自走式草刈機及び自走式草刈機における草刈り方法

申请号 JP2017005915 申请日 2017-02-17 公开(公告)号 JPWO2017154524A1 公开(公告)日 2018-08-09
申请人 工機ホールディングス株式会社; 发明人 伊藤 達也; 清水 康雄; 市毛 太祐; 中島 朋也; 西河 智雅;
摘要 自走式草刈機において、刈込負荷を低減させて草刈りを継続できる 蛇行 運転モードを設けた。地面と略平行な面で回転するロータリー式の刈刃を有し、後輪が駆動モータにより独立して制御され、草刈領域内を自律的に走行しながら草刈りを行う自走式草刈機において、制御装置は一方の車輪で直進動作を行っている際に、他方の車輪の前進→停止→後退→停止の操作を行い、次に他方の車輪で直進動作を行っている際に、一方の車輪の前進→停止→後退→停止の操作を行い、これらを繰り返すことにより草刈機の全長の範囲内で左右に蛇行させながら進行方向の刈り込みを行う蛇行モードを設けた。蛇行モードでは刈刃の中心軸の移動軌跡が点線61のようになり、刈り取り幅がW C となる。
权利要求

2つの駆動輪と、前記2つの駆動輪を独立して駆動させる2つの車輪モータと、刈刃を駆動する刈刃モータと、これらのモータに電を供給する二次電池と、草刈領域の自律的な走行を制御する制御装置と、を有する自走式草刈機において、前記制御装置は、進行方向への移動中に前記2つの駆動輪を交互に逆転させることで、左右に向きを変えながら走行制御を行うことを特徴とする自走式草刈機。前記進行方向の移動中に前記刈刃が通過する幅を、前記自走式草刈機の全長以内としたことを特徴とする請求項1に記載の自走式草刈機。進行方向の移動において前記刈刃が通過する幅を、前記刈刃の径の三倍以内としたことを特徴とする請求項1に記載の自走式草刈機。前記2つの駆動輪の逆転制御は、前記刈刃による刈り取り済み領域内で行われることを特徴とする請求項1から3のうち何れか一項に記載の自走式草刈機。前記駆動輪は、正転及び逆転制御の間に停止制御が行われることを特徴とする請求項1から4のうち何れか一項に記載の自走式草刈機。前記制御装置は、左右旋回を繰り返しながら前記刈刃による刈り取りを行う蛇行モードと、進行方向に直進しながら刈り取りを行う通常モードを切替え可能としたことを特徴とする請求項1から5のうち何れか一項に記載の自走式草刈機。前記制御装置は、刈り取り時に前記刈刃に加わる負荷を監視し、前記通常モードによる運転中に過負荷と判断した場合に、前記通常モードから前記蛇行モードに切り替えることを特徴とする請求項6に記載の自走式草刈機。入力手段を設けて操作者により前記蛇行モードの実行の有無を選択可能とし、前記蛇行モードの実行が選択された際には、前記制御装置は前記自走式草刈機の走行全体又はその一部分において前記蛇行モードによる刈り取りを行うことを特徴とする請求項7に記載の自走式草刈機。一方の車輪が前進している間に他方の車輪を前進→停止→後退→停止の動作を行い、次に他方の車輪を前進させて一方の車輪を前進→停止→後退→停止の動作を行い、これらを繰り返しながら進行方向に移動することを特徴とする請求項8に記載の自走式草刈機。前記自走式草刈機は進行方向を変更する転回を行い、転回を行う際に前記通常モードと前記蛇行モードとを切替えることを特徴とする請求項9に記載の自走式草刈機。転回を行う毎にランダム制御により前記通常モードか前記蛇行モードかを選択して実行することを特徴とする請求項10に記載の自走式草刈機。車輪モータと刈刃モータを保持する本体シャーシと、これらを覆う本体カバーを有し、前記本体シャーシの前側に前輪を設け、後側に後輪を設け、前記後輪のそれぞれに前記車輪モータが接続され、前記本体シャーシの前後方向に見て前記前輪と前記後輪の間に設けられて地面と略平行な面で回転する刈刃と、前記車輪モータと前記刈刃モータを制御することにより草刈領域内の自律的な走行を制御する制御装置と、を有する自走式草刈機において、前記制御装置は、左右の車輪用の前記車輪モータを逆転させる操作を交互に行いながら蛇行させるようにして前記自走式草刈機を進行させ、前記車輪モータを逆転させる際の駆動輪が前記刈刃による刈り取り済み領域内で後退するように制御されることを特徴とする自走式草刈機における草刈り方法。前記制御装置は、刈刃モータが回転して刈り取り作業を行っているときに、a)前記車輪モータの一方を正転、停止、逆転、停止の正逆制御を行い、他方の前記車輪モータを連続的に正転駆動する制御を行い、b)次に他方の車輪モータを正転、停止、逆転、停止の正逆制御を行い、一方の車輪モータの連続的に正転駆動する制御を行い、c)ステップa)〜b)の制御を繰り返す、ことを特徴とする請求項12に記載の草刈り方法。

说明书全文

本発明は、電動モータを駆動源とし草刈領域内を自律的に走行して草を刈り取る自走式草刈機及びその草刈り方法に関する。

地面に生えた芝生や雑草を刈り取るための草刈機として、ワイヤー等で区画された草刈領域内を自動的に走行して草を刈り取るようにした自律走行式(自走式、あるいはロボット式)の草刈機が普及してきた。自走式の草刈機においては、車輪を駆動するための車輪用のモータと、草刈用の刈刃を駆動する刈刃用のモータを設け、これらモータに電を供給する二次電池を搭載して制御装置にて走行しながら、刈り取り作業を行う。

