Device the ion beam to be used in the heavy ion beam application system to preliminary acceleration

申请号 JP2002563747 申请日 2002-02-05 公开(公告)号 JP2004523068A 公开(公告)日 2004-07-29
申请人 ジー エス アイ ゲゼルシャフト フュア シュベールイオーネンフォルシュンク エム ベー ハー; 发明人 シェンプ、アルウィン; シュリット、ベルンハルト; ベヒャホルド、アレクサンダー; ラトジンガー、ウルリヒ;
摘要 本発明は、重イオンビームアプリケーションシステムにおいて使用されるイオンビームを予備 加速 し、ビームパラメータを最適にマッチングさせる装置であって、高周波4重極加速器(RFQ)であって、イオンを約8keV/uから約400keV/uに加速する複数の交互ステムによって支持される2つのミニベーン対を有する、高周波4重極加速器と、高周波4重極加速器(RFQ)からもたらされるイオンビームのパラメータを、後続のドリフトチューブ線形加速器(DTL)によって要求されるパラメータにマッチングさせる完備したタンク間マッチング部とを備える装置に関する。
权利要求
  • 重イオンビームアプリケーションシステムにおいて使用されるイオンビームを予備加速し、ビームパラメータを最適にマッチングさせる装置であって、
    高周波4重極加速器(RFQ)であって、イオンを加速する複数の交互ステム(ST)によって支持される2つのミニベーン(mini vane)対(EL)を有し、該高周波4重極加速器(RFQ)構造の端部に向かって増加する開口を有し、該高周波4重極加速器(RFQ)構造の端部に向かって0°へと増加する同期位相を有する、高周波4重極加速器と、
    前記高周波4重極加速器(RFQ)からもたらされるイオンビームのパラメータを、後続のドリフトチューブ線形加速器(DTL)によって要求されるパラメータにマッチングさせる完備したタンク間マッチング部とを備える装置。
  • 重イオンビームアプリケーションシステムにおいて使用されるイオンビームを予備加速し、ビームパラメータを最適にマッチングさせる装置であって、
    高周波4重極加速器(RFQ)であって、イオンを加速する複数の交互ステム(ST)によって支持される2つのミニベーン対(EL)を有し、該高周波4重極加速器(RFQ)構造の端部に向かって増加する同期位相を有する、高周波4重極加速器と、
    前記高周波4重極加速器(RFQ)からもたらされるイオンビームのパラメータを、後続のドリフトチューブ線形加速器(DTL)によって要求されるパラメータにマッチングさせる完備したタンク間マッチング部と、
    前記高周波4重極加速器(RFQ)の出口に位置し、前記高周波4重極加速器(RFQ)タンクに一体化されている2つのリバンチャ・ドリフトチューブとを備える装置。
  • 前記高周波4重極加速器は、イオンを約8keV/uから約400keV/uに加速することを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
  • 前記交互ステム(ST)は、前記RFQ内の共通水冷ベースプレート(BP)上に取り付けられることを特徴とする前記請求項のいずれか1つに記載の装置。
  • 前記ステム(ST)は、インダクタンス(inductivity)として働き、電極(EL)を形成する前記ミニベーン対は、λ/2共振構造に対するキャパシタンスとして働くことを特徴とする前記請求項のいずれか1つに記載の装置。
  • 前記高周波4重極加速器(RFQ)は、下流に位置するIHドリフトチューブ・リニアック(DTL)と同じ周波数で運転されることを特徴とする前記請求項のいずれか1つに記載の装置。
  • 前記タンク間マッチング部は、前記RFQの下流のxy操向電磁石を備えることを特徴とする前記請求項のいずれか1つに記載の装置。
  • 前記タンク間マッチング部は、4重極ダブレットを備えることを特徴とする前記請求項のいずれか1つに記載の装置。
  • 前記タンク間マッチング部は、容量性位相プローブを収容する診断チャンバおよび/または前記タンク間マッチング部の端部にあるビーム変圧器を備えることを特徴とする前記請求項のいずれか1つに記載の装置。
  • 说明书全文

