Low spin golf ball comprising a mantle with a bubble or liquid core

申请号 JP2000598580 申请日 2000-02-11 公开(公告)号 JP2002536144A 公开(公告)日 2002-10-29
申请人 スポルディング、スポーツ、ワールドワイド、インク; 发明人 サリヴァン,マイクル,ジェイ; ネスビット,アール,デニス;
摘要 (57)【要約】 本発明は、低スピン速度を有する成形ゴルフボールを製造するために軟質カバー(102)及び硬質カバー(102)を含むゴルフボール(100)に関する。 ゴルフボール(100)は、1層以上のマントル層(20、30)と気泡(40)あるいは液体コア(50)成分を含む。 ゴルフボール(40)は、1層以上の金属マントル層(20、30)に対して内側に配置された任意の高分子球形基体(30)も備えることができる。 本発明のゴルフボール(100)は、スピン速度をさらに下げるのに役立つ拡大した直径も利用できる。 得られたゴルフボールは、耐久性、競技好適性及びレジリエンスを犠牲にしないでスピン速度を低下させる特性を示す。
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 (i)中空内部を画定する内面と前記内面とは反対側の外面を有する球形金属マントルと、(ii)前記金属マントル内で、前記マントルの前記内面に近接配置された気泡コアとを含んでおり、少なくとも約75のRiehle圧縮力を有するコアと; 前記コアの周囲に配置され、少なくとも約65のショアD硬度を有する重合体カバーとを含むゴルフボール。
  • 【請求項2】 前記カバーは、16重量%を超えたアルファ、ベータ不飽和カルボン酸の共重合体と、共重合体の約10〜約90%のカルボキシル基が金属陽イオンで中和されるアルファオレフィンとを含む少なくとも1つの高酸性イオノマー樹脂から成る、請求項1記載のゴルフボール。
  • 【請求項3】 前記カバーは、約17〜約25重量%のアルファ、ベータ不飽和カルボン酸の共重合体と、共重合体の約10〜約90%のカルボキシル基が金属陽イオンで中和されるアルファオレフィンとを含む少なくとも1つの高酸性イオノマー樹脂から成る、請求項2記載のゴルフボール。
  • 【請求項4】 前記カバーは、約18.5〜約21.5重量%のアルファ、
    ベータ不飽和カルボン酸と、共重合体の約10〜約90%のカルボキシル基が金属陽イオンで中和されるアルファオレフィンとを含む少なくとも1つの高酸性イオノマー樹脂から成る、請求項3記載のゴルフボール。
  • 【請求項5】 前記マントルは、鋼、チタン、クロム、ニッケル及びそれらの合金から成る群から選択された少なくとも1つの金属を含む、請求項1記載のゴルフボール。
  • 【請求項6】 前記マントルはニッケルチタン合金を含む、請求項5記載のゴルフボール。
  • 【請求項7】 前記マントルは約0.001インチ〜約0.050インチの範囲の均一な厚さがある、請求項1記載のゴルフボール。
  • 【請求項8】 前記厚さは約0.005インチ〜約0.050インチの範囲である、請求項7記載のゴルフボール。
  • 【請求項9】 前記厚さは約0.005インチ〜約0.010インチの範囲である、請求項8記載のゴルフボール。
  • 【請求項10】 前記マントルは、 前記内面を設けた第1球形シェルと; 前記第1シェルに隣接して配置されており、前記外面を設けた第2球形シェルとを含む、請求項1記載のゴルフボール。
  • 【請求項11】 前記第1シェルと第2シェルは、鋼、チタン、クロム、ニッケル及びそれらの合金から成る群から選択された金属を個々に含む、請求項1
    0記載のゴルフボール。
  • 【請求項12】 前記第1シェルと第2シェルの少なくとも1つは、ニッケルチタン合金を含む、請求項11記載のゴルフボール。
  • 【請求項13】 前記マントルと前記気泡コアとの間に配置された高分子中空球形基体をさらに含む、請求項1記載のゴルフボール。
  • 【請求項14】 前記基体は、約0.005インチ〜約0.010インチの厚さがある、請求項13記載のゴルフボール。
  • 【請求項15】 前記気泡コアは、ポリブタジエン/ZDA混合物、ポリウレタン、ポリオレフィン、イオノマー、メタロセン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリエステル、及びポリスチレンから成る群から選択された少なくとも1つの材料を含む、請求項1記載のゴルフボール。
  • 【請求項16】 前記気泡コアは、架橋ポリブタジエン/ZDA混合物を含む、請求項15記載のゴルフボール。
  • 【請求項17】 前記気泡コアは、前記金属マントルの前記内面に直ぐ隣接して配置される、請求項1記載のゴルフボール。
  • 【請求項18】 前記カバーは、0.0675インチを超える厚さを有する、請求項1記載のゴルフボール。
  • 【請求項19】 前記カバーは、約0.0675インチ〜約0.130インチの厚さを有する、請求項1記載のゴルフボール。
  • 【請求項20】 前記ゴルフボールが約1.680〜1.800インチの直径を有する、請求項1記載のゴルフボール。
  • 【請求項21】 (i)内部領域を画定する少なくとも1つの中空高分子球形基体と内部領域を画定する中空金属マントルと、(ii)前記少なくとも1つの前記中空高分子球形基体の前記内部領域と前記中空金属マントルに配置された液体を有しており、少なくとも約75のRiehle圧縮力を有するコアと; 前記コアの周囲に配置され、少なくとも約65のショアD硬度を有する重合体カバーとを含むゴルフボール。
  • 【請求項22】 前記カバーは、少なくとも16重量%のカルボン酸と、共重合体の約10〜約90%のカルボキシル基が金属陽イオンで中和されるアルファオレフィンとを有する少なくとも1つのイオノマー樹脂を含む、請求項21記載のゴルフボール。
  • 【請求項23】 前記マントルは、鋼、チタン、クロム、ニッケル及びそれらの合金から成る群から選択された少なくとも1つの金属を含む、請求項21記載のゴルフボール。
  • 【請求項24】 前記マントルは、ニッケルチタン合金から成る、請求項2
    3記載のゴルフボール。
  • 【請求項25】 前記マントルは、約0.001インチ〜0.060インチの範囲の均一な厚さを有する、請求項23記載のゴルフボール。
  • 【請求項26】 前記液体は、水、アルコール及び油から成る群から選択された少なくとも1つの物質と、無機塩、粘土、バライト及びカーボンブラックから成る群から選択される少なくとも1つの物質を含む、請求項21記載のゴルフボール。
  • 【請求項27】 前記コアは、無機塩と水から成る、請求項26記載のゴルフボール。
  • 【請求項28】 前記無機塩は、塩化カルシウムである、請求項27記載のゴルフボール。
  • 【請求項29】 前記アルコールは、グリセリンである、請求項26記載のゴルフボール。
  • 【請求項30】 前記ゴルフボールは、約1.70から約1.80インチの直径を有する、請求項21記載のゴルフボール。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】 関連出願に対する相互参照本発明は、1993年4月28日に出願された米国特許出願第08/054,4
    06号の継続出願である1994年6月8日に出願された米国特許出願第08/
    255,442号の分割出願である1996年9月19日に出願された米国特許第08/716,016号の一部継続出願である。 これは、1996年9月16日に出願された米国特許出願第08/714,661号の一部継続出願であり、1
    997年3月27日に出願された米国暫定特許出願第60/042,120号、
    1997年3月28日に出願された米国暫定特許出願第60/042,430号の優先権を主張する、1997年11月12日に出願された米国特許出願第08
    /969,083号の一部継続出願でもある。

    【0002】 発明の分野本発明は、ゴルフボールに関し、より詳細には低スピン速度を有する改良型ツーピースゴルフボールに関する。 ゴルフボールにおける改良は、1つ以上の特定の硬質高剛性イオノマーの配合物から作られた硬質カバーと比較的軟質のコアの組合せの結果として得られる。 軟質コア及び硬質カバーの組合せは、反復的プレイに必要なレジリエンス及び耐久性といった特性を維持する一方で、予想されたスピン速度より低いスピン速度をもつ改良型ゴルフボールへと導く。

    【0003】 本発明は、1層以上の金属マントル(mantle)層を含み、さらに気泡又は液体コアを含むゴルフボールにも関する。 ゴルフボールは、任意の高分子内部中空球形基体を含んでいてもよい。

    【0004】 本発明の付加的な実施態様においては、スピン速度は、コアサイズを維持しながら、比較的軟質なコアの重量を低減させカバーの厚さを増大させることによってさらに低減させられる。 より大きく、密度が低い完成ボールは、従来のボールに比べてクラブインパクトの後より低いスピン速度を示す。

    【0005】 発明の背景スピン速度は、熟練したゴルファ及び未熟なゴルファの両方にとって重要なゴルフボール特性である。 高いスピン速度は、PGAプロゴルファや低いハンディキャップのプレイヤといったようなより熟練したゴルファがゴルフボールのコントロールを最大限にすることを可能にする。 このことは、グリーンへのアプローチショットを打つときに、より熟練したゴルファにとって特に有益である。 意図的に「バックスピン」をかけ、これによりグリーン上ですばやくボールを停止させる能、及び/又はボールをドロー又はフェードさせるために「サイドスピン」をかける能力は、実質的にボールに対するゴルファのコントロールを改善させる。 したがって、より熟練したゴルファは一般に、高いスピン速度特性を示すゴルフボールの方を好む。

    【0006】 しかしながら、高スピンゴルフボールは、全てのゴルファ、特に意図的にボールのスピンをコントロールできないハンディキャップの高いプレイヤにとって望ましいものではない。 この点において、より技量の低いゴルファは、自らのゲームを改善する2つの実質的な障害、すなわちスライスそしてフックを有する。 クラブヘッドがボールにミートするとき、意図的でないサイドスピンが往々にして付与され、こうしてボールはその意図されたコースから外れて送り出されることになる。 サイドスピンは、ボールならびにボールが飛行する距離に対するコントロールを低減させる。 その結果、望ましくないストロークがゲームに追加される。

    【0007】 その結果、より熟練したゴルファが高スピンゴルフボールを望む一方で、さほど熟練していないプレイヤにとってより効率の良いボールは、低スピン特性を示すゴルフボールである。 低スピンボールは、スライス及びフックを低減させ、アマチュアゴルファのためのロール飛距離を増大させる。

    【0008】 本発明者は、反復的な使用のために必要な耐久性、競技好適性及びレジリエンス特性を同時に維持しながら、クラブインパクトの後に低減されたスピン速度をもつゴルフボールを開発する必要性に取り組んだ。 本発明の低減したスピン速度のゴルフボールは、米国ゴルフ協会(U.S.G.A)が設定した規則及び規定を満たす。

