放射性金属のサイクロトロン生成用の溶液ターゲット

申请号 JP2016567827 申请日 2015-05-15 公开(公告)号 JP2017521645A 公开(公告)日 2017-08-03
申请人 メイヨ フォンデーシヨン フォー メディカル エジュケーション アンド リサーチ; メイヨ フォンデーシヨン フォー メディカル エジュケーション アンド リサーチ; 发明人 ティモシー アール. ディグラード; ティモシー アール. ディグラード; ムケシュ パーンデー; ムケシュ パーンデー; ジョン バーン; ジョン バーン;
摘要 68Ga、89Zr、64Cu、63Zn、86Y、61Cu、99mTc、45Ti、13N、52Mnまたは44Scを生成および単離する方法、ならびに前記方法において使用するための溶液ターゲットを開示する。68Ga、89Zr、64Cu、63Zn、86Y、61Cu、99mTc、45Ti、13N、52Mnまたは44Scを生成する前記方法は、クローズド・ターゲット・システムに陽子ビームを照射する工程を含む。前記クローズド・ターゲット・システムは、溶液ターゲットを含むことができる。単離された68Ga、89Zr、64Cu、63Zn、86Y、61Cu、99mTc、45Ti、52Mnまたは44Scを生成する前記方法は、イオン交換クロマトグラフィーによって68Ga、89Zr、64Cu、63Zn、86Y、61Cu、99mTc、45Ti、52Mnまたは44Scを単離する工程をさらに含む。一例の溶液ターゲットは、ターゲット材料を受けるためのターゲットキャビティを含むターゲット本体と、前記ターゲットキャビティに粒子ビームを指向させるための通路を画成するハウジングと、前記ターゲットキャビティの開口部を覆うためのターゲットウィンドウと、前記通路内のターゲットウィンドウの上流に配置された冷却ガス流路とを含む。【選択図】図1A
权利要求

ターゲット材料から放射性核種を生成するための溶液ターゲットであって、 前記ターゲット材料を受けるためのターゲットキャビティを含むターゲット本体と、 前記ターゲットキャビティに粒子ビームを指向させるための通路を画成するハウジングと、 前記ターゲットキャビティの開口部を覆うためのターゲットウィンドウフォイルと、 前記通路内の前記ターゲットウィンドウフォイルの上流に配置された冷却ガス流路と、 前記ターゲット本体を包囲する冷却材ハウジング内に配置された冷却液流路と を含む、溶液ターゲット。前記通路内の前記冷却材流路の上流に配置されたエネルギー低下フォイルをさらに含む、請求項1に記載の溶液ターゲット。前記エネルギー低下フォイルが、前記粒子ビームのエネルギー値を15MeV以下に減少させる、請求項2に記載の溶液ターゲット。前記エネルギー低下フォイルが、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含む、請求項3に記載の溶液ターゲット。前記ターゲットウィンドウフォイルが、コバルト合金を含む、請求項1に記載の溶液ターゲット。前記ターゲットキャビティと流体連通しているターゲット溶液口をさらに含む、請求項1に記載の溶液ターゲット。前記ターゲットキャビティと気体連通している圧源をさらに含む、請求項1に記載の溶液ターゲット。前記圧力源が空気を含む、請求項7に記載の溶液ターゲット。前記冷却ガス流路が、ヘリウムガスを含む、請求項1に記載の溶液ターゲット。前記ヘリウムガスが、チューブ状導管に閉じ込められている、請求項9に記載の溶液ターゲット。前記冷却液流路が、第1のターゲット本体部品と第2のターゲット本体部品の間の空間によって画成されている、請求項1に記載の溶液ターゲット。前記冷却液流路が、を含む、請求項11に記載の溶液ターゲット。前記ターゲットキャビティが、円錐状壁部によって画成されている、請求項1に記載の溶液ターゲット。前記円錐状壁部が、タンタルまたはニオブを含む、請求項13に記載の溶液ターゲット。前記ターゲット材料が、金属の溶液を含む、請求項1に記載の溶液ターゲット。ターゲット溶液から放射性核種を生成するための溶液ターゲットシステムであって、 ターゲットキャビティを含むターゲット本体と、 前記ターゲットキャビティに粒子ビームを指向させるための通路を画成するハウジングと、 前記ターゲットキャビティと流体連通しているターゲット溶液分配弁と、 第1のターゲット溶液の第1の源であって、前記ターゲット溶液分配弁と流体連通している前記第1の源と、 第2のターゲット溶液の第2の源であって、前記ターゲット溶液分配弁と流体連通している前記第2の源と を含み、 前記ターゲット溶液分配弁が、前記第1のターゲット溶液が前記ターゲットキャビティに流入する第1の分配位置から、前記第2のターゲット溶液が前記ターゲットキャビティに流入する第2の分配位置に移動できる、溶液ターゲットシステム。前記ターゲット溶液分配弁および前記ターゲットキャビティと流体連通しているターゲット投入/排出弁をさらに含み、前記ターゲット投入/排出弁が、前記第1のターゲット溶液および前記第2のターゲット溶液の少なくとも一方が前記ターゲットキャビティに流入する第1の投入位置から、放射性核種溶液が前記ターゲットキャビティから回収容器へと流れる第2の排出位置に移動できる、請求項16に記載の溶液ターゲットシステム。前記ターゲット溶液分配弁および前記ターゲットキャビティと流体連通している注入弁をさらに含み、前記注入弁が、前記第1のターゲット溶液と前記第2のターゲット溶液の少なくとも一方の試料を、前記試料が前記ターゲットキャビティに流入するまで保持する、請求項16に記載の溶液ターゲットシステム。前記ターゲットキャビティの上端と流体連通している加圧ガス源をさらに含む、請求項16に記載の溶液ターゲットシステム。前記加圧ガス源および前記ターゲットキャビティと気体連通している加圧ガス送出弁をさらに含み、前記加圧ガス送出弁が、加圧ガスの前記ターゲットキャビティへの送出を制御する、請求項19に記載の溶液ターゲットシステム。前記ターゲットキャビティの上端と気体連通している圧力調整弁をさらに含み、前記圧力調整弁が、加圧流体の前記ターゲットキャビティの下端からの吐き出しを制御する、請求項20に記載の溶液ターゲットシステム。前記ターゲットキャビティの上端と気体連通している圧力モニタをさらに含み、前記圧力モニタが、前記圧力調整弁を制御しうる、請求項21に記載の溶液ターゲットシステム。前記ターゲットキャビティの開口部を覆うためのターゲットウィンドウフォイル、および 前記通路内の前記ターゲットウィンドウの上流に配置された冷却材流路 をさらに含む、請求項16に記載の溶液ターゲットシステム。前記通路内の前記冷却材流路の上流に配置されたエネルギー低下フォイルをさらに含む、請求項22に記載の溶液ターゲットシステム。前記第1のターゲット溶液が第1の金属溶液を含み、前記第2のターゲット溶液が第2の金属溶液を含み、前記第1の金属溶液が前記第2の金属溶液とは異なる、請求項16に記載の溶液ターゲットシステム。さらなるターゲット溶液の1つ以上のさらなる源をさらに含み、前記さらなる源の各々が前記ターゲット溶液分配弁と流体連通しており、前記ターゲット溶液分配弁が、前記さらなるターゲット溶液の各々が前記ターゲットキャビティに流入する1つ以上のさらなる分配位置に移動できる、請求項16に記載の溶液ターゲットシステム。放射性核種を含む溶液を生成する方法であって、 (a)放射性核種を含む溶液を生成するために、溶液ターゲットのターゲットキャビティ内のターゲット溶液に陽子を照射する工程を含み、 前記放射性核種が68Ga、89Zr、64Cu、86Y、61Cu、99mTc、45Ti、13Nおよび44Scから選択され、 前記ターゲットキャビティが、前記照射中、冷却材で冷却される、方法。クローズドシステムとして稼働する前記溶液ターゲットの前記ターゲットキャビティ内で前記ターゲット溶液に陽子が照射される、請求項27に記載の方法。前記ターゲットキャビティが、前記照射中、150psi未満の圧力で維持される、請求項28に記載の方法。前記溶液ターゲットが、2ミリリットル以下の容積容量を有する、請求項28に記載の方法。前記ターゲットキャビティが、略円錐状壁部およびターゲットウィンドウフォイルによって画成されている、請求項28に記載の方法。前記ターゲット溶液が、硝酸イットリウムを含み、前記放射性核種が、89Zrである、請求項27に記載の方法。前記ターゲット溶液が、68Zn濃縮硝酸亜鉛を含み、前記放射性核種が、68Gaである、請求項27に記載の方法。前記ターゲット溶液が、63Cu濃縮硝酸銅(II)を含み、前記放射性核種が、63Znである、請求項27に記載の方法。前記ターゲット溶液が、86Sr濃縮硝酸ストロンチウムを含み、前記放射性核種が、86Yである、請求項27に記載の方法。前記ターゲット溶液が、64Ni濃縮硝酸ニッケルを含み、前記放射性核種が、64Cuである、請求項27に記載の方法。前記ターゲット溶液が、硝酸スカンジウムを含み、前記放射性核種が、45Tiである、請求項27に記載の方法。前記ターゲット溶液が、52Cr濃縮または天然硝酸クロムを含み、前記放射性核種が、52Mnである、請求項27に記載の方法。前記ターゲット溶液が、44Ca濃縮または天然硝酸カルシウムを含み、前記放射性核種が、44Scである、請求項27に記載の方法。前記ターゲット溶液が、61Ni濃縮または天然硝酸ニッケルを含み、前記放射性核種が、重陽子照射による61Cuである、請求項27に記載の方法。前記ターゲット溶液が、希硝酸溶液をさらに含む、請求項32〜41のいずれかに記載の方法。前記ターゲット溶液中の硝酸の濃度が、0.2M〜2Mである、請求項41に記載の方法。前記ターゲット溶液が、水性エタノールを含み、前記放射性核種が、13Nである、請求項27に記載の方法。(b)前記放射性核種を吸着剤に吸着させるために、前記放射性核種を含む前記溶液を、前記吸着剤を含むカラムに通す工程、および (c)前記放射性核種を前記吸着剤から溶離する工程 をさらに含む、請求項27に記載の方法。前記吸着剤が、ヒドロキサム酸樹脂を含む、請求項44に記載の方法。工程(c)が、リン酸塩を使用する前記放射性核種の前記吸着剤からの溶離を含む、請求項44に記載の方法。前記放射性核種の放射性核種純度が、工程(c)後、99%より高い、請求項44に記載の方法。(d)前記溶離された放射性核種を、吸着剤を含む第2のカラムに通す工程 をさらに含む、請求項44に記載の方法。放射性核種を含む溶液から放射性核種を単離するための使い捨て単回使用キットであって、 前記溶液が、溶液ターゲットのターゲットキャビティ内のターゲット材料に陽子を照射することによって生成され、 前記キットが、前記放射性核種を吸着剤に吸着させるための、吸着剤を含むカラムを含み、 前記放射性核種が、68Ga、89Zr、64Cu、86Y、63Zn、61Cu、99mTc、45Ti、52Mnおよび44Scから選択される、キット。前記吸着剤が、ヒドロキサム酸樹脂を含む、請求項49に記載のキット。前記吸着材から前記放射性核種を溶離するための溶離剤をさらに含む、請求項49に記載のキット。前記溶離剤が、リン酸塩を含む、請求項51に記載のキット。前記カラムから溶離された放射性核種を受けるための放射性核種生成物容器をさらに含む、請求項49に記載のキット。前記カラムを前記ターゲットキャビティと流体連通させるための第1の流体導管、および 前記カラムを前記放射性核種生成物容器と流体連通させるための第2の流体導管をさらに含む、請求項53に記載のキット。前記カラムからの放射性核種の溶離に使用される溶離剤中の不純物を吸着するための吸着剤を含む第2のカラムをさらに含む、請求項49に記載のキット。前記溶液からの前記放射性核種の単離工程を行うために請求項49に記載のキットを用いる合成システム。コントローラを使用して自動化される、請求項56に記載の合成システム。前記コントローラが内臓プログラムを実行して、(i)前記放射性核種を含む前記溶液を前記ターゲットキャビティから前記カラムに送る、(ii)その後、前記カラムに溶離剤を送る、および(iii)その後、前記溶離された放射性核種を放射性核種生成物容器に送る、請求項57に記載の合成システム。前記コントローラが内臓プログラムを実行して、(i)前記放射性核種を含む前記溶液を前記ターゲットキャビティから回収容器に送る、(ii)前記放射性核種を含む前記溶液を前記回収容器から前記カラムに送る、(iii)その後、前記カラムに溶離剤を送る、および(iv)その後、前記溶離された放射性核種を放射性核種生成物容器に送る、請求項57に記載の合成システム。

