作業車両

申请号 JP2014250953 申请日 2014-12-11 公开(公告)号 JP2016114984A 公开(公告)日 2016-06-23
申请人 福田 敏男; 関山 浩介; ヤンマー株式会社; 发明人 福田 敏男; 関山 浩介; 長谷川 泰久; 福川 智哉; 平松 敏史;
摘要 【課題】簡易な構成によって正確に作業前後の痕跡の境界線を検出し、この境界線に沿って自律走行することができる作業車両を提供する。 【解決手段】走行機体10と草刈装置20とを備える草刈車両1であり、第1の撮像装置30と、草刈装置20によって逐次形成される草の刈り取り前後の境界線に沿って、走行機体10を自律走行させるように制御する制御部Cと、を備え、制御部Cは、境界線を検出する境界検出部C2と、走行機体10の走行方向を制御する走行制御部C3とを有し、境界検出部C2は、撮像された画像からガボールフィルタを用いたフィルタリング処理によって、所定の方向のテクスチャー情報に関する強度分布情報を生成し、強度分布情報を、上下方向に複数に分割された検査領域毎に、統計処理して境界点を検出し、検査領域毎の境界点から境界線を検出するように構成されている。 【選択図】図2
权利要求

走行機体と作業機とを備え、走行しながら作業を行う作業車両であり、 前記走行機体の周辺を撮像する第1の撮像装置と、 前記作業機によって逐次形成される作業痕跡の境界線に沿って、前記走行機体を自律走行させるように制御する制御部と、 を備え、 前記制御部は、 前記第1の撮像装置によって撮像された画像を処理して、前記境界線を検出する境界検出部と、 前記境界検出部によって検出された境界線に沿うように、前記走行機体の走行方向を制御する走行制御部とを有し、 前記境界検出部は、 撮像された前記画像からガボールフィルタを用いたフィルタリング処理によって、所定の方向のテクスチャー情報に関する強度分布情報を生成し、 前記強度分布情報を、上下方向に複数に分割された検査領域毎に、統計処理して境界点を検出し、 前記検査領域毎の前記境界点から前記境界線を検出するように構成されていることを特徴とする、作業車両。前記所定の方向は、上方向または下方向であることを特徴とする、 請求項1に記載の作業車両。前記第1の撮像装置は、撮像する画像の左右方向略中央に前記作業痕跡の前記境界線が位置するように配置されることを特徴とする、 請求項1または2に記載の作業車両。前記第1の撮像装置を、前記作業機の右側端部と左側端部にそれぞれ対応して備え、 前記制御部は、前記右側端部または前記左側端部のいずれか一方の前記第1の撮像装置によって撮像された画像を処理するように構成されていることを特徴とする、 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の作業車両。前記作業機の作業直後の作業痕跡を撮像可能な第2の撮像装置と、記憶部と、を更に備え、 前記制御部は、 前記第2の撮像装置によって撮像された画像からガボールフィルタを用いたフィルタリング処理によって、前記所定の方向のテクスチャー情報に関する別の強度分布情報を生成し、 前記別の強度分布情報を、上下方向に複数に分割された検査領域毎に、統計処理して得られる処理結果を前記記憶部に格納し、 後に前記第1の撮像装置によって撮像された画像を処理して前記境界線を検出する際の前記統計処理において、前記記憶部に格納された前記処理結果を用いるように構成されていることを特徴とする、 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の作業車両。

说明书全文

本発明は、走行機体と作業機とを備え、走行しながら作業を行う作業車両に関し、より詳細には、作業痕跡の境界線に沿って自律走行する作業車両に関する。

近年、走行機体を走行させながら各種作業を行う作業車両において、作業効率の向上や労働負担の軽減のために、運転者が乗車せずに無人で走行する、いわゆる自律走行によって各種作業を行う作業車両が提案されている。

このような作業車両としては、GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いて自律走行するものや、物理的な接触センサや光学センサなどセンサ類を用いて自律走行するものや、撮像装置によって撮像した画像を用いて自律走行するものなどがある。

例えば、画像を用いて自律走行するものとして、特許文献1には、既作業領域と未作業領域との作業境界に沿った倣い走行を制御する自律走行作業車の倣い走行制御装置であって、車両搭載のステレオカメラで撮像した画像を処理して得られる距離画像に対し、距離データを微分した微分値の変化に基づいて作業境界による距離段差を検出する手段と、距離段差の検出点から作業境界を近似する直線を算出する手段と、自車両の進行方位を作業境界を近似する直線のデータに基づいて修正し、作業境界に沿って進行するよう操系を制御する手段とを備えたことを特徴とする自律走行作業車の倣い走行制御装置が開示されている。

特開平10−307627号公報

特許文献1の構成によれば、作業対象領域と非作業対象領域との作業境界を正確に検出し、平行度を要求される往復直線走行に対しても平行度を確保して蛇行発生を防止し、正確な倣い走行を実現することができるとされている。

ここで、特許文献1では、ステレオカメラで撮像した画像を処理して得られる距離画像に基づいて作業境界が検出される構成であり、得られる画像の情報量が多く、走行制御装置の演算負荷が増大しやすい。また、光源に対して異なる方向から同一の被写体を撮像するステレオカメラにおいては、カメラのキャリブレーションが難しいとともに、設置位置の制約も多く、製造コストが高くなる。

そこで、本発明の目的は、簡易な構成によって正確に作業痕跡の境界線を検出し、この境界線に沿って自律走行することができる作業車両を提供することにある。

上記課題を解決するために、本発明の作業車両は、 走行機体と作業機とを備え、走行しながら作業を行う作業車両であり、 前記走行機体の周辺を撮像する第1の撮像装置と、 前記作業機によって逐次形成される作業痕跡の境界線に沿って、前記走行機体を自律走行させるように制御する制御部と、を備え、 前記制御部は、 前記第1の撮像装置によって撮像された画像を処理して、前記境界線を検出する境界検出部と、 前記境界検出部によって検出された境界線に沿うように、前記走行機体の走行方向を制御する走行制御部とを有し、 前記境界検出部は、 撮像された前記画像からガボールフィルタを用いたフィルタリング処理によって、所定の方向のテクスチャー情報に関する強度分布情報を生成し、 前記強度分布情報を、上下方向に複数に分割された検査領域毎に、統計処理して境界点を検出し、 前記検査領域毎の前記境界点から前記境界線を検出するように構成されていることを特徴とする。