    【0009】 この線に沿って、U.S.G.Aは、ゴルフボールが適合しなければならない5
    つの特定的規定を定めている。 U.S.G.A規則は、ボールの直径が1.680インチ以下であってはならないことを規定している。 しかしながら、このような制約があるにもかかわらず、ゴルフボールの最大許容直径に関する特定の制限は全く存在しない。 その結果、ゴルフボールは、それが直径1.680インチよりも大きくかつ、その他の4つの特定的規定を満たすかぎり、望むだけ大きいものとすることができる。

    【0010】 U.S.G.A.規則は、ボールの重量が1.620オンス以下であること、そしてその初速が最大許容度2%で秒速250フィートを超えないこと又は最高25
    5フィート/秒であることをも規定している。 さらにU.S.G.A.規則は、ボールがU.S.G.A.屋外ドライビングマシンにより特定の条件下で打撃されたとき、6%のテスト許容度で280ヤードを超える距離を飛行してはならないことを記している。

    【0011】 本発明者は、比較的軟質のコア(すなわち約75〜160のRiehle圧縮力)及び硬質カバー(すなわち65以上のショアD硬度)の組合せは、結果として得られるツーピースゴルフボールの全体的スピン速度を著しく低減させるということを見極めた。 本発明者は、カバー厚さの増大、ひいては結果として得られる成形ゴルフボールの全体的直径の増大がさらにスピン速度を低減させることをも学びとった。

    【0012】 米国で販売されている最高級のゴルフボールは一般に、ツーピースボール又はスリーピースボールという2つのタイプのうちの1つに分類することができる。
    Spalding & Evenflo Companies, Inc.(その全面所有の子会社Lisco Inc.を通した本発明の譲受人)によってTOP−FLITEという商標で販売されているボールによって例示されるツーピースボールは、中実の重合体コアと別途形成された外部カバーで構成されている。 Acushnet CompanyによりTITLEISTという商標で販売されているボールによって例示される、いわゆるスリーピースボールは、液体(例えばTITLEIST TOUR384)又は固体(例えばTI
    TLEIST DT)のセンタ、センタのまわりの弾性の糸巻線及びカバーから成る。

    【0013】 Spaldingのツーピースゴルフボールは、予備成形ポリブタジエン(ゴム)コアのまわりに天然(バラタ)又は合成(すなわちイオノマー樹脂のような熱可塑性樹脂)重合体カバー組成物を成形することによって製造される。 成形プロセス中、望ましいディンプルパターンがカバー材料内へ成形される。 ゴルフボールの仕上げに関与するコーティング工程の数を削減するため、成形に先立ち、全体として「オフホワイト」色の重合体カバー組成物に、カラー顔料又は染料そして数多くの場合において蛍光増白剤が直接添加される。 ゴルフボールコア上に成形されるカバー組成物中に顔料及び/又は蛍光増白剤を取込むことにより、このプロセスは、白色又はカラー(特にオレンジ色、ピンク及び黄色)のゴルフボールを製造するための補足的な着色塗装工程の必要性をなくす。

    【0014】 多層ゴルフボールに関しては、Spaldingは、世界で最も進んだツーピースゴルフボールメーカーである。 Spaldingは、ボールのコア、カバー及びコーティング材料に応じて異なる競技好適性(すなわちスピン速度、圧縮力、フィーリングなど)、飛行距離(初速、C.O.R.など)、耐久性(耐衝撃性、耐切断性及び耐候性)及び外観(すなわち白色度、反射率、黄色度など)といったような特性ならびにボールの表面形態(すなわちディンプルパターン)において明らかに変動する60以上の異なるタイプのツーピースボールを製造している。 その結果、Spal
    dingのツーピースゴルフボールは、アマチュア及びプロの両方のゴルファーに、
    個人のゲームに適したさまざまな性能特性を提供している。

    【0015】 ゴルフボールの特定の構成要素に関しては、カバーの性質は、ある種の場合においてボールの全体的フィーリング、スピン(コントロール)、反発係数(C.
    O.R.)及び初速に対し多大な貢献を果たすことができるものの(例えばMolito
    r に対する米国特許第3,819,768号を参照のこと)、ツーピース及びスリーピースボールの初期速度は、主としてコアの反発係数によって決定される。 糸巻き(すなわちスリーピース)ボールのコアの反発係数は、巻付け張力及び糸及びセンタの組成を調節することによって、限界内で制御することができる。 ツーピースボールに関しては、コアの反発係数は、それを作り上げているエラストマー組成物の特性の関数である。

    【0016】 ゴルフボールのカバー構成要素は、結果として得られるボールの圧縮力(フィーリング)、スピン速度(コントロール)、飛距離(C.O.R.)及び耐久性(
    すなわち耐衝撃性など)をもたらす上で特に影響を及ぼす。 結果として得られるゴルフボールの所望の特性を最適化するため、Spaldingその他により、さまざまなカバー組成物が開発されてきた。

    【0017】 過去20年間にわたり、カバー及びコア材料処方の改善及びディンプルパターンの変更が多少の差こそあれ連続的にゴルフボールの飛距離を改善してきた。 しかしながら、最高級のゴルフボールは、その他のいくつかの重要な設計規準を満たさなくてはならない。 今日のゴルフボール市場で成功裡に競合していくためには、ゴルフボールは切断に対する耐性を有しているべきであり、かつ充分に良好に仕上げられていなければならない。 それはパッティングにおいてラインを保たなくてはならず、またすぐれたクリック及びフィーリングを有しているべきである。 さらに、ボールは、必然的にエンドユーザーの技量及び経験に影響されるスピン及びコントロール特性を示さなくてはならない。

    【0018】 従来の当業者は、金属層又は金属充てん剤粒子をゴルフボールに取り入れてゴルフボールの物理的特性及び性能を変える試みをしてきた。 例えば、Strayerに付与された米国特許第3,031,194号は、ゴルフボール内の弾力的内部成分に結合あるいは付着している球形内部金属層の使用に関連している。 このボールは液体充てんコアを利用する。 Matsukiらに付与された米国特許第4,863
    ,167号は、中実ゴムベースのコア内に配置された1種以上の金属から形成することができる重力充てん剤を含有するゴルフボールを記載している。 Walkerに付与された米国特許第4,886,275号及び第4,995,613号は共に、は、高密度金属含有コアを有するゴルフボールを開示している。 Corleyに付与された米国特許第4,943,055号は、金属センタを有する重量付加ウォームアップボールに向けられている。

    【0019】 従来の当業者はまた、金属から形成され、中空センタを特徴とする1層以上の内部層を有するゴルフボールについても記載した。 Davisは、米国特許第697
    ,816号に中空エア充てんセンタを有する球鋼シェルを含むゴルフボールを開示した。 Kempshallは、第704,748号;第704,838号;第713,
    772号;及び第739,753号等の金属内部層及び中空内部を有するゴルフボールに関する多数の特許を受けた。 米国特許第1,182,604号及び第1
    ,182,605号において、Wadsworthは、焼き戻し鋼から形成した同心球形シェルを利用するゴルフボールを記載している。 Lewisに付与された米国特許第1,568,514号は、1つがボール内に配置された多数の鋼シェルを利用し、ボールに中空センタを設けたゴルフボールの幾つかの実施態様を記載している。

    【0020】 従来の当業者は、液体充てんセンタを有するゴルフボールを提供することを試みた。 Tolandは米国特許第4,805,914号に液体コアを有するゴルフボールを記載した。 Tolandは、液体中に存在する溶解ガスを除去して液体コアの圧縮度を下げることによって改善された性能を説明している。 Watanabeらに付与された米国特許第5,037,104号、及びNomuraらに付与された米国特許第5,
    194,191号は、液体コアを有する糸巻付けゴルフボールを開示している。
    同様に、Sugimotoらに付与された米国特許第5,421,580号及びEbisuno
    らに付与された米国特許第5,511,791号は共に、特定の範囲の粘度又は直径に制約された液体コアを有する糸巻付けゴルフボールに関連している。 さらに、Molitorらは、液体センタを備えたゴルフボールを米国特許第5,150,
    906号及び第5,480,155号に記載した。

    【0021】 液体コアと組み合わせて金属マントル層を有するゴルフボールを開示している2つの米国特許は、Strayerに付与された米国特許第3,031,194号及び前に述べたLewisに付与された米国特許第1,568,514号である。 これらの特許に開示されたボールの構造と設計の教示は、残念ながら多数の異なった材料層と比較的複雑あるいは込み入った製造要件であり、あるいは本発明のゴルフボール市場にとって長らく受け入れられなかった材料を利用している。

    【0022】 コアとして利用される気泡あるいは発泡高分子材料をゴルフボールに利用する試みについては、殆どその方策が提案されていない。 Puckettらに付与された米国特許第4,839,116号は、短飛距離ゴルフボールを開示している。 おそらく、気泡コアを使用するボールで考えられる反発係数のロス又は低下から、従来の当業者が、ゴルフボールに望ましくない気泡(フォーム)又は気泡材料の使用を検討したと考えられる。

    【0023】 少なくとも幾つかの点では満足できるが、前述のボール構造の全て、特に金属シェル及び液体コアを利用する少数のゴルフボールは不十分である。 これは現在のゴルフ業界の厳しい要求を考慮すれば、最も明らかである。 さらに、気泡材料を含むゴルフボールの少数の開示は、規定ゴルフボールに気泡材料を使用する気を起こさせない。 特に、高い初速度又は高い反発係数(COR)を示し、正規プレイで比較的長い飛距離を出すことができ、また容易に安価で製造可能なゴルフボールの必要性がある。

    【0024】 一代替実施態様では、ボールのスピン速度が、カバーの厚さを増し、かつ/又は、コアの重さと柔軟性を減らすことによってさらに低下する。 カバーの厚さ及び/又は得られた成形ゴルフボールの全体の直径を増大することにより、さらに低下したスピン速度が観察される。

    【0025】 ボールの増大したサイズに関しては、長年にわたりゴルフボールメーカーは一般に、U.S.G.Aにより定められた最小サイズ及び最大重量の仕様で又はその付近でゴルフボールを製造してきた。 しかしながら、特に教材としてのゴルフボールの製造に関連して例外が存在してきた。 例えばゴルフ教材として使用するために特大、過大重量の(従って認可されていない)ゴルフボールが販売されてきた。 (Barberに対する米国特許第3,201,384号参照)。

