超伝導加速

申请号 JP2015131089 申请日 2015-06-30 公开(公告)号 JP2017016835A 公开(公告)日 2017-01-19
申请人 三菱重工メカトロシステムズ株式会社; 发明人 原 博史; 仙入 克也;
摘要 【課題】超伝導 加速 空洞の共振周 波数 調整を確実に行うことができ、しかも、低コスト化、超伝導加速器の小型化、レイアウト作業の手間軽減を図る。 【解決手段】超伝導状態で荷電粒子ビームを加速する空間を形成する加速空洞と、加速空洞の外周側に配置され、加速空洞との隙間に加速空洞を冷却する冷媒が充填される冷媒槽11と、冷媒槽11の外周部に設けられ、加速空洞における荷電粒子ビームのビーム軸方向の両端部、またはビーム軸方向に直交する方向の両端部にそれぞれ設けられた一対の押圧部材21と、冷媒槽11の外周部に連続して設けられ、一対の押圧部材21同士を接近させる方向の張 力 を発生するワイヤー22と、ワイヤー22で発生する張力を調整する張力調整部25と、を備える。 【選択図】図2
权利要求

超伝導状態で荷電粒子ビームを加速する空間を形成する加速空洞と、 前記加速空洞の外周側に配置され、前記加速空洞との隙間に前記加速空洞を冷却する冷媒が充填される冷媒槽と、 前記冷媒槽の外周部に設けられ、前記加速空洞における前記荷電粒子ビームのビーム軸方向の両端部、または前記ビーム軸方向に直交する方向の両端部にそれぞれ設けられた一対の押圧部材と、 前記冷媒槽の外周部に連続して設けられ、一対の前記押圧部材同士を接近させる方向の張を発生する張力部材と、 前記張力部材で発生する前記張力を調整する張力調整部と、 を備える超伝導加速器。前記張力部材はワイヤーであり、 前記冷媒槽の外周部に周方向に間隔を空けて、前記ワイヤーが掛止される複数の滑車を備える請求項1に記載の超伝導加速器。前記冷媒槽の外周部に、前記冷媒槽の外周部から外周側に突出し、前記滑車を回転自在に支持する支持凸部が設けられている請求項2に記載の超伝導加速器。前記支持凸部は、前記冷媒槽の前記外周部に沿って、周方向に連続して形成されている請求項3に記載の超伝導加速器。前記押圧部材に、前記滑車が設けられている請求項2から4の何れか一項に記載の超伝導加速器。超伝導状態で荷電粒子ビームを加速する空間を形成する加速空洞と、 前記加速空洞の外周側に配置され、前記加速空洞との隙間に前記加速空洞を冷却する冷媒が充填される冷媒槽と、 前記冷媒槽の外周部に設けられ、前記加速空洞における前記荷電粒子ビームのビーム軸方向の両端部、または前記ビーム軸方向に直交する方向の両方の端部にそれぞれ配され、前記冷媒槽の外周部に設けられた支持軸回りに揺動自在に支持されるとともに、一端が前記端部に対向して設けられた一対のアームと、 一対の前記アームの他端同士を離間させる方向に変位させることによって、前記アームの前記一端で前記端部を押圧させるアーム変位部と、 を備える超伝導加速器。前記アームは、前記加速空洞における前記荷電粒子ビームのビーム軸方向の両端部、または、前記ビーム軸方向に直交する方向の両端部から、前記冷媒槽の周方向の両側に延びる請求項6に記載の超伝導加速器。前記冷媒槽の外周部に、前記冷媒槽の外周部から外周側に突出し、前記支持軸を支持する支持凸部が設けられている請求項6又は7に記載の超伝導加速器。前記支持凸部は、前記冷媒槽の前記外周部に沿って、周方向に連続して形成されている請求項8に記載の超伝導加速器。

超伝導状態で荷電粒子ビームを加速する空間を形成する加速空洞と、 前記加速空洞の外周側に配置され、前記加速空洞との隙間に前記加速空洞を冷却する冷媒が充填される冷媒槽と、 前記冷媒槽の外周部に設けられ、前記加速空洞における前記荷電粒子ビームのビーム軸方向の両端部、または前記ビーム軸方向に直交する前記冷媒槽の径方向における前記加速空洞の両端部にそれぞれ設けられた一対の押圧部材と、 前記冷媒槽の外周部に設けられ、前記冷媒槽の外周部から外周側に突出する支持凸部と、 前記支持凸部に支持されるとともに、前記冷媒槽の外周部に連続して設けられ、一対の前記押圧部材同士を接近させる方向の張力を一対の前記押圧部材に作用させる張力部材と、 前記張力部材で発生する前記張力を調整する張力調整部と、 を備える超伝導加速器。前記張力部材はワイヤーであり、 前記冷媒槽の外周部に周方向に間隔を空けて、前記ワイヤーが掛止される複数の滑車を備える請求項1に記載の超伝導加速器。超伝導状態で荷電粒子ビームを加速する空間を形成する加速空洞と、 前記加速空洞の外周側に配置され、前記加速空洞との隙間に前記加速空洞を冷却する冷媒が充填される冷媒槽と、 前記冷媒槽の外周部に設けられ、前記加速空洞における前記荷電粒子ビームのビーム軸方向の両端部、または前記ビーム軸方向に直交する方向の両端部にそれぞれ設けられた一対の押圧部材と、 前記冷媒槽の外周部に連続して設けられ、一対の前記押圧部材同士を接近させる方向の張力を発生する張力部材と、 前記張力部材で発生する前記張力を調整する張力調整部と、 を備え、 前記張力部材はワイヤーであり、 前記冷媒槽の外周部に周方向に間隔を空けて、前記ワイヤーが掛止される複数の滑車を備える超伝導加速器。前記冷媒槽の外周部に、前記冷媒槽の外周部から外周側に突出し、前記滑車を回転自在に支持する支持凸部が設けられている請求項2又は3に記載の超伝導加速器。前記支持凸部は、前記冷媒槽の前記外周部に沿って、周方向に連続して形成されている請求項4に記載の超伝導加速器。前記押圧部材に、前記滑車が設けられている請求項2から5の何れか一項に記載の超伝導加速器。超伝導状態で荷電粒子ビームを加速する空間を形成する加速空洞と、 前記加速空洞の外周側に配置され、前記加速空洞との隙間に前記加速空洞を冷却する冷媒が充填される冷媒槽と、 前記冷媒槽の外周部に設けられ、前記加速空洞における前記荷電粒子ビームのビーム軸方向の両端部、または前記ビーム軸方向に直交する前記冷媒槽の径方向における前記加速空洞の両端部にそれぞれ配され、前記冷媒槽の外周部に設けられた支持軸回りに揺動自在に支持されるとともに、一端が前記端部に対向して設けられた一対のアームと、 一対の前記アームの他端同士を離間させる方向に変位させることによって、前記アームの前記一端で前記端部を押圧させるアーム変位部と、 を備える超伝導加速器。前記アームは、前記加速空洞における前記荷電粒子ビームのビーム軸方向の両端部、または、前記ビーム軸方向に直交する前記冷媒槽の径方向における前記加速空洞の両端部から、前記冷媒槽の周方向の両側に延びる請求項7に記載の超伝導加速器。前記冷媒槽の外周部に、前記冷媒槽の外周部から外周側に突出し、前記支持軸を支持する支持凸部が設けられている請求項7又は8に記載の超伝導加速器。前記支持凸部は、前記冷媒槽の前記外周部に沿って、周方向に連続して形成されている請求項9に記載の超伝導加速器。

