作業車及び作業車のための傾斜走行管理システム

申请号 JP2016141291 申请日 2016-07-19 公开(公告)号 JP2018013833A 公开(公告)日 2018-01-25
申请人 株式会社クボタ; 发明人 松崎 優之; 新海 敦; 西 啓四郎;
摘要 【課題】警報による報知などを通じて作業が先延ばしされた傾斜領域に対しても、有効な対策を講じることができる技術が要望されている。 【解決手段】作業車は、車体と、車体傾斜を検出する傾斜検出器と、傾斜検出器によって検出された車体傾斜 角 が所定の角度値を超えた場合に走行制限情報を出 力 する傾斜評価部と、測位データに基づいて作業地における作業車の 位置 である自車位置を算出する自車位置算出部と、走行制限情報が出力された際の自車位置によって決定される走行経路の周辺領域を傾斜領域として記録する傾斜記録部とを備えている。 【選択図】図1
权利要求

走行経路に沿って走行する作業車であって、 車体と、 車体傾斜を検出する傾斜検出器と、 前記傾斜検出器によって検出された車体傾斜角が所定の角度値を超えた場合に走行制限情報を出する傾斜評価部と、 測位データに基づいて作業地における前記作業車の位置である自車位置を算出する自車位置算出部と、 前記走行制限情報が出力された際の前記自車位置によって決定される走行経路の周辺領域を傾斜領域として記録する傾斜記録部と、 を備えた作業車。前記傾斜評価部は、前記車体傾斜角が警告しきい値を超えた場合、前記走行制限情報として、自動操での走行を警告する走行警告信号を出力する請求項1に記載の作業車。前記傾斜評価部は、前記車体傾斜角が自動操舵走行禁止しきい値を超えた場合、前記走行制限情報として、自動操舵中の車体を停車させる自動操舵禁止信号を出力する請求項1または2に記載の作業車。前記傾斜評価部は、前記車体傾斜角が走行禁止しきい値を超えた場合、前記走行制限情報として、車体を停止させる停車信号を出力する請求項1から3のいずれか一項に記載の作業車。前記傾斜記録部に記録された傾斜領域は、次回の作業計画時の走行経路生成時に前記傾斜記録部から読み出される請求項1から4のいずれか一項に記載の作業車。測位データに基づいて作業地における作業車の位置である自車位置を算出する自車位置算出部と、車体傾斜角を検出する傾斜検出器とを備え、走行経路に沿って走行する作業車のための傾斜走行管理システムであって、 前記自車位置に関係づけられた前記車体傾斜角を受け取る入力処理部と、 前記車体傾斜角に基づいて走行制限情報を出力する傾斜評価部と、 前記走行制限情報が出力された際の前記自車位置によって決定される走行経路の周辺領域を傾斜領域として記録する傾斜記録部と、 を備えた作業車のための傾斜走行管理システム。

说明书全文

本発明は、走行経路に沿って走行する作業車と、この作業車の傾斜地での走行を管理する作業車のための傾斜走行管理システムに関する。

特許文献1による田作業車は、作業の終了後に畦を登って次の圃場に向かう際に機体姿勢が不安定になり易いため、走行機体の左右傾斜を検出する検出手段を設けるとともに前記検出手段の設定角以上の検出結果に基づいて警報装置を作動させる機能、走行機体に対する主クラッチを切り作動することで走行機体を停止させる機能を有する。

特許文献2による自律走行可能な乗用管理機は、機体の前後方向及び左右方向の傾斜角度を検出する傾斜角度検出手段を設け、検出された傾斜角度に基づいて、自律走行速度の変更、または停止を実行する機能を有する。これにより、乗用管理機が圃場内の軟弱地盤やぬかるみにはまり込んだ場合や、障害物や畦、轍等に車輪が乗り上げた場合には機体が大きく傾くので、走行速度を落とすか、停止することで、安全性を高めている。