更に、前記所定の方向は、上方向または下方向であることを特徴とする。

更に、前記第1の撮像装置は、撮像する画像の左右方向略中央に前記作業痕跡の前記境界線が位置するように配置されることを特徴とする。

更に、前記第1の撮像装置を、前記作業機の右側端部と左側端部にそれぞれ対応して備え、 前記制御部は、前記右側端部または前記左側端部のいずれか一方の前記第1の撮像装置によって撮像された画像を処理するように構成されていることを特徴とする。

前記作業機の作業直後の作業痕跡を撮像可能な第2の撮像装置と、記憶部と、を更に備え、 前記制御部は、 前記第2の撮像装置によって撮像された画像からガボールフィルタを用いたフィルタリング処理によって、前記所定の方向のテクスチャー情報に関する別の強度分布情報を生成し、 前記別の強度分布情報を、上下方向に複数に分割された検査領域毎に、統計処理して得られる処理結果を前記記憶部に格納し、 後に前記第1の撮像装置によって撮像された画像を処理して前記境界線を検出する際の前記統計処理において、前記記憶部に格納された前記処理結果を用いるように構成されていることを特徴とする。

本発明の作業車両によれば、走行機体と作業機とを備え、走行しながら作業を行う作業車両であり、前記走行機体の周辺を撮像する第1の撮像装置と、前記作業機によって逐次形成される作業痕跡の境界線に沿って、前記走行機体を自律走行させるように制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1の撮像装置によって撮像された画像を処理して、前記境界線を検出する境界検出部と、前記境界検出部によって検出された境界線に沿うように、前記走行機体の走行方向を制御する走行制御部とを有し、前記境界検出部は、撮像された前記画像からガボールフィルタを用いたフィルタリング処理によって、所定の方向のテクスチャー情報に関する強度分布情報を生成し、前記強度分布情報を、上下方向に複数に分割された検査領域毎に、統計処理して境界点を検出し、前記検査領域毎の前記境界点から前記境界線を検出するように構成されているので、制御部の演算量の増大を抑えるとともに、簡易な構成によって、正確に作業痕跡の境界線を検出することができ、この境界線に沿って正確に自律走行することができる。

更に、本発明の作業車両によれば、前記所定の方向は、上方向または下方向であるので、上下方向の特性が変化する作業痕跡が形成される作業機において、正確に作業痕跡の境界線を検出できる。

更に、本発明の作業車両によれば、前記第1の撮像装置は、撮像する画像の左右方向略中央に前記作業痕跡の前記境界線が位置するように配置されるので、制御部の演算量を低減することができる。

更に、本発明の作業車両によれば、前記第1の撮像装置を、前記作業機の右側端部と左側端部にそれぞれ対応して備え、前記制御部は、前記右側端部または前記左側端部のいずれか一方の前記第1の撮像装置によって撮像された画像を処理するように構成されているので、正確に作業痕跡の境界線を検出できるとともに、制御部の演算量を低減することができる。

更に、本発明の作業車両によれば、前記作業機の作業直後の作業痕跡を撮像可能な第2の撮像装置と、記憶部と、を更に備え、前記制御部は、前記第2の撮像装置によって撮像された画像からガボールフィルタを用いたフィルタリング処理によって、前記所定の方向のテクスチャー情報に関する別の強度分布情報を生成し、前記別の強度分布情報を、上下方向に複数に分割された検査領域毎に、統計処理して得られる処理結果を前記記憶部に格納し、後に前記第1の撮像装置によって撮像された画像を処理して前記境界線を検出する際の前記統計処理において、前記記憶部に格納された前記処理結果を用いるように構成されているので、正確に作業痕跡の境界線を検出できるとともに、制御部の演算量を低減することができる。

本発明の実施形態に係る作業車両の一例が示された概略平面図である。

作業痕跡の境界線の検出、及び自律走行制御のブロック図である。

草刈車両の自律走行の経路の一例を示す概略平面図である。

走行機体と経路との偏差の一例を説明するため概略平面図である。

境界検出部の検出動作の一例を説明するためのフローチャートである。

撮像装置によって撮像された画像の一例を示す概略図である。

検出された複数の境界点の一例を示した概略図である。

検出された複数の境界点、及び境界線の一例を示した概略図である。

検出された検出境界線と走行機体の偏差の一例を説明するための概略図である。

検出された検出境界線と走行機体の偏差の一例を説明するための概略平面図である。

別の実施形態に係る作業車両の一例を示す概略平面図である。

以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について詳述する。図1は本実施形態に係る作業車両の一例としての草刈車両1を示す平面図である。なお、以下では、説明の便宜上、草刈車両1の進行方向である図1における左側を前方向とし、進行方向に対して直交して、かつ平方向である図1における上側を右方向とし、下側を左方向とする。

図1に示された草刈車両1は、走行機体10と作業機としての草刈装置20とからなる。走行機体10は、機体11の進行方向にあたる前部の左右のそれぞれに前輪12(12R、12L)を備え、後部の左右のそれぞれには後輪13(13R、13L)を備え、左右の後輪13R、13Lの間の後部には着脱自在なバッテリー14を備える。前輪12は従動輪であり、後輪13は駆動輪である。また、走行機体10は、図示せぬ左右の走行モータと、走行機体10の周辺を撮像可能な第1の撮像装置としての左右の撮像装置30(30R、30L)なども備える。なお、走行モータや草刈装置20や左右の撮像装置30の動作は、ここでは図示せぬ制御部Cによって制御される。

左右の後輪13(13R、13L)と左右の走行モータとは、それぞれ図示せぬギヤを介して連動連結されている。左右の走行モータは、駆動輪である左右の後輪13R、13Lをそれぞれ独立して回転させることができる。なお、走行モータの電は、バッテリー14から供給される。

そして、左右の走行モータによって、左右の後輪13R、13Lをそれぞれ独立して回転させることで、草刈車両1の前進、後進、旋回等を行うことができる。前進時と後進時には、左右の後輪13R、13Lを同一方向かつ同一速度で回転させる。旋回時には、右の後輪13Rと、左の後輪13Lとを異なる速度で回転させる。また、右の後輪13Rと、左の後輪13Lとを逆方向に回転させることで、超信地旋回することができる。

なお、走行機体10は上述の構成に限定されるものではない。例えば、走行機体10は、原動機としてのエンジンを備え、このエンジンによって駆動輪である後輪13を回転させて走行する構成であっても良い。また、走行機体10は、左右の後輪の回転速度に差を生じさせることによって操舵を行う構成であるが、前輪12の機体10に対する向きを変更可能とする操舵装置によって操舵する構成であっても良い。