说明书全文

この発明は、超伝導加速器に関する。

電子や陽子などの荷電粒子を、超伝導加速空洞を用いて加速する超伝導加速器が知られている。超伝導加速器は、超伝導材料で形成された超伝導加速空洞を、液体ヘリウム等の冷媒で冷却することによって超伝導化する。これによって、超伝導加速空洞の電気抵抗がほぼゼロとなり、電損失なく、荷電粒子の加速を効率良く行うことができる。

このような超伝導加速器においては、超伝導加速空洞において荷電粒子を加速する高周波電場を形成するギャップの長さを調整することで、超伝導加速空洞の共振周波数調整を行う。

特許文献1には、超伝導加速空洞を収容する冷媒槽の軸方向の長さを、冷媒槽に設けられた二つのフランジ間の距離を伸縮させることで調整する構成が開示されている。この構成においては、二つのフランジのそれぞれに密着させた座板同士の間に、テーパ面を有したクサビ状のナットを設け、ボルトによってナットを座板の表面に沿って移動させることで、座板同士の間隔を調整する。

超伝導加速空洞の冷媒槽の径方向両側に、冷媒槽の直径よりも長いビーム部材をそれぞれ設け、これらビーム部材の両端部同士を、冷媒槽の径方向両側でネジ部材等によって連結した構成の共振周波数調整手法も提案されている。この構成によれば、ネジ部材によってビーム部材同士の間隔を増減させることによって、超伝導加速空洞を変形させて粒子通路の長さを変え、超伝導加速空洞の共振周波調整を行うことも提案されている。

特開2012−028090号公報

しかしながら、二つの座板の間に設けたクサビ状のナットを、座板の表面に沿って移動させることによって冷媒槽全体の軸方向長さを変動させるため、座板やナットには大きな力が作用する。したがって、座板やナットを強固なものとしなければならない。すると、座板やナットが大型化し、超伝導加速器の高コスト化、大型化に繋がる。さらに、座板やナットの周囲に他の機器等を設ける場合、座板やナットと、他の機器とが干渉しないようにレイアウトしなければならず、その作業に手間がかかる。

冷媒槽の両端に設けたビーム同士の間隔をネジ部材によって増減させる構成においては、ネジ部材によってビーム同士の間隔を増減させると、ビームに曲げモーメントが作用する。この曲げモーメントに抗するため、ビームを強固なものとしなければならず、その結果、特許文献1に開示された構成と同様、超伝導加速器の高コスト化、大型化、他の機器との干渉を避けるためのレイアウト作業の手間増大等に繋がる。 この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、超伝導加速空洞の共振周波数調整を確実に行うことができ、しかも、低コスト化、超伝導加速器の小型化、レイアウト作業の手間軽減を図ることができる超伝導加速器を提供することを目的とする。

この発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。 この発明の第一態様によれば、超伝導状態で荷電粒子ビームを加速する空間を形成する加速空洞と、前記加速空洞の外周側に配置され、前記加速空洞との隙間に前記加速空洞を冷却する冷媒が充填される冷媒槽と、前記冷媒槽の外周部に設けられ、前記加速空洞における前記荷電粒子ビームのビーム軸方向の両端部、または前記ビーム軸方向に直交する方向の両端部にそれぞれ設けられた一対の押圧部材と、前記冷媒槽の外周部に連続して設けられ、一対の前記押圧部材同士を接近させる方向の張力を発生する張力部材と、前記張力部材で発生する前記張力を調整する張力調整部と、を備える。

このように構成することで、張力調整部により張力部材で張力を発生すると、一対の押圧部材同士が互いに接近する。これによって、加速空洞における荷電粒子ビームのビーム軸方向の両端部、または加速空洞におけるビーム軸方向に直交する方向の両端部が押圧される。すると、加速空洞が変形して荷電粒子の粒子流路の長さが変わるので、加速空洞の共振周波数を調整することができる。 さらに、加速空洞の共振周波数を調整するための機構は、押圧部材と、張力部材と、張力調整部とからなるので、簡易な構成で済む。 さらに、張力部材を、冷媒槽の外周部に連続して設けるので、押圧部材は、加速空洞から側方に突出する寸法を最小限に抑え、少なくとも加速空洞を押圧する部位に設ければよい。したがって、共振周波数を調整する部材が、加速空洞や冷媒槽の外周側に大きく張り出すのを抑えることができる。

この発明の第二態様によれば、超伝導加速器は、第一態様の前記張力部材がワイヤーであり、前記冷媒槽の外周部に周方向に間隔を空けて、前記ワイヤーが掛止される複数の滑車を備えるようにしてもよい。 このように構成することで、張力調整部によりワイヤーを引っ張れば、一対の押圧部材で加速空洞における荷電粒子ビームの粒子流路の長さを調整することができる。ワイヤーは、冷媒槽の外周部に設けた複数の滑車に係止することで、冷媒槽と干渉することなく、冷媒槽の外周部に沿うように設けることができる。

この発明の第三態様によれば、超伝導加速器は、第二態様の前記冷媒槽の外周部に、前記冷媒槽の外周部から外周側に突出し、前記滑車を回転自在に支持する支持凸部が設けられているようにしてもよい。 このように構成することで、滑車を冷媒槽の外周側に設けることができる。これによって、ワイヤーを、冷媒槽に干渉しないように、冷媒槽の外周部に連続して配置することができる。 さらに、滑車を、冷媒槽の外周部に設けられた支持凸部で支持することで、冷媒槽だけで滑車を支持する強度を確保する必要がなくなる。これによって、冷媒槽の薄肉化を図り、冷媒槽の軽量化、熱容量の縮小化を図ることができる。

