適正圧決定装置、適正圧決定システム、適正圧を決定する方法

申请号 JP2016083177 申请日 2016-11-09 公开(公告)号 JPWO2017082274A1 公开(公告)日 2018-08-30
申请人 有限会社ヒューマンリンク; 发明人 田上 勝利;
摘要 血流を阻害することによる筋 力 増強方法における、より安全性が高く、より筋力増強方法を実行する者が不安感や恐怖感を感じなくても良いような、より適切な適正圧を求める方法を提供する。 加圧用ベルトのガス袋内の空気の圧を適正圧と目される圧よりも一旦高め、その後その圧を徐々に抜いていく。その過程で、脈波振幅を測定し、一旦上がりそして下がっていく脈波振幅の最大値が生じたときのガス袋内の空気の圧である最大脈波圧を最大脈波圧特定部12Eが特定する。最大脈波圧特定部12Eは最大脈波圧を示す最大脈波圧データを適正圧演算部12Fに送る。適正圧演算部12Fは、最大脈波圧に0.85の係数を乗じたものを適正圧とする。
权利要求

四肢のいずれかの所定の部位に巻き付けることのできる長さとされたベルト、前記ベルトを前記所定の部位に巻き付けた状態で固定する固定手段、前記所定の部位に巻き付けられた前記ベルトが、前記固定手段により固定された状態で、その内部に気体を充填することにより、前記所定の部位を締付けることで、前記所定の部位に所定の締め付け圧を与える、前記ベルトに設けられたガス袋、を有する緊締具と、 前記ガス袋内の気体の圧を所望の圧に設定することができるようにされた圧変動手段と、 前記所定の部位の近辺、或いはそこよりも四肢の末端側で、前記締め付け圧に基づいて変化する動脈の脈波の大きさの変動にしたがって変動する所定のパラメータを測定し当該パラメータについての脈波データを生成する脈波測定手段と、 の組合せにより適正圧決定システムを構成する、適正圧決定装置であって、 前記締め付け圧を変化させるために、前記圧力変動手段を制御するものであり、前記圧力変動手段が、前記ガス袋内の気体の圧力を脈波が最大となると想定される範囲を跨ぐようにして変化させるように前記圧力変動手段を制御するようになっている圧力制御手段と、 前記ガス袋内の圧力が変化している間に前記脈波測定手段から前記脈波データを複数回受付けることにより、脈波が最大となったときの前記ガス袋内の気体の圧力である最大脈波圧を特定する最大脈波圧特定手段と、 前記最大脈波圧に対して所定の演算を行うことにより、前記最大脈波圧よりも小さな圧である適正圧を求める適正圧演算手段と、 を備えている、適正圧決定装置。前記圧力制御手段は、脈波データを生成するに先立って、前記圧力変動手段が前記ガス袋内の圧力を最大脈波圧を超えると予想される圧力よりも一旦高め、その後前記ガス袋内の圧力を下げるように、前記圧力変動手段を制御するようになっている、 請求項1記載の適正圧決定装置。前記適正圧演算手段は、前記最大脈波圧に0より大きく1より小さい係数を乗ずることにより、前記適正圧を求めるようになっている、 請求項1記載の適正圧決定装置。前記係数は、0.6〜0.9の間の数である、 請求項3記載の適正圧決定装置。前記適正圧演算手段は、前記最大脈波圧から所定の圧を減ずることにより、前記適正圧を求めるようになっている、 請求項1記載の適正圧決定装置。前記所定の圧は、10〜50mmHgである、 請求項5記載の適正圧決定装置。前記脈波測定手段は、前記ガス袋の内部の気体の圧力を前記パラメータとして測定できるようにされている、 請求項1〜6のいずれかに記載の適正圧決定装置。四肢のいずれかの所定の部位に巻き付けることのできる長さとされたベルト、前記ベルトを前記所定の部位に巻き付けた状態で固定する固定手段、前記所定の部位に巻き付けられた前記ベルトが、前記固定手段により固定された状態で、その内部に気体を充填することにより、前記所定の部位を締付けることで、前記所定の部位に所定の締め付け圧を与える、前記ベルトに設けられたガス袋、を有する緊締具と、 前記ガス袋内の気体の圧を所望の圧に設定することができるようにされた圧力変動手段と、 前記所定の部位の近辺、或いはそこよりも四肢の末端側で、前記締め付け圧に基づいて変化する動脈の脈波の大きさの変動にしたがって変動する所定のパラメータを測定し当該パラメータについての脈波データを生成する脈波測定手段と、 を備えている適正圧決定システムであって、 前記締め付け圧を変化させるために、前記圧力変動手段を制御するものであり、前記圧力変動手段が前記ガス袋内の気体の圧力を変化させるように前記圧力変動手段を制御するようになっている圧力制御手段と、 前記ガス袋内の圧力が変化している間に前記脈波測定手段から前記脈波データを複数回受付けることにより、脈波が最大となったときの前記ガス袋内の気体の圧力である最大脈波圧を特定する最大脈波圧特定手段と、 前記最大脈波圧に対して所定の演算を行うことにより、前記最大脈波圧よりも小さな圧である適正圧を求める適正圧演算手段と、 を備えている、適正圧決定システム。前記適正圧が決定された後、前記ガス袋内の気体の圧力を当該適正圧に維持するように、前記圧力制御手段が前記圧力変動手段を制御するようになっていることにより、筋力増強システムとして機能するようになっている、 請求項8記載の適正圧決定システム。四肢のいずれかの所定の部位に巻き付けることのできる長さとされたベルト、前記ベルトを前記所定の部位に巻き付けた状態で固定する固定手段、前記所定の部位に巻き付けられた前記ベルトが、前記固定手段により固定された状態で、その内部に気体を充填することにより、前記所定の部位を締付けることで、前記所定の部位に所定の締め付け圧を与える、前記ベルトに設けられたガス袋、を有する緊締具と、 前記ガス袋内の気体の圧を所望の圧に設定することができるようにされた圧力変動手段と、 前記所定の部位の近辺、或いはそこよりも四肢の末端側で、前記締め付け圧に基づいて変化する動脈の脈波の大きさの変動にしたがって変動する所定のパラメータを測定し当該パラメータについての脈波データを生成する脈波測定手段と、 の組合せにより適正圧決定システムを構成する、適正圧決定装置にて実行される方法であって、 前記適正圧決定装置が、 前記締め付け圧を変化させるために、前記圧力変動手段を制御するものであり、前記圧力変動手段が前記ガス袋内の気体の圧力を変化させるように前記圧力変動手段を制御する過程、 前記ガス袋内の圧力が変化している間に前記脈波測定手段から前記脈波データを複数回受付けることにより、脈波が最大となったときの前記ガス袋内の気体の圧力である最大脈波圧を特定する過程、 前記最大脈波圧に対して所定の演算を行うことにより、前記最大脈波圧よりも小さな圧である適正圧を求める過程、 を含む、方法。

说明书全文

本発明は、被験者の四肢の少なくともいずれかの血流を阻害して実施する筋増強技術、乃至それに付随する健康増進技術に関する。

四肢の少なくともいずれかに流れる血流を阻害することによる筋力増強方法が知られている。かかる筋力増強方法の主な機序は以下の通りである。また、かかる筋力増強方法を実施することにより、血管の弾性の向上その他の健康増進の効果も得られることが知られている。 かかる筋力増強方法では、ベルトを四肢の所定の部位、例えば四肢の基端に巻きつけて、ベルトによりベルトを巻いた四肢の所定の部位を締め付ける。人体において、動脈は四肢のより中心近いところに、静脈は四肢のより表面付近に存在する。 ベルトによる四肢の締付けを適当に調節すれば、四肢のより表面に近いところに存在する静脈に止血を起こし、且つ四肢のより中心に近いところに存在する動脈に止血を生じないという状態を作ることができる。そうすると、四肢においては静脈から血液が流出しないが、動脈によって血液がベルトを巻いた所定の部位よりも末端側の血管に送られるという状態になる。その状態になると、四肢のベルトを巻いた所定の部位よりも末端側に血液が貯蔵される、いわゆるうっ血した状態になる。 四肢のベルトを巻いた所定の部位よりも末端側に血液が貯蔵される状態が生じると、血液から筋肉に供給される酸素が減少し筋肉が疲労し、筋肉内に乳酸が蓄積することになる。そうなると下垂体から通常よりも多くの成長ホルモンが分泌され、それにより筋力が増強されるというのが、血流を阻害することによる筋力増強方法の機序である。