特許文献3には、畦を越えて水田に出入り(畦越え操作)する際や、水田作業車の自走行によってトラックへの積み下ろしを行う際に、運転部から運転者が降りて低速走行させる(降車操作)方法と、乗ったまま走行を継続する(乗車操作)方法とが選択される水田作業車が開示されている。この水田作業車では、傾斜センサによって検出された車体本体の傾斜検出値が設定値を越えると警報が発せられるので、運転者は、その警報を受けることで、傾斜地の傾斜の度合を正確に認識し、乗車操作から降車操作に変更する判断を適切に下すことができる。

特許文献4による農用作業車両は、走行機体の水平に対する傾斜角を計測する傾斜センサと、傾斜センサによる検出結果を表示するパネルとを備え、傾斜角は、走行機体における前後方向の傾斜のピッチ角、及び左右方向の傾斜のロール角を含み、パネルは、前記ピッチ角、及び前記ロール角をそれぞれ表示するピッチ角表示部、及びロール角表示部を有し、ピッチ角、及び前記ロール角の少なくとも一方が予め定められた値を超えた場合に警報が発せられる。

特開平11−332329号公報

特開2005−215742号公報

特開2014−064527号公報

特開2015−189439号公報

上述した従来の作業車は、車体が所定以上傾斜した際に、警報を鳴らしたり、停止したりするので、走行時における一過性の車体傾斜に対する対策としては有効である。しかしながら、作業地内にある範囲で広がっている傾斜領域に対しては、車体が多少傾斜しても作業を行うことが望ましいが、そのような傾斜領域での作業走行は、熟練者の運転によって行われるか、特別仕様の作業車によって行う必要がある。しかしながら、広大な作業地から作業ができなかった傾斜領域を探して、残されていた作業を行うのは困難である。 このような実情から、警報による報知などを通じて作業が先延ばしされた傾斜領域に対しても、有効な対策を講じることができる技術が要望されている。

走行経路に沿って走行する、本発明による作業車は、車体と、車体傾斜を検出する傾斜検出器と、前記傾斜検出器によって検出された車体傾斜角が所定の角度値を超えた場合に走行制限情報を出力する傾斜評価部と、測位データに基づいて作業地における前記作業車の位置である自車位置を算出する自車位置算出部と、前記走行制限情報が出力された際の前記自車位置によって決定される走行経路の周辺領域を傾斜領域として記録する傾斜記録部とを備えている。

この構成によれば、走行中に所定以上の車体傾斜角が検出された場合、走行に対する何らかの制限を与えるための走行制限情報が出力される。走行制限情報が出力されると、そこでの自車位置によって決定される走行経路の周辺領域が傾斜領域として記録される。これにより、所定以上の車体傾斜角が検出された走行経路である傾斜領域を傾斜記録部を通じて把握することができるので、その傾斜領域が未作業領域として残されていても、後で、熟練者の運転による作業走行や特別仕様の作業車による作業走行といった対策を講じることができる。

走行制御情報が出力された場合、この走行制御情報に基づいて実行される走行制限として、警告の報知、車速の低減、車体の停止、進行方向の変更などが挙げられる。特に、作業車が自動操による無人運転中、または無運転者運転(運転はしないが監視員が乗車した運転)中においては、傾斜を考慮しながらの細やかな操舵が困難であるため、警告を発することが重要となる。このため、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記傾斜評価部は、前記車体傾斜角が警告しきい値を超えた場合、前記走行制限情報として、自動操舵運転での走行を警告する走行警告信号を出力するように構成されている。なお、比較的緩やかな車体傾斜角であれば、低車速での自動操舵走行や手動操舵走行は可能であるので、無人運転での走行が警告された場合には、車速の低減や自動運転から手動運転への切り替えなどの対策を選択してもよい。もちろん、手動操舵であっても、そのような警告を通じて、運転者に慎重な運転を促すことができる。

