荷電粒子周回装置用摂動装置

申请号 JP2008510865 申请日 2007-03-27 公开(公告)号 JPWO2007119538A1 公开(公告)日 2009-08-27
申请人 株式会社光子発生技術研究所; 山田廣成; 发明人 廣成 山田; 廣成 山田;
摘要 摂動磁場の分布形状を容易に形成できる荷電粒子周回装置用摂動装置を得る。【解決手段】荷電粒子を周回させるための主磁場に対して摂動磁場を部分的に重ねることにより、荷電粒子の軌道に摂動を発生させ、入射した荷電粒子を安定周回閉軌道に取り込む。高周波コイルを備えた磁場発生装置113A,113Bにより発生した磁場の漏れ磁場を利用して摂動磁場を形成する。
权利要求
  • 荷電粒子を周回させるための主磁場に対して摂動磁場を部分的に重ねることにより、前記荷電粒子の軌道に摂動を発生させ、入射した前記荷電粒子を前記安定周回閉軌道に取り込む荷電粒子周回装置用摂動装置であって、
    高周波コイルからなる磁場発生装置により発生した磁場の漏れ磁場を利用して前記摂動磁場が形成されていることを特徴とする荷電粒子周回装置用摂動装置。
  • 前記高周波コイルは、摂動磁場を形成する空間に向かって前記漏れ磁場を生じさせる開口部を有しており、前記開口部を形成する前記高周波コイルの導体端部には、前記漏れ磁場により前記摂動磁場の磁場分布の形状を決定する傾斜が付されていることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子周回装置用摂動装置。
  • 前記高周波コイルは、前記安定周回閉軌道の一部が通る所定の空間を介して対向する一対の内導体と該一対の内導体の外側に配置される外導体とを備えており、
    前記一対の内導体と前記外導体とは電気的に直列接続され、
    前記一対の内導体と前記外導体との間に発生した磁場を前記一対の内導体間の前記空間内に漏洩させて前記漏れ磁場とし、前記空間内に前記摂動磁場が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子周回装置用摂動装置。
  • 前記一対の内導体と前記外導体とは、前記一対の内導体と前記外導体との間に前記一対の内導体の周囲を囲むように磁場を形成し、前記一対の内導体の間の前記空間内に前記磁場から漏れ出す前記漏れ磁場が入り込むようにそれぞれ構造が定められており、
    前記一対の内導体の前記安定周回閉軌道の半径方向両側に位置する端部には、前記傾斜が付されている請求項3に記載の荷電粒子周回装置用摂動装置。
  • 前記外導体は、前記一対の内導体間に形成された前記空間の前記半径方向の両側に、前記空間と並んで、前記荷電粒子が通過し得る一対の別の空間を形成するようにその構造が定められている請求項4に記載の荷電粒子周回装置用摂動装置。
  • 前記磁場発生装置は、それぞれ高周波コイルからなる第1及び第2の分割磁場発生装置からなり、
    前記第1及び第2の分割磁場発生装置は、前記安定周回閉軌道の一部が通る空間を間に形成するように前記半径方向に間隔をあけて配置されており、
    前記第1及び第2の分割磁場発生装置は、前記空間内に漏れ磁場を入り込ませて前記空間内に前記摂動磁場を形成するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子周回装置用摂動装置。
  • 前記第1及び第2の分割磁場発生装置は、それぞれ、
    間隔をあけて配置されて電気的に直列接続された内導体と外導体とを備え、
    前記内導体と前記外導体とは、前記内導体と前記外導体との間に磁場を形成し、且つ前記外導体に形成されて前記半径方向に開口する開口部から前記漏れ磁場を出すように構造が定められている請求項6に記載の荷電粒子周回装置用摂動装置。
  • 前記第1及び第2の分割磁場発生装置で用いられる前記外導体の前記開口部の両側に位置する一対の導体端部の形状には、前記傾斜が付されていることを特徴とする請求項7に記載の荷電粒子周回装置用摂動装置。
  • 前記内導体は前記安定周回閉軌道の周方向及び前記半径方向と直交する直交方向に並ぶ一対の分割内導体からなり、
    前記外導体は、前記安定周回閉軌道の前記周方向の両側にそれぞれ開口を有し、且つ前記半径方向に開口する前記開口部を備えて、前記一対の分割内導体の周囲を囲むように構成されており、
    前記一対の分割内導体と前記外導体とは、前記一対の分割内導体の間に形成される間隔と前記開口部とが前記径方向に整列するように位置関係が定められている請求項7に記載の荷電粒子周回装置用摂動装置。
  • 前記第1の分割磁場発生装置が前記第2の分割磁場発生装置よりも前記径方向内側に配置され、
    前記第1の分割磁場発生装置の前記一対の分割内導体は、前記安定周回閉軌道の中心を中心として、前記周方向に沿い且つ前記半径方向に伸びて、前記安定周回閉軌道の内側に位置する一対の円弧状の導電板からなり、
