本考案は、ゴルフクラブグリップ用カバー装置に関する。 さらに詳細にいえば、本考案は、雨天のゴルフプレー時において、使用していないゴルフクラブのグリップに装着して、グリップの雨濡れを防止し、又は次の使用時までにグリップの雨濡れを解消するのに好適な、新規なゴルフクラブグリップ用カバー装置に関する。
降雨時のゴルフプレーで使用ゴルフクラブを特定のゴルフクラブに絞り込めない場合、2〜3本のゴルフクラブをキャディーバッグから抜き出してボールの落下地点まで持って行き、その中から状況に合わせて特定のゴルフクラブを選択し、選択したゴルフクラブでボールを打つことが一般的である。 したがって、選択されなかったゴルフクラブは近くの地面や芝の上に放置されることになり、不可避的にゴルフクラブのグリップが雨に濡れたままになる。 このように、降雨時にゴルフプレーをする場合、雨に濡れた地面や芝の上に放置されることによって、ゴルフクラブのグリップが濡れてしまい、その後のショットを行うに当って、ゴルフクラブのグリップが濡れたままの状態でボールを打つと、手の中でグリップが滑り易くなるため、ゴルフクラブヘッドの方向性がずれてしまい、スコアが乱れたり、あるいは、ゴルフクラブが手からすっぽ抜けて飛んでいくという危険があったりするので、ゴルフクラブのグリップに対する雨濡れ防止対策、及び/又は雨濡れ対策を講ずる必要性が生じていた。 このような必要性を満足するものとして、特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載されたものが提案されている。 特許文献1には、内径が変化しない円筒体の外壁を防水壁、内壁を吸湿壁とし、かつ、グリップの挿入を容易にする漏斗状の誘導口を設けてなるゴルフクラブのグリップカバーが記載されている。 この構成のグリップカバーでは、十分な雨濡れ防止対策を施したことにはなっても、十分な雨濡れ対策を施したことにならないという問題がある。 具体的には、ゴルフクラブのグリップは、先太になるようにテーパー形状を有するものであるから、最も太い部分のみが内壁に接することになり、この部分のみが吸湿壁によって水分を除去されるが、他の部分は十分には水分を除去されないことになってしまう。 この結果、グリップは、濡れたままの状態であり、ボールを打つ場合に、上述の問題が生じてしまう。 また、誘導口の近傍のみが常に水分を吸収することになるので、時間の経過に伴って(ゴルフクラブの使用の頻度の増加に伴って)、誘導口の近傍の吸湿壁が多量の水分を含むことになってしまい、最悪の場合には、かえってゴルフクラブのグリップを濡らしてしまうことになってしまう。 特許文献2には、下部にひもを有し、上部に折り返しを設けた防水性の素材からなる袋の内部に、吸水性の素材からなり、かつ複数本のゴルフクラブのグリップを収容可能な中袋を設けたグリップ部分保護袋が記載されている。 この構成のグリップ部分保護袋では、十分な雨濡れ防止対策を施したことにはなっても、十分な雨濡れ対策を施したことにならないという問題がある。 具体的には、降雨時のゴルフプレーでは、少なくともショットのための一連の動作手順の間、又はキャディーからゴルフクラブを受け取る時は、グリップ部分保護袋を取り外したままであるから、グリップがある程度雨に濡れるのは避けることができない。 この結果、グリップは、ショットの度、キャディーとの間でのゴルフクラブの受け渡しの度に雨に濡れ、徐々に濡れの程度が激しくなってしまい、しかも、グリップの一部のみが吸水性の素材に接触して水分を除去される半面、他のゴルフクラブのグリップと接している部分は、吸水性の素材と接触しないので、濡れたままであり、ボールを打つ場合に、上述の問題が生じてしまう。 特許文献3には、タオル等の吸水性生地で形成される拭き布を防水性生地で形成される袋体の内部に収納してなる水濡れ防止カバーが記載されている。 この構成の水濡れ防止カバーでは、十分な雨濡れ防止対策を施したことにはなっても、十分な雨濡れ対策を施したことにならないという問題がある。 具体的には、降雨時のゴルフプレーでは、少なくともショットのための一連の動作手順の間、又はキャディーからゴルフクラブを受け取る時は、水濡れ防止カバーを取り外したままであるから、グリップがある程度雨に濡れるのは避けることができない。 この結果、グリップは、ショットの度、キャディーとの間でのゴルフクラブの受け渡しの度に雨に濡れ、徐々に濡れの程度が激しくなってしまい、しかも、グリップの一部のみが吸水性の素材に接触して水分を除去される半面、他のゴルフクラブのグリップと接している部分は、吸水性の素材と接触しないので、濡れたままであり、ボールを打つ場合に、上述の問題が生じてしまう。