    【技術分野】
    【0001】
    本発明は、独立請求項のプレアンブルによる、重イオンビームアプリケーションシステムにおいて使用される、イオンビームを予備加速し、ビームパラメータを最適にマッチングさせる装置に関する。
    【背景技術】
    【0002】
    単一プロトン源からプロトンビームを選択的に生成し、輸送するプロトンビームアプリケーションシステムが知られている(特許文献1)。 こうしたシステムの短所は、患者を処置する融通性(flexibility)が、比較的低い(relatively low)有効プロトンビームに事実上制限されることである。
    【特許文献1】
    米国特許第4,870,287号【発明の開示】
    【発明が解決しようとする課題】
    【0003】
    本発明の目的は、重イオンビームアプリケーションシステムにおいて使用されるイオンビームを予備加速し、ビームパラメータを最適にマッチングさせる、改良された装置を提供することである。
    【課題を解決するための手段】
    【0004】
    この目的は独立請求項の主題によって達成される。 好ましい実施形態の特徴は、従属請求項において定義される。
    【0005】
    本発明によれば、重イオンビームアプリケーションシステムにおいて使用されるイオンビームを予備加速し、ビームパラメータを最適にマッチングさせる装置であって、イオンを約8keV/uから約400keV/uに加速する加速する複数の交互ステムによって支持される2つのミニベーン(mini-vane)対を有する高周波4重極加速器と、前記高周波4重極加速器からもたらされるイオンビームのパラメータを、後続のドリフトチューブ線形加速器によって要求されるパラメータにマッチングさせる完備したタンク間マッチング部とを備える装置が提供される。
    【0006】
    高周波4重極加速器(RFQ)の横方向ならびに縦方向出ビームパラメータを、後続のドリフトチューブ・リニアック(DTL)(ここで、リニアックは線形加速器の略語である)内への注入部で要求される値にマッチングさせるために、運転を簡単にし、システムの信頼性を増し、ならびに、投資費用および運営費用を節約する、非常に小型のスキームが提案されている。
    【0007】
    本発明において、高周波4重極は、その構造の端部に向かって増加する開口を有する。 このことが有する利点は、RFQの端部に向かう横方向集束力が減ること、および、RFQの出口で約20mrad以下の最大ビーム度が得られることである。 このことによって、タンク間マッチング部に沿っての非常に滑らかな横方向集束と、横方向位相面における後続のIH型DTL(IH−DTL)への最適なマッチングが可能になる。 このことは、IH−DTLに沿って加速している間のビームエミッタンスの増加を最小にする、したがって、ビーム損失を最小にするという利点を有する。 タンク間マッチング部に沿う非常に滑らかな集束の他の利点は、マッチング部に沿いでは最小数の集束要素で十分であることである。
    【0008】
    本発明の好ましい実施形態において、2つのリバンチング・ドリフトチューブは、前記高周波4重極の出口に位置し、縦位相面のビームパラメータをマッチングさせるために、RFQタンクに一体化される。 こうして、ドリフトチューブ・リニアックの入射部での±15度未満の明確な位相幅、およびIH−DTLの第1加速部への注入部での縦方向の収束性(convergent)ビームが得られる。 この実施形態が有する利点は、十分な縦方向集束(focusing)を達成するのに、タンク間マッチング部において追加のバンチング空洞を設置する必要がないことである。 本発明の利点によって、こうした付加的なバンチング空洞、ならびこうした空洞を運転させるのに必要な、付加的なrf機器を省くことができ、それによって、システム全体の信頼性が向上し、ならびにより操作が容易になる。
    【0009】
    本発明の他の好ましい実施形態において、前記RFQは、RFQの構造の端部に向けて0度へと増加する同期位相を有する。 このことが有する利点は、RFQタンクに一体化されている前記2つのリバンチング・ドリフトチューブの前のドリフト空間を最小できること、および、前記リバンチング間隙の影響を最適にできることである。
    【0010】
    本発明の他の好ましい実施形態において、高周波4重極は、下流に位置するドリフトチューブ・リニアック(ここで、リニアックは線形加速器の略語である)と同じ周波数で運転される。 このことが有する利点は、周波数適合手段を必要としないことである。
    【0011】
    本発明の他の実施形態において、タンク間マッチング部は、前記高周波4重極の下流にあるxy操向電磁石、および前記xy操向器の下流に位置する4重極ダブレットを備えている。 このことが有する利点は、最小数の付加要素を用いて、横方向位相面におけるマッチングが可能になることである。
