4 rod rfq accelerator rfq electrode of

申请号 JP9505897 申请日 1997-03-27 公开(公告)号 JP3317183B2 公开(公告)日 2002-08-26
申请人 日新電機株式会社; 发明人 博 藤澤;
摘要
权利要求 (57)【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 4本の等価な長手方向に延びる電極を正方形の頂点の位置に固定し、対角線上の電極対をポストで結合し、隣接電極間には高周波電圧を励起し、4本の電極間にイオンビ−ムを導入し高周波電界によってイオンビ−ムを加速するようにした4ロッドRFQ加速管に用いられる電極であって、それぞれの棒状電極は長手方向に冷却水路が穿たれ隣合う電極間で山と谷が対向するように配置された構造を持ち、4つの電極が囲むビーム通過空間の半径R 1が5mm〜9mmであり、山の軸直交方向の曲率R 2が5mm〜9mmであり、山の頂点から底面までの高さHをビーム通過空間の半径R 1で割った値H/R 1が4〜6であることを特徴とする4ロッドRFQ加速器のRFQ電極。
  • 【請求項2】 底面に部分的な拡大部がありここにボルト穴が穿孔され拡大部の側面をポストに接触させボルトによって電極をポストに固着したことを特徴とする請求項1に記載の4ロッドRFQ加速器のRFQ電極。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、4ロッドRFQ電極の形状の改良に関する。 4ロッドRFQ電極は高エネルギーイオン注入装置の高エネルギーイオン加速管などに用いられる。 またその他の実験用、医療用イオン加速器にも用いられることがある。 RFQというのはイオンの線形加速器の一つである。 荷電粒子の加速器はサイクロトロンのようにビームを円運動させて加速するような円形加速器と、直線運動させながら加速する線形加速器がある。

    【0002】線形加速器の場合<有孔電極間に直流の大電圧を印加してイオンを加速するというのが原理である。 その場合加速エネルギーをqVとすれば高電圧Vを発生する直流電源が必要である。 数MeVの加速をするにはMV級の高電圧の電源が要る。 電源部分だけでも巨大になるし、ビームの通る真空容器も大きい容積を必要とする。 このような装置は巨大でしかも高価な装置にならざるを得ない。

    【0003】しかし近年半導体産業においても、数Me
    Vの高エネルギーでイオン注入をしたいという要望が強くなってきている。 生産のために数MeVのイオン加速をするとなるとコストを無視した大型装置では役に立たない。 より小型で高エネルギーまで加速できる新規な加速器が希求される。

    【0004】RFQというのは比較的新しい線形加速器の一つである。 4本の電極を正方形の頂点に該当する位置に配置し対線上の電極を接続し、隣接電極間には高周波電圧が励起するように構成されている。 つまり4つの電極が四重極を形成する。 そして高周波(radio-freq
    uency )を隣接電極間に加える。 直流の大電圧をビ−ム進行方向に離隔した電極間に与えるのではなく、平行な4本の電極間に高周波を励起する。 高周波を4重極電極に印加するので、radio-frequency quadrapole(高周波四重極)を縮めてRFQというのである。 棒状の電極A、B、C、Dを平行に配置するから4ロッドという。
    4ロッドであるから四重極を形成できるのであって、4
    ロッドと四重極(Q)とは同義を反復している嫌いがあるがそのような言い方をするのが最も正確である。

    【0005】これは初め1970年にカプチンスキーとテプリヤコフによって提案されたものである。 I. Kapch
    inskii and V. Teplyakov, Pub.Tekh, Eksp.2 (1970) p
    19.しかし彼らは可能性を示しただけでその原理を実証できなかった。 1981年にロスアラモスの研究者達が実験器を作って加速が可能であることを初めて実証した。 JE Stovall, KR Crandall and RW Hamm,
    IEEE Trans. Nucl.Sci,NS-28(1981)p1508.

