ゴルフクラブシャフト及びこれを用いたゴルフクラブ

申请号 JP2015551350 申请日 2013-12-06 公开(公告)号 JPWO2015083277A1 公开(公告)日 2017-03-16
申请人 藤倉ゴム工業株式会社; 发明人 義仁 古川; 義仁 古川; 雅貴 若林; 雅貴 若林;
摘要 シャフトの軽量化(例えば総重量が35g以下)とシャフトの強度維持(特に曲げ強度と捩れ強度)の双方の要求に応えることができるゴルフクラブシャフト及びこれを用いたゴルフクラブを得る。強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを複数層巻回し熱硬化させてなるゴルフクラブシャフトにおいて、繊維方向がシャフト長手方向と直交する90°プリプレグを、内層側と外層側にそれぞれ有しており、前記内層側90°プリプレグの厚みをD1[mm]、前記外層側90°プリプレグの厚みをD2[mm]としたとき、次の条件式(1)を満足することを特徴とするゴルフクラブシャフト。(1)2.0≦D2/D1≦4.0
权利要求

強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを複数層巻回し熱硬化させてなるゴルフクラブシャフトにおいて、 繊維方向がシャフト長手方向と直交する90°プリプレグを、内層側と外層側にそれぞれ有しており、 前記内層側90°プリプレグの厚みをD1[mm]、前記外層側90°プリプレグの厚みをD2[mm]としたとき、次の条件式(1)を満足することを特徴とするゴルフクラブシャフト。 (1)2.0≦D2/D1≦4.0請求の範囲第1項記載のゴルフクラブシャフトにおいて、 次の条件式(2)及び(3)を満足するゴルフクラブシャフト。 (2)0.01≦D1≦0.05 (3)0.04≦D2≦0.10請求の範囲第1項または第2項記載のゴルフクラブシャフトにおいて、 前記内層側90°プリプレグは、最内層に配置されており、 前記内層側90°プリプレグと前記外層側90°プリプレグとの間には、繊維方向がシャフト長手方向に対して対称をなす一対のバイアスプリプレグと、繊維方向がシャフト長手方向と平行をなす0°プリプレグとが介在しているゴルフクラブシャフト。請求の範囲第3項記載のゴルフクラブシャフトにおいて、 前記一対のバイアスプリプレグのそれぞれの厚みをD3[mm]としたとき、次の条件式(4)を満足するゴルフクラブシャフト。 (4)0.01≦D3≦0.03請求の範囲第3項または第4項記載のゴルフクラブシャフトにおいて、 前記内層側90°プリプレグ、前記外層側90°プリプレグ、前記一対のバイアスプリプレグ及び前記0°プリプレグは、前記ゴルフクラブシャフトの全長に亘る全長層からなり、 前記内層側90°プリプレグ、前記外層側90°プリプレグ、前記一対のバイアスプリプレグ及び前記0°プリプレグとは別に、前記ゴルフクラブシャフトの長手方向の一部のみに巻回される補強プリプレグを有しており、 前記ゴルフクラブシャフトのうち、前記補強プリプレグが巻回されていない最薄部の厚みをDT[mm]としたとき、次の条件式(5)を満足するゴルフクラブシャフト。 (5)0.3≦DT≦0.5請求の範囲第5項記載のゴルフクラブシャフトにおいて、 前記外層側90°プリプレグの外層側には、さらに、繊維方向がシャフト長手方向と平行をなす0°プリプレグが配置されており、 前記補強プリプレグは、繊維方向がシャフト長手方向に対して対称をなす一対の補強用バイアスプリプレグと、繊維方向がシャフト長手方向と平行をなす補強用0°プリプレグと、繊維方向がシャフト長手方向と平行をなす三プリプレグとを有しており、 前記ゴルフクラブシャフトの総重量に対して前記内層側90°プリプレグと前記外層側90°プリプレグが占める重量の割合が20±3%であり、 前記ゴルフクラブシャフトの総重量に対して前記一対のバイアスプリプレグと前記一対の補強用バイアスプリプレグが占める重量の割合が30±3%であり、 前記ゴルフクラブシャフトの総重量に対して前記0°プリプレグと前記三角プリプレグが占める重量の割合が50±3%であるゴルフクラブシャフト。請求の範囲第1項ないし第6項のいずれか1項記載のゴルフクラブシャフトにおいて、 前記ゴルフクラブシャフトの先端小径側から手元大径側に向かって漸次径が大きくなるテーパ部を有しており、 前記テーパ部のシャフト長手方向の長さをLT[mm]としたとき、次の条件式(6)を満足するゴルフクラブシャフト。 (6)900≦LT≦1100請求の範囲第7項記載のゴルフクラブシャフトにおいて、 前記テーパ部のテーパ率をTAとしたとき、次の条件式(7)を満足するゴルフクラブシャフト。 (7)7.5/1000≦TA≦8.5/1000請求の範囲第1項ないし第8項のいずれか1項記載のゴルフクラブシャフトにおいて、 前記内層側90°プリプレグと前記外層側90°プリプレグの重量を加算したものをW1、前記ゴルフクラブシャフトの総重量をW2としたとき、次の条件式(8)を満足するゴルフクラブシャフト。 (8)0.1≦W1/W2≦0.3請求の範囲第1項ないし第9項のいずれか1項記載のゴルフクラブシャフトにおいて、 前記ゴルフクラブシャフトの総重量は、35g以下であるゴルフクラブシャフト。請求の範囲第1項ないし第10項のいずれか1項記載のゴルフクラブシャフトにクラブヘッドとグリップを装着してなるゴルフクラブ。

