Leg portion training device

申请号 JP2010150325 申请日 2010-06-30 公开(公告)号 JP2010221066A 公开(公告)日 2010-10-07
申请人 Panasonic Electric Works Co Ltd; パナソニック電工株式会社; 发明人 OCHI KAZUHIRO; SHINOMIYA YOICHI; OZAWA NAOHISA; TOYOMI YURITSUGU; ISHINO KOICHI; KAWAMOTO MINORU;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a leg portion training device, capable of efficiently providing a user with an exercise that applies less load on the knee joint. SOLUTION: The leg training equipment has a base fixed in place, a support portion configured to support a part of a user's body, and a coupling mechanism provided between the base and the support portion. The coupling mechanism movably couples the support portion to the base such that a load applied to a leg of the user by the user's own weight changes by a relative positional displacement between a foot position and a position of center of gravity of the user. COPYRIGHT: (C)2011,JPO&INPIT
权利要求
  • 定位置に設置される基台と、使用者の自重の少なくとも一部が大腿部を含む脚部に作用する形で使用者の身体の一部を支持する支持部と、使用者の足位置と重心位置との相対位置の変位により使用者の自重で脚部に作用する負荷が変化するように支持部を基台に対して可動に結合する結合機構とを含むことを特徴とする脚部トレーニング装置。
  • 上記支持部は、使用者の足を載せる踏板を含むことを特徴とする請求項1に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記踏板は、踵がつま先よりも高くなるように傾斜する上面を有することを特徴とする請求項2に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記支持部は、使用者を着座状態に保持する保持手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記支持部は、使用者を吊り下げ状態に保持する保持手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記結合機構は、上記支持部の可動方向を使用者の足位置と臀部位置との間の距離が略一定になるように制限することを特徴とする請求項1に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記保持手段は、使用者の臀部を支持する座席部材を含み、前記座席部材は結合機構を介して上記基台に揺動可能に結合されることを特徴とする請求項4に記載の脚部トレーニング装置。
  • 足位置および足先の向きと上記座席部材の揺動方向とを合わせるマークを含むことを特徴とする請求項7に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記基台は、基台の上面と平行な面内で回転可能な方向支持板を有し、上記マークは前記方向支持板に表記されることを特徴とする請求項8に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記座席部材を揺動させる駆動手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記踏板は、上記結合機構を介して基台に対して水平方向と垂直方向の少なくとも一方向に移動可能に結合されることを特徴とする請求項2に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記結合機構は、踏板の下方に配置される弾性部材を含むことを特徴とする請求項11に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記支持部は、使用者の臀部を保持する座席部材と、使用者の足を乗せる踏板を含み、前記座席部材は結合機構を介して上記基台に揺動可能に結合され、脚部トレーニング装置はさらに上記座席部材の揺動に同期して上記踏板を動作させる連動手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記座席部材を揺動させる第1駆動手段と、上記踏板を駆動させる第2駆動手段と、前記第1駆動手段と前記第2駆動手段とを同期させて制御する制御手段を含むことを特徴とする請求項13に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記制御手段は、座席部材が基台に対して垂直姿勢となる位置と垂直姿勢に対して5度以下の角度で傾斜姿勢となる位置との間で座席部材が往復揺動運動するとともに、その際の使用者の膝角度が40度以内に保たれ、さらに座席部材が1秒間に往復揺動運動する往復回数が2回以下となるように座席部材と踏板の動作を制御することを特徴とする請求項14に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記座席部材は、上記結合機構部を介して基台に結合されるポストと、ポストの上端部に配置され使用者の臀部を載せるサドルと、前記ポストに対するサドルの平行移動と回転移動の少なくとも一方を提供するようにサドルをポストに結合する連結手段を含むことを特徴とする請求項7に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記連結手段は、ポストに対してサドルをシーソー運動可能に保持することを特徴とする請求項16に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記連結手段は、ポストの軸方向に交差する面内でサドルをスライド可能に保持することを特徴とする請求項16に記載の脚部トレーニング装置。
  • ポストに対するサドルのスライド移動を提供するサドル駆動手段を含むことを特徴とする請求項18に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記ポストはその長手方向に伸縮自在であり、脚部トレーニング装置はポストの伸縮運動を提供するポスト駆動手段を含むことを特徴とする請求項16に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記ポストはその長手方向に伸縮自在であり、脚部トレーニング装置はさらに使用者の足を載せる踏板と、上記座席部材を揺動させる第1駆動手段を、前記踏板を駆動させる第2駆動手段、ポストの伸縮運動を提供する第3駆動手段、およびポストの軸方向に交差する面内でサドルをスライド運動させる第4駆動手段の少なくとも一つと同期させて制御する制御手段とを含むことを特徴とする請求項16に記載の脚部トレーニング装置。
  • 代謝量に関連する生理的計測値を計測する計測手段と、計測手段の出力から代謝量を求める評価手段と、使用者に負荷を提供する負荷提供手段と、評価手段から提供される代謝量に基づき負荷提供手段によって使用者に付与される負荷量を制御する制御手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記評価手段は、上記負荷提供手段によって実施される運動にかかわる筋肉の体積および前記運動にかかわる筋肉のうち赤筋の体積のいずれか一方を重み係数として、前記生理的計測値に重み付けを行い、重み付けされた生理的計測値が前記代謝量として使用されることを特徴とする請求項22に記載の脚部トレーニング装置。
  • 使用者の自重のうち脚部に作用する負荷を反映する荷重を検出するために上記支持部に設けられる荷重センサと、荷重センサにより検出される負荷の時間変化を使用者に実時間で通知する荷重変化通知手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記連動手段は、上記踏み台に足を載せるとともに座席部材に着座する使用者の重心位置の移動時、前記使用者の膝関節の曲げ角度が45度以内となるように上記座席部材の揺動に同期して上記踏板を動作させることを特徴とする請求項13に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記連動手段は、前記使用者の重心位置の移動時、使用者の膝の曲げ角度が略一定に維持されるように上記座席部材の揺動に同期して上記踏板を動作させることを特徴とする請求項13に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記連動手段は、上記踏台に足を載せるとともに座席部材に着座する使用者の重心位置の移動時、前記使用者の膝関節の曲げ角度が45度以内となるように上記座席部材の揺動に同期して上記踏板を動作させる第1運動モードと、前記使用者の重心位置の移動時、使用者の膝の曲げ角度が略一定に維持されるように上記座席部材の揺動に同期して上記踏板を動作させる第2運動モードを選択的に提供し、上記脚部トレーニング装置は前記第1運動モードと前記第2運動モードの一方を選択するための選択手段を含むことを特徴とする請求項13に記載の脚部トレーニング装置。
  • 使用者のデータを入力する入力手段と、前記入力手段により入力されたデータに基づいて使用者が支持部に与えるべき圧力の適正範囲を算出する演算手段と、前記使用者が実際に支持部に与える圧力を検知するための圧力センサと、前記演算手段によって提供される適正範囲と前記圧力センサによって検知された実際の圧力値を使用者に表示する表示手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の脚部トレーニング装置。
  • 使用者のデータを入力する入力手段と、前記入力手段により入力されたデータに基づいて使用者が支持部に与えるべき圧力の適正範囲を算出する演算手段と、前記使用者が実際に支持部に与える圧力を検知するための圧力センサと、上記圧力センサによって検出された圧力値が前記適正範囲内に保たれるように結合機構をフィードバック制御する制御手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記保持手段は、使用者の胴体を吊り下げ保持する胴体保持部材と、使用者の足を載せる踏板を含み、前記胴体保持部材は結合機構を介して上記基台に揺動可能に結合され、脚部トレーニング装置はさらに上記胴体保持部材の揺動に同期して上記踏板を動作させる連動手段を含むことを特徴とする請求項5に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記胴体保持部材は、使用者の腰部を保持する腰部保持具と、軸方向に伸縮可能な使用者の吊り下げ部材を含むことを特徴とする請求項30の脚部トレーニング装置。
  • 上記胴体保持手段を揺動させる駆動手段を含むことを特徴とする請求項30に記載の脚部トレーニング装置。
  • 上記胴体保持部材を揺動させる第1駆動手段と、上記踏板を駆動させる第2駆動手段と、前記第1駆動手段と前記第2駆動手段とを同期させて制御する制御手段を含むことを特徴とする請求項30に記載の脚部トレーニング装置。
  • 说明书全文

    本発明は、運動不足解消やシェイプアップを目的とする使用だけでなく、膝痛を有する使用者であっても効率よく脚部のトレーニングを行える装置に関するものである。

    従来、脚部の運動を可能とする運動補助装置としては、自転車漕ぎ運動を模擬する装置(エアロバイク)、ランニングを模擬する装置(トレッドミル)などが知られており、使用者は自発的に努をして脚部の運動を行う。 一方、使用者の自発的な努力を必要とせずに能動的な運動を誘発する運動補助装置としては、乗馬運動を模擬する装置(たとえば、特開平11−155836号公報)などが提案されている。

    上述したエアロバイクやトレッドミルのような運動補助装置では、膝関節の屈伸を伴ったり、膝関節に使用者の自重よりも大きな負荷が作用したりするため、使用者が膝痛を持つ場合には採用することができない。 一方、乗馬を模擬する運動補助装置では、使用者が座席に着座するから膝への負担はないが、腰背部など主として体幹部の筋収縮を促す装置であるため、脚部の筋収縮が効果的であるとは言えない。

    近年、急増傾向にある生活習慣病の改善には有酸素運動によって体脂肪を減少させることが有効であり、他方、積極的に筋収縮を生じさせて糖代謝を高めることでインスリン感受性を改善させ、ひいては生活習慣病の改善に寄与すると考えられる。 筋収縮による糖代謝を効率的に行うには、体積の大きい筋肉である大腿部に筋収縮を生じさせることが有効と考えられる。 一方、糖尿病患者などでは膝痛を伴っていることが多く、大腿部の筋収縮のためにスクワット運動などを行うのはもちろんのこと、散歩のようなきわめて一般的な運動でさえも、膝の痛みが強くなったり症状が悪化したりするという問題が生じるなど、運動したくてもできない人にとって運動に対する強い要望がある。

    このような事情から、膝に負担をかけることなく脚部のトレーニングを効率よく行える装置の開発が待たれている。

    本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、膝痛を持つ使用者でも大腿部の筋肉の筋収縮を伴う運動を可能とし、結果的に生活習慣病の改善を効果的に行える脚部トレーニング装置を提供することにある。

    すなわち、本発明の脚部トレーニング装置は、定位置に設置される基台と、使用者の自重の少なくとも一部が大腿部を含む脚部に作用する形で使用者の身体の一部を支持する支持部と、使用者の足位置と重心位置との相対位置の変位により使用者の自重で脚部に作用する負荷が変化するように支持部を基台に対して可動に結合する結合機構とを含むことを特徴とする。

    この構成によれば、使用者の体重の一部を支持部で支えた状態において使用者の大腿部を含む脚部の筋肉に比較的軽い負荷を与えることができる。 すなわち、使用者に付与された比較的軽い負荷が糖代謝に有効である大腿部の筋収縮を促すので、筋力の低下や関節痛などによって運動機能が低下している使用者に対して適切な脚部トレーニングを提供することができる。 また、このトレーニング装置を継続的に利用すれば生活習慣病の予防/改善が期待される。 尚、基台に対して可動に結合される支持部は、使用者の足を載せる踏板、使用者を着座状態に保持する保持手段、および使用者を吊り下げ状態に保持する保持手段のいずれかとすることができる。 また、結合機構は、支持部の可動方向を使用者の足位置と臀部位置との間の距離が略一定になるように制限することが好ましい。

    上記脚部トレーニング装置において、基台に対して可動に結合される支持部が踏板である場合、踏板を基台に対して平方向と垂直方向の少なくとも一方向に移動可能に結合機構を介して結合することが好ましい。 また、踏板は、踵がつま先よりも高くなるように傾斜する上面を有することが好ましい。

    上記脚部トレーニング装置において、基台に対して可動に結合される支持部が使用者を着座状態に保持する保持手段である場合、この保持手段は、使用者の臀部を支持する座席部材を含み、座席部材は結合機構を介して基台に揺動可能に結合されることが好ましい。 この場合は、使用者の体重の一部が座席部材に臀部を載せることによって支えられ、この状態で座席部材を揺動させることによって使用者の大腿部を含む脚部に負荷を与えて筋収縮を促す。 また、足位置および足先の向きと上記座席部材の揺動方向とを合わせるマークを含むことが好ましく、例えば、基台が、基台の上面と平行な面内で回転可能な方向支持板を有し、前記マークはこの方向支持板に表記されることが特に好ましい。

