说明书全文 |
【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、電動車両に係わり、特に電動車両の制御方法とその装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 図7は市販されている電動車両の構成図を示したもので、バッテリー1にマグネットスイッチ2を介してチョッパー3を接続し、バッテリー電圧をこのチョッパー3にてDC/DC変換した後、直流電動機4に供給してこの電動機を制御する。 直流電動機4の回転軸には減速機5を介してタイヤ6が連結されている。 7は電磁ブレーキである。 この電動車両の走行時には、先ず、マグネットスイッチ2をオンし、図示省略されているアクセルの踏み込み角度に応じてチョッパー3の導通率が可変され、直流電動機4に印加される電圧がチョッパーの導通率に基づいて可変されることにより直流電動機4は走行制御される。 したがって、走行中におけるマグネットスイッチ2はオン状態のままである。 【0003】 停止時には、運転者によるアクセルによる停止操作によって直流電動機4が減速し、略0速度になったときに電磁ブレーキ7の励磁コイルを解放し、ブレーキに制動力を発生させて電動車両を完全停止させると共に、チョッパー3も停止するようになっている。 すなわち、停止中の制動力は電磁ブレーキ7の励磁コイルを解放することによって励磁電流を0とし、付設されている電磁ブレーキのばね圧により制動力を得る構成となっている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 図7で示すような従来の構成では、走行時には電磁ブレーキ7の励磁コイルに通電することによってばね圧による制動力を解放することが必要である。 このことは、電磁ブレーキや制御回路の万一の故障に対するブレーキへの制動力を確保することからフェールセイフ上必要となっている。 このため、バッテリー1を駆動電源とする電動車両では、電磁ブレーキ7の励磁電流は走行中に渡って供給し続けなければならず、この消費電力は平地走行時モータ電流の30%程度にも達することから、エネルギー効率上、無視できないものとなっている。 また、直流電動機4としては、出来る限り小形なモータが要求され、小形モータで大きなトルクを得るためにギヤーによる減速機5を設けている。 この減速機5の設置も効率面,省エネルギーの観点から見るとバッテリー容量を大きくする要因となっている。 【0005】 さらに、ギヤーを小形にするとギヤーの歯欠による損傷が発生する。 この場合、ブレーキは小さな制動力で大きな制動力が得られるよう直流電動機4の回転軸にブレーキを付加しているので、ギヤー損傷時にはブレーキによる制動力が確保できなくなり、特に身体的弱者に適用される電動車両では致命的な欠陥となる。 【0006】 本発明が目的とするところは、上記した問題点を除去した電動車両,特に身体的弱者向けに有利な電動車両の制御方法を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】 本発明の第1は、バッテリーを駆動電源とし、スイッチ及びインバータ回路を介してアウタロータータイプの永久磁石式同期電動機を駆動するよう構成された電動車両において、 前記電動車両のアクセル信号がなく、電動車両の実速度が定格速度の数%以内となったときに、前記同期電動機の固定相の巻線にインバータ回路の特定された固定相のスイッチング素子のオンオフ制御によって電流制御し、且つ前記駆動電源遮断時の電動車両が、外力による走行開始時に前記同期電動機の端子を前記インバータ回路の負極側アームのスイッチング素子のオンにより短絡して同期電動機の誘起電圧による固定子巻線に流れる電流で制動トルクを発生させると共に、制御電源の端子間にコンデンサを設け、このコンデンサと並列に前記スイッチが開路されたときに付勢されるリレーを配設し、このリレー接点を介して前記インバータ回路の制御部にバッテリーより制御電源を供給することを特徴としたものである。 【0008】 本発明の第2は、 駆動電源としてのバッテリーを搭載し、このバッテリーとはスイッチ及びインバータ回路を介して位置検出器を有するアウタロータータイプの永久磁石式同期電動機を接続し、インバータ回路の制御部より制御信号によって同期電動機を制御する電動車両において、 前記電動車両の速度信号とアクセル信号とを入力し、アクセル信号が0で、且つ電動車両の実速度が定格速度の数%以内となったことを検出するブレーキ速度検出部を前記制御部に設け、この検出を制御部における最適電流指令演算部とPWM信号発生器に出力し、最適電流指令演算部ではブレーキトルク発生の電流値を設定し、PWM信号発生器では前記電動車両の実速度が定格速度の数%以内となったときインバータ回路の固定相のスイッチング素子を選択制御する手段を設けると共に、前記制御部の制御電源端子間にコンデンサを設け、このコンデンサと並列に前記スイッチの開路時に付勢されるリレーとこのリレーの常閉接点との直列回路を接続し、前記バッテリーの正極と制御電源の正極間に前記リレーの常開接点を接続して構成したことを特徴としたものである。 