移動体

申请号 JP2015544264 申请日 2015-03-04 公开(公告)号 JP5854181B1 公开(公告)日 2016-02-09
申请人 株式会社村田製作所; 发明人 辻 滋; 久保 昌幸; 白土 賢一; 羽根 宜孝; 近藤 靖浩; 菰田 篤人; 林 毅至;
摘要 移動体(1)は、本体部(10)と、主輪(11)と、支持部(12)と、補助輪(13)と、不図示の阻止部と、傾斜 角 センサ(20)と、ジャイロセンサ(24)と、着座板(51)と、傾斜角センサ(20)と、制御部(21)と、主輪駆動部(26)と、ユーザI/F(28)と、手動ブレーキ(29)と、補助センサ(30)と、を備えている。制御部(21)は、倒立振子制御を行う第1の制御モードと第2の制御モードとを有する。制御部(21)は第2の制御モードにおいて、本体部(10)と支持部(12)との成す角度がθ1よりも小さいθ2となるまで主輪(11)の回転を駆動、制御し、倒立振子制御をオフする。θ2は、本体部(10)の 重心 が主輪(11)の回転軸と第2車輪の回転軸との間にくる角度に、阻止部により予め設定されている。
权利要求

第1車輪と、 前記第1車輪とは異なる回転軸で回転する第2車輪と、 前記第1車輪と前記第2車輪とをつなぐ支持部と、 前記第1車輪の回転軸または前記支持部に対してピッチ方向に回転可能に支持されている本体部と、 前記第1車輪を駆動、制御する駆動制御部と、 前記本体部のピッチ方向の傾斜の角度変化を検出する角度変化検出部と、 を備え、 前記駆動制御部は、 前記角度変化検出部の出に基づいて、前記本体部の角度変化が0となるように、かつ前記本体部の鉛直方向に対する角度が所定角度になるように、前記第1車輪の回転を制御する倒立振子制御を行う第1の制御モードと、 前記第1の制御モードでの制御時よりも前記本体部の重心が安定する位置まで前記本体部を前記第2車輪側へ傾け、前記倒立振子制御をオフする第2の制御モードと、を有し、 前記第1の制御モードと前記第2の制御モードとを切り替える切替手段を備えたことを特徴とする移動体。前記本体部と前記支持部との成す角度が一定未満になるような前記本体部の傾きを阻止する阻止部を備え、 前記駆動制御部は、前記阻止部によって阻止されるまで前記本体部を前記第2車輪側へ傾けることを特徴とする請求項1に記載の移動体。前記第2車輪は、前記第1車輪の回転による前記支持部の進行方向に対して、前記第1車輪より後ろに位置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の移動体。前記本体部は、前記第1車輪の回転軸に対してピッチ方向に回転可能に支持されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の移動体。前記駆動制御部は、前記第1車輪の回転停止の指示を受け付けた場合に、前記第1の制御モードから前記第2の制御モードに切り替えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の移動体。障害物検知センサを備え、 前記切替手段は、前記障害物検知センサの出力に応じて、前記第1の制御モードと前記第2の制御モードとを切り替えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の移動体。衝撃検知センサを備え、 前記切替手段は、前記衝撃検知センサの出力に応じて、前記第1の制御モードと前記第2の制御モードとを切り替えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の移動体。前記本体部に、一端が回転可能に連結された着座板と、 前記着座板が前記本体部に対して所定の角度になったか否かを検知する着座板センサと、を備え 前記切替手段は、前記着座板センサの出力に応じて、前記第1の制御モードと前記第2の制御モードとを切り替えることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の移動体。前記駆動制御部は、前記第2の制御モードに移行した後、前記第1車輪の駆動、制御を停止することを特徴とする請求項8に記載の移動体。前記駆動制御部の前記第1車輪に対して発生させるトルクが所定値を超えたか否かを検知するトルク検知センサを備え、 前記切替手段は、前記トルク検知センサの出力に応じて、前記第1の制御モードと前記第2の制御モードとを切り替えることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の移動体。前記本体部の一部に、人体が前記本体部に触れているか否かを検知するタッチセンサを備え、 前記切替手段は、前記タッチセンサの出力に応じて、前記第1の制御モードと前記第2の制御モードとを切り替えることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の移動体。前記駆動制御部に駆動電圧を供給する電池と、 前記電池の蓄電残量を検知する残量検知センサと、を備え、 前記切替手段は、前記残量検知センサの出力に応じて、前記第1の制御モードと前記第2の制御モードとを切り替えることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の移動体。前記第1車輪の空転を検知する空転検知センサを備え、 前記駆動制御部は、前記本体部をピッチ方向に回転させ、 前記切替手段は、前記空転検知センサの出力に応じて、前記第1の制御モードと前記第2の制御モードとを切り替えることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の移動体。