说明书全文

[関連出願の相互参照] 本願は、2014年5月15日に出願した米国特許仮出願第61/993,365号の優先権を主張するものである。

[連邦政府資金による研究の記載] 本発明は、米国政府の支援を受け、米国エネルギー省によって与えられたSC0008947のもとでなされたものである。米国政府は本発明に特定の権利を有する。

本発明は、標識された放射性医薬品に関する。

放射性金属(例えば、64Cu、89Zr、68Ga、86Yおよび99mTc)は、核医学において放射線治療のための治療薬および造影剤として、ならびにタンパク質、ペプチドおよび抗体のような生物学的に重要な高分子の標識において、極めて重要な役割を果たす。

近年、68Ga標識放射性医薬品に関わる臨床研究と前臨床研究の両方の急増が認められる[参考文献1〜5]。この増加は、様々な急速に変化するプロセス(増殖、アポトーシス、血管新生)および標的(成長ホルモン、心筋および灌流、炎症および感染)のイメージングに好適な68Gaの物理的特性(Eβmax 1.8MeV、β+ 89%、T1/2=67.7分)に、またある程度は、より新しい、より信頼性の高い生成および標識方法に起因すると考えることができる[参考文献1〜5]。ガリウム68標識ソマトスタチン類似体は、神経内分泌腫瘍を有する患者の診断の感度、特異性、精度および対費用効果向上により、既存の薬剤111In−DTPA−オクトレオチドに対するそれらの優位性が既に証明されている[参考文献1、6〜9]。

68Ga標識放射性医薬品の臨床的有望性から、様々な核医学施設において漸増する需要を満たすために、68Gaの供給が増加することは明らかに当然のことである。現在、68Gaは、次の2つの異なるアプローチによって生成することができる:(1)固体ターゲット技術(solid targetry)[参考文献10、11]および(2)68Ge/68Ga発生装置[参考文献12]。前述のアプローチ(1)は、高い資本コストおよび専門知識、ならびに固体ターゲットに適応する専門サイクロトロン施設を必要とし、これに対して後述のアプローチ(2)は、施設内サイクロトロンを備えていない核医学施設においてより広く利用できる。68Ge/68Ga発生装置の簡易性およびより低い資本コストのため、68Ga標識線量に対する要件が比較的少数である核医学施設の間では該発生装置のほうが評判がよい[参考文献1、12]。しかし、微量の長寿命68Ge親同位体(t1/2=271日)の溶離68Gaへの破過(break through)は、依然として懸念事項である[参考文献13]。さらに、68Ga標識放射性医薬品の適用範囲が増すにつれて漸増する需要、特に、施設内サイクロトロンを有する比較的多忙な核医学センターに対する漸増する需要を満たすための代替生成方法の必要性が予見される。サイクロトロンを使用する68Gaの生成は以前に試みられており、当初は、銅基材上への68Zn電着を用いる固体ターゲット法が用いられ[参考文献10、14]、より最近では、濃縮68ZnCl2溶液を含有する溶液ターゲットが使用されている[参考文献15]。固体ターゲット法は、68Gaのような短寿命同位体には最適でない非常に長い分離工程はもちろん、費用のかかる固体ターゲットインフラも必要とする。

したがって、低エネルギーサイクロトロンを使用する68Gaおよび他の放射性金属の生成に溶液ターゲットアプローチの適用範囲を拡大するための方法およびシステムが当技術分野において必要とされている。

本発明は、放射性核種(例えば、68Ga、89Zr、64Cu、63Zn、86Y、61Cu、99mTc、45Ti、13N、52Mnまたは44Sc)を調製するための改善された方法およびシステムを開示することによって、上述の欠点を克服する。放射性核種(例えば、68Ga、89Zr、64Cu、63Zn、86Y、61Cu、99mTc、45Ti、13N、52Mnまたは44Sc)を生成する方法は、クローズド・ターゲット・システムに陽子ビームを照射する工程を含みうる。前記クローズド・ターゲット・システムは、溶液ターゲットを含みうる。

本開示は、ターゲット材料から放射性核種を生成するための溶液ターゲットを提供する。この溶液ターゲットは、ターゲット材料を受けるためのターゲットキャビティを含むターゲット本体と、前記ターゲットキャビティに粒子ビームを指向させる(for directing)ための通路を画成するハウジングと、前記ターゲットキャビティの開口部を覆うためのターゲットウィンドウフォイルと、前記経路内のターゲットウィンドウの上流に配置された冷却材流路とを含む。本開示の1バージョンでは、放射性金属の生成のための、熱伝達特性が改善されたサイクロトロン溶液ターゲットを提供する。前記ターゲットは、中エネルギーサイクロトロン(11〜20MeV陽子)において放射性核種(例えば、68Ga、89Zr、64Cu、63Zn、86Y、61Cu、99mTc、45Ti、13N、52Mnまたは44Sc)の生成に使用することができる。前記ターゲットは、ターゲット溶液の冷却に必要な改善された熱伝導特性を有する。前記ターゲットは、サイクロトロン真空部と前記溶液の間に冷式インサートおよびヘリウム冷却領域を含む。一実施形態では、第1のフォイルがサイクロトロン真空部とヘリウム流領域を隔てており、第2のフォイル(例えば、20〜30マイクロメートル)がヘリウム領域とターゲット溶液を隔てている。ターゲットインサートの幾何形状は、ターゲット溶液から冷却水への熱伝達を最大にするように設計されている。

別の態様において、本開示は、ターゲット溶液から放射性核種を生成するための溶液ターゲットシステムを提供する。このシステムは、ターゲットキャビティを含むターゲット本体と、前記ターゲットキャビティに粒子ビームを指向させるための通路を画成するハウジングと、前記ターゲットキャビティと流体連通しているターゲット溶液分配弁と、第1のターゲット溶液の第1の源であって、前記ターゲット溶液分配弁と流体連通している前記第1の源と、第2のターゲット溶液の第2の源であって、前記ターゲット溶液分配弁と流体連通している前記第2の源とを含み、前記ターゲット溶液分配弁は、前記第1のターゲット溶液が前記ターゲットキャビティに流入する第1の分配位置から、前記第2のターゲット溶液が前記ターゲットキャビティに流入する第2の分配位置に移動できる。一形態において、前記システムは、試薬としての6種までの異なる金属溶液から選択することができるターゲット溶液投入・排出システムを提供する。同位体の相互汚染を最小にするために、6本までの異なる送出ラインもあることがある。

さらに別の態様において、本開示は、放射性核種を含む溶液を生成する方法であって、ターゲット溶液に陽子を照射して、68Ga、89Zr、64Cu、63Zn、86Y、61Cu、99mTc、45Ti、13N、52Mnおよび44Scから選択される放射性核種を含む溶液を生成する工程を含む前記方法を提供する。

本発明の上述のおよび他の態様および利点は、以下の説明から明らかになる。この説明では添付の図面を参照し、これらの図面は、本明細書の一部を構成し、本発明の特定の実施形態を実例として示すものである。しかし、そのような実施形態は本発明の全範囲を必ずしも表すものではなく、したがって、本発明の範囲を解釈するために特許請求の範囲および本明細書を参照する。

本発明の一実施形態によるターゲット材料から放射性核種を生成するための溶液ターゲットの分解断面図である。

組み立てた状態の図1Aの溶液ターゲットの断面図である。

68Ga放射性同位体を

68Zn(NO

3)

2ターゲット溶液から分離するための自動システムの概略図である。

照射終了(EOB)の2時間後の

68Gaの放射性核種純度を示すプロットである。

EOBの36時間後の

68Gaの放射性核種純度を示すプロットである。

2.62分の滞留時間を有する、精製

68GaのHPLCクロマトグラムである。

遠隔制御投入・排出システムを使用する

89Zn生成の概要図である。

陽子照射下の塩化物および硝酸塩溶液についてのガス発生速度の傾向を示す図である。

(a)塩化物塩の濃度の関数としてガス発生速度を示す図である。(b)等しい塩化物含有率の陽イオンの関数としてガス発生速度を示す図である。(c)硝酸塩の濃度の関数としてガス発生速度を示す図である。(d)等しい硝酸塩含有率の陽イオンの関数としてガス発生速度を示す図である。(表5〜8からのデータ)。

HPGe検出器での

89Zr試料の放射性核種純度の特性評価を示す図である。

89Zrに起因するもの以外のピーク不在を示す、

89Zr試料のHP−Geスペクトルを示す図である。

図面についての以下の説明では、同様の部分への言及には同様の参照数字を使用することにする。

本発明は、ターゲット材料から放射性核種を生成するための溶液ターゲットを提供する。この溶液ターゲットは、ターゲット材料を受けるためのターゲットキャビティを含むターゲット本体と、前記ターゲットキャビティに粒子ビーム(例えば陽子)を指向させるための通路を画成するハウジングと、前記ターゲットキャビティの開口部を覆うためのターゲットウィンドウフォイルと、前記通路内のターゲットウィンドウの上流に配置された冷却材流路とを含む。「上流」とは、粒子ビームが流れる方向とは反対方向に位置することを意味する。冷却材流路は、粒子ビームのエネルギー値を15MeV以下に減少させることができる。前記溶液ターゲットは、通路内の冷却材流路の上流に配置されたエネルギー低下フォイルを含むことがある。前記エネルギー低下フォイルは、コバルト合金を含むことがある。前記ターゲットウィンドウフォイルは、アルミニウム合金を含むことがある。

前記溶液ターゲットは、ターゲットキャビティと流体連通しているターゲット溶液口を含むことがある。前記溶液ターゲットは、ターゲットキャビティと流体連通している圧源をさらに含むことがある。この圧力源は、ヘリウムガスを含むことがある。前記冷却材流路は、ヘリウムガスを含むことがあり、このヘリウムガスは、チューブ管状導管内に閉じ込められていることがある。

前記溶液ターゲットにおいて、ターゲット本体は、ターゲットキャビティに隣接して配置された第2の冷却材流路をさらに含むことがある。第2の冷却材流路は、第1のターゲット本体部品と第2のターゲット本体部品の間の空間によって画成されている。第2の冷却材流路は、水を含むことがある。前記ターゲットキャビティは、円錐状壁部によって画成されていることがある。前記ターゲット材料は、金属の溶液を含むことがある。

図1Aおよび図1Bついて言えば、本発明の1つの非限定的実施形態による溶液ターゲット10が示されている。溶液ターゲット10は、第1のターゲット本体部品16および第2のターゲット本体部品18を有する、ターゲット本体14を含む。ターゲットキャビティ22は、壁部24によって画成されており、第1のターゲット本体部品16内に配置されている。ターゲットキャビティ22は、ターゲット材料(例えば、ターゲット溶液)を受けるように構成されている。いくつかの形態では、ターゲットキャビティ22の壁部24は、円錐状壁部であることがある。壁部24は、タンタルまたはニオブを含むことがある。

溶液ターゲット10は、粒子ビーム(例えば、陽子ビーム)の通路28を画成するように構成されたハウジング26をさらに含む。ハウジング26は、粒子ビームの入口32と、通路28の一部分とを中に配置された第1のハウジング部30を含みうる。第2のハウジング部36は、第1のハウジング部30と第1のターゲット本体部品16との間に間隔をおくように配置されており、通路28の第2の部分を含む。密封部材38、例えばOリングを、第1のハウジング部30と第2のハウジング部36との間に配置して、密封されたハウジング26を得ることができる。

冷却材流路40は、通路28の第2の部分の中に配置されている。冷却材流路40をチューブ状構造内に閉じ込めることができ、したがって、粒子ビームは該チューブ状構造の周囲を流れる。冷却材流路40は、粒子ビームのエネルギーを15MeV以下に低下させるように構成されたヘリウム冷却システムであってもよい。

溶液ターゲット10は、第2の冷却材流路を画成するように構成された冷却材ハウジング46をさらに含む。冷却材ハウジング46は、冷却材、例えば水、を受けるように構成された入口48を含む。加えて、冷却材ハウジング46は、冷却材を放出するように構成された2つの出口50を含む。

溶液ターゲット10は、第1の材料収容部品60および第2の材料収容部品62をさらに含む。ターゲット材料入口64は、第1の材料収容部品60の中に配置されており、ターゲット材料通路66およびターゲット本体キャビティ16と流体連通している。過剰圧力源68は、第2の材料収容部品62の中に配置されており、ターゲット材料通路66およびターゲット本体キャビティ16と流体連通している。