この筋力増強方法は、血流阻害による負荷を筋肉に与えることにより筋力の増強を行うものであるため、筋力を増強するにあたって運動を行わなくてもよくなるという大きな特徴を有する。この特徴により、この筋力増強方法は、運動機能に異常のある者、例えば高齢者や、怪我を負っている者などの運動機能の回復に大きな効果がある。 また、この筋力増強方法は、血流の阻害による負荷を筋肉に与えることで筋肉に与える負荷の総量を補償することができるので、運動と組み合わせる場合には、運動による負荷を従来よりも減らせるという特徴をもっている。この特徴は、筋力を増強するにあたって筋肉に行わせる運動量を減少させられることになるので、関節や筋肉が損傷するおそれを減少させられる、また、トレーニング期間を短縮できるようになる、といった効果を生む。

上述したように、この筋力増強方法を実施する場合には、静脈で止血を生じ、且つ動脈で止血を生じないような範囲に含まれる圧力のうちの適正な圧力(本願では、これを「適正圧」と称する。)で、四肢の所定の部位を締め付けることが肝要である。 この適正圧は、筋力増強方法を実行する者によって異なり、同じ者においても、この筋力増強方法の習熟度合いや、その日の体調によっても変動する。したがって、これからこの筋力増強方法を実行しようというときには、その者の四肢を締め付けるべき適正圧をまず決定する必要がある。 古くはこの適正圧は、医師やスポーツトレーナー等の専門的な知識を有する者が主に過去の経験から決定していたが、その決定を自動化することができれば便利である。 そのような観点から、血流の阻害を用いた筋力増強方法の分野では、自動的に適正圧を決定するための方法、装置が幾つか提案されてきている。

以下に示す特許文献にはいずれも、ベルトにより締付けられている四肢の所定の部分かそれよりも末梢側における脈波を利用して適正圧を決定する方法が開示されている。 上述のベルトによる四肢の所定の部位の締付けを、締付けがない状態から徐々に強くしていくと、ベルトにより締付けられている四肢の所定の部分かそれよりも末梢側における脈波はそれに伴い大きくなっていく。他方、ベルトによる締付けの大きさがある大きさを超えると、脈波は今度は小さくなっていく。脈波が最大となるときは、脈波を計測している部分の動脈を流れる血流量が最大となっている状態であり、静脈に止血が起こり、且つ動脈に止血が生じていないという状態が最も良く達成された状態である。 以下の特許文献のうち特許文献1の技術では、脈波が最大となったときのベルトによる締め付け圧を、適正圧とする。また、特許文献2の技術では、特にアスリートの如き、通常の者よりも著しく体力に優れた者に対して血流の阻害を用いた筋力増強方法を実行した場合における更なる効果の向上を求めるために、脈波が最大となったときのベルトによる締め付け圧よりも更に大きな締め付け圧を、適正圧とする。そして、特許文献3の技術では、ベルトによる締め付け圧が大きくなるに連れ徐々に大きくなり、且つ脈波が最大となった後にはベルトによる締め付け圧が大きくなるに連れ徐々に小さくなるという、締め付け圧に対する脈波のグラフを求めた上で、脈波が最大となる締め付け圧よりも締め付け圧が大きな側に存在するそのグラフの変曲点を基準圧とし、その変曲点における締め付け圧に0〜1の間の適当な数をかけることにより、適正圧を求めることとしている。

特許第4839179号公報

特許第5165752号公報

特開2012−223508公報

しかしながら、脈波が最大となるときのベルトによる締め付け圧を適正圧とするのは妥当でない場合があるということがわかってきた。それは、脈波が最大となっているときには、血管の振動が非常に大きくなるということである。この血管の振動は、血流阻害による筋力増強方法を実行している者にも感じ取れるものであり、当該者に対して不安感や恐怖感を与える場合がある。脈波が最大となるまでベルトによる締め付け圧を高めていくと、筋力増強方法を実行している者は、自らの脈動を徐々に強く感じる。普段の生活の中では感じたことのないくらいにまでに大きな動脈の脈動を感じ取った筋力増強方法を実行する者は当然に、不安感や恐怖感を訴える。また、それだけでなく、その状態で筋力増強方法を実行した場合には、安全性に問題が生じる可能性すらある。というのは、脈波が最大となっている状態では、血流により血管に加えられる圧力(つまり、血圧)によって、ベルトにより締付けられている部分の血管(乃至、血管とその周辺の弾性組織)に、血流の脈動に基づく共振が生じていると考えられえ、その共振が血管(乃至、血管とその周辺の弾性組織)に過度の負荷をかけることがあると予想されるからである。 したがって、脈波が最大となるときのベルトの締め付け圧を適正圧とする特許文献1の技術は、筋力増強方法を実行する者に不安感や恐怖感を与えるおそれがあり、また、その安全性にも疑問が残る。適正圧を、脈波が最大となるときのベルトの締め付け圧とする、特許文献2の技術も同様である。 他方、特許文献3の技術の場合においては、基準圧にかける数字が0に近い場合には適正圧が、脈波が最大となるときのベルトの締め付け圧よりも小さくなる場合がある。しかしながら、特許文献3の技術でも、基準圧にかける数字が1に近い場合には適正圧が、脈波が最大となるときのベルトの締め付け圧よりも大きくなる場合があり、その場合には、特許文献1、2と同様の問題が生じる可能性がある。しかも、特許文献3の技術には更なる課題が存在する。特許文献3の技術で基準圧を求めるために用いる脈波のグラフにおける変曲点は、その中の空気の圧を変化させることによりベルトの締め付け圧を変化させるために用いられるチューブが弾性体によって構成されており、伸びがあることに基づいてグラフ上に現れる。つまり、チューブ内の空気の圧が徐々に上がっていくと、弾性体により構成されるチューブはしばらくは伸びないが、チューブ内の空気の圧がある程度以上まで上がると弾性体により構成されるチューブは伸び始める。そのチューブの伸び始める時点が、上述のグラフにおいて変曲点として現れるのであるが、チューブの伸びは、ベルトの繰返しの使用による劣化(へたり)や、筋力増強方法を実行するときの周囲の温度等によって変化するため、その再現性が低く、或いは精度に問題があることが多い。特に、上述の変曲点が締め付け圧の大きな側に移動した場合には、特許文献3における適正圧は、意図していたよりも大きな値となる可能性が高い。

本発明は、かかる問題を解決するものであり、血流を阻害することによる筋力増強方法における、より安全性が高く、より筋力増強方法を実行する者が不安感や恐怖感を感じなくても良いような、より適切な適正圧を求める方法を提供することをその課題とする。

上述の課題を解決するために、本願発明者は、以下の発明を提案する。 本願発明は、四肢のいずれかの所定の部位に巻き付けることのできる長さとされたベルト、前記ベルトを前記所定の部位に巻き付けた状態で固定する固定手段、前記所定の部位に巻き付けられた前記ベルトが、前記固定手段により固定された状態で、その内部に気体を充填することにより、前記所定の部位を締付けることで、前記所定の部位に所定の締め付け圧を与える、前記ベルトに設けられたガス袋、を有する緊締具と、前記ガス袋内の気体の圧を所望の圧に設定することができるようにされた圧力変動手段と、前記所定の部位の近辺、或いはそこよりも四肢の末端側で、前記締め付け圧に基づいて変化する動脈の脈波の大きさの変動にしたがって変動する所定のパラメータを測定し当該パラメータについての脈波データを生成する脈波測定手段と、の組合せにより適正圧決定システムを構成する、適正圧決定装置である。 そしてこの適正圧決定装置は、前記締め付け圧を変化させるために、前記圧力変動手段を制御するものであり、前記圧力変動手段が、前記ガス袋内の気体の圧力を脈波が最大となると想定される範囲を跨ぐようにして変化させるように前記圧力変動手段を制御するようになっている圧力制御手段と、前記ガス袋内の圧力が変化している間に前記脈波測定手段から前記脈波データを複数回受付けることにより、脈波が最大となったときの前記ガス袋内の気体の圧力である最大脈波圧を特定する最大脈波圧特定手段と、前記最大脈波圧に対して所定の演算を行うことにより、前記最大脈波圧よりも小さな圧である適正圧を求める適正圧演算手段と、を備えている。 この適正圧決定装置は、従来の同様の装置と同様に、ベルト、ガス袋、及び固定手段を備えた緊締具と、例えばエアポンプであるガス袋内の気体の圧を変化させるための圧力変動手段と、脈波データを生成する脈波測定手段と、組合せて用いられる。また、この適正圧決定装置は、圧力変動手段を制御する圧力制御手段と、最大脈波圧を特定する最大脈波圧特定手段と、を備えている。これらも、従来の同様の装置が備えていたものと同様のもので良い。 そして、この適正圧決定装置は、適正圧演算手段を備えている。これは従来の同様の装置には存在しないものである。適正圧演算手段は、最大脈波圧に対して所定の演算を行うことにより、最大脈波圧よりも小さな圧である適正圧を求めるものである。つまり、これにより決定される適正圧は最大脈波圧よりも小さなものとなる。したがって、適正圧が最大脈波圧と同じかそれ以上である場合に比して、この適正圧を用いて血流を阻害することによる筋力増強方法を実行する場合に、その安全性をより高くすることができ、また、筋力増強方法を実行する者が感じる不安感や恐怖感をより減らすことができるようになる。 加えて、本願発明者の研究によれば、従来は適正圧は最大脈波圧と同じかそれ以上とすべきであり、その方が血流を阻害することによる筋力増強方法の効果がより強く出ると考えられてきたが、一般的な健康状態の者に対して血流を阻害することによる筋力増強方法を施術するのであれば、最大脈波圧よりも適正圧を小さくしても、その効果は十分に得られることがわかってきた。したがって、最大脈波圧よりも小さな適正圧を採用することによる不具合は殆ど生じ無いし、本願発明によって求められる適正圧は、通常の者に対して用いる適正圧として、汎用性の高い、いわば最大公約数的なものとなり得る。 また、この適正圧決定装置では、適正圧を決定するのに最大脈波圧を用い、それよりも小さい範囲で適正圧を決定するから、上述の如き脈波のグラフの変曲点を用いる場合の如き、適正圧が最大脈波圧よりも大きくなったり小さくなったりするという不安定さもなく、また、結果的に求められる適正圧も正確である。