说明书全文

この発明は、車輪を備えた移動体に関し、特に車輪を駆動、制御する移動体に関するものである。

従来、車輪を駆動、制御して倒立振子制御を行う移動体が知られている。例えば、特許文献1には、一対の車輪と、一対の車輪を駆動する駆動部と、一対の車輪に対してピッチ方向に回転可能に支持されている本体部と、本体部に対してピッチ方向に回転可能に支持されている補助輪と、本体部のピッチ方向の速度を検知するジャイロセンサと、駆動部に駆動電圧を供給する電池と、を備えた歩行補助車が開示されている。本体部における一対の車輪とは逆側の端には、把持部が設けられている。電池は、本体部に装備されている。

高齢者、身障者等のユーザは、補助輪とは逆側から把持部を握り(即ち、補助輪を前輪に一対の車輪を後輪にして)、当該歩行補助車を地面上で進行方向へ動かす。当該歩行補助車は、ジャイロセンサの出に基づいて、駆動部により一対の車輪の回転を制御する倒立振子制御を行う。これにより、当該歩行補助車は、一対の車輪でバランスをとり、ユーザの歩行を補助する。

国際公開第2012/114597号パンフレット

しかしながら、特許文献1の歩行補助車は、例えば、電池が無くなった時や異常停止した時等の場合、駆動部を駆動できなくなるため、倒立振子制御を行うことができなくなる。

このように、倒立振子制御がオフされたとき、特許文献1の歩行補助車は、一対の車輪でバランスをとっているため、バランスを崩して転倒してしまう可能性がある。

そこで、この発明は、本体の転倒を防止することができ、かつ、小型・軽量な移動体を提供することを目的とする。

本発明の移動体は、第1車輪と、第1車輪とは異なる回転軸で回転する第2車輪と、第1車輪と第2車輪とをつなぐ支持部と、第1車輪の回転軸または支持部に対してピッチ方向に回転可能に支持されている本体部と、第1車輪を駆動、制御する駆動制御部と、本体部のピッチ方向の傾斜角の角度変化を検出する角度変化検出部と、を備えている。

また、駆動制御部は、角度変化検出部の出力に基づいて、本体部の角度変化が0となるように、かつ本体部の鉛直方向に対する角度が所定角度になるように、第1車輪の回転を制御する倒立振子制御を行う第1の制御モードと、第1の制御モードでの制御時よりも本体部の重心が安定する位置まで本体部を第2車輪側へ傾け、倒立振子制御をオフする第2の制御モードと、を有する。

そして、移動体は、前記第1の制御モードと前記第2の制御モードとを切り替える切替手段を備えたことを特徴とする。

第1の制御モードは、倒立振子制御により、本体部の姿勢を鉛直方向あるいは鉛直に近い方向に維持する。この第1の制御モードでは、当該移動体が自立した状態であるため、手押し車として使用できる。この第1の制御モードにおいて、例えば切替スイッチにより切り替え指示がなされると、本体部の姿勢を鉛直方向から第2車輪側へ大きく傾いた状態である第2の制御モードに変化させる。

第2の制御モードでは、第1の制御モードでの制御時よりも本体部の重心が安定する位置まで本体部が第2車輪側へ傾いた後、倒立振子制御がオフされるため、移動体は転倒を防止することができる。

ここで、本発明では、自動車などのように、移動体の進行方向において間隔をあけて複数の車輪を移動体に設けていない。そのため、本発明では、移動体が大型化したり移動体の重量が増加したりしない。

したがって、本発明によれば、本体の転倒を防止することができ、かつ、小型・軽量な移動体を提供できる。

なお、第2の制御モードにおいて、再び切り替え指示がなされると、第1の制御モードに復帰させる。

また、本発明の移動体は、本体部と支持部との成す角度が一定未満になるような本体部の傾きを阻止する阻止部を備え、駆動制御部は、阻止部によって阻止されるまで本体部を第2車輪側へ傾けることが好ましい。前述した、第1の制御モードでの制御時よりも本体部の重心が安定する位置は、阻止部により設定することが好ましい。