溶液ターゲット10は、第2のハウジング部36とターゲット本体14の間に配置されたターゲットウィンドウフォイル70をさらに含む。このターゲットウィンドウビーム入射フォイル70は、ターゲット本体キャビティ16の開口部を覆うように構成されている。ターゲットウィンドウフォイル70は、コバルト合金を含むことがあり、粒子ビームのエネルギーを低下させるように構成されることもある。一例では、ターゲットウィンドウフォイル70は、Havar(登録商標)である。Havar(登録商標)は、非常に高い強度、例えば、冷間圧延および加熱処理時に330,000psiの極限引張強度を与えるコバルト系熱処理合金である。この合金は、優れた耐腐食性をもたらし、非磁性である。公称組成は、コバルト42.0%、クロム19.5%、ニッケル12.7%、タングステン2.7%、モリブデン2.2%、マンガン1.6%、炭素0.2%であり、残部は鉄である。

いくつかの形態では、通路28内の第1のハウジング部30と第2のハウジング部36の間にエネルギー低下フォイル74が配置されることもある。エネルギー低下フォイル74は、金属フォイル、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金フォイルであってもよい。

稼働中に粒子ビーム(例えば陽子ビーム)が入口32を通って通路28に導入される。粒子ビームは、第1のハウジング部32およびエネルギー低下フォイル74を通って粒子ビーム路80を進む。粒子ビーム80は、冷却材流路40を通り、ターゲットウィンドウフォイル70を通ってターゲットキャビティ22へと進み続ける。

ターゲット材料(例えば、金属の溶液)がターゲット材料入口64に導入され、ターゲット材料通路を通ってターゲットキャビティ22へとターゲット材料路84を進む。ターゲットキャビティ22内に配置されたターゲット材料に粒子ビームが照射されて放射性核種が生成される。照射されたターゲット材料は、材料路84を使用して除去されうる。

冷却材は、冷却材(例えば水)源から入口48経由で冷却材ハウジング46に導入される。冷却材は、冷却材路88を入口48から第1のターゲット本体部品16と第2のターゲット本体部品18の間の空間へと進む。冷却材路88は、ターゲットキャビティ22の壁部24に隣接して、冷却材ハウジング46を通って、2つの出口50に進む。

本発明は、ターゲット溶液から放射性核種を生成するための溶液ターゲットシステムをさらに提供する。この溶液ターゲットシステムは、ターゲットキャビティを含むターゲット本体と、前記ターゲットキャビティに粒子ビームを指向させるための通路を画成するハウジングと、前記ターゲットキャビティと流体連通しているターゲット溶液分配弁と、第1のターゲット溶液の第1の源であって、前記ターゲット溶液分配弁と流体連通している前記第1の源と、第2のターゲット溶液の第2の源であって、前記ターゲット溶液分配弁と流体連通している前記第2の源とを含む。ターゲット溶液分配弁は、第1のターゲット溶液がターゲットキャビティに流入する第1の分配位置から、第2のターゲット溶液がターゲットキャビティに流入する第2の分配位置に移動できる。

前記溶液ターゲットシステムは、ターゲット溶液分配弁およびターゲットキャビティと流体連通しているターゲット投入/排出弁をさらに含むことがあり、前記ターゲット投入/排出弁は、第1のターゲット溶液および第2のターゲット溶液の少なくとも一方がターゲットキャビティに流入する第1の投入位置から、放射性核種溶液がターゲットキャビティから回収容器へと流れる第2の排出位置に移動できるものである。前記溶液ターゲットシステムは、ターゲット溶液分配弁およびターゲットキャビティと流体連通している注入弁をさらに含むことがあり、前記注入弁は、第1のターゲット溶液と第2のターゲット溶液の少なくとも一方の試料を、該試料がターゲットキャビティに流入するまで保持するものである。前記溶液ターゲットシステムは、ターゲットキャビティの上端入口(62)と気体連通している加圧ガス源をさらに含むことがある。前記溶液ターゲットシステムは、加圧ガス源およびターゲットキャビティと気体連通している加圧ガス送出弁をさらに含むことがあり、前記加圧ガス送出弁は、加圧ガスのターゲットキャビティへの送出を制御するものである。前記溶液ターゲットシステムは、ターゲットキャビティと気体連通している圧力調整弁をさらに含むことがあり、前記圧力調整弁は、加圧ガスのターゲットキャビティへの流入を制御するものである。前記溶液ターゲットシステムは、ターゲットキャビティと気体連通している圧力モニタをさらに含むことがあり、前記圧力モニタは、ターゲット内の圧力を測定する手段を提供するものであり、圧力調整弁を制御するために使用されることもある。

前記溶液ターゲットシステムでは、ターゲットウィンドウフォイルが前記ターゲットキャビティの開口部を覆っていることがあり、冷却ガス流路が前記通路内のターゲットウィンドウの上流に配置されていることもある。エネルギー低下フォイルがその通路内の冷却材流路の上流に配置されていることもある。

第1のターゲット溶液は、第1の金属溶液を含むことがあり、第2のターゲット溶液は、第2の金属溶液を含むことがあり、前記第1の金属溶液は、前記第2の金属溶液と異なる。

前記溶液ターゲットシステムは、さらなるターゲット溶液の1つ以上のさらなる源をさらに含むこともある。前記さらなる源の各々は、ターゲット溶液分配弁と流体連通している。このターゲット溶液分配弁は、前記さらなるターゲット溶液の各々がターゲットキャビティに流入する1つ以上のさらなる分配位置に移動できる。

本発明は、放射性核種を含む溶液を生成する方法をさらに提供する。この方法は、ターゲット溶液に陽子を照射して、68Ga、89Zr、64Cu、63Zn、86Y、61Cu、99mTc、45Ti、13N、52Mnおよび44Scから選択される放射性核種を含む溶液を生成する工程を含む。クローズドシステムとして稼働する溶液ターゲットのターゲットキャビティ内でターゲット溶液に陽子が照射されることもある。前記方法は、ターゲット溶解工程を含まない。ターゲットキャビティは、照射中、冷却材で冷却されることもある。ターゲットキャビティは、照射中、150psi未満、または75psi未満の圧力で維持される。溶液ターゲットは、2ミリリットル以下の容積容量を有することもある。ターゲットキャビティは、略円錐状壁部およびターゲットウィンドウフォイルによって画成されていることもある。

前記方法の1バージョンでは、ターゲット溶液は硝酸イットリウムであり、放射性核種は89Zrである。前記方法の別のバージョンでは、ターゲット溶液は68Zn濃縮硝酸亜鉛であり、放射性核種は68Gaである。前記方法の別のバージョンでは、ターゲット溶液は63Cu濃縮硝酸銅(II)を含み、放射性核種は63Znである。前記方法の別のバージョンでは、ターゲット溶液は86Sr濃縮硝酸ストロンチウムを含み、放射性核種は86Yである。前記方法の別のバージョンでは、ターゲット溶液は64Ni濃縮硝酸ニッケルを含み、放射性核種は64Cuである。前記方法の別のバージョンでは、ターゲット溶液は硝酸スカンジウムを含み、放射性核種は45Tiである。前記方法の別のバージョンでは、ターゲット溶液は52Cr濃縮または天然硝酸クロムを含み、放射性核種は52Mnである。前記方法の別のバージョンでは、ターゲット溶液は44Ca濃縮または天然硝酸カルシウムを含み、放射性核種は44Scである。前記方法の別のバージョンでは、ターゲット溶液は61Ni濃縮または天然硝酸ニッケルを含み、放射性核種は、重陽子照射による61Cuである。ターゲット溶液は、希硝酸溶液をさらに含むことがある。ターゲット溶液中の硝酸の濃度は、0.001M〜2.5M、または0.2〜2Mでありうる。前記方法の別のバージョンでは、ターゲット溶液はエタノール水溶液を含み、放射性核種は13Nである。

前記方法は、放射性核種を含む溶液を、吸着剤を含むカラムに通して、前記放射性核種を前記吸着剤に吸着させる工程、および前記放射性核種を前記吸着剤から溶離する工程をさらに含むことがある。用語「カラム」は、本明細書において用いる場合、固定床がカートリッジ内にある分離技術を指す。固体固定相の粒子、または液体固定相で被覆された支持材、例えば樹脂または吸着剤、の粒子が、カートリッジの内部容積全体を満たしていることもあり(充填カラム)、またはカートリッジの中央部分の移動相のための開放された制限されていない経路を残してカートリッジ内壁上にもしくは沿いに集中していることもある(中空カラム)。試料の異なる滞留時間に対して、媒体を通る移動速度の差が算出される。

放射性核種の放射性核種純度は、吸着剤から放射性核種を溶離した後、99%より高く、好ましくは99.9%より高くなりうる。前記方法は、溶離された放射性核種を、吸着剤を含む第2のカラムに通す工程をさらに含むこともある。

本発明は、放射性核種を含む溶液から放射性核種を単離するための使い捨て単回使用キットであって、前記溶液が、溶液ターゲットのターゲットキャビティ内でターゲット材料に陽子を照射することによって生成される、前記キットをさらに提供する。前記キットは、68Ga、89Zr、64Cu、 86Y、63Zn、61Cu、99mTc、45Ti、52Mnまたは44Scである放射性核種を吸着剤に吸着させるための、吸着剤を含むクロマトグラフィーカラムを含む。一形態では、吸着剤は、ヒドロキサム酸樹脂を含む。前記キットは、吸着材から放射性核種を溶離するための溶離剤を含むことがある。この溶離剤は、リン酸塩を含むことがある。前記キットは、溶離された放射性核種をカラムから受けるための放射性核種生成物容器を含むことがある。前記キットは、カラムをターゲットキャビティと流体連通させるための第1の流体管路、およびカラムを放射性核種生成物容器と流体連通させるための第2の流体管路を含むことがある。前記キットは、カラムから放射性核種を溶離するために使用される溶離剤中の不純物を吸着するための、吸着剤を含む第2のクロマトグラフィーカラムを含むことがある。

本発明は、溶液からの放射性核種の単離工程を実施するために本発明のキットを利用する合成システムをさらに提供する。この合成システムは、コントローラを使用して自動化されることもある。前記コントローラが内臓プログラムを実行して、(i)放射性核種を含む溶液をターゲットキャビティから回収容器に送ること、(ii)前記放射性核種を含む溶液を前記回収容器からカラムに送ること、(iii)その後、前記カラムに溶離剤を送ること、および(iv)その後、溶離された放射性核種を放射性核種生成物容器に送ることができる。

以下の実施例は、本発明の特定の実施形態および態様の実証およびさらなる例証のために提供するものであり、以下の実施例を本発明の範囲を制限するものと解釈すべきではない。

[実施例1] [水溶液中の68Zn(p,n)68Ga反応による68Gaのサイクロトロン生成] [実施例1の大要] 実施例1は、溶液ターゲットアプローチの適用範囲を、低エネルギー(<20MeV)サイクロトロンを使用する68Gaの生成に拡大するものである。開発した方法は、固体ターゲットインフラを必要としないので、通例の68Ga生成用の68Ge/68Ga発生装置の適便な代替手段となる。実施例1では、陽子エネルギーを約14MeVに低下させるためのヘリウム冷却部によって隔てられたアルミニウム(0.20mm)とHavar(登録商標)コバルト合金(0.038mm)の二重フォイルを備えている、熱交換能が向上した新規溶液ターゲットを設計し、用いた。水冷式溶液ターゲットインサートをタンタルで製造し、その溶液保持容量(1.6mL)を低減させて熱伝達を向上させた。0.2N硝酸中の硝酸68Znの同位体濃縮(99.23%)1.7M溶液をクローズド・ターゲット・システムにおいて用いた。20μAで30分照射後、ターゲット溶液を受け容器に排出し、ターゲットを1.6mLの水ですすぎ、その水をターゲット溶液と併せた。自動モジュールを使用して、その溶液を、亜鉛およびガリウム同位体を効率的に捕捉する陽イオン交換カラム(AG−50W−X8、200〜400メッシュ、水素型)に通した。その後、80%アセトンに配合した30mLの0.5N HBrを用いて、68Gaの測定可能な損失一切なく、68Znを溶離した。7mLの3N HCl溶液を用いて溶離効率92〜96%で68Gaを溶離した。HPGe検出器を使用して放射性核種純度を判定した。加えて、ICP−MSを用いて非放射性金属不純物について分析した。生成物の収率は、EOBに減衰補正して192.5±11.0MBq/μ・hであり、全処理時間は60〜80分であった。68Gaの放射性核種純度は、>99.9%であることが判明し、主な不純物は67Gaであった。ICP−MS分析は、最終生成物中の少量のGa、Fe、Cu、NiおよびZnを示し、68Gaの比放射能は5.20〜6.27GBq/μgであった。使用者の要求に依存して、ターゲット溶液中の68Zn濃度の増加および照射時間の延長により68Ga生成収率をさらに向上させることができる。要約すると、低エネルギーサイクロトロンおよび溶液ターゲットを使用して簡易かつ効率的な68Ga生成方法を開発した。この開発した方法論は、68Ga生成のための68Ge/68Ga発生装置の対費用効果の高い代替手段となる。