    【0026】 特大ゴルフボールは、当該譲受人の前任者に対して発行された1980年1月1日付のニュージーランド特許第192,618号の中でも開示されている。 この特許は、反発係数を増大させるため、1.700〜1.730インチの間の直径をもつ特大ゴルフボール及び弾性材料製の特大コア(すなわち直径約1.585
    〜1.595インチ)を教示している。 さらに、該特許は、ボールには従来のボールのカバー厚さよりも小さい厚さをもつカバー(すなわち従来のツーピースボールの0.090インチに対し約0.050インチのカバー厚さ)が内含されるべきであるということを開示している。

    【0027】 さらに、1915年にSpaldingによって作られたゴルフボールが1.630インチから1.710インチまでの範囲の直径を有していたということにも留意されたい。 ボールの直径が増大するにつれて、ボールの重量も増加した。 これらのボールは、バラタ/ガタパーチャで作られたカバー及び固体ゴム又は液体袋で作られかつ弾性糸が巻きつけられたコアで構成されていた。

    【0028】 LYNX JUMBOとして知られているゴルフボールも、1979年10月にLynxにより市販されていたものである。 これらのボールは、1.76〜1.80
    インチの直径を有していた。 これらのボールは、商業的にほとんど、又は全く成功しなかった。 LYNX JUMBOボールは、糸巻きコアから成るコア及び天然又は合成バラタから成るカバーで構成されていた。

    【0029】 しかしながら、これらのゴルフボールは直径が増強されたにもかかわらず、そのいずれも本発明の増強されたスピン低減特性及び全体的競技好適性、飛距離及び耐久性特性を生み出さず、かつ/又はU.S.G.Aが定めている規定の範囲内に入ることはなかった。 本発明の目的は、反復的プレイに必要なレジリエンス及び耐久性といった特性を維持しながら、改善された低スピン特性をもつU.S.G
    .A規則準拠ゴルフボールを製造することにある。

    【0030】 本発明のこれらの及びその他の目的及び特徴は、本発明の以下の概要及び記述、そして請求の範囲から明らかになることだろう。

    【0031】 発明の概要本発明はクラブのインパクト時に低速スピンの改善されたゴルフボールに関連する。 このゴルフボールは軟質コアと硬質カバーを含む。 硬質カバーは好ましくは従来の直径より大となるサイズに作られる。 低スピン速度によりさらに大きい飛距離が可能となる。 また、低スピン速度は未熟なゴルファーに簡単なコントロールを与える。 この理由は、低スピン速度がスライスやフックとなる望ましくないサイドスピンを減少させるためである。 硬質カバーと軟質コアの組み合わせによりゴルフボールが予想スピン速度より低速となり、同時に高レジリエンスと良好な耐久性が維持される。

    【0032】 本発明は、1つの形態において、(i)中空内部を画定する球形金属マントルと、(ii) 前記金属マントル内に配置された気泡コアとを含むゴルフボールを提供する。 そのコアは少なくとも約75のRiehle圧縮力を示す。 このゴルフボールはさらに、コアの周囲に配置され、少なくとも約65のショアD硬度を有する重合体カバーを有している。

    【0033】 本発明の別の形態では、(i)中空高分子球形基体か中空金属マントル、及び(ii)前記高分子基体か金属マントルの内部領域内に配置される液体を有するコアを含むゴルフボールが提供される。 このゴルフボールのコアは少なくとも約7
    5のRiehle圧縮力を示す。 ゴルフボールはさらに、少なくとも約65のショアD
    硬度を有しており、コア周囲に配置された重合体カバーを有する。

    【0034】 より軟質のコア及び硬質カバーを使用することにより、本発明の完成ボール全体は、同等のサイズ及び重量の従来のボールよりもはるかに低いスピン速度を示す。 さらに、スピンの低減はカバーの厚さも増大させ、軟化されたコアの重量を減少させることによっても生み出される。

    【0035】 本発明のさらなる利用可能範囲は、以下に示す詳細な説明から明らかになることだろう。 しかしながら、詳細な記述及び具体例は、本発明の好ましい実施態様を示しているものの、例示として与えられているにすぎず、当業者には本発明の精神及び範囲内でさまざまな変更及び修正が明らかになることだろう、ということを理解すべきである。

    【0036】 好ましい実施態様の詳細な説明本発明は、比較的軟質のコアと硬質のカバーを組合わせた結果としての低スピン速度をもつゴルフボールに関する。 クラブインパクトの後のこのようなより低いスピン速度は、ボールを打損んじた場合のよりまっすぐなショット、より大きい飛球効率そして大地との衝撃時点でのより低いエネルギー損失度に寄与し、増大したロール又は飛距離を追加する。

    【0037】 本発明はさらに、1層以上の金属マントル層と液体か気泡のコアの成分を含むゴルフボールに関する。 本発明は、そのようなゴルフボールを製造するための方法にも関する。

    【0038】 さらに、本発明の全体的ボールの直径を、1.680インチというU.S.G.A
    の最低値以上に増大させることにより、スピン速度はさらに一層低減する。 本発明のこの実施態様においては、ボールは、より大きい直径のものであっても、実質的に、標準的ゴルフボールと同じサイズのコアを用い、ここでサイズの差はボールのカバーの付加的厚さによって提供される。 このより大きい低スピンボールは、本発明の標準サイズのボールの実施態様よりもさらに大きいコントロール及び飛行効率を生み出す。 本明細書ではさまざまな測定値について言及されている。 すなわち以下のようなものである:

    【0039】 Riehle圧縮力は、200ポンドの固定静荷重の下での千分の1インチ単位で表わしたゴルフボールの変形の測定値である(47というRiehle圧縮力は、荷重下での0.047インチのたわみに対応する)。

    【0040】 反発係数(C.O.R.)は、テスト砲の砲口から12フィートのところに位置づけされた鋼板に対し結果として得られたゴルフボールを毎秒125フィートの速度で空気テスト砲内で発射させることによって測定される。 このとき、はね返り速度が測定される。 はね返り速度を順方向速度で除算すると、反発係数が得られる。

    【0041】 ASTM試験D−2240に従って、ショア硬度が測定される。

    【0042】 図1は、本発明に従う第1の好ましい実施態様のゴルフボール100を示している。 参照図は必ずしも一定の縮尺でないことが理解されよう。 この第1の好ましい実施態様のゴルフボール100は、最外部の重合体外部カバー10と、1層以上の金属マントル層20と、最内部高分子中空球形基体30と、気泡コア40
    から成っている。 このゴルフボール100には、ボール100の外面102に沿って画定された複数のディンプル104が設けてある。

    【0043】 図2は、本発明に従う第2の好ましい実施態様のゴルフボール200を示している。 このゴルフボール200は、最外部の重合体外部カバー10と、1層以上の金属マントル層20と、気泡コア40から成っている。 この第2の好ましい実施態様のゴルフボール200には、ボール200の外面202に沿って画定された複数のディンプル204が設けてある。

    【0044】 図3は、本発明に従う第3の好ましい実施態様のゴルフボール300を示している。 このゴルフボール300は、1層以上の金属マントル層20と、気泡コア40から成っている。 このゴルフボール300には、ボール300の外面302
    に沿って画定された複数のディンプル304が設けてある。

    【0045】 図4は、本発明に従う第4の好ましい実施態様のゴルフボール400を示している。 このゴルフボール400は、1層以上の金属マントル層20と、任意の高分子中空球形基体30と、気泡コア40から成っている。 このゴルフボール40
    0には、ボール400の外面402に沿って画定された複数のディンプル404
    が設けてある。

    【0046】 図5は、本発明に従う第5の好ましい実施態様のゴルフボール500を示している。 この第5の好ましい実施態様のゴルフボール500は、最外部の重合体外部カバー10と、1層以上の金属マントル層20と、最内部の高分子中空球形基体30と、液体コア50から成っている。 このゴルフボール500には、ボール500の外面502に沿って画定された複数のディンプル504が設けてある。

    【0047】 図6は、本発明に従う第6の好ましい実施態様のゴルフボール600を示している。 このゴルフボール600は、最外部の重合体外部カバー10と、1層以上の金属マントル層20と、液体コア50から成っている。 この第6の好ましい実施態様のゴルフボール600には、ボール600の外面602に沿って画定された複数のディンプル604が設けてある。

    【0048】 図7は、本発明に従う第7の好ましい実施態様のゴルフボール700を示している。 このゴルフボール700は、1層以上の金属マントル層20と、液体コア50から成っている。 このゴルフボール700には、ボール700の外面702
    に沿って画定された複数のディンプル704が設けてある。

    【0049】 図8は、本発明に従う第8の好ましい実施態様のゴルフボール800を示している。 このゴルフボール800は、1層以上の金属マントル層20と、任意の高分子中空球形基体30と、液体コア50から成っている。 このゴルフボール80
    0には、ボール800の外面802に沿って画定された複数のディンプル804
    が設けてある。

    【0050】 前述の好ましい実施態様の全て、すなわち、ゴルフボール100、200、3
    00、400、500、600、700、及び800において、ゴルフボールは、気泡又は液体コアあるいはコアコンポーネントを利用している。 さらに、全ての好ましい実施態様のゴルフボールは、1層以上の金属マントル層を含んでいる。 上記のように、本発明の多数の実施態様では、コアのRiehle圧縮力は少なくとも約75である。 このRiehle圧縮力は約75〜約160であるのが好ましい。 そして、PGA圧縮力は約0〜約85、好ましくは約10〜約70のように比較的低い。 この好ましい実施態様のゴルフボールにおける各コンポーネントの材料、
    形状及び構造の詳細を以下説明する。

    【0051】 多層金属マントル本発明の好ましい実施態様のゴルフボールは、外部カバー層の内側で近接して、好ましくは隣接して配置される1層以上の金属マントル層を含む。 広い配列の金属を、本明細書で説明したように金属層又はシェルで使用することができる。
    以下に示す表1は、好ましい実施態様のゴルフボールで使用する適切な金属を列記している。

    【0052】

    【表1】

    【0053】 1層以上のマントル層に使用される金属は、鋼、チタン、クロム、ニッケル、
    又はそれらの合金が好ましい。 一般に、このマントルの用途に選択される金属は、比較的剛性で、硬質で、高密度であり、比較的高弾性率をもつことが好ましい。

    【0054】 金属マントル単一層の厚さは、その層に使用される金属の密度に、あるいは、
    複数の金属マントル層を使用する場合は、マントル内の他の層の金属の密度に依存する。 マントルの厚さは通常、約0.001インチ〜約0.050インチの範囲にある。 マントルの好ましい厚さは、約0.005インチ〜約0.050インチである。 その最も好ましい範囲は、約0.005インチ〜約0.010インチである。 マントルの厚さは、マントルの全ての部位が均一で一定であることが好ましい。

