【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、地面近くの第1係止箇所とそこから水平方向で間隔を置いて高いレベルにある第2係止箇所との間で直線的に張り渡される案内部材と、さらに懸架具によって案内部材に沿って案内されるゴルフボール状物体と、案内部材に対して少なくとも近似的に直角な平面で第2係止箇所の近傍に配置される衝突板とを備えてなるゴルフ練習装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】この種のゴルフ練習装置が米国特許第1、907、412号、同第1、258、241号により公知である。 両方の係止箇所は相互に独自にそれぞれ地面で支えられている。 少なくとも地面近くの第1係止箇所は地中に打ち込まれる地中留め金によって形成される。 ゴルフボール状物体が約200km/hの速度で衝突板に衝突するとき、運動エネルギは急激に減衰されねばならない。 というのも、さもないと板またはその懸架具の破壊が起きるからである。 このために公知の装置では緩衝器が使用されているが、しかしながらこれらの緩衝器はばね溜めとして働き、圧縮後に逆方向に膨張して、ゴルフボールを下方に第1係止箇所の方へと強く加速する。 事故の危険を別としても、この装置では、衝突板に対するゴルフボールの衝突点の位置を逆推論することができない。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、衝突するゴルフボールの運動エネルギの減衰を衝突板への衝突箇所に応じてさまざまに行い、それに続くゴルフボールの下降運動から衝突点および/または衝突速度の逆推論が可能となるように、公知のゴルフ練習装置を改良することである。 【0004】 【課題を解決するための手段】この課題は、冒頭に指摘した種類のゴルフ練習装置において、自立した形状安定支持体と案内部材が完結した緊張系を形成するように、 両方の係止箇所が支持体によって互いに結合されていることによって解決される。 【0005】本発明は、地面近くの第1係止箇所と該箇所から水平方向で間隔を置いて高いレベルにある第2係止箇所との間で直線的に張り渡される案内部材と、懸架具によって案内部材に沿って案内されるゴルフボール状物体と、案内部材に対して少なくとも近似的に直角な平面で第2係止箇所の近傍領域に配置される衝突板とを備えてなるゴルフ練習装置において、自立した形状安定支持体と案内部材が完結した緊張系を形成するように、両方の係止箇所が支持体によって互いに結合されているゴルフ練習装置を特徴とするものである。 【0006】本発明によれば、地面に左右されない完結したエネルギ吸収系が得られ、この系では被打撃物体の重量が支持体の弾性変形をもたらす。 この変形の結果、 案内部材が振動し、振動の振幅が長手方向を横切って延びる。 振幅の大きさは衝突箇所と中心との距離および衝突速度に依存する。 物体が、例えば衝突板の右側に衝突すると、振動する案内部材はその懸架具を介して物体に回転力を加え、この回転力によって物体は案内部材の周りを時計方向に回転する。 物体のこの回転運動でもって運動エネルギのかなりの部分が減衰される。 その際、物体はほぼ螺旋軌道上を下方に移動していき、回転力が十分に減衰され、その後に物体は第1係止箇所へと滑り落ちる。 ショット力も、本発明によるゴルフ練習装置によって表示される。 つまり、ボールが過度に強い力で衝突板の中心に衝突すると、案内部材が振動し、これらの振動は案内部材の長手方向の両側へと強い振幅で伝播する。 これらの振動が物体若しくはその懸架具を衝突板の領域で強固に保持し、物体は振動の減衰後にはじめて下方に第1係止箇所へと滑ることができる。 それに対して、適切なショット力で物体が衝突板の中心に打たれると、系の振動パターンは確かに案内部材の長手方向を基準にやはり対称ではあるが、しかし振動振幅が小さく、 懸架具が制動されず、つまり物体は殆ど減速されることなく第1係止箇所へと戻る。 この振動挙動の原因は完結した緊張索から帰結する。 【0007】本発明の1つの実施態様によれば、支持体が1本の底棒と、1本の直立棒と、両方の棒の結合箇所の領域で作用する2つの横方向の支持脚とを有し、両方の棒の自由端に2つの係止箇所の各1つが形成されている。 つまりこの支持体は地面上に3点支承部を有し、つまり底棒の自由端領域と両方の支持脚とで支承されている。 【0008】支持体の選択的解決策では、支持体が単一の突出棒を含み、この突出棒の一端が、底棒を有する支持脚で保持されており、この棒は斜めにまたは弧状に上方に延びて、その自由端に第2係止箇所を有する。 直線状の構成の場合この棒は少なくとも第2係止箇所の領域に曲折部または弯曲部を有し、案内部材は棒から距離を置いて張り渡すことができる。 