【0009】 削除【0010】 削除【0011】 削除【0012】 削除【0013】 削除【0014】 【発明の実施の形態】 図1は、本発明の実施形態を示す構成図である。 同図において、10は電源であるバッテリーで、このバッテリーにはヒューズ11,ブレーカ又はキースイッチ等のスイッチ12を通してインバータ回路13が接続されている。 インバータ回路13は、ここではスイッチング素子TRU〜TRZよりなる3相のインバータ構成となっている。 インバータ回路を構成する各アームのスイッチング素子の橋絡点には、同期電動機14のU,V,Wの相端子が接続されている。 同期電動機14は、アウタロータータイプの三相永久磁石式同期電動機が使用されており、その回転子は車輪に埋め込まれたダイレクトドライブ方式が採用される。 永久磁石としては、高性能な希土類のものが使用されて、電動機は小形,高トルク化されている。 【0015】 16はU相とW相に設置された電流検出器、17はインバータ用平滑コンデンサで、インバータ回路13とは電源に対して並列に接続されている。 18はブレーカ12と並列に接続されたダイオードである。 20は位置検出部で、ホール素子よりなって同期電動機の回転子磁石の位置を検出し、その検出信号Hu,Hv,Hwをもとに制御部30及びインバータ回路13を介して電動機電流の極性を切り替える。 すなわち、位置検出器20のホール素子は、回転子磁石の位置に対応したモータ電流極性を切り替えるための検出素子である。 【0016】 P,Nは電源端子、21はダイオート、22はリレーで、このリレー22は接点24が直列に構成されて制御電源端子P,N間に接続され、リレー22が付勢されたことによりその接点Ryをオンして、バッテリー10より制御部30に対して制御用の電圧を供給する。 なお、接点24は、スイッチ12がオフしたことを条件にオンされるスイッチ要素であり、したがって、スイッチ12が投入されて電動車両が走行中においてリレー22は消勢されている。 23は電気二重層コンデンサで、このコンデンサは通常の電解コンデンサでもよいが、電気二重層コンデンサは静電容量が大きく、低インピーダンスで大電流が流せ、小形,軽量で寿命が長く、且つ、短時間にて充電が可能となる利点を有している。 【0017】 制御部30は、マイクロコンピュータよりなっており、この制御部30は図2で示すように、位置検出器20よりの検出信号を導入する速度検出部31と、アクセルAccの踏み込み角に応じた信号を導入するPI制御部32と、アクセル信号と速度検出部31の信号を導入し、アクセル信号が0となった後に電動車両の実速度が定格速度の数%となり、その速度で急停止しても運転者に対して影響を与えない速度となったことを検出するブレーキ速度検出部33と、速度信号ωと電流検出部16の検出信号iu,iwを入力して3/2相の座標に変換する3/2相座標変換部34と、速度信号ωとブレーキ検出信号及びPI制御部32よりトルク指令を入力して電流指令を演算する最適電流指令演算部35と、この演算部35よりのiq*,id*と速度信号ω及び3/2相変換部よりの信号iq*,id*を導入してd/q軸電流制御を演算するd/q軸電流制御部36と、 デッドタイム補償部37、2/3相座標変換部38およびPWM信号発生部39を備えている。 なお、制御部30には、制御電源としてバッテリー10よりスイッチ12の反バッテリー側端子より供給されると共に、スイッチ12が開路状態となったときにリレー22の接点Ryを通しても供給されるよう構成されている。 【0018】 図3は同期電動機を含む駆動部の断面を示したものである。 40は電動車両の車軸で、この車軸40には支持部41が固着されている。 支持部41には固定子鉄心42が固着され、この固定子鉄心42の外周面にはスロットが穿設されており、そのスロットには固定子巻線43が巻装されている。 44は軸受、45はホイールで、固定子等の固定側を包被するようにして軸受44に取り付けられ、固定子鉄心42とはギャップを介して永久磁石46が円周に沿ってN,S極交互に配設されて回転子となっている。 