強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを複数層巻回し熱硬化させてなるゴルフクラブシャフトにおいて、 最内層に、繊維方向がシャフト長手方向と直交する90°プリプレグを有していること; 外層側に、繊維方向がシャフト長手方向と直交する90°プリプレグを有していること; 前記最内層90°プリプレグと前記外層側90°プリプレグはともに、前記ゴルフクラブシャフトの全長に亘る全長層からなること; 前記最内層90°プリプレグと前記外層側90°プリプレグとの間に、繊維方向がシャフト長手方向に対して対称をなし且つ前記ゴルフクラブシャフトの全長に亘る全長層からなる一対のバイアスプリプレグと、繊維方向がシャフト長手方向と平行をなし且つ前記ゴルフクラブシャフトの全長に亘る全長層からなる0°プリプレグと、前記ゴルフクラブシャフトの先端部のみに巻回される補強プリプレグと、を介在させたサンドイッチ構造部を有していること;及び 前記最内層90°プリプレグの厚みをD1[mm]、前記外層側90°プリプレグの厚みをD2[mm]としたとき、次の条件式(1)を満足すること; を特徴とするゴルフクラブシャフト。 (1)2.0≦D2/D1≦4.0請求の範囲第1項記載のゴルフクラブシャフトにおいて、 次の条件式(2)及び(3)を満足するゴルフクラブシャフト。 (2)0.01≦D1≦0.05 (3)0.04≦D2≦0.10(削除)請求の範囲第1項または第2項記載のゴルフクラブシャフトにおいて、 前記一対のバイアスプリプレグのそれぞれの厚みをD3[mm]としたとき、次の条件式(4)を満足するゴルフクラブシャフト。 (4)0.01≦D3≦0.03請求の範囲第1項、第2項または第4項記載のゴルフクラブシャフトにおいて、 前記サンドイッチ構造部の補強プリプレグとは別に、前記ゴルフクラブシャフトの先端部のみに巻回される第2の補強プリプレグを有しており、 前記ゴルフクラブシャフトのうち、前記サンドイッチ構造部の補強プリプレグ及び前記第2の補強プリプレグが巻回されていない最薄部の厚みをDT[mm]としたとき、次の条件式(5)を満足するゴルフクラブシャフト。 (5)0.3≦DT≦0.5請求の範囲第5項記載のゴルフクラブシャフトにおいて、 前記サンドイッチ構造部の外層側には、さらに、繊維方向がシャフト長手方向と平行をなす0°プリプレグが配置されており、 前記サンドイッチ構造部の補強プリプレグは、繊維方向がシャフト長手方向に対して対称をなす一対の補強用バイアスプリプレグと、繊維方向がシャフト長手方向と平行をなす補強用0°プリプレグとを有しており、 前記第2の補強プリプレグは、繊維方向がシャフト長手方向と平行をなす三角プリプレグを有しており、 前記ゴルフクラブシャフトの総重量に対して前記最内層90°プリプレグと前記外層側90°プリプレグが占める重量の割合が20±3%であり、 前記ゴルフクラブシャフトの総重量に対して前記一対のバイアスプリプレグと前記一対の補強用バイアスプリプレグが占める重量の割合が30±3%であり、 前記ゴルフクラブシャフトの総重量に対して、前記最内層90°プリプレグと前記外層側90°プリプレグの間の0°プリプレグ、前記サンドイッチ構造部のさらに外層側の0°プリプレグ及び前記補強用0°プリプレグ、並びに前記三角プリプレグが占める重量の割合が50±3%であるゴルフクラブシャフト。請求の範囲第1項、第2項、第4項ないし第6項のいずれか1項記載のゴルフクラブシャフトにおいて、 前記ゴルフクラブシャフトの先端小径側から手元大径側に向かって漸次径が大きくなるテーパ部を有しており、 前記テーパ部のシャフト長手方向の長さをLT[mm]としたとき、次の条件式(6)を満足するゴルフクラブシャフト。 (6)900≦LT≦1100請求の範囲第7項記載のゴルフクラブシャフトにおいて、 前記テーパ部のテーパ率をTAとしたとき、次の条件式(7)を満足するゴルフクラブシャフト。 (7)7.5/1000≦TA≦8.5/1000請求の範囲第1項、第2項、第4項ないし第8項のいずれか1項記載のゴルフクラブシャフトにおいて、 前記最内層90°プリプレグと前記外層側90°プリプレグの重量を加算したものをW1、前記ゴルフクラブシャフトの総重量をW2としたとき、次の条件式(8)を満足するゴルフクラブシャフト。 (8)0.1≦W1/W2≦0.3請求の範囲第1項、第2項、第4項ないし第9項のいずれか1項記載のゴルフクラブシャフトにおいて、 前記ゴルフクラブシャフトの総重量は、35g以下であるゴルフクラブシャフト。請求の範囲第1項、第2項、第4項ないし第10項のいずれか1項記載のゴルフクラブシャフトにクラブヘッドとグリップを装着してなるゴルフクラブ。

