい部位は、図示の態様に限定されず、例えば、外側電極の長手方向の中間地点の径を最小とし、高さ方向中央部位から上方、下方に向かって漸次拡径するようにしてもよい(図12参照)。

図13(A)において、外側電極1は、外周面が高さ方向に同径の円筒面となっているが、内周面は高さ方向の中間部位の上側の位置まで、下端から上端に向かって漸次縮径しており、かかる位置から上端に向かって漸次拡経している。中心電極2は、筒状の外側電極1の中心に位置して、垂直状に延びるワイヤないしロッドである。外側電極1の内周面と中心電極2間の距離は、高さ方向の中間部位の上側の位置まで、下端から上端に向かって(すなわち、パルスの進行方向に沿って)漸次小さくなっており、かかる位置から上端に向かって漸次大きくなっている。

図13(B)において、外側電極1は、外周面が高さ方向に同径の円筒面となっているが、内周面は高さ方向の中間部位の下側の位置まで、上端から下端に向かって漸次縮径しており、かかる位置から下端に向かって漸次拡経している。中心電極2は、筒状の外側電極1の中心に位置して、垂直状に延びるワイヤないしロッドである。外側電極1の内周面と中心電極2間の距離は、高さ方向の中間部位の下側の位置まで、上端から下端に向かって(すなわち、パルスの進行方向に沿って)漸次小さくなっており、かかる位置から下端に向かって漸次大きくなっている。

図14に示す態様は、放電が電極の長手方向へ進展するにしたがって、そのエネルギーが減衰することに着目したものであり、パルス進行方向に亘って、外側電極1の内周面と中心電極2との間の距離が漸次小さくなっている。図9、図10では、外側電極1の内周面の形状を長手方向にテ—パ状としたのに対して、図14では、中心電極2の外周面の形状を長手方向にテ—パ状としている。

図14において、外側電極1は、高さ方向に同径の円筒であり、中心電極2は、下端から上端に向かって漸次拡径する棒状部材ないしロッドである。外側電極1の内周面と中心電極2間の距離は、下端から上端に向かって(すなわち、パルスの伝搬方向に沿って)漸次小さくなっている。

図15に示す態様は、放電が電極の長手方向へ進展するにしたがって、そのエネルギーが減衰することに着目したものであり、パルス進行方向に亘って、外側電極1の内周面と中心電極との間の距離が漸次小さくなっている。中心電極は、高さ方向に延びるワイヤないしロッドからなる軸部2´と、軸部2´から当該軸部2´の長さ方向に対して垂直方向に突出する複数の針状部20と、からなり、針状部20は、軸部2´の長さ方向に亘って間隔を存して設けてあると共に、軸部2´を中心に放射状に延びている。図14の態様において、外側電極1の内周面と中心電極との間の距離とは、外側電極1の内周面と針状部20の先端との間の距離である。なお、針状部に代えて、軸部2´の長さ方向に対して垂直に延びる複数枚の羽根体やプレート(円板、方形板、菱形板等)を用いてもよい。

図15において、外側電極1は、高さ方向に同径の円筒であり、中心電極2に高さ方向に亘って突成された針状部の突出寸法は、下端から上端に向かって漸次大きくなっている。外側電極1の内周面と中心電極2の針状部の先端との間の距離は、下端から上端に向かって(すなわち、パルスの進行方向に沿って)漸次小さくなっている。

図16に示す態様は、外側電極1と内部の中心電極2間の放電空間に形成される電界が、中心電極径aと外部電極径bの比b/a(実際はln(b/a))の影響を受け、b/aが大きいほど、同じ電圧では、大きな電界が形成されることに着目したものであり、長さ方向に一定の径の外側電極1に対して、中心電極2を長さ方向の中央付近で凹ませることで、凹んだ部分での電界を強くするものである。

図16において、外側電極1は、高さ方向に同径の円筒であり、中心電極2は、下端から高さ方向の中間部位に向かって漸次縮径し、さらに上端に向かって漸次拡径する棒状部材ないしロッドである。外側電極1の径bと中心電極2の径aの比b/aは、放電空間の上下端部領域に比べて放電空間の高さ方向の中間部位において大きくなるようになっている。

図17に示す態様は、図16と同様に、外側電極1と内部の中心電極2間に形成される電界が、中心電極径aと外部電極径bの比b/a(実際はln(b/a))の影響を受け、b/aが大きいほど、同じ電圧では、大きな電界が形成されることに着目したものであり、中心電極2を長さ方向の中央付近で凹ませることで、凹んだ部分での電界を強くするものである。中心電極は、高さ方向に延びるワイヤないしロッドからなる軸部2´と、軸部2´から当該軸部2´の長さ方向に対して垂直方向に突出する複数の針状部20と、からなり、針状部20は、軸部2´の長さ方向に亘って間隔を存して設けてあると共に、軸部2´を中心に放射状に延びている。図17の態様において、中心電極の径は、軸部2´を中心として針状部20の先端を通る仮想円の径である。なお、針状部に代えて、軸部2´の長さ方向に対して垂直に延びる複数枚の羽根体やプレート(円板、方形板、菱形板等)を用いてもよい。

図17において、外側電極1は、高さ方向に同径の円筒であり、中心電極2に高さ方向に亘って突成された針状部の突出寸法は、下端から高さ方向の中間部位に向かって漸次小さくなり、さらに上端に向かって漸次大きくなる。外側電極1の径bと中心電極2の径aの比b/aは、放電空間の上下端部領域に比べて放電空間の高さ方向の中間部位において大きくなるようになっている。

