【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、複数の感覚を統合した人工現実感を提供するシステムと、運動負荷装置と使用者の生理情報をフィードバックするシステムにより、高度な臨場感とそれに連動した運動コンテンツを提供し、また仮想環境により、隔離されている実世界への接触を実現したり、使用者同士あるいは、使用者と医療関係者や介護者とのコミュニケーションを支援するためのウェルネスシステムに関するものである。 【0002】 【従来の技術】ウェルネスシステムとして、健康の増進や体力の向上を目的としたトレーニング機器が従来より広く用いられている。 このようなトレーニング機器には、表示される画像を見ながら目的のトレーニングを行う画像表示付き擬似体験装置というものがある。 図14 はたとえば特開平7−80096号公報に示された、そのような従来のウェルネスシステムとしての画像表示付き擬似体験装置を示す概念図である。 図において、1は自転車こぎ運動器具本体であり、2はそのペダル、3はサドルである。 4は擬似的な風景を投影するためのプロジェクタであり、5はその投影画像が表示される半球ドーム状のスクリーンである。 6は擬似的な風が吹き出す送風口、7はそのための送風ボックスであり、8は擬似的な風に香りを与える芳香剤添加部である。 【0003】次に動作について説明する。 使用者はサドル3に腰かけてペダル2をこぎ始める。 そのとき、自転車こぎ運動器具本体1の前に配置された、半球ドーム状のスクリーン5にはプロジェクタ4より画像が投影される。 ここで、スクリーン5に投影される画像は自転車で走行中の周囲の風景の擬似画像であり、被提示者(使用者)がペダル2をこぐ速度に合わせて、早くこげば早く動き、ゆっくりこげばゆっくり動くように制御される。 さらに、被提示者の前方に設置された送風口6より風が被提示者に送られるようになっており、投影される画像の変化速度と同様に、自転車こぎの速度に応じて、風の強弱の制御がなされる。 そして、画像の内容、たとえば、上り坂であれば自転車こぎの負荷を大きくし、下り坂であれば負荷を軽くしたり、また、森林の中のサイクリングというシチュエーションの場合、芳香剤添加部8 によって送風口6より吹き出す風の中に、フィトンチッドを主成分とする香を与えるなど、投影される画像に合った負荷制御、香制御も行い臨場感を使用者に与えるようにしたものである。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】従来のウェルネスシステムは以上のように構成されているので、健常者もしくはかなりの回復状態にある患者を対象としており、医師の立会や指示の下で、ベッドに寝ておらざるを得ない患者が早期リハビリテーションを行い、早期離床や廃用性衰退の防止の為のシステムはなく、また、リハビリテーションの動機付けのために画像提示などの工夫はなされているが、十分な臨場感を実現できてはおらず、また、 運動能力が回復していない患者に対しては用いることができないなど、使用者に適した運動負荷が用意されていないばかりか、使用者や実環境の情報を取り込むための手段や、通信機能がないため、実世界との接触や他者とのコミュニケーションを実現することができないなどの課題があった。 【0005】この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、複数の感覚を統合した人工現実感を提供するシステムと、運動負荷と使用者の生理情報をフィードバックするシステムにより、高度な臨場感とそれに連動した運動コンテンツを提供し、リラクセーションやリフレッシュメント機会の提供、および従来退屈であったリハビリテーションへの動機付けの提供により、 入院患者の手術後の早期離床や、長期療養者の廃用性衰退の防止などにも寄与し、さらに、仮想環境により、隔離されている実世界への接触を実現したり、使用者同士あるいは使用者と医療関係者や介護者とのコミュニケーションを支援するシステムを提供することによって、社会参加の実現や心のケアに供するウェルネスシステムを得ることを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明に係るウェルネスシステムは、使用者に仮想環境を提示するための映像情報として、あらかじめ進路の複数の撮影位置において各々の撮影位置ごとに1つの動画カットを撮影して蓄積した複数の動画カットを、運動負荷提供手段の検出した使用者の運動に合わせて1カットずつ進めながら再生するようにしたものである。 【0007】請求項2記載の発明に係るウェルネスシステムは、動画カットの再生に同期させて、当該動画カットに対応する音、および風や香を使用者に提供するようにしたものである。 【0008】請求項3記載の発明に係るウェルネスシステムは、使用者の運動を検出して、検出された運動のタイミングに合わせて使用者の運動を助けるための負の運動負荷を与える機能を、運動負荷提供手段に持たせたものである。 【0009】請求項4記載の発明に係るウェルネスシステムは、使用者の運動パターンのデータとして使用者の 可動範囲および許容速度を訓練開始時にあらかじめ入力しておき、それに基づいて運動負荷提供手段を制御して使用者に提供される運動負荷を制御するようにしたものである。 【0010】請求項5記載の発明に係るウェルネスシステムは、運動負荷提供手段における負荷提示部の位置と移動速度を検出する位置検出センサおよび速度検出センサを設け、 負荷提示部を手動で、使用者のリハビリ運動 に適切な運動パターに従って動かしたときに、それらで 計測される検出出力を訓練開始時に入力される使用者の運動パターンのデータである使用者の可動範囲および許 容速度として用いるようにしたものである。 【0011】請求項6記載の発明に係るウェルネスシステムは、運動負荷データ入力手段を設けて、訓練開始時に入力される使用者の運動パターンのデータである使用 者の 可動範囲および許容速度として、使用者に与えるリ ハビリ運動の可動範囲及び許容速度を入力するようにしたものである。 【0012】請求項7記載の発明に係るウェルネスシステムは、生理心理状態評価手段に筋電図計測部と、筋電図から筋肉の活動量を推定する筋活動量推定部を持たせ、運動負荷提供手段が提供する運動負荷をその推定された筋肉の活動量に基づいて制御するようにしたものである。 【0013】請求項8記載の発明に係るウェルネスシステムは、ギプス内に筋電図計測部と電気刺激提示部の電極を内蔵させて、筋活動量推定部が筋電図計測部の計測した筋電図から推定した筋肉の活動量に合わせて電気刺激提示部より電気刺激を与え、使用者にその電気刺激による擬似的な運動負荷を提供するようにしたものである。 【0014】請求項9記載の発明に係るウェルネスシステムは、使用者の身体の少なくとも一部を撮影して取り込む使用者映像取込手段を設け、仮想環境提示手段による仮想環境の提示に際して、仮想環境の画像と合成して使用者映像取込手段の取り込んだ画像を表示するようにしたものである。 【0015】請求項10記載の発明に係るウェルネスシステムは、送信情報収集手段を備えた複数のウェルネスシステムを通信ネットワークで接続し、使用者の仮想空間内における位置情報や、送信情報収集手段の収集した使用者に関する送信すべき映像情報および音情報を、通信フォーマットに変換して相互に通信するようにしたものである。 【0016】請求項11記載の発明に係るウェルネスシステムは、映像情報収集手段、音場情報収集手段および環境情報収集手段を、移動手段に搭載して使用者に提示する仮想環境のもととなる現実世界に配し、運動負荷提供手段の検出した使用者の運動に合わせて、移動手段の移動を制御するとともに、映像情報収集手段、音場情報収集手段および環境情報収集手段の収集した情報を用いて仮想環境提示手段が提示する仮想環境を使用者から離れた地点における環境に応じてリアルタイムに制御するようにしたものである。 【0017】請求項12記載の発明に係るウェルネスシステムは、さらに使用者の映像や発する音を収集する使用者映像情報収集手段および使用者音情報収集手段と、 使用者に提示する仮想環境のもととなる現実世界においてそれらの提示を行う映像情報提示手段および音情報提示手段とを設けたものである。 【0018】請求項13記載の発明に係るウェルネスシステムは、運動負荷提供手段が提供する運動負荷を制御する機能を総合制御手段が有し、運動負荷提供手段が使用者の運動を助けるための負の運動負荷を与える機能を有するものである。 