    【0006】ビ−ム軸進行方向(z方向)に直角な面にある正方形ABCDの頂点の位置に4本の電極を配し、
    ポストという部材によって対角線上にあるAとCを繋ぎ、他の対角線上にあるBとDを繋ぐ。 ACとBD間に高周波電圧を励起させるが、それだけでは線形加速器にはならない。

    【0007】それぞれの電極棒の長さ方向に山と谷(凹凸)を形成する。 一つの電極の山の位置に、隣接する電極の谷が対応し、一つの電極の谷の位置に隣接電極の山が対応するように並べると、ビ−ム進行方向に加速電場を形成することができる。 電極の山谷あるいは谷山の周期をセルという。

    【0008】そして、イオンが1セルの距離wを走行する時間w/vと高周波の半周期T/2が等しくなるようにする。 つまり高周波の波長をλとすると、w=vT/
    2=(v/c)(cT/2)=βλ/2である。 このように山の間隔を決めると、イオンはz方向の加速電界が交番するごとに1セルを通過することになる。 従ってイオンは1セル毎に電界を受け加速される。 このようにイオンの進行と高周波の交代が同期しているので線形加速器として機能する。 イオンが加速されるとvが大きくなりβ=v/cも大きくなるから、セルの長さも電極長手方向に沿って少しずつ延びるように設計する。

    【0009】リニアックのように直流の高電圧をビ−ム進行方向に離れた電極間に印加することにより、直流加速するものとは全く違う原理によって、イオンを加速する。 電極の方向も違うし、加速電圧も直流ではなくで高周波である。 直線上に沿った軌跡で加速するので線形(linear)加速器のカテゴリ−に含まれるが在来のものとは大きく異なる。

    【0010】イオンビ−ムは間欠的に加速することもある。 イオンビ−ムが加速されている時間を1周期で割ったものをデューティという。 発熱が著しいので初期はデューティの低いもので試みられた。 しかし大電流のイオンビ−ムが欲しいのでデューティをより高くするという要望が強い。 従って連続(CW)運転も望まれる。

    【0011】4ロッドRFQ加速器は様々の利点を持っている。 まず大型の高電圧直流の電源を不要とする。 そうではなくて小型の高周波電源を用いる。 電源部分の容積が小さくなる。 また加速管の寸法を小さくできる。

    【0012】従来4つの電極の山の頂点の距離は極めて狭いもので、電極間の半径R 1は4mm程度であった。
    このように電極間隔が狭くて、これを囲む円筒上の真空容器も十分に小さいものであった。 例えば真空容器は直径600mm程度の小さなものであって良い。 これはビ−ム軸直交方向の寸法が小さいということである。

    【0013】それだけでなくてビ−ム軸の方向にも短くて良い。 例えば容器の長さは2m〜3mの程度で良い。
    電源の点でも真空容器の点でも極めて魅的な装置であって、在来の直流型の線形加速器と違って生産現場において実用的な加速器を提供できる可能性がある。

    【0014】

    【従来の技術】本発明は4ロッドRFQ加速器のうちR
    FQ電極の形状を問題にする。 これは長手方向に延びる4本の電極棒である。 隣合う電極(AとB、BとC、C
    とD、DとA)の山谷の位相が180°異なるような凹凸のある棒である。 この棒の何箇所かがポストという部材によって支持される。 ポストは機械的な支持と共にタンク内で共振構造を形成する。 また高周波電流が大量に流れるから電極、ポストは強く発熱する。 そのために電極は電気伝導、熱伝導の優れた材料によって作り、内部に冷却を通すようになっている。 冷却水を十分に流すためには冷却水路が十分太くないといけない。

    【0015】もっとも最初に作られた4ロッドRFQは図1に示すような波型丸棒である。 4つ同じ棒電極を使うので1本の構造を示す。 断面が円形の棒状金属(銅或いは鉄、アルミ材)全周を、加速するイオン種、入射イオンエネルギー、出射エネルギーなどによって決まる波型形状に加工し、その内部に軸方向に電極冷却用の媒体を流すための穴を空けている。 さらに高周波伝導性の高い金属メッキ(銅、銀、金など)を表面に施している。
    反対に穴が空いている金属材料を波型加工しても良い。
    これは軸対称の棒であって丸棒を回転させながら旋盤によって波型を簡単に加工できる。 製作容易であるという利点がある。

