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シンクロトロン用入射器システム、およびシンクロトロン用入射器システムの運転方法

申请号 JP2015550226 申请日 2013-11-26 公开(公告)号 JPWO2015079487A1 公开(公告)日 2017-03-16
申请人 三菱電機株式会社; 发明人 山本 和男; 和男 山本; 定博 川崎; 定博 川崎; 博光 井上; 博光 井上;
摘要 シンクロトロン用入射器システムであって、第一のイオンを発生する第一イオン源と、第一のイオンの電荷質量比よりも小さい電荷質量比の第二のイオンを発生する第二イオン源と、第一のイオンと第二のイオンのいずれのイオンも 加速 可能な能 力 を有するプリ加速器と、第一のイオンと第二のイオンのいずれかのイオンをプリ加速器に入射させるように構成された低エネルギビーム輸送路と、プリ加速器から出射される加速後の第一のイオンのみを加速する、自己収束型のポスト加速器とを備えるようにした。
权利要求

シンクロトロンに入射するイオンを出射するシンクロトロン用入射器システムであって、 第一のイオンを発生する第一イオン源と、 前記第一のイオンの電荷質量比よりも小さい電荷質量比の第二のイオンを発生する第二イオン源と、 前記第一のイオンと前記第二のイオンのいずれのイオンも加速可能な能を有するプリ加速器と、 前記第一のイオンと前記第二のイオンのいずれかのイオンを前記プリ加速器に入射させるように構成された低エネルギビーム輸送路と、 前記プリ加速器から出射される加速後の前記第一のイオンのみを加速する、自己収束型のポスト加速器と を備えたことを特徴とするシンクロトロン用入射器システム。前記ポスト加速器は、前記第一のイオンおよび前記第二のイオンのいずれのイオンも入射される構成であり、前記第一のイオンが入射された場合には加速動作を行い、前記第二のイオンが入射された場合には加速動作を行わないことを特徴とする請求項1に記載のシンクロトロン用入射器システム。前記ポスト加速器におけるビーム口径が、前記プリ加速器におけるビーム口径よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載のシンクロトロン用入射器システム。前記プリ加速器から出射されたイオンが前記第一のイオンである場合は、当該第一のイオンを前記ポスト加速器に入射させ、前記プリ加速器から出射されたイオンが前記第二のイオンである場合は、当該第二のイオンを前記ポスト加速器に入射させずにシステムから出射させるための分配器を備えたことを特徴とする請求項1に記載のシンクロトロン用入射器システム。前記プリ加速器は、入射されたイオンを群集化する前段加速器と、前記前段加速器で群集化されたイオンを加速する後段加速器とを備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のシンクロトロン用入射器システム。前記第一のイオンは陽子であり、前記第二のイオンは炭素イオンであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のシンクロトロン用入射器システム。第一のイオンを発生する第一イオン源と、 前記第一のイオンの電荷質量比よりも小さい電荷質量比の第二のイオンを発生する第二イオン源と、 前記第一のイオンと前記第二のイオンのいずれのイオンも加速可能な能力を有するプリ加速器と、 前記第一のイオンと前記第二のイオンのいずれかのイオンを前記プリ加速器に入射させるように構成された低エネルギビーム輸送路と、 前記プリ加速器から出射される加速後のイオンを加速する、自己収束型のポスト加速器と、 を備えた、シンクロトロンに入射するイオンを出射するシンクロトロン用入射器システムの運転方法において、 前記ポスト加速器に入射されるイオンが前記第一のイオンである場合に加速動作を行い、前記ポスト加速器に入射されるイオンが前記第二のイオンである場合には加速動作を行わないことを特徴とするシンクロトロン用入射器システムの運転方法。前記第一のイオンは陽子であり、前記第二のイオンは炭素イオンであることを特徴とする請求項7に記載のシンクロトロン用入射器システムの運転方法。

说明书全文

本発明は、一つのシンクロトロン加速器システムにおいて、異なる種類のイオンを加速できるシステムとするために、異なる種類のイオンをシンクロトロンに入射させるシンクロトロン用入射器システムに関するものである。

