電子ビームを用いたモリブデン−99の製造

申请号 JP2016514229 申请日 2014-05-23 公开(公告)号 JP6426716B2 公开(公告)日 2018-12-05
申请人 カナディアン ライト ソース インコ.; CANADIAN LIGHT SOURCE INC.; 发明人 ダイアモンド、ウィリアム; ナガルカル、ビナイ; ディ ヤング、マーク; レジール、クリストファー; リン、リンダ; ウルリッヒ、ダグラス;
摘要
权利要求

複数のモリブデン-100(100Mo)ターゲットの光核反応を介して、100Moターゲットからモリブデン-99(99Mo)を製造するための装置であって、該装置は、 電子ビームを生成することができる、線形加速器と、 電子ビームを受けて、制動放射光子シャワーを生成することができる、変換器部と、 複数の100Moターゲットディスクを収容するターゲットホルダを、受け入れ、取り外し可能に係合させて配置するためのチャンバを有し、制動放射光子シャワーを受ける、ターゲット照射部と、 前記装置に沿って前記装置内で搬送されることができ、前記ターゲットホルダの一端部と取り外し可能に係合することができる、遠隔制御グラップルアセンブリと、 前記変換器部とシールするように係合され、冷媒流体を循環させるための、冷却システムと、 を備えることを特徴とする装置。前記線形加速器は、少なくとも10kWから約100kWまでの電力を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。前記変換器部は、前記線形加速器によって生成される電子ビームを遮断するように配置される少なくとも1枚の金属プレートを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。前記金属プレートは、銅、コバルト、鉄、ニッケル、パラジウム、ロジウム、銀、タンタル、タングステン、亜鉛、または、任意のそれらの金属の合金の、プレートを含むことを特徴とする請求項3に記載の装置。前記ターゲットホルダと取り外し可能に係合することができ、100Moターゲットディスクを通じて第2冷媒を循環させるように構成された、冷却管アセンブリを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。前記冷却管アセンブリは、複数のガイドフィンと制動放射光子シャワーを遮蔽するための冷却管シールドとを有する冷媒供給管を備えることを特徴とする請求項5に記載の装置。前記ターゲット照射部は、前記ターゲットホルダを、制動放射光子シャワーを最大限遮断するように配置及び位置合わせするためのターゲット位置合わせ部を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。制動放射光子シャワーは、少なくとも20MeVから約45Mevまでのエネルギを有することを特徴とする請求項1に記載の装置。遠隔制御により、前記ターゲットホルダを分配し、光子流束が照射された100Moターゲットディスクを搬送容器内に搬送するための機器をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。光子流束が照射された100Moターゲットディスクを収容した前記ターゲットホルダを受け入れて、この光子流束が照射された100Moターゲットディスクからテクネチウム-99m(99mTc)を分離して回収するように、この100Moターゲットディスクを処理する、ホットセルをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。前記線形加速器及び前記ターゲット照射部を包囲する、取り外し可能な保護外装材を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。前記装置の上部に取り付け可能なフレーム構造を備え、前記遠隔制御グラップルアセンブリは、前記フレーム構造に沿って前記フレーム構造内で搬送されることができることを特徴とする請求項1に記載の装置。複数のモリブデン-100(100Mo)ターゲットの光核反応を介して、100Moターゲットからモリブデン-99(99Mo)を製造するための方法であって、該方法は、 線形加速器を使用して電子ビームを生成するステップと、 電子ビームから制動放射光子シャワーを生成するステップと、 制動放射光子シャワーを受けるためのターゲットホルダに収容された複数の100Moターゲットディスクに照射するステップと、 照射された100Moターゲットディスクを、冷媒流体を循環させることによって冷却するステップと、 前記ターゲットホルダの一端部と取り外し可能に係合することができる遠隔制御グラップルアセンブリを使用して、光子流束が照射された100Moターゲットディスクからテクネチウム-99m(99mTc)を分離して回収するために、前記ターゲットホルダを搬送するステップと、を含むことを特徴とする方法。制動放射光子シャワーは、少なくとも20MeVから約45MeVまでのエネルギを有することを特徴とする請求項13に記載の方法。前記線形加速器は、少なくとも10kWから約100kWまでの電力を有することを特徴とする請求項14に記載の方法。

说明书全文

本開示は、モリブデン-99を製造するための製造過程、システム、及び装置に関する。より詳細には、本開示は、高出の電子線形加速器を使用して、モリブデン-100ターゲットからモリブデン-99を製造することに関する。

テクネチウム-99m(以下99mTcとする)は、核医学診断法において最も広く使用されている放射性トレーサの一つである。99mTcは、様々な形態の癌を検出するために、心臓の負荷試験のために、骨の密度を算定するために、選択された臓器を撮像するために、または、他の診断検査のために、日常的に使用されている。99mTcは、容易に検出可能な140keVのγ線を放射し、わずか約6時間の半減期を有するため、患者の放射能の被曝を制限する。 この極めて短い半減期のおかげで、核医学設備が備え付けられる医療センターは、99mTcジェネレータを用いて、99mTcの親同位体モリブデン-99(以下99Moとする)の崩壊から99mTcを得る。99Moは、原子炉施設から医療センターへの世界的規模の輸送を可能にする、66時間の比較的長い半減期を有し、99Moの大量製造は、高濃縮235ウランの核分裂から得られる。この99Moの核製造の問題点は、その世界的な供給が、1960年代に建設された5基の原子炉から始められ、これらの原子炉の寿命の終わりが近いことである。

99Moの世界の供給の約3分の2が、現在、(i)カナダ、オンタリオ州のチョークリバー研究所の国立研究ユニバーサル原子炉、及び(ii)オランダのペッテン原子炉の、2つの原子炉からなされている。過去数年間で、これら主要生産炉の両方で計画的または計画外の運転停止の結果として、99Moの深刻な不足が生じた。 その結果、深刻な不足が、原子炉の運転停止から数週間以内に医療施設で生じ、医療診断検査の提供に著しい減少を引き起こし、さらに、残りの原子炉に多大な製造需要が生じた。現在、双方の施設は再稼働されているが、99Moの信頼性のある長期供給に関して、世界的な不確実性が大いにある。

本開示の例示的な実施形態は、線形加速器の高エネルギ電子線照射によって、モリブデン-100(100Mo)からモリブデン-99(99Mo)を製造するための装置、システム、及び製造過程に関する。本開示のいくつかの例示的な実施形態は、本開示の製造過程を行うためのシステムに関する。本開示のいくつかの例示的な実施形態は、本開示のシステムを備えた装置に関する。

本開示は、以下の参照図面と関連して説明される。

本開示の例示的なシステムの斜視図であり、所定の位置に保護シールドが示されている。

図1の例示的なシステムの斜視図であり、保護シールドが取り除かれた状態で示されている。

図2の例示的なシステムの側面図であり、保護シールドがシステムの線形加速器部から取り除かれた状態で示されている。

図3に示した例示的なシステムの上面図である。

線形加速器部の一端部が示された、図3の端面図である。

図6(A)は、保護シールド部が部分的に取り外された、図2の例示的なシステムのターゲットアセンブリ部を示す斜視図である。その一方で、図6(B)は、保護シールドが取り外されたターゲットアセンブリ部を示す斜視図である。

