【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、大略、穿孔での適用のための粒子加速器に関するものであって、更に詳細には、穿孔で使用するための円形磁気誘導加速器(ベータトロン)に関するものである。 【0002】 【従来の技術】高エネルギ電磁放射供給源は種々の適用のためであって、主には、地層の嵩密度及び岩石組成を測定するためのウエルロギング即ちさく井検層において使用される。 地層密度検層用装置において現在一般的に使用されている技術は、通常137 Csの放射線(化学) 発生源と、典型的にはNaIである2個のガンマ線検知器と、マッドケーキ及び/又はスタンドオフ補正密度測定を派生するための適宜のデータ処理回路及びアルゴリズムを使用している。 密度検知器からのガンマ線エネルギスペクトルの低エネルギ部分から光電効果P e測定(補正又は補正なし)を行なうことも可能であり、それから地層の岩石組成の情報を派生することが可能である。 【0003】しかしながら、この様な装置において放射線発生源が存在していることは該装置の使用中、搬送及び格納期間中に、放射線に関する安全性の問題が発生する。 更に、放射線発生源で得ることの可能な最大エネルギ及び照射フラックスは、該発生源の寸法及びタイプによって制限され、それらのパラメータは、更に、前述した安全性及び取扱い上の考慮によっても影響される。 更に、放射線発生源はホトンを連続的に且つ等方的に発生するので、計時型又は集束型測定に対して容易に使用可能なものではない。 【0004】ウエルロギング(さく井検層)装置において直線粒子加速器を使用することにより前述した放射線発生源の制限を解消する試みがなされている。 この目的のための定在波型直線加速器は、例えば、米国特許第3,976,879号(Turcotte)、米国特許第4,093,854号(Turcotte et a l. )及び米国特許第4,713,581号(Haim son)に記載されている。 この様な直線加速器は放射線安全性、より高いフラックス及びエネルギ出力、及びパルス型動作に関して放射線発生源と比較し利点を与えるものであるが、それらは製造及び維持するために比較的高価である。 それらの複雑性及び信頼性の欠如も欠点である。 【0005】穿孔検層用のベータトロンの使用は、更に、少なくとも理論的には提案されている。 Fishe r et al. 著「石油検層用小型ベータトロン(C ompact Betratrons for Pet roleum Logging)」、高パワー粒子ビームに関する第7回国際会議のプロシーディングズ、Vo l. 2、pp. 1485−90、1988年の文献は、 カリフォルニア大学アーバイン校で開発された一つのタイプのベータトロンを記載しており、著者はそれを穿孔で使用するための寸法構成とすることが可能であると記載している。 この様な穿孔用の寸法とした装置のモンテカルロシミュレーションは、検層の目的のための従来のセシウム発生源と好適に比較されることを表わしている。 しかしながら、このカリフォルニア大学アーバイン校のベータトロンは、軸方向に長尺状に伸ばされており且つ帯電粒子が円形軌道ではなく螺旋軌道上を移動するという点において、従来の円形ベータトロンとは異なっている。 この装置は、循環するエレクトロン(電子)電流を増加させるために、従来のベータトロン磁界に加えてトロイド状磁界を使用している。 しかしながら、この長尺状の構成は、磁界が同等のエネルギの従来のベータトロンよりもより大きな体積を埋め尽くすことが必要であることを意味している。 従って、パルス当りの励起エネルギは一層高く、且つ繰返し速度は円形誘導ベータトロンにおけるよりも一層遅く、これらが欠点となっている。 更に、長尺状の構成は、穿孔の幾何学的形状において磁束閉じ込めを困難なものとしている。 【0006】従来の円形型ベータトロンにおいては、磁極間の実質的に円形な電子軌道を横断する磁界を与えるために二つの対向する磁極を使用することによりフォーカッシング即ち集束が行なわれる。 このタイプの集束は極めて弱く、且つそれ自身十分な電子電荷をトラップさせ且つ完全な所望のエネルギへ加速させることを可能とするものではない。 