セルロイドを含まない実質的に球状の中空体及びその製造

申请号 JP2017500127 申请日 2014-05-12 公开(公告)号 JP6363786B2 公开(公告)日 2018-07-25
申请人 ヴェーナー・プラスティック・ゲーエムベーハー; 发明人 ゲアホルト・フロッケンハーゲン; マティーアス・プロックス; リーアム・クエイド;
摘要
权利要求

37mm〜45mmの直径、特に39.7mm〜40.75mmの直径、及び2.5g〜3.5gの質量、特に2.6g〜2.85gの質量を有し、外殻及び内側の中空空間を含み、前記外殻が0.2mm〜1.3mm、特に0.3mm〜0.8mmの肉厚を有する実質的に球状の中空体であって、 前記外殻が、セルロイドを含まず、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、スチレン-ブタジエンコポリマー(SBC)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレンコポリマー(MBS)及びメチルメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(MABS)を含む群から選択される少なくとも1種のスチレン含有コポリマーと少なくとも第2の有機ポリマーを含み、ここで、該第2の有機ポリマーが、ポリカーボネート及びポリスチレンを含む群から選択されるホモポリマー、又はスチレン-ブタジエンコポリマー(SBC)であることを特徴とする、実質的に球状の中空体。前記スチレン含有コポリマーが、ISO 179による23℃で測定されたノッチ付きシャルピー衝撃強さが、1kJ/m2〜50kJ/m2、特に2kJ/m2〜20kJ/m2であることを特徴とする、請求項1に記載の実質的に球状の中空体。前記スチレン含有コポリマーが、1200MPa〜3000MPa、特に1500MPa〜2500MPaのISO 527による弾性率を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の実質的に球状の中空体。前記スチレン含有コポリマーが、0.8g/cm3〜1.2g/cm3、特に1g/cm3〜1.1g/cm3のISO 1183による密度を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の実質的に球状の中空体。前記第2の有機ポリマーが、1kJ/m2〜10kJ/m2のISO 179によるノッチ付きシャルピー衝撃強さ、及び65〜80のISO 868によるショアーD硬さを有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の実質的に球状の中空体。前記スチレン含有コポリマーと前記第2の有機ポリマーの濃度比が、1:0.05〜1:1、特に1:0.25〜1:0.75であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の実質的に球状の中空体。前記外殻が、繊維、プレートリット(platelets)、球状粒子、無機物質及び有機物質、特に可塑剤及び/又は着色顔料を含む群から選択される少なくとも1種のさらなる添加剤を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の実質的に球状の中空体。請求項1から7のいずれか一項に記載の実質的に球状の中空体の製造方法であって、 - 射出成形によって2つの実質的に同一の、実質的に半球状の外殻を生成する工程と、 - 2つの半外殻をそれらの縁部に沿って接合し、中空体を形成する工程と を含む、製造方法。2つの前記半外殻の接合が、溶接によって、特に超音波溶接、振動溶接、熱板溶接、レ ーザー溶接若しくは回転溶接によって、又は接着によって接合されることを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。2つの前記半外殻を接合の際に中空体の内側に形成される材料肥厚のいずれかの方向への拡大が、中空体の平均肉厚の最大5倍、好ましくは最大2.5倍、より好ましくは最大1.5倍であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の製造方法。特に切断、研削、ブラスト処理、ラップ仕上げ、研磨、無機、有機及び/若しくはポリマー物質を用いたタンブリング、無機、有機及び/若しくはポリマー物質を用いたブラスト処理、及び/又は少なくとも1種の可溶性若しくは不溶性物質を用いたコーティングによる、中空体の後処理のさらなる工程を含むことを特徴とする、請求項8から10のいずれか一項に記載の製造方法。前記中空体の後処理において、2つの前記半外殻の接合の際に中空体の外側に形成された材料肥厚を少なくとも部分的に除去することを特徴とする、請求項11に記載の製造方法。請求項8から12のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された実質的に球状の中空体であって、 以下の特性: - 最大で0.2±0.06mmの真円度公差、 - Ra=1.0〜Ra=5.0の外表面の表面仕上げ、 - 最大で0.25mmの、3つのx、y及びz軸の共通重心旋回半径の差 - 最大で0.3mmの別々の空間方向における外径差 の少なくとも1つを特徴とする、実質的に球状の中空体。37mm〜45mmの直径及び2.5g〜3.5gの質量を有するセルロイドを含まない実質的に球状の中空体を製造するための、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、スチレン-ブタジエンコポリマー(SBC)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレンコポリマー(MBS)及びメチルメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(MABS)を含む群から選択されるスチレン含有コポリマーの使用であって、 前記スチレン含有コポリマーが、ポリマーブレンドの形態であり、少なくとも第2の有機ポリマーを更に含み、特にここで、該第2の有機ポリマーが、ポリカーボネート及びポリスチレンを含む群から選択されるホモポリマーであるか、又はスチレン-ブタジエンコポリマー(SBC)であることを特徴とする、使用。

