ボール計測システム

申请号 JP2014546854 申请日 2013-11-08 公开(公告)号 JP6237642B2 公开(公告)日 2017-11-29
申请人 横浜ゴム株式会社; 发明人 三枝 宏;
摘要
权利要求

打撃後のゴルフボールの回転軸方向を計測するボール計測システムであって、 打撃後の前記ゴルフボールの挙動を計測するボール計測手段と、 前記ゴルフボールを打撃するゴルフクラブヘッドの打撃前後の挙動を計測するゴルフクラブ計測手段と、 前記ボール計測手段および前記ゴルフクラブ計測手段による計測データに基づいて、前記ゴルフボールの前記回転軸方向を算出する演算手段と、を備え、 前記ボール計測手段は、 指向性を有し、供給される送信信号に基づいて前記ゴルフボールに向けて送信波を送信すると共に、前記ゴルフボールで反射された反射波を受信して受信信号を生成する互いに離間して配置された第1乃至第n(nは2以上の整数)のアンテナと、前記第1乃至第nのアンテナのそれぞれに対応して設けられ、前記アンテナに前記送信信号を供給すると共に、前記アンテナから供給される前記受信信号に基づいてドップラー周波数を有するドップラー信号を生成する第1乃至第nのドップラーセンサと、からなり、 前記ゴルフクラブ計測手段は、 少なくとも一部が前記ゴルフボールを打撃するゴルフクラブに設けられ、前記ゴルフクラブの挙動を示す計測データを出するゴルフクラブ側センサと、からなり、 前記演算手段は、 前記第1乃至第nのドップラーセンサのそれぞれから得られたドップラー信号を周波数解析することにより周波数ごとの信号強度の分布を示す第1乃至第nの信号強度分布データを生成する信号強度分布データ生成部と、 前記第1乃至第nの信号強度分布データのそれぞれに基づいて、前記ゴルフボールの移動速度に対応するドップラー周波数成分を検出し、それら検出したドップラー周波数成分に基づいて第1乃至第nの演算用速度を算出する速度演算部と、 予め実測され得られている前記第1乃至第nの信号強度分布データと前記ゴルフボールのスピン量との相関関係に基づいて、前記信号強度分布データ生成部で生成された前記第1乃至第nの信号強度分布データから前記スピン量を算出するスピン量演算部と、 前記ゴルフクラブ側計測手段によって計測された前記計測データに基づいて、前記ゴルフクラブヘッドの移動軌跡および前記ゴルフボールの打撃時における前記ゴルフクラブの打撃時フェースを算出する挙動データ演算手段と、 予め実測され得られている前記移動軌跡および前記打撃時フェース角と前記ゴルフボールの回転軸方向との相関関係に基づいて、前記挙動データ演算手段で算出された前記移動軌跡および前記打撃時フェース角から前記回転軸方向を算出する回転軸演算手段と、からなる、 ことを特徴とするボール計測システム。前記回転軸演算手段は、前記スピン量をバックスピン成分およびサイドスピン成分とに分解することによって前記回転軸方向を算出することを特徴とする請求項1に記載のボール計測システム。前記ゴルフクラブ計測手段は、 予め定められた位置に設置され、強さと方向に関する分布が既知である磁場を発生させるトランスミッタと、 前記ゴルフクラブに固定され、計測点の周りの磁気を互いに直交する3軸方向で感知すると共に、予め定められた基準位置に対する前記計測点の3次元位置および予め定められた基準方向に対する計測方向の向きに応じて検出信号を出力するゴルフクラブ側3次元磁気センサであることを特徴とする請求項1または2に記載のボール計測システム。前記ゴルフクラブ計測手段は、 前記ゴルフクラブに固定され、計測点における加速度を計測する加速度センサ、および前記計測点における地磁気を計測する地磁気センサであることを特徴とする請求項1または2に記載のボール計測システム。前記ゴルフクラブ計測手段は、 前記ゴルフクラブに固定され、計測点における加速度を計測する加速度センサ、および前記計測点における角速度を計測するジャイロセンサであることを特徴とする請求項1または2に記載のボール計測システム。前記ゴルフクラブ計測手段は、 前記ゴルフクラブに固定され、計測点における加速度を計測する加速度センサ、前記計測点における地磁気を計測する地磁気センサ、および前記計測点における角速度を計測するジャイロセンサであることを特徴とする請求項1または2に記載のボール計測システム。

说明书全文

本発明は、打撃後のゴルフボールの回転軸方向を計測するボール計測システムに関する。

従来、打撃後のゴルフボールの挙動(弾道等)を計測するシステムは、主に、画像方式、光学方式、レーダ方式に分類される。たとえば下記特許文献1は、レーダ方式によるボール計測装置であり、アンテナおよびドップラーセンサを用いて計測したドップラー信号の信号強度分布データを得ると共に、予め実測され得られている演算用速度と移動速度との相関関係に基づいて、信号強度分布データから算出される演算用速度から移動速度を算出し、予め実測され得られている信号強度分布データとスピン量との相関関係に基づいて、信号強度分布データからスピン量を算出する。

特開2012−68163号公報

ここで、打撃後のゴルフボールの挙動を示すパラメータには、移動速度や移動方向などの各種のパラメータがあるが、この1つとして、ゴルフボールの回転軸(スピン軸)の方向が挙げられる。ゴルフボールの回転軸方向は、たとえばゴルフボールのスピン量のバックスピン成分とサイドスピン成分の比率によって計測することができる。上述した特許文献1にかかるレーダ方式の計測装置は、比較的低コストでコンパクトなシステムを組めることに加え、ゴルフボールのスピン総量を計測することも可能であるが、回転軸方向の算出は困難である。レーダ方式の計測装置において、ゴルフクラブのスイング軌道やゴルフボールの打出し方向の情報を用いて回転軸方向を算出する方法なども試みられているが、十分な精度とは言えない。 また、画像方式の計測システムでは、スピン量を含めた高精度の計測をおこなうことができる反面、システムが高額になってしまうデメリットがある。また、上述した光学方式の計測システムは、安価にシステムが組める反面、原理的にスピンを実測することができない。

本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、打撃後のゴルフボールの回転軸方向を簡易な構成で計測することができるボール計測システムを提供することを目的とする。

上述した問題を解決し、目的を達成するため、本発明は、打撃後のゴルフボールの回転軸方向を計測するボール計測システムであって、打撃後の前記ゴルフボールの挙動を計測するボール計測手段と、前記ゴルフボールを打撃するゴルフクラブヘッドの打撃前後の挙動を計測するゴルフクラブ計測手段と、前記ボール計測手段および前記ゴルフクラブ計測手段による計測データに基づいて、前記ゴルフボールの前記回転軸方向を算出する演算手段と、を備え、前記ボール計測手段は、指向性を有し、供給される送信信号に基づいて前記ゴルフボールに向けて送信波を送信すると共に、前記ゴルフボールで反射された反射波を受信して受信信号を生成する互いに離間して配置された第1乃至第n(nは2以上の整数)のアンテナと、前記第1乃至第nのアンテナのそれぞれに対応して設けられ、前記アンテナに前記送信信号を供給すると共に、前記アンテナから供給される前記受信信号に基づいてドップラー周波数を有するドップラー信号を生成する第1乃至第nのドップラーセンサと、からなり、前記ゴルフクラブ計測手段は、少なくとも一部が前記ゴルフボールを打撃するゴルフクラブに設けられ、前記ゴルフクラブの挙動を示す計測データを出するゴルフクラブ側センサと、からなり、前記演算手段は、前記第1乃至第nのドップラーセンサのそれぞれから得られたドップラー信号を周波数解析することにより周波数ごとの信号強度の分布を示す第1乃至第nの信号強度分布データを生成する信号強度分布データ生成部と、前記第1乃至第nの信号強度分布データのそれぞれに基づいて、前記ゴルフボールの移動速度に対応するドップラー周波数成分を検出し、それら検出したドップラー周波数成分に基づいて第1乃至第nの演算用速度を算出する速度演算部と、予め実測され得られている前記第1乃至第nの信号強度分布データと前記ゴルフボールのスピン量との相関関係に基づいて、前記信号強度分布データ生成部で生成された前記第1乃至第nの信号強度分布データから前記スピン量を算出するスピン量演算部と、前記ゴルフクラブ側計測手段によって計測された前記計測データに基づいて、前記ゴルフクラブヘッドの移動軌跡および前記ゴルフボールの打撃時における前記ゴルフクラブの打撃時フェースを算出する挙動データ演算手段と、予め実測され得られている前記移動軌跡および前記打撃時フェース角と前記ゴルフボールの回転軸方向との相関関係に基づいて、前記挙動データ演算手段で算出された前記移動軌跡および前記打撃時フェース角から前記回転軸方向を算出する回転軸演算手段と、からなる、ことを特徴とする。

本発明によれば、ゴルフボールの打撃時におけるゴルフクラブヘッドの移動軌跡および打撃時フェース角に基づいて、ゴルフボールの回転軸方向を算出するようにした。したがって、回転軸方向との相関性が高いパラメータを用いて回転軸の算出をおこなうことができ、簡易な構成で精度高くゴルフボールの回転軸方向を算出することができる。

図1は、実施の形態1にかかるボール計測システム10の概略構成を示す説明図である。

ボール計測ユニット20の機能ブロック図である。

第1乃至第4のアンテナ12A〜12Dの構成を示す正面図である。

図3のA矢視図である。

図3のB矢視図である。

第1〜第4のアンテナ12A〜14Dを側面視した説明図である。

第1〜第4のアンテナ12A〜14Dを平面視した説明図である。

ゴルフクラブ計測ユニット30の構成を示す説明図である。

ゴルフクラブ計測ユニット30の機能の概要を示す説明図である。

位置決め板2008にゴルフクラブヘッド4のフェース面402が当て付けられた状態を示す平面図である。

図10のA矢視図である。

図10のB矢視図である。

演算ユニット40の構成を示すブロック図である。

演算ユニット40の機能的構成を示す説明図である。

ゴルフクラブヘッドの挙動を計測する際の説明図である。

左右進入各θLRの説明図である。

上下進入各θUDの説明図である。

打撃時フェース角φの説明図である。

打撃時ロフト角αの説明図である。

打撃時ライ角βの説明図である。

挙動データD3の表示画面例を示す説明図である。

挙動データD3の表示画面例を示す説明図である。

挙動データD3の表示画面例を示す説明図である。

ゴルフクラブヘッド4によってゴルフボールBを打撃した際のドップラー信号Sdの一例を示す線図である。

ゴルフボールBと第1〜第4アンテナ14A〜14Dとを側面視した説明図である。

ゴルフボールBと第1〜第4アンテナ14A〜14Dとを平面視した説明図である。

回転軸演算部5240による回転軸方向RDの算出を説明する説明図である。

ゴルフクラブ計測ユニット30の設定動作を示すフローチャートである。

ボール計測ユニット20の設定動作を示すフローチャートである。

ボール計測システム10の本計測時の動作を示すフローチャートである。

第2キャリブレーションを説明する説明図である。

出力部460における計測結果の表示出力例を示す説明図である。

変形例にかかるゴルフクラブ計測ユニット30’の構成を示す説明図である。

実施の形態2にかかるボール計測システム10’の概略構成を示す説明図である。

以下に添付図面を参照して、本発明にかかるボール計測システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。