補助的集束は、表面型ベータトロンにおいて有用なものであるが、穿孔内では空間が制限されているので、穿孔への適用に対しては実際的なものではない。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】従って、従来の円形型ベータトロンは極めて大型で且つ非効率的なものであるか、又は穿孔ホトン発生源として使用するには電子電流が低すぎるものであった。 従って、例えば高温度、制限された空間、制限された電源などのような穿孔内における厳しい環境条件によって直面する拘束条件を充足し、 且つ低コストで且つ信頼性のあるパッケージにおいて所望のホトン出力条件を達成することの可能な粒子加速器を提供することが所望されている。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、ボアホール即ち穿孔において使用すべく適合された小型の円形型磁気誘導加速器即ちベータトロンが、フィールド磁石を持った磁気回路を有すると共に、一般式M 2+ F 2 3+ O 4で表わされるクラスのフェライトから構成される大略円形状の対向した磁極片を有しており、尚MはMn、Z n、Niからなるグループからの二つ又はそれ以上の二価金属イオンを表わしている。 コア磁石は、一つ又はそれ以上の閉ループセクションから構成されており、各ループの一方の脚部は円形状の磁極片の中心を介して軸方向に延在している。 穿孔において使用するための好適実施例においては、このコア磁石は二つの対称的に配設した閉ループを有している。 このコア磁石は低磁気損失物質から構成されており、且つ、好適には、例えばメトグラス(Metglass)テープなどのようなメタライズしたテープの複数回巻着した層から構成されるか、又はメタグラステープとフェライトとの結合から構成される。 フィールド磁石及びコア磁石のこの構成及び組成は、飽和磁束密度を最大とし且つ穿孔の環境における空間拘束条件内における磁気回路の電荷保持能力を最大としている。 【0009】励起回路は、並列又は直列に結合したフィールド磁石コイルとコア磁石コイルと共に配設することが可能である。 本発明によれば、ビームの捕獲及び取出しを行なうために電子ビーム軌道の圧縮(縮小)及び拡大を制御するために種々の技術を使用することが可能である。 スイッチ可能軌道拡大コイルは、好適には、フィールドコイル及びコアコイルの何れか一方又は両方と直列的に接続されており、且つ動作サイクルにおける適宜の時間において該回路内へ取込まれるか又は該回路から外されるべくスイッチ動作され、ベータトロンフラックス(磁束)条件を破壊し且つ電子ビームをその通常の円形軌道から取出す。 取出されると、該ビームはターゲットに衝突し且つ高エネルギガンマ線ホトンを発生する。 軌道拡大コイルは、同調可能なものとすることが可能であり、且つ軌道位置同調用(OPT)コイルとして機能する。 一方、別体のOPTコイルを使用することも可能である。 【0010】フィールド磁石及びコア磁石が並列接続されている一実施例においては、ビーム圧縮及びトラッピングは、コア磁石内のフィールドコイルフラックスに対向するために該コア磁石コイルへ誘導結合された逆巻きコイルによって達成することが可能である。 好適には方形形状である短いパルスがコアコイルに誘導結合されているパルス形成用ライン内において発生され、電子注入及び捕獲サイクル期間中にベータトロン条件を迅速に破壊し且つ回復する。 一方、このパルス形成用ラインを省略することも可能であり、且つビーム注入及び捕獲のためにベータトロンフラックス条件の必要とされる破壊は、コアコイルと直列してOPTコイルを設け、且つ一次回路へ加速電圧パルスを印加した場合にこれら二つのコイルの間で短い期間の電圧分割過渡状態を発生するためにコア磁石のインピーダンスに対してOPTコイルコアのインピーダンスを選択することにより達成することが可能である。 この場合には、電子は、加速電圧パルスの印加と同時的に注入される。 【0011】別の実施例においては、コア磁石コイルへ誘導結合されている逆巻きコイルがフィールド磁石コイル及びスイッチ可能軌道拡大コイルと直列接続されている。 