エマルションまたは他の混合物の単極分離のためのシステムおよび方法

申请号 JP2016509086 申请日 2014-04-16 公开(公告)号 JP2016518977A 公开(公告)日 2016-06-30
申请人 マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー; マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー; 发明人 セイェド レザ マフモウディ,; セイェド レザ マフモウディ,; クリパ ケー. バラナシ,; クリパ ケー. バラナシ,;
摘要 本明細書で論じられる実施形態は、エマルションまたは他の混合物の2以上の相を分離するためのシステムおよび方法に関する。本方法は、混合物に正味かつ単極の電荷を提供し(例えば、その中の隣接する液滴が正味かつ単極の電荷を獲得するように)、それによってその中の同様の相の液滴の合体を強化し、2以上の結合した相を生成するかまたはその生成を強化することと、2以上の結合した相を回収することとを含む。一実施形態において、混合物に正味かつ単極の電荷を提供することは、コロナ放電により混合物をイオン照射することを含む。
权利要求

エマルション混合物(例えばエマルション)の2以上の相を分離する方法であって、前記方法は、 (a)前記混合物に正味かつ単極の電荷を提供し(例えば、前記混合物中の隣接する液滴が正味かつ単極の電荷を獲得するように)、それによって前記混合物中の同様の相の液滴の合体を強化し、2以上の結合した相を生成するかまたはその生成を強化するステップと、 (b)前記2以上の結合した相を回収するステップと を含む、方法。ステップ(a)は、コロナ放電により前記混合物をイオン照射することを含む、請求項1に記載の方法。ステップ(a)は、エミッタ電極(例えば、鋭い電極)およびコレクタ電極(例えば、鋭くない電極)を提供することを含み、少なくとも前記コレクタ電極は前記混合物と物理的に接触しており、コロナ放電閾値以上の電位差が前記エミッタ電極と前記コレクタ電極との間に印加される、請求項2に記載の方法。前記エミッタ電極は、前記混合物と物理的に接触していない、請求項3に記載の方法。ガス媒体(例えば、窒素、酸素、空気、アルゴン、ヘリウム等、またはその混合物)が、前記エミッタ電極と前記混合物との間に位置している、請求項4に記載の方法。前記コレクタ電極は、接地されている、請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法。前記エミッタ電極は、鋭い電極(例えば、1本の針、複数の針、1つのブレードまたは複数のブレード、細いワイヤまたは複数のワイヤ、ヘリカル、のこぎり歯等)である、請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法。前記エミッタ電極は、被覆および/またはテクスチャ加工されている(例えば、微細構造、ナノチューブ(例えば、CNT)、ナノ構造、または他の鋭い形状で被覆および/またはテクスチャ加工されている)、請求項3〜7のいずれか1項に記載の方法。前記エミッタ電極は、イオン化によって誘導される腐食に対して抵抗がある材料でできているかまたは被覆されている、請求項3〜8のいずれか1項に記載の方法。前記コレクタ電極は、金属、ケイ素、および自然酸化物を伴うケイ素から成る群から選択される1以上の部材を含み、および/または前記コレクタ電極は、誘電体膜で被覆されている(例えば、および/または、前記コレクタ電極は、前記混合物を含む基板であり、例えば、チャネル、パイプ、プレート等である)、請求項3〜9のいずれか1項に記載の方法。前記エミッタ電極と前記混合物との間の前記電位差は、前記エミッタ電極に高電圧を印加することによって、または前記エミッタ電極の極性を反転させることにより前記混合物に高電圧を印加することによって確立される、請求項3〜10のいずれか1項に記載の方法。電場が、連続的な交流もしくは直流放電によって、またはパルス放電によって印加される、請求項3〜11のいずれかに記載の方法。前記放電は、2段階、3段階、または複数段階の放電である(例えば、放電の時間差がある)、請求項12に記載の方法。前記放電は、直接放電またはバリア放電である、請求項12または13に記載の方法。混合物の特性に基づいて電圧を調整することをさらに含む、請求項3〜14のいずれか1項に記載の方法。前記分離は、前記混合物の輸送中に(例えば、ベルトコンベヤ上で)実行される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。ステップ(a)は、前記混合物の一部に単極電荷を提供することを含み、前記方法は、前記混合物の帯電した部分を前記混合物の残りの部分に混合し、それによって前記混合物中の同様の相の液滴の合体を強化し、2以上の結合した相を生成するかまたはその生成を強化することと、(b)前記2以上の結合した相を回収することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。ステップ(a)は、正味かつ単極の電荷を有する物質(例えば、液滴、液浴、または液流)を前記混合物に注入するか、噴霧するか、または別様に導入し、それによって前記混合物中の同様の相の液滴の合体を強化し、2以上の結合した相を生成するかまたはその生成を強化することを含む、請求項1に記載の方法。ステップ(a)は、正味かつ単極の電荷を有するイオン化ガス(例えば、別々のプロセスでイオン化されたガス、前記混合物への輸送中にイオン化されたガス、コロナ放電チャンバ内でコロナ放電によってイオン化されたガス)を前記混合物に注入することを含む、請求項1に記載の方法。前記イオン化ガスは、単一の場所から前記混合物に注入されるか、または複数のポイントから前記混合物に注入される、請求項19に記載の方法。ステップ(a)の前に前記混合物を撹拌することをさらに含む、先行する請求項18〜20のいずれか1項に記載の方法。ステップ(a)は、前記混合物を正味かつ単極の電荷を有する基板(例えば、摩擦帯電によって印加された電荷を有する基板)に導入することを含む、請求項1に記載の方法。前記単極電荷は、正である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。前記単極電荷は、負である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。前記混合物は、正味かつ単極の電荷を維持する一方で、正電荷および負電荷を有する種の組み合わせ(例えば、所与の期間にわたって変化し得る)を含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。ステップ(a)は、導管を介した前記混合物の輸送中に摩擦帯電により電荷を印加することを含み、前記導管は、摩擦帯電による帯電を改善するように構成されているコーティングを含む、請求項1に記載の方法。ステップ(a)は、正味かつ単極の電荷の直接注入、伝導、誘導、および/またはそれらの任意の組み合わせによって電荷を印加することを含む、請求項1に記載の方法。前記混合物は、複数の液相を含む、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。前記混合物は、粒子、タンパク質、DNA、RNA、および細胞から成る群から選択される1以上の部材を含む(例えば、前記混合物は、粒子または界面活性剤等の安定剤を含む)、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。前記混合物は、導電率の低い液体を含む(例えば、絶縁液体または誘電液体、例えば、前記導電率の低い液体が前記混合物の少なくとも50重量%を占める)、請求項29に記載の方法。前記混合物は相を含み、前記水相は、少なくとも約0.5M(例えば、少なくとも約1M、少なくとも約1.5M、少なくとも約2.0M)の塩分含有量を有する、請求項1〜30のいずれか1項に記載の方法。前記正味かつ単極の電荷の導入前、前記混合物は、直径約1000マイクロメートル以下(例えば、≦500μm、≦400μm、≦300μm、≦100μm、≦50μm、≦30μm、≦20μm、≦10μm、≦1μm、≦900nm、≦500nm、≦300nm、≦100nm、≦50nm、≦30nm、≦10nm)の平均液滴径を有する液滴の相を含み、前記液滴は、前記正味かつ単極の電荷の導入後に合体する、請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法。前記混合物は、水相および非水相(例えば、油)を含む二相エマルションであり、前記水相は、前記エマルションの50重量%以下(例えば、≦40重量%、≦30重量%、≦20重量%、≦10重量%、≦5重量%、≦3重量%、≦1重量%、または≦0.5重量%)である、請求項1〜32のいずれか1項に記載の方法。前記混合物は、水相および非水相(例えば、油)を含む二相エマルションであり、前記非水相は、前記エマルションの50重量%以下(例えば、≦40重量%、≦30重量%、≦20重量%、≦10重量%、≦5重量%、≦3重量%、≦1重量%、または≦0.5重量%)である、請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法。前記混合物は、三相混合物である、請求項1〜34のいずれか1項に記載の方法。前記混合物は、液相、固相、および気相を含む、請求項1〜35のいずれか1項に記載の方法。前記混合物は、油中気泡混合物または油中泡沫混合物である、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。前記混合物は、乳化剤(例えば、界面活性剤)を含む、請求項1〜37のいずれか1項に記載の方法。前記混合物は、少なくとも約0.5M(例えば、少なくとも約1M、少なくとも約1.5M、または少なくとも約2.0M)の塩分含有量を有する少なくとも1つの相を含む、請求項1〜38のいずれか1項に記載の方法。前記混合物は、導電率の高い液体を含む、請求項1〜39のいずれか1項に記載の方法。前記混合物は、油を含み、前記油は、約10−14S/m(絶縁性が高い)〜約10−5S/m(導電性が高い)の導電率を有する、請求項1〜40のいずれか1項に記載の方法。前記混合物は、約10−7S/m〜約100S/mの導電率を有する、請求項1〜41のいずれか1項に記載の方法。前記ガス媒体は、流動性である、請求項5に記載の方法。放電(V−I)特性の質を最適化するため、および電気破壊限界を制御するために、前記ガス媒体の温度および/または圧力を調節することをさらに含む、請求項5または42のいずれか1項に記載の方法。混合物(例えば、エマルション)の2以上の相を分離するためのシステムであって、前記システムは、 (a)容器または支持体であって、前記容器または支持体は、その中またはその上に前記混合物を含むかまたは支持し、前記容器または支持体は、接地されたコレクタ電極を備え(例えば、接地されたコレクタ電極であり)、前記容器または支持体は、傾斜部、リップ部、縁辺部、および/または他の隆起部を備えている、容器または支持体と、 (b)前記混合物と物理的に接触していないエミッタ電極と、 (c)コロナ放電閾値以上の電位差を前記エミッタ電極と前記コレクタ電極との間に印加するように構成されている電源と を備え、 ガス媒体(例えば、窒素、酸素、空気、アルゴン、ヘリウム等、またはそれらの混合物)が、前記エミッタ電極と前記混合物との間に位置し、コロナ放電閾値以上の電位差が前記エミッタ電極と前記コレクタ電極との間に印加されると、前記容器または支持体は、その中および/またはその上を通る前記混合物の第1の相の通過を可能にするが、その中および/またはその上を通る前記混合物の少なくとも第2の相の通過を可能にせず(例えば、コロナ放電分離の差動拡散またはポンピング効果を利用する)、それによって、前記混合物の2以上の相の分離を引き起こすかまたは促進するように構成されている、 システム。前記電源は、従来の電源(例えば、電池、直流電源、交流電源、または直流/交流電源)である、請求項45に記載のシステム。前記電源は、静電発電機(例えば、バンデグラーフ発電機)である、請求項45に記載のシステム。前記システムは、スキマー、重力分離器、および遠心分離器から成る群から選択される1以上の部材を備えている、請求項45に記載のシステム。前記エミッタ電極および/または前記コレクタ電極は、裸である、請求項45〜48のいずれか1項に記載のシステム。前記エミッタ電極および/または前記コレクタ電極は、被覆されている、請求項45〜48のいずれか1項に記載のシステム。

说明书全文

(関連出願の引用) 本願は、米国仮特許出願第61/812,700号(2013年4月16日出願、名称「Systems and Methods for Unipolar Emulsion Separation」)に対する優先権および利益を主張し、上記出願は、その全体が参照により本明細書に引用される。

(発明の分野) 本発明は、概して、エマルションまたは他の混合物の2以上の相の分離に関する。特定の実施形態では、本発明は、同符号に帯電した液滴を合体させることによるエマルションまたは他の混合物の液相の分離に関する。

エマルションは、幅広い産業、例えば、石油化学プロセス、食品加工、金属表面処理および研磨、織物、製紙、化粧品、医薬品、バイオテクノロジー、ならびに他の産業において見られる。多くの場合、これらのエマルションの1以上の成分の分離を行うことが必要となり、例えば、主として相または主として非水相のいずれかから成るエマルション中の非水系の液相(例えば、油)からの水系の液相(例えば、水)の分離を行うことが必要となる。

例えば、石油産業において、水は、処理設備の著しい腐食を引き起こす場合があるため、設備の寿命に影響を及ぼす可能性があり、それが工場全体に悪影響を及ぼし得るため、水は、油製品の汚染物質であると見なされ、さらなる処理の前に油製品から分離されなければならない。たとえ油中の微量な水であっても、後になって深刻な問題を引き起こす場合がある。対照的な例において、油は、食品産業および金属産業において生成される下流排水および副産物中によく見られる汚染物質であり、排水から分離されるべきである。水から油(微量の油を含む)を分離することは、重要な課題である。環境に再び放出するために、政府規制は、水中に特定の量を上回る油を含有しないことを義務付けている。油の最大許容量は、10ppm以下の油であり得る。