    前記第1の分割磁場発生装置の前記外導体は、前記開口部の前記直交方向両側に位置して、前記安定周回閉軌道の中心を中心として前記周方向に延び且つ前記直交方向にそれぞれ延びる一対の円弧状の導電板と、前記一対の分割内導体の前記直交方向の外側に位置し、前記半径方向外側の端部に前記円弧状の導電板が設けられ、前記周方向及び前記半径方向に延びる一対の導電性側板と、前記一対の導電性側板の前記半径方向内側の端部を連結する導電性連結板とからなり、
    前記荷電粒子の通過の障害とならない位置で前記一対の分割内導体と前記外導体とが導電性短絡板により連結され、
    前記第2の分割磁場発生装置の前記一対の分割内導体は、前記安定周回閉軌道の中心を中心として、前記周方向に沿い且つ前記半径方向に伸びて、前記安定周回閉軌道の外側に位置する一対の円弧状の導電板からなり、
    前記第2の分割磁場発生装置の前記外導体は、前記開口部の前記直交方向両側に位置して、前記安定周回閉軌道の中心を中心として前記周方向に延び且つ前記直交方向にそれぞれ延びる一対の円弧状の導電板と、前記一対の分割内導体の前記直交方向の外側に位置し、前記半径方向外側の端部に前記円弧状の導電板が設けられ、前記周方向及び前記半径方向に延びる一対の導電性側板と、前記一対の導電性側板の前記半径方向外側の端部を連結する導電性連結板とからなり、
    前記荷電粒子の通過の障害とならない位置で前記一対の分割内導体と前記外導体とが導電性短絡板により連結されている請求項9に記載の荷電粒子周回装置用摂動装置。
  • 前記第1の分割磁場発生装置が前記第2の分割磁場発生装置よりも前記径方向内側に配置され、
    前記第1の分割磁場発生装置の前記一対の分割内導体は、前記安定周回閉軌道の中心を中心として、前記周方向に沿い且つ前記半径方向に伸びて、前記安定周回閉軌道の内側に位置する一対の円弧状の導電板からなり、
    前記第1の分割磁場発生装置の前記外導体は、前記開口部の前記直交方向両側に位置して、前記安定周回閉軌道の中心を中心として前記周方向に延び且つ前記直交方向にそれぞれ延びる一対の円弧状の導電板と、前記一対の分割内導体の前記直交方向の外側に位置し、前記半径方向外側の端部に前記円弧状の導電板が設けられ、前記周方向及び前記半径方向に延びる一対の導電性側板と、前記一対の導電性側板の前記半径方向内側の端部を連結する導電性連結板とからなり、
    前記第2の分割磁場発生装置の前記一対の分割内導体は、前記安定周回閉軌道の中心を中心として、前記周方向に沿い且つ前記半径方向に伸びて、前記安定周回閉軌道の外側に位置する一対の円弧状の導電板からなり、
    前記第2の分割磁場発生装置の前記外導体は、前記開口部の前記直交方向両側に位置して、前記安定周回閉軌道の中心を中心として前記周方向に延び且つ前記直交方向にそれぞれ延びる一対の円弧状の導電板と、前記一対の分割内導体の前記直交方向の外側に位置し、前記半径方向外側の端部に前記円弧状の導電板が設けられ、前記周方向及び前記半径方向に延びる一対の導電性側板と、前記一対の導電性側板の前記半径方向外側の端部を連結する導電性連結板とからなり、
    前記荷電粒子の通過の障害とならない位置で前記一対の分割内導体と前記外導体とが導電性短絡板により連結され、
    前記第1の分割磁場発生装置の前記一対の分割内導体と前記第2の分割磁場発生装置の前記一対の分割内導体とが電気的に直列接続され、前記第1の分割磁場発生装置の前記外導体と前記第2の分割磁場発生装置の前記外導体とが電気的に直列接続されていることを特徴とする請求項9に記載の荷電粒子周回装置用摂動装置。
  • 前記磁場発生装置は、高周波コイルからなる磁場発生装置からなり、
    前記高周波コイルからなる磁場発生装置は、前記安定周回閉軌道の一部が通る空間に隣接して配置されており、
    前記高周波コイルからなる磁場発生装置は、前記空間内に漏れ磁場を入り込ませて前記空間内に前記摂動磁場を形成するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子周回装置用摂動装置。
  • 前記高周波コイルからなる磁場発生装置は、間隔をあけて配置されて電気的に直列接続された内導体と外導体とを備え、
    前記内導体と前記外導体とは、前記内導体と前記外導体との間に磁場を形成し、且つ前記外導体に形成されて前記半径方向に開口する開口部から前記漏れ磁場を出すように構造が定められている請求項12に記載の荷電粒子周回装置用摂動装置。
  • 前記高周波コイルからなる分割磁場発生装置で用いられる前記外導体の前記開口部の両側に位置する一対の導体端部の形状には、前記傾斜が付されていることを特徴とする請求項13に記載の荷電粒子周回装置用摂動装置。
  • 前記内導体は前記安定周回閉軌道の周方向及び前記半径方向と直交する直交方向に並ぶ一対の分割内導体からなり、
    前記外導体は、前記安定周回閉軌道の前記周方向の両側にそれぞれ開口を有し、且つ前記半径方向に開口する前記開口部を備えて、前記一対の分割内導体の周囲を囲むように構成されており、
    前記一対の分割内導体と前記外導体とは、前記一対の分割内導体の間に形成される間隔と前記開口部とが前記径方向に整列するように位置関係が定められている請求項12に記載の荷電粒子周回装置用摂動装置。
  • 说明书全文