说明书全文

本出願は、本明細書においてDE 10 2014 004 194.8出願からの優先権を主張する。この出願の全体が、本明細書に参照により組み込まれている。

本発明は、その外殻が、スチレンを含有する少なくとも1種のポリマーを含む、セルロイドを含まない実質的に球状の中空体、特に卓球ボールに関する。本発明は、国際卓球連盟(ITTF)の規定に準拠した卓球ボールに関連して説明されている。本発明は、例えば、アジアの国々で使用されている又は娯楽/訓練用ボールのための直径44mmのボール等のITTF非公認卓球ボールにも使用できることに留意されたい。

従来の卓球ボールは、セルロイドから作られている。セルロイドは、セルロースの誘導体であり、通常ニトロセルロース/ショウノウ反応によって生成される。卓球ボールの機械的性質に関する国際卓球連盟によって採用された規格までも、このようなセルロイドボールの過去数十年にわたる使用に起因する。セルロイドは、しかしながら、可燃性であるという欠点があり、それによってセルロイドボールの工業生産並びに輸送及び保管のどちらも複雑で危険になる。爆発の危険性があるために、セルロイドボールは、このように危険貨物としてのみ輸送及び保管され得る。したがって、セルロイドを、同様の又はより良好な機械的性質を有する別の材料によって置き換えることが望ましい。ITTFは、このようにトーナメントにおけるセルロイドを含有する卓球ボールの将来の使用を避ける決議をした。

セルロイドを含まない卓球ボールは、先行技術から知られている。EP 1 924 331 B1は、例えば、その主成分がその主鎖中にヘテロ原子を有する有機ポリマーである、セルロイドを含まない卓球ボールについて記載している。CN 102896788 Aは、セルロイドを含まない卓球ボールを製造するための方法に関連している。

セルロイドを含まない卓球ボールの提供が難しいのは、全ての新しい卓球ボール材料が満たさなければならない特定の規格が、セルロイドボールを使用して数十年にわたって開発されてきたものであるという点にある。これは、一方では、上記のように、ITTFガイドラインでも部分的に確立されている卓球ボールの機械的性質に関連し、同様に選手の受容に関して非常に重要であるプレー中の卓球ボールの「感触」に関連する。

EP 1 924 331 B1

CN 102896788 A

本発明はこのように、セルロイド製の卓球ボールと少なくとも同等であるセルロイドを含まない卓球ボールを提供するという課題に基づく。

これは、本発明により、独立クレームの教示によって達成される。本発明の優先的なさらなる開発は、従属クレームの主題を形成している。

第1の態様によれば、本発明は、37mm〜45mmの直径及び2.5g〜3.5gの質量を有し、外殻及び内側の中空空間を含む、実質的に球状の中空体に関する。本発明による実質的に丸い中空体は、特に39.25mm〜40.75mmの直径及び2.6g〜2.85gの質量を有する。実質的に丸い中空体の外殻は、0.2mm〜1.3mm、特に0.3mm〜0.8mmの肉厚を有する。実質的に丸い中空体の外殻は、セルロイドを含まず、スチレンを含有する少なくとも1種のコポリマーを含む。

本発明によって定義されるように、用語「セルロイドを含まない」は、卓球ボールがセルロイドを実質的に欠いていることを表し、ここで、例えば不純物又は痕跡としての微量のセルロイドの存在は、それにもかかわらず、本発明の意味におけるセルロイドを含まない製品をもたらす。

本発明の状況において、少なくとも1種のスチレン含有コポリマーを有するセルロイドを含まない卓球ボールは、従来の卓球ボールに匹敵するプレーの感触を伝えることができることが判明した。本発明によるセルロイドを含まない卓球ボールは、強い並びにより緩やかなストロークの両方において従来のセルロイド卓球ボールに匹敵する良好なプレーの感触を付与することができることが特に判明した。更に、本発明のセルロイドを含まない卓球ボールは、ラケット/ボール移動並びに逆スピンの回転移動に関して類似の感覚を達成することができる。経験豊富な選手はまた、本発明のセルロイドを含まない卓球ボールのスピンが従来の卓球ボールのものに匹敵すると考える。経験豊富な選手は特に、本発明のセルロイドを含まない卓球ボールの主観的なボール硬度とバウンドの均一性の良好な認識を有している。