重要な課題は、エネルギー消費の資本コストを削減すること、ならびにエマルションおよび他の混合物のそれらの成分への分解を促進する従来の方法である化学添加剤(特に、汚染物質であると見なされる添加剤および/または別様に環境に悪影響を有する添加剤)の使用を削減または排除することである。別の重要な課題は、水と油の所望レベルの分離を達成することである。

エマルションの成分を分離するための従来の方法が多く存在する。最も一般的な分離技術の1つは、重分離である。主要な低コストの処理ステップとして、重力分離は、典型的には、より大きな液滴径を有するエマルションの分離に使用される。重力分離は、沈降プロセスによって達成され得る。例えば、油は、固体粒子の表面に付着し得るため、沈降によって効果的に除去され得る。しかしながら、沈降の時間が非実用的なほどに長い(所要時間は液滴径の二乗にほぼ反比例する)ため、重力分離は、小さい液滴径を有するエマルションの不安定化には効果的ではない。

微細な液滴を有するエマルションを分離するために、エマルションは、典型的には、凝固を促進してフロックサイズを増加させ、それによって重力分離の間に乳化相を不安定化するように、化学的に前処理される。いくつかの従来の方法において、エマルションは、粘性を低下させ、より強い密度差を誘発し、液滴間の安定化膜の表面張力を低下させるために、加熱され得る。他の化学処理法は、酸性度を増加させるか、またはエマルションにイオン化剤を添加して、液滴の電荷を中和させる。化学処理法は、エネルギー集約型であり、いくつかの望ましくない化学汚染物質を導入する可能性がある。さらなる化学汚染物質の分離は、化学物質の分離のために後処理ユニットの操作を必要とする場合があり、結果として、コストの増加およびより大きな環境汚染のリスクをもたらす。

重力分離に加えて、エマルションを不安定化するための他の物理的方法として、加熱、遠心分離、濾過、限外濾過(例えば、膜を使用する)、および逆浸透法が挙げられる。限外濾過(例えば、膜による限外濾過)は、重力分離よりも小さなケミカル・フットプリントを有し、小さな液滴径(例えば、100μmよりも小さい)を有するエマルションに対して幾分効果的であり得る。しかしながら、大容量の限外濾過に必要とされる高いエネルギー消費量により、および経時的な膜被覆材料の劣化により、限外濾過に関連するコストは高い(または法外に高い)傾向にある(例えば、定期的に新しい膜を提供する必要があり、コストをさらに増加させる)。

エマルションの構成要素を分離するための別の物理的方法は、静電分離である。合体を誘導するために使用することができる3つの静電的な物体力が存在する。強制電場から生じる誘電液体中の静電的な物体力は、以下のように表すことができ、

式中、ρcは体積電荷密度、εは流体誘電率、ρは流体密度、Tは流体温度である。式(1)の右辺第一項は、電気泳動力または流体中の正味自由空間電荷から得られる力であるクーロン力である。誘電泳動力として知られる第二項は、誘電率勾配から生じる。電歪力と称される最後の項は、圧縮性流体の場合にのみ重要である。

これらの静電分離器において、エマルションにおける液滴の合体を促進するために利用されるのは、主として、第二項の誘電泳動力である。ある従来技術において、2枚の平行な板が電極間に小さな間隙を保ちながらエマルションに浸漬される。これらの浸漬された電極は、エマルションのバルクに外部電場を誘導するために使用される。媒体中の水液滴が分極され、正と負の端部が互いに引かれ合うことによって、2つの液滴間で油膜が圧迫されて排出される。2つの隣接する滴は、それらの間にある油の層が破裂すると融合し得る。これらの液滴は、正味電荷を獲得しない。この技術の制限の1つは、分極力が液滴のサイズに応じて増減するということである。液滴径が小さいほど、より大きな電場が印加されなければならない。さらに、2つの隣接する液滴の向きが重要である。度が適切ではない場合、2つの液滴は、引き合うのではなくむしろ反発し合い、融合することができない。これが、従来の静電分離器の重大な制限である。加えられた電気泳動力によって引き起こされる電気流体力学的に誘導される流れおよび双極性の引力(正と負の引力)は、液滴の合体を誘導し得る。

電場と流体流との相互作用によって生成される電気流体力学的流れも、液滴合体の可能性を高める。交流および直流の場は、浸漬された電極間に均質または不均質な電場を確立するために使用されてきた。静電分離器は、数百ミクロンほどの液滴を分離する際に効果的であり得るが、これらの分離器は、中程度の電場内のより小さな液滴径には効果的ではない。

静電分離器はいくらかの見込みを示したが、これらもまたいくつかの重大な制限を被る。従来の電気合体装置では、両方の電極がエマルションに浸漬される。直接的な結果として、エマルション中の含水量が高い場合、例えば、40重量%を超える場合、この技術は、信頼性を持って使用することができない。高い含水量は、電極に印加される電位のレベルを制限する場合があるため、たとえ中程度の場であっても静電気破壊を引き起こし得る。たとえ含水量が中程度でもまたは低くても、分離した水液滴は、強制電場の方向に整列し、電極間の間隙にわたって鎖状の構造を形成する傾向がある。この鎖の形成は、間隙にわたる静電気放電およびアークの可能性を高め得る。静電気放電は、爆発だけでなく、電極または電極被膜の腐食、および電極周囲の油の化学分解に起因する汚染増加のリスクをもたらす。さらに、静電気放電/静電気破壊は、背景電場の強度、液滴を帯電させる割合、分離器の効率を抑制することによって合体の割合を低下させ得る。さらに、従来の静電分離器は、水相が高い塩分含有量を有する場合に機能しない。

コスト効率が高く、小さな液滴径を有するエマルションに有効であり、水相の塩分濃度に関係なく機能し、爆発のリスクをもたらさないか、またはエマルションへの化学添加剤の添加を必要としない分離方法が必要とされている。

本発明の種々の実施形態は、エマルションまたは他の混合物の2以上の相を分離する方法およびシステムに関する。特定の実施形態では、本発明は、その中の隣接する液滴が正味かつ単極の電荷を獲得するように混合物に正味かつ単極の電荷を導入し、驚くべきことに、同様の相の液滴の合体を強化し、それによって混合物を不安定化し、2以上の結合した液相を生成するか、またはその生成を強化する。

本明細書で論じられるいくつかの実施形態は、分散相の高い導電率にもかかわらず、高い塩分含有量にもかかわらず、および/または界面活性剤もしくは他の乳化剤の存在にもかかわらず、エマルションまたは他の混合物の2以上の相の良好な分離を提供する。いくつかの実施形態では、混合物の導電率は、1mS/mから、1S/mまたは10S/mほどにも高い。本明細書に記載のシステムおよび方法は、幅広い導電率の範囲に適用可能である。本明細書に記載の特定の実施形態は、電極の構成における任意の特別な調整または他の侵襲的操作なしに、広範囲の塩および/または界面活性剤の含有量を有する様々な混合物を分離することができる。

一側面において、本発明は、混合物(例えば、エマルション)の2以上の相を分離する方法を提供し、本方法は、(a)混合物に正味かつ単極の電荷を提供し(例えば、その中の隣接する液滴が正味かつ単極の電荷を獲得するように)、それによってその中の同様の相の液滴の合体を強化し、2以上の結合した相を生成するかまたはその生成を強化するステップと、(b)2以上の結合した相を回収するステップとを含む。

特定の実施形態では、ステップ(a)は、コロナ放電により混合物をイオン照射することを含む。

特定の実施形態では、ステップ(a)は、エミッタ電極(例えば、鋭い電極)およびコレクタ電極を提供することを含み、少なくともコレクタ電極(例えば、鋭くない電極)は、混合物と物理的に接触しており、コロナ放電閾値以上の電位差がエミッタ電極とコレクタ電極との間に印加される。

特定の実施形態では、エミッタ電極は、混合物と物理的に接触していない。

特定の実施形態では、ガス媒体(例えば、窒素、酸素、空気、アルゴン、ヘリウム等、または異なるガスの任意の混合物)が、エミッタ電極と混合物との間に位置する。いくつかの実施形態では、ガス混合物は静止している。いくつかの実施形態では、ガス混合物は流動性である。いくつかの実施形態では、コロナ放電の副産物の濃度がより低くなるため、ガス流が電極の腐食を減少させる。同様に、これは、本明細書で論じられるシステムおよび方法のために行われる必要がある保守を著しく削減する。さらに、これは、システムの耐用期間を延長し、動作コストを削減する。ガス媒体は、任意の温度および圧力であり得る。

いくつかの実施形態では、イオン化ガスが混合物に導入され得る。気泡を崩壊させることが、気泡内のガスのイオン化を引き起こす。

特定の実施形態では、コレクタ電極は接地されている。いくつかの実施形態では、接地レベルを超える同じ極性でコレクタ電極にバイアスをかける。いくつかの実施形態では、エミッタ電極のエネルギーは+15kVであり、コレクタ電極は接地され得るか(0kV)、またはコレクタ電極は、例えば、+1kVによってバイアスをかけられ得る。

特定の実施形態では、エミッタ電極は、鋭い電極(例えば、1本の針、複数の針、1つのブレードまたは複数のブレード、細いワイヤ、または複数のワイヤ等)である。

特定の実施形態では、エミッタ電極は、被覆および/またはテクスチャ加工されている(例えば、微細構造、ナノチューブ(例えば、CNT)、ナノ構造、または他の鋭い形状で被覆および/またはテクスチャ加工されている)。

特定の実施形態では、エミッタ電極は、イオン化によって誘導される腐食に対して抵抗力がある材料でできているか、または被覆されている。

特定の実施形態では、コレクタ電極は、金属、ケイ素、および自然酸化物を伴うケイ素から成る群から選択される1以上の部材を含み、および/またはコレクタ電極は、誘電体膜で被覆されている(例えば、および/または、コレクタ電極は、混合物を含む基板であり、例えば、チャネル、パイプ、プレート等である)。いくつかの実施形態では、コレクタ電極は、誘電体膜で被覆されておらず、例えば、いくつかの実施形態では、コレクタ電極は裸である。

いくつかの実施形態では、混合物とエミッタ電極との間の電位差は、針に高電圧を印加することによって、またはエミッタ電極の極性を反転させることにより混合物に高電圧を印加することによって確立される。いくつかの実施形態では、エミッタ電極は、単一の電極(例えば、鋭い針、ワイヤ、光学的表面、またはそれらの任意の組み合わせ)である。

いくつかの実施形態では、電場は、連続的な交流もしくは直流放電によって、またはパルス放電によって混合物に印加される。いくつかの実施形態では、放電は、時間差放電を用いた2段階、3段階、または複数段階の放電である。いくつかの実施形態では、放電は、直接放電またはバリア放電である。

いくつかの実施形態では、印加電圧は、混合物の特性(例えば、化学特性、物理特性)に基づいて調整される。

いくつかの実施形態では、混合物は、輸送(例えば、ベルトコンベヤまたは別の導管における輸送)中に分離される。

いくつかの実施形態では、ステップ(a)は、混合物の一部に単極電荷を提供することを含み、本方法はさらに、混合物の帯電した部分を混合物の残りの部分に混合し、それによってその中の同様の相の液滴の合体を強化し、2以上の結合した相を生成するかまたはその生成を強化することと、(b)2以上の結合した相を回収することとを含む。

特定の実施形態では、ステップ(a)は、正味かつ単極の電荷を有する物質(例えば、液滴、液浴、または液流)を混合物に注入するか、噴霧するか、または別様に導入し、それによってその中の同様の相の液滴の合体を強化し、2以上の結合した相を生成するかまたはその生成を強化することを含む。

いくつかの実施形態では、電荷は、混合物に直接的に印加される。いくつかの実施形態では、電荷は、混合物に間接的に印加される。いくつかの実施形態では、ステップ(a)は、正味かつ単極の電荷を有するイオン化ガス(例えば、別々のプロセスでイオン化されたガス、混合物への輸送中にイオン化されたガス、コロナ放電チャンバ内でコロナ放電によってイオン化されたガス)を混合物に注入することを含む。いくつかの実施形態では、イオン化ガスは、混合物を通過する。いくつかの実施形態では、イオン化されたガスの気泡と混合物との界面を増加させるために、ガスの気泡のサイズを減少させ得る。いくつかの実施形態では、イオン化ガスは、単一の場所から混合物に注入されるか、または複数のポイントから混合物に注入される。