    【0055】 上記のように、金属マントルの厚さは1層以上のマントル層に利用される金属の密度に依存している。 以下に示した表2はマントル用の好ましい金属の典型的な密度を挙げている。

    【0056】

    【表2】

    【0057】 好ましい実施態様のゴルフボールに利用される金属マントルを形成するには少なくとも2つの方法がある。 第1の実施態様では、2つの金属部品(ハーフ)シェルを金属シート素材から打ち抜く。 その後、その2つの金属ハーフシェルを溶接するか、その他の方法で合わせ、応力解放のために熱処理する。 溶接が得られた中空球を通常アニールし軟化し、結果として「オイル缶化」、すなわちプレイ時に生じるようなインパクト後の金属球の変形となるため、得られたアセンブリーを熱処理するのが好ましい。

    【0058】 第2の実施態様では、金属マントルは、以下さらに詳細にする、薄い中空高分子(重合体)球全面の電気メッキによって形成される。 この高分子球は、前に説明した任意の高分子中空球基体30に対応する。 金属マントル層を被金属基体に堆積できる幾つかの好ましい技術がある。 第1の技術分類では、導電層が高分子又は被金属球上に形成又は堆積される。 電気メッキは、導電性の塩溶液が非金属基体の表面にかけた後金属層を十分に堆積するために使用することができる。 その代わり、あるいは、さらに、導電金属面を、アルミニウムのような金属物質のフラッシュ真空金属被覆法によって問題の基体に形成することができる。 そのような表面は通常約3×10 −6インチ厚である。 堆積したら、問題の金属層を形成するために電気メッキを利用することができる。 真空金属被覆法は望ましい金属層を十分に堆積するために利用できると考えられる。 導電金属ベース層を形成するさらに別の技術として化学析出がある。 例えば、銅、ニッケル、又は銀を非金属面に容易に析出することができる。 非金属基体の表面に導電性を付与するさらに他の技術は、成形前に、カーボンブラックのような有効な量の導電粒子を基体に混合することである。 導電性表面を形成したら、望ましい金属マントル層を形成するために電気メッキプロセスを使用することができる。

    【0059】 その代わり、あるいは、さらに、種々の熱スプレーコーティング技術を利用して球形基体に1層以上の金属マントル層を形成することができる。 熱スプレーは、金属及び非金属コーティングを蒸着するために、プラズマアークスプレー、電気アークスプレー及び溶射プロセスを含む蒸着としても公知のプロセスを示すのに一般的に使用される一般用語である。 コーティングはロッド又はワイヤ素材からあるいは粉末材料から噴射することができる。

    【0060】 典型的なプラズマアークスプレー装置は、1種以上のガスを高励起状態、すなわちプラズマに励起し、その後、対応する基体に向けて通常高圧下で放電するプラズマアークスプレーガンを利用する。 アークガスの電力レベル、圧力、及び流れ、及び粉末ガス、キャリヤガスの流量は通常コントロール可変である。

    【0061】 電気アークスプレープロセスは、好ましくはワイヤ形態の金属を利用する。 このプロセスは、ガス炎又は電気誘導プラズマからのように外部熱源がない点で他の熱スプレープロセスとは異なる。 スプレー材料を含む電気的に逆の荷電ワイヤが、制御アークが交点で生じるように一緒に供給されると、加熱と溶解が生じる。 圧縮エア又はガスの流れにより溶融金属を作製した基体に噴射し送り込む。

    【0062】 火炎スプレープロセスは、コーティング材料を溶融するため熱源として可燃ガを利用する。 火炎スプレーガンはロッド、ワイヤ又は粉末形態でスプレー材料に利用できる。 殆どの火炎スプレーガンは、幾つかのガスの組み合わせで使用するのに適用できる。 火炎スプレーガスとしてアセチレン、プロパン、マップガス、
    及び酸素−素を一般に使用する。

    【0063】 好ましい実施態様のゴルフボール球形基体に金属マントルを蒸着する他のプロセス又は技術は、化学蒸着(CVD)プロセスである。 CVDプロセスでは、反応体雰囲気を処理室に送り、その処理室ではその雰囲気が問題の基体の表面で分解し、加工片又は基体による吸収かそれへの蓄積のために1つの材料を遊離させる。 第2の材料はガス形態で遊離され、排ガスと呼ばれる混合物として過剰大気と共に処理室から取り除かれる。

    【0064】 CVDで典型的に使用される反応体雰囲気には、塩化物、フッ化物、臭化物及び沃化物、並びにカルボニル、有機金属、水素化物及び炭化水素がある。 水素は還元剤として含めることが多い。 反応体性雰囲気は、基体に達して、そこで適度に効率的な反応体の変換を伴う反応が生じるまで適度に安定でなければならない。 反応体を加熱してガス雰囲気を生成することが必要な場合がある。 蒸着用の数種の反応が200℃以下の基体温度で生じる。 幾つかの有機金属化合物は600
    ℃の温度で蒸着する。 殆どの反応及び反応生成物は800℃以上の温度を必要としている。

    【0065】 一般のCVDコーティングにはニッケル、タングステン、クロム、及びチタンカーバイドがある、CVDニッケルは、ニッケルカルボニル、Ni(CO) 雰囲気から一般に分離される。 蒸着ニッケルの特性は電解で堆積されたスルホン酸ニッケルの特性と同等である。 タングステンは300〜600℃でタングステンカルボニルの熱分解で析出するか、700〜900℃でタングステンヘキサクロリドの水素還元によって析出することができる。 最も好都合で最も広く使用される反応は、タングステンヘキサフルオリドの水素還元である。 存在する金属層にクロムを蒸着する場合、この蒸着はパック浸炭、パック炭化と同様のプロセスによって又は動的流動CVDプロセスによって実施される。 チタンカーバイドコーティングは、メタンあるいは幾つか他の炭化水素の存在下でチタンテトラフルオリドの水素還元で形成することができる。 基体温度は、通常、基体により900
    〜1010℃の範囲にある。

    【0066】 CVDコーティングの表面準備として一般に脱脂又はグリット噴射がある。 さらに、CVD予備コーティングを行なってもよい。 CVD反応による蒸着速度は、各反応に特定の方法で温度と共に一般に上昇する。 最高となる速度での蒸着が好ましいが、妥協的な処理を要する制約がある。

    【0067】 真空コーティングは、高真空環境で幾つかの好ましい実施態様のゴルフボールで使用される球基体のような基体上に、発生源から金属及び金属化合物を析出するためのプロセスの他のカテゴリーである。 3つの主要技術がそのような析出、
    すなわち、蒸発、イオンメッキ及びスパッタリングを達成するために使用される。 各技術において、蒸気の移送が、排気され制御された環境室で、また典型的には残留エア圧が1〜10 −5パスカルで行なわれる。

    【0068】 蒸発プロセスでは、蒸気圧が周囲室圧力を著しく超え、実際の蒸着のための十分な蒸気を生成するような温度まで、発生源材料を加熱することにより蒸気を発生させる。 幾つかの好ましい実施態様のゴルフボールで利用される内部球形基体などの基体の全体表面をコーティングするため、その表面を蒸気源上で回転、移動しなければならない。 蒸気源に対して低度に配置された基体に製造された析出物は繊維質で結合が少ない構造物になる。 過剰なガス散乱により得られる析出物は、付着性に乏しく、非晶質で一般に色が暗い。 最高品質の析出物(蒸着層)
    は蒸気束に略垂直の表面に作られる。 そのような析出物は基体表面組織(テキスチャー)を忠実に再生する。 高度に磨かれた基体は光沢のある析出物を生成し、
    析出物のバルク特性は所定の析出条件に対して最大になる。

    【0069】 殆どの蒸着速度については、発生源材料は、その蒸気圧が少なくとも1パスカルあるいはそれ以上となるように、ある温度まで加熱する必要がある。 大量真空コーティングを蒸発させるための蒸着速度は非常に高い。 商用コーティング装置は、大きなインゴット材料源及び高電力電子ビーム加熱技術を使用して毎分50
    0,000オングストロームの材料厚さまで析出できる。

    【0070】 指摘したように、蒸気源からの蒸着原子指向性は、一般に蒸気雲内で基体が組織化される必要がある。 基体上での特定の膜分布を得るために、対象物の形状、コンポーネント表面に対する蒸気源の配置及び蒸発源の特性を制御することができる。

    【0071】 蒸発源に関して、殆どの元素金属、半導体、化合物及び多くの合金を真空中で直接蒸発することができる。 最も単純な発生源は、抵抗線及び金属箔である。 それらは一般に、タングステン、モリブデン及びチタン等の耐熱金属から構成されている。 フィラメントは蒸発の材料を加熱し保持する二重の機能を果たす。 幾つかの元素は、固体相から直接に蒸発が可能なため、クロム、パラジウム、モリブデン、バナジウム、鉄及び珪素等の昇華源として機能する。 るつぼ源は、蒸着耐熱金属及び化合物のための大量生産での最大用途を構成している。 るつぼ材料は通常、耐熱金属、酸化物、及び窒化物、並びに炭素である。 加熱は、第2の耐熱発熱体からの輻射によって、輻射と伝導によって、また半径方向周波数誘導加熱によって実施することができる。

    【0072】 蒸発源の蒸発を達成するための技術が幾つか公知である。 電子ビーム加熱は、
    蒸発体に熱を集中できる柔軟な加熱法を提供する。 容器に最も近い蒸発体部分は低温で保持可能であり、そのため相互作用を抑えることができる。 使用される2
    つの主要な電子銃は、磁気及び静電気集中法を使用する直線集中銃と、曲げビーム磁気集中銃である。 蒸発を達成する他の技術は、連続供給高速蒸発法である。
    100〜150μmの膜厚を形成する合金の高速蒸発は、大量の蒸発体の電子ビーム加熱源を必要とする。 45キロワット以上の電子ビームは、断面が150×
    400mmまでの水冷銅炉床で蒸発体を溶融するのに使用される。

    【0073】 幾つかの好ましい実施態様のゴルフボールにおいて1層以上の金属層が形成される球形シェルの基体材料に関して、コーティングされる材料の第1の要件は真空中でその材料が安定であることである。 その材料は金属蒸気にさらされたときにガスや蒸気を発生してはならない。 ガスの発生は表面に吸収されたガスの解放、多孔質基体の孔に捕捉されたガスの解放、あるいはプラスチックに使用される可塑剤等の材料の発生基体材料の成分の実際の蒸発によるものとされる。