シンクロトロンで荷電粒子を加速し、シンクロトロンから出射された高エネルギの荷電粒子の束である粒子線を、例えばがんの治療に利用することが行われている。治療用の粒子線において、治療対象によって粒子線の種類を選択するのが好ましい場合がある。よって、一つのシンクロトロン加速器システムから異なる種類の粒子線を出射できるようにすることが望まれている。シンクロトロンは、入射された荷電粒子、すなわちイオンを加速するものであり、異なる種類の粒子線を出射できるようにするためには、異なる種類のイオンをシンクロトロンに入射させるシンクロトロン用入射器システムが必要となる。

特許文献1には、全種イオンを任意のエネルギレベルまで同一のシンクロトロンで加速できる技術が開示されている。このシンクロトロンにイオンを入射させるための入射器システムについては、前段加速器によって一定のエネルギレベルまで加速されたイオンビームを入射させるとの記載がある。

また、特許文献2には、陽子ビームと炭素ビームを併用利用するためには、それぞれのビームを発生するイオン源が必要との記載があるが、シンクロトロンにイオンを入射させるための前段加速器についての詳しい記載は無い。

また、特許文献3には、APF−IH型線形加速器において、大電流の陽子などの粒子ビームを加速できる構成が開示されている。

特開2006−310013号公報(段落0058など)

特開2009−217938号公報(段落0048など)

国際公開WO2012/008255号

例えば、陽子と炭素イオンのように、異なる種類のイオンをシンクロトロンで加速できるまで予備加速するためのシンクロトロン用入射器システムでは、例えば特許文献1に記載されているように、異なる種類のイオンを同一エネルギまで加速していた。このように、従来は、両種同一の予備加速エネルギ、同一の加速器、の条件に拘束されていた。このような従来の入射器システムは、それぞれの種類のイオンに対して最適な予備加速エネルギではない入射器システムであったため、効率が悪く大型であった。電荷質量比(電荷/質量)が大きいイオン(例えば陽子:電荷/質量=1/1)は、空間電荷効果が大きいため、シンクロトロンへの入射エネルギは、電荷質量比が小さいイオン(例えば炭素イオン:電荷/質量=4/12)に比べ高くしたい。電荷質量比が小さいイオンは、加速するために電荷質量比が大きいイオンより、高い加速電圧が必要となり加速器が大型になるため、シンクロトロンへの入射エネルギは、電荷質量比が大きいイオンに比べ低くしたい。従来は、上記ニーズを解決できず、電荷質量比が大きいイオン、小さいイオンに係わらず、シンクロトロンへの入射エネルギは同一に固定されており、大型だった。

この発明は、以上のような従来のシンクロトロン用入射器システムの問題点を解消するためになされたもので、異なる種類のイオンを異なるエネルギまで加速して出射できる小型のシンクロトロン用入射器システムを得ることを目的とする。

本発明は、シンクロトロンに入射するイオンを出射するシンクロトロン用入射器システムであって、第一のイオンを発生する第一イオン源と、第一のイオンの電荷質量比よりも大きい電荷質量比の第二のイオンを発生する第二イオン源と、第一のイオンと第二のイオンのいずれのイオンも加速可能な能を有するプリ加速器と、第一のイオンと第二のイオンのいずれかのイオンをプリ加速器に入射させるように構成された低エネルギビーム輸送路と、プリ加速器から出射される加速後の第二のイオンのみを加速する、自己収束型のポスト加速器とを備えたものである。

この発明によれば、小型で、異なる種類のイオンを異なるエネルギで出射できるシンクロトロン用入射器システムを提供できる。

本発明の実施の形態1によるシンクロトロン用入射器システムの構成を示すブロック図である。

本発明の実施の形態2によるシンクロトロン用入射器システムの構成を示すブロック図である。

本発明の実施の形態3によるシンクロトロン用入射器システムの構成を示すブロック図である。

本発明の実施の形態4によるシンクロトロン用入射器システムの構成を示すブロック図である。

シンクロトロン用入射器システムでは、重いイオンを加速する方が軽いイオンを加速するよりも大きな電力を必要とするため、まず重いイオンである炭素イオンに必要なエネルギまで加速する加速器を設計する。軽い陽子に関しては、炭素イオンに必要なエネルギまで加速する加速器において、電力を減少させれば炭素イオンと同一のエネルギまでは加速することができるという考えの下に、従来は、炭素イオンと陽子を同一のエネルギまで加速して出射させる入射器システムを実現していた。しかしながら、シンクロトロンへの入射エネルギは、陽子のように電荷質量比が大きいイオンでは、炭素イオンのように電荷質量比が小さいイオンに比べ高くするのが好ましい。従来は、重い炭素イオンの設計を第一に考えていたため、同一の入射器システムで、炭素イオンと陽子を異なるエネルギで出射させる入射器システムを実現させるという発想は無かった。