    本発明は、荷電粒子を周回させるための主磁場に対して摂動磁場を部分的に重ねることにより、荷電粒子の軌道に摂動を発生させ、入射した荷電粒子を安定周回閉軌道に取り込む荷電粒子周回装置用摂動装置に関するものである。

    荷電粒子周回装置としては、シンクロトロン等が知られている。 シンクロトロンには、例えば直径60cm程度に小型化されたものもある。 このような小型のシンクロトロン等の荷電粒子周回装置では、荷電粒子を周回させるための主磁場に対して摂動磁場を部分的に重ねることにより、荷電粒子の軌道に摂動を発生させ、入射した荷電粒子を安定周回閉軌道に取り込む荷電粒子周回装置用摂動装置が用いられている。 この摂動装置は、パータベータとも呼ばれている。

    シンクロトロン等の荷電粒子周回装置は、安定周回閉軌道にパータベータ等の摂動装置を用いて摂動を発生させて、荷電粒子周回装置に入射した荷電粒子を安定周回閉軌道に取り込んだ後、安定周回閉軌道に配置した高周波加速空洞を用いて安定周回閉軌道を周回する荷電粒子を加速している。

    例えば、「放射光」Vol.15,No.3、pp.15-27に山田廣成が「卓上型シンクロトロン“みらくる-20”による新しいX線の発生」と題して発表した論文(非特許文献1)や、「住友重機械技報」Vol.1.39,No.116、August 1991 pp.11-18に高山猛等が「小型シンクロトロン放射光源“オーロラ”単体超電導リングの入射系」と題して発表した論文(非特許文献2)には、シンクロトロンで、荷電粒子を周回させるための主磁場に対して摂動磁場を部分的に重ねることにより、荷電粒子の軌道に摂動を発生させ、入射した荷電粒子を安定周回閉軌道に取り込む摂動装置が記載されている。

    このシンクロトロンと摂動装置の関係を図9及び図10を用いて説明する。 ここで、図9は摂動装置と高周波加速空洞とがシンクロトロンの安定周回閉軌道に対して配置されている状態を模擬的に示す図であり、図10は安定周回閉軌道上を入射済みの荷電粒子が周回している状態を模擬的に示す図である。

    図9は、パータベータからなる摂動装置1と高周波加速空洞3とがシンクロトロンの安定周回閉軌道5に対して配置されている状態を模擬的に示しており、入射中にパータベータによる摂動を受けた荷電粒子の軌道も同時に描いている。 図10は、安定周回閉軌道5上を入射済みの荷電粒子、即ち蓄積中の電子ビームが電子バンチ(電子の集団)となって周回している状態を模擬的に示している。 これらの図において、符号7は安定周回閉軌道5の中心に存在する中心軌道である。 なお、図9及び図10には、周回電子の軌道を形成し電子ビームの発散を防止する主磁石は図示を省略してある。

    このシンクロトロンでは、蓄積中の電子ビームに影響を及ぼさずに入射軌道を生成する共鳴入射法を使用している。 共鳴入射法を使用して電子ビームを入射した場合、入射時には、電子が共鳴をしている状態になっており、電子のベータトロン振動の振幅が大きくなっている。 電子のベータトロン振動の振幅が大きい状態で、高周波加速空洞3に高い高周波加速電圧が印加されると、電子は散乱して安定周回閉軌道5から電子が飛び出すことになる。

    そこで、摂動装置1により安定周回閉軌道5に摂動を発生させて電子(荷電粒子)を安定周回閉軌道5に取り込んだ後、電子(荷電粒子)のベータトロン振動が小さくなって電子(荷電粒子)が安定周回閉軌道5上を周回するようになるまでは、高周波加速空洞3による電子(荷電粒子)の加速は積極的には行わないようにしている。

    ところで、電子バンチ(電子の集団)の固まりの大きさは、電子エネルギーが高いと小さいが、電子エネルギーが低いと大きくなる。 近年のシンクロトロンでは、電子エネルギーが低い状態で使用されるようになってきている。
    「放射光」Vol.15,No.3、pp.15-27に山田廣成が「卓上型シンクロトロン" みらくる-20 "による新しいX線の発生」と題して発表した論文 「住友重機械技報」Vol.1.39,No.116、August 1991 pp.11-18に高山猛等が「小型シンクロトロン放射光源" オーロラ "単体超電導リングの入射系」と題して発表した論文

    しかしながら、電子エネルギーが低い状態で使用され、電子バンチの固まりの大きさが大きくなると、従来の摂動装置では摂動範囲が狭いので荷電粒子を全体的に安定周回閉軌道に取り込むことができない問題点があった。

    また、電子バンチの固まりの大きさが大きくなると、従来の摂動装置では安定周回閉軌道上の電子バンチが摂動装置1を構成する導体部分に当たり、当たった荷電粒子が消滅してしまう問題点があった。

