自律走行車の誘導制御システム

申请号 JP2017516546 申请日 2015-12-07 公开(公告)号 JPWO2016178294A1 公开(公告)日 2018-03-01
申请人 ヤンマー株式会社; ケーピーアイティ テクノロジーズ リミテッド; 发明人 松本 圭司; 丹生 秀和; ボラ プラシャントクマー ビピンチャンドラ; シリバスト リトラジュ; シャルマ マノジュ; ダス ソムヨ;
摘要 本発明は、衛星測位システムを利用して走行車の 位置 を測位しながら自律して走行及び作業を行う自律走行車の誘導制御システムであって、前記自律走行車を後進移動させる際に、前記衛星測位システムのアンテナ位置よりも所定距離後方に仮想アンテナ位置を設定し、その仮想アンテナ位置における目標パスからの横方向の偏差を用いてラテラル制御を行うことを特徴とする。これにより、自律走行車の前進移動、旋回、及び、後進移動において、予め設計された目標パスに従った走行を実現できる。
权利要求

衛星測位システムを利用して走行車の位置を測位しながら自律して走行及び作業を行う自律走行車の誘導制御システムであって、 前記自律走行車を後進移動させる際に、前記衛星測位システムのアンテナ位置よりも所定距離後方に仮想アンテナ位置を設定し、その仮想アンテナ位置における目標パスからの横方向の偏差を用いてラテラル制御を行うことを特徴とする自律走行車の誘導制御システム。前記自律走行車の誘導制御システムは、 前記仮想アンテナ位置を選択しながら誘導制御信号を前記自律走行車に伝送するアンテナ位置補正モジュールと、 前記目標パスに基づいて前記自律走行車の走行を追跡するための誘導制御信号を生成する自律走行車走行モジュールと、 前記アンテナ位置補正モジュールと接続され、そのラテラル制御を行うラテラル制御モジュールと、 前記自律走行車走行モジュールと接続され、予測される向首と実際の向首角との差を修正することで前記自律走行車の向首角のずれを制御するヘディング制御モジュールと、 前記ラテラル制御モジュール及びヘディング制御モジュールと接続され、ステアリング制御信号を生成するヨーレート制御モジュールと、を備える請求項1に記載の自律走行車の誘導制御システム。前記自律走行車の誘導制御システムは、前記自律走行車走行モジュールと接続され、前記目標パスに含まれる曲線経路の断続性に起因する前記目標パスからの偏差を修正するフィードフォワード制御モジュールをさらに備える請求項2に記載の自律走行車の誘導制御システム。前記自律走行車を前進移動させる際に、前記衛星測位システムのアンテナ位置よりも所定距離前方に仮想アンテナ位置を設定し、その仮想アンテナ位置における目標パスからの横方向の偏差を用いてラテラル制御を行う請求項1から3の何れか一項に記載の自律走行車の誘導制御システム。前記自律走行車は、目標パスからの横方向の偏差又は向首角の偏差が所定値を超えた場合に、停止され、自律走行を終了する請求項1から4の何れか一項に記載の自律走行車の誘導制御システム。前記自律走行車は、遠隔操作によるオーバーライド制御操作によって自律走行を停止可能であり、その停止位置から自律走行を再開可能である請求項1から5の何れか一項に記載の自律走行車の誘導制御システム。

说明书全文

本発明は、走行車(自動走行車)を制御するシステムに関し、より詳しくは、自律走行型のロボットトラクタの誘導制御方法に関する。

自律走行車の技術は、多様性、可能性の両側面において急速に進化している。自律走行車及び自律操縦飛行機は当初、航行用、敵領内でのビデオ監視用等の、軍事目的で開発されたが、近年ではこれに限ることなく、非軍事用の用途に用いられるようになっている。このような非軍事用の自律走行車又は自律操縦飛行機の一例として、デジタルカメラなどのセンサを搭載するための無線操縦飛行機がある。デジタルカメラの映像は無線操縦飛行機から二次LOS無線接続を介して地上の基地局で取得される。

各構成部品は、ロボット工学及びフィジカルコンピューティングの分野を発展させるためにも用いられている。自律走行車開発の技術準は、結果的にマイクロエレクトロニクス及び集積回路基板に応用できるとも言える。