说明书全文

本発明は、ゴルフクラブシャフト及びこれを用いたゴルフクラブに関する。

スチール製のゴルフクラブシャフトに代わり、強化繊維(例えば炭素繊維)に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを複数層巻回し熱硬化させてなるFRP(Fiber Reinforced Plastics)製のゴルフクラブシャフトが広く用いられている。

図6は、従来の一般的なゴルフクラブシャフト1の構成例を示す模式斜視図である。ゴルフクラブシャフト1は、内層側から外層側に向かって順に、繊維方向がシャフト長手方向に対して直交するプリプレグ(90゜(フープ)層プリプレグ)から構成した圧縮剛性(潰れ剛性)保持層2、繊維方向がシャフト長手方向に対して斜交するプリプレグ(斜交(バイアス)プリプレグ、45゜層プリプレグ)から構成した捩り剛性保持層3、及び繊維方向がシャフト長手方向と平行をなすプリプレグ(0゜層プリプレグ)から構成した曲げ剛性保持層4を有している。圧縮剛性保持層2と捩り剛性保持層3は、上下を入れ替えることもある。圧縮剛性保持層2と曲げ剛性保持層4を構成するプリプレグは、繊維方向が単一なので一般にUD(UNI-DIRECTION)プリプレグと呼ばれる。また、捩り剛性保持層3は一般に、シャフト長手方向に対する繊維方向が対称(一般的に長手方向に対して±45゜)の一対のUDプリプレグ(45゜層、バイアス層)を含んでおり、さらに、平織織物(二軸織物)、三軸織物、四軸織物を熱硬化性樹脂に含浸させた平織織物(二軸織物)プリプレグ、三軸織物プリプレグ、四軸織物プリプレグを捩り剛性保持層3中に含ませたゴルフクラブシャフト1も本出願人によって開発されている。

一方、近年のゴルフクラブシャフトの軽量化の流れは著しいものがあり、本出願人は、総重量が35g以下の超軽量なゴルフクラブシャフトの開発を進めている。

ゴルフクラブシャフトを軽量化するためには、単純には、ゴルフクラブシャフトを構成するプリプレグの枚数を減らし、各プリプレグの厚みや密度を小さくして全体の重量を小さくすればよい。しかし、総重量が35g以下といった極限までの軽量化を狙ったときには、ゴルフクラブシャフトの強度(特に曲げ強度と捩れ強度)の低下という問題が常に隣り合わせにあり、ゴルフクラブシャフトが破損するおそれが増大してしまう。すなわち、ゴルフクラブシャフトの技術分野においては、基本的に、シャフトの軽量化とシャフトの強度維持はトレードオフの関係にあり、従来品のゴルフクラブシャフトは、シャフトの軽量化とシャフトの強度維持の双方の要求に応えることが出来ていない。

特開平9−131422号公報

特開2000−51413号公報

本発明は、以上の問題意識に基づいて完成されたものであり、シャフトの軽量化(例えば総重量が35g以下)とシャフトの強度維持(特に曲げ強度と捩れ強度)の双方の要求に応えることができるゴルフクラブシャフト及びこれを用いたゴルフクラブを得ることを目的とする。

本発明者らは、鋭意研究の結果、繊維方向がシャフト長手方向と直交する90°プリプレグを内層側と外層側にそれぞれ設け、これら内層側90°プリプレグと外層側90°プリプレグの厚みを最適設定することにより、シャフトの軽量化(例えば総重量が35g以下)とシャフトの強度維持(特に曲げ強度と捩れ強度)の双方の要求に応えることができるとの着眼に基づいて本発明を完成させた。