いくつかの実施形態では、ガスの気泡は、上方から(例えば、混合物の上側から)混合物に注入される。いくつかの実施形態では、ガスの気泡は、下方から(例えば、混合物の下側から)混合物に注入される。

特定の実施形態では、ステップ(a)は、混合物を正味かつ単極の電荷を有する基板(例えば、摩擦帯電によって印加された電荷を有する基板)に導入することを含む。

特定の実施形態では、単極電荷は、正である。

特定の実施形態では、単極電荷は、負である。

いくつかの実施形態では、混合物は、正味かつ単極の電荷を維持する一方で、正電荷および負電荷を有する種の組み合わせを含む(例えば、所与の期間にわたって変化し得る)。

いくつかの実施形態では、ステップ(a)は、導管を介した混合物の輸送中に摩擦帯電により電荷を印加することを含み、導管は、摩擦帯電による帯電を改善するように構成されているコーティングを含む。いくつかの実施形態では、ステップ(a)は、正味かつ単極の電荷の直接注入、伝導、誘導、および/またはそれらの任意の組み合わせによって電荷を印加することを含む。

特定の実施形態では、混合物は、複数の液相を含む。

特定の実施形態では、混合物は、粒子、タンパク質、DNA、RNA、および細胞から成る群から選択される1以上の部材を含む(例えば、混合物は、粒子または界面活性剤等の安定剤を含む)。

特定の実施形態では、混合物は、導電率の低い液体(例えば、絶縁液体または誘電液体、例えば、導電率の低い液体が混合物の少なくとも50重量%を占める)を含む。特定の実施形態では、混合物は、導電率の高い液体を含む。

特定の実施形態では、混合物は水相を含み、水相は、少なくとも約0.5M(例えば、少なくとも約1M、少なくとも約1.5M、または少なくとも約2.0M)の塩分含有量を有する。

特定の実施形態では、正味かつ単極の電荷の導入前、混合物は、直径約1000マイクロメートル以下(例えば、≦500μm、≦400μm、≦300μm、≦100μm、≦50μm、≦30μm、≦20μm、≦10μm、≦1μm、≦900nm、≦500nm、≦300nm、≦100nm、≦50nm、≦30nm、または≦10nm)の平均液滴径を有する液滴の相を含み、正味かつ単極の電荷の導入後に液滴が合体する。

特定の実施形態では、混合物は、水相および非水相(例えば、油)を含む二相エマルションであり、水相は、エマルションの50重量%以下(例えば、≦40重量%、≦30重量%、≦20重量%、≦10重量%、≦5重量%、≦3重量%、≦1重量%、または≦0.5重量%)を占める。

特定の実施形態では、混合物は、水相および非水相(例えば、油)を含む二相エマルションであり、非水相は、エマルションの50重量%以下(例えば、≦40重量%、≦30重量%、≦20重量%、≦10重量%、≦5重量%、≦3重量%、≦1重量%、または≦0.5重量%)である。

いくつかの実施形態では、混合物は、三相混合物である。いくつかの実施形態では、混合物は、液相、固相、および気相を含む。いくつかの実施形態では、混合物は、油中気泡混合物または油中泡沫混合物である。いくつかの実施形態では、混合物は、乳化剤(例えば、界面活性剤)を含む。いくつかの実施形態では、混合物は、少なくとも約0.5M(例えば、少なくとも約1M、少なくとも約1.5M、または少なくとも約2.0M)の塩分含有量を有する少なくとも1つの相を含む。いくつかの実施形態では、混合物は、導電率の高い液体を含む。いくつかの実施形態では、混合物は油を含み、油は、約10−14S/m(絶縁性が高い)〜約10−5S/m(導電性が高い)の導電率を有する。いくつかの実施形態では、混合物は、約10−7S/m〜約100S/mの導電率を有する。

いくつかの実施形態では、ガスの圧力および/またはガスの温度は、放電(V−I)特性の質および破壊限界を最適化する(例えば、電気破壊限界を引き上げる)ように制御/調節される。いくつかの実施形態では、ガスの圧力および/またはガスの温度は、混合物の分離(例えば、エマルションの異なる相の分離)を最適化するように制御/調節される。いくつかの実施形態では、ガス混合物の組成は、V−I特性および破壊限界を制御するように調整され得る。いくつかの実施形態では、ガスの圧力および/またはガスの温度は、2以上の相の分離が行われる場所の海抜に基づいて、放電(V−I)特性の質および破壊限界を最適化する(例えば、電気破壊限界を引き上げる)ように制御/調節される。

別の側面において、本発明は、混合物(例えば、エマルション)の2以上の相を分離するためのシステムを対象とし、本システムは、(a)その中またはその上に混合物を含むか、または支持するための容器または支持体であって、接地されたコレクタ電極を含み(例えば、接地されたコレクタ電極であり)、傾斜部、リップ部、縁辺部、および/または他の隆起部を含む、容器または支持体と、(b)混合物と物理的に接触していないエミッタ電極と、(c)コロナ放電閾値以上の電位差をエミッタ電極とコレクタ電極との間に印加するように構成されている電源とを含み、ガス媒体(例えば、窒素、酸素、空気、アルゴン、ヘリウム等、またはそれらの任意の組み合わせ/混合物)は、エミッタ電極と混合物との間に位置し、容器または支持体は、コロナ放電閾値以上の電位差がエミッタ電極とコレクタ電極との間に印加されると、その中および/またはその上を通る混合物の少なくとも第2の相の通過を可能にしない一方で、その中および/またはその上を通る混合物の第1の相の通過を可能にし(例えば、コロナ放電分離の差動拡散またはポンピング効果を利用する)、それによって混合物の2以上の相の分離を引き起こすか、または促進するように構成される。

いくつかの実施形態では、本明細書で論じられる電極(エミッタおよび/またはコレクタ)は、裸である。いくつかの実施形態では、本明細書で論じられる電極(エミッタおよび/またはコレクタ)は、被覆されている。

特定の実施形態では、電源は、従来の電源(例えば、電池、直流電源、交流電源、または直流/交流電源)である。特定の実施形態では、電源は、静電発電機(例えば、バンデグラーフ発電機)である。

いくつかの実施形態では、本システムは、スキマー、重力分離器、または遠心分離器である。いくつかの実施形態では、本システムは、混合物の分離を実行するように改良されたスキマーである。いくつかの実施形態では、同符号の電荷によって誘導される分離は、混合物が容器内に保存された場合に分離プロセスを加速させることができる。

いくつかの実施形態では、ガス媒体の温度および/または圧力は、システムの海抜に基づいて、放電(V−I)特性の質および破壊限界を最適化する(例えば、電気破壊限界を引き上げる)ように制御/調節される。

種々の実施形態では、上記方法に関して記載される特徴は、システムにも適用され得る。

方法および/またはシステムは、既存のシステムにおいて前処理ステップ(例えば、重力および/または沈降による混合物分離プロセスの改良)を行うことができるか、またはそれらを他の技術と組み合わせることができる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法およびシステムは、小さな液滴間の合体を促進してより大きな液滴を形成することができ、その結果、それらは従来の分離システム(例えば、重力、沈降、および/または化学添加剤による分離プロセス)によってより容易に取り扱われる。

本発明の所与の側面に関して記載される実施形態の要素は、本発明の別の側面の種々の実施形態において使用され得る。例えば、ある独立請求項に従属する従属請求項の特徴は、他のいずれかの独立請求項の装置および/または方法において使用することができることが企図される。

本発明の目的および特徴は、後に記載する図面および特許請求の範囲を参照するとよりよく理解され得る。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、むしろ、一般的に本発明の原則の例示が強調されている。図面中、同様の数字は、種々の図を通して同様の部分を示すために用いられる。

本発明は、特定の実施例および特定の実施形態を参照して本明細書に具体的に示され、記載されているが、当業者は、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、その中の形態および詳細において種々の変更が行われ得ることを理解されたい。

図1は、本発明のいくつかの実施形態による、液滴の合体を促進するための、エマルション界面を標的とする正イオンまたは負イオンのコロナ放電を示す略図である。

図2は、本発明のいくつかの実施形態による、相分離のために液滴の合体およびポンピング/拡散効果を同時に促進するための、エマルションの2以上の相の分離のためのコロナ放電システムを示す略図である。

図3は、本発明のいくつかの実施形態による、エマルション相の分離のために単極帯電した液滴306をエマルション302中に噴霧するためのシステムを図示する略図である。

図4Aは、本発明のいくつかの実施形態による、同符号に帯電した(正に帯電した)2つの液滴の接触に関連する種々の時点(t=0)で得られたシリコン油中の脱イオン水の2つの液滴の一連の顕微鏡写真を示す。

図4Bは、本発明のいくつかの実施形態による、油中の正に帯電した金属球の静電相互作用を図示する。

図4Cは、本発明のいくつかの実施形態による、油中の同符号に帯電した水液滴の静電相互作用を図示する。

図5は、本発明のいくつかの実施形態による、同符号に帯電した液滴の合体のための条件を示す実験データを示す。黒丸は合体を意味し、白丸(白抜きの丸)は液滴の非合体を示す。

図6Aは、本発明のいくつかの実施形態による、油中の異なる大きさの電荷を帯びた一対の水液滴の合体および非合体挙動を図示するグラフである。液滴の直径は1mmであった。液滴間の分離は50μmであった。黒丸は合体を意味し、白丸(白抜きの丸)は液滴の非合体を示す。

図6Bは、本発明のいくつかの実施形態による、同符号に帯電した水液滴の非合体を図示する。液滴は、電気的に接続され、正に帯電していた。非合体挙動は、等しい電荷の水液滴間の静電反発力によるものである。

図6Cは、本発明のいくつかの実施形態による、油中の正に帯電した水液滴の合体挙動を図示する。

図7A、7B、および7Cは、本発明のいくつかの実施形態による、エマルション中で同符号に帯電した2つの液滴が合体すると生じる機構を示す。図7Cに示すように、t=20マイクロ秒で静電ブリッジが現れ、太くなって毛管ブリッジになり、その結果、液滴の合体をもたらすと考えられる。図7Aは、本発明のいくつかの実施形態による、同符号電荷液滴の合体の機構の略図を図示する。丸は、隣接する液滴に対応する。領域702は、負電荷密度に対応する。領域704は、正電荷密度領域に対応する。

図8A、図8B、図8C、および図8Dは、本発明のいくつかの実施形態による、比較的小さいおよび大きい初期分離幅に関して、油中の正に帯電した液滴の相互作用の高速画像を図示する。本発明のいくつかの実施形態による、同符号電荷合体の機構が表される。図8Aは、本発明のいくつかの実施形態による、t=0で接触した後の同符号電荷液滴の合体を図示する。上側および下側の液滴の電荷の量は、それぞれ、+35.4pCおよび+0.29pCであった。液滴の初期分離幅は50μmであった。スケールバーは、0.1mmの長さである。図8Bは、本発明のいくつかの実施形態による、t=0で接触した後の同符号電荷液滴の合体を図示する。上側および下側の液滴の電荷の量は、それぞれ、+150pCおよび+0.18pCであった。液滴の初期分離幅は320μmであった。スケールバーは、0.1mmの長さである。図8Cは、本発明のいくつかの実施形態による、t=0で接触した後の同符号電荷液滴の合体を図示する。上側および下側の液滴の電荷の量は、それぞれ、+310pCおよび+0.27pCであった。液滴の初期分離幅は415μmであった。図8Dは、本発明のいくつかの実施形態による、同符号電荷液滴の合体の機構の略図を図示する。丸は、隣接する液滴に対応する。領域802は、負電荷密度に対応する。領域804は、正電荷密度領域に対応する。

図9は、本発明のいくつかの実施形態による、コロナ放電を用いたエマルション分離システム900の略図である。

図10は、本発明のいくつかの実施形態による、コロナ放電を用いたエマルション分離1000システムの略図である。

図11Aは、本発明のいくつかの実施形態による、2つの脱イオン水の水液滴の系の単極電気合体を図示する。印加した電圧および電流は、それぞれ、+7kVおよび1μAであった。

図11Bは、本発明のいくつかの実施形態による、3つの脱イオン水の水液滴の系の単極電気合体を図示する。印加した電圧および電流は、それぞれ、+7kVおよび1μAであった。

図11Cは、本発明のいくつかの実施形態による、正の直流コロナ放電にばく露した、1.6重量%の界面活性剤SPAN80(登録商標)で安定化したヘキサデカン(透明液体)中の2重量%の脱イオン水を含むエマルション(白色で示す)の単極分離を図示する。印加した電圧およびコロナ電流は、それぞれ、10.8kVおよび10μAであった。