    【0016】また軸対称なのでポストに取り付ける際に方向を考える必要がなく簡単である。 初期は実験室での研究用に作られたのでパルス的に小電流のイオンビ−ムを加速するデューティの低いものでよかった。 冷却水も少なくてよかったのである。 ところがこのような図1の電極は冷却水路が狭くて高デューティの場合には使えない。 冷却水穴を広くできないからである。 また丸棒に波型を作っているから谷部分が弱く曲がり易い。 冷却水の流れによって機械的振動を生じる。 特に対角線方向への振動があると電界が著しく乱れてイオン加速に問題が生じる場合がある。 またビームが電極に衝突して損耗する。

    【0017】次いで図2に示すようなRFQ電極が作られた。 銅、鉄或いはアルミの角棒に冷水路の穴を穿孔して、ひとつの外面にのみ山谷の波型構造を形成している。 これは本発明者がかつて発明したRFQ電極である。 対向電極間に電界の波を作り出す事ができればいいのであるから、山谷構造は一面だけにあれば良い。 冷却水路の径をより大きくできる。 さらに角材であるから高さ方向の剛性が強く曲がり難い、堅牢であるという利点がある。 この4ロッド電極を使ってかなりデューティの高いイオンビ−ム加速を行うことができる。

    【0018】しかし電極間ギャップ2R 1が狭いとイオンビ−ムが4ロッド電極間に入りにい。 イオン源から出たビームを例えば1mm径に絞って質量分析マグネットに通すとする。 1mmのスリットを通してから4ロッド電極に入れるとしてもビームには広がり角があるので入りにくい。 4ロッド電極間への入れ易さをアクセプタンスという。 電極間が8mmと狭いとアクセプタンセが低くビームを入れにくい。 しかも一旦電極間に入れてもビームは広がるので電極に衝突し易い。 衝突するとビーム損失になる。

    【0019】次に電極高さHを問題にする。 電極高さH
    は一つの電極の山の部分から反対側の底面までの距離として定義する。 He +イオンを加速するために、100
    MHzの高周波を印加するRFQ電極の場合、従来は電極高さHが21mmであった。 これもまた問題がないとは言い切れない。 高周波の周波数が違うとセルの長さ(βλ/2)が短くなるし、最適の電極高さHもそれに比例して小さくなる。 であるからHは周波数との関連で最適値を定義すべきである。

    【0020】図2のRFQ電極は長手方向に一様な波型形状をしており、取り付けの為の機構を持っていない。
    それでポストという支持部材に鑞づけして固定する。 図3にそのような鑞付けの4ロッドRFQ線形加速器の概略の構造を示す。 正方形ABCDに当たる位置に4ロッド電極が取り付けられる。 垂直の板であるポストは2種類あって、一つはA、B電極が鑞付けされる。 もう一つはB、D電極が鑞付けされる。 ポストは電極A、Cあるいは電極B、Dを結合している。 ポストを垂直に支持し、長手方向に延びる長い板をベースという。 高周波がポスト間に印加される。 図示していないが冷却水のパイプもベース、ポストの近傍の設けられる。 電極の対向面に波があるが、ここでは図示を省略している。 これらはRFQ電極の主要部だけを示している。 実際には4ロッド電極、ポスト、ベースを囲む円筒形の真空容器がある。 真空容器はできるだけ小さい方がコストやスペースの点で望ましい。 しかしあまりに小さいと高周波電流が大量に流れ、電力損失が大きくなる。

    【0021】

    【発明が解決しようとする課題】4ロッドRFQ電極の一部或いは全体の形状を最適化し、RFQ加速管の電力効率がよく、イオンビ−ムが入り易くアクセプタンスが高い、機械的強度に優れた、冷却効率のよいRFQ電極を提供することが本発明の目的である。

    【0022】

    【課題を解決するための手段】本発明の4ロッドRFQ
    電極は、4本の等価な長手方向に延びる電極を正方形の頂点の位置に固定し、対角線上の電極対をポストで結合し、隣接電極間には高周波電圧を励起し、4本の電極間にイオンビ−ムを導入し高周波電界によってイオンビ−
    ムを加速するようにした4ロッドRFQ加速管に用いられる電極であって、それぞれの棒状電極は長手方向に冷却水路が穿たれ、隣り合う電極間で山と谷が対向するように配置された構造を持ち、4つの電極が囲むビーム通過空間の半径R 1が5mm〜9mmであり、山の軸直交方向の曲率2が5mm〜9mmであり、山の頂点から底面までの高さHをビーム通過空間の半径R 1で割った値H/R 1が4〜6である。

