荷電粒子収集装置及び荷電粒子収集方法、ターゲット照射装置及びターゲット照射装置の作動方法

申请号 JP2015515393 申请日 2012-06-04 公开(公告)号 JP5968526B2 公开(公告)日 2016-08-10
申请人 シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト; Siemens Aktiengesellschaft; 发明人 オリヴァー ハイト; ティモシー ヒューズ;
摘要
权利要求

荷電粒子収集装置(100)において、 第1シェル(110)及び該第1シェル(110)の周囲に同心状に配置された第2シェル(120)を含み、 前記シェル(110,120)各々は、それぞれ第1ハーフシェル(111,121)と第2ハーフシェル(112,122)とに分割されており、 前記第1シェル(110)の第1ハーフシェル(111)と前記第1シェル(110)の第2ハーフシェル(112)との間に、第1スイッチ(150,151)が配置されており、 前記第1シェル(110)の第2ハーフシェル(112)と前記第2シェル(120)の第1ハーフシェル(121)との間に、第2スイッチ(160,161)が配置されており、 前記第2シェル(120)の第1ハーフシェル(121)は、開口部(123)を有しており、 前記第1シェル(110)の第1ハーフシェル(111)は、開口部を有していないことを特徴とする、 荷電粒子収集装置(100)。少なくとも1つの別のシェル(130,140)が、前記第2シェル(120)の周囲に同心状に配置されており、 前記別のシェル(130,140)各々は、それぞれ第1ハーフシェル(131,141)と第2ハーフシェル(132,142)とに分割されており、 前記別のシェル(130,140)各々の第1ハーフシェル(131,141)は、それぞれ開口部(133,143)を有しており、 最外殻シェル(140)を除く前記シェル(110,120,130)各々において、個々の第1ハーフシェル(111,121,131)と個々の第2ハーフシェル(112,122,132)との間に、それぞれ第1スイッチ(150)が配置されており、個々の第2ハーフシェル(112,122,132)と、次の別の外側のシェル(120,130,140)の第1ハーフシェル(121,131,141)との間に、それぞれ第2スイッチ(160)が配置されている、 請求項1に記載の装置(100)。前記シェル(110,120,130,140)は球面状に形成されている、請求項1又は2に記載の装置(100)。最外殻シェル(140)の第1ハーフシェル(141)と該最外殻シェル(140)の第2ハーフシェル(142)との間に、整流器(170)が配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置(100)。前記装置(100)には交流電圧源(180)が含まれており、該交流電圧源(180)は、最外殻シェル(140)の第1ハーフシェル(141)及び該最外殻シェル(140)の第2ハーフシェル(142)に接続可能である、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置(100)。荷電粒子収集装置(100)の作動方法において、 前記装置(100)は、請求項1から5のいずれか1項に従い構成されており、 すべての第1スイッチ(150)とすべての第2スイッチ(160)とを交互に開閉する ことを特徴とする、荷電粒子収集装置(100)の作動方法。前記装置(100)は請求項5に従い構成されており、 方法開始にあたり、最外殻シェル(140)の第1ハーフシェル(141)及び最外殻シェル(140)の第2ハーフシェル(142)に、交流電圧源(180)を接続し、 すべての第1スイッチ(150)とすべての第2スイッチ(160)とを、該交流電圧源(180)から発せられる交流電圧の周期と同期させて開閉する ことを特徴とする、 請求項6に記載の方法。粒子ビームによるターゲット照射装置(10)において、 荷電粒子ビーム(12)を生成する粒子加速器(11)と、 ターゲット(13)と、 請求項1から5のいずれか1項に記載の荷電粒子収集装置(100)と が設けられていることを特徴とする、 粒子ビームによるターゲット照射装置(10)。前記粒子加速器(11)は線形加速器として構成されている、請求項8に記載のターゲット照射装置(10)。粒子ビームによるターゲット照射装置(10)の作動方法において、 前記ターゲット照射装置(10)は、請求項8又は請求項9に従い構成されており、 少なくとも一部の粒子(14)がターゲット(13)を貫通するように、該ターゲット(13)に向けて荷電粒子ビーム(12)を配向し、 前記ターゲット(13)を貫通した少なくとも一部の粒子(14)が、荷電粒子収集装置(100)内に到達するように、該荷電粒子収集装置(100)を配置し、 前記荷電粒子収集装置(100)を、請求項6又は7に従い作動させる ことを特徴とする、 粒子ビームによるターゲット照射装置(10)の作動方法。