図12Aおよび12Bは、摩擦帯電によって帯電が達成された図12Cの画像と比較して、それぞれ、バルク油中でコロナ放電によって帯電させたエマルション中の同符号に帯電した液滴および90%油中の10%水の画像を示す。

図13は、本発明のいくつかの実施形態による、主な相として油を有するエマルションを分離するための実験的コロナ放電分離器の設定1300を図示する。

図14Aは、本発明のいくつかの実施形態による、コロナ放電ばく露前の油中水エマルションを図示する。電極間の間隙は10mmであった。

図14Bは、本発明のいくつかの実施形態による、+7kVの電圧および1μAの電流を印加したコロナ放電ばく露後の油を図示する。電極間の間隙は10mmであった。

図15Aは、本発明のいくつかの実施形態による、コロナ放電補助による回収後の水を図示する。図15Bは、本発明のいくつかの実施形態による、エマルションから静電的に回収されたシリコン油を図示する。図15Cは、本発明のいくつかの実施形態による、図15Aおよび15Bに画像が示されるコロナ放電分離プロセスに使用したエマルションを図示する。

図16は、本発明のいくつかの実施形態による、主な相として水を含むエマルションを分離するための実験設定1600を図示する。

図17は、本発明のいくつかの実施形態による、主な相として油を含むエマルションへの直接イオン注入のための実験設定1700を図示する。

図18は、本発明のいくつかの実施形態による、単極性エマルションおよび他の混合物の分離のための実験設定1800を図示する。

図19は、本発明のいくつかの実施形態による、単極性エマルションおよび他の混合物の分離のための例示的な実験設定1900、1900’、1901、1901’を図示する。

図20は、本発明のいくつかの実施形態による、単極性エマルションおよび他の混合物の分離のための実験設定2000および2001を図示する。

図21は、本発明のいくつかの実施形態による、摩擦帯電による帯電を使用した単極性エマルションおよび他の混合物の分離のための実験設定2100を図示する。

図22は、本発明のいくつかの実施形態による、エマルションまたは他の混合物に電荷を導入するための実験設定2200および2201を図示する。

特許請求される発明の物品、装置、方法、およびプロセスは、本明細書に記載の実施形態からの情報を用いて開発される変形例および適応例を包含することが企図される。本明細書に記載の物品、装置、方法、およびプロセスの適応および/または修正は、関連技術の当業者によって行われ得る。

本明細書を通して、物品および装置が特定の構成要素を有する、含む、もしくは備えていると記載される場合、またはプロセスおよび方法が特定のステップを有する、含む(including)、もしくは含む(comprising)と記載される場合、加えて、列挙される構成要素から本質的に成るかまたはそれらから成る本発明の物品および装置が存在すること、ならびに列挙される処理ステップから本質的に成るかまたはそれらから成る本発明によるプロセスおよび方法が存在することが企図される。

本発明が動作可能である限り、ステップの順序または特定の行為を行う順序は重要ではないことを理解されたい。さらに、2以上のステップまたは行為は、同時に実行され得る。本発明の実施形態は、連続的、半連続的、またはバッチプロセスの一部として行われ得る。

本発明の方法は、当該技術分野で既知の反応器、システム、またはプロセスと組み合わせ得るか、またはそれらで補足され得ることが企図される。材料の分離、単離、および精製のための任意の既知の技術は、例えば、蒸留、抽出、反応抽出、吸着、吸収、剥奪、晶出、蒸発、昇華、拡散分離、吸着泡沫分離、膜分離、および/または流体−粒子分離のための技術を、本発明の種々の実施形態によって包含されるプロセスにおける用途に適応させることができる。分離プロセスおよびそれらの設計に関する一般的な情報は、例えば、“Separation Processes,”Klaus Timmerhaus,editor,in The Engineering Handbook,Section VIII,Richard C.Dorf,editor−in−chief,CRC Press,Inc.,ISBN0−8493−8344−7,pp.579−657(1995)に見出すことができる。また、特許請求される発明の方法、システム、およびプロセスは、分離の分野の当業者に既知の機器に対応するポンプ、熱交換器、ならびに気相、液相、および/または固相材料を含み得ることも企図される。

本明細書における、例えば背景技術の項における、任意の刊行物の言及は、その刊行物が本明細書に提示される請求項のいずれかに対する従来技術としての役割を果たすことを認めるものではない。背景技術の項は、明確性の目的で提示されているのであって、いずれかの請求項に関する従来技術の説明として意図されるものではない。

本明細書に記載の実施形態は、例えば、(1)一方の液相が他方の液相中に分散した、非混合性の2以上の液体の混合物(例えば、水中油エマルション、油中水エマルション、塩水中油エマルション、油中塩水エマルション、油中粒子型混合物等)を含むエマルションおよび他の混合物(分散相は、約1nm〜1000nmまたは1μm〜1000μmの粒子径を有する)、(2)気体および油の混合物(例えば、油中気泡混合物)、(3)油中泡沫混合物(例えば、泡沫が、界面活性剤を蒸気または非凝縮性ガス(例えば、窒素、窒素、および蒸気)と同時注入することによって形成される場合、(4)3つの相(例えば、気相、液相、および固相)を含むエマルション、(5)3以上の相を含む多相エマルション、(6)液体、固体、気体、気泡、泡沫、および/または粒子の任意の組み合わせを含む混合物の分離に適用される。

いくつかの実施形態では、粒径は、1〜5nm、1〜10nm、1〜20nm、20〜50nm、50〜100nm、100〜300nm、300〜500nm、500〜1000nmである。いくつかの実施形態では、粒径は、1〜5μm、1〜10μm、1〜20μm、20〜50μm、50〜100μm、100〜300μm、300〜500μm、500〜1000μmである。

いくつかの実施形態では、「塩水」は、約3.5%の塩分を有する水を指す。いくつかの実施形態では、「塩水」は、約3.1%〜約3.8%の塩分を有する水を指す。いくつかの実施形態では、「塩水」は、周囲条件で約3.5%〜約26%の塩分を有するかん水(例えば、水中の塩(例えば、塩化ナトリウム)の溶液)を指す。

いくつかの実施形態では、分散相は生物学的物質を含む。いくつかの実施形態では、生物学的物質は生体分子を含む。いくつかの実施形態では、生体分子は、限定されないが、天然起源であるか、または人工的に作製されたかにかかわらず、DNA、RNA、細胞、酵素、ワクチン、タンパク質、アミノ酸、ヌクレオチド、糖、脂質等を含む。

いくつかの実施形態では、油の導電率は、約10−14S/m(絶縁性が高い)〜10−5S/m(導電性が高い)の範囲である。いくつかの実施形態では、水または塩混合物の導電率は、約10−7S/m〜約100S/mである。

上で論じたエマルション分離法は、混合物分離プラントにおいて既存のスキマーと統合され得る。いくつかの実施形態では、後に論じるエマルション分離法は、前処理または後処理ステップとしていずれの分離システムにも適合させることができる。いくつかの実施形態では、後に論じるエマルションを分離するためのシステムは、別個の分離器として独立して使用することができる。

いくつかの実施形態では、後に論じるエマルションを分離するためのシステムおよび方法は、重力分離器、遠心分離器等と統合することができる。いくつかの実施形態では、エマルションは、輸送(例えば、例えば、ベルトコンベヤまたは同様の導管における輸送)中に(完全にまたは部分的に)分離され得る。いくつかの実施形態では、ベルトコンベヤまたは導管は、エマルション中の相の分離を促進させるのに役立つテクスチャまたはコーティングを含む。

電気的に誘導される分離の従来の方法において、正が負を引きつける(例えば、正に帯電した液滴は負に帯電した液滴を引きつける)一方で、同符号の電荷(like−charge)(正−正または負−負)は反発する(例えば、正に帯電した液滴は別の正に帯電した液滴を反発する)と想定される。しかしながら、同符号の電荷(しかし、異なる電荷密度)を有する液滴が合体する単極分離技術を適用した方法が本明細書に提示される。本明細書に記載の実験は、単一極性が、近接した同符号に帯電した(like−charged)液滴の合体を誘導するために十分であることを実証する。したがって、同符号電荷引力に基づいて液滴が合体する、新しいクラスの分離器が本明細書において提案される。エマルションおよび液滴の両方が帯電させられる。

いずれの理論に拘束されることを望むものではないが、隣接する液滴の正味電荷の不均一性がクーロン力を引き起こすと仮定される。クーロン力を利用することによって、液滴の全方向型の合体を誘導し、外部電場に対する液滴の特定の向きに関する必要性を排除する。1つの電極のみがエマルションに浸漬されるため、望ましくない静電気破壊の可能性を実質的に排除することができる。種々の異なる実施形態が、単極静電分離の概念の範囲に属する。そのような実施形態の例を本明細書に記載する。見出しは、構成上の目的のために提供されるのであって、限定的であることを意図するものではない。

合体は、雨滴形成、エマルション不安定化、ラボオンチップデバイスにおける液体−液体界面制御、コロイド系ならびに微粒化および噴霧における粒子秩序を含む、多くの流体システムにおいて重要なプロセスである。いくつかの実施形態では、噴霧は、噴霧器、スプレー、エレクトロスプレーシステム、または煙霧機システムによって行うことができる。いくつかの実施形態では、従来の煙霧機は、単極帯電した液滴を発生させるように改変することができる。次いで、単極帯電した液滴を、エマルション/混合物であり得る標的に導入することができる。電場は、液滴の合体を誘導する。隣接する液滴の電気合体は、嵐雲、石油産業における油の脱水およびエマルション分解、質量分析におけるエレクトロスプレー、ならびにインクジェット印刷等の重要なプロセスにおいて起こる。これらのプロセスにおいて、反対に帯電した物質が引き合い、合体する一方で、同符号電荷は反発し、融合しないと推察されてきた。しかしながら、最近、同符号に帯電した導電性の硬い球は、それらが十分に近くにある場合にほぼ必ず互いに引き合うが、接触後に反発することが示された。

直感に反して、本明細書で論じられるいくつかの実施形態では、正に帯電した2つの水液滴が、引き合い、次いで、合体し得ることが実証される。1つの液滴の相互分極は、他方の液滴において反対の極性の鏡像電荷を誘導し、短距離引力を引き起こす。十分に大きな電荷差を有する近くの液滴の場合、この短距離引力が、最も近い極で両方のメニスカスにおいて局所的変形を誘導する。メニスカスの接触後、2つの変形した極の間に液体ブリッジが形成される。この一過性のブリッジは、液滴の系の静電気エネルギーを最小限に抑えるように、同符号に帯電する液滴間で電荷を交換するための導管である。最初、電流を帯びた液体ブリッジは、液体ブリッジ界面上で法線方向および接線方向の両方にかかるマクスウェル応力によって表面張力の不安定化効果に対して安定化される。「浮遊するブリッジ」を連想させる、この静電気的に支持された液体ブリッジは、接続された2つの同符号に帯電した液滴を一時的に保持する。次いで、液滴間の電場が減少すると、液体ブリッジは、通常の毛管ブリッジに戻る。毛管ブリッジは、発達して、接続した液滴の表面を最小化する傾向がある。結果として、同符号電荷液滴の合体が起こり得る。同符号電荷水液滴の合体は、エマルション分離の解釈に特に影響を与えるはずである。

後にさらに詳しく記載されるように、短距離引力は、表面電荷密度の再分布および不均等に帯電した「完全な」導体球の相互分極に起因して生じる。等電位の導体球は常に反発するため、十分に接近した同符号電荷球を接触させた場合、または長い間接触させた場合、それらは互いに反発する。

本明細書に記載される場合、正味かつ単極の電荷を有する液滴は、負電荷と正電荷の代数和がゼロではない液滴を指す。特定の実施形態では、混合物(例えば、エマルション)中の体積電荷密度は1nC/m3もの低さであり得る。しかしながら、特定の実施形態では、密度は、油の絶縁破壊の限界付近である10μC/m3(10−5C/m3)もの高さに達する場合がある。特定の実施形態では、体積電荷密度は、10nC/m3以上、100nC/m3以上、500nC/m3以上、1μC/m3以上、5μC/m3以上、または10μC/m3以上である。

分極力を用いる以前の方法は、液滴上でゼロの正味電荷を示し(正電荷と負電荷の数が等しい)、エマルション/混合物中の体積電荷密度はゼロである。ごく微量の体積電荷が電極の周辺でこれらのシステムに導入される可能性があるが、全体積が電気的中性(電気化学的影響を無視することができない電極周辺の領域を除いて熱力学的に平衡である)を経験する。以前の方法とは対照的に、本明細書に記載の実施形態は、体積を非ゼロの空間電荷密度を有する熱力学的に非平衡状態にする。