    【0074】 前述の方法の他に、スパッタリングを使用して、例えば幾つかの好ましい実施態様のゴルフボールで使用される基体30のような内部中空球基体に1種以上の基属を蒸着することができる。 スパッタリングは、活性粒子間の衝突に関連したモーメントの交換のために固体又は液体の表面から材料が放射される方法である。 衝突種は一般に重い不活性ガスのイオンである。 アルゴンが最も一般的に使用される。 イオン源は、材料を衝突できるイオンビーム又はプラズマ放電でよい。

    【0075】 プラズマ放電スパッタコーティングプロセスでは、ターゲットと呼ばれるコーティング材料源が、排気されその後アルゴン等の加工ガスでプラズマ放電を維持する十分な圧力まで逆装填する真空室に配置される。 負のバイアスをその後ターゲットにかけてプラズマからの正イオンにより衝突が与えられる。

    【0076】 スパッターコーティング室は、0.1ないし10パスカルの圧力までアルゴンで逆装填する前に、0.001〜0.00001パスカルの範囲の圧力まで排気されるのが普通である。 プラズマ放電の強度、従って、達成できるイオン束及びスパッタリング速度は、陰極電極形状、及びプラズマ電子を閉じ込める磁界の有効な用途に依存している。 スパッタリングでの蒸着速度はターゲットスパッタリング速度及びその装置の寸法による。 また、その蒸着速度は、高圧がスパッタ束の経路を基体に制限するため、加工ガス圧に依存する。

    【0077】 本発明のゴルフボールにおいて、1層以上の金属マントル層を形成するためイオンメッキを使用することができる。 イオンメッキは、原子膜蒸着プロセスに適用される一般的な用語であり、そのプロセスでは、基体表面及び/又は蒸着膜が、
    界面領域又は膜特性が変化するのに十分な高エネルギー粒子束(通常、ガスイオン)に当てられる。 そのような変化は基体への膜付着、膜形態、膜密度、膜ストレス又は蒸着膜材料による表面カバレージで起きる。

    【0078】 イオンメッキは、基体がスパッタリング陰極であり、衝突面が複雑な形状である以外は、スパッタリング蒸着で使用される放電系と同様の不活性ガス放電系で通常行なわれる。 基本的には、イオンメッキ装置は、真空室及び従来の真空蒸着ユニットが典型であるポンプ作用装置から成っている。 また、膜原子蒸気源と不活性ガス入口も付いている。 導電性サンプルの場合、加工片は、周囲装置から絶縁した高電圧電極である。 より一般化された状況では、加工片ホルダーが高電圧電極であり、メッキ用の導電性か不導性材料がそのホルダーに付いている。 メッキ試料が高電圧電極又はホルダーに取り付けられ、フィラメント蒸発源にコーティング材料が装着されたら、装置を閉め、ポンプ吸引して0.001〜0.00
    01パスカルの範囲の圧力にする。 望ましい真空が得られたら、室にアルゴンを逆装填して約1〜0.1パスカルの圧力にする。 その後、−3〜−5キロボルトの電位を、高電圧電極、すなわち、試料又は試料ホルダーに、そしてその装置の接地に取り入れる。 グロー放電が電極間で発生し、それにより試料が放電で生じる高エネルギーアルゴンイオンで衝突を受けることになる。 これは直流スパッタリングと同様である。 その後、コーティング源を励起し、コーティング材料を蒸発させてグロー放電にする。

    【0079】 1層以上の金属マントル層を形成するのに使用されると考えられる他の部類の材料はニッケルチタン合金である。 これらの合金は、超弾性があることが公知であり、約50%(原子)ニッケル及び50%チタンである。 ストレスがかかっても、超弾性ニッケルチタン合金は8%までの歪み変形に対応できる。 ストレスがあとで解放されると、この超弾性コンポーネントはその元の形状に戻る。 銅亜鉛アルミニウム合金及び銅アルミニウムニッケル合金を含む他の形状記憶合金も使用することができる。 以下に示す表3は、これらの好ましい形状記憶合金の種々の物理的特性、機械的特性、及び転移特性を示している。

    【0080】

    【表3】

    【0081】 好ましい実施態様のゴルフボールにおいて、重合体外部カバー層は、利用された場合、(例えば、射出成形によって、あるいは圧縮成形によって)金属マントル周囲に成形される。

    【0082】 コア好ましい実施態様のゴルフボールは、2種類のコアの1つ(多孔質又は気泡形態の材料から成る気泡コア);あるいは液体コアを含むことができる。 気泡コアの適当な材料として、限定はされないが、例えば、架橋ポリブタジエン/ZDA
    混合物、ポリウレタン、ポリオレフィン、イオノマー、メタロセン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリエステル、及びポリスチレン等の発泡エラストマー材料が挙げられる。 好ましい材料は、ポリブタジエン/ZDA混合物、イオノマー及びメタロセンがある。 最も好ましい材料は発泡架橋ポリブタジエン/ZDA混合物である。

    【0083】 発泡コアの形状及び形態は球形である。 気泡コアの直径は通常、約1.340
    インチ〜約1.638インチ、最も好ましくは約1.500インチ〜約1.54
    0インチの範囲にある。 コアは、気泡コアであれ、液体コアであれ、金属マントル層か高分子中空球の内面に直ぐ隣接して、従って隣りであることが一般には好ましい。

    【0084】 気泡コアが金属マントルと一緒に使用される場合、マントル用の金属の種類は気泡コアのサイズと密度を決定して選択される。 硬質、高弾性率金属は、ボール圧縮力があまり硬くならないように比較的薄いマントルを必要とするだろう。 マントルが比較的薄ければ、重さが軽くなり過ぎて気泡コアの重さを追加し、さらに、金属マントルの耐オイル缶化あるいは耐変形を追加する必要があるだろう。
    対照的に、固体コアは完成ゴルフボールに非常に重い重量を付加するようであり、従って、気泡コアが適正な重さとレジリエンスを与えるのに好ましい。

    【0085】 気泡コアの重さは気泡密度で制御可能である。 気泡コアは、通常、約0.10
    〜約1.0の比重がある。 気泡コアの反発係数は少なくとも0.500である必要がある。

    【0086】 気泡コアの構造は開放又は閉鎖気泡でよい。 金属被覆可能あるいは導電コーティングを塗布可能な固体表面外皮を有する密閉気泡形態を利用するのは好ましい。 好ましい気泡寸法は約0.10〜約1.0の明らかな比重を得るのに要する寸法である。

    【0087】 好ましい方法において、気泡コアが製造され、金属カバーがそのコア上に適用される。 金属カバーは、導電コーティング又は層をコア周囲に設け、そのコーティングに1種以上の金属を必要な厚さに電気メッキすることにより堆積することができる。 あるいは、2つの金属ハーフシェルを溶接可能で、流動性のある気泡材料、例えばフォーム、あるいは気泡コア材料先駆物質が、半剛性又は剛性材料又はフォームを形成する2成分液体系を使用して孔から金属球に注入される。 金属マントルの充てん孔は密閉して外部カバー素材がカバー成形時に気泡コアに入らないように防止することができる。

    【0088】 金属層を塗布する前に、気泡コアが予め泡立てられ、あるいは、それ以外に形成されれば、発泡剤は、窒素あるいは二酸化炭素のようなガスを解放する1種以上の従来の物質とすることができる。 適当な発泡剤としては、限定はしないが、
    アゾジカルボンアミド、N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4‐4
    オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、及び重炭酸ナトリウムが挙げられる。 好ましい発泡剤は、コアの外面に外皮を形成する微細密閉気泡を生成するものである。

    【0089】 気泡コアは、金属外皮によって、例えば気泡コア周囲に金属シェルの2つの半球部分を取り付けることによって封入されるか、包み込むことができる。 発泡性気泡コア材料先駆物質を中空球形金属マントル内に導入して、続いてその材料をその場で発泡させることも考えられる。

    【0090】 さらに他の種々の実施態様では、気泡材料を収納するために、例えば、中空球基体30のような任意の高分子中空球を利用することができる。 金属マントル層20のような1種以上の金属マントル層を、その後、高分子球の周囲に堆積するか、そうでなければ配置することができる。 そのような高分子球を気泡コアと共に利用すれば、コア材料は発泡材料として中空球内に導入されるのが好ましい。
    中空球内に配置されたら、その材料は発泡して体積を膨張させてその中空球の内部の形状と形態にすることができる。

    【0091】 上記のように、ゴルフボールの好ましい実施態様は液体コアを有することができる。 1つの変形として、本明細書に参考として内含される米国特許第5,48
    0,155号及び第5,150,906号に開示された液体充てんコアが適当である。 本発明のゴルフボールに使用される適切な液体として、限定はされないが、水、アルコール、油、これらの組み合わせ、グリコールと水、あるいは塩と水のような溶液がある。 他の適切な液体には、油、あるいは、水又は他の液体内の粘土、バライトあるいはカーボンブラック等のコロイド懸濁液がある。 好ましい液体コア材料は無機塩の水溶液である。 この無機塩は塩化カルシウムが好ましい。 好ましいグリコールはグリセリンである。

    【0092】 最も低価格の液体は塩水溶液である。 前述の米国特許'155号及び'906号に示した液体の全てが適している。 液体の密度はゴルフボールの所望の最終重量が達成されるように調節可能である。

    【0093】 液体コアを有するボールを形成するための最も好ましい技術は、2部品シェルを吹込み成形あるいは二次成形し、その後、その2部品シェルを合わせることにって薄い、中空高分子球を形成することである。 それから、この中空球に適当な液体を入れ、密閉する。 これらの技術は米国特許'155号及び'906号に説明されている。

    【0094】 次に、液体を入れた球を電気メッキ等により約0.001インチ〜約0.05
    0インチの適当な厚さに、好ましくは金属被覆する。 得られた金属マントルにさらに1層以上の他の金属マントル層を形成することができる。 その後、金属被覆された球に、射出又は圧縮成形により重合体ディンプルの付いたカバーで場合によっては被覆し、その後、従来の方法を使用して仕上げる。

    【0095】 液体コアは最初に小さなスピンを作り、そしてスピン減衰を大きくしてトータル飛距離が伸びると共に弾道が低くなる。

    【0096】 オプションの高分子球 本明細書で言及され、球30として添付図面で一般に示されているように、薄い中空球又はシェルを形成するために、種々の高分子(重合体)材料を利用することができる。 熱可塑性樹脂材料は、一般にシェルの材料として使用するのが好ましい。 そのような材料は、通常、中でも良好な流動性、中程度の剛性、高耐摩耗性、高い引裂強さ、高レジリエンス、及び良好な離型性を示す必要がある。