【0019】請求項14記載の発明に係るウェルネスシステムは、運動負荷提供手段が提供する運動負荷を、訓練開始時に入力された使用者の運動パターンのデータで ある使用者の可動範囲および許容速度に基づいて制御する機能を総合制御手段が有するものである。 【0020】請求項15記載の発明に係るウェルネスシステムは、運動負荷提供手段で使用者に直接運動負荷を提供している負荷提示部の位置を検出する位置検出センサと、負荷提示部の移動速度を検出している速度検出センサとを設け、訓練開始時に入力される使用者の運動パターンのデータである使用者の可動範囲および許容速度 として、 負荷提示部を手動で、使用者のリハビリ運動に 適切な運動パターンにしたがって動かしたときに、位置検出センサおよび速度検出センサで計測された検出出力を用いるものである。 【0021】請求項16記載の発明に係るウェルネスシステムは、訓練開始時に入力される使用者の運動パターンのデータを入力するための運動負荷データ入力手段を設け、使用者の運動パターンのデータである使用者の可 動範囲および許容速度として 、運動負荷データ入力手段 から入力される、使用者に与えるリハビリ運動の可動範 囲および許容速度を用いるものである。 【0022】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を説明する。 実施の形態1. 図1はこの発明の実施の形態1によるウェルネスシステムを示すブロック図で、参考のために説明するものである。 図において、10はこのウェルネスシステムの全体制御を行う総合制御手段である。 この総合制御手段10 内において、11は当該ウェルネスシステムの実際の制御を実行する制御コンピュータである。 12〜14はその制御に必要な各種データベースであり、12は使用者の運動に合わせて仮想環境を制御するための運動対応仮想環境制御データベース、13は使用者の生理状態に応じて運動負荷の制御を行うための生理状態対応運動負荷制御データベース、14は使用者の心理状態に応じて仮想環境を制御するための心理状態対応仮想環境制御データベース14である。 【0023】20は総合制御手段10の制御コンピュータ11によって制御され、コンテンツ内容に応じた仮想環境の提示を行う仮想環境提示手段である。 この仮想環境提示手段20内において、21は仮想環境の映像のデータを蓄積している映像蓄積部21a、仮想環境の映像が表示されるディスプレイ21b、およびそれらの制御を行う映像制御部21cよりなる映像ユニットである。 22は仮想環境における音のデータを蓄積している音データ蓄積部22a、仮想環境の音を提示する音響提示部22b、およびそれらの制御を行う音響制御部22cよりなる音響ユニットである。 23は仮想環境の香を発生させる香発生部23a、仮想環境における風を発生させる風発生部23b、およびそれらの制御を行う風・香制御部23cよりなる風・香ユニットである。 仮想環境提示手段20は、これら映像ユニット21、音響ユニット22、および風・香ユニット23にて形成されている。 【0024】30は総合制御手段10の制御コンピュータ11によって制御され、使用者に対して適切な運動負荷を提供するとともに、使用者の運動を検出する運動負荷提供手段である。 この運動負荷提供手段30内において、31は運動負荷を使用者に提示する負荷提示部であり、32はその負荷提示部31を駆動する駆動部である。 33はこの駆動部32の制御を行う制御装置であり、34は総合制御手段10の制御コンピュータ11からの指示を制御装置33に与え、また使用者の運動を検出して制御コンピュータ11に伝える運動負荷検出制御部である。 運動負荷提供手段30は、これら負荷提示部31、駆動部32、制御装置33、および運動負荷検出制御部34にて形成されている。 【0025】40は総合制御手段10の制御コンピュータ11によって制御され、使用者の生理情報および心理情報を検出して、生理・心理状態を推定する生理心理状態評価手段である。 この生理心理状態評価手段40内において、41は使用者の生理情報および心理情報の計測を行う生理心理情報計測部である。 42は生理心理情報計測部41にて検出された使用者の生理情報および心理情報を解析し、使用者の生理状態および心理状態の推定を行う生理心理情報解析部である。 43はこれら生理心理情報計測部41と生理心理情報解析部42とのインタフェースをとるインタフェース部である。 生理心理状態評価手段40は、これら生理心理情報計測部41、生理心理情報解析部42、およびインタフェース部43にて形成されている。 【0026】次に動作について説明する。 総合制御手段10はその制御コンピュータ11によって、仮想環境提示手段20の映像ユニット21、音響ユニット22、風・香ユニット23の各ユニットを制御し、協調させることによって、コンテンツ内容に対応したリアリティのある仮想環境を創出する。 なお、ここで行う仮想環境の制御には、使用者のリハビリ運動に対応させて仮想環境を制御する場合は運動対応仮想環境制御データベース12 が用いられ、使用者の心理状態に対応させて仮想環境を制御する場合は心理状態対応仮想環境制御データベース14が用いられる。 【0027】すなわち、使用者のリハビリ運動に応じて仮想環境を制御する場合には、運動負荷提供手段30の運動負荷検出制御部34において使用者の運動(たとえば使用者の歩み)を計測し、その歩みにあわせて映像ユニット21で表示される仮想環境の映像を変化させ、それと同時に音響ユニット22から提示される音、さらには風・香ユニット23から提示される風と香を変化させる。 たとえば運動対応仮想環境制御データベース12に森林浴を実現するための森の環境データを格納しておけば、映像ユニット21でディスプレイ21bに表示される木々の映像が利用者の歩みに応じて変化してゆき、音響ユニット22の音響提示部22bから提示される小鳥の声や木々のそよぎなどの林内の音、さらには風・香ユニット23の風発生部23bや香発生部23aの発生する風や香(針葉樹の香や花の香など)もそれとともに変化してゆくため、リハビリ運動によって仮想の森林浴を楽しむことが出来る。 【0028】また、使用者の心理状態に対応させて仮想環境を制御する場合には、たとえば心理状態対応仮想環境制御データベース14に遊園地の環境データを格納しておき、生理心理状態評価手段40によって使用者が緊張していると評価されたときには、仮想環境提示手段2 0の映像ユニット21、音響ユニット22および風・香ユニット23において、その緊張を解きほぐすような、 楽しい仮想の遊園地を提供したりすることができる。 【0029】さらに、使用者の生理状態に対応させて運動負荷を制御する場合には、あらかじめ準備した生理状態対応運動負荷制御データベース13を参照して使用者の運動負荷を制御する。 たとえば使用者に対してあまり過負荷にならず、かつ軽すぎないように運動負荷を常に調節し、過負荷による危険を回避しながら安全に壮快感をもたらすような運動を実現する。 【0030】なお、このような仮想環境の制御や運動負荷の制御は、ベッドに寝ておらざるを得ない患者のリハビリテーションのためのウェルネスシステムにおいても、健常者もしくはかなり回復状態にある患者に対するウェルネスシステムにおいても同様に適用可能である。 【0031】ここで、この実施の形態1におけるウェルネスシステムでは、仮想環境提示手段20の映像ユニット21において仮想環境の映像を提示する場合、撮影した映像を、撮影時の画角よりも広い画角にて表示している。 図2はそのような実施の形態1のウェルネスシステムにおける映像撮影時と映像提示時の画角を示す説明図であり、図2(a)に映像撮影時の画角、図2(b)に映像提示時の画角をそれぞれ示している。 すなわち、画像撮影時においては図2(a)に示すように、ビデオカメラなどで画角θ0 による撮影を行い、撮影された映像データを映像ユニット21の映像蓄積部21aに蓄えておく。 映像提示時においては、映像ユニット21の映像制御部21cが総合制御手段10の制御コンピュータ1 1から送られてきた制御信号に応じて、映像蓄積部21 aに蓄積されている映像データを読み出し、それによる映像を図2(b)に示すように画角θ1 でディスプレイ21bに広角再生することによって提示する。 なお、このような広角表示に用いるディスプレイ21bにおいては、樽型歪曲を有する画像を表示する表示板と歪曲補正を施す光学系からなる画像表示装置や、へッドマウント型の画像表示装置を用いれば良い。 このように、撮影時の画角θ0 よりも広い画角θ1 で表示することにより、 使用者は画面に入り込んだ感覚をもつことができ、仮想世界への没入感を高めることができる。 