    また、座席部材を揺動させる駆動手段を設けることが好ましい。 この場合は、使用者が能動的に身体を動作させることなく使用者の脚部に与える負荷の大きさを制御して受動的な運動によって筋収縮を促すことができる。 筋力の低下によって歩行に支障があるような使用者や、リハビリ運動を必要とする使用者が脚部のトレーニングを行いやすくなっている。 また、繰り返して同じ運動を行う場合でも駆動手段がリードしてくれるので、遊戯感覚で楽しくトレーニングが行える。

    上記脚部トレーニング装置において、支持部は、使用者の臀部を保持するとともに結合機構を介して基台に揺動可能に結合される座席部材と、使用者の足を乗せる踏板を含み、踏板を連動手段により座席部材の揺動に同期して連動させる構成とすることが好ましい。 この場合は、膝の屈曲度が変化しないように座席部材の揺動に伴って踏板の位置を変化させることができる。 つまり、等尺性収縮に近い運動が可能になるから、膝関節の屈伸による膝への負担が少なくなる。 このように、膝関節の屈伸を伴わずに筋収縮が可能になるから、変形性膝関節症などで膝に痛みがある場合でも安心して脚部のトレーニングを行える。 尚、座席部材を揺動させる第1駆動手段と、踏板を駆動させる第2駆動手段と、第1駆動手段と前記第2駆動手段とを同期させて制御する制御手段を含むことが特に好ましい。 この構成によれば、第1駆動手段と第2駆動手段との関係を適宜に調節することによって、使用者の脚部に作用する負荷の大きさを変化させながらも膝関節の屈曲角度がほとんど変化しないように脚部トレーニングを提供することができる。 これにより、使用者の好みに応じて脚部への負荷の大きさを変化させ、より効果的に大腿部の筋収縮を促すことができる。

    また、座席部材は、結合機構を介して基台に結合されるポストと、ポストの上端部に配置され使用者の臀部を載せるサドルと、ポストに対するサドルの平行移動と回転移動の少なくとも一方を提供するようにサドルをポストに結合する連結手段を含むことが好ましい。 これにより、座席部材の揺動に加えてサドルが移動することによって使用者の重心位置の変化を大きくすることができる。 たとえば、使用者の脚部に作用する負荷が増加する方向にポストが傾くときに、サドルの移動によって使用者の重心位置をずらすようにすれば、脚部に作用する負荷をさらに増加させることができる。 また、反対に脚部に作用する負荷をさらに減少する方向にサドルを移動させることも可能である。

    上記サドルの回転移動として、連結手段はポストに対してサドルをシーソー運動可能に保持することが好ましい。 また、上記サドルの平行移動として、ポストの軸方向に交差する面内でサドルをスライド可能に保持することが好ましい。
    この場合、ポストに対するサドルのスライド移動を提供するサドル駆動手段を設けることが特に好ましい。

    また、上記座席部材を用いた脚部トレーニング装置において、ポストはその長手方向に伸縮自在であり、脚部トレーニング装置はポストの伸縮運動を提供するポスト駆動手段を含むことが好ましい。 この構成によれば、ポストの伸縮長さの変化によって膝関節の屈曲角度が変化するので、使用者の脚部に作用させる負荷の大きさを調節することができる。 また、使用者の脚長に応じて使用者の臀部の位置を調節することができる。

    本発明の別の好ましい実施形態にかかる脚部トレーニング装置において、ポストはその長手方向に伸縮自在であり、脚部トレーニング装置はさらに使用者の足を載せる踏板と、座席部材を揺動させる第1駆動手段を、踏板を駆動させる第2駆動手段と、ポストの伸縮運動を提供する第3駆動手段と、ポストの軸方向に交差する面内でサドルをスライド運動させる第4駆動手段の少なくとも一つと同期させて制御する制御手段とを含むことが好ましい。 この構成によれば、第1駆動手段と第2〜4駆動手段の少なくとも一つとの組合せよって、運動プログラムの設計自由度が高くなり使用者の要請に応じた種々の脚部トレーニングを提供することができる。

    上記脚部トレーニング装置において、連動手段は、踏み台に足を載せるとともに座席部材に着座する使用者の重心位置の移動時、使用者の膝関節の曲げ角度が45度以内となるように座席部材の揺動に同期して踏板を動作させることが好ましい。 変形性膝関節症のように関節に痛みがある場合でも痛みや症状の悪化のような悪影響を与えることなく使用することが可能になる。 また、連動手段は、前記使用者の重心位置の移動時、使用者の膝の曲げ角度が略一定に維持されるように座席部材の揺動に同期して踏板を動作させることが好ましい。

    さらに、本発明の脚部トレーニング装置は、踏台に足を載せるとともに座席部材に着座する使用者の重心位置の移動時、使用者の膝関節の曲げ角度が45度以内となるように座席部材の揺動に同期して踏板を動作させる第1運動モードと、使用者の重心位置の移動時、使用者の膝の曲げ角度が略一定に維持されるように座席部材の揺動に同期して踏板を動作させる第2運動モードを選択的に提供し、第1運動モードと第2運動モードの一方を選択するための選択手段を含むことが好ましい。
    また、脚部トレーニング装置は、代謝量に関連する生理的計測値を計測する計測手段と、計測手段の出力から代謝量を求める評価手段と、使用者に負荷を提供する負荷提供手段と、評価手段から提供される代謝量に基づき負荷提供手段によって使用者に付与される負荷量を制御する制御手段を含むことが好ましい。 この場合、評価手段は、負荷提供手段によって実施される運動にかかわる筋肉の体積および前記運動にかかわる筋肉のうち赤筋の体積のいずれか一方を重み係数として、生理的計測値に重み付けを行い、重み付け後の生理的計測値を代謝量として使用することが好ましい。

    また、本発明の脚部トレーニング装置は、使用者の自重のうち脚部に作用する負荷を反映する荷重を検出するため支持部に設けられる荷重センサと、荷重センサにより検出される負荷の時間変化を使用者に実時間で通知する荷重変化通知手段とを含むことが好ましい。 この構成によれば、使用者が脚部に作用する負荷の時間変化を実時間で知ることができ、適正な負荷が得られているか否かを容易に判断することができる。 尚、負荷に過不足があるときには、装置を調節したり、使用者が体の位置をずらしたりすることによって使用者が適正な負荷の運動を得ることができる。

    また、脚部トレーニング装置は、使用者のデータを入力する入力手段と、入力手段により入力されたデータに基づいて使用者が支持部に与えるべき圧力の適正範囲を算出する演算手段と、使用者が実際に支持部に与える圧力を検知するための圧力センサと、演算手段によって提供される適正範囲と圧力センサによって検知された実際の圧力値を使用者に表示する表示手段を含むことが好ましい。 この構成によれば、使用者の体重、年齢、性別、疾患の有無や疾患名、運動歴などの使用者に固有のデータに応じて求めた適正な負荷の範囲が表示されるから、個々の使用者が自分の最適負荷の範囲を意識しながら脚部のトレーニングを行うことができる。

    また、脚部トレーニング装置は、使用者のデータを入力する入力手段と、入力手段により入力されたデータに基づいて使用者が支持部に与えるべき圧力の適正範囲を算出する演算手段と、使用者が実際に支持部に与える圧力を検知するための圧力センサと、圧力センサによって検出された圧力値が適正範囲内に保たれるように結合機構をフィードバック制御する制御手段を含むことが好ましい。 この構成によれば、使用者の体重、年齢、性別、疾患の有無や疾患名、運動歴などの属性に応じて目標範囲を設定し、使用者に応じた適正な負荷を与えることができる。 とくに、使用者の体重を入力するとともに、荷重センサにより求めた荷重から求められる脚部(主として大腿部)への負荷の体重に対する比を求め、この比について目標範囲を設定すれば、個々の使用者の体重差にかかわりなく適正な目標範囲を設定することができる。 また、フィードバック制御によって脚部トレーニング時の安全性を高めることができる。

    上記脚部トレーニング装置において、使用者を吊り下げ状態に保持する保持手段は、使用者の胴体を吊り下げ保持する胴体保持部材と、使用者の足を載せる踏板を含み、胴体保持部材は結合機構を介して基台に揺動可能に結合され、連動手段により胴体保持部材の揺動に同期して踏板を動作させる構成とすることが好ましい。 特に、胴体保持部材は、使用者の腰部を保持する腰部保持具と、軸方向に伸縮可能な使用者の吊り下げ部材を含むことが好ましい。 この場合は、使用者の臀部を座席部材に直接接触させないで脚部のトレーニングを行う必要がある場合に有効である。

    また、胴体保持手段を揺動させる駆動手段を設けることが好ましく、胴体保持部材を揺動させる第1駆動手段と、踏板を駆動させる第2駆動手段と、第1駆動手段と第2駆動手段とを同期させて制御する制御手段を設けることが特に好ましい。

    本発明のさらなる特徴およびそれがもたらす効果は,以下に述べる発明を実施するための最良の形態からより明確に理解することができる。

    上記のように、本発明の脚部トレーニング装置によれば、使用者の体重の一部を支持部で支えた状態で大腿部を含む脚部の筋肉に比較的軽い負荷を与えることができ、それにより糖代謝を促進するのに有効である大腿部の筋収縮を促すことができる。 これにより、筋力の低下や関節痛などによって運動機能が低下している使用者にも適切な脚部トレーニングを提供することができる。

    このように、本発明の脚部トレーニング装置は、生活習慣病の予防/改善やシェイプアップ/ダイエット運動に好適な運動補助器具として幅広い利用が期待される。

    本発明の第1実施形態にかかる脚部トレーニング装置の概略図である。

    脚部トレーニング装置の動作説明図である。

    脚部トレーニング装置の動作説明図である。

    脚部トレーニング装置の動作説明図である。

    踏板可動時における脚部トレーニング装置の別の動作説明図である。

    踏板可動時における脚部トレーニング装置の別の動作説明図である。

    踏板固定時における脚部トレーニング装置の別の動作説明図である。

    踏板固定時における脚部トレーニング装置の別の動作説明図である。

    座席部材の揺動運動時におけるサドルの動作説明図である。

    座席部材の揺動運動時におけるサドルの動作説明図である。

    座席部材の揺動運動時におけるサドルの別の動作説明図である。

    本実施形態のサドルの連結手段の変更例を示す概略図である。

    本実施形態のサドルの連結手段の変更例を示す概略図である。

    本実施形態のサドルの連結手段の別の変更例を示す概略図である。

    本実施形態のサドルの連結手段の別の変更例を示す概略図である。

    本実施形態のサドルの連結機構のさらに別の変更例を示す概略図である。

    筋代謝の計測結果を示すグラフである。

    糖代謝の計測結果を示すグラフである。

    膝痛の官能評価の結果を示す図である。

    運動条件と積分筋電位との間の関係を示すグラフである。

    踏板にかかる自重率と座席部材の揺動運動の繰り返し数との間の関係を示すグラフである。

    運動条件と踏板にかかる自重率との間の関係を示すグラフである。

    座席部材の結合機構の変更例を示す概略図である。

    座席部材の結合機構の変更例を示す概略図である。

    脚部トレーニング装置の制御部を示すブロック図である。

    相対荷重と筋代謝量との間の関係を示すグラフである。

    本発明の脚部トレーニング装置の変更例を示す概略図である。

    代謝量が大きい動作パターンを抽出するための動作決定装置のブロック図である。

    本発明の第2実施形態にかかる脚部トレーニング装置を示す概略平面図である。

    脚部トレーニング装置の結合機構を示す斜視図である。

    脚部トレーニング装置の動作説明図である。

    脚部トレーニング装置の動作説明図である。

    本発明の第3実施形態にかかる脚部トレーニング装置の踏板と座席部材の連動手段を示す概略図である。

    踏板の構造を示す斜視図である。

    脚部トレーニング装置の踏板の第1変更例を示す概略図である。

    脚部トレーニング装置の踏板の第2変更例を示す概略図である。

    脚部トレーニング装置の踏板の第3変更例を示す概略図である。

    脚部トレーニング装置の踏板の第4変更例を示す概略図である。

    脚部トレーニング装置の踏板の第5変更例を示す概略図である。

    本発明の第4実施形態にかかる脚部トレーニング装置の概略図である。

    本発明の第4実施形態にかかる脚部トレーニング装置の概略図である。

    脚部トレーニング装置の変更例を示す概略図である。

    本発明の第5実施形態にかかる脚部トレーニング装置の概略斜視図である。

    脚部トレーニング装置の結合機構の動作説明図である。

    踏板の位置と結合機構の運動軌跡との関係を示す図である。

    本発明の第6実施形態にかかる脚部トレーニング装置の概略側面図である。

    本発明の第6実施形態にかかる脚部トレーニング装置の概略上面図である。

    脚部トレーニング装置の駆動装置の概略側面図である。

    脚部トレーニング装置の駆動装置の概略上面図である。

    脚部トレーニング装置の駆動装置の概略正面図である。

    身長の異なる使用者に対する座席部材の位置調節を示す概略図である。

    身長の異なる使用者に対する座席部材の位置調節を示す概略図である。

    脚部トレーニング装置の踏板の変更例を示す概略図である。

    以下、本発明の脚部トレーニング装置を好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
    <第1実施形態>
    本実施形態の脚部トレーニング装置は、図1に示すように、床面に設置される架台1と、使用者の臀部を支持する座席部材2と使用者の足を載せる踏板3とを含む。 座席部材2と踏板3は、架台1に対してそれぞれ結合機構4,5を介して取り付けられる。 結合機構4,5にはそれぞれ駆動源としてのモータ6,7が連結され、モータ6、7は制御部10で制御される。 踏板3は左右一対設けられ、モータ7は各踏板3に設けられる。