草刈装置20は、前輪12と後輪13との間であって機体11の下方に位置し、図示せぬ懸架装置によって機体11の下部に懸架されている。草刈装置20は、この懸架装置によって上下方向に昇降可能である。そして、草刈車両1は、草刈装置20を上下に昇降させることで、草の刈り取り長さの調節ができる。

草刈装置20は、モアデッキ21と、図示せぬ左右のモアモータと、草を刈るための左右のモアブレード22(22R、22L)などから構成される。モアデッキ21の後部の側面は、刈った芝を後方に排出するために開放されている。左右のモアブレード22R、22Lは、モアデッキ21の内側に隣接して配置され、それぞれ左右のモアモータによって回転させられる。左右のモアブレード22R、22Lが回転することによって草を刈り取ることができる。モアモータの電力は、バッテリー14から供給される。また、モアモータの動作は、制御部Cによって制御される。そして、草刈車両1は、走行しながら草刈装置20によって草を刈り取ることができる。なお、走行時に草刈装置20によって草を刈り取る左右方向の刈り取り幅Wは、右のモアブレード22Rの先端の回転軌跡の右側端部と左のモアブレード22Lの先端の回転軌跡の左側端部との間の幅であり、モアデッキの左右方向の幅と略同じである。

なお、草刈装置20は上述の構成に限定されるものではない。例えば、走行機体10が原動機としてのエンジンを備え、このエンジンによってモアブレード22を回転させる構成であっても良い。また、草刈装置20の走行機体10に対する配置、モアデッキ21の形状、モアブレード22の数などは適宜設計できる。例えば、草刈装置20は、走行機体10の前方や後方に配置されても良く、刈った草をモアデッキ21の左右方向に排出する構成であっても良い。

撮像装置30(30R、30L)は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラである。左右の撮像装置30R、30Lは、それぞれ機体11から側方かつ上方へ延びる支持ブラケット31の先端に取り付けられる。そして、左右の撮像装置30R、30Lは俯を有して設置され、走行機体10の前方の地面の撮像が可能である。

ここで、右の撮像装置30Rは、草刈装置20の動作部の右側端部、つまり、右のモアブレード22Rの先端の回転軌跡の右側端部に対応して配置されている。したがって、右の撮像装置30Rは、走行時に草刈装置20によって草を刈り取る領域の右側端部に対応して配置されている。一方、左の撮像装置30Lは、草刈装置20の動作部の左側端部、つまり、左のモアブレード22Lの先端の回転軌跡の左側端部に対応して配置されている。したがって、左の撮像装置30Lは、走行時に草刈装置20によって草を刈り取る領域の左側端部に対応して配置されている。そして、制御部Cは、撮像装置30によって撮像された画像を処理して、草刈装置20によって逐次形成される作業痕跡の境界線、つまり、草の刈り取り前後の境界線を検出する。なお、撮像装置30は、走行機体10の周辺を撮像可能であれば良く、配置や取り付け構成などは適宜設計できる。

ここで、草刈車両1は、撮像装置30によって撮像された画像を処理して、草刈装置20によって逐次形成される草の刈り取り前後の境界線を検出し、この検出された境界線に沿って自律走行するものである。また、草刈車両1は、GNSS(Global Navigation Satellite System)を利用して走行機体10の位置の検出が可能な構成でもある。図2は、作業痕跡の境界線の検出、及び自律走行制御のブロック図である。草刈車両1は、走行機体10に、記憶部M、GNSS受信装置41、操作装置42、表示装置43、通信装置44、本体センサ45、草刈センサ46などを備える。撮像装置30、記憶部M、GNSS受信装置41、操作装置42、表示装置43、通信装置44、本体センサ45、草刈センサ46などは、制御部Cと接続している。

制御部Cは、種々の設定値や、各種センサによる検出値等の入力信号を読み込むとともに、制御信号を出力することで、走行機体10、草刈装置20、及び撮像装置30の動作を制御するものであり、演算処理及び制御処理を行う処理装置、情報が格納される主記憶装置などから構成されている。制御部Cは、例えば、処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)、主記憶装置としてのROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えるマイクロコンピュータである。主記憶装置には、本実施形態にかかる動作を実行するための制御プログラムや、各種情報などが格納されている。なお、これらの各種プログラムや情報などは、記憶部Mに格納され、制御部Cが読み出す形態であっても良い。

記憶部Mは、プログラムや情報などを格納し、格納された情報などは書き換え可能な構成であり、例えば、フラッシュメモリーである。記憶部Mには、草刈車両1が自律走行する後述する経路Rが予め格納されている。

GNSS受信装置41は、不図示のGNSS衛星からの電波信号を受信するとともに、受信した電波信号を変換して制御部Cに送信する。操作装置42は、情報を入力するマウスやキーボード等であり、草刈車両1の自律走行に関する設定値などの情報を入力するものである。表示装置43は、情報を表示する液晶ディスプレイ等であり、制御部Cにおける演算処理の状況、操作装置42によって入力された情報、記憶部Mに格納された情報などを表示する。通信装置44は、外部への情報の送信、及び外部からの情報の受信をするものであり、例えば、走行機体10の走行状態の情報や撮像装置30によって撮像された画像を外部へ送信する。したがって、遠隔地においても、草刈車両1の自律走行の状態を把握することができる。

本体センサ45は、走行機体10の作動の情報を検出するものである。草刈センサ46は、草刈装置20の作動の情報を検出するものである。ここで、本体センサ45は、走行機体10の走行速度、3次元的な姿勢、走行モータの回転数など、草刈車両1が自律走行する上で必要な情報を検出するためのセンサ類の総称である。より具体的には、左右の走行モータの回転センサ、車両方位センサ、車両傾斜センサなどである。これら本体センサ45からの検出信号は、制御部Cに送信される。同様に、草刈センサ46は、モアモータの回転数、モアデッキの昇降位置などを検出するするセンサであって、草刈センサ46からの検出信号は、制御部Cに送信される。

制御部Cは、位置検出部C1を有している。位置検出部C1は、例えばプログラムによって構成される。位置検出部C1は、GNSS受信装置41から入力される複数のGNSS衛星のある時刻に発信された電波信号に基づいて走行機体10の位置を演算するように構成されている。

制御部Cは、境界検出部C2を更に有している。境界検出部C2は、例えばプログラムによって構成される。境界検出部C2は、左右のいずれか一方の撮像装置30(30R、30L)から入力される画像信号(画像)に所定の処理を行うことによって撮像された画像内における草の刈り取り前後の境界線を検出するように構成されている。