【0032】なお、上記説明では、仮想環境の提示に用いられる映像が、ビデオカメラなどで撮影された実録の動画を想定したものを示したが、静止画像であっても、 また映像ソースが実録ではなくコンピュータ・グラフィックス(以下、CGという)によって作成したものであってもよい。 【0033】実施の形態2. この実施の形態2は図1に示した実施の形態1の場合と同一に構成されたウェルネスシステムに適用したものであり、その仮想環境提示手段20内の映像ユニット21 の映像蓄積部21aに蓄える映像データの作成と、総合制御手段10の運動対応仮想環境制御データベース12 に蓄える制御データの作成を、ステップ動画方式にて行うようにしたものである。 なお、ステップ動画方式とは、あらかじめ進路のところどころでとどまって撮影した複数の動画カットを蓄積・再生する機能を仮想環境提示手段20に持たせ、使用者の運動に合わせて1カットずつ進めながら動画とこれに同期させて対応する音や風・香の情報を再生する方式である。 【0034】図3は仮想環境提示手段20の映像ユニット21においてその映像蓄積部21aに蓄積する映像データの、上記ステップ動画方式に基づいた作成方法の一例を示す説明図である。 図3に示すように、仮想環境として提供する場所、たとえば使用者が公園を散歩しているような状況を提供するコンテンツの場合には、舞台となる公園で映像情報を撮影する。 その際、適当な間隔(たとえば1歩〜数歩の距離)を置いた撮影ポイントを設定し、それらの各撮影ポイントにおいて、撮影高さを目線に合わせ、撮影方向を進行方向(道を進んでいる場合には道の接線方向)に合わせて、水平を保った状態でセットしたビデオカメラにて、動画像を所定時間(たとえば数十秒分)ずつ撮影する。 なお、進路の分岐点では進行可能な枝分かれ道がいくつあるのかが分かるように撮影する。 このようにして撮影された各動画カットは、 たとえば、国際標準化機関(ISO)のMPEG(Mo ving Picture Experts Grou p)による動画の画像圧縮符号化方式(以下、MPEG 圧縮方式という)などで圧縮して、映像ユニット21の映像蓄積部21aに蓄える。 【0035】各撮影ポイントにおいて、撮影時に同時に音情報も収録する。 立体音の提示を行う場合には、指向性のよいマイクを用いて異なる方向からの音を分離して録音する。 蓄積する音データはこの録音した音を参考に、撮影した映像を再生しながら、合成音や別に収録した音データと合わせて、映像に対応した音データを作成する。 なお、立体音を提示する場合には、複数の音源とその位置に関する情報を作成して蓄積する。 たとえば、 小鳥がさえずりながら飛んでいるコンテンツの場合、小鳥のさえずりのフレーズとともに、小鳥の位置、周囲の広さや反射率、およびさえずりのタイミング等の情報が映像に対応した音データとして蓄積される。 総合制御手段10の運動対応仮想環境制御データベース12には、 各動画カットと音データの対応を示す制御情報が蓄積される。 その際、各動画カットの全時間に対応した音データを作成せずに、音があるところのみの音データとし、 カット中の音開始タイミング(いくつ目のフレームから始まるか)を制御情報に付加するようにしてもよい。 【0036】同様に、各撮影ポイントにおいて、撮影時に同時に、吹いている風の強さや方向、さらには香に関する情報を収集する。 その場合、風に関しては風速計と風向計を用いて行うのが望ましいが、人が主観的に感じたものを記録するようにしてもよい。 後で、映像を再生しながら、収集した情報をもとに、映像と対応した風と香に関する制御情報を作成して、総合制御手段10の運動対応仮想環境制御データベース12に蓄積する。 この場合も音データの場合と同様に、各動画カット中の開始タイミングと風と香の発生に必要なパラメータをセットにして、制御情報とする。 さらに、仮想環境に合わせた運動負荷提供手段30の制御を行うためには、各撮影ポイントにおいて、地面の傾斜や地面の状態(固さやどういう材質かなど)を計測しておき、これに応じた制御パラメータを総合制御手段10の運動対応仮想環境制御データベース12に蓄積する。 【0037】コンテンツを実施するときには、総合制御手段10の制御コンピュータ11において、運動対応仮想環境制御データベース12の情報にしたがって、次に再生すべき動画カットを選択して映像ユニット21に送り、運動負荷提供手段30の運動負荷検出制御部34において検出した使用者の足踏み運動のタイミングに合わせて、足踏みが1回行われるたびに、次カット再生開始指令を映像ユニット21の映像制御部21cに送る。 なお、 進路が分岐点に達した場合には、ジェスチャーで進 行方向を表現している使用者の身体の少なくとも一部を 撮影して、そのジェスチャーの認識結果に基づいて進むべき進路を決定するようにすればよい。 また、総合制御手段10の制御コンピュータ11は、運動対応仮想環境制御データベース12より、次のカットに対応した音と風・香に関する制御情報、および運動負荷に関する制御情報を読み出して、それぞれ音響ユニット22、風・香ユニット23、および運動負荷提供手段30に送る。 【0038】次カット再生開始指令を受けた映像ユニット21の映像制御部21cは、映像蓄積部21aから映像情報を読み出し、画像伸張ボード(図示省略)でMP EG圧縮方式などによる圧縮を解いてからディスプレイ21bに送り、使用者に提示する。 1つの動画カットの再生が終わっても次カット再生開始指令が来ない場合(つまり使用者の運動が極端に遅いか停止しているとき)は、同じ動画カットの最初のフレームに戻ってその再生を繰り返す。 これにより使用者が1回足踏み動作をすると表示される公園などの風景が1歩分進んだ視点からの映像に変わり、その時同時に、音響ユニット22の音響制御部22cが音データ蓄積部22aに蓄えられている音データに基づいて、その映像に対応した小鳥のさえずりや木々の葉がそよぐ音などを、音響提示部22b より立体的に提示するとともに、風・香ユニット23の風・香制御部23cが総合制御手段10の制御コンピュータ11の制御にしたがって風発生部23bや香発生部23aを制御し、その映像に応じた風や、花などの香を提示する。 また、その場所に応じた運動負荷が、総合制御手段10の制御コンピュータ11より制御される運動負荷提供手段30の負荷提示部31より提供され、たとえば、道の状態による踏んだ感覚の違いや坂道における足の角度など、使用者はあたかもその場所を本当に歩いているような感覚を得ることができる。 【0039】このように、この実施の形態2においては映像データと制御データの作成をステップ動画方式で行っているため、使用者が画像につられて過度に運動することなく、空間の中を進んでいる感覚を創出することが出来る効果がある。 【0040】なお、視点が変わったとき(動画の切換時)の不連続性による違和感を小さくするには、撮影時には画像の中に歩いている人や自動車などが入らないようにして、木や草など大きく移動しないもののみを対象とする。 木々がそよいでいるようなフラクタルな小さな動きは、不連続性が目立たないので望ましい。 また、繰り返し再生時の不連続性を小さくするためには、1つの動画カットの最初と最後のフレームの映像が似たものになるように、動画カットの切り出し時に工夫すればよい。 音についても同様で、急激な変化のないもの、似た状態の繰り返しが多いものを中心に、鳥や虫の声など途中で終わってもさほど不自然にはならないものを入れるとよい。 【0041】ここで、図4は仮想空間上の進路の構成例を示す概念図である。 図4に示すように、進路をループ状の本線と本線に必ず戻ってくる分岐路から成る構成とし、一方向にのみ進行するようにすれば、分岐によるノード数および必要カット数の爆発的な増加を抑えることができる。 また、この場合、進路上をバックすることはできないので、分岐路から本線に戻ってきたときには他の分岐路の入り口が見えないように撮影するのが望ましい。 この構成は必ずしも撮影場所と同じでなくともよく、実録したデータを用いて不自然さがないように再構成すればよい。 また、画面の明るさや太陽の方向や天気が、連続している動画カットで急に変化しないような工夫も必要である。 これに関しては、撮影後に修正を加えることも有効である。 【0042】なお、上記説明では、映像ユニット21と音響ユニット22を独立させ、映像データと音データを別々に蓄積する方法を示したが、立体音提示を行わない場合には、映像と音を同期させた状態のままで圧縮して蓄積するなど映像ユニット21と音響ユニット22を一体化してもよい。 【0043】また、ここでは、実録をもとに映像データ、音データ、制御情報などを作成する場合について説明したが、仮想環境の構成と環境変化のシナリオを作成し、これに基づいてCGによるアニメーション映像や音データ、制御情報を作成するようにしてもよい。 