上述したように、圧力制御手段は、前記圧力変動手段が前記ガス袋内の気体の圧力を変化させるように前記圧力変動手段を制御する。このときのガス袋内の気体の圧力の変化は、連続的なものでも、段階的なものでもよい。ここでいう「段階的」とは、時間が経過しても圧力の変化がないという時間帯が存在することを意味する。また、ガス袋内の気体の圧力は、時間が経つにつれて大きくなる方向に変化しても、時間が経つにつれて小さくなる方向で変化してもよい。最終的に、最大脈波圧を決定できるように、ガス袋内の気体の圧力が、脈波が最大となると想定される範囲を跨ぐようにして変化するようになっていればよい。 圧力制御手段は、上述したように、脈波データを生成するに先立って、圧力変動手段がガス袋内の圧力を最大脈波圧を超えると予想される圧力よりも一旦高め、その後ガス袋内の圧力を下げるように、圧力変動手段を制御するようになっている場合がある。この場合、脈波は、圧が小さくなるに連れ大きくなっていき、やがてそれが最大になり、その後圧が小さくなるに連れて小さくなる。この場合には、脈波が増大から減少に転じる点における緊締具による四肢の締め付け圧を、最大脈波圧として特定することができる。この場合には、最大脈波圧として予想される圧力よりもガス袋内の気体の圧力を一旦上げることが必要となる。最大脈波圧として予想される圧力は、経験上ある範囲に収まることがわかっているので、そのようなことを行うのは事実上容易である。具体的には、一旦上げるべきガス袋内の気体の圧力は230〜250mmHg程度である。もっとも、最大脈波圧として予想される圧力よりも高い上述の一旦上げるべき圧力には個人差がある。したがって、この適正圧決定装置は、最大脈波圧を特定する際に、最大脈波圧よりも大きくなるまで一旦上げるべきガス袋内の気体の圧力を、入力手段により入力できるようにするとともに、入力手段からその入力を受取った制御手段が、圧力変動手段に、その入力に基づいた圧力までガス袋内の気体の圧力を一旦上げさせるようにすることも可能である。 他方、圧力制御手段は、上述したように、脈波データを生成するに先立って、圧力変動手段がガス袋内の圧力を最大脈波圧よりも小さいと予想される圧力からガス袋内の圧力を上げるように、圧力変動手段を制御するようになっている場合がある。この場合、脈波は、圧が大きくなるに連れ大きくなっていき、やがてそれが最大になり、その後圧が大きくなるに連れて小さくなる。この場合には、スタート時点の圧を小さくしておけば(例えば、常圧としておけば)、必ず最大脈波圧が現れるから、圧を下げつつ最大脈波圧を特定するときにおいて生じる可能性のある最大脈波圧が生じない可能性を排除することができ、またかかる可能性を排除するための一例としての「最大脈波圧よりも大きくなるまで一旦上げるべきガス袋内の気体の圧力を、入力手段により入力できるようにする」といった手法の採用の必要がなくなる。

脈波測定手段が測定する、動脈の脈波の大きさの変動にしたがって変動するパラメータは、どのような物理量に関するものであっても構わない。脈波測定手段は、例えば、皮膚に押接して皮膚からの面圧を測定するセンサであり、脈波に応じて変化する皮膚からの面圧を測定するものであってもよい。脈波は、皮膚上に脈動として現れるので、上述の脈波測定手段は、その脈動にしたがって変化する皮膚からの面圧をパラメータとして測定するのである。 或いは脈波測定手段は、前記ガス袋の内部の気体の圧力を前記パラメータとして測定できるようにされていてもよい。上述したように、脈波は、皮膚上に脈動として現れるが、その脈動により四肢の基端付近に巻き付けられた緊締具が備えるガス袋内の空気の圧力は変化する。上述の脈波測定手段は、このガス袋内の空気の圧力を、パラメータとして測定するものでもよい。 なお、脈波測定手段は、前記所定の部位の近辺、或いはそこよりも四肢の末端側の脈波を測定できるようにされていればよい。脈波測定手段が所定の部位の近辺の脈波を測定する場合には、脈波測定手段は、必ずしも、その所定の部位よりも四肢の末端側の脈波を測定するものとなっている必要はない。

本願発明では、適正圧演算手段が、最大脈波圧に対して所定の演算を行うことにより、最大脈波圧よりも小さな圧である適正圧を求める。その演算の方法は基本的に自由である。 例えば、前記適正圧演算手段は、前記最大脈波圧に0より大きく1より小さい係数を乗ずることにより、前記適正圧を求めるようになっていてもよい。このような演算を行うことにより簡単に、最大脈波圧よりも小さい適正圧を求めることが可能となる。この場合の係数は例えば、0.6〜0.9の間の数である。係数が0.6の場合には、脈波の大きさは概ね、最大となっている脈波に比べて16%程度小さくなっている(なお、この場合における16%という値は、脈波振幅は後述の図7に示した如き曲線を描くところ、かかる曲線が、y=−x2の放物線と同一の形状であるとみなした場合の値である。以下も同様である。)。この程度の脈波の大きさであれば、動脈の止血が殆ど起こっていないと見做すことができるし、他方、血流の阻害による筋力増強方法による筋力増強効果としても十分なものとなる。また、係数が0.9の場合には、脈波の大きさは概ね、最大となっている脈波に比べて1%程度小さいだけであるから筋力増強方法としての効果は十分である。この程度の脈波の大きさであれば、動脈の止血は起こっていないも同然であり、しかも本願発明者の研究によれば、脈波の大きさがこの程度小さくなっただけでも、従来技術で述べた血管等の共振はまず生じなくなる。したがって、係数の大きさを上述の範囲にすると、血流の阻害による筋力増強方法の安全性を高め、その実行者に恐怖感や不安感を与えるのを防止することと、筋力増強の効果を十分なものにすることとを両立し易くなる。係数はまた、0.7〜0.9の間にすることもできる。係数が0.7である場合には、脈波の大きさは概ね、最大となっている脈波に比べて9%程度小さいだけである。したがって、係数をこの範囲にした場合には、血流の阻害による筋力増強方法の効果をより大きくすることができる。また、係数を0.7〜0.85とした場合には、血流の阻害による筋力増強方法の安全性を高め、その実行者に恐怖感や不安感を与えるのを防止するという効果がより強調される。本願発明者の研究によれば、係数を、0.75〜0.85とすると、血流の阻害による筋力増強方法の安全性を高め、その実行者に恐怖感や不安感を与えるのを防止することと、筋力増強の効果を十分なものにすることとを、最も多くの者について両立し易くなる。とはいえ、例えば体力、年齢、血流の阻害による筋力増強方法への慣れ等を考慮して、筋力増強方法を実行する者を例えば2つ程度のカテゴリに分け、あるカテゴリの者(老人、虚弱者等)については、0.6〜0.75の間の係数を用い、他のカテゴリの者については0.75〜0.9の係数を用いる等とすることも可能である。 或いは、前記適正圧演算手段は、前記最大脈波圧から所定の圧を減ずることにより、前記適正圧を求めるようになっていてもよい。このような演算を行うことによっても簡単に、最大脈波圧よりも小さい適正圧を求めることが可能となる。前記所定の圧は、10〜50mmHgとすることができる。所定の圧をこの範囲にすると、血流を阻害することによる筋力増強方法を実行する場合に、その安全性をより高くすることができ、また、筋力増強方法を実行する者が感じる不安感や恐怖感をより減らすことができるようになるという効果を得られる上、筋力増強方法の効果が殆ど落ちない。