この回転子と固定子とによってアウタロータータイプの永久磁石式同期電動機が構成されている。 なお、タイヤ15は永久磁石46の外周側のホイールに嵌め込まれている。 48は取付板で、スロットに配設された固定子巻線43の端末が引き込まれて端末処理が行われると共に、位置検出器20のホール素子49もこの取付板48に固定されている。 また、ホール素子49と対向するホイール45の内部には、磁石47が取り付けられている。 【0019】 以上のように構成された本発明において、その動作を説明する。 電動車両を駆動する場合には、スイッチ12を投入することによって、ヒューズ11,スイッチ12および平滑用コンデンサ17を介してインバータ回路13に電圧が印加されると共に、また、制御部30にはヒューズ11,スイッチ12を通して電源電圧が印加される。 この状態で、運転者がアクセルAccを踏み込むことによって、アクセル信号はPI制御部32に出力される。 車両のスタート時点では、速度信号ωは0であるので、アクセル信号はそのままPI制御部32に入力されてトルク指令値が演算されるが、車両の走行時には位置検出器20による位置信号は検出されるので、 検出された位置信号Hu,Hv,Hwは、制御部30の速度検出部31に入力されて速度信号ωが求められる。 この信号ωは突き合わせ部においてアクセルAccよりのアクセル信号と加算され、その偏差信号がPI制御部32に送られてトルク指令が演算されて最適電流指令演算部35に出力される。 最適電流指令演算部35には速度信号ωも入力されており、トルク指令値と速度信号ωをもとに最適な電流を演算し、磁束成分電流id*とトルク成分電流iq*の二軸変換してその信号をデッドタイム補償部37とd/q軸電流制御部36に出力する。 【0020】 d/q軸電流制御部36には、速度信号ωと3/2相座標変換部34よりの信号id*とiq*とが入力されており、これら入力された各信号に基づきvd*,vq*の二軸電圧を演算する。 演算結果は、2/3相座標変換部38に出力されて三相に変換され、PWM信号発生部39を介してインバータ回路13の各スイッチング素子をオンオフ制御して同期電動機14に電流を供給する。 同期電動機14はアウタローターの永久磁石式のものが使用されており、このため、電動機の回動によって永久磁石も回転し、回転する永久磁石と固定子巻線との間で発生する吸引力と反発力を利用して回転子位置によって固定子巻線に流れる電流方向を切り替えることにより回転を継続させる。 電動機電流はU,W相に挿入された電流検出部器16に検出され、iu,iwとして3/2相座標変換部34にフイードバックされる。 【0021】 以上が電動車両の制御動作の概要であるが、前述した電動車両の課題解決のために次の動作が行われる。 今、アクセル入力が0になったとすると、制御部30におけるインバータ回路13の制御は減速トルク指令とし、ブレーキングトルクを発生すべく制御する。 この結果、電動機14は減速して回転数が低下し、電動車両の実速度が定格速度の数%以下となったことをブレーキ速度検出部33が検出してその検出信号を最適電流指令演算部35に出力すると共に、固定相通流信号としてPWM信号発生器39に出力する。 最適電流指令演算部35では、ブレーキトルク電流にiq*を設定して最適な制動トルク電流となるような制御をし、また、PWM信号発生器39は、インバータ回路13の例えばスイッチング素子TRUとYRY,TRZのみを選択してオンし、電動機の固定相に電流を流して制動トルクを発生させる。 この制動トルクは、同期電動機14の固定子鉄心の磁束と回転子磁石との極性が逆極性で、相対位置になったときが最大となる。 すなわち、固定子と回転子との間の吸引力が最大となり、回転子は停止する。 【0022】 図4はこのときの制動力を示したものである。 なお、図4の縦軸は、発生トルク/定格トルクをとったものであり、横軸は、電動機固定相電流値/定格電流値をとったものであり、同図で明らかなように固定相通電時の発生制動トルクは電動機への供給電流に略比例する。 回転子の停止状態は、位置検出信号の変化の有無によって検出することができるので、固定相通電電流を路面状態に合わせてインバータ回路13の通流相素子を選択し、選択素子のスイッチングにより電流値を最少電流とすることが可能となり、省エネルギーでの制御ができる。 ここでは電流供給側のスイッチング素子はTRUのみとし(ただし負アーム側のYRY,TRZはオン)、この素子TRUをスイッチングすることによって電流を制御し、走行停止状態を保持している。 電気的な停止状態後は、ハンドブレーキ19で車輪をロックし、スイッチ12を開路するとインバータ回路より電動機への電流は供給されなくなって、固定子と回転子間の制動力はなくなる。 