スイッチ可能軌道圧縮コイルがコア磁石コイルと直列接続されている。 軌道圧縮コイルは、ビーム注入サイクルの終了時に該回路からスイッチ動作により切離され、且つ軌道拡大コイルはビーム注入サイクルの終了時に該回路内へスイッチ入力され、その際にベータトロンフラックス条件を破壊してビーム捕獲及び注入を行なう。 【0012】フィールドコイルとコアコイルとが直列接続されており且つ両方が一次コイルによって誘導的に駆動される別の実施例においては、導通状態にある場合に、コアコイルと共に閉ループを形成するために、コアコイルを横断してスイッチが結合されている。 これは、 磁気回路内のベータトロンフラックス条件を破壊し、帯電粒子を螺旋軌道に沿って内側に移動させる。 該スイッチを再度開放すると、ベータフラックス条件が回復され且つ該粒子は円形軌道内にトラップされる。 エネルギ効率が改善される。 なぜならば、閉ループ内の電流の流れが、フィールド磁石に対するアンペア回数の一部を与え、その際に一次コイルによって供給されるアンペア回数を減少させるからである。 拡大コイル及びスイッチはフィールドコイル及びコアコイルと直列的に結合されており、ビーム注入を行なう。 この構成は、フィールドコイルによって誘起されるコアフラックスに対向するための逆巻きコイルに対する必要性を取除いている。 それは、更に、ベータトロン及び励起システムのエネルギ効率を向上させている。 ベータトロン条件は、フィールドコイルとコアコイルの巻数比を適切に選択することにより、又は、所望により、OPTコイルを設けることにより確立することが可能である。 【0013】励起回路を更に簡単化するために、一次コイル及びフィールドコイルを共通コイルの形態に結合することが可能である。 更に、メインの加速サイクル期間中ではなく短い注入サイクル及び取出しサイクルの期間中にのみ導通状態であるように拡大スイッチ及び圧縮スイッチを配設させることが可能である。 従って、スイッチの動作に起因する損失が減少されるばかりではなく、 より低コストのスイッチを使用することが可能であり、 更に経済性を高めることを可能としている。 【0014】 【実施例】高エネルギホトン発生源が使用される地層の密度又はその他のロギング(検層)の目的のために、十分に高い終点ビームエネルギ、好適には2MeV以上のエネルギ及び高平均ビーム電流、好適には1μA以上の平均ビーム電流を有することが望ましい。 ベータトロンの最大ビームエネルギは、電子軌道によって取囲まれる面積及び誘導コア磁石用に使用された物質の飽和磁束密度に比例する。 電子軌道の寸法はさく井ボアの直径により制限されているので、2MeV以上のビームエネルギを得ることは、通常、誘導コア磁石に対し10Kガウス以上の飽和磁束密度を必要とする。 前述した如く、穿孔環境における空間拘束条件は補助的な集束動作を不可能なものとしているので(結果的に得られる電荷電流が低い)、1μA以上の平均ビーム電流を達成するためには、加速器は例えば数KHzの範囲内の高い繰返し速度で動作されねばならない。 更に、ダウンホールロギング(検層)装置の実現可能性の範囲内の電力レベルにおいて所望のビームエネルギ及びビーム電流を得ることが重要である。 このことは、2KWのオーダーである場合があるが、好適には1KW以下である。 【0015】図1は前述した基準を充足する小型ベータトロンの基本的な磁気回路及びコイル構成を示している。 本発明によれば、コア磁石10は、例えば、スパングインダストリーズインコーポレイテッドのマグネティックスディビジョン及びその他のサプライヤから市販されている例えばメトグラス(Metglass)などのような低磁気損失金属テープのビルトアップ層からなる対称的な閉ループセクション10a及び10bから構成されている。 これらのセクション10a及び10bは、 好適には、断面が円形状又は丸くなっており(図2参照)、且つ角部も丸みが付けられている(図1参照)。 これらコアセクションの機械加工の容易性のため及び電子ビーム経路の制御の容易性のために、該コアはメタグラステープと例えばNi−Znフェライトなどのようなフェライトとの複合体から構成することが可能である。 しかしながら、この場合には、幾分低い飽和磁束密度を有するコアとなる。 