自走式にて草刈作業中に二次電池の充電容量が低下した場合には、草刈機が、送電装置が設けられた充電ステーション(充電ベース)に向けて帰還走行を行い、自動的に充電が行われる。二次電池の充電が終了した後は、指定された草刈領域での作業が再開される。このような草刈機は、充電が必要となる度に操作者が草刈機を充電ステーションに案内することが不要であり、操作者不在のまま長時間草刈りを行うことができる。ここで従来の自走式草刈機の使用例を図10を用いて説明する。家屋200に隣接する庭210に芝生(図示せず)が植えられており、そこが草刈りを行う対象たる草刈領域290である。草刈領域290には芝生の上に自走式の草刈機301が配置される。草刈領域290には、草刈機301を充電するための充電ステーション270が配置される。充電ステーション270は、芝刈り領域の隅に設置され、ケーブル260によってACアダプタ250に接続される。ACアダプタ250は、商用交流電源等のコンセント(図示せず)に接続され、コンセントから供給される交流電圧(例えば230V)を、直流電圧(例えば21V)に変換する。充電ステーション270は直流出力端子(正極、負極)を有し、草刈機301が充電ステーション270の充電位置に到達すると、草刈機301の受電端子(図示せず)が充電ステーション270の直流出力端子(図示せず)に接触するようにして停止し、充電ステーション270側から草刈機301側への電力の供給が行われ、草刈機301は搭載された二次電池の充電を行う。

草刈機301には、車輪が複数(例えば4つ)設けられ、車輪のうちいくつかは車輪モータ(図示せず)により駆動される。また、草刈機301の前後方向に見て前輪と後輪の間には、地面と略平行な面で回転するロータリー式の刈刃(図示せず)が設けられ、刈刃は、走行用とは独立した刈刃用モータ(図示せず)によって回転される。

草刈機301の自律走行を助けるために、庭210内の草刈領域290とその他の領域との境界部分には、境界ケーブルや、柵や、無線や光等を用いた境界報知手段が予め配置される。境界報知手段は、例えばループ状に形成されたガイドワイヤ(誘導ワイヤー)280が配設(例えば埋設)されたものである。ガイドワイヤ280の配設は草刈機301の使用者が草刈り前に予め行うもので、自走式の草刈機301はガイドワイヤ280を外縁とする内側の領域にて草刈作業を行う。ガイドワイヤ280には充電ステーション270内の誘導信号発生器(図示せず)が接続され、所定間隔でパルス状の電流が流される。草刈機301は、ガイドワイヤ280に流れる電流により発生した磁界を検知することにより、ガイドワイヤ280の内側にいるか外側にいるかを判別し、自動かつ自律的に走行しながら草刈作業を行う。草刈機301は進行方向に直進しながら草を刈り、ガイドワイヤ280で囲む外縁位置に到達したこと検知したら、Uターン又は大きく向きを変えて別の方向に向かって直進しながら草刈りを継続する。この時の草刈り状態を示すのが図11である。

図11は、草刈機の走行方向と草刈り範囲との関係を示す図である。草刈機は、図示しない車輪モータと図示しない刈刃モータを本体シャーシにて保持し、これらを本体カバーで覆うようにした自走可能な構成である。本体シャーシの前側には右前輪12a、左前輪12bが設けられ、後側に右後輪13a、左後輪13bを設け、後輪のそれぞれに直結された独立したモータによって駆動するようにした。刈刃モータは本体シャーシの前後方向に見て前輪と後輪の間にあって回転軸が鉛直方向に延びるように配置される。刈刃35は、地面と略平行な面で回転する円形のフレーム35aの外周縁には4つの金属製の刃35bが固定されたロータリー式であって、刈刃35の大きさは、左右方向にみて右前輪12aと左前輪12bの間、且つ、右後輪13a、左後輪13bの間である。また、全方向に見て右前輪12a、左前輪12b、左後輪13b、右後輪13aの外縁部を結ぶ輪郭の範囲内に刃35bの回転軌跡が収まるように配置される。また、刈刃35の外縁位置は、上面視にてカバー2の外縁位置よりも十分内側に位置する。このような草刈機が直進状態で刈り取り前の草地281の刈り取りを行うと、回転する刃35bの直径Dの幅分の刈込み幅WC1にて刈り取りが行われる。図11において、前輪は草刈り前の領域を進み、後輪も草刈りされていない領域を進むことが理解できるであろう。この際、円形の刈刃35の刈込み部分(刃35bが草を刈る部分)136は、前方側の半分、約180度分の外周部分(太線で示した部分)になる。

特開2015−15922号公報

自走式芝刈機においては、芝の密度が高かったり、芝の高さが高かったり、芝が堅い場合等の刈り取り対象の状況によって刈り取り負荷が大きくなった場合、刈刃モータに過大な負荷がかかって停止してしまう恐れがあった。このため、刈刃モータに大きな負荷が生じた場合に、ロボット芝刈機の走行スピードを遅くする芝刈機が知られている。しかしながら、刈刃の180度分に芝刈負荷が生じている状況には変化がないため、速度を遅くするだけでは十分に負荷を抑制することができない恐れがある。

本発明の目的は、上記背景に鑑みてなされたもので、刈込負荷を低減させた状態にて草刈りを行うことができるようにした自走式草刈機を実現することにある。本発明の他の目的は、芝刈機を直進させて刈り取りを行う通常モードと、芝刈機を蛇行させながら刈り取りを行う蛇行モードを設けた自走式草刈機を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、芝刈機を直進させて刈り取りを行う通常モードと、芝刈機を蛇行させながら刈り取りを行う蛇行モードを自動で切り替えるようにした自走式芝刈機を提供することにある。

本願において開示される発明のうち代表的なものの特徴を説明すれば次の通りである。本発明は、従動輪と、2つの駆動輪と、従動輪を独立して駆動させる2つの車輪モータと、刈刃を駆動する刈刃モータと、これらのモータに電力を供給する二次電池と、草刈領域の自律的な走行を制御する制御装置と、を有する自走式草刈機に適用される。本発明では、自走式草刈機の全長の距離内で左右旋回を繰り返しながら進行方向に移動することにより、刈刃の通過領域を刈り取り済み領域と部分的に重複させながら刈り取りを行うようにした。また、草刈機1に、左右旋回を繰り返しながら刈刃による刈り取りを行う蛇行モードと、進行方向に直進しながら刈り取りを行う通常モードを設けて、これらのモードを、手動で又は自動で切替え可能なように構成した。自動切替えにおいては、通常モードによる運転中に刈刃モータに加わる負荷が所定以上であることを検出した場合や、転回のタイミングに、通常モードから蛇行モードに遷移させるようにした。