また、第2車輪は、第1車輪の回転による支持部の進行方向に対して、第1車輪より後ろに位置することが好ましい。

また、本体部は、第1車輪の回転軸に対してピッチ方向に回転可能に支持されていることが好ましい。

第1の制御モードと第2の制御モードとを切り替えるトリガは、例えば以下の様な例が考えられる。

(1)第1車輪の回転停止の指示を受け付けた場合 例えば手動ブレーキを設ける場合である。ユーザが手動ブレーキをオンし、第1車輪の回転停止の指示を行った場合、まず第2の制御モードに移行することで安全な状態に移行する。その後、手動ブレーキを効かせることで、安全な状態で移動体を停止させることができる。なお、移動体を停止させた後、第1車輪の駆動、制御を停止してもよい。

(2)障害物検知センサで障害物を検知した場合 前方に大きな段差や壁等の障害物が検知された場合には、まず第2の制御モードに移行することで安全な状態(第2の制御モード)に移行することが好ましい。

(3)衝撃検知センサを備え、衝撃を検知した場合 障害物に衝突した場合等、衝撃を検知した場合にも、まず第2の制御モードに移行することで安全な状態(第2の制御モード)に移行することが好ましい。

(4)本体部に一端が回転可能に連結された着座板を設け、着座板が本体部に対して所定の角度になったことを検知した場合 着座板が開かれた場合、ユーザが移動体を停止させようとしていると判断し、安全な状態(第2の制御モード)に移行することが好ましい。さらに、第2の制御モードに移行した後、第1車輪の駆動、制御を停止することが好ましい。

(5)第1車輪に対して発生させるトルクが所定値を超えた場合 例えば第1車輪に異物が挟まった等でモータに異常なトルクが発生した場合も、安全な状態(第2の制御モード)に移行することが好ましい。

(6)タッチセンサを用いて、人体が本体部に触れなくなった場合 移動体を手押し車として使用し、手を離した場合にも、安全な状態(第2の制御モード)に移行することが好ましい。なお、この場合、駆動制御部は、第2の制御モードに移行した後に、第1車輪の駆動、制御を停止することが好ましい。

(7)電池の蓄電残量が少なくなった場合 電池残量がなくなると、倒立振子制御を行うことができなくなり、本体部が転倒する可能性がある。そのため、電池残量が少なくなった場合にも、安全な状態(第2の制御モード)に移行することが好ましい。

(8)第1車輪の空転を検知した場合 悪路等で第1車輪が空転している場合にも、安全な状態(第2の制御モード)に移行することが好ましい。

この発明によれば、本体の転倒を防止することができ、かつ、小型・軽量な移動体を提供することができる。

本発明の実施形態である移動体1の外観斜視図である。

図1に示す移動体1の側面図である。

図1に示す移動体1の構成を示すブロック図である。

第1の制御モードと第2の制御モードとの切り替えを示す図である。

手動ブレーキにより第1の制御モードと第2の制御モードとを切り替える場合の例を示す図である。

障害物検知センサの検知結果に応じて第1の制御モードと第2の制御モードとを切り替える場合の例を示す図である。

衝撃検知センサの検知結果に応じて第1の制御モードと第2の制御モードとを切り替える場合の例を示す図である。

着座板の開閉に応じて第1の制御モードと第2の制御モードとを切り替える場合の例を示す図である。

モータトルク異常の有無により、第1の制御モードと第2の制御モードとを切り替える場合の例を示す図である。

人体の接触の有無により、第1の制御モードと第2の制御モードとを切り替える場合の例を示す図である。

電池残量により、第1の制御モードと第2の制御モードとを切り替える場合の例を示す図である。

主輪の空転の有無により、第1の制御モードと第2の制御モードとを切り替える場合の例を示す図である。

以下、本発明の実施形態である移動体について説明する。

図1は、本発明の実施形態である移動体1の外観斜視図である。図2は、図1に示す移動体1の側面図である。図3は、図1に示す移動体1の構成を示すブロック図である。

移動体1は、本体部10と、主輪11と、支持部12と、補助輪13と、不図示の阻止部と、傾斜角センサ20と、ジャイロセンサ24と、着座板51と、を備えている。

この実施形態において移動体1は、高齢者、身障者等のユーザの歩行を補助する歩行補助車である。その他、移動体1は例えば、ベビーカーやショッピングカートとして利用される。

なお、主輪11が、本発明の「第1車輪」に相当する。補助輪13が、本発明の「第2車輪」に相当する。

本体部10は、鉛直方向(図1に示すZ,−Z方向)に長く、奥行き方向(図1に示すY,−Y方向)に短い枠状の部材である。本体部10は内部に、移動体1の各部に駆動電圧を供給する電池や制御用の基板等を内蔵している。