[実施例1の序論] Jensenら[15]によって記載された溶液ターゲット法を再現する本発明者らの初期試行により、68ZnCl2水溶液に対する照射は、水素および酸素の放射線分解媒介放出に起因して急速な圧力増加をもたらすことが明らかになった。加えて、本発明者らは、Havar(登録商標)コバルト合金フォイルのZnCl2溶液との反応に関係しうる、Havar(登録商標)コバルト合金ターゲットウィンドウフォイルのピンホールに気づいた。本発明者らは、最近、溶液ターゲットにおける89Zr生成中の水放射線分解のメカニズムの態様に関する広範な研究を行った[参考文献16〜17]。この研究により、希硝酸溶液中の硝酸塩の使用は、放射性金属生成中の水放射線分解速度を劇的に低減させることが明らかになった[参考文献17]。ZnCl2の使用をなくすことでHavar(登録商標)コバルト合金フォイルの寿命を延ばすこともできた。実施例1の本研究において、本発明者らは、30分陽子照射で20μAのビーム電流を使用するクローズド溶液ターゲットシステムにおいて68Gaを生成するために0.2N硝酸中の(同位体濃縮)硝酸亜鉛の1.7M溶液を使用することにより、本発明者らの溶液ターゲットアプローチを68Gaの生成に拡大した。本発明者らは、陽イオン交換樹脂を使用する68Znからの68Gaの自動分離も報告する。

[実施例1の材料および方法] [ターゲット技術詳細] この研究において、本発明者らは、陽子エネルギーを約14MeVに低下させるためのヘリウム冷却部によって隔てられたアルミニウム(0.20mm)およびHavar(登録商標)コバルト合金(0.038mm)の二重フォイルを有するタンタルターゲット本体インサートを備えている、低減された溶液容量(1.6mL)を有する新規溶液ターゲットを設計し、開発した。この新規円錐形ターゲットは熱交換能向上を示し、その結果、照射中のガス形成が低減され、それによって、酸素で加圧された約40psiのクローズドシステムとしてこの新規円錐形ターゲットを運転することが可能になった。このターゲットの設計を図1Aおよび1Bに示し、上で説明した。本発明者らの以前の研究[参考文献17]で説明したような半自動ターゲット投入・排出システムを用いた。実施例1のこの研究では、0.2N硝酸中の硝酸68Zn(同位体濃縮99.23%)の1.7M溶液を用いて30分照射を行った。陽子ビーム電流は、20μAであった。

[化学薬品] Zn−68(99.23%)濃縮金属は、Cambridge Isotopes Laboratory(Tewksbury、Massachusetts、米国)から購入した。塩酸(HClとして34〜37%)および硝酸(HNO3として67〜70%)(両方とも微量金属ベース(Trace metals basis))は、Fisher Scientific(Suwanee、Georgia、米国)から購入した。臭化水素酸(HBrとして48%)およびアセトンは、Sigma−Aldrich(St.Louis、Missouri、米国)から購入した。AG−50W−X8およびChelex−100(50〜100メッシュ ナトリウム型)樹脂は、Bio−Rad(Hercules、California、米国)から購入した。

[機器] Genie 2000ソフトウェアで実行する高純度ゲルマニウムガンマスペクトロメータ(Canberra、Meriden、Connecticut、米国)カウンタを用いて放射性核種純度を測定した。放射能読取値は、CRC線量キャリブレータ(#416設定、CRC−55tPET、Capintec、Ramsey、New Jersey、米国)を使用して測定した。IonPac CS5A分析用カラム(4×250mm、Dionex)およびインライン放射能検出器(Carroll and Ramsey Associates、Berkeley、California、米国)を装備したDionex陽イオン分析HPLCシステムを用いて非放射性金属不純物について分析した。移動相(Dionex MetPac Eluent)の流量は、1.2mL/分であった。陰イオン分析には、イオン抑制でIonPac AS19分析用カラムを用い、70mM KOHの移動相を用いて、Thermo ScientificによるDionex ICS−2100イオン・クロマトグラフィー・システムを使用した。微量金属不純物を測定するためにPerkin ElmerによるPerkin Elmer ELAN DRC II ICP質量分析装置も用いた。

[68Ga分離、比放射能判定および68Zn(NO3)2回収方法] 68Zn(NO3)2からの68Gaの分離:図2に概要を示したような、68Zn(NO3)2からの68Ga放射性同位体を分離するための社内構築自動システムを開発した。照射後、ターゲットダンプ(1.6mL)をそのターゲットのすすぎ水1.6mLとともに回収バイアルに受けた。すすぎ溶液とダンプ溶液を混合し、15mLの水で、続いて空気で事前調整した陽イオン交換カラム(AG−50W−X8、1.3g、200〜400メッシュ、水素型)に通した。68Gaと68Znは、両方とも、陽イオン交換カラムに有効に捕捉された。捕捉後、カラムを5.0mLの水(一切の金属汚染を回避するためにキレックス処理した水)で洗浄して、短寿命11Cおよび13N同位体を除去した。陽イオン交換ガードカラム(AG−50W−X8、5.0g、200〜400メッシュ、水素型)を廃棄物ボトルの前に置いて、精製中の68Znの可能性のある一切のブレークスルーを捕捉した。陽イオン交換カラムを線量キャリブレータ内に置いて、そのカラムに捕捉された全放射能をモニタリングした。プログラム可能なマイクロプロセッサベースのコントローラは、図2のシステム300の弁Vと電気通信していて、図2の流体ラインL内の流体を移動させるために必要なときにそれらの弁を開閉することができる。弁開閉の適切なタイミングをコントローラでプログラムすることができる。

80%アセトン溶液中の0.5N HBr(30mL)を使用して亜鉛−68をカラムから溶離し、別の回収溶液に回収し、その後、3mLの水ですすいで一切の残存HBr−アセトンを除去した。最後に、68Gaを3N HCl(7mL)で生成物バイアルに溶出させた。

照射後の68Zn(NO3)2の回収は、ロータリーエバポレータを使用して80%アセトン溶液中の0.5N HBrを蒸発乾固させ、その後、残留物を濃硝酸(3〜5mL)に再び溶解し、ロータリーエバポレータで再び蒸発乾固させることによって果たした。この工程を合計3回繰り返して、68Znの68Zn(NO3)2への完全転化を確実なものにした。転化後、HPLC陰イオンクロマトグラフィー法(Dionex ICS−2100イオン・クロマトグラフィー・システム)を使用して陰イオン種の素性を硝酸塩と確認した。このHPLC法は、いずれの他の陰イオンの存在も示さなかった。得られた塩は依然として粘稠物質であり、それを凍結乾燥によって固体として得た。

[比放射能および微量金属分析] 68Gaの比放射能(GBq/μg)を、精製後の最終生成物中に存在する全Ga金属を推定することによって測定した。Zn、Fe、Cu、NiおよびGaをはじめとする他の金属不純物も、ICP−質量分析装置を使用して分析した。

[放射性核種純度の測定] 放射性核種純度の測定のために、本発明者らは、高純度ゲルマニウム(HPGe)検出器を装備したガンマ線スペクトロメータ(Canberra、Meriden、Connecticut、米国、DSA1000)を使用した。

[実施例1の結果および考察] [初期実験、分離および自動化] Jensenら[参考文献15]による予備研究に基づいて、本発明者らの最初の照射は、溶液ターゲットシステムにおいて1.7M 68ZnCl2を使用した。20μAのビーム電流では、ターゲット圧力が5分以内に>150psiに急上昇し、運転を中止しなければならなかった。この結果は、意外ではなかった。本発明者らは、塩化イットリウムでの本発明者らの以前の研究[参考文献16]において同様の結果を観察したことがあったからであった。本発明者らの以前の結果に基づいて、本発明者らは、酸素で加圧した約40psiの、0.2N硝酸溶液中の68Zn(NO3)2に切り替えた。さらに、新規ターゲット設計の冷却増進のため、ターゲットをクローズドシステムとして稼働させた。これらの条件下、30分間、20μAでターゲットに照射した。運転している間、ターゲット内の圧力を100psi未満で維持した。

68Znからの68Gaの分離を遂行するために、本発明者らは、1980年代初頭にStrelowによって開発された陽イオン交換法[参考文献18]を亜鉛および他の金属塩からの非放射性Ga塩の分離用に改良した。1.3gのAG−50W−X8樹脂のカラムを使用した。68Gaは、99%より高い効率で捕捉された。本発明者らは、80%アセトン中の0.5N Hbrで68Znを溶離している間またはその後、カラムを水ですすいでいる間に68Gaの損失を観察しなかった。最終的に、68Gaは、3N HCl溶液(7mL)を使用して溶離効率92〜96%で溶離された。この溶離効率を、3N HCl溶液の量を増加させることによって増すことができるが、後続の処理工程での酸の容積増加という犠牲を払うことになる。作動弁を備えている社内放射化学モジュールを使用して、この同位体分離プロセスを自動化した。

溶液ターゲットの生成条件は、ビーム電流20μAで30分照射について0.2N NHO3溶液中の1.7M 68Zn(NO3)2であった。5.20〜6.27GBq/μgの範囲の比放射能を有する同位体分離後、68Gaの生成収率は、192.5±11.0MBq/μA・hであると判明した(表1を参照されたい)。これらの値は、照射終了時(EOB)に減衰補正したものである。

EOB後2時間の時点で、68Gaの精製試料をHPGe分光測定に付すと、511keVおよび1077keVでの2つのピークのみがはっきりとわかり、これらは両方とも68Gaに対応した。したがって、68Gaの放射性核種純度は、>99.9%であった(図3を参照されたい)。しかし、同じ試料をEOBの36時間後に再び分析すると67Gaに対応する追加のピークが観察され、EOBへの減衰補正によりこのピークは全68Gaの<0.07%であると推定した(図4を参照されたい)。EOB後2時間の時点では、Ga67放出よりGa68放出のほうが優位であった。67Ga不純物の存在は、次の2つの可能性のある核反応に起因すると考えることができる:68Zn(p,2n)67Gaおよび67Zn(p,n)yGa[参考文献19、20]。本発明者らは、60分照射について68Ga生成物中の約0.1%67Ga不純物を予想した。放射化学純度は、陽イオン交換HPLCによって測定して、>99.9%であった(図5を参照されたい)。

同位体分離前および後の68Gaの飽和収率は、それぞれ、0.43±0.01GBq/μAおよび0.36±0.02GBq/μAであると判明した(表2を参照されたい)。本発明者らは、Sadeghiら[参考文献11]によって報告されたような固体ターゲット法を用いる飽和収率との比較を行うことを試みた。これらの著者は、おそらく同位体分離を考慮に入れずに、生成収率を5.032GBq/μA・hと報告した。彼らのデータからの算出飽和収率は、35.3GBq/μAである。したがって、本発明者らの収率は、固体ターゲット収率よりおおよそ83倍低かった。しかし、Sadeghiら[参考文献11]は、同位体分離回数を明記していないため、本発明者らは、単離された生成物の収率を比較することができない。本発明者らは、単離収率の比較は、溶液ターゲット法に多少有利であるだろうと予想した。なぜなら、溶液ターゲット法は、ターゲット溶解工程を必要としないからである。

68Gaの主な最終用途は、分子標的ペプチドを標識する用途であるだろうと考えて、本発明者らは、ICP−MSを使用して最終生成物中の微量金属不純物の存在も分析した。非常に少量のGa(0.32〜0.39μg)は見つかったが、相対的に、より多量のFe、CuおよびNiが観察された(表1を参照されたい)。必要な場合には、Van der Meulenら[参考文献21]によって記載されたようにSnCl2/TiCl3およびAmberchrom CG−161m樹脂を使用して、標識前にこれらの不純物をさらに低減させることができる。さらに、様々なキレート剤に対する最適な標識条件(pH)を達成するために、以前に記載された[参考文献1、22]ような、[68GaCl4]-が有効に捕捉されることになり、それを水でさらに溶出することができる陰イオン交換カラムを使用して、最終68Ga溶液(7mL、3N HCl)を濃縮することができる。 最終pHは、標識条件を満たすために必要な緩衝剤を使用して再調整することができる。本発明者らは、0.2N HNO3溶液ターゲット法で68Zn(NO3)2を使用してサイクロトロンから生成される68Gaの単回線量(370MBq)のコストは、本発明者らが初期試行で見いだした68Znの85〜90%回収率を仮定して、20〜25ドルであると推定している。

非最適化分離時間は60〜80分の範囲であったが、本発明者らは、さらなる開発でこの時間の約45分への短縮を予想した。本発明者らは、分離終了時に約25mCi(0.92GBq)の68Gaを製造することができた。硝酸68Zn濃度を(2X)およびビーム電流を(2X)増加させることによって、本発明者らは、>100mCi(3.7GBq)を事実上達成することができると予想している。これは、標識収率に依存して、2〜4名の対象の必要を満たすことになる。