    【0012】
    本発明の他の好ましい実施形態において、タンク間マッチング部は、容量性位相プローブを収容する診断チャンバおよび/または前記タンク間マッチング部の端部に位置するビーム変圧器を備える。 これらの診断手段が有する利点は、診断手段が、システムの運転中に、ビームを乱すことなく、ビーム電流およびビームパルスの形状をそれぞれ測定できることである。 したがって、これらの診断手段は、ビーム電流およびビームパルスの形状をそれぞれin situで制御するのに非常に有効である。
    【0013】
    次に、後続の図面によって、実施形態について本発明が説明される。
    【発明を実施するための最良の形態】
    【0014】
    図1は、重イオンビームを予備加速し、ビームパラメータを最適にマッチングさせる装置を含むイオンビームアプリケーションシステム用の完備した注入器リニアックの略図である。
    図2は、高周波4重極の構造の略図である。
    図3は、完備したタンク間マッチング部の略図である。
    図4は、低エネルギービーム輸送システムにおけるビームエンベロープの他の例を示す図である。
    図5は、RFQに沿う高周波4重極(RFQ)構造パラメータを示す図である。
    図6は、RFQ電極の始点での粒子分布の位相空間投影図である。
    図7は、IH−DTLの入射部での粒子分布の位相空間投影図である。
    図8は、RFQに一体化されたリバンチング間隙における種々の全間隙電圧についての、IH−DTLの入射部でのシミュレートされた位相幅を示す図である。
    図9は、RFQ電極の一部およびRFQに一体化された2つのドリフトチューブのrfモデルの写真である。
    図10は、図9の前記モデルを用いてビード摂動測定を行なった結果である。
    【0015】
    図1、図2、および図4における参照符号は以下のように定義される。
    ECRIS1 124+または166+のような重イオン用の第1電子サイクロトロン共鳴イオン源ECRIS2 H 、H または のような軽イオン用の第2電子サイクロトロン共鳴イオン源SOL ECRIS1およびECRIS2の出口および高周波4重極加速器(RFQ)の入射部のソレノイド電磁石BD プロファイルグリッドおよび/またはファラデーカップおよび/またはビーム変圧器および/または容量性位相プローブを備えるビーム診断ブロックSL スリットQS1 第1分岐の磁気4重極シングレットQS2 第2分岐の磁気4重極シングレットQD 磁気4重極ダブレットQT 磁気4重極トリプレットSP1 第1分岐の分光計電磁石SP2 第2分岐の分光計電磁石SM 切換え電磁石CH マクロパルスチョッパRFQ 高周波4重極加速器IH−DTL IH型ドリフトリニアックSF ストリッパフォイルEL RFQ構造の電極ST RFQ電極を保持する支持ステムBP RFQ構造のベースプレートa)(図4) 開口半径b)(図4) 変調パラメータc)(図4) 同期位相d)(図4) 横方向のゼロ電流位相進みe)(図4) 縦方向のゼロ電流位相進み【0016】
    図1は、重イオンビームを予備加速し、ビームパラメータを最適にマッチングさせる装置を含むイオンビームアプリケーションシステム用の完備した注入器リニアックの略図である。 重イオンビームを予備加速し、ビームパラメータを最適にマッチングさせる前記装置、および対応する構成要素を含む図1の種々の部分のタスクは、以下の項目に要約することができる。
    【0017】
    1. イオンの生成、8keV/uの運動エネルギーへのイオンの予備加速および十分なビーム品質を有するイオンビーム形成は、2つの独立したイオン源およびイオン源抽出システムにおいて行なわれる。 日常運転の場合、イオン源の一方は高LETイオン種(それぞれ124+および166+ )を送出し、一方、他のイオン源は低LETイオンビーム(H 、H または He 1+ )を生成する。
    【0018】
    2. 注入器リニアックにおける加速に使用されるべき荷電状態は、2つの独立した分光計ラインにおいて分離される。 2つのイオン源分岐からの選択されたイオン種間の切換え、ビーム強度制御(強度制御ラスター走査法に対して必要とされる)、後続の線形加速器の要件へのビームパラメータのマッチング、およびリニアック内で加速されたビームパルス長の規定は、低エネルギービーム輸送(LEBT)ラインにおいて行なわれる。
    【0019】
    3. 線形加速器は、イオンを8keV/uから400keV/uに加速する、長さが約1.4mの、短い高周波4重極加速器(RFQ)から成り、その主パラメータが表1に示されている。
    【0020】
    【表1】