(線形加速器により生成される電子ビームに垂直な)ターゲット駆動アセンブリの側面図である。

線形加速器の電子ビームから生成される制動放射光子ビーム用の入口を示した、ターゲット駆動アセンブリの正面図である。

図8に示されたターゲット駆動アセンブリ

の断面側面図である。

冷却塔部とビームライン用のハウジングの接合部における、図8に示されたターゲット駆動アセンブリの上面図である。

ビームライン上に取り付けられ

たエネルギ変換器とターゲットホルダを示した、図8に示されたターゲット駆動アセンブリの上面断面図である。

高出力電子ビームを、多量の

100Moターゲット照射用の制動放射光子シャワーに変換する概略図である。

図9の拡

大断面側面図であり

、ビームライン上に取り付けられたエネ

ルギ変換器とターゲットホルダを示している。

図11の拡大上面断面図であり

、ビームライン上に取り付けられたエ

ネルギ変換器とターゲットホルダを示している。

図15(A)は、例示的なターゲットホルダの斜視図であり、また、図15(B)は、そのターゲットホルダの断面側面図である。

図16(A)は、例示的な冷媒管部の上面の斜視図であり、図16(B)は、冷媒管部の底面の斜視図であり、また、図16(C)は、冷媒管部の断面側面図である。

図17(A)及び図17(B)は、図9のターゲットアセンブリ部の中に配置される冷媒管部の別の実施形態を示している。

図18(A)及び図18(B)は、ターゲットアセンブリ部内の所定の位置に固定された図17の冷媒管部を示している。

図1に示した例示的なシステムのターゲットアセンブリステーション部の保護シールド外装材上に取り付けられた、例示的な遠隔制御モリブデン処理装置の斜視図である。

図19に示された例示的な遠隔制御モリブデン処理装置のための例示的なフレーム支持台の斜視図である。

図20に示された例示的なフレーム支持台と協働する、例示的なシャトルトレイの斜視図である。

図21に示された例示的なシャトルトレイ上に取付け可能な例示的なシールドキャスクの斜視図である。

図19に示された例示的な遠隔制御モリブデン処理装置の別の斜視図である。

図24(A)は、クレーンフックと係合して示された、図19及び23に示された例示的な遠隔制御モリブデン処理装置の例示的なグラップル部の斜視図であり、また、図24(B)は、例示的なモリブデンターゲットホルダと係合して示された例示的なグラップル部の断

面側面図である。

図19及び図23に示された例示的な遠隔制御モリブデン処理装置と取り外し可能に係合する、例示的な傾斜塔の斜視図であり、この例示的な傾斜塔は、冷媒管アセンブリを受け入れて保持するように構成されている。

図25に示された例示的な傾斜塔の平断面図である。

本開示の例示的な実施形態は、線形粒子加速器によって生成される電子ビームの高エネルギ放射線を用いて、100Moターゲットから99Moを製造するためのシステム、装置、及び製造過程に関する。

線形粒子加速器(「ライナック」とも称される)は、線形ビームラインに沿って一連の振動電位を荷電粒子にかけることによって、荷電素粒子の速度を大幅に上昇させる粒子加速器である。ライナックの電子ビームの生成は、一般に以下の構成要素を必要する。 電子を発生させるための発生源(典型的にはカソード装置)(i)、全長が電子ビームにとっての所望のエネルギに依存する中空管真空チャンバ(iii)内へ、電子を初期注入するための高電圧源(ii)、中空管の全長に沿って配置される電気的に絶縁された円筒状の複数の電極(iv)、円筒状電極の其々に電圧を加えるための高周波エネルギ源(すなわち1つの電極につき1つのエネルギ源)(v)、電子ビームを集束するための、中空管真空チャンバを包囲する四重極電磁石(vi)、適切なターゲット(vii)、及び、電子ビーム照射中にターゲットを冷却するための冷却システム(viii)。 ライナックは、様々な用途(例えばX線生成)のために、また、高エネルギの電子ビームを生成して癌患者に放射線療法を提供するために日常的に使用されている。

さらに、ライナックは、一般に、シンクロトロンのような高エネルギ加速器用インジェクタとして使用され、また、制動放射により素粒子物理学で使用する光の粒子にすることが可能な、最も高い運動エネルギを実現するために直接使用されることができる。 制動放射は、通常、原子核の周囲にある電子が別の荷電粒子によって偏向されたとき、荷電粒子の減速によって生成される電磁放射である。電子の移動は、エネルギが保存されるため、運動エネルギを失うが、その運動エネルギは光子に変換される。 制動放射は、加速された電子のエネルギが増大した変化として、より強烈になり、また、そのピーク強度がより高い周波数に向かってシフトする、連続スペクトルを有する。

しかしながら、当該技術分野における当業者には、電子線形加速器を用いて、制動放射を介して高エネルギの光子を生成し、光核反応を介して放射性同位体を次に生成することは、放射性同位体を製造するうえで非効率的な製造過程であると思われているであろう。なぜなら、原子核と電子の電磁相互作用は、通常、入射粒子のようなプロトンとの強い相互作用よりも大幅に小さいからである。 しかしながら、我々は、100Moが、100Moと99Moとの間の反応断面の大幅な増大をもたらす15 MeVの光子エネルギの辺りに、光の中性子反応による広範な「巨大双極子共鳴」(GDR)を有することを究明した。また、100Moの10〜30 MeVの範囲内の高エネルギ光子の放射長は、同じ範囲の高エネルギのプロトンよりもかなり長い約10mmである。従って、有効ターゲット厚は、陽子反応と比較して、光中性子反応のほうが非常に大きい。

ライナックで生成される電子ビームに関連した反応チャンネル数の減少は、望ましくない同位体の製造を制限する。比較すると、陽子ビームを用いて100Moから99Tcを直接生成することは、多くの場合、濃縮100Moターゲット中に存在する他の安定したMoの同位体から他のTcの同位体の発生をもたらしてしまう。 医療用途では、99Tcが存在し得る他の放射性同位体の量に厳しい制約が課せられており、また、ライナックで生成される電子と100Moから99Tcを製造することは、他のTcの同位体を製造する危険性が非常に低いため、好ましい。 さらに、100Moターゲット内に存在する他のMoの同位体との光中性子反応が、通常、安定Moをもたらす。

従って、本開示の一実施形態は、100Moターゲットの光核反応によって複数の100Moターゲットから99Moを製造するための、例示的な高出力ライナックの電子ビーム装置に関する。 この装置は、一般に、5kWの電力、約10kWの電力、約15kWの電力、約20kWの電力、約25kWの電力、約30kWの電力、約35kWの電力、約45kWの電力、約60kWの電力、約75kWの電力、約100kWの電力の、電子ビームを生成することが可能な電子線形加速器(i)と、線形加速器によって生成される電子ビームからの、少なくとも20MeVの高流束の高エネルギ制動放射光子、約25MeVの流束の制動放射光子、約30MeVの流束の制動放射光子、約35MeVの流束の制動放射光子、約40MeVの流束の制動放射光子、約45MeVの流束の制動放射光子、を生成するための水冷式変換器(ii)と、複数の100Moターゲットディスクを収容したターゲットホルダを内部に取り付けて、ターゲットホルダを正確に配置しかつ位置合わせして、水冷式変換器によって生成される高エネルギの制動放射光子放射のビームを遮断するための、水冷式変換器の水冷式ターゲットアセンブリ部(iii)と、ガンマ線及び/または中性子線をターゲットアセンブリ部内に封じ込めて、装置から外部への放射能漏れを防止するために、水冷式ターゲットアセンブリ部を覆うための複数のシールド部(iv)と、を少なくとも備える。

シールド部によって保護される構成要素と取り付け場所によって、シールド部は、鉛、スチール、銅、及びポリエチレンのうちの1つ以上を含むことができる。 この装置は、さらに、複数のターゲットホルダを遠隔制御して積み込んで搬送するための構成要素を備えた一体化されたターゲット搬送アセンブリ(v)を備える。このターゲット搬送アセンブリによって、各々のターゲットホルダは、複数の100Moターゲットディスクと共に、ターゲット駆動部に積み込まれる。 個々の積み込まれたターゲットホルダは、遠隔制御によって、積み込み/搬送部から、水冷式ターゲットアセンブリ部内に備えられたターゲット駆動部へ搬送可能である。 ターゲットホルダは、制動放射光子放射を遮断する位置へ、ターゲット駆動部によって搬送される。

ターゲット駆動部のベースは、制動放射光子放射を最大限遮断するように、積み込まれたターゲットホルダを正確に配置して位置合わせする、ターゲット位置合わせ心出し部と係合する。 また、一体化されたターゲット搬送アセンブリが、照射されたターゲットホルダを、ターゲット駆動部から遠隔制御して取り外して、鉛で保護されたホットセルへ搬送し、照射された100Moターゲットディスクと関連した99Moから崩壊する99mTcを分離して回収するように構成される。 あるいは、照射された100Moターゲットディスクは、現場から離れたホットセルへ搬送するための、鉛で保護された搬送容器内へ搬送されてもよい。