さらに別の好適な実施形態の1つでは、前記傾斜評価部は、前記車体傾斜角が自動操舵走行禁止しきい値を超えた場合、前記走行制限情報として、自動操舵中の車体を停車させる自動操舵禁止信号を出力するように構成されている。この構成では、作業車が自動操舵で走行している際に、車体傾斜角が自動操舵走行禁止しきい値を超えると、まず車体が停止する。車体の停止状態で、車速の低減や自動操舵から手動操舵への切り替えなどの対策をじっくりと考慮することができる。

もちろん、急激に車体が傾斜するような場合には、自動操舵走行中あるいは手動操舵走行中にかかわらず、即座に車体を停止した方がよい場合がある。このため、本発明の好適な実施形態では、前記傾斜評価部は、前記車体傾斜角が走行禁止しきい値を超えた場合、前記走行制限情報として、車体を停止させる停車信号を出力するように構成されている。

作業車が走行するために予め設定された走行経路と、GPSやGNSSなどの衛星測位システムを用いて得られる測位データから算出される自車位置とを比較し、その偏差を減少するように車体を走行させることで、予定通りの作業走行が実現する。そのような作業走行は、手動操舵でも自動操舵でも可能である。しかしながら、自動操舵では、車体の傾斜を考慮しながら、走行経路に沿った走行を維持する制御は難しい。また、作業地における傾斜領域は、土地改良を行わない限り変わらない。したがって、自動操舵での走行が禁止された傾斜領域は、手動操舵での走行に限定されるように記録しておくことができる。これにより、このような手動操舵走行に限定された傾斜領域を含む走行経路を含む作業走行の計画時に、投入する作業車の仕様や登用する運転者の熟練度を適切に選択すること可能となる。このため、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記傾斜記録部に記録された傾斜領域は、次回の作業計画時の走行経路生成時に前記傾斜記録部から読み出されるように構成されている。

上述した作業車に採用されている、車体傾斜の検出及びその検出結果の記録に関する制御は、コンピュータシステムを用いて構築することができる。そのようなコンピュータシステムである傾斜走行管理システムも本発明に含まれる。測位データに基づいて作業地における前記作業車の位置である自車位置を算出する自車位置算出部と、車体傾斜を検出する傾斜検出器とを備え、走行経路に沿って走行する作業車のための、本発明による傾斜走行管理システムは、前記自車位置に関係づけられた前記車体傾斜角を受け取る入力処理部と、前記車体傾斜角に基づいて走行制限情報を出力する傾斜評価部と、前記走行制限情報が出力された際の前記自車位置によって決定される走行経路の周辺領域を傾斜領域として記録する傾斜記録部とを備えている。このような傾斜走行管理システムも、上述した作業車の特徴として説明された作用効果を得ることができ、また上述した種々の好適な実施形態を取り入れることも可能である。

作業地での作業走行における傾斜走行管理の基本を示す説明図である。

作業車の実施形態の1つを示すトラクタの側面図である。

トラクタの制御系を示す機能ブロック図である。

傾斜記録部での記録形態の一例を示す説明図である。

本発明による作業機の具体的な実施形態を説明する前に、図1を用いて、作業地での作業走行における傾斜走行管理の基本を説明する。ここでは、作業車は、模式的に描かれており、車体1と、車体1に装備された作業装置30と備えている。さらに、この作業車には、車体傾斜角を検出する機能と、GNSSモジュールなどを用いて走行中の車体1の走行位置を示す座標位置(以下単に自車位置と称する)を算出する機能とが備えられている。作業計画に基づいて、予め計画されている作業車が走行すべき走行経路は、図1では、直線で示されているが、実際には、多数の直線走行経路と、隣接する直線走行経路をつなぐ旋回走行経路(180°ターンや90°ターン)とからなる。図1では、走行経路における自車位置を特定する走行点はPn(nは添え字)で示されており、走行点には地図座標位置(x、y)が付与される。

この作業車は、さらに、自動操舵によって無人走行または無運転者走行を行う自動操舵機能と、手動操舵によって有人走行を行う手動操舵機能とを備えており、自動操舵走行と手動操舵走行とを選択することができる。1つの作業地に複数の作業車を投入し、一方を手動操舵走行し、他方を自動操舵走行させる作業走行形態を採用することも可能である。