実開昭58−101670号公報
実開平7−15068号公報
特許第3885215号公報
本考案が解決しようとする課題は、以下の通りである。 ○本考案が解決しようとする第1課題本考案が解決しようとする第1課題は、降雨時のゴルフプレーに当って、ゴルフクラブのグリップに装着することによって、雨濡れを防止するゴルフクラブグリップ用カバー装置を提供することである。 ○本考案が解決しようとする第2課題本考案が解決しようとする第2課題は、降雨時のゴルフプレーの間に、ゴルフクラブを使用した際に、グリップに雨水が掛かったような場合であっても、ゴルフクラブのグリップに装着することによって、グリップに付着した雨水を吸収し、次にそのゴルフクラブを使用する時までに乾燥させておくことが可能なゴルフクラブグリップ用カバー装置を提供することである。 ○本考案が解決しようとする第3課題本考案が解決しようとする第3課題は、降雨時のゴルフプレーに当って、ゴルフクラブのグリップに装着することによって、雨濡れを防止し、しかも、グリップが濡れた場合には、グリップに付着した雨水を吸収することができる、低コストのゴルフクラブグリップ用カバー装置を提供することである。 ○本考案が解決しようとする第4課題本考案が解決しようとする第4課題は、吸水部材を新たな吸水部材に簡単に交換することによって吸水性能を復活させることができ、しかも吸水部材の洗浄を簡単に行うことができるゴルフクラブグリップ用カバー装置を提供することである。 ○本考案が解決しようとする第5課題本考案が解決しようとする第5課題は、十分な機械的強度を有するゴルフクラブグリップ用カバー装置を提供することである。
課題を解決するための手段は、本願の[実用新案登録請求の範囲]の各請求項に記載された考案である。 実用新案登録請求の範囲、明細書、図面等の用語の解釈上の疑義を解消すべく、以下用語の説明を行うこととする。 <用語の説明> ○可とう性とは、柔剛性があり、たわみや曲げに対する耐性を有していることである。 ○防水性とは、外部から水分が浸入しないことである。 ○防水層とは、外部からの水分の浸入を阻止することができる層である。 ○線ファスナーとは、務歯(むし)またはエレメントと呼ばれる歯をテープ状の基材に並べて取り付けたもので、左右対になった一組の間をスライダーと呼ばれる器具を動かすことで、左右の務歯同士が順に組み合わさってゆき、自在に開閉できる構造になっているものである。 ○吸水部材とは、タオル、スポンジ等のように、その表面に接触した水分を吸収するものである。 ○補強層とは、防水層の機械的強度が弱いことを補って、全体として十分な機械的強度を持たせるための層である。 ○一体化とは、縫い合わせ、接着等によって、防水層と補強層とを分離又は剥離できないようにすることである。 本考案者は、上記従来技術の各種問題点に鑑み、鋭意検討を重ねて、本考案を完成した。 本考案者が、本考案が解決しようとする課題の重要性に気付く契機となったのは、従来技術の問題点を生じる最大の原因が、グリップを軸方向にカバー部材に挿脱するだけでは、十分な水分除去を達成できないことに気付いていなかったことである。 本考案者が、本考案が解決しようとする課題の重要性に気付く契機となったのは、従来技術の問題点を生じる最大の原因が、グリップを1本づつカバー部材に収容しなければ、十分な水分除去を達成できないことに気付いていなかったことである。 本考案者は、グリップの軸方向と異なる方向から装着できるものはないかと種々検討・模索を重ねて本考案を完成した。 本考案者は、グリップを1本づつ収容でき、しかも水分を効果的に吸収できるものはないかと種々検討・模索を重ねて本考案を完成した。 課題を解決するための手段は、本願の実用新案登録請求の範囲の各請求項に記載された考案であり、その具体的な解決手段は、以下の通りである。 ○第1の考案(請求項1に記載された考案) 上記の課題を解決するための第1の考案(請求項1に記載された考案)は、 可とう性及び防水性を有すると共に、一方の端部が閉塞され、かつ他方の端部が開放され、かつ内径が他方の端部に向かって漸減する筒状体と、この筒状体の側面所定位置に設けられて、筒状体の全長範囲を開放/閉塞可能とする線ファスナーと、筒状体の内面に取り外し可能に装着された吸水部材とを有することを特徴としている。 ○第2の考案(請求項2に記載された考案) 上記の課題を解決するための第2の考案(請求項2に記載された考案)は、 筒状体は、防水層と補強層とを有し、防水層を補強層の内側に位置させて、両層を一体化してなるものであることを特徴としている。 ○第3の考案(請求項3に記載された考案) 上記の課題を解決するための第3の考案(請求項3に記載された考案)は、 防水層の幅を補強層の幅よりも大きく設定し、線ファスナーの内側に防水層を位置させてなることを特徴としている。
本考案に係るゴルフクラブグリップ用カバー装置は、上記のような特徴的構成要件から構成され、特徴的構成要件に応じた、以下のような本願考案特有の効果を奏する。 ○第1の考案の効果第1の考案によれば、 可とう性及び防水性を有すると共に、一方の端部が閉塞され、かつ他方の端部が開放され、かつ内径が他方の端部に向かって漸減する筒状体と、この筒状体の側面所定位置に設けられて、筒状体の全長範囲を開放/閉塞可能とする線ファスナーと、筒状体の内面に取り外し可能に装着された吸水部材とを有するという特徴的な構成要件により、 ゴルフクラブのグリップを1本づつ簡単に、かつ確実に収容して、グリップが雨水に濡れることを防止することができ、しかも、グリップが濡れてしまった場合には、水分を吸水部材により吸収して、次に使用されるまでに、グリップを乾燥させることができ、しかも、吸水部材が濡れすぎた場合、汚れた場合等には、新しい吸水部材と簡単に交換することができ、取り外した吸水部材を洗浄することができるゴルフクラブグリップ用カバー装置を提供することができた。 すなわち、本考案が解決しようとする第1課題、第2課題、第3課題、第4課題を達成することができ、当業者予測不可能な顕著な効果を奏することができた。 ○第2の考案の効果第2の考案によれば、 筒状体は、防水層と補強層とを有し、防水層を補強層の内側に位置させて、両層を一体化してなるものであるという特徴的な構成要件により、 十分な機械的強度を有するゴルフクラブグリップ用カバー装置を提供することができた。 すなわち、本考案が解決しようとする第5課題を達成することができ、当業者予測不可能な顕著な効果を奏することができた。 ○第3の考案の効果第3の考案によれば、 防水層の幅を補強層の幅よりも大きく設定し、線ファスナーの内側に防水層を位置させてなるという特徴的な構成要件により、線ファスナーの部分を含む全範囲にわたって十分な防水性を有するゴルフクラブグリップ用カバー装置を提供することができた。 すなわち、本考案が解決しようとする第1課題、第2課題、第3課題を達成することができ、当業者予測不可能な顕著な効果を奏することができた。
本考案のゴルフクラブグリップ用カバー装置の一実施形態を示す概略斜視図である。 本考案のゴルフクラブグリップ用カバー装置の一実施形態を開いた状態を示す概略斜視図である。 本考案のゴルフクラブグリップ用カバー装置をゴルフクラブのグリップに装着した状態を示す概略斜視図である。 図3のゴルフクラブグリップ用カバー装置の横断平面図である。
以下、添付図面を参照して、本考案のゴルフクラブグリップ用カバー装置の実施の形態を詳細に説明する。 第1の考案のゴルフクラブグリップ用カバー装置は、 可とう性及び防水性を有すると共に、一方の端部が閉塞され、かつ他方の端部が開放され、かつ内径が他方の端部に向かって漸減する筒状体と、この筒状体の側面所定位置に設けられて、筒状体の全長範囲を開放/閉塞可能とする線ファスナーと、筒状体の内面に取り外し可能に装着された吸水部材とを有することを特徴としている。 第2の考案のゴルフクラブグリップ用カバー装置は、 筒状体は、防水層と補強層とを有し、防水層を補強層の内側に位置させて、両層を一体化してなるものであることを特徴としている。 第3の考案のゴルフクラブグリップ用カバー装置は、 防水層の幅を補強層の幅よりも大きく設定し、線ファスナーの内側に防水層を位置させてなることを特徴としている。 [図1]は、本考案のゴルフクラブグリップ用カバー装置の一実施形態を示す概略斜視図である。 [図2]は、本考案のゴルフクラブグリップ用カバー装置の一実施形態を開いた状態を示す概略斜視図である。 [図3]は、本考案のゴルフクラブグリップ用カバー装置をゴルフクラブのグリップに装着した状態を示す概略斜視図である。 [図4]は、図3のゴルフクラブグリップ用カバー装置の横断平面図である。 このゴルフクラブグリップ用カバー装置は、図1に示すように、可とう性及び防水性を有すると共に、一方の端部が閉塞され、かつ他方の端部が開放され、かつ内径が他方の端部に向かって漸減する筒状体Tと、この筒状体Tの側面所定位置に設けられて、筒状体Tの全長範囲を開放/閉塞可能とする線ファスナーLと、筒状体Tの内面に取り外し可能に装着された吸水部材Wとを有している。 筒状体Tは、図3に示すように、可とう性及び防水性を有する合成樹脂シートT1と、可とう性を有すると共に良好な手触り感を有する補強布シートT2をと積層して一体化してなる積層シートを用いて製造されたものであり、一方の端部が閉塞され、かつ他方の端部が開放され、かつ内径が他方の端部に向かって漸減する形状に形成されている。 そして、この筒状体Tは、側面所定位置がほぼ全長にわたって切断されて開閉可能とされてあり、しかも、この切断部分を基準として、補強布シートT2の幅が短く設定され、補強布シートT2が欠如している部分に線ファスナーLを縫着してある。 吸水部材Wは、例えば、図示しない面ファスナーによって、筒状体Tの内面に取り外し可能に装着されている。 もちろん、点ファスナーによって取り外し可能に装着されていてもよく、これら以外の従来公知の機構によって取り外し可能に装着されていてもよい。 ここで、筒状体Tの内面のテーパーの程度は、ゴルフクラブのグリップGの外面のテーパーと等しくなるように設定することが好ましいが、必ずしも一致させる必要はない。 そして、両テーパーが一致していない場合であっても、吸水部材Wの厚みをある程度大きくしておけばよく、吸水部材Wの弾性によって、吸水部材WをゴルフクラブのグリップGの全範囲に接触させることができる(図4参照)。 なお、図4において、Sはゴルフクラブのシャフトを示している。 上記の構成のゴルフクラブグリップ用カバー装置をゴルフクラブのグリップに装着する場合には、図2に示すように、スライダーを操作して線ファスナーLを開き、筒状体Tの側面所定位置を開く。 そして、この状態において、筒状体Tの開いた部分を利用して、ゴルフクラブグリップ用カバー装置をゴルフクラブのグリップGに装着し、スライダーを逆向きに操作して線ファスナーLを閉じ、筒状体Tの側面所定位置を閉じる。 このようにして、ゴルフクラブグリップ用カバー装置をゴルフクラブのグリップGに装着すれば、雨水が筒状体Tの内部に浸み込むことを確実に防止でき、ひいては、グリップGが雨水により濡れることを確実に防止することができる。 また、ショットのための一連の動作手順の間にグリップGが雨水により濡れた場合には、ゴルフクラブグリップ用カバー装置をゴルフクラブのグリップGに装着することにより、付着した雨水が吸水部材Wにより効果的に吸水され、次にそのゴルフクラブを用いてショットを行うまでの間に、グリップGを乾燥させることができる。 この結果、手の中でゴルフクラブのグリップGが滑ってしまうという不都合を確実に防止することができる。 また、ゴルフクラブのグリップGを軸方向に移動させてカバー装置に出し入れするのではなく、大きく開口した側面からカバー装置に出し入れするのであるから、吸水部材Wの全範囲でほぼ均等に吸水することができ、一部のみが過剰に水分を含むという不都合の発生を防止することができる。 また、吸水部材Wの吸水量が増加すれば、ゴルフクラブのグリップGを十分には乾燥させることができなくなってしまう。 しかし、この場合には、吸水部材Wを新たな吸水部材Wと交換することによって、吸水・乾燥性能を元通りにすることができる。 この場合に、取り外した吸水部材Wが汚れていれば、洗浄し、乾燥させることによって、汚れを除去でき、しかも、吸水・乾燥性能を元通りにすることができる。 以上からわかるように、ゴルフクラブグリップ用カバー装置の着脱は、線ファスナーLの操作により簡単に実現することができる。 また、ゴルフクラブグリップ用カバー装置は簡単な構成であり、しかも安価に製造できる。
T 筒状体L 線ファスナーW 吸水部材T1 合成樹脂シートT2 補強布シート |