実現可能な最大の99Mo収率が、100Moターゲットディスク内に安全に堆積することができるエネルギの量、及び、ターゲットの原子核と相互作用する巨大な双極子共鳴光子の確率によって決まることは明らかである。 この、100Moターゲットディスク内に安全に堆積することができるエネルギの量は、ターゲットアセンブリの熱容量によって決まる。 100Moターゲットディスクからの大量の熱を迅速に伝達することが可能である場合、100Moターゲットディスクが溶融する前に、100Moターゲットディスクにより多くのエネルギを堆積させることが可能であろう。 大きな熱放散を容易にし、また経済的であるため、水は、望ましい冷媒である。

残念ながら、電子ビームが、制動放射変換器部内の冷却水を通過するため、電子ビームに関連するエネルギは、水に放射線分解を生じさせてしまう。 水の放射線分解は、他のものに混じって、爆発の危険性を生む水素ガス、さらには、モリブデンに対して腐食性のある過酸化水素を生成し、これにより、100Moターゲットディスクからの潜在的に実現可能な99Mo収率を大きく減少させる。 また、100Moターゲットディスクを収容する水冷式ターゲットアセンブリ部内の冷却水を通過する制動放射光子に関連したエネルギは、水から過酸化水素の発生を引き起こすが、これに伴う水素ガス量は、非常に少ない。

従って、本開示の別の実施形態においては、100Moターゲットディスクからの99Moの製造を最大化するために、水冷式エネルギ変換器及び水冷式ターゲットアセンブリ部からの熱負荷を個別に消散させることを可能にするために、これら2つの構成要素に、別個の冷却水システムが必要とされる。

制動放射変換部用の第1冷却水システムに、水素ガスと酸素を化合させて循環水中に水を形成するための、機器、設備、または装置を組み込むことは、本開示の範囲内である。 制動放射変換部を冷却するためにガス状冷媒を用いること、あるいは、制動放射変換部への冷却水を補充することは、任意である。

水冷式ターゲットアセンブリ部用の第2冷却水システムに、モリブデンに対する過酸化水素、犠牲金属、及び、補充用のガス状冷媒の循環における腐食作用を改善するための、1種以上の緩衝液を組み込むことは、本開示の範囲内である。 適切な緩衝剤として、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム等が例示される。適切な犠牲金属として、銅、チタン、ステンレス鋼等が例示される。

複数の100Moターゲットから99Moを製造するための、例示的な高出力ライナック電子ビーム装置10が、図1〜5に示されている。 この装置10は、Mevex社(カナダ、オンタリオ州、オタワ)製の35MeV、40kWの電子ライナック20と、ライナック20によって生成される電子ビームを絞るコリメータステーション25と、ターゲット照射チャンバ42(図6〜11参照)、冷却塔アセンブリ32、冷却液供給源34、及び真空管37によってターゲット照射チャンバ42に連結される真空装置36を含んだターゲットアセンブリステーション30と、を備える。 ライナック電子ビーム装置10の構成要素20、25、30は、ガンマ線及び/または中性子線を包含し閉じ込めるための保護シールド外装材15でシールドされている。

35 MeV、40kWの電子ライナック20は、3セル型1.2m S帯の軸上結合型(on-axis coupled)の定在波セクション、3つの変調装置とピークが5MWの高デューティファクタのクライストロン、及び、60-kVの熱電子銃を備えている。 ライナック20は、複数のローラ23が備えられた支持枠22に取り付けられ、コリメータステーション25の部品にアクセスしてメンテナンスするために、コリメータステーション25からライナック20を分離することができる。 コリメータステーション25は、第1冷却水システムと連通する水冷式テーパ状銅管を備えている。このテーパ状銅管は、約0.075cm〜0.40cm、約0.10cmから約0.35cm、約0.15cmから約0.30cm、約0.20cmから約0.25cmの直径に、ライナック20によって生成される電子ビームを絞るための、ベリリウム窓を備えている。

ターゲットアセンブリステーション30は、支持部材38の支持板39を備えており、この支持部材38上に、電子ビーム送出管28を密閉するように係合するための入口管40が備えられたターゲット照射チャンバ42が、取り付けられている(図6(A)及び図6(B)参照)。 冷却塔部32は、ターゲット照射チャンバ42の上側に直接的に、ターゲット照射チャンバ42と密閉するように係合しており、ターゲットホルダ80は、放射工程において取り付けられる。 真空管37及び変換器ステーション冷却アセンブリ34は、ターゲット照射チャンバ42の側面に密閉するように取り付けられている(図6(A)及び図6(B)参照)。

冷却塔部32は、冷媒管ハウジング44を備えており、この冷媒管ハウジング44は、遠位端部において、複数のナット45aによって冷媒管キャップアセンブリ45と密閉するように係合されている。 この冷媒管キャップアセンブリ45は、この実施例において、ターゲット照射チャンバ42から冷却塔部32を持ち上げて分離するために、クレーン(図示せず)によって遠隔制御係合させるための、複数のロッド48を備えている(図7〜9参照)。 冷媒水供給管100(図16(A)〜図16(C)参照)は、冷媒管ハウジング44内に収容され、また、冷媒管キャップアセンブリ45とシールするように係合している水入口管46を介して、第2冷却水システムと連通している。

冷却水供給管100(図16(A)〜図16(C)参照)は、近位端部において上部ハブアセンブリ101、冷媒供給管103、他の近位端部において複数のガイドフィン104、及び、ターゲットホルダ80を分離可能に係合するための冷却管体ホルダ105、を備えている。 上部ハブアセンブリ101には、冷却水供給管100を、冷媒管ハウジング44に取り付け、また、冷媒管ハウジング44から取り外すために、天井クレーン(図示せず)による遠隔制御導入用フック102が備えられている。 アウタシールド106は、冷媒管ハウジング44内で冷媒供給管103を位置決めするために、かつ、冷媒管ハウジング44内に進入する制動放射光子シャワーの遮蔽を提供するために、冷媒供給管103の周りに備えられている。

アウタシールド106の外表面は、冷却水が流れることを可能にするように複数のチャネルが備えられている。冷媒供給管103は、冷媒供給管103内に進入する制動放射光子シャワーの遮蔽を提供するために、内側上部シールド107及び内側下部シールド108が備えられている。 冷却水は、水入口管46を経由して第2冷却水供給システムから、上部ハブアセンブリ101の入口ポート(図示せず)を介して冷媒供給管103の近位端部に供給される。そして、冷却水が、冷媒供給管103の先端部から供給され、冷却管体ホルダ105を通過する。 その後、冷却水は、冷媒供給管103の外側と冷媒管ハウジング44の内部との間の空間に、上部ハブアセンブリ101に戻るように循環し、その後、上部ハブアセンブリ101に備えられたポート109、110を介して冷却水供給管100から放出される。

冷却剤供給管103には、外径が概ね冷却管体ホルダ105であるフィン104が複数備えられており、これらのフィン104は、天井クレーン(図示せず)によって冷媒管ハウジング44に取り付け、また、冷媒管ハウジング44から取り外す、冷却水供給管100の遠隔制御導入用のガイドとして機能する。 冷媒管ハウジング44は、冷媒管ハウジング44内の冷却水供給管100の正確な位置合わせを可能にするために、冷媒管位置合わせアセンブリ47を備えている。 冷却塔部32によってターゲット照射チャンバ42に供給され、循環する冷媒水は、その後、第2冷却水システムに戻される。

ターゲット照射チャンバ42は、インナチャンバ55を有し、このインナチャンバ55内に、電子ビーム入口管40に隣接した制動放射変換器ステーション70が組み込まれている(図11、13、14参照)。 制動放射変換器ステーション70は、ターゲット照射チャンバ42の側面に密閉するように係合されている変換器ステーション冷却アセンブリ34を介してアクセス可能である。 変換器ステーション冷却アセンブリ34は、第1冷却水システムからの冷却水の流れを受け取り、制動放射変換器ステーション70に冷却水を循環させる、冷却水管50を備える。 冷却水管50は、ハウジング35内に収容されている。

また、一体的にターゲット照射チャンバ42の側面と係合して、インナチャンバ55と連通しているのは、真空装置36と相互接続された真空管37である。 高出力ライナック電子ビーム装置10がアセンブリされた後、ベリリウム窓及びコリメータステーション25におけるベリリウム窓のシールの完全性、並びに、入口管40と制動放射変換器ステーション70との間に介在するシリコン窓(あるいは、ダイヤモンド窓)の完全性は、真空管37を介して真空装置36によってチャンバ55に真空を適用することによって評価される。

