円形加速器及び重粒子線治療装置

申请号 JP2013254013 申请日 2013-12-09 公开(公告)号 JP6341655B2 公开(公告)日 2018-06-13
申请人 株式会社東芝; 東芝エネルギーシステムズ株式会社; 发明人 長内 昭宏;
摘要
权利要求

ビームを入射させる入射用偏向器と、 前記入射用偏向器から入射した前記ビームを周回させて周回軌道を形成する複数の偏向電磁石と、 前記ビームが入射するごとに前記ビームの前記周回軌道の中心に対する位置を変える入射軌道調整用電磁石と、 ビーム出射の際に励磁量を調整して前記ビームの安定領域を狭め、この安定領域から外れた共鳴領域のビームを取り出す取出し用電磁石と、 前記共鳴領域から取り出されたビームを外部に取り出す出射用偏向器と、を備え、 前記ビームを内側から入射し、かつ前記ビームを外側に出射するものであり、 前記入射用偏向器と前記出射用偏向器との間に前記複数の偏向電磁石あるいは前記入射軌道調整用電磁石のうちの少なくとも一つがはさまれて配置されていること、 を特徴とする円形加速器。前記ビーム出射の際に、前記ビームの軌道を外側に接近させて取り出すための出射軌道調整用電磁石をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の円形加速器。ビームを入射させる入射用偏向器と、 前記入射用偏向器から入射した前記ビームを周回させて周回軌道を形成する複数の偏向電磁石と、 前記ビームが入射するごとに前記ビームの前記周回軌道の中心に対する位置を変える入射軌道調整用電磁石と、 ビーム出射の際に励磁量を調整して前記ビームの安定領域を狭め、この安定領域から外れた共鳴領域のビームを取り出す取出し用電磁石と、 前記共鳴領域から取り出されたビームを外部に取り出す出射用偏向器と、を備え、 前記ビームを外側から入射し、かつ前記ビームを内側に出射するものであり、 前記入射用偏向器と前記出射用偏向器との間に前記複数の偏向電磁石あるいは前記入射軌道調整用電磁石のうちの少なくとも一つがはさまれて配置されていること、 を特徴とする円形加速器。前記ビーム出射の際に、前記ビームの軌道を内側に接近させて取り出すための出射軌道調整用電磁石をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の円形加速器。前記ビーム出射の際に、前記偏向電磁石の励磁量を変更し、ビームの中心軌道を変えて取り出すことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の円形加速器。前記ビーム出射の際に、前記入射軌道調整電磁石を逆極性に励磁し、前記入射用偏向器とのクリアランスを取りながら出射することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の円形加速器。前記ビーム入射の際に、前記入射軌道調整電磁石で前記ビームの前記周回軌道中心に対する位置を変えている途中に前記ビームの入射を停止し、入射初期のビームサイズを小さくすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の円形加速器。前記ビーム入射の際に、前記入射用偏向器における運動量分散関数を正の値にすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の円形加速器。ビームを入射させる入射用偏向器と、 前記入射用偏向器から入射した前記ビームを周回させて周回軌道を形成する複数の偏向電磁石と、 前記ビームが入射するごとに前記ビームの前記周回軌道の中心に対する位置を変える入射軌道調整用電磁石と、 ビーム出射の際に励磁量を調整して前記ビームの安定領域を狭め、この安定領域から外れた共鳴領域のビームを取り出す取出し用電磁石と、 前記共鳴領域から取り出されたビームを外部に取り出す出射用偏向器と、を有する円形加速器と、 前記円形加速器の内側に配置され、前記入射用偏向器に対して加速した前記ビームを入射する前段加速器と、 前記円形加速器の外側に配置され、前記出射用偏向器により取り出された前記ビームを照射対象に照射する照射装置と、 を備え、 前記入射用偏向器と前記出射用偏向器との間に前記複数の偏向電磁石あるいは前記入射軌道調整用電磁石のうちの少なくとも一つがはさまれて配置されていること、 を特徴とする重粒子線治療装置。ビームを入射させる入射用偏向器と、 前記入射用偏向器から入射した前記ビームを周回させて周回軌道を形成する複数の偏向電磁石と、 前記ビームが入射するごとに前記ビームの前記周回軌道の中心に対する位置を変える入射軌道調整用電磁石と、 ビーム出射の際に励磁量を調整して前記ビームの安定領域を狭め、この安定領域から外れた共鳴領域のビームを取り出す取出し用電磁石と、 前記共鳴領域から取り出されたビームを外部に取り出す出射用偏向器と、を有する円形加速器と、 前記円形加速器の外側に配置され、前記入射用偏向器に対して加速した前記ビームを入射する前段加速器と、 前記円形加速器の内側に配置され、前記出射用偏向器により取り出された前記ビームを照射対象に照射する照射装置と、 を備え、 前記入射用偏向器と前記出射用偏向器との間に前記複数の偏向電磁石あるいは前記入射軌道調整用電磁石のうちの少なくとも一つがはさまれて配置されていること、 を特徴とする重粒子線治療装置。