この発明の第四態様によれば、超伝導加速器は、第三態様において、前記支持凸部が、前記冷媒槽の前記外周部に沿って、周方向に連続して形成されているようにしてもよい。 このように構成することで、滑車を支持する支持凸部の強度を高めることができる。これによって、冷媒槽の薄肉化による軽量化、熱容量の縮小化を、より一層効果的に図ることができる。

この発明の第五態様によれば、超伝導加速器は、第二から第四態様の何れか一つの態様において、前記押圧部材に、前記滑車が設けられているようにしてもよい。 このように構成することで、張力部材の張力が、滑車を介し、加速空洞の押圧部位に配置された押圧部材に直接作用する。これによって、押圧部材で加速空洞を効率よく押圧することができる。さらに、押圧部材を、加速空洞の押圧部位のみに突き当たるように設ければよく、押圧部材の小型化を図ることができる。

この発明の第六態様によれば、超伝導状態で荷電粒子ビームを加速する空間を形成する加速空洞と、前記加速空洞の外周側に配置され、前記加速空洞との隙間に前記加速空洞を冷却する冷媒が充填される冷媒槽と、前記冷媒槽の外周部に設けられ、前記加速空洞における前記荷電粒子ビームのビーム軸方向の両方の端部、または前記ビーム軸方向に直交する方向の両端部にそれぞれ配され、前記冷媒槽の外周部に設けられた支持軸回りに揺動自在に支持されるとともに、一端が前記端部に対向して設けられた一対のアームと、一対の前記アームの他端同士を離間させる方向に変位させることによって、前記アームの前記一端で前記端部を押圧させるアーム変位部と、を備える。 このように構成することで、アーム変位部により、一対のアームの他端同士を離間させると、それぞれのアームが、支持軸回りに揺動し、アームの一端が、加速空洞における荷電粒子ビームのビーム軸方向の端部、またはビーム軸方向に直交する方向の端部を押圧する。これによって、加速空洞における荷電粒子ビームのビーム軸方向の両端部、またはビーム軸方向に直交する方向の両端部が押圧され、加速空洞が変形して荷電粒子の粒子流路の長さが変わるので、加速空洞の共振周波数を調整することができる。 加速空洞の共振周波数を調整するための機構は、アームと、支持軸と、アーム変位部とからなるので、簡易な構成で済む。 さらに、アームは、冷媒槽の外周部に沿って加速空洞を押圧する部位に設ければよく、共振周波数を調整する部材が、加速空洞や冷媒槽の外周側に大きく張り出すのを抑えることができる。

この発明の第七態様によれば、超伝導加速器は、第六態様において、前記アームが、前記加速空洞における前記荷電粒子ビームのビーム軸方向の両端部、または前記ビーム軸方向に直交する方向の両端部のそれぞれに対し、前記冷媒槽の周方向の両側に延びるようにしてもよい。 このように構成することで、加速空洞のビーム軸方向の端部、または加速空洞のビーム軸方向に直交する方向の端部のそれぞれを、周方向両側に設けられたアームによって均等に押圧することができる。

この発明の第八態様によれば、超伝導加速器は、第六又は第七態様において、前記冷媒槽の外周部に、前記冷媒槽の外周部から外周側に突出し、前記支持軸を支持する支持凸部が設けられているようにしてもよい。 このように構成することで、冷媒槽の薄肉化を図りつつ、支持軸を支持する支持凸部の強度を確保することができる。

この発明の第九態様によれば、超伝導加速器は、第八態様において、前記支持凸部が、前記冷媒槽の前記外周部に沿って周方向に連続して形成されているようにしてもよい。 このように構成することで、滑車を支持する支持凸部の強度を高めることができる。

この発明に係る超伝導加速器によれば、超伝導加速空洞の共振周波数調整を確実に行うことができ、しかも、低コスト化、超伝導加速器の小型化、レイアウト作業の手間軽減を図ることができる。

第一実施形態の超伝導加速器の構成を示す立断面図である。

上記超伝導加速器に備えた共振周波数調整機構を示す斜視図である。

上記共振周波数調整機構の平断面図である。

上記超伝導加速器の第一実施形態の第一変形例における共振周波数調整機構を示す斜視図である。

上記超伝導加速器の第一実施形態の第二変形例における共振周波数調整機構を示す斜視図である。

第二実施形態の超伝導加速器に備えた共振周波数調整機構を示す斜視図である。

上記共振周波数調整機構の平断面図である。

上記超伝導加速器の第二実施形態の第一変形例における共振周波数調整機構を示す斜視図である。

上記超伝導加速器の第二実施形態の第二変形例における共振周波数調整機構を示す斜視図である。

上記超伝導加速器の第二実施形態の第三変形例における共振周波数調整機構を示す斜視図である。

上記超伝導加速器の第二実施形態の第四変形例における共振周波数調整機構を示す斜視図である。

上記超伝導加速器の第二実施形態の第四変形例における共振周波数調整機構を示す斜視図である。

冷媒槽に備えたフランジ部の変形例を示す斜視図である。

冷媒槽に備えた支持凸部の例を示す斜視図である。

上記共振周波数調整機構を適用できる超伝導加速器の他の例を示す斜視図である。

上記共振周波数調整機構を適用できる超伝導加速器の他の例を示す斜視図である。

上記超伝導加速器への共振周波数調整機構の設置例を示す図である。

上記共振周波数調整機構を適用できる超伝導加速器の他の例を示す斜視図である。

以下、この発明の実施形態に係る超伝導加速器を図面に基づき説明する。 (第一実施形態) 図1は、この実施形態の超伝導加速器の構成を示す立断面図である。図2は、上記超伝導加速器に備えた共振周波数調整機構を示す斜視図である。図3は、上記共振周波数調整機構の平断面図である。 図1に示すように、この実施形態の超伝導加速器10Aは、例えば、同軸1/4波長型超伝導加速器(QWR:Quarter Wave Resonator)であり、冷媒が充填される冷媒槽11内に、電子や陽子などの荷電粒子からなる荷電粒子ビームBを加速する加速空洞12を備える。

冷媒槽11は、上下方向に延びる中心軸Cを有した円柱状の真空容器であり、その上端面11aおよび下端面11bは閉塞されている。なお、この冷媒槽11は、外部からの地磁気や輻射熱の影響を低減するシールド層を備えるのが好ましい。