制動放射変換器ステーション70は、ライナック20によって生成される電子ビーム21(図12参照)に対して90°の度で配置された一連の4枚の薄いタンタルプレート26(図12参照)を含む。 しかしながら、タンタルプレート26の枚数及び/または厚みは、電子ビームによって生成される光子生成を最適化し、最大化するために変更することができることに留意されたい。 銅または銀を含むタングステン及びタングステン合金によって例示される代替高密度金属を含むプレートを使用することは任意である。 タンタルプレート26は、高エネルギ電子ビームによって照射されたとき、入射電子を制動放射光子シャワー27に変換する(図12参照)。制動放射光子シャワー27は、複数の100Moターゲットディスク85を収容するターゲットホルダ80に直接供給される(図13、14参照)。

変換器が、4枚以上のタンタルプレート、あるいは4枚未満のタンタルプレートを備えてもよいことに留意されたい(例えば、1枚のタンタルプレート、2枚のタンタルプレート、3枚のタンタルプレート、5枚のタンタルプレート、またはそれ以上のタンタルプレート)。 あるいは、プレート26は、タングステン、銅、コバルト、鉄、ニッケル、パラジウム、ロジウム、銀、亜鉛、及び/またはそれらの合金を含むことができる。 変換器ステーション70の構造及び構成は、高エネルギ電子ビームによってかかる大きな熱負荷を放散して、光子シャワーへの伝達を最小限にし、照射中に100Moターゲットに伝達される熱負荷を低減するように、設計されている。 また、タンタルプレート26と、複数の100Moターゲットディスク85を収容するターゲットホルダ80は、第1冷却水システムによりタンタルプレート26を通過する冷却水(i)と、第2冷却水システムにより100Moターゲットディスク85を通過する冷却水(ii)の、一定の循環によって、照射工程の間に冷却される。

本開示の別の実施形態は、複数の100Moターゲットディスク85を受け入れて収容するためのターゲットホルダに関する。 18枚の100Moターゲットディスク85を収容する例示的なターゲットホルダ80が、図15(A)及び図15(B)に示されている。 このターゲットホルダ80の両端部に、冷却水供給管103の遠位端部における冷却管体ホルダ105と係合するための複数の溝82が備えられている。 本開示における例示的な高出力ライナック電子ビーム装置10の、100Moターゲットを照射するのに適したターゲットホルダは、約4枚から30枚、約8枚から25枚、約12枚から20枚、約16枚から18枚の範囲から、一連の任意の枚数の100Moターゲットディスクを収容することができることに留意すべきである。

適切な100Moターゲットディスクは、ディスクに業務用100Mo粉末またはペレットをプレスした後に、形成されたディスクを焼結することによって製造されることができる。 あるいは、予め照射された100Moターゲットから回収された、沈殿した100Mo粉末、及び/または、粒状体は、ディスクにプレスした後、焼結することができる。 100Mo粉末またはペレットがディスクに形成された後に、アーク溶解、電子ビーム溶解等の工程によって100Mo材料を固化することは、任意である。 焼結は、不活性ガス(例えばアルゴン)によって提供される無酸素雰囲気下で、約1200℃から約2000℃、約1500℃から約2000℃、約1300℃から約1900℃、約1400℃から約1800℃、約1400℃から約1700℃の範囲の温度で、2〜7時間、2〜6時間、4〜5時間、2〜10時間の範囲の期間の、不活性雰囲気下で行われるべきである。

あるいは、焼結工程は、真空下で行われてもよい。100Moターゲットディスクの適切な寸法は、約8mmから約20mm、約10mmから約18mm、約12mmから約15mmであり、100Moターゲットディスクの適切な密度は、約4.0 g/cm3から約12.5 g/cm3、約6.0 g/cm3から約10.0 g/cm3、約8.2 g/cm3の範囲内である。 ターゲットホルダ80の端部81に、冷却水供給管103の冷却管体ホルダ105、あるいは、冷却水供給管154(図18(A)、図18(B)参照)と係合するための、2つ以上の溝82が備えられている。

図9は、例示的なターゲットホルダ80の垂直断面図を示している。ここで、ターゲットホルダ80は、制動放射変換器ステーション70によって生成される制動放射光子の流束が照射されるように、ターゲット放射チャンバ42内で確実に係合された18枚の100Moターゲットディスクを収容している。 図13及び14は、冷却水供給管100の冷却管体ホルダ部105(図16(A)から図16(C)参照)によって所定の位置に固定されるターゲットホルダ80の、側面からと上部からの其々の拡大図である。ここで、ターゲットホルダ80は、制動放射光子の流束が照射されるように配置されている。

図17及び図18は、冷媒管ハウジング144内に配置された、別の例示的な実施形態の冷却水供給管アセンブリ153を示している。 この冷却水供給管アセンブリ153は、一般に、冷却水管154を備える。この冷却水管154は、遠位端部の周囲に複数の冷却管ガイドフィン155と、遠位端部に冷却管体ホルダ156(図17(A)参照)と、概ね近接端部に保持リング162(図17(B)参照)と、が備えられている。 冷却水供給管154は、アウタシールド157、内側上部シールド158(図17(B)参照)、及び内側下部シールド(図示せず)を有する。 冷媒管ハウジング144の上端部に、冷媒管ハウジング144の上端部と一体的に係合した、冷媒管キャップ体142を含む冷媒管キャップアセンブリ141を備えている(図17及び18参照)。 この冷媒管キャップ体142は、冷媒管保持リング162を着座させるための、一体的な肩部143を有する(図18(A)及び図18(B)参照)。

また、冷媒管キャップアセンブリ141は、フランジ147を含み、このフランジ147は、冷媒管キャップ体142と、冷媒管キャップ体142の上部と一体的に係合したカラー145との間に介在している。 冷媒管キャップカラー145は、内径の周囲に複数の垂直チャネル146を有し、各々の垂直チャネル146は、連続的な水平方向チャネル146aを有する(図17(A)参照)。 また、冷却水供給管アセンブリ153が、冷媒管ハウジング144内に取り付けられた後、冷媒管キャップカラー145と密閉するように係合する冷媒管キャップ151が提供される(図18(A)、図18(B)参照)。

冷媒管キャップ151は、複数の外向き突出部151aを有する。これら複数の外向き突出部151aは、冷媒管キャップカラー145の複数の垂直チャネル146及び水平方向チャネル146aと摺動自在に係合するように、冷媒管キャップ151の側壁の周囲に間隔をあけて配置されている。 冷媒管キャップ吊り上げ用ループ152が、冷媒管キャップ151の上部に取り付けられている。これにより、冷媒管キャップ151は、モリブデン処理装置の遠隔制御操作によって操作されるクレーンフック266によって、冷媒管キャップカラー145と分離可能に係合される(図18(A)、19、23参照)。

本開示の別の例示的な実施形態は、遠隔制御モリブデン処理装置に関する。 遠隔制御モリブデン処理装置は、複数の100Moターゲットディスクと共にターゲットホルダを、高流束の高エネルギ制動放射光子を照射するためのターゲットアセンブリステーションに搬送し、ターゲットアセンブリステーションから照射されたターゲットホルダを回収し、照射されたターゲットホルダを、鉛シールドキャスクに移動させてシールし、その後、鉛シールドキャスクを、ライナック照射施設から移転するための搬送装置に移動させる。 また、遠隔制御モリブデン処理装置200は、冷却水供給管アセンブリを、ターゲットアセンブリステーションに挿入し、また、ターゲットアセンブリステーションから回収するために用いられる。

適切な例示的な遠隔制御モリブデン処理装置200が、図19及び23に示されている。また、遠隔制御モリブデン処理装置200は、一般に、水平面内でZ方向キャリッジアセンブリ250を遠隔制御搬送するための、X方向キャリッジアセンブリ240が取り付けられた、フレーム構造230を含む。 Z方向キャリッジアセンブリ250は、鉛直面においてグラップルアセンブリ256(図24(A)、図24(B)参照)を移動させる。 遠隔制御モリブデン処理装置200は、フレーム支持台202(図20参照)上に取り付けられている。このフレーム支持台202は、図1に示されている例示的なシステム10のターゲットアセンブリステーション部30を包囲する、保護シールド外装材15(図19参照)に固定されている。