本発明の他の特徴によれば、入力手段を設けて操作者により蛇行モードの実行の有無を選択可能とし、蛇行モードの実行有りが選択された際には、制御装置は自走式草刈機の走行全体又はその一部分において蛇行運転による刈り取りを行うようにした。また、蛇行モードでは、一方の車輪が前進している間に他方の車輪を前進→停止→後退→停止の動作を行い、次に他方の車輪を前進させた状態で一方の車輪を前進→停止→後退→停止の動作を行い、これらを交互に切り替えて繰り返しながら進行方向に移動する。ここで、刈刃モータは回転軸が鉛直方向に延びるように配置され、回転軸に取り付けられ地面と略平行な面で回転する刈刃を有するロータリー式である。蛇行モードによる左右方向の蛇行幅は、2つの駆動輪の間隔以上、自走式草刈機の全長以下にした。

本発明のさらに他の特徴によれば、自走式草刈機は進行方向に進行して所定の転回位置、例えば、草刈領域の縁部に到達したら進行方向を変更する転回を行い、転回を行う毎にランダム制御により通常モードか蛇行モードかを選択して実行する。蛇行モードでは、車輪モータを停止及び逆転させる側の駆動輪が刈刃による刈り取り済み領域内で接地するように制御される。

本発明によれば、草刈機を直進で走行させながら草刈りをする場合に比べ、蛇行モードにおいては刈刃の外周のうち180度未満の範囲で草へ接触するようにして負荷を減らした状態で草刈り作業が可能となるため、刈刃負荷を十分に抑制することが可能となる。また、ジグザグ動作時の車輪の回転に逆転駆動を含めることで、ジグザグ動作時も刈り取り漏れがなく刈り取り作業することが可能となる。

本発明の実施例に係る草刈機1の斜視図である。

本発明の実施例に係る草刈機1の本体カバー2を外した状態の上面図である。

図2のA−A部の断面から右方向を見た図である。

本発明の実施例に係る草刈機1の本体シャーシ10に装備される各種機能部品を示すブロック図である。

本発明の実施例に係る草刈機1における蛇行モード時の草刈り状況を説明するための図である。

発明の実施例に係る草刈機1における蛇行モード時の刈刃35、右後輪13a、左後輪13bの移動軌跡を説明するための図である。

本発明の実施例に係る草刈機1の制御手順を示すフローチャートである。

本発明の実施例に係る草刈機1において、蛇行モード時の駆動モータの制御手順を示すフローチャートである。

蛇行モード時の駆動モータの目標回転数を示す図である。

従来技術における自走式の草刈機301の動作の概要を説明するための図である。

従来技術における自走式の草刈機301の草刈り状況を示す図である。

以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、本明細書においては、前後左右、上下の方向は図中に示す方向であるとして説明する。

図1は本発明の実施例に係る自走式の草刈機1の斜視図である。草刈機1は、走行方向に沿って転回または揺動可能に設けられる小径の右前輪12a、左前輪12b(図1では12aは見えない)が本体シャーシ10の前側に設けられ、駆動輪である大径の右後輪13a、左後輪13b(図1では13aは見えない)が本体シャーシ10の後側左右にそれぞれ設けられ、草刈機1は本体カバー2によって上部全体が覆われる。草刈機1の電源は、着脱可能なバッテリパック(図2で後述)であって、制御装置に含まれるマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と称する)によって車輪モータ(図示せず)の駆動が制御され、自律的に走行しながら草を刈り取る。本体カバー2の前方下端2cは、地面との間に所定の距離Hの隙間を隔てるように構成され、この隙間から本体カバー2の内部に入りこんだ草が、本体シャーシ10の下側に配置される刈刃(後述)によって刈り取られる。本体カバー2の上側には、前方側の回動軸を中心に開閉可能な開閉カバー3が設けられる。開閉カバー3は例えば透明性を有する樹脂部材により構成され、開閉カバー3を開けることにより図2にて後述するダイヤル20、キーボード24、ディスプレイ25にアクセス可能となる。本体カバー2の前方には前面視で略長方形の開口部5が設けられ、充電時に開口部5を介して充電ステーション270の送電端子が受電端子41と接触可能となる。開口部5の内側には、本体シャーシ10の先端部分が位置し、その左側側面と右側側面には受電端子41が設けられる。本体カバー2の開口部5の左右両側には、前輪12a(図2参照)、12bの上部を覆うためのフェンダー2a、2bが形成される。本体カバー2の後方側上部には、手動停止用のストップスイッチ4が設けられる。

図2は、本発明の実施例に係る草刈機1の本体カバー2を外した状態の上面図である。本体シャーシ10は先端が凸状に、上面視で三形に絞り込まれ、その斜面から左右両側には取付アーム11a、11bが伸びるように設けられる。取付アーム11a、11bには右前輪12a、左前輪12bが軸支され、草刈機1の移動方向に応じて車輪の向きが自在に追従可能なようにそれぞれ保持される。本体シャーシ10の後方側には右後輪13a、左後輪13bが設けられる。ここでは右後輪13a、左後輪13bに大径の車輪を用いて、それぞれ独立した走行用の車輪モータ(右車輪モータ16a、左車輪モータ16b)で駆動される。2つの車輪モータは、同期して又は非同期に駆動することによりメイン基板26に搭載されるマイコン(図示せず)による操制御を可能としている。車輪モータの回転軸には右後輪13a、左後輪13bが直結される。例えば、右後輪13a、左後輪13bを同期して駆動することにより草刈機1が前進又は後進し、右後輪13a、左後輪13bの回転差を生じさせるように駆動することにより所定方向に草刈機1を転回させることができる。車輪モータは、例えばブラシレスDCモータが用いられ、図示しないインバータ回路を介して駆動される。