本願の適正圧決定装置と同様の効果を奏するものとして、本願発明者は、以下の方法をも本願発明の一形態として提案する。 その方法の一例は、四肢のいずれかの所定の部位に巻き付けることのできる長さとされたベルト、前記ベルトを前記所定の部位に巻き付けた状態で固定する固定手段、前記所定の部位に巻き付けられた前記ベルトが、前記固定手段により固定された状態で、その内部に気体を充填することにより、前記所定の部位を締付けることで、前記所定の部位に所定の締め付け圧を与える、前記ベルトに設けられたガス袋、を有する緊締具と、前記ガス袋内の気体の圧を所望の圧に設定することができるようにされた圧力変動手段と、前記所定の部位の近辺、或いはそこよりも四肢の末端側で、前記締め付け圧に基づいて変化する動脈の脈波の大きさの変動にしたがって変動する所定のパラメータを測定し当該パラメータについての脈波データを生成する脈波測定手段と、の組合せにより適正圧決定システムを構成する、適正圧決定装置にて実行される方法である。 そしてこの方法は、前記適正圧決定装置が、前記締め付け圧を変化させるために、前記圧力変動手段を制御するものであり、前記圧力変動手段が前記ガス袋内の気体の圧力を変化させるように前記圧力変動手段を制御する過程、前記ガス袋内の圧力が変化している間に前記脈波測定手段から前記脈波データを複数回受付けることにより、脈波が最大となったときの前記ガス袋内の気体の圧力である最大脈波圧を特定する過程、前記最大脈波圧に対して所定の演算を行うことにより、前記最大脈波圧よりも小さな圧である適正圧を求める過程、を含む。

本願の適正圧決定装置と同様の効果を奏するものとして、本願発明者は、以下の適正圧決定システムをも本願発明の一形態として提案する。 その適正圧決定システムの一例は、四肢のいずれかの所定の部位に巻き付けることのできる長さとされたベルト、前記ベルトを前記所定の部位に巻き付けた状態で固定する固定手段、前記所定の部位に巻き付けられた前記ベルトが、前記固定手段により固定された状態で、その内部に気体を充填することにより、前記所定の部位を締付けることで、前記所定の部位に所定の締め付け圧を与える、前記ベルトに設けられたガス袋、を有する緊締具と、前記ガス袋内の気体の圧を所望の圧に設定することができるようにされた圧力変動手段と、前記所定の部位の近辺、或いはそこよりも四肢の末端側で、前記締め付け圧に基づいて変化する動脈の脈波の大きさの変動にしたがって変動する所定のパラメータを測定し当該パラメータについての脈波データを生成する脈波測定手段と、を備えている適正圧決定システムである。 そしてこの適正圧決定システムは、前記締め付け圧を変化させるために、前記圧力変動手段を制御するものであり、前記圧力変動手段が前記ガス袋内の気体の圧力を変化させるように前記圧力変動手段を制御するようになっている圧力制御手段と、前記ガス袋内の圧力が変化している間に前記脈波測定手段から前記脈波データを複数回受付けることにより、脈波が最大となったときの前記ガス袋内の気体の圧力である最大脈波圧を特定する最大脈波圧特定手段と、前記最大脈波圧に対して所定の演算を行うことにより、前記最大脈波圧よりも小さな圧である適正圧を求める適正圧演算手段と、を備えている。

適正圧決定システムは、前記適正圧が決定された後、前記ガス袋内の気体の圧力を当該適正圧に維持するように、前記圧力制御手段が前記圧力変動手段を制御するようになっていることにより、筋力増強システムとして機能するようになっていても構わない。 これにより、安全に、また、筋力増強方法を実行する者に不安感や恐怖感をあまり感じさせずに、しかも効果的に筋力増強方法を実行できるようになる。 なお、筋力増強方法を実行する適正圧決定システムにおける緊締具は、単数でも、複数でもよい。 緊締具が複数である場合における前記脈波測定手段は、前記緊締具と同数であり、且つそのそれぞれが前記緊締具のそれぞれと対応付けられているとともに、そのそれぞれと対応付けられた緊締具が巻き付けられた所定の部位の近辺、或いはそこよりも四肢の末端側における脈波の大きさの変動にしたがって変動する所定のパラメータを測定して当該四肢についての脈波データを生成するものとされていてもよい。また、この場合における前記圧力変動手段は、前記緊締具と同数であり、且つそのそれぞれが前記緊締具のそれぞれと対応付けられていてもよい。また、この場合における最大脈波圧特定手段は、四肢のそれぞれについて最大脈波圧を特定するようになっていても良い。この場合における圧力制御手段は、四肢のそれぞれを締付ける前記緊締具と対応付けられた前記圧力変動手段のそれぞれを制御するようになっていても良い。

本発明の一実施形態による筋力トレーニングシステムの全体構成を示す図。

図1に示した筋力トレーニングシステムに含まれる加圧用ベルトを示す斜視図。

図1に示した筋力増強システムに含まれる加圧力制御装置のハードウェア構成図。

図1に示した筋力増強システムに含まれる加圧力制御装置が含む制御部のハードウェア構成を示す図。

制御部内に形成される機能ブロックを示すブロック図。

図1に示した加圧力制御装置で適正圧を決定する際のガス袋内の空気の圧のタイミング図。

図1に示した加圧力制御装置において実行される最大脈波圧の決定の仕方を説明するための図。

以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。

図1は、本発明の一実施形態による、筋力トレーニングシステムの全体を示している。 この筋力トレーニングシステムは、後述するように適正圧決定モードとトレーニングモードという2つの処理を実行するようになっている。適正圧決定モードを実行する際、この筋力トレーニングシステムは、本願で言う適正圧決定システムとして機能する。またトレーニングモードを実行する際、この筋力トレーニングシステムは、血流阻害により筋力を増強するためのトレーニングシステムとして機能する。この筋力トレーニングシステムは、適正圧決定モードのみを実行できるようになっていても良い。 筋力トレーニングシステムを用いて実行できる筋力トレーニングは、血流を阻害することによる筋力トレーニングである。 この筋力トレーニングシステムによって実現される血流を阻害することによる筋力トレーニングは、「トレーニング」という名称が便宜上付されてはいるものの、健康な者の筋力増強を目的とするものに限られず、治療、リハビリテーション等の医療を目的とする場合があり、また、医療類似行為を目的とする場合もあり、美肌、アンチエイジング、ダイエット等の美容を目的とする場合もあり、リラックス等の心理的効果を目的とする場合もある。また、この筋力トレーニングシステムを用いて実行できる筋力トレーニングは、血管増強を目的とする場合もある。このように、血流を阻害することによる筋力トレーニングはそれを行うことにより筋力増強の効果を生じるものであるが、それ以外にも様々な副次的効果が生じる。その副次的な効果を目的として実行する場合であっても、実行される行為が血流を阻害することによる筋力トレーニングであることには変りない。これは、本願明細書のすべてにおいて妥当する。

この筋力トレーニングシステムは、加圧力制御装置1と、図2にその詳細を示した加圧用ベルト2a、2bとを備えている。

まず、加圧用ベルト2a、2bの構成から説明する。 加圧用ベルト2a、2bは、加圧力制御装置1の制御下で、それが取付けられた被験者の四肢に対して、血流の制限を生じさせるような締め付け力を与えるものである。 加圧用ベルト2a、2bは少なくとも1つ存在すれば良いが、この実施形態では、左右両腕又は両脚用の一対の加圧用ベルト2a、2bが、筋力トレーニングシステムに含まれるものとする。