本発明のゴルフクラブシャフトは、強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを複数層巻回し熱硬化させてなるゴルフクラブシャフトにおいて、繊維方向がシャフト長手方向と直交する90°プリプレグを、内層側と外層側にそれぞれ有しており、前記内層側90°プリプレグの厚みをD1[mm]、前記外層側90°プリプレグの厚みをD2[mm]としたとき、次の条件式(1)を満足することを特徴としている。 (1)2.0≦D2/D1≦4.0

本発明のゴルフクラブシャフトは、次の条件式(2)及び(3)を満足することが好ましい。 (2)0.01≦D1≦0.05 (3)0.04≦D2≦0.10

「内層側90°プリプレグの厚みD1」は、「加熱硬化前のプリプレグの状態における内層側90°プリプレグの厚み」を意味している。 「外層側90°プリプレグの厚みD2」は、「加熱硬化前のプリプレグの状態における外層側90°プリプレグの厚み」を意味している。

本発明のゴルフクラブシャフトは、前記内層側90°プリプレグが、最内層に配置されており、前記内層側90°プリプレグと前記外層側90°プリプレグとの間に、繊維方向がシャフト長手方向に対して対称をなす一対のバイアスプリプレグと、繊維方向がシャフト長手方向と平行をなす0°プリプレグとが介在していることが好ましい。

本発明のゴルフクラブシャフトは、前記一対のバイアスプリプレグのそれぞれの厚みをD3[mm]としたとき、次の条件式(4)を満足することが好ましい。 (4)0.01≦D3≦0.03

「一対のバイアスプリプレグのそれぞれの厚みD3」は、「加熱硬化前のプリプレグの状態における一対のバイアスプリプレグのそれぞれの厚み」を意味している。

本発明のゴルフクラブシャフトは、前記内層側90°プリプレグ、前記外層側90°プリプレグ、前記一対のバイアスプリプレグ及び前記0°プリプレグが、前記ゴルフクラブシャフトの全長に亘る全長層からなり、前記内層側90°プリプレグ、前記外層側90°プリプレグ、前記一対のバイアスプリプレグ及び前記0°プリプレグとは別に、前記ゴルフクラブシャフトの長手方向の一部のみに巻回される補強プリプレグを有しており、前記ゴルフクラブシャフトのうち、前記補強プリプレグが巻回されていない最薄部の厚みをDT[mm]としたとき、次の条件式(5)を満足することが好ましい。 (5)0.3≦DT≦0.5

「ゴルフクラブシャフトのうち補強プリプレグが巻回されていない最薄部の厚みDT」は、「加熱硬化後のシャフト完成状態におけるゴルフクラブシャフトのうち補強プリプレグが巻回されていない最薄部の厚み」を意味している。

前記外層側90°プリプレグの外層側には、さらに、繊維方向がシャフト長手方向と平行をなす0°プリプレグが配置されており、前記補強プリプレグは、繊維方向がシャフト長手方向に対して対称をなす一対の補強用バイアスプリプレグと、繊維方向がシャフト長手方向と平行をなす補強用0°プリプレグと、繊維方向がシャフト長手方向と平行をなす三プリプレグとを有しており、前記ゴルフクラブシャフトの総重量に対して前記内層側90°プリプレグと前記外層側90°プリプレグが占める重量の割合が20±3%であり、前記ゴルフクラブシャフトの総重量に対して前記一対のバイアスプリプレグと前記一対の補強用バイアスプリプレグが占める重量の割合が30±3%であり、前記ゴルフクラブシャフトの総重量に対して前記0°プリプレグと前記三角プリプレグが占める重量の割合が50±3%であることが好ましい。

本発明のゴルフクラブシャフトは、その先端小径側から手元大径側に向かって漸次径が大きくなるテーパ部を有しており、前記テーパ部のシャフト長手方向の長さをLT[mm]としたとき、次の条件式(6)を満足することが好ましい。 (6)900≦LT≦1100

「テーパ部のシャフト長手方向の長さLT」は、「加熱硬化後のシャフト完成状態におけるテーパ部のシャフト長手方向の長さ」を意味している。

本発明のゴルフクラブシャフトは、前記テーパ部のテーパ率をTAとしたとき、次の条件式(7)を満足することが好ましい。 (7)7.5/1000≦TA≦8.5/1000

「テーパ部のテーパ率TA」は、「加熱硬化後のシャフト完成状態におけるテーパ部のテーパ率」を意味している。

本発明のゴルフクラブシャフトは、前記内層側90°プリプレグと前記外層側90°プリプレグの重量を加算したものをW1、前記ゴルフクラブシャフトの総重量をW2としたとき、次の条件式(8)を満足することが好ましい。 (8)0.1≦W1/W2≦0.3