遠隔制御モリブデン処理装置200のフレーム構造230は、フレーム支持台202(図20参照)に固定され、また、例えば、ステンレス鋼で加工された反転ティーレール203の形状をした、2つの主要な支持部を含む。このティーレール203は、ターゲットチャンバシールドのボルト穴(図示せず)に一致する取付穴のパターンを有する。 ティーレール203は、ライナックと平行に延び、保護シールド外装材15の上部に載置され、また、ターゲットアセンブリステーション部30を包囲する保護シールド外装材15の下に存在する鋼ブロック(図示せず)にねじ締結されている。 数本のクロスバー204が、構造的支持を提供するために、2本の支持ティーレール203に掛かっている。 フレーム支持台202のライナックに最も近い端部は、フレーム構造230の一端部とシャトルトレイ空気圧シリンダ209の固定端部を支持する、組立構造チャネル206を有する。

フレーム構造230の他端用の取付プレート208が、支持ティーレール203に沿って離れて配置されている。 シャトルガイドレール210が、支持ティーレール203を横切ってボルト留めされたバッキングプレート(図示せず)にボルト締めされている。 このシャトルガイドレール210は、主要な支持ティーレール203に垂直なシャトルトレイ212の直線運動を、鉛直方向に支持し、また、水平方向にガイドする。 また、長尺のドリップトレイ220が、数本のクロスバー204上で支持されている。このドリップトレイ220は、冷却管アセンブリから滴下する、あるいは、チャンバ蓋を流れる如何なる汚染された冷却水も、(後述のように)処理されるように、収集し、漏出を阻止するのに役立つ。

ドリップトレイ220は、ターゲットアセンブリ30の冷却塔ステーション32へのアクセス(図4、5参照)を提供するポート222の周囲でアセンブリを可能にするために、2つのピースで組み立てられている。 ポート222の周囲のジョイントや開口部は、漏出を最小限にするためにダム形状であり、かつ、シールされる。ドリップトレイ220の各端部には、キャップされたエルボ(図示せず)に接続された底部ドレーンポイントが備えられている。 ドレーンホースが、一時的に、除染液からの流出物を収集するために、これらのエルボに取り付けられることができる。 ドリップトレイ220は、傾斜塔アセンブリ(図25の符号270)のための取り外し可能な取り付けポイント219として機能する4本のピンと、傾斜塔レスト221と、を備えている。本明細書で用いられる「取り外し可能な」という用語は、構成要素(例えば傾斜塔アセンブリ)が、取り付けポイントに一時的に固定され、その後、取り外され移転することができることを意味する。

シャトルトレイ212は、例えば、長さ約700mm、幅約250mm、深さ約30mmのステンレス鋼パン形状に溶接されて成形される(図21参照)。 シャトルトレイ212には、作動中に鉛直方向に支持するための4つのスタッドに取り付けられた複数のトラックローラ(図示せず)(a)と、作動中に水平方向の配置を保持するための2つのトラックローラ(図示せず)(b)と、が備えられている。 シャトルトレイ212は、複数の鉛直方向合わせピン214にシールドキャスクベース292を、レセプタクル216内にシールドキャスク蓋295(図21参照)を、及び、レセプタクル218内に冷媒管キャップ151(図18(A)、18(B)参照)を、確実に位置決めし、さらに遠隔操作するために遠隔制御モリブデン処理装置200の真下の位置に配置されるように、これらを横方向に搬送する。

遠隔処理操作の開始に先立って、及び、遠隔処理操作終了後に、シールドキャスク290が、シャトルトレイ212に手動で取り付けられる(また、取り外される)。 2本の鉛直方向合わせピン214は、シャトルトレイ212上にシールドキャスクベース292を位置合わせし、かつ、安定させるために用いられる。 遠隔制御モリブデン処理装置200によって、グラップルアセンブリ256(図23、24参照)によって係合されるクレーンフック266を用いて、シールドキャスク蓋295及び冷媒管キャップ151は、両方が遠隔操作で取り外され、そして、其々がシールドキャスクベース292または冷媒管ハウジング144上に取り付けられる。 テーゲットディスク85を詰め込んだターゲットホルダ80を照射した後に、冷却管アセンブリ153の回収や取り付けの際に起こり得る、汚染水の起こり得る滴り用の連通した回収経路を確保するために、シャトルトレイ212は、ドリップパン208の一端部をわずかに覆う。

また、シャトルトレイ212には、除染液の将来的な排出を行うための、底部ドレーンポート213、及び、キャップされたエルボが備えられている。 シャトルトレイ212は、背中合わせの配置で共にボルト留めされた、2つの10.0:1.5の高いストローク/ボアデューティ比の空気圧シリンダ209によって、移動される。 3つの位置を移動可能に実現するために、これら2つのシリンダを背中合わせにボルト留めすることは、2つの特有のシリンダ構成が中心位置を得ることを可能にする。 冷媒管用レセプタクル218位置への移動は、両方のシリンダが延びることによって実現される。シールドキャスク蓋用レセプタクル216位置への移動は、どちらかのシリンダが延びることによって実現される。そして、シールドキャスクベース292位置への移動は、両方のシリンダが引っ込むことによって実現される。

遠隔制御モリブデン処理装置200は、ターゲットホルダ80を搬送するための主要な遠隔処理機構である。ここで、ターゲットホルダ80は、複数の100Moターゲットディスクを備えて、ターゲットアセンブリ30の冷却塔32に、投入され、その後、遠隔処理されるホルダ80に対して水平方向(X)と鉛直方向(Z)に作動するすべてのビーム経路を供給した後に、取り外される。 遠隔制御モリブデン処理装置200は、グラップルアセンブリ256を備えており、グラップルアセンブリ256は、空気圧クランプチップ264、下方向探しカメラ225、及び、遠隔制御モリブデン処理装置200の頭上、内部や周囲の作業領域の照明用の、一対の発光ダイオード(LED)スポットライト(図示せず)を備えている。

本発明の例示的なフレーム構造230は、フレーム支持台202にボルト留めされる4脚構造である。このフレーム構造230は、複数の押し出しアルミ構造の骨組部品から作られることができる。 フレーム構造230は、ライナックと平行に延びる2つの主要な桁232を有する。これらの桁232は、正確な間隔を保持し、かつ、構造的剛性を提供するように、フレーム構造230の各端部で共にブレースされている。 これらの桁及びブレースは、X方向の駆動モータ及びギアボックス、ケーブルキャリア、電気導管、並びに接続箱を支持することを提供する。 図19及び23に示されている例示的な実施形態において、2つのX方向リニアアクチュエータを直接支持する2つの主要な桁232は、約440mmの間隔で配置されている。

X方向キャリッジ240は、2つのX方向リニアアクチュエータ242の間に取り付けられている。X方向キャリッジ240は、Z方向キャリッジ250のモータ、ギアボックス、及び、リニアアクチュエータ、並びに、LEDスポットライト及び下方向カメラ225を支持している。 2つの鉛直Z方向駆動アクチュエータ252は、2つのX方向駆動アクチュエータ242の間で取り付けられるように、また、傾斜塔アセンブリ270(図25参照)上で遠隔処理操作を行うための、2つのZ方向駆動アクチュエータ252間の適切な距離を提供するように、約270mmの間隔で配置されている。Z方向キャリッジ250は、グラップルアセンブリ256を支持している

X方向駆動とZ方向駆動の両方におけるリニアアクチュエータは、ボールスクリュー駆動の内側側面(プロファイル)のレールガイド型が好ましい。 各ユニットは、四角い押し出しアルミ体から構成されている。この押し出しアルミ体は、5mmピッチの回転ボールねじによって駆動される内側レールに乗った一体型ボールナットを備えた、内部循環ボールキャリッジを備えている。 水はねやほこりから内部の駆動部品を保護するために、外部ロードキャリッジが、ステンレス製のカバーバンドを介して内部ガイドキャリッジに取り付けられている。 アクチュエータやギアボックスは、独自の耐放射線ポリフェノールのポリエーテル系グリースによって、潤滑した状態で製造されている。 X及びZ方向の両方の作動は、それらの両方のリニアアクチュエータによって行われ(動力供給され)、X及びZ方向キャリッジは、この作動を妨害しないように組み立てられている。