本体部10の鉛直下方向(図1に示す−X方向)の一端部は、一対の主輪11の回転軸に対してピッチ方向に回転可能に支持されている。

支持部12は、移動体1の進行方向(図1に示すY方向)に対して、平な地面と平行に延びる板状の部材である。支持部12は、一対の主輪11の回転軸に対してピッチ方向に回転可能に支持されている。

なお、支持部12は必ずしも水平な地面と平行である必要はない。支持部12を水平な地面と平行にしない場合、水平な地面と支持部12との角度を予め考慮したプログラミングを、後述のROM22に記憶されているプログラムに対して行っておけばよい。

支持部12における主輪11に支持されていない側の他端部の下方には、1つの補助輪13が設けられている。これにより、支持部12は、主輪11と補助輪13とをつなぐ。また、主輪11と補助輪13の両方が地面に接するようになっている。

なお、本実施形態における本体部10は、一対の主輪11の回転軸に対してピッチ方向に回転可能に支持されているが、これに限るものではない。実施の際の本体部10は、支持部12に対してピッチ方向に回転可能に支持されていてもよい。

一対の主輪11は、同じ軸に取り付けられ、同期して回転する。ただし、2つの主輪11は、それぞれ個別に駆動させ、回転させることも可能である。

一つの補助輪13は、移動体1の進行方向に対して主輪11より後ろで支持部12に回転可能に支持されている。そのため、移動体1では、一対の主輪11が前輪であり、一つの補助輪13が後輪である。また、各主輪11の直径は、補助輪13の直径より長い。

なお、この実施形態においては、主輪11は2輪である例を示しているが、2輪に限られるものではない。同様に、補助輪13も1輪である例を示しているが、1輪に限られるものではない。例えば補助輪を2輪にして、ユーザを両側から挟むように2輪の補助輪を配置した場合、移動体のピッチ方向の幅を狭くすることが出来るため、移動体をコンパクトにすることが出来る。

また、この実施形態の移動体1では、主輪11が前輪であり、補助輪13が後輪である例を示しているが、これに限るものではない。実施の際は例えば、補助輪が前輪であり、主輪が後輪であってもよい。ここで、主輪が前輪の場合、1輪の補助輪がユーザの足元に配置されることになるため、ユーザの足が1輪の補助輪にあたってつまずく可能性がある。そのため、補助輪を2輪にして、ユーザを両側から挟むように2輪の補助輪を配置する方が好ましい。主輪が前輪の場合、第1の制御モードから第2の制御モードになるときにユーザが後傾姿勢となるため、ユーザが恐怖感を感じる可能性は低い。一方、主輪が後輪の場合、ユーザの足が1輪の補助輪にあたってつまずく可能性は少ないものの、第1の制御モードから第2の制御モードになるときにユーザが前傾姿勢になる。これにより、ユーザが恐怖感を感じる可能性がある。

また、本体部10の主輪11とは逆側の他端部には円柱状のグリップ部16が設けられている。グリップ部16の上面には、電源スイッチ等のユーザインタフェース(図3に示すユーザI/F28)が設けられている。本体部10のうち、グリップ部16に近い位置には手動ブレーキ29が取り付けられている。

ユーザは、グリップ部16を握る、あるいは前腕等をグリップ部16に載せ、グリップ部16と前腕等の摩擦により、移動体1を手押し車として使用する。

なお、本体部10は、実際にはカバーが取り付けられ、内部の基板等が外観上見えないようになっている。

本体部10には、ジャイロセンサ24が設けられている。支持部12の上面には、傾斜角センサ20が設けられている。ジャイロセンサ24及び傾斜角センサ20の詳細については後述する。

また、阻止部は、本体部10と支持部12との接続部分に設けられている。阻止部はストッパであり、本体部10と支持部12との成す角度が一定未満になることを物理的に阻止する。本実施形態では、本体部10と支持部12との成す角度がθ2未満となる、本体部10又は支持部12の回転を阻止する。阻止部やθ2の詳細については後述する。

なお、阻止部は、物理的なストッパ以外に、リミットセンサによる制御により、本体部10と支持部12との成す角度が一定未満になることを阻止するものであってもよい。

次に、移動体1の構成および基本動作について説明する。図3に示すように、移動体1は、傾斜角センサ20、制御部21、ROM22、RAM23、ジャイロセンサ24、本体部駆動部25、主輪駆動部26、補助輪駆動部27、ユーザI/F28、手動ブレーキ29、及び補助センサ30を備えている。

