Pressure-free tennis ball

申请号 JP13562991 申请日 1991-05-10 公开(公告)号 JP2558559B2 公开(公告)日 1996-11-27
申请人 住友ゴム工業株式会社; 发明人 HORIUCHI KUNYASU;
摘要
权利要求 (57)【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 トランスポリオクテネマーゴムを全ゴム中3〜50重量%含有するゴム組成物から作製した内圧が実質的に大気圧に等しい中空のコアと、該コアを被覆するカバーとからなる無圧テニスボール。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は、反撥性能が高く、かつ打球感の良好な無圧テニスボールに関する。

    【0002】

    【従来の技術】硬式テニスボールとしては、中空のコアの内部に空気またはガスを封入してコア内部を大気圧より0.6〜1.2kg/cm 2程度高くした加圧テニスボールと、コア内部が実質的に大気圧に等しい(大気圧より0.4kg/cm 2程度まで高い圧のものも含む)無圧テニスボールとがある。

    【0003】加圧テニスボールでは、コア内部に封入した空気またはガスの圧力がボールの反撥性能(ボールの飛び性能)や打球感(打撃時の感触で、いわゆるフィーリング)の向上に寄与するので、ボールの反撥性能や打球感が良好であるが、コア内部に封入した大気圧より高い圧力の空気またはガスが、外部との圧力差により、時間の経過とともにコア壁を透過して外部に漏出し、数カ月間で圧力を失ってしまう。

    【0004】その結果、加圧テニスボールでは、ボールの反撥性能が低下して、ボールが飛ばなくなり、テニスボールとして満足に使用できない状態になる。 そのため、加圧テニスボールでは、製造後一定期間内に使用するか、あるいは内部圧力の低下を防止するために、使用直前まで加圧容器中に保存しておく必要があり、不便さと高価につくという欠点がある。

    【0005】無圧テニスボールは、上記のような加圧テニスボールの欠点を解消するためのものであり、この無圧テニスボールでは、加圧テニスボールのようなコア内部の圧力低下に基づく特性低下は生じないものの、コア内部の圧力がボールの反撥性能や打球感の向上に寄与しない。

    【0006】そのため、無圧テニスボールでは、コアを構成するゴム組成物の反撥弾性によってボールの反撥性能や打球感を生みださなければならず、加圧テニスボールのコアに使用されているゴム組成物を転用してコアを作製しただけでは、加圧テニスボールのような反撥性能や打球感を持つことができない。

    【0007】そこで、コア用ゴム組成物にハイスチレン樹脂を配合したり、エチレンプロピレンゴムやエチレンプロピレンジエンゴムを配合したり、アイオノマー樹脂や木粉などを配合して、コアの反撥弾性を高め、加圧テニスボールの反撥性能や打球感に近づけようとする提案がされている(たとえば、特開昭55−96171号公報、特開昭54−34934号公報、特公昭46−25
    289号公報など)。

    【0008】

    【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在入手できる無圧テニスボールは、いずれも、硬く、ラケットで打った際に満足できない「感触」を生じるか、柔らかいものは反撥性能が低くて飛びが悪く、かつ加圧テニスボールのような打球感が出ず、しかもプレー進行中の強力な打撃の繰り返しによって、耐変形性の低下が著しくなり、そのため、打球感が軟らかくなりすぎ、かつ飛びが悪くなるという欠点がある。

    【0009】

    【課題を解決するための手段】本発明は、トランスポリオクテネマーゴムを全ゴム中3〜50重量%含有するゴム組成物からコアを作製することによって、加圧テニスボールに匹敵する反撥性能と打球感を有する無圧テニスボールを提供したものである。

    【0010】すなわち、本発明は、トランスポリオクテネマーゴムを全ゴム中に3〜50重量%含有させることによって、コアの反撥弾性を向上させ、ボールのリバウンドを高め、変形量を適正化して、加圧テニスボールと同等の反撥性能および打球感を有し、かつ、繰り返し打撃による打球感の低下が少ない無圧テニスボールが得られるようにしたものである。

    【0011】本発明において用いるトランスポリオクテネマーゴムは、シクロオクテンを原料とするポリマーであり、このシクロオクテンは1,3−ブタジエンから1,5−シクロオクタジエンを経由して合成される。

    【0012】上記のシクロオクテンはメタセシス重合反応でポリオクテネマーとなり、ポリオクテネマーは最後に線状および環状巨大分子の混合物となりトランスポリオクテネマーゴムとして得られる。