本体シャーシ10の先端近傍の左右両側の斜面には、2つの受電端子41(正極端子41a、負極端子41b)が設けられる。取付アーム11a、11bの平部の上側には、本体カバー2を支持するために、本体カバー2の内壁部に設けられる板ばね部(図示せず)の端部を所定範囲内で移動可能に収容する凹部17a、17bが設けられる。本体シャーシ10の後方側端部付近には、本体カバー2の内壁部に設けられる板ばね部(図示せず)の端部を所定範囲内で移動可能に収容する凹部18a(左側端部付近の凹部は図示せず)が設けられる。

本体シャーシ10の中央付近には、図示しない刈刃用のモータを上下方向に移動させることにより刈刃の位置を変更して、刈り取り高さを変えるための昇降機構が設けられ、昇降機構のダイヤル20が上部から回転操作可能なように設けられる。ダイヤル20は、後述する刈刃と地面との距離(刈り取り高さ)を“20”、“30”、“40”、“50”、“60”と刻印された基台部14により回転可能なように保持される。ダイヤル20をいずれかの数値に合わせることにより、それに対応して後述する刈刃と刈刃モータが上方向又は下方向に移動する。ダイヤル20の前方には、本体シャーシ10と本体カバー2の相対移動等から、草刈機1が障害物への衝突や、本体カバー2の持ち上げ状態、傾斜状態等を検出するリフトセンサ47と接触センサ48が設けられる。リフトセンサ47と接触センサ48と対応する位置であって本体カバー2の内壁側には、マグネット19a、19bが設けられる。リフトセンサ47と接触センサ48は、例えばホールセンサを有する基板を備えて構成される。

本体シャーシ10の後方側にはバッテリパック(図3にて後述)を収容する容器部22が設けられ、容器部22の開口部は開閉可能な蓋部23にて覆われる。蓋部23の上面には液晶表示パネル等のディスプレイ25と、キーボード24と、メインスイッチ42が設けられる。操作者は入力手段たるキーボード24を操作して草刈りスケジュールの設定等を行うことができる。

地面と平行に所定の距離を隔てて回転するロータリー式の刈刃35は、ダイヤル20の回転中心と同軸上で回転し、刈刃モータ30(図3で後述)は、本体シャーシ10の前後方向に見て右前輪12a及び左前輪12bと、左後輪13a及び左後輪13bの間に設けられる。刈刃35の外縁位置(図中一点鎖線で示す部分)は、右前輪12a、左前輪12bと右後輪13a、左後輪13bのそれぞれの中心位置を結んだ仮想四角形の範囲内に収まるように配置される。また、点線で示す本体カバー2の外縁位置は、刈刃35の外縁位置よりも十分外側に位置するように設定され、刈刃35と本体カバー2とのクリアランスが十分確保される。

図3は図2のA−A部の断面から右方向を見た図(草刈機1の左右中心位置を通る鉛直断面図)である。本体カバー2は地面側を除いて本体シャーシ10のほぼ全体を覆う形状であって、バネ等によって本体シャーシ10に対して浮いた状態で保持されることにより、前後左右及び上下方向に僅かに移動可能である。本体カバー2は岩や突起、壁などの障害物にぶつかることがあり、その際の本体カバー2の相対的な位置変動を後述する接触センサ等で検出することにより、後述する制御装置が草刈機1の衝突等を検出する。

本体シャーシ10の中央付近下側には、複数の刃35bを有し、地面と略平行な面で回転する刈刃35が設けられる。刈刃35を回転させるための駆動装置(刈刃モータ30)は、モータハウジング21の内部に収容される。モータハウジング21はダイヤル20を回転させることによって、本体シャーシ10に対して上下方向に移動可能なように構成とされ、刈刃35の高さを調整する場合は、駆動装置と一体に上下方向に昇降する。図3では刈刃モータ30及び刈刃35が最上位位置(刈刃高さH2=60mm)にある状態を示している。

上方に開口を有するカップ状のモータハウジング21の内側に刈刃モータ30が収容され、刈刃モータ30の回転軸30cは鉛直方向に延びるように配置され、回転軸30cの下端はモータハウジング21に形成される貫通穴を貫通して下側にまで延び、そこに刈刃35が取り付けられる。刈刃35は円盤状に形成された合成樹脂製のフレーム35aの外周側の数カ所に金属製の刃35bを設けたものであり、地面に対して設定された高さH2の水平な面内で回転する。

刈刃モータ30はブラシレスDCモータであって、励磁コイルが巻かれたステータコア30bの内側にて、永久磁石を有するロータコア30aが回転する。ステータコア30bの一方側(ここでは上側)には円形のインバータ回路基板31が設けられ、そこにロータコア30aの位置を検出するための複数のホールIC(図示せず)と、FET(電界効果トランジスタ)やIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等の複数のスイッチング素子が搭載される。

容器部22は、プラスチック等の合成樹脂の一体成形にて製造される。容器部22は、上側に開口を有し、蓋部23を開閉するためのヒンジ23aが設けられ、開口は蓋部23にて閉鎖される。容器部22の中に収容されるバッテリパック28は着脱式であって、その内部には複数の二次電池セル(図示せず)が収容される。容器部22の上側後端付近には、ヒンジ23aの反対側で蓋部23の開閉を固定するねじ等からなる蓋の操作部37が設けられる。