(実施の形態1) 図1は、実施の形態1にかかるボール計測システム10の概略構成を示す説明図である。図1には、ゴルフクラブ2によってゴルフボールBを打撃しようとするプレイヤーPとともに、打撃後のゴルフボールBの挙動を計測するボール計測ユニット20と、ゴルフボールBを打撃するゴルフクラブヘッド4の打撃前後の挙動を計測するゴルフクラブ計測ユニット30と、ボール計測ユニット20およびゴルフクラブ計測ユニット30による計測データに基づいて、打撃後のゴルフボールBの回転軸方向を算出する演算ユニット40と、からなるボール計測システム10が示されている。

実施の形態1においては、ゴルフクラブ計測ユニット30は、予め定められた位置に設置され、強さと方向に関する分布が既知である磁場を発生させるトランスミッタ312と、ゴルフクラブ2に固定され、計測点の周りの磁気を互いに直交する3軸方向で感知すると共に、予め定められた基準位置に対する計測点の3次元位置および予め定められた基準方向に対する計測方向の向きに応じて検出信号を出力するゴルフクラブ側3次元磁気センサ314である。

以下、ボール計測ユニット20、ゴルフクラブ計測ユニット30、演算ユニット40の順に、各構成について説明する。

(ボール計測ユニット20の構成) 図2は、ボール計測ユニット20の機能ブロック図である。図2に示すように、ボール計測ユニット20は、第1乃至第4のアンテナ12A、12B、12C、12Dと、第1乃至第4ドップラーセンサ14A、14B、14C、14Dと、マイク16と、トリガ信号発生部18と、などを含んで構成されている。 本実施の形態では、第1乃至第4のアンテナ12A、12B、12C、12Dと第1乃至第4のドップラーセンサ14A、14B、14C、14Dとは不図示のケースに収容保持されている。 また、トリガ信号発生部18は、不図示の筐体に組み込まれている。 第1乃至第4のドップラーセンサ14A、14B、14C、14Dと演算ユニット40とは不図示の接続ケーブルを介して接続され、マイク16と演算ユニット40とは不図示の接続ケーブルを介して接続されている。

第1乃至第4のアンテナ12A〜12Dは、第1乃至第4のドップラーセンサ14A〜14Dから供給される送信信号に基づいて送信波W1としてのマイクロ波を移動体に向けて送信すると共に、移動体で反射された反射波W2を受信して受信信号を第1乃至第4のドップラーセンサ14A〜14Dに供給するものである。 より詳細には、第1乃至第4のアンテナ12A〜12Dは、指向性を有し、送信波W1を送信すると共に、ゴルフボールB反射された反射波W2を受信して受信信号を生成するものであり、互いに離間して配置されている。 本実施の形態では、第1乃至第4のアンテナ12A〜12Dは同形同大の指向性アンテナで構成され、このような指向性アンテナとしてホーンアンテナを使用している。 指向性アンテナとしてホーンアンテナ以外のパラボラアンテナ、パッチアンテナなどの従来公知のさまざまな指向性アンテナを使用可能であるが、ホーンアンテナは構成が簡素であり比較的安価であることからコストを抑制する上で有利である。

図3は第1乃至第4のアンテナ12A〜12Dの構成を示す正面図、図4は図3のA矢視図、図5は図3のB矢視図である。 図3〜5に示すように、第1乃至第4のアンテナの12A〜12Dは、ケース26に収容保持されている。 ケース26は、後板2602と、上下左右の側板2604A、2604B、2604C、2604Dと、脚部2606とを含んで構成されている。 後板2602は矩形板状を呈し、上下の辺を平方向と平行させ、上方に至るほど後方に傾斜するように設けられている。 上下左右の側板2604A〜2604Dは、後板2602の上下左右の辺から起立され、各側板2604A〜2604Dの前縁により矩形状の開口が形成されている。 脚部2606は、下部の側板2604Bの下面中央に設けられ地面や床面に設置される。 第1乃至第4のアンテナ12A〜12Dは、前記の開口を介して前方を向いた状態で後板2602の前面に取着され、後板2602と側板2604A〜2604Dとで囲まれた空間に収容されている。第1乃至第4のアンテナ12A〜12Dの前部は、各側板2604A〜2604Dの前縁よりも後方に位置している。 前記開口は、送信波W1および反射波W2の透過が可能な材料で形成された図示しないカバーによって覆われており、第1乃至第4のアンテナ12A〜12Dの防塵および保護が図られている。 本実施の形態では、図3に示すように正面から見て第1乃至第4のアンテナ12A〜12Dは後板2602の4つの角部近傍に配置されている。すなわち、後板2602の右下寄りの箇所に第1のアンテナ12Aが配置されている。右上寄りの箇所に第2のアンテナ12Bが配置されている。左下寄りの箇所に第3のアンテナ12Cが配置されている。左上寄りの箇所に第4のアンテナ12Dが配置されている。

ここで、第1乃至第4のアンテナ12A〜12Dのそれぞれの利得が最大となる方向に沿って延在する直線を各アンテナの指向方向を示す第1乃至第4の仮想軸LA、LB、LC、LDとする。 図3、図4に示すように、側面視した状態で第1、第2のアンテナ12A、12Bは鉛直方向に間隔dV(第1の間隔)をおいて配置され、第1、第2の仮想軸LA、LBが単一の鉛直平面上を延在している。 本実施の形態では、第2の仮想軸LBが水平方向に延在し、かつ、第1の仮想軸LAが水平方向に対して上方に6度傾斜した方向に延在している。したがって、第1、第2の仮想軸LA、LBが交差するように配置されている。 第3、第4のアンテナ12C、12Dも、第1、第2のアンテナ12A、12Bと同様に鉛直方向に間隔dV(第1の間隔)をおいて配置され、第3、第4の仮想軸LC、LDが単一の鉛直平面上を延在している。 本実施の形態では、第4の仮想軸LDが水平方向に延在し、かつ、第3の仮想軸LCが水平方向に対して上方に6度傾斜した方向に延在している。したがって、第3、第4の仮想軸LC、LDが交差するように配置されている。

図4、図5に示すように、平面視した状態で、第2、第4のアンテナ12B、12Dは、水平方向に間隔dH(第2の間隔)をおいて配置され、第2、第4の仮想軸LB、LDが単一の水平面上を延在している。 本実施の形態では、第2、第4のアンテナ12B、12Dの仮想軸LB、LDが前後方向に対してそれぞれ内方に4度傾斜した方向に延在している。したがって、第2、第4の仮想軸LB、LDが交差するように配置されている。 第1、第3のアンテナ12A、12Cは、水平方向に間隔dH(第2の間隔)をおいて配置されている。 第1、第3の仮想軸LA、LCも第2、第4の仮想軸LB、LDと同様に前後方向に対してそれぞれ内方に4度傾斜した方向に延在している。したがって、第1、第3の仮想軸LA、LCが交差するように配置されている。

図6、図7に示すように、第1乃至第4のアンテナ12A〜12Dは、ゴルフボールBの移動方向においてゴルフボールBよりも後方の箇所に設けられている。なお、図6において符号201はゴルフボールBが載置されるティー、Gは地面(水平面)を示す。 図6に示すように、側面視した状態で第1、第2の仮想軸LA、LBが交差すると共に、第3、第4の仮想軸LC、LDが交差している。 7に示すように、平面視した状態で第1、第3の仮想軸LA、LCが交差すると共に、第2、第4の仮想軸LB、LDが交差している。 また、平面視した状態で、左右方向において第1、第3のアンテナ12A、12C(第2、第4のアンテナ12B、12D)の間隔dHの中心を通り水平方向に延在する仮想線CL上にティー201に載置されたゴルフボールBの中心点が配置されている。この中心点を基準位置O(あるいは原点O)とする。 本実施の形態では、図6、図7に示すように、実際に基準位置Oから打撃されたゴルフボールBの軌跡のばらつきを考慮して、上述した各仮想軸が交差する点を基準位置Oよりも前方の位置に設定した。 このようにすることで、側面視した状態で、第1、第2のアンテナ12A、12Bのそれぞれから送信される送信波W1が重なる領域と、第3、第4のアンテナ12C、12Dのそれぞれから送信される送信波W1が重なる領域とが、実際に打撃されたゴルフボールBの移動軌跡と重なる範囲を上下方向にわたって広く確保する上で有利となる。図6において送信波W1が重なる領域をハッチングで示す。 また、このようにすることで、平面視した状態で、第1、第3のアンテナ12A、12Cのそれぞれから送信される送信波W1が重なる領域と、第2、第4のアンテナ12B、12Dのそれぞれから送信される送信波W1とが、実際に打撃されたゴルフボールBの移動軌跡と重なる範囲を左右方向にわたって広く確保する上で有利となる。図7において送信波W1が重なる領域をハッチングで示す。 したがって、基準位置Oでゴルフクラブヘッド4で打撃されたゴルフボールBの移動方向が上下方向あるいは左右方向にわたって多少ばらついたとしても、移動するゴルフボールBを前記の送信波W1が重なる領域内で確実に捉える上で有利となる。言い換えると、ゴルフボールBに対して第1乃至第4のアンテナ12A〜12Dから送信波W1を確実に当てると共に、ゴルフボールBで反射された反射波W2を第1乃至第4のアンテナ12A〜12Dによって確実に受信する上で有利となり、打撃直後のゴルフボールBの移動速度Vα(初速)、スピン量SPの計測を確実に行う上で有利となる。 なお、本実施の形態では、第2、第4のアンテナ12B、12Dの仮想軸LB、LDを水平方向に延在させ、第1、第3のアンテナ12A、12Cの仮想軸LA、LCを上方に傾斜させている。このようにすることで、第1、第2のアンテナ12A、12Bのそれぞれから送信される送信波W1が重なる領域と、第3、第4のアンテナ12C、12Dのそれぞれから送信される送信波W1が重なる領域とが、実際に打撃されたゴルフボールBの移動軌跡と重なる範囲を上下方向にわたって広く確保する上でより一層有利となる。 また、第2、第4のアンテナ12B、12Dの仮想軸LB、LDと、第1、第3のアンテナ12A、12Cの仮想軸LA、LCとの双方を上方に傾斜させてもよいが、上述のようにすると、送信波W1が重なる領域を上下方向にわたって広く確保する上でより有利となる。

第1乃至第4ドップラーセンサ14A、14B、14C、14Dは、ケース26に収容保持されている。 図2に示すように、第1乃至第4ドップラーセンサ14A〜14Dは、第1乃至第4のアンテナ12A〜12Dのそれぞれに送信信号を供給するものである。また、第1乃至第4のアンテナ12A〜12Dのそれぞれから供給される受信信号に基づいてドップラー周波数Fdを有する第1乃至第4のドップラー信号SdA、SdB、SdC、SdDを時系列データとして生成するものである。