    【0013】上記のようなトランスポリオクテネマーゴムの具体例としては、たとえばドイツ国のヒュルス(H
    ULS)よりベステネマー(VENTENAMER)の商品名で市販されているものがあり、その代表的なものとしては、たとえばベステネマー8012(トランス量:約80%、融点:約54℃)、ベステネマー621
    3(トランス量:約60%、融点:約30℃)などがあげられる。

    【0014】本発明において、このトランスポリオクテネマーゴムをコア用ゴム組成物の全ゴム中3〜50重量%にするが、これは次の理由によるものである。

    【0015】トランスポリオクテネマーゴムが全ゴム中3重量%より少ない場合は、コアの硬度や反撥弾性を高めてボールの反撥性能や打球感を向上させる効果が充分に発揮されず、そのためハイスチレン樹脂などを多量に配合して硬さを補おうとすると、硬い感触を与え、良好な打球感を有する無圧テニスボールが得られない。 また、トランスポリオクテネマーゴムが全ゴム中50重量%より多くなると、打球感が硬い感触となり、反撥性能も低下する。

    【0016】本発明においては、ゴム成分中、上記トランスポリオクテネマーゴムを必須成分として用いるが、
    このトランスポリオクテネマーゴム以外のゴムとしては、たとえば天然ゴム、シス−1,4−ポリブタジエン、トランスポリブタジエン、スチレンブタジエン、エチレンプロピレンジエンゴムなどが用いられる。 特に天然ゴムやシス−1,4−ポリブタジエンをトランスポリオクテネマーゴムと併用するのが好ましい。

    【0017】本発明の無圧テニスボールのコア用ゴム組成物は、ゴム成分、つまり、上記トランスポリオクテネマーゴムやその他のゴムのほかに、通常、硫黄または有機硫黄加硫剤、たとえばチアゾール系、スルフェンアミド系、チラウム系、グアニジン系などの加硫促進剤の1
    種または2種以上、加硫促進助剤としての酸化亜鉛とステアリン酸、たとえばクレー類、炭酸カルシウム、セルロースパウダー、ホワイトカーボン(シリカ)、木粉などの無機または有機充填剤、さらには、ハイスチレン樹脂、ポリエチレンなどの熱可塑性の樹脂が必要に応じて適宜配合される。

    【0018】好適なコア用ゴム組成物を例示すると、たとえば、ゴム100重量部に対して、樹脂3〜50重量部、充填剤5〜40重量部、酸化亜鉛1〜15重量部、
    ステアリン酸0.5〜2重量部、硫黄または有機硫黄加硫剤1〜6重量部、加硫促進剤1〜6重量部を配合したゴム組成物である。 なお、上記配合量の基準となるゴム量は、トランスポリオクテネマーゴムとその他のゴムとの合計量であり、そのゴム中においてトランスポリオクテネマーゴムは3〜50重量%含有されていることが必要である。

    【0019】コアの厚みは、従来同様に、通常、3.5
    〜5mmにされる。 また、無圧テニスボールの作製にあたってのコア用ゴム組成物の調製のための混練、調製されたゴム組成物からのコアの成形、さらに該コアを用いての無圧テニスボールの成形なども、従来と同様の操作で行うことができる。

    【0020】たとえば、コア用ゴム組成物の調製のための混練は、硫黄(または有機硫黄加硫剤)と加硫促進剤以外の配合材料とゴムとをバンバリミキサーまたはニーダーで混練し、硫黄(または有機硫黄加硫剤)と加硫促進剤はロール上で上記の混練物に添加して混練することによって行われる。

    【0021】また、コアの成形は、調製されたゴム組成物を押出機でロッド状に押出成形して、ハーフシェル用金型に入れ、金型内で加圧成形して、ハーフシェルを作製し、得られたハーフシェルを中空の球体が形成されるように2個向かい合わせに貼り合わせ、コア用金型内で圧縮成形することによって行われる。

    【0022】その際、コア内には大気圧の空気が封入されるだけで、加圧テニスボールの製造に使用されるような内圧を0.6kg/cm 2以上にするための発泡剤は封入しない。 また、得られたコアに高圧の空気やガスを注入することも行わない。 したがって、コアの内圧は大気圧と実質的に等しい。

    【0023】そして、無圧テニスボールの成形は、上記コアにメルトンなどの織物やフェルト製のカバーを被覆し、ボール用金型内で圧縮成形することによって行われる。

    【0024】

    【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。

    【0025】実施例1〜5および比較例1〜4 表1〜表2に示す組成のコア用ゴム組成物を調製し、該ゴム組成物から中空のコアを作製し、得られたコアにメルトンカバーを被覆して無圧テニスボールを製造した。