    表1:RFQの主パラメータ【0021】


    線形加速器はさらに、長さが約0.25mの小型ビームマッチング部と、7MeV/uのリニアック端部エネルギーへ効果的に加速するための3.8m長のIH型ドリフトチューブ・リニアック(IH−DTL)から成る。


    【0022】


    4. シンクロトロンの加速効率を最適にするために、残留電子は、IH−DTLの後ろの、約1mに配置された薄いストリッパーフォイルにおいて引き剥がされて、シンクロトロンへの注入前に、可能な最良の荷電状態を生ずるようにする(表2)。


    【0023】


    表2は、注入器リニアック(左欄)内での、また、ストリッパフォイル(右欄)の後ろでの、加速用に提案された全てのイオン種の荷電状態を示す。


    【0024】


    【表2】


    【0025】


    本発明を備える注入器システムの設計は、病院環境で設置される医療機械に関する特別な問題を解決できるという利点を有し、その問題とは、高信頼性のパラメータ、ならびに安定で、再現性のあるビームパラメータである。 さらに、小型であり、運転要件および維持要件が少ない。 さらなる利点は、装置の投資費用および運用費用が安いことである。


    【0026】


    RFQおよびIH−DTLはどちらも、イオン容積対電荷比A/q≦3(イオン

    12

    4+設計)および運転周波数216.816MHzに対して設計される。 このかなり高い周波数によって、非常に小型のLINAC設計を使用すること、したがって、独立した空洞およびrf電力トランスミッタの数を減らすことが可能になる。 イオン源およびストリッパフォイルを含む、注入器の全長は約13mである。 シンクロトロンから要求されるビームパルスは、低い繰り返しでやや短いので、約0.5%の非常に小さなrfデューティサイクルは、十分であり、また、冷却要件を大幅に減少させるという利点を有する。 したがって、4ロッド状のRFQ構造の電極、ならびにIH−DTL内のドリフトチューブはどちらも、直接冷却を必要とせず(RFQ構造のグラウンドプレートおよびIH構造のガーダーのみが冷される)、それによって、建造費用が大幅に減り、システムの信頼性が向上する。


    【0027】


    図2は、高周波4重極(RFQ)の構造の略図を示す。


    【0028】


    長さ約1.3mのミニベーン状電極を装備した小型4ロッド状RFQ加速器は、8keV/uから400keV/uに加速するように設計されている(表1)。 共振器は、4重極として配置されている4つの電極から成る。 共通ベースプレート上に取り付けられている16個の支持ステムによって、対角線上で対向する電極が接続されている。


    【0029】


    各ステムは2つの対向するミニベーンに接続されている。 電極間のrf4重極磁場は、λ/2共振によって達成され、その共振はキャパシタンスとして働く電極およびインダクタンスとして働くステムから生ずる。 完備した構造は、約0.25mの内径を有する円筒タンク内に設置される。 電極対がそれぞれ水平面および垂直面にあるため、完備した構造はこれらの面に対して45°以下で取り付けられる。


    【0030】


    構造は、IH−DTLに印加されるのと同じ216.816MHzのrf周波数で運転される。 電極電圧は70kVであり、要求されるrfピーク電力はおよそ100kWに達する。 10Hzのパルス繰り返し(repetition rate)で、約500μs以下のrfパルス長は、0.5%の小さなrfデューティサイクルに相当する。 したがって、電極に対する直接冷却は必要なくて、ベースプレートのみが水冷される。


    【0031】


    図3は、完備したタンク間マッチング部の略図である。


    【0032】


    RFQの横方向ならびに縦方向出力ビームパラメータを、IH−DTL内への注入部で要求される値にマッチングさせるために、運転を簡単にし、機械の信頼性を増す非常に小型のスキームが提供される。


    【0033】


    RFQおよびIH−DTLのいずれもが同じ周波数で運転されるが、縦方向バンチングは、DTLの入射部で±15°未満の明確な位相幅を確保すること、および、DTL内の第1φ

    =0°部への注入部で縦方向の収束性ビームを得ることが要求される。 その目的のために、RFO共振器の高エネルギー端における2つのドリフトチューブの一体化が行なわれ、その一体化は、IH−DTLの第1の2つの間隙から成る、付加的なIH内部φs=−35°リバンチャ部によって支持される。