本発明のセルロイドを含まない卓球ボールは、ITTFによって指定された技術基準を満たすことが更に判明した。特に、本発明の卓球ボールは、0.68mm〜0.81mmの極における規定されたミディアム硬度並びに0.72mm〜0.83mmの継ぎ目におけるミディアム硬度を達成することができる。硬度は、ITTFによって確立されたように、Zwick試験機を用いて決定される。硬度を測定するための前負荷は、0.5Nを10秒間である。直径20mmのスチールシリンダーは、その後卓球ボールの極に10mm/分の負荷速度で50Nの力を加える。卓球ボールは、それにより、漏斗形状のリテーナーによって45°の度で支持されている。

本発明の製造方法は更に、肉厚が特に均一な卓球ボールをもたらすことができ、それによって同じボールの極及び赤道におけるITTFに指定された標準硬度の測定偏差並びに異なるボール間の硬度測定に従うことができる。本発明による方法は、先行技術から既知の卓球ボールのものよりも均一な肉厚をもたらす。更に、本発明のセルロイドを含まない卓球ボールは、305mmの高さから標準的なスチールブロック上に落下させたときに240mm〜260mmの規定範囲内でバウンドを達成することができる。本発明のセルロイドを含まない卓球ボールはまた、約0.3m/秒の転がり速度でセンターラインから1m長の転がり距離にわたって規定された最大偏差175mmに従うことができる(「veer test」)。

本発明のセルロイドを含まない卓球ボールは、安定性、破壊強度及び応力白化の防止等それらの機械的性質の点で従来のセルロイド卓球ボールと同等又はより優れている可能性があることが更に判明した。

好ましくは、卓球ボールの外殻が作られる材料であり、且つスチレンを含有する少なくとも1種のコポリマーを含む材料は、以下のパラメーター: - ISO 527による弾性率1500MPa〜3000MPa、特に1600MPa〜2500MPa; - ISO 179による23℃で測定されたシャルピー衝撃強さ2kJ/m2〜50kJ/m2; - ISO 2039-1によるボール押込み硬さ50MPa〜150MPa; - ISO 1183による密度0.8g/cm3〜1.2g/cm3、特に1g/cm3〜1.1g/cm3 によって特徴付けられている。

材料の所望の機械的性質は、スチレン含有コポリマー単独によって又はスチレン含有コポリマーと少なくとも1種の第2の有機ポリマーの組合せによって、特にスチレン含有コポリマーと第2の有機ポリマーのポリマーブレンドを用いることによって、得ることができる。ポリマーブレンドは、有利には比較的簡単な方法で混合物の個々の成分の特性を兼ね備えること、及び最適には所与の特性プロファイルを調整することを可能にする。当業者は、それによって、標準化された測定法を用いて少ない労力でこのように生成された材料の機械的性質を決定することができる。

本発明によって定義されるように、用語「コポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマー単位を有する有機ポリマーであることを理解されたい。コポリマーは、ポリマー鎖内のモノマー単位の分布に応じて:鎖中のモノマーの分布がランダムである統計的コポリマー;原則としてモノマーのランダムな分布をもつが、鎖中に少なくとも1つのモノマーを可変割合でもつ勾配コポリマー;鎖に沿ってモノマーの規則的な配置を有する交互コポリマー;モノマーの少なくとも1つについてより長い配列又はブロックを示すブロックコポリマー;及びモノマーのブロックが別のモノマーの主鎖上にグラフトされているグラフトコポリマーに細分することができる。本発明によって定義された用語「コポリマー」は、これら全てのサブカテゴリーを包含する。しかしながら、スチレン含有コポリマーは、統計的コポリマー、交互コポリマー又はブロックコポリマーであることが好ましい。

本発明によって定義されるように、用語「スチレン含有コポリマー」は、したがって、スチレンモノマー並びに他のモノマーの両方を含む有機ポリマーとして理解されたい。スチレン含有コポリマーは、好ましくは熱可塑性である。

本発明によって定義されるように、用語「熱可塑性」は、特定の温度範囲内で可逆的に変形可能なプラスチックを意味する。

本発明によって定義されるように、用語「ポリマーブレンド」は、2種以上のポリマーの混合物を意味する。

以下は、本発明の優先的なさらなる開発について記載している。

先行技術のセルロイドボール及びセルロイドを含まないボールと比較して、プレー中の25〜35%ポリカーボネートと75〜65%ABSでできた卓球ボールの感触を、経験豊富な選手2人がどのように評価したかを示す図である。