現状の自律走行車は、誘導信号を誘導システムから受信し、受信した誘導信号に基づいて走行車を制御する制御ユニットを備える。誘導システムは、地上基地若しくは遠隔操作基地に設けられる。制御システムは、誘導用のデータを自律走行車に搭載される制御ユニットに送信する。以前の誘導システムでは、異なる誘導フェーズを用いることはなく、インナーループ内のヨーレート制御に沿ったアウターループ内のラテラル制御又はヘディング制御、若しくは、ヨーレート制御を行わない並列制御(ヘディング制御及びラテラル制御)の何れかを行っていた。 走行車の向首及び横方向の小さい偏差の両方を制御するための基本的な概念が求められている。現在の技術では、走行車の横方向の偏差を所定値よりも小さい値に維持すること、並びに、より低い向首角の偏差及び安定性が求められる。そのような概念は、例えば最適化された自律農業で見られる。

特許文献1には、農業用作業車を目標経路に誤差なく精確に追従させた自律走行を容易に可能とさせる技術が開示されている。特許文献1の技術では、車体の方位を検出するヘディングセンサと、車体の走行位置を認識するGPSセンサを備え、前輪中央位置を車体の目標経路に追従させる自律走行手段と、GPSセンサの設置位置を目標経路に追従させる自律走行補正手段とを設けることで、目標経路との誤差を小さくしている。

特開2002−358122号公報

従来の技術では、自律走行車が前進移動する際に、自律走行車が目標パス上を精確にトレースするための誘導制御方法について展開されていた。しかし、圃場サイズや形状によっては、前後進の切替を頻繁に行う必要がある場合に生じる後進移動時の誘導制御方法については考慮されていなかった。前後進の切替操作が生じるケースとしては、図17に示すように、(1)畦際での旋回、(2)圃場から出る直前の方向変換、枕地仕上げがあり、特に狭い圃場で作業を行う際には頻繁に生じることが知られている。

以上のように、無人走行車や自律型ロボット走行車が、予め定義されて設計された(前進移動、旋回、後進移動を含む)静的パスデータに基づいて独立的に機能するべく走行制御する自動誘導システムが求められている。

本発明は、自律走行車の誘導制御方法に関する。より詳しくは、機能的な操作を自律走行車自身で行う無人走行を容易化した自律走行型のロボットトラクタに関する。例えば、自律走行型のロボットトラクタは、無人走行を容易化するとともに、トラクタによる農作業を自律的に実行するものである。そのようなロボットトラクタの誘導の主たる目的は、一連の耕作作業を完全な自律操作で行うことであり、トラクタの位置を制御し、トラクタを予め定義された経路に従って(種々の作業を行いつつ)移動させることである。 実際の農業に適用する際には、異なる土壌条件及び異なる障害物が存在する耕作領域において横方向の偏差及び進行方向の偏差を低く抑える必要がある。自律操作の間には、オペレータは、耕作条件に基づいて速度及びヒッチ操作を変更することができる。

自律走行型のロボットトラクタは、圃場を走行し、電子制御ユニット(ECU)に保存されたアルゴリズムに従って機能を発揮する。走行車の作業走行は、ECUに保存されたパスデータ、及び、GPS技術を活用したGNSSセンサを介して受信された信号に基づいて行われる。つまり、自律誘導は、ロボットトラクタを設計された経路に沿って走行させることができる。

本発明の第一態様は、衛星測位システムを利用して走行車の位置を測位しながら自律して走行及び作業を行う自律走行車の誘導制御システムであって、前記自律走行車を後進移動させる際に、前記衛星測位システムのアンテナ位置よりも所定距離後方に仮想アンテナ位置を設定し、その仮想アンテナ位置における目標パスからの横方向の偏差を用いてラテラル制御を行うことを特徴とする。

本発明の第一態様に係る好ましい実施形態では、前記自律走行車の誘導制御システムは、前記仮想アンテナ位置を選択しながら誘導制御信号を前記自律走行車に伝送するアンテナ位置補正モジュールと、前記目標パスに基づいて前記自律走行車の走行を追跡するための誘導制御信号を生成する自律走行車走行モジュールと、前記アンテナ位置補正モジュールと接続され、そのラテラル制御を行うラテラル制御モジュールと、前記自律走行車走行モジュールと接続され、予測される向首角と実際の向首角との差を修正することで前記自律走行車の向首角のずれを制御するヘディング制御モジュールと、前記ラテラル制御モジュール及びヘディング制御モジュールと接続され、ステアリング制御信号を生成するヨーレート制御モジュールと、を備える。

前記自律走行車の誘導制御システムは、前記自律走行車走行モジュールと接続され、前記目標パスに含まれる曲線経路の断続性に起因する前記目標パスからの偏差を修正するフィードフォワード制御モジュールをさらに備えることが望ましい。