    座席部材2は、ポスト21と、ポスト21の上端に配置されて使用者の臀部を載せるサドル22と、ポストに対するサドルの平行移動と回転移動を提供するようにサドルをポストに結合する連結部23とを含む。 サドルは平面視において前端部(使用者がサドル22上に着座したときの前側)が後端部よりも狭幅になる三角形状に形成されているが、サドル22の形状は他の形状でもよく、たとえば椅子状や鞍状などに形成することも可能である。 ポスト21の下端部は結合機構4に連結される。

    本実施形態では、結合機構4として、前後方向および左右方向の回転軸を有し、たとえば左右方向の回転軸の回りでポスト21を前後に揺動可能とし、かつ左右方向の回転軸を含むジョイント部分を前後方向の軸回りで左右方向に揺動可能とする構成を採用している。 したがって、この結合機構によれば、ポスト21は下端部を支点として前後左右に揺動可能になる。 本実施形態においては、結合機構4は2個のモータ6を用いてポスト21を任意の方向に揺動可能としている。

    ポスト21は、下端部と上端部とを入れ子状に形成することによって伸縮可能に形成されている。 ポスト21の長手方向の中間部には駆動源としてのモータ8が設けられている。 このモータ8の回転によってポスト21の伸縮長を可変とすることができる。 さらに、ポスト21とサドル22とを結合している連結部23にも駆動源としてのモータ9が設けられ、このモータ9はサドル22をポスト21に対して前後方向に揺動させることが可能になる。

    踏板3のための結合機構5は、架台1の上に取り付けたパンタグラフ51を備え、パンタグラフ51の上に踏板3が取り付けられる。 結合機構5にも駆動源としてのモータ7が設けられ、モータ7を回転させることによりパンタグラフ51を伸縮させて踏板3を上下に移動させることができる。

    要するに、座席部材2はモータ6により前後左右に揺動可能であり、踏板3はモータ7により上下方向に移動可能であり、ポスト21はモータ8により伸縮可能であり、サドル22はモータ9によりポスト21に対する前後方向の角度調節が可能になっている。 座席部材2と踏板3のためのモータ6,7は各2個ずつ設けられるので、合計6個のモータ6〜9を制御することによって、上述の動作の組合せが可能になる。 前記したように、各モータ6〜9はマイクロコンピュータを主構成とする制御部10により制御される。 制御部10には、適正な運動負荷を得るための各モータ6〜9の回転角度に関する時系列データが複数セット設定されており、時系列データの適宜セットを選択することによって所望の動作を行わせることができる。

    どのモータ6〜9を駆動するかは、使用者に提供する脚部トレーニングの種類に応じて選択可能であるが、基本的にモータ6はつねに駆動され座席部材2が揺動する。 また、座席部材2を単独で揺動させ、他のモータ7〜9を停止させてもよいが、後述するように踏板3を駆動するモータ7とサドル22を駆動するモータ9との少なくとも一方は、座席部材2を駆動するモータ6と同期させて駆動することが望ましい。

    次に、上述した脚部トレーニング装置の使用形態について説明する。 脚部トレーニング装置の使用にあたっては、使用者がサドル22に着座した状態で踏板3に足裏を接触させる。 踏板3とサドル22との位置関係は、踏板3の高さ位置とポスト21の伸縮長との少なくとも一方を調節することによって使用者の脚長に応じて調節できる。

    使用者がサドル22に着座した状態で座席部材2を揺動させると、使用者の足位置に対して使用者の重心位置が変位する。 尚、座席部材2に使用者が着座した時の重心位置は臀部のやや前方に位置する。 座席部材2を垂直位置から前方に傾斜させると、使用者の重心位置も前方に移動する。 これによって使用者の自重のうち大腿部を含む脚部に作用する割合が増加する。 また、使用者の左右方向に座席部材2を傾斜させると、使用者の自重による負荷は主として座席部材2を傾斜させた側の片脚に作用する。 このように、使用者の自重の一部をサドル22で受けながら、座席部材2の揺動運動によって脚部(とくに、比較的体積の大きい筋肉を有する大腿部)に作用する負荷を変化させることで筋代謝を効率的に実現できる。

    尚、本実施形態の脚部トレーニング装置においては、上記のしたように、一対の踏板3に両足を載せ、サドル22に着座した状態で脚部トレーニングを行うが、サドル22に着座せずに踏板3に片脚ずつ載せた状態で脚部トレーニングを行ってもよい。

    ところで、使用者が膝関節に痛みを持つような場合、本実施形態の脚部トレーニング装置においては、座席部材2の揺動方向(つまり、踏板3に載せた足の位置と使用者の重心位置との相対位置の変位方向)が、膝関節の屈伸方向に制限されるようにモータ6を駆動させる。 すなわち、使用者の重心の移動方向が、使用者の膝関節の屈伸方向と平行になるようにする(図2は着座姿勢にある使用者を上方から見た図であり、図中、矢印方向が屈伸方向である)。 例えば、座席部材2が膝関節の屈伸方向に揺動するようにモータ6に関する時系列データを制御部10に設定すれば、結合機構4の動作が座席部材2の揺動方向を制限することになる。 また、モータ6の駆動に際しては、膝関節の屈伸範囲が伸展位置から45度までの範囲になるように座席部材2の可動範囲を制限することが好ましい。 このように、膝関節の捻れを伴わずに膝関節を屈伸させる方向を制限し、しかも膝関節の屈伸範囲(角度範囲)を制限しているから、変形性膝関節症のように関節に痛みがある使用者であっても、痛みの増加や症状の悪化のような悪影響を与えることなく安心して脚部トレーニングを行うことができる。

    上述のように、膝関節の屈伸方向を制限するために座席部材2の揺動方向を膝関節の屈伸方向に一致させるには、座席部材2の揺動方向を制御するだけでなく、踏板3の上での足位置および足先の向きを決めるか、足位置および足先の向きを適宜のセンサによって検出することが好ましい。 本実施形態では、踏板3の上に足位置および向きを決めるためのマークを表記(図示せず)してある。 これにより、踏板3に足を載せるだけで足位置と足先の向きとを決めることができる。 尚、踏板3にスリッパあるいはサンダルの先端部のように足先を差し入れるトークリップ部を設ければさらに効果的である。

    また、片脚にのみ負荷を与えて脚部トレーニングを行う場合は、片脚だけを一方の踏板3に載せる。 この状態において結合機構4は、座席部材2において使用者Mの臀部を支持している部位と使用者Mの各足の第2指とをそれぞれ含む2面内で座席部材2を揺動運動させる。 例えば、図2Aに示すように、架台1に対して座席部材2が略垂直姿勢にある状態では踏板3よりも座席部材2が使用者Mの体重を支える割合が大きい。 一方、図2Bに示すように架台1に対して座席部材2が傾斜した状態では図2Aの場合よりも踏板3が使用者Mの体重を支える割合が大きくなる。 つまり、図2Bの状態は図2Aの状態よりも使用者Mの自重による大腿部への負荷が大きくなる。 ここで、図2Bの状態においても、使用者Mの自重の一部は依然として座席部材2によって支持されるから、使用者Mの全自重を負荷として脚部に作用させるスクワット運動に比較すると軽負荷となる。 このように、脚部に作用する負荷を調節することで膝関節に障害を持つ使用者にも使用可能となる。 また、捻れを伴わずに膝関節を屈伸させることができるから、膝関節の痛みを増加させたり症状を悪化させたりすることを防止できる。

    また、本実施形態では、両足を載せるために一対の踏板3を設けているので、片脚毎に足位置と重心位置との相対位置の変位方向が膝関節の屈伸方向になるように座席部材2の揺動方向を制限することができる。 つまり、使用者は脚を揃えて踏板に載せる代わりに、脚をやや開いた状態(例えば、図2C)で踏板3に載せる。 次に、座席部材2は前後方向に揺動するのではなく、架台1に対して垂直姿勢に立つ位置と前右方向または前左方向において傾斜姿勢となる位置の間で揺動する。 この動作によって片脚ずつ負荷をかけることができ、一方の脚をトレーニングしている間に他方の脚を休ませることができる。

    尚、両脚を揃えて踏板3に載せ、踏板3の動作をロックして座席部材2を前後(屈伸)方向に揺動させることにより両脚に負荷を均等に作用させる場合は、重心の移動方向が前後方向のみとなるから装置構成を簡素化できるという利点があるが、両足同時に荷重をかけると体重の50%までしか片足に負荷がかけられない。 したがって、使用者の脚部に付与される負荷を一層高める必要がある場合は、上記した本実施形態の脚部トレーニング方法を採用することが好ましい。 また、両脚を揃えて負荷を与える場合、左右の筋力差や左右の膝関節の痛みの程度の違いなどによって一方の脚に他方の脚よりも大きい負荷が作用する恐れがあるが、上記した本実施形態によれば片脚毎に適切な負荷を与えることが可能になる。

    上述したように、踏板3は架台1に対して上下方向に移動可能であって、踏板3の動作は座席部材2の揺動に同期(連動)して制御可能である。 すなわち、図3Aは座席部材2が略垂直姿勢にある時の踏板3の位置を示し、図3Bは座席部材2が傾斜姿勢にある時の踏板3の位置を示している。 これらの図から座席部材2の傾斜姿勢時において踏板3の位置がより下方に位置しているのがわかる。 このような制御は、座席部材2を傾斜させるモータ6と踏板3を昇降させるモータ7との制御を同期させることによって実現される。

    このように、架台1に対する座席部材2の傾斜角度が大きくなるほど踏板3を下方に移動させるようにすれば、膝関節の屈曲角度θをほとんど変化させることなく使用者の自重によって脚に作用する負荷を変化させることができる。 すなわち、脚の筋肉を等尺性伸縮に近い状態で収縮させることが可能になり、膝への負担を小さくしながら筋収縮を行わせることができる。 しかも、座席部材2と踏板3はモータ6、7により駆動されるので、使用者は能動的に身体を動かすことなく座席部材2と踏板3の動作に追従することで効率的な脚部トレーニングを行える。

    また、座席部材2が略垂直姿勢にある状態から左右の一方の踏板3に向かって座席部材2を傾斜させる際には、座席部材2を揺動(傾斜)させた側にある踏板3のみを下方に移動させることが好ましい。 このような動作によって一方の脚にのみ効率よく負荷を与えることができる。 また、それとは反対側の踏板3をやや上方に移動させてもよい。 これにより座席部材2が傾いた方向の脚により大きな負荷を与えることが可能になる。 また、座席部材2の傾斜が小さくても脚に比較的大きい負荷を作用させることができるので、脚部に効率よく負荷を与えることができる。 尚、座席部材2の揺動は左右の一方の側のみで繰り返しても良いし、左右交互に傾斜するように揺動させてもよい。