コアセクション10a及び10bはフィールド磁石12を取囲んでおり、フィールド磁石1 2は一対の対向した大略円形形状のテーパが付けられた磁極片14a及び14bを担持している。 本発明の1特徴として、フィールド磁石12及び磁極片14a及び1 4bの両方が、一般式M 2+ F 2 3+ O 4で表わされるクラスのフェライトから構成されており、尚Mは、マンガン、亜鉛、ニッケルからなるグループからの二つ又はそれ以上の二価金属イオンを表わしている。 理解される如く、Mn−ZnフェライトはMnO、ZnO及びFe 2 O 3の混合物から構成されており、且つNi−ZnフェライトはNiO、ZnO及びFe 2 O 3の混合物から構成されている。 例えば、セラミックメグネティックスインコーポレイテッドからMn−80として市販されているMn−Znフェライトを使用することによって満足の行く結果が得られた。 【0016】磁極片14a及び14bの間に確立された磁界の経路内にこれらの磁極片14a及び14bの中央に位置してセラミック乃至はガラスの環状加速室16が設けられている。 この加速室は、好適には、5×10 -9 mmHg又はそれ以下の真空状態とされている。 加速室16の外側で且つ磁極片14a及び14b及びコア磁石10の中央の軸方向脚部18a及び18bを取囲んでフィールドコイル20が設けられている。 フィールドコイル20は、フィールド磁石12(φ f )及びコア磁石1 0(φ c )の両方において磁束を誘起させる。 後に更に詳細に説明する如く、コア巻線乃至はコイル22は、軸方向のコア脚部18a及び18bのみを取囲んでおり、 フィールドコイル20と並列(図4,6,7)又は直列(図8−11)に接続されている。 両方のコイル20及び22、及びその他の全ての巻線は、好適には、複数個の層からなるコイルのターン間で誘起される容量結合効果を回避するために、単層巻線であることが望ましい。 【0017】加速室16内へ注入される電子は、印加された磁界によりその中にトラップされ且つ所望の終点エネルギに到達するまでほぼ円形状の軌道経路に沿って案内され、次いで該円形軌道から外部へ取出される。 図2 に概略示した如く、加速室壁内のポートを介して延在する注入器26によって、電子が真空室16内へ注入される。 注入の直後において、ベータトロン条件(△φ c / △φ f =β、尚βは幾何学的定数)は注入時においてアップセットされているが再度確立され、且つ該電子は加速室16内のほぼ円形の軌道24を取るようにされる。 該電子が所望のエネルギ及びビーム電流へ加速された後に、ベータトロン条件が再度アップセットされ、且つ電子ビームは円形軌道24から外部へ取出され、ターゲット28に衝突し、その際に高エネルギガンマ線ホトンのフラックスを発生する。 【0018】従来のベータトロン駆動回路においては、 図3に示した如く、高電圧DC電源30がコンデンサ3 2を横断して変調器回路34へ結合されており、該変調器回路34は時間的に変化する加速電圧パルスで所望の繰返し速度で一次ベータトロンコイル回路36をパルス動作する。 各加速サイクル期間中において、コンデンサ32内に格納されたエネルギがスイッチングネットワーク(不図示)を介してベータトロン磁石へ転送され、且つ各サイクルの終了時に、該磁石内の残存エネルギが回復回路網(不図示)を介してコンデンサ32へ帰還される。 システム内の損失は電源30によって補充され、その目的のために、電源30は、コンデンサ32に対して意図された最大電圧に等しいか又はそれ以上の出力電圧を有するものでなければならない。 この様な従来の駆動回路は本発明と共に使用することが可能ではあるが、高電圧コンデンサ充電用電源に対する必要性を取除いた好適な駆動回路が、本願出願人に譲渡されており同日付で米国特許庁に出願された「円形誘導加速器用低電圧変調器」という名称の特許出願に記載されている。 【0019】図4及び図6乃至図11において、本発明に基づくベータトロンコイル回路36の幾つかの実施例が示されており、コイルに対向する平行な実線はコア磁石を表わしており、且つ平行な点線はフィールド磁石を表わしている。 それぞれのコイルの端部に隣接した黒丸の点は、コイルの巻線方向を表わしている。 