X及びZ方向駆動モータは、各々、フェイルセーフ(スプリングを適用して動力から分離する)ブレーキと、ブラシレスレゾルバを備えた耐放射線型ステッピングモータである。 光学式エンコーダが、高い放射場において褐色化や早期故障を起こしやすいため、レゾルバがこの環境において提供される。 各モータの出力駆動軸は、駆動部の機械的な過負荷を防止するために、不正開封防止トルク制限安全カップリングに連結されている。 X方向駆動のトルクリミッタは、1.13N-m(10in-lbs)のトルクでトリップされ、また、Z方向駆動のトルクリミッタは、2.26N-m(20in-lbs)のトルクでトリップされる。 トリップ(解放)した場合、これらのトルクリミッタは、すべてのモータの軸回転に対して自動的に再係合させようとする。一旦、過負荷が取り除かれ、速度が下がると、トルクリミッタが再係合する。 これらのトルクリミッタが双方向性のものであり、また、マニピュレータの最大積載質量を超えて見積もられているので、トルクリミッタは、昇降中に解放されても、昇降される積載要素が、制御されない様式で降下することを許容しない。

これらのトルクリミッタは、摩擦式のリミッタでないため、終始何の調整も必要ない。モータ速度は、ゼロから毎分約300回転(rpm)の最大設定速度まで、ジョイスティックコントロールによって無限に調整可能である。 約5mmのボールねじのピッチと約1:1の全てのギア比により、約25mm/secの最大リニアアクチュエータ速度を提供する。 X方向とZ方向の両方の駆動部において、安全過負荷カップリングは、デュアル出力軸ギアボックスの入力軸に取り付けられている。直角ギアボックスが、デュアル出力ギアボックスの各端部に連結されている。 各直角ギアボックスの出力軸は、カップリングを介して、リニアアクチュエータの入力軸に連結されている。

デュアル出力ギアボックスが中実軸であるため、一出力軸は、取り付け面に対して時計回りに回転し、他出力軸は、反時計回りに回転する。 その結果、リニアアクチュエータのペアは、右ねじのボールねじと左ねじのボールねじで構成される。各組のリニアアクチュエータのボールねじは、ボールねじの移動長さにわたるピッチとして、軸端部ベアリングの遊びよりも小さい約0.04mmに合わせられている。 この合わせは、XまたはZ方向にしっかり組み立てられたキャリッジを通過して接した場合に、2つの駆動ねじが互いに固着することを防止する。

リニアアクチュエータの全体の移動範囲は、X方向に約1850mmであり、また、Z方向に約1250mmである。しかしながら、複数の近接検出器が、移動両端部に内部アクチュエータキャリッジが移動するのを防止するために、移動両端部の近くに配置されている。 そのため、実際の移動範囲は、其々、X方向に約1800mm、Z方向に約1200mmの作動となる。 図19、23から見て、X方向の近接検出器では近い位置、及び、Z方向の近接検出器では高い位置が、レゾルバの読み出しを再びゼロにするための、遠隔制御モリブデン処理装置200のホームポジションとして設定される べての遠隔処理作動は、遠隔制御操作装置の正確な位置決め、配置、及び係合を確実にするために、例えば頭上とそれと直交する、最低限2つのカメラビューによる閉回路のテレビカメラによって、監視される。

影の使用によって奥行きを知覚する、オペレータの技量を高めるために、スポットライト(例えば1対のLEDスポットライト)が提供されてもよい。 これを可能にするために、各ライトが個別に制御される。カメラは、パン、チルト、及びズーム機能を搭載したネットワーク有効のカラーカメラである

グラップルアセンブリ256(図24参照)は、グラップルアセンブリ256の空気圧クランプチップ264を、ターゲットホルダ80かクレーンフック266と積載部品のいずれかと係合させ、持ち上げる、小型のカスタム設計された昇降装置である。 これらの2つの部品のいずれかとの係合は、最初に、グラップルアセンブリの空気圧クランプチップ264が、部品を中心に置くように水平方向に作動し、その後、部品と接触して持ち上げるために鉛直方向に作動することによって、行われる。 水平方向においてセンタリングを可能するために、グラップル骨組258は、半円形の開口リングにつながる2つのテーパ状の突起を備えたフォーク状である。 この2つの突起及びリングは、下縁部にリップを有する。このリップは、持ち上げられる部品の両方に提供される、平坦面の底面と係合する

この例示的な実施形態は、グラップル骨組258のリップ上に、持ち上げられる部品の水平方向の摺動に抵抗する任意の鉛直方向の特性を有さないため、グラップルアセンブリ256に、スプリング後退空気圧クランプシリンダ260が備えられている。このシリンダ260は、持ち上げられる両方の部品の上部の適合凹部に、プランジャの先端を挿入する。 プランジャの先端が、この凹部に入り、また、シリンダ260から約175N(40 lbf)の力を加えて、持ち上げられる部品が操作中にグラップルアセンブリ256から滑り落ちないようにする。 ロックプランジャが係合される場合、持ち上げられる部品は、グラップルアセンブリ256に効果的に固定される。しかしながら、グラップルアセンブリ256に取り付けられる部品を解放するために、スプリング後退プランジャは、シリンダ260への空気供給の停止によって、自動的に後退する。

また、不慮の空気損失もプランジャを後退させることになるが、これは部品が落下したことに相当しない。 衝撃または急減速によって十分な水平方向の力が生じたとしても、持ち上げられる部品は、グラップルアセンブリ256から前方に摺動したことを単に意味する。 また、フックアダプタ266を操作する場合、クランプシリンダ260は、水平方向にある程度の機械的コンプライアンスを提供する。フックアダプタ266上の平坦な係合部を包囲する円錐形状が、フックアダプタ266がグラップルアセンブリ256に対して前後に揺動することを可能にしている。 傾斜塔の作動のために必要とされる円弧軌道をたどる場合、わずかな揺動が必要とされる。このプランジャは、フックアダプタ266の解放なしで、この揺動作動を可能にする。

水平作動をアシストするために、グラップルアセンブリ256は、グラップルアセンブリ本体の底部に3つの小型のボール搬送ユニット257を備えることができる。 これらのボール搬送ユニット257は、水平方向に移動されるときに、グラップルアセンブリ256が一表面に沿って転がって移動することを可能にする。 理想的には、ボール搬送ユニット257が、取得されるべき部品の適切な適合面と、軽く物理的に接触するまで、グラップルアセンブリ256は降下する。 その後、ボール搬送ユニット257は、正方向の下方ストップとして機能する。しかしながら、マニピュレータが任意の力フィードバックを備えておらず、また、すべての操作が遠隔制御下にあるため、ある程度の鉛直方向の機械的コンプライアンスが、グラップルアセンブリ256に組み込まれている。

Z方向キャリッジ250の底部に取り付けられる、グラップルアセンブリ256の上部本体は、バネ付勢摺動スリーブ254(バネ259)を介してグラップル骨組258の下部本体にボルト締めされている。 この摺動スリーブの配置は、Z方向駆動部への過負荷、及び、安全トルクリミッタを誤って解放させることなく、鉛直下方向への約10mmのオーバートラベルを可能にする。 また、これは、ボール搬送ユニット257に加わる力を制限して、滑らかな水平方向の転がり運動を可能にする。摺動スリーブ254のバネ259は、下方向へのオーバートラベルのみを許容するため、持ち上げられる積載部品の経路の一部を形成しない。

本開示の別の例示的な実施形態は、遠隔処理装置の一部であり、遠隔処理される装置の一部でもある、傾斜塔に関する。 適切な例示的な傾斜塔アセンブリ270が、図25、26に示されている。この傾斜塔アセンブリ270は、一般に、タワー溶接、レバーアームアセンブリを備えたピボットガイドベース、及び、タワーレストアセンブリを備えている。

