【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、運動用ボールとその製造方法に係り、バレーボールやバスケットボール、ドッジボール、サッカー、ハンドボール等の競技に使用される運動用ボールとその製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、運動用ボールとしては、中空球状のチューブ内に空気を充填して後、チューブ表面に隙間なく布片をラテックスにて貼着するか、或いはチューブ表面に糸を巻き付けながら前記接着剤溶液にて貼着して補強層を形成し、更に表皮を貼着してなるものや、特公昭58−29112号公報に示されるように、脆性を有するパラフィン等の中空球体の外周面に布片を貼着して布袋を形成し、布片の一部を裁って中空球体を取り出し、この布袋の中にチューブを内装してチューブ内に空気を充填して後、布片の重なった部分の境界線上に突条を形成し、この突条に沿って表皮を貼着してなるもの等が提供されている。 【0003】このうち前者は、チューブの外側に補強層を形成したことにより、チューブを保護してボール強度を向上するといった利点があり、後者は、布袋の内面とチューブの外面とが遊離していることにより、外力によって生じる歪力を吸収でき、ボールの性能を持続できるといった利点を有するものである。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、前者は、チューブと補強層と表皮とが3重に積重した状態で接着されているため、完成したボールは感触が硬く、ソフト感に乏しかった。 【0005】また、後者は、すぐれたソフト感を保持しているが、その製造工程が、脆性を有する中空球体を形成し、これに布片を貼着して布袋を形成し、更に布袋から中空球体を取り出すといった複雑な前工程を経るため、生産能率が悪く、コストが高くなった。 【0006】そこで、この発明は、上述した不都合な点等に鑑み、バレーボールやバスケットボール、ドッジボール、サッカー、ハンドボール競技等に使用するのに適した優れた強度、耐久性、ソフト感、弾み性といった特長を兼ね備えた運動用ボールと、その運動用ボールを簡素な工程で大量に生産可能にする製造方法を提供することを課題として創出されたものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】このためこの発明は、中空球状のチューブと、ラテックス水溶液やゴム系接着剤溶液のごとき接着剤溶液を実質的に透過せず、チューブを内包した状態で被覆する極薄ゴム袋にてなる被覆層と、この被覆層の外周面に布片を前記接着剤溶液にて貼着するか、或いは糸巻き層を前記接着剤溶液にて貼着して形成される補強層と、この補強層の外周面に貼着して形成される表皮とからなり、前記チューブと前記被覆層とは、その間に無機滑剤を介在せしめると共に、遊離させたことにより上記課題を解決する。 【0008】また、この発明は、ラテックス水溶液やゴム系接着剤溶液のごとき接着剤溶液を実質的に透過しない極薄ゴム袋にてなる被覆層の内部に粉末状の無機滑剤を投入するか、或いは中空球状のチューブに粉末状の無機滑剤または無機滑剤の懸濁液を塗布し、次いで被覆層の内部に中空球状のチューブを装入し、そのチューブに所定空気を充填して後、被覆層の外周面に前記接着剤溶液にて布片を貼着するか、或いは糸を巻きつけながら前記接着剤溶液にて貼着して補強層を形成し、しかる後に補強層外周面に型枠にて境界部を形成し、この境界部に沿って表皮を貼着することにより上記課題を解決する。 【0009】 【作用】しかしてこの発明によれば、チューブの外側に配した被覆層と補強層と表皮とがチューブを保護する。 【0010】また、ラテックス水溶液やゴム系接着剤溶液のごとき接着剤溶液を実質的に透過しない極薄ゴム袋にてなる被覆層によりチューブを内包した状態で被覆し、その上に布片或いは糸巻き層を前記接着剤溶液にて貼着して補強層を形成したことで、被覆層とチューブが接着することが防止され、チューブと被覆層とは遊離した状態となる。 