なお、境界検出部C2が画像に行う所定の処理とは、フィルタリング処理や、統計処理などである。そして、詳細については後述するが、境界検出部C2は、撮像装置30から入力される撮影された画像にガボールフィルタを用いたフィルタリング処理を行い、所定の方向のテクスチャー情報に関する強度分布情報を生成し、この生成した強度分布情報を統計処理することで草の刈り取り前後の境界線を検出するように構成されている。

ここで、ガボールフィルタは、特定の向きのエッジに反応するフィルタであり、人間の第一次視覚野に近い特徴抽出フィルタである。ガボールフィルタは、余弦波とガウス関数との積によって定義されるフィルタであり、横軸をx軸、縦軸をy軸とした2次元座標系において、下記の式(1)〜式(3)で表される。なお、式(1)〜式(3)において、λは波長、θは角度、φは位相、γはアスペクト比、σは標準偏差を示すパラメータであり、各パラメータを設定することで特定方向の特徴抽出ができる。

制御部Cは、第1の走行制御部C3を更に有している。第1の走行制御部C3は、例えばプログラムによって構成される。詳細については後述するが、第1の走行制御部C3は、境界検出部C2によって検出された草の刈り取り前後の境界線に沿うように走行機体10の走行方向を制御するように構成されている。つまり、第1の走行制御部C3は、境界検出部C2によって検出された境界線に基づいて、走行モータの動作を制御して走行機体10の走行方向を変更し、境界線に沿うように走行機体10を走行させるように構成されている。

制御部Cは、第2の走行制御部C4を更に有している。第2の走行制御部C4は、例えばプログラムによって構成される。第2の走行制御部C4は、位置検出部C1によって検出された走行機体10の位置と、記憶部Mに予め格納されている経路Rと、本体センサ45からの検出信号とに基づいて、走行モータの動作を制御して走行機体10の走行方向を変更し、記憶部Mに予め格納された経路Rに沿うように走行機体10を走行させるように構成されている。

次に、草刈車両1の自律走行について説明する。ここで、図3は、草刈車両1の自律走行の経路Rの一例を示す概略平面図である。なお、図3における矢印は草刈車両1の進行方向を示す。草刈車両1が自律走行する経路Rは予め設定されるものであり、記憶部Mに予め格納されている。そして、草刈車両1は、この経路Rに沿って自律走行するように構成されている。

経路Rは、例えば、図3に示すように、作業地50内を直進走行で往復するように構成されており、草刈車両1は、経路Rを自律走行しながら草刈装置20によって草の刈り取り作業をする。経路Rは、平行に所定の間隔を有する複数の直線状の平行経路R1(R1a〜R1f)と、隣接する平行経路R1間を連結する複数の半円状の旋回経路R2(R2a〜R2e)とから構成される。隣接する平行経路R1の間隔は、草刈装置20の刈り取り幅Wと略同一であり、草刈装置20の寸法などに応じて適宜設計される。

したがって、草刈車両1は、走行開始地点51から平行経路R1aを走行し、作業地50の端部において旋回経路R2aを走行することで180度旋回し、前回走行した平行経路R1aに隣接する平行経路R1bを走行する。そして、草刈車両1は、このような往復走行を繰り返すことによって、走行終了地点52まで走行し、作業地50内の草を刈り取る。ここで、隣接する平行経路R1の間隔は、草刈装置20の刈り取り幅Wと略同一であるので、走行開始地点51からの平行経路R1aを除く平行経路R1b〜R1fにおける草刈車両1の走行は、草が刈り取られた領域に隣接する状態で走行するものである。

ここで、隣接する平行経路R1の間隔は、草刈装置20の刈り取り幅Wよりも狭いことが好ましい。このような構成にすることで、草刈装置20が既に草が刈り取られた領域とラップ代を有して走行するため、隣接する平行経路R1の間における草の刈り取り残しが生じない。

また、経路Rは、経路上の全ての位置情報を有するものである必要はない。本実施形態においては、経路Rは、走行開始地点51、走行終了地点52、各旋回経路R2の始点と終点の位置情報と、各旋回経路R2における旋回半径の情報とを有するものである。

そして、草刈車両1は、走行開始地点51から平行経路R1a及び旋回経路R2aに沿って旋回経路R2aの終端まで自律走行をする。なお、草刈車両1は、平行経路R1a及び旋回経路R2aにおいては、第2の走行制御部C4によって自律走行を行う。

草刈車両1は、位置検出部C1によって検出された走行機体10の位置と、平行経路R1aと、本体センサ45からの検出信号としての走行機体10の向きに基づき、第2の走行制御部C4によって平行経路R1aと走行機体10の偏差量を算出する。偏差量としては、例えば、図4に示すように、走行機体10の中心の平行経路R1aからの偏差距離L1と、走行機体10の向き(走行方向)と平行経路R1aとのなす偏差角度θ1などである。ここで、図4は、走行機体10と経路Rとの偏差の一例を説明するため概略平面図であり、図4における矢印は走行機体10の走行方向を示す。

そして、草刈車両1は、更に第2の走行制御部C4によって、算出した平行経路R1aと走行機体10の偏差量に基づいて、走行モータの動作を制御して走行機体10の走行方向を変更し、平行経路R1aに沿うように走行機体10を走行させる。なお、位置検出部C1による走行機体10の位置の検出、及び第2の走行制御部C4による走行機体10の走行方向の変更は、所定のサンプリング周期で行うものであり、例えば1秒周期で行う。

そして、草刈車両1は、旋回経路R2aの始点(平行経路R1aの終点)に到達すると、位置検出部C1によって検出された走行機体10の位置と、旋回経路R2aと、本体センサ45からの検出信号に基づき、第2の走行制御部C4によって走行モータの動作を制御して走行機体10の走行方向を変更し、旋回経路R2aに沿うように走行機体10を走行させる。ここで、旋回経路R2aは、所定の半径(W/2)の半円状であるため、草刈車両1は、左に180度旋回走行するだけである。したがって、草刈車両1は、第2の制御部C4によって、走行モータを所定の動作に制御するだけで、旋回経路R2aに沿うように走行機体10を走行させることができる。なお、第2の走行制御部C4は、旋回経路R2aにおいても上述の平行経路R1aと同様に、旋回経路R2aと走行機体10の偏差量を算出して旋回経路R2aに沿うように走行機体10を走行させる構成であっても良い。

次に、草刈車両1は、旋回経路R2aの終点(平行経路R1bの始点)に到達すると、平行経路R1bに沿って平行経路R1bの終点(旋回経路R2bの始点)まで自律走行をする。なお、平行経路R1bにおける草刈車両1の走行は、平行経路R1aの走行時に草が刈り取られた領域に隣接する状態で走行するものである。つまり、平行経路R1bにおける草刈車両1の走行は、平行経路R1aの走行時に草が刈り取られた領域と、平行経路R1bの走行時に草を刈り取る予定のまだ草が刈り取られていない領域との境界線(草の刈り取り前後の境界線)に沿って走行するものである。そして、草刈車両1は、この平行経路R1bにおいては、第1の走行制御部C3によって自律走行を行う。