    本発明の目的は、摂動磁場の所望の分布形状を容易に形成できる荷電粒子周回装置用摂動装置を得ることにある。

    本発明の他の目的は、摂動磁場の所望の分布形状を正確に形成できる荷電粒子周回装置用摂動装置を得ることにある。

    本発明の他の目的は、電子バンチの大きさが大きくなっても、荷電粒子を容易に安定周回閉軌道に取り込むことができる荷電粒子周回装置用摂動装置を得ることにある。

    本発明の他の目的は、電子バンチの大きさが大きくなっても、この電子バンチが摂動装置に当たるのを防止できる荷電粒子周回装置用摂動装置を得ることにある。

    本発明は、荷電粒子を周回させるための主磁場に対して摂動磁場を部分的に重ねることにより、荷電粒子の軌道に摂動を発生させ、入射した荷電粒子を安定周回閉軌道に取り込む荷電粒子周回装置用摂動装置を改良の対象とする。 ここで、摂動装置は、摂動磁場により安定周回閉軌道に歪み(摂動)を発生させて荷電粒子を安定周回閉軌道に取り込み易くする構造を有するものである。 なお安定周回閉軌道は、円形であってもまた非円形であってもよい。 本願明細書では、安定周回閉軌道を荷電粒子が移動する方向を周方向と言い、安定周回閉軌道からその中心に向かう方向及びその中心から安定周回閉軌道に向かう方向を半径方向と言い、周方向と半径方向とに直交する方向を直交方向と言う。

    本発明に係る荷電粒子周回装置用摂動装置では、高周波コイルからなる磁場発生装置により発生した磁場の漏れ磁場を利用して摂動磁場を形成する。 磁場発生装置により発生した磁場の漏れ磁場を利用して摂動磁場を形成すると、漏れ磁場の漏れの分布形状を変えることにより摂動磁場の所望の分布形状を容易に形成することができる。

    磁場を発生させるための高周波コイルは、漏れ磁場を作るために、摂動磁場を形成する空間に向かって開口する開口部を有している。 そして開口部を間にして対向する高周波コイルの導体端部には、漏れ磁場により空間内に形成される磁場分布の形状を決定する傾斜が付されている。 このように高周波コイルの導体端部に、磁場分布の形状を決定する傾斜を設け、この傾斜の形状または度を変えることにより漏れ磁場の分布形状を変えると、摂動磁場の所望の分布形状を容易に且つ正確に形成することができる。

    漏れ磁場を発生する高周波コイルの構造は任意である。 例えば、ある高周波コイルは、安定周回閉軌道の一部が通る所定の空間を介して対向する一対の内導体と該一対の内導体の外側に配置される外導体とを備えている。 一対の内導体と外導体とは電気的に直列接続されている。 そして一対の内導体と外導体との間に発生した磁場を、一対の内導体間の空間内に漏洩させて漏れ磁場とし、この空間内に摂動磁場を形成する。 このような構造によれば、一つの高周波コイルを備えた磁場発生装置により発生した磁場からの漏れ磁場を利用して、一対の内導体間に摂動磁場を形成することができる。 この漏れ磁場の分布形状を変えることにより、摂動磁場の分布形状を任意に定めることができる。

    より具体的には、一対の内導体と外導体とは、一対の内導体と外導体との間に一対の内導体の周囲を囲むように磁場を形成し、一対の内導体の間の空間内に磁場から漏れ出す漏れ磁場が入り込むようにそれぞれ構造が定められている。 そして一対の内導体の安定周回閉軌道の半径方向両側に位置する端部には、前述の傾斜が付されている。 この構造では、一対の内導体の端部を傾斜させることにより、一対の内導体間に形成される摂動磁場の分布形状を簡単に望ましい形状とすることができる。

    なおこの場合、外導体は、一対の内導体間に形成された空間の半径方向の両側に、この空間と並んで、荷電粒子が通過し得る一対の別の空間を形成するようにその構造を定めることができる。 このような別の空間を形成すると、荷電粒子の軌道が半径方向に大きく変化した場合でも、荷電粒子が外導体に当たって損失するのを防止できる。

    磁場発生装置は、それぞれ高周波コイルからなる第1及び第2の分割磁場発生装置から構成することもできる。 この場合、第1及び第2の分割磁場発生装置は、安定周回閉軌道の一部が通る空間を間に形成するように半径方向に間隔をあけて配置される。 そして第1及び第2の分割磁場発生装置は、前記空間内に漏れ磁場を入り込ませて前記空間内に摂動磁場を形成するように構成されている。 このように磁場発生装置を半径方向に離した第1及び第2の分割磁場発生装置から構成すると、電子バンチの大きさが大きくなっても、大きくなった電子バンチが磁場発生装置に当たるのを有効に防止することができる。

    なお第1及び第2の分割磁場発生装置は、それぞれ、間隔をあけて配置されて電気的に直列接続された内導体と外導体とを備えている。 そして内導体と外導体とは、内導体と外導体との間に磁場を形成し、且つ外導体に形成されて半径方向に開口する開口部から漏れ磁場を出すように構造が定められている。 このような構造にすると、開口部の大きさ及び形状と、第1及び第2の分割磁場発生装置間の距離とを適宜に定めることにより摂動磁場の磁場分布の形状を適宜に定めることができる。 そこで第1及び第2の分割磁場発生装置で用いられる外導体の開口部の両側に位置する一対の導体端部にも、前述の傾斜を付すのが好ましい。