【0020】図4において、フィールド磁石とコア磁石の両方を取囲むフィールドコイル38が、一次回路のノード41の間において、コアのみを取囲むコアコイル4 0と並列に結合されている。 フィールド磁石38と直列接続して軌道拡大(ビーム取出し)回路が設けられており、該回路は拡大コイル42及び通常閉じたスイッチ4 4を有している。 所望により又は必要性から、軌道位置同調用(OPT)コイル46をコアコイル40又はフィールドコイル38と直列に設け、ベータトロン条件の確立及び電子軌道半径の調節を容易とさせることが可能である。 フィールドコイル38はフィールド磁石フラックス及びコア磁石フラックスの両方に影響を与えるので、 逆巻きコイル48がコアコイル40へ誘導結合されており、フィールドコイル38により誘起されるコア磁石フラックスをオフセットさせ、その際にフィールドコイル38をコア磁石から離脱させている。 該コア上に巻着された別のコイル54が、パルス形成用回路網(PFN) 52へ結合されており、PFN52は、その最後の段としてのコイル54と共に、インピーダンス56を有している。 【0021】従来のDCコイル(不図示)は、何らかの電圧が端子41へ印加される前に、電子が一定の半径の軌道上を循環させる適切な磁界を軌道領域内に与える。 注入時において、スイッチ58は閉成され、且つ図5 (A)において50として示したシャープな電流パルスがコイル54を介して通過される。 この電流パルスの上昇及び下降は、図5(B)において60a及び60bとして示した如く、二つの電圧スパイクをコイル54を横断して誘起させる。 負向パルス60bは電子を減速させる。 印加磁界はこの期間中一定値に維持されるので、このことは、図2に示した如く、電子を内側へ螺旋状に移動させる。 メインの加速電圧パルス70が端子41へ印加される場合にこの注入プロセスは終了する(図5 (C)参照)。 この減速用のパルス60bは、爾後の回転において電子がターゲット28に衝突することがないように十分遠く且つ十分迅速に電子を内側へ強制的に移動させるために比較的高い振幅で且つ十分な期間のものとすべきである。 この減速パルス60bは、更に、電子が加速室の内側壁へ衝突すべく螺旋運動することを防止するために、非常にシャープなカットオフであって、好適には10ナノ秒未満のカットオフを有するべきである。 そのために、メインの加速パルス70は非常に早いライズタイム即ち上昇時間を有するものでなければならない。 【0022】電子の注入及び加速期間中、軌道拡大スイッチ44は閉じられており、コイル42をシャントしており、従って磁極片14a及び14bの間の磁束はフィールドコイル38、コアコイル40、及び、存在する場合には、OPTコイル46を横断する電圧によって制御される。 図4における電子ビームを抽出することが所望される場合には、軌道拡大スイッチ44を迅速に開放させて、拡大コイル42をフィールドコイル38と直列接続させる。 これにより、フィールドコイル内に急激な電圧過渡的状態が発生し、且つベータトロン条件が破壊されて、軌道から電子ビームを取出しターゲット28へ衝突させる。 【0023】図6の実施例においては、フィールドコイル138、コアコイル140、拡大コイル142、スイッチ144、OPTコイル146、逆巻きコイル148 は図4におけるそれらと対応するものと同様である。 図4において電子ビーム圧縮及び捕獲が行なわれる回路要素、即ちコイル54、スイッチ58及びパルス形成用ライン52は、省略されており、且つビーム圧縮及び捕獲は以下の態様で受動的に行なわれる。 【0024】一次ベータトロンコイル回路のノード14 1へ加速電圧パルスを印加するのと同時的に、電子が加速室内へ注入される。 あるスレッシュホールド以下の波形周波数の場合(コア物質に依存する)、閉じたコア上に巻着されたコイル140のインダクタンスは、調節可能な鉄スラグを有するソレノイドであるコイル146のインダクタンスよりも著しく高い。 従って、ノード14 1へ印加される電圧のほとんどはコイル140を横断して表われる。 しかしながら、これは、初期的な過渡的期間中は成立しない。 