本体シャーシ10の前端付近には第1のガイドワイヤセンサ45が設けられ、後端付近には第2のガイドワイヤセンサ46が設けられる。ガイドワイヤセンサ45、46はコイルによって、周囲の磁界の変化を電流の変化に変換する。ここでは図示しないコイルの軸方向(磁界の検出方向)が上下方向(鉛直方向)になるようにガイドワイヤセンサ45、46の取り付け向きが設定される。後側のガイドワイヤセンサ46は、その上下中央位置が後輪駆動用のモータ16a、16bの回転軸の高さとほぼ一致するように配置される。このようにガイドワイヤセンサ46の位置を設定することによって、モータ16a、16bによってガイドワイヤセンサ46が受けるノイズの影響を抑制することができる。

図4は草刈機1の本体シャーシ10に装備される各種機能部品を示すブロック図である。メイン基板26には草刈機1の動作を制御する制御装置や図示しない電源回路等が搭載される。制御装置は、図示しないマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と称する)や記憶装置、その他の電子素子が含まれる。メイン基板26には、充電ステーション270の2つの送電端子(正極、負極)に接続可能な受電端子41a、41bと、電池取付部に装着されたバッテリパック28の端子(図示しない出力電圧端子及び識別用端子)と着脱自在に接続する電池ターミナル29が接続される。メインスイッチ42は電池ターミナル29とメイン基板26の接続線路に挿入されるもので、草刈機1のメイン基板26やモータ等への電源の供給スイッチである。

メイン基板26には、刈刃モータ30、右車輪モータ16a、左車輪モータ16bに接続され、メイン基板26から駆動電力がモータ駆動回路27a〜27cを介して供給されることにより、刈刃35が回転し、右後輪13a、左後輪13bが独立して駆動される。モータ駆動回路27a〜27cはインバータ回路が含まれ、マイコンによって制御されるPWM制御信号に応じて直流電源から三相交流の励磁電流を生成して刈刃モータ30、右車輪モータ16a、左車輪モータ16bを回転させる。マイコンは刈刃モータ30を回転させる事により、刈刃モータ30の回転軸30cに減速機構無しで直結される刈刃35を回転させる。また、マイコンは、右車輪モータ16aと左車輪モータ16bを連動させて又は非連動で回転させることにより右後輪13a、左後輪13bを回転させる。

メイン基板26にはキーボード24、ディスプレイ25、ストップスイッチ4が接続されるとともに、第1(前方側)のガイドワイヤセンサ45、第2(後方側)のガイドワイヤセンサ46、リフトセンサ47、接触センサ48、傾斜センサ49等の各種センサが接続される。第1及び第2のガイドワイヤセンサ45,46のコイルにより検出された信号は、メイン基板26に出力され、草刈り領域の境界をメイン基板26に搭載されたマイコンにて認識する。この認識結果に応じて、マイコンは草刈機1の方向制御等を左車輪のモータ16bと右車輪のモータ16aを独立して駆動することにより、草刈機1の前進、後退、及び転回をおこなう。リフトセンサ47は、草刈機1の本体シャーシ10が持ち上げられたとき、又は、草刈機1が地面に対して所定角度以上傾斜したときに、これを検知するものであり、その際にマイコンは右車輪モータ16a、左車輪モータ16b、及び、刈刃モータ30を停止させる。接触センサ48は、草刈機1が何かに接触した際の衝撃を検出するものである。傾斜センサ49は、草刈機1が地面に対して所定角度以上傾斜したときに、これを検知して傾斜面に草刈機1が侵入しないように回避する。

本体カバー2の後端側上部の操作しやすい位置にストップ用の手動停止手段であるストップスイッチ4(図1参照)が設けられ、ユーザは手動操作で走行中の草刈機1を停止させることができる。キーボード24とそれに搭載されるディスプレイ25は、草刈りに関する情報の入出力装置であり、操作者は本体カバー2に設けられた開閉カバー3を開くことでアクセスできるように配置され、動作開始の指示、タイマ設定、作業領域等の設定を行う。ここではキーボード24を設けたが、ディスプレイ25としてタッチ式の液晶ディスプレイを用いてこれらを一体に形成しても良い。

以上の草刈機1の構成において、本体シャーシ10の電池取付部にバッテリパック28を装着し、本体シャーシ10を充電ステーション270に位置付けると、充電ステーション270側の制御装置は草刈機1の接続を判別して、図示しない送電回路から充電用の直流電圧を本体シャーシ10に供給する。充電回路は定格出力電圧にてバッテリパック28を充電する。充電完了後、マイコンは図示しないリレーを制御する事によりバッテリパック28を負荷側(モータ等への電力供給側)から、モータ16a、16b、30に接続する側に切り替える。その後、草刈機1は充電ステーション270から離脱してメイン基板26上のマイコンにより予め定められた自動走行プログラムに沿って草刈り動作を行う。草刈機1は要求された草刈り動作が終了したとき、又はバッテリパック28の残量が低下したときは充電ステーション270に帰還する。

図5は、草刈機1を斜めに走行させた際の 刈刃35と刈込み部分36との関係を示す図である。図11に示した草刈機1を直進させて刈込みをする際の刈込み部分136が、刈刃35の前方側の半分180度分の外周部分となるのに比べて、図5の草刈機1は芝刈機を曲げながら移動させることにより刈込み部分36が、刈刃35の前方側の約100度程度になっている。これは草刈機1の矢印で示す進行方向において、刈り取り予定領域(刈り取り右端と刈り取り左端で示す領域)内に、刈込み済みの部分38が存在するためである。この刈込み済みの部分38に部分的に重複するように刈刃35が通過することにより、刈込み部分36の長さ(周長)が短くなり、その分だけ刈刃モータ30の負荷を減少させることができる。従って、この刈込み部分36の長さを180度分よりも大幅に短くした状態を保ちながら刈り取り動作を継続できるようにすれば、負荷を低減させた状態で草刈り作業を続けることができる。また、直進して草刈り作業中に刈刃モータ30の負荷が上昇した場合でも、図5のような刈込み方法に切り替えることにより、刈刃35の高さを変更することなく草刈り動作を継続させることができる。