作業走行中に検出された車体傾斜角に応じて、異なる内容を有する走行制限情報が出力される。ここでは、警告しきい値<自動操舵走行禁止しきい値<走行禁止しきい値という大小関係をもつ3つのしきい値が設定されている。警告しきい値は、自動操舵での走行時に自動操舵走行を監視している監視者に警告を報知するトリガーとなるしきい値であり、走行制限情報として走行警告信号が出力される。自動操舵走行禁止しきい値は、自動操舵中の車体を停車させるトリガーとなるしきい値であり、走行制限情報として自動操舵禁止信号が出力される。走行禁止しきい値は、自動操舵または手動操舵にかかわらず、車体を緊急停車させるトリガーとなるしきい値であり、走行制限情報として停車信号が出力される。これらの3つのしきい値とそれをトリガーとする車体制御は一例であり、設定されるしきい値の数をより少なくしてもよいし、より多くしてもよい。また、自動操舵と手動操舵とを分けて異なる制御をするのではなく、共通の制御を行ってもよい。また、車速に応じて、しきい値を下げるような制御方法を採用してもよい。

図1の例では、走行経路に、低中高の3つのレベルの傾斜領域が示されている。図1で示された作業走行では、まず自車位置:P10で警告しきい値を超える車体傾斜角が検出される。これにともない、走行警告信号に関する走行制限情報が出力される。その際、作業車が自動操舵で走行している場合には、走行警告が報知される。この警告を受けて、自動操舵を監視している監視者は、作業車の走行状態を注視する。必要の場合は、車速を低下させるか、あるいは作業装置30を非作業状態にして、作業車の走行負担を軽減して安定化を図る。自車位置:P18に達すると、車体傾斜度が警告しきち値以下となるので、走行制限情報の出力がなくなり、走行警告が解除される。走行経路における自車位置である走行点:P10から走行点:P18までの走行軌跡に含まれる走行経路部分及びその周辺領域は傾斜領域(走行警告傾斜領域)として記録される。なお、車体傾斜角は、しきい値評価とは関係なく、所定間隔の自車位置とともに記録してもよい。

次に、作業車が、走行点:P29で車体傾斜角が警告しきい値を超え、走行点:P30で自動操舵走行禁止しきい値を超えている。この作業車は自動操舵されているので、走行点:P29で走行警告が報知され、走行点:P30で自動操舵中の車体は停車する。したがって、作業車に運転者が乗車して、手動操舵で作業走行を再開し、走行点:P34で車体傾斜角が自動操舵走行禁止しきい値以下になったところで、あるいは走行点:P35で車体傾斜度が警告しきち値以下になったところで、自動操舵に移行することができる。ここでも、走行点:P29から走行点:P35までの走行軌跡に含まれる走行経路部分及びその周辺領域は傾斜領域として記録され、特に、走行点:P30から走行点:P34は、自動操舵走行禁止の傾斜領域として記録される。ここでの周辺領域は、車体1の中心を基準として、車体幅+α(任意に設定可能)とするのが好ましいが、周辺領域を実質的にゼロとし、走行軌跡線の形で傾斜領域を取り扱ってもよい。

なお、走行点:P30から走行点:P34の間は、当然、車体傾斜度が警告しきち値を超えているので、走行警告が報知されるが、走行警告状態と自動操舵走行禁止状態とを区別するため、その警告メッセージや警告音を区別できる形態で報知することができる。

さらに、特殊な例として、走行点:P50で車体傾斜角が走行禁止しきい値を超えたことにより、車体が緊急停車する。このような緊急停車の状態からの離脱のためには、一旦この傾斜走行管理プログラムを解除し、後進や旋回走行によって、この傾斜領域を回避する。走行禁止されるような傾斜領域は、局所的に存在するので、当該領域を迂回走行することで、作業走行を続行することができる。ここでも、走行点:P50を含む走行経路部分及びその周辺領域は傾斜領域として記録され、次回の作業計画時に読み出され、その走行経路の生成時に考慮される。そのような傾斜領域の迂回経路も予め生成して記録しておくことも可能である。