(エマルションのコロナ放電照射) いくつかの実施形態では、コロナ放電が、エマルションを不安定化するために使用され得る。一例を挙げると、高圧送電線がその固体/油の絶縁ジャケットを失った。裸電極からコロナ放電が発生した間、ジャケット内の油が導電性の天板上に溢れ出た。天板上に漏洩した油が広がったが、隣接するビーカー内の水メニスカスには同様の影響は観察されなかった。コロナ放電は油に力を加えたが、水の界面には観察可能な影響を及ぼさなかった。この観察は、十分に定義されたコロナ放電の設定を用いた、コロナ放電に基づく新しい分離器の作製を促した。

例えば、特定の実施形態では、鋭い(sharp)電極(エミッタ)および接地された鋭くない(blunt)電極(コレクタ)の少なくとも2つの電極が、コロナ放電を確立するために使用される。接地されたコレクタ電極は、油/水(または他の)エマルションと接触するが、ガス媒体が、エミッタ電極とエマルションとの間に位置する。いくつかの実施形態では、ガス媒体は、空気もしくは他のガスまたは異なるガスの組み合わせであり得、システムは、幅広い温度範囲および幅広い圧力(例えば、大気圧未満、大気圧、または大気圧超)でガスと協働する。本明細書で論じられる実施形態は、任意の温度および圧力条件下で行われ得る。いくつかの実施形態では、温度および/または圧力は、放電の質に対する必要性に基づいて決定され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で論じられるコロナ放電の実施形態におけるガスの破壊電圧は、海抜に対するプラントの場所に応じてガスの温度/圧力を変更することによって調整することができる。鋭い電極と鋭くない電極との間の電気電位差が、特定の電圧、例えば、いわゆるコロナ放電閾値を超えて印加される場合、強制電場が鋭い先端部の周辺で十分に強くなり、その結果、電極分離領域において周囲の中性ガス分子が部分的にイオン化される。イオンの雲が発生し、低電位領域に向かって加速される。電場によって生成される電荷キャリアのドリフトにより、間隙を横切って電荷が移動する。したがって、コロナ放電は弱電流を伴う。

コロナ放電は、エマルション中に正味かつ単極の電荷を確立する。いくつかの実施形態では、コロナ放電による単極イオン照射を用いてエマルションを標的とすることは、相の分離を引き起こす。例えば、いくつかの実施形態では、一方の電極はエマルションに浸漬され、他方のコロナ放電電極はエマルション界面の上で空気またはガス媒体に浸漬される。ガス媒体は、任意の温度および圧力であり得る。

いくつかの実施形態では、エマルションは、異なる液体、粒子と液体、タンパク質とDNA、細胞の混合物、または導電率の低い絶縁液体もしくは誘電液体中の任意の物質であり得る。いくつかの実施形態では、コロナ電極は、鋭い先端(単数もしくは複数)を有する電極または電極のシステムである。コロナ放電は、鋭い先端(単数もしくは複数)から発生する。いくつかの実施形態では、コロナ放電電極は、1本の針であるか、異なる構成を有する複数の針であるか、鋭いブレード(単数もしくは複数)であるか、細いワイヤもしくは複数のワイヤであるか、微細構造、ナノチューブ(CNT)、もしくはナノ構造、または任意の他の鋭い形状で被覆されたワイヤであり得る。いくつかの実施形態では、コロナ放電の針は、ヘリカル、のこぎり歯、または任意の他の鋭い先端の針である。いくつかの実施形態では、電極は、イオン化によって誘導される腐食に耐えることができる材料から構築されることが好ましく、それによって保守コストを最小限に抑える。いくつかの実施形態では、その中にコロナ電極が固定されるガス媒体は、任意の圧力または温度の、窒素、酸素、空気、アルゴン、ヘリウム、または任意の他のガスもしくはガスの組み合わせ等の任意のガス媒体であり得る。いくつかの実施形態では、エマルションに浸漬されるコレクタ電極は、例えば、金属裸電極、自然酸化物を含むシリコン基板、誘電体薄膜コーティングを有する金属電極等であり得る。いくつかの実施形態では、浸漬される電極の形状は、例えば、平面、三次元(曲線的)表面、ワイヤ(単数もしくは複数)、またはメッシュであることができる。いくつかの実施形態では、浸漬される電極は、任意の形状または外形であることができる。

いくつかの実施形態では、コロナエミッタ電極と浸漬電極(接地され得るか、または異なる電位であり得る)との間の電位差は、高圧電源によって印加されることができる。いくつかの実施形態では、コロナ放電閾値電圧またはそれを超えて、電圧をわずかに上昇させることにより、ガス間隙およびエマルションを横切って電極間で微小電流を測定することができる。これは、コロナ放電の特徴の非限定例である。定性的な特徴の別の非限定例は、放電現象によって生成される聴覚的ノイズであり、時として、これは、鋭い先端の周囲に青紫色の輝きを伴う。いくつかの実施形態では、コロナ放電は、湿度および他の要因に応じて、この輝きを伴うかまたは伴わない場合がある。本発明のいくつかの実施形態によれば、電圧を上昇させることにより、エマルションを横切る電流を増加させることができ、エマルションによって獲得される体積電荷密度を増加させることができる。

いくつかの実施形態では、コロナ放電が確立されるとすぐに、液滴のサイズが成長し始める。いくつかの実施形態では、成長速度は、短期間後にバルクエマルション中に大きな液滴が視覚的に観察され得るような速度である。これは、高速の電気合体の証拠である。正または負の極性のいずれかがコロナ電極に印加されることができることに留意されたい。しかしながら、本発明のいくつかの実施形態によれば、正の極性を選択することは、放電の電気力学的安定性を増加させ得る。

以前の技術と本明細書に記載の単極技術との重要な違いは、エマルション中の隣接する液滴が正味かつ単極の電荷を獲得するということである。したがって、ここでは、分離は、帯電した液滴間の強いクーロン力に基づいている。例えば、正のコロナ放電を印加すると、正の電荷を有する液滴が生じ、負のコロナ放電を印加すると、エマルション中に負の電荷を有する液滴が生じる。本発明のいくつかの実施形態によれば、鋭い電極は、エマルション界面から離れており、エマルション界面と鋭いエミッタ電極との間に電気的接触は存在しない。したがって、本発明のいくつかの実施形態によれば、単一の極性電極のみが、エマルションと物理的に接触するために必要とされる。本発明のいくつかの実施形態によれば、エマルション中に唯一の極性を有することが有利である。いくつかの実施形態では、特に主な電圧降下は、エマルション中ではなくガス間隙を横切って起こるため、これは、静電事象の可能性を著しく低減させ得る。さらに、電極はエマルションとの抵抗接点を有しないので、エマルションに注入される電荷の量は、油の絶縁破壊強度とは無関係であり、大容量の電荷がエマルションに局所的に注入され得る。これが、電場におけるさらなる不均一性および液滴合体の発生率の増加につながる。

さらに、いくつかの実施形態では、電荷はエマルションの外側で生成されるため、本方法は、たとえ導電性の高いエマルション(例えば、水相の塩分濃度が高い場合)であっても有効であることができる。したがって、いくつかの実施形態では、電流の量は、主としてガス間隙の放電特性によって決定付けられ、エマルションにはあまり依存しない。したがって、本明細書で論じられる実施形態は、任意の量の油または水を含む任意の油−水混合物にも適用されることができる。水中の塩の含有量も、良好な結果および所望の合体レベルを達成するために重要ではないことに留意されたい。

いくつかの実施形態では、高い塩分含有量(例えば、>0.5M、>1.0M、>1.5M、または>2M)の塩水溶液の液滴の合体は、シリコン油を伴うエマルションにおいて観察することができる。従来の電気合体は、油/水および塩分の含有量(これらは領域毎に異なり得る)に基づいて油/水の質に対して具体的に設計される。しかしながら、本明細書に記載のいくつかの実施形態を使用して、ガス媒体の圧力を変更することによって、電源の電圧を上昇させることによって、および/またはコロナばく露の時間を変化させることによって、異なる品質(例えば、異なる塩分含有量)を有する油/水エマルションを用いた所望の分離結果を得るための技術に適応するように、印加される電圧および電流の両方を制御することができる。プロセスは、容易に適応され、さまざまなエマルションの組成および分離の必要性に適用するよう制御される。

特定の理論に拘束されることを望むものではないが、単極分離の機構は、新たに発見された、絶縁媒体中の同符号の電荷間の引力の現象に従うものであると考えられる。同符号電荷粒子が引き合い得るということが推測されてきたが、それは未解決の問題のままである。

帯電した導電性の2つの硬い球は、それらが十分に近くにある場合はほぼ必ず互いに引き合う。Lekner,John,“Electrostatics of two charged conducting spheres,”Proceedings of the Royal Society A:Mathematical,Physical and Engineering Science468.2145(2012):2829−2848(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。引力は、球の相互分極およびこれらの球のうちの1つにわたる表面電荷密度の再分布に起因して起こる。正に帯電した2つの球が接近すると、一方の球が、他方の球に最も近い極で負の電荷密度を得、次いで、他方の球が、その付近の極で増加した正の電荷密度を獲得する。この引力は、2つの球が一緒に接近すると制限なく増加する。近い電荷の局所的な引力は、2つの同符号電荷球間のクーロン力の全体的な反発力に打ち勝ち、それらは互いに引き合う。上で論じた原則に対する1つの理論上の例外は、2つの球が、それらを接触させられることによって得るであろう同じ電荷比を有する場合である。この場合、2つの球は反発する。本明細書に提示される実験結果からも明らかなように、本明細書に提示されるのは、エマルションの相の分離のための、異なる電荷比を有する同符号に帯電した液滴の合体におけるこの原則の適用である。

(実験設定および実施例) (直接イオン注入−コロナ放電) 図1は、本発明のいくつかの実施形態による、液滴の合体を促進するための、エマルション界面を標的とする正イオンまたは負イオンのコロナ放電を示す略図である。左の略図100は、電圧を印加する前の、多数の液滴104がエマルション102全体に分散したエマルション102の略図を示す。右の略図100’は、電圧を印加した後のエマルション102’の略図を示す。この略図に見られるように、液滴104の少なくともいくつかは、合体してより大きな液滴104’を形成している。コロナ放電によるイオン照射は、形成されたイオンを界面からエマルションの体積中に直接注入し得る。エマルションの帯電は、外部の源(コロナ放電)から起こる。イオンは、エマルションの外側で形成され、エマルション/空気の界面から体積中に直接注入される。イオンは、エマルション中に分布し、液滴は、正味電荷を獲得するが、同じ極性を有する。コロナ放電は、エマルション中に非常に不均一な単一極性電荷を形成する。任意の所与の理論に拘束されることを望むものではないが、隣接する液滴間の電荷の差が、引力を引き起こし、最終的には、液滴の融合を引き起こすものと考えられる。ばく露時間を延長することにより、小さな水液滴を合体させて液滴径を増加させることによって油を水から分離することができる。

図2は、本発明のいくつかの実施形態による、相分離のために液滴の合体とポンピング効果または差動拡散現象とを同時に促進するための、エマルションの2以上の相の分離のためのコロナ放電システムを示す略図である。左の略図200は、コロナ放電の適用前の、多数の液滴204がエマルション202全体に分散したエマルション202の略図である。右の略図200’は、液滴204の少なくともいくつかを合体させ、より大きな液滴204’を形成させた、エマルションにコロナ放電を印加した後のエマルション202’の略図である。

いくつかの実施形態では、コロナ放電の電極システムは、(i)同符号電荷電気合体に起因するエマルションからの水液滴(または他の相)の分離、および(ii)例えば、エマルション容器の外への、水を多く含む相(または他の残りの相)から離れる油を多く含む相の物理的なポンピング/拡散/移動の両方を利用するように設計され得る。「ポンピング」または拡散効果は水ではなく油で起こるため、本発明のいくつかの実施形態に従って、さらなる分離効率のために差動効果を利用することができる。

一実施形態では、エマルションのタンクは、低電圧電極としての役割を果たす突出した縁辺部(傾斜部)を備えている。鋭い電極は、タンクの上に位置し、コロナ放電を確立するために使用される。エマルションは、連続的、半連続的、またはバッチ様式でタンクに加えられ得る。1つまたは複数の電極からのコロナ放電は、精製油を傾斜部の上に物理的に移動させるか、または汲み上げ、エマルションから分離した精製油を貯留するための別の容器または導管へと誘導することができる。分離した水相は、タンクの底部に残り、そこで排水され得る。