1つの優先的なさらなる開発によれば、スチレン含有コポリマーは、オレフィンモノマー、特にブタジエンモノマーを含む。このさらなる開発は、このようなコポリマーが高い衝撃強さを示すことができるという利点をもたらす。このさらなる開発は更に、コポリマーの弾性を改善することができるという利点をもたらす。

本発明によって定義されるように、用語「オレフィン」は、1種又は複数の炭素-炭素二重結合を有する非環式及び環式炭化素として理解されたい。それによって除外されるのは、芳香族構造中にだけ二重結合を示す炭化水素である。

1つの優先的なさらなる開発によれば、スチレン含有コポリマーは、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、スチレン-ブタジエンコポリマー(SBC)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレンコポリマー(MBS)及びメチルメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(MABS)を含む群の中から選択される。このさらなる開発は、より高いコポリマーの衝撃強さ及び弾性の利点をもたらす。このさらなる開発は更に、様々に異なる機械的性質を有する前記サブカテゴリーの市販されている、よく特徴付けられたコポリマーの大きい選択の利点をもたらす。異なるスチレン含有ポリマーを混合することは、機械的性質を更に変えることができる。

1つの優先的なさらなる開発によれば、スチレン含有コポリマーは、ISO 179による23℃で測定されたシャルピー衝撃強さが、1kJ/m2〜30kJ/m2、特に2kJ/m2〜20kJ/m2である。このさらなる開発は、急激な衝撃応力に対して高い耐性を有する卓球ボールの利点をもたらす。

1つの優先的なさらなる開発によれば、スチレン含有コポリマーは、ISO 527による弾性率が1200MPa〜3000MPa、特に1500MPa〜2500MPaである。このさらなる開発は、それによって動的応力時の不可逆的材料損傷、特に応力白化を低減又は防止できるという利点をもたらす。このさらなる開発は更に、スチレン含有コポリマーに軟化剤を加えることが必須ではないというその利点をもたらす。

1つの優先的なさらなる開発によれば、スチレン含有コポリマーは、ISO 1183による密度が0.8g/cm3〜1.2g/cm3、特に1g/cm3〜1.1g/cm3である。これらの密度範囲は、「プレイ性(playability)」という点で有利であることがわかってきた。密度範囲は特に、より高い密度では、製造時及びプレー中における対応する問題と共に非常に薄い壁が得られるという理由で有利であることがわかってきた。

1つの優先的なさらなる開発によれば、外殻は、少なくとも1種の第2の有機ポリマーを更に含む。第2の有機ポリマーは、好ましくは熱可塑性である。このさらなる開発は、それによって卓球ボールの機械的性質を最適化することができるという利点をもたらす。特に、それぞれの機械的性質は、有利には少なくとも1種のスチレン含有コポリマーと1種の第2の有機ポリマーのポリマーブレンドを用いることによって兼ね備えることができる。

1つの優先的なさらなる開発によれば、第2の有機ポリマーは、ポリカーボネート及びポリスチレンを含む群から選択されるホモポリマーである。本発明によって定義されるように、用語「ホモポリマー」は、均一なモノマーを独占的に、したがって例えばスチレンモノマーを単独で有する有機ポリマーとして理解されたい。このさらなる開発は、それによって卓球ボールの特性を選択的に変化させることができるという利点をもたらす。特に、少なくとも1種のスチレン含有コポリマーとポリカーボネート及びポリスチレンの中から選択される1種の第2の有機ポリマーとの適切なポリマーブレンドを用いることによって、コポリマーの有利な機械的性質、特に高い衝撃強さ及び弾性は、言及されたホモポリマーの高い硬度と兼ね備えることができる。

このさらなる開発の1つの優先的な実施形態によれば、少なくとも1種のスチレン含有コポリマーは、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)であり、第2の有機ポリマーは、ポリカーボネートである。このさらなる開発のさらなる優先的な実施形態によれば、少なくとも1種のスチレン含有コポリマーは、スチレン-ブタジエンコポリマー(SBC)であり、第2の有機ポリマーは、ポリスチレンである。このさらなる開発のさらなる優先的な実施形態によれば、少なくとも1種のスチレン含有コポリマーは、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)であり、第2の有機ポリマーは、ポリアミドである。

1つの優先的なさらなる開発によれば、第2の有機ポリマーは、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)及びスチレン-ブタジエンコポリマー(SBC)を含む群から選択されるコポリマーである。このさらなる開発は、高いたわみ性及び弾性の利点をもたらす。特に卓球ボールのバウンド及びリバウンド特性は、それによって改善され得る。