「内層側90°プリプレグと外層側90°プリプレグの重量を加算したものW1」は、「加熱硬化前のプリプレグの状態における内層側90°プリプレグと外層側90°プリプレグの重量を加算したもの」を意味している。 「ゴルフクラブシャフトの総重量W2」は、「加熱硬化後のシャフト完成状態におけるゴルフクラブシャフトの総重量」を意味している。

前記ゴルフクラブシャフトの総重量は、35g以下であることが好ましい。

本発明のゴルフクラブは、上述したいずれかのゴルフクラブシャフトにクラブヘッドとグリップを装着したものである。

本発明によれば、シャフトの軽量化(例えば総重量が35g以下)とシャフトの強度維持(特に曲げ強度と捩れ強度)の双方の要求に応えることができるゴルフクラブシャフト及びこれを用いたゴルフクラブが得られる。

本発明によるゴルフクラブシャフトのプリプレグ積層構造を示す図である。

第1の比較例のゴルフクラブシャフトのプリプレグ積層構造を示す図である。

第2の比較例のゴルフクラブシャフトのプリプレグ積層構造を示す図である。

第3の比較例のゴルフクラブシャフトのプリプレグ積層構造を示す図である。

第4の比較例のゴルフクラブシャフトのプリプレグ積層構造を示す図である。

従来の一般的なゴルフクラブシャフトの構成例を示す模式斜視図である。

図1は、本発明によるゴルフクラブシャフトGSのプリプレグ積層構造を示している。同図において、「先端巻数」は先端小径側の巻数(プライ数)を、「手元巻数」は手元大径側の巻数(プライ数)をそれぞれ示している。「角度(°)」は、各プリプレグ中の強化繊維のシャフト長手方向に対する角度(本実施形態では0゜、±45°または90°)を示している。「シート厚さ(mm)」は、加熱硬化前のプリプレグの状態における各プリプレグの厚みを示している。「シャフト肉厚(mm)」は、加熱硬化後のシャフト完成状態におけるゴルフクラブシャフトの最薄部を構成する各プリプレグ(各全長層)の厚みを示している。「シート重量(g)」は、加熱硬化前のプリプレグの状態における各プリプレグの重量を示している。本実施形態のゴルフクラブシャフトGSは、その最薄部の厚みが0.422mmであり、その総重量が31gである。

ゴルフクラブシャフトGSは、強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを複数層巻回し熱硬化させてなる。強化繊維としては、炭素繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、チラノ繊維、カーボンシリケート繊維又はアモルファス繊維などの各種の材料を使用することができる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂又はピーク樹脂などの各種の材料を使用することができる。

ゴルフクラブシャフトGSは、その先端小径側から手元大径側に向かって漸次径が大きくなるテーパ部Tを有している。ゴルフクラブシャフトGSの小径側端部にはクラブヘッド(図示せず)が装着され、ゴルフクラブシャフトGSの大径側端部にはグリップ(図示せず)が装着される。

ゴルフクラブシャフトGSは、テーパ状の棒状マンドレル(棒状芯金)Mに対して、内層側(下層側)から外層側(上層側)に向かって順に、1回巻きの90°プリプレグ(以下、内層側90°プリプレグ)P1と、各3回巻きの一対のバイアスプリプレグP2、P3と、各1回巻きの一対の補強用バイアスプリプレグP4、P5と、1回巻きの補強用0°プリプレグP6と、1回巻きの0°プリプレグP7と、1回巻きの90°プリプレグ(以下、外層側90°プリプレグ)P8と、1回巻きの0°プリプレグP9と、1回巻きの0°プリプレグP10と、三角プリプレグ(補強プリプレグ)P11を順に巻回し、これらを熱硬化させた後に、棒状マンドレルMを引き抜くことにより製造される。

内層側90°プリプレグP1と外層側90°プリプレグP8は、その繊維方向がシャフト長手方向と直交している。一対のバイアスプリプレグP2、P3と、一対の補強用バイアスプリプレグP4、P5は、その繊維方向がシャフト長手方向に対して対称(本実施形態では±45°)をなしている。補強用0°プリプレグP6と、0°プリプレグP7と、0°プリプレグP9と、0°プリプレグP10と、三角プリプレグP11は、その繊維方向がシャフト長手方向と平行をなしている。

内層側90°プリプレグP1と、一対のバイアスプリプレグP2、P3と、0°プリプレグP7と、外層側90°プリプレグP8と、0°プリプレグP9と、0°プリプレグP10は、ゴルフクラブシャフトGSの全長に亘る全長層からなり、棒状マンドレルMに巻回したときに同じ巻数になるように、大径側端部から小径側端部に向かって狭くなる台形状に形成されている。