次に、図面を用いて、本発明による作業車及び作業車のための傾斜走行管理システムの具体的な実施形態の1つを説明する。この実施形態では、作業車は、図2に示されているように、畦によって境界づけられた圃場(作業地)に対して走行作業を行うトラクタである。このトラクタは、前輪11と後輪12とによって支持された車体1の中央部に操縦部20が設けられている。車体1の後部には油圧式の昇降機構31を介してロータリ耕耘装置である作業装置30が装備されている。前輪11は操向輪として機能し、その操舵角を変更することでトラクタの走行方向が変更される。前輪11の操舵角は操舵機構13の動作によって変更される。操舵機構13には自動操舵のための操舵モータ14が含まれている。手動走行の際には、前輪11の操舵は操縦部20に配置されているステアリングホイール22の操作によって可能である。トラクタのキャビン21には、GNSSモジュールとして構成されている衛星測位モジュール80が設けられている。衛星測位モジュール80の構成要素として、GPS信号やGNSS信号を受信するための衛星用アンテナがキャビン21の天井領域に取り付けられている。なお、衛星測位モジュール80には、衛星航法を補完するために、ジャイロ加速度センサや磁気方位センサを組み込んだ慣性航法モジュールを含めることができる。もちろん、慣性航法モジュールは、衛星測位モジュール80とは別の場所に設けてもよい。

さらに、車体1を構成するフレームに、車体傾斜を検出する傾斜検出器85が設けられている。この実施形態での傾斜検出器85には、機体前後方向(前進後進方向)の傾斜角(ピッチ角)、機体横断方向(左右方向)の傾斜角(ロール角)を検出する角度センサが備えられている。傾斜検出センサとしては、傾斜による液面変化を静電容量変化として検出する静電容量式液面センサ方式、重錘式のものや、ジャイロセンサなどを用いることができる。

図3には、このトラクタに構築されている制御系が示されている。この制御系は、図1を用いて説明された、車体傾斜角に基づいて動作する傾斜走行管理を実現するシステムとして構成されている。この制御系の中核要素である制御ユニット5には、入出力インタフェースとして機能する、出力処理部7、入力処理部8、通信処理部70が備えられている。出力処理部7は、車両走行機器群71、作業装置機器群72、報知デバイス73などと接続している。車両走行機器群71には、操舵モータ14をはじめ、図示されていないが、変速機構やエンジンユニットなど車両走行のために制御される機器が含まれている。作業装置機器群72には、作業装置30の駆動機構や、作業装置30を昇降させる昇降機構31などが含まれている。報知デバイス73には、ディスプレイやランプやスピーカが含まれており、許容値を超える車体傾斜を運転者や監視者に警告するために用いられる。報知デバイス73と出力処理部7との間の信号伝送は、有線または無線で行われる。

通信処理部70は、無線通信規格や有線通信規格を通じて外部のコンピュータとデータのやり取りを行う。図3では、外部のコンピュータとして、遠隔地の管理センタKSに構築された管理コンピュータ100及び無人運転中の作業車を監視するための監視端末9が示されている。

入力処理部8は、衛星測位モジュール80、走行系検出センサ群81、作業系検出センサ群82、自動/手動切替操作具83、傾斜検出器85などと接続している。走行系検出センサ群81には、エンジン回転数や変速状態などの走行状態を検出するセンサが含まれている。作業系検出センサ群82には、作業装置30の地上高さや傾きを検出するセンサ、作業負荷などを検出するセンサなどが含まれている。自動/手動切替操作具83は、自動操舵で走行する自動操舵モードと手動操舵で走行する手動操舵モードとのいずれかを選択するスイッチである。例えば、自動操舵モードで走行中に自動/手動切替操作具83を操作することで、手動操舵での走行に切り替えられ、手動操舵での走行中に自動/手動切替操作具83を操作することで、自動操舵での走行に切り替えられる。