    【0026】なお、表1には実施例1〜5の無圧テニスボールのコア用ゴム組成物の組成を示し、表2には比較例1〜4の無圧テニスボールのコア用ゴム組成物の組成を示す。 また、表1〜表2中の各材料の配合量は重量部によるものであり、表1〜2表中で材料に関して※印を付した部分の補足説明は、表2の後に(注)として示す。

    【0027】

    【表1】

    【0028】

    【表2】

    (注) ※1:JSR BR11(商品名、日本合成ゴム社製) ※2:UBEPOL BR15(商品名、宇部興産社製) ※3:ニッポール2007J(商品名、日本ゼオン社製、スチレン85重量%) ※4:エスプレン512F(商品名、住友化学工業社製のエチレンプロピレンジエンゴム) ※5:商品名、ヒュルス社製のトランスポリオクテネマーゴム、トランス量:約80% ※6:商品名、ヒュルス社製のトランスポリオクテネマーゴム、トランス量:約60% ※7:ジベンゾチアジスルフィド ※8:ジフェニルグアニジン

    【0029】上記無圧テニスボールの製造のための操作は従来から無圧テニスボールの製造に際して通常に採用されている手段によって行うことができる。 それを示すと次の通りである。

    【0030】まず、コア用ゴム組成物調製のための混練は、硫黄と加硫促進剤以外の配合材料とゴムとをバンバリーミキサーで混練し、硫黄と加硫促進剤はロール上で上記の混練物に添加して混練することにより行った。

    【0031】つぎに、上記のようにして調製されたゴム組成物を押出機でロッド状に押出成形して、ハーフシェル用金型に入れ、160℃で2分間圧縮成形した。 得られたハーフシェルを中空の球体が形成されるように2個向かい合わせに貼り合わせ、コア用金型内で150℃で12分間圧縮成形してコアを作製し、このコアにメルトンカバーを被覆し、ボール用金型内で150℃で20分間圧縮成形して無圧テニスボールを製造した。

    【0032】得られた無圧テニスボールの物性を測定した結果ならびに打球感を表3〜表4に示す。 なお、表3
    には実施例1〜5の無圧テニスボールの物性と打球感を示しており、表4には比較例1〜4の無圧テニスボールの物性と打球感ならびに国際テニス連盟の規格値を示す。

    【0033】上記無圧テニスボールのコアの厚みはいずれも4.4mmであり、また、表3〜表4の各種物性は次のようにして測定したものである。

    【0034】 フォワード変形量(mm)まず、ボールをXYZ軸(それぞれ相互に直をなす3
    つの軸)方向に2.54cmずつ圧縮することを3回繰り返す。 この予備圧縮後、2時間以内にスチーブンスコンプレッションテスターにて次の方法によって変形量を測定する。

    【0035】ボールに初期荷重3.5ポンド(1.57
    5kg)をかけた時から18ポンド(8.165kg)
    の荷重をかけたときまでのボールの変形量(mm)を測定する。

    【0036】 リターン変形量(mm)前記フォワード変形量を読み取った後、変形量が2.5
    4cmになるまでさらに荷重をかけ、その時点から18
    ポンド(8.165kg)の荷重まで変形を回復させ、
    その時の変形量(mm)を測定する。

    【0037】 リバウンド(cm)ボールを100インチ(254cm)の高さからコンクリート面に落下させ、跳び上がった高さ(ただし、ボールの下側)を測定する。 それを3回繰り返し、平均値を求める。

    【0038】

    【表3】

    【0039】

    【表4】

    【0040】表3〜表4に示すように、本発明の実施例1〜5の無圧テニスボールは、いずれも、比較例1〜4
    の無圧テニスボールに比べて、リバウンドが大きく、また、フォワード変形量、リターン変形量とも適正な範囲内にあって、高い反撥性能を有していた。

    【0041】また、本発明の実施例1〜5の無圧テニスボールは、加圧テニスボールと同等の打球感を有し、飛びも良く、また、繰り返し打撃による打球感の変化も少なく、もとより、物性的にも国際テニス連盟規格に合格していて、上級テニス選手権に用いても充分に満足できる特性を有していた。

    【0042】

    【発明の効果】以上説明したように、本発明では、トランスポリオクテネマーゴムを全ゴム中に特定割合で含有させたゴム組成物からコアを作製することによって、反撥性能が高く、かつ打球感が良好な無圧テニスボールを提供することができた。

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