これに対して、本発明では、電荷質量比が小さいイオンに最適化された入射器システムを電荷質量比が大きいイオンの加速にも用いるという考えを捨てて、電荷質量比が大きいイオンをシンクロトロンにとって適した入射エネルギまで加速する入射器システムの一部を電荷質量比が小さいイオンの加速に用いるという、従来と逆の発想に基づいて、異なるイオンをそれぞれ異なるエネルギまで加速する入射器システムを実現した。この発想により、電荷質量比が小さいイオンと電荷質量比が大きいイオンにおいて、シンクロトロンへの入射エネルギとしてそれぞれ適したエネルギを出射できる入射器システムを、小型で実現することができた。以下、実施の形態により本発明を説明する。

実施の形態1. 図1は本発明の実施の形態1によるシンクロトロン用入射器システムの構成を示すブロック図である。このシンクロトロン用入射器システム10は、2種類のイオンをシンクロトロン7に入射可能にするシステムである。シンクロトロン用入射器システム10は、第一のイオンを発生する第一イオン源1と、第一のイオンよりも電荷質量比が小さい第二のイオンを発生する第二イオン源2を備えている。以下、第一のイオンとして陽子を、第二のイオンとして炭素イオンを例にして説明する。ただし、本発明は第二のイオンの電荷質量比よりも第一のイオンの電荷質量比が小さい組み合わせのものであれば種々のイオンの組み合わせに適用できる。例えば第一のイオンが陽子(電荷質量比=1)で第二のイオンがヘリウムイオン(電荷質量比=1/2)の組み合わせや、第一のイオンがヘリウムイオンで第二のイオンが炭素イオンの組み合わせなどにも適用できる。

陽子は1価であり、質量を1とすれば、陽子の電荷質量比は1/1、炭素イオンは4価、陽子1とした質量が12であるから炭素イオンの電荷質量比は4/12である。このように、陽子よりも炭素イオンの方が、電荷質量比が小さい。第一イオン源1から発生された陽子は、第一低エネルギビーム輸送路41を通って、第二イオン源2から発生された炭素イオンは、第二低エネルギビーム輸送路42を通って、合成器43に入射される。合成器43により第一低エネルギビーム輸送路41と第二低エネルギビーム輸送路42とは、一つのビームライン44に合流して陽子または炭素イオンがプリ加速器5に入射されるように構成されている。第一イオン源1から陽子が出射してプリ加速器5に入射されるまでの輸送路、および第二イオン源2から炭素イオンが出射してプリ加速器5に入射されるまでの輸送路をまとめて低エネルギビーム輸送路4と称する。

合成器43では、第二イオン源2からの炭素イオンを偏向してビームライン44に合流させるようにしている。第二イオン源2から出射される炭素イオンは、4価以外の、価数の異なる炭素イオンを含んでいる。加速器では4価の炭素イオンのみを加速する。このため、合成器43の部分で第二イオン源2からの炭素イオンを偏向させることにより4価の炭素イオンのみをビームライン44に合流させる構成としている。

プリ加速器5は、入射された陽子または炭素イオンをたとえば4MeV/uまで加速できるように構成されている。すなわち、プリ加速器5は、陽子も炭素イオンも加速可能な能力を有する加速器である。プリ加速器5から出射された陽子または炭素イオンはポスト加速器6に入射される。ポスト加速器6は、例えばAPF(Alternating-Phase Focusing)−IH(Interdigital-H)型線形加速器など、イオンを収束するための電磁石を内蔵しない、自己収束型加速器である。このポスト加速器6は、陽子を例えば4MeV/uから7MeV/uまで加速できるよう構成されている。ポスト加速器6に入射されるイオンが陽子の場合は、例えば7MeV/uまで加速して出射する。しかし、ポスト加速器6は、入射されるイオンが炭素イオンの場合は、加速動作を行わず、4MeV/uのままで出射する。さらに、出射された7MeV/uの陽子、または4MeV/uの炭素イオンを、シンクロトロン7で加速するためにシンクロトロン7に入射されるように構成されている。