【0009】 【発明の実施の形態】次に本発明を添付図面に示す実施例に基づいて詳しく説明する。 図1は衝突板を索に固着した細部を拡大して示すゴルフ練習装置の第1の実施例を示す図で、(a)は全体の構成を示す斜視図、(b) は衝突板に設けられる索締付具の細部拡大図、図2は本発明のゴルフ練習装置の他の実施例を示す図で、(a) は斜視図、(b)はばね部材による衝突板と索締付具との結合部の他の実施例を示す図、(c)は(a)に示す練習装置の縮小平面図である。 【0010】L形支持体10が底棒12と直立棒14とからなり、両方の棒は、互いに嵌め合わされてさまざまな長さに引き出し可能な管からなる。 両方の棒12、1 4の結合箇所の領域に、横方向に突出する支持脚16が設けられている。 底棒12の自由端が地面に載置される。 この末端に第1係止箇所18が索20用に形成され、この索が直立棒14の自由端へと案内されてており、そこに第2係止箇所22がある。 索20は直立棒1 4の上端の孔と索締付具24とに挿通され、この索締付具24によって索20は緊張させることができる。 この索20でゴルフボール状物体26が懸架具28によって案内されており、この懸架具がリングまたはループ30 を有し、これらに索20が挿通される。 底棒12の横で地面にマット32が載置され、このマットは底棒の全長にわたって延び、支持脚16の近傍領域には、十分な深さのホール34を提供するのに十分な厚さを有する。 このマットはいわゆる「パット」の練習に役立つ。 【0011】上側第2係止箇所22から僅かに離して索20に固着されている衝突板36は円形輪郭を有し、中心に索20が挿通される。 衝突板36の裏面に締付機構38があり、この締付機構によって衝突板が索に係止されている。 【0012】マット32上でのパットのときには本装置とは独立した通常のゴルフボールが使用される。 それに対して、やはりゴルフボールで構成することのできる図示した物体26は懸架具28、例えば細い軟質索またはばね線によって、索20と常時結合されている。 この物体26が衝突板36に打ち込まれると、索20の瞬時膨張に基づいて直立棒14が転位し、これによって索20 が強く緊張され、底棒12が変形を強いられ、この変形でやはり索20が弛緩することになる。 底棒が弾性復帰するとき索20の緊張・弛緩サイクルが繰り返される。 懸架具28を介して索に結合された物体26の遠心力が索振動の振幅に基づいて減衰され、物体26は徐々に静止する索20を滑って係止箇所18へと戻ることができる。 【0013】この装置は、物体26がどの方向に飛び、 ショットがどのように正確に実施されたのかの検知も可能とする。 物体26が、例えば衝突板36の右側に衝突すると、衝突板の右側が左側よりも強く転位し、支持体の弾性復帰時に索20の横方向の弛緩波が発生し、これらの弛緩波によって物体26は索20の周りを時計方向に回転し始める。 この種のゴルフショットは「スライス」と称される。 物体26が衝突板36の左側に衝突すると物体26は反時計方向の回転力を受ける。 このショットは「フック」と称される。 【0014】ショット時に物体26が強くカットされると、ショット力は、物体を衝突板36に達しさせるのに十分でない。 この場合索での制動作用が過度に強くなる。 他方で、ボールが過大な力で衝突板36の中心に直接に打ち返されると、上から下へと延びる弛緩波が物体のきわめて強い減衰を引き起こす。 したがって物体は、 軽くしなやかになされた良好なゴルフスイングの場合よりもゆっくりと係止箇所18へと戻る。 完璧なゴルフスイングの場合、物体26は衝突板36の中心近くに衝突する。 索がきわめて小さな振幅で振動するだけであり、 したがって懸架具28の制動効果が小さいままとなり、 物体26は回転運動を行わず、ごく僅かに遅れてティー位置へと戻る。 【0015】衝突板36は索に沿って任意の箇所で強固に締付けることができ、ごく弱いゴルフショット、いわゆる「チップショット」も練習することができる。 最後になお指摘しておくと、衝突板36は、打たれた物体2 6の衝突時に音を発生する円板状中空体からなる。 音の高さは衝突点と中心との距離に伴って変化する。 物体2 6の中心近傍の衝突点が最も低い音を発生する。 【0016】図1の実施例において底棒12は長さが3.60m、直立棒14の高さは約1.60mである。 両方の支持脚16は長さ約0.65mである。 【0017】次に図2に示す他の実施例に係るゴルフ練習装置は、直線棒40の態様の支持体11を有し、その下端が支持脚内で保持されており、V形に配置されて1 平面上にある2つの底棒44がこの支持脚に差し込まれている。 