実際に、ノード141へ電圧を印加した直後に、電圧スパイクがOPTコイル146を横断して発生し、該過渡的状態の期間中ベータトロン条件を破壊し且つ注入した電子を内側へ螺旋移動させる。 この過渡的条件の期間は、OPTコイルコア物質の応答時間と相対的なコア磁石物質の応答時間に依存する。 ベータトロン条件は、電子が加速室の内側壁に螺旋運動して衝突する前に再度確立されねばならない。 ベータトロンコア及びOPTコアの両方に対してMn−Znフェライトを使用することにより、50ナノ秒のオーダーの応答時間が得られ、これは適切なビーム圧縮及び捕獲を達成するのに十分高速であることが判明した。 理解される如く、OPTコイル146とコアコイル140との間の過渡的な電圧分割の期間は、これら二つのコイルの間の相対的なインピーダンスの関数であり、且つ、それは、該コアの物質組成及び幾何学的形状の関数である。 コア物質及び幾何学的形状を適切に選択することにより、別体のコイル又はその他の積極的な回路要素に対する必要性なしに、ビーム圧縮及び捕獲を達成することが可能である。 しかしながら、その目的のための積極的回路要素を使用することは、その他の理由により、コア磁石に対して高速の回復時間物質を使用することが望ましくない場合には有利である。 【0025】図7の実施例においては、フィールドコイル238、逆巻きコイル248、OPTコイル246、 拡大コイル242が全て直列に接続されている。 図4及び図6における如く、通常閉じている軌道拡大スイッチ244が拡大コイル242をブリッジしている。 更に、 コアコイル240及び軌道拡大コイル256及びスイッチ258が、コイル238、248、246、242と並列に接続されている。 動作について説明すると、軌道拡大スイッチ244が電子注入及び加速の両方の期間中に閉成され、一方軌道圧縮スイッチ258は注入期間中に開成され且つ加速及び拡大期間中に閉成される。 加速電圧パルスが圧縮スイッチ258を開成した状態で、ノード241を横断して印加される。 コイル256及び2 40と共に、スイッチ258の内在する容量が、コイル240を横断しての電圧を振動させる。 コイル256のインダクタンスを適切に選択することにより、コイル2 40を横断しての電圧を、軌道領域内の磁界がノード2 41へ印加された電圧に起因して定常的に上昇する場合に、0又は負へ移行させることが可能であり、その際にベータトロン条件を破壊し且つ電子を内側へ螺旋運動させることが可能である。 その場合にスイッチ258が閉成されるが、好適には、コイル240を横断しての電圧が0又は負である場合に閉成され、該電圧をコアコイル240上へ強制的に印加させ且つベータトロン条件を回復して電子ビームを捕獲する。 OPTコイル246及び拡大コイル242及びスイッチ244は、図4に関して説明したのと同様に機能する。 【0026】図7の実施例は積極的なビーム圧縮及び捕獲を与えるが、図4における如き別体のパルス形成ラインを有していない。 図4,6,7における軌道拡大及び圧縮スイッチは加速サイクル期間中に導通状態であるので、それらは、ベータトロン回路へ印加される一次励起エネルギに耐えることが可能なものでなければならない。 【0027】図8乃至11は、ベータトロンコイル及び制御回路のその他の実施例を示しており、その場合、フィールド磁石及びコア磁石を駆動するコイルは直列に接続されており、且つフィールドコイルに対向するための逆巻きコイルに対する必要性が取除かれている。 フィールド磁石回路におけるギャップのために、フィールドコイルのインダクタンスは、閉ループ上に巻着されているコアコイルのインダクタンスよりもかなり低い。 従って、ベータトロンのインダクタンスは、図4、6、7に示したものなどの並列接続したものは、直列接続したものよりも著しく低い。 与えられた最終的なビームエネルギに対応する磁気エネルギはLI 2 /2であり、Lはベータトロンインダクタンスで且つIは電流であり、且つベータトロン及び変調器システムのエネルギ効率はより低い電流に対してより高いので、可及的に高いベータトロンインダクタンスを有することが望ましい。 従って、 図8乃至11の実施例は、向上した効率を与えると共に、銅及び空間を節約し、それらの全ては穿孔用ベータトロンにおいて重要な特性である。 