说明书全文

本発明は、請求項1に記載の荷電粒子収集装置、請求項6に記載の荷電粒子収集装置の作動方法、請求項8に記載の粒子ビームによるターゲット照射装置、ならびに請求項10に記載の粒子ビームによるターゲット照射装置の作動方法に関する。

放射性同位元素又は中性子の生成といった用途のために知られているのは、荷電粒子ビームを粒子加速器から比較的厚いターゲットへ向けて発射して、このターゲットにおいて所望の核反応が引き起こされるようにすることである。この場合、粒子加速器を、例えば無線周波数線形加速器とすることができる。また、荷電粒子を例えば陽子とすることができる。

加速された粒子ビームの発生に付随して、著しいエネルギー入量が発生する。粒子加速器により運動エネルギーとして荷電粒子に伝達されるエネルギーは、厚いターゲットが用いられている場合、粒子がターゲットに衝突した後も、大部分がターゲットに残留する。このエネルギーの一部は、妨害を及ぼす制動X線として放射される。ターゲットに残留したエネルギーによってターゲットが加熱し、これによりターゲットの冷却が必要になる。最大可能な冷却能力に応じて、ターゲットに向けて発射される粒子の最大に利用可能なフラックスが制約される。

所望の核反応に関与するエネルギーの割合は、厚いターゲットを利用した場合には小さい。その理由は、所望の核反応は一般に、衝突粒子のエネルギーのうち狭く区切られたエネルギーインターバル内でしか得られないからである。

本発明の課題は、この種の機器においてエネルギー効率を高めることのできる装置を提供することにある。この課題は、請求項1の特徴を備えた装置によって解決される。さらに本発明の課題は、この種の機器を作動する際にエネルギー効率を高めることのできる方法を提供することにある。この課題は、請求項6の特徴を備えた方法によって解決される。さらに本発明の別の課題は、粒子ビームによるターゲット照射装置において、エネルギー効率を高めることにある。この課題は、請求項8の特徴を備えた装置によって解決される。さらに本発明の別の課題は、粒子ビームによるターゲット照射装置の作動方法において、エネルギー効率を改善することにある。この課題は、請求項10の特徴を備えた方法によって解決される。従属請求項には有利な実施形態が記載されている。

本発明による荷電粒子収集装置には、第1シェルと、この第1シェルの周囲に同心状に配置された第2シェルとが含まれている。この場合、シェル各々は、それぞれ第1ハーフシェルと第2ハーフシェルとに分割されている。第1シェルの第1ハーフシェルと第1シェルの第2ハーフシェルとの間に、第1スイッチが配置されている。さらにこの場合、第1シェルの第2ハーフシェルと第2シェルの第1ハーフシェルとの間に、第2スイッチが配置されている。また、第2シェルの第1ハーフシェルは、開口部を有している。本発明による装置において有利であるのは、運動エネルギーを伴う荷電粒子が、第2シェルに設けられた開口部を通り第1シェルの第1ハーフシェルに当射して、このシェルを充電できることである。これによって、粒子の運動エネルギーが電気エネルギーに変換される。

本発明による装置の1つの実施形態によれば、第2シェルの周囲に同心状に少なくとも1つの別のシェルが配置されている。この場合、別のシェル各々は、それぞれ第1ハーフシェルと第2ハーフシェルとに分割されている。別のシェル各々の第1ハーフシェルは、それぞれ開口部を有している。さらにこの場合、各シェルは最も外側に位置する最外殻シェルを除いて、個々の第1ハーフシェルと個々の第2ハーフシェルとの間に、それぞれ第1スイッチが配置されており、個々の第2ハーフシェルと、次の別の外側のシェルの第1ハーフシェルとの間に、それぞれ第2スイッチが配置されている。このようにしたことで有利なことに、本発明による装置はいっそう多くの個数の段階を有することになり、その結果、大きな運動エネルギーを伴う粒子から大きなエネルギー量を取り戻せるようになり、その際、この装置により生成される電気エネルギーを、高い電圧レベルで装置から取り出す必要がない。