本発明の第二態様は、衛星測位システムを利用して走行車の位置を測位しながら自律して走行及び作業を行う自律走行車の誘導制御システムであって、前記自律走行車を前進移動させる際に、前記衛星測位システムのアンテナ位置よりも所定距離前方に仮想アンテナ位置を設定し、その仮想アンテナ位置における目標パスからの横方向の偏差を用いてラテラル制御を行う。

本発明の好ましい実施形態では、前記自律走行車は、目標パスからの横方向の偏差又は向首角の偏差が所定値を超えた場合に、停止され、自律走行を終了する。

本発明の好ましい実施形態では、前記自律走行車は、遠隔操作によるオーバーライド制御操作によって自律走行を停止可能であり、その停止位置から自律走行を再開可能である。

本発明の誘導制御システムによれば、自律走行車の前進移動、旋回、及び、後進移動において、予め設計された目標パスに従った走行を実現できる。

上述の技術思想及び本発明の他の特徴は、これに続く詳細な説明に記載され、そこでは添付の図面を参照して説明が行われる。

自律走行車の一実施形態であるロボットトラクタを示す図である。

ロボットトラクタのキャビン内の構成を示す図である。

ロボットトラクタの制御ブロック図である。

自律誘導システムを構成するモジュールのブロック図である。

直線経路での自律走行車の軌道を示すグラフである。

曲線経路での自律走行車の軌道を示すグラフである。

後進移動時の自律走行車の軌道を示すグラフである。

全体的な制御方法を示すブロック図である。

曲線経路の不連続性による経路中の軌道の偏差を示す図である。

GNSSアンテナの位置補正を示す図である。

GNSSアンテナの位置補正のフローチャートである。

ロボットトラクタの別実施形態を示す図である。

GNSSアンテナの位置補正の別実施形態を示す図である。

GNSSアンテナの位置補正の別実施形態のフローチャートである。

GNSSアンテナの位置補正の別実施形態を示す図である。

ロボットトラクタの他の実施形態を示す図である。

前後進の切替を頻繁に行う状況を示す図である。

本発明の実施形態は、添付の図面を参照して以下に記載される。しかし、本発明は本実施形態に限定されるものではない。大きさ、形状、配置、個数、及び本発明の装置に含まれる種々の要素の構成については、好適な例を示しているに過ぎず、本発明の範囲を逸脱しない範囲で当業者による様々な改良が可能である。従って、本発明の実施形態は、当業者に対して本発明をより明確に説明するために記載されているに過ぎない。添付の図面において、同様の符号は同様の構成要素を示している。

本明細書では、複数箇所において、「ある」、「一つの」、又は、「複数の」実施形態について言及される。これは、そのような参照が同一の実施形態であること、若しくは、特徴要件が単一の実施形態に適用されることを必ずしも示唆するものではない。つまり、異なる実施形態の一つの特徴は、他の実施形態に対して複合されるものである。

ここで用いられている「ある」、「一つの」、及び「その」という単数表記は、他の表記を伴わなくとも同時に複数表記も含むことを意図している。さらに、明細書中の「含む」、「備える」、「含んでいる」、「備えている」等の記載は、特徴、完成形、工程、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を示すものであり、その他の一つ又は複数の特徴、完成形、工程、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらの集合の存在又は追加を排除するものではない。ある要素が「接続される」又は「結合される」ものとして記載される場合、他の要素に直接的に接続又は結合されても良いし、さらに他の要素を介在させても良い。さらに、「接続される」又は「結合される」という記載は、動作的に行われるものも含んでいる。ここで用いられるように、「及び/又は」という記載は、一つ又は複数の関連する部材の任意の又は全ての組み合わせ及び配置を含んでいるものとする。

他の方法で定義されていない場合、技術用語及び科学用語を含む全ての用語は、本発明の属する分野の通常の知識を有する者が共通して理解される意味で用いられる。さらに、一般的な辞書での定義の用語は、関連した技術の文脈内での一貫した定義を有するものとして理解されるべきであり、ここで明確に定義されているにも関わらず、理想的な意味又は過度に形式張った意味として理解されるべきではない。

本発明は、自律走行車の誘導制御方法に関する。より詳しくは、機能的な操作を自律走行車自身で行う無人走行を容易化した自律走行型のロボットトラクタに関する。例えば、自律走行型のロボットトラクタは、無人走行を容易化するとともに、トラクタによる農作業を自律的に実行するものである。そのようなロボットトラクタの誘導の主たる目的は、一連の耕作作業を完全な自律操作で行うことであり、トラクタの位置を制御し、トラクタを予め定義された経路に従って(種々の作業を行いつつ)移動させることである。 実際の農業に適用する際には、異なる土壌条件及び異なる障害物が存在する耕作領域において横方向の偏差及び進行方向の偏差を低く抑える必要がある。自律操作の間には、オペレータは、耕作条件に基づいて速度及びヒッチ操作を変更することができる。