傾斜塔アセンブリ270は、ターゲットホルダ80を運搬する冷却管アセンブリ153を支持するために用いられる。その一方で、冷却管アセンブリ153は、遠隔制御モリブデン処理装置200内のグラップルアセンブリ256と共に回転することによって、必要に応じて、鉛直方向一位置から軸まわりに下ろされて、水平方向一位置へ位置合わせされる。 ターゲットホルダ80を、(i)鉛直方向にシールドキャスク290に挿入し、また、シールドキャスク290から取り除くため、及び、(ii)傾斜塔アセンブリ270が水平方向一位置に軸まわりに下ろされた後、水平方向に、傾斜塔アセンブリ270と係合した冷却管アセンブリ153に挿入し、また、冷却管アセンブリ153から取り外すための、位置合わせを行うために、ターゲットホルダ80が回転することは必要である。

傾斜塔アセンブリ270は、ピボットガイドベースと回動可能に係合した傾斜塔溶接部を備えている。 適切な例示的な傾斜塔溶接部(図25に最もよく見られる)は、上側支持プレート272及び下側支持プレート273によって間隔が空けられた一対の長尺バー274を含む。 支持プレート272、273は、複数の支持ブレース275によって所定の位置で構造的に補強されている。 上側支持プレート272及び下側支持プレート273には、内部に冷却管アセンブリ153を受け入れて配置するための、円弧状端部を有する適合テーパ状溝が備えられている。 冷却管アセンブリ153の冷媒管保持リング162を、上側支持板272上に載置することによって、冷却管アセンブリ153は、上側支持板272上で支持される。

下側支持プレート273は、冷却管アセンブリ153が水平方向配置にあるときに必要な、冷却管アセンブリ153の第2支持ポイントを提供する。 傾斜塔溶接部は、2つの主要な支持角度の間を渡す3本の丸棒を有する。上部丸棒276(上部丸形軸とも呼ばれる)は、傾斜塔アセンブリ270を昇降させるために、グラップルアセンブリ256と協働するクレーンフック266と係合可能である。 上側丸棒276は、所定の位置にクレーンフック266を案内するための、バー276の概ね中心に配置された2枚のテーパ状ディスクを備えている。 底部丸棒284(底部丸形軸とも呼ばれる)が、水平一位置に傾斜塔アセンブリ270を下ろすたるためのピボットポイントを提供する。

中間丸棒279(中間軸とも呼ばれる)は、傾斜塔アセンブリ270が所定の鉛直位置に上げられたときに、ストップとして機能し、また、傾斜塔アセンブリ270が水平一位置に下ろされるときに、レバーアーム286(図26参照)用の作動機構として機能する。 底部丸棒284と中間丸棒279の両端部は、2本の細長い角棒274の側面を貫通して延びている。

傾斜塔アセンブリ270は、ピボットガイドベースを備えている。このピボットガイドベースは、傾斜塔溶接部と協働して、水平一位置に傾斜塔アセンブリ270を軸まわりに下ろし、また、鉛直一位置に傾斜塔アセンブリ270を軸まわりに上げる。 ピボットガイドベースは、間隔が空けられた一対の適合側板282にしっかり固定された、底板280を有する。

これら一対の側板282は、(i)第1側端部から反対側側端部まで下方に後退した傾斜上縁部と、(ii)側板282の「長いほうの」側端部と平行かつ隣接した適合鉛直方向ガイド溝と、(iii)側板282の「短いほうの」側端部と平行かつ隣接した適合鉛直方向ガイド溝と、(iv)底板280の上方の選択された第1位置において、2枚の側板282の「長いほうの」側端部に隣接した適合鉛直方向ガイド溝を横断して固定される、適合下側クロスバー287と、(v)下側クロスバー287の上方の選択された一位置において、2枚の側板282の「長いほうの」側端部に隣接した適合鉛直方向ガイド溝を横断して固定される、適合上側クロスバー288と、を備えている。

また、2本の細長い角棒274から外側に延びる底部丸棒284の両端部は、2つの下側クロスバー287と2つの上側クロスバー288との間にある、2枚の側板282の「長いほうの」側端部に隣接した適合鉛直方向ガイド溝を貫いて外側に延びている。 また、2本の細長い角棒274の側面を貫いて延びる中間丸棒279の両端部は、2つの上側クロスバー288の上方の、2枚の側板282の「長いほうの」側端部に隣接した適合鉛直方向ガイド溝を貫いて外側に延びている。 レバーアームアセンブリ286は、底板280に回動可能に取り付けられている。

側板282のガイド溝は、2本の細長い角棒274の側面を貫いて外側に延びる底部丸棒284及び中間丸棒279の両端部を捕捉し、案内し、そして、配置する。 鉛直方向において、底部丸棒284の両端部は、2つの下側クロスバー287と2つの上側クロスバー288との間の、「長いほうの」鉛直方向ガイド溝において捕捉される。その一方で、中間丸棒279の両端部は、上側クロスバー288の上方の「長いほうの」鉛直方向ガイド溝内で捕捉され、これにより、傾斜塔アセンブリ270を直立状態に保持する。 冷却管アセンブリ153が傾斜塔アセンブリ270に取り付けられる操作において、ピボットガイドベースの底板280は、傾斜塔270用の取り付けポイント219(図20参照)として機能するドリップトレイ220の4つのピン上にはめ込まれる。

鉛直一位置から水平一位置へ傾斜塔アセンブリ270を移動させること、あるいは同様の逆の場合が望ましいとき、上部丸棒276は、遠隔制御モリブデン処理装置200のグラップルアセンブリ256に取り付けられたクレーンフック266と係合する。そして、傾斜塔アセンブリ270は、底部丸棒284の外側に延びた両端部が、上側クロスバー288と当接するまで、持ち上げられることができる。 この位置において、中間丸棒279の外側に延びた両端部は、側板282の「長いほうの」鉛直方向ガイド溝から抜け出している。

モリブデン処理装置200の遠隔制御の結果として、傾斜塔アセンブリ270は、グラップルアセンブリ256の遠隔制御作動によって、所定の鉛直直立位置から、フレーム支持台202と平行な一水平面内の、水平一位置へ軸まわりに下ろされる。それと同時に、中間丸棒279の外側に延びた両端部が、側板282の第1側端部から反対側側端部まで下方に後退した傾斜上縁部に沿って摺動して、これにより、傾斜塔アセンブリ270の上部を軸まわりに下ろす。 中間丸棒279の外側に延びた両端部が、側板282の傾斜上縁部の端部に到達すると、中間丸棒279の摺動は、側板282の「短いほうの」鉛直方向ガイド溝との係合によって停止される。

完全に下ろされた位置において、傾斜塔アセンブリ270は、上側支持プレート272と、ドリップトレイ220に提供されている傾斜塔レスト221との係合によって、支持される(図20、26参照)。 傾斜塔アセンブリ270の上部が軸まわりに下ろされると、2本の細長い角棒274に介在された中間丸棒279の一部は、レバーアーム286の一端部に押し付けられ、レバーアーム286の他端部を上昇させる。 このレバーアーム286の上昇するほうの端部は、丸形の延長先端部(図示せず)を備えている。この延長先端部は、冷媒管アセンブリ153と係合したターゲットホルダ80と接触し、ターゲットホルダ80を数mm持ち上げて、グラップルアセンブリ256の空気圧クランプチップ264が、ターゲットホルダ80と適切に係合し、冷媒管アセンブリ153から取り外すことを可能にする。

本開示の高出力ライナック電子ビーム装置10の操作は、一般に以下のステップを含む。

第1ステップは、ターゲットホルダ80に積み込むためのモリブデン100ターゲットディスクを用意することである。 このモリブデンディスクは、自然発生したモリブデン粉末(9.6%Mo-100同位体存在度)または、高濃縮されたMo-100粉末から用意されることができる。 この高濃縮されたMo-100粉末は、ディスク成形金型に投与して配置する前に、微細に粉砕、さもなければ、調整される。 この成形金型は、油圧プレス内に配置され、ディスクはプレスされる。プレスされたディスクは、名目上、直径約15mm、厚さ約1mmである。 その後の還元性雰囲気炉または不活性雰囲気炉内での高温焼結は、ディスクを、直径約4%、厚さ約3%縮める。