制御ユニット5には、図1を用いて説明された傾斜走行管理の中核機能部である傾斜評価部60が構築されている。そのほか、制御ユニット5には、走行制御部50、作業制御部53、自車位置算出部54、無人/有人運転検知部55、作業地管理部56、経路生成部57、報知部58が備えられている。

車両走行機器群71を制御する走行制御部50は、このトラクタが自動走行(自動操舵)と手動走行(手動操舵)の両方で走行可能に構成されているため、手動走行制御部51と自動走行制御部52とが含まれている。手動走行制御部51は、運転者による操作に基づいて車両走行機器群71を制御する。自動走行制御部52は、自車位置と走行経路との偏差に基づいて自動操舵指令を生成し、出力処理部7を介して操舵モータ14に出力する。作業制御部53は、作業装置30の動きを制御するために、作業装置機器群72に制御信号を与える。

自車位置算出部54は、衛星測位モジュール80から送られてくる測位データに基づいて、自車位置を算出する。報知部58は、ディスプレイやスピーカなどの報知デバイス73を通じて運転者や監視者に報知するための報知信号(表示データや音声データ)を生成する。

無人/有人運転検知部55は、作業車が無人運転(無運転者運転)しているか、あるいは有人運転しているかを、自動/手動切替操作具83からの状態信号から判定する。また、運転者が運転席に着座しているかどうかの判定は、走行系検出センサ群81に含まれるシートスイッチの状態信号に基づいて行うことも可能である。

作業地管理部56は、作業走行が行われる圃場に関する情報である圃場情報(作業地情報)を管理する。圃場情報には、圃場の地図位置、形状、大きさ、作付け品種などのデータが含まれている。圃場情報は、遠隔地の管理センタKSや農家の自宅に設置されている管理コンピュータ100、あるいは運転者が持参する携帯形通信コンピュータからダウンロードされる。

経路生成部57は、圃場情報から、圃場の外形データを読み出し、この圃場における適正な走行経路を生成する。この走行経路の生成は、作業者によって入力される基本的な初期パラメータに基づいて自動的に行われてもよいし、作業者によって入力される走行経路を実質的に規定する入力パラメータに基づいて行われてもよい。また、走行経路自体も管理コンピュータ100からダウンロードされる構成を採用してもよい。いずれにしても、経路生成部57で取得された走行経路は、メモリに展開され、自動操舵走行または手動操舵走行にかかわらず、作業車が走行経路に沿って走行するために利用される。

傾斜検出器85によって検出された車体傾斜角が所定の角度値を超えた場合に走行制限情報を出力するために、傾斜評価部60には、傾斜しきい値設定部61、走行制限情報生成部62、傾斜記録部63が含まれている。傾斜しきい値設定部61は、走行制限情報を出力するための条件となる車体傾斜角を設定するものであり、この実施形態では、図1での例と同様に、警告しきい値と自動操舵走行禁止しきい値と走行禁止しきい値とを設定する。各しきい値の大小関係は、警告しきい値<自動操舵走行禁止しきい値<走行禁止しきい値である。

走行制限情報生成部62は、検出された車体傾斜角と各しきい値とを比較して、次のような走行制限情報を出力する。 (1)車体傾斜角が警告しきい値を超えた場合、自動操舵での走行を警告する走行警告信号の出力を報知部58に要求する。 (2)車体傾斜角が自動操舵走行禁止しきい値を超えた場合、自動操舵中の車体1を停車させる自動操舵禁止信号の出力を走行制御部50に要求する。 (3)車体傾斜角が走行禁止しきい値を超えた場合、車体1を停止させる停車信号の出力を走行制御部50に要求する。

傾斜記録部63は、上記(1)(2)(3)の走行制限情報が出力されている時に自車位置算出部54により算出された自車位置を受け取り、走行制限情報の内容と当該走行制限情報が出力されている走行経路の領域である傾斜領域とを関係付けて記録する。傾斜記録部63で記録された記録データは、通信処理部70を介して管理コンピュータ100等の外部コンピュータに送信される。