草刈車両1は、境界検出部C2によって草の刈り取り前後の境界線を検出するとともに、この検出した草の刈り取り前後の境界線に基づいて、第1の走行制御部C3によって、走行モータの動作を制御して走行機体10の走行方向を変更し、境界線に沿うように走行機体10を走行させることで、平行経路R1bを自律走行する。なお、境界検出部C2による境界線の検出、及び第1の走行制御部C3による走行機体10の走行方向の変更は、上述の位置検出部C1及び第2の走行制御部C4の場合と同様に、所定のサンプリング周期で行うものであり、例えば1秒周期で行う。また、草刈車両1は、平行経路R1bを走行している際においても、位置検出部C1による走行機体10の位置の検出を所定のサンプリング周期で行う。

ここで、境界検出部C2による草の刈り取り前後の境界線の検出方法について説明する。図5は、境界検出部C2の検出動作の一例を説明するためのフローチャートである。草刈車両1は、草の刈り取り前後の境界線が位置する側である左の撮像装置30Lによって草刈車両1の前方を撮像する(ステップS1)。撮像された画像の一例の概略図を図6に示す。図6では、草が刈り取られた領域53と草が刈り取られていない領域54との境界線55を示す。ここで、撮像された画像は、縦480×横640の画素から構成され、境界検出部C2には、縦480×横640の各画素の輝度情報が入力される。

なお、左右の撮像装置30(30R、30L)は、それぞれ草刈装置20によって草を刈り取る領域の右側端部及び左側端部に対応して配置されているので、左右の撮像装置30(30R、30L)によって撮像されたそれぞれ画像の左右方向の中心は、草刈装置20によって草を刈り取る領域の右側端部及び左側端部に対応している。したがって、走行機体10の向きが、草が刈り取られた領域53と草が刈り取られていない領域54との境界線55と平行であり、草刈装置20の左のモアブレード22Lの先端の回転軌跡の左側端部が境界線55上に位置している場合には、左の撮像装置30Lによって撮像された画像において、境界線55は、左右方向の中心に位置することになる。つまり、左の撮像装置30Lは、平行経路R1bを走行する際には、撮像する画像の左右方向の中央に境界線55が位置するように配置されている。

次に、境界検出部C2は、左の撮像装置30Lによって撮像された画像にガボールフィルタを用いたフィルタリング処理を行う(ステップS2)。ここで、草は地面から上方に向かって伸びるものであり、草の刈り取り前後の境界線とは、草の長さおよび伸びの方向によるテクスチャーパターンが異なる領域の境界線である。つまり、草の刈り取り前の領域と草の刈り取り後の領域は、上下方向の画像特徴が異なるものであり、この上下方向の特性の境界線を草の刈り取り前後の境界線として認識することができる。このため、本実施形態では、上述の式(1)〜式(3)において、上下方向の特徴を抽出するため、各パラメータを、λ=2、θ=90、φ=0、γ=0.5、σ=0.38とした。したがって、ガボールフィルタ処理がなされた画像は、上方向の強度分布情報である。なお、各パラメータは上記に限定されるものではなく適宜設計できる。ここでは、上方向の特徴を抽出するものとしてθ=90としたが、上下方向の特徴を抽出することができれば良く、θ=270として下方向の特徴を抽出しても良い。

なお、ガボールフィルタを用いたフィルタリング処理の前に、画像のノイズを除去するフィルタリング処理を行う構成としても良い。このような構成にすることで、ガボールフィルタを用いたフィルタリング処理の際に、より明確に特定方向の特徴を抽出することができる。なお、ノイズの除去フィルタは特に限定されるものではなく、例えば、カラー画像のグレースケール変換や、各画素の値を周辺画素の中央値に置き換えるメディアンフィルタなどであっても良い。

次に、境界検出部C2は、ガボールフィルタ処理がなされた画像に対して、草の刈り取り前後の境界線55上に位置する境界点を検出する(ステップS3)。ガボールフィルタ処理がなされた画像を上下方向に分割することで、複数の検査領域を設定する。また、各検査領域を左右方向に分割することで、複数の単位検査領域に設定する。本実施形態では、ガボールフィルタ処理がなされた画像を上下方向に等分し、30の検査領域を設定する。また、各検査領域を左右方向に等分し、それぞれ40の単位検査領域を設定する。つまり、ガボールフィルタ処理がなされた画像を合計1200の単位検査領域に分割する。

境界検出部C2は、各単位検査領域における輝度の総和を算出する。また、境界検出部C2は、各検査領域における40の単位検査領域の輝度の総和の平均値を算出し、この平均値を当該検査領域の閾値とする。そして、境界検出部C2は、検査領域毎に、左から右に向かって、単位検査領域における輝度の総和から閾値を除算し、直前の除算した値との正負を比較して境界点を判定する。なお、境界検出部C2は、除算した値の正負が直前の除算した値と正負が異なる場合に、この単位検査領域の中心を境界点と決定する。そして、図7には、図6における画像の概略図に、検出された複数の境界点Pの一例を示した概略図を示す。

ここで、境界点を判定する際に用いる閾値は、検査領域毎に算出されるものであり、予め設定する必要がない。したがって、草の状態、光の状態、明るさや経験則などに左右されにくく、より確実な境界点の判定が可能である。

なお、境界点の検出手法は上述の構成に限定されるものではない。所定の方向の強度分布情報であるガボールフィルタ処理がなされた画像から草の刈り取り前後の境界線上に位置する境界点を検出することが出来れば良く、検査領域、単位検査領域の大きさ、閾値の決定方法などは適宜設計されるものである。例えば、単位検査領域は、左右の他の単位検査領域とラップするように設定しても良い。また、閾値は、左右方向に対する単純移動平均を用いて算出しても良く、画像毎に1つの閾値を決定する構成であっても良い。

また、ガボールフィルタ処理がなされた画像の全領域に対して境界点を検出する必要はない。ここで、左右の撮像装置30R、30Lは、それぞれ草刈装置20によって草を刈り取る領域の右側端部及び左側端部に対応して配置されている。したがって、左右の撮像装置30R、30Lによって撮像された画像において、境界線55は、左右方向における略中央に撮像されやすい構成である。したがって、ガボールフィルタ処理がなされた画像の左右方向の中央部分の領域に対して境界点を検出する構成としても良い。このような構成にすることで、境界検出部C2の演算量を低減することができる。また、各検査領域の左右方向において、中央部分に位置する単位検査領域の大きさを小さく設定し、右側部分及び左側部分に位置する単位検査領域の大きさを大きく設定しても良い。このような設定にすることで、境界検出部C2の演算量を低減することができる。