以下、図1から図3を参照して、本発明に係る自律走行車の一実施形態であるロボットトラクタ(以下、単に「トラクタ」)1、及び、トラクタ1の誘導制御を行う誘導制御システム2について説明する。トラクタ1は、無人で自律して走行可能かつ作業可能である。具体的には、トラクタ1は、誘導制御システム2による制御を受けて、所定の経路に沿って移動しつつ、経路上の所定箇所で作業を行う。

トラクタ1は、エンジン3を収容するボンネット4、及び、ボンネット4の後方に配置されるキャビン5を備える。キャビン5内には、運転席6と、その前方に配置されるダッシュボード7が設けられ、運転席6の周囲及びダッシュボード7には、ステアリングハンドル8、主変速レバー9、前後進切替レバー10、昇降レバー11、PTO変速レバー12等の操作具が設けられる。つまり、トラクタ1は、オペレータによる運転が可能な構成を有している。

運転席6の下方にミッションケース15が配置される。エンジン3の動がミッションケース15内の変速装置16により変速されて、フロントアクスル17に支承される前輪18及びリヤアクスル19に支承される後輪20、並びに、作業機21を駆動するPTO軸に伝達される。作業機21は、機体後部に三点リンク機構22を介して装着されており、三点リンク機構22の作動(ヒッチ操作)によって作業機21を上下方向に移動可能、かつ、左右に傾斜可能に構成されている。

ロボットトラクタ1には、その運転を制御するための電子制御ユニット(ECU)30が搭載されている。ECU30には、エンジン3の回転数を検出する回転数センサ31、後輪20の回転数を検出する車速センサ32、ステアリングハンドル8の回動角(つまり前輪18の回動角)を検出する操角センサ33、前後進切替レバー10の操作位置を検出するポジションセンサ34等のセンサ類が接続されており、これらのセンサによる検出値が検出信号に変換されてECU30に送信される。 また、ECU30には、エンジン3の回転数を制御するガバナ装置40、トラクタ1の速度を制御する変速装置16、トラクタ1の進行方向(操舵角)を制御する操向装置41、三点リンク機構22を制御する昇降装置42等の各アクチュエータが接続されている。ECU30は、これらのアクチュエータの作動を制御することで、トラクタ1の運転を自動的に制御することが可能である。そして、ECU30は、誘導制御システム2を含むことで、誘導制御システム2に基づいたトラクタ1の自律運転を可能にしている。

トラクタ1のボンネット4の上面に衛星測位システムであるGNSSからの信号を受信するGNSSアンテナ50が配置されている。GNSSアンテナ50は、測位衛星からの信号を受信することで、トラクタ1の位置を測位する。これとともに、GNSSアンテナ50は、ヘディングセンサを内蔵することでトラクタ1の向首角を同時に検出する。GNSSアンテナ50は、ECU30と接続されており、測位衛星からの検出信号をECU30に送信する。つまり、ECU30によって、トラクタ1の位置及び向首角が取得される。 なお、測位衛星を利用したGNSSシステムとしては、GPS技術を活用した衛星測位システムが代表例として挙げられる。例えば、GPS衛星を用いた測位に加えて、準天頂衛星、グロナス衛星等の他の衛星を用いたシステムを利用することも可能である、また、GPS測位としては、単独測位、相対測位、DGPS測位、RTK−GPS測位等を採用することができる。

トラクタ1には、前方、側方、又は後方に障害物があるかどうかを検出する障害物センサ51が取り付けられている。障害物センサ51は、レーザセンサ、超音波センサ等によって構成され、トラクタ1の前方、側方、及び後方に存在する障害物を認識し、検出信号を生成する。また、トラクタ1は、前方、側方、及び後方を撮影するカメラ52が取り付けられる。障害物センサ51及びカメラ52は、ECU30と接続されており、ECU30に検出結果を送信する。

トラクタ1の誘導制御システム2を遠隔操作によって制御する際には、タブレット55等の無線機器が用いられる。タブレット55からの制御信号は、トラクタ1のキャビン5の上面に配置されるアンテナ56によって受信される。アンテナ56は、ECU30と接続されており、制御信号をECU30に送信する。