    また、変更例として、踏板3の位置を固定として座席部材2の傾斜角度とポスト21との伸縮とが連動するようにモータ6、8を同期させて制御してもよい。 すなわち、図4Aは、座席部材2が略垂直姿勢にある時のポスト21の長さL1を示し、図4Bは座席部材2が傾斜姿勢にある時のポスト21の長さL2を示しており、座席部材2の傾斜姿勢時にポスト21の長さが大きいことがわかる(L1<L2)。 この場合も、膝関節の屈曲角度θを実質的に変化させることなく使用者の自重によって脚部に作用する負荷を変化させることができる。

    このように踏板を移動させない場合における座席部材の好ましい軌跡についてさらに詳細に説明する。 図4Aおよび図4Bでは、膝の角度変化が起こらないようにポストの長さを延伸させているがその際の延伸量および座席部材の傾斜角度に関しては、足と臀部との間の距離、厳密には股関節と足関節(くるぶし)との間の距離を半径Rとし、回転中心が足関節となる円弧状の軌跡(図ではその角度範囲を゛α゛で表示)を臀部が通過するように制御すればよい。 尚、角度範囲αが小さい場合は、円弧軌跡を直線軌跡で近似してもその間の誤差は無視することができる。

    本実施形態では、ポスト21に対するサドル22の前後方向の傾斜角度もモータ9によって変更できるので、架台1に対する座席部材2の傾斜角度とポスト21に対するサドル22の傾斜角度とを連動させて制御することも可能である。 つまり、図5Aに示すように座席部材2が架台1に対して略垂直姿勢にある時、ポスト21の軸方向に直交する平面とサドル22の座面が略平行であるのに対し、図5Bに示すように座席部材2が傾斜すると、サドル22の前端部が下がるように連結部23でサドル22がシーソー運動し、これによりサドル22の座面がポスト21の軸方向に直交する平面に交差する。 サドル22の傾斜の大きさは、座席部材2の傾斜角度が大きくなるほど大きくなる。 要するに、座席部材2の傾斜角度に加えて、サドル22を上述のように傾斜させることで脚部に作用する負荷をより大きくすることができる。 尚、座席部材2の傾斜角度の増加に伴ってサドル22を上述した動作とは逆向きに傾斜させるようにすれば、座席部材2の傾斜の増加に対して脚部への負荷の大きさを低減することも可能である。

    上述したように、モータ6〜9のうちの少なくとも2個を同期して制御すれば、膝関節の屈曲角度を変化させないように動作させたり、使用者の自重によって脚に提供される負荷の変化率を調節したり、時間経過に伴う負荷の大きさの変化パターンを調節したりすることが可能になる。 これらの組合せは自由であって、使用者の運動機能や体調に合わせて適正な動作を行うように制御部10によって制御される。

    上記説明では、踏板3を架台1に対して上下方向(垂直方向)に移動させているが、踏板3を架台1に対して平行(水平方向)に移動させてもよい。 たとえば、座席部材2の傾斜角度が大きくなるほど踏板3と座席部材2の下端との水平距離が小さくなるように制御にしても、膝関節の屈曲角度を変化させずに脚への負荷の大きさを変化させることが可能になる。 また、踏板3を架台1に対して垂直方向と水平方向の両方向に移動可能として座席部材2の傾斜角度と踏板3の移動を連動させてもよい。

    踏板の構成に特に限定はないが、例えば、荷重の大きさに対して望ましい降下量となるようにばね定数が設定された単一のばね材を踏板の下部に配置する構成、荷重の大きさに応じて異なるばね定数を有する複数のばね材が寄与して降下量を調節する構成(例えば、非線形ばね定数を有する2段ばねの使用)、使用者の体重や荷重目標に応じて適切な降下量となるように同じばね定数を有する複数のばねの使用数を選択する構成のいずれかを採用しても良い。 また、使用者の体重やある瞬間における荷重量に応じて、踏板の下部に配置されたエアピストンのエア量を調節して踏板の降下量を調節する構成を採用しても良い。 さらに、踏板にかかる荷重に応じて踏板の下部に配置されたエアバッグやエアチューブを膨張収縮させて踏板の位置制御を行ってもよい。

    また、サドル22については、ポスト21の上端に対する前後方向の傾斜角度を変化させる代わりに、図6に示すようにポスト21の軸方向に交差する面内においてサドル22が一方向(前後方向)にスライドする構成を採用してもよい。 この構成においては、モータ9がサドル22をポスト21に対してスライド移動させる。 本実施形態においては、座席部材2の傾斜角度が大きくなるほど、サドル22が前方にスライド移動されるので(点線は座席部材2が垂直姿勢にある時のサドル22の位置を示す)、使用者の臀部が前方に移動することによって、使用者は立った状態に近くなり脚部に作用する負荷が増加する。

    上述した構成では、4個のモータ6〜9によって、架台1に対する座席部材2の傾斜角度と、架台1に対する踏板3の位置と、座席部材2の伸縮長と、ポスト21に対するサドル22の位置の4種類の状態を制御しているが、座席部材2の傾斜角度の変化とポスト21に対するサドル22の位置変化とを連動させる構成を採用する場合、サドル22を駆動するモータ9を省略することができる。

    例えば、図7Aおよび図7Bに示す構成においては、ポスト21に対するサドル22の傾斜角度を変化させるためにサドル22の前端部と架台1における座席部材2との間に伸長しない材料でなるワイヤ24を張設する。 また、サドル22はポスト21に対して前後方向に傾斜可能に保持されている。 また、サドル22の座面がポスト21の軸方向に略平行となる位置に復帰するようにサドル22がばね付勢されている。 図7Aは、座席部材2が架台1に対して略垂直姿勢にある状態を示し、図7Bは座席部材2が架台1に対して傾斜姿勢をとった状態を示している。 この時、サドル22の前端部がワイヤ24に拘束されているため、図7Bに示すように、サドル22の前端部はばね力に逆らって前方に傾斜する。 また、座席部材2が図7Aの垂直姿勢をとれば、サドル22はばね力によって元の位置、すなわち、サドル22の座面がポスト21の軸方向に略平行となる位置に復帰する。 尚、ワイヤ24に代えて長さが一定のロッドを用いれば、ポスト21の先端部でサドル22をばね付勢しなくてもよい。

    また、サドル22がポスト21に対してスライド可能に保持されている場合、サドル22の前端部の質量を後端部より重くすることが好ましい。 例えば、座席部材2が図8Aに示す垂直姿勢から図8Bに示す傾斜姿勢に移動すると、重り25によってサドル22を前方に移動させることができる。

    また、図9に示すように、ポスト21とサドル22とをボールジョイント26で結合してもよい。 この場合は、ポスト21に対してサドル22は任意方向に傾くことが可能になる。 このような構成にすれば、座席部材2が略垂直姿勢にある時にサドル22に作用する荷重の大部分をポスト21で受けることができる。 一方、座席部材2が傾斜すると、使用者は脚部の筋肉を収縮させて自重を脚部で支えるようになる。 つまり、サドル22がポスト21に固定されている場合に比較して、座席部材2の傾斜時における使用者の脚部への負荷を一層高めることできる。

    ところで、脚部トレーニング装置の主たる目的の一つは使用者の糖代謝を促進することで生活習慣病の改善することにある。 すなわち、筋肉のエネルギー源であるブドウ糖を筋肉に取り込んで燃焼させれば、余剰のブドウ糖が消費され、高血糖、高インスリン血症の改善の結果、生活習慣病(糖尿病、肥満、高脂血症など)の改善が促される。 筋肉にブドウ糖を取り込む作用には、インスリンの作用と筋収縮による作用とがあり、両者は加算的であるから、筋収縮によって筋肉へのブドウ糖の取り込み量を増加させれば、糖代謝を促進することが可能になる。 とくに、糖尿病患者においては、筋肉での糖代謝が健常者よりも低下しており、筋肉へのブドウ糖の取り込みが少なくなっているから、積極的に筋収縮を生じさせて糖代謝を高めることで余剰のブドウ糖を消費させ、結果的に糖尿病の改善に貢献すると考えられる。

    また、筋収縮による糖代謝を効率的に行うには、体積の大きい筋肉(とくに有酸素運動に寄与する赤筋(遅筋))に筋収縮を生じさせることが望ましく、大腿部や背部の筋肉を筋収縮させることが有効と考えられる。 従来の乗馬運動を模擬する装置では大腿部の内転筋を中心とした部位で糖代謝の増加が見られるものの、大腿部の内転筋は大腿部の伸筋群に比較すると体積が半分程度であり、糖代謝の促進効果においては大腿部の伸筋群を筋収縮させる場合に比較すると効果が小さい。 また、乗馬運動を模擬する装置を用いる場合は、運動中に足を鐙にかける場合もあるが、基本的に足は接地せずに宙に浮いた状態であり、鞍状の座席に載った使用者が座席を大腿部で挟み込むように筋肉を緊張させてトレーニングを行う。 このため、大腿部にかかる負荷の大きさの点で負担の大きい運動になる。

    上記したように、使用者の生理的な許容範囲において代謝量は大きいほど望ましいが、膝関節を屈曲させると膝痛が誘発される使用者に提供できる負荷には限界があるため膝痛を誘発しないように脚部トレーニング装置を駆動する必要がある。 本実施形態の脚部トレーニング装置は、使用者が臀部を載せる座席部材2を揺動(傾斜)させることによって使用者の自重の少なくとも一部を負荷として脚部に作用させるものであるから、負荷の瞬時値は座席部材2の傾斜角度に依存する。 また、筋代謝ないし糖代謝は負荷の積算量(以下、負荷量という)に相関があるので、単位時間当たりの負荷量は座席部材2を揺動(傾斜)させる速度に依存する。 さらに、使用者の自重が脚部に作用する際に膝関節が伸展位置から屈曲する角度が大きいほど膝痛が生じやすくなると考えられるから、膝関節の角度も考慮する必要がある。 以下では、膝関節の角度を伸展位置からの角度で表し゛膝角度゛と呼ぶ。 膝角度は上述した膝関節の屈曲角度θを180度から減算した値である。 つまり、屈曲角度と膝角度とを加算すれば180度になる。

    本実施形態では、筋代謝(ないし糖代謝)について以下の4種類の計測を実施するとともに、膝痛について以下の5種類の計測を実施し、各計測についての評価結果に基づいて脚部トレーニング装置の駆動条件を決定した。 座席部材2の駆動形態としては、座席部材2が架台1に対して略垂直姿勢となる位置と傾斜姿勢となる位置との間で往復移動させる形態を採用した。 以下に示す往復回数は、座席部材2が垂直姿勢から傾斜姿勢をとり、再び垂直姿勢に復帰するまでを1回とし、1秒あたりの復帰回数として定義される(単位:Hz)。 したがって、往復回数が大きいほど座席部材2の動きが速い。 また、自重率は、使用者の自重(体重)に対する踏板3に作用した荷重の割合を%で表した値である。 ただし、踏板3に作用する荷重は時間経過に伴って変化するから、座席部材2が1往復する期間におけるピーク値を荷重の代表値として用い、さらに、この代表値も座席部材2の往復毎に変動するから、代表値の1分間の平均値を採用した。

    筋代謝ないし糖代謝を評価する計測条件を表1、膝痛を評価する計測条件を表2にそれぞれ示す。 尚、表1の計測1〜3が筋代謝の評価を行う条件であり、計測4が糖代謝の評価を行う条件である。 筋代謝は近赤外分光法により計測し、糖代謝はグルコースクランプ法により計測した。 また、筋代謝ないし糖代謝の評価には、乗馬運動を模擬するように鞍状の座席が揺動する脚部トレーニング装置(以下、従来装置)を使用した場合と比較した。

    表1に示す筋代謝を評価する計測に関して、計測1では片脚のみに負荷を与えたところ、往復回数および膝角度について有意差は見られず、自重率に関してのみ有意差が見られた。 計測1における最大筋代謝は従来装置の1.5倍に達した。 計測2の条件では従来装置の1.2倍であった。

    計測3での筋代謝の計測結果を図10に示す。 図10において、(a)は、往復回数が1Hz、膝角度が40度、自重率が40%、(b)は1.43Hz、40度、40%、(c)は1.43Hz、40度、60%、(d)は2Hz、40度、60%である。 図10から明らかなように、(d)の場合に従来装置の3.1倍の負荷が得られた。 すなわち、計測1において往復回数が1Hz以下では筋代謝に関して往復回数による有意差が生じなかったが、1Hzを越えると筋代謝に有意差が見られた。