マイク16は、ゴルフボールBがゴルフクラブヘッド4によって打撃された際に発生する打撃音を収音し音声信号を検出するものである。 トリガ信号発生部18は、マイク16によって検出された音声信号の振幅が予め定められたしきい値を上回ったときに、トリガ信号trgを生成して演算ユニット40に供給するものである。 トリガ信号trgは、演算ユニット40に対して後述するデータ処理の開始を指示するものである。 なお、上述したようにトリガ信号発生部18が単に打撃音に応じてトリガ信号trgを生成するものである場合、ボール計測ユニット20の設置環境によっては以下の不都合が生じることが懸念される。 すなわち、ボール計測ユニット20の設置環境が例えば複数の打席を備えるゴルフ練習場である場合、ボール計測ユニット20の計測対象となる打席以外の周囲の打席の打撃音によってもトリガ信号trgが生成され、ボール計測ユニット20の誤動作が発生することが懸念される。 したがって、本実施の形態では、以下のように構成することで上記誤動作の防止を図っている。 トリガ信号発生部18を、マイク16からの音声信号に加えて、ドップラーセンサ14からのドップラー信号Sdを入力する。 そして、トリガ信号発生部18は、ドップラー信号Sdを受信し、かつ、打撃音の音声信号が予め定められたしきい値を上回ったときに、トリガ信号trgを生成して演算ユニット40に供給する。この場合、当初発生するドップラー信号Sdはゴルフクラブヘッド4の動きを検出したものとなる。 したがって、トリガ信号発生部18は、ゴルフクラブ2の動きと打撃音の両方でトリガ信号trgを生成するため、ボール計測ユニット20の誤動作を的確に防止する上で有利となる。 トリガ信号発生部18はトリガ信号trgを生成できれば、マイク16以外のセンサを用いても良い。例えば、予め定められた特定の位置(例えば基準位置O)を通過するゴルフクラブヘッド4を検出する光センサを設け、該光センサの検出信号に基づいてトリガ信号発生部18がトリガ信号trgを生成するなど任意である。しかしながら、光センサは設置する位置や方向を厳密に調整する必要があることから、本実施の形態のようにマイク16を用いる方が設置作業の簡素化を図る上で有利となる。

(ゴルフクラブ計測ユニット30) ゴルフクラブ計測ユニット30は、ゴルフクラブ2のゴルフクラブヘッド4の3次元位置と向き(方向)とを示す時系列データを計測するものである。 本実施の形態では、ゴルフクラブ計測ユニット30は、図8に示すように、トランスミッタ312と、ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314と、保持手段側3次元磁気センサ316と、コントローラ・データ処理装置318を含んで構成されている。

トランスミッタ312は、予め定められた位置に設置されており、図9に示すように、トランスミッタ312は、お互いに直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向に各々ループ状に巻かれた3つのコイルによって構成されている。 本実施の形態では、トランスミッタ312は、X軸およびY軸が水平面上を延在し、Z軸が鉛直方向を向くように設置されている。 本実施の形態では、トランスミッタ312の中心位置を予め定められた基準位置1202とし、基準位置1202を通るY軸方向を予め定められた基準方向1204とする。 トランスミッタ312は、コントローラ・データ処理装置318から供給される駆動信号により、強さと方向に関する分布が既知である磁場を発生させる。

ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314は、図9に示すように、お互いに直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向に各々ループ状に巻かれた3つのコイルによって構成されている。 ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314は、第1の計測点1402および第1の計測方向1404を有している。 ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314は、第1の計測点1402の周りの磁気を互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の3軸方向で感知すると共に、基準位置1202に対する第1の計測点1402の3次元位置および基準方向1204に対する第1の計測方向1404の向きに応じて第1の検出信号S1を出力するものである。 本実施の形態では、第1の計測点1402はゴルフクラブ側3次元磁気センサ314の中心位置であり、第1の計測方向1404は第1の計測点1402を通るY軸方向である。 ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314は、ゴルフクラブ2に固定され、本実施の形態では、ゴルフクラブ2のグリップ部3に固定されている。 本実施の形態では、ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314は、Y軸(第1の計測方向1404)をゴルフクラブ2の打撃方向と平行させ、かつ、Z軸をシャフト軸と平行させている。

保持手段側3次元磁気センサ316は、図9に示すように、お互いに直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向に各々ループ状に巻かれた3つのコイルによって構成されている。 保持手段側3次元磁気センサ316は、第2の計測点1602および第2の計測方向1604を有している。 保持手段側3次元磁気センサ316は、第2の計測点1602の周りの磁気を互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の3軸方向で感知すると共に、3軸方向のうちの1つの軸であるY軸をゴルフクラブ2の打撃方向に向け、基準位置1202に対する第2の計測点1602の3次元位置および基準方向1204に対する第2の計測方向1604の向きに応じて第2の検出信号S2を出力するものである。 本実施の形態では、第2の計測点1602は保持手段側3次元磁気センサ316の中心位置であり、第2の計測方向1604は第2の計測点1602を通るY軸方向である。 保持手段側3次元磁気センサ316は、保持手段320に一体的に支持されている。 本実施の形態では、保持手段側3次元磁気センサ316は、後述するようにY軸(第2の計測方向1604)をゴルフクラブ2の打撃方向と平行させ、かつ、Z軸を鉛直方向に向けている。 このようなゴルフクラブ計測ユニット30として、例えば、LIBERTY(Polhemus社製)を挙げることができる。 なお、ゴルフクラブ計測ユニット30の詳細な構成については後述する。

(保持手段320) 保持手段320は、設定されたライ角およびロフト角通りとなるようにゴルフクラブ2を保持するものである。 保持手段320は、図8に示すように、ベース2002と、フレーム2004と、支持部2006と、位置決め板2008とを含んで構成されている。 ベース2002は、床面(水平面)に載置されるものである。 フレーム2004は、ベース2002から立設されている。 支持部2006は、フレーム2004に設けられゴルフクラブ2のシャフト6を着脱可能に、かつ、ゴルフクラブ2の位置と向きとを調整可能に支持するものである。このような支持部2006として従来公知のさまざまな構造が使用可能である。

図10は位置決め板2008にゴルフクラブヘッド4のフェース面402が当て付けられた状態を示す平面図、図11は図10のA矢視図、図12は図12のB矢視図である。 図10乃至図12に示すように、位置決め板2008は、矩形板状を呈し、水平面上を延在するようにベース2002上にスペーサ2010を介して取着されている。なお、図11において符号Gは床面を示す。 位置決め板2008は、その1辺に断面が鋭角をなすエッジ部2008Aが水平面と平行をなすように直線状に延在形成されている。 位置決め板2008は、その上面にエッジ部2008Aの延在方向の中心を通りエッジ部2008Aと直交する基準線2012が表示されている。 位置決め板2008の上面に保持手段側3次元磁気センサ316が設けられている。 保持手段側3次元磁気センサ316は、平面視した状態で、第2の計測点1602が基準線2012上に位置し、第2の計測方向1604が基準線2012と一致(平行)している。 ゴルフクラブ2は、フェース面402の中心点410をエッジ部2008Aが通るようにフェース面402がエッジ部2008Aに当て付けられた状態で設定されたライ角およびロフト角通りとなるように支持部2006によって支持される。 本実施の形態では、ゴルフクラブ2が設定されたライ角およびロフト角通りになっているとは、フェース面402の法線と打ち出し方向とが平行をなしている状態であり、かつ、鉛直線に対してシャフト軸がなす角度が正しいライ角となっている状態をいう。

フェース面402にスコアライン412が形成されている場合、設定されたライ角通りにゴルフクラブ2が支持部2006によって支持されると、図12に示すように、スコアライン412またはその延長線とエッジ部2008Aとが平行をなす。 したがって、スコアライン412とエッジ部2008Aとが平行となるように支持部2006を調整することによってゴルフクラブ2を設定されたライ角通りに支持することができる。 また、一部のパタークラブのように、フェース面402にスコアライン412が形成されていない場合は、フェース面402の左右幅方向に延在する仮想線とエッジ部2008Aとが平行となるように支持部2006を調整することによってゴルフクラブ2を設定されたライ角通りに支持することができる。 このようにしてゴルフクラブ2が保持手段320に保持された状態において、フェース面402の中心点410の3次元位置およびフェース面402の向きと、保持手段側3次元磁気センサ316の第2の計測点1602および第2の計測方向の向きとは既知の関係となる。 したがって、第2の計測点1602および第2の計測方向1604の向きからフェース面402の中心点410の3次元位置およびフェース面402の向きを求めることが可能となる。

(ゴルフクラブ計測ユニット30の詳細) ゴルフクラブ計測ユニット30についてより詳細に説明する。 図9に示すように、コントローラ・データ処理装置318は、駆動回路318A、検出回路318B、コンピュータ318Cを有している。 駆動回路318Aは、トランスミッタ312に所定の3種類の磁場を順次発生させる駆動信号を生成し、該駆動信号をトランスミッタ312に供給するものである。 検出回路318Bは、ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314から供給される第1の検出信号S1と、保持手段側3次元磁気センサ316から供給される第2の検出信号S2とを検出するものである。

コンピュータ318Cは、データ処理用ソフトウェアを実行することにより次の機能を実現する。 すなわち、コンピュータ318Cは、駆動回路318Aおよび検出回路318Bを制御し、検出回路318Bから得られた出力電圧よりデータ処理を行って、ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314の位置と向き、および、保持手段側3次元磁気センサ316の位置と向きを示すデータを生成する。 コンピュータ318Cは、前述したようにトランスミッタ312の位置を基準位置1202とし、お互いに直交する3軸X,Y,Zを基準とする3次元位置座標(x,y,z)の時系列データを演算して出力する。 また、コンピュータ318Cは、前述したようにトランスミッタ312を中心とするY軸方向を基準方向1204とし、この基準方向1204に対する磁気センサ314、16の向きを表す姿勢角度、すなわちヨー角、ピッチ角およびロール角(以降では、(θy,θp,θr)と表す)の時系列データを演算して出力するものである。 したがって、3次元位置座標(x,y,z)の時系列データが磁気センサ314、16の位置を示すデータであり、ヨー角θy、ピッチ角θpおよびロール角θrの時系列データが磁気センサ314、16の向きを示すデータである。

次に、ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314の第1の計測点1402の基準位置1202に対する3次元位置座標(x,y,z)と、第1の計測方向1404の基準方向1204に対する姿勢角度(θy,θp,θr)の時系列データの生成について説明する。 駆動回路318Aは、コンピュータ318Cの指令信号にしたがって、周波数と位相が常時一定の同一信号を出力し、トランスミッタ312の3軸方向に巻かれた3つのループ状コイルを順次励磁する。 各ループ状コイルは、励磁のたびに各々異なる磁場を発生し、それに基づいてゴルフクラブ側3次元磁気センサ314の3軸方向に巻かれた3つのループ状コイルに各々独立な出力電圧Vを発生させる。 この出力電圧Vは、トランスミッタ312の3つのループ状コイルによって励磁される3つの磁場に応じて、ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314の3つのループ状コイルに発生する3つの出力電圧Vが得られるため、合計9個(3×3個)の出力電圧Vが得られる。

一方、磁場を形成させるトランスミッタ312が所定の位置に固定設置されているので、発生する磁場の強さと方向に関する分布はトランスミッタ312の設置された基準位置1202および、基準方向1204に対して既知となる。 この形成された磁場によって生じる9つの出力電圧Vを用いることによって、上記基準位置1202に対するゴルフクラブ側3次元磁気センサ314の3次元位置座標(x,y,z)と上記基準方向1204に対する姿勢角度(θy,θp,θr)の6つの未知数を求めることができる。 コントローラ・データ処理装置318のコンピュータ318Cにおいて、検出回路318Bから送られてきた9つの出力電圧Vを用いて、3次元位置座標(x,y,z)と姿勢角度(θy,θp,θr)のデータを演算して求める。

ゴルフクラブ計測ユニット30で得られた3次元位置座標(x,y,z)と姿勢角度(θy,θp,θr)は、演算ユニット40に取り込まれ、RD変換され、グリップ部3のスウィング中の挙動の時系列データを得ることができる。

なお、保持手段側3次元磁気センサ316の第2の計測点1602の基準位置1202に対する3次元位置座標(x,y,z)と、第2の計測方向1604の基準方向1204に対する姿勢角度(θy,θp,θr)のデータの生成は、基本的にゴルフクラブ側3次元磁気センサ314の場合と同様であるため説明を省略する。