以上のように、本発明の実施の形態1によるシンクロトロン用入射器システムは、例えば治療用の粒子線として必要なイオンが陽子である場合、第一イオン源1により陽子を発生させ、低エネルギビーム輸送路4を介してプリ加速器5に陽子を入射させて4MeV/uのエネルギまで加速する。4MeV/uのエネルギまで加速された陽子を、ポスト加速器6により、さらに7MeV/uのエネルギまで加速してシンクロトロン7に入射する。シンクロトロン7では、陽子をさらに治療に必要なエネルギまで加速する。

一方、治療用の粒子線として必要なイオンが炭素イオンである場合、第二イオン源2により炭素イオンを発生させ、低エネルギビーム輸送路4を介してプリ加速器5に炭素イオンを入射させて4MeV/uのエネルギまで加速する。4MeV/uのエネルギまで加速された炭素イオンは、ポスト加速器6に入射されるが、ポスト加速器6では炭素イオンを加速せず、4MeV/uのエネルギのまま炭素イオンを出射し、シンクロトロン7に入射する。シンクロトロン7では、炭素イオンをさらに治療に必要なエネルギまで加速する。

このように、ポスト加速器6に入射するイオンが炭素イオンの場合、ポスト加速器6は加速動作させず、入射した炭素イオンをそのままポスト加速器6内を通過させ出射させる。ポスト加速器6は電磁石を内蔵しない自己収束型加速器であるため、入射された炭素イオンは磁場の影響を受けずに、そのまま出射することができる。また、ポスト加速器6は陽子のみを加速可能な構成とするため、炭素イオンも加速可能な構成とするよりも電力が少なく小型の加速器とすることができる。

ここで、ポスト加速器6のビーム口径を、プリ加速器5のビーム口径よりも大きくしておくことが望ましい。ポスト加速器6のビーム口径、例えば加速電極などのアパーチャ径を、プリ加速器5のビーム口径、例えば加速電極のアパーチャ径よりも大きくしておけば、ポスト加速器6内部で、通過する炭素イオンが電極などに当たって損失して、ポスト加速器6内部を汚染するのを防止することができる。

以上説明したように、実施の形態1によるシンクロトロン用入射器システムでは、プリ加速器5を、シンクロトロンの入射エネルギとして電荷質量比が小さい炭素イオンに適したエネルギまで、電荷質量比が小さい炭素イオンおよび電荷質量比が大きい陽子いずれも加速可能な構成とし、ポスト加速器6では、電荷質量比が大きい陽子をシンクロトロンの入射エネルギとして適したエネルギまで加速する構成とした。このため、2種のイオンをシンクロトロンに入射できる入射器として、電荷質量比が小さい炭素イオンも、電荷質量比が大きい陽子も、それぞれシンクロトロンの入射エネルギとして適したエネルギまで加速して出射できるシンクロトロン用入射器システムを、小型で実現できる。

実施の形態2. 図2は本発明の実施の形態2によるシンクロトロン用入射器システムの構成を示すブロック図である。実施の形態1と同様、第一のイオンである陽子を発生する第一イオン源1と、第一のイオンよりも電荷質量比(電荷/質量)が小さい第二のイオンである炭素イオンを発生する第二イオン源2とを備えている。第一イオン源1から発生された陽子は、第一低エネルギビーム輸送路41を通って、第二イオン源から発生された炭素イオンは、第二低エネルギビーム輸送路42を通って、合成器43に入射される。合成器43により第一低エネルギビーム輸送路41と第二低エネルギビーム輸送路42とは、一つのビームライン44に合流して陽子または炭素イオンがプリ加速器5に入射されるように構成されている。

プリ加速器5は、入射された陽子または炭素イオンをたとえば4MeV/uまで加速できるように構成されている。プリ加速器5から出射した陽子または炭素イオンは分配器30により、イオンが陽子の場合は偏向器31を介してポスト加速器6に陽子が入射されるように輸送される。ポスト加速器6は、例えばAPF(Alternating-Phase Focusing)−IH(Interdigital-H)型線形加速器など、イオンを収束するための電磁石を内蔵しない、自己収束型加速器である。このポスト加速器6は、陽子を例えば4MeV/uから7MeV/uまで加速できるよう構成されている。