    【0023】

    【発明の実施の形態】RFQ電極に関し、3次元動電磁場解析コードを使い、上記効率が改善できるパラメータを見つけ、冷却能力、機械強度、組立易さなどを考慮に入れ最適化した。 図4に本発明の4ロッドを使った加速器の4ロッドRFQ電極の投影図を示す。 大きい円が真空容器の大きさを示している。 真空容器の内部に4ロッド電極、ポスト、ベースなどが置かれている。 中央の4
    弁の花のような影は、4ロッド電極の投影である。 斜面を持つ4角形板はポストの投影である。 対角線上の二つの電極を接続している有り様が良く分かる。

    【0024】空間を縦横に等間隔に並ぶ格子に分割し格子点での磁場の強度を示している。 矢印は磁場の方向を示し、丸の大きさは磁場の強度を示す。 ×の記号は磁場が紙面に入って行く方向の磁場を表す。 ポストには大電流が流れるのでポストを回る強い磁場が形成される。 外側の真空容器の近傍でもかなりの強さの磁場がある。 これと直交する方向に電界が生じ、これが高周波電流を容器に発生させる。 だから容器を余り小さくできない。

    【0025】図5は上記コードの計算結果の一部を示すものである。 4ロッドと、これらの対角線上の二つの電極を支持するポストなどが図示されている。 ベースや真空容器は省かれている。 磁場の大きさと方向を多角錐(コーン)によって示している。 ポスト回りに磁場が生じるが、隣接ポスト間で磁場の回る方向が反対になる。
    磁場の強度はポストによって異なる。 コーンは101M
    HzのRFQモードで加速管を励振した時のある時間の磁界の大きさと方向を示すものである。 ポスト間の間隔をユニットという。 この場合一つの加速管は3つのユニットから成っている。 高周波の周波数が違っても磁場の様子は同様である。 しかしセルの長さも最適の電極寸法も加速するイオン、周波数などによって異なる。

    【0026】図7と図8によって本発明のRFQ電極の形状パラメータを説明する。 図7は長手方向と直角な方向の電極断面図である。 図8は一部分の側面図である。
    RFQ電極1は長手方向(z軸方向)に延びる銅、鉄、
    アルミなど伝導性に優れた金属の棒である。 断面図形状は五角形に近い。 長手方向に半径R 3の冷却水路2が穿孔されている。 ビーム通過空間9に近い部分は山3と谷8が交代するような波型の稜線が形成されている。 山3、谷8から60度の傾斜面4、4が連続しこれが平行な側面5、5に続いている。 平行側面5、5に対して底面6が直交している。 図7はビームが通過する軸10
    (z軸)と直角な面での断面であるが、実際には山3の前方には他の3つの電極の山が対向している。

    【0027】一点鎖線で描いた円がビーム通過空間9である。 これと直交軸x,yとの交点に他の電極の山が位置している。 4つの山によって囲まれる空間は円ではないが、4つの山の内接円としてビーム通過空間9を定義する。 内接円半径R 1によってビーム通過空間9の半径とする。 これが狭いと電界が高くなり電力効率が良い。
    しかしイオン源、質量分析マグネットを経たビームをビーム通過空間9へ入れる事が難しい。 ビームの入れ易さをアクセプタンスという。 R 1が小さいとアクセプタンスが小さく、R 1が大きいとアクセプタンスが大きい。
    RFQ加速管の電力効率はその反対の関係にある。

    【0028】電極1の幅をWとする。 山の頂点から底面までの距離を電極高さHとする。 Hはシャントインピーダンスに関係する。 本発明のRFQ電極は長手方向に一様でなく、いくつかの張り出し部分を底面に形成し取り付け部分7としている。 張り出し取り付け部7にはボルト穴11を穿設している。 ポストの螺穴へボルトによって電極1を直接に固定する。 電極1の取り付け部側面がポストに直接に接触するから電気伝導、熱伝導が良い。

    【0029】いくつかの条件を勘案して最適のRFQ形状を決める。 まず投入電力の問題がある。 できるだけ小さい電力でイオンビ−ムを加速できるようにしたい。 これが電極高さHに関係するということが本発明である。
    どのように関係するのか? 必要な電圧を得るための電力が如何ほどか? ということはシャントインピーダンスによって決まる。 図6は101MHzの高周波によって4
    ロッドRFQ電極に加速電界を発生させたときの電極高さHに対するシャントインピーダンス(対投入電力電極間電圧発生効率を示す)とQ値(加速管の電力ロスに反比例する)をプロットしたものである。