このさらなる開発の1つの優先的な実施形態によれば、少なくとも1種のスチレン含有コポリマーは、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)であり、第2の有機ポリマーは、スチレン-ブタジエンコポリマー(SBC)である。

1つの優先的なさらなる開発によれば、第2の有機ポリマーは、ISO 179によるシャルピー衝撃強さが、1〜10である。1つの優先的なさらなる開発によれば、第2の有機ポリマーは、ISO 868によるショアー硬さが65〜80Dである。1つの優先的なさらなる開発によれば、第2の有機ポリマーは、弾性率が1200〜2000MPaである。

1つの優先的なさらなる開発によれば、スチレン含有コポリマーと第2の有機ポリマーの濃度比は、1:0.05〜1:1、特に1:0.1〜1:0.80、特に優先的には1:0.25〜1:0.75である。このさらなる開発は、弾性、衝撃強さ及び硬度の点で改善された機械的性質を有する、スチレン含有コポリマーと第2の有機ポリマーのそれぞれのポリマーブレンドの利点をもたらす。優先的には、言及された混合比のスチレン含有コポリマーと第2の有機ポリマーのポリマーブレンドのISO 527による弾性率は、1500MPa〜3000MPaの範囲にある。適用可能なポリマーブレンドのISO 179による23℃で測定されたシャルピー衝撃強さは、好ましくは2kJ/m2〜50kJ/m2の範囲であり、ISO 2039-1によるボール押込み硬さは、50MPa〜150MPaの範囲である。

このさらなる開発の1つの優先的な実施形態によれば、少なくとも1種のスチレン含有コポリマーは、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)であり、第2の有機ポリマーは、ポリカーボネートであり、ABS対ポリカーボネートの濃度比は、0.65〜0.75対0.25〜0.35である。指示された割合のABSとポリカーボネートの混合物は、以下の有利な特性: - ISO 527による弾性率が2000MPa; - ISO 179による23℃で測定されたシャルピー衝撃強さが40kJ/m2; - ISO 2039-1によるボール押込み硬さが85MPa; - ISO 1183による密度が1.07g/cm3 である材料になる。

この材料は、したがって、それから製造した卓球ボールが広い温度範囲にわたって高い機械的強度を有するように、最適にはABSの良好な衝撃強さとポリカーボネートの高い硬度を兼ね備える。特性プロファイルは、両方とも輸送中並びにプレー中の最も多様な条件下で事実上一定なままである。

1つの優先的なさらなる開発によれば、外殻は、繊維、ウェーハ(wafer)、球状粒子、無機及び有機材料、特に軟化剤及び/又は顔料を含む群の中から選択される少なくとも1種のさらなる添加剤を含む。繊維、ウェーハ及び球状粒子は、有機並びに無機の両方であってもよい。適当な軟化剤、すなわち元の原料に少なくとも何らかの「弾性」特性を与える材料は、500MPa未満の弾性率並びに高い破断伸び及び衝撃強さ及び低い硬度によって特徴付けられている。これらの特性は通常、エラストマー又は低分子量ポリマーによって得られる。このさらなる開発は、卓球ボールの安定性、特にその動的応力に対する耐性を増大させ、その色及び光沢等の視覚特性を向上させることができるという利点をもたらす。このさらなる開発は更に、応力白化等の不可逆的材料損傷を防止できるという利点をもたらす。

外殻は、酢酸セルロースと混合したスチレン含有コポリマーを含有していないことが好ましい。

第2の態様によれば、本発明は、本発明による実質的に丸い中空体を生成するための方法に関する。

本発明の実質的に丸い中空体の製造は、好ましくは外殻のための材料を射出成形することによって行われる。特にプラスチック又はプラスチックを含有する材料の射出成形技術は、既知であり、したがってここでこれ以上議論することはない。

実質的に丸い中空体のための1つの特に好ましい製造方法では、2つの実質的に同一の、実質的に半球状の半外殻は、第1のステップで射出成形される。いくつかの条件下では、このような半外殻は、僅かなアンダーカットがあり、したがって非常に簡単に射出成形される。同じ射出成形用金型又は2つの構造的に同一の射出成形用金型は、両方の半外殻に更に使用でき、それにより製造費が更に下がる。

第2のステップでは、2つの半外殻は、次いで、それらの最大直径の縁部に沿って接合され、中空体にされる。輪状の継ぎ目は、したがって生成されるべき実質的に丸い中空体上に大きな円を形成する。