図4は、自律誘導システムを構成する各モジュールの概略図を示す。本実施形態では、GPSが姿勢角度信号及びロボットトラクタバス上のCANメッセージフォーマット内で検出した位置信号を送信する。ECU内のプラットフォームでCAN信号を受信し、それを物理信号に変換する。この物理信号は次に自律誘導モデルに伝送される。プラットフォームのソフトウェアは、フラッシュファイル内に存在し、実行時に自律誘導に関する詳細な静的パスを生成する静的パスデータを読み込む。 自律誘導モデルは、検出された信号及び静的パスデータに基づいて所望のコマンドを算出し、トラクタバスの操舵制御システムにコマンドを送信する。オペレータは、タブレット端末によって自律誘導モデルにロボットトラクタ上のオーバーライド制御信号を送信可能であり、それを受けた自律誘導モデルは、パスジオメトリに基づいてオーバーライド制御信号に応答する。このオーバーライド制御信号コマンドは、トラクタバスのECUによって送信される。

自律走行型のロボットトラクタの制御則は、横方向の位置偏差を低減すること、及び走行車の向首角(方位)を制御することを目的に設計されている。誘導システムは、ロボットトラクタが自律モードで作業することを容易化するものである。

[1.トラクタの傾きに起因する位置ズレ補正] GNSSアンテナは、トラクタの上面に配置されている。これにより、走行車の傾きに起因して検出位置にズレが生じる。この位置ズレは、次の数式を用いた姿勢角度補正によって補正される。

[2.トラクタ走行] トラクタ走行のアルゴリズムによって、誘導システムは、読み込まれた静的パスデータに基づいた走行車の走行を容易に追跡することができる。経路の追跡方法は、直線経路と曲線経路との間で異なっている。それは、曲線経路における走行では走行車の向首角の影響が重要となるが、直線経路における走行ではラテラル制御が優先されるためである。

[測地からNED座標系への変換] 測地座標系の緯度、経度、高度で検出されるトラクタの位置、及び、走行車の静的パスの位置データが地平直交座標系であるNED座標系に変換される。NED座標データは、位置偏差及び向首角偏差を算出するために用いられる。

図5は、直線経路中の自律走行車の軌道を示すグラフである。この場合の誘導方法は、目標とするヨーレートがLOSレートをゼロにすることで引き出されるように、主に並行走行に基づいて行われる。LOSレートをゼロにするために、走行車はLOSベクトル内で走行する必要がある。

図6は、曲線経路中の自律走行車の軌道を示すグラフである。ヘディング制御では、目標とする向首角が、並行走行方式ではなくパスジオメトリから引き出される。

経路追跡のアルゴリズムは、現在のトラクタの位置に基づいて、以下の(1)から(4)に示す情報を静的パスから抜き取り、抜き取った情報を他の誘導モジュールに提供するものである。 (1)目標パスデータ、旋回角、始動点及び停止点 (2)作業領域(耕作領域)及び枕地領域 (3)運転状況(直進、旋回等) (4)前進移動又は後進移動 上記情報は、自律した機能的作業、及び、異なる誘導フェーズを制御する制御モジュールに用いられる。

図7は、後進移動時の自律走行車の軌道を示すグラフである。本実施形態では、目標の向首角及び横方向の偏差は、後進移動時の実施形態に対して示されている。

[3.NED座標系からトラクタ本体への変換] 位置偏差は、オイラー角を用いて、ローカルの本体フレームに変換される。これにより、グローバル座標系での走行車走行の制御を簡単にし、かつ、精確にできる。

[4.制御方法] 図8は、全体的な制御方法のブロック図である。本実施形態での発展した制御則は、フィードバック制御ループ及びフィードフォワード制御ループを伴うカスケード制御システムである。

[フィードバック制御] 走行車の向首角の偏差だけでなく横方向の偏差を改善するために、ラテラル制御は、アウターループ内でヘディング制御と並行して実行されるように設計される。ヨーレート制御は、操舵レートを取得し、全体的な誘導システムのロバスト性を向上するために、インナーループ内で実行される。このインナーループ制御は、土壌の起伏、センサーノイズ、電子油圧制御の操舵システムの非線形性等の種々の外乱から影響を受けるシステムの感度を制御する。

[ラテラル制御] 横方向の偏差(Yerror)は、予め定義されたパスからトラクタまでの最小距離で算出される。ラテラル制御では、横方向の偏差は、NEDフレーム内で算出され、コマンドとして本体フレームに変換される。つまり、横方向の偏差は、本体Yフレーム内でのものとして扱われる。

[ヘディング制御] ヘディング制御では、向首角の偏差を制御する。向首角の偏差は、目標向首角と実際のトラクタの向首角との差として算出される。ヘディング制御は、曲線経路走行中に優先される。