    【0030】シミュレーションは4点で行った。 その他の点では計算していないので4点の間は単に内挿によっている。 電極高さが27mmでシャントインピーダンスは120kΩ、Q値は6000である。 電極高さHが2
    1mmでシャントインピーダンスが144kΩ、Q値が6800である。 電極高さHが17mmでシャントインピーダンスが162kΩ、Q値が7050である。 電極高さHが14でシャントインピーダンスが176kΩ、
    Qが7200である。 一般に電極の高さHが低い程シャントインピーダンスが大きく、Qが大きくなることが分かる。

    【0031】高周波が101MHzの場合、従来の電極の高さHは21mmであった。 本発者は21mmよりも14mmにした方が電力損失を少なくできることに気づいた。 H=21mmでシャントインピーダンスが144
    kΩ、H=14mmでシャントインピーダンスが176
    kΩであるから約22%高くなる。 すると投入電力はそれに応じて低減することができる。 シャントインピーダンスと投入電力の間には次の関係がある。

    【0032】

    【数1】

    【0033】同じ電極間電圧を与えるという条件で、投入電力とシャントインピーダンスは反比例する。 シャントインピーダンスが1.22倍になれば、同じ電圧を得るために必要な電力は0.82で良い。 従って電極高さHを14mmにすれば、従来例(H=21mm)に比較して82%の電力で同じ電極間電圧を発生させることができる。 但し、実際にH=14mmとすることは難しい。 ポストへの固定代の問題もある。 投入電力だけの観点からは決められない。

    【0034】ところがこれは高周波が101MHzの場合の好適なHの範囲である。 高周波周波数がより低いと、好適な電極高さHは周波数に反比例するので、上記の計算が指針を与えることがある。 He +のように軽いイオンを加速する場合は高い周波数によって加速できるが、B +のようにより重いイオンを加速する場合は、より低い周波数が用いられる。

    【0035】それでB +などを加速する場合は、その1
    /3の33MHzの高周波を使う。 101MHzで電力消費の点から14mmの電極高さが最適であるということであれば、これを33MHzに引き直すと、その3倍のH=42mmが最適の電極高さということになる。 4
    2mmあれば機械的強度も十分であるしポストへの取り付けも問題がない。

    【0036】しかし33MHzで従来は電極高さが63
    mmであったということではない。 これまで重いB +を33MHzで加速した例はなく、軽いHe +を101M
    Hz(H=21mm)で加速した例がある、というだけのことである。 本発明はSi半導体においてドーパントとしてB、P、Asなどのイオンをイオン注入することを前提にしており、比較的低い高周波が選ばれる。 これまで研究室で行われたHe +の加速などとはかなり相貌が異なる。

    【0037】次に問題にすべき事はビームが通過する空間、つまり対向電極の山−山間距離である。 ビーム通過空間は内接円の半径R 1によって定義される。 直径は2
    1である。 長手方向(z方向)の電界を強く取るため従来は2R 1 =8mmであった。 これは電力効率はいいのであるが、アクセプタンスが小さい。 つまりイオン源−質量分析マグネットを経てきたイオンビ−ムのコミッタンスがRFQのアクセプタンスより大きい。 そこで本発明では2R 1 =16mmと倍増する。

    【0038】さらに電極の山のx方向の曲率(長手方向に直角断面での曲率)も問題である。 これは曲率よりもその逆数である曲率半径2によって表現する。 R 2が大きいとアクセプタンスが良いが電力効率が悪い。 小さいとアクセプタンスが悪く電力効率が良い。 アクセプタンスと電力効率の両方の点から最適なR 1 、R 2の値は共に5mm〜9mmである。 これもB、P、Asなどを加速する場合である。

    【0039】

    【表1】

    【0040】先ほど、101MHzの時に電極高さHが14mmが好ましい値であるということを述べた。 それでは周波数の関数となり分かり難いので、ビーム通過空間の半径2R 1の倍数として、最適電極高さHの範囲を定義する。 H/R 1は4〜6が良い。 最適値は5である。 これより小さいと機械的強度が低下するし冷却能率も悪い。 これより大きいと電力効率が悪い。 総合的な評価としてはH/R 1 =4〜6が良い。