加圧用ベルト2a、2bは、ベルト形状に形成された細長い緊締帯8a、8bを備えている。緊締帯8a、8bはその長さ方向に若干伸びる素材(もっとも、緊締体8a、8bの伸びは、特に加圧用ベルト2a、2bを巻いた状態でユーザが運動を行うことが想定されていない場合には、必須ではない。)、例えばネオプレンゴムでできており、その長さはそれが取付けられることが予定された四肢における所定の部位、例えば四肢の付根付近の所定の部位の周囲を一周して幾らか余裕がある程度となっている。緊締帯8a、8bの幅は、それを四肢の付根付近の所定の部位に取付けたときに筋腹に掛からない程度細く、また緊締帯8a、8bが四肢に喰い込み被験者に痛みを与えることがない程度に太い、そのような適当な幅とされている。 緊締帯8a、8bの内面には、400mmHg程度の空気圧に耐えることが可能な素材(例えば、天然ゴム)で構成された、気密なガス袋2Xが取り付けられている。ガス袋2Xは、例えば樹脂製の管である連結管2Yと連通状態で接続されており、連結管2Yを介して、加圧力制御装置1にその基端が接続される後述のゴムチューブ3a、3bの先端と接続されるようになっている。 緊締帯8a、8bの内側には、また、加圧用ベルト2a、2bの緊締帯8a、8bを被験者の四肢の所定位置に巻き付けたときに緊締帯8a、8bが作ったループの径を固定する固定部2Zが設けられている。この実施形態における固定部2Zは、これには限られないが面ファスナである。緊締帯8a、8bを図2の下側から被験者の四肢に巻き付け、固定部2Zを緊締帯8a、8bの外面に固定させることにより、緊締帯8a、8bが作ったループの径が固定されることになる。 加圧用ベルト2a、2bは、被験者の四肢の適宜の部分に固定された状態で加圧力制御装置1により、ゴムチューブ3a、3bを介してそのガス袋2X内に空気を出し入れされる。その空気の圧により、加圧用ベルト2a、2bは、それが取付けられた被験者の四肢に対して適正な圧の締め付け力を与えることになる。

主に、緊締帯8a、8bが伸縮性を有するため、加圧用ベルト2a、2bは長さ方向に幾らか伸びるようになっている。これは、加圧用ベルト2a、2bを被験者の四肢に取付けた状態で被験者が運動を行い関節を曲げるとその四肢の筋肉が太くなるので、加圧用ベルト2a、2bが伸縮性をまったく持たないと加圧用ベルト2a、2bが四肢に与える締め付け力が過剰となるからである。

次に、加圧力制御装置1について説明する。 加圧力制御装置1の具体的な構成は、図1、図3、図4に示される。 加圧力制御装置1は、被験者の四肢に巻き付けた加圧用ベルト2a、2bのガス袋2Xに空気を送り込み、加圧用ベルト2a、2bに被験者の四肢を締め付けさせる機能を有する。それにより、加圧力制御装置1は、被験者に血流を阻害することによるトレーニングを施術させることができる。加圧力制御装置1はまた、被験者が血流を阻害することによるトレーニングを行う場合に被験者の四肢に対して加圧用ベルト2a、2bが与えるべき適正な締め付け圧である適正圧を決定することができるようになっている。 加圧力制御装置1は、このように、血流を阻害することによるトレーニングを単に実行するモードであるトレーニングモードと、適正圧を決定するモードである適正圧決定モードとの2つのモードを実行できるようになっている。

この実施形態の加圧力制御装置1は、必ずしもこの限りではないが、ケーシング1Xに種々の部品を取付け、或いは内蔵させて構成されている。

加圧力制御装置1のケーシング1Xには、ボタン、ダイヤルなどの適宜の形態の操作部16が設けられている。操作部16は、その操作によりデータを生成するものである。操作部16は制御部12に接続されており、必要なデータを、制御部12に入力できるようになっている。操作部16の操作により、各加圧用ベルト2a、2bによる加圧力を調整するための設定圧力についてのデータの入力や、被験者に対応させた適正圧を自動的に測定する後述の適正圧決定モードを開始させたり終了させたりするためのモード移行を制御部12に実行させるためのデータの入力や、加圧用ベルト2a、2bの加圧動作をスタート(オン)又はストップ(オフ)させるためのデータの入力等を実行できるようになっている。 ケーシング1Xには、表示部17が設けられている。この表示部17は、文字又は画像を表示するものであり、例えばLCD(液晶ディスプレイ)等にて構成されている。表示部17には、操作部16の操作にて入力された内容、後述する適正圧、加圧用ベルト2a、2bが被験者の四肢に与えている圧力を表示する圧力表示、加圧時間を表示するタイマ表示等を表示する。表示部17は、後述する制御部12で生成されたデータに基づいて、上記の他適当な表示を行うようになっている。

加圧力制御装置1には、上述のとおり、図3に示すようにして、被験者の四肢の少なくともいずれか一つに装着される加圧用ベルト2a、2bが取付けられるようになっている。 加圧用ベルト2a、2bは、接続部材としての管であるゴムチューブ3a、3bを介して、必要なときに、加圧力制御装置1に接続されるようになっている。ゴムチューブ3a、3bは、加圧用ベルト2a、2bの個数に対応して必要であり、この実施形態では2本となっている。各ゴムチューブ3a、3bの一端が加圧用ベルト2a、2bのガス袋2Xに連結管2Yを介して接続され、これら各ゴムチューブ3a、3bの他端が加圧力制御装置1に接続される。また、これらゴムチューブ3a、3bの先端部には、弁付きカプラ9a、9bがそれぞれ取り付けられており、この弁付きカプラ9a、9bに対して各加圧用ベルト2a、2bのガス袋2Xが接続されている。

加圧力制御装置1は、図3に示すように、加圧ポンプ11a、11bを備えている。これら各加圧ポンプ11a、11bは、エアポンプである。加圧ポンプ11a、11bは、上述のようにして加圧用ベルト2a、2bに接続されたゴムチューブ3a、3bと接続され、それらに個別の制御で空気を送り込み、これら各加圧用ベルト2a、2bに設けられたガス袋2Xに空気を送り込めるようになっている。

加圧力制御装置1は、また、圧力計測部13a、13bを備えている。圧力計測部13a、13bは、気体の圧を測定できるセンサである。圧力計測部13a、13bは、ゴムチューブ3a、3b内の空気の圧を測定することにより、ガス袋2Xの圧を間接的に測定するものであり、それにより更に間接的に、加圧用ベルト2a、2bがその時点で被験者の四肢に与えている圧を測定するものとなっている。必ずしもこの限りではないが、この実施形態の圧力計測部13a、13bは、ゴムチューブ3a、3bから枝分かれした枝管と接続され、枝管内の空気の圧を測定するようになっている。圧力計測部13a、13bは、計測した空気の圧についてのデータである圧力データを生成するようになっている。 圧力計測部13a、13bは、また、後述する制御部12と接続されている。圧力計測部13a、13bが生成した圧力データは、制御部12に送られるようになっている。制御部12は、圧力データを、後述するようにして加圧ポンプ11a、11bの制御のために用い、またそれから被験者の脈波を検出する。

加圧力制御装置1は、また、制御部12を備えている。制御部12はコンピュータであり、加圧力制御装置1全体の制御を司るものである。例えば、制御部12は、加圧ポンプ11a、11bの駆動を制御する。また、制御部12は、後述するようにして適正圧を決定し適正圧についてのデータを生成する。 加圧力制御装置1の制御部12は、図4に示したハードウェアを含む。制御部12に含まれるハードウェアは、演算装置であるCPU101、CPU101が実行すべき処理を決定するプログラム及び当該プログラムを実行するために必要なデータを記録したROM102、CPU101がプログラムを実行する場合の作業空間を提供するRAM103、外部機器とCPU101等を接続するインターフェース104である。また、CPU101、ROM102、RAM103、インターフェース104は、バス105により相互に接続されている。ROM102に含まれるプログラム及びデータには、制御部12の内部に、後述する機能ブロックを生成するために必要なコンピュータプログラムやデータが少なくとも含まれる。かかるコンピュータはそれ単体で後述する機能ブロックを生成するものであっても良いし、他のプログラムとの協働により機能ブロックを生成するものであっても良い。RAM103には、様々なデータが記録されるが、RAM103の機能は、後述する記録部18が兼ねてもよい。インターフェース104には、圧力計側部13a、13b、加圧ポンプ11a、11b、比例バルブ15a、15b(後述)、操作部16、表示部17、及び記録部18(後述)が接続されている。

上述のプログラムを実行することにより制御部12の中には、図5に示したような機能ブロックが生成される。 生成される機能ブロックは、入力部12A、出力部12B、主制御部12C、圧力制御部12D、最大脈波圧特定部12E、適正圧演算部12F、である。