    計測4の条件では脛骨が架台1に対して直立する位置から座席部材2の揺動動作を開始したところ、従来装置の1.35倍の糖代謝が得られた。 図11の(a)は従来装置における安静時と運動時との糖代謝を示し、図11(b)は本発明の装置における安静時と運動時との糖代謝を示している。 これらの結果から明らかなように、従来装置では安静時に対して運動時の糖代謝が1.6倍であり、本発明の装置では安静時に対して運動時の糖代謝が2.1倍であった。 つまり、糖代謝効果が1.35倍増加したことになる。 以上より、筋代謝および糖代謝に関しては、往復回数を2Hz、膝角度を40度、自重率を60%とするのが望ましいとの結論が得られた。

    次に、表2に示す膝痛を評価する計測を被験者の痛みの程度を表すフェイスペインスケールを用いて行った。 フェイスペインスケールは、笑顔から泣き顔まで20段階に表情が変化するように描かれ、各顔に点数が付加されている。 痛みがなければ笑顔の点数(20点)を選択し、痛みが強いほど泣き顔に近いほうの点数(20点より少ない点数)を選択する。

    計測5の各条件での評価ではいずれも膝痛はほとんどなく、また膝角度の違いによる有意差はみられなかった。 さらに、座席部材2の揺動を開始するときの脛骨の位置については、架台1に対して垂直方向に立っている場合と、前方に下り傾斜している場合との間で有意差はみられなかった。 ただし、往復回数と自重率の違いによって膝痛の程度がわずかに異なった。 本発明の装置を使用した場合(a)、平坦面を歩行した場合(b)、および階段を降りる場合(c)のそれぞれについて、痛みの程度をフェイスペインスケールで評価した結果を図12に示す。 膝痛は、(c)の場合に比べて(a)の場合が大幅に少なく、また(b)の場合と比較しても膝痛が少ないことがわかる。 尚、図12に示す棒グラフにおいて各バーの上に突出しているバーは標準偏差を示している。

    計測6においては、本実施形態の脚部トレーニング装置の1回の使用時間を15分間と考え、15分間継続して使用した場合に後日に膝痛が生じないか検証した。 計測2では脛骨が直立する位置を開始位置とした。 計測6の条件では脚部トレーニング装置の使用中と後日のいずれにおいても痛みは生じなかった。

    計測7においては、表3に示す各種条件で、大腿直筋A、外側広筋B、内側広筋C、内転筋D、腓腹筋E、前脛骨筋F、大腿二頭筋Gの筋電をそれぞれ計測した。 計測結果から各筋のEMG(積分筋電位)の10秒間の平均値を求め、この平均値をプロットした結果を図13に示す。 表3において「踵」の欄における「上」とは、踵がつま先よりも高くなるように足裏を傾斜させた状態を意味する。 この傾斜状態においては踏板3を10度傾斜させた。

    図13において、踵をつま先よりも高くした場合(運動条件2、4、6、8、10、12)と、つま先と踵を略水平にした場合とを比較すると、他の条件が等しい場合、踵を高くすると腓腹筋Eおよび大腿二頭筋Gの筋収縮が大きくなるのがわかる。

    一方、計測8は、計測7の条件における官能評価を行ったものであり、踵を高くするか否かの相違のみで他の条件を等しくした場合には、踵を高くした場合に膝痛が少ないという結果が得られた。 踵を高くすることによる膝痛の緩和効果は、脚部の前面側である大腿四頭筋と脚部の後面側である大腿二頭筋との両方で筋収縮が生じることによる拮抗作用で膝関節の動きが固定されるため、膝関節において剪断力が緩和されるからと推測される。

    計測9においては、計測6と同様に15分間継続して使用した場合に後日に膝痛が生じないか検証した。 計測9の条件では脚部トレーニング装置の使用中と後日とのいずれにおいても痛みは生じなかった。 これらの計測結果から、膝痛の生じない条件として、往復回数を2Hz、膝角度を40度、自重率を60%とするのが望ましいとの結論が得られた。

    表1および表2に示す計測で得られた結果に基づいて、膝角度を40度とした場合について、往復回数および自重率の条件と、筋代謝、糖代謝、膝痛の官能評価との関係を図14に示す。 図14では往復回数を横軸とし自重率を縦軸としている。 筋代謝と糖代謝と膝痛の官能評価は、それぞれ記号(□)、(△)、(○)で表している。 筋代謝および糖代謝は従来装置に対する本発明の装置の倍率で示しており、右上方が代謝の亢進される方向であって、膝痛については左下方が点数の高い(膝痛が少ない)方向になる。

    すなわち、表1に示す計測では、所望の筋代謝および糖代謝を得るには、往復回数を2Hz、膝角度を40度、自重率を60%とするのが望ましいという結論が得られ、表2に示す計測によって、上記条件で15分間継続して運動しても後日に膝痛が発生しないことがわかった。 したがって、上記条件を運動条件とするのが望ましいと言える。 ただし、この条件は上限値であって、筋代謝および糖代謝を少なくしてもよければ、運動条件をこれらの値よりも小さくすることが可能である。 図14において斜線で示す範囲は、所望の代謝が得られる範囲であって、しかも膝痛の官能評価において20点満点中15点以上であるとともに15分間の使用において後日に膝痛が生じない範囲であるので、この範囲内の条件、すなわち、往復回数を1.4〜2Hz、自重率を40〜60%に選択することが推奨される。 さらに、運動の開始位置としては脛骨が架台1に対して直立している位置とすればよい。

    ところで、上述した運動条件のうち、往復回数は座席部材2の動作を制御することにより制御でき、また膝角度は座席部材2と踏板3との位置関係を制御することにより一定に保つことができるが、自重率は踏板3に作用する使用者の荷重であって、座席部材2の移動速度が速いほど移動方向の変化時に大きな加速度が作用するから踏板3には大きな荷重が作用すると考えられ、また座席部材2の傾斜角度が大きいほど使用者の自重のうち座席部材2が分担して受ける割合が少なくなるから踏板3に作用する荷重は大きくなると考えられる。 つまり、自重率は往復回数と傾斜角度との両方をパラメータに持つと考えられる。 ここで、使用者の体重の範囲は数十kg程度であるから、このような狭い範囲では自重率と往復回数および傾斜角度との間に線形関係があると仮定し、以下の等式で示すように、往復回数と傾斜角度とにそれぞれ規定の重みa、bを設定した重み付き線形和を負荷の推定値とし、この推定値が自重率に対応するように重みを決定する。 なお、下式の傾斜角度は最大傾斜角度を意味する。
    (負荷の推定値)=a×(往復回数)+b×(傾斜角度)
    往復回数および傾斜角度を変化させて自重率を実測した結果を図15に示す。 図15に示す計測は、本発明の装置の使用経験がない8名の成人について、膝角度を40度に保ち、右脚の荷重を1分間連続して記録することによって行った。 図15によれば、(往復回数、傾斜角度、自重率)の関係は、(1.4Hz、3度、38.6%)、(1.4Hz、5度、52.2%)、(2Hz、3度、41.1%)、(2Hz、5度、58.8%)であり、これらの数値を用いて上式を回帰式とする重回帰分析を行った結果、重みa,bとしてそれぞれ8.9、8.1が得られた。 すなわち、自重率は往復回数と(最大)傾斜角度とから下式で求めることが可能である。
    (自重率〔%〕)=8.9×(往復回数〔Hz〕)+8.1×(傾斜角度〔度〕)
    自重率を上式で決定するものとして、図14の斜線部における座席部材2の傾斜角度を求めると2.7〜5.9度となり、3〜5度と設定するのが望ましい。 つまり、膝角度を40度とし、座席部材2の往復回数を1.4〜2Hzとし、座席部材2の傾斜角度を3〜5度とすれば、所望の代謝が得られ、かつ膝痛も生じないように脚部トレーニングを行うことが可能になる。 なお、膝角度は座席部材2に臀部を載せた状態での安定感を得るために40度としているが、代謝および膝痛に対して有意差はないので40度以下に設定してもよい。

    以上の結果から、本発明は、使用者を着座姿勢に保持する座席部材と、使用者の足を載せる踏板を有し、座席部材を揺動(傾斜)運動させる際に足位置と重心位置との相対位置の変位方向を膝関節の略屈伸方向に制限する脚部トレーニング装置を用いた脚部トレーニング方法を提供することができ、この脚部トレーニングは、膝角度が40度以下になるように保ちながら、座席部材2の揺動運動の往復回数が1.4〜2Hz、座席部材2の傾斜角度が3〜5度の範囲内となるような条件下で行うことを特徴とするものである。 また、このトレーニングは、制御部10によって、座席部材2が架台1に対して垂直姿勢となる位置と垂直姿勢に対して5度以下の角度で傾斜姿勢となる位置との間で座席部材2が往復揺動運動するとともに、その際膝角度(膝関節の伸展位置からの角度)が40度以内に保たれ、さらに座席部材2が1秒間に往復移動する往復回数が2回以下となるように座席部材2と踏板3の動作を制御することによって実現される。

    尚、本発明における好適な脚部トレーニング条件を上記のように決定できるが、使用者には個人差があるから、負荷の目標値と往復回数とを制御部10に与えるためのキーボードやタッチパネルのような操作機能を備えた入力部(図示せず)を設けることが望ましい。 負荷の目標値は自重率として与え、上述した理由から40〜60%の範囲で変更可能としておくのが望ましい。 同様に、往復回数は1.4〜2Hzの範囲で変更可能としておくのが望ましい。 入力部により負荷の目標値および往復回数が与えられると、上式の推定値である自重率に目標値を当て嵌めるとともに往復回数を上式に代入すれば傾斜角度を求めることができる。 この傾斜角度を座席部材2の最大傾斜角度として座席部材2を制御することにより、使用者の脚部に作用する荷重が目標値になるように座席部材2を制御することができる。

    また、座席部材2の往復回数の望ましい範囲は1.4〜2Hz、負荷の目標値の望ましい範囲は自重率で40〜60%であるから、入力部において自重率および往復回数を入力する際に、これらの範囲内の入力のみを許容するように入力部を構成するか、これらの範囲を逸脱する入力があると、警告するか入力を拒否するように入力部を構成しておくのが望ましい。 さらに、入力部において入力値の範囲が逸脱しているときに適正範囲になるように自動的に修正する機能を設けてもよい。

    本実施形態の変更例として、踏板3によって足位置および足先の向きを決める代わりに、足位置および足先の向きを適宜のセンサによって検出し、座席部材2の揺動方向を制御部10が決定する構成を採用してもよい。 この種のセンサとしては、足裏の複数位置を検出する重量センサや、足部分の画像を撮像するTVカメラと画像処理装置とを組み合わせたセンサなどを用いることができる。 また、座席部材2の可動範囲の制限を制御部10で行うから、制御部10には使用者の脚長などを入力するデータ入力手段が必要になるが、リミットスイッチを設けて座席部材2の可動範囲を制限したり、機械的なストッパによって座席部材2の可動範囲を制限したりすることで対処してもよい。

    上記のように、座席部材2の下端を中心として座席部材2を架台1に対して揺動自在に保持する代わりに、座席部材2を揺動させずに使用者の自重によって脚部に作用する負荷を変化させることができる。 例えば、図16Aおよび16Bに示すように、架台1に対して座席部材2が略垂直に立った状態で平行移動するように結合機構4を構成する。 すなわち、この結合機構4は、架台1の上面に設けたガイドレール46を備え、座席部材2の下端がガイドレール46に沿って走行する。 尚、実施形態1と同様に、踏板3によって使用者の足位置および足先の向きを決める。 ガイドレール46は架台1の所定位置と踏板3とを結ぶ直線上に設けてあり、座席部材2がガイドレール46に沿って走行することによって、使用者Mの臀部と足先との距離が変化し、結果的に膝関節が屈伸されることになる。 つまり、座席部材2と踏板3との距離の変化によって使用者Mの自重により脚部に作用する負荷を変化させる。 この構成においてもガイドレール46によって座席部材2の移動方向が膝関節の屈伸方向に制限される。 尚、本変更例では、座席部材2の移動を使用者Mが能動的に行うことを想定しているが、駆動手段により座席部材2を移動させてもよい。 また、図16Aでは一方の脚部にのみ負荷を与えているが、両脚部に負荷を与えるように2方向のガイドレールを設けてもよい。 他の構成および機能は上記実施形態と同様である。 なお、足位置と重心位置との相対位置が変化すればよいのであるから、座席部材2と踏板3とはどちらを移動させても等価であって、踏板3が座席部材2に対してスライド自在に移動させてもよい。