図6は本発明の実施例に係る草刈機1における蛇行モード時の草刈り状況を示す図である。図5の図では草刈機1を左向きに転回させながら走行している状態を示しているが、その状態を継続させると未刈込み領域に到達してしまうため、右前輪12a、左前輪12bの向きがそのままで刈り取りを行うと、刈込み部分の長さが図11と同じ状態、即ち進行方向側の外縁180度分で刈り取りを行う状態になってしまう。そこで、図5に示すような刈刃35の進行方向前方側に刈込み済み部分38(図5参照)を必ず跨ぎながら刈り込みを行うようにするために、図6の点線61で示すように草刈機1を左右方向にジグザグに進むようにした。点線61は、刈刃35の回転中心の軌跡をプロットした線であって、例えば、矢印61aから草刈機1が前進してから左方向に転回してまた直進し、矢印61bの部分で草刈機1が右に向きを変えて少し直進してから右方向に転回してまた直進する。同様の転回を繰り返しながら、草刈機1は進行方向に対する刈り取り動作を行う。

刈刃35の回転中心が、矢印61a〜矢印61cのような動きをするためには、草刈機1の右後輪13a、左後輪13bの接地面が点線63、64のように推移するように駆動する必要がある。点線63は右後輪13aの軌跡であり、右後輪13aの接地面の中心位置をプロットしたものである。同様にして点線64は左後輪13bの軌跡であり、左後輪13bの接地面の中心位置をプロットしたものである。ここでは、刈刃35の中心位置が矢印61a〜矢印61cの動きをするときの右後輪13a、左後輪13bの動きを8段階のステップ、即ちステップ1(S1)〜ステップ8(S8)にて示した。ここで特徴的なことは、点線61のような刈刃35の動きを実現するために、走行中の右後輪13a、左後輪13bのいずれか一方を、前進→停止→後退→停止の制御をすることである。このように制御をすることによって、矢印に示す刈取り方向と直交方向となる刈込み幅Wcが、車輪幅TR(図11参照)とほぼ同一幅となるように刈り取りを行う。尚、刈込み幅Wcを車輪幅TRよりも大きくすることも可能であるが、その場合は草刈機1の全長L(図11参照)以内、または刈刃35の径の三倍以内(本実施の形態では刈刃35の直径Dの2倍程度)とすると良い。このような範囲とすることで、草刈機1の進行方向への移動を旋回動作を中心に行うことができ、言い換えれば、左右方向に向いた状態での直進移動を小さくすることができるため、刈込み済みの領域との重複範囲を大きくすることができ、刈り残しの少ない作業を行うことが可能となる。尚、右後輪13a、左後輪13bの前進と後退の間、即ち正転と逆転の間に停止の制御を入れることで、右車輪モータ16a、左車輪モータ16bに反転時の過大な電流が流れることを抑制できる。

草刈機1の全長Lを越えない範囲、または刈刃35の直径Dの三倍以内でのジグザグ走行を繰り返すことにより、刈刃35による刈込み部分36の長さを180度分よりも十分少ない長さの状態としたまま刈込み動作を継続することができる。尚、点線63、64のプロット位置から理解できるように、右後輪13a、左後輪13bの一方が必ず刈り取り済み領域内にある上に、両方の車輪のほとんどが刈込み済みの領域内を走行することになり、刈り取りが済んでいない草地281(図6では上側一部だけをハッチングで図示)でに入り込むのはほんの僅かである。従って、このようなジグザグ走行を行うにあたって増加する走行用モータの消費電力を抑制することができる。また、走行用モータの正転→停止→逆転の切替制御と、逆転→停止→正転の切替制御が、必ず刈込み済みの領域内で行われる。この結果、草刈機1の走行制御を精度良く行うことができるので、ジグザグ走行をより正確に行うことができ、その際の走行用モータの消費する消費電力も抑制することができる。尚、このようなジグザグ走行は刈刃モータ30を回転させながら草刈り作業を行っている際の走行制御であって、草刈り作業が終わって充電ステーション270に帰還する際や、単なる場所移動などの刈刃モータ30を停止させた状態で車輪モータ16a、16bを駆動する場合にはジグザグ走行を行う必要は無い。左右の駆動輪の中間位置の軌跡の幅に対して、刈刃の中心軌跡の幅61が大きくなるよう、走行制御されている。

図7は本実施例に係る草刈機1の車輪の駆動モータの制御手順を示すフローチャートである。図7に示す一連の手順は、マイコンを有する制御装置にあらかじめ格納されたプログラムによってソフトウェア的に実行可能である。まず草刈機1は、設定されたプログラムによる指示、又は、操作者による手動開始指示により草刈り動作を開始する。すると制御装置に含まれるマイコンは、設定された草刈りモードが0、1、2のいずれであるかを判定する(ステップ71)。本実施例の草刈機1では、図11で示したように従来の草刈機1と同じように基本的に直進しながら草刈りを行う通常モード(モード0)と、図6で示したような蛇行運転を行いながら進行方向(図6参照)に草刈りを行う蛇行モード(モード2)を有する。通常モードと蛇行モードは、手動によって切り替え可能であるが、本実施例では、その切り替えをマイコンが自動で行うようにした自動運転モード(モード1)も設けた。モード0〜1は、草刈機1の初期設定項目の一つとして設定しておき、操作者によってあらかじめ蛇行モードの実行の有無を選択可能とすると良い。

ステップ71において、設定されているモードが0の場合は、マイコンは従来の草刈機と同じ制御によってガイドワイヤ280(図10参照)の領域内でランダムな方向に向けて直進し、所定の条件となったら、Uターン又は大きく向きを変えて別の方向に向けて直進しながら刈り取りを行う通常運転を実行する(ステップ72)。ステップ71において、設定されているモードが2の場合は、直進移動の代わりに図6で説明したジグザグに運転させながら進行方向(図6参照)に向けて刈り取りを行う蛇行運転を行う(ステップ84)。蛇行運転をしながらガイドワイヤ280に到達したら、Uターン又は大きく向きを変えて別の方向に向け、再び蛇行運転をしながら刈り取りを行う。