【0044】さらに、上記説明では、提示される仮想環境が足踏み運動による歩行に対応して変化するものについて示したが、手でオールを漕ぐような運動に対応して変化させるようにしてもよい。 【0045】なお、目線の高さを変えたり、撮影ポイント間隔を本人の歩幅と異なる値にすることによって、大人が子供になったり、極端に違う生物になったような感覚を与えることもできる。 したがって、いつも車イスの視点で見ている人に立って歩いている人の感覚を与えることが可能となり、逆に、普通に歩ける人に車イスの視点を与えることもできる。 【0046】実施の形態3. この実施の形態3は図1に示した実施の形態1の場合と同一に構成されたウェルネスシステムに適用したものであり、その運動負荷提供手段30に使用者の運動を助ける負の運動負荷を与える機能を持たせたものである。 図5はそのような運動負荷提供手段30の利用を示す概念図であり、各部には図1の対応部分と同一符号を付してその説明を省略する。 【0047】次に動作について説明する。 運動負荷提供手段30の運動負荷検出制御部34は、総合制御手段1 0の制御コンピュータ11からの指令に従って、制御装置33に対して負の運動負荷を与える指令を出す。 ここで、負の運動負荷を与えるということは、使用者の足に力を加えて運動動作を補助するように働かせることを意味する。 たとえば、交互の足踏み動作(膝の屈伸)では、図6に示すような提示する力(トルク)と位置を負荷提示部31に与えるように駆動部32を制御する。 図6のグラフに示すように、右足と左足は逆位相で位置を動かし、提示する力も逆位相とする。 負荷提示部31は足が足踏板から離れないように使用者の左右の足をそれぞれ固定し、駆動部32からの力を足に伝える。 なお、 どの程度の力を与えるかは、使用者の回復に応じて医師やリハビリ士などの専門家が総合制御手段に設定することが望ましく、具体的には、後述する実施の形態4に示すような方法をとればよい。 【0048】なお、安全を確保するため、緊急の場合に負荷を停止するための手元スイッチを設置することが望ましい。 また、負荷提示部31の足の固定部については、大きな力がかかりすぎたときには自動的に足が足踏み板から離れるようにしておくとともに、緊急スイッチによっても足が足踏み板から離れるようにしておくことが望ましい。 【0049】これにより、使用者が自分で足を動かす力がないときに、リハビリ士が行う他動リハビリテーションを、使用者が一人でこのウェルネスシステムを用いて実現することができ、少数頻回の訓練(1回が短時間の訓練を日に何度も行うこと)を容易に実施することができる。 これにより、硬直した筋や関節が動くようになり、少しずつ、自力で動かせるようになるという効果が期待できる。 また、動けないうちから、他動運動によって仮想環境の中を移動する(足踏みの場合は歩いているという)感覚を得ることができるため、ベッドに拘束されているストレスから一時的に解放され、精神的なリフレッシュが可能となる。 また、運動はできるが努力を要するというような場合に、訓練の開始時などにおいてその運動を手助けすることにより訓練に取り組みやすくする効果もあり、廃用性衰退を防ぐことができる。 【0050】なお、上記説明では膝の屈伸の運動の例を挙げたが、足首の運動や、腕、手首の運動であってもよい。 【0051】実施の形態4. この実施の形態4は訓練開始時に、使用者の可動範囲や許容速度などの運動パターンを入力して学習させることにより、使用者に適した運動負荷の提供を可能としたものである。 図7はそのようなこの発明の実施の形態4によるウェルネスシステムを示すブロック図であり、実施の形態1の各部に相当する部分には図1と同一符号を付してその説明を省略する。 図において、35は運動負荷提供手段30内にあって負荷提示部31の位置を検出し、検出結果を総合制御手段10の制御コンピュータ1 1に送る位置検出センサであり、36は同じく運動負荷提供手段30内にあって負荷提示部31の移動速度を検出し、検出結果を制御コンピュータ11に送る速度検出センサである。 50は医師やリハビリ士などによって、 リハビリテーションの内容に応じた使用者の可動範囲や許容速度などの運動パターンの設定データが数値入力される運動負荷データ入力手段である。 【0052】次に動作について説明する。 リハビリテーションの開始前に、医師やリハビリ士が運動負荷提供手段30の負荷提示部31を手動で、使用者のリハビリ運動に適切な運動パターンにしたがって動かす。 運動負荷提供手段30の位置検出センサ35および速度検出センサ36はそのときの運動パターンを計測し、計測された位置と移動速度のデータを総合制御手段10に送る。 総合制御手段10では制御コンピュータ11が、受け取ったデータを運動対応仮想環境制御データベース12に格納する。 リハビリテーションが開始されると、制御コンピュータ11は運動対応仮想環境制御データベース12 に格納されていた前述のデータを運動負荷提供手段30 の運動負荷検出制御部34に送り、制御装置33にて制御される駆動部32によって負荷提示部31がそのデータに基づいて駆動され、使用者に適切な運動パターンが実行される。 【0053】また、運動パターンの設定データを直接数値入力したい場合、医師やリハビリ士が運動負荷データ入力手段50を用いてリハビリテーション開始前に、使用者に与えるリハビリ運動の軌道や速度分布、最大負荷の値や可動範囲、許容速度などの運動パターンのデータを数値入力する。 運動負荷データ入力手段50より数値入力された運動パターンのデータは総合制御手段10に送られ、制御コンピュータ11がその運動パターンのデータを運動対応仮想環境制御データベース12に格納する。 リハビリテーションが開始されると、制御コンピュータ11は運動対応仮想環境制御データベース12に格納されていたその運動パターンのデータを読み出して運動負荷提供手段30に送り、運動負荷提供手段30では前述の場合と同様にして、負荷提示部31より使用者に運動負荷を提示する。 【0054】このように、使用者の可動範囲や許容速度などの運動パターンを、医師やリハビリ士が訓練開始時に入力して学習させることにより、使用者はリハビリ士などが設定した安全なリハビリ運動を繰り返し行うことができ、リハビリ士の不足によるリハビリテーションの機会の喪失の問題を軽減することができる。 【0055】実施の形態5. この実施の形態5は筋肉の活動量に基づいて運動負荷を制御することにより、筋肉の減退防止を図ったものである。 図8はそのようなこの発明の実施の形態5によるウェルネスシステムを示すブロック図であり、実施の形態1の各部に相当する部分には図1と同一符号を付してその説明を省略する。 図において、37は運動負荷提供手段30内にあって、最大運動負荷レベルの設定が行われる運動負荷設定部である。 また、44は使用者のリハビリテーションやトレーニングの対象とする筋の筋電図を計測する筋電図計測部、45は計測された筋電図の処理を行って筋肉の活動量を推定する筋活動量推定部、46 は推定された筋肉の活動量を分かりやすい形で表示する筋活動量表示部である。 この実施の形態5における生理心理状態評価手段40は、これらの筋電図計測部44、 筋活動量推定部45および筋活動量表示部46を備えている。 【0056】次に動作について説明する。 生理心理状態評価手段40では、筋電図計測部44によって使用者のリハビリテーションやトレーニングの対象となる筋肉の筋電図が計測される。 この筋電図計測部44による筋電図の計測は、使い捨て電極を使用者の対象とする筋肉の総合的な筋電図が計測できる位置に装着し、生体電気現象計測一般に用いられる増幅器の電気的特性を筋電図用に合わせたものや、筋電図専用の増幅器を用いて行う。 計測された筋電図は筋活動量推定部45に送られ、筋活動量推定部45はその筋電図の波形を全波整流してローパスフィルタをかけ、筋肉の活動量に対応する波形に変換したり、包絡線に変換したりする。 ローパスフィルタを用いた場合の波形は平均的な筋活動量となり、包絡線に変換した場合は一周期の中の最大値の履歴波形となる。 このような波形変換を行えば、筋肉の活動が活発であれば電圧は上昇し、筋肉の活動が少なければ電圧は下降するという筋活動量に対応した波形が得られ、これを筋活動量の代用値に用いることができる。 筋活動量表示部46ではこの筋活動量推定部45の推定した筋活動量を使用者やトレーナー、リハビリ士に分かりやすい形で表示する。 たとえば、レベルメータを用いてリアルタイムで最大値がどの程度なのか表示してもよいし、筋活動量に応じた波形を残像形オシロスコープ等を用いて表示してもよい。 