なお、制御部21、及び主輪駆動部26が、本発明の「駆動制御部」を構成する。ジャイロセンサ24が、本発明の「角度変化検出部」を構成する。

制御部21は、移動体1を統括的に制御する機能部であり、ROM22に記憶されているプログラムを読み出し、当該プログラムをRAM23に展開することで種々の動作を実現する。

本体部駆動部25は、本体部10と支持部12との接続部分に設けられたモータを駆動することにより、本体部10をピッチ方向へ回転させる。

傾斜角センサ20は、鉛直方向に対する支持部112の傾斜角を検知し、制御部21に出力する。制御部21は、傾斜角センサ20の検知結果に基づいて、移動体1が存在する地面の、鉛直方向に対する傾斜角を推定する。

ジャイロセンサ24は、本体部10のピッチ方向の角速度を検知し、制御部21に出力する。

なお、移動体1は、本体部10の各方向の加速度を検知する加速度センサや、本体部10と支持部12からなる交差角度を検知するロータリエンコーダを備えていてもよい。

基本動作として、制御部21は、ジャイロセンサ24の検知結果に基づいて、本体部10のピッチ方向の傾斜角の角度変化を検知し、本体部10の角度変化がゼロとなるように、かつ本体部10の鉛直方向に対する角度が目標角度(例えば0または0に近い値)となるように、主輪駆動部26を制御する。

主輪駆動部26は、主輪11に取り付けられた軸を回転させるモータを駆動する機能部であり、制御部21の制御に従って主輪11を回転させる。主輪駆動部26は、支持部12の底面に設けられており、一対の主輪11を駆動する。

補助輪駆動部27は、補助輪13に取り付けられた軸を回転させるモータを駆動する機能部であり、制御部21の制御に従って補助輪13を回転させることも可能である。ただし、補助輪駆動部27による補助輪13の駆動は、本発明において必須の構成ではない。

なお、ここでは、本体部10のピッチ方向の傾斜角の角度変化を検知する手段として、ジャイロセンサ24を用いる例を示したが、加速度センサを用いることも可能であるし、どの様なセンサを用いてもよい。例えば、ロータリエンコーダを用いて本体部10に対する支持部12の交差角度を検知する場合、当該交差角度から本体部10の鉛直方向に対する傾斜角を推定することも可能である。

このようにして、移動体1は、基本動作として、倒立振子制御を行い、本体部10の姿勢をほぼ一定に保つように制御する。移動体1は、ユーザがグリップ部16を握って移動体1を押した場合でもほぼ一定の姿勢を保つため、当該移動体1を手押し車として使用することができる。

移動体1は、倒立振子制御を常に行うことにより、主輪11だけが接地された状態であっても転倒するおそれは少ない。

しかし、例えば、本体部10の重心が主輪11より前方側(Y方向)にあった状態で電源がオフされると、本体部10の姿勢の制御が不可能になり、一定の姿勢を保てなくなる。最悪の場合、移動体1またはユーザがバランスを崩し転倒する可能性がある。

そこで、制御部21は、倒立振子制御を行う第1の制御モードと、第1の制御モードでの制御時よりも本体部10の重心が安定する位置まで本体部10を補助輪13側へ傾け、倒立振子制御をオフする第2の制御モードと、を有している。

図4は、第1の制御モードと第2の制御モードとの切り替えを示す図である。図4(A)は、第1の制御モード時の移動体1の姿勢を示す概略側面図であり、図4(B)は、第2の制御モード時の移動体1の姿勢を示す概略側面図である。図4(C)は、移動体1の動作を示すフローチャートである。

図4(A)に示す第1の制御モード時には、上述したように倒立振子制御を常に行うことにより、本体部10の姿勢を一定に保つ。ここでは、本体部10の姿勢が鉛直に近い方向に維持されるよう(即ち本体部10と支持部12との成す角度がθ1となるように)主輪11の回転を駆動、制御する。

第1の制御モード時には本体部10の姿勢が鉛直に近い状態を維持するため、仮に急に倒立振子制御がオフになると、本体部10がユーザからみて前方向(θ1が大きくなる方向)または後ろ方向(θ1が小さくなる方向)に倒れる。この倒れる付勢力によって、移動体1が転倒したり、ユーザが転倒したりしてしまう可能性がある。

特に、本体部10の重心が主輪11の回転軸と補助輪13の回転軸との間にない場合、例えば、第1の制御モードにおいて、角度θ1が90°を超える場合においては、移動体1はバランスが安定せず、転倒の可能性が高くなる。