また、検査領域毎に算出した閾値の平均値を記憶部Mに格納し、次回撮像装置30によって撮像された画像から境界点を検出する際に、この記憶部Mに格納した閾値の平均値を閾値として境界点を検出する構成であっても良い。このような構成にすることで、境界検出部C2は、毎回閾値を計算することがなく、境界検出部C2の演算量を低減することができる。なお、このような構成の場合、境界検出部C2は、後述する外れ値としての境界点の数に応じて、次回境界点を検出する際には閾値を算出して境界点を検出する構成としても良い。外れ値としての境界点の数が多い場合には閾値が適切でないことが考えられるためである。したがって、このような構成にすることで、より正確に境界点を検出することができる。

また、境界点を判定する際に用いる閾値は、予め設定する構成であっても良い。このような構成にすることで、左右の撮像装置30R、30Lによって撮像された画像において、草が刈り取られた領域53が狭い、または草が刈り取られていない領域54が狭い場合であっても、より確実に境界点の検出をすることができる。つまり、境界線55が画像の中央近傍ではなく、左右の端部近傍に位置する場合であっても、より確実に境界点の検出をすることができる。

次に、境界検出部C2は、検出された検査領域毎の境界点Pに基づいて、草の刈り取り前後の境界線55を検出する(ステップS4)。ここで、ステップS3にて検出された検査領域毎の境界点Pには、境界線55から大きく外れているものが含まれる場合がある。そこで、境界検出部C2は、所定の誤差範囲内に含まれる境界点Pを抽出し、この抽出された複数の境界点Pに基づいて境界線55を検出する。

境界検出部C2は、RANSAC(RANdam SAmple Consensus)を用いて所定の誤差範囲内に含まれる境界点Pを抽出する。より詳細には、境界検出部C2は、ステップS3にて検出された全ての境界点Pからランダムに2つの境界点Pを選択し、この2つの境界点Pを通る直線を算出する。境界検出部C2は、算出された直線とステップS3にて検出された全ての境界点Pとの距離を算出し、この距離が所定の閾値よりも小さい境界点Pのみを抽出する。次に、境界検出部C2は、この抽出された境界点Pから、上述と同様に、ランダムに2つの境界点を選択し、この2つの境界点Pを通る直線を算出し、この算出された直線と抽出された全ての境界点Pとの距離を算出し、この距離が所定の閾値よりも小さい境界点Pのみを新たに抽出する。そして、境界検出部C2は、上述の境界点の抽出を複数回繰り返すことで、ステップS3にて検出された全ての境界点Pから所定の誤差範囲内(閾値内)に含まれる境界点Pを抽出する。なお、本実施形態では、この抽出の繰り返し数は50とする。

そして、境界検出部C2は、RANSACを用いて抽出された境界点Pを用いて最小二乗法によって境界線55を検出する。図8には、図6における画像の概略図に、検出された複数の境界点P、及び検出された検出境界線56の一例を示した概略図を示す。なお、図8においては、検出された複数の境界点Pの内、境界線の検出に用いられたものを境界点P1、外れ値として境界線の検出に用いられなかったものを境界点P2として示し、撮像された境界線55の記載は省略する。

なお、境界線55の検出手法は上述の構成に限定されるものではなく、境界点Pの抽出する繰り返し数や閾値は適宜設計されるものである。また、RANSACとは異なる手法を用いて境界点Pを抽出しても良く、例えば、最小二乗法によって境界点Pを抽出しても良い。しかしながら、最小二乗法の場合には外乱(外れ値)に対する安定性がないため、ロバスト性を有する抽出方法を用いることが好ましい。

ここで、境界検出部C2は、撮像された画像から上方向のガボールフィルタを用いたフィルタリング処理によって生成する上方向の強度分布情報に基づいて境界線を検出するように構成されている。つまり、境界検出部C2は、1つのガボールフィルタを用いたフィルタリング処理を行うように構成されているので、統計処理する情報量が増加することはなく、簡易な構成によって境界線を検出することができる。

なお、境界線を検出する別の方法として、撮像された画像に方向(角度)のパラメータが異なる複数のガボールフィルタを用いたフィルタリング処理を行い、複数の方向の強度分布情報を生成し、この複数の方向の強度分布情報に統計処理を行って境界線を検出する方法もある。例えば、式(1)〜式(3)において、方向(角度)のパラメータであるθを0、15、30、45、60、75、90、105、120、135、150、165とし、それぞれのθに対する標準偏差σを1.2、1.6、2.2とする36個のガボールフィルタを用いる。なお、その他のパラメータに関しては、γ=0.5、φ=0とし、λは標準偏差σの値に応じて2.13、2.85、3.91とする。

この36個のガボールフィルタを用いたフィルタリング処理を撮像された画像に対して行う。このフィルタリング処理によって、各画素に対して、各方向の強度情報を生成する。つまり、各画素に対して、36個の強度情報が生成される。なお、各画素の強度情報は、各画素の輝度に、各画素の輝度とフィルタリング処理によって算出される値との積を加算した値とする。そして、各画素において、36個の強度情報の中から最大のものを抽出し、その最大の強度情報が生成されたガボールフィルタの方向(θ)を、その画素におけるテクスチャー情報とすることで、テクスチャー分布情報を生成する。このようにして、撮像された画像におけるテクスチャーパターンをテクチャー分布情報として抽出することができる。

ここで、上述したように、画像には草が刈り取られた領域と草が刈り取られていない領域のみが映し出されており、この2つの領域は、草の長さおよび伸びの方向によるテクスチャーパターンが異なる領域である。したがって、生成されたテクスチャー分布情報に、特定の角度、例えばθ=30を閾値とした2値化処理を行うことで、草が刈り取られた領域と草が刈り取られていない領域とを抽出することが可能である。つまり、この2値化処理によって生成される情報(画像)は、撮像された画像を草が刈り取られた領域と草が刈り取られていない領域とに分割した画像となる。そして、上述した境界点の検出方法及び境界線の検出方向を用いて、この2値化処理によって生成される画像から、草の刈り取り前後の境界線を検出することができる。このような構成にすることで、複数の方向のテクスチャー情報に関する強度分布情報に基づいて境界線を検出することができ、より正確に境界線の検出をすることができる。