说明书全文

本発明の実施形態は、円形加速器及びこれを用いた重粒子線治療装置に関する。

一般に、荷電粒子を加速して得られる高エネルギーのビームを照射して治療を行う重粒子線治療装置においては、照射部位と深さに応じて照射ビームの体内飛程を調整することが要求される。

このような重粒子線治療装置では主に円形加速器が使用されている。この円形加速器は、出射するビームエネルギーを変えることで、照射ビームの体内飛程を調整する可変エネルギー照射方法が考えられている。

例えば、出射用機器で周回ビームとのセパレーションを取ったのち、より偏向の大きな、例えばセプタム電磁石のような別の出射用機器で逆方向に偏向させるようにしている。

また、円形加速器の高周波加速空洞に印加する高周波電圧のパラメータを制御することにより、周回軌道から取り出される荷電粒子の出射電流を変更するようにし、照射ビームを生成する方法が考えられている。

特開2012−22776号公報

特開2011−198748号公報

ところで、上記円形加速器及び重粒子線治療装置においては、ビームのエネルギーによって周回するビームのサイズ(縦横幅)が変化する。特に、ビームのサイズが大きい低エネルギーで、ビームを出射しようとする場合には、円形加速器内の構成機器とビームとの間の空間的余裕(以下、クリアランスという。)を十分に確保することができず、ビームを安定して出射することができない。そこで、構成機器により消失するビームを減らすために、すなわち安定して出射するためにクリアランスを大きくすることが考えられるが、円形加速器自体が大きくなるという問題が新たに発生する。

そこで、本発明の実施形態は上記課題を解決するために鑑みなされたものであって、円形加速器自体のコンパクト性を維持しつつ、幅広いエネルギーでビームを安定して出射することが可能な円形加速器及び重粒子線治療装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために、本実施形態に係る円形加速器は、ビームを入射させる入射用偏向器と、前記入射用偏向器から入射した前記ビームを周回させて周回軌道を形成する複数の偏向電磁石と、前記ビームが入射するごとに前記ビームの前記周回軌道の中心に対する位置を変える入射軌道調整用電磁石と、ビーム出射の際に励磁量を調整して前記ビームの安定領域を狭め、この安定領域から外れた共鳴領域のビームを取り出す取出し用電磁石と、前記共鳴領域から取り出されたビームを外部に取り出す出射用偏向器と、を備え、前記ビームを内側から入射し、かつ前記ビームを外側に出射するものであり、前記入射用偏向器と前記出射用偏向器との間に前記複数の偏向電磁石あるいは前記入射軌道調整用電磁石のうちの少なくとも一つがはさまれて配置されていること、を特徴とする。

また、本実施形態に係る円形加速器は、ビームを入射させる入射用偏向器と、前記入射用偏向器から入射した前記ビームを周回させて周回軌道を形成する複数の偏向電磁石と、前記ビームが入射するごとに前記ビームの前記周回軌道の中心に対する位置を変える入射軌道調整用電磁石と、ビーム出射の際に励磁量を調整して前記ビームの安定領域を狭め、この安定領域から外れた共鳴領域のビームを取り出す取出し用電磁石と、前記共鳴領域から取り出されたビームを外部に取り出す出射用偏向器と、を備え、前記ビームを外側から入射し、かつ前記ビームを内側に出射するものであり、前記入射用偏向器と前記出射用偏向器との間に前記複数の偏向電磁石あるいは前記入射軌道調整用電磁石のうちの少なくとも一つがはさまれて配置されていること、を特徴とする。