【0057】一方、この筋活動量は生理心理状態評価手段40より総合制御手段10の制御コンピュータ11に送られ、制御コンピュータ11より運動負荷提供手段3 0の運動負荷検出制御部34に送られる。 運動負荷検出制御部34ではそれに基づいて制御装置33、駆動部3 2を介して負荷提示部31を制御して、使用者に運動負荷を与える。 その際、総合制御手段10の生理状態対応運動負荷制御データベース13には、年齢や性別による平均的な体力を基にした運動負荷に関するデータを納めておき、最初に使用するときはこのデータをもとに運動負荷提供手段30で使用者に運動負荷を与える。 【0058】すなわち、運動負荷検出制御部34は生理心理状態評価手段40の筋活動量推定部45で推定された筋活動量と運動負荷設定部37に設定された最大運動負荷レベルとを比較し、その比較結果により負荷提示部31による運動負荷を制御する。 たとえば、設定された最大運動負荷レベルを超えるまでは運動負荷を徐々に強くしてゆき、最大運動負荷レベルを超えたら運動負荷をゼロにする、というような制御を行う。 当然のことながら体力には個人差があるので、使用者自身やトレーナー、リハビリ士の判断により、運動負荷を与えているときにもマニュアルで運動負荷を制御できるように、運動負荷設定部37で最大運動負荷レベルの修正も可能な構成とする。 【0059】また、運動負荷の他の制御方法としては、 コンパレータ等を用いてある一定レベル以上の筋活動をパルスに変換し、このパルスのカウントを行って、ある一定数のパルスをカウントすると、運動負荷検出制御部34に信号を送り、運動負荷を停止させるというものであってもよい。 さらに、最初に筋活動に対応するパルスを受け付けた時点からの時間が、あらかじめ設定しておいた一定時間が経過した後、運動負荷を停止するようにしてもよい。 【0060】なお、総合制御手段10の生理状態対応運動負荷制御データベース13は、システムを使用するごとに、使用者IDや性別、年齢を基に、計測されたデータを蓄積してゆけば、使用者別の平均的な運動負荷や最大運動負荷レベルに設定することが可能となり、訓練状況やリハビリテーションの進展に合わせた、適切な運動負荷を与えることができるという効果がある。 【0061】さらに、筋活動量で仮想環境提示手段20 の映像ユニット21を制御するようにすれば、たとえばゲーム的な画像が表示されている場含、筋活動量がある一定以上になったとき、映し出されている画像中の何かが変化するような構成とすることができる。 具体的には、空中を飛んでいる敵機に照準を定めながら、ミサイルなどを発射するトリガに利用するというようなものである。 このような表示手段を用いることにより、訓練やリハビリテーションにゲーム的な感覚が取り入れられ、 動機づけに役立つという効果を奏する。 【0062】実施の形態6. この実施の形態6は患部をギプスで固定した場合に、その部分の筋肉に電気刺激を与えることにより、筋力維持のための擬似的な運動負荷を実現し、筋肉の減退防止を図ったものである。 図9はそのようなこの発明の実施の形態6によるウェルネスシステムを示すブロック図であり、実施の形態5の各部に相当する部分には図8と同一符号を付してその説明を省略する。 図において、47は筋活動量推定部45にて推定された筋肉の活動量より筋活動の評価を行う筋活動評価部であり、この実施の形態6における生理心理状態評価手段40は、筋電図計測部44および筋活動量推定部45とともにこの筋活動評価部47を備えている。 また、38は利用者の所定の筋肉に電気刺激を与える電気刺激提示部であり、39は生理心理状態評価手段40の筋活動評価部47による評価結果に基づいた電気刺激提示部38の制御を行う電気刺激制御部である。 この実施の形態6における運動負荷提供手段30は、これら電気刺激提示部38および電気刺激制御部39を備えている。 【0063】次に動作について説明する。 利用者の患部をギプスで固定しなければならない場合、そのギプスの中に電気刺激提示部38の電気刺激用電極と筋電図計測部44の筋電検出用電極とをあらかじめ装着しておく。 患部にギプスが施された後は、その部分の筋肉を利用者が自分の意思で動かしたり、外部から動かそうとしても無理があるので、運動負荷提供手段30の電気刺激提示部38よりその部分の筋肉に電気刺激用電極で微小電流を流して筋肉を収縮させる。 そのときの筋電図を生理心理状態評価手段40の筋電図計測部44で計測し、計測された筋電図を筋活動量推定部45で処理して筋肉の活動を推定する。 筋活動評価部47はこの筋活動量推定部45で推定された筋肉の活動量より筋活動の評価を行い、評価結果を総合制御手段10の制御コンピュータ1 1に送る。 【0064】制御コンピュータ11は受け取った評価結果に基づいて運動負荷提供手段30に指示し、その電気刺激制御部39に筋活動の評価結果に基づいて刺激強度、刺激持続時間、刺激頻度を決定させる。 電気刺激制御部39は決定したその刺激強度、刺激持続時間、刺激頻度に応じて電気刺激提示部38を制御し、電気刺激提示部38はその刺激強度、刺激持続時間、刺激頻度に基づいた電気刺激を、ギプス内に装着されている電気刺激用電極によって使用者のその部分の筋肉に与える。 なお、電気刺激を与えるにあたっては、使用者は電気刺激をほとんど感じないが筋収縮は起こるレベルを事前に調べておき、このレベルからシステムの使用を始めるようにする。 【0065】また、電気刺激制御部39では筋活動評価部47からの筋活動頻度、パルス数といったデータを基に、刺激強度、刺激持続時間、刺激頻度を決定するが、 システム使用当初は、前述のように使用者が電気刺激をほとんど感じないレベルとなるように設定しておく。 当然、システムの使用のたびに、使用者のデータの履歴を残し、患部の回復過程に合わせてその電気刺激のパターンを変更していく。 また、筋活動の状態や電気刺激のパターン等を医師やトレーナーに提示し、医師やトレーナーの判断を電気刺激制御部39に反映させることによって、より安全にシステムを運用することができる。 【0066】このように、運動負荷提供手段30を筋肉に電気刺激を与えることによって擬似的な運動負荷を提供するものとすることにより、外部から強制的に物理的な運動負荷を与えることができない場合でも、電気刺激によって筋力維持のための運動を擬似的に実現することができ、筋力低下を最小限に抑えることが可能となるため、本格的なリハビリテーションを行う期間を短縮し、 早期に筋力の回復を図ることができる。 【0067】実施の形態7 . この実施の形態7は使用者に自分の身体の少なくとも一部の動きが、提示される仮想環境中に見えるようにすることにより、臨場感を向上させたものである。 図10はそのようなこの発明の実施の形態7によるウェルネスシステムを示すブロック図であり、実施の形態1の各部に相当する部分には図1と同一符号を付してその説明を省略する。 図において、71は使用者の身体の少なくとも一部を撮影する画像撮影部であり、72は撮影された画像の画像処理を行う映像処理部、73は画像処理された画像から使用者の身体の一部などの必要な画像の切り出しを行う映像切り出し部である。 70はこれら画像撮影部71、映像処理部72、映像切り出し部73よりなり、仮想環境提示手段20の映像ユニット21に接続される使用者映像取込手段である。 また、仮想環境提示手段20の映像ユニット21内において、21dは使用者映像取込手段70の映像切り出し部73にて切り出された画像を、提示すべき仮想環境の画像と合成してディスプレイ21b上に表示する映像合成部である。 【0068】次に動作について説明する。 使用者映像取込手段70の画像撮影部71は使用者の身体の一部、たとえば足元や手の先などを撮影し、撮影された画像をその映像処理部72に送る。 映像処理部72はその画像撮影部71より送られてきた画像を、当該システムが取り扱える形式に変換して映像切り出し部73に送る。 映像切り出し部73では背景と使用者の身体の映像とのコントラストや輝度差を利用して、映像処理部72から受けた画像から使用者の身体の一部などの必要な画像を切り出し、それを仮想環境提示手段20の映像ユニット21 に送る。 映像ユニット21では映像合成部21dにおいて、映像蓄積部21aから読み出した映像と、この使用者映像取込手段70の映像切り出し部73で切り出された映像とを合成する。 映像合成部21dにおける画像の合成は、映像蓄積部21aから読み出した画像の上に、 映像切り出し部73からの画像を重ねるようにして行い、合成された画像はディスプレイ21b上に提示される。 