加速空洞12は、ニオブ等の超伝導材料から形成され、上下方向に連続する中空チャンバ状をなしている。この加速空洞12は、冷媒槽11の内周面11fとの間に隙間Sが形成される。 加速空洞12は、外周面12fの下部に、円形断面のビーム導入管17およびビーム導出管18を備えている。ビーム導入管17、ビーム導出管18は、冷媒槽11の中心軸Cに直交する径方向で互いに対向する位置に設けられている。ビーム導入管17およびビーム導出管18は、それぞれ加速空洞12の外周面12fから径方向外方に向かって延び、冷媒槽11を貫通して冷媒槽11の径方向外方に突出している。

加速空洞12は、冷媒槽11の中心軸Cに沿って上下方向に延びるよう形成されたステム13を備える。ステム13は、加速空洞12の上端部から下方に向かって凹み、上方から下方に向かってその内径が漸次縮小している。ステム13の下端部には、ステム13に連続して環状に形成された環状流路13cが一体に形成されている。この環状流路13cの内方に、加速空洞12のビーム導入管17およびビーム導出管18と同軸状に、ビーム流通管部19が形成されている。

加速空洞12は、その上端部に、冷媒槽11の上端面11aを貫通し、中空の加速空洞12内に連通する接続口15を備えている。この接続口15を通し、真空ポンプ等により真空引きすることで、加速空洞12内を真空状態とすることができる。

加速空洞12は、その下端部に、入力結合部16を備えている。この入力結合部16から、高周波の電力を入力することで、加速空洞12内の空間Aには、荷電粒子ビームBを加速する電界が発生する。

図1に示すように、冷媒槽11は、上端面11aに形成された、冷媒槽11内に冷媒を供給する冷媒供給口14を備えている。この冷媒供給口14から送り込まれる冷媒は、冷媒槽11の内周面11fと加速空洞12の外周面12fとの間の隙間Sと、ステム13および環状流路13c内とに送り込まれる。ここで、冷媒としては、液体ヘリウム等を用いることができる。

このような超伝導加速器10Aにおいては、冷媒槽11内に送り込んだ冷媒によって加速空洞12が冷却され、超伝導状態とされる。荷電粒子ビームBは、加速空洞12の径方向一方の側に設けられたビーム導入管17から加速空洞12内に入り、ステム13の下端部に設けられた環状流路13cの内方に形成されたビーム流通管部19を経て、加速空洞12の径方向他方の側に設けられたビーム導出管18から加速空洞12外に送り出される。

このような超伝導加速器10Aは、荷電粒子ビームBの粒子流路に沿って複数個が連接される。互いに隣接する超伝導加速器10A同士は、一方の超伝導加速器10Aの加速空洞12に形成されたビーム導入管17と、他方の超伝導加速器10Aの加速空洞12に形成されたビーム導出管18とを、接続管(図示無し)等を介して接続することで連結される。

図1、図2に示すように、冷媒槽11の外周面11gには、ビーム導入管17の端部17aおよびビーム導出管18の端部18aの上方と、下方とに、それぞれ冷媒槽11の外周面11gから径方向外方に突出するフランジ部26が形成されている。この実施形態において、フランジ部26は、冷媒槽11の外周面11gに沿って周方向に連続する環状に形成されている。

各超伝導加速器10Aは、共振周波数調整機構20Aを備えている。共振周波数調整機構20Aは、ビーム導入管17の端部17aとビーム導出管18の端部18aとの間隔、ひいてはビーム加速ギャップGを調整することで、加速空洞12の共振周波数調整を行う。 図2、図3に示すように、共振周波数調整機構20Aは、押圧部材21と、ワイヤー(張力部材)22と、滑車23A、23Bと、張力調整部25と、を備えている。

押圧部材21は、冷媒槽11の外周部において冷媒槽11の径方向で互いに対向する位置、言い換えれば冷媒槽11を挟んで対称な位置に二枚一対で設けられている。この実施形態では、押圧部材21は、上下2つのフランジ部(支持凸部)26の間に位置し、ビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aにそれぞれ当接する。 押圧部材21は、矩形板状で、ビーム導入管17、ビーム導出管18に連通する開口部21hが中央部に形成されて、開口部21hを中心として冷媒槽11の周方向に二分割されている。 押圧部材21は、冷媒槽11の中心軸C方向の高さ寸法が、ビーム導入管17、ビーム導出管18の外径よりも大きい。これによって、押圧部材21の上端部21aおよび下端部21bは、ビーム導入管17、ビーム導出管18の上下に張り出している。さらに、押圧部材21は、荷電粒子ビームBのビーム進行方向と冷媒槽11の中心軸Cとに直交する方向の幅寸法が、高さ寸法よりも小さい。

ワイヤー22は、冷媒槽11の外周部において、周方向に連続するよう設けられている。ワイヤー22は、上下のフランジ部26の間で、冷媒槽11の中心軸C方向の上下に間隔を空けて二本一対で設けられている。一方のワイヤー22は、ビーム導入管17の端部17aおよびビーム導出管18の端部18aの上方に配され、他方のワイヤー22は、ビーム導入管17の端部17aおよびビーム導出管18の端部18aの下方に配されている。これら二本のワイヤー22は、冷媒槽11の外周部において、複数の滑車23A、23Bに掛け回され、冷媒槽11の周方向のほぼ半周にわたって連続するよう設けられている。

滑車23A、23Bは、冷媒槽11の外周部に、周方向に間隔を空けて複数個が設けられている。これら複数の滑車23A、23Bは、ビーム導入管17の端部17aおよびビーム導出管18の端部18aの上方と、下方とに、それぞれ配されている。 滑車23Aは、各押圧部材21の上端部、下端部にそれぞれ設けられたブラケット24に、冷媒槽11の中心軸Cと平行な軸回りに回動自在に支持されている。ブラケット24は、押圧部材21から冷媒槽11の径方向外方に向かって突出するよう形成されている。 滑車23Bは、冷媒槽11の周方向において、冷媒槽11の径方向一方の側に配された滑車23Aと、他方の側に配された滑車23Aとの間に配置されている。この実施形態では、滑車23Bは、冷媒槽11の径方向一方の側に配された滑車23Aと、他方の側に配された滑車23Aとの間に、冷媒槽11の周方向に間隔を空けて2個が設けられている。 各滑車23Bは、上方のフランジ部26の下部、または下方のフランジ部26の上部に設けられている。各滑車23Bは、フランジ部26に設けられた冷媒槽11の中心軸Cに平行な回転軸23c回りに、回動自在に設けられている。