【0011】しかも、チューブと被覆層とが遊離していることでこれらの間に薄い空気の層が形成され、このチューブと被覆層の間の空気の弾力とチューブに充填された空気の弾力とが相俟って、ボールは優れたソフト感と適度な弾み性とを有するものとなる。 【0012】このように、チューブと被覆層とが遊離していることで、外部からの衝撃はチューブ内の空気層と、被覆層とチューブとの間の空気層との相乗作用により、吸収緩和される。 このことにより、人体によりボールに加えられた衝撃力の反発作用重力、すなわち人体に感ずる重力が約3分の1軽減され、よってボールの感触はソフトになり、ボールの性能もアップする。 【0013】更に、チューブと被覆層との間に無機滑剤を介在させたことで、外から衝撃を受けた際に、チューブ内の空気を直接圧縮しないように、被覆層とチューブとの間に滑りが生じることになり、この滑りによって衝撃力を緩和してボールにかかる歪力はやわらいでボールの耐久性は向上するものである。 【0014】また、この発明によれば、ラテックス水溶液やゴム系接着剤溶液のごとき接着剤溶液を実質的に透過しない極薄ゴム袋にてなる被覆層の内部に粉末状の無機滑剤を投入するか、或いは中空球状のチューブに粉末状の無機滑剤または無機滑剤の懸濁液を塗布し、次いで被覆層の内部に中空球状のチューブを装入したことで、 チューブへの空気の充填時に被覆層とチューブとが粘着することが防止され、被覆層及びチューブは偏りなく均一に膨らますことが可能になる。 【0015】そして、被覆層は、ラテックス水溶液やゴム系接着剤溶液のごとき接着剤溶液を実質的に透過しない極薄ゴム袋にて形成したから、この被覆層の外周面に前記接着剤溶液にて布片を貼着するか、或いは糸を巻きつけながら前記接着剤溶液にて貼着して補強層を形成する際に、接着剤溶液がチューブと被覆層の間に侵入することが防止され、チューブと被覆層とが接着されることはない。 【0016】更に、被覆層の内部に粉末状の無機滑剤を投入するか、或いは中空球状のチューブに粉末状の無機滑剤または無機滑剤の懸濁液を塗布して、被覆層とチューブの間に無機滑剤を介在させたことで、補強層外周面に型枠にて境界部を形成する際に、被覆層とチューブとが密着することが防止され、被覆層とチューブとが遊離し、且つ、被覆層とチューブとが滑動可能な状態の運動用ボールを得られるものである。 【0017】 【実施例】以下、図面を参照してこの発明の第1実施例を説明すると次の通りである。 図1及び図2において示す符号1は、ブチルゴムを主成分とするゴム材を中空球状に成形したチューブであり、チューブ1には一端にバルブ1aを付設してある。 このチューブ1は、チューブ1自身が膨張しない程度の内部圧となるように所定量の空気をバルブ口1bから充填すると直径約186ミリの球形となるよう形成されている。 【0018】また、符号2は天然ゴムラテックスを主成分とするゴム風船のこどき極薄ゴム袋にてなる被覆層である。 この被覆層2は、被覆層2自身が膨大しない程度に空気を充填すると前記チューブ1よりも径の小さい直径約80ミリの球となるものであり、その材質は、伸びやすく、且つ、伸びに伴う応力が100%応力で1平方センチメートル当り3キログラムと小さく、また、軽量で、且つ、取扱時に破れることのない約0.5ミリの厚さを有するものを採用している。 【0019】また、極薄ゴム袋の材質としては、伸びに対する応力が100%応力で1平方センチメートル当り5キログラム以下で、しかも、取扱時に破れることのない厚さ0.2ミリから0.8ミリのものが好適であり、 ラテックス水溶液やゴム系接着剤溶液のごとき接着剤溶液を実質的に透過しないものであれば特に限定されることはない。 【0020】そして、空気を充填していない萎んだ状態のチューブ1の表面にタルク粉末の無機滑剤3をまぶし、これを被覆層2に装入して、被覆層2の首部を切り落とした後、被覆層2からチューブ1のバルブ1aを露出させる。 しかる後にバルブ1aのバルブ口1bから空気を充填して、チューブ1が被覆層2を内側から圧迫して被覆層2を充分に膨張させるところまで、チューブ1 を膨らませる。 