一対の補強用バイアスプリプレグP4、P5と、補強用0°プリプレグP6は、ゴルフクラブシャフトGSの小径側端部近傍(長手方向の一部)のみに巻回されてゴルフクラブシャフトGSの小径側端部近傍(長手方向の一部)を補強するためのものである。三角プリプレグP11は、ゴルフクラブシャフトGSの先端部をクラブヘッド(図示せず)のホーゼル径に対応するストレート部とするためのものである。ゴルフクラブシャフトGSは、補強プリプレグP4〜P6及び三角プリプレグP11が巻回されておらず、全長プリプレグP1〜P3、P7〜P10のみが巻回されている部分が、その厚さ方向の最薄部となる。

本実施形態のゴルフクラブシャフトGSは、内層側90°プリプレグP1と外層側90°プリプレグP8を内層側と外層側にそれぞれ設け、これら内層側90°プリプレグP1と外層側90°プリプレグP8の厚みを最適設定することにより、シャフトの軽量化(例えば総重量が35g以下、本実施形態ではシャフト総重量が31g)とシャフトの強度維持(特に曲げ強度と捩れ強度)の双方の要求に応えることに成功している。

条件式(1)は、内層側90°プリプレグP1の厚みD1[mm]と、外層側90°プリプレグP8の厚みD2[mm]との比を規定している。条件式(1)を満足することで、シャフトの軽量化(例えば総重量が35g以下)とシャフトの強度維持(特に曲げ強度)の双方の要求に応えることができる。 条件式(1)の上限を超えると、外層側90°プリプレグP8の厚みが内層側90°プリプレグP1の厚みに対して大きくなりすぎて、シャフトの軽量化(例えば総重量が35g以下)が極めて難しくなってしまう。 条件式(1)の下限を超えると、外層側90°プリプレグP8の厚みが内層側90°プリプレグP1の厚みに対して小さくなりすぎて、シャフトの強度(特に曲げ強度)が低下して破損しやすくなってしまう。

条件式(2)は、内層側90°プリプレグP1の厚みD1[mm]を規定している。条件式(2)を満足することで、シャフトの軽量化(例えば総重量が35g以下)とシャフトの強度維持(特に曲げ強度)の双方の要求に応えることができる。 条件式(2)の上限を超えると、内層側90°プリプレグP1の厚みが大きくなりすぎて、シャフトの軽量化(例えば総重量が35g以下)が極めて難しくなってしまう。 条件式(2)の下限を超えると、内層側90°プリプレグP1の厚みが小さくなりすぎて、シャフトの強度(特に曲げ強度)が低下して破損しやすくなってしまう。

条件式(3)は、外層側90°プリプレグP8の厚みD2[mm]を規定している。条件式(3)を満足することで、シャフトの軽量化(例えば総重量が35g以下)とシャフトの強度維持(特に曲げ強度)の双方の要求に応えることができる。 条件式(3)の上限を超えると、外層側90°プリプレグP8の厚みが大きくなりすぎて、シャフトの軽量化(例えば総重量が35g以下)が極めて難しくなってしまう。 条件式(3)の下限を超えると、外層側90°プリプレグP8の厚みが小さくなりすぎて、シャフトの強度(特に曲げ強度)が低下して破損しやすくなってしまう。

上述したように、本実施形態のゴルフクラブシャフトGSは、内層側90°プリプレグP1と外層側90°プリプレグP8の間に、全長層としての一対のバイアスプリプレグP2、P3が介在している。 条件式(4)は、この構成において、一対のバイアスプリプレグP2、P3のそれぞれの厚みD3[mm]を規定している。条件式(4)を満足することで、シャフトの強度(特に捩れ強度)を維持するとともに、一対のバイアスプリプレグP2、P3の巻回ひいてはゴルフクラブシャフトGSの製造を容易に行うことができる。 条件式(4)の上限を超えると、一対のバイアスプリプレグP2、P3のそれぞれの厚みが大きくなりすぎて、重量を合わせた場合にプライ数が少なくなるため、シャフトの強度(特に捩れ強度)が低下して破損しやすくなってしまう。 条件式(4)の下限を超えると、一対のバイアスプリプレグP2、P3の巻回ひいてはゴルフクラブシャフトGSの製造が困難になってしまう。