本実施形態に係る重粒子線治療装置は、ビームを入射させる入射用偏向器と、前記入射用偏向器から入射した前記ビームを周回させて周回軌道を形成する複数の偏向電磁石と、前記ビームが入射するごとに前記ビームの前記周回軌道の中心に対する位置を変える入射軌道調整用電磁石と、ビーム出射の際に励磁量を調整して前記ビームの安定領域を狭め、この安定領域から外れた共鳴領域のビームを取り出す取出し用電磁石と、前記共鳴領域から取り出されたビームを外部に取り出す出射用偏向器と、を有する円形加速器と、前記円形加速器の内側に配置され、前記入射用偏向器に対して加速した前記ビームを入射する前段加速器と、前記円形加速器の外側に配置され、前記出射用偏向器により取り出された前記ビームを照射対象に照射する照射装置と、を備え、前記入射用偏向器と前記出射用偏向器との間に前記複数の偏向電磁石あるいは前記入射軌道調整用電磁石のうちの少なくとも一つがはさまれて配置されていること、を特徴とする。

また、本実施形態に係る重粒子線治療装置は、ビームを入射させる入射用偏向器と、前記入射用偏向器から入射した前記ビームを周回させて周回軌道を形成する複数の偏向電磁石と、前記ビームが入射するごとに前記ビームの前記周回軌道の中心に対する位置を変える入射軌道調整用電磁石と、ビーム出射の際に励磁量を調整して前記ビームの安定領域を狭め、この安定領域から外れた共鳴領域のビームを取り出す取出し用電磁石と、前記共鳴領域から取り出されたビームを外部に取り出す出射用偏向器と、を有する円形加速器と、前記円形加速器の外側に配置され、前記入射用偏向器に対して加速した前記ビームを入射する前段加速器と、前記円形加速器の内側に配置され、前記出射用偏向器により取り出された前記ビームを照射対象に照射する照射装置と、を備え、前記入射用偏向器と前記出射用偏向器との間に前記複数の偏向電磁石あるいは前記入射軌道調整用電磁石のうちの少なくとも一つがはさまれて配置されていること、を特徴とする。

本実施形態によれば、円形加速器自体のビームの安定性を損なうことなく、コンパクト性を維持しつつ、幅広いエネルギーでのビームを安定して出射することが可能になる。

重粒子線治療装置の第1実施形態を示す概略平面図である。

図1の円形加速器において内周側からの入射による多回転入射を示す説明図である。

図1の円形加速器においてビームエミッタンスが250πmm・mradと370πmm・mradのそれぞれについて、各ビームエネルギーごとの各ビームサイズを示す説明図である。

図1の円形加速器において三次共鳴を用いたビーム振幅の増大を示す説明図である。

図1の円形加速器においてエネルギーが400MeV/u及び140MeV/uの内側入射での出射軌道を示す図である。

第1実施形態の比較例においてエネルギーが400MeV/u及び140MeV/uの外側入射での出射軌道を示す図である。

重粒子線治療装置の第2実施形態を示す概略平面図である。

以下に、円形加速器および重粒子線治療装置の実施形態について、図面を参照して説明する。

(第1実施形態) 図1は重粒子線治療装置の第1実施形態を示す概略平面図である。

図1に示すように、本実施形態の重粒子線治療装置は、大略的に、円形加速器1と、ビーム入射系20と、ビーム輸送系30とを有する。本実施形態の円形加速器1は、平面内に設置されている。

円形加速器1は、偏向電磁石2と、四極電磁石3と、六極電磁石4と、入射軌道調整用電磁石としての調整用電磁石5と、入射用偏向器7と、出射用偏向器8と、高周波加速装置9と、制御装置14とを備える。

偏向電磁石2は、入射した荷電粒子ビームを偏向し、荷電粒子ビームの周回軌道を形成する。四極電磁石3は、荷電粒子ビームが安定して周回するように荷電粒子ビームを収束・発散させる。六極電磁石4は、荷電粒子ビームのベータトロン振動の三次共鳴を励起し、位相空間(荷電粒子ビームの軌道の位置と角度を座標とした空間)上で安定領域と共鳴領域を分割形成する。四極電磁石3及び六極電磁石4は、荷電粒子ビームの出射の際にそれらの励磁量を調整して荷電粒子ビームの安定領域から外れた共鳴領域の荷電粒子ビームを徐々に取り出すための取出し用電磁石を構成する。

調整用電磁石5は、荷電粒子ビームの入射期間の際に、入射のタイミングごとに荷電粒子ビームを周回軌道の中心に対して異なる位置に入射させる。入射用偏向器7は、調整用電磁石5間に配置され、後述する前段加速器21で加速された荷電粒子ビームを入射させる。出射用偏向器8は、荷電粒子ビームを出射させるために偏向する。高周波加速装置9は、荷電粒子ビームを加速又は減速するための高周波電場を発生する装置である。