プレスと焼結の後、個々のターゲットディスクは、ターゲットホルダ80内に手動で積み込まれ、積み込まれたターゲットホルダ80は、鉛ライニングされたシールドキャスク290内に手動で積み込まれる。 準備段階のMo-100を処理し、焼結前にディスクにプレスし、その後、ターゲットホルダ80内に焼結されたディスクを積み込むことは、好ましくは、モリブデン粉末が作業環境から出ないように制限するための、グローブボックス内で行われる。 グローブボックスから取り出した後、ターゲットホルダ80が積み込まれたシールドキャスク290は、シールドキャスク蓋295のハンドル296(図22参照)と係合したクレーンフック266によって持ち上げられる。その後、シールドキャスク290は、天井クレーン(図示せず)により、シールドキャスクベース292を、シャトルトレイ212上に備えられた複数のピン214上に降下させることによって、シャトルトレイ212上に配置される(図19、21参照)。

シールドキャスク蓋295が、複数のハンドル294のロックを解除することにより、シールドキャスクベース292から開封された後、シールドキャスク蓋295は、クレーンによってシャトルトレイ212上に移動し、シャトルトレイ212内に備えられたレセプタクル216上に従って配置される。 その後、冷媒管キャップ151が、遠隔制御モリブデン処理装置200のグラップルアセンブリ156によって、冷媒管キャップアセンブリ141から取り外され(図18(A)、図18(B)参照)、シャトルトレイ212内に備えられたレセプタクル218上に従って配置される。ここで、冷媒管キャップアセンブリ141は、ターゲット照射チャンバ42(図9参照)と連通する冷媒管ハウジング144から上方に延びている。 冷却管アセンブリ153の上部は、グラップルアセンブリ256と係合し、冷媒管ハウジングアセンブリ144から持ち上げられ、冷媒管保持リング162を、傾斜塔アセンブリ270の上側支持プレート272上に配置することによって、傾斜塔アセンブリ270に載置される。

その後、傾斜塔溶接部が、グラップルアセンブリ256の遠隔制御によって、所定の鉛直位置から、前述した水平一位置に移動される。 その後、グラップルアセンブリ256は、ターゲットホルダ80の一端部における複数の溝82を、グラップルアセンブリ256の空気圧クランプチップ264と係合させるように、遠隔操作される。その後、グラップルアセンブリ256の遠隔制御により、ターゲットホルダ80は、シールドキャスクベース292から取り外され、冷却水供給管154の底端部における冷却管体ホルダ156に挿入され固定される。 その後、傾斜塔溶接部は、グラップルアセンブリ256の遠隔制御により、所定の水平位置から鉛直位置へ移動される。

その後、グラップルアセンブリ256は、傾斜塔アセンブリ270から、ターゲットホルダ80が取り付けられた冷却管アセンブリ153を取り外すために用いられ、その後、ターゲットホルダ80がターゲット照射チャンバ42に入るまで、冷却管アセンブリ153を冷却管ハウジング144内に降下させる。 その後、ターゲットホルダ80は、制動放射変換器ステーション70によって生成される光子流束が最大限に照射されるように、冷媒供給管103(または冷媒管アセンブリ153)を遠隔制御操作することによって、正確に配置され、位置合わせされる。 その後、冷却水供給管141の上部ハブアセンブリが、冷媒管キャップ151を取り付けることによって、冷媒管ハウジング144内でシールされる。

その後、第1冷却水加圧供給システムが、制動放射変換器ステーション70を経由して冷却水を単独で循環させるように、冷却水供給管50にシールするように取り付けられる。 その後、第2冷却水加圧供給システムが、ターゲットホルダ80、100Moターゲットディスク85、及び、ターゲット照射チャンバ42の放射チャンバ55を経由して冷却水を循環させるように、水入口管46にシールするように取り付けられる。 その後、ライナック20が起動され、制動放射変換器ステーション70内に収容されたタンタルプレート26を照射するための電子ビームを生成する。ここで、制動放射変換器ステーション70は、複数の100Moターゲットディスク85を積み込んだターゲットホルダ80を照射するための制動放射光子のシャワーを生成する。

本明細書に開示された35MeV、40kWの電子ライナック20を備えた高出力ライナック電子ビーム装置10を用いて、複数の100Moターゲットディスク85を収容したターゲットホルダ80を照射する場合、約24時間から約96時間、約36時間から約72時間、約24時間、約36時間、約48時間、約60時間、約72時間、約80時間、約96時間、の期間、ターゲットホルダ80及びディスク85を照射することが望ましい。 選択された期間において100Moターゲットディスク85への照射を提供した後、ライナック20は電源が切られ、2つの冷却水供給が停止され、そして、ターゲット照射チャンバ42内の冷却水がドレーンされる。 水入口管46からの冷却水供給が停止された後、モリブデン処理装置200のグラップルアセンブリ256の遠隔制御によって、冷媒管キャップ151が、冷媒管キャップアセンブリ141から分離され、シャトルトレイ212に備えられたレセプタクル218上に配置される。

その後、冷却管アセンブリ153が、グラップルアセンブリ256の遠隔制御によって操作され、照射されたターゲットホルダ80としっかり係合する。その後、冷却管アセンブリ153は、冷媒管ハウジング144から取り外され、冷媒管保持リング162を、傾斜塔アセンブリ270の上側支持プレート272上に配置することによって、冷却管アセンブリ153が、傾斜塔アセンブリ270内に配置される。 その後、傾斜塔溶接部が、グラップルアセンブリ256の遠隔制御によって、所定の鉛直位置から、前述した水平一位置に移動される。 その後、グラップルアセンブリ256は、ターゲットホルダ80の一端部における複数の溝82を、グラップルアセンブリ256の空気圧クランプチップ264と係合させるように、遠隔操作される。その後、グラップルアセンブリ256の遠隔制御により、照射されたターゲットホルダ80は、冷却管アセンブリ153から取り外され、シールドキャスクベース292内に挿入される。

その後、シールドキャスク蓋295は、グラップルアセンブリ256により、シールドキャスクベース292上に配置され、複数のシールドキャスクハンドル294をシールドキャスク蓋295に係合させることによって、所定の位置に固定される。 その後、シールドキャスク290は、照射されたターゲットホルダ80を移転するために、天井クレーンによってグローブボックス内へ移動されることができる。

ここで、鉛ライニングされた搬送容器内に収容された、照射された100Moターゲットディスク85を積み込んだターゲットホルダ80を、99mTcの回収施設に搬送することは、任意である。 あるいは、照射された100Moターゲットディスク85を積み込んだターゲットホルダ80は、遠隔制御によってホットセル内に搬送されることができ、99mTcが、当該技術分野における当業者に公知の機器と方法を用いて、照射された100Moターゲットディスク85から分離され、回収される。 99mTcを分離して回収するための適切な機器として、TECHNEGEN(登録商標)同位体分離装置(TECHNEGENは、アメリカ合衆国、ウィスコンシン州、マディソン、ノーススターメディカルラジオアイソトープLLCの登録商標である)が例示される。 99mTcの回収が完了した後、当該技術分野における当業者に公知の方法を用いて、100Moが、回収され、乾燥され、そして、焼結するためのディスクに改質される。

本明細書に開示された例示的な高出力ライナック電子ビーム装置は、40kW、35MeVの電子ビームを生成し、生成された電子ビームは、複数の100Moターゲットディスクに照射するための制動放射光子シャワーに変換される。100Moターゲットの光核反応を介して、99Moが製造される。 この高出力ライナック電子ビーム装置は、全体重量が約12gから約20g、約14gから約18g、約15gから約17gの、複数の照射される100Moターゲットディスクから、約50キュリー(Ci)から約220Ci、約60Ciから約160Ci、約70Ciから約125Ci、約80Ciから約100Ciの99Moを、24時間で日常的に製造する性能を有する。 複数の照射される100Moターゲットディスクからの99Moの崩壊に48時間割り当てると、核薬学への出荷用に、1日で、約35Ciから約65Ci、約40Ciから約60Ci、約45Ciから約55Ciの99Moの製造をもたらすであろう。

本明細書に開示された例示的な高出力ライナック電子ビーム装置は、複数の照射される100Moターゲットディスクから99Moを製造するための、40kW、35MeVの電子ライナックに関するものだが、この装置は、約100kWの電子ビーム電力にスケールアップされるか、あるいは、約5kWの電子ビーム電力にスケールダウンされることができる。

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