張力調整部25は、冷媒槽11の周方向において互いに間隔を空けて対向配置された一対のケーブル保持プレート27と、これらケーブル保持プレート27の間隔を調整する間隔調整部材28と、を備えている。

各ケーブル保持プレート27には、その上端部27aおよび下端部27bに、上下のワイヤー22の端部22aが固定されている。

間隔調整部材28は、例えばボルト29を用いることができる。ボルト29は、頭部29a側が一方のケーブル保持プレート27に形成されたネジ挿通孔27hに挿通され、雄ネジ部が形成された軸部29bが孔27nにねじ込まれている。ボルト29を、図示しないモータの駆動軸に設けられたウォームギヤ29gによって軸回りに回転させることで、互いに対向するケーブル保持プレート27同士が接近および離間する。これらケーブル保持プレート27の接近および離間によって、上下のワイヤー22に導入される張力が調整される。

図3に示すように、間隔調整部材28に、ピエゾ素子等の圧電素子29Pを用いることができる。この実施形態では、張力調整部25は、冷媒槽11の径方向両側にそれぞれ設けられ、一方の張力調整部25の間隔調整部材28にボルト29を用い、他方の張力調整部25の間隔調整部材28に圧電素子29Pを用いる。これにより、一方の張力調整部25の間隔調整部材28でボルト29を回転させることで、ワイヤー22の張力の粗調整を行い、他方の張力調整部25の間隔調整部材28で圧電素子を駆動することでワイヤー22の張力の微調整を行うことができる。

このような構成において、張力調整部25でケーブル保持プレート27の間隔を調整することによって、ワイヤー22に導入される張力を大きくすれば、ワイヤー22の張力が滑車23Aを介して押圧部材21に伝達される。具体的には、2つのケーブル保持プレート27の間隔を狭めれば、ワイヤー22の張力により、冷媒槽11の径方向において互いに対向する押圧部材21同士が接近し、ビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aを、荷電粒子ビームBの粒子流路方向に沿って押圧する。ワイヤー22が張力を発揮している状態で、ケーブル保持プレート27の間隔を広げれば、ワイヤー22の張力が低くなって互いに対向する押圧部材21同士が離間し、ビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aを、荷電粒子ビームBの粒子流路方向に沿って押圧する力が弱まる。このようにして、ビーム導入管17の端部17aとビーム導出管18の端部18aとの間隔、ひいてはビーム加速ギャップGを調整することができる。

上記したような構成に加え、共振周波数調整機構20Aの周囲に、防護カバー等の安全対策工を設置してもよい。

したがって、上述した第一実施形態の超伝導加速器10Aによれば、ワイヤー22で張力を発生すると、一対の押圧部材21同士が互いに接近する。これによって、加速空洞12における荷電粒子ビームBの粒子流路方向の両端部が押圧され、加速空洞12が変形して荷電粒子ビームBの粒子流路の長さが変わるので、加速空洞12の共振周波数を調整することができる。 さらに、加速空洞12の共振周波数を調整するための機構は、押圧部材21と、ワイヤー22と、張力調整部25とからなるので、簡易な構成で済む。 さらに、ワイヤー22を、冷媒槽11の外周部に連続して設けるので、押圧部材21は、加速空洞12から側方に突出する寸法を抑え、少なくとも加速空洞12を押圧する部位であるビーム導入管17の端部17aとビーム導出管18の端部18aとに設ければよい。したがって、共振周波数を調整する部材が、加速空洞12や冷媒槽11の外周側に大きく張り出すのを抑えることができる。 このような超伝導加速器10によれば、加速空洞12の共振周波数調整を確実に行うことができ、しかも、低コスト化、超伝導加速器の小型化、レイアウト作業の手間軽減を図ることができる。

さらに、張力調整部25によりワイヤー22を引っ張れば、一対の押圧部材21で加速空洞12における荷電粒子ビームBの粒子流路の長さを調整することができ、共振周波数調整を容易かつ確実に行うことができる。

冷媒槽11の外周部に、滑車23Bを回転自在に支持するフランジ部26が設けられている。このように構成することで、ワイヤー22を、冷媒槽11に干渉しないように、冷媒槽11の外周部に連続して配置することができる。 さらに、滑車23A、23Bを、冷媒槽11の外周部に設けられたフランジ部26で支持することで、冷媒槽11だけで滑車23A、23Bを支持する強度を確保する必要がなくなる。これによって、冷媒槽11の薄肉化を図り、冷媒槽11の軽量化、熱容量の縮小化を図ることができる。

さらに、フランジ部26は、冷媒槽11の外周部に沿って、周方向に連続して形成されている。このようにフランジ部26を環状に形成することで、滑車23A、23Bを支持するフランジ部26の強度を高めることができ、冷媒槽11を効果的に補強することができる。

さらに、押圧部材21に、滑車23A、23Bが設けられている。このように構成することで、ワイヤー22の張力が、滑車23A、23Bを介し、加速空洞12の押圧部位に配置された押圧部材21に直接作用する。これによって、押圧部材21によって、加速空洞12を効率よく押圧することができる。

(第一実施形態の変形例) ここで、第一実施形態では、上下のワイヤー22を、ケーブル保持プレート27の上端部27aと下端部27bにそれぞれ固定するようにしたが、これに限るものではない。 (第一変形例) 図4は、上記超伝導加速器の第一実施形態の第一変形例における共振周波数調整機構を示す斜視図である。 この図4に示すように、上下のワイヤー22を連続した一本のワイヤー22Aとし、その中間部22mをケーブル保持プレート27に固定、または滑車(図示無し)を介して掛止してもよい。このようにすることで、上下のワイヤー22に、均等に張力を作用させることができる。

(第二変形例) さらに、上記第一実施形態では、ケーブル保持プレート27同士の間隔を調整する間隔調整部材28として、1つのボルト29または圧電素子(図示無し)を用いるようにしたが、これに限るものではない。 図5は、上記超伝導加速器の第一実施形態の第二変形例における共振周波数調整機構を示す斜視図である。 この図5に示すように、ケーブル保持プレート27同士の間隔を調整する間隔調整部材28として、複数本(例えば2つ)のボルト29または圧電素子(図示無し)を、上下に間隔を空けて設けるようにしてもよい。これによって、ケーブル保持プレート27同士の間隔を、より安定して調整することができる。ケーブル保持プレート27同士の間隔を、上下で異ならせ、上下のワイヤー22に導入する張力を個別に調整することもできる。