なお、複数のガボールフィルタを用いる境界線の検出方法は上述の構成に限定されるものではない。例えば、2値化処理によって生成される画像にノイズを除去するフィルタリング処理を行う構成としても良い。このような構成にすることで、より正確に境界点の検出をすることができる。また、ガボールフィルタの数、各パラメータの値、閾値などは上記に限定されるものではなく適宜設計できる。また、前述の1つのガボールフィルタを用いる場合において、フィルタリング処理によって生成された強度分布情報に上述と同様の2値化処理を適用し、2値化処理によって生成される画像に基づいて境界点を検出するように構成することもできる。

そして、草刈車両1は、上述のように境界検出部C2によって検出された草の刈り取り前後の検出境界線56に基づいて、第1の走行制御部C3によって、走行モータの動作を制御して走行機体10の走行方向を変更し、境界線に沿うように自律走行を行う。

より詳細には、境界検出部C2によって検出された検出境界線56に基づき、第1の走行制御部C3によって検出境界線56と走行機体10の偏差量を算出する。偏差量としては、例えば、図9、図10に示すように、左の撮像装置30Lによって撮像された画像の基準点Oと検出された検出境界線56との左右方向の偏差距離L2と、検出された検出境界線56の上下方向に対する傾きの偏差角θ2などである。ここで、図9は、検出された検出境界線56と走行機体10の偏差の一例を説明するための概略図であり、図10は、検出された検出境界線56と走行機体10の偏差の一例を説明するための概略平面図である。なお、図9は、図8おける画像の概略図において、検出された境界点Pの記載を省略するとともに、基準点O、偏差距離L2、及び偏差角θ2を示した概略図であり、基準点Oは画像の上下方向及び左右方向の中心の点である。また、図10は、図9における、検出された検出境界線56、基準点O、偏差距離L2、及び偏差角θ2にそれぞれ対応する検出境界線56a、基準点Oa、偏差距離L2a、及び偏差角θ2aが示されており、領域57は、画像に映し出される領域を示し、矢印は走行機体10の走行方向を示している。

ここで、図9、図10に示すように、図9における(画像における)偏差距離L2と偏差角θ2は、図10における(実空間における)偏差距離L2aと偏差角θ2aとことなるため、第1の走行制御部C3は、境界検出部C2によって検出された検出境界線56から算出した偏差距離L2及び偏差角θ2を、座標変換によって偏差距離L2aと偏差角θ2aに変換したものを用いる。

なお、上述したように、左の撮像装置30Lは、走行機体10の向きが草の刈り取り前後の境界線55と平行であり、草刈装置20の左のモアブレード22Lの回転軌跡の左側端部が境界線上に位置している場合には、撮像された画像の左右方向の中央に境界線55が位置するように配置されている。したがって、第1の走行制御部C3は、検出された検出境界線56と走行機体10の偏差量を画像の左右方向の中央を基準として比較的容易に算出することができ、第1の走行制御部C3の演算量を低減することができる。

そして、草刈車両1は、更に第1の走行制御部C3によって、検出した境界線56と走行機体10の偏差量(偏差距離L2a、偏差角θ2a)に基づいて、走行モータの動作を制御して走行機体10の走行方向を変更し、草の刈り取り前後の境界線に沿うように自律走行を行う。

草刈車両1は、旋回経路R2bの始点(平行経路R1bの終点)に到達すると、上述の旋回経路R2bの走行と同様に、位置検出部C1によって検出された走行機体10の位置と、旋回経路R2bと、本体センサ45からの検出信号に基づき、第2の走行制御部C4によって走行モータの動作を制御して走行機体10の走行方向を変更し、旋回経路R2bに沿うように走行機体10を走行させる。ここで、右旋回の旋回経路R2bは、上述の左旋回の旋回経路R2aとは旋回方向が異なるだけである。したがって、草刈車両1は、旋回経路R2aの走行と同様に、第2の制御部C4によって、走行モータを所定の動作に制御するだけで、旋回経路R2bに沿うように走行機体10を走行させることができる。なお、第2の走行制御部C4は、旋回経路R2bにおいても上述の平行経路R1bと同様に、旋回経路R2bと走行機体10の偏差量を算出して旋回経路R2bに沿うように走行機体10を走行させる構成であっても良い。

次に、草刈車両1は、旋回経路R2bの終点(平行経路R1cの始点)に到達すると、平行経路R1cに沿って平行経路R1cの終点(旋回経路R2cの始点)まで自律走行をする。なお、平行経路R1cにおける草刈車両1の走行は、上述の平行経路R1bと同様に、平行経路R1bの走行時に草が刈り取られた領域と、平行経路R1cの走行時に草を刈り取る予定のまだ草が刈り取られていない領域との境界線(草の刈り取り前後の境界線)に沿って走行するものである。

そして、草刈車両1は、上述の平行経路R1bの走行と同様に、境界検出部C2によって草の刈り取り前後の境界線を検出するとともに、この検出した草の刈り取り前後の境界線に基づいて、第1の走行制御部C3によって、走行モータの動作を制御して走行機体10の走行方向を変更し、境界線に沿うように走行機体10を走行させることで、平行経路R1cを自律走行する。

ここで、上述の平行経路R1bを走行する際には、草の刈り取り前後の境界線は、走行機体10の左側に位置していたが、平行経路R1cを走行する際には、走行機体10の右側に位置する。したがって、境界検出部C2は、右の撮像装置30Lによって撮像された画像に基づいて草の刈り取り前後の境界線を検出する。なお、平行経路R1cにおける、境界検出部C2による草の刈り取り前後の境界線の検出、及び第1の走行制御部C3による走行機体10の走行方向の変更は、上述の平行経路R1bを走行する際と撮像する撮像装置30が左右で異なるだけあり、その説明については省略する。

ここで、左右の撮像装置30R、30Lの切り換えは、経路Rによって決まるものであり、予め左右どちらの撮像装置30R、30Lを用いるかの情報は、経路Rに関連付けられて記憶部Mに記憶されている。なお、左右の撮像装置30R、30Lによって撮像されたそれぞれの画像について、境界検出部C2によって境界線の有無の判定を行い、その判定結果に基づいて左右の撮像装置30R、30Lのどちらを用いるかを決定する構成であっても良い。このような構成にすることで、予め記憶部Mに格納する情報量を低減することができる。また、経路Rから走行機体10が大きくずれてしまった場合であっても、自律走行を継続することが可能となり、作業効率が向上する。