本発明による装置の1つの有利な実施形態によれば、シェルは球状に形成されている。このようにすれば有利なことに、均質な電界分布が得られるようになり、その結果、この装置におけるシェルの絶縁が簡単になる。

さらに本発明による装置の1つの実施形態によれば、最外殻シェルの第1ハーフシェルと最外殻シェルの第2ハーフシェルとの間に、整流器が配置されている。このようにすれば有利なことに、この装置により発せられる交流電圧を整流器により整流することができる。

本発明による装置の1つの実施形態によれば、当該装置には交流電圧源が含まれており、この交流電圧源は、最外殻シェルの第1ハーフシェル及び最外殻シェルの第2ハーフシェルに接続可能である。有利にはこの交流電圧源を、装置の作動開始にあたり装置の各シェルを充電するために利用することができ、これによって装置を作動開始したときから既に、装置を効率的に作動させることができる。

本発明による荷電粒子収集装置の作動方法によれば、装置は既述の形態に従い構成されており、すべての第1スイッチとすべての第2スイッチとが交互に開閉される。有利なことにこの方法によれば、装置最内殻の第1ハーフシェルと装置最外殻の第1ハーフシェルとの間に発生する高電圧が、この高電圧よりも低減されたピーク値を有する交流電圧に分圧されて下げられ、この電圧を装置最外殻の各ハーフシェル間で取り出すことができる。

本発明による方法の1つの実施形態によれば、既述のように装置が交流電圧源とともに構成されている。この場合、本発明による方法の開始にあたり交流電圧源が、最外殻シェルの第1ハーフシェル及び最外殻シェルの第2ハーフシェルに接続される。ついですべての第1スイッチとすべての第2スイッチとが、交流電圧源から発せられた交流電圧のクロックないしは周期と同期して、開放及び閉鎖される。有利なことにこの方法によれば、装置の作動開始にあたり装置の各シェルを、内殻に向かって電位レベルが高くなるように充電することができ、これによって装置を作動開始したときから既に、装置を効率的に作動させることができるようになる。

本発明による粒子ビームによるターゲット照射装置には、荷電粒子ビームを生成する粒子加速器と、ターゲットと、既述の形態に従い構成された荷電粒子収集装置とが設けられている。有利なことに、本発明による粒子によるターゲット照射装置によれば、ターゲットを貫通した粒子を収集して、それらのエネルギーを取り戻すことができるようになる。これによって有利なことに、粒子ビームによるターゲット照射装置の効率が高められる。

本発明による装置の1つの有利な実施形態によれば、粒子加速器は線形加速器として構成されている。有利なことに線形加速器は、放射性同位体及び中性子の発生に関連する粒子エネルギーを伴う荷電粒子のビームを生成するのに適している。

本発明による粒子ビームによるターゲット照射装置の作動方法によれば、粒子ビームによるターゲット照射装置は、既述の形態に従って構成されている。さらにこの場合、少なくとも一部の粒子がターゲットを貫通するように、ターゲットに向けて荷電粒子ビームが配向される。さらにこの場合、ターゲットを貫通した少なくとも一部の粒子が荷電粒子収集装置内に到達するように、荷電粒子収集装置が配置される。その際、荷電粒子収集装置は、既述の方法に従って作動される。有利なことにこの方法によれば、ターゲットを完全に貫通した粒子が収集されて、それらのエネルギーが取り戻される。有利にはこのようにして、粒子ビームによるターゲット照射装置の作動方法全体が、好適なエネルギー効率を有するようになる。

これまで述べてきた本発明固有の事項、本発明の特徴、利点ならびにその実現手法については、以下の実施例の説明を通していっそうはっきりと明確に理解できるようになる。次に、図面を参照しながらそれらの実施例について詳しく説明する。