    【0034】


    横方向ビーム挙動(dynamics)に関して、RFQおよびIH−DTLは異なる集束構造を有する。 RFQに沿っては、βλの集束期間を有するFODOラティスが適用されるが、IH−DTLに沿っては、少なくとも8βλの集束期間を有するトリプレット−ドリフト−トリプレット集束スキームが適用される。 RFQ電極の出口では、ビームは、一つの横方向に収束し、他の横方向に発散するが、IH−DTLの入射部では、両方の横方向に集束したビームが必要となる。 この横方向マッチングを行なうには、それぞれ49mmの有効長の4重極電磁石を有する、短い磁気4重極ダブレットで十分であり、そのダブレットは、RFQとIHタンクとの間の、図3の前記タンク間マッチング部内に置かれる。 さらに、小さなxy操向器が、4重極ダブレットの直前の前記タンク間マッチンブ部の同じチャンバ内に取り付けられる。 この磁気ユニットは、容量性位相プローブおよびビーム変圧器から成る、長さが約50mmの短い診断チャンバを伴う。 RFQの出口フランジとIH−DTLの入射部フランジとの間の機械的長さは約25cmである。


    【0035】


    タンク間マッチング部の設計はまた、RFQの最終エネルギーを決定する。 すなわち、マッチング部の所与の機械的長さに基づいてRFQの端部エネルギーは、IH−DTLの入射部で要求されるビームパラメータが供給されるように選ばれる。 イオンのエネルギーがあまりに小さい場合、明白な縦方向焦点、すなわちビームの位相幅におけるウエスト(waist)が、RFQとIH−DTLとの間に現れる。 焦点の位置は、ビームエネルギーが小さければ小さいほどRFQに近くなる。 したがって、RFQおよび後続のリバンチャスキームの所定の設計については、IH−DTLの入射部での位相幅は、RFQ端部エネルギーが減少するにつれて増加する。 しかし、IH−DTLの入射部での位相幅があまりに大きくなる場合、DTLに沿って、縦方向ならびに横方向ビームエミッタンスの著しい増加が発生し、その増加は本発明によって回避される。 最後に、RFQ、タンク間部およびIH−DTLに沿う、ビーム挙動シミュレーションの詳細な調査の後に、400keV/uのRFQ端部エネルギーが選ばれた。 その理由は、このエネルギーが、IH−DTLの入射部で要求されるビームパラメータを供給するからである。 そして、このエネルギーによって、中程度のrf電力消費を有する非常に小型のRFQの設計が可能になる。


    【0036】


    図4は、RFQに沿う、高周波4重極(RFQ)構造パラメータを示す。 種々の構造パラメータが、RFQ加速構造のセル数に対してプロットされている。


    【0037】


    曲線a)は、構造の開口半径を示す。 RFQの開口半径は、構造のほとんどの部分に沿って約3±0.3mmであり、その値は、βλ/2≒2.9mmの始点でのセル長に匹敵する。 開口半径は、第1の数個のRFQセルから成る、短い半径方向マッチング部内で、構造の始点に向かって大きく拡大して、より大きなビーム半径に対するアクセプタンス(acceptance)を増す。


    【0038】


    RFQの開口は、構造の端部に向かっても増加し、RFQの出口で20mradの最大ビーム角度を保証する集束力の低下をもたらす。 本発明のこの改良が有する利点とは、RFQによって供給される横方向ビームパラメータを、後続のIH−DTLによって要求されるパラメータにマッチングさせる非常に短いマッチング部を可能にすること、および、最適なマッチングを達成することであり、それによって、IH−DTLに沿ったビームエミッタンスの増加を最小にする。


    【0039】


    曲線b)は、ビーム形成、ビームの予備バンチングおよびバンチングの最適化のために、構造の始点では小さく、効率のよい加速のために構造の端部に向かって増加する変調パラメータを示す。


    【0040】


    曲線c)は、同期位相を示す。 同期位相は、ビーム形成、ビームの予備バンチングおよびバンチングの最適化のために、構造の始点で−90度に近い。 同期位相は、ビームをより大きなエネルギーに加速する間に少し増加する。 同期位相は、構造の端部に向かって0度に増加し、RFQ電極にすぐ続くリバンチング間隙の前で縦方向ドリフトを与えるようにする。 本発明のこの利点は、前記リバンチング間隙の効率を高め、IH−DTLの入射部で要求される、±15度の小さな位相幅を得るのに必要である。