ここで、ユーザがユーザI/F28における切替スイッチを操作し、モード切り替え指示がなされると(s11)、制御部21は、図4(B)に示すように、第2の制御モードに移行する(s12)。

制御部21は第2の制御モードにおいて、本体部10と支持部12との成す角度がθ1よりも小さいθ2となるまで主輪11の回転を駆動、制御し、倒立振子制御をオフする。角度θ2は、本体部10の重心が主輪11の回転軸と補助輪13の回転軸との間にくる角度に予め設定する。本実施形態では、角度θ2の設定を阻止部により行っている。

阻止部はストッパであり、一定以上の本体部10の回転(傾き)を物理的に阻止する。阻止部の構造は、例えば本体部10の揺動範囲を制限するように支持部12に取り付けられた金属ブロックである。また阻止部は、揺動範囲を調整できるストッパボルト構造であってもよい。ストッパの材質は金属に限らず、樹脂、ゴムであってもよい。

本実施形態では、阻止部は、本体部10と支持部12との成す角度がθ2未満となるような本体部10の回転(傾き)を阻止する。即ち、制御部21は第2の制御モードにおいて、本体部10が阻止部に接触して回転を阻止されるまで主輪11の回転を駆動、制御し、倒立振子制御をオフする。

第2の制御モードでは、本体部10の重心が主輪11の回転軸と第2車輪の回転軸との間にくる位置で倒立振子制御がオフされる。さらに具体的には、本体部10の重心が主輪11の回転軸と補助輪13の回転軸との間にくる位置であって、第1の制御モードでの制御時よりも本体部10のバランスが安定する位置に移行した後で倒立振子制御がオフされる。

したがって、角度θ2は、本体部10が最もバランスを取れる角度に阻止部によって設定することが好ましい。なお、この角度θ2まで本体部10が傾いたことは、リミットセンサによって検知してもよい。

このとき、本体部10が阻止部に接触しているため、本体部10の重心がこれ以上後方にずれることはない。また、グリップ部16の重力トルクが後方に働くため、ユーザが本体部10を意図的に前方へ倒そうとしない限り、本体部10の重心が前方にずれることはない。

また、急に倒立振子制御がオフになった場合とは異なり、本体部10と支持部12との成す角度がθ1よりも小さいθ2となるまで主輪11の回転を駆動、制御できる。そのため本体部10が倒れる付勢力は比較的緩やかになる。そして、移動体1はバランスが安定した状態で倒立振子制御を終了できる。以上により、移動体1の転倒やユーザの転倒等の発生を防止することができる。

したがって、本実施形態によれば、転倒を防止することができ、かつ、小型・軽量な移動体1を提供できる。

なお、制御部21は、第2の制御モードに移行した後、主輪11の駆動、制御を停止してもよい。この場合でも、主輪11および補助輪13は転がることが可能であるため、手押し車として使用することができる。

以後、制御部21は第2の制御モードにおいて、再び切り替え指示がなされると(s11)、第1の制御モードに復帰させる(s12)。

以上の例では、第1の制御モードと第2の制御モードとを切り替えるトリガは、ユーザI/F28における切替スイッチを用いる場合、すなわちユーザ自身が切り替える場合を示したが、例えば以下の様な例も考えられる。

図5は、手動ブレーキにより第1の制御モードと第2の制御モードとを切り替える場合の例を示す図である。図5(A)は、第1の制御モード時の移動体1の姿勢を示す概略側面図であり、図5(B)は、第2の制御モード時の移動体1の姿勢を示す概略側面図である。図5(C)および図5(D)は、移動体1の動作を示すフローチャートである。

図5(A)に示す第1の制御モード時には、上述したように倒立振子制御を常に行うことにより、本体部10の姿勢を一定に保つ。ここで、ユーザが手動ブレーキ29を操作した場合(s21)、制御部21は、図5(B)に示すように、第2の制御モードに移行する(s22)。

その後、制御部21は、主輪11または補助輪13をロックし、手動ブレーキ29によるブレーキ操作を有効にする(s23)。主輪11または補助輪13は、機械的にロックしてもよいし、電磁的にロックしてもよい。さらにその後、制御部21は、主輪11の駆動、制御を停止する(s24)。これにより、移動体1は、完全に停止した状態となる。

一方、ユーザが手動ブレーキ29を解除する操作を行った場合(s31)、制御部21は、主輪11および補助輪13のロックを解除し(s32)、第1の制御モードに復帰させる(s33)。これにより、移動体1を再び手押し車として使用することができる。