[実施例1の結論] 0.2N硝酸中の硝酸68Zn溶液を利用して、68Gaの生成および自動分離のための溶液ターゲットアプローチの開発に成功した。5.20〜6.27GBq/μgの範囲の比放射能で、生成収率は、EOBに減衰補正して192.5±11.0MBq/μA・hであると判明した。放射化学純度および放射性核種純度は、両方とも>99.9%であった。68Znのターゲット溶液濃度および照射時間を増加させることで、生成収率をさらに増加させることができるだろう。同位体分離法は、AG 50W−X8樹脂を用いるものであり、80%アセトン中の0.5N HBrの溶液で溶離して亜鉛同位体を除去し、その後、3N HCl中で68Gaを溶離した。ターゲット容積が低減され(1.6mL)、熱伝達が向上したこの新規ターゲット設計によって、クローズドシステムとしの照射が可能になった。したがって、施設内サイクロトロンを有する施設の68Ge/68Ga発生装置の実行可能な代替手段を提供するのに十分な量のガリウム68を低エネルギーサイクロトロンで生成することができる。

[実施例2] [実施例2の概要] 放射性金属の既存の固体ターゲット生成法は、高い資本および稼働支出を必要とし、それによって、放射性金属の生成は、固体ターゲットシステムを備えているほんの一部のサイクロトロン施設に限定される。実施例2において、本発明者らは、多様な放射性金属に適用可能でありえ、通例の放射性金属生成用の既存のサイクロトロン施設によって簡易かつ容易に採用されるであろう、堅固な溶液ターゲット法を開発する。

本発明者らは、ニオブターゲットを使用して89Y(p,n)89Zr核反応によりイットリウム塩の水溶液に14MeVエネルギー陽子を照射することによる、89Zr生成のための簡易化された溶液ターゲットアプローチを開発した。詳細なガス発生メカニズムの研究に従って生成条件を開発した。

この溶液ターゲットアプローチによって固体ターゲット処理の費用およびやっかいな問題は避けられたが、ターゲット内でのガスの急速な放射線分解形成は、溶液ターゲットの成功の大きな障害となる。この難題に対処するために、本発明者らは、系統的なガス発生メカニズム研究を行った。ガス発生は、水の水素および酸素分子への分解に主として起因することが判明した。ガス発生速度は、同じ照射条件下でさえ溶液組成に依存して>40倍変動した。塩化物塩では、ガス発生速度は、Na

3、20μAで2時間照射)を用いると、

89Zrが中等度の収率(4.36±0.48MBq/μA・h)および高い有効比放射能(464±215MBq/μg)で生成された。

基材依存性の放射線誘発水分解に関する実施例2の新規発見は、溶液ターゲット条件の開発および最適化のための基本データを提供する。希硝酸溶液中の硝酸塩に対する照射のためのこの開発した方法論は、64Cu、68Gaおよび86Yのような多様な放射性金属の生成に変形することができ、短寿命同位体によく適している。

[実施例2の序論] PET放射性同位体89Zrは、その良好なイメージング特性(Eβmax 0.9MeV)のため、またキレート剤デスフェリオキサミンを使用してタンパク質および抗体と結合させることが容易であるため、最近、益々関心をもたれている[参考文献23〜25]。その物理的半減期と抗体のクリアランス速度との近似マッチがこの同位体のニッチを創出した[参考文献26、27]。89Zrは、Yフォイル[参考文献28、29]、ペレット[参考文献30]、スパッタ材料[参考文献31]または被着物[参考文献32、33]に12.5〜15MeV陽子を照射する、89Y(p,n)89Zr核反応によって一般に生成される。固体ターゲットアプローチは、ターゲット処理のために高い資本および稼働コストを必要とし、それによって、この同位体の生成は、固体ターゲットシステムを備えているほんの一部のサイクロトロン施設に限定される。固体ターゲットシステムの使用を回避する可能性のある方法は、89Zr生成のための溶液ターゲット法の開発である。溶液ターゲットは、18Fターゲットを稼働するのと同じ方法での配管によって容易に充填され、ホットセルに容易に排出される。溶液ターゲットは、86Y、68Gaおよび94mTcの生成について最近報告されている[参考文献34、35]。

溶液ターゲット開発の主な障害は、本発明者らのグループおよび他者が以前に報告した事[参考文献34〜38]である、照射中のクローズド・ターゲット・システム内でのガスの放射線分解形成およびその後の超高圧の発生である。ほとんどの場合、このターゲット圧力上昇によって照射時間が制限されてきた。本発明者らは、ターゲットシステムからのガスをゆっくりと抜くために背圧調整器の使用を用いた[参考文献37、38]が、これには、ターゲットからの溶液または水蒸気の損失の可能性があるという欠点、および放射線分解によって形成された水素および酸素分子の再結合を妨げるという欠点がある。実施例2において、本発明者らは、放射性金属生成用の堅固な溶液ターゲットを開発するために、ガス形成メカニズムの基礎、およびガス形成を最小にするまたはさらには克服する方法を研究した。

ターゲット開発のために、本発明者らは、イメージング業界におけるその関心レベルおよびそのイットリウム試薬材料の費用負担能力に基づいてターゲット同位体として89Zrを選択した。本発明者らは、89Zrが、溶液ターゲット応用の最悪のシナリオを示すことに気づいた。なぜなら、そのより長い半減期(T1/2=78.4時間)は、有意な量の放射性金属を生成するために長い照射を必要とすることになり、固体ターゲット生成法と比べて引けをとることになるからであった。たとえそうであっても、89Zr生成の低い開発努力コストおよび長い照射要件は、他の興味深い同位体のより長い照射について溶液ターゲットを試験するのに適切な状況を与えることになる。本発明者らは、89Zrのために開発した生成方法論を他の短命な同位体、例えば68Ga、64Cuおよび86Yに変形することができることを予想した。実施例2において、本発明者らは、イットリウム塩の水溶液に対する陽子照射に関連するターゲット内化学現象を研究し、Y(NO3)3溶液を使用する89Zr生成のための条件を開発した。

[実施例2の材料および方法] [ターゲット技術詳細] Bruce Technologies(Raleigh、NC)TS−1650ターゲット(3mL Nbインサート、0.16mm Nbウィンドウフォイル)をPETtraceサイクロトロン(GE HealthCare、Waukesha、Wisconsin、米国)内で使用した。溶液への入射陽子エネルギーは、約14MeVであった。半自動システムをターゲット投入および排出のために開発した(図6を参照されたい)。このシステムは、シリンジポンプと、ターゲット投入溶液を保持するための3mLループを有する2位置型注入弁(V6)と、ターゲットの投入(V1)および排出(V2)を可能にする弁とからなった。ターゲットの頂部で、共通ラインが圧力監視変換器、低圧ガスライン(加圧流体送出弁V3によってターゲットを加圧するためのヘリウム/酸素)、および背圧調整器(圧力調整弁V4)と接続していた。背圧調整器を、放射性ガス放出物を収容するためのサイクロトロンボールト内の遅延ラインにさらに接続した。図6のシステムのターゲットは、図6のシステムが溶液ターゲット10のキャビティ22と流体連通している、図1Aおよび1Bの溶液ターゲット10であってもよい。

室温に近い温度の水が入ってくるPETtraceの標準冷水システムでターゲットを冷却した。メカニズム研究のために、ビーム電流を25μAに設定し、照射時間は5分であった。本発明者らは、異なる基材でガス発生速度の有意差を作るのに5分の時間枠で十分であることを見いだしたので、たった5分の照射をメカニズム研究に選択した。背圧調整器は、ターゲット圧力を<60psiに制限した。発生したターゲットガス容積を、容積測定シリンジ(volumetric syringe)を使用して測定した。

[化学薬品] 硝酸イットリウム(Y(NO3)3・6H2O)は、Strem Chemicals(Newburyport、Massachusetts、米国)から購入した。塩化イットリウム(YCl3・6H2O、微量金属ベース)、無水シュウ酸[TraceSELECT(登録商標)、≧99.9999% 金属ベース(Metals basis)]、炭酸ナトリウム、スルファニルアミド、メタ重亜硫酸ナトリウム、グアイアコール、トリエタノールアミンおよび過酸化水素溶液(H2O中30重量%)は、Sigma−Aldrich(St.Louis、Missouri、米国)から購入した。ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム塩溶液(40%水溶液)および8−アニリノ−1−ナフタレンスルホン酸アンモニウム塩水和物は、Acros Organicsから購入した。塩酸(HClとして34%〜37%)および硝酸(HNO3として67%〜70%)(両方とも微量金属ベース)は、Fisher Scientific(Suwanee、Georgia、米国)から購入した。Chelex−100樹脂(50〜100メッシュ ナトリウム型)は、Bio−Radから購入した。メシル酸デスフェリオキサミンは、EMD Chemicalsから購入した。i−TLC紙は、Agilent Technologies(Palo Alto、California、米国)から購入した。

[機器] Wizard 2480ガンマカウンタ(Perkin Elmer、Waltham、Massachusetts、米国)、Genie 2000ソフトウェアで実行する高純度ゲルマニウムガンマスペクトロメータ(Canberra、Meriden、Connecticut、米国)カウンタを使用して、放射性試料を分析した。CRC線量キャリブレータ(489設定、CRC−55tPET、Capintec、Ramsey、NJ)を使用して放射能読取値を記録した。Agilent Cary 60 UV−Visスペクトロメータを光吸収測定に使用した。

[ガス発生速度の測定] 一定ターゲット圧力を維持するために、背圧調整器(60PSI、Optimize Technologies、Oregon City、Oregon、米国)を通してガスを放出し、遮蔽されたホットシェル内のラインの末端に配置された容積測定シリンジ内に発生したガスを回収した。ガス発生時の変動ビーム調整期間に起因する不正確さを回避するために、本発明者らは、照射に入って1分後にガス容積の記録を開始した。残りの照射期間にわたってガス発生速度の平均値を求めた。

[Y(OH)3の合成および赤外分光測定による特性評価] 3.0mLの水中の塩化イットリウム(3.3mmol、1.0g)を同じく、3.0mLの水中の水酸化ナトリウム(11.5mmol、0.46g)と、最初は0℃で15分間、続いて室温で30分間反応させることによって、水酸化イットリウムを合成した。得られた沈殿物を濾過し、30mLの脱イオン水で洗浄して塩化ナトリウム、未反応水酸化ナトリウムおよび塩化イットリウムを除去した。所望の沈殿物をさらに凍結乾燥させて微量の水を除去した。KBrペレットを使用してFT−IR分光測定を行った(Thermo−Nicolet 370 FT−IR Avatar)。

[89Zr分離および比放射能判定方法] [89Zrの分離] 文献記載の方法[参考文献31、39、40]をわずかに変更することによって、被照射Y(NO3)3溶液中のイットリウムからの89Zr放射性同位体の分離を果たした。照射後、ターゲット溶液混合物を、75mgのヒドロキサメート誘導体化樹脂からなる特注カラムに移した。8mLの純粋アセトニトリル最適グレード、15mLの水(pH=7.0、Chelex−100樹脂に通したもの)および2mLの2N HCl(微量金属ベースグレード)で洗浄することによってカラムを活性化した後、89Zr溶液を負荷した。89Zrの元の容器を5mL分の2N塩酸(微量金属ベース)で2回洗浄し、カラムに負荷して、一切の残留微量89Zrを除去した。この後、カラムを12mL分の2N HClで6回(合計量72mL)洗浄し、続いて20mLのChelex処理水でカラムを洗浄し、その後、吸引してカラムに保持されている水を低減させた。最後に、1.5mLの1Mシュウ酸溶液(微量金属ベース)を使用して、精製シュウ酸89Zrを溶離した。

[比放射能] 文献記載の方法[参考文献31、39、40]の要旨を採用することによって、89Zrの比放射能(MBq/μg)を測定した。前記要旨は、系列希釈によって調製した、既知量のデスフェリオキサミンを含有するシュウ酸89Zr溶液を滴定することによる、89Zrの定量的推定であった。室温で60分以内にかなり急速に複合体形成が起こった。ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)でi−TLCを現像し、続いて、ガンマスペクトロメータを使用して結合(複合体形成)形態と遊離形態両方の89Zrによって生じたγ放出の相対比を測定することによって、遊離89Zrと結合89Zrの相対量を推定した。