入力部12Aは、制御部12に対する外部からのデータの入力を受付けるものである。入力部12Aは受付けたデータを、適宜の機能ブロックに送るようになっている。例えば、入力部12Aは、操作部16から入力されたデータを受取り、それを主制御部12Cに送るようになっている。入力部12Aは、また、圧力計測部13a、13bから圧力データを受取り、それを圧力制御部12D及び最大脈波圧特定部12Eに送るようになっている。 主制御部12Cは、加圧力制御装置1の全体を制御するものである。主制御部12Cは、かかる制御を操作部16から入力されたデータに基づいて行う。操作部16が行うかかる制御は、加圧力制御装置1の電源のオン、オフの切換えや、後述する適正圧決定モードとトレーニングモードとの切換えである。主制御部12Cは、また、適正圧決定モードとトレーニングモードのいずれかを開始する場合には、その旨を示すデータを圧力制御部12Dに送るようになっている。主制御部12Cは、後述するように適正圧データを適正圧演算部12Fから受取るようになっている。また、主制御部12Cは、表示部17に表示する文字を含んだ画像についての画像データを生成するようになっており、それを出力部12Bに送るようになっている。主制御部12Cは、適正圧データを後述するように出力部12Bを介して記録部18に送るようになっており、また、圧力制御部12Dに送るようになっている。

圧力制御部12Dは、加圧ポンプ11a、11bを制御することにより、加圧用ベルト2a、2bに設けられたガス袋2X内の空気の圧を制御し、それにより加圧用ベルト2a、2bが被験者の四肢に与える圧を制御するものである。それを可能とするために、圧力制御部12Dは、入力部12Aから受付けた圧力データにより、その時点における加圧用ベルト2a、2bに設けられたガス袋2X内の空気の圧を略実時間でモニタするようになっている。圧力制御部12Dは、図示を省略のタイマを備えておりタイマが計測した時間にしたがって、算出され又は設定された、加圧ポンプ11a、11bを制御するためのデータである第1制御データを生成するようになっている。圧力制御部12Dは、上述したように主制御部12Cから適正圧データを受取るが、これも第1制御データを生成するのに使用される。後述のようにして第1制御データを受取った加圧ポンプ11a、11bは、第1制御データによる指示にしたがってガス袋2X内の空気の圧を適宜変更し、或いは維持するように駆動するようになっている。また、圧力制御部12Dは、後述する比例バルブ15a、15bを制御するための第2制御データを生成するようになっている。後述するようにして第2制御データを受取った比例バルブ15a、15bは、第2制御データによる指示にしたがって後述したように駆動するようになっている。圧力制御部12Dは生成した第1制御データ及び第2制御データを、出力部12Bに送るようになっている。第1制御データ、第2制御データの生成の仕方の詳細については追って述べる。 最大脈波圧特定部12Eは、最大脈波を特定するものである。最大脈波圧特定部12Eは、入力部12Aから圧力データを受取るようになっている。最大脈波圧特定部12Eは、そこから脈波を検出し、更に検出した脈波から脈波が最大となったタイミングを検出するようになっている。そして、脈波が最大となったときのガス袋2X内の空気の圧である最大脈波圧を特定するようになっている。脈波が最大となったタイミングをどのように検出するか等については、追って詳述する。最大脈波圧を特定したら、最大脈波圧特定部12Eは、最大脈波圧を示す最大脈波圧データを生成し、最大脈波圧データを適正圧演算部12Fに送るようになっている。 適正圧演算部12Fは適正圧を決定するものである。適正圧演算部12Fは上述のように、最大脈波圧特定部12Eから最大脈波圧データを受取る。適正圧演算部12Fは最大脈波圧データによって示される最大脈波圧に対して所定の演算を行うことにより、適正圧を決定する。適正圧を決定したら、適正圧演算部12Fは、適正圧を示す適正圧データを生成する。適正圧データは、適正圧演算部12Fから、主制御部12Cに送られるようになっている。

出力部12Bは、制御部12から外部へのデータの出力を行うものである。出力部12Bは受付けたデータを、適宜の制御部12の外部の機器に送るようになっている。 上述したように、出力部12Bは、主制御部12Cから画像データを受取る場合がある。出力部12Bは、受取った画像データを表示部17に送るようになっている。画像データを受取った表示部17は、画像データに基づく画像を表示するようになっている。出力部12Bはまた、第1制御データと第2制御データとを圧力制御部12Dから受け取る場合がある。出力部12Bは、第1制御データを受取った場合はそれを加圧ポンプ11a、11bへ、第2制御データを受取った場合はそれを比例バルブ15a、15bへ、それぞれ送るようになっている。第1制御データを受取った加圧ポンプ11a、11bはそれにしたがって駆動するようになっており、第2制御データを受取った比例バルブ15a、15bはそれにしたがって駆動するようになっている。 出力部12Bは、主制御部12Bから適正圧データを受取る場合がある。それを受取った出力部12Bは、適正圧データを記録部18に送るようになっている。

加圧力制御装置1は、また、比例バルブ15a、15bを備えている。比例バルブ15a、15bは、ゴムチューブ3a、3b内の圧を比例調整可能な制御バルブである。比例バルブ15a、15bの存在により、仮に被験者が運動を行いそれにより筋肉の太さに変動が生じる等したとしても、加圧用ベルト2a、2bに掛かる加圧力がPID制御により一定に保持される。必ずしもこの限りではないが、この実施形態の比例バルブ15a、15bは、圧力計測部13a、13bが接続されたのとは更に別の、ゴムチューブ3a、3bの基端側から枝分かれした枝管と接続され、当該枝管内の空気の圧を調整するようになっている。 比例バルブ15a、15bは、制御部12に接続されており、この制御部12からのデータにより開閉動作の制御がされる。

さらに、制御部12には、メモリである記録部18が接続されている。記録部18には、上述した適正圧データの他、操作部16で行われた操作の履歴や、異常発生の履歴、被験者の適正圧を自動的に計測する自動計測モードの解析データの一時記録や、時計データ等が記録されるようになっている。かかる記録は、制御部12が行う。

さらに、加圧力制御装置1には、この加圧力制御装置1を構成する制御部12、圧力計測部13a、13b、比例バルブ15a、15b、操作部16、表示部17、記録部18等を駆動させるためのバッテリ22が取り付けられている。

次に、この筋力トレーニングシステムの使用方法及び動作について説明する。

まず、加圧力制御装置1の操作部16に含まれるパワースイッチを操作して電源をオンにし加圧力制御装置1を起動させる。操作部16から入力されたデータは、入力部12Aを介して主制御部12Cに送られる。このデータを受取った主制御部12Cが、加圧力制御装置1の電源をオンにする。

起動設定時には、起動時の加圧力制御装置1の設定が表示部17に表示されるとともに、適正圧決定モードに移行するかどうかの確認を、血流を阻害することによるトレーニングについての知識、技能を持つ、被験者をサポートする専門家(以下、「指導者」という場合がある。)に促す表示が、表示部17に表示される。かかる表示は、制御部12内の主制御部12Cが生成し、出力部12Bを介して表示部17に送られてきた画像データに基づいて行われる。 指導者は、この表示部17の表示を見て適正圧決定モードを開始するかどうかを選択する。この選択は操作部16の操作にて行う。適正圧決定モードは上述した通り適正圧を決定するモードである。適正圧決定モードへの移行を指導者が選択しなかった場合、加圧力制御装置1は、血流を阻害することによるトレーニングを単に実行するトレーニングモードを実行する。 後述するようにして生成されたその被験者用の適正圧データが記録部18に記録されているのであれば、指導者はその適正圧データを用いて加圧力制御装置1に被験者に対して血流を阻害することによるトレーニングを実行させてもよい。他方、先に作った適正圧データが記録部18に記録されている場合であっても、被験者の健康状態に変化があったり、また被験者がよりハイレベル又はローレベルの血流を阻害することによるトレーニングを希望した場合等、指導者が適正圧を改めて算出して設定し直すべきと判断した場合等には、指導者が操作部16を操作して、適正圧決定モードへの移行を行い、加圧力制御装置1に適正圧決定モードを実行させる。 以下、適正圧決定モードが選択されたものとして、説明を続ける。