制御装置14は、コンピュータ、記憶装置、各種電源回路等の回路で構成される。制御装置14は、四極電磁石3及び六極電磁石4の励磁量を制御し、荷電粒子ビームの出射時に励磁量を調整する。

なお、図1では、制御装置14から全ての四極電磁石3及び六極電磁石4へ矢印を示すと煩雑になるので、それを回避するため、制御装置14から四極電磁石3及び六極電磁石4への矢印を1本ずつ示している。

ビーム入射系20は、円形加速器1の内側に配置され、荷電粒子ビームを加速して入射用偏向器7に入射させる前段加速器21と、ビーム入射系四極電磁石22と、ビーム入射系偏向電磁石23とを備える。

ビーム輸送系30は、円形加速器1の外側に配置され、ビーム輸送系四極電磁石31と、ビーム輸送系偏向電磁石32と、照射装置33とを備える。

本実施形態では、円形加速器1の内側から荷電粒子ビームを入射し、円形加速器1の外側へ荷電粒子ビームを出射している。

次に、本実施形態の作用を図2〜図5に基づいて説明する。

図2は図1の円形加速器において内周側からの入射による多回転入射を示す説明図である。図3は図1の円形加速器においてビームエミッタンスが250πmm・mradと370πmm・mradのそれぞれについて、各ビームエネルギーごとの各ビームサイズを示す説明図である。図4は図1の円形加速器において三次共鳴を用いたビーム振幅の増大を示す説明図である。図5は図1の円形加速器においてエネルギーが400MeV/u及び140MeV/uの内側入射での出射軌道を示す図である。

まず、本実施形態の動作を概略的に説明する。円形加速器1の内側に配置される前段加速器21によって加速された荷電粒子ビームを入射用偏向器7によって円形加速器1の内側から入射させる。そして、高周波加速装置9で荷電粒子ビームが必要エネルギーまで加速させる。その後、荷電粒子ビームは、出射用偏向器8によって円形加速器1の外側へ出射する。

次に、本実施形態の動作を詳細に説明する。

円形加速器1に荷電粒子ビームを入射する際には、図2に示すように調整用電磁石5によって周回ビームの中心軌道10を入射用偏向器7が配置された内周側へ変位させた入射バンプ軌道11を形成する。

そして、荷電粒子ビームの入射中は、入射バンプ軌道11を入射用偏向器7の位置から中心軌道10の位置まで変位させる。つまり、調整用電磁石5の励磁量を低下させながら荷電粒子ビームを入射することによって、入射のタイミングごとに異なる位置へ荷電粒子ビームを入射することができる。これにより、ビーム強度が増強される。この入射方式は、多回転入射として知られている。

図2において、荷電粒子ビームの入射時の入射バンプ軌道11と入射ビーム軌道12との差(間隔)が大きい程、中心軌道10に対してのビーム振幅は大きくなる。したがって、調整用電磁石5の励磁終了が近づくとビーム振幅が増大し、入射される荷電粒子ビームは、入射用偏向器7に対するクリアランスがとれなくなる。すなわち、入射用偏向器7に衝突する荷電粒子ビームは消失するから、入射する荷電粒子ビームの最大サイズは、入射用偏向器7の位置によって決まることになる。

入射後の荷電粒子ビームは、高周波加速装置9で加速されることで断熱収縮によりエネルギーに応じたビームサイズに縮小される。

図3は入射エネルギーが4MeV/uの荷電粒子ビームが円形加速器1で加速された後のビームサイズを示している。具体的には、図3は入射エネルギーが4MeV/uの荷電粒子ビームのビームエミッタンスが250πmm・mradと370πmm・mradのそれぞれが加速された後のビームサイズを示している。ここで、ビームエミッタンスとは、荷電粒子ビームが位相空間上で占める面積を表している。

図3に示すように、ビームエミッタンスが250πmm・mradの場合には、エネルギーが140MeV/uに加速されると、そのビームエミッタンスは、40.8πmm・mradになる。同様に、ビームエミッタンスが370πmm・mradの場合には、そのビームエミッタンスは、60.4πmm・mradになる。

さらに、ビームエミッタンスが250πmm・mradの場合には、エネルギーが430MeV/uに加速されると、そのビームエミッタンスは、21.8πmm・mradになる。同様に、ビームエミッタンスが370πmm・mradの場合には、そのビームエミッタンスは、32.3πmm・mradになる。