次いで2つの半外殻の接合が続くことが好ましいが、射出成形プロセスで生成された後、少なくとも一方、好ましくは両方の半外殻は金型内に配置されている。両方の半外殻は金型内に配置されている必要があり、これは、それらが含有する半外殻の縁部が接点で接合するように合わせることができるように、2つの金型が互いに対して移動できると想定される。金型中に少なくとも1つの半外殻を残すことにより、接合時に2つの半外殻の互いに対して特に優れた位置合わせが保証され、接合プロセス中の半外殻の変形が大部分防止される。

製造プロセスの特に優先的な実施形態では、2つの半外殻は、溶接によって、特に超音波溶接、振動溶接、熱板溶接、レーザー溶接又は回転溶接によって接合することができる。更に特に優先的な実施形態では、2つの半外殻は、接着によって接合される。

2つの半外殻の接合後、実質的に丸い中空体の内側及び/又は外側に形成する材料肥厚、特に溶接ビーズ、接着ビーズ又はいくつかの他の種類の変形させた、例えば膨潤させた若しくは圧縮された外殻材料のビーディングが可能である。このような材料肥厚は、その飛行又ははずみ特性等中空体の物理的性質に影響を与え得る。

接合プロセスはしたがって、好ましくは、2つの半外殻を接合させたときに中空体の内側に形成する材料肥厚が、各方向に中空体の平均肉厚の最大5倍、好ましくは最大2.5倍、更に好ましくは最大1.5倍の拡大を示すように設計されている。それによって、溶接ビーズが中空体の平均肉厚の最大5倍の拡大、及び接着ビーズが最大2.5倍の拡大を示すことが更に優先的である。

更に優先的な実施形態では、製造方法は、特にスタンピング、スムージング、照射、ラップ仕上げ、バフみがき、タンブリング及び/又はコーティングを用いた、中空体に対するさらなる処理ステップを含む。タンブリング及び/又は照射は、それによって好ましくは、少なくとも1種の無機、有機又はポリマー材料の場合、及びコーティングは、少なくとも1種の可溶性又は不溶性材料の場合に実現される。

ラップ仕上げは、ここではペースト又は液体中に分散させた自由な、すなわちばらばらの粒子で表面をスムージングするための機械加工プロセスを意味する。タンブリングプロセスでは、加工すべき部品を研磨剤又はデバリング剤と一緒に回転ドラム中に置き、ドラムが回転する間、部品が互いに及び研磨剤又はデバリング剤と接触することによって終了する。

好ましくは、少なくとも部分的な中空体のさらなる処理は、2つの半外殻が接合された後に中空体の外面に生じた材料の厚みを除去する。仕上げは、しかしながら、好ましくはその真円度等の幾何学的特性、色若しくは光沢等のその視覚特性、粗さ、牽引力若しくは空力抵抗等のその機械的性質及び/又はその汚れ若しくは湿気をはじく能力等のその化学的性質に影響を与えるために、全体として中空体全体の表面処理に役立つこともできる。表面仕上げは、更に中空体へのトルクの伝達を増大させ、その飛行特性を向上させることができる。

好ましくは、仕上げプロセスは、最大0.2±0.06mmの真円度公差を有する実質的に丸い中空体をもたらす。実質的に丸い中空体の外表面の表面品質は、好ましくはRa=1.0〜Ra=5.0である。

本発明による製造方法は、好ましくは、継ぎ目における可能な材料の厚さ外である、肉厚の公差が0.1mm未満の実質的に丸い中空体を生成する。

真円度及び/又は肉厚公差が指示範囲内に入るとき、飛行特性、高さ及び軌道に関するはずみ特性、並びにそれらの再現性は、影響を受けない又はほとんど影響を受けない。特に、少しも異常振動がない又は僅かな異常振動がある滑らかな中空体軌道を達成することができる。

好ましくは、本発明の製造方法を用いて実質的に丸い中空体を生成することは、均一な質量分布及び均一な外殻幾可学的形状を達成し、ここで、3つのx、y及びz軸の旋回半径重心(gyration radius center of gravity)は、0.5mm、好ましくは0.25mm以下で異なり、異なる空間方向における中空体の最大外径と最小外径の差は、0.5mm、好ましくは0.3mmを超えない。

均一な重量分布を達成するためには、本発明の製造方法はまた、中空体の内側及び/又は外側の幾可学的形状を選択的に変化させることを可能にする。例えば、肉厚は、赤道継ぎ目で中空体の内側に形成された材料厚さのより高い質量を補うために、実質的に丸い中空体の極に向かって選択的に僅かに増大させることができる。