[TGS法によるNO2含有量の判定] 被照射ターゲットから発生したガス中のNO2の濃度を判定するために、本発明者らは、米国環境保護庁(EPA)によって採用されている「TGS法」を用いた。TGS法は、Mulikらなどが最初に記載した比色判定アッセイである[参考文献40、42]。この方法は、次の試薬で構成されているNO2吸収溶液を用いるものであった:2%トリエタノールアミン(w/v)、0.05%グアイアコール/o−メトキシフェノール(w/v)、および水中0.25%(w/v)メタ重亜硫酸ナトリウム。溶液ターゲットから放出されたガスを、0℃に保持した30mLの吸収溶液に通してバブリングした。バブリングおよびNO2吸収完了後、その溶液を、短寿命放射性同位体(11Cおよび13N)の崩壊のために一晩、4℃で保存した。1mLの前記溶液に、100μLの希過酸化水素溶液(1部の30%H2O2対125部の水)を添加し、その溶液をよく混ぜた。この溶液に、10%HCl中の(2.15%(w/v))スルファニルアミド 500μLを添加した。勢いよく混ぜた後、600μLのカップリング試薬(水中2%(w/v)8−アニリノ−ナフタレンスルホン酸アンモニウム)を添加し、その溶液をしっかりと混ぜた。その混合物を室温で1分間、放置した後、吸光度(550nm)を判定した。この吸収溶液をブランクとして使用した。特定の容積の購入0.981%NO2(Praxair、Rochester、Minnesota、米国)を30mLの吸収溶液に通してバブリングすることによって、NO2濃度の較正標準物質を生成した。これらの標準物質の吸光度測定値は、線形較正曲線を規定した。ターゲットから放出されるNO2の有効容積を決定するために、その較正データを使用して線形回帰を行った。

[EMD−ChlorineキットによるYCl3照射中の塩素(Cl2)含有量の判定] 流出ガスを、0℃の脱イオン水が入っている直列に接続された3つの30mLバイアルに通してバブリングした。それらの溶液を、短寿命放射性同位体(11Cおよび13N)の崩壊のために一晩、4℃で保存した。EMD−chlorineキット手順に従って、塩素濃度(mg/mL)を測定した。

[水素および酸素含有量の判定] 発生したターゲットガスを、水素検出器(SRI Instruments、Torrence、California、米国)を使用してH2について定性分析した。クラーク型酸素プローブ検出器(YSI Instruments、Yellow Springs、Ohio、米国)を使用して、発生したターゲットガス中の酸素含有量を定量した。1N HNO3中の1.7M Y(NO3)3の溶液に対する照射中、発生したターゲットガスを1N NaOHトラップに通し、その後、最小量の水に浸漬された酸素プローブを収容しているチャンバを通って流した。

[放射性核種純度の測定] 放射性核種純度を測定するために、本発明者らは、高純度ゲルマニウム(HPGe)放射線検出スペクトロメータ(Canberra、Meriden、Connecticut、米国)を使用した。

[統計解析] すべての値を平均±標準偏差として与える。ガス発生速度の差の統計的有意性は、両側スチューデントt検定によって判定した。p値<0.05を統計的に有意と見なした。

[実施例2の結果および考察] [初期実験および主な障害] Y(NO3)3水溶液(0.85〜1.7M)に対する初期陽子照射中、長期ガス発生(>5mL/分)および塩のターゲット内沈殿によって照射は25μAで5分未満に制限された。背圧調整器(0.41MPa)をターゲットのヘッドスペースに備え付けて、ターゲット圧力を維持しながらガスを放出させた。ターゲット沈殿物の赤外スペクトルを得、合成したY(OH)3のものと比較した。Y(OH)3標準試料は、ターゲット沈殿物からの3495cm-1での広いピークとマッチする3445cm-1での広いピークを示した。これにより、ターゲット沈殿物は水酸化イットリウムとして確証された。Y(NO3)3および購入Y2O3の赤外スペクトルも得られた沈殿物と比較したがマッチせず(OH伸縮ピークなし)、その結果、Y(NO3)およびY2O3の可能性は排除された。

[ターゲット内化学現象を理解するためのメカニズム研究] 本発明者らは、より最適な生成戦略の情報をもたらすだろう、ガス発生およびターゲット内沈殿のメカニズム研究に着手した。硝酸イットリウム溶液に対する照射は、文献記載の研究[参考文献43、44]から予測されたとおり、NO2の発生をもたらした(表3を参照されたい)。しかし、ほんの少量(<0.1%)のNO2しか見いだされなかった。塩化イットリウム溶液に対する照射がもたらしたCl2の割合は比較的小さかった(<2.5%)(表4を参照されたい)が、全体的なガス発生は、劇的に増加した(>39mL/分、表5を参照されたい)。水素検出器およびクラーク型酸素プローブ検出器を使用して、発生した主なガスをそれぞれH2およびO2と特性評価した。水素濃度は定量しなかった。1N HNO3中の1.7M Y(NO3)3に対する照射中、発生したターゲットガスを1N NaOHトラップに通し、その後、最小量の水に浸漬された酸素プローブを収容しているチャンバを通って流した。酸素濃度は、水のH2およびO2分子への化学量論的分解と一致して、33.3%±0.04%であると判明した。

[陽イオンおよび陰イオンの効果] ガス発生速度は、陽イオンおよび陰イオン溶質とそれらの濃度の両方に依存した(表5〜6を参照されたい)。1.7M YCl3の溶液は、1.7M Y(NO3)3と比較して8倍多いガスを生成した。対照的に、NaClは、NaNO3と比較して3分の1のガス発生速度を生じさせた(表5を参照されたい)。カルシウム塩についてのガス発生速度は、Y塩とNa塩の間に存した(表5を参照されたい)。このように、周期表のNaからYへと斜め方向に下がるにつれて塩化物塩についてガス発生速度の漸増が観察された(図7を参照されたい)。この傾向は、硝酸塩については逆転され、NaからYへとガス発生速度が減少するに至った(表5を参照されたい)。この逆転傾向は、溶液ターゲットにおける金属陽イオン(Na+、Ca2+およびY3+)と陰イオン(Cl-およびNO3-)の全く異なる相互作用を強く示している。塩濃度を変化させることの効果は、混成の結果をもたらした。YCl3濃度を0.57Mから1.7Mに増加させるとガス発生が47%増加する結果となったが、Y(NO3)3の濃度の同じ増加については効果が観察されなかった(表5を参照されたい)。

[硝酸の効果] 放射線分解メカニズムによってガス発生速度を低下させる試行で、フリーラジカル捕捉剤硝酸およびエタノールを添加剤として用いた(表6、7、8を参照されたい)。1M硝酸の照射溶液への添加は、Y(NO3)3、YCl3(表6を参照されたい)およびNaNO3の1.7M溶液についてガス発生速度をそれぞれ40%、50%および75%低下させる結果となった(表7を参照されたい)。さらに、Ca(NO3)2およびCaCl2の2.55M溶液については、1M硝酸を添加すると、ガス発生速度の48%および50%低下がそれぞれ観察された(表6を参照されたい)。例外的に、ガス発生の20%増加が1Mの硝酸の5.1M NaClへの添加時に観察された(表6を参照されたい)。このガス発生増加は、HClガスおよびNaNO3の形成に至る濃NaClと硝酸の化学反応に起因すると考えることができる[参考文献45]。全体的に見て、1M硝酸の添加は、ガス発生の有意な低減をもたらした。Y(NO3)3濃度を1.7Mで保持したとき、硝酸濃度を1Mから2Mに増加させるとガス発生速度は67%低下した(表8を参照されたい)が、2Mより上では有意な差は観察されなかった。さらに、硝酸の添加は、ターゲット内での塩の沈殿をなくした。これは、実際に放射線スプール内でY(OH)3が生成された場合、硝酸中のY(OH)3がY(NO3)3に即時再可溶化することに起因すると考えることができるだろう。あるいは、ヒドロキシルラジカルがイットリウムと反応する前に硝酸がヒドロキシラジカルを有効に捕捉することもある。硝酸添加のこの効果は、放射線分解が溶液ターゲット内でのガス発生の主要メカニズムであることを示唆している。YCl3とY(NO3)3の両方へのエタノールの添加は、ターゲット内での急速な沈殿物形成をもたらし(表7を参照されたい)、それがガス発生速度の有意義な解釈を不可能にした。

[束一的性質] 陰イオン濃度を同じに保ったまま陽イオンを変えることにより、溶液の束一的性質を調査した。塩化物を5.1Mで一定に保ったとき、NaCl(5.1M)、CaCl2(2.55M)およびYCl3(1.7M)は、酸の不在下でガス発生の増加パターン(Na→Y)を示した(表6を参照されたい)。このガス発生パターンは、硝酸イオン濃度を同じに保ったときには観察されなかった(表6を参照されたい)。YとCa間で差は観察されなかったが、ガス発生速度は逆説的にNaでのほうが高かった。本発明者らは、この発見を明確に説明することができないが、様々な陽イオンと陰イオン間に相互作用があるようである。放射線分解誘発ガス発生は硝酸塩溶液で最低速度でありうるので、陽イオンの効果が強調されうる。

[ガス発生の推定的説明] 電離放射線に起因する水の放射線分解は、文献で十分に立証されている[参考文献46、47]。水放射線分解メカニズムの研究には、反応速度論、線エネルギー付与特性、およびフリーラジカルの同定が用いられている[参考文献48〜66]。水の一次放射線誘発分解生成物は、水素およびヒドロキシルラジカルである(「⇔」は可逆的であることを示す): H2O ⇔ H + HO (1) 式(2a〜d)は、水素およびヒドロキシルラジカルから酸素および水素ガスを形成するための推定反応を説明するものである: H + H→H2 (2a) H + H2O → H2 + HO (2b) HO + 2H2O2 → 2H2O + O2 + HO (2c) 2H2O2 → 2H2O + O2 (2d) サイクロトロンターゲット内での陽子での純水に対する照射は、ターゲット圧力の小さい安定した増分と、測定可能なガス流出がないことによって証明されるように、最小量のガスしか生成しなかった(表7を参照されたい)。以前に述べられているように[参考文献60、64〜66]、この状況では、ラジカル形成の定常状態速度は、ラジカルの再結合速度と等しくならなければならない(式(1))。水中の金属塩の存在は、ラジカルの形成と再結合の平衡を変え、それによって放射線分解を促進しうる。したがって、HまたはOHラジカルのいずれかを用いるいずれの化学種の形成も、それらの再結合速度を低下させることになる。

2M塩化/臭化ナトリウム溶液に対するピコ秒パルス放射線分解を使用する、Mostafaviグループによって行われた最近の研究[参考文献52〜56]により、式(3)および(4)によるCl/BrOH-中間体の形成が明らかになった[参考文献62、63]。5〜6Mハロゲン化物濃度では、形成される主要なフリーラジカルは、X2・-(X=Cl、Br)である[参考文献52、53]。2M濃度でのXOH・-(X=Cl、Br)の高い収率は、ハロゲン化物イオンによるヒドロキシルラジカルの消費を示唆している。本発明者らは、本発明者らの研究においてフリーラジカル中間体を測定することができなかったが、塩化物塩、特にCaおよびYの塩化物塩、の高いガス発生速度の本発明者らの観察は、このメカニズムと一致する。詳細には、塩化物濃度の増加は、溶質をNaCl→CaCl2→YCl3と変えるにつれて、ガス発生の劇的な増加をもたらした(表5を参照されたい)。これは、ClOH・-中間体を形成する、したがってHとOHの再結合を増加させる、ヒドロキシルラジカル捕捉の速度増加に起因すると推定される。同じ陽イオンを維持しつつ塩化物塩濃度を増加させることで、ガス発生速度も増加した(表5、図8aを参照されたい)。 HO・- + X- → XOH・-(X=Cl、Br) (3) HO- + X → XOH(X=Cl、Br) (4) 興味深いことに、Na、CaおよびYの塩化物の溶液に、同じ塩化物濃度を維持して照射したとき(図8bを参照されたい)にもガス発生速度の差が観察され、このことによって金属陽イオンの関与も実証された。ヒドロキシルラジカル消費の仮説をさらに裏付けるために、1N HNO3をYCl3の溶液に添加すると、沈殿は観察されずにガス発生速度が50%低下した。これは、結果としてH2O・+(「正孔」としても公知)を形成する、ヒドロキシル種と酸性陽子(H+)の高い親和性に起因すると考えることができる: HO + HNO3 → H2O・+ + NO3- (5a) Balcerzykらの研究[参考文献52、53]によると、正孔は、硝酸イオンとさらに相互作用して、硝酸ラジカルおよび水分子を形成することができる(式(5b))。 H2O・+ + NO3- → NO3 + H2O(間接的効果−正孔捕捉) (5b) 加えて、硝酸ラジカルを硝酸塩の照射によって直接形成することもでき(式(6))、または硝酸塩の亜硝酸塩および酸素ラジカル中間体(O−)への転化によって形成することもできる(式(7a)および(7b))[参考文献51、52]: NO3- → NO3 + e- (直接的) (6) NO3- → NO2- + O (直接的) (7a) NO2- + O- + H+ → NO3 + HO (間接的) (7b) 最後に、硝酸ラジカルは、水素ラジカルと結合して硝酸を形成することができ、それによって水素ガスの形成と競合する: H + NO3 → HNO3 (8)