    【0041】


    図5A〜図5Dは、RFQの横方向アクセプタンスプロットと共に、RFQ電極の始点での粒子分布の横方向位相空間投影図を示す。


    【0042】


    図5Aは、シミュレーションから得られる、水平方向位相面におけるRFQのアクセプタンス領域を示す。


    【0043】


    図5Bは、ビーム挙動シミュレーションに対する入力分布として使用される、水平方向位相面におけるRFQ注入部での粒子分布の投影図を示す。


    【0044】


    図5Cは、シミュレーションから得られる、垂直方向位相面におけるRFQのアクセプタンス領域を示す。


    【0045】


    図5Dは、ビーム挙動シミュレーションに対する入力分布として使用される、垂直方向位相面におけるRFQ注入部での粒子分布の投影図を示す。


    【0046】


    RFQ構造を最適化するために、またIH−DTLに最適なマッチングを達成するために、広範囲な粒子挙動シミュレーションが行なわれた。 RFQの入射部で使用される粒子分布の横方向位相空間投影図は、図5の部分BおよびDにそれぞれ示されている。 正規化されたビームエミッタンスは、両方の横方向位相面で約0.6π mm mradであり、使用されるイオン源について測定された値に適合する。


    【0047】


    図4に示す構造パラメータを用いたシミュレーションから得られるRFQの横方向アクセプタンス領域は、図5の部分AおよびCにそれぞれ示されている。 これらは、注入されたビームエミッタンスよりかなり大きく、少なくとも90%のRFQの大きな伝達を実現する。 正規化されたアクセプタンスは、各横方向位相面で約1.3π mm mradに達する。 最大受容可能(acceptable)ビーム半径は約3mmである。


    【0048】


    図6A〜図6Dは、RFQ電極の端部での粒子分布の位相面投影図を示す。


    【0049】


    図6Aは、ビーム挙動シミュレーションから得られる、水平方向位相面におけるRFQ構造の出口での粒子分布の投影図である。


    【0050】


    図6Bは、ビーム挙動シミュレーションから得られる、垂直方向位相面におけるRFQ構造の出口での粒子分布の投影図である。


    【0051】


    図6Cは、ビーム挙動シミュレーションから得られる、x−y面におけるRFQ構造の出口での粒子分布の投影図である。


    【0052】


    図6Dは、ビーム挙動シミュレーションから得られる、縦方向位相面におけるRFQ構造の出口での粒子分布の投影図である。


    【0053】


    RFQの開口が構造の端部に向かって増加するという点にある、本発明の利点によって、最大ビーム角度は、構造出口で、IH−DTLに対する最適なマッチングに要求される、約20度未満に維持される。


    【0054】


    同期位相が構造の端部に向かって0度へと増加するという点にある本発明の利点によって、ビームは、縦方向位相面でぼかされ(defocused)、電極端部の後ろに非常に短い距離で続くリバンチング間隙の効率を高める。


    【0055】


    図7A〜図7Dは、IH−DTLの入射部での粒子分布の位相面投影図を示す。


    【0056】


    図7Aは、RFQおよびマッチング部のビーム挙動シミュレーションから得られる、水平方向位相面におけるIH−DTLの入射部での粒子分布の投影図である。


    【0057】


    図7Bは、RFQおよびマッチング部のビーム挙動シミュレーションから得られる、垂直方向位相面におけるIH−DTLの入射部での粒子分布の投影図である。


    【0058】


    図7Cは、RFQおよびマッチング部のビーム挙動シミュレーションから得られる、x−y面におけるIH−DTLの入射部での粒子分布の投影図である。


    【0059】


    図7Dは、RFQおよびマッチング部のビーム挙動シミュレーションから得られる、縦方向位相面におけるIH−DTLの入射部での粒子分布の投影図である。


    【0060】


    本発明の利点によって、図7Dから見てとれるように、IH−DTLの入射部での、約±15度のビームの位相幅が得られる。 したがって、非常に小型のマッチングスキームがIH−DTLの要件を満たす。


    【0061】


    図8は、RFQに一体化されたリバンチング間隙における種々の全間隙電圧についての、IH−DTLの入射部でのシミュレートされたビームの位相幅を示す。


    【0062】


    IH−DTLの入射部での最小位相幅は、約87kVの全間隙電圧を用いて得られる。 この全間隙電圧は、RFQ電極電圧の約1.24倍である(表1参照)。 幸い、曲線の最小部は非常に広く、要求される位相幅は、約75kVとほぼ100kVの間の全間隙電圧を用いて得ることができる。