    また、本実施形態の脚部トレーニング装置に使用者の脚部(主として大腿部)に作用する負荷に対応する荷重を検出する荷重センサを設けても良い。 荷重センサは、ポスト21においてサドル22の直下と左右の踏板3とのうちの少なくとも1箇所に設けられる。 すなわち、支持部である座席部材2と踏板3との少なくとも一方に荷重センサを設ければよい。 特に、各踏板3にそれぞれ荷重センサを設けることが好ましい。 この配置によって荷重センサにより検出する荷重の増加分を、脚部に作用する負荷とみなすことが可能になる。 もちろん、サドル22のみに荷重センサを設けても荷重の減少分を脚部に作用する負荷の目安に用いることもできる。

    また、図17に示すように、荷重センサ11により検出される荷重は表示情報処理部12を介して表示部13に実時間で表示することが好ましい。 この場合、表示情報処理部12と表示部13とは荷重変化通知手段として機能し、荷重センサ11により検出される負荷(使用者の脚部に作用する負荷)が実時間で表示部13に表示される。 表示部13に表示する形式としては、負荷に相当する数値を表示するほか、負荷の時間経過を折れ線グラフで示すグラフ表示としたり、負荷に応じてバーの長さが変化するバー表示としたり、半円形の表示領域を有し負荷に応じて指針の角度位置が変化するメータ表示としたりすることができる。 ただし、負荷は時間とともに刻々と変化するから、バー表示やメータ表示が望ましく、バー表示やメータ表示であれば、後述する目標範囲を示すマークを並設するのが容易である。 ここに、荷重変化通知手段として荷重の変化を視覚的に示すために表示部13を設けているが、負荷に応じた周波数の可聴音を使用者に提示するなどして荷重の時間変化を聴覚的に通知しても良い。 表示部13の表示や音によって使用者に負荷の時間変化を通知する場合は、使用者は運動の負荷が適正か否かを容易に判断することができ、負荷に過不足があるときには装置を調節したり、使用者が体の位置をずらしたりすることによって負荷の大きさを適正に調節することが可能になる。

    ところで、筋代謝量と脚部に作用する負荷との間には相関関係があるが、実際には使用者Mの自重、年齢、性別、疾病の有無や疾病の種類、運動歴などの使用者の属性(いわゆる、プロフィール)によって、負荷の大きさが同じであっても筋代謝量には差異を生じる。 とくに使用者の自重は個人差が大きいから筋代謝量に大きく影響する。 そこで、本発明者らが、使用者の片脚に作用する負荷と、大腿四頭筋および内転筋を合わせた筋代謝量との関係を測定したところ、以下の結果が得られた。

    筋代謝量の評価には、代謝が多いほど酸素化ヘモグロビンの減少率が大きいという性質を利用し、近赤外線分光法によるヘモグロビン測定を行った。 図18に示すように、使用者の自重(つまり、体重)に対して片脚に付与される負荷(つまり、荷重センサ11で検出した荷重)の比を、20%とした場合と40%とした場合について筋代謝量を評価した。 図18における筋代謝量は安静時の筋代謝量を1とするときの比であって、脚部に作用する負荷が体重の20%である場合と40%である場合とで筋代謝量に有意差が生じていることがわかる。 図18において筋代謝量を示す広幅のバーの先端に付設した細いバーばらつきの程度を示しており、ばらつきを考慮しても、負荷の大きさに有意差が生じていることがわかる。 また、上述の測定結果から、個人差の大きい体重値を用いるのではなく、脚部に作用する荷重の体重に対する割合を用いると使用者の体重差によらずに筋代謝量に対応付けることができる。

    そこで、表示情報処理部12では入力部14から入力された体重値に対して荷重センサ11で求めた荷重の百分率を求め、この百分率を表示部13に与えて筋代謝量の目安として表示することが好ましい。 また、入力部14からは使用者の体重以外の属性も入力可能であるから、体重だけではなく年齢や性別なども考慮して、運動に適した負荷の適正な範囲を決定し、この範囲も表示部13に表示するようにすれば、使用者は負荷(脚部に作用する荷重を体重で除算した値)が適正な範囲に保たれるように運動を継続することが可能になる。 つまり、使用者が適正な負荷の範囲を知ることによって負荷が過不足になるのを回避することができる。 使用者の属性に対する負荷の適正な範囲は、使用者の属性と負荷の適正範囲とを対応付けたデータベースをあらかじめ作成しておき、入力部14から使用者の属性が入力されると、データベースから負荷の適正範囲が自動的に読み出されるようにしておくのが望ましい。 このような構成を採用すれば、入力部14から使用者の属性を入力するだけで適正な負荷の範囲が表示部13に表示され、荷重センサ11により検出した負荷と比較可能な形で表示することができる。

    上述した荷重センサ11により検出した脚部に作用する負荷および入力部14から入力された使用者の属性をフィードバック処理部15に入力する構成を採用しても良い。 フィードバック処理部15では、制御部10に対してモータ6〜9の動作に関する指示を与える機能を有し、荷重センサ11で検出した荷重から求めた脚部への負荷を、規定した目標範囲内に保たれるようにモータ6〜9の動作を指示する。 つまり、使用者が意識することなく、使用者の脚部に作用する負荷が目標範囲に維持されるようにフィードバック制御する。 尚、目標範囲は、入力部14から入力される使用者の属性に基づいて決定する。 表示情報処理部12と同様に、フィードバック処理部15においても使用者の属性に負荷の目標範囲を対応付けたデータベースを設けておき、入力部14から使用者の属性が入力されるとデータベースに照合して目標範囲を抽出する。 このように、使用者の自重、年齢、性別、疾患の有無や疾患名、運動歴のような属性に応じて目標範囲を自動的に決定することによって、使用者に応じた適正な負荷を与えることが可能になる。 なお、目標範囲についても、使用者の体重に対する負荷の百分率を用いるのが望ましく、各使用者の体重差にかかわりなく目標範囲を適正に設定することができる。

    フィードバック処理部15を設ける場合、踏板3に作用する荷重を検出する負荷センサ(図示せず)を設け、負荷センサの出力を用いて自重率を計測し、自重率の既定の目標範囲(つまり、40〜60%)を逸脱しないようにフィードバック処理部15で負荷センサの出力を監視してもよい。 負荷センサにより検出した自重率が目標範囲を逸脱したときには、座席部材2の最大傾斜角度を変更することにより負荷が目標の範囲内に収まるようにフィードバック制御される。 また、最大傾斜角度を調節範囲(望ましくは3〜5度)で調節しても負荷センサにより検出される自重率が目標範囲に入らない場合には往復周期を制御する。 尚、本実施形態の脚部トレーニング装置のサドル22に背もたれを設けてもよい。 背もたれを設けることによって、使用者が後傾して重心の移動量が小さくなるのを防止することができる。

    本実施形態の脚部トレーニング装置のさらなる変更例として、図19に示すように、踏板3の上面を前方に向かって下り傾斜(例えば、架台に対して略10°で傾斜)させた構成を採用してもよい。 この場合は、膝関節のせん断力を低減する効果があるので、つま先より踵を高くした状態で脚部トレーニングを行うことが可能になる。 踏板3の上面を傾斜させる代わりに、踏板3の上に傾斜部材31を着脱可能に取着することによって傾斜角度や傾斜方向を調節できるようにしても良い。 傾斜部材31の下先端部にはトークリップ部32を位置ずれ防止部材として設けてあり、座席部材2の傾斜によって足先に荷重が作用したときに足の位置がずれるのを防止している。 また、足先のみで足の位置ずれを防止すると足先に大きな荷重が作用するから、傾斜部材31の上面は足裏の滑りを防止する滑り止め部33を設けてあり、滑り止め部33も位置ずれ防止部材として機能する。 具体的には、傾斜部材31の上面に起毛部を設けたり、滑り止めの溝あるいは突条を設けたりすることにより摩擦係数を大きくした滑り止め部33を設けたり、ゴムのように材料自身の摩擦係数が大きい材料で滑り止め部33を形成することができる。 滑り止め部を設けて足の位置を固定する場合は、座席部材2の揺動方向を膝関節の屈伸方向に一致させやすく、これによって膝痛の発生を抑制することができる。 なお、足裏全体を傾斜させなくてもよい。 例えば、つま先部分は傾斜させずに水平面で支持するようにしてもよい。

    ところで、いわゆるO脚やX脚のように膝関節が人体左右の外側あるいは内側に変形している使用者の場合には、膝関節を屈曲させたときに痛みが生じる場合がある。 そこで、O脚やX脚の使用者に適した装置とするため、左右一対設けた踏板3上において傾斜部材31の上面を左右方向において互いに近付く向きまたは互いに離れる向きに下り傾斜させることが好ましい。 これにより、O脚やX脚の使用者であっても膝関節を屈曲させる際の痛みの発生を抑制することができる。 また、傾斜部材31を踏板に対して回転可能に取り付けてもよい。

    また、本実施形態の別の変更例として、代謝量に関連する生理的計測値を計測する計測手段と、計測手段によって計測された生理的計測値から代謝量を求める評価手段と、所定時間ずつ動作パターンを変化させて脚部トレーニング装置を動作させるとともに各動作パターンと評価手段で求めた代謝量とを対応付けて記憶する動作制御手段を設けることが好ましい。 尚、評価手段は、脚部トレーニング装置での運動にかかわる筋肉の体積と、脚部トレーニング装置での運動にかかわる筋肉のうち赤筋の体積とのいずれか一方を重み係数として、生理的計測値に重み付けを行い、重み付け後の生理的計測値を代謝量として用いることが好ましい。

    本変更例では、脚部トレーニング装置の動作パターンを種々変化させながら代謝量に関連する生理的計測値を実際に計測し、計測結果の中から代謝量が大きくなる動作パターンを抽出し、この動作パターンに基づいて脚部トレーニング装置を動作させる。 以下、代謝量が大きくなる動作パターンの抽出技術について説明する。 代謝量が大きくなる動作パターンを抽出する際には、図20に示す動作決定装置を用いる。 この装置は、脚部トレーニング装置に設けた各モータ(6、7、8、9)をそれぞれ制御するための動作制御手段60を含み、動作制御手段60は制御部と同様にマイクロコンピュータを主たる構成要素とする。 動作制御手段60には記憶手段等から動作パターンが与えられるのではなく、動作制御手段において種々の動作パターンを生成する。 また、動作制御手段は生成した動作パターンを時刻とともに記憶する機能を有している。 動作パターンをあらかじめ設定した複数種類の動作パターンから選択することも可能であるが、脚部トレーニング装置による運動としての許容範囲内において動作パターンを不規則に発生させるようにしてもよい。

    一方、代謝量に関連する生理的計測値としては、近赤外分光法による筋代謝量と、筋電による筋収縮度のいずれかを用いる。 ここでは、近赤外分光法を用いる例について説明する。 すなわち、図20に示すように、計測手段としての近赤外分光器61を設けてあり、近赤外光の送受光プローブは大腿部に固定可能に形成される。 近赤外分光法による筋代謝量の計測は、周知のように、酸素化型ヘモグロビンと脱酸素化型ヘモグロビンとでは近赤外光の吸光度が異なることを利用し、血液中の酸素量(筋代謝量)の変化を求めるものであって、糖の燃焼には酸素が必要であるから、筋代謝量は糖代謝量の代替指標になる。

    生理的計測値としての筋代謝量は評価手段62に入力され、評価手段において安静時における筋代謝量の値との比が求められる。 近赤外分光器では筋肉の部分的な酸素消費量を求めているから、筋全体での筋代謝量を求めるために評価手段では筋肉の体積を重み係数として近赤外分光器により求めた部分的な筋代謝量に重み付けを行う。 筋代謝量は筋肉の大きさに相関を持っており、筋全体の筋代謝量を求めるには筋肉の体積による重み付けが必要になるのである。

    ここに、重み係数としての筋肉の体積は、脚部トレーニング装置での運動にかかわる筋肉の体積を意味する。 ただし、筋肉の体積を実測するにはMRIなどの大規模装置が必要であり、膨大な費用と手間がかかるため一般に文献で知られているデータを流用してもよい。 たとえば、大腿部伸展筋群は500ml、大内転筋群は250mlとしてよい。 単位体積当たりの筋代謝量が同じであれば、大内転筋群を収縮させるよりも大腿部伸展筋群を収縮させるほうが筋肉全体としての筋代謝量を2倍大きくすることができる。 つまり、筋代謝量を増加させるには、大腿部伸展筋群を収縮させるような動作パターンを選択することが望ましい。 2種類の動作パターンにおける評価手段での評価結果をそれぞれ表4、表5に示す。