上述したように、本実施形態のゴルフクラブシャフトGSは、補強プリプレグP4〜P6及び三角プリプレグP11が巻回されておらず、全長プリプレグP1〜P3、P7〜P10のみが巻回されている部分が、その厚さ方向の最薄部となる。 条件式(5)は、この構成において、ゴルフクラブシャフトGSの最薄部の厚みDT[mm]を規定している。条件式(5)を満足することで、シャフトの軽量化(例えば総重量が35g以下)とシャフトの強度維持の双方の要求に応えることができる。 条件式(5)の上限を超えると、ゴルフクラブシャフトGSの最薄部の厚みが大きくなりすぎて、シャフトの軽量化(例えば総重量が35g以下)が極めて難しくなってしまう。 条件式(5)の下限を超えると、ゴルフクラブシャフトGSの最薄部の厚みが小さくなりすぎて、シャフトの強度が低下して破損しやすくなってしまう。

上述したように、本実施形態のゴルフクラブシャフトGSは、その先端小径側から手元大径側に向かって漸次径が大きくなるテーパ部Tを有している。 条件式(6)は、この構成において、テーパ部Tのシャフト長手方向の長さLT[mm]を規定している。条件式(6)を満足することで、シャフトの軽量化(例えば総重量が35g以下)を図るとともに、製造時にゴルフクラブシャフトGSを棒状マンドレルMから引き抜き易くし(脱芯し易くし)、また、シャフトの手元大径側(Butt部分)が極端に太くなるのを防止することができる。 条件式(6)の上限を超えると、シャフトの軽量化(例えば総重量が35g以下)が極めて難しくなってしまう。 条件式(6)の下限を超えると、製造時にゴルフクラブシャフトGSを棒状マンドレルMから引き抜き難くなり(脱芯し難くなり)、また、シャフトの手元大径側(Butt部分)が極端に太くなってしまう。

上述したように、本実施形態のゴルフクラブシャフトGSは、その先端小径側から手元大径側に向かって漸次径が大きくなるテーパ部Tを有している。 条件式(7)は、この構成において、テーパ部Tのテーパ率TAを規定している。条件式(7)を満足することで、シャフトの軽量化(例えば総重量が35g以下)を図るとともに、シャフトの曲げ剛性と捩れ剛性を最適範囲に設定することができる。 条件式(7)の上限を超えると、シャフトの曲げ剛性と捩れ剛性が高くなりすぎるとともに、シャフトの軽量化(例えば総重量が35g以下)が極めて難しくなってしまう。 条件式(7)の下限を超えると、シャフトの曲げ剛性と捩れ剛性が低下して破損しやすくなってしまう。

条件式(8)は、内層側90°プリプレグP1と外層側90°プリプレグP8の重量を加算したものW1(加熱硬化前のプリプレグの状態)と、ゴルフクラブシャフトGSの総重量W2(加熱硬化後のシャフト完成状態)との比を規定している。条件式(8)を満足することで、シャフトの軽量化(例えば総重量が35g以下)とシャフトの強度維持の双方の要求に応えることができる。 条件式(8)の上限を超えると、内層側90°プリプレグP1と外層側90°プリプレグP8の重量が大きくなりすぎて、シャフトの軽量化(例えば総重量が35g以下)が極めて難しくなってしまう。 条件式(8)の下限を超えると、内層側90°プリプレグP1と外層側90°プリプレグP8の重量が小さくなりすぎて、シャフトの強度が低下して破損しやすくなってしまう。

表1は、本実施形態のゴルフクラブシャフトGS(図1)の条件式(1)〜(8)に対応する値(条件式対応数値)を示している。表1から明らかなように、本実施形態のゴルフクラブシャフトGSは、条件式(1)〜(8)を満足している。

表2は、本実施形態のゴルフクラブシャフトGS(図1)のシャフト総重量(31g)に対して、0°層(プリプレグP6、P7、P9〜P11相当)、45°層(プリプレグP2〜P5相当)及び90°層(プリプレグP1、P8相当)が占める重量及び比率を示している。表2に示すように、本実施形態のゴルフクラブシャフトGSは、シャフト総重量を100%としたときに、0°層、45°層及び90°層の重量が占める比率が略50%(50±3%)、略30%(30±3%)及び略20%(20±3%)となっている。

以上の実施形態では、内層側90°プリプレグP1を最内層に配置した場合を例示して説明したが、内層側90°プリプレグP1は必ずしも最内層に配置する必要はなく、内層側90°プリプレグP1の内層側に図示しない別の最内層プリプレグを配置してもよい。

(本発明によるシャフトの強度の優位性を確認するための実証実験) 本発明者らは、本実施形態のゴルフクラブシャフトGS(図1)及び第1〜第4の比較例のゴルフクラブシャフトGS1〜GS4を実際に作製し、作製したゴルフクラブシャフトの実証実験を行うことで、本発明によるシャフトの強度の優位性を確認した。後述する三点曲げ強度試験及び捩り破壊強度試験を公平に行う観点から、第1〜第4の比較例のゴルフクラブシャフトGS1〜GS4の総重量は、本実施形態のゴルフクラブシャフトGSと同じように31gとした。