    なお内導体は安定周回閉軌道の周方向及び半径方向と直交する直交方向に並ぶ一対の分割内導体から構成することができる。 この場合、外導体は、安定周回閉軌道の周方向の両側にそれぞれ開口を有し、且つ半径方向に開口する開口部を備えて、一対の分割内導体の周囲を囲むように構成する。 そして一対の分割内導体と外導体とは、一対の分割内導体の間に形成される間隔と開口部とが半径方向に整列するように位置関係を定めるのが好ましい。 このような構造にすると、半径方向に荷電粒子の軌道が大きく変動しても、荷電粒子が内導体及び外導体に当たる可能性が少なくなる。

    また第1の分割磁場発生装置を第2の分割磁場発生装置よりも半径方向内側に配置する場合には、第1の分割磁場発生装置と第2の分割磁場発生装置とを次のように構成することができる。 すなわち第1の分割磁場発生装置の一対の分割内導体は、安定周回閉軌道の中心を中心として、周方向に沿い且つ半径方向に伸びて、安定周回閉軌道の内側に位置する一対の円弧状の導電板から構成できる。 また第1の分割磁場発生装置の外導体は、一対の円弧状の導電板と、一対の導電性側板と、導電性連結板とから構成される。 ここで一対の円弧状の導電板は、開口部の直交方向両側に位置して、安定周回閉軌道の中心を中心として周方向に延び且つ直交方向にそれぞれ延びる。 また一対の導電性側板は、一対の分割内導体の直交方向の外側に位置し、半径方向外側の端部に前記円弧状の導電板が設けられ、周方向及び半径方向に延びる。 さらに導電性連結板は、一対の導電性側板の半径方向内側の端部を連結する。 なお荷電粒子の通過の障害とならない位置で、一対の分割内導体と外導体とが導電性短絡板により連結されている。

    また第2の分割磁場発生装置の一対の分割内導体も、安定周回閉軌道の中心を中心として、周方向に沿い且つ半径方向に伸びて、安定周回閉軌道の外側に位置する一対の円弧状の導電板から構成することができる。 この場合、第2の分割磁場発生装置の外導体も一対の円弧状の導電板と、一対の導電性側板と、導電性連結板とから構成される。 一対の円弧状の導電板は、開口部の直交方向両側に位置して、安定周回閉軌道の中心を中心として周方向に延び且つ直交方向にそれぞれ延びる。 また一対の導電性側板は、一対の分割内導体の直交方向の外側に位置し、半径方向外側の端部に円弧状の導電板が設けられ、周方向及び半径方向に延びる。 導電性連結板は、一対の導電性側板の半径方向外側の端部を連結する。 そして荷電粒子の通過の障害とならない位置で、一対の分割内導体と外導体とが導電性短絡板により連結されている。

    第1及び第2の分割磁場発生装置をこのように構成すると、第1及び第2の分割磁場発生装置とが電気的に並列に接続されたのと同じ状態になり、それぞれの分割磁場発生装置の内導体から外導体にそれぞれ高周波電流を流すことにより、簡単な構造で、摂動磁場の形成に必要な所望の漏れ磁場を簡単な構造で形成することができる。

    また第1の分割磁場発生装置の内導体と外導体とを導電性短絡板で接続せずに、第1の分割磁場発生装置の内導体を構成する一対の分割内導体と第2の分割磁場発生装置の一対の分割内導体とを電気的に直列に接続し、第1の分割磁場発生装置の外導体と第2の分割磁場発生装置の外導体とを電気的に直列に接続してもよい。 この場合には、第1の分割磁場発生装置と第2の分割磁場発生装置とが電気的に直列に接続された状態になっている。 このようにしても必要な漏れ磁場を発生することができる。

    なお第1及び第2の分割磁場発生装置の一方だけを、独立した高周波コイルからなる磁場発生装置として用いてもよい。

    本発明に係る荷電粒子周回装置用摂動装置の実施の形態の第一例を内部が透視できるように一方側から見た斜視図である。

    第一例の荷電粒子周回装置用摂動装置の周方向の一端を示す端面図である。

    第一例の荷電粒子周回装置用摂動装置の周方向の他端を示す端面図である。

    一対の分割磁場発生装置により発生する摂動磁場の磁場強度分布の一例を示す図である。

    第一例の荷電粒子周回装置用摂動装置の変形例の周方向の一端を示す端面図である。

    第1及び第2の分割磁場発生装置の電気的な接続の異なる例を説明するために用いる図である。

    本発明に係る荷電粒子周回装置用摂動装置の実施の形態の第二例を周方向の一方側から見た端面図である。

    第二例の荷電粒子周回装置用摂動装置の図7のX−X線断面図である。

    従来例で摂動装置と高周波加速空洞とがシンクロトロンの安定周回閉軌道に対して配置されている状態を模擬的に示す図である。

    従来例で安定周回閉軌道上を入射済みの荷電粒子が周回している状態を模擬的に示す図である。

    以下、本発明に係る荷電粒子周回装置用摂動装置を実施するための最良の形態を、図面を参照して詳細に説明する。

    本発明に係る荷電粒子周回装置用摂動装置は、荷電粒子を周回させるための主磁場に対して摂動磁場を部分的に重ねることにより、荷電粒子の軌道に摂動を発生させ、入射した荷電粒子を安定周回閉軌道に取り込むためのものである。