次に、図6は、障害物検知センサの検知結果に応じて第1の制御モードと第2の制御モードとを切り替える場合の例を示す図である。図6(A)は、第1の制御モード時の移動体1の姿勢を示す概略側面図であり、図6(B)は、第2の制御モード時の移動体1の姿勢を示す概略側面図である。図6(C)は、移動体1の動作を示すフローチャートである。

図6(A)に示す第1の制御モード時には、上述したように倒立振子制御を常に行うことにより、本体部10の姿勢を一定に保つ。ここで、補助センサ30のうち、本体部10の前方に設けられた障害物検知センサ(例えば超音波や赤外線等からなるセンサ)が障害物を検知したとき(s41)、制御部21は、図6(B)に示すように、第2の制御モードに移行する(s42)。

この場合においても、制御部21は、第2の制御モードに移行した後、主輪11の駆動、制御を停止してもよい。制御部21は、障害物検知センサが障害物を検知しなくなった場合、第1の制御モードに復帰させるようにしてもよいし、ユーザが明示的に第1の制御モードに復帰させる操作をユーザI/F28により行った(例えば一端電源をオフしてから再び電源をオンした等)場合に限り、第1の制御モードに復帰させるようにしてもよい。

次に、図7は、衝撃検知センサの検知結果に応じて第1の制御モードと第2の制御モードとを切り替える場合の例を示す図である。図7(A)は、第1の制御モード時の移動体1の姿勢を示す概略側面図であり、図7(B)は、第2の制御モード時の移動体1の姿勢を示す概略側面図である。図7(C)は、移動体1の動作を示すフローチャートである。

図7(A)に示す第1の制御モード時には、上述したように倒立振子制御を常に行うことにより、本体部10の姿勢を一定に保つ。ここで、補助センサ30のうち、本体部10に設けられた衝撃検知センサが衝突等の大きな衝撃を検知したとき(s51)、制御部21は、図7(B)に示すように、第2の制御モードに移行する(s52)。衝撃センサは、例えば3軸加速度センサからなり、所定の閾値以上の加速度を検知した場合に、衝突等の大きな衝撃を検知したと判定する。

この場合においても、制御部21は、第2の制御モードに移行した後、主輪11の駆動、制御を停止してもよい。制御部21は、所定時間経過後に第1の制御モードに復帰させるようにしてもよいし、ユーザが明示的に第1の制御モードに復帰させる操作をユーザI/F28により行った場合に限り、第1の制御モードに復帰させるようにしてもよい。

次に、図8は、着座板の開閉に応じて第1の制御モードと第2の制御モードとを切り替える場合の例を示す図である。図8(A)は、第1の制御モード時の移動体1の姿勢を示す概略側面図であり、図8(B)は、第2の制御モード時の移動体1の姿勢を示す概略側面図である。図8(C)は、ユーザが着座板に着座している様子を示す概略側面図である。図8(D)は、移動体1の動作を示すフローチャートである。

この例では、本体部10の前方(Y方向)に着座板51が設けられている。着座板51は、本体部10に一端が回転可能に接続され、他端は、本体部10に着脱自在になっている。着座板51は、本体部10が第2の制御モードに移行した場合に、水平あるいは水平に近い角度となるため、ユーザが着座することが可能になる。

図8(A)に示す第1の制御モード時には、上述したように倒立振子制御を常に行うことにより、本体部10の姿勢を一定に保つ。ここで、補助センサ30のうち、本体部10に設けられた着座板センサが、本体部10から着座板51の他端が外れたことを検知したとき(s61)、制御部21は、図8(B)に示すように、第2の制御モードに移行する(s62)。

補助センサ30が、本体部10から着座板51の他端が外れる原因としては、ユーザ自らが着座板51の操作をした場合、もしくは、何らかの原因により意図せず着座板51が開いてしまった場合も含む。後者の場合は、ユーザから見て前方側に着座板51が突出してしまうことになるので、そのままの状態での使用は危険な可能性がある。そのため、意図せず着座板51が外れた時にも第2の制御モードに移行することが好ましい。

第2の制御モードに移行した場合、図8(C)に示すように、ユーザは、着座板51に着座することが可能になる。この場合においても、制御部21は、第2の制御モードに移行した後、主輪11の駆動、制御を停止してもよい(s63)。