支持脚42が保持円板46を含み、この保持円板は水平軸47の周りを揺動可能に支承され、さまざまな揺動位置で無段階式にまたは細かな段階で強固に締付可能である。 この保持円板46に棒40用の差込通路がある。 こうして棒40の傾きが、したがって棒40に配置される衝突板36の高さ位置が、調整可能である。 支持脚42の保持円板46の前端に横方向の片持ち腕48 があり、この片持ち腕が索20用の第1係止箇所を形成する。 対応する片持ち腕50が棒40の上端にある。 既に述べた索締付具24によって索20は両方の係止箇所の間で緊張される。 この場合にも完結した緊張系が得られる。 片持ち腕48、50がこの実施例では極端に短く図示されており、索20が棒40に密に隣接しかつ平行に案内されている。 【0018】図示しない有利な他の実施例では片持ち腕48、50が図2に図示したものよりも長く、索20は棒40から、少なくとも衝突板36の前の領域では、懸架具28の長さに物体26の直径を加えたものに少なくとも等しい間隔を有しており、物体26は索20の周りを自由に回転することができる。 【0019】棒40は必ずしも真っすぐでなくてもよい。 複数の弯曲した管部分で構成される棒は、索20の振動パターンの振幅を高めるために有利でさえある。 索20を有する棒40は、この場合、洋弓において使用されるような、いわゆる弓を形成する。 しかしながらこの弓の曲率は均一でなく、衝突板の領域、つまり棒の上端近傍で最大となり、次に支持脚42に向かって徐々に小さくすることができ、または直線的に推移させることもできる。 索20はこの場合、棒40の少なくとも下半分とで鋭角をなす。 【0020】図2の実施例では衝突板36が裏側の締付機構38によって棒40に強固に締付けられている。 索20は衝突板36の孔52に挿通されている。 物体26 が衝突板36に衝突するとき十分な振動パターンを達成するために、棒40は高い弾性で可撓性を有していなければならない。 【0021】図2の有利な他の実施例では、図1におけると同様に裏面に索締付具38を有する衝突板36が使用され、衝突板36には十分な半径方向の遊隙を有して棒40が挿通される。 衝突板の領域で棒の適宜な弯曲によって棒40が索20から十分に間隔をおいている場合、棒は衝突板36を通過するのでなく、衝突板から離れて延びている。 【0022】索締付具38は、好ましくはばね手段54 によって衝突板36に結合されており(図2(b)参照)、これらのばね手段は索締付具38の軸線方向を基準に衝突板36の全方向への傾動を可能とする。 【0023】 【発明の効果】以上述べた通り本発明によれば、衝突するゴルフボールの運動エネルギの減衰を衝突板への衝突箇所に応じてさまざまに行うことができ、それに続くゴルフボールの下降運動からショット力や方向性、および正確度を知ることができ、さらに「パット」や「チップショット」の練習も可能なゴルフ練習装置を提供するものである。 【図面の簡単な説明】 【図1】衝突板を索に固着した細部を拡大して示すゴルフ練習装置の第1の実施例を示す図で、(a)は全体の構成を示す斜視図、(b)は衝突板に設けられる索締付具の細部拡大図である。 【図2】本発明のゴルフ練習装置の他の実施例を示す図で、(a)は斜視図、(b)はばね部材による衝突板と索締付具との結合部の他の実施例を示す図、(c)は(a)に示す練習装置の縮小平面図である。 【符号の説明】 10 L形支持体 11 支持体 12 底棒 14 直立棒 16 支持脚 18 第1係止箇所 20 索 22 第2係止箇所 24 索締付具 26 物体 28 懸架具 30 リングまたはループ 32 マット 34 ホール 36 衝突板 38 締付機構 40 直線棒 42 支持脚 44 底棒 46 保持円板 47 水平軸 48、50 片持ち腕 52 孔 54 ばね手段 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 597012323 ジョセフ. コプフ ドイツ連邦共和国. デ−87645. シュワン ガウ. ホーンヴェグ. 4 (71)出願人 597012334 ベーンハルド. コプフ ドイツ連邦共和国. デ−87645. シュワン ガウ. シュミッドストラーセ. 3 (72)発明者 ティル. ティエジ ドイツ連邦共和国. デ−87645. シュワン ガウ. ヴィテルスバッシァ. ヴェグ. 5 (72)発明者 ディエター. ホッフ カナダ国. アール1ジェイ1エー6. ヘッ ディングリー. ウィニィペット. ケムプタ ー. クレッシェント. 29 (72)発明者 ジョセフ. コプフ ドイツ連邦共和国. デ−87645. シュワン ガウ. ホーンヴェグ. 4 (72)発明者 ベーンハルド. コプフ ドイツ連邦共和国. デ−87645. シュワン ガウ. シュミッドストラーセ. 3 |