いくつかの実施形態では、コロナ放電のエミッタ電極のうちの1以上のものが、コロナ放電のポンピング効果を利用するために傾斜部の周辺に配置される。電気合体がバルク内部で起こり、精製油が適切な構成の電極によって汲み上げられる。本発明のいくつかの実施形態によれば、この場合、エマルションの水相のより高い塩分含有量は、油相と水相との間の対照的な電気導電率を高め得るため、むしろ好ましい場合がある。

(物質移動による単極電荷の移動—単極帯電した液滴をエマルション中に噴霧) コロナ放電照射実施形態では、電荷は、気体分子のイオン化によって直接導入される。しかしながら、帯電した物質を介して単極電荷をバルクエマルションに送達し得る。例えば、単極帯電した滴または流れをエマルション中に噴霧することは、その中の隣接する液滴が正味かつ単極の電荷を獲得するように正味かつ単極の電荷を獲得するエマルションを生じ得る。いくつかの実施形態では、噴霧は、エレクトロスプレーまたは機械的スプレー(例えば、微粒化)によって行われる。

図3は、本発明のいくつかの実施形態による、エマルション相の分離のために単極帯電した液滴306をエマルション302中に噴霧するためのシステムを図示する略図である。左の略図300は、エレクトロスプレー前の、多数の液滴304がエマルション302全体に分散したエマルション302の略図を示す。右の略図300’は、液滴304の少なくともいくつかを合体させ、より大きな液滴304’を形成させた、エレクトロスプレー後のエマルション302’を示す。

図3は、エマルション相の分離のために単極帯電した滴をエマルション中に噴霧するためのシステムを示す略図である。いくつかの実施形態では、絶縁油または水の静電微粒化が用いられ得、小さな帯電した液滴の雲がエマルション中に誘導され得る。いくつかの実施形態では、注入される微粒化された液体は、分離されるエマルションの組成に基づいて選択され得る。例えば、水が支配的な相である油中水エマルションの場合、いくつかの実施形態では、油を微粒化することができる。いくつかの実施形態では、エマルション中の単極正味電荷液滴は、伝導および/または対流機構によって電荷をエマルションに移動させることができる。自然の油中の水液滴は、これらの電荷を獲得し、コロナ放電について論じたような機構が生じ、単極帯電した液滴の電気合体を引き起こすことができる。異なる構成の電極が使用されることができる。例えば、円形ノズル、長方形の噴霧器、単一または複数の噴霧器が使用されることができる。

(単極帯電した液体の浴をエマルションに注ぐ) 物質移動による単極電荷移動の別の非限定的な実施例では、ある量のエマルションを最初に帯電させ、次いで、より多くの量のエマルションに導入する。例えば、いくつかの実施形態では、エマルションの一部を含む浴に電荷を注入するためにコロナ放電が用いられることができる。次いで、帯電した液体または混合物の浴が、より大きなエマルションのバッチまたは流れに導入され、そこで分離が行われる。帯電した液体は、エマルションに拡散し、伝導および対流の両方によって電荷を移動させる。物質移送および電気伝導によって移動させられる単極電荷は、バルク中で液滴の合体を引き起こすことができ、それによって分散相の液滴径が大きくなる。分離された液滴は、沈降してバッチの底部に集まるために十分なほど大きい。この方法は、分離プロセスを促進するために重力分離と組み合わされることができる。純粋な油が帯電させられ、重力分離器のタンクに注ぐことができる。単極分離に起因して単極電気合体が起こる。

(摩擦帯電:単極分離技術) いくつかの実施形態では、単極性エマルションの分離を行うために摩擦帯電が用いられる。この方法は、コロナ放電ばく露および単極帯電した液滴のエマルション中への噴霧の代替である。これは、コロナ放電法と同じくらい単純であるが、本発明のいくつかの実施形態によれば、活性電源の必要性を排除し得る。

例えば、いくつかの実施形態では、エマルションをPMMAまたは他の摩擦帯電用材料からできたポリマーパイプに通すことによって、電荷をエマルションに移動させる。いくつかの実施形態では、パイプの内側表面は、ポリマー、またはPMMA、PVC等のポリマーの組み合わせで被覆され得る。エマルションを表面上に通過させることは、パイプとエマルションとの間の摩擦に起因してエマルション内に単極体積電荷を形成し得る。この単極電荷は、単極電気合体に起因して液滴径の増加をもたらし得る。例えば、いくつかの実施形態では、この概念は、水液滴のサイズを増加させることによって著しくより迅速な分離を引き起こし得る重力塔に適用されることができる。いくつかの実施形態では、液滴が帯電させられるように、適切な摩擦帯電用材料上にエマルションを単純に通過させることが十分であり得る。いくつかの実施形態では、電荷が分離器内に残るように、重力塔、分離カラム、または他の容器が電気的に絶縁されるべきである。

(観察) 本明細書に記載の方法は、それらのレイアウトを実質的に変更せずに、現在の油/水分離プロセスと組み合わせられ得る。既存のシステムは、例えば、本明細書に記載されるような単極電荷分離の段階またはモジュールを用いて改良され得る。

本明細書において実証されるのは、単極の液滴が互いに引き合う、新しい分離技術である。以前の誘電泳動技術とは異なり、この場合の能動機構は電気泳動力である。実験により、バックグラウンド相に分散された液滴の同符号電荷の引力を検証している。この引力は、液滴の合体を引き起こし、それによってエマルションの相の分離に影響を及ぼす。この概念は、エマルション中の液滴および懸濁液中の固体粒子を分離するために適用されることができる。用途は、限定されないが、水/油エマルションの分離、ならびに細胞、タンパク質、DNA、および他の種類の混合物の分離を含む。

特定の実施形態では、コレクタ電極のみがエマルション/混合物に浸漬され、エミッタ電極はエマルション/混合物の外にある。特定の実施形態では、混合物は正味電荷を獲得する。したがって、体積電荷が重要ではない従来の方法とは異なり、我々の方法では、体積電荷は必要不可欠であり、特定の実施形態では、それは少なくとも1nC/m3、少なくとも10nC/m3、少なくとも100nC/m3、または少なくとも1μC/m3である。

本明細書に提示される方法の利点は、高電圧電極がエマルションと接近していないということである。主な電圧効果は間隙を横切って起こるため、アークまたは静電気破壊の可能性が著しく低減されることが可能である。さらに、単極帯電した液滴をエマルション中に噴霧すること、またはエマルションの摩擦帯電を伴う実施形態では、バルク中の単極電荷を維持する一方で、静電気破壊の確率が著しく低減される。

提案されるコロナ放電を用いた方法の別の利点は、異種のエマルション媒体において電場の強い不均質性が存在するように、高い体積電荷密度をエマルションに注入できることである。この電場における不均質性は、同符号電荷液滴間に電位差を引き起こし得、それによって合体の可能性を高め得る。さらに、いくつかの実施形態では、精製油は、導電性の水相上の静電圧がゼロである間に静電圧によって汲み上げられる(または、汲み上げが支援される)ので、水/油エマルション相の物理的分離がコロナ放電によって強化される。これは、例えば、電力が制限され、重力場が存在しない微小重力条件における混合物の分離にとって特に重要な実施形態であり得る。重力分離は、微小重力では使用することができず、コロナ放電の実施形態は、そのような方法の代替物となり得る。汲み上げられる油相とともに強化された合体の割合は、たとえ外部空間における用途であっても、油汚染物質が少なく、電力消費量が最小限である、より大きな水液滴の形成をもたらし得る。

本明細書に記載の実施形態では、電気合体は、電場に対する液滴の向きに依存するとは考えられない。従来の方法では、液滴は、引力が発生するように電場内で向けられなければならない。これらの電気コアレッサーでは、液滴のわずかな偏向が、液滴間に所望の分離ではなくむしろ反発力および安定化を引き起こし得る。対照的に、本明細書に記載の実施形態において、電気合体は全方向型である。電気泳動力はいずれの方向にも働き得るため、方向および向きは必須条件ではない。

実験は、油中水エマルションおよび水中油エマルションの両方に対する、本明細書に記載のコロナ放電システムの有効性を示す。特定の実施形態では、平均液滴径<50ミクロン、<25ミクロン、<10ミクロン、<1ミクロン、<0.5ミクロン、または<0.1ミクロンのエマルションの相を分離することができる。特定の実施形態では、印加電圧の範囲は、約1〜約20キロボルト(例えば、数キロボルト)であり得、電極とエマルションの界面との間の間隙空間は、約0.1mm〜約50mm(例えば、数十ミリメートル)であり得る。いくつかの実施形態では、印加電圧および間隙は、上に提示したよりも大きな範囲で異なり得るが、結果として得られる電場は、コロナ電極の先端からコロナ放電を引き起こすために十分大きく(約105〜107V/m)なければならない。「Peekの法則」は、所与の間隙空間ならびに所与のガス圧および温度に対する印加される電位の最初の近似値を提供し得るが、電位はコロナ先端の曲率半径にも依存する。コロナ電流およびコロナ先端の数は、先端の形状および数に依存して異なり得るが、単一の先端の場合、コロナ電流は、約0.1〜約200マイクロアンペアの範囲内である。ばく露時間を延長することにより、精製の強化をもたらし得るが、特定の実施形態では、満足のゆく合体を引き起こすために、わずか1〜30秒ほどで十分である。コロナ放電分離は、複数段階においても実行することができる。各段階において、異なる構成の異なるコロナ電圧を用いてもよい。しかしながら、1段階のばく露が十分である場合もある。

特定の実施形態では、エマルションのための容器自体(またはその一部)が、接地電極としての役割を果たし、異なる形状を有することができる。例えば、平坦な電極、傾斜した平坦な電極、曲線的な電極、または湾曲した電極であり得る。エマルションは、停滞していても、開放チャネル内を流れていてもよい。

電気泳動力は、精製油を直接的に回収することができるか、またはデッドエンドシステムであり得る。コロナ放電ばく露は、既存のシステムにおける使用のための前処理ステップとして行われることができるか(例えば、重力および/または沈降によるエマルション分離プロセスの改良)、または他の技術と容易に組み合わせることができる。例えば、コロナ放電ばく露は、後に、現在の分離システム(例えば、重力、沈降、および/または化学添加剤による分離プロセス)によってより容易に取り扱われるより大きな液滴を形成するように、小さな液滴間の合体を促進させ得る。

いくつかの実施形態では、上で開示した方法は、必要に応じて、互いに組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、これらの方法は、産出される精製相およびバックグラウンドの必要量に依存して、前ステップまたは後ステップとして、他の従来技術、既存の静電技術、重力、濾過、または他の技術と組み合わせることができる。

いくつかの実施形態では、必要とされる程度まで安全性を増加するために、気相をいずれかの他のガス、例えば不活性ガスと交換し得る。技術は、ガスまたはエマルションのどんな特定の圧力または温度にも限定されないため、より多用途の分離プロセスを可能にする。

いくつかの実施形態では、方法は、石油中または生物学的媒体中の泥、砂等の固体粒子の凝固を引き起こすために適用され得る。同様に、凝固は、そのような成分を含有する混合物の単極帯電によって、細胞、タンパク質、DNA、またはRNAの凝固(または他の遺伝子材料の凝固)のために達成されることができる。

(同符号に帯電した液滴の合体) 図4Aは、同符号に帯電した(正に帯電した)2つの液滴の接触(t=0)に関連する種々の時点で得られたシリコン油中の脱イオン水の2つの液滴の一連の顕微鏡写真を示す。Qaは、液滴aの電荷であり、Qbは、液滴bの電荷であり、raは、液滴aの半径であり、rbは、液滴bの半径である。液滴の電荷密度が異なる場合、例えば、例として、Qa/ra>>Qb/rbであり、液滴が互いに十分に接近している場合、液滴の引力および合体が観察される。

図4Bは、正に帯電した、狭い分離幅で離れた2つの同じサイズの金属球間の静電相互作用の実験結果を表す。球の間の電荷の大きさの差が十分に大きい場合、正に帯電した球が互いに引き合うことが観察された。電荷の差が確立されると、引力が右側の球を左側の固定された球に向かって引く。短期間の接触後、2つの球は等電位となり、次いで、互いに反発し合う。この観察は、同符号の電荷を帯びた導電性の硬い球の引力および接触後の反発力に関する最近の予想を裏付けるものである。