【0021】この時、チューブ1と被覆層2との間には無機滑剤が介在していることで、チューブ1と被覆層2 とは粘着することなく、滑りやすい状態になり、チューブ1及び被覆層2を偏りなく均一な球形に膨らますことが可能となるものである。 【0022】また、被覆層2は、その材質として、伸びやすく、且つ、伸びに伴う応力が小さいゴム材を採用しているので、内側からチューブ1により圧迫されていったん大きくなった後は、内部のチューブ1を締めつける力は小さくチューブ1を保護するものとなる。 【0023】次いで、この被覆層2の表面に略台形状の綿布の布片4を加硫剤を含んだラテックス水溶液にひたし含浸させて貼りつける。 このラテックスは天然、合成いずれでもよいが、天然ラテックスの方が接着性、弾力性に優れたものになる。 そして、このラテックス水溶液は布片4の繊維間隙まで含浸した後、乾燥と後記熱加硫工程を経て布片4と一体化した補強層5として固化するものである。 【0024】布片4は、チューブ1を被覆している被覆層2の全周面を略18等分して形成される短冊よりも若干面積の大きい短冊状を呈し、これらを互いの端縁部分を重ね合わせるようにして被覆層2の表面に隙間なく貼着した。 【0025】このように、被覆層2の表面に布片4をラテックス水溶液にて貼着した時に、被覆層2を形成する極薄ゴム袋のゴム材はラテックス水溶液を透過しないので、被覆層2とチューブ1の間にラテックス水溶液が侵入することがなく、被覆層2とチューブ1とは接着することがない。 【0026】次いで、その外側に被覆層2と補強層5とが形成されたチューブ1を線引き用型枠に入れ、補強層5の隣り合う布片4が重なり合っている部分の略中央に線を描く。 更に、この線上に帯状のテープ状のゴム片7 を貼着する。 しかる後、これを内部が所定要径の球形となっている型枠に入れ、チューブ1に空気を圧入することによって補強層5を型枠内部に密着させて、前記テープ状のゴム片7に熱加硫処理を施す。 この際、型枠の内側にはゴム片7を貼着した部分に相当する部分に浅い溝部を形成してあるので、熱加硫処理を行った後の補強層5の表面にはゴムの低い突条が形成される。 そして、この突条が後工程で表皮6を貼着する際の目安としての境界部8になる。 【0027】また、この時、チューブ1と被覆層2との間に無機滑剤が介在していることで、熱加硫処理の影響を受けて被覆層2がチューブ1に密着することが防止され、チューブ1と被覆層2とは遊離した状態に保たれるものである。 【0028】最後に、補強層5の表面の境界部8を目安として、境界部8に沿って短冊状の表皮6を18枚貼着し、その後、これを60℃〜70℃に暖めて外面からプレスし、ボールを形成する。 勿論18枚の表皮6のうちの1枚には、その中央にバルブ口1bに空気を補充するための開口部を設けておくことが必要である。 【0029】表皮6の境界は、布片4が重なり合った上に境界部8が積重した状態になっているために丈夫であり、使用時に表皮6の境界から破裂する虞は全くない。 【0030】このように構成し、チューブ1の外側に被覆層2と補強層5と表皮6とを形成することにより、ボールの強度は向上し、また、チューブ1と被覆層2とが接着せずに遊離している上に、無機滑剤をチューブ1と被覆層2との間に介在させたことで被覆層2とチューブ1との間に滑りが生じることになり、外から衝撃が加えられた際には、この滑りによって衝撃力を緩和してチューブ1内の空気を直接圧縮せず、ボールにかかる歪力をやわらげて、ボールの耐久性を向上させるものとなる。 【0031】しかも、チューブ1と被覆層2とが遊離していることでこれらの間に空気の層が形成され、このチューブ1と被覆層2の間の空気の弾力とチューブ1に充填された空気の弾力とが相俟って、ボールは優れたソフト感と適度な弾み性とを有するものとなる。 【0032】前述した第1実施例では、チューブ1の表面にタルク粉末の無機滑剤をまぶして、これを被覆層2 に装入したが、例えば、被覆層2に予めタルク粉末の無機滑剤を投入したり、チューブ1の表面にステアリン酸亜鉛溶液等の無機滑剤の懸濁液を塗布してもよく、また、被覆層2の首部はチューブ1を装入する前に切り落としても構わない。 