    図1乃至図4は本発明に係る荷電粒子周回装置用摂動装置の第一例を示したものである。 図1は本例の荷電粒子周回装置用摂動装置を一方側から見た斜視図、図2は本例の荷電粒子周回装置用摂動装置を周方向の一端を示す端面図、図3は本例の荷電粒子周回装置用摂動装置の周方向の他端を示す端面図、図4は第1及び第2の分割磁場発生装置により発生する摂動磁場の磁場強度分布の一例を示す図である。 なお、前述した図9及び図10と対応する部分には、これらの図で使用した符号の数に100の数を加えた数の符号を用いて示している。

    本例の荷電粒子周回装置用摂動装置101は、摂動磁場が形成される空間109a(図2)を間に形成するように、安定周回閉軌道105の半径方向111に間隔をあけて配置されたそれぞれ高周波コイルからなる第1及び第2の分割磁場発生装置113A,113Bを備えている。 これら第1及び第2の分割磁場発生装置113A,113Bは、アルミニウム等の非磁性金属で形成されており、4〜5MHzの半パルスの高周波電流が通電されて、磁場を発生する。

    第1の分割磁場発生装置113Aは、第2の分割磁場発生装置113Bよりも安定周回閉軌道105または中心軌道107の半径方向の内側に位置している。

    第1の分割磁場発生装置113Aは、中心軌道107の方向に進む荷電粒子の移動方向即ち安定周回閉軌道105の周方向及び半径方向111と直角に交差する直交方向115に位置して通過可能範囲109bを間に挟む一対の分割内導体117A,119Aと、通過可能範囲109bと交わることがないように配置されて分割内導体117A,119Aと電気的に接続された外導体121Aとを備えている。 なお一対の分割内導体117A,119Aにより第1の分割磁場発生装置113Aの内導体が構成されている。 そして外導体121Aは、安定周回閉軌道105の周方向の両側にそれぞれ開口を有し、且つ半径方向に開口する開口部122Aを備えて、一対の分割内導体117A,119Aの周囲を囲むように構成されている。 そして一対の分割内導体117A,119Aと外導体121Aとは、一対の分割内導体117A,119Aの間に形成される間隔118Aと開口部122Aとが半径方向に整列するように位置関係が定められている。

    本例では、第1の分割磁場発生装置113Aの一対の分割内導体117A,119Aは、安定周回閉軌道105または中心軌道107の中心を中心として、中心軌道107に沿い且つ半径方向111に伸びて、中心軌道107の内側に位置する一対の円弧状をした導電板から構成されている。 また外導体121Aは、一対の円弧状の導電板121Aa及び121Abと、一対の導電性側板121Ac及び121Adと、導電性連結板121Aeとから構成される。 ここで一対の円弧状の導電板121Aa及び121Abは、開口部122Aの直交方向両側に位置して、安定周回閉軌道105の中心を中心として周方向に延び且つ直交方向にそれぞれ延びる。 また一対の導電性側板121Ac及び121Adは、一対の分割内導体117A,119Aの直交方向の外側に位置し、周方向及び半径方向に延びる。 一対の導電性側板121Ac及び121Adの半径方向外側の端部には、円弧状の導電板121Aa及び121Abが設けられている。 さらに導電性連結板121Aeは、一対の導電性側板121Ac及び121Adの半径方向内側の端部を連結する。 荷電粒子の通過の障害とならない位置で、一対の分割内導体と外導体とが一対の導電性短絡板121Af及び121Agにより連結されている。 第1の分割磁場発生装置113Aの一対の導電板121Aa,121Abの端面は、傾斜面121Ah,121Aiとなっている。 なおこの例では、一対の分割内導体117A,119Aと、外導体121Aと、導電性短絡板121Af,121Agとで高周波コイルを構成している。

    第2の分割磁場発生装置113Bも、中心軌道107の方向に進む荷電粒子の移動方向即ち安定周回閉軌道105の周方向及び半径方向111と直角に交差する直交方向115に位置して通過可能範囲109bを間に挟む一対の分割内導体117B,119Bと、通過可能範囲109bと交わることがないように配置されて分割内導体117B,119Bと電気的に接続された外導体121Bとを備えている。 なお一対の分割内導体117B,119Bにより第2の分割磁場発生装置113Bの内導体が構成されている。 そして外導体121Bは、安定周回閉軌道105の周方向の両側にそれぞれ開口を有し、且つ半径方向に内側に向かって開口する開口部122Bを備えて、一対の分割内導体117B,119Bの周囲を囲むように構成されている。 そして一対の分割内導体117B,119Bと外導体121Bとは、一対の分割内導体117B,119Bの間に形成される間隔118Bと開口部122Bとが半径方向に整列するように位置関係が定められている。