    【0063】


    図9は、RFQ電極の一部とRFQタンクに一体化された2つのドリフトチューブから成るrfモデルの写真である。 モデルは、2つのチューブを保持し、幾何学的形状を最適にする、異なる種類の機構によって得ることができる間隙電圧を確認するために使用した。 第1ドリフトチューブは、追加ステム上に取り付けられた。 このステムは、RFQ周波数に同調していなくて、したがって、ほとんどグラウンド電位である。 第2ドリフトチューブは、RFQ構造の最終のステムに取り付けられ、したがって、RF電位にある。 図9のrfモデルはタンクなしで示されている。


    【0064】


    図10Aおよび図10Bは、図9の前記モデルを用いたビード摂動(bead-perturbation)測定の結果を示す。


    【0065】


    図10Aは、構造の軸に対して横方向に測定した、電極でのビード摂動測定の結果を示す。


    【0066】


    図10Bは、ドリフトチューブ・セットアップの軸に沿ったビード摂動測定の結果を示す。


    【0067】


    ビード摂動測定は、RFQタンクに一体化されたリバンチング間隙内で得られる間隙電圧を確認するために、図9の前記モデルを用いて行なわれた。 図10Aおよび図10Bに示す測定値を比較することによって、測定された、全間隙電圧と電極電圧に対する比は、1.23に達しており、これは、図8で提示されている曲線の最適値に非常に近い。


    【0068】


    したがって、RFQによって加速されたビームのパラメータをドリフトチューブ・リニアックによって要求されるパラメータにマッチングさせるという本発明の新しい概念は、従来の解決策と比較して、非常に小型で、ずっと容易なマッチングスキームを用いながら、最適なマッチング結果をもたらす。


    【図面の簡単な説明】


    【0069】


    【図1】重イオンビームを予備加速し、ビームパラメータを最適にマッチングさせる装置を含むイオンビームアプリケーションシステム用の完備した注入器リニアックの略図である。


    【図2】高周波4重極の構造の略図である。


    【図3】完備したタンク間マッチング部の略図である。


    【図4】低エネルギービーム輸送システムにおけるビームエンベロープの他の例を示す図である。


    【図5】RFQに沿う高周波4重極(RFQ)構造パラメータを示す図である。


    【図6】RFQ電極の始点での粒子分布の位相空間投影図である。


    【図7】IH−DTLの入射部での粒子分布の位相空間投影図である。


    【図8】RFQに一体化されたリバンチング間隙における種々の全間隙電圧についての、IH−DTLの入射部でのシミュレートされた位相幅を示す図である。


    【図9】RFQ電極の一部およびRFQに一体化された2つのドリフトチューブのrfモデルの写真である。


    【図10A】図9の前記モデルを用いてビード摂動測定を行なった結果である。


    【図10B】図9の前記モデルを用いてビード摂動測定を行なった結果である。


    【符号の説明】


    【0070】


    ECRIS1

    12

    4+または

    16

    6+のような重イオン用の第1電子サイクロトロン共鳴イオン源ECRIS2 H

    、H

    または

    のような軽イオン用の第2電子サイクロトロン共鳴イオン源SOL ECRIS1およびECRIS2の出口および高周波4重極加速器(RFQ)の入射部のソレノイド電磁石BD プロファイルグリッドおよび/またはファラデーカップおよび/またはビーム変圧器および/または容量性位相プローブを備えるビーム診断ブロックSL スリットQS1 第1分岐の磁気4重極シングレットQS2 第2分岐の磁気4重極シングレットQD 磁気4重極ダブレットQT 磁気4重極トリプレットSP1 第1分岐の分光計電磁石SP2 第2分岐の分光計電磁石SM 切換え電磁石CH マクロパルスチョッパRFQ 高周波4重極加速器IH−DTL IH型ドリフトリニアックSF ストリッパフォイルEL RFQ構造の電極ST RFQ電極を保持する支持ステムBP RFQ構造のベースプレートa)(図4) 開口半径b)(図4) 変調パラメータc)(図4) 同期位相d)(図4) 横方向のゼロ電流位相進みe)(図4) 縦方向のゼロ電流位相進み

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