    【0097】 薄い中空球として使用できる合成重合体材料としては、以下の材料を含む単独重合体及び共重合体材料である。 すなわち、(1)塩化ビニルの重合によって、
    あるいは酢酸ビニル、アクリル酸エステル又は塩化ビニリデンの共重合によって形成されたビニル樹脂;(2)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン、ポリエチレンメチルアクリレート、ポリエチレンエチルアクリレート、ポリエチレンビニルアセテート、ポリエチレンビニルアセテート、ポリエチレンメタクリル酸又はポリエチレンアクリル酸、又はポリプロピレンアクリル酸等の共重合体、あるいはこれら及びアクリル酸エステルから作られた三元共重合体、及びアクリル酸又は無水物改質ポリオレフィンでポリプロピレン/E
    PDMグラフトされたそれらの金属イオノマー;(3)ポリオール及びジイソシアネートあるいはポリイソシアネートから作られるようなポリウレタン;(4)
    ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)及びジアミンと二塩基酸から作られるもの等のポリアミド、並びにポリ(カプロラクタム)等のアミノ酸から得られるもの、
    及びSURLYN、ポリエチレン、エチレン共重合体、EDPA等の配合物;(5)アクリル樹脂及び塩化ポリビニル、エラストマー等とこれらアクリル樹脂の配合物;(6)ウレタン等の可塑性樹脂ゴム、EPDM、スチレン及びブタジエンのブロック共重合体、あるいはイソプレン又はエチレン−ブチレンゴム、ポリエーテルブロックアミドのようなオレフィン熱可塑性ゴム;(7)ポリフェニレンオキシド樹脂、又は高衝撃ポリスチレンとポリフェニレンの配合物;(8)PET、
    PBT、PETG、及びEI DuPont De Nemour & Company of Wilmington, De
    l.によって 商標 HYTRELで販売されるエラストマー等の熱可塑性ポリエステル;(9)ABS、PBT、PET、SMA、PEエラストマー等とポリカーボネート、及びABS、EVAあるいは他のエラストマーとPVCを含む配合物及び合金;(10)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ナイロン、ポリエステル、セルロースエステル等と熱可塑性ゴムの配合物;及び(11)Exxo
    n製のExact及び Dow Chemical製のEngage樹脂等のプラストマー−メタロセン。

    【0098】 シェルの基本的な特性に影響を与えない薄い中空シェル剤に使用される組成物を添加することもこの発明の範囲内にある。 それらの材料として酸化防止剤、帯電防止剤及び安定剤がある。 本発明の種々の実施態様の全体のサイズが異なっているにもかかわらず、本発明のコアは比較的軟質で同じサイズである。 そのコアのRiehle圧縮力は、約75以上、好ましくは約75〜約115であり、比較的低いPGA圧縮力は、約40〜85、好ましくは約70〜80である。

    【0099】 カバーカバーは、好ましくは、硬質、高剛性のイオノマー樹脂、最も好ましくは、1
    6重量%を超えるカルボン酸を含有する金属カチオンで中和された高酸性イオノマー樹脂又はそれらの配合物で構成されている。 カバーは約65以上のショアD
    硬度を有する。

    【0100】 本発明のイオノマーカバー組成物に関して、イオノマー樹脂というのは、鎖間イオン結合を含有する重合体である。 その靱性、耐久性、及び飛球特性の結果として、E.I.DuPont de Nemours & Company により「Surlyn®」という商標で、そしてより最近では Exxon Corporation(米国特許第4,911,451号参照)により「Escor®」という商標及び「Iotek」という商品名で販売されたさまざまなイオノマー樹脂が、従来の「バラタ」(天然又は合成のトランスポリイソプレン)ゴムに比べてゴルフボールカバーの構造のための最適な材料となっている。

    【0101】 イオノマー樹脂は一般に、エチレンといったようなオレフィン及び不飽和カルボン酸例えばアクリル酸、メタクリル酸又はマレイン酸の金属塩のイオン共重合体である。 いくつかの場合では、アクリレートといったような付加的な軟化用コモノマー共重合体を内含させて三元共重合体を形成することもできる。 イオノマー樹脂中の懸垂型イオン基は、相互作用して無極性重合体母材内に含有されたイオン富有凝結体を形成する。 共重合体内の酸性基の一部を中和するためにナトリウム、亜鉛、マグネシウム、リチウム、カリウム、カルシウムなどといったような金属イオンが使用され、結果として、バラタに比べゴルフボールの構造のための増強された特性、すなわち改良された耐久性などを示す熱可塑性エラストマーがもたらされる。

    【0102】 カバー組成物を製造するために利用されるイオノマー樹脂は、重合体鎖に沿って無作為に分布した酸性単位をもつ共重合体を生成するためオレフィンとカルボン酸を共重合させることによってイオノマーが生成されるカナダ特許第674,
    595号及び713,631号で開示された手順に従って中和が行なわれるものとして、米国特許第3,421,766号又は英国特許第963,380号に記されているものといったような既知の手順に従って処方することができる。 大まかには、イオン共重合体は一般に、1つ以上のαーオレフィン及び約9〜約20重量パーセントのα,βーエチレン性不飽和モノ又はジカルボン酸、所望の程度まで金属イオンで中和された塩基性共重合体を含む。

    【0103】 共重合体のカルボン酸基の少なくとも約20%は、(ナトリウム、カリウム、
    亜鉛、カルシウム、マグネシウムなどといった)金属イオンによって中和され、
    イオン状態で存在する。 イオノマー樹脂を調製する上で使用するための適切なオレフィンには、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1などが内含される。 不飽和カルボン酸には、アクリル、メタクリル、エタクリル、α−クロロアクリル、クロトン、マレイン、フマル、イタコン酸などが含まれる。 ゴルフボール業界で利用されるイオノマー樹脂は一般に、アクリル(すなわちEscor®
    )及び/又はメタクリル(すなわちSurlyn®)酸を伴うエチレン共重合体である。 さらに、結果として得られるゴルフボールの所望の特性を生み出すため、
    カバー組成物内に2つ以上の種類のイオノマー樹脂を配合することもできる。

    【0104】 本発明のゴルフボールを作る上で使用可能なカバー組成物は、共に本明細書に参考として内含されている1991年10月15日に出願された同時係属の米国特許出願第07/776,803号と1992年6月19日に出願された第07/
    901,660号の中で詳述されているが、これらに制限されるわけではない。
    要するに、カバー材料は、好ましくは比較的多い量の酸(すなわち、16重量パーセントより多く、好ましくは約17〜約25重量パーセント、そしてより好ましくは約18.5〜約21.5重量パーセントの酸)を含有し、かつ少なくとも部分的に金属イオン(例えばナトリウム、亜鉛、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)で中和された硬質で高靱性のイオノマー樹脂で構成されている。 高酸性樹脂は、配合され溶融加工されて、16重量パーセント以下の酸を含有する低酸性イオノマー又は低酸性イオノマー樹脂の配合物に比べ増強された硬度及び反発係数値を示す組成物を生成する。

    【0105】 好ましいカバー組成物は、先行技術によって実証された加工、競技好適性、飛距離及び/又は耐久性制限を示さないその他のカバー添加剤を伴う2つ以上の高酸性イオノマーの特定的配合物から作られる。 ただし、以下でさらに特定的に指示する通り、カバー組成物は、成形されたカバーがショアDスケールで65以上の硬度を示すかぎりにおいて、1つ以上の低酸性イオノマーで構成されていてもよい。

    【0106】 カバーは、65以上のショアD硬度を有する。 その組成物には、EI DuPont
    De Nemour & Company of Wilmingtonが商標「Surlyn®」で、また、Exxon C
    orporationが商標「Escor®」あるいは商品名「Iotek」あるいはそれらの配合物で販売するような硬質、高剛性で好ましくは高酸性イオノマーがある。 「Su
    rlyn®」及び「Escor®」あるいは「Iotek」のそれぞれイオノマーに加えて、カバーは、単独か他のイオノマーとの組み合わせで少なくとも65のショアD硬度を有する成形カバーを製造する全てのイオノマーを含むことができる。 これらのイオノマーには、リチウムイオノマー、又はナイロン、ポリフェニレンオキシド及び他の相容性熱可塑性樹脂等の硬質非イオノマー共重合体とイオノマーの配合物がある。 上記で簡単に説明したように、使用できるカバー組成物の実施例は、同時係属の1991年10月15日に出願された米国出願第07/776
    ,803号及び1992年6月19日に出願された米国出願第07/901,6
    60号に詳細に説明されている。 上記2つの出願は参考として本明細書に内含される。 勿論、カバー組成物は、前記同時係属出願に説明されたその組成物に何ら限定されない。

    【0107】 本発明において使用するのに適した高酸性イオノマーは、約2〜8個の炭素原子をもつオレフィンと約3〜8個の炭素原子をもつ不飽和モノカルボン酸の反応生成物の金属、すなわちナトリウム、亜鉛、マグネシウムなどの塩であるイオン共重合体である。 好ましくは、イオノマー樹脂はエチレンとアクリル酸かメタクリル酸のいずれかとの共重合体である。 一部の状況下では、アクリレートエステル(すなわちイソー又はn−ブチルアクリレートなど)といったような付加的なコモノマーも、より軟質の三元共重合体を生成するために内含させることができる。 共重合体のカルボン酸基は部分的に金属イオンにより中和される(すなわち約10〜75%、好ましくは30〜70%)。 本発明のカバー組成物に内含された高酸性イオノマー樹脂の各々は、約16重量%より多く、好ましくは約17〜
    25重量%、より好ましくは約18.5〜約21.5重量%のカルボン酸を含有する。

    【0108】 カバー組成物は、好ましくは高酸性イオノマー樹脂を内含し、特許の範囲は上述のパラメータ内に入る全ての既知の高酸性イオノマー樹脂を包含するものの、
    現在のところ比較的制限された数のこれらの高酸性イオノマー樹脂しか利用可能ではない。 この点において、EI Dupont de Nemours & Companyから「Surlyn&r
    eg;」の商標で、及びExxon Corporation から「Escor®」の商標又は「Iotek
    」という商品名で入手可能である高酸性イオノマー樹脂が、本発明で利用されうる入手可能な高酸性イオノマー樹脂の例である。

    【0109】 「Escor®」及び/又は「Iotek」という呼称の下でExxon から入手可能な高酸性イオノマー樹脂は、「Surlyn®」の商標で入手可能な高酸性イオノマー樹脂に幾分か類似している。 しかしながら、Escor®/Iotek イオノマー樹脂は、ポリ(エチレンアクリル酸)のナトリウム又は亜鉛塩であり、「Surlyn&r
    eg;」樹脂はポリ(エチレンメタクリル酸)の亜鉛、ナトリウム、マグネシウムなどの塩であることから、特性に関し明確な差異が存在する。