(第二実施形態) 次に、この発明にかかる超伝導加速器の第二実施形態について説明する。以下に説明する第二実施形態においては、第一実施形態と共振周波数調整機構20Bの構成のみが異なり、超伝導加速器10A自体の構成は共通であるので、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。

図6は、第二実施形態の超伝導加速器に備えた共振周波数調整機構を示す斜視図である。図7は、上記共振周波数調整機構の平断面図である。 図6に示すように、この実施形態における超伝導加速器10Bは、ビーム導入管17の端部17aおよびビーム導出管18の端部18aの上方と、下方とに、それぞれ冷媒槽11の外周面11gから径方向外方に突出するフランジ部26を備えている。

図6、図7に示すように、超伝導加速器10Bは、共振周波数調整機構20Bを備えている。共振周波数調整機構20Bは、ビーム導入管17の端部17aとビーム導出管18の端部18aとの間隔、ひいてはビーム加速ギャップG(図1参照)を調整することで、加速空洞12の共振周波数調整を行う。 共振周波数調整機構20Bは、押圧部材31と、アーム変位部35Aと、を備えている。

押圧部材31は、冷媒槽11の外周部において冷媒槽11の径方向で互いに対向する位置にそれぞれ設けられている。押圧部材31は、上下のフランジ部26の間において、ビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aにそれぞれに対し、冷媒槽11の周方向両側に設けられたアーム32Aを備えている。

各アーム32Aは、冷媒槽11の周方向に連続して外周面11gに沿うように延び、一端32aと他端32bとの中間部32cが、上下のフランジ部26間に設けられたシャフト(支持軸)33回りに揺動自在に設けられている。 このアーム32Aは、一端32aが、ビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aに対し、ビーム導入管17、ビーム導出管18の軸線方向で突き当たる。

アーム変位部35Aは、プッシュアーム37Aと、ビーム導入管17側のプッシュアーム37Aと、ビーム導出管18側のプッシュアーム37Aとの間隔を調整する間隔調整部材38と、を有する。

プッシュアーム37Aは、一端37sがアーム32Aの他端32bに、ピン37pを介して冷媒槽11の中心軸C(図1参照)と平行な軸回りに回動自在に連結されている。プッシュアーム37Aの他端37tには、冷媒槽11の外周面11gから冷媒槽11の径方向外方に向かって突出するブラケット部37dが形成されている。ビーム導入管17側のプッシュアーム37Aとビーム導出管18側のプッシュアーム37Aとは、ブラケット部37d同士が、冷媒槽11の周方向において互いに間隔を空けて対向している。

間隔調整部材38は、例えばボルト39を用いることができる。ボルト39を軸回りに回転させることで、ビーム導入管17側のプッシュアーム37Aのブラケット部37dと、ビーム導出管18側のプッシュアーム37Aのブラケット部37dとが接近および離間する。 ここで、ビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aのそれぞれにおいて、周方向両側に位置するアーム32Aの動作は、通常、同期される。これには、冷媒槽11の径方向両側に設けられた間隔調整部材38において、ボルト39の動作を同期させる。

間隔調整部材38により、互いに対向するプッシュアーム37Aのブラケット部37d同士が接近および離間すると、ビーム導入管17側、ビーム導出管18側のそれぞれにおいて、プッシュアーム37Aが冷媒槽11の外周面11gの接線方向に沿ってスライド移動する。これによって、プッシュアーム37Aの一端37sがアーム32Aの他端32bを変位させ、各アーム32Aが、シャフト33回りに揺動する。 詳しくは、プッシュアーム37Aのブラケット部37d同士が互いに離間すると、各アーム32Aにおいては、他端32bが、プッシュアーム37Aの一端37sに押圧される。すると、アーム32Aは、シャフト33回りに揺動し、一端32aが冷媒槽11の外周面11gに接近する方向に変位し、これによって、一端32aがビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aを、荷電粒子ビームBの粒子流路方向に沿って押圧する。 さらに、間隔調整部材38により、プッシュアーム37Aのブラケット部37d同士を互いに接近させると、各アーム32Aにおいては、他端32bが、プッシュアーム37Aの一端37sに引っ張られる。すると、アーム32Aは、シャフト33回りに揺動し、一端32aが冷媒槽11の外周面11gから離間する方向に変位し、ビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aを、荷電粒子ビームBの粒子流路方向に沿って押圧する力が弱まる。 このようにして、ビーム導入管17の端部17aとビーム導出管18の端部18aとの間隔、ひいてはビーム加速ギャップGを調整することができる。

ここで、間隔調整部材38は、ボルト39と同軸に、ピエゾ素子等の圧電素子を用いることができる。これにより、ボルト39を回転させることで、アーム32Aの粗調整を行い、圧電素子を駆動することでアーム32Aの微調整を行うことができる。

上記したような構成に加え、第一実施形態と同様に、共振周波数調整機構20Bの周囲に、防護カバー等の安全対策工を設置してもよい。

したがって、上述した第二実施形態の超伝導加速器10Bによれば、アーム変位部35Aにより、一対のプッシュアーム37A同士を離間させると、それぞれのアーム32Aが、シャフト33回りに揺動する。これによって、アーム32Aの一端32aにより、加速空洞12における荷電粒子ビームBの粒子流路方向の端部であるビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aが押圧される。すると、加速空洞12が変形して荷電粒子の粒子流路の長さが変わるので、加速空洞12の共振周波数を調整することができる。 さらに、加速空洞12の共振周波数を調整するための機構は、アーム32Aと、シャフト33と、アーム変位部35Aとからなるので、簡易な構成で済む。 さらに、アーム32Aは、冷媒槽11の外周部に沿って加速空洞12を押圧する部位に設ければよく、共振周波数を調整する部材が、加速空洞12や冷媒槽11の外周側に大きく張り出すのを抑えることができる。 このような超伝導加速器10によれば、加速空洞12の共振周波数調整を確実に行うことができ、しかも、低コスト化、超伝導加速器の小型化、レイアウト作業の手間軽減を図ることができる。

アーム32Aが、加速空洞12における荷電粒子ビームBの粒子流路方向の両端部であるビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aのそれぞれに対し、冷媒槽11の周方向両側に設けられている。このように構成することで、ビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aのそれぞれを、周方向両側に設けられたアーム32Aによって均等に押圧することができる。

さらに、冷媒槽11の外周部に、シャフト33を支持するフランジ部26が設けられている。これにより、冷媒槽11の薄肉化を図りつつ、シャフト33を支持するフランジ部26の強度を高めることができる。