図4Cは、十分に大きな電荷の差を有する、油の浴中の正電荷を帯びた異なるサイズの同符号電荷水液滴の静電相互作用の一連の顕微鏡写真を示す。上および下の液滴の電荷は、それぞれ、+10.7pCおよび0.94pCであった。図4Bに関連して論じた金属球と同様に、十分に大きな電荷の差を有する2つの非等電位の液滴は、狭い分離幅で引き合う。しかしながら、t=0で接触した後、図4Bの金属球とは異なり、2つの液滴は、図4Cに示されるように互いに引き合い、合体する。同符号電荷液滴は、徐々に接近し、最も近い極で明らかに接触した直後に合体が起こる。図4Cに示すスケールバーは0.5mmである。バックグラウンド油は、450センチストークスのシリコン油である。

図5は、クーロン力(FAtr/FRep)がおよそ>1である場合、2つの同符号に帯電した液滴の合体が起こることを示す実験データを表す。2つの液滴間で同符号電荷における差の大きさがより大きい場合(例えば、Qa/Qbがより高い場合)、互いからより離れた距離(最大約1mm離れている)で液滴間に合体が観察される。

図6Aは、50μmの固定された初期分離幅の同じサイズの2つの正に帯電した近い液滴の電荷測定の結果を示す。初期分離幅は、帯電する前の中性の液滴間の間隙である。図6Aに示すように、液滴間のわずかの電荷の差が、本発明のいくつかの実施形態に従って、液滴の電気合体を引き起こすために十分である。

対照的に、図6Bは、2つの電気的に接続された同一の水液滴の場合、いくつかの実施形態では、液滴は、たとえそれらが機械的に一緒に押された場合でも融合しないということが観察されることを図示する。これは、液滴は接触すると等電位になり、次いで電荷の差がゼロに等しくなるという事実に起因する。同一の球の場合、a=bであり、QaおよびQbの正味正電荷を有する同符号電荷導体球間の短距離引力の表現は、次のように得られ、

ε0、S、およびγは、それぞれ、媒体の誘電率、液滴間の間隔、およびオイラーの定数である。上の式(2)から、Qa≠Qbである場合にのみ、同じサイズの十分に接近した球は常に引力を有するということが推測されることができる。一方で、正確に同じ電荷を有する2つの同一の球の場合、a=bおよびQa=Qbであり、引力はゼロである。この場合、等しく帯電した球は等電位になり、反発する。分離幅の狭い等電位の球の場合、反発力Frepは、間隔とは無関係であり、ケルビンの式によって得ることができる。

図6A、6B、および6Cに示される実験結果は、上の式(2)に表される同符号の電荷の引力についての表現によって解釈されることができるが、なぜ不均等に帯電した液滴が接触後に合体するのかは依然として明らかではない。合体の機構を調査するために、接触の直前および直後に液滴合体の高解像度/高速撮像を行った。

図7A−7Cは、エマルション中の2つの同符号に帯電した液滴が合体した時に生じる機構を示す。t=20マイクロ秒で静電ブリッジが現れ、いずれの特定の理論に拘束されることを望むものではないが、太くなって毛管ブリッジになり、その結果、液滴の合体をもたらすと考えられる。

図8A、8B、および8Cは、180,000フレーム/秒−1の一連の連続高速画像において、シリコン油中の同符号電荷脱イオン水の水液滴の挙動を図示する。2つの隣接する同符号電荷液滴の場合、より大きな絶対正電荷を有する液滴(上の液滴)が、より小さな正味正電荷を有する他の液滴(下の液滴)を分極化させる。図8Dは、同符号電荷液滴の引力および合体のための静電相互作用のカートゥーンを表す。カートゥーンは、図8A−8Cに提示される実験の可視化に基づいている。

図8Dに示すように、負の鏡像電荷(グレーの雲)のバッチは、より小さな正電荷(ピンクの雲)を有する液滴の最も近い極に現れる。近くの液滴の極間の電場は、局所的な電荷の再分布の結果として増加する。正に帯電したメニスカスと、他の液滴のメニスカスの最も近い極におけるその負の鏡像電荷との間の引力が、液滴間に引力を引き起こす。

図8A、8B、および8Cに見ることができるように、電場が強い最も近くの極におけるマクスウェル応力の局所的増強に起因して、引力がテイラーコーン状の変形を引き起こす。液滴と2つの変形したメニスカスとの両方が一緒に接近する。2つのメニスカスが接近すると電場はさらに強くなり、増強された電場が電荷とその鏡像とを再分布し、メニスカスにより顕著な変形を引き起こす。変形したメニスカスは、最終的に互いに接触し、2つの液滴間に液体ブリッジが直ちに形成される。

図8Aに表されるような分離幅が小さい液滴の場合、接触直後のブリッジの形成により、接続された同符号電荷滴間に局所的曲率が高いネックがもたらされる。湾曲したネックの形成は、局所的な低圧力領域を作り出し、ブリッジに向かって内向きの流れを生じさせる。内向きの流れは、ブリッジに液体を供給し、ネックを太くする。したがって、同符号電荷液滴の合体が進行する。そのような小さい分離幅の場合、発達初期(t=0)のブリッジの形態は、その小さなサイズのために適切な光学解像度で捉えることができない。接触後に適切な光学解像度で発達の詳細を可視化するために、図8Bおよび8Cに見ることができるように液滴間の初期分離幅を増加させた。新たな、より大きな分離幅を得るように同符号電荷の引力および合体を確立するために、絶対的な電荷の大きさおよび滴間の電荷の差を増加させた。上の液滴の電荷をそのレイリー限界付近まで増加させ、下の液滴の電荷は低いままで維持した。これらのより大きな初期分離幅の場合も、電気合体が起こる。2つの液滴が互いに引き合い、それらのメニスカスがそれらの最も近い極で変形することが観察された。2つの変形したメニスカスが接触すると、著しく安定した一過性の液体ブリッジが形成される。高アスペクト比の液体ブリッジは、従来の毛管ブリッジとは明らかに異なる。そのような一過性の液体ブリッジは、以前に報告された空中に浮遊するブリッジおよびわずかに導電性の液体の電気的に支持された高アスペクト比のカラムを連想させる。浮遊するブリッジと同様に、液体ブリッジの誘電率は媒体(我々の場合は油)の誘電率よりも高いため(εwo)、電流を帯びた液体ブリッジは、ブリッジ内の法線および接線方向の静電マクスウェル応力によって安定化される。静電力および分極力は両方とも、表面に起因する不安定化効果に対してブリッジを「平らにする(level)」傾向がある。そのような安定した液体ブリッジは、電気的に接続された2つの液滴を保持する。最初、ブリッジを横切る電場が大きいときには、2つの帯電した液滴間の液体ブリッジが電場によって安定化される。電荷がブリッジを横切って移動すると、ブリッジに沿った油/水界面の間の接線方向の場が徐々に減少する。続いて、静電気的に支持されたブリッジが毛管ブリッジに戻る。接続した液滴間の毛管ブリッジは、接続した物体の表面を最小化する傾向がある。自立した電流を帯びたブリッジの形成、およびその毛管ブリッジへの変換は、2つの接続した液滴の合体に好都合である。大きく帯電した隣接する液滴の場合、メニスカスが接触する前に、変形した極に及ぼされる強い接線方向の応力に起因してエレクトロスプレーが起こる。大きく帯電した液滴間でのそのようなコーンジェットおよびエレクトロスプレーの存在下であっても、同符号電荷の合体が進行する。このことは、同符号電荷の合体が、一般的な現象であり、幅広い電荷の大きさで起こり得ることを暗示している。

図9および10は、本明細書に記載されるような同符号に帯電した液滴の合体を用いた油/水エマルション分離システムの2つの例示的な略図を示す。

図9では、エマルションは、コロナワイヤ(エミッタ電極)904の下のハーフパイプ902内を流れる。いくつかの実施形態では、ハーフパイプ902は、接地されたコレクタ電極を含み得るか、またはそれ自体が接地されたコレクタ電極であり得る。ハーフパイプ902に沿ってエマルションが流れる間に分離が起こる。コロナ放電の結果としての油相の差動拡散/ポンピングが、ハーフパイプ902の縁辺部を越えて下のコレクタ傾斜部906へ、そして回収槽908内へと油相を押し進める。ハーフパイプ902の代わりに、例えば、異なる形状の別のチャネルが使用されることができる。特定の実施形態では、エマルション/空気界面の上にコロナワイヤを備えた多分岐ハーフパイプが使用されることができる。

図10に示される実施形態において、エマルションはタンク1010を充填する。コロナワイヤ1004、コロナブレード、または任意の他の種類の鋭いエミッタ電極は、タンク1010の傾斜部または傾いた側またはリップ部1012近くでタンクの上に配置される。精製された油相の差動拡散/ポンピングは、コロナ放電によるものであり、リップ部を越えて回収槽1008内へと油相(水相ではない)を押し進める。いくつかの実施形態では、タンクはエマルションで絶えず充填され得、コロナ放電が相を分離し、純粋な油が回収される。代替として、いくつかの実施形態では、タンクは、バッチモードまたはセミバッチモードで動作し得る。大規模システムの場合、いくつかの実施形態では、複数の高電圧電極が使用されることができる。

いくつかの実施形態では、エマルションの相の分離を引き起こす単極条件をもたらすために、コロナ放電の代わりに摩擦帯電が用いられる。

同符号電荷合体の概念は、エマルションの不安定化に適用されることができる。図11A、11B、および11Cは、油および油中水エマルション中の2つの水滴の系について同符号電荷合体を示す。図11Aおよび11Bは、それぞれ、単極イオン注入を受けた油中の2つおよび3つの隣接する水滴系の単極合体を示す。コロナ放電閾値を超える高電圧を鋭いエミッタ電極に印加することによって正の直流コロナ放電を確立した。エミッタ電極に隣接する空気をイオン化し、強い電場のために正イオンの雲が空気/液体界面に向かって加速された。加速された正イオンは、油の体積中に注入された。注入された電荷は、水/油の液滴界面の表面上に堆積された。水液滴によって獲得された正味電荷はそれらの表面積に比例するため、異なるサイズの2つの隣接する液滴間の任意の電荷の差は、不均一な電荷注入を適用することによって確立され得る。十分な電荷の差が確立されると、短距離引力が同符号電荷水滴の合体を引き起こし得る。

図11Cは、異なるばく露時間でコロナ放電を受けたヘキサデカン中の1.5重量%脱イオン水を含むエマルションの同符号電荷の合体および単極分離を示す。エマルションを安定化するために、1.6重量%界面活性剤Span80(登録商標)を加えた。エマルション中の液滴の平均直径は、イオンばく露の直前で約300nmと測定された。20mlのエマルションを2つの同一のビーカーに注いだ。左のビーカーはコロナ放電にばく露され、右のビーカーはばく露なしで放置された。放電に対するエマルションの連続ばく露は、隣接する水液滴に空間的に不均一な体積電荷密度を供給する。隣接する水液滴は、不均一な正電荷を獲得し、それが油中の水液滴の同符号電荷合体を促進する。結果として、液滴が放電にばく露されるとそれらのサイズが増加し、エマルションの分離が起こった。図11Cに示すように、左のビーカー内の濁ったエマルションは、水液滴が合体して沈殿すると、透明な油になった。ばく露しない場合、右のビーカーの濁った外観は、同じ実験時間の間に無視できるほどわずかな変化しか示さなかったことから、実験中、エマルションが安定していたために液滴の合体が最小限であったことを示唆する。

図12A、12B、および12Cは、摩擦帯電による帯電と比較して、コロナ放電によって帯電されたエマルション中の同符号に帯電した液滴の画像を示す。図12Cに提示される摩擦帯電の結果を得るために、ポリエステルファイバでPMMA基板を擦った。エマルションが注がれるかまたは別様に導入される帯電した基板を作製するために、他の材料の対が使用されることができる。擦らなかった基板上におけるエマルションの堆積は、基板全体に電荷が存在しないため、分離効果をもたらさない。乾燥したPMMA基板を擦ると、基板が正に帯電し、ファイバが負に帯電する。基板全体の電荷が飽和限界に達し、約100nC/m2と測定された。帯電した基板上にエマルションを堆積させることは、エマルションの激しい分離をもたらした。2つの隣接する液滴間のわずかな電荷の差が引力を引き起こし、それが水液滴の合体を引き起こす。高密度エマルションにおけるわずかな電荷の差が、エマルションの不安定化および所望の相の分離をもたらし得る。これらの電荷は、2つまたは多くの液滴上で単極であり得る。いずれの特定の理論に拘束されることを望むものではないが、単一極性の電荷は、エマルションの分離を誘導するために十分である。