    表4と表5との比較から分かるように、代謝量は表5に対応する動作パターンのほうが大きいから、糖代謝量の大きい運動を行うという点で表5に対応する動作パターンを選択することが好ましいと言える。

    脚部トレーニング装置の記憶手段(図示せず)に実装する最適な動作パターンの決定手順の一例を以下に紹介する。 動作制御手段により動作する脚部トレーニング装置を用いて試験者に運動させると同時に、近赤外分光器による血液中の酸素量の計測を行う。 このとき、脚部トレーニング装置が複数種類の動作パターンで所定時間(一定時間)ずつ駆動されるように制御し、所定時間で得られた酸素量を動作パターンの開始時刻および終了時刻とともに記録する。 このようにして計測された酸素量は評価手段において重み付けがなされ、運動に関わる筋全体の筋代謝量が求められる。 得られた筋代謝量は時刻によって動作パターンと対応付けられ、筋代謝量が最大になる動作パターンが選択される。 このようにして得られた動作パターンが記憶手段に格納され、脚部トレーニング装置の制御部10による実際の運動制御に用いられる。

    このように、動作パターンと代謝量とを対応付け、代謝量が適正値になるように脚部トレーニング装置の動作パターンを決定する。 代謝量の適正値は、動作パターンが人体に与えるエネルギー量を一定にした場合に得られる最大の代謝量の値である。 人体に与えるエネルギー量は、たとえば、脚部トレーニング装置の消費電力を代替値として用いることができる。 上述のようにして動作決定装置を用いて決定した動作パターンに従って脚部トレーニング装置を動作させることで数多くの動作の中から代謝を促進するのにより効果的な動作を抽出して使用者に与えることができる。

    尚、筋電から生理的計測値を求めるときは、近赤外分光器に代えて筋電計を動作制御手段に接続し、生理的計測値としては、所定時間における放電の積分値あるいは筋の最大収縮時での所定時間における筋電の積分値との比を用いる。 また、糖代謝に関わる筋肉は主として赤筋であるから、重み付けに関して赤筋の体積による重み付けを行うようにすれば、脚部トレーニング装置による運動での糖代謝量の評価をより正確に行うことができる。

    動作制御手段では、運動負荷の瞬時値の上限値を設定することができ、運動負荷の瞬時値が上限値以下になるという条件を満たす範囲で動作パターンを自動的に生成する。 このとき、各モータの動作に適宜のゆらぎを与え、多変量解析の技術またはニューロコンピュータの技術を用いて最適解(動作パターンの許容範囲内で筋代謝量が最大になる)に近付くように実時間で動作パターンを変化させる。 このような制御を行うことによって、運動負荷の瞬時値の上限値以下の範囲内で筋代謝量がほぼ最大になる動作パターンを決定することができる。 上述の例では代謝量が大きくなる方向に動作パターンを変化させているが、代謝量の適正値を最大値以外の値としてあらかじめ設定しておき、代謝量が適正値に近付くように動作パターンを収束させるようにしてもよい。
    <第2実施形態>
    本実施形態にかかる脚部トレーニング装置は、図21に示すように駆動源を用いずに使用者に能動的に脚部トレーニングを行わせるための装置である。 すなわち、実施形態1では駆動源としてのモータ6〜9を用いることによって、使用者が能動的に身体を動かすことなく受動的に脚部トレーニングを受けるように構成されているが、本実施形態においては架台1に対して座席部材2および踏板3をそれぞれ結合機構4,5を介して取り付けてあるが駆動源は設けていない。 踏板3を架台1に結合する結合機構5は実施形態1と同様にパンタグラフ51を用いて上下方向に移動可能となるように形成してある。 また、座席部材2を構成するポスト部21は伸縮自在であり、ポスト21に結合されるサドル22は左右方向の軸(1つの軸)回りで前後方向に傾斜することが可能になっている。 ただし、ポスト21はサドル22の高さ調節のために伸縮可能となっており、またサドル22は、実施形態1において説明した重り25またはボールジョイント26を設けることによって傾くように支持されている。 結合機構5にパンタグラフ51を設けているのは、実施形態1と同様に、座席部材2の傾斜角度の変化に連動して踏板3の高さ位置を変化させるためである。 座席部材2と踏板3とは結合機構4,5を構成するリンクやカムの組合せによって機械的に連動するようになっている。 つまり、結合機構4,5は、座席部材2の架台1に対する傾斜角度が変化すると踏板3の高さ位置が変化するように構成されている。

    本実施形態の脚部トレーニング装置を使用するにあたっては、使用者が身体を積極的(能動的)に動かす必要があり、各踏板3に足を載せサドル22に着座した使用者が、臀部を前方に移動させるように脚部に力を入れると、座席部材2が架台1に対して傾き、このとき踏板3が下方に移動することによって膝関節の屈曲角度をほとんど変えることなく、使用者の自重によって脚部に作用する負荷を大きくすることができる。 結合機構4,5には、元の位置に復帰させるためのばねを内蔵してもよいが、使用者自身の脚の力で復帰させるように構成してもよい。 座席部材2の傾く方向は、結合機構4によってサドル22と各踏板3とをそれぞれ含む2面内に制限されており、これによって座席部材2が傾く方向(使用者の足位置と重心位置との相対位置の変位方向)が膝関節の屈伸方向に制限される。

    本実施形態で用いる結合機構4の一例を図22に示す。 この結合機構4は、半球状のガイド体41を備え、ガイド体41に設けたレール溝42に座席部材2の下端を摺動自在に結合している。 また、座席部材2の下端をガイド体41の上端位置に復帰させるようにばね付勢する復帰ばね43を設けている。 この構成によれば、座席部材2の下端がレール溝42に沿って移動すると、座席部材2の傾斜角度が大きくなり、座席部材2の上端はガイド体41の球面の中心とした円弧状の軌道を移動することになる。 また、座席部材2が傾斜するに従って復帰ばね43により作用する復帰力が増加するから、使用者はわずかな力で座席部材2を元の位置に復帰させることができる。 座席部材2の移動方向は、レール溝42によって制限されるから、膝関節の屈伸方向を含む面内にレール溝42を位置させることによって、膝関節に捻れを加えることなく脚部に負荷を与えることが可能になる。 尚、図22ではレール溝42を1つの面内に形成しているので、ガイド体41を架台1に平行な面内で回転可能とし、座席部材2が倒れる方向が各踏板3の向きになるようにガイド体41の回転位置を合わせた上で使用することにより、使用者は片脚ずつに負荷をかけるように運動することができる。 また、ガイド体41を架台1に対して定位置に固定しておき、各踏板3に対応するように2つの面内にレール溝42を形成してもよい。

    本実施形態の変更例として、脚部トレーニング装置から踏板3を省略してもよい。 すなわち、図23Aおよび23Bに示すように、架台1に対して座席部材2が傾斜可能となるようにした結合機構4を設けているが、踏板3は省略されている。 したがって使用者Mは架台1を設置した床面あるいは架台1の上に足を載せて座席部材2に設けたサドル22に着座する。 結合機構4としては図22に示す構成を採用すれば、座席部材2の揺動方向を制限することができる。 ただし、踏板3を設けていないから、足位置および足先の向きと座席部材2の揺動方向とを合わせる目安がない。 そこで、本実施形態では、結合機構4において、架台1に対して架台1の上面と平行な面内で回転可能な方向支持板44を設け、方向支持板44に矢印状のマーク45を表記してある。 マーク45は、図22において説明した結合機構4のレール溝42を含む面内に含まれており、したがって、マーク45の延長線上に足を置くことによって、座席部材2が起伏する方向を膝関節の屈伸方向に一致させることができる。

    例えば、図23Aに示すように座席部材2が架台1に対して略垂直姿勢にある状態から、図23Bに示すように座席部材2を傾斜させると、座席部材2の傾斜方向がレール溝42により制限されることによって、座席部材2が揺動する面内に膝関節の屈伸方向が含まれることになる。 尚、図では座席部材2が1つの方向にのみ揺動する構成を示しているが、両脚に交互に負荷を与えることができるように、座席部材2が2つの方向に揺動するように構成してもよい。 また、図22に示した結合機構4を用いれば、ガイド体41を架台1として用いることも可能である。 その場合、ガイド体41の周面に方向支持板44を設けることが好ましい。
    <第3実施形態>
    本実施形態にかかる脚部トレーニング装置1では、踏板3を上下方向にのみ移動可能として座席部材2の下端部と踏板3との距離がほぼ一定に保たれる。 すなわち、図24Aおよび図24Bに示すように、板状の踏板3の四隅に設けたガイド孔3aに対して架台1に立設された4本のガイドピン3bを挿通することにより、踏板3をガイドピン3bに沿って上下方向にのみ移動させる。 この場合、座席部材2と踏板3とに対して連結体70を不動に固定すると、座席部材2を架台1に対して傾けることができなくなるから、連結体70の両端部で座席部材2と踏板3にそれぞれ結合する部位に球軸受のようなヒンジ71、72を設けている。 この構成により、座席部材2と連結体70とがなす角度と、踏板3と連結体70とがなす角度とをそれぞれ任意に変化させることができ、座席部材2の揺動に伴って踏板3を上下方向に移動させることが可能になる。

    また、図24Aに示す構成と同様の動作は、踏板3を上下方向にのみ伸縮自在であるパンタグラフ3cを介して架台1に取り付ける図25に示す構成によっても実現できる。 さらに、図26に示すように、踏板3を使用者の後方位置でヒンジ3eにより枢着されたリンク3dの前端部上面に装着する構成を採用しても良い。 この場合、連結体70の下端部がリンク3dの前端部にヒンジ72を介して連結される。 リンク3dは剛体であって、踏板3が実質的に上下方向のみの移動となるようにリンク3dの長さ寸法を十分に大きく設定すれば、図24A、図25に示した構成例と同様に、使用者の足の移動方向を上下方向に規制することができる。

    本実施形態の上記構成においては、図27に示すように、連結体70の両端部に設けたヒンジ71、72の位置を股関節J2の側方と足関節J3の側方とに位置決めすることが好ましい。 すなわち、座席部材2の上端部に設けたサドルよりも上方にヒンジ71を設け、踏板3の上面よりも上方にヒンジ72を設ける。 また、股関節J2および足関節J3の位置とヒンジ71、72の位置とがずれるのを防止するために、サドルおよび踏板3にベルトのような拘束具を設けてもよい。 なお、股関節J2および足関節J3の位置とヒンジ71、72の位置の間にずれが生じないように、踏板3の移動方向を上下方向に規制しておくのが望ましい。 他の構成および動作は実施形態1と同様である。

    本実施形態のさらなる変更例としては、図28に示すように、連結体70の代わりにワイヤ75を用い、踏板3の移動方向を上下方向に規制する移動規制部を設けてもよい。 ワイヤ75は、座席部材2の上端部の定位置と踏板3の定位置とを連結するものであり、座席部材2の後方を通り踏板3の下方から踏板3に結合されるように、架台1に対して定位置に固定した滑車76〜78に掛け回される。 図では、ワイヤ75を座席部材2の上端部から後方に引き出して滑車76に掛け回した後、滑車76により下方に方向転換して滑車77に掛け回し、さらに滑車77により前方に方向転換して滑車78に掛け回し、最後に滑車78により上方に方向転換して踏板3に結合する。 ここに、座席部材2が架台1に対して直立姿勢になる位置から右前方と左前方とに傾くと、座席部材2から滑車76へのワイヤ75の向きは左右に振れることになる。 したがって、滑車76については左右の振れを許容する形で架台1に取り付けるのが望ましい。 尚、滑車76,77は1個で兼用してもよい。

    上述した構成では座席部材2の上端部が図の左方に倒れると、ワイヤ75の張力によって踏板3は下向きに移動する。 ただし、図示した構成では座席部材2の傾斜姿勢から直立姿勢に復帰したときに踏板3を上昇させることができないから、その際に踏板3を上昇させる構成が必要である。 この構成としては、例えば、踏板3と架台1との間に弾性部材を設け、弾性部材により踏板3の下向き荷重に抗するばね力を生じさせればよい。 他の構成および動作は実施形態1と同様である。