(第二実施形態の第一変形例) ここで、第二実施形態では、プッシュアーム37Aを、一端37sがアーム32Aの他端32bに、ピン37pを介して回動自在に連結するようにしたが、これに限るものではない。 図8は、上記超伝導加速器の第二実施形態の第一変形例における共振周波数調整機構を示す斜視図である。 図8に示すように、この第二実施形態の第一変形例における共振周波数調整機構20Bの押圧部材31を構成する各アーム32Bは、冷媒槽11の周方向に連続して外周面11gに沿うように延び、一端32aと他端32bとの中間部32cが、上下のフランジ部26間に設けられたシャフト33回りに揺動自在に設けられている。 この変形例において、アーム32Bの他端32bは、平面視円弧状の凹面とされている。

アーム変位部35Aは、プッシュアーム37Bと、ビーム導入管17側のプッシュアーム37Bと、ビーム導出管18側のプッシュアーム37Bとの間隔を調整する間隔調整部材38と、を有する。

プッシュアーム37Bは、一端37vが平面視円弧状をなした凸面とされ、アーム32Bの他端32bの凹面に摺動可能とされている。また、プッシュアーム37Bの他端37wには、冷媒槽11の外周面11gから冷媒槽11の径方向外方に向かって突出するブラケット部37dが形成されている。

間隔調整部材38により、互いに対向するプッシュアーム37Bのブラケット部37d同士が互いに離間すると、各アーム32Bにおいては、他端32bが、プッシュアーム37Bの一端37vに押圧されて変位する。すると、アーム32Bは、他端32bが一端37vに対して摺動しながらシャフト33回りに揺動し、一端32aが冷媒槽11の外周面11gに接近する方向に変位する。これによって、一端32aがビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aを、荷電粒子ビームBの粒子流路方向に沿って押圧する。 このようにして、ビーム導入管17の端部17aとビーム導出管18の端部18aとの間隔、ひいてはビーム加速ギャップGを調整することができる。

(第二実施形態の第二変形例) また、第二実施形態およびその第一変形例では、プッシュアーム37A、38Bによって、アーム32A、32Bを回動させるようにしたが、これに限るものではない。 図9は、上記超伝導加速器の第二実施形態の第二変形例における共振周波数調整機構を示す斜視図である。 図9に示すように、この第二実施形態の第二変形例における共振周波数調整機構20Bは、押圧部材31と、アーム変位部35Aと、を備えている。

共振周波数調整機構20Bの押圧部材31を構成する各アーム32Cは、冷媒槽11の周方向に連続して外周面11gに沿うように延び、一端32aと他端32eとの中間部32cが、上下のフランジ部26間に設けられたシャフト33回りに揺動自在に設けられている。 このアーム32Cは、一端32aが、ビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aに対し、ビーム導入管17、ビーム導出管18の軸線方向で突き当たる。各アーム32Cは、他端32eに、冷媒槽11の外周面11gから冷媒槽11の径方向外方に向かって突出するブラケット部32dを有している。 ビーム導入管17側のアーム32Cとビーム導出管18側のアーム32Cとは、ブラケット部32d同士が、冷媒槽11の周方向において互いに間隔を空けて対向している。

アーム変位部35Aは、ビーム導入管17側のアーム32Cのブラケット部32dと、ビーム導出管18側のアーム32Cのブラケット部32dとの間隔を調整する間隔調整部材38とを有する。間隔調整部材38は、例えばボルト39を用いることができる。ボルト39を軸回りに回転させることで、互いに対向するアーム32Cのブラケット部32d同士が接近および離間する。

間隔調整部材38により、互いに対向するアーム32Cのブラケット部32d同士が接近および離間すると、各アーム32Cは、シャフト33回りに揺動する。 詳しくは、アーム32Cのブラケット部32d同士が互いに離間すると、各アーム32Cにおいては、他端32eが、冷媒槽11の外周面11gから離間する方向に変位する。すると、アーム32Cは、シャフト33回りに揺動し、一端32aが冷媒槽11の外周面11gに接近する方向に変位し、これによって、一端32aがビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aを、荷電粒子ビームBの粒子流路方向に沿って押圧する。 さらに、間隔調整部材38により、アーム32Cのブラケット部32d同士を互いに接近させると、各アーム32Cにおいては、他端32eが、冷媒槽11の外周面11gに接近する方向に変位する。すると、アーム32Cは、シャフト33回りに揺動し、一端32aが冷媒槽11の外周面11gから離間する方向に変位し、ビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aを、荷電粒子ビームBの粒子流路方向に沿って押圧する力が弱まる。 このようにして、ビーム導入管17の端部17aとビーム導出管18の端部18aとの間隔、ひいてはビーム加速ギャップGを調整することができる。

(第二実施形態の第三変形例) ここで、第二実施形態では、ビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aのそれぞれにおいて、周方向両側にアーム32Aを設けるようにしたが、これに限るものではない。

図10は、上記超伝導加速器の第二実施形態の第三変形例における共振周波数調整機構を示す斜視図である。 この図10に示すように、ビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aのそれぞれにおいて、周方向両側にアーム32Aを設け、これらアーム32Aの一端32a同士を、可撓性を有した押圧プレート40Aによって連結してもよい。押圧プレート40Aには、荷電粒子ビームBの流路ととなる開口部40Hが形成されている。

このような構成によれば、冷媒槽11の径方向両側に設けられた間隔調整部材38において、それぞれボルト39を回転させることによって、プッシュアーム37Aを変位させ、アーム32Aを揺動させる。すると、アーム32Aの一端32aの変位にともなって、押圧プレート40Aが撓む。詳しくは、アーム32Aがシャフト33回りに揺動し、一端32aが冷媒槽11の外周面11gに接近する方向に変位すると、押圧プレート40Aは、両端部40a,40aに対し、中央部40bが冷媒槽11の外周面11gに接近する方向に突出するように撓み、ビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aを、荷電粒子ビームBの粒子流路方向に沿って押圧する。

さらに、間隔調整部材38により、アーム32Aがシャフト33回りに揺動し、一端32aが冷媒槽11の外周面11gから離間する方向に変位すると、押圧プレート40Aの撓み量が減り、押圧プレート40Aの中央部40bが冷媒槽11の外周面11gから離間する方向に変位する。これによって、ビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aを、荷電粒子ビームBの粒子流路方向に沿って押圧する力が弱まる。 このようにして、ビーム導入管17の端部17aとビーム導出管18の端部18aとの間隔、ひいてはビーム加速ギャップGを調整することができる。