[ヨーレート制御] ヨーレート制御は、インナーループ内で実行される。そして、アウターループコントローラの出力、つまり横方向の偏差及び向首角は、算出されたヨーレートの参照入力値と比較される。ヨーレート制御の出力は、操舵システムに入力される操舵レートのコマンドである。

ラテラル制御、ヘディング制御、及び、ヨーレート制御の制御則は、PD制御システムである。

[フィードフォワード制御システム] 図9は、曲線経路の不連続性に起因してパスから脱線した際の軌道を示す。曲線経路の不連続性は、直線部分と曲線部分の接続箇所に存在し、これにより、走行車がパスから外れることとなる。フィードバック制御に加えて、フィードフォワードコントローラは、直線から曲線及び曲線から直線へのパスの遷移中のシステムのオーバーシュートを排除するように設計される。フィードフォワード制御は、旋回角及び速度に関する機能である。

[コントロールゲインのスケジューリング] コントロールゲインのスケジューリングは、外乱に対するシステムの安定性を最適化し、エラーを低減するために実行されている。コントロールゲインは、走行車の速度に関する機能に特化している。

[5.GNSSアンテナ位置補正] 図10は、GNSSアンテナ位置の補正の様子を示す。これは、自律走行車の誘導制御を実現する際に重要な特徴である。アンテナ位置が重要な役割を果たすときは、過渡的なフェーズである。つまり、GNSSアンテナがトラクタの前部に配置されている場合、横方向の偏差はより早く検出される。これにより、システム遅れを減らし、全体的な過渡応答特性を向上することができる。 しかしながら、後進制御時には、横方向の偏差は、トラクタの後部と比較して遅く検出される。このため、過渡応答を向上することを目的として、GNSSアンテナの位置での横方向の偏差(L1)、及び、向首角の偏差に基づいて、後部位置における横方向の偏差(L2)を算出する。つまり、トラクタの後部位置を仮想アンテナ位置として設定し、後進制御を行うことで過渡応答を向上している。

[6.誘導フェーズ] あらゆる圃場及び種々の作業に対する自律的な操作を実現するために、異なる誘導フェーズが必要となる。その誘導フェーズには、次に示す制御方法が用いられる。 (1)直進 直進制御フェーズでは、インナーループ制御でヨーレート制御が行われる間、アウターループ制御でラテラル制御及びヘディング制御が行われる。ヘディング制御は、パスジオメトリに基づいた目標向首角を入力とする。 (2)旋回 旋回制御フェーズでは、アウターループ制御で、ラテラル制御、ヘディング制御及びフィードフォワード制御が行われ、インナーループ制御でヨーレート制御が行われる。ヘディング制御は、パスジオメトリに基づいた目標向首角を入力とする。 (3)後進移動 後進制御フェーズでは、後方への移動が始まる前に、操舵角がゼロとなるように第一の操舵角制御が行われる。後進制御では、横方向の偏差は、前輪ではなく後輪位置で算出される。

[7.自律的な機能操作] 自律誘導システムは、次に示す機能操作を行う。 (1)耕作領域、非耕作領域の何れか、読み込まれた静的パス、及び、走行車の位置データに基づいた自律的なヒッチ操作及びPTO操作。 (2)自律モードは、トラクタが始点にいない場合には始められない。この機能では、ECU内で予め定義された静的パスの始点に対するロボットトラクタの姿勢の偏りに従って、実際の位置を確認することが求められる。 (3)このシステムでは、パスの偏差(横方向の偏差及び向首角の偏差)が所定値を超えないことが求められる。仮に、この所定値を超えた場合は、自律モードが停止される。 (4)ロボットトラクタの自律モードは、耕作の終点で終了する。これは、保存された走行パスに関する情報及びトラクタの実際の位置に基づいて実現される。 (5)センサ(障害物センサ又はカメラ)によって障害物が検出された場合も、自律操作を終了する。

[8.オーバーライド制御操作] 自律操作の間、ユーザーは、パスジオメトリに基づいてオーバーライド制御を決定する誘導に応じて、タブレットのような遠隔操作を用いて次の制御信号を変更することができる。また、遠隔操作によりトラクタを停止させた後は、その位置から再開可能である。 (1)作業領域及び枕地領域におけるトラクタの速度 (2)作業領域及び枕地領域におけるヒッチ操作及びPTO操作