このように、ビームエネルギーが大きくなればなるほど、ビームエミッタンスが小さくなる。すなわち、ビームサイズが小さくなることが分る。

荷電粒子ビームの出射時には、四極電磁石3及び六極電磁石4の励磁量を制御装置14により調整する。これにより、荷電粒子ビームを共鳴と呼ばれる不安定状態に近付け、周回ビームの安定領域を狭める。安定領域から外れた共鳴領域の荷電粒子ビームは、振幅が増大される。そして、増大された振幅によって、荷電粒子ビームは、最終的に円形加速器1の外周側に配置された出射用偏向器8の位置まで広がることで、外側へ取り出される。これは遅い取り出し方法として知られている。

三次共鳴を用いてビーム振幅を増大する状態を位相空間上で表したものが図4である。図4において、横軸が水平方向における荷電粒子ビームの進行方向に垂直な方向(X軸方向)であり、縦軸がX軸方向の変位を荷電粒子ビームの進行方向の変位で微分した微分値を示すX´軸である。

円形加速器1内を周回する多数の粒子のベータトロン振動の三次共鳴と、当該多数の粒子に対する六極電磁石4による六極磁場の摂動により、図4に示す横方向位相空間(横軸がX軸、縦軸がX’軸)上に見られるように、粒子線のビームは安定領域と共鳴領域とに分けられる。粒子線のビームにおける三角形で描かれた安定領域の外側は共鳴領域になるので、共鳴領域に入った粒子のベータトロン振幅は増大し、出射用偏向器8により円形加速器1から取り出される。

そして、円形加速器1から取り出された荷電粒子ビームは、ビーム輸送系30のビーム輸送系四極電磁石31及びビーム輸送系偏向電磁石32を経て照射装置33に輸送される。この照射装置33により照射対象である患者の患部に照射されてがん治療に用いられる。

図5は、荷電粒子ビームを円形加速器1の内側より入射し、400MeV/u及び140MeV/uのビームエネルギーまで加速して円形加速器1の外側の出射用偏向器8で取り出されるまでの円形加速器1内での最終の3周分を示している。横軸は3周分の長さであり、縦軸は円形加速器1内の中心からの距離である。

図5に示すように、出射用偏向器8の位置は、入射する荷電粒子ビームへの干渉がない範囲で最も中心軌道側に配置している。

荷電粒子ビームを内側入射及び外側出射にすることにより、最大エネルギーを400MeV/uとすると、その最大エネルギーからその半分以下のエネルギー140MeV/uまで、入射用偏向器7に対して干渉することなく、出射ビーム軌道のクリアランスが十分にとれ、安定して出射することができる。

ここで、円形加速器1の内側から荷電粒子ビームを入射し、円形加速器1の内側へ荷電粒子ビームを出射する場合と、円形加速器1の外側から荷電粒子ビームを入射し、円形加速器1の外側へ荷電粒子ビームを出射する場合には、ビームサイズの大きい低エネルギー領域において、荷電粒子ビームは入射用偏向器7に干渉されて衝突する荷電粒子ビームが消失することになる。そのため、出射ビーム軌道のクリアランスを十分に確保することができず、荷電粒子ビームを安定して出射することができない。

図6は、荷電粒子ビームを円形加速器1の外側より入射し、400MeV/u及び140MeV/uのビームエネルギーまで加速して円形加速器1の外側の出射用偏向器8で取り出されるまでの円形加速器1内での最終の3周分を示している。

図6に示すように、荷電粒子ビームを外側入射にすることによって最大エネルギーの半分以下のエネルギーでの出射に対しては、入射用偏向器7に対して出射ビーム軌道のクリアランスを十分にとれることができず、荷電粒子ビームを安定して出射することができない。

すなわち、荷電粒子ビームを外側出射にすることにより、最大エネルギーを400MeV/uとすると、その最大エネルギーからその半分以下のエネルギー140MeV/uでは、荷電粒子ビームが入射用偏向器7に対して干渉し、出射ビーム軌道のクリアランスを十分にとることができず、荷電粒子ビームを安定して出射することができないこととなる。

このように本実施形態によれば、円形加速器1の内側から荷電粒子ビームを入射し、円形加速器1の外側へ荷電粒子ビームを出射することにより、円形加速器1自体の荷電粒子ビームの安定性を損なうことなく、円形加速器1のコンパクト性を維持しつつ、幅広いエネルギーで安定して出射することができる。

その結果、本実施形態では、広いエネルギー範囲で安定した荷電粒子ビームを得ることができるため、特に重粒子線治療装置に用いた場合には、照射対象である患者の照射部位と深さに応じて照射ビームの体内飛程を広範囲に調整することが可能となる。