一方、イオンが炭素イオンの場合、プリ加速器5から出射された炭素イオンが、分配器30および合成器33を通って、ポスト加速器6を通過せずに、中エネルギビーム輸送路34からそのまま出射され直接シンクロトロン7に入射されるよう構成している。

ポスト加速器6で例えば7MeV/uまで加速された陽子は、偏向器32と合成器33を介して、炭素イオンと同じ中エネルギビーム輸送路34に合流され、シンクロトロンに入射される構成としている。

このように、本発明の実施の形態2によるシンクロトロン用入射器システムは、例えば治療用の粒子線として必要なイオンが陽子である場合、第一イオン源1により陽子を発生させ、低エネルギビーム輸送路4を介してプリ加速器5に陽子を入射させて4MeV/uのエネルギまで加速する。4MeV/uのエネルギまで加速された陽子を、ポスト加速器6により、さらに7MeV/uのエネルギまで加速してシンクロトロン7に入射する。シンクロトロン7では、陽子をさらに治療に必要なエネルギまで加速する。

一方、治療用の粒子線として必要なイオンが炭素イオンである場合、第二イオン源2により炭素イオンを発生させ、低エネルギビーム輸送路4を介してプリ加速器5に炭素イオンを入射させて4MeV/uのエネルギまで加速する。4MeV/uのエネルギまで加速された炭素イオンは、ポスト加速器6に入射されずに4MeV/uのエネルギのままシンクロトロン用入射器システム10から出射され、シンクロトロン7に入射される。シンクロトロン7では、炭素イオンをさらに治療に必要なエネルギまで加速する。

このように、炭素イオンの場合、ポスト加速器6を通過させずにプリ加速器5により加速されエネルギが増大された炭素イオンを、直接シンクロトロン用入射器システム10から出射するようにした。ポスト加速器6は陽子のみを加速可能な構成とするため、炭素イオンも加速可能な構成とするよりも電力が少なく小型の加速器とすることができる。また、炭素イオンがポスト加速器6内を通過しないため、ポスト加速器6内部で、炭素イオンが電極などに当たって損失して、ポスト加速器6内部を汚染することがないという効果がある。

実施の形態3. 図3は本発明の実施の形態3によるシンクロトロン用入射器システムの構成を示すブロック図である。実施の形態1および実施の形態2と同様、第一のイオンである陽子を発生する第一イオン源1と、第一のイオンよりも電荷質量比(電荷/質量)が小さい第二のイオンである炭素イオンを発生する第二イオン源2を備えている。第一イオン源1から発生された陽子は、第一低エネルギビーム輸送路41を通って、第二イオン源から発生された炭素イオンは、第二低エネルギビーム輸送路42を通って、合成器43に入射される。プリ加速器5は、前段加速器51と後段加速器52とを備えている。合成器43により第一低エネルギビーム輸送路41と第二低エネルギビーム輸送路42とは、一つのビームライン44に合流して陽子または炭素イオンが前段加速器51に入射されるように構成されている。

前段加速器51では入射された陽子または炭素イオンを群集化(バンチング)する。前段加速器51としては、例えばRFQ(Radio Frequency Quadrupole)型などの加速器が適している。前段加速器51において群集化された陽子または炭素イオンを後段加速器52において、シンクロトロン7の入射エネルギとして、例えば炭素イオンに適したエネルギである4MeV/uまで加速する。後段加速器52としては、例えばDTL(Drift Tube Linac)型などの加速器が適している。

後段加速器52により4MeV/uまで加速された陽子または炭素イオンは、実施の形態1と同様、ポスト加速器6に入射される。ポスト加速器6は、例えばAPF(Alternating-Phase Focusing)−IH(Interdigital-H)型線形加速器など、イオンを収束するための電磁石を内蔵しない、自己収束型加速器である。このポスト加速器6は、陽子を例えば4MeV/uから7MeV/uまで加速できるよう構成されている。ポスト加速器6に入射されるイオンが陽子の場合は、例えば7MeV/uまで加速して出射する。しかし、入射されるイオンが炭素イオンの場合は、加速せず、4MeV/uのままで出射する。7MeV/uの陽子、または4MeV/uの炭素イオンは、シンクロトロン7で加速するためにシンクロトロン7に入射されるように構成されている。