(第二実施形態の第四変形例) ここで、第二実施形態の第三変形例では、アーム32Aの一端32a同士を押圧プレート40Aによって連結し、押圧プレート40Aの中央部40bが冷媒槽11の外周面11gに接近する方向に突出させるように撓ませる構成としたが、これに限るものではない。

図11は、上記超伝導加速器の第二実施形態の第四変形例における共振周波数調整機構を示す斜視図である。 この図11に示すように、ビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aのそれぞれにおいて、周方向両側にアーム32Aを設け、これらアーム32Aの一端32a同士の間に、可撓性を有した押圧プレート40Bを設けてもよい。

このような構成によれば、冷媒槽11の径方向両側に設けられた間隔調整部材38において、それぞれボルト39を回転させることによって、アーム32Aの一端32aが冷媒槽11の外周面11gに接近する方向に変位する。これによって、押圧プレート40Bは、両端部40sが、中央部40bに対し、冷媒槽11の外周面11gに接近する方向に突出するように撓み、ビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aを、荷電粒子ビームBの粒子流路方向に沿って押圧する。

(第二実施形態の第五変形例) ここで、第二実施形態の第三、第四変形例では、押圧プレート40A、押圧プレート40Bを撓ませることで、ビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aを押圧するようにしたが、これに限るものではない。

図12は、上記超伝導加速器の第二実施形態の第四変形例における共振周波数調整機構を示す斜視図である。 この図12に示すように、ビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aのそれぞれにおいて、周方向両側にアーム32Aを設け、これらアーム32Aの一端32a同士の間に、連結プレート40Cを設けてもよい。この連結プレート40Cは、両端部40sがヒンジピン40pを介してアーム32Aの一端32aに回動自在に連結されている。

このような構成によれば、冷媒槽11の径方向両側に設けられた間隔調整部材38において、それぞれボルト39を回転させることによって、アーム32Aの一端32aが冷媒槽11の外周面11gに接近する方向に変位する。これによって、連結プレート40Cは、両端部40aがアーム32Aの一端32aとともに変位し、ビーム導入管17の端部17a、ビーム導出管18の端部18aを、荷電粒子ビームBの粒子流路方向に沿って押圧する。

(その他の変形例) この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。 例えば、上記第一、第二実施形態においては、共振周波数調整機構20A、20Bの上下にフランジ部26を備えるようにし、各フランジ部26は、冷媒槽11の周方向の全周にわたって連続するものとしたがこれに限らない。 図13は、冷媒槽に備えたフランジ部の変形例を示す斜視図である。図14は、冷媒槽に備えた支持凸部の例を示す斜視図である。 図13に示すように、フランジ部(支持凸部)26’は、周方向の一部のみに設けてもよい。さらに、図14に示すように、支持凸部26”は、冷媒槽11の周方向に間隔を空けて間欠的に設け、滑車23Bやシャフト33を支持する部分にのみ、ブロック状に設けてもよい。 このような、図13、図14に示した冷媒槽11に対しても、上記第一、第二実施形態で示した共振周波数調整機構20A、20Bを備えることができる。

さらに、上記第一、第二実施形態においては、共振周波数調整機構20A、20Bを、同軸1/4波長型の超伝導加速器10A、10Bに備えるようにしたが、これに限らない。 図15に示すように、1/2波長型の超伝導加速器10Cにも、同様に、加速空洞12Cの、荷電粒子ビームBの粒子流路方向両端部を挟み込むように、共振周波数調整機構20A、20Bを設けることができる。

さらに、図16、図17に示すように、スポーク型の超伝導加速器10Dにおいても、同様に、加速空洞12Dの、荷電粒子ビームBの粒子流路方向両端部を挟み込むように、共振周波数調整機構20A、20Bを設けることができる。 さらに、図17中に二点鎖線で示すように、スポーク型の超伝導加速器10Dの場合、加速空洞12Dの、荷電粒子ビームBの粒子流路方向両端部を挟み込むように、共振周波数調整機構20A、20Bで押圧するのではなく、加速空洞12Dを、荷電粒子ビームBの粒子流路方向に直交する径方向両端部で押圧するように、共振周波数調整機構20A、20Bを設けてもよい。さらに、荷電粒子ビームBの粒子流路方向に直交する径方向両端部から押圧する共振周波数調整機構20A、20Bと、荷電粒子ビームBの粒子流路方向両端部の両方から押圧する共振周波数調整機構20A、20Bと、を併用するようにしても良い。

さらに、図18に示すように、荷電粒子ビームBのビーム軸方向において縮径と拡径とを繰り返す加速空洞12Eを有した超伝導加速器10Dにおいても、加速空洞12Eの各セル12cを、荷電粒子ビームBの粒子流路方向に直交する径方向両端部で挟み込むように押圧する、共振周波数調整機構20A、20Bを設けてもよい。

10A〜10D 超伝導加速器 11 冷媒槽 11a 上端面 11b 下端面 11f 内周面 11g 外周面 12、12C、12D、12E 加速空洞 12c セル 12f 外周面 13 ステム 13c 環状流路 14 冷媒供給口 15 接続口 16 入力結合部 17 ビーム導入管 17a 端部 18 ビーム導出管 18a 端部 19 ビーム流通管部 20A、20B 共振周波数調整機構 21 押圧部材 21a 上端部 21b 下端部 21h 開口部 22 ワイヤー(張力部材) 22A ワイヤー 22a 端部 23A、23B 滑車 23c 回転軸 24 ブラケット 25 張力調整部 26、26’ フランジ部(支持凸部) 26” 支持凸部 27 ケーブル保持プレート 27a 上端部 27b 下端部 27h ネジ挿通孔 27n 孔 28 間隔調整部材 29 ボルト 29a 頭部 29b 軸部 29g ウォームギヤ 29P 圧電素子 31 押圧部材 32A、32B、32C アーム 32a 一端 32b 他端 32c 中間部 32d ブラケット部 32e 他端 33 シャフト(支持軸) 35A アーム変位部 37A、37B プッシュアーム 37d ブラケット部 37p ピン 37s 一端 37t 他端 37v 一端 37w 他端 38 間隔調整部材 39 ボルト 39g ウォームギヤ 40A 押圧プレート 40B 押圧プレート 40C 連結プレート 40a 端部 40b 中央部 40p ヒンジピン 40s 両端部 A 空間 B 荷電粒子ビーム C 中心軸 G ビーム加速ギャップ S 隙間

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