なお、前述したように、トランスミッタ312、ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314、保持手段側3次元磁気センサ316は、図9に示されるように、お互いに直交する3軸方向に向いてコイルがループ状に巻かれている。 したがって、それらトランスミッタ312、各磁気センサ314、16の3軸方向をなるべく合致させることが、各磁気センサ314、16でそれぞれ検出される3次元位置座標(x,y,z)と姿勢角度(θy,θp,θr)との処理を後述する演算手段で行う際の負荷を軽減する上で好ましい。 このような観点から、ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314は、3軸方向のうちの1つの軸(Z軸)をシャフト軸と一致させるように設定し、もう1つの軸(Y軸)をゴルフクラブ2の打撃方向に向けてゴルフクラブ2のグリップ部3に固定することが好ましい。 また、保持手段側3次元磁気センサ316は、3軸方向のうちの1つの軸(Y軸)をゴルフクラブ2の打撃方向に向けて保持手段320に支持することが好ましい。 また、本実施の形態では、トランスミッタ312は、X軸とY軸が水平面内を延在し、Z軸が鉛直方向に延在している。

(演算ユニット40) 演算ユニット40は、ボール計測ユニット20の第1乃至第4のドップラーセンサ14A〜14Dから供給される第1乃至第4のドップラー信号SdA〜SdDを入力して演算処理を行うことにより、ゴルフボールBの移動方向、移動速度Vα、スピン量SPおよび回転軸方向RSなどからなるボール挙動データを生成する。また、演算ユニット40は、ゴルフクラブ計測ユニット30から供給される時系列データに基づいてゴルフクラブヘッド4の挙動を示すヘッド挙動データを生成する。

図13は、演算ユニット40の構成を示すブロック図である。 演算ユニット40は、CPU430と、不図示のインターフェース回路およびバスラインを介して接続されたROM432、RAM434、ハードディスク装置436、ディスク装置438、キーボード440、マウス442、ディスプレイ444、プリンタ446、入出力インターフェース448などを有している。 ROM432は制御プログラムなどを格納し、RAM434はワーキングエリアを提供するものである。 ハードディスク装置436はゴルフボールBおよびゴルフクラブヘッド4の挙動の計測を行うための専用のプログラムを格納している。 ディスク装置438はCDやDVDなどの記録媒体に対してデータの記録および/または再生を行うものである。 キーボード440およびマウス442は、操作者による操作入力を受け付けるものである。 ディスプレイ444はデータを表示出力するものであり、プリンタ446はデータを印刷出力するものであり、ディスプレイ444およびプリンタ446によってデータを出力する。 入出力インターフェース448は、ボール計測ユニット20およびゴルフクラブ計測ユニット30のコントローラ・データ処理装置318との間でデータの授受を行うものである。

(演算ユニット40の機能的構成) 図14は、演算ユニット40の機能的構成を示す説明図である。演算ユニット40は、機能的には、ゴルフボールBの挙動を示すボール挙動データを生成するボール挙動データ演算部452と、ゴルフクラブヘッド4の挙動を示すヘッド挙動データを生成するヘッド挙動データ演算部454と、出力部460によって構成される。

ヘッド挙動データ演算部454は、第1キャリブレーション部5450、第2キャリブレーション部5452、第1の時系列データ生成部5453、第2の時系列データ生成部5454、記憶部5456、挙動データ生成部5458などを含んで構成されている。 ヘッド挙動データ演算部454の各部について説明する前に、前提となるトランスミッタ312、ゴルフクラブ2、ゴルフボールBの位置関係について説明する。 図15に示すように、トランスミッタ312は、予め定められた位置に設置され、具体的には、ゴルフスウィングする人の後方に固定配置されている。 床面G上には、ゴルフボールBを載置するためのボール載置位置P0が予め定められており、このボール載置位置P0は床面G上に設けられたマークなどによって表示されている。あるいは、ボール載置位置P0にティーが設けられ、このティーにゴルフボールBが載置される。 また、ボール載置位置P0の前方には、ゴルフボールBを打ち出す目標としてのターゲットCが設けられている。なお、図示の制約上、図面上ではボール載置位置P0とターゲットCとが近接して描かれているが、実際にはボール載置位置P0とターゲットCとは所定の距離(ドライバーなど飛距離の出るクラブを用いる程度の距離)があるものとする。 ゴルファは、ゴルフクラブ2をスウィングすることにより、ゴルフクラブヘッド4のフェース面402によってボール載置位置P0に載置されたゴルフボールBをターゲットCに向けて打ち出す。 この場合、ボール載置位置P0に載置されたゴルフボールBの中心点P1(図16)とターゲットCとを結ぶ直線が目標線Lである。 なお、ゴルファがゴルフクラブ2をスウィングするにあたって、トランスミッタ312がゴルファやゴルフクラブ2の邪魔とならないように、トランスミッタ312とボール載置位置P0との間に十分な間隔が確保されている。

第1キャリブレーション部5450は、図8に示すように、保持手段320にゴルフクラブ2が保持された状態で、第1の検出信号S1と第2の検出信号S2とに基づいて、第1の計測点1402に対するゴルフクラブヘッド4の予め定められた基準点であるフェース面402の中心点410(図18)の3次元位置データと、第1の計測方向1404に対するゴルフクラブヘッド4のフェース面402の向きを示す向きデータとを第1のキャリブレーションデータDc1として得るものである。 言い換えると、フェース面402の中心点410の3次元位置データは、第1の計測点1402を3次元座標の原点として得られるデータであり、フェース面402の向きデータは、第1の計測方向1404を3次元座標の座標軸(Y軸)として得られるデータである。 すなわち、第1の検出信号S1と第2の検出信号S2とに基づいて、第1の計測点1402に対する第2の計測点1602の3次元位置データと、第1の計測方向1404の向きに対する第2の計測方向1604の向きのデータとが得られる。 ここで、前述したように、第2の計測点1602および第2の計測方向1604の向きからフェース面402の中心点410の3次元位置およびフェース面402の向きが得られる。 したがって、第1の検出信号S1と第2の検出信号S2とに基づいて、第1の計測点1402に対するフェース面402の中心点410の3次元位置データと、第1の計測方向1404の向きに対するフェース面402の向きのデータとを第1のキャリブレーションデータDc1として得ることができる。 すなわち、第1のキャリブレーションデータDc1は、第1の計測点1402に対するフェース面402の中心点410の位置の補正と、第1の計測方向1404の向きに対するフェース面402の向き(方向)の補正とを行うためのデータである。

第2キャリブレーション部5452は、図10、図11に示すように、平面視した状態で、第2の計測点1602がボール載置位置P0に位置するゴルフボールBの中心点P1と合致し、かつ、第2の計測方向1604の向きが目標線Lの向きと合致するように、保持手段320を床面上に位置させた状態で、第2の検出信号S2に基づいて、基準位置1202に対する第2の計測点1602の3次元位置データと、基準方向1204に対する第2の計測方向1604の向きを示す向きデータとを第2のキャリブレーションデータDc2として得るものである。 言い換えると、第2の計測点1602の3次元位置データは、基準位置1202を3次元座標の原点として得られるデータであり、第2の計測方向1604の向きデータは、基準方向1204を3次元座標の座標軸(Y軸)として得られるデータである。 すなわち、第2のキャリブレーションデータDc2は、基準位置1202に対するゴルフボールBの設置位置の補正と、基準方向1204に対する目標線Lの方向の補正とを行うためのデータである。

第1の時系列データ生成部5453は、ゴルファによってゴルフクラブ2がスウィングされる過程において第1の検出信号S1に基づいて生成した基準位置1202に対する第1の計測点1402の3次元位置データと基準方向1204に対する第1の計測方向1404の向きを示す向きデータとからなる実測データを、第1のキャリブレーションデータDc1を用いて補正することにより第1の時系列データD1を生成するものである。

第2の時系列データ生成部5454は、第1の時系列データD1を第2のキャリブレーションデータDc2を用いて補正することにより第2の時系列データD2を生成するものである。

記憶部5456は、3次元座標系において、ゴルフクラブ2ヘッドを再現した3次元形状モデルMを記憶するものである。 言い換えると、記憶部5456は、3次元形状モデルMをフェース面402の中心点410の3次元位置およびフェース面402の向きに関連付けて記憶するものである。 また、本実施の形態では、記憶部5456には、ゴルフクラブヘッド4のロフト角と、ゴルフボールBの直径とが予め登録されている。 本実施の形態では、記憶部5456は、演算手段のハードディスク装置36あるいはRAM34によって構成される。

挙動データ生成部5458は、第2の時系列データD2と、ゴルフクラブ2ヘッドの3次元形状モデルMとに基づいてゴルフクラブヘッド4の挙動を示すヘッド挙動データD3を生成するものである。 本実施の形態では、挙動データ生成部5458は、3次元形状モデルMの位置および向きの時系列データを算出する算出部5458Aと、前記の時系列データからヘッド挙動データD3を求める解析部5458Bとで構成されている。

ここで、ヘッド挙動データD3についてさらに説明する。 本実施の形態では、ヘッド挙動データD3は、以下のデータを含む。 (1)ゴルフクラブヘッド4の移動軌跡を示す時系列データとしての移動軌跡データ: 移動軌跡データは、後述するように、フェース面402の中心点410の移動軌跡によって示され(図21、図22)、あるいは、ゴルフクラブヘッド4の外形を示すアニメーションデータ(図23)によって示される。

(2)左右進入角θLR: 左右進入角θLRは、図16に示すように、フェース面402の中心点410の移動軌跡Tと目標線Lとを水平面に投影したときに、水平面上において移動軌跡Tと目標線Lとがなす角度をいう。なお、図中、矢印Fはゴルフクラブヘッド4の移動方向を示す。

(3)上下進入角θUD: 上下進入角θUDとは、図17に示すように、フェース面402の中心点410の移動軌跡Tと目標線Lとを目標線Lと平行する鉛直面に投影したときに、鉛直面上において移動軌跡Tと目標線Lとがなす角度をいう。

(4)フェース面402がゴルフボールBを打撃する直前におけるゴルフクラブヘッド4の向きを示す向きデータDf: 本実施の形態では、向きデータDfは、打撃時フェース角φと、打撃時ロフト角αと、打撃時ライ角βを含む。 以下、図18,図19,図20を参照して説明する。

(4−1)打撃時フェース角φは、図18に示すように、フェース面402がゴルフボールBを打撃する直前におけるフェース面402の中心点410を通る法線Hと目標線Lとを水平面に投影したときに、水平面上において法線Hと目標線Lとがなす角度によって示される。

(4−2)打撃時ロフト角αは、図19に示すように、フェース面402がゴルフボールBを打撃する直前におけるフェース面402の中心点410を通る法線Hと該法線Hと交差する水平面(床面G)と平行な平面とがなす角度によって示される。 ここで、挙動データ生成部5458による打撃時ロフト角αの生成は、第2の時系列データD2と、記憶部5456に予め登録されたゴルフクラブヘッド4のロフト角とに基づいてなされる。

(4−3)打撃時ライ角βは、図20に示すように、フェース面402がゴルフボールBを打撃する直前におけるシャフト軸602の延長線と、この延長線が交差する水平面(本例では床面G)とがなす角度によって示される。