ステップ71において、自動モード(モード1)が設定されている場合は、マイコンはまず乱数を発生させ(ステップ73)、発生された乱数から所定のアルゴリズムを利用して通常運転を行うか、蛇行運転を行うかを決定する(ステップ73)。本実施例では、例えば複数回のうちの1回、例えば平均して5回のうち1回だけ蛇行運転が行われるようにランダム制御により通常運転か蛇行運転かを選択して実行する。5回のうち4回は通常運転が選択される。ステップ73において設定された運転モードが蛇行運転の場合は、図6にて示したように、進行方向への移動中に2つの駆動輪(13a、13b)を交互に逆転させることで、左右に向きを変えながら走行制御を行う蛇行運転を行う(ステップ75)。この蛇行運転の走行制御については図8、図9を用いて後述する。蛇行運転を行いながら進行方向に刈り取り作業中に、マイコンは、転回の条件に達したかの判断を行う(ステップ76)。転回すべき条件に達していない場合はステップ75に戻り、転回すべき条件に達した場合は、転回操作を行う(ステップ77)。転回の条件としては、例えば草刈り領域のエッジの検出、走行距離(又は時間)のカウント、接触又は傾斜の検知、刈刃モータや駆動モータの負荷の検出等が挙げられる。例えば、エッジの検出では、ガイドワイヤセンサ45、46の出力信号からガイドワイヤ280によって発生される誘導信号を検出し、草刈機1が草刈領域290の中にいるか否かの判定処理を行い、草刈機1が草刈領域290の中にいると判定した時、即ち転回すべき草刈り領域のエッジ部分に到達していない場合はステップ75に戻り、転回すべきエッジに到達した場合は、転回操作を行う。同様に、走行距離(又は時間)のカウントが所定以上となった場合、接触センサ48又は傾斜センサ49からの信号を検知した場合、刈刃モータや駆動モータの負荷の検出値が所定以上となった場合等に、転回操作を行う。転回の仕方は、所定距離だけ一旦バックして右又は左に所定角度又はランダムな角度にてカーブを描いて直進することにより実行できるが、どのように転回するかは任意である。所定の転回操作が終了したらステップ73に戻る。

再びステップ73にて乱数を発生させて、ステップ74にて蛇行運転の実行が選択されたかどうかを判定し、蛇行運転が選択されていない場合、即ち、通常運転(直進運転)の場合は、ステップ78にて直進移動による刈り取り動作を行う。ステップ78による通常運転では次の転回が行われるまで通常運転を継続するようにしても良い。しかしながら、ここではマイコンが刈刃モータ30に加わる負荷を検出して(ステップ79)、モータの負荷が高くなった場合には、通常運転から蛇行運転に切り替えるようにした。マイコンは直進移動による刈り取り動作を行っている際に、刈刃モータ30に掛かる負荷が過負荷と判断した場合に、ステップ75に移行させる(ステップ80)。刈刃モータ30に加わる負荷が所定以上であることは、刈刃モータ30の電流値が基準値以上か否か、刈刃モータ30の温度が基準値を超えたか否か、定速度制御が行われる刈刃モータ30の回転数が一定時間継続して所定の回転数以下となっているか、等の様々な手法により直接的に又は間接的に判断される。尚、直進運転から蛇行運転に切り替わるときの負荷の判断としては、先述した蛇行モードにおける転回の条件を判断する際の負荷の検出より低い閾値が設定される。ステップ80でNoの場合は、マイコンは草刈機1が草刈領域290の中にいるか否かの判定をして、転回すべき草刈り領域のエッジ部分に到達したかどうかを判定する(ステップ81)。転回すべきエッジに到達した場合は、転回操作を行ってからステップ78に戻る(ステップ82)。

以上のように本実施例では直進による通常モードに加えて、ジグザグに運転する蛇行モードを設けたので、何らかの理由で刈刃モータの負荷が上昇した際にも刈刃に加わる負荷を低減でき、草刈り作業を継続させることができる。尚、図7のフローチャートでは示していないが、刈刃モータ30と車輪モータ16a、16bの電流値は常に監視されており、ロック状態やその他の異常状態が検出されたらモータへの通電が停止される。また、刈刃モータ30の電流値の監視により、刈刃モータ30がロックしそうになったり、ロックした場合は刈刃モータ30の回転が停止される。本実施例では自動運転モードにおいて、転回後の蛇行運転を5回に1回くらいの割合で実行するようにしたが、実行回数の頻度は任意に設定しても良い。

次に図8のフローチャートを用いて、図7のステップ74、84の蛇行運転の処理手順を説明する。蛇行運転においては、ステップ92〜94の4つのステップによるモータ駆動制御を行う。最初に、右又は左の車輪モータのうち一方を正逆駆動輪に割り当て、他方を正転方向への連続駆動輪に設定する。ここでは最初に左車輪モータを正逆駆動輪に割り当て、右車輪モータを連続駆動輪に設定する(ステップ91)。尚、車輪モータは左右で反対向きに設置されていることから、モータからみた回転方向は左右で逆となるが、ここでは本体(草刈機1)を前進させるための車輪の回転方向を正回転方向、本体を後進させるための車輪の回転方向を逆回転方向として説明する。

最初に正逆駆動輪に通電をして1000rpmで一定時間(t1)だけ正回転方向に回転させ、同時に連続駆動輪に通電して2500rpmで一定時間(t1)だけ正回転方向に回転させる(ステップ92)。この場合は、草刈機1が左側に曲がりながら進むことを意味する。この際の正逆駆動輪たる左後輪13bの軌跡が図6の点線64に示したS1である。同様にして連続駆動輪たる右後輪13aの軌跡が図6の点線63に示したS1である。