(25%水−75%油の分離) この実施例では、分離した油の静電ポンピングの存在下で、コロナ放電補助式エマルションの分離を実行した。図13に示すように、湾曲した電極1314を、シリコン油中の脱イオン水のエマルション1316(25重量%の水、75重量%の油)で最初に充填した。湾曲した電極1314を接地した。コロナ針1318をエマルション/空気界面の上に固定した。コロナ電極とエマルション界面との間の距離は、数十ミリメートルであった。したがって、接地電極1314がエマルション1316と接触する一方で、コロナ針1318は、周囲空気中に位置し、エマルション1316との抵抗接点を有していなかった。針1318に臨界値を超える電圧を印加することにより、エマルション1316の表面および湾曲した接地電極1314の上に正のコロナ放電を確立した。コロナ放電の確立は、コロナ電流を測定することによって確認した。

強い電場の存在下でイオン化空気の雲がエマルション1316に向かって加速され、エマルション1316は、そのようなイオン照射によって正に帯電した。バルク油中の水液滴は直ちに合体した。理論に拘束されることを望むものではないが、液滴の不均一な電荷が、正−正に帯電した液滴の合体の原因であると考えられる。さらに、コロナ放電ばく露によって分離した純粋な油が、湾曲した接地電極1314の右側の湾曲傾斜部を上った。エマルション容器1320から純粋な油を分離するため、および汲み上げるための両方にコロナ放電を用いた。純粋な油のみが傾斜部1322を上ることができ、水は影響を受けなかったことに留意されたい。この差動効果を利用するシステムが実装され得、エマルションの相の分離をさらに強化する。静電圧は水液滴上で発生させられることができず、水(または他の水相)は傾斜部1322の上に移動することはできない。これは、水の導電率が高過ぎて、電荷緩和が速いためであると考えられる。したがって、水液滴の上に静電圧を確立することができず、それらを汲み上げることができない。対照的に、バックグラウンド油の場合、電荷は長期にわたって留まることができ、電圧を確立することができ、分離した純粋な油を傾斜部の上に汲み上げることができる。

図14Aに見ることができるように、油中水エマルションに対する空気−エマルション界面上に、7kV〜1μAのコロナ放電を約10秒間印加した(7ミリワットの消費電力)。図14Bは、小さい液滴が激しい電気合体を示したことを図示している。この時点で、油含有量の約90%が回収された。回収された油は透明であったが、微小水滴の跡がかすかに見られた。水液滴のかすかな跡を有する精製油を第3段階に移した。7kV〜1μAの放電、次いで、より強力な8.6kV〜2μAの放電およびはるかに強力な12kV〜3μAの連続的に20秒間行うと、達成された分離は99.9%の分離を示す。単一針電極を備えたコロナ放電補助式分離器のエネルギー消費は、実験室サイズでは数ミリワットもの低さであり得る。多くの実施形態では、本明細書に記載の方法およびシステムは、スケールアップするために使用することができる。例えば、わずか40ワット時間(10kV、1μA)で、0.1m3/時間処理し得る。

図15Cは、分離プロセスに使用したエマルションを示す。図15Bは、静電気的にエマルションから回収されたシリコン油を図示する。図15Aは、コロナ放電補助による回収後の水を図示する。

(90%水−10%油の分離) 図16の設定1600は、ポンピング効果を利用しないエマルションのコロナ放電分離を示した。コロナ放電補助による技術は、主として油であるエマルションから水を分離するために使用することができ、エマルションは、油バックグラウンドに乳化された低濃度の水および/または小さい液滴径の水を含有する。他の実施形態では、コロナ放電補助による技術は、主として水であるエマルションから水相および油相を分離するために使用することができる。

コロナ放電にばく露されたエマルションは、放電にばく露されたときにその静電気エネルギーを最小化する傾向がある。したがって、イオンが油液滴を基板に向けて輸送し得る。基板が親油性である場合、油は、液体の体積の下に薄膜を形成する。多様な電場は、液滴から油を引き出して、水が分離されることを引き起こし得る。油が水中に乳化されている場合、系の静電容量が大きいということに留意されたい。帯電した油層は、電位の低い基板から離れている。場がばく露されると、イオンの雲が水の界面に到達し、界面を通過する。今度は、静電容量をできる限り低くするように油液滴が基板に引き付けられる。コロナ放電補助による技術は、たとえ水中にわずか1%の油を含むエマルションであっても、分離を可能にする。この技術は、特に基板が平坦である場合に有望である。この技術は、液滴のような形態において実装された場合により効率的であると考えられる。

(イオン注入) 図17に示した構成において、液滴1730は、図13に示される実施形態と類似したコロナ針1718による単極イオン注入によってエマルションの浴中で直接的に帯電している。しかしながら、容器1720は湾曲しておらず、油を汲み上げることができない。分離した油は上に留まり、コロナ放電によって汲み出されない。合体後、標準的なプロセスを用いて相を分離し得る。

一例において、石英の容器が使用された。石英の容器をエマルション(非イオン性界面活性剤Span(登録商標)80により安定化した10%油−90%エマルション)で充填した。接地した平坦な電極1714を、図17に示すように容器1720の底に固定した。コロナ針1718を、エマルション/空気界面の上に固定した。電極とエマルション/空気界面との間の間隙は約5mmであった。接地電極1714は、自然酸化物を含むシリコン基板であった。印加電圧を増加させることにより、エマルションを横切る電流は依然としてゼロのままであり、エマルションは不安定化しない。コロナ放電開始閾値以上に印加電圧をさらに増加させると、電流が確立される。これは、コロナ放電の特徴である。この閾値電圧を超えると、水液滴1730間の即時合体が観察され、相分離(エマルションの不安定化)が起こった。この実施例では、7kVを印加し、この電圧での全電流は0.9μAであった。分離前の油中の水液滴1730の平均直径は、50μmであった。コロナ放電ばく露後、ばく露時間に依存して、平均液滴径が一桁大きくなった。

(構成的実施例−エマルションの一部を帯電させ、帯電した部分を中性エマルションと混合する) 図18に示すように、油中水エマルションを2つの容器に分割する(またはエマルションもしくは他の混合物は、最初に2つの容器内に提供され得る)。エマルションまたは他の混合物の第1の部分を容器1820に入れる。エマルション1816をコロナ放電によって帯電させる。コロナ針1818および誘電体コーティングを有する接地電極1814を使用して、上のいくつかの実施形態において論じたようにコロナ放電を確立する。接地電極1814はエマルション1816と接触している。ガス媒体(例えば、任意の圧力および温度の、上で論じた1つのガスまたはガスの混合物)は、エマルション1816とコロナ針1818との間に位置する。コロナ針1818と接地電極1814との間の電気電位の差をコロナ放電閾値超で印加すると(例えば、連続的な交流もしくは直流放電またはパルス放電)、コロナ針1818の鋭い先端の周辺で強制電場が十分に強くなり、その結果、電極分離領域内の周辺の中性ガス媒体が部分的にイオン化され、エマルション1816を帯電させる正イオンの雲1840を形成する。帯電したエマルション1816’は、次いで、導管1842を介して第2の容器1844に輸送される。第2の容器は、最初は中性のエマルション1846を含む。帯電したエマルション1816’は、次いで、分離される必要がある、最初は中性のエマルション1846と混合され得る。

(構成的実施例−異なるエミッタ電極および接地電極の構成を用いた実験設定) 次に図19を参照すると、実験設定1900は、複数のエミッタ電極1918と、誘電体コーティング1914を有する接地電極とを用いる。実験設定1900’は、複数のエミッタ電極1918と裸の接地電極1914’とを用いる。実験設定1901は、単一のワイヤエミッタ電極1918’と、誘電体コーティング1914を有する接地電極とを用いる。実験設定1901’は、単一のワイヤエミッタ電極1918’と裸の接地電極1914’とを用いる。

(構成的実施例−エマルションまたは他の混合物の輸送中にコロナ放電を印加する実験設定) 次に図20を参照すると、実験設定2000および2001が図示される。実験設定2000は、油中水エマルション2016(他の混合物も分離され得る)の輸送中のコロナ放電の印加を図示している。コロナ放電ワイヤ2018’は、エマルション2016の上に配置される(例えば、コロナ放電ワイヤ2018は、エマルション2016と接触していない)。いくつかの実施形態では、コロナ放電ワイヤ2018’は被覆されている。いくつかの実施形態では、コロナ放電ワイヤ2018’は裸である。半分(または管容積の別の適切な部分)がガス(例えば、空気または電流放電の効果を効果的に増加させ得る任意のガス組成物)で充填されている。実験設定2000は、コロナ放電を用いた輸送中にエマルション2016(または、別の混合物)が分離することを可能にする。任意の適切なコロナ放電電極の形状が用いられ得る。

実験設定2001は、油中水エマルション2016’(他の混合物も分離され得る)の輸送中のコロナ放電の印加を図示している。複数のコロナ電極2018がエマルション2016’の上に配置されている。半分(または、管容積の別の適切な部分)がガス(例えば、空気、または電流放電の効果を効果的に増加させ得る、異なるガスの混合物を含む、任意のガス組成物)で充填されている。実験設定2001は、輸送中にエマルション2016’(または、別の混合物)が分離することを可能にする。任意の適切なコロナ放電電極の形状が用いられ得る。

(構成的実施例−摩擦帯電による帯電の例示的設定) 次に図21を参照すると、輸送中にエマルションまたは別の混合物を分離するための実験設定2100が示される。輸送中の摩擦帯電による帯電によって、移動中のエマルション2116に電荷を導入することができる。図21に示すように、エマルション2116は、パイプ2150(または、エマルションもしくは別の混合物を輸送することができる任意の他の導管)中を輸送中に分離され得る。パイプの内側表面2148(例えば、輸送されるエマルションまたは他の混合物と接触している表面)は、摩擦帯電による帯電を改善するように構成される摩擦帯電用コーティングで被覆されている。いくつかの実施形態では、コーティング2150は、テフロン(登録商標)およびナイロンの組み合わせを(適切な割合で)含む。いくつかの実施形態では、コーティング2150は、適切な種類の(例えば、摩擦帯電による帯電を改善するのに適した)静電コーティングである。混合物の体積中の単極電荷は、輸送中にパイプ2150を通過する際にエマルション2116の分離を促進させることができる。単極分離は、パイプ2150を通るエマルションの輸送中に、完全にまたは部分的に終了させることができる。

(構成的実施例−イオン化ガスの例示的な設定) 次に図22を参照すると、エマルションまたは他の混合物を分離するための実験設定2200が示される。中性ガス(例えば、正味電荷を有しないガス)2254がイオン化チャンバ2256に供給される。中性ガス2254は、次いで、イオン化チャンバ2256内でイオン化される。いくつかの実施形態では、中性ガス2254は、コロナ放電を用いることによってイオン化される(例えば、他のコロナ放電の実施形態について上で論じたように)。単極電荷を帯びた部分的にイオン化されたガス2254’が、次いでエマルションまたは他の混合物2216に(例えば、1つの場所からまたは複数の場所から)導入される。いくつかの実施形態では、部分的にイオン化されたガス2254’は、エマルションまたは他の混合物2216を通過する。

実験設定2201は、分離されるエマルションまたは別の混合物2217に電荷を導入するための別の例示的な実施形態を図示する。中性ガス2255は、パイプまたは別の導管2258に供給される。中性ガス2255は、パイプまたは別の導管2258を通る輸送中にイオン化される(例えば、コロナ放電によってイオン化される)。部分的にイオン化されたガス2255’が、次いで、エマルションまたは別の混合物2217に(1つの場所からまたは複数の場所から)注入される。いくつかの実施形態では、部分的にイオン化されたガス2255’は、エマルションまたは他の混合物2217を通過する。

いくつかの実施形態では、エマルションまたは他の混合物2216もしくは2217とのイオン化ガスの気泡の界面を増加させるために、気泡のサイズを減少させることができる。いくつかの実施形態では、エマルションまたは他の混合物2216もしくは2217は、気泡がエマルションまたは他の混合物2216もしくは2217に入る前に物理的に撹拌することができる。気泡は、1つの場所からまたは複数の場所からエマルションまたは他の混合物2216もしくは2217に注入することができる。気泡は、エマルションまたは他の混合物2216もしくは2217の下から注入され得る。他の実施形態において、気泡は、エマルションまたは他の混合物2216もしくは2217の上から注入され得る。

(他の実施形態) 本明細書に記載される実施形態および実施例は、例示目的のためにすぎず、限定のためではない。本発明の範囲は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって図示され、本発明の範囲内の種々の変更および修正は、当業者には明白であろう。

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