(5)フェース面402がゴルフボールBに当たる箇所を示す打点位置のデータ: ここで、挙動データ生成部5458による打点位置のデータの生成は、第2の時系列データD2と、3次元形状モデルMと、記憶部5456に予め登録されたゴルフボールBの直径とに基づいてなされる。

なお、本実施の形態では、上述したヘッド挙動データD3のうち、少なくともゴルフクラブヘッド4の移動軌跡および打撃時フェース角φを算出できればよい。

(ボール挙動データ演算部452) つづいて、ボール挙動データ演算部452の構成について説明する。 図14に示すように、ボール挙動データ演算部452は、蓄積部5230と、信号強度分布データ生成部5232と、速度演算部5234と、移動方向演算部5235と、移動速度演算部5236と、スピン量演算部5238と、回転軸演算部5240とを含んで構成されている。

蓄積部5230は、第1乃至第4のドップラー信号SdA〜SdDと、トリガ信号trgとを予め定められたサンプリング周期で時間経過に従って順番に蓄積するものである。本実施の形態では、CPU430がドップラー信号Sdとトリガ信号trgを前記サンプリング周期でサンプリングしてRAM434にドップラー信号Sdのサンプリングデータおよびトリガ信号trgのサンプリングデータとして格納する。 蓄積部5330は、例えば、ボール計測ユニット20の電源が投入されると同時にサンプリング動作を開始する。 図24は、ゴルフクラブヘッド4によってゴルフボールBを打撃した際のドップラー信号Sdの一例を示す線図であり、横軸に時間t(sec)、縦軸に振幅(任意単位)をとっている。 図24において、初めの大きな振幅を呈する波形部分がゴルフクラブヘッド4によって生じるドップラー信号の部分を示し、その後に続く波形部分が打撃されたゴルフボールBによって生じるドップラー信号の部分を示している。

信号強度分布データ生成部5232は、蓄積部5230に蓄積された第1乃至第4のドップラー信号SdA〜SdDのサンプリングデータを周波数解析(連続FFT解析、あるいは、ウェーブレット解析)することによって信号強度分布データPをそれぞれ生成する。言い換えると、信号強度分布データ生成部5232は、ドップラーセンサ14から得られたドップラー信号Sdを周波数解析することにより周波数ごとの信号強度の分布を示す信号強度分布データPを生成する。 本実施の形態では、信号強度分布データ生成部5232は、蓄積部5230に蓄積されたトリガ信号trgに基づいて、蓄積部5230に蓄積された時系列データであるドップラー信号SdA〜SdDのサンプリングデータを予め定められた区間に特定して信号強度分布データPの生成を実施する。ここで、ドップラー信号Sdのサンプリングデータの区間は単一のトリガ信号trgに基づいて同期して特定される。 言い換えると、信号強度分布データ生成部5232は、垂れ流し方式で蓄積されているドップラー信号SdA〜SdDのサンプリングデータのうち、ゴルフボールBが打撃された後の区間におけるサンプリングデータを特定して信号強度分布データPの生成を実施する。

サンプリングデータを予め定められた区間に特定する方法としては以下の方法が例示される。 すなわち、信号強度分布データ生成部5232は、トリガ信号trgの検出時点を基準時点として、基準時点から数えてa個目までのサンプリングデータを除外し、a+1個目からb個目(a

この場合、a+1個目からb個目(a

数値a、bは、実際にゴルフクラブ2がスウィングされた場合のゴルフクラブヘッド4のスピードのばらつきを考慮して設定すればよい。 あるいは、トリガ信号trgの検出時点を基準時点として、経過時間に基づいてゴルフクラブヘッドによる影響を受けたデータが含まれないように、サンプリングデータを予め定められた区間に特定してもよい。 また、上記の数値a、bの設定は、基準位置Oに対してゴルフボールBが約1m移動した時点前後におけるサンプリングデータが得られるにように設定される。この理由は、ゴルフクラブヘッド4で打撃されたゴルフボールBが1m前後移動した時点における移動速度の変化がほぼ無視できるからである。

また、信号強度分布データPにはノイズが含まれているため、後述するドップラー周波数成分、あるいは、信号強度分布データPの幅(信号強度分布データPがなす山の幅)を正確かつ安定して検出するために、ノイズを抑制することが好ましい。 そこで、本実施の形態では、信号強度分布データ生成部5232は、信号強度分布データPを構成する信号強度Psについて移動平均を取る処理を実施することによりノイズの影響を抑制した信号強度分布データPを得るようにしている。

速度演算部5234は、第1乃至第4の信号強度分布データPA〜PDのそれぞれに基づいて、ゴルフボールBの移動速度に対応するドップラー周波数成分を検出し、それら検出したドップラー周波数成分に基づいて第1乃至第4の演算用速度VA〜VDを算出するものである。 各信号強度分布データPからドップラー周波数成分を検出する方法としては以下の手順が例示される。 (1)信号強度分布データPを構成する信号強度のデータについて移動平均を取ることによってノイズの影響を抑制した信号強度分布データPを得る。 (2)移動平均を取った信号強度分布データPにおいて信号強度のピーク値、あるいは、信号強度の山の中央値に対応する周波数をドップラー周波数成分(ドップラー周波数)として検出する。 なお、ドップラー周波数成分の検出方法は、各信号強度分布データPに含まれるノイズの影響を抑制し、ドップラー周波数成分を正確かつ安定して検出できればよいのであり、上記の手順に限定されるものではない。

ここで、ゴルフボールBの速度の計測原理について説明する。 従来から知られているように、ドップラー周波数Fdは式(1)で表される。 Fd=F1−F2=2・V・F1/c (1) ただし、V:ゴルフボールBの速度、c:光速(3・108m/s) したがって、式(1)をVについて解くと、(2)式となる。 V=c・Fd/(2・F1) (2) すなわち、ゴルフボールB2の速度Vは、ドップラー周波数Fdに比例することになる。 したがって、ドップラー信号Sdからドップラー周波数Fdの周波数成分を検出し、検出したドップラー周波数成分から式(2)に基づいてゴルフボールBの速度Vを求めることができる。 ところで、式(2)によって得られるゴルフボールBの移動速度は、アンテナの指向性を示す仮想軸と一致する方向の速度成分である。 したがって、ゴルフボールBの移動軌跡がアンテナの指向性を示す仮想軸に対して外れるほど式(2)によって得られるゴルフボールBの移動速度の誤差が増大する傾向となる。 そこで、本発明では、第1乃至第4のアンテナ12A〜12Dを用いて得られた第1乃至第4の速度VA〜VDと、実測されたゴルフボールBの移動方向との間に相関関係があり、また、それら第1乃至第4の速度VA〜VDと、実測されたゴルフボールBの移動速度との間に相関関係があることに着目した。 すなわち、予め上述した2つの相関関係を取得しておけば、それら2つの相関関係に基づいて第1乃至第4の速度VA〜VDからゴルフボールBの移動方向および移動速度を求めることが可能となる。

移動方向演算部5235は、予め得られている第1乃至第4の速度VA〜VDと実測されたゴルフボールBの移動方向との相関関係に基づいて、第1乃至第4の速度VA〜VDから移動方向を算出するものである。 本実施の形態では、ゴルフボールBの移動方向を次のように定義する。 図25、図26に示すように、基準位置Oを通る仮想線CLを含む基準鉛直面Pvと、基準位置Oを通り基準鉛直面Pvと直交する基準水平面Phとを設定する。 言い換えると、予め定められた基準位置Oを通り水平方向に延在する仮想線CLを含み鉛直方向に延在する平面を基準鉛直面Pvとする。基準位置Oを通り基準鉛直面Pvと直交する平面を基準水平面Phとする。 ゴルフボールBの移動軌跡を基準鉛直面Pvに投影した場合に投影した移動軌跡と基準水平面Ph(仮想線CL)とがなす角度を上下角度θyとする。 ゴルフボールBの移動軌跡を基準水平面Phに投影した場合に投影した移動軌跡と基準鉛直面Pvとがなす角度を左右角度θxとする。 ゴルフボールBの移動方向を上下角度θyと左右角度θxとで定義する。

本実施の形態では、鉛直方向において間隔dVをおいて配置された2つのアンテナを用いて実測して得た2つの速度の差分と、実測して得たゴルフボールBの上下角度θyとの相関関係に基づいて上下角度θyを算出する。 より詳細には、第1、第2のアンテナ12A、12Bを用いて実測して得た第1、第2の速度VA、VBの差分ΔVAB=VA−VBと第3、第4のアンテナ12C、12Dとを用いて得た第3、第4の速度VC、VDの差分ΔVCD=VC−VDとの平均値(ΔVAB+ΔVCD)/2を、第1乃至第4の速度VA〜VDの平均値ΔVaveで除算した第1の値D1=((ΔVAB+ΔVCD)/2)/ΔVaveを算出する。 また、予め実測して得た第1の値D1と、実測して得たゴルフボールBの上下角度θyとの相関関係に基づいて、第1の値D1から上下角度θyを算出する。 このように2組のアンテナを用いて得た2つの速度の差分の平均値から上下角度θyを算出することにより上下角度θyの値をより精度よく安定して求める上で有利となる。

移動速度演算部5236は、予め得られている第1乃至第4の演算用速度VA〜VDと実測されたゴルフボールBの移動速度Vαとの相関関係に基づいて、第1乃至第4の演算用速度VA〜VDから移動速度Vαを算出するものである。 移動速度演算部5236は、第1乃至第4の演算用速度VA〜VDの平均値Vaveと実測されたゴルフボールBの移動速度Vαとの相関関係に基づいて、平均値Vaveから移動速度Vαを算出する。

スピン量演算部5238は、予め得られている第1乃至第4の信号強度分布データPA〜PD、言い換えると第1乃至第4の信号強度分布データPの山の幅と、実測されたゴルフボールBのスピン量SPとの間に相関関係に基づいて、第1乃至第4の信号強度分布データPの山の幅から第1乃至第4のスピン量SPA〜SPDを算出するものである。

回転軸演算部5240は、予め得られているゴルフクラブヘッド4のヘッド挙動データD3と、実測されたゴルフボールBの回転軸方向との間に相関関係に基づいて、ゴルフクラブヘッド4のヘッド挙動データD3からゴルフボールBの回転軸方向RDを算出する。本実施の形態では、ゴルフボールBの回転軸方向RDをスピン量SPのバックスピン成分およびサイドスピン成分の比率として算出する。また、本実施の形態では、回転軸演算部5240は、ヘッド挙動データD3のうち、ゴルフクラブヘッド4の移動軌跡および打撃時フェース角φを用いて回転軸方向RDを算出する。

図27は、回転軸演算部5240による回転軸方向RDの算出を説明する説明図である。図27は、ゴルフクラブヘッド4によりゴルフボールBを打撃する際の各部の位置関係を模式的に示している。回転軸演算部5240では、ゴルフクラブヘッド4の移動軌跡、打撃時フェース角φおよびスピン量演算部5238で算出されたスピン量SPの3つのパラメータを用いて回転軸方向RDを算出する。 なお、従来の回転軸方向の算出方法としては、たとえばゴルフボールBの移動方向とゴルフクラブヘッド4の移動軌跡との角度差θとスピン量SPとから回転軸方向を算出する方法や、上記角度差θから回転軸方向を算出する方法、打撃時フェース角φから回転軸方向を算出する方法などが知られている。回転軸演算部5240のようにゴルフクラブヘッド4の移動軌跡、打撃時フェース角φおよびスピン量SPの3つのパラメータを用いることによって、従来技術と比較して高い精度で回転軸方向RDを算出することができる。