以上のように、本発明の実施の形態3によるシンクロトロン用入射器システムは、例えば治療用の粒子線として必要なイオンが陽子である場合、第一イオン源1により陽子を発生させ、低エネルギビーム輸送路4を介して前段加速器51に陽子を入射させて群集化し、後段加速器52により4MeV/uのエネルギまで加速する。4MeV/uのエネルギまで加速された陽子を、ポスト加速器6により、さらに7MeV/uのエネルギまで加速してシンクロトロン7に入射する。シンクロトロン7では、陽子をさらに治療に必要なエネルギまで加速する。

一方、治療用の粒子線として必要なイオンが炭素イオンである場合、第二イオン源2により炭素イオンを発生させ、低エネルギビーム輸送路4を介して前段加速器51に炭素イオンを入射させて群集化し、後段加速器52により4MeV/uのエネルギまで加速する。4MeV/uのエネルギまで加速された炭素イオンは、ポスト加速器6に入射されるが、ポスト加速器6では炭素イオンを加速せず、4MeV/uのエネルギのまま炭素イオンを出射し、シンクロトロン7に入射する。シンクロトロン7では、炭素イオンをさらに治療に必要なエネルギまで加速する。

このように、本実施の形態3によるシンクロトロン用入射器システムにあっては、実施の形態1と同様、ポスト加速器6に入射されるイオンが炭素イオンの場合、ポスト加速器6は加速動作させず、入射した炭素イオンをそのままポスト加速器6内を通過させ出射させる。ポスト加速器6は電磁石を内蔵しない自己収束型加速器であるため、入射された炭素イオンは磁場の影響を受けずに、そのまま出射することができる。また、ポスト加速器6は陽子のみを加速可能な構成とするため、炭素イオンも加速可能な構成とするよりも電力が少なく小型の加速器とすることができる。ここで、実施の形態1で説明したのと同様、ポスト加速器6のビーム口径を、プリ加速器5のビーム口径よりも大きくしておくことが望ましい。ポスト加速器6のビーム口径を、プリ加速器5のビーム口径よりも大きくしておけば、ポスト加速器6内部で、通過する炭素イオンが電極などに当たって損失して、ポスト加速器6内部を汚染するのを防止することができる。

実施の形態4. 図4は本発明の実施の形態4によるシンクロトロン用入射器システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態4においては、実施の形態3と同様、陽子または炭素イオンが前段加速器51において群集化され、後段加速器52において、シンクロトロン7の入射エネルギとして、例えば炭素イオンに適したエネルギである4MeV/uまで加速される。

後段加速器52から出射された陽子または炭素イオンは、実施の形態2と同様、分配器30に入射される。分配器30では、入射されるイオンが陽子の場合、偏向器31を介して陽子をポスト加速器6に入射するよう分配する。ポスト加速器6に入射された陽子は、ポスト加速器6により例えば7MeV/uのエネルギまで加速され、偏向器32を介して合成器33を通って中エネルギビーム輸送路34に合流し、シンクロトロン用入射器システム10から出射されるよう構成されている。一方、分配器30に入射されるイオンが炭素イオンの場合、炭素イオンをポスト加速器6に入射させずに、中エネルギビーム輸送路34からそのままのエネルギで出射させるよう構成されている。

このように、炭素イオンの場合、ポスト加速器6を通過させずに後段加速器52により加速されエネルギが増大された炭素イオンを直接シンクロトロン用入射器システム10から出射するようにした。ポスト加速器6は陽子のみを加速可能な構成とするため、炭素イオンも加速可能な構成とするよりも電力が少なく小型の加速器とすることができる。また、本実施の形態4によるシンクロトロン用入射器システムによれば、実施の形態2と同様、炭素イオンがポスト加速器6内を通過しないため、ポスト加速器6内部で、炭素イオンが電極などに当たって損失して、ポスト加速器6内部を汚染することがないという効果がある。

1 第一イオン源、2 第二イオン源、4 低エネルギビーム輸送路、 5 プリ加速器、6ポスト加速器、7 シンクロトロン、 10 シンクロトロン用入射器システム、30 分配器、 34 中エネルギビーム輸送路、43 合成器

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