    本例では、第2の分割磁場発生装置113Bの一対の分割内導体117B,119Bは、安定周回閉軌道105の中心を中心として、中心軌道107に沿い且つ半径方向111に伸びて、中心軌道107の内側に位置する一対の円弧状をした導電板から構成されている。 また外導体121Bは、一対の円弧状の導電板121Ba及び121Bbと、一対の導電性側板121Bc及び121Bdと、導電性連結板121Beとから構成される。 ここで一対の円弧状の導電板121Ba及び121Bbは、開口部122Bの直交方向両側に位置して、安定周回閉軌道105の中心を中心として周方向に延び且つ直交方向にそれぞれ延びる。 また一対の導電性側板121Bc及び121Bdは、一対の分割内導体117B,119Bの直交方向の外側にして、位置周方向及び半径方向に延びる。 一対の導電性側板121Bc及び121Bdの半径方向内側の端部には、円弧状の導電板121Ba及び121Bbが設けられている。 さらに導電性連結板121Beは、一対の導電性側板121Bc及び121Bdの半径方向外側の端部を連結する。 荷電粒子の通過の障害とならない位置で、一対の分割内導体と外導体とが一対の導電性短絡板121Bf及び121Bgにより連結されている。 第2の分割磁場発生装置113Bの一対の導電板121Ba,121Bbの端面は、傾斜面121Bh,121Biとなっている。 なおこの例では、一対の分割内導体117B,119Bと、外導体121Bと、導電性短絡板121Bf,121Bgとで高周波コイルを構成している。

    第1の分割磁場発生装置113Aの開口部122Aを間にして対向する一対の導電板121Aa,121Abの端面と、第2の分割磁場発生装置113Bの開口部122Bを間にして対向する一対の導電板121Ba,121Bbの端面とは、開口部122A,122Bから離れるに従って2つの端面間の距離が広がるように、それぞれ傾斜している。 したがってこれらの端面は、傾斜面121Ah,121Aiと傾斜面121Bh,121Biとで構成されることになる。

    第1及び第2の分割磁場発生装置113A,113Bの間に形成される空間109aと、一対の導電板121Aa,121Ab間の空間と、一対の導電板121Ba,121Bb間の空間とに跨って形成される磁場分布の形状は、図4に示すように、空間109aの中央において磁場強度が零になり、該中心の半径方向両側の磁場強度の極性が反対になる。

    このような第1及び第2の分割磁場発生装置113A,113Bには、図示しないが中心軌道107の半径方向111と直交する直交方向115から主磁場が与えられる。 この主磁場は、第1及び第2の分割磁場発生装置113A,113Bが摂動磁場を発生していないときに、安定周回閉軌道105に入った荷電粒子が安定周回閉軌道105の中心軌道107に集まるように磁場強度分布が定められている。

    このように第1及び第の分割磁場発生装置113A,113Bにより発生した磁場の漏れ磁場を利用して摂動磁場を形成すると、漏れ磁場の分布形状を変えることにより摂動磁場の分布形状を任意の形状に容易にすることができる。

    また、高周波コイルの一部を構成する外導体の導体端部に、磁場分布の形状を決定する傾斜が付されているので、この傾斜を変えることにより漏れ磁場の漏れの分布形状が変わり、摂動磁場の分布形状を容易に正確に形成することができる。

    なお本実施の形態によれば、一対の分割内導体117A,119A間の間隔118Aと、一対の分割内導体117B,119B間の間隔118Bと、一対の導電板121Aa,121Ab間の間隔(122A)と、一対の導電板121Ba,121Bb間の間隔(122B)とが一方向に整列しているので、荷電粒子の軌道が半径方向に大きく変化する場合でも、容易に安定周回閉軌道に荷電粒子を取り込むことができる。 また第1及び第2の分割磁場発生装置113A,113Bが半径方向に間隔をあけて配置されているので、直交方向に長い形状となる電子バンチが第1及び第2の分割磁場発生装置113A,113Bに当たって、荷電粒子が消滅するのを防止できる。

    この摂動装置101は、図5に示すように、前述した図1乃至図4と同様な構成で、各一対の導電板121Aa,121Ab、121Ba,121Bbの端部に傾斜面121Ah,121Ai、121Bh,121Biを設けない構造としてもよい。

    上記の実施の形態では、第1及び第2の分割磁場発生装置113A,113Bとが電気的に並列に接続されたのと同じ状態になっており、それぞれの分割磁場発生装置の内導体から外導体にそれぞれ高周波電流を流すことにより、摂動磁場の形成に必要な漏れ磁場を形成している。 しかしながら図6に示すように、第1の分割磁場発生装置113Aの内導体117A、119Aと外導体121Aとを導電性短絡板で接続せずに、第1の分割磁場発生装置113Aの内導体を構成する一対の分割内導体117A、119Aと第2の分割磁場発生装置113Bの一対の分割内導体117B、119Bとを電気的に直列に接続し、第1の分割磁場発生装置113Aの外導体121Aと第2の分割磁場発生装置113Bの外導体121Bとを電気的に直列接続してもよい。 この場合には、第1の分割磁場発生装置113Aと第2の分割磁場発生装置113Bとが電気的に直列に接続された状態になっている。 このようにしても必要な漏れ磁場を発生することができる。 なお図6には、図1乃至図5に示した同じ部材には、図1乃至図5に付した符号と同じ符号を付してある。