次に、正逆駆動輪を一定時間(t2)だけ停止させ、連続駆動輪を2500rpmで一定時間(t2)だけ正回転方向に回転させる(ステップ93)。このように正逆駆動輪の正転及び逆転制御の間に停止制御が行われ、この停止により左後輪13bの接地面を中心に草刈機1が左回転をすることにより、小さく左に転回する。この際の正逆駆動輪たる左後輪13bの位置が図6の点線64に示したS2である。同様にして連続駆動輪たる右後輪13aの軌跡が図6の点線63に示したS2である。

次に、正逆駆動輪を2000rpmで一定時間(t3)だけ逆回転方向に回転させ、連続駆動輪を2000rpmで一定時間(t3)だけ回転させる(ステップ94)。この場合は、左後輪13bと右後輪13aが逆位相で回転するため、草刈機1は大きく左に転回する。この際の正逆駆動輪たる左後輪13bの軌跡が図6の点線64に示したS3である。同様にして連続駆動輪たる右後輪13aの軌跡が図6の点線63に示したS3である。

次に、正逆駆動輪を一定時間(t4)だけ停止させ、連続駆動輪を2000rpmで一定時間(t4)だけ正回転方向に回転させる(ステップ95)。この場合は、左後輪13bが停止しているので、左後輪13bの接地面を中心に草刈機1が左回転をすることにより、小さく左に転回する。この際の正逆駆動輪たる左後輪13bの位置が図6の点線64に示したS4である。同様にして連続駆動輪たる右後輪13aの軌跡が図6の点線63に示したS4である。以上、ステップ92〜95の制御により図6に示した刈刃の中心位置は、矢印61aの位置から矢印61bの位置に移動することになる。

次に制御装置は、正逆駆動輪と連続駆動輪との割り当てを入れ替える(ステップ96)。即ち、正逆駆動輪を右車輪にして、連続駆動輪を左車輪にしてステップ92に戻り、ステップ92〜95の駆動を繰り返す。この際のステップ92〜95実行時の正逆駆動輪たる右後輪13aの位置が図6の点線63に示したS5〜S8である。同様にして連続駆動輪たる左後輪13bの軌跡が図6の点線64に示したS5〜S8である。これらは草刈機1の刈刃の中心位置が矢印61b〜矢印61cに移動する走行に相当する。

以上のようにして、草刈機1は左右旋回を繰り返しながら芝刈り動作を行う。図9は図6のS1〜S8の各動作の際の右車輪モータ16aと左車輪モータ16bの回転数を示す表である。この表により、片方の車輪で直進動作を行っている際に、他方の車輪の前進→停止→後退→停止の正逆制御を行うことが理解できるであろう。ここでこれらの電流を流す一定時間(t1〜t4)は図6のような移動経路を取るように個別に設定すれば良い。尚、ここでは、正逆駆動輪と連続駆動輪の回転数のパターンを4つずつ準備して制御するようにしたが、必ずしもこれだけに限られずにさらに多くの制御パターンを用いても良いし、一方を車輪で直進動作を行っている際に、他方の車輪の前進→停止→後退→停止の操作を行うならば、正逆駆動輪と連続駆動輪の回転数を連続可変的に変化させながら図6で示すような移動経路を実現しても良い。

尚、図7、図8のフローチャートでは図示していないが、フローチャートの処理を実行中にマイコンは、停止命令メモリの内容から草刈り動作の停止命令があったかどうかを判定し、停止命令があったら、刈刃モータ30と車輪モータ(右車輪モータ16a、左車輪モータ16b)への通電を停止することにより、草刈機1の動作を停止させ(ステップ114)、草刈り動作を停止する。停止命令とは、例えば、所定の草刈り動作が終了した場合、何らかの異常の発生が検出された場合、又は、操作者によって停止用のストップスイッチ4が操作された、等の様々な要因がある。

本実施例によれば、進行方向に移動させながら車輪の回転に逆転を入れることで、刈刃を急な角度で左右に振りながら走行を行うことができる。これにより、刈り取り済み領域と大きく重複させながら刈り取りを行うことができるので、刈刃の通過する刈り取り幅を左右の車輪の幅より大きくした場合であっても、刈り残しの少ないきれいな刈り取りを行うことが可能となる。また、刈り取り済み領域と重複した範囲には負荷が加わらないことから、刈刃の外縁の180度未満の範囲で切断を行う状態を継続させることで、刈刃負荷を抑制したまま刈り取りを行うことが可能となる。さらに、ジグザグ動作時には後輪がほとんど刈り取り済みの領域上を走行することになるので、走行抵抗が少なくてすみ、消費電力の増大を抑制できる。

以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、本実施の形態において、車輪モータは後輪に設けられていたが、前輪に設けるようにしてもよい。この場合、蛇行モードを実施すると、本体の前方側に対して後方側が大きく振られる関係となる。

1…草刈機、2…本体カバー、2a,2b…フェンダー、2c…(本体カバーの)前方下端、3…開閉カバー、4…ストップスイッチ、5…開口部、10…本体シャーシ、11a,11b…取付アーム、12a…右前輪、12b…左前輪、13a…右後輪、13b…左後輪、14…基台部、16a…右車輪モータ、16b…左車輪モータ、17a,17b,18a…凹部、19a,19b…マグネット、20…ダイヤル、21…モータハウジング、22…容器部、23…蓋部、23a…ヒンジ、24…キーボード、25…ディスプレイ、26…メイン基板、27a〜27c…モータ駆動回路、28…バッテリパック、29…電池ターミナル、30…モータ(刈刃モータ)、30a…ロータコア、30b…ステータコア、30c…回転軸、31…インバータ回路基板、35…刈刃、35a…フレーム、35b…刃、36…刈込み部分、37…操作部、41,41a,41b…受電端子、42…メインスイッチ、45,46…ガイドワイヤセンサ、47…リフトセンサ、48…接触センサ、49…傾斜センサ、63…右後輪13aの走行軌跡、64…左後輪13bの走行軌跡、136…刈込み部分、200…家屋、210…庭、250…ACアダプタ、260…ケーブル、270…充電ステーション、280…ガイドワイヤ、281…草地、290…草刈領域、301…草刈機

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