【0023】 ところで、何らかの外部の力、或いは坂道におけるハンドブレーキの操作忘れによって電動車両が走行する虞れが生じる。 本発明においては、スイッチ12が開路されたとき、この開路を条件として接点24が閉路される。 接点24が閉じられたことによって、リレー22には電気二重相コンデンサ23に充電されていた電圧を電源として電流が流れ、リレー22を付勢する。 リレー22が動作したことによってその接点Ryも閉じ、制御部30には接点Ryを通して再度制御電源が供給され、制御部30と位置検出器20の制御電源は確保される。 したがって、電動車両が下り坂等で動き出した場合、走行検出によりインバータ回路13の負側素子TRX,TRY,TRZをオンして同期電動機14の端子を短絡する。 【0024】 すなわち、インバータ回路13の負側アームを短絡することにより、図5で示すように走行によって電動機の固定子巻線に発生した誘起電圧により短絡電流 iu,iv,iwが流れて制動力が発生する。 ただし、車両が停止すると誘起電圧はなくなって制動力がなくなり、この時点で更に外力が加わっていると再び走行し、同時に制動力が発生する。 以上のことは、下り坂でハンドブレーキ19の操作忘れが生じても、電動車両は加速することなく緩やかに走行→停止を繰り返すことによって安全性が確保出来るものである。 【0025】 なお、図5はインバータ回路のスイッチング素子をオンすることによって同期電動機の端子U,V,Wを短絡したものであるが、図6で示すように、リレー22の接点Ryを同期電動機の端子に接続し、スイッチ12がオフしたときに接点を閉じて端子U,V,Wを短絡するように構成してもよい。 【0026】 【発明の効果】 以上のとおり、本発明によれば、以下のような効果を有するものである。 (1)電動車両の駆動モータとして永久磁石式同期電動機を採用し、この電動機の固定相に通電することによって、電動車両の停止時にも大きな制動力を得ることができるので、従来のような電磁ブレーキを設ける必要がないため小形化が可能になる。 (2)同期電動機の固定相通電に得られる制動トルクは、図4で示されるように小さな電流で大きな制動力が得られ 、しかも、従来のような電磁ブレーキ方式では走行中常時励磁電流を流していたものと比較すると、走行停止後にハンドブレーキ等による機械的ブレーキ操作が完了するまでの短時間の通電でよいので省エネ効果が大きいものである。 (3)従来のような電磁ブレーキを設ける必要がなくなったことにより、電動車両の走行駆動装置の構造が簡単となり、コスト的にも有利な電動車両の提供が可能となるものである。 (4)スイッチの開路(ブレーカの遮断又はキースイッチのオフ等)による電動車両の停止保持状態の場合には、永久磁石式同期電動機の巻線端子を短絡することによって固定相通電と同様な制動力が得られる。 なお、この場合には、電動車両が外力によって走行を開始すると、電動機に誘起電圧が発生し、巻線に電流が流れて制動力を発生することから、下り坂等での停止中にハンドブレーキ操作忘れや、ブレーキ故障時の暴走防止対策として安全性の高い電動車両の提供が可能となる。 (5)電動車両の駆動部分は、アウタロータータイプの永久磁石式同期電動機の回転子に直接タイヤを取り付けたダイレクトドライブ方式の駆動部構成であることから、その同期電動機の端子短絡によって制動力が確保できるため、駆動方式がモータ+電磁ブレーキ+減速機+タイヤ構成とした従来のように、ブレーキや減速機の損傷による制動機能の消失がなくなり、暴走の心配がなく極めて安全性の電動車両が得られるものである。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の実施形態を示す構成図。 【図2】 本発明のインバータ制御部の構成図。 【図3】 駆動部の断面部分図。 【図4】 固定相通電時の発生制動トルク図。 【図5】 インバータ負極アーム短絡時の電動機電流状態図。 【図6】 本発明の他の実施形態を示す構成図。 【図7】 従来の電動車両の構成図。 【符号の説明】 10…バッテリー 12…スイッチ 13…インバータ回路 14…永久磁石式同期電動機 15…タイヤ 16…電流検出器 20…位置検出器 22…リレー 23…電気二重層コンデンサ 30…制御部 31…速度検出部 32…PI制御部 33…ブレーキ速度検出部 34…3/2相座標変換部 35…最適電流指令演算部 36…d/q軸電流制御部 37… デッドタイム補償部 38…2/3相座標変換部 39…PWM信号発生部 40…車体軸 41…支持部 42…固定子鉄心 43…固定子巻線 46…永久磁石 |