このように、硝酸の存在は、いくつかのフリーラジカル種(NO3、H2O・+O-)が中間体として関与しうるが、式(1)と式(5〜8)の組合せによって効果的に水素およびヒドロキシルラジカルを水に戻す。

硝酸の不在下での硝酸塩に対する照射は、ヒドロキシルラジカルと金属陽イオンのより大きい相互作用を可能ならしめ、その結果、ガス発生が増加する。しかし、式(6aおよびb)に従ってヒドロキシルラジカルは硝酸塩溶液中で増加されると予測されるが、式(3および4)に従ってヒドロキシルラジカルは塩化物によって消費され、これは、塩化物塩で観察された、硝酸塩と比較して著しく高いガス発生速度と一致する。それにもかかわらず、硝酸イオンそれ自体の存在は、塩濃度の増加についてのガス発生速度の比較によって証明したように、水分解を減少させるようである(図8cを参照されたい)。(陽イオン濃度を一定に保持して)増加させた塩化物濃度でガス発生の増加が見られたが、硝酸塩については反対のことが見られた(図8aを図8cに対して参照されたい)。前に述べたように、異なる溶液中では全く異なる金属イオン(Na+、Ca2+、Y3+)対陰イオン(Cl-およびNO3-)相互作用が存在する(図8a〜8dを参照されたい)。図8は、ガス発生に見られる傾向を要約したものである。陽子照射に応じて溶液中の異なる金属陽イオンと陰イオンの効果を解明するには、さらなるメカニズム研究を要するだろう。例えば、ピコ秒パルス放射線分解実験[参考文献52〜56]によって肝要な中間体の濃度を判定できることがあり、それによって、そのような相互作用についてのより正確な情報が得られることもある。

[開発した89Zr生成] これらの発見に基づいて、本発明者らは、2.75M Y(NO3)3溶液を用いて、20μAのビーム電流での1〜2時間の照射で比放射能464±215MBq/μgを有する同位体を分離する前に4.36〜4.55MBq/μA・hの89Zr生成収率を得るための、生成条件を開発した(表9を参照されたい)。照射期間を1時間から2時間に増加させたので、ターゲット塩の沈殿を回避するために、HNO3濃度を1Mから1.5Mに増加させた。

すべての実験は、2.75M Y(NO3)3および20μAのビーム電流で行った。収率は、同位体分離前のものであった。

前記条件を包含する7つの実験についての比放射能の測定値を表10に示す。EOB(照射終了)後の24時間後、89Zrの精製試料をHPGeガンマスペクトロメータで分析した。分析は、511keVおよび909keVエネルギーでの2つの光子ピークを示し、これらは両方とも89Zrに対応するものであった。他のピークは一切観察されなかった。これは、89Zrの放射性核種純度が>99%であったことを示す(図9を参照されたい)。

[実施例2の結論] 要約すると、89Zr生成のための溶液ターゲットアプローチの開発に成功した。89Zr生成のための溶液ターゲットを実施する際の主な障害を、放射線誘発水分解および塩のターゲット内沈殿に起因するガス発生と特定した。ガスの発生は、第1〜3族金属にわたって一貫した傾向に従ったが、金属陽イオンと陰イオン(硝酸塩に対して塩化物)との全く異なる相互作用が観察された。ガス発生は、硝酸の添加および硝酸塩の使用によって有意に最小化することができる。実施例2の本研究は、溶液ターゲットの設計および開発に関する基本情報を提供するものであり、他の放射性金属、例えば、68Ga、64Cu、63Zn、86Y、61Cu、99mTc、45Ti、13N、52Mnまたは44Scの生成に応用できるはずである。放射性金属の使用の応用例としては、限定ではないが、医療目的での診断用および治療用化合物の標識が挙げられる。

[実施例3] 実施例3は、溶液ターゲットで13N−アンモニアの生成を記載するものである。13N−アンモニアの生成のために、標準的なHavar(登録商標)コバルト合金フォイル(40μm厚)を備えているがデグレーダフォイルもヘリウム冷却もない溶液ターゲットを構成した。このターゲットに脱イオン水中の50μM EtOH 1.6mLを投入し、90psiに加圧した。ターゲットに16.5MeV陽子(GE PETtrace)を15分間、35μAのビーム電流で照射した。ターゲット圧力は、運転中、約133psiで安定していた。ターゲット液をホットセルに排出し、除菌フィルタ(0.2m)に通した後、生成物バイアルに回収した。生成された13N−アンモニアの量は、減衰について補正せずに513±29mCiであった。13N−アンモニア生成に使用した従来の銀ターゲットは、同じ照射条件下でおおよそ330mCiを生じさせるが、この場合、ターゲットを非放射性水で1回すすいで、生成された13N−アンモニアの移送を増加させる。揮発性13N標識副生成物ガス(NOx)の望ましくない放出は、銀ターゲットでのおおよそ15mCiから新規ターゲットでのおおよそ3mCiへと低減された。

[実施例4] [実施例4の大要] 実施例4は、ターゲットを処理するために使用するヒドロキサム酸樹脂の容易で簡易な合成の開発、およびヒドロキサム酸樹脂から89Zrを溶離すための生体適合性媒体の研究により、溶液ターゲットを使用する89Zrのサイクロトロン生成収率を向上させる。

ヘリウム冷却二重フォイル(0.2mm Alおよび25mm Havar(登録商標))と、ターゲットインサート内の強化された水冷式の細長い溶液キャビティとを使用することによって、熱放散能力が向上した新規溶液ターゲットを設計した。クローズドシステム内で2時間、40μAのビーム電流で14MeV陽子を用いて1.25M硝酸中の硝酸イットリウムの2M溶液に対する照射を行った。ジルコニウム89をヒドロキサム酸樹脂の使用によりYから分離した。クロロギ酸メチルを使用するAccell(商標)Plus CM陽イオン交換樹脂でのカルボキシレート基の活性化、続いての塩酸ヒドロキシルアミンとの反応によって、ヒドロキサム酸樹脂のワンポット合成を遂行した。ヒドロキサム酸樹脂で89Zrを捕捉し、その樹脂をHClおよび水ですすいでYを放出させた後、89Zrを1.2M K2HPO4/KH2PO4緩衝液(pH3.5)で溶離した。ICP−MSを使用して、最終89Zr溶液中の金属不純物を測定した。

新規ターゲットは、1.18±0.79GBq/μgの比放射能の照射終了時に349±49MBq(9.4±1.2mCi)の89Zrを生成した。この新規合成を用いて調製したヒドロキサム酸樹脂は、75mgの樹脂床で93%および100〜120mgの樹脂床で96〜97%の捕捉効率を示した。1.2M K2HPO4/KH2PO4溶液での89Zrの溶離効率は、1Mシュウ酸についての>95%と比較して、91.7±3.7%であることが判明した。リン酸緩衝液での溶離によって得られた金属不純物レベルは非常に小さかった:Al=0.40〜0.86μg(n=2)、Fe=1.22±0.71μg(n=3)、Y=0.29μg(n=1)。

新規溶液ターゲットは、同じ2時間の照射および40μAのビーム電流について以前に報告された153±15MBqから349±49MBqへと、89Zrの生成量を倍増させた。ヒドロキサム酸樹脂の新規ワンポット合成は、89Zr捕捉樹脂のより簡易な合成方法をもたらす。最後に、リン酸緩衝液は、ヒドロキサム酸樹脂から89Zrを高効率で溶離する上、同時に、89Zrのその後の使用のためのより生体適合性の高い媒体にもなる。

[1.実施例4の序論] ジルコニウム89は、その好適なPETイメージング特性(β+max−0.9MeV、22.7%)、および抗体の生物学的半減期とマッチする半減期(T1/2−78.4時間)のため、抗体の標識用に相当な注目を集めている。いくつかのモノクローナル抗体は、二官能性キレート剤デスフェリオキサミン(DFO)を使用して89Zrで標識されており、現在、診断イメージングおよび治療モニタリング応用について治験段階にある。例えば、89Zr−DFO−セツキシマブは、転移性結腸直腸癌のPETイメージングについて研究中である、89Zrで標識された抗上皮増殖因子受容体モノクローナル抗体であり[参考文献67]、その一方で、89Zr−DFO−ベバシズマブは、フォンヒッペル・リンダウ病[参考文献68]、腎細胞癌[参考文献69]、乳癌[参考文献70]および神経内分泌腫瘍[参考文献71]を有する患者の病変の評価について研究中である、89Zrで標識された抗血管内皮増殖因子−Aモノクローナル抗体である。ジルコニウム89−DFO−トラスツズマブは、現在乳癌イメージングについて研究段階にある、放射標識抗HER2モノクローナル抗体である[参考文献72]。様々な他のモノクローナル抗体が、膵臓、卵巣および前立腺癌のPETイメージングについて研究されている[参考文献73]。ジルコニウム89は、89Zr−硫酸プロタミン[参考文献74]、89Zr−オキシン[参考文献75、76]および89Zr−デスフェリオキサミン−NCS 89ZrDBN[参考文献77]を使用する細胞標識についても研究されてきた。89Zrの78.4時間の半減期は、標識された細胞の長期間(数週間)のin−vivo追跡を可能にし、細胞ベースの治療およびイメージングを理解するのに役立っている。

ジルコニウム89は、89Y(p,n)89Zr反応による固体および液体ターゲット法を用いて生成することができる[参考文献78〜80]。固体ターゲット法は、ターゲット・ハンドリング・システムの経費のためにより高いインフラ費用を必要とし、セルフシールドサイクロトロンを備えているPET施設での実施は難題である。しかし、溶液ターゲットアプローチは、ほとんどの施設で89Zrに対する適度の要求を満たすことができる、固体ターゲットシステムの実行可能な代替手段となる。

溶液ターゲットでの放射性金属の生成は、照射中のガス発生に起因するターゲット内塩沈殿および不安定なターゲット圧力[上の実施例2を参照されたい]のため難題であるが、これらの問題は、希硝酸溶液中のターゲット金属の硝酸塩を使用することによって軽減された[上の実施例2を参照されたい]。本発明者らは、ターゲット内化学現象に対する溶液組成の影響に関するメカニズム研究[上の実施例2を参照されたい]、硝酸の効果[上の実施例2を参照されたい]、および68Ga生成中の熱放散を増進する第二世代溶液ターゲット(Brigham Mayo Liquid Target−2またはBMLT−2)設計[上で説明した図1Aおよび1B]を報告した。実施例4の本研究において、本発明者らは、89Zrを生成するためのこのBMLT−2ターゲットの使用を研究した。89Zr生成収率の有意な向上は、以前の結果と匹敵した[上の実施例2を参照されたい]。本発明者らは、前臨床および臨床研究のための89Zrの生体適合性製剤をもたらす、ヒドロキサム酸樹脂からの89Zrの新規溶離方法も開発した。最後に、本発明者らは、89Yターゲット材料から89Zrを分離するために使用されるヒドロキサム酸樹脂の、短時間の簡易化されたワンポット合成も開発した。

[材料および方法] [ターゲット技術詳細] BMLT−2ターゲット(図1Aおよび1B)を、前に記載したように89Zr生成に利用した。このターゲットは、1.6mLのターゲット容積を有する水冷式の細長いTaインサートを含んだ。二重フォイル設計は、0.2mmアルミニウム・デグレーダ・フォイルおよび0.025mm Havar(登録商標)ターゲットウィンドウフォイルに対してヘリウム冷却を使用した。16.4MeV陽子を送出するPETtraceサイクロトロン(GE HealthCare、Waukesha、WI)にターゲットを備え付けた。ターゲット溶液への入射陽子エネルギーは、おおよそ14MeVであった。ターゲット投入および排出には前に説明したように半自動システムを用いた[上の実施例2を参照されたい]。