粒子ビームをターゲットに照射する装置を示す図

荷電粒子収集装置の等価回路図

荷電粒子収集装置の別の実施形態を示す等価回路の部分図

図1には、粒子ビームをターゲットに照射する装置10がごく概略的に描かれている。粒子ビームによるターゲット照射装置10を例えば、放射性同位体又は中性子を生成するために用いることができる。また、生成された放射性同位体及び/又は中性子を、例えば工業、研究又は医療の用途に利用することができる。

装置10には、荷電粒子から成る一次粒子ビーム12を発生させるための粒子加速器11が含まれている。この場合、粒子加速器11を、例えば線形加速器として構成することができる。特にこの場合、粒子加速器11を、例えば無線周波数線形加速器として構成することができる。一次粒子ビーム12を,例えば加速された陽子のビームとすることができる。一次粒子ビーム12は、ビーム方向15に移動する。

さらに、装置10にはターゲット13が含まれている。ターゲット13は、一次粒子ビーム12がこのターゲット13に当射するように、ビーム方向15において粒子加速器11の後方に配置されている。ターゲット13に当射する一次粒子ビーム12の粒子によって、例えば放射性同位体又は中性子を発生させるための、所望の核反応を引き起こすことができる。この場合、慣用の粒子ビームによるターゲット照射装置よりも、ターゲット13を放射方向15で薄く構成することができる。これにより得られる利点とは、ターゲット13に蓄積されるエネルギーが僅かになることである。このようにすれば、ターゲット13があまり強く加熱されないようになり、それによって一次粒子ビーム12の粒子密度を、慣用の粒子ビームによるターゲット照射装置よりも高めることができるようになる。ターゲット13がビーム方向15において薄いことから、ターゲット13において発生する制動X線も最小限に抑えられる。

ターゲット13に当射する一次粒子ビーム12の粒子は、エネルギーEinを有することができる。ターゲット13において、一次粒子ビーム12の粒子はエネルギーdEを損失する。一次粒子ビーム12の粒子のうち少なくとも一部分は、ターゲット13を完全に通り抜け、二次粒子ビーム14としてターゲット13から放出される。このとき二次粒子ビーム14の粒子は、エネルギーEout=Ein−dEを有する。二次粒子ビーム14もビーム方向15に進行し、つまり一次粒子ビーム12と同じ方向の軌道で進み続ける。

二次粒子ビーム14の各粒子はエネルギーEoutを有しており、このエネルギーを取り戻す目的で、粒子ビームによるターゲット照射装置10は、荷電粒子収集装置100を有している。荷電粒子収集装置100は、二次粒子ビーム14の粒子を収集し、二次粒子ビーム14の粒子の運動エネルギーEoutを電気エネルギーに変換するために設けられている。この目的で荷電粒子収集装置100は、ビーム方向15でターゲット13の後方に配置されている。図1には、荷電粒子収集装置100の断面図が略示されている。図2には、荷電粒子収集装置100の等価回路図200が示されている。

荷電粒子収集装置100は、第1シェル110、第1シェル110の周囲に同心状に配置された第2シェル120、第2シェル120の周囲に同心状に配置された第3シェル130、ならびに第3シェル130の周囲に同心状に配置された第4シェル140を有している。図1及び図2に示した荷電粒子収集装置100の実施形態では、4つのシェル110,120,130,140が設けられているけれども、これは一例にすぎない。別の実施形態として荷電粒子収集装置100に、2つシェルだけしか含まれないようにしてもよいし、3つのシェル或いは4つよりも多くのシェルを含むようにしてもよい。有利にはこれらのシェル110,120,130,140は球面形状を有しており、つまり球状シェルとして形成されている。シェル110,120,130,140は、互いに同心状に配置され、相互に離間され、かつ電気的に絶縁されている。この目的で、個々のシェル110,120,130,140の間に、例えば誘電体を配置することができ、或いはそれらの間を真空状態にすることができる。