次に、(1)実測して得た第1乃至第4の速度VA〜VDと実測して得たゴルフボールBの移動方向との相関関係と、(2)実測して得た第1乃至第4の演算用速度VA〜VDの平均値Vaveと実測して得たゴルフボールBの移動速度Vαとの相関関係と、(3)実測して得た第1乃至第4の信号強度分布PA〜PDと実測して得たゴルフボールBの第1〜第4のスピン量SPとの相関関係と、(4)実測して得た第1乃至第4の信号強度分布PA〜PDおよびゴルフクラブヘッド4のヘッド挙動データD3と実測して得たゴルフボールBの回転軸方向RDとの相関関係の取得について説明する。

まず、専用のゴルフボール打ち出し装置(スイングロボット)によって基準位置Oに位置するゴルフボールBを、さまざまな速度、方向にて打ち出す。言い換えると、左右角度θx、上下角度θy、移動速度Vαを異ならせて打撃する。 そして、移動体の移動方向および移動速度を高精度に計測可能な基準計測器によってゴルフボールBの左右角度θx、上下角度θy、移動速度Vαを計測し、左右角度θx、上下角度θy、移動速度Vαの実測データを取得する。また、移動体のスピン量を高精度に計測可能な基準計測器によってゴルフボールBのスピン量SPを計測し、スピン量SPの実測データを取得する。また、移動体の回転軸方向を高精度に計測可能な基準計測器によってゴルフボールBの回転軸方向RD(すなわちスピン量SPのバックスピン成分とサイドスピン成分の比率、以下「スピン量成分の比率」という)を計測し、回転軸方向RD(スピン量成分の比率)の実測データを取得する。 また、移動速度Vαの計測と同時に、本実施の形態のボール計測ユニット20を用いることにより、速度演算部5234によって第1乃至第4の演算用速度VA〜VDを算出する。すなわち、左右角度θx、上下角度θy、移動速度Vαの実測データに対応する第1乃至第4の演算用速度VA〜VDを取得する。また、スピン量SPの計測と同時に、本実施の形態のボール計測ユニット20を用いることにより、信号強度分布データ生成部5232によって第1乃至第4の信号強度分布PA〜PDを算出する。すなわち、スピン量SPの実測データに対応する第1乃至第4の信号強度分布データPの山の幅を取得する。また、回転軸方向RDの計測と同時に、本実施の形態のゴルフクラブ計測ユニット30を用いることにより、挙動データ生成部5458によってゴルフクラブヘッド4のヘッド挙動データD3を算出する。

(1)実測して得た第1乃至第4の速度VA〜VDと実測して得たゴルフボールBの移動方向との相関関係については以下のように求める。 そして、上下角度θyの実測データと、第1乃至第4の速度VA、VB、VC、VDから算出された第1の値D1との相関関係に基づいて上下角度θy算出用の相関式(回帰式)を求める。

言い換えると、上下角度θyと、第1の値D1との関係を離散的に計測したデータを取得する。そして、取得したデータを従来公知の最小二乗法などを用いて回帰分析することによって上下角度θyを第1の値D1の関数(多項式)によって表わした相関式を求める。すなわち、このようにして求められた相関式によって上下角度θyと第1の値D1との関係を示す特性線を得ることができる。 同様に、左右角度θxの実測データと、第1乃至第4の速度VA、VB、VC、VDから算出された第2の値D2との相関関係に基づいて左右角度θx算出用の相関式(回帰式)を求める。 言い換えると、左右角度θxと、第2の値D2との関係を離散的に計測したデータを取得する。そして、取得したデータを従来公知の最小二乗法などを用いて回帰分析することによって左右角度θxを第2の値D2の関数(多項式)によって表わした相関式を求める。すなわち、このようにして求められた相関式によって左右角度θxと第2の値D2との関係を示す特性線を得ることができる。 したがって、これら2つの相関式を用いることにより、第1乃至第4の速度VA、VB、VC、VDから左右角度θxおよび上下角度θyを求めることが可能となる。 本実施の形態では、移動方向演算部5235は上下角度θy算出用の相関式および左右角度θx算出用の相関式を用いることで第1乃至第4の速度VA、VB、VC、VDから左右角度θxおよび上下角度θyをゴルフボールBの移動方向として算出する。 したがって、本実施の形態では、移動方向演算部5235による移動方向の算出は、予め実測され得られている第1乃至第4の速度VA〜VDと予め実測され得られているゴルフボールBの移動方向との相関関係を示す移動方向算出用の相関式に基づいてなされる。 なお、上記のような相関式に代えて、相関式によって示される特性線のデータを左右角度θx算出用のマップとしてあるいは上下角度θy算出用のマップとして記憶しておき、各マップを用いて左右角度θxおよび上下角度θyを算出してもよい。その場合にはそれらマップを例えばROMに設けるなど任意である。

(2)実測して得た第1〜第4の演算用速度VA〜VDと実測して得たゴルフボールBの移動速度Vαとの相関関係については以下のように求める。 基準計測器で計測した移動速度Vαの実測データと、第1〜第4の演算用速度VA〜VDの平均値Vaveとの相関関係に基づいて移動速度算出用の相関式(回帰式)を求める。 言い換えると、移動速度Vαと、平均値Vaveとの関係を離散的に計測したデータを取得する。そして、取得したデータを従来公知の最小二乗法などを用いて回帰分析することによって移動速度Vαを平均値Vaveの関数(多項式)によって表わした相関式を求める。すなわち、このようにして求められた相関式によって移動速度Vαと平均値Vaveとの関係を示す特性線を得ることができる。 したがって、このようにして求めた相関式を用いることにより、平均値Vaveから移動速度Vαを求めることが可能となる。 本実施の形態では、移動速度演算部5236は上記の相関式を用いることで平均値VaveからゴルフボールBの移動速度Vαを算出する。 したがって、本実施の形態では、移動速度演算部5236による移動速度の算出は、予め実測され得られている平均値Vaveと予め実測され得られているゴルフボールBの移動速度との相関関係を示す移動速度算出用の相関式に基づいてなされる。 なお、移動速度Vαの場合も、上記のような相関式に代えて、相関式によって示される特性線のデータを移動速度Vα算出用のマップとして記憶しておき、マップを用いて移動速度Vαを算出してもよく、それらマップをROMに設けるなど任意である。

(3)実測して得た第1乃至第4の信号強度分布PA〜PDと実測して得たゴルフボールBの第1〜第4のスピン量SPとの相関関係については以下のように求める。 基準計測器で計測したスピン量SPの実測データと、第1乃至第4の信号強度分布PA〜PD(第1乃至第4の信号強度分布データPの山の幅)の平均値Paveとの相関関係に基づいてスピン量算出用の相関式(回帰式)を求める。 言い換えると、スピン量SPと、信号強度分布データPの山の幅の平均値Paveとの関係を離散的に計測したデータを取得する。そして、取得したデータを従来公知の最小二乗法などを用いて回帰分析することによってスピン量SPを信号強度分布データPの山の幅の平均値Paveの関数(多項式)によって表わした相関式を求める。 すなわち、このようにして求められた相関式によってスピン量SPと信号強度分布データPの山の幅の平均値Paveとの関係を示す特性線を得ることができる。 したがって、このようにして求めた相関式を用いることにより、信号強度分布データPの山の幅の平均値Paveからスピン量SPを求めることが可能となる。 本実施の形態では、スピン量演算部5238は上記の相関式を用いることで信号強度分布データPの山の幅の平均値PaveからゴルフボールBのスピン量SPを算出する。 したがって、本実施の形態では、スピン量演算部5238によるスピン量SPの算出は、予め実測され得られている信号強度分布データPの山の幅の平均値Paveと予め実測され得られているゴルフボールBのスピン量SPとの相関関係を示すスピン量算出用の相関式に基づいてなされる。 なお、移動速度演算部5236と同様に、上記のような相関式に代えて、相関式によって示される特性線のデータをスピン量算出用のマップとして記憶しておき、マップを用いてスピン量SPを算出してもよい。

(4)実測して得たゴルフクラブヘッド4のヘッド挙動データD3と実測して得たゴルフボールBの回転軸方向RD(スピン量成分の比率)との相関関係については以下のように求める。 基準計測器で計測したゴルフボールBの回転軸方向RDの実測データと、ヘッド挙動データD3との相関関係に基づいて回転軸方向(スピン量成分の比率)算出用の相関式(回帰式)を求める。この相関式は、ヘッド挙動データD3のうち、ゴルフクラブヘッド4の移動軌跡および打撃時フェース角φをパラメータとする。 言い換えると、回転軸方向RDと、ヘッド挙動データD3との関係を離散的に計測したデータを取得する。そして、取得したデータを従来公知の最小二乗法などを用いて回帰分析することによって回転軸方向RDをヘッド挙動データD3(より詳細にはゴルフクラブヘッド4の移動軌跡および打撃時フェース角φ)の関数(多項式)によって表わした相関式を求める。 すなわち、このようにして求められた相関式によって回転軸方向RDとヘッド挙動データD3との関係を示す特性線を得ることができる。 したがって、このようにして求めた相関式を用いることにより、ヘッド挙動データD3から回転軸方向RDを求めることが可能となる。 本実施の形態では、回転軸演算部5240は上記の相関式を用いることでヘッド挙動データD3からゴルフボールBの回転軸方向RDを算出する。 したがって、本実施の形態では、回転軸演算部5240による回転軸方向RDの算出は、予め実測され得られているヘッド挙動データD3と予め実測され得られているゴルフボールBの回転軸方向RDとの相関関係を示す回転軸方向算出用の相関式に基づいてなされる。 なお、移動速度演算部5236と同様に、上記のような相関式に代えて、相関式によって示される特性線のデータを回転軸方向算出用のマップとして記憶しておき、マップを用いて回転軸方向RDを算出してもよい。

(ボール計測システム10の動作) 次に、ボール計測システム10の動作について図28〜図30のフローチャートを参照して説明する。 まず、図28および図29を参照して、本計測に先立つ設定動作について説明する。 図28はゴルフクラブ計測ユニット30の設定動作を示すフローチャートである。 図28の処理に先立って、トランスミッタ312は、予め所定の位置に固定して設置されている。 まず、図8、図10乃至図12に示すように、計測対象となるゴルフクラブ2を、設定されたライ角およびロフト角通りとなるように保持手段320に保持させておく(ステップS10:保持ステップ)。

次に、適宜箇所において保持手段320がゴルフクラブ2を保持した状態で、ゴルフクラブ計測ユニット30および演算ユニット40を起動させ、第1キャリブレーションを実行する(ステップS12:第1キャリブレーションステップ)。 すなわち、第1キャリブレーション部5450は、第1の検出信号S1と第2の検出信号S2とに基づいて、第1の計測点1402に対するフェース面402の中心点410の3次元位置データと、第1の計測方向1404に対するゴルフクラブヘッド4のフェース面402の向きを示す向きデータとを第1のキャリブレーションデータDc1として得る。 ここで、トランスミッタ312と、ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314および保持手段側3次元磁気センサ316との距離を短くすることが好ましい。 その理由は、トランスミッタ312と磁気センサ314,16の距離を短くするほど、磁束密度の高いエリアでの計測が可能となり、精度を確保する上で有利となるためである。