図9、図10、図14、図15の態様に係る技術思想は、以下のように記載することができる。 筒状電極からなる外側電極と、筒状電極の内部空間内で当該円筒電極の長さ方向に延びる中心電極と、からなる電極対において、 前記中心電極は、第1端と第2端を有し、第1端側に入力されたパルスが第2端に向かって進行するようになっており、 前記筒状電極の内周面と前記中心電極間の距離を、第1端側からパルスの進行方向に向かって漸次小さくしてなる。 1つの態様では、前記中心電極はワイヤないしロッドからなる線状ないし棒状の部材であり、前記筒状電極の内周面は、パルス進行方向に向かって前記中心電極に漸次近づくようにテ—パ状ないし傾斜状となっている(図9、図10)。図9の態様では、筒状電極の外周面も内周面と同様にテ—パ状ないし傾斜状であり、図10の態様では、筒状電極の外周面は長さ方向に同径である。 言い換えると、図9、図10に示す態様では、前記筒状電極と前記中心電極との間に形成される放電空間が、パルス進行方向に向かって、第1端側から第2端に向かって縮径している。 1つの態様では、前記筒状電極の内周面は長さ方向に同径であり、前記中心電極は棒状部材であり、当該中心電極の外周面は、パルス進行方向に向かって拡径しており、前記筒状電極の内周面に漸次近づくようにテ—パ状ないし傾斜状となっている(図14)。 1つの態様では、前記筒状電極の内周面は長さ方向に同径であり、前記中心電極は、筒状電極の長さ方向に沿って延びる軸部(軸部2´)と、軸部の長さ方向に亘ると共に、軸部を中心として筒状電極の内周面に向かって放射方向に延びる複数の突出部(針状部20)と、からなり、突出部の軸部からの突出寸法が、パルスの進行方向に向かって漸次大きくなっている(図15)。

図11、図12、図13の態様に係る技術思想は、以下のように記載することができる。 筒状電極からなる外側電極と、筒状電極の内部空間内で当該円筒電極の長さ方向に延びる中心電極と、からなる電極対において、 前記中心電極は、第1端と第2端を有し、第1端側に入力されたパルスが第2端に向かって進行するようになっており、前記第2端は開放端であり、 前記筒状電極の内周面と前記中心電極間の距離を、第1端側からパルスの進行方向に向かって、中心電極の所定部位まで漸次小さくすると共に、前記所定部位から第2端に向かって漸次大きくしてなる。 1つの態様では、前記中心電極はワイヤないしロッドからなる線状ないし棒状の部材であり、前記筒状電極の内周面は、第1端側からパルスの進行方向に向かって、中心電極の所定部位まで漸次縮径すると共に、前記所定部位から第2端に向かって漸次拡径してなる(図11、図12、図13)。図11、図12の態様では、筒状電極1が長さ方向の中途部位に最小径が位置する絞った全体形状となっており、図13の態様では、筒状電極の外周面は長さ方向に同径である。 図11を例に説明すれば、パルス電源より入射したパルスは中心電極2を進むうち、エネルギーを失い、第2端で反射することで、第2端近傍で再び大きなエネルギーを得るため、パルスのエネルギー分布に応じて外側電極1と中心電極2の距離を調整することで、パルスのエネルギーを有効に利用でき、外側電極1の長さをより長く設定することができる。このため、外側電極1内に噴霧された被処理水の外側電極1内滞在時間が長くなることで、より高い処理効率を得ることが可能となる。

図16、図17の態様に係る技術思想は、以下のように記載することができる。 筒状電極からなる外側電極と、筒状電極の内部空間内で当該円筒電極の長さ方向に延びる中心電極と、からなる電極対において、 前記中心電極は、第1端と第2端を有し、第1端側に入力されたパルスが第2端に向かって進行するようになっており、 筒状電極の内径bと、中心電極の外径aとの比b/aが、第1端側及び第2端側に比べて、中心電極の長さ方向中間部位で大きくなっている。 言い換えると、図16、図17に示す態様では、前記筒状電極と前記中心電極との間に形成される放電空間は、第1端側からパルス進行方向に向かって当該中心電極の長さ方向の中間部位まで縮径してなる第1部分と、中間部位から第2端側に向かって拡径してなる第2部分とから、形成されている。 1つの態様では、前記筒状電極の内周面は長さ方向に同径であり、前記中心電極は棒状部材であり、当該中心電極の外周面は、両端部から中央に向かって漸次縮径しており、中心電極の長さ方向の中間付近が凹んでいる(図16)。 1つの態様では、前記筒状電極の内周面は長さ方向に同径であり、前記中心電極は、筒状電極の長さ方向に沿って延びる軸部(軸部2´)と、軸部の長さ方向に亘ると共に、軸部を中心として筒状電極の内周面に向かって放射方向に延びる複数の突出部(針状部20)と、からなり、突出部の軸部からの突出寸法が、両端部から中央に向かって漸次短くなっており、全体として中心電極の長さ方向の中間付近が凹んでいる(図17)。

図9〜図17では、高さ方向に延びる縦型の放電電極部を示したが、電極対は、その長さ方向が垂直方向であるものに限定されるものではなく、電極対が垂直軸に対して傾斜して延びるもの、電極対が水平方向に延びるものでもよい。 本発明は、有機物含有水を対象とするものではあるが、図9〜図17に示す電極対の構成は、パルス電源を用いた放電による処理装置全般に適用され得るものであり、処理対象も液体に限定されず、気体を含む流体全般に適用可能である。

1 外側電極 2 中心電極 2´ 軸部 20 針状部 3 被処理水の導入口 4 貯水部 5 循環流路 6 酸素源 7 排気路 8 パルス成形線路 9 充電手段 13 中心導体 130 延出部

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