制御部21は、補助センサ30が本体部10への着座板51の他端の装着を検知した場合、第1の制御モードに復帰させるようにしてもよいし、ユーザが着座板51の他端の装着を行った後、明示的に第1の制御モードに復帰させる操作をユーザI/F28により行った(例えば一端電源をオフしてから着座板51の他端の装着を行い再び電源をオンした等)場合に限り、第1の制御モードに復帰させるようにしてもよい。

次に、図9は、モータトルク異常の有無により、第1の制御モードと第2の制御モードとを切り替える場合の例を示す図である。図9(A)は、第1の制御モード時の移動体1の姿勢を示す概略側面図であり、図9(B)は、第2の制御モード時の移動体1の姿勢を示す概略側面図である。図9(C)は、移動体1の動作を示すフローチャートである。

図9(A)に示す第1の制御モード時には、上述したように倒立振子制御を常に行うことにより、本体部10の姿勢を一定に保つ。ここで、制御部21は、補助センサ30のうち、トルク検知センサにより主輪11に対して発生させるトルクの異常を検知した場合(s71)、図9(B)に示すように、第2の制御モードに移行する(s72)。その後、制御部21は、主輪11の駆動、制御を停止する(s73)。

これにより、例えば主輪11に異物が挟まった等の状況が発生した場合においても、モータを保護しつつ、本体部10が転倒しないように安全な状態に移行することができる。なお、主輪11に対して発生させるトルクは、モータへの供給電流を参照することにより検知することができる。例えば、トルクの瞬間値が所定の閾値以上となった場合や、所定時間以上継続してトルクの値が所定の閾値以上となった場合に、トルク異常として検知する。

この場合、制御部21は、ユーザが明示的に第1の制御モードに復帰させる操作をユーザI/F28により行った場合に限り、第1の制御モードに復帰させることが好ましい。

次に、図10は、人体の接触の有無により、第1の制御モードと第2の制御モードとを切り替える場合の例を示す図である。図10(A)は、第1の制御モード時(ユーザが移動体1を離した瞬間)の移動体1の姿勢を示す概略側面図であり、図10(B)は、第2の制御モード時の移動体1の姿勢を示す概略側面図である。図10(C)は、移動体1の動作を示すフローチャートである。

図10(A)に示す第1の制御モード時には、上述したように倒立振子制御を常に行うことにより、本体部10の姿勢を一定に保つ。ここで、制御部21は、補助センサ30のうちグリップ部16に設けられたタッチセンサでユーザの手が離れたことを検知し(s81)、かつ所定時間が経過した場合(s82)、図10(B)に示すように、第2の制御モードに移行する(s83)。

その後、制御部21は、主輪11または補助輪13をロックし、移動体1の移動を停止させる(s84)。主輪11の駆動、制御を停止する(s85)。これにより、移動体1は、完全に停止した状態となる。

次に、図11は、電池残量により第1の制御モードと第2の制御モードとを切り替える場合の例を示す図(フローチャート)である。

電池残量がなくなると、倒立振子制御を行うことができなくなり、本体部が転倒する可能性がある。そのため、制御部21は、補助センサ30のうち、残量検知センサによる検知によって電池残量が所定の閾値未満となった場合(s121)、第2の制御モードに移行する(s122)。この場合、制御部21は、電池残量が所定の閾値以上に復帰するまでは、第2の制御モードを維持し、第1の制御モードに移行しないことが好ましい。

次に、図12は、主輪の空転の有無により、第1の制御モードと第2の制御モードとを切り替える場合の例を示す図である。

図12(A)は、悪路を走行し、主輪11が空転した場合を示す概略側面図であり、図12(B)は、障害物に衝突し、主輪11が空転した場合を示す概略側面図である。図12(C)は、移動体1の動作を示すフローチャートである。

この例において、制御部21は、補助センサ30のうち、空転検知センサによって主輪11の空転を検知した場合(s91)、第2の制御モードに移行する(s92)。主輪11の空転は、補助センサ30のうちロータリエンコーダの値を参照する、あるいはモータトルクを参照することにより検知することができる。

s91において主輪11の空転が検知されると、s92において第2の制御モードに切り替わり、倒立振子制御がオフされる。その結果、予期しない移動体1の暴走や電池の消耗を防ぐことが出来る。

最後に、前記実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

1…移動体 10…本体部 11…主輪 12…支持部 13…補助輪 16…グリップ部 20…傾斜角センサ 21…制御部 22…ROM 23…RAM 24…ジャイロセンサ 25…本体部駆動部 26…主輪駆動部 27…補助輪駆動部 29…手動ブレーキ 30…補助センサ 51…着座板

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