    【0110】 本発明に従って使用するのに適していることがわかっている高酸性でメタクリル酸ベースのイオノマーの例としては、Surlyn® AD−8422(ナトリウムカチオン)、Surlyn® 8162(亜鉛カチオン)、Surlyn® SEP−
    503−1(亜鉛カチオン)、そしてSurlyn® SEP−503−2(マグネシウムカチオン)がある。 DuPont社によると、これらのイオノマーは全て、約1
    8.5〜約21.5重量%のメタクリル酸を含有する。

    【0111】 より特定的に言うと、Surlyn®AD−8422は現在、メルトインデックスの差異に基づく多数の異なる等級で(すなわちAD−8422−2、AD−8
    422−3、AD−8422−5など)DuPont社から市販されている。 DuPont社によると、Surlyn®AD−8422は、下記の表1に記されているように(
    米国特許第4,884,814号に「硬質」イオノマーとして言及されている)低酸性等級にあるいずれのものよりも最も剛性で硬質である、Surlyn®892
    0に比べたとき、表4に示される以下の一般的特性を提供する:

    【0112】

    【表4】

    【0113】 Surlyn®8920をSurlyn®8422−2及びSurlyn®8422−
    3と比較すると、高酸性Surlyn®8422−2及び8422−3イオノマーが、より高い引張り降伏、より低い伸び、わずかに高いショアD硬度及びはるかに高い曲げ弾性率をもつことが指摘される。 Surlyn®8920は、15重量パーセントのメタクリル酸を含有し、59%がナトリウムで中和されている。

    【0114】 さらに、Surlyn®SEP−503−1(亜鉛カチオン)及びSurlyn®S
    EP−503−2(マグネシウムカチオン)は、Surlyn®AD8422 高酸性イオノマーの高酸性亜鉛及びマグネシウムバージョンである。 Surlyn®A
    D8422高酸性イオノマーと比べた場合、Surlyn SEP−503−1及びS
    EP−503−2イオノマーは、下記の表5のとおりに定義づけすることができる。

    【0115】

    【表5】

    【0116】 さらに、Surlyn®8162は、30〜70%が中和された約20重量%(
    すなわち18.5〜21.5重量%)のメタクリル酸共重合体を含有する亜鉛カチオンイオノマー樹脂である。 Surlyn®8162は、現在DuPont社から市販されている。

    【0117】 本発明で使用するのに適した高酸性でアクリル酸ベースのイオノマーの例としては、Exxon が製造するEscor®又はIotek高酸性エチレンアクリル酸イオノマーが含まれる。 この点において、Escor®又はIotek 959は、ナトリウムイオンで中和されたエチレン−アクリル酸共重合体である。 Exxon によると、Io
    teks959及び960は、約30〜約70パーセントの酸性基がそれぞれナトリウム及び亜鉛イオンで中和されている状態で、約19.0〜約21.0重量%のアクリル酸を含有する。 これらの高酸性でアクリル酸ベースのイオノマーの物性は、表6に示されているとおりである。

    【0118】

    【表6】

    【0119】 さらに、発明者がマンガン、リチウム、カリウム、カルシウム及びニッケルカチオンなどによっていくつかの異なる種類の金属カチオンによりさまざまな程度まで中和された多数の新しい高酸性イオノマーを開発した結果、現在ゴルフボールカバーの製造のためには、ナトリウム、亜鉛及びマグネシウム高酸性イオノマー又はイオノマー配合物以外にいくつかの新しい高酸性イオノマー及び/又は高酸性イオノマー配合物が利用可能である。 これらの新しいカチオン中和された高酸性イオノマー配合物が、処理中に起こる相乗効果のため高い硬度及びレジリエンスを示すカバー組成物を生成することが発見された。 その結果、最近生成された金属カチオンで中和された高酸性イオノマー樹脂を配合して、現在市販されている低酸性イオノマーカバーによって生成されるものよりも高いC.O.R.をもつ実質的により硬質のカバーをもつゴルフボールを生成することができる。

    【0120】 より特定的には、さまざまな異なる金属カチオン塩を用いてアルファ、ベータ不飽和カルボン酸及びアルファオレフィンの高酸性共重合体をさまざまな程度まで中和することにより本発明者は、いくつかの新しい金属カチオンで中和された高酸性イオノマー樹脂を製造した。 この発見は、本明細書に参考として内含されている米国特許出願第901,680号の主題となっている。 所望の程度まで(
    すなわち約10%〜90%)共重合体をイオン化又は中和する能力をもつ金属カチオン塩と高酸性共重合体(すなわち16重量%より多い、好ましくは約17〜
    約25重量パーセント、そしてより好ましくは約20重量パーセントの酸を含有する共重合体)を反応させることによって、数多くの新しい金属カチオンで中和された高酸性イオノマー樹脂を得ることができるということが発見された。

    【0121】 ベース共重合体は、16重量%より多いアルファ、ベータ不飽和カルボン酸及びアルファオレフィンで作られている。 場合によっては、共重合体内に軟化用コモノマーを内含することができる。 一般に、アルファーオレフィンは2〜10個の炭素原子を有し、好ましくはエチレンであり、不飽和カルボン酸は、約3〜8
    個の炭素をもつカルボン酸である。 このような酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸、クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸が含まれ、アクリル酸が好ましい。

    【0122】 本発明において場合によって内含されうる軟化用コモノマーは、酸が2〜10
    個の炭素原子をもつ脂肪族カルボン酸のビニルエステル、アルキル基が1〜10
    個の炭素原子を含有するビニルエーテルそしてアルキル基が1〜10個の炭素原子を含有するアルキルアクリレート又はメタクリレートから成る群から選択することができる。 適切な軟化用コモノマーとしては、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチルなどがある。

    【0123】 その結果、本発明に内含される高酸性イオノマーを生成するために用いるのに適した多数の共重合体の例としては、制限的な意味なく、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/イタコン酸共重合体、
    エチレン/マレイン酸共重合体、エチレン/メタクリル酸/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸/ビニルアルコール共重合体などの高酸性の実施態様が含まれる。 ベース共重合体は大まかには、16重量%を超える不飽和カルボン酸、約30〜約83重量%のエチレン及び0〜約40重量%の軟化用コモノマーを含有する。 好ましくは共重合体は、約20重量%の不飽和カルボン酸及び約80
    重量%のエチレンを含有する。 最も好ましくは、共重合体は約20%のアクリル酸を含有し、残りはエチレンである。

    【0124】 この線に沿って、以上で記した規準を満たす好ましい高酸性のベース共重合体の例としては、Dow Chemical Company, Midland, Michigan から「Primacor」という呼称で市販されている一連のエチレンーアクリル共重合体がある。 これらの高酸性のベース共重合体は、下記の表7に示されている典型的な特性を示す。

    【0125】

    【表7】

    【0126】 Primacor5981等級のエチレン−アクリル酸共重合体は分子量が高いことから、この共重合体は、本発明において利用されるより好ましい等級である。

    【0127】 本発明において利用される金属カチオン塩は、高酸性共重合体のカルボン酸基をさまざまな程度まで中和する能力をもつ金属カチオンを提供するような塩である。 これらには、リチウム、カルシウム、亜鉛、ナトリウム、カリウム、ニッケル、マグネシウム及びマンガンのアセテート、酸化物又は水酸化物の塩が内含される。

    【0128】 このようなリチウムイオン供給源の例としては、水酸化リチウム一水和物、水酸化リチウム、酸化リチウム及び酢酸リチウムがある。 カルシウムイオン供給源としては、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム及び酸化カルシウムがある。 適切な亜鉛イオン供給源は、酢酸亜鉛二水和物及び酢酸亜鉛、酸化亜鉛と酢酸の配合物である。 ナトリウムイオン供給源の例としては、水酸化ナトリウム及び酢酸ナトリウムがある。 カリウムイオン供給源としては、水酸化カリウム及び酢酸カリウムが含まれる。 適切なニッケルイオン供給源は、酢酸ニッケル、酸化ニッケル及び水酸化ニッケルである。 マグネシウム供給源は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウムが内含される。 マンガン供給源には、酢酸マンガン及び酸化マンガンが含まれる。

    【0129】 新しい金属カチオンで中和された高酸性イオノマー樹脂は、高酸性ベース共重合体を、約10psi〜10000psiの圧力で高いせん断条件下で約200°F〜
    約500°F、好ましくは約250°F〜350°Fの温度といったような共重合体の結晶融点より上の温度で、さまざまな量の金属カチオン塩と反応させることによって生成される。 その他の周知の配合技術も使用することもできる。 新しい金属カチオンで中和された高酸性ベースのイオノマー樹脂の量は、高酸性共重合体中のカルボン酸基を所望の百分率だけ中和するのに充分な量の金属カチオンを提供する量である。 中和の程度は一般に約10%〜約90%である。

    【0130】 下記の表8に示されているように、さらに具体的には、米国特許出願第901
    ,680号中の例1に示されているように、上述のプロセスから数多くの新しい種類の金属カチオンで中和された高酸性イオノマーを得ることができる。 これには、マンガン、リチウム、カリウム、カルシウム及びニッケルカチオンでさまざまな程度まで中和された新しい高酸性イオノマー樹脂が含まれる。 さらに、本発明のベース共重合体成分として高酸性エチレン/アクリル酸共重合体が利用され、この成分がその後金属カチオン塩でさまざまな程度まで中和されて、ナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム、マンガン、カルシウム及びニッケルといったカチオンで中和されたアクリル酸ベースの高酸性イオノマー樹脂を生成する場合、いくつかの新しいカチオン中和されたアクリル酸ベースの高酸性イオノマー樹脂が生成される。

    【0131】

    【表8】

    【0132】 類似のカチオン中和されたイオノマー樹脂の低酸性バージョンと比べた場合、
    新しい金属カチオンで中和された高酸性イオノマー樹脂は、増強された硬度、弾性率及びレジリエンス特性を示す。 これらは、ゴルフボール製造分野を含めた熱可塑性プラスチックの分野で特に望まれる特性である。