各シェル110,120,130,140は絶縁ギャップ101によって、それぞれ第1ハーフシェルと第2ハーフシェルとに分割されている。第1シェル110は、第1ハーフシェル111と第2ハーフシェル112とに分割されている。第2シェル120は、第1ハーフシェル121と第2ハーフシェル122とに分割されている。第3シェル130は、第1ハーフシェル131と第2ハーフシェル132とに分割されている。第4シェル140は、第1ハーフシェル141と第2ハーフシェル142とに分割されている。各ハーフシェル111,112,121,122,131,132,141,142は、それぞれ絶縁ギャップ101によって互いに電気的に絶縁されている。例えば、絶縁ギャップ101内に絶縁材料を配置することができるし、或いは絶縁ギャップ101内を真空状態にすることができる。第1ハーフシェル111,112,131,141は、ターゲット13側に配置されている。第2ハーフシェル112,122,132,142は、ターゲット13とは反対側に配置されている。

第2シェル120の第1ハーフシェル121は、開口部123を有している。第3シェル130の第1ハーフシェル131は、開口部133を有している。第4シェル140の第1ハーフシェル141は、開口部143を有している。これらの開口部123,133,143は、互いに同軸に配置され、かつビーム方向15と向き合ってターゲット13の方向に配置されている。このようにして二次粒子ビーム14の粒子を、ビーム方向15で開口部143,133,123を通して荷電粒子収集装置100の中に取り込み、第1シェル110の第1ハーフシェル111まで進入させることができる。第1シェル110の第1ハーフシェル111は、開口部を有していない。このため、荷電粒子収集装置100に進入した二次粒子ビーム14の粒子は、第1シェル110の第1ハーフシェル111に当射する。

第1シェル110の第1ハーフシェル111と第2ハーフシェル112との間に、第1スイッチ151が配置されている。第2シェル120の第1ハーフシェル121と第2ハーフシェル122との間に、第2スイッチ152が配置されている。第3シェル130の第1ハーフシェル131と第2ハーフシェル132との間に、第3スイッチ153が配置されている。第1スイッチ151と第2スイッチ152と第3スイッチ153とが合わさって、第1スイッチ群150が形成されている。第1スイッチ群150のスイッチ151,152,153は、いっしょに切り替えられるように構成されている。

第1シェル110の第2ハーフシェル112と第2シェル120の第1ハーフシェル121との間に、第5スイッチ161が配置されている。第2シェル120の第2ハーフシェル122と第3シェル130の第1ハーフシェル131との間に、第6スイッチ162が配置されている。第3シェル130の第2ハーフシェル132と第4シェル140の第1ハーフシェル141との間に、第7スイッチ163が配置されている。第5スイッチ161と第6スイッチ162と第7スイッチ163とが合わさって、第2スイッチ群160が形成されている。第2スイッチ群160のスイッチ161,162,163は、いっしょに開放及び閉鎖されるように構成されている。

荷電粒子収集装置100はその構造に関して、高電圧カスケードを連想させる。ただしこの場合、高電圧カスケードのダイオードが、スイッチ群150,160のスイッチによって置き換えられている。

図2の等価回路図200に示されているように、第1シェル110の第1ハーフシェル111と第2シェル120の第1ハーフシェル121とが合わさって、第1コンデンサ210が形成されている。第2シェル120の第1ハーフシェル121と第3シェル130の第1ハーフシェル131とが合わさって、第2コンデンサ220が形成されている。第3シェル130の第1ハーフシェル131と第4シェル140の第1ハーフシェル141とが合わさって、第3コンデンサ230が形成されている。第1シェル110の第2ハーフシェル112と第2シェル120の第2ハーフシェル122とが合わさって、第4コンデンサ240が形成されている。第2シェル120の第2ハーフシェル122と第3シェル130の第2ハーフシェル132とが合わさって、第5コンデンサ250が形成されている。第3シェル130の第2ハーフシェル132と第4シェル140の第2ハーフシェル142とが合わさって、第6コンデンサ260が形成されている。

粒子ビームによるターゲット照射装置10および荷電粒子収集装置100の動作中、第4シェル140の第1ハーフシェル141をアース電位と接続することができる。開口部143,133,123を介して装置100に進入する二次粒子ビーム14の荷電粒子は、第1シェル110の第1ハーフシェル111に当射し、このシェルを充電する。二次粒子ビーム14の粒子が例えば陽子であるならば、第1シェル110の第1ハーフシェル111は、第4シェル140の第1ハーフシェル141に対し相対的に高い電位まで充電される。第1シェル110の第1ハーフシェル111と第4シェル140の第1ハーフシェル141との間の電位差により生じる高電圧の3分の1が、各コンデンサ210,220,230,240,250,260の両端に低下して印加される。