図2は、第1の比較例のゴルフクラブシャフトGS1のプリプレグ積層構造を示す図である。ゴルフクラブシャフトGS1は、本実施形態のゴルフクラブシャフトGS(図1)において、内層側90°プリプレグP1(厚みが0.023[mm])と外層側90°プリプレグP8(厚みが0.061[mm])に代えて、その厚みが0.047[mm]で全く同一の内層側90°プリプレグP1−1と外層側90°プリプレグP8−1を設けた構成となっている。このゴルフクラブシャフトGS1は、D2/D1=0.047/0.047=1となり、本願発明の条件式(1)を満足していない。

図3は、第2の比較例のゴルフクラブシャフトGS2のプリプレグ積層構造を示す図である。ゴルフクラブシャフトGS2は、本実施形態のゴルフクラブシャフトGS(図1)において、内層側90°プリプレグP1(厚みが0.023[mm])に代えて、その厚みが0.061[mm]の内層側90°プリプレグP1−2を設け、外層側90°プリプレグP8(厚みが0.061[mm])に代えて、その厚みが0.023[mm]の外層側90°プリプレグP8−2を設けた構成となっている。すなわち、ゴルフクラブシャフトGS2は、本実施形態のゴルフクラブシャフトGS(図1)において、内層側90°プリプレグP1と外層側90°プリプレグP8の位置を入れ替えて、内層側90°プリプレグP1−2と外層側90°プリプレグP8−2とした構成となっている。このゴルフクラブシャフトGS2は、D2/D1=0.023/0.061=0.38となり、本願発明の条件式(1)を満足していない。

図4は、第3の比較例のゴルフクラブシャフトGS3のプリプレグ積層構造を示す図である。ゴルフクラブシャフトGS3は、本実施形態のゴルフクラブシャフトGS(図1)において、外層側90°プリプレグP8(厚みが0.061[mm])を省略した上で、内層側90°プリプレグP1(厚みが0.023[mm])に代えて、その厚みが0.081[mm]の内層側90°プリプレグP1−3を設けた構成となっている。このゴルフクラブシャフトGS3は、内層側90°プリプレグP1−3のみが存在し、外層側90°プリプレグが存在しないので、本願発明の条件式(1)の対応数値を算出することができない。

図5は、第4の比較例のゴルフクラブシャフトGS4のプリプレグ積層構造を示す図である。ゴルフクラブシャフトGS4は、本実施形態のゴルフクラブシャフトGS(図1)において、一対のバイアスプリプレグP2、P3(それぞれの厚みが0.023[mm])に代えて、それぞれの厚みが0.047[mm]の一対のバイアスプリプレグP2−4、P3−4を設けた構成となっている。このゴルフクラブシャフトGS4は、D3=0.047[mm]となり、本願発明の条件式(4)を満足していない。

(強度テストデータ1) 本発明者らは、作製した本実施形態のゴルフクラブシャフトGS及び第1〜第3の比較例のゴルフクラブシャフトGS1〜GS3について、三点曲げ強度試験を行った。具体的には、シャフト先端から90mm(T−90)、175mm(T−175)、525mm(T−525)の位置とシャフト手元から175mm(B−175)の位置に荷重を加え、シャフトが折損した際の荷重を測定した。

表3、表4は、三点曲げ強度試験の結果を示している。表3、表4に明らかなように、本実施形態のゴルフクラブシャフトGSは、第1〜第3の比較例のゴルフクラブシャフトGS1〜GS3と比較して高い三点曲げ強度を得ることができている。

(強度テストデータ2) 本発明者らは、作製した本実施形態のゴルフクラブシャフトGS及び第4の比較例のゴルフクラブシャフトGS4について、捩り破壊強度試験を行った。具体的には、シャフト全長に渡って捩り壊したときの破壊Aと破壊角Bを測定した。

表5、表6は、捩り破壊強度試験の結果を示している。表5、表6に明らかなように、本実施形態のゴルフクラブシャフトGSは、第4の比較例のゴルフクラブシャフトGS4と比較して高い捩り破壊強度を得ることができている。

本発明によるゴルフクラブシャフト及びこれを用いたゴルフクラブは、例えばゴルフのプレーに用いて好適である。

GS ゴルフクラブシャフト M 棒状マンドレル(棒状芯金) P1 90°プリプレグ(内層側90°プリプレグ) P2 P3 一対のバイアスプリプレグ P4 P5 一対の補強用バイアスプリプレグ P6 補強用0°プリプレグ P7 0°プリプレグ P8 90°プリプレグ(外層側90°プリプレグ) P9 0°プリプレグ P10 0°プリプレグ P11 三角プリプレグ(補強プリプレグ)

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