【0069】たとえばリハビリ運動で足踏みをしている使用者の全身画像を取り込んで、仮想の森の映像に合成すると、あたかも使用者が森の中を歩いているような画像を提示することができ、このようにして臨場感を増すことにより、リハビリテーションの動機付けに効果がある。 また、使用者の顔の画像を取り込んで、それを仮想空間の中で使用者がいる場所に合成してやることで、自分の存在位置を親しみをもって認識することができるようになり、特に子供が使用者である場合に、リハビリテーションへの積極的な取り組みを促す効果が得られる。 また、実際に歩いているときに見える身体の一部、たとえば、使用者の視点から見た足先や手などを、使用者の頭につけたカメラで取り込んだ画像を合成して提示することにより、仮想空間の中に入り込んだ臨場感を創出することができる。 【0070】実施の形態8 . この実施の形態8は複数のウェルネスシステム間で通信を行うことにより、仮想環境の中で他の使用者と出会ってコミュニケーションすることができるようにしたものである。 図11はそのようなこの発明の実施の形態8によるウェルネスシステムを示すブロック図であり、実施の形態1の各部に相当する部分には図1と同一符号を付してその説明を省略する。 図において、80は使用者に関する送信すべき映像情報および音情報を収集する送信情報収集手段である。 また、81は使用者の身体の少なくとも一部を撮影する画像撮影部、82はその画像処理を行う映像処理部、83は画像処理された映像から必要な映像の切り出しを行う映像切り出し部であり、これらは実施の形態8の使用者映像取込手段70におけるそれらと同一のものである。 84は使用者の発する音を収集するマイクであり、85はマイク84で収集された音情報を収録する音収録部である。 送信情報収集手段80 は、これら画像撮影部81、映像処理部82および映像切り出し部83と、マイク84および音収録部85とを備えている。 【0071】また、91は複数のウェルネスシステム間で行われる通信を接続する通信ネットワークである。 9 2は送信情報収集手段80からの映像情報、音情報、および総合制御手段10から送信される使用者の仮想空間内における位置情報を所定の通信フォーマットに変換して、通信ネットワーク91に送信するための通信データを作成する送信データ作成部であり、93は総合制御手段10より位置情報と方向情報を受けて、通信ネットワーク91より受信した通信データを仮想環境の構築に必要なデータに変換し、総合制御手段10に送る受信データ変換部である。 94はこれら送信データ作成部92と受信データ変換部93を通信ネットワーク91に接続するためのネットワークインタフェースである。 この総合制御手段10、仮想環境提示手段20、運動負荷提供手段30、生理心理状態評価手段40、送信情報収集手段80、送信データ作成部92、受信データ変換部93、 ネットワークインタフェース94を1セットとする複数セットのウェルネスシステムが、通信ネットワーク91 を介して相互に接続されている。 なお、図12においては2セットの場合を例示している。 【0072】次に動作について説明する。 送信情報収集手段80において、画像撮影部81は使用者の顔などの身体の一部あるいは全身を撮影し、撮影された映像を映像処理部82にてシステムが取り扱える形式に変換する。 映像切り出し部83はその変換された映像より必要な映像を切り出し、それを同じセットの仮想環境提示手段20内の映像ユニット21に送ると同時に、同じセットの送信データ作成部92にも送る。 また、マイク84 にて使用者の発する音を収集し、それを音収録部85によって収録して送信データ作成部92に送る。 その際、 指向性の高い複数のマイク84と複数の音収録部85を用いることにより、使用者の話し声や足音と環境音とを分離して収集するとなおよい。 あるいは使用者が実際に発する音はマイク84を用いて収集し、仮想環境提示手段20の音響ユニット22で作成して提示する音に関しては、その音情報を図中に点線で示すように直接音収録部85に取り込んでもよい。 また、総合制御手段10 は、仮想環境における使用者の位置情報を保持していて運動負荷提供手段30からの情報に基づいてその更新を行い、その位置情報を送信データ作成部92に送る。 【0073】送信情報収集手段80からの映像情報および音情報と、総合制御手段10からの位置情報を受けた送信データ作成部92は、それらの情報を通信ネットワーク91のプロトコールに応じた通信フォーマットに変換し、それを使用者識別コードとともに、ネットワークインタフェース94を介して通信ネットワーク91に送出する。 【0074】また、受信データ変換部93は自セットの総合制御手段10から位置情報および方向情報を受けており、他のセットの送信データ作成部92が通信ネットワーク91に送信した、使用者識別コードと、それに対応した映像情報、音情報、およびそのセットの使用者の位置情報を受け取ると、自セットの使用者との位置関係を判定し、あらかじめ設定した距離内にあるときには、 音情報をその位置関係から計算した方向に関する情報とともに、自セットの総合制御手段10に送る。 そのとき同時に、自セットの使用者の進行方向を示す方向情報と他セットの使用者の位置情報から、視界にはいる映像情報を選択し、それを自セットの使用者の位置から見た映像に変換して総合制御手段10に送る。 【0075】総合制御手段10は、仮想環境制御信号とともに受信データ変換部93より受け取った映像情報を、仮想環境提示手段20の映像ユニット21に、音情報を音響ユニット22にそれぞれ送る。 映像ユニット2 1では、総合制御手段10から送られる仮想環境制御信号に基づいて蓄積している映像情報を再生し、同じく総合制御手段10から送られる他セットの使用者の映像情報、自セットの送信情報収集手段80から送られる自セットの使用者の映像情報を合成し、それを内蔵するディスプレイ上に表示する。 また、音響ユニット22では、 総合制御手段10から送られる仮想環境制御信号に基づいて蓄積している音情報を選択し、その音情報と、同じく総合制御手段10から送られる他セットの使用者の発する音情報とを方向情報を用いて合成して提示する。 【0076】以上により、共通の仮想空間の中で複数の人が出会って、相手の顔や様子を見ながら互いに会話をかわし、一緒に散歩するといったことが可能になる。 これによって、リハビリテーションや運動療法などにおける動機づけを高めるとともに、他者とのコミュニケーションによるリフレッシュ効果が期待できる。 なお、コミュニケーションの内容は、使用者が患者同士の病気や対処方法に関する情報交換であったり、患者と医者やリハビリ士など医療関係者との訓練経過の説明や相談、励ましなど、あるいは患者と家族や介護者との日常的な会話や仮想環境を体験しての感想など多様なものが考えられるが、いずれにしても仮想環境の織りなすリラックスした雰囲気の中でコミュニケーションがスムーズに行え、 また、同じ空間と時を共有する実感を与えることにより、人間関係の改善に寄与することができる。 【0077】実施の形態9 . この実施の形態9は現実の世界を離れたところにいる使用者が、提示される仮想環境によってその現実の世界と接触できるようにしたものである。 図12はそのようなこの発明の実施の形態9によるウェルネスシステムを示すブロック図であり、実施の形態1の各部に相当する部分には図1と同一符号を付してその説明を省略する。 図において、100は使用者から離れた地点における環境の映像情報を収集する映像情報収集手段としての映像情報収集部、101はその地点の音場情報を収集する音場情報収集手段としての音場情報収集部であり、102はその地点の温度および湿度の情報を収集する環境情報収集手段としての温度湿度情報収集部、103はその地点の風向および風速の情報を収集する環境情報収集手段としての風向風速情報収集部、104はその地点の香の情報を収集する環境情報収集手段としての嗅覚情報収集部である。 【0078】105はこれら映像情報収集部100、音場情報収集部101、温度湿度情報収集部102、風向風速情報収集部103、および嗅覚情報収集部104を搭載し、それらを移動させるための移動手段としての移動ユニットである。 106はこの移動ユニット105に搭載されて、映像情報収集部100、音場情報収集部1 01、温度湿度情報収集部102、風向風速情報収集部103、嗅覚情報収集部104にて収集された情報を総合制御手段10に送信し、総合制御手段10からの移動ユニット105の移動制御情報を受信する情報送受信部である。 