傾斜記録部63における記録例が、図4に模式的に示されている。この例では、走行経路における自車位置によって特定される走行点がPnで、走行点の地図座標位置が(Xn,Yn)で、各走行点での車体傾斜角がθnで、各走行点が属する走行経路部分がLnとTnとで示されている。なお、nは識別のための添え字で1からはじまる自然数である。図4では、走行経路は、互いに平行に延びた多数の直線走行経路と、隣接する直線走行経路をつなぐ旋回走行経路とから構成されており、直線走行経路はLnで、旋回走行経路はTnで示されている。図4から明らかなように、この走行例では、走行点P20から走行点P25の間で、自動操舵走行禁止となる車体傾斜角が検出されており、走行点P20から走行点P25までの走行経路部分が傾斜領域とみなされている。当該傾斜領域は、L3の直線走行経路に属している。したがって、傾斜記録部63で記録されたこの記録データに基づいて、次回の作業計画時の走行経路生成時には、L3の直線走行経路は自動操舵走行禁止経路として取り扱われる。

監視端末9には、フラットパネルで構成されたディスプレイやブザーが備えられている。監視端末9は、傾斜検出器85によって検出され、入力処理部8でデータ化された車体傾斜角データ及び傾斜評価部60から出力される走行制御情報を、通信処理部70を介して受け取ることができる。車体傾斜角データには、ロール角及びピッチ角が含まれているので、それぞれの傾斜状態をグラフィック化した画面がディスプレイに表示される。監視端末9には、自車位置を含む走行経路をディスプレイに表示する機能も有する。走行制御情報を受け取った場合は、強制的に、対応するメッセージがディスプレイに表示されるとともに、警告音がブザーから報知される。これにより、監視者に作業車が傾斜走行していることを認識させ、注意を促すことができる。 〔別実施の形態〕

(1)上述した実施形態では、走行制限情報を出力する車体傾斜の条件として複数のしきい値が設定されていたが、制御を簡単するため、単一のしきい値としてもよい。さらには、自動操舵時と手動操舵時に分けて制御せずに、共通の制御を行ってもよい。 (2)上述した実施形態では、機体傾斜角として、機体前後方向(前進後進方向)の傾斜角(ピッチ角)と機体横断方向(左右方向)の傾斜角(ロール角)とが共通的に扱われていたが、それぞれ個別のしきい値をもって個別に制御してもよい。また、ピッチ角とロール角のいずれか1つだけを扱う構成を採用してもよい。 (3)上述した実施形態では、作業車は、自動操舵と手動操舵とを選択可能に構成されていたが、手動操舵専用車であってもよいし、自動操作専用車であってもよい。 (4)図3で示された機能ブロック図における各機能部は、主に説明目的で区分けされている。実際には、各機能部は他の機能部と統合または複数の機能部に分けることができる。例えば、傾斜評価部60の少なくとも一部を、作業車の制御ユニット5とデータ通信可能な、携帯電話やタブレットコンピュータに構築してもよい。 (5)上述した実施形態では、作業車として、ロータリ耕耘機を作業装置30として装備したトラクタを、作業車として取り上げたが、そのようなトラクタ以外にも、例えば、田植機、施肥機、コンバインなどの農作業車、あるいは作業装置30としてドーザやローラ等を備える建設作業車等の種々の作業車も、実施形態として採用することができる。

本発明は、設定された走行経路に沿って、作業地を作業走行する作業車に適用可能である。

1 :車体 5 :制御ユニット 7 :出力処理部 8 :入力処理部 50 :走行制御部 51 :手動走行制御部 52 :自動走行制御部 53 :作業制御部 54 :自車位置算出部 55 :無人/有人運転検知部 56 :作業地管理部 57 :経路生成部 58 :報知部 60 :傾斜評価部 61 :傾斜しきい値設定部 62 :走行制限情報生成部 63 :傾斜記録部 85 :傾斜検出器

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