射出成形の代わりに、実質的に半球状の半外殻は、さらなる優先的な遠心注型製造方法で生成することもできる。このプロセスでは、半球状金型を、好ましくは中空体の対称軸周りに回転させ、液体プラスチック材料を回転金型に注入する。プラスチック材料は、同様に金型の内壁で摩擦による回転に設定され、遠心力によって金型の内壁に対して外向きに加圧される。薄肉の半外殻が金型内でこのように形成され、同様に冷却後に凝固させる。

射出成形又は遠心注型による製造の代わりに、2つの半外殻は、初めは平らな、好ましくは円形のプラスチックディスクからそれらを形成することによってさらなる優先的な製造方法で生成することもできる。

この製造方法では、プラスチックシート又はフィルムは、最初に、溶融プラスチックをプレス及び/又は圧延して加圧下でフラットノズルに通すことによって押出成形又はカレンダー仕上げし、得られたシート又はフィルムを次いで冷却及び硬化させる。特に円形のディスクは、次いで、好ましくはそれらのスタンピング、切断又は鋸引きによって、シート又はフィルムから分離される。

好ましくは適当な打抜型によってプレスされたシート又はフィルムにより、好ましくはシート又はフィルムの面積は、肉厚に型出しされる。そうすることによって、上記の目的のために極の領域でこのように実質的に球状の中空体の均一な又は型出しされた肉厚を達成することができる。

ディスクは次いで、好ましくは深絞り又は真空変形を用いて、半外殻として半球状形態に形作る。このために、ディスクは、それらを軟化させるために再加熱し、次いで打抜型によって半球形状にプレスし、且つ/又は真空によって金型の内壁に引き寄せられる。

半外殻に形作ったディスクは、切断工具、好ましくはブレード、ウォータージェット又はレーザーカッターによって、生成すべき半球の縁部に対応する円形線に沿ってそれらの縁部及び/又はそれに続いて実質的に球状の中空体の赤道で切断されることによりさらなる加工を受けるのが好ましい。

そうすることによって、接合して上述したような実質的に球状の中空体になり得る、実質的に半球状の半外殻を生成する。

実質的に球状の中空体のためのさらなる優先的な製造方法では、同一のものを2つの半外殻からつなぎ合わせないが、むしろ好ましくは射出吹込成形によって一体形として生成される。

射出吹込成形プロセスでは、例えば射出成形によって生成された予成形品は、中空球形状の射出吹込成形用金型中で加熱され、圧縮空気の注入によって「膨張させる」。プラスチックを冷却させ、凝固させた後、この場合好ましくは2つの半球状の半外殻である、2つの部品からなる射出吹込成形用金型を開け、実質的に球状の中空体を取り出す。

金型の環状開口部において中空体の外側に依然としてあるかもしれない任意の隆起部は、好ましくは中空体の外側の材料厚さを除去するための上述の方法の1つを用いて、最後に除去される。

射出吹込成形によって実質的に球状の中空体を生成する場合、圧縮空気射出開口部が中空体の製造中に液体プラスチックによって閉められることができ又は周囲のプラスチックの流れによって自然に閉まりすらするような可能な限り最小の直径で、圧縮空気射出開口部が設計されることが有利である。

実質的に球状の中空体のためのさらなる優先的な製造方法では、同一のものを2つの半外殻からつなぎ合わせないが、むしろ好ましくは押出吹込成形によって一体形として生成される。

押出吹込成形プロセスでは、例えば押出しによって生成されたチューブは、中空球形状の吹込成形用金型中で加熱され、圧縮空気又は他のガスの注入によって「膨張させる」。プラスチックを冷却させ、凝固させた後、この場合好ましくは2つの半球状の半外殻である、2つの部品からなる押出吹込成形用金型を開け、実質的に球状の中空体を取り出す。

金型の環状開口部において中空体の外側に依然としてあるかもしれない任意の隆起部は、好ましくは中空体の外側の材料厚さを除去するための上述の方法の1つを用いて、最後に除去される。

押出吹込成形によって実質的に球状の中空体を生成する場合、圧縮空気射出開口部が中空体の製造中に液体プラスチックによって閉められることができ又は周囲のプラスチックの流れによって自然に閉まりするような可能な限り可能な最小の直径で、圧縮空気射出開口部が設計されることが有利である。

さらなる優先的な製造方法では、実質的に球状の中空体は、遠心注型によって一体形として生成することもできる。必要量の液体プラスチックは、それによって、好ましくは2つの半外殻から形成された中空の球状金型に注ぎ込まれる。金型は、次いで閉じられ、好ましくは同時に、且つ好ましくは均一に3つ全ての軸を中心に回転させる。