図11は、本発明の実施形態におけるGNSSアンテナの位置補正のフローチャートを示す。ステップ802において、後進フラグが立ったかどうか確認される。後進フラグが立ったときは、ステップ804において、目標の向首角(Ψpath)が算出される。ステップ806において、向首角の偏差(Ψerror=Ψpath−Ψm)が算出される。ステップ808において、アンテナ位置とトラクタのリヤアクスルの位置との距離(Wb)が決定される。ステップ810において、アンテナ位置での目標経路(ld)との横方向の偏差が決定される。ステップ812において、リヤアクスル位置での横方向の偏差(ld_rear axle)が決定される。 ステップ802において、後進フラグが立たない場合、ステップ814において、横方向の偏差は、アンテナ位置での目標経路(ld)との距離として決定される。 なお、後進制御に関する他の実施形態では、リヤアクスル位置での横方向の偏差を用いてラテラル制御を行うこともできる。

[別実施形態] 次に、図12から図16を参照して、[5.GNSSアンテナの位置補正]に関する別実施形態について説明する。本実施形態は、GNSSアンテナ50をトラクタ1の中央部又は後部に配置する例を示しており、GNSSアンテナ50をトラクタ1の前部に配置してない構成に関するものである。 図12は、GNSSアンテナ50をトラクタ1のキャビン5の前端に配置した例を示し、図16は、キャビンを有しないトラクタ60の後端のロールバー61にGNSSアンテナ50を配置した例を示す。

図12に示すように、GNSSアンテナ50は、トラクタ1のキャビン5の前端に配置されている。GNSSアンテナ50をキャビン5の上面に配置することにより、トラクタ1の振動をGNSSアンテナ50に伝達しにくいという効果を奏する。また、トラクタ1の最も高い位置にGNSSアンテナ50を配置することで、受信感度を向上できる。

図13は、GNSSアンテナ位置の補正の様子を示す。本実施形態では、後進制御時に進行方向(後方)に仮想アンテナ位置を設定するだけでなく、前進制御時にも進行方向(前方)に仮想アンテナ位置を設定することで、アンテナ位置の補正を行い、ラテラル制御が行われる。 (1)前進制御 前進移動時は、GNSSアンテナ位置での横方向の偏差(L1)、及び、向首角の偏差(θ)に基づいて、GNSSアンテナからトラクタ前方に向けて所定距離(Wc)進めた位置での横方向の偏差(L3)を算出する。つまり、仮想アンテナ位置を進行方向に向けて進めた位置に配置して前進制御を行うことで、さらなる過渡応答の向上を図っている。 (2)後進制御 後進移動時は、GNSSアンテナ位置での横方向の偏差(L1)、及び、向首角の偏差(θ)に基づいて、GNSSアンテナからトラクタ後方に向けて所定距離(Wc)進めた位置での横方向の偏差(L3)を算出する。つまり、仮想アンテナ位置を進行方向に向けて進めた位置に配置して後進制御を行うことで、さらなる過渡応答の向上を図っている。

図14は、本発明の別実施形態におけるGNSSアンテナの位置補正のフローチャートを示す。ステップ904において、目標の向首角(Ψpath)が算出される。ステップ906において、向首角の偏差(Ψerror=Ψpath−Ψm)が算出される。ステップ908において、アンテナ位置と仮想アンテナ位置との距離(Wc)が決定される。ステップ910において、アンテナ位置での目標パス(ld)との横方向の偏差が決定される。ステップ912において、仮想アンテナ位置での横方向の偏差(ld_virtual)が決定される。 以上のように、本実施形態では、前進制御と後進制御で同様のフローに従ってGNSSアンテナの位置補正が行われる。

図15は、GNSSアンテナ位置の補正の様子を示す。本実施形態では、後進制御時に進行方向(後方)に仮想アンテナ位置を設定するだけでなく、前進制御時にも進行方向(前方)に仮想アンテナ位置を設定することで、アンテナ位置の補正を行い、ラテラル制御が行われる。 (1)前進制御 前進移動時は、GNSSアンテナ位置での横方向の偏差(L1)、及び、向首角の偏差(θ)に基づいて、GNSSアンテナからトラクタ前方に向けて所定距離(Wc)進めた位置での横方向の偏差(L3)を算出する。つまり、仮想アンテナ位置を進行方向に向けて進めた位置に配置して前進制御を行うことで、さらなる過渡応答の向上を図っている。 (2)後進制御 後進移動時は、GNSSアンテナ位置での横方向の偏差(L1)、及び、向首角の偏差(θ)に基づいて、GNSSアンテナからトラクタ後方に向けて所定距離(Wd)進めた位置での横方向の偏差(L4)を算出する。つまり、仮想アンテナ位置を進行方向に向けて進めた位置に配置して後進制御を行うことで、さらなる過渡応答の向上を図っている。 本実施形態では、前進制御時と後進制御時において進行方向に進める距離が異なっている。このように、前進制御と後進制御において、仮想アンテナの設置位置を変えることで、前進制御及び後進制御における最適な仮想アンテナ位置を設定することができ、横方向の偏差(L3、L4)を検出する感度を向上することができる。