【0033】また、この実施例では、被覆層2として、 ラテックス水溶液を透過しないゴム風船のごとき極薄ゴム袋を採用し、その上から布片4をラテックス水溶液にて貼着しているが、特にこれに限定されるものではなく、ゴム系接着剤溶液のごときその他の接着剤溶液を透過しない極薄ゴム袋にて被覆層2を形成して、布片4を該接着剤溶液にて貼着しても、チューブ1と被覆層2とは接着せずに遊離した状態に形成できる。 【0034】次ぎに、この発明の第2実施例について説明する。 第1実施例と同様の工程で、ゴム系接着剤溶液を透過しない極薄ゴム袋にてなる被覆層に、前記実施例と同様のマイカ粉末の無機滑剤をまぶしたチューブを装入し、次いで、チューブに空気を充填して、被覆層を内側から圧迫することで被覆層を膨脹させるようにして、 チューブ及び被覆層を球形に膨張させる。 【0035】この実施例の被服層は、材質としては、伸びやすく、伸びに伴う応力が100%応力で1平方センチメートル当り3キログラム、厚さ0.3ミリのものを採用しており、被服層自身が膨脹しない程度に空気を充填すると、長径130ミリ、短径120ミリの楕円を帯びた球形になるものである。 【0036】しかして、膨脹しない程度に空気を充填すると楕円を帯びた形状である被服層は、空気を充填すると球形になるチューブによって内側から圧迫されることで、チューブの周面に沿って膨脹し、球形となるものである。 【0037】また、この実施例の被覆層を形成する極薄ゴム袋は、図3に示すごとく、周囲に等間隔で上下方向に沿うたるみ部9が形成されており、このたるみ部9によってチューブの膨張時にチューブと被覆層との間に空気溜まりが発生することになり、無機滑剤が介在していることと相俟って、チューブと被覆層との間は一段と滑りやすくなり、チューブ及び被覆層は歪になることなく、膨脹が可能となるものである。 【0038】次いで、この被覆層の上から、フリクション式糸巻き機(特公昭56−13433号参照)を用いて、レゾルシンフォルマリン処理を施したナイロン66 糸を、ゴム系接着剤溶液を付着させながら均一に巻きつけて糸巻層にてなる補強層を形成する。 【0039】この後、第1実施例と同様の工程で境界部を形成し、表皮を貼着して運動用ボールを完成させた。 【0040】このようにして形成した運動用ボールは、 第1実施例と同様、チューブの外側に被覆層とゴム系接着剤層と補強層と表皮とを形成することにより、ボールの強度は向上し、また、チューブと被覆層とが接着せずに遊離している上に、無機滑剤をチューブと被覆層との間に介在させたことで被覆層とチューブとの間に滑りが生じることになり、外から衝撃が加えられた際には、この滑りによって衝撃力を緩和してチューブ内の空気を直接圧縮せず、ボールにかかる歪力をやわらげて、ボールの性能を長く持続できるものとなる。 【0041】前述した第2実施例では、被覆層として、 ゴム系接着剤溶液を透過しない極薄ゴム袋を採用し、その上から糸を均一に巻きつけて糸巻き層にてなる補強層を形成しているが、特にこれに限定されるものではなく、ラテックス水溶液のごときその他の接着剤溶液を透過しない極薄ゴム袋にて形成し、その上に該接着剤溶液を付着させながら糸を均一に巻きつけて糸巻き層にてなる補強層を形成しても、チューブと被覆層とが接着せずに遊離した状態に形成できる。 【0042】尚、チューブの形状、寸法、材質、構成、 被覆層の形状、寸法、材質、構成、補強層の形状、寸法、材質、構成、表皮の形状、寸法、材質、構成、接着剤溶液の材質、無機滑剤の形状、材質は、前述した各実施例に限定されないことは言うまでもない。 【0043】また、前述した各実施例では、補強層を形成した後、線引きをして、テープ状のゴム片を線に沿って貼着し、型枠に入れてゴム片に熱加硫処理を施して境界部を形成しているが、境界部の形成方法はこれに限定されることはなく、補強層の表面全体にゴムシートを貼着し、型枠に入れてテープ状のゴム片に熱加硫処理を施して境界部を形成してもよい。 