半外殻の遠心注型の上記の説明と類似して、実質的に球状の中空体は金型の内壁に形成し、これは凝固後及び金型が開けられた後に金型から取り出すことができる。金型の環状開口部において中空体の外側に依然としてあるかもしれない任意の隆起部は、上記のように再び除去することができる。

第3の態様によれば、本発明は、セルロイドを含まない、球体状の、特に37mm〜45mmの直径及び2.5g〜3.5gの質量を有する実質的に球状の中空体を生成するための、スチレンを含有するコポリマー、特にオレフィンモノマー、特にブタジエンモノマーを含むスチレン含有コポリマーの使用に関する。

1つの優先的なさらなる開発によれば、スチレン含有コポリマーは、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、スチレン-ブタジエンコポリマー(SBC)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレンコポリマー(MBS)及びメチルメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(MABS)を含む群の中から選択される。このさらなる開発は、より高いコポリマーの衝撃強さ及び弾性を兼ね備えることの利点をもたらす。このさらなる開発は更に、様々に異なる機械的性質を有する前記サブカテゴリーの市販されている、よく特徴付けられたコポリマーの大きい選択の利点をもたらす。

1つの優先的なさらなる開発によれば、スチレン含有コポリマーは、少なくとも1種の第2の有機ポリマーを更に含むポリマーブレンドの形態であり、特にここで、第2の有機ポリマーは、ポリカーボネート及びポリスチレンを含む群から選択されるホモポリマーであり、又はアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)及びスチレン-ブタジエンコポリマー(SBC)を含む群から選択されるコポリマーである。このさらなる開発は、それによって卓球ボールの機械的性質を最適化することができるという利点をもたらす。特に、少なくとも1種のスチレン含有コポリマーと1種の第2の有機ポリマーのポリマーブレンドを用いることによって、関連する機械的性質(「硬度」及び「弾性」)を、有利には兼ね備えることができる。

このさらなる開発の1つの優先的な実施形態によれば、少なくとも1種のスチレン含有コポリマーは、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)であり、第2の有機ポリマーは、ポリカーボネートである。この実施形態は、それによってABSコポリマーの有利な機械的性質、特に高い衝撃強さ及び弾性を、ポリカーボネートの高い硬度と兼ね備えることができるという利点をもたらす。

このさらなる開発の1つの優先的な実施形態によれば、ABS対ポリカーボネートの濃度比は、0.8〜1.5(ABS)対0.1〜0.5(ポリカーボネート)、好ましくは0.9〜1.1対0.2〜0.3、特に1.0〜0.25である。これは、特に有利な機械的性質のポリマーブレンドをもたらす。

本発明のさらなる利点、特徴及び可能な用途は、図1と併せて以下の説明からわかる。

(実施例1) セルロイドを含まない卓球ボールの製造及び特徴付け 2つのそれぞれの半球状の半外殻を射出成形し、その後溶接によって2つの半外殻を接合することによって、約40mmの直径を有する卓球ボールを生成した。異なるスチレン含有コポリマー並びにスチレン含有コポリマーと第2の有機ポリマーのポリマーブレンドを材料として使用した。それによって製造された卓球ボールを、先行技術のセルロイド及びセルロイドを含まない卓球ボールと、質量、直径、球形度、ずれ(deviation)、平らな表面上を直線的に「転がった(rolling)」後のセンターラインからの「veer(方向転換)」、バウンド及び硬度等の異なるITTF基準に関して比較した。

使用した材料及びそれらの機械的性質をTable 1(表1)に列挙する。

Table 2(表2)は、先行技術の卓球ボールと比較して、得られた製造した卓球ボールの特性プロファイルをまとめる。

プレーの感触 実施例1の卓球ボール(25〜35%PC+75〜65%ABS)のプレーの感触を、2人の公平な経験豊富な卓球選手によって、現在市場に出回っている最良のセルロイドボールの1つであるNittakuセルロイドボールのものと比較した。結果を図1に示す。各線上の2つの四角/十字/円は、2人の選手の評価を表す。

スケールのゼロ点は、異なるカテゴリー内のセルロイドボールの試験結果を示す。25〜35%PC+75〜65%ABSの卓球ボールは、セルロイドボールのものに匹敵するプレー中の感触を伝える。これは特に力強い且つ緩やかなストローク時のプレーの感触並びにラケット/ボール移動、逆スピン回転移動、主観的なボール硬度及びバウンドの均一性の選手の感覚に適用される。セルロイドを含まないボールのスピンは、セルロイドボールのものよりもはるかに悪く評価された。全体として見れば、しかしながら、選手は、25〜35%PC+75〜65%ABSの卓球ボールが問題なくプレーでき、ITTF公認ボールに実質的に匹敵することを示した。

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