次いで、図31に示すように、保持手段320からゴルフクラブヘッド4を取り外したのち、保持手段320をボール載置位置P0および目標線Lを基準として位置決めして床面G上に載置する(ステップS14:保持手段位置決めステップ)。 すなわち、図10、図11に示すように、平面視した状態で、保持手段側3次元磁気センサ316の第2の計測点1602がボール載置位置P0に位置するゴルフボールBの中心点P1と合致し、かつ、第2の計測方向1604が、目標線Lと合致するように、保持手段320を位置させる。 ステップS14では、ステップS10においてトランスミッタ312の近傍に位置させていた保持手段320を、トランスミッタ312から離間したボール載置位置P0に移動させることになる。

次に、第2キャリブレーション部5452によって、第2の検出信号S2に基づいて、基準位置1202に対する第2の計測点1602の3次元位置データと、基準方向1204に対する第2の計測方向1604の向きを示す向きデータとを第2のキャリブレーションデータDc2として得る(ステップS16:第2キャリブレーションステップ)。 すなわち、第2のキャリブレーションデータDc2は、保持手段320がボール載置位置P0に移動された状態における(第2の計測点1602がボール載置位置P0に合致しかつ第2の計測方向1604が目標線Lに合致した状態における)保持手段側3次元磁気センサ316のトランスミッタ312に対する3次元位置と方向とを示す。 ステップS16が終了したならば、保持手段320をボール載置位置P0からゴルフクラブ2のスウィングの邪魔にならない位置に移動させる。 以上によりゴルフクラブ計測ユニット30の設定動作が終了する。 なお、使用するゴルフクラブ2について、いったん第1、第2キャリブレーションを実施した以降は、図28の処理は省略することができる。 また、ボール載置位置P0あるいは目標線Lを変更した場合は、ステップS10,S12の処理を省略し、S14以降のみを実施すればよい。

つぎに、図29を参照してボール計測ユニット20の設定動作を説明する。 まず、専用のゴルフボール打ち出し装置(スイングロボット)を用いてゴルフボールBを、移動方向と移動速度Vαを異ならせて打撃し、左右角度θx、上下角度θy、移動速度Vα、スピン量SP、および回転軸方向RDを実測する(ステップS50)。 同時に、ボール計測ユニット20を用いて第1乃至第4の演算用速度VA〜VDおよび第1乃至第4の信号強度分布データPの山の幅を計測するとともに(ステップS52)、ゴルフクラブ計測ユニット30を用いてゴルフクラブヘッド4のヘッド挙動データD3を計測する(ステップS53)。 次いで、演算ユニット40の移動方向演算部5235により、第1乃至第4の速度VA〜VDに基づいて算出した第1の値D1および第2の値D2に基づいて、第1の値D1と上下角度θyとの相関関係を示す相関式および第2の値D2と左右角度θxとの相関関係を示す相関式を算出する(ステップS54)。なお、第1の値D1=((ΔVAB+ΔVCD)/2)/Vave(ΔVAB=VA−VB、ΔVCD=VC−VD)、第2の値D2=((ΔVAC+ΔVBD)/2)/ΔVave(ΔVAC=VA−VC、ΔVBD=VB−VD)である。 次いで、演算ユニット40の移動速度演算部5236により、第1乃至第4の演算用速度VA〜VDの平均値Vaveと移動速度Vαとの相関関係を示す相関式を算出する(ステップS55)。また、演算ユニット40のスピン量演算部5238により、第1乃至第4の信号強度分布データPの山の幅の平均値Paveとスピン量SPとの相関関係を示す相関式を算出する(ステップS56)。さらに、演算ユニット40の回転軸方向演算部5240により、ヘッド挙動データD3と回転軸方向RDとの相関関係を示す相関式を算出する(ステップS57)。 そして、ステップS54,S55,S56,S57によって得られた4つの相関式を各部に設定する(ステップS58)。 以上によりボール計測ユニット20の設定動作が終了する。

つぎに、図30を参照して、ボール計測システム10の本計測時の動作について説明する。 まず、使用者は、ゴルフボールBの打ち出し方向においてゴルフボールBから例えば1.5m〜2m程度後方の箇所にボール計測ユニット20を設置する。このとき、第1乃至第4のアンテナの12A〜12DがゴルフボールBに向くようにケース26を設置する。 これにより、第1乃至第4のアンテナの12A〜12Dから送出された送信波W1がゴルフボールBに当たり、反射波W2が第1乃至第4のアンテナの12A〜12Dに受信可能な状態となる。 使用者が所定の操作をおこなうことにより、ボール計測システム10は各種パラメータを計測する計測モードに設定される(ステップS70)。

計測モードに設定されると、ボール計測ユニット20において、第1乃至第4のドップラー信号SdA〜SdDとトリガ信号trgの蓄積部5230へのサンプリングが開始される(ステップS72)。 ここで、図15に示すように、使用者がゴルフボールBをボール載置位置P0に載置し、ゴルフクラブ2をスウィングしてゴルフボールBをターゲットCに向けて打ち出すと、打撃音がボール計測ユニット20のマイク16によって収音される。トリガ信号発生部18は、ドップラー信号Sdを受信し、かつ、打撃音の音声信号が予め定められたしきい値を上回ったときに、トリガ信号trgを生成して演算ユニット40に供給し、これによりトリガ信号trgが蓄積部5230に供給される。

信号強度分布データ生成部5232は、蓄積部5230にサンプリングされたトリガ信号trgの検出の有無を判定しており(ステップS74)、トリガ信号trgを検出しなければ、ステップS74を繰り返す。 トリガ信号trgを検出された場合(ステップS74:Yes)、すなわち、使用者がゴルフクラブ2をスウィングした場合、ゴルフクラブ計測ユニット30では、このスウィングの過程において、第1の時系列データ生成部5453は、第1の検出信号S1に基づいて生成した実測データを、第1のキャリブレーションデータDc1を用いて補正することにより第1の時系列データD1を生成する(ステップS76:第1の時系列データ生成ステップ)。 すなわち、実測データを第1のキャリブレーションデータDc1を用いて補正することにより、トランスミッタ312に対するフェース面402の中心点410の3次元位置データおよびフェース面402の向きを示す向きデータからなる第1の時系列データD2が生成される。 しかしながら、第1の時系列データD1は、ボール載置位置P0と目標線Lとに関する補正がなされていないので、第1の時系列データD1は未だ正確なものではない。

次に、第2の時系列データ生成部5454は、第1の時系列データD1を第2のキャリブレーションデータDc2を用いて補正することにより第2の時系列データD2を生成する(ステップS78:第2の時系列データ生成ステップ)。 すなわち、第1の時系列データD1を第2のキャリブレーションデータDc2を用いて補正することにより、ボール載置位置P0と目標線Lとに関する補正がなされた正確な第2の時系列データD2が得られる。

次いで、挙動データ生成部5458は、第2の時系列データD2と、記憶部5456から読み出したゴルフクラブヘッドの3次元形状モデルMとに基づいてゴルフクラブヘッド4の挙動を示すヘッド挙動データD3を生成する(ステップS80:挙動データ生成ステップ)。 すなわち、挙動データ生成部5458は、ステップS20で得られたフェース面402の中心点410の3次元位置データとフェース面402の向きを示す向きデータとからなる時系列データに基づいて3次元形状モデルMを仮想空間上で動かすことにより、ヘッド挙動データD3を生成する。

また、ボール計測ユニット20では、トリガ信号trgを検出すると(ステップS74:Yes)、信号強度分布データ生成部5232においてトリガ信号trgの検出時点から予め定められた区間にわたる第1乃至第4のドップラー信号SdA〜SdDのサンプリングデータを特定する(ステップS82)。 そして、信号強度分布データ生成部5232は、第1乃至第4の信号強度分布データPを生成する(ステップS84)。 次いで、速度演算部5234は、第1乃至第4の信号強度分布データPから第1乃至第4の演算用速度VA〜VDを算出する(ステップS86)。 次いで、移動方向演算部5235は、予め設定されている相関式から第1乃至第4の演算用速度VA〜VDに基づいて移動速度方向(左右角度θxおよび上下角度θy)を算出する(ステップS88)。 次いで、移動速度演算部5236は、予め設定されている相関式から第1乃至第4の演算用速度VA〜VDの平均値Vaveに基づいて移動速度Vαを算出する(ステップS90)。 次いで、スピン量演算部5238は、予め設定されている相関式から第1乃至第4の信号強度分布データPの山の幅の平均値Paveに基づいてスピン量SPを算出する(ステップS92)。 次いで、回転軸演算部5240は、ゴルフクラブ計測ユニット30で測定されたヘッド挙動データD3(打撃時フェース角φおよび移動軌跡)とステップS92で算出されたスピン量SPとを用いて、ゴルフボールBの回転軸方向RDを算出する(ステップS94)。 このようにして得られた各種のパラメータ(計測結果)は、演算ユニット40の出力部460に供給されて出力される(ステップS96)。

図32は、出力部460における計測結果の表示出力例を示す説明図である。図32において、表示画面Mの上部には、ゴルフコースをイメージした周辺画像とともに、ボール設置位置P0からのゴルフボールBの移動軌跡FR(より詳細には、ゴルフボールBの位置の所定時間ごとのプロット)が表示される。 また、表示画面Mの下部には、ボール計測ユニット20およびゴルフクラブ計測ユニット30で計測された各種のパラメータPRが表示される。パラメータPRには、ゴルフクラブヘッド4のヘッドスピードやゴルフボールBのボールスピード等が含まれる。 また、パラメータPRにおいて、回転軸方向RDは、バックスピンおよびサイドスピンの量として表示される。スピン量SPの単位は(rpm)である。なお、バックスピンの場合のスピン量SPの表現は、例えば、逆回転方向のスピン量は正の値、順回転方向のスピン量は負の値で示すことができる。また、サイドスピンの場合のスピン量SPの表現は、例えば、平面視時計回り方向のスピン量は正の値で、反時計回り方向のスピン量は負の値で示すことができる。 また、回転軸方向RDの単位を(度)として表示してもよい。この場合、回転軸方向RDの表現は、例えば、回転軸が水平面に対して右上がりであれば角度を正の値で、左上がりであれば角度を負の値で示すことができる。

以上説明したように本実施の形態によれば、ゴルフボールBの打撃時におけるゴルフクラブヘッド4の移動軌跡および打撃時フェース角φに基づいて、ゴルフボールBの回転軸方向を算出するようにした。したがって、従来のようにゴルフボールBの移動方向とゴルフクラブヘッド4の移動軌跡との角度差θとスピン量SPとから回転軸方向を算出する方法や、上記角度差θから回転軸方向を算出する方法、打撃時フェース角φから回転軸方向RDを算出する方法などと比較して、回転軸方向との相関性が高いパラメータを用いて回転軸の算出をおこなうことができ、精度高くゴルフボールBの回転軸方向を算出することができる。

また、本実施の形態によれば、スピン量SPをバックスピン成分およびサイドスピン成分とに分解することによって回転軸方向RDを算出する。したがって、2つの計測ユニット(ボール計測ユニット20およびゴルフクラブ計測ユニット30)の計測データを合わせて回転軸方向RDを算出することができ、より精度高くゴルフボールBの回転軸方向を算出することができる。

また、本実施の形態によれば、トランスミッタ312と、ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314とを用いてゴルフクラブヘッド4の3次元位置データと向きデータとからなる第2の時系列データD2を得ると共に、第2の時系列データD2とゴルフクラブヘッド4の3次元形状モデルMとに基づいてスウィング中のゴルフクラブヘッド4の挙動を示すヘッド挙動データD3を得るようにした。 したがって、従来の画像データを用いる技術に比較してカメラなどの撮像装置が不要となり、撮像スペースを確保する必要がないため、構成の簡素化および省スペース化、低コスト化を図りつつ、ゴルフクラブヘッド4の挙動を的確に計測する上で有利となる。 また、従来の画像データを用いる技術に比較してゴルフクラブヘッド4の計測範囲を広く確保でき、スウィングの全体にわたって計測を行うことができる。