【0044】 【発明の効果】前述のごとく構成したこの発明によれば、中空球状のチューブ1と、ラテックス水溶液やゴム系接着剤溶液のごとき接着剤溶液を実質的に透過せず、 チューブ1を内包した状態で被覆する極薄ゴム袋にてなる被覆層2と、この被覆層2の外周面に布片4を前記接着剤溶液にて貼着するか、或いは糸巻き層を前記接着剤溶液にて貼着して形成される補強層5と、この補強層5 の外周面に貼着して形成される表皮6とからなり、前記チューブ1と前記被覆層2とは、その間に無機滑剤3を介在せしめると共に、遊離させたことから、チューブ1 の外側に配した被覆層2と補強層5と表皮6とがチューブ1を保護して、ボールの強度を向上させる。 【0045】そして、ラテックス水溶液やゴム系接着剤溶液のごとき接着剤溶液を実質的に透過しない極薄ゴム袋にてなる被覆層2にてチューブ1を内包した状態で被覆し、その上に布片4或いは糸巻き層を前記接着剤溶液にて貼着して補強層5を形成したことで、被覆層2がチューブ1に接着されることが防止され、チューブ1と被覆層2とが遊離した状態となるので、外部からの衝撃はチューブ内の空気層と、被覆層とチューブとの間の空気層との相乗作用により、吸収緩和される。 このことにより、人体によりボールに加えられた衝撃力の反発作用重力が約3分の1軽減され、よってボールの感触はソフトになり、また、ボールの性能もアップする。 【0046】したがって、従来のボールに比べて競技者のボールに対する抵抗感は薄れ、個人能力を充分発揮することができる。 【0047】その上、チューブと被覆層との間に無機滑剤を介在させたことで、外から衝撃を受けた際に、チューブ内の空気を直接圧縮しないように、被覆層とチューブとの間に滑りが生じることになり、この滑りによって衝撃力を緩和してボールにかかる歪力はやわらぎ、ボールの耐久性は向上するものである。 【0048】しかも、チューブ1と被覆層2とが遊離していることで、これらの間に薄い空気の層が形成され、 このチューブ1と被覆層2の間の空気の弾力とチューブ1に充填された空気の弾力とが相俟って、ボールは優れたソフト感と適度な弾み性とを有するものとなる。 【0049】また、この発明によれば、ラテックス水溶液やゴム系接着剤溶液のごとき接着剤溶液を実質的に透過しない極薄ゴム袋にてなる被覆層2の内部に粉末状の無機滑剤を投入するか、或いは中空球状のチューブ1に粉末状の無機滑剤3または無機滑剤3の懸濁液を塗布し、次いで被覆層2の内部に中空球状のチューブ1を装入し、そのチューブ1に所定空気を充填して後、被覆層の外周面に前記接着剤溶液にて布片4を貼着するか、或いは糸を巻きつけながら前記接着剤溶液にて貼着して補強層5を形成し、しかる後に補強層5外周面に型枠にて境界部8を形成し、この境界部8に沿って表皮6を貼着することから、補強層5を形成する際に接着剤溶液がチューブ1と被覆層2の間に容易に侵入することが防止されるため、チューブ1と被覆層2とが遊離し、且つ、チューブ1と被覆層2とが滑動可能な優れた性能の運動用ボールを簡素な工程で製造可能となった。 【0050】それゆえ、この運動用ボールの製造方法によれば、従来のボールの製法に比べて能率的に生産を行うことが可能となり、いきおい大量生産によってコストダウンに貢献できるものとなる。 【0051】しかして、製造された運動用ボールは、強度に優れている上に、チューブ1と被覆層4とが遊離して滑動することで、チューブ1にかかる歪力を緩和して長く性能を維持でき、しかも、チューブ1と被覆層2の間の空気とチューブ1に充填された空気の弾力によって、ボールは二層構造となり、優れたソフト感と適度な弾み性とを有するものとなる。 【0052】以上説明したように、この発明によれば、 強度に優れ、且つ、耐久性があり、しかも、優れたソフト感と適度な弾み性を備えた運動用ボールを、簡素な工程で量産可能にする等極めて有益な効果を奏するものである。 【図面の簡単な説明】 【図1】この発明の第1実施例を示す断面図である。 【図2】この発明の第1実施例を示す工程図である。 【図3】第2実施例の被覆層を形成する極薄ゴム袋を示す斜視図である。 【符号の説明】 1 チューブ 1a バルブ 1b バルブ口 2 被覆層 3 無機滑剤 4 布片 5 補強層 6 表皮 7 ゴム片 8 境界部 9 たるみ部 |