    本実施形態の別の変更例としては、図29に示すように、架台1と踏板3との間に弾性部材としての復帰ばね75を配置し、踏板3に下向き荷重が作用したときに、復帰ばね79が圧縮されることにより踏板3の下向き荷重に抗するばね力が踏板3に作用する構成を採用してもよい。 この構成によって、座席部材2の傾斜姿勢から直立姿勢に復帰する際に、連結体70を介して復帰ばね79のばね力を座席部材2に作用させることができる。 尚、復帰ばね79に代えてウレタンフォームのような他の弾性部材を用いてもよい。
    <第4実施形態>
    本実施形態にかかる脚部トレーニング装置は、図30Aおよび図30Bに示すように、使用者を保持する支持部として架台1からアーム27を介して吊下した座席28を用いることを特徴としている。 座席28はサドルに相当し、架台1とアーム27とを結合する結合機構(図示せず)を適宜に構成することによって、座席28を上述した各実施形態におけるサドル22と同様に移動させることができる。 図示例ではアーム27の上端を架台1に対して揺動可能に枢着してあり、座席28は振り子のように移動する。 ただし、座席28の移動方向は使用者の膝関節の屈伸方向によって制限されており、架台1の一部に結合された踏板3によって使用者Mの足位置および足先の向きを決めた状態では、使用者Mの重心位置と足位置との相対位置の変位が膝関節の屈伸方向に制限される。

    本実施形態の変更例として、図31に示すように、使用者の胴体を吊り下げ保持する胴体保持部材80と、使用者の足を載せる踏板3を含み、胴体保持部材は結合機構82を介して前傾した基台(天板)1に対して可動に結合されている。 胴体保持部材82は、使用者の腰部を保持するための伸縮可能な腰部保持具83と、一端に腰部保持具が取り付けられ、他端が天板に固定される所定長さのワイヤ84を含む。 腰部保持具83の他端は、天板1に設けられたY字状のガイドレール85にスライダー86を介してスライド可能に保持される。

    この脚部トレーニング装置においては、胴体保持部材80に保持された使用者が前傾した天板1の前方向にスライド移動すると、天板から垂下するワイヤ84の長さが減少して使用者が上方に移動する。 この場合、使用者の前方へのスライド移動距離が大きくなるほど、使用者の持ち上げ量が大きくなる。 一方、一端がスライダー86に固定され、他端が天板1に固定されるスプリング87が設けられており、使用者が前方に移動することによってこのスプリングが伸びる。 したがって、使用者が前方に移動するほど、スプリングの復元力によって初期位置(後方)に引き戻す方向に力が働く。 この際、天板から垂下するワイヤ84の長さが増加して使用者は下方に移動する。 上記したガイドレール85の軌道を適切に設計するとともに、踏板3上における使用者の足位置を適切に決めることにより、使用者の重心位置と足位置との相対位置の変位を膝関節の屈伸方向に制限することができる。

    尚、図31の構成においては、踏板3を固定としたが、踏板3を上下方向および水平方向の少なくとも一方向に可動としてもよい。 また、胴体保持部材80の動作に同期して踏板3を動作させる連動手段を設けても良い。 この脚部トレーニング装置は使用者が踏板に足を載せた状態において能動的に運動を行うことで脚部のトレーニングを行うものであるが、胴体保持部材80を揺動させる駆動手段を設けて受動的に脚部トレーニングを行う装置構成としてもよい。 さらに、踏板3を可動にする場合は、胴体保持部材を揺動させる駆動源に加えて、踏板を駆動させる補助駆動源を設け、制御手段によりこれらの駆動源を同期させて制御すれば、より効果的な脚部トレーニングを使用者に提供することが可能になる。
    <第5実施形態>
    本実施形態の脚部トレーニング装置は、図32に示すように、ベース100と、ベースに固定される支柱部110と、使用者の臀部を保持するシート120と、支柱部とシートの間に配置される結合機構130と、支柱部の前方に固定配置される一対の踏板140とで構成される。

    シート120を揺動運動させるための結合機構130は、前後方向の往復直線移動と左右軸の回りの往復回転移動(ピッチング)と、前後軸の回りに往復回転移動(ローリング)とを提供可能な機構を備え、図33Aに示すように、支柱部110に固定される固定板131と、固定板131の上方に配置されシート120を載せる可動板132と、固定板131と可動板132の前後両端部にそれぞれ可動に結合される各一対のリンク133、134とでなる。 リンク133、134は固定板131および可動板132に対してそれぞれ左右方向の軸回りに回動可能に結合される。

    固定板131へのリンク133の結合位置と固定板131へのリンク134の結合位置との間の水平距離は、可動板132へのリンク133の結合位置と可動板132へのリンク134の結合位置との間の水平距離よりも短く設定される。 したがって、図33Aの右側(座席後方)への移動時において可動板132の前端部が後端部よりやや高くなる傾斜姿勢をとり、図33Aの中央位置において可動板132が略水平姿勢をとり、さらに図33Aの左側(座席前方)への移動時において可動板132の前端部が後端部よりやや低くなる傾斜姿勢をとることができる。 シート120の上面は必ずしも可動板132と平行でなくてもよく、可動板132が図33Aの右側(座席後方)への移動時においてシート120の上面が略水平になるようにしてもよい。 また、図示していないが、駆動源の出力はカムやクランクのような伝達機構を介して可動板132に伝達される。

    一方、踏板140の各々は、前方(つま先方向)に向かって略10度で傾斜する上面を有する。 また、内蔵されたバネ(図示せず)の働きで踏板140に上方より荷重がかかると略20〜30mmの高さで降下可能になっている。 また、左右の踏板は平行に配置されておらず、図33Bに示すように軸線同士が所定の角度で交差するように配置される。 この踏板の交差角度は、駆動手段の駆動軌跡における軌道の交差角に略一致するように決定される。 すなわち、結合機構の運動軌跡は上面からみると略8の字形状となっている。 また、図33Bの左側が脚部トレーニング装置の前方向にあたり、この前方向に向かって右側の踏板の軸方向は結合機構の右前方へ運動する期間の運動方向に略平行であり、同様に左側の踏板の軸方向は結合機構の左前方へ運動する期間の運動方向に略平行である。

    ところで、人間の歩行や走行時において脚部へは1G以上の加速度がかかるにもかかわらず膝関節に損傷が生じない理由は、荷重が増加するにつれて膝関節の周囲の筋が収縮して膝関節を固定し、膝関節に生じるせん断応力を低減するためである。 このメカニズムを利用し、本脚部トレーニング装置では脚部への荷重負荷が増加する期間は膝関節の伸展方向に使用者の重心を移行させる。 すなわち、少なくとも前方へ駆動する期間(脚部への荷重が増加する期間)において膝関節の伸展方向に結合機構の運動軌跡を一致させることで膝関節へのせん断負荷を低減することができる。 尚、脚部に最大負荷がかかった後は十分に膝間接周囲の筋が収縮して膝関節が固定されるため、膝関節の伸展方向に必ずしも結合機構の運動軌跡を一致させる必要はない。 また、結合機構130として前後方向のみに移動方向を規制したものを用いてもよい。
    <第6実施形態>
    本実施形態の脚部トレーニング装置は、図34Aおよび図34Bに示すように、ベース200と、ベースに可動に保持され、内部に駆動装置が収納される支柱部210と、使用者の臀部を保持するシート220と、支柱部とシートの間を連結する結合機構230と、支柱部の前方に固定配置される一対の踏板240と、シートと踏板の間を連結するリンク250とで主として構成される。

    支柱部210に収納される駆動装置は、図35A〜図35Cに示すように、ベース200に左右方向に回転自在となるように取り付けられるギヤボックス201内に収納される。 すなわち、ギヤボックス201にはシャフト203が回転可能に保持されており、モータ202の回転軸に取り付けられた歯車Aがシャフト203に取り付けられた減速歯車Bに係合する。 減速歯車Bを介して提供されるシャフト203の回転は、変芯カム204および連結板205を介してフレーム206、フレーム207、フレーム208に伝達され、結果的にシート220の前後上下方向の動作がつくられる。 一方、シャフト203に取り付けられた歯車Cがシャフト211に取り付けられた歯車Dと係合することでシャフト203の回転が1/2に減速されてシャフト211に伝達される。 シャフト211の回転は、変芯カム212を介してアーム213に伝達される。 このアーム213はベース200に自在結合されており、結果的にシート220の左右方向の動作(図35C中の矢印方向の動作)がつくられる。 尚、各連結部位はベアリングにより回動自在でガタツキのない構造にされている。 駆動装置の動作軌跡は前後のストロークに対して左右のストロークを略半分とし、且つ左右の減速比を1/2として揺動運動を発生させている。 また変芯カム204、212の位相差を適宜変更して、上方から見たシートの運動軌跡をV字型やW字型、横八の字型の軌跡とすることができる。

    一方、踏板240の各々はフレーム207に固定された取付部材241の前方に継手242を介してリンク250を左右2箇所設置し、継手243、支点244をもって踏板240が上下動するように連結される。 この踏板の運動はシート220が右前下方に揺動すると、右の踏板240も同じように下方に沈み、次にシート220が左前下方に揺動すると、左の踏板240も同じように下方に沈む軌跡を形成する。 これにより、使用者の重心位置と足位置との相対位置の変位を膝関節の屈伸方向に制限することができる。 尚、左右同時に踏板を沈ませるには左右の継手242の位置を左右の中心線方向に移動すればよい。 また、踏板の各々は、使用者の体重の略半分の荷重でシート220の沈み込量と同じ沈み量となるようなバネ特性を有するばね材を介して可動に保持されることが好ましい。

    シート220は、図34Bに示すように、使用者の臀部・腰部を受ける突起221と、着座姿勢において大腿部がフィットするように左右前方に設けられる切欠222とで構成される。 これにより、駆動装置が左右前下方に揺動しても、突起221により滑ることなく尻・腰部を前方に押し出すことができ、踏板上で足を踏ん張ることにより大腿部に負荷を提供することができる。 尚、図36Aおよび図36Bに示すように、シートの高さは使用者の身長・座高に応じて調節可能であり、踏板上の足位置とシート上の臀部との間の水平距離がシートの高さの増加とともにも広がる(D1→D2)ようになっているので、異なる身長の使用者にも適切な着座姿勢で脚部トレーニングを提供することができる。

    上記した脚部トレーニング装置によって提供される運動は、単に使用者を揺さぶるものではなく、揺動に対して頭でバランスを保とうとしたり、揺動から身を守ろうとしたりして筋肉の緊張を伴う運動を使用者に行わせるので、使用者の腰部と大腿部の両方の筋肉に負荷をかけることができ、胴体と下肢の両方の筋力や代謝(血流やリンパ流)を促すことができる。 また、使用者の重心位置と足位置との相対位置の変位が膝関節の屈伸方向に制限されるので、膝痛を有する使用者も安心して脚部トレーニングを行える。

    本実施形態の変更例として、図37に示すような踏板240'を用いてもよい。 この踏板においては、第1可動板261と第2可動板262がベース260とステップ台263のそれぞれに回動可能に保持される。 また、第1可動板261と第2可動板262はピン264により可動に連結される。 一方、ベース260とステップ台263との間は、ピン265によって連結され、それらの間にばね266が配設されている。 このように一対の可動板(261、262)をX型に連結してなる踏板を採用することにより、使用者が踏板240'のどの部位を踏んでも可動量を略垂直方向に均等に変位させることができる。

    尚、本発明の結合機構は、使用者の足位置と重心位置との相対位置の変位により使用者の自重で脚部に作用する負荷が変化するように支持部を基台に対して可動に結合し、かつ少なくとも脚部への負荷が増加するときに足位置と重心位置との相対位置の変位方向が膝関節の略屈伸方向に制限されるように支持部の可動方向を制限するものであるが、座席部材2に使用者が着座する構成を採用した場合、前記重心位置が臀部のやや前方に位置することを考慮すれば、前記した重心位置を゛座席部材の中央やや前方位置゛に置き換えてもよい。 すなわち、図36Aおよび36Bのような着座式の脚部トレーニング装置の結合機構においては、使用者の足位置と゛座席部材の中央やや前方位置゛との相対位置の変位により使用者の自重で脚部に作用する負荷が変化するように支持部を基台に対して可動に結合し、かつ少なくとも脚部への負荷が増加するときに足位置と゛座席部材の中央やや前方位置゛との相対位置の変位方向が膝関節の略屈伸方向に制限されるように支持部の可動方向を制限すると等価である。

    1 基台 2 座席部材 3 踏板 4 結合機構 5 結合機構 10 制御部

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