16は総合制御手段10内にあって、情報送受信部106から送られてくる映像情報収集部100、音場情報収集部101、温度湿度情報収集部102、風向風速情報収集部103、嗅覚情報収集部104の収集情報を受信し、移動ユニット105の移動制御情報を送信する情報送受信部である。 【0079】次に動作について説明する。 総合制御手段10の制御コンピュータ11は情報送受信部16で受信した、映像情報収集部100、音場情報収集部101、 温度湿度情報収集部102、風向風速情報収集部10 3、嗅覚情報収集部104の収集情報に基づいて仮想環境提示手段20を制御し、その映像ユニット21、音響ユニット22および風・香ユニット23などよって、移動ユニット105が置かれている現実世界が仮想環境として使用者に提示される。 その時、使用者が足踏み運動を行うと、運動負荷提供手段30がその使用者の運動を検出して検出情報を制御コンピュータ11に伝える。 制御コンピュータ11はその検出情報に基づいて移動ユニット105の移動制御情報を作成し、それを情報送受信部16より移動ユニット105側の情報送受信部106 に送信する。 【0080】移動ユニット105は情報送受信部106 の受信した制御コンピュータ11からの移動制御情報によって制御され、使用者の運動に連動して、たとえば一歩の運動に対して一歩分の距離を移動する。 これにより、この移動ユニット105に搭載された映像情報収集部100、音場情報収集部101、温度湿度情報収集部102、風向風速情報収集部103、嗅覚情報収集部1 04も移動し、移動しながら各場所での映像情報と音場情報、および温度、湿度、風向、風速、香などの環境情報を収集する。 収集された情報は情報送受信部106より送信され、総合制御手段10の情報送受信部16で受信されて制御コンピュータ11に送られる。 制御コンピュータ11は受け取ったそれらの情報に基づいて、仮想環境提示手段20を制御し、その映像ユニット21、音響ユニット22および風・香ユニット23より移動後の仮想環境を使用者に提示する。 【0081】たとえば公園を散歩するコンテンツの場合、公園に映像情報収集部100、音場情報収集部10 1、温度湿度情報収集部102、風向風速情報収集部1 03、嗅覚情報収集部104および情報送受信部106 を搭載した移動ユニット105を置き、使用者は病院のベッドの上でこのウェルネスシステムを使用する。 使用者が足踏み運動をすると、その歩みに対応して移動ユニット105とそれに搭載されたシステムが移動し、仮想環境提示手段20にて提示される画像や風・音や香等が変化してゆく。 すなわち花壇に近づいてゆくと、徐々に花の映像が近くになり、花の香が強くなってくる。 花壇の近くでさらに足踏み運動を続けると提示されている花の種類が変化してゆき、花の種類によって香も変化する。 また周囲で遊んでいる子供の映像や声などもリアルタイムで変化してゆく。 【0082】このように、離れた場所にいても実世界の環境にあたかも実際に出かけたような感覚を味わうことが可能となるため、リハビリ運動の動機づけの効果をもち、さらに、リハビリテーションに限らず広く実世界とのインタラクションを実現することにより、病院や家庭の一室から出られないような患者の拘束感を解き、リフレッシュさせる効果がある。 【0083】実施の形態10 . この実施の形態10は実施の形態9によるウェルネスシステムにおいて、さらに仮想環境のもととなる現実世界にいる人と使用者とのインタラクションを可能としたものである。 図13はそのようなこの発明の実施の形態1 0によるウェルネスシステムを示すブロック図であり、 実施の形態9の各部に相当する部分には図12と同一符号を付してその説明を省略する。 図において、21eは仮想環境提示手段20の映像ユニット21内に配置され、使用者の身体の一部あるいは全部を撮影してその映像情報を収集するための使用者映像情報収集手段としてのビデオカメラ(使用者映像情報収集手段)であり、2 1fはこのビデオカメラ21eにて撮影された映像情報を取り込み、それを映像制御部21cに送る画像取込部である。 51は使用者の発する音情報を収集して総合制御手段10の制御コンピュータ11に送る使用者音情報収集手段としてのマイクである。 【0084】また、110は映像ユニット21内のビデオカメラ21eで撮影されて画像取込部21fで取り込まれ、映像制御部21cより制御コンピュータ11に送られた使用者の映像情報を、情報送受信部16および情報送受信部106を経由して受け取り、それを使用者に提示する仮想環境のもととなる現実世界において提示する映像情報提示手段である。 111は同様に、マイク5 1で収集され、制御コンピュータ11より情報送受信部16および情報送受信部106を経由して受け取った、 使用者の発する音情報を、使用者に提示する仮想環境のもととなる現実世界において提示する音情報提示手段である。 【0085】次に動作について説明する。 たとえば病院に入院している使用者と観光地に来ているその家族との間で、この実施の形態11によるウェルネスシステムを使用する場合、移動ユニット105に搭載された映像情報収集部100、音場情報収集部101、温度湿度情報収集部102、風向風速情報収集部103、嗅覚情報収集部104、情報送受信部106、および映像情報提示手段110、音情報提示手段111を家族のいる観光地に置き、それ以外を使用者の入院している病院に置く。 観光地側では映像情報収集部100、音場情報収集部1 01によって、家族の身体の一部または全身の映像や観光地の風景の映像、および家族の発する音声や観光地の環境音などが収集される。 収集された映像情報や音情報は情報送受信部106より病院側に送信される。 病院側ではそれを情報送受信部16で受信して総合制御手段1 0の制御コンピュータ11に送る。 制御コンピュータ1 1はそれらの情報に基づいて仮想環境提示手段20を制御し、その映像ユニット21と音響ユニット22を用いて、観光地の家族の様子を病院にいる使用者に提示する。 【0086】また、病院側では仮想環境提示手段20の映像ユニット21において、使用者の身体の一部あるいは全身の画像がビデオカメラ21eで撮影され、その映像情報が画像取込部21fによって取り込まれて映像制御部21cより制御コンピュータ11に送られる。 制御コンピュータ11はこの使用者の映像情報を情報送受信部16より観光地側に送信する。 観光地側ではその映像情報を情報送受信部106で受信し、映像情報提示手段110に送って家族に提示する。 同様に、使用者の発する音声などはマイク51で収集されて制御コンピュータ11に送られ、制御コンピュータ11はこの使用者の音情報を情報送受信部16より観光地側に送信する。 観光地側ではその音情報を情報送受信部106で受信し、音情報提示手段111に送って家族に提示する。 【0087】これらのことにより、観光地にいる家族と病院にいる使用者とが、あたかも一緒に観光地に行っているような状況を作ることが出来る。 また観光地を学校の教室に変え、家族を学校の先生や友達にすれば、入院しながら学校に通っているような環境を提供することも出来る。 【0088】このように、リハビリテーションに限らず、広く現実の世界とのインタラクション、およびそこにいる人とのコミュニケーションを実現することにより、病院や家庭の一室から出られないような患者の拘束感を解き、精神的にリフレッシュさせることができるとともに、社会参加の機会を与えることによってメンタルケアにも役立つ。 【0089】 【発明の効果】以上のように、請求項1記載の発明によれば、あらかじめ進路の複数の撮影位置において各々の撮影位置ごとに1つの動画カットを撮影して蓄積した複数の動画カットを、運動負荷提供手段の検出した使用者の運動に合わせて1カットずつ進めながら再生するように構成したので、使用者が提示された仮想環境の画像につられて過度に運動しないようにすることができる効果がある。 【0090】請求項2記載の発明によれば、動画カットの再生に同期させて、当該動画カットに対応する音、および風や香を使用者に提示するように構成したので、使用者が仮想環境によって提示された場所を本当に歩いているような感覚を創出することができる効果がある。 【0091】請求項3記載の発明によれば、使用者の運動を検出して、検出された運動のタイミングに合わせて使用者の運動を助けるための負の運動負荷を与える機能を運動負荷提供手段に持たせるように構成したので、自力で動けない使用者でも、その運動能力に応じて一人で他動的リハビリテーションのような運動補助が行えるばかりか、使用者が自力で動くことの出来ない時点から仮想環境内を移動し得ることができるため、ベッドに拘束されているストレスから一時的に解放されて、心理的にリフレッシュできる効果がある。 