(第2実施形態) 図7は重粒子線治療装置の第2実施形態を示す概略平面図である。なお、前記第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付して重複する説明は省略する。その他の実施形態も同様とする。

図7に示すように、本実施形態では、前記第1実施形態での配置構成に加え、荷電粒子ビームの周回方向において出射用偏向器8の前後に最低2台以上の出射軌道調整用電磁石としての調整用電磁石6を配置している。これらの調整用電磁石6は、荷電粒子ビームの出射の際に励磁する。これにより、出射用偏向器8の位置において、ビーム軌道を変位させ、すなわち外側に荷電粒子ビームを接近させて取り出すための出射パンプ軌道を形成する。

このように本実施形態では、出射用偏向器8の前後に最低2台以上の調整用電磁石6を配置することによって、出射用偏向器8の位置での閉軌道を変位させる。これにより、出射用偏向器8へ荷電粒子ビームを容易に導入することができる。その他の構成及び作用は、前記第1実施形態と同様であるのでその説明を省略する。

なお、本実施形態は、前記第1実施形態にも適用可能である。この場合は、調整用電磁石6は、出射用偏向器8の位置において、ビーム軌道を変位させ、すなわち内側に荷電粒子ビームを接近させて取り出すための出射バンプ軌道を形成する。このように構成することで、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。

(第3実施形態) 前記第1、第2実施形態において、円形加速器1内の周回ビームは分布を有しており、中心エネルギーよりも大きいものは外周側へ、小さいものは内周側へ変位した閉軌道を形成する。円形加速器1へ入射される荷電粒子ビームの運動量分散関数を正の値にすることで、閉軌道の外側へエネルギーの大きい荷電粒子ビームが、内側にエネルギーの小さい荷電粒子ビームが入射されるため、エネルギーのばらつきによって生じる入射ビームの振幅を抑えることができる。

ところで、運動量分散関数がゼロの状態で荷電粒子ビームを内側から入射すると、運動量分散関数は正の値となる。その一方で、運動量分散関数がゼロの荷電粒子ビームは、四極電磁石3を通過しても分散関数はゼロのままである。

四極電磁石3を3台以上使用することで、荷電粒子ビームの水平方向、鉛直方向のビームサイズはある程度の範囲でコントロールすることができることが知られている。そのため、内側入射の手前に運動量分散がゼロとなるビームラインを設け、3台以上の四極電磁石3を配置する。これにより、入射用偏向器7を出射した位置での運動量分散は、その偏向角で決まる正の固定値のままビームサイズのみの調整が可能となる。その結果、ビーム入射条件の最適化を容易に行うことができる。

(その他の実施形態) 本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

例えば、上記各実施形態において、荷電粒子ビームの出射時に周回軌道を形成するための偏向電磁石2の励磁量を変更して閉軌道全体を変位させることにより、円形加速器1の入射用偏向器7とのクリアランスをさらに大きくとることができる。

また、上記各実施形態において、荷電粒子ビームの出射時に、入射時に使用した調整用電磁石5を入射時とは逆極性に励磁することにより、閉軌道を入射用偏向器7から遠ざけることができる。これによりクリアランスを一段と大きくとることができる。

さらに、上記各実施形態において、荷電粒子ビームの入射時に、入射バンプ軌道を変位させている途中に入射ビームの導入を停止する。このようにして、初期のビームサイズを小さくしておけば、同じ荷電粒子ビームの出射時のビームサイズでも、より低エネルギーでのビームを扱うことができ、荷電粒子ビームの出射に利用可能なエネルギー幅を増やすことができる。

また、上記各実施形態では、ビーム輸送系30を設けて重粒子線治療装置に適用した場合について説明したが、これに限らず、例えば高エネルギーの荷電粒子ビームを物理学実験等のように様々な用途に利用することも可能である。

1…円形加速器、2…偏向電磁石、3…四極電磁石(取出し用電磁石)、4…六極電磁石(取出し用電磁石)、5…調整用電磁石(入射軌道調整用電磁石)、6…調整用電磁石(出射軌道調整用電磁石)、7…入射用偏向器、8…出射用偏向器、9…高周波加速装置、10…中心軌道、11…入射バンプ軌道、12…入射ビーム軌道、14…制御装置、20…ビーム入射系、21…前段加速器、22…ビーム入射系四極電磁石、23…ビーム入射系偏向電磁石、30…ビーム輸送系、31…ビーム輸送系四極電磁石、32…ビーム輸送系偏向電磁石、33…照射装置

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