    図7及び図8は本発明に係る荷電粒子周回装置用摂動装置の第2の実施の形態の構成を示したものである。 図7は本例の荷電粒子周回装置用摂動装置の一方側からの端面図、図8は本例の荷電粒子周回装置用摂動装置の図7のX−X線断面図である。 なお、前述した図1乃至図3と対応する部分には、これらの図で使用した符号に200を加えた符号を用いて示している。 この荷電粒子周回装置用摂動装置201も、荷電粒子を周回させるための図示しない主磁場に対して摂動磁場を部分的に重ねることにより、荷電粒子の軌道に摂動を発生させ、入射した荷電粒子を安定周回閉軌道205に取り込むものである。

    高周波コイルからなる磁場発生装置201は、安定周回閉軌道205の一部が通る所定の空間218を介して対向する一対の内導体217a,217bと該一対の内導体217a,217bの外側に配置される外導体213とを備えている。 一対の内導体217a,217bと外導体213とは電気的に直列接続されている。 そして一対の内導体217a,217bと外導体213との間に発生した磁場を、一対の内導体217a,217b間の空間218内に漏洩させて漏れ磁場とし、この空間218内に摂動磁場を形成している。 このような構造によれば、一つの磁場発生装置201により発生した1つの磁場からの漏れ磁場を利用して、一対の内導体間217a,217bに摂動磁場を形成することができる。 この漏れ磁場の分布形状を変えることにより、摂動磁場の分布形状を任意に定めることができる。

    より具体的には、一対の内導体217a,217bと外導体213とは、一対の内導体217a,217bと外導体213との間に一対の内導体217a,217bの周囲を囲むように磁場を形成し、一対の内導体217a,217bの間の空間218内に磁場から漏れ出す漏れ磁場が入り込むようにそれぞれ構造が定められている。 そして一対の内導体217a,217bの安定周回閉軌道205の半径方向両側に位置する端部217Aa,217Ab,217Ba,217Bbは、外導体213に近づくに従って間隔寸法が大きくなるようにそれぞれ傾斜している。 この構造では、一対の内導体217a,217bの端部217Aa,217Ab,217Ba,217Bbを傾斜させることにより、一対の内導体間217a,217bに形成される摂動磁場の分布形状を簡単に望ましい形状とすることができる。

    なお本実施の形態では、外導体213は、一対の内導体217a,217b間に形成された空間218の半径方向の両側に、この空間218と並んで、荷電粒子が通過し得る一対の別の空間220A及び220Bを形成するようにその構造が定められている。 このような別の空間220A及び220Bを形成すると、荷電粒子の軌道が半径方向に大きく変化した場合でも、荷電粒子が外導体に当たって損失するのを防止できる。

    なお本実施の形態の外導体213は、一対の内導体217a,217bにそれぞれ対向してこれらの外側に配置された第1及び第2の外導体構成部213A,213Bとを備えている。 第1及び第2の外導体構成部213A,213Bとは図示していない部分で、電気的に接続されている。 第1及び第2の外導体構成部213A,213Bは、対応する一対の内導体217a,217bと半径方向で対向する内面を有して、半径方向の両側に位置する一対の導電板221Aa,221Ab及び一対の導電板221Ba,221Bbをそれぞれ有している。 一対の外導体構成部213A,213Bの半径方向の両側に存在する各導電板221Aa,221Ab及び221Ba,221Bbは、それぞれの側で通過可能範囲209を形成する間隔を介して対向され、一対の内導体217a,217bと一対の外導体構成部213A,213Bといずれか一方の側で、電気的に直列接続されている。

    本実施の形態の摂動装置では、1つの磁場発生装置201により発生した磁場の漏れ磁場を利用して、摂動磁場を発生させることができる。 但し、摂動磁場を一対の内導体217a,217b間の空間218に発生することになるため、電子バンチが大きくなると、一対の内導体217a,217bに荷電粒子が当たるようになるので、電子バンチをなるべく大きくしない場合に使用するのに適している。

    なお上記実施の形態では、磁場発生装置を、それぞれ高周波コイルからなる第1及び第2の分割磁場発生装置から構成している。 しかしながら高周波コイルからなる第1及び第2の分割磁場発生装置のいずれか一方のみを高周波コイルからなる磁場発生装置として用いてもよいのは勿論である。 その場合において、磁場発生装置の構造は、第1及び第2の分割磁場発生装置のそれぞれの構造と基本的に、変わるところはない。 そしてこの1つの磁場発生装置は、安定周回軌道の一部が通る空間に隣接して配置すればよい。

    本発明に係る荷電粒子周回装置用摂動装置は、磁場発生装置により発生した磁場の漏れ磁場を利用して摂動磁場を形成するので、漏れ磁場の分布形状を変えることにより、所望の摂動磁場の分布形状を容易に形成することができる。

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