    【0133】 ゴルフボールカバー製造の中で利用される場合、新しいアクリル酸ベースの高酸性イオノマーが、米国特許第4,884,814号及び第4,911,451号で開示された低酸性イオノマー及び米国特許出願第776,803号で開示された最近生成された高酸性配合物を利用して製造されたボールといったようなより軟質の低酸性イオノマーカバー付きボールの有利な特性(すなわち耐久性、クリック、フィーリングなど)を維持しながら以前に得ることのできたものを超えるまで、硬度範囲を拡大するということが発見された。 その上、マンガン、リチウム、カリウム、カルシウム及びニッケルカチオンといったようないくつかの異なる種類の金属カチオンでさまざまな程度まで中和された数多くの新しいアクリル酸ベースの高酸性イオノマー樹脂を開発した結果、ゴルフボール製造のためにいくつかの新しいイオノマー又はイオノマー配合物が利用可能である。 これらの高酸性イオノマー樹脂を使用することによって、より高いC.O.R.ひいてはより長い飛距離をもつ、より硬質で剛性のゴルフボールを得ることができる。

    【0134】 さらに記載されるように、成形されたカバーが65以上のショアD硬度を生成するかぎり、低酸性イオノマー樹脂といったようなその他のイオノマー樹脂をカバー組成物中で使用することができる。 これらの低酸性イオノマー樹脂のいくつかの特性は、下記の表9で示されている。

    【0135】

    【表9】

    【0136】 以上に記したイオノマーに加えて、本発明のカバー組成物を生成するため、相容性ある添加剤材料を添加することも可能である。 これらの添加剤材料としては、染料(例えば、Whitaker, Clark, and Daniels of South Painsfield, NJにより販売されているウルトラマリンブルー)及び顔料、すなわち、二酸化チタン(例えばUnitane O−110)、酸化亜鉛及び硫酸亜鉛といったような白色顔料ならびに螢光顔料が含まれる。 米国特許第4,884,814号に示されているように、重合体カバー組成物と合わせて用いられる顔料及び/又は染料の量は、利用される特定の基本イオノマー混合物及び利用される特定の顔料及び/又は染料により左右される。 重合体カバー組成物中の顔料の濃度は、基本イオノマー混合物の重量に基づき約1%〜約10%でありうる。 より好ましい範囲は、基本イオノマー混合物の重量に基づき約1%〜約5%である。 最も好ましい範囲は、基本イオノマー混合物の重量に基づき約1%〜約3%である。 本発明に従って使用するための最も好ましい顔料は、二酸化チタンである。

    【0137】 さらに、さまざまな白の色相、すなわち、青白色、黄白色などが存在することから、微量の青色顔料をカバー素材組成物に付加してそれに青白色の外観を付与することもできる。 ただし、白色の異なる色相が望ましい場合、所望の色を生み出すために必要とされる量でカバー組成物に異なる顔料を添加することができる。

    【0138】 さらに、本発明の組成物の基本的な新規の特性に影響を及ぼさない相容性ある材料を本発明のカバー組成物に添加することは、本発明の範囲内に入るものである。 このような材料の中には、酸化防止剤(すなわちSantonoxR)、静電防止剤、安定剤及び加工助剤がある。 本発明のカバー組成物は、本発明のゴルフボールカバーによって生み出される所望の特性が損われないかぎりにおいて、可塑化剤などといった軟化剤及びガラス繊維や無機充てん剤といったような補強材料を含有することもできる。

    【0139】 その上、米国特許第4,679,795号の中で開示されているもののような螢光増白剤も、本発明のカバー組成物中に内含させることができる。 本発明に従って使用することのできる適切な螢光増白剤は、Ciba-Geigy Chemical Company, A
    rdsley, NYによって販売されているようなUvitex OB である。 Uvitex OB は、
    2,5−ビス(5−第3−ブチル−2−ベンゾオキサゾリ)チオフェンであると考えられている。 本発明に従って使用するのに適したその他の螢光増白剤の例は、以下のとおりである: Sandoz, East Hanover, NJ 07936によって販売されているようなLeucopure EGM。 Leucopure EGMは、7−(2n−ナフトール(
    1,2−d)−トリアゾール−2イル)−3フェニル−クマリンであると考えられている。 Phorwhite K−20G2は、Mobay Chemical Corporation, PO Box
    385,Union Metro Park, Union, NJ 07083によって販売されており、
    ピラゾリン誘導体であると考えられている。 Eastman Chemical Products, Inc.
    Kingsport Tenn. により販売されているEastobrite OB−1は、4,4−ビス(−ベンゾオキサクゾリ)スチルベンであると考えられている。 上述のUvitex及びEastobrite OB−1は、本発明に従って使用するための好ましい螢光増白剤である。

    【0140】 その上、数多くの螢光増白剤が着色されていることから、利用される螢光増白剤の百分率は、螢光増白剤がそれ自体顔料又は染料として機能するのを妨げるため過剰なものであってはならない。

    【0141】 本発明に従って使用することのできる螢光増白剤の百分率は、カバー素材として使用される重合体の重量に基づいて約0.01%〜約0.5%である。 より好ましい範囲は、使用される特定の螢光増白剤の光学特性及びそれが一部を成している重合体環境に応じて、約0.05%〜約0.25%であり、最も好ましい範囲は約0.10%〜約0.020%である。

    【0142】 一般に、添加剤は、所望の濃度のマスターバッチ(M.B.)を提供するべく、
    カバー組成物の中で使用されるべきイオノマーと混和され、所望の量の添加剤を提供するのに充分な量のマスターバッチが次に共重合体の配合物と混和される。

    【0143】 上述のカバー組成物は、以下で記すパラメータに従って処理され、ショアD硬度が65であるカバーを製造するべく本明細書に定義された厚さで軟質コアと組合わされた場合、スピン速度が低減されたゴルフボールを提供する。 しかながら、高酸性イオノマー樹脂は、低酸性イオノマー樹脂で見られるものよりもさらに著しいスピン速度の減少を提供する。

    【0144】 本発明のカバー組成物及び成形されたボールは、従来の溶融配合手順に従って製造することができる。 この点で、イオノマー樹脂は、バンバリータイプのミキサー、2本ロール機の中で所望の添加剤を含有するマスターバッチと共に配合されるか、又は成形に先立ち押出される。 配合された組成物は次にスラブ又はペレットなどの形に造形され、成形が望まれるまでこのような状態で維持される。 あるいは、ペレット化又は粒状化された樹脂及びカラーマスターバッチの単純な乾燥配合物を調製し、射出成形機に直接供給することができ、ここで鋳型への射出に先立ちバレルの混合区分内で均質化が起こる。 必要とあらば、成形プロセスを開始する前に無機充てん剤などのようなさらなる添加剤を添加し均質に混合することができる。

    【0145】 さらに、本発明のゴルフボールは、ゴルフボールの技術分野において現在周知である成形プロセスによって製造することができる。 具体的には、約1.680
    インチ以上の直径及び約1.620オンスの重量をもつゴルフボールを製造するためには軟質ポリブタジエンコアのまわりに新規カバー組成物を射出成形又は圧縮成形することによりゴルフボールを製造することができる。 本発明の付加的な実施態様においては、より厚さの大きいカバーをもつ特大ゴルフボールを製造するために、より大きな金型が利用される。

    【0146】 指示されているとおり、本発明のゴルフボールは、従来の成形プロセスによりさらに軟質のポリブタジエンコアのまわりに本発明の組成物から成るカバーを形成することによって製造することができる。 例えば、圧縮成形においては、カバー組成物は、約380°F〜約450°Fでの射出を介して平滑な表面をもつ半球形シェルの形に形成され、このシェルは次にディンプル付きゴルフボール金型の中でコアを中心として位置づけされ、2〜10分間200〜300°Fで圧縮成形を受け、その後2〜10分間50〜70°Fで冷却され融合され、単体構造のボールを形成する。 さらに、ゴルフボールを射出成形によって製造することもでき、この場合、カバー組成物は、50°F〜約100°Fの金型温度で一定の時間にわたりゴルフボール金型の中心に置かれたコアのまわりに直接射出される。 成形後、製造されたゴルフボールは、米国特許第4,911,451号に開示されているようにバフ磨き、塗装及びマーキングといったようなさまざまなさらなる仕上げ工程を受けることができる。

    【0147】 一代替実施態様においては、結果として得られるボールは、標準的な1.68
    0インチのゴルフボールよりも大きい。 その直径は、約1.680〜1.800インチの範囲内、さらには約1.700〜1.800インチの範囲内、好ましくは1
    .710〜1.730インチの範囲内、そして最も好ましくは約1.717〜1.7
    20インチの範囲内にある。 より大きい直径のゴルフボールは、標準的な0.0
    675インチ〜約0.130、好ましくは約0.0675〜約0.1275インチ、より好ましくは約0.0825〜0.0925、そして最も好ましくは約0.0
    860〜0.0890インチの範囲にあるカバー厚さの結果得られる。 コアは、
    おおよそ約1.540〜1.545インチの標準サイズのものである。

    【0148】 本発明について、好ましい実施態様を参照しながら記述した。 明らかに、以上の詳細な説明を読み理解した時点で、その他の形態への修正及び変更が発生することだろう。 本発明は、それが冒頭の請求の範囲又はその等価物の範囲内に入るかぎりにおいてこのような変更及び修正を全て内含するものとみなされるべきであることが意図されている。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】 重合体外部カバー、1層以上の金属マントル層、任意の高分子中空球基体、及び気泡コアから成る、本発明に従う第1の好ましい実施態様のゴルフボールの部分断面図である。

    【図2】 重合体外部カバー、1層以上の金属マントル層、及び気泡コアから成る、本発明に従う第2の好ましい実施態様のゴルフボールの部分断面図である。

    【図3】 1層以上の金属マントル層、及び気泡コアから成る本発明に従う第3の好ましい実施態様のゴルフボールの部分断面図である。

    【図4】 1層以上の金属マントル層、任意の高分子中空球基体、及び気泡コアから成る、本発明に従う第4の好ましい実施態様のゴルフボールの部分断面図である。

    【図5】 重合体外部カバー、1層以上の金属マントル層、任意の高分子中空球基体、及び液体コアから成る、本発明に従う第5の好ましい実施態様のゴルフボールの部分断面図である。

    【図6】 重合体外部カバー、1層以上の金属マントル層、及び液体コアから成る、本発明に従う第6の好ましい実施態様のゴルフボールの部分断面図である。

    【図7】 1層以上の金属マントル層、及び液体コアから成る、本発明に従う第7の好ましい実施態様のゴルフボールの部分断面図である。

    【図8】 1層以上の金属マントル層、任意の高分子中空球基体、及び液体コアから成る、本発明に従う第8の好ましい実施態様のゴルフボールの部分断面図である。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J100 AA02P AA03P AA04P AA16P AJ01Q AJ02Q AJ03Q AJ08Q AJ09Q AK07R AK08R AK09R AK12R AK13R AK14R AK20R AK21R BA17H BB01Q CA04 CA05 CA31 DA47 HA31 HB36 HB39 HC27 JA01 JA57

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