そして、草刈車両1は、隣接する平行経路R1と平行経路R1間を連結する旋回経路R2を順次走行し、走行終了地点52に到達すると、自律走行を終了する。ここで、走行開始地点51からの平行経路R1aを除く平行経路R1b〜R1fにおける草刈車両1の走行は、草が刈り取られた領域に隣接する状態で走行するものであり、草刈車両1は、草刈装置20によって逐次形成される草の刈り取り前後の境界線に沿って自律走行する。したがって、隣接する平行経路R1の間における草の刈り取り残しが生じない。また、ガボールフィルタ処理は、特定の方向(上方向)のみのガボールフィルタによって行うため、境界検出部C2の演算量が増大することがない。また、簡易な構成によって境界線をより正確に検出することができる。また、左右の撮像装置30R、30Lは、草刈車両1が境界線に沿って走行する場合に、画像の左右方向の略中央に境界線が位置して撮像されるように配置されているので、境界線が撮像されにくくなることを防止できる。また、撮像装置30は、複雑なキャリブレーションを要することがなく、設置位置の制約も受けにくい。

なお、作業車両としての草刈車両1は、上述の構成に限定されるものではなく、例えば、図11に示すように、右の撮像装置30R、30Lの他に、更に第2の撮像装置として走行機体10の後方を撮像可能な左右の撮像装置32(32R、32L)を備える構成であっても良い。ここで、図11は、別の実施形態に係る作業車両の一例としての草刈車両2を示す概略平面図である。なお、草刈車両2は、左右の撮像装置32(32R、32L)以外は上述の草刈車両1と同様の構成である。

撮像装置32(32R、32L)は、作業機としての草刈装置20の草の刈り取り直後における草の刈り取り前後の境界線を撮像するものである。このような構成にすることで、撮像装置30(30R、30L)によって撮像された画像に基づいて草の刈り取り前後の境界線を検出する際の境界検出部C2の演算量を低減することができる。また、境界線をより正確に検出することができる。

より詳細には、例えば、上述の経路R1bを走行する際に、境界検出部C2は、左の撮像装置30Lによって撮像された画像に基づいて草の刈り取り前後の境界線58を検出する。一方で、草刈車両2は、経路R1bのいずれかの地点において、右の撮像装置32Rによって、草刈装置20による草の刈り取り直後における草の刈り取り前後の境界線59を撮像する。そして、境界検出部C2は、右の撮像装置32Rによって撮像された画像に、境界線の検出と同様にガボールフィルタを用いたフィルタリリング処理を行う。また、境界検出部C2は、このガボールフィルタ処理がなされた画像に対して、境界線の検出と同様に、複数の検査領域及び複数の単位検査領域を設定する。更に、各検査領域における単位検査領域の輝度の総和の平均値を算出し、この算出された検査領域の平均値の総和の平均値を算出し、この平均値を次工程の閾値として記憶部Mに格納する。

ここで、右の撮像装置32Rによって撮像される画像は、次工程の経路R1cを走行する際に右の撮像装置30Rによって撮像する画像と同様の向きから撮像した画像である。つまり、草刈車両2は、右の撮像装置32Rによって、次工程の経路R1cを走行する際の画像(境界線59が撮像された画像)を予め撮像する構成である。そして、この記憶部Mに格納された次工程の閾値は、経路R1cを走行する際の境界検出部C2による境界線の検出に用いられるものである。そして、境界検出部C2は、右の撮像装置30Rによって撮像された画像に基づいて草の刈り取り前後の境界線59を検出する際(次工程である経路R1cを走行する際)の境界点の閾値として、経路R1bを走行した際に記憶部Mに格納された次工程の閾値を用いる。したがって、境界検出部C2は、次工程である経路R1cを走行する際に境界点の閾値を算出する必要がなく、境界検出部C2の演算量を低減することができる。また、この閾値は、同じ方向から撮像された画像より算出されたものであるため、境界検出部C2はより正確に境界点を検出することができる。したがって、境界検出部C2は、境界線をより正確に検出することができる。

また、草刈車両1、2は、撮像装置によって草の刈り取り前後の境界線を撮像できる構成であればよく、撮像装置を左右に備える構成に限定されるものではない。例えば、草刈車両1は、走行機体10の前方を撮像する撮像装置を1つだけ備える構成であっても良く、草刈車両2は、前方を撮像する撮像装置と後方を撮像する撮像装置をそれぞれ1つ備える構成であっても良い。このような構成にすることで、撮像装置の数を低減して草刈車両1、2の生産性が向上する。

また、草刈車両1、2が自律走行する経路Rは、上述の構成に限定されるものではなく、草刈装置20によって逐次形成される草の刈り取り前後の境界線に沿って走行するような構成であれば良い。例えば、経路Rは、隣接する経路と所定の間隔を有する渦巻状の経路であっても良い。

また、本発明の作業車両における走行機体と作業機との組み合わせは、上述の草刈車両1、2における走行機体10と草刈装置20との組み合わせに限定されるものではない。例えば、走行機体の後部に作業機としてのロータリ耕耘装置を備える作業車両であっても良い。このような構成の作業車両は、ロータリ耕耘装置によって作業地の表土を耕しながら走行するため、逐次耕した痕跡が形成される。したがって、このような構成の作業車両は、上述の草刈車両1、2と同様に、ロータリ耕耘装置の耕耘前後の境界線を撮像装置によって撮像し、境界検出部によって撮像した画像に基づいて検出することで、この境界線に沿って自律走行をすることができる。

また、走行機体の後部に作業機としての苗植付け装置を備える作業車両であっても良い。このような構成の作業車両は、苗植付け装置によって作業地に苗を植え付けながら走行するため、逐次作業痕跡として苗が植え付けられる。ここで、苗は条を形成して植え付けられる。したがって、このような構成の作業車両は、上述の草刈車両1、2の構成と同様に、苗植付け装置の植え付け前後の境界線としての苗(苗の条)を撮像装置によって撮像し、境界検出部によって撮像した画像に基づいて苗(苗の条)を検出することで、この境界線としての苗(苗の条)に沿って自律走行をすることができる。

本発明の作業車両は、走行機体と草刈装置との組み合わせや、走行機体とロータリ耕耘装置との組み合わせなどに限定されるものではなく、走行しながら作業を行う作業車両であって、作業車両が備える作業機によって作業地に逐次作業痕跡が形成されるあらゆる作業車両に適用することができる。

1、2 草刈車両(作業車両) 10 走行機体 20 草刈装置 30 撮像装置(第1の撮像装置) 32 撮像装置(第2の撮像装置) C 制御部 C1 位置検出部 C2 境界検出部 C3 第1の走行制御部(走行制御部) C4 第2の走行制御部 M 記憶部

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