ここで、第2スイッチ群160のスイッチ161,162,163が開かれているときに、第1スイッチ群150のスイッチ151,152,153が閉じられると、コンデンサ210,220,230,240,250,260間で電荷の移送が行われ、その結果、第4シェル140の第1ハーフシェル141と第2ハーフシェル142との間で、前記高電圧の6分の1の電圧降下が発生する。

次に、第1のスイッチ群150のスイッチ151,152,153が開かれ、第2スイッチ群160のスイッチ161,162,163が閉じられると、コンデンサ210,220,230,240,250,260間で電荷の移送が行われ、その結果、第4シェル140の第2ハーフシェル142と第1ハーフシェル141との間で、前記高電圧の6分の1の電圧降下が発生する。つまり、ハーフシェル141と142間の出力電圧は以前と同じ値であるが、極性が逆になる。

このように、第1スイッチ群150のスイッチと第2スイッチ群160のスイッチを継続的に交互に開閉することによって、第4シェル140のハーフシェル141と142との間に交流電圧を発生させることができ、そのピーク値は、第1シェル110の第1ハーフシェル111と第4シェル140の第1ハーフシェル141との間の高電圧の絶対値の6分の1の値となる。ここでは4つのシェル110,120,130,140が存在していることから、6分の1の値となる。装置100に3つのシェルしか含まれていなければ、分圧比は4になる。2つのシェルだけしか含まれていないのであれば、分圧比は2になる。5つのシェルが含まれているのであれば、分圧比は8になる。第4シェル140の第1ハーフシェル141と第2ハーフシェル142との間で取り出し可能な交流電圧の周波数は、スイッチ群150,160を切り替える周波数に相応する。

第1ハーフシェル141,131,121,111は、荷電粒子収集装置100の動作中、装置100の中央に向かうにつれて高まる電位レベルにおかれているので、二次粒子ビーム14の粒子はビーム方向15で装置100内に進入していくにつれて、徐々に制動されていく。第1シェル110の第1ハーフシェル111と第4シェル140の第1ハーフシェル141との間の電圧は、装置100に進入する粒子が第1シェル110の第1ハーフシェル111へ向かう経路において、それらの運動エネルギーすべてを失うように設定される。これによって装置100は、二次粒子ビーム14における粒子の運動エネルギーを完全に利用し尽くすことになる。

第4シェル140の第1ハーフシェル141と第2ハーフシェル142によって、荷電粒子収集装置100の出力端子が形成されており、この出力端子を整流器170と接続して、この端子から取り出し可能な交流電圧を整流することができる。整流された交流電圧を、例えばコンデンサなどのエネルギー蓄積器を充電するために利用することができる。

図3には、荷電粒子収集装置100の1つの実施形態の一部が等価回路図300として示されている。図3には、装置100における第4シェル140の第1ハーフシェル141と第2ハーフシェル142とにより形成された出力端子のみが描かれている。図3に示されているように、出力端子を交流電圧発生器180と接続することができる。交流電圧発生器180の役割は、荷電粒子収集装置100の動作開始にあたり、この装置100の中心に向かって電位が上昇するように、荷電粒子収集装置100の各シェル110,120,130,140を充電することである。これによって、荷電粒子収集装置100をその動作開始から既に、いっそう効率的に動作させることができる。このように事前に充電しておくために、第4シェル140の第1ハーフシェル141と第2ハーフシェル142との間に、交流電圧発生器180により交流電圧が印加される。同時に、交流電圧発生器180により発せられる交流電圧と同期して、第1スイッチ群150及び第2スイッチ群160の各スイッチが、交互に開閉される。

以上、有利な実施例に基づき図面に示しながら本発明について詳しく説明してきたが、本発明はここで開示した実施例に限定されるものではなく、当業者であれば本発明の権利範囲を逸脱することなく、さらに別の実施形態を導き出すことができる。

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