適正圧決定モードが実行されるとき、指導者は、操作部16を操作して、加圧用ベルト2a、2bにて加圧する部位を「腕」と「脚」から選択し、その選択結果を、操作部16の操作により入力する。また、指導者は選択した部位、つまり被験者の「腕」と「脚」のいずれかの基端付近の適当な部位に、加圧用ベルト2a、2bを装着させる。適正圧決定モードを選択する場合に指導者が操作部16を操作することによって生成されたデータは、入力部12Aを介して主制御部12Cに送られる。これを受取った主制御部12Cは、適正圧決定モードを実行するために、適正圧決定モードを開始する旨の指示を、「腕」と「脚」のいずれについて適正圧決定モードを開始するかを特定するデータとともに、圧力制御部12Dに送る。 この状態で、指導者は操作部16を操作して、加圧ポンプ11a、11bを駆動させるためのデータを入力する。このデータも、操作部16から、入力部12A、主制御部12Cを介して、圧力制御部12Dに送られる。圧力制御部12Dは、それらに基づいて第1制御データを生成する。生成された第1制御データは、出力部12Bを介して加圧ポンプ11a、11bに送られ、加圧ポンプ11a、11bが駆動する。加圧ポンプ11a、11bは制御部12の制御下で、加圧用ベルト2a、2bのガス袋2Xに空気を送り、まず、一般的には、10mmHg〜15mmHg程度、例えば13mmHg程度の圧力を各加圧用ベルト2a、2bに加える。

この状態で、指導者は、被験者の所定の部位に装着された加圧用ベルト2a、2bによる四肢の締め付け具合を調整し、各加圧用ベルト2a、2bが被験者の四肢に与える加圧力が、例えば40mmHg程度の、予め定められた所定の装着圧となるように調整する。装着圧は、加圧用ベルト2a、2bが被験者の四肢に与える初期の圧であり、以後のガス袋2X内の空気の圧の変動によって加圧用ベルト2a、2bが被験者の四肢に与えることになる圧の所謂0点となるものである。 かかる調整を行うことにより、加圧用ベルト2a、2bが被験者の四肢に与える締め付け力は予定した通りのものとなる。 上述の圧の確認は、圧力計測部13a、13bが生成した圧力データを入力部12Aを介して受取った圧力制御部12Dに、その時点における加圧用ベルト2a、2bに設けられたガス袋2X内の空気の圧を略実時間でモニタさせることにより行う。圧力制御部12Dはその時点におけるガス袋2X内の空気の圧を示す情報を主制御部12Cに送り、主制御部12Cはその時点のガス袋2X内の空気の圧を示す数値を、それが生成した画像データを出力部12Bを介して表示部17に送ることにより、表示部17に表示させる。指導者は、その表示部17における表示を見て、その時点におけるガス袋2X内の空気の圧を把握することができる。なお、以上で説明した加圧用ベルト2a、2bに設けられたガス袋2X内の空気の圧の略実時間でのモニタと、ガス袋2X内の空気の圧を示す数値の表示部17での表示は、必ずしもこの限りではないが、この実施形態では、適正圧決定モードのみならず、トレーニングモードが加圧力制御装置1で実行されている間中実行され続けるようになっている。 なお、このとき、各圧力計測部13a、13bにて計測される各加圧用ベルト2a、2bの加圧力が、予め定めた所定の加圧力、例えば80mmHgより大きくなった場合には、制御部12内で、その旨を圧力制御部12Dが主制御部12Cに通知し、その通知を受取った主制御部12Cが加圧力異常であるとして、表示部17に画像データを送り表示部17に所定の警告表示を表示させる。 この場合には、指導者は、再度加圧用ベルト2a、2bの締め付けの程度を調整する。

次いで、ウォーミングアップとして、操作部16を操作して各加圧用ベルト2a、2bの加圧力を段階的に調整する。このとき、各加圧用ベルト2a、2bを腕に装着している場合は、指導者の経験から被験者の適正圧と思われる加圧力より30mmHgほど低い圧力を第1段階の加圧力とし、この第1段階の加圧力に10mmHgほどの圧力を加えた圧力を第2段階の加圧力とし、この第2段階の加圧力に10mmHgほどの圧力を加えた圧力を第3段階の加圧力として、段階的に増加させていく。この場合の圧の設定は、記録部18に記録されているデータにより自動的に行うこともできるが、操作部16の操作により指導者がマニュアルで行うこともできる。これには限られないが、この実施形態では係る操作を指導者がマニュアルで行うこととする。指導者がした操作部16からの入力にしたがい、圧力制御部12Dは、加圧ポンプ11a、11bを制御する。各段階の加圧力を各加圧用ベルト2a、2bに加えた際には、被験者の肘を中心とした屈曲運動をさせる。

一方、各加圧用ベルト2a、2bを脚に装着している場合は、被験者の適正圧と思われる加圧力より60mmHgほど低い圧力を第1段階の加圧力とし、この第1段階の加圧力に20mmHgほどの圧力を加えた圧力を第2段階の加圧力とし、この第2段階の加圧力に20mmHgほどの圧力を加えた圧力を第3段階の加圧力として、段階的に増加させていく。各段階の加圧力を各加圧用ベルト2a、2bに加えた際には、被験者の膝を中心とした屈曲運動をさせる。

次いで、指導者は、操作部16を操作して適正圧決定モードを開始させる。 適正圧決定モードが開始されると、主制御部12Cからの指示にしたがい、圧力制御部12Dが第1制御データを生成する。第1制御データは、圧力制御部12Dから出力部12Bを介して加圧ポンプ11a、11bに送られ、加圧ポンプ11a、11bは第1制御データによる指示にしたがって駆動する。 適正圧決定モードが実行されている間に、加圧ポンプ11a、11bは適正圧と目される圧をまたいで、ガス袋2X内の空気の圧が変化するように、ガス袋2X内の空気の圧を変更させる。空気の圧の変更のさせ方は、低い圧から徐々に空気の圧をあげやがて適正圧と目される圧を超えさせるやり方と、一旦適正圧と目される圧よりも高い圧まで空気の圧を高め、その後適正圧と目される圧よりも低い圧までその圧を下げていくやり方と、の2種類がある。いずれも採用可能であるが、この実施形態では、後者を採用することとする。 加圧ポンプ11a、11bにより、ガス袋2Xに空気が送られ、加圧用ベルト2a、2bに、適正圧と目されるより高い所定の圧が加えられる。適正圧と目されるより高い所定の加圧力は、例えば、その圧を加えれば、圧を加えられた被験者の四肢に止血が生じる圧(止血圧)とすることができ、この実施形態ではそうされている。この実施形態では、ほとんどの被験者で止血が生じる、ガス袋2X内の空気の圧が380mmHgに達するまで、まず圧を上昇させることとする。なお、この圧は、必ずしもこの限りではないが、操作部16の操作により指導者が入力するようになっている。 もっとも、適正圧と目される圧は、指導者の知識、経験により決定されるものではあるが絶対的なものではない。適正圧と目される圧よりも大きな圧を、以下のようにして、加圧力制御装置1により自動的に決定することも可能である。この場合、操作部16を操作して加圧力制御装置1の加圧ポンプ11a,11bを駆動させ、あらかじめ定めた圧力(例えば、60mmHg)まで加圧し、その圧力を一定時間(例えば10秒程度)維持して、その間の脈波振幅を計測して平均値を求め、一旦除圧する。引き続き加圧ポンプ11a、11bを駆動させ、前回の圧力よりも圧を幾らか(例えば、20mmHg)増した圧力である80mmHgまで加圧し、その圧力を一定時間維持して、その間の脈波振幅を計測して平均値を求め、一旦除圧する。以後同様に、前回の圧力よりも圧を幾らか(例えば、20mmHg)ずつ増すごとに同様の処理を繰り返す。前回の処理の際の脈波振幅の平均値と比較して脈波振幅の平均値が低くなったか、或いは平均値が変わらなくなったら、そのときに用いた圧力、或いは、その圧力よりも若干大きな圧力(例えば、そのときに用いた圧力の1.1〜1.2倍の圧力)を、適正圧と目されるよりも大きな圧力として設定することができる。 各加圧用ベルト2a、2bにおけるガス袋2X内の空気の圧を適正圧よりも大きな圧に一旦高めた後、加圧ポンプ11a、11bの駆動を停止させるとともに、比例バルブ15a、15bを開放動作させて、各加圧用ベルト2a、2bに掛かる加圧力を徐々に適正圧と目される圧よりも明らかに小さい圧まで、例えば20mmHgまで下げていく。この処理は、その処理を実行させるための入力を指導者が操作部16から制御部12に入力することで行うようにしてもよいが、この実施形態では、ガス袋2X内の圧が380mmHgに達すると、制御部12が加圧ポンプ11a、11b、比例バルブ15a、15bにデータを送ることにより自動的に行われる。より具体的には、主制御部12Cの指示にしたがって第2制御データを生成した圧力制御部12Dが、第2制御データを出力部12Bを介して比例バルブ15a、15bに送る。比例バルブ15a、15bは、第2制御データを受取り、それに基づいて上述の処理を実行する。 参考までに適正圧と目される圧を自動的に決定する過程と、その後加圧用ベルト2a、2bにおけるガス袋2X内の空気の圧を抜いていく過程とにおける圧力の変化のタイミング図を図6に示す。