【0092】請求項4記載の発明によれば、訓練開始時にあらかじめ入力しておいた使用者の運動パターンのデータである使用者の可動範囲および許容速度に基づいて運動負荷提供手段を制御し、使用者に提供される運動負荷を制御するように構成したので、使用者に適した運動負荷を提供することができ、リハビリ士などの不足によるリハビリテーションの機会喪失を軽減できる効果がある。 【0093】請求項5記載の発明によれば、訓練開始時に手動で、運動負荷提供手段の負荷提示部をリハビリ運動に適したパターンで動かし、そのときの負荷提示部の位置と移動速度をセンサで検出して、それに基づいて使用者への運動負荷を制御するように構成したので、実施したいリハビリ運動に応じて負荷提示部を動かすだけで、訓練開始時における使用者の運動パターンのデータ である使用者の可動範囲および許容速度の入力が行える効果がある。 【0094】請求項6記載の発明によれば、訓練開始時における使用者の運動パターンのデータである使用者の 可動範囲および許容速度の入力を、運動負荷データ入力手段より入力するように構成したので、使用者はリハビリ士などが数値によって設定した安全なリハビリ運動を行うことができる効果がある。 【0095】請求項7記載の発明によれば、筋電図計測部で計測した筋電図から筋活動量推定部が推定した筋肉の活動量に基づいて、運動負荷提供手段が提供する運動負荷を制御するように構成したので、筋肉にその活動量に応じた運動負荷を加えることが可能となるため、使用者の筋肉の減退を防止することができる効果がある。 【0096】請求項8記載の発明によれば、使用者に筋電図から推定した筋肉の活動量に合わせて、電気刺激による擬似的な運動負荷を与えるように構成したので、物理的な強制運動を外部より与えることができない場合でも、筋力維持のための擬似的な運動負荷を与えることが可能となって、筋力の低下を最小限に抑えることができる効果がある。 【0097】請求項9記載の発明によれば、使用者の身体の少なくとも一部を撮影し、提示する仮想環境の画像にそれを合成して表示するように構成したので、使用者が自分の身体の動きを仮想環境の中に見ることが可能となり、より臨場感を高めることができる効果がある。 【0098】請求項10記載の発明によれば、通信ネットワークで接続された複数のウェルネスシステムに送信情報収集手段を持たせ、使用者の仮想空間内における位置情報や、送信情報収集手段の収集した映像情報や音情報を相互に通信するように構成したので、仮想環境の中で、複数の使用者が出会って互いにコミュニケーションすることができる効果がある。 【0099】請求項11記載の発明によれば、使用者に提示する仮想環境のもととなる現実世界に、映像情報収集手段、音場情報収集手段および環境情報収集手段を移動可能に配し、使用者の運動に合わせてそれらの移動を制御するとともに、映像情報収集手段、音場情報収集手段、環境情報収集手段で収集された情報を用いて提示される仮想環境を使用者から離れた地点における環境に応じてリアルタイムに制御するように構成したので、現実の世界から離れたところにいる使用者に、あたかも当該現実世界の環境にいるような感覚を与えることができる効果がある。 【0100】請求項12記載の発明によれば、使用者側に使用者映像情報収集手段と使用者音情報収集手段を配して使用者の映像や発する音を収集し、使用者に提示する仮想環境のもととなる現実の世界に映像情報提示手段と音情報提示手段を配してそれらの提示を行うように構成したので、現実の世界から離れたところにいる使用者と、当該現実の世界の中にいる人とのインタラクションが可能になる効果がある。 【0101】請求項13記載の発明によれば、運動負荷提供手段が提供する運動負荷を制御する機能を総合制御手段が有し、運動負荷提供手段が使用者の運動を助けるための負の運動負荷を与える機能を有するので、自力で動けない使用者でも、その運動能力に応じて一人で他動的リハビリテーションのような運動補助が行えるばかりか、使用者が自力で動くことの出来ない時点から仮想環境内を移動し得ることができるため、ベッドに拘束されているストレスから一時的に解放されて、心理的にリフレッシュできる効果がある。 【0102】請求項14記載の発明によれば、運動負荷提供手段が提供する運動負荷を、訓練開始時に入力された使用者の運動パターンのデータである使用者の可動範 囲および許容速度に基づいて制御する機能を総合制御手段が有するので、使用者に適した運動負荷を提供することができ、リハビリ士などの不足によるリハビリテーションの機会喪失を軽減できる効果がある。 【0103】請求項15記載の発明によれば、運動負荷提供手段で使用者に直接運動負荷を提供している負荷提示部の位置を検出する位置検出センサと、負荷提示部の移動速度を検出している速度検出センサとを設け、訓練開始時に入力される使用者の運動パターンのデータであ る使用者の可動範囲および許容速度として、 負荷提示部 を手動で、使用者のリハビリ運動に適切な運動パターン にしたがって動かしたときに、位置検出センサおよび速度検出センサで計測された検出出力を用いるので、実施したいリハビリ運動に応じて負荷提示部を動かすだけで、訓練開始時における使用者の運動パターンのデータの入力が行える効果がある。 【0104】請求項16記載の発明によれば、訓練開始時に入力される使用者の運動パターンのデータである使 用者の可動範囲および許容速度を入力するための運動負荷データ入力手段を設けたので、使用者はリハビリ士などが数値によって設定した安全なリハビリ運動を行うことができる効果がある。 【図面の簡単な説明】 【図1】 この発明の実施の形態1によるウェルネスシステムを示すブロック図である。 【図2】 この発明の実施の形態1における映像撮影時と映像提示時の画角を示す説明図である。 【図3】 この発明の実施の形態2によるウェルネスシステムにおける、ステップ動画方式に基づいた映像データの作成例を示す説明図である。 【図4】 この発明の実施の形態2における仮想空間上の進路の構成例を示す概念図である。 【図5】 この発明の実施の形態3における運動負荷提供手段の利用を示す概念図である。 【図6】 この発明の実施の形態3における負荷提示部に提示される力と負荷提示部の位置を示す説明図である。 【図7】 この発明の実施の形態4によるウェルネスシステムを示すブロック図である。 【図8】 この発明の実施の形態5によるウェルネスシステムを示すブロック図である。 【図9】 この発明の実施の形態6によるウェルネスシステムを示すブロック図である。 【図10】 この発明の実施の形態7によるウェルネスシステムを示すブロック図である。 【図11】 この発明の実施の形態8によるウェルネスシステムを示すブロック図である。 【図12】 この発明の実施の形態9によるウェルネスシステムを示すブロック図である。 【図13】 この発明の実施の形態10によるウェルネスシステムを示すブロック図である。 【図14】 従来のウェルネスシステムを示す概念図である。 【符号の説明】 10 総合制御手段、20 仮想環境提示手段、21d 映像合成部、21eビデオカメラ(使用者映像情報収集手段)、30 運動負荷提供手段、31負荷提示部、 35 位置検出センサ、36 速度検出センサ、38 電気刺激提示部、39 電気刺激制御部、40 生理心理状態評価手段、44 筋電図計測部、45 筋活動量推定部、50 運動負荷データ入力手段、51 マイク(使用者音情報収集手段) 、70使用者映像取込手段、80 送信情報収集手段、91 通信ネットワーク、92 送信データ作成部、93 受信データ変換部、100 映像情報収集部(映像情報収集手段)、1 01 音場情報収集部(音場情報収集手段)、102 温度湿度情報収集部(環境情報収集手段)、103風向風速情報収集部(環境情報収集手段)、104 嗅覚情報収集部(環境情報収集手段)、105 移動ユニット(移動手段)、110 映像情報提示手段、111 音情報提示手段。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 真弘 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内(72)発明者 前田 満雄 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内(72)発明者 水庫 功 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−231(JP,A) 特開 昭57−59534(JP,A) 特開 平6−154354(JP,A) 特開 平7−80096(JP,A) |