また、本実施の形態では、ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314によって検出された第1の検出信号S1に基づいて生成した実測データを、第1のキャリブレーションデータDc1を用いて補正することにより第1の時系列データD1を生成し、第1の時系列データD1を第2のキャリブレーションデータDc2を用いて補正することにより第2の時系列データD2を生成するようにした。 すなわち、第1の時系列データD1を第2のキャリブレーションデータDc2を用いて補正することにより、ボール載置位置P0と目標線Lとに関する補正がなされた正確な第2の時系列データD2を得るようにした。 したがって、ボール載置位置P0あるいは目標線Lが変更された場合には、第2のキャリブレーションデータDc2を取得しなおすことによって、正確な第2の時系列データD2を得ることができる。 したがって、ゴルフクラブ2、トランスミッタ312、保持手段320の設置レイアウトの変更の自由度を確保する上で有利となるため、設置場所を移動する場合に簡単にゴルフクラブヘッド4の挙動の計測を行うことができる。また、実際のゴルフ練習場などレイアウトの制限を受けやすい場所であっても容易に設置することができる。 また、ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314と、保持手段側3次元磁気センサ316とをトランスミッタ312に近接した箇所に位置させることによって、第1のキャリブレーションデータDc1を高い精度で得ることができ、ヘッド挙動データD3の精度を高める上で有利となる。

また、本実施の形態では、保持手段側3次元磁気センサ316を用いて第2のキャリブレーションデータDc2を得る場合について説明した。 しかしながら、保持手段側3次元磁気センサ316と別にボール位置計測用3次元磁気センサを設け、このボール位置計測用3次元磁気センサを用いて第2のキャリブレーションデータDc2を得るようにしてもよい。 すなわち、前記のボール位置計測用3次元磁気センサは、第3の計測点および第3の計測方向を有し、第3の計測点の周りの磁気を互いに直交する3軸方向で感知すると共に、基準位置に対する第2の計測点の3次元位置および基準方向に対する第3の計測方向の向きに応じて第3の検出信号を出力する。 そして、平面視した状態で、第3の計測点が予め定められたボール設置位置P0と合致し、かつ、第3の計測方向の向きがボール設置位置P0とゴルフボールの目標点とを結ぶ目標線Lの向きと合致するように、ボール位置計測用3次元磁気センサを位置させる。 この状態で、第2キャリブレーション部5452は、第3の検出信号に基づいて、基準位置1202に対する第3の計測点の3次元位置データと、基準方向1204に対する第3の計測方向の向きを示す向きデータとを第2のキャリブレーションデータDc2として取得する。 上述したようにボール位置計測用3次元磁気センサを保持手段側3次元磁気センサ316と別に設けても用いてもよいが、本実施の形態のように、保持手段側3次元磁気センサ316を用いて第2のキャリブレーションデータDc2を得ると、言い換えると、保持手段側3次元磁気センサ316によって前記のボール位置計測用3次元磁気センサを兼用すると、構成の簡素化、低コスト化を図る上で有利となる。

なお、本実施の形態では、ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314をゴルフクラブ2のグリップ部3に設けたが、ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314をゴルフクラブヘッド4に設けても良い。 しかしながら、本実施の形態のようにゴルフクラブ側3次元磁気センサ314をグリップ部3に設けると、ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314が目立たず、また、スウィングの際に邪魔となりにくいため、使い勝手を高める上で有利となる。

(ゴルフクラブ計測ユニット30の変形例) また、本実施の形態では、第1の時系列データD1を第2のキャリブレーションデータDc2を用いて補正することにより、ボール載置位置P0と目標線Lとに関する補正がなされた正確な第2の時系列データD2を得るようにした。 しかしながら、トランスミッタ312の基準位置1202に対するボール載置位置P0が固定して定められ、かつ、トランスミッタ312の基準方向1204に対する目標線Lが固定して定められるという条件が成立するならば、第2のキャリブレーションデータDc2による補正は不要となる。 すなわち、ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314によって検出された第1の検出信号S1に基づいて生成した実測データを、第1のキャリブレーションデータDc1を用いて補正することにより生成した第1の時系列データD1を用いて挙動データD3を得ることができることになる。 したがって、上記条件が満たされるならば、第2のキャリブレーションデータDc2を使用することなく、挙動データD3を得ることができ、第2のキャリブレーションデータDc2を得る保持手段側3次元磁気センサ316を省略することができる。

図33は、変形例にかかるゴルフクラブ計測ユニット30’の構成を示す説明図である。図33に示すように、変形例にかかるゴルフクラブ計測ユニット30’は、トランスミッタ312と、ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314と、コントローラ・データ処理装置318を含んで構成されている。

トランスミッタ312は、第1の実施の形態と同様に構成されている。 トランスミッタ312は、予め定められた位置に設置されており、具体的には、ボール載置位置P0の近傍の箇所に設置されている。 また、第1の実施の形態と同様に、トランスミッタ312のX軸およびY軸が水平面上を延在し、Z軸が鉛直方向を向くように設置され、トランスミッタ312の中心位置を予め定められた基準位置1202とし、基準位置1202を通るY軸方向を予め定められた基準方向1204とする。 図33に示す変形例では、ボール載置位置P0に対する基準位置1202が固定されており、かつ、目標線Lに対する基準方向1204が固定されている。

ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314は、第1の実施の形態と同様に構成されており、第1の測定点1402および第1の測定方向1404を有し、基準位置1202に対する第1の測定点1402の3次元位置および基準方向1204に対する第1の測定方向1404の向きに応じて第1の検出信号S1を出力するものである。 図33に示す変形例では、第1の測定点1402はゴルフクラブ側3次元磁気センサ314の中心位置であり、第1の測定方向1404は第1の測定点1402を通るY軸方向である。 ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314は、ゴルフクラブ2のシャフト6のうちクラブヘッド4の近傍箇所に固定されている。 図33に示す変形例では、ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314は、Y軸(第1の測定方向1404)をゴルフクラブ2の打撃方向と平行させ、かつ、Z軸をシャフト軸と平行させている。

このような変形例によれば、第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、以下の効果が奏される。 1)第1の実施の形態に比較して保持手段側3次元磁気センサ316が不要となるため、ゴルフクラブ側3次元磁気センサ314のみを設ければよいため、構成の簡素化、コストダウンを図る上で有利となる。 2)保持手段側3次元磁気センサ316が不要となるため、保持手段側3次元磁気センサ316の取り付け位置の誤差などに起因する誤差成分を除去でき、測定精度の向上を図る上で有利となる。

なお、図33に示した変形例では、トランスミッタ312の基準位置1202,基準方向1204と、ゴルフボール設置位置P0と、目標線Lとの位置関係および方向を固定しなくてはならない。 したがって、ユニットの設置に際しては、トランスミッタ312が固定されたプレートを用意し、このプレートに、ゴルフボール設置位置P0と、目標線Lとをマークなどにより視認可能に表示し、このようなプレート上で測定を行うようにすればよい。

(実施の形態2) 図34は、実施の形態2にかかるボール計測システム10’の概略構成を示す説明図である。実施の形態1では、ゴルフクラブ計測ユニット30を、トランスミッタとゴルフクラブ側3次元磁気センサによって構成した。実施の形態2では、ゴルフクラブ計測ユニット30を、無線通信機能を有する小型のセンサユニットとし、この小型センサユニットをゴルフクラブ2のシャフト6に取り付けてゴルフクラブ2の挙動を計測する。

ゴルフクラブ計測ユニット30には、計測点における加速度を計測する加速度センサ、計測点における地磁気を計測する地磁気センサ、および計測点における角速度を計測するジャイロセンサが内蔵されている。各センサの計測データは、無線通信によって演算ユニット40に送信される。 演算ユニット40では、加速度センサの計測データを積分することによって、基準点からの移動距離を求める。また、ジャイロセンサの計測データを用いて基準点からの移動方向の軌跡を求める。また、地磁気センサの計測データを用いることによって、地表との相対方向、すなわち絶対方向を求める。 なお、本実施の形態では、演算ユニット40として、スマートホン等の小型情報端末を用いてもよい。

つぎに、ボール計測システム10’における計測の手順について説明する。 まず、ゴルフクラブ2のシャフト6にゴルフクラブ計測ユニット30(小型センサ)を取り付ける。ゴルフクラブ計測ユニット30の取り付け位置は、グリップ端やシャフト6の途中など使用者の邪魔にならない場所にする。 つぎに、ゴルフクラブ計測ユニット30のキャリブレーションをおこなう。キャリブレーションは、たとえば、使用者がゴルフクラブ2を基準位置に保持して、ゴルフクラブ計測ユニット30に設けられたキャリブレーション用スイッチを押すなどしておこなう。 基準位置は、打撃時フェース角をボール計測ユニット20の仮想線CL(目標方向)と垂直とし、ライ角をスコアラインが水平になる位置、またはゴルフクラブ2の設定ライ角とし、シャフト6の前後方向を垂直に立てた位置とする。 ゴルフクラブ計測ユニット30では、キャリブレーション用スイッチが押された際の位置情報および姿勢情報(加速度センサでは姿勢情報のみ)を各センサで取得して校正値として保存する。 ここまでの動作がゴルフクラブ計測ユニット30の設定動作となる。

その後、実施の形態1と同様に、ゴルフクラブ2をスウィングさせ、本測定をおこなう。各センサの計測データは、無線通信によって演算ユニット40に送信される。演算ユニット40は、各センサの計測データを用いて、ゴルフクラブヘッド4の打撃時フェース角φおよび移動軌跡を含むヘッド挙動データを算出する。そなお、各センサの計測データを用いてヘッド挙動データを算出する方法としては、従来公知の様々な方式を採用することができる。 そして、実施の形態1と同様に、ゴルフクラブヘッド4の打撃時フェース角φおよび移動軌跡を用いてゴルフボールBの回転軸方向を算出し、その結果を出力する。

なお、ゴルフクラブ計測ユニット30での計測の終了は、たとえばゴルフクラブ計測ユニット30で打撃時の衝撃を感知して自動でおこなう。また、使用者による計測用スイッチの操作や演算ユニット40による制御によって計測を終了してもよい。

なお、ゴルフクラブ計測ユニット30に内蔵するセンサは、加速度センサおよびジャイロセンサ、または加速度センサおよび地磁気センサの2つを組み合わせたものであってもよい。

実施の形態2によれば、ゴルフクラブ計測ユニット30による計測データを無線通信を用いて演算ユニット40に送信することができるので、実施の形態1のように有線通信で測定データを送信する場合と比較して、計測前後における使用者の動きの自由度を高めることができる。また、ゴルフクラブ計測ユニット30が小型のセンサユニットのみであるので、屋外等にも簡単に搬送することができ、使用者の利便性を向上させることができる。

2……ゴルフクラブ、4……ゴルフクラブヘッド、6……シャフト、10……ボール計測システム、12……アンテナ、14……ドップラーセンサ、20……ボール計測ユニット、30……ゴルフクラブ計測ユニット、40……演算ユニット、314……ゴルフクラブ側3次元磁気センサ、316……保持手段側3次元磁気センサ、452……ボール挙動データ演算部、454……ヘッド挙動データ演算部、460……出力部。

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