図16に示すように、自律走行車の一実施形態であるロボットトラクタ60は、キャビン5を有していない点でロボットトラクタ1と違っているが、その他は同様の構成を有する。そして、GNSSアンテナ50は、ロボットトラクタ60の後端に配置されるロールバー61の上面に配置される。また、受信アンテナ56は、例えばダッシュボード7に設けられる。 この場合も同様にGNSSアンテナの位置補正を行うことで、同様の作用効果を奏する。なお、ロボットトラクタ60において、GNSSアンテナ50は機体後方に配置されていることから、前進移動時にのみGNSSアンテナの位置補正を行う構成としても良い。つまり、前進制御において、仮想アンテナ位置を設置する一方で、後進制御においては、実際のアンテナ位置を用いて制御を行う構成としても良い。

本発明は、予め決定された経路追従(種々の旋回を含む)における安定性を維持することで、例えば所定の位置精度範囲内の偏差制限内での自律走行車の誘導に含まれている課題を解決する。

従来技術では、誘導システムは、異なる誘導フェーズに対応しておらず、後進制御時のGNSSアンテナの位置補償を重視していなかったため、複合的な制御はなされていなかった。また、従来のラテラル制御は、ボディフレーム内のコマンドを算出していなかった。さらには、従来の概念では、トラクタ内にオペレータがいない状態での安定した自律作業を維持しつつ、異なった圃場サイズ及び形状に対して様々な自律作業を行うことはできなかった。

本発明による技術思想は、ヘディング制御及び修正されたラテラル偏差制御を(並列で)行う複合制御をアウターループ制御で行い、ヨーレート制御をインナーループ制御で行うことである。本発明の制御設計では、ヨーレート制御は、操舵角よりも操舵角速度について行われる。より進化した制御設計によって、走行車の位置及び向首角の偏差を低減すること、並びに、地上の外乱が存在する中、土壌条件が異なる中、操舵システムの非線形性が存在する中でのシステムの安定性を維持することが可能である。 走行車の位置精度が高いレベルで求められることで、ロボットトラクタの制御を煩雑化している。そして、適切なゲインスケジューリング技術を伴う新たに設計された制御則によって、そのような煩雑さを解消し、所望の制約を実現できる。

本発明では、誘導システムは、圃場における自律作業が静的パスに対する自律作業始動条件を満たすか否かを判別することで始動される。自律モードでは、静的パスの終点(耕作完了点)で停止することで、トラクタが圃場外に出ることを防止している。誘導システムは、圃場が異なるサイズ又は形状を有する場合にも様々な自律作業を行うことを可能にし、継続してトラクタの偏差を監視し、大きな偏差が生じた場合にトラクタを停止することで、安全性を確保している。 本発明では、トラクタ内にオペレータが常駐することが必要不可欠ではなく、それにより、ユーザーは、離れた位置でタブレット等の遠隔操作具を用いて自律作業を監視し、トラクタの速度を制限範囲内で変更し、ヒッチ作業を操作することができる。遠隔操作によりトラクタを停止した後、その停止位置から自律作業を再開することができる。

本実施形態で説明された誘導制御は、包括的なものであり、自律的な農作業に限定されることなく、自律的な乗用車等に適用することも可能である。

図面及び明細書に記載された事項と同等の関連性を有するものは、本発明に含まれるものである。本発明の実施形態に示されるものは例示であり、本発明の利用可能性を制限するものではない。当業者は、本発明から逸脱しない範囲で、具体的な実施形態に対する種々の修正及び代替について、開示された内容によって示唆される全ての範囲において改良することができる。

自律走行車の誘導制御システム及び方法に関する本発明は、添付の図面に示された本発明の実施形態と関連させて説明されているが、これらに限定されることはない。すなわち、当業者による種々の代替、改良、変更は、本発明の範囲及び思想を逸脱しない範囲で誘導制御システムに対して適用可能である。

本発明は、自律走行車を目標経路に沿って走行させる誘導制御方法に利用可能である。

1:ロボットトラクタ(自律走行車)、2:誘導制御システム、5:キャビン、21:作業機、50:GNSSアンテナ(衛星測位システムのアンテナ)、55:タブレット

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