[化学薬品] 硝酸イットリウム(Y(NO3)3・6H2O)は、Strem Chemicals(Newburyport、Massachusetts、米国)から購入した。無水シュウ酸[TraceSELECT(登録商標)、≧99.9999% 金属ベース]は、Sigma−Aldrich(St.Louis、Missouri、米国)から購入した。硝酸(再蒸留によって精製された70%のもの) ≧99.999% 微量金属ベースは、Fisher Scientific(Suwanee、Georgia、米国)から購入した。Chelex−100樹脂(50〜100メッシュ、ナトリウム型)は、Bio−Radから購入した。Accell Plus CM(300Å、WAT 010740)弱陽イオン交換樹脂(カルボン酸樹脂)は、Waters Inc.(Milford、Massachusetts、米国)から購入した。89Zr溶離に使用したリン酸緩衝液は、≧99.999% 微量金属ベース K2HPO4およびKH2PO4[両方ともSigma−Aldrich(St.Louis、Missouri、米国)から購入]を使用して社内で調製した1.2M K2HPO4/KH2PO4緩衝液(pH3.5)であった。Na2HPO4およびNaH2PO4 ≧99.999% 微量金属ベースも、Sigma−Aldrich(St.Louis、Missouri、米国)から購入した。

[機器] 放射性核種純度を判定するために、Genie 2000ソフトウェアで実行する高純度ゲルマニウムガンマスペクトロメータ(Canberra、Meriden、Connecticut、米国)カウンタを使用した。試料放射能は、CRC線量キャリブレータ(489設定、CRC−55tPET、Capintec、Ramsey、New Jersey、米国)を使用して測定した。Perkin Elmer ELAN DRC II ICP質量分析装置を用いて微量金属不純物を分析した。ThermoNicolet Avatar 370 FT−IR(Waltham、Massachusetts、米国)を使用してKBrペレットとしてIRスペクトルを記録した。

[89Zr分離および比放射能判定方法] [ヒドロキサム酸樹脂の合成] ヒドロキサム酸樹脂は、Accell(商標)Plus CM陽イオン交換カルボン酸樹脂(2.00g)、クロロギ酸メチル(2.0mL、25.8mmol)およびトリエチルアミン(2.0mL、14.3mmol)を、無水ジクロロメタン(30mL)中、0℃で30分間、そしてその後室温でさらに90分間撹拌することによって合成した。その混合物の温度をさらに0℃に低下させ、その後、塩酸ヒドロキシルアミン(0.6g、8.63mmol)およびトリエチルアミン(2.0mL、14.3mmol)を添加した。得られた混合物を室温でさらに15時間撹拌した。真空下で溶媒を除去し、絶えず撹拌しながらその官能化された樹脂が入っているフラスコに冷水を注入した。樹脂を濾過し、水でよく洗浄し、真空下で乾燥させた。回収されたヒドロキサム酸樹脂の総量は、1.9〜2.0gであった。

[ヒドロキサム酸樹脂の検証] 両側にプラスチックフリットを有する空のカートリッジにヒドロキサム酸樹脂を充填した。捕捉効率を試験する前に、樹脂を、以前に記載された[参考文献79、80]ようにアセトニトリル(8mL)、水(15mL)および塩酸(2mL 2M)で活性化した。異なる量のヒドロキサム酸樹脂を、89Zrの捕捉に関するそれらの効率について評価した。樹脂上のカルボキシレート基のヒドロキサメート基への転化も赤外(IR)分光分析によって特性評価した。

[89Zrの分離] 被照射Y(NO3)3/HNO3溶液からの89Zrの分離を、以前に記載された[参考文献80]ような特注ヒドロキサム酸カラムでの89Zrの捕捉によって果たした。2M HCl(75mL)および水(10mL)で樹脂をすすぐことによって、カラムからY(NO3)3ターゲット材料を除去した。1Mシュウ酸を使用して、または1.2M K2HPO4/KH2PO4(pH3.5)(リン酸緩衝液)で構成されている新規溶離試薬を使用して、樹脂からジルコニウム89を溶離した。後述の新規溶離試薬については、2M HClですすぎ、続いて水ですすいでYターゲット材料を除去した後、89Zr含有樹脂を、先ず、約0.25mLのリン酸緩衝液で湿潤し、30分間放置してカラムと相互作用させ、その後、さらなる1.75mLのリン酸緩衝液で89Zrを溶離する2工程手順を用いて、89Zr溶離を行った。溶離される89Zrは、リン酸水素89Zr(89Zr(HPO4)2)の形態である。

[比放射能] ICP−MSを使用する最終89Zr(HPO4)2溶液中に存在するZrの総量の測定に基づいて、89Zrの比放射能(MGq/μg)を算出した。Al、Ga、Fe、Cu、Ni、Zn、Co、Pb、Y、Sc、Rh、Mg、Lu、InおよびCaを含む他の微量金属について試料をアッセイしたが、Fe、Y、AlおよびZrしか検出可能なレベルで存在しないことが判明した。

[統計解析] Microsoft office excelプログラムを使用して、すべての値を平均±標準偏差として与える。

[結果および考察] [樹脂合成および捕捉効率] 以前に記載されヒドロキサム酸樹脂合成は、複数の反応、精製、および危険化学薬品、例えば2,3,5,6−テトラフルオロフェノールの使用を含む、面倒な方法である[参考文献79、82、83]。ヒドロキサム酸樹脂のより実用的かつ経済的な調製法の需要に対処するために、本発明者らは、同じ出発カルボン酸樹脂を使用する簡易化されたワンポット合成法を開発した。クロロギ酸メチルによって活性化し、その後、トリエチルアミンの存在下で塩酸ヒドロキシルアミンを使用してヒドロキサメート官能基に転化させることによって、前記樹脂上のカルボキシレート基を活性化した[参考文献84]。この合成方法を2g規模に最適なものにした。本発明者らは、文献記載のアプローチ[参考文献79]に従って赤外分光分析と89Zr捕捉の両方によりそのヒドロキサム酸樹脂を特性評価した。カルボキシレート部分のカルボニル(>C=O)の非対称および対称伸縮振動数が1571.6および1403.7cm-1に現れた。両方のピークの相対強度は、非官能化樹脂と比較して減少されたが、出発カルボン酸樹脂と比較してヒドロキサメート官能化樹脂ではヒドロキサメート(−CONHOH)の非対称および対称伸縮振動数に特有の1726cm-1および1672cm-1でのさらなるピークが現れた[参考文献79]。加えて、アミドIIバンドに関して1550cm-1における−N−H変およびC−N伸縮振動の中〜高強度のバンドがヒドロキサム酸について報告されている[参考文献85]。本発明者らの場合、本発明者らも1552cm-1での強いバンドを認め、ヒドロキサメート基の存在を確認した。

樹脂を異なる床負荷量で89Zr捕捉効率について試験した。93%の捕捉効率を75mgの床負荷量で得た。より大きい樹脂量(100〜120mg)は、捕捉効率を96〜97%に増加させたが、その場合、89Zrを溶離するためにより大きい緩衝液容積を必要とし、その結果、最終溶液はより希薄になった(下を参照されたい)。したがって、リン酸水素89Zrまたはシュウ酸89Zrの高濃度溶液を得るには75mgの樹脂が最適であることが判明した。

[89Zrの89Zr(HPO4)2としての単離] シュウ酸は、ヒドロキサム酸樹脂からの89Zrの溶離に広範に使用されている[参考文献79、82、83]。しかし、シュウ酸の毒性がこの溶液の生体系における直接使用を妨げている[参考文献79]。Hollandら[参考文献79]は、QMAカートリッジ(陰イオン交換樹脂)を使用してシュウ酸89Zrを89ZrCl2に転化させ、続いて0.9%生理食塩水または1.0M塩酸で溶離する方法を記載した。塩酸は、良好な溶離効率をもたらすが、89Zrのさらなる使用前に110℃蒸発工程を必要とし、その一方で0.9%生理食塩水は、22〜38%の溶離効率しかもたらさなかった[参考文献79]。したがって、改善された89Zr溶離/製剤化戦略が必要である。この課題に対処するために、本発明者らは、リン酸緩衝液を使用して89Zrをヒドロキサム酸樹脂から溶離した。様々な濃度のリン酸緩衝液を評価することによって溶離効率を最適化し(表11)、カラムで最初に30分平衡させた後、合計2mLの緩衝液を使用して91.7±3.7%の溶離効率を生じさせる、pH3.5の1.2M K2HPO4/KH2PO4緩衝液が最適であることを見いだした。4つの0.5mLアリコートで溶離を行って、4つの画分の1つで89Zrの濃度増加を得た。従来のアプローチとの比較のために、1Mシュウ酸溶液(1mL)も89Zrの溶離に用いた。金属不純物をリン酸水素89Zr溶液とシュウ酸89Zr溶液の両方に関して分析し、両方の溶液が同様の少量Al、FeおよびYを含有することを見いだした(表12を参照されたい)。実際、本発明者らは、この製剤化戦略を用いて、シュウ酸に溶出された89Zrを再製剤化する必要なく、幹細胞を有効に標識した[参考文献77]。

[89Zrの生成] BMLT−2ターゲット(図1Aおよび1B)の熱放散能力向上の結果、ビーム電流が40μA≧の89Zr生成中、ターゲット圧力が安定化し、ターゲット内沈殿問題が回避された。本発明者らは、1.25M硝酸中の2M硝酸イットリウムを使用して、ターゲット内沈殿を最小化した。最初に、本発明者らは、クローズド・ターゲット・システムにおけるターゲット内圧力変化のモニタリングによって、10〜40μAの範囲の異なるビーム電流を試験した。本発明者らは、ターゲット圧力が照射10〜20分までに定常状態に達することを確証すると、照射時間を2時間延長した。mA当たりの生成速度は、3.82±0.37MBq/μA・hから4.36±0.60MBq/μA・hへとおおよそ12%増加されたが、ビーム電流の倍増に起因して生じる全放射能が同じ2時間の照射で153.18±15.1MBq[実施例2を参照されたい]から348.88±48.7MBq(表13)へと2倍より大きくなることが判明した。89Zrの比放射能は有意には変更されず、464±215MBq/μg[実施例2を参照されたい]から1186±799MBq/μgになった。

ICP−MSを使用して89Zr生成物溶液中の金属不純物の分析を行った(表14)が、少量のAl(2.28±1.23μg)、Fe(1.90±1.23μg)およびY(0.29±0.21μg)しか見いだされなかった。他のすべての金属は、検出限界未満であった。

89Zrの精製試料をHP−Geガンマスペクトロメータで放射性核種純度について分析した。エネルギースペクトルは、511keVおよび909keVエネルギーでの2つの光子ピークを示し、これらは両方とも89Zrに対応するものであった。他のピークは一切観察されなかった。これは、89Zrの放射性核種純度が>99%であったことを示す(図10を参照されたい)。

[結論] 要約すると、図1Aおよび1Bの新規設計BMLT−2ターゲットは、89Zrの生成速度を3.82±0.37MBq/μA・hから4.36±0.60MBq/μA・hへとおおよそ12%増加させたが、新規ターゲットが電流容量を2倍増加させたので、同じ2時間の照射についての89Zr収率は、153.18±15.1MBqから348.88±48.7MBqへと2倍より大きく増加した。しかし、89Zrの比放射能は有意には変更されず、464±215MBq/μgから1186±799MBq/μgになった。加えて、89Zr生成の実用性を向上させるための、および以前に使用されていたシュウ酸溶液より生物学的に許容される媒体中の最終製剤を得るための、ヒドロキサム酸樹脂の簡易なワンポット合成、およびリン酸緩衝液でのヒドロキサム酸樹脂から89Zrの新規溶離方法を開発した。

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いずれの文書または参考文献の引用も、それが本発明に対して先行技術であることを認めるものと解釈すべきではない。

上で述べたように、本発明は、68Ga、89Zr、64Cu、63Zn、86Y、61Cu、99mTc、45Ti、13N、52Mnまたは44Scを生成および単離する方法、ならびに前記方法において使用するための溶液ターゲットを開示する。68Ga、89Zr、64Cu、63Zn、86Y、61Cu、99mTc、45Ti、13N、52Mnまたは44Scを生成する方法は、クローズド・ターゲット・システムに陽子ビームを照射する工程を含む。前記クローズド・ターゲット・システムは、溶液ターゲットを含むことができる。単離された68Ga、89Zr、64Cu、63Zn、86Y、61Cu、99mTc、45Ti、13N、52Mnまたは44Scを生成する方法は、イオン交換クロマトグラフィーによって68Ga、89Zr、64Cu、63Zn、86Y、61Cu、99mTc、45Ti、13N、52Mnまたは44Scを単離する工程をさらに含む。一例の溶液ターゲットは、ターゲット材料を受けるためのターゲットキャビティを含むターゲット本体と、前記ターゲットキャビティに粒子ビームを指向させるための通路を画成するハウジングと、前記ターゲットキャビティの開口部を覆うためのターゲットウィンドウと、前記通路内のターゲットウィンドウの上流に配置された冷却材流路とを含む。

特定の実施形態に関して本発明を説明したが、例証を目的として提示したものであり、限定を目的として提示したものではない説明した実施形態以外によって本発明を実施することができることは、当業者には理解されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲に記載の範囲は、当然、本明細書に含まれる実施形態の記述に限定されない。

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