    【0041】

    【表2】

    【0042】結局、R 1 、R 2が5mm〜9mm、H/
    1が4〜6というのが最も総合的な評価が高い。 アクセプタンスというのは4ロッドRFQ加速管にビームが入って行く容易さを示す指標である。

    【0043】

    【実施例】シミュレーションモデルは共振周波数100
    MHzで行った。 半導体のドーパントとしてよく使われるボロンやリンを加速するためには、その1/3の周波数、33MHz程度で運転させる必要がある。 図7、図8に電極パラメータR 1 、R 2 、R 3 、W、Hの定義を示す。 次に33MHzで駆動する場合の最適のRFQ電極寸法を示す。 R 1 =0.8cm=8mm R 2 =0.8cm=8mm R 3 =0.8cm=8mm W =2.4cm=24mm H =4.2cm=42mm

    【0044】Hを小さくするとシャントインピーダンスは上がるが、冷却水路の断面を大きく取ることができなくなり冷却能力が不足する。 また機械強度も不足し、電極が振動するという問題も起こり易くなる。 現実にはH
    はR 1のおよそ5倍程度にするのが良い。 そうすれば冷却能力を損なう事なくシャントインピーダンスも大きく取ることができる。

    【0045】一様な形状ではなくてポストに取り付ける部分は底部をさらに膨らませている。 取り付け部分は電極高さが局所的にH'になっている。 H'>H。 この膨らんだ部分にボルト穴が穿孔される。 ボルトによって取り付け部がポストに固定される。 電極の一部の側面が直接にポストに接触している。 電気的に機械的にポストとの接触が緊密になる。 放熱の点でも有利である。

    【0046】

    【発明の効果】本発明によれば、4ロッドRFQ電極の一部或いは全体の形状を最適化し、RFQ加速管に投入する電力をより小さくし、アクセプタンスを高めイオンビ−ムをより入り易くし、機械的強度に優れ、冷却効率のよいRFQ電極を提供することができる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】長手方向に穴を持つ円形断面図のパイプに波型を回転対称になるように形成したもっとも初期のRFQ
    電極の概略斜視図。

    【図2】角型断面の金属棒に長手方向の冷却水路を穿ち一面に山谷の交代する波型を形成した本発明者がかつて発明したRFQ電極の概略斜視図。

    【図3】4ロッドRFQ線形加速管の概略斜視図。

    【図4】4ロッドRFQ電極の三次元動電磁場解析コードによるシミュレーション結果を示す投影図。 ポスト部断面の磁場は、上部で弱く、下部で強くなっている。

    【図5】三次元動電磁場解析コードによる、4本のロッド電極を4本のポストで支える構造の4ロッドRFQ電極のシミュレーション結果を示す図。 コーンは磁場の強度と方向を示す。 RFQモードでは磁場はポストをとりまくように分布しているのが分かる。 外側の容器は図示しない。

    【図6】101MHzの高周波を印加して作動する4ロッドRFQ加速管において、4ロッドRFQ電極の高さHに対する、シャントインピーダンス、Q値のシミュレーション結果を示す図。 加速管の電力効率は電極高さに反比例して上昇する。 そしてこの効果はQ値が改善されたことによる結果であることが分かる。

    【図7】本発明が提案するRFQ電極の軸垂直方向の断面図。 R 1はビーム通過空間の半径、R 2は電極の山の部分の軸垂直方向の曲率半径、R 3は冷却水通路の半径、Wは電極の厚み、Hは(電極の山の頂点から底面までの距離)電極高さ、H'は山の頂点から底面から張り出した取り付け部までの距離。

    【図8】本発明に係るRFQ電極の一部の側面図。 張り出し取り付け部にはボルト穴が穿たれている。

    【符号の説明】

    1 RFQ電極 2 冷却水路 3 山 4 傾斜面 5 側面 6 底面 7 張り出し取り付け部 8 谷 9 ビーム通過空間 10 ビーム通過軸 11 ボルト穴

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl. 7 ,DB名) H05H 9/00 C23C 14/48 H01L 21/265 603 H01J 37/317

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