ガス袋2X内の圧が落ちて行く間中、圧力計測部13a、13bは、ガス袋2X内の空気の圧を測定し、圧力データを生成する。 生成された圧力データは、最大脈波圧特定部12Eに送られる。圧力データには、加圧ポンプ11a、11bによるガス袋2Xへの空気の注入或いは排気や、被験者が運動をすることによって生じる大きな空気の圧の変動のデータに、被験者の脈波の脈波振幅によって生じる非常に微小な空気の圧の変動のデータが乗っている。 圧力データを受取った最大脈波圧特定部12Eは、圧力データからその脈波振幅に基づく空気の圧のデータを分離して脈波振幅についての脈波データを生成する。そして、その分離した脈波データが示す脈波振幅(Y)をガス袋2X内の空気の圧(X)の関数とし、かかる関数をグラフ化する。かかるグラフが振幅曲線である。振幅曲線の例を、図7に示す。 この振幅曲線は、実際は点Aからスタートし、ガス袋2X内の空気の圧を下げることにより点Aから点Bを経て、左側に移動するようにして形成されていく。振幅曲線により示される脈波振幅は、ガス袋2X内の空気の圧が適正圧よりも大きい場合においては、その圧が小さくなるに連れて上昇していく。他方、ガス袋2X内の空気の圧が適正圧よりも小さくなった場合においては、その圧が小さくなるに連れて脈波振幅は減少していく図7の点Bにおいて、脈波振幅は最大となる。そのときのガス袋2X内の空気の圧を、最大脈波圧特定部12Eは最大脈波圧として特定する。 この実施形態では、加圧用ベルト2a、2bに設けられたガス袋2X内の空気の圧に基づいて脈波を測定するのであるから、加圧用ベルト2a、2bが固定された四肢のうち加圧用ベルト2a、2bによって締付けられている当該部位の脈波が測定されるようになっている。もっとも、脈波が測定される部位はそこに限られず、四肢のうちの加圧用ベルト2a、2bが固定された部分の近辺、或いは四肢のうちそこより末端側であれば良い。また、この実施形態では、加圧用ベルト2a、2bに設けられたガス袋2X内の空気の圧の変動により脈波を検出したが、脈波を検出するために利用するパラメータはガス袋2X内の空気の圧に限られない。例えば、一般的な脈波センサである光電式指尖容積脈波で四肢の先端の指先の脈波を光を用いて測定することなども可能である。

最大脈波圧を特定すると、最大脈波圧特定部12Eは、最大脈波圧を示す最大脈波圧データを生成し、それを適正圧演算部12Fに送る。 適正圧演算部12Fは、最大脈波圧データによって示される最大脈波圧に対して演算を行い、適正圧を決定する。適正圧演算部12Fが行う演算は、適正圧が最大脈波圧よりも小さくなるようなものである。 かかる演算は、例えば、最大脈波圧に0より大きく1より小さい係数を乗ずるというものとすることができる。係数は、0.6〜0.9の間の数である。係数は、0.7〜0.9の間の数とすることもでき、より好ましくは、0.7〜0.85の間の数とすることもできる。係数を0.75〜0.85とすると、血流の阻害による筋力増強方法の安全性を高め、その実行者に恐怖感や不安感を与えるのを防止することと、筋力増強の効果を十分なものにすることとを、最も多くの者について両立し易くなる。上記の係数は、血流阻害による筋力増強方法を実行する被験者のレベル、年齢、性別、筋力増強方法を実行するのが腕か脚かの別等に応じて変更することも可能である。また、係数は、筋力増強方法を実行する者を例えば2つのカテゴリに分け、あるカテゴリの者については、0.6〜0.75の間の係数を用い、他のカテゴリの者については0.75〜0.9の係数を用いるようにすることも可能である。前者は、血流の阻害による筋力増強方法の安全性を高め、その実行者に恐怖感や不安感を与えるのを防止する効果をより強調するものであり、例えば老齢者や虚弱者に向くことが多い。後者は筋力増強の効果をより強調するものである。このように複数の係数を用いる場合には、そのうちのいずれかを、医師やトレーナー等の指導者か或いは筋力増強方法を実行する者自身が操作部16の操作により選択自在にすることができる。 この実施形態では、係数を0.85とするものとする。なお、これによれば例えば、最大脈波圧が200mmHgである場合には、適正圧は、200mmHg×0.85=170mmHgとなり、最大脈波圧が140mmHgである場合には、適正圧は、140mmHg×0.85=119mmHgとなる。 この実施形態における演算は上述の通り最大脈波圧に係数を乗じるものとするが、これに代えて、最大脈波圧からある圧を減じるという演算を適正圧演算部12Fが行うようにすることもできる。適正圧演算部12Fが最大脈波圧から減じる所定の圧は、例えば10〜50mmHgとすることができ、この実施形態では20mmHgとしている。これによれば例えば、最大脈波圧が200mmHgである場合には、適正圧は、200mmHg−20mmHg=180mmHgとなり、最大脈波圧が140mmHgである場合には、適正圧は、140mmHg−20mmHg=120mmHgとなる。上記最大脈波圧から減じる所定の圧は、血流阻害による筋力増強方法を実行する被験者のレベル、年齢、性別、筋力増強方法を実行するのが腕か脚かの別等に応じて変更することも可能である。所定の係数を複数用いる場合と同様に、最大脈波圧から減じるべき圧として、複数の数値を用いることも可能である。 このようにして求められるのが適正圧である。適正圧演算部12Fは、適正圧を決定したら、適正圧を示すデータである適正圧データを生成し、それを主制御部12Cに送るようになっている。

適正圧は、主制御部12Cが生成した画像データが表示部17に送られることにより表示部17に表示される。また、適正圧データは、制御部12の主制御部12Cにより、出力部12Bを介して記録部18に送られ記録部18に記録される。

記録部18に適正圧データが記録された状態で、指導者が操作部16を操作して、加圧力制御装置1をトレーニングモードに移行させる。トレーニングモードへの移行は、操作部16から入力されたデータに基づいて、主制御部12Cが行う。

このトレーニングモードが実行されると、制御部12において、主制御部12Cが記録部18から読み出した適正圧データを圧力制御部12Dへ送る。圧力制御部12Dは、適正圧データにもとづき第1制御データを生成しそれを加圧ポンプ11a、11bへ送る。これにより、第1制御データの制御下で加圧ポンプ11a、11bが駆動し、被験者の四肢に巻き付けられた加圧用ベルト2a、2bの緊締帯8a、8bのガス袋2Xに空気が供給される。ガス袋2X内の圧は上述の記録部18に記録されていた適正圧データにより、適正圧となる。これにより被験者の四肢に適正圧が与えられた状態となる。 被験者はそのまま血流を阻害することによるトレーニングを行っても良い。この場合、加圧用ベルト2a、2bは加圧力制御装置1と接続されたままの状態となる。その状態で被験者が運動すると、ガス袋2X内の空気の圧が高まる場合がある。そのような場合には圧力制御部12Dが第2制御データを生成し比例バルブ15a、15bを駆動させることでガス袋2X内の圧を一定に保つことができる。被験者は、加圧用ベルト2a、2bの弁付きカプラ9a、9bをゴムチューブ3a、3bから取り外してから血流を阻害することによるトレーニングを行ってもよい。 血流を阻害することによるトレーニングは運動を伴っても良いし、そうでなくてもよい。なお、加圧用ベルト2a、2bの弁付きカプラ9a、9bをゴムチューブ3a、3bから取り外しても、弁付きカプラ9a、9bの弁を操作しない限り、ガス袋2X内の空気は抜けないので、加圧用ベルト2a、2bが被験者の四肢に与える圧は保たれる。

また、トレーニングモードの実行中においては、制御部12の圧力制御部12D内のタイマによりトレーニングモードが終了したかどうかが監視されている。指導者が設定した所定の加圧時間が経過した場合、トレーニングモードが終了したと判断してトレーニングモードが終了し、圧力制御部12Dが生成した第1制御データを受取った、加圧ポンプ11a、11bがガス袋2X内の空気を抜く。これにより加圧用ベルト2a、2bによる四肢への加圧が停止される。

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