【0028】図8乃至11における基本的な概念は同一であり、且つこれらの図における同一の構成要素にはそれぞれ100の代の値を段階的に増やした参照番号が付されている。 図8において、コイル360は一次駆動コイルである。 IT及びフィールドコイル338は、フィールド磁石及びコア磁石の両方を取囲んでいる。 ビーム加速期間中、スイッチ344は閉成され且つスイッチ3 58は開成される。 ベータトロン条件は、コアコイル3 40及びフィールド338を横断しての電圧の和が0に等しいという条件によって設定される。 フィールド磁石がベータトロン条件がコイル338及び340の巻数比を適切に選択することにより確立することが可能であるように設計されている場合には、付加的なOPTコイルは必要ではない。 コイル342及びそれと関連するスイッチ344は軌道拡大の目的のためである。 何らかの理由により、小さな軌道調節が必要な場合には、OPTコイルを該回路内に挿入することが可能である。 OPTコイル内のフラックス変化がフィールド磁石338内のフラックス変化と比例せねばならないので、そのアンペア回数はフィールド磁石338のアンペア回数と比例すべきである。 これを達成する一つの態様を図9に示してあり、その場合、OPTコイルは一次コイル446及び二次コイル447から構成されており、その巻数比はコイル460と438との間の巻数比と同一である。 ある場合においては、図8におけるコイル338及び360の巻数を同一とすることが望ましい場合があり、その場合、これらの二つのコイルを単一のコイルへ結合させて、図10に示した如く、回路の複雑性を簡単化させることが可能である。 図8及び10は、その他は、電気的に等価である。 【0029】図11に示した回路は、コイル642及びスイッチ644の配置を除いて、図10に示したものと同様である。 同一の電流が両方のコイル660及び64 2を介して流れるので、コイル642を横断しての電圧はフィールド磁石638におけるフラックス変化の割合と比例している。 従って、加速期間中にスイッチ644 が開成状態であると、コイル660,640,642が適切な巻数比を有する限り、ベータトロン条件を確立することが可能である。 【0030】ビーム注入において、図8乃至11の回路におけるノード341−641を横断して正の電圧が印加される。 スイッチ358−658は、初期的に、全ての四つの場合において閉成されており、且つスイッチ3 44−644は図8−10の場合閉成されており且つ図11の場合開成されている。 このことは、ダイオード3 70−670を逆バイアスさせ、それを非導通状態とさせる。 更に、スイッチ358−658は、閉成している場合に、コアコイル340−640と共に閉ループを形成する。 これは、コアフラックスを基本的に不変の状態に維持する。 従って、コイル360−660はフィールド磁石338−638のみを駆動し、電子をインジェクタ即ち注入器から内側へ離れる方向に螺旋移動させる。 この注入期間の終了時において、スイッチ358−65 8が開成される。 コイル340−640の巻数は、コイル340−640を横断して誘起される電圧がダイオードを順方向バイアスさせるようなものである。 その場合に、種々のコイル(図8における338,340、図9 における438,440,447、図10における56 0,540、図11における660,640,642) の間の電圧バランスが回復され且つベータトロン条件が満足される。 ベータトロン条件が確立される速度は、スイッチ358−658のターンオフ時間、スイッチが開成する時における電流、及びノード341−641の間のインピーダンスに依存する。 最良の性能のためには、 ノード341−641の間のインピーダンスは可及的に小さいものとすべきである。 【0031】ビーム注入において、図8−11におけるスイッチ344−644の状態が変化される(即ち、開成状態から閉成状態へ又はその逆)。 先の実施例に関連して説明した如く、このことは、該回路内の電圧バランスを破壊し、且つターゲットに向かって軌道から電子が取出される。 【0032】コイル340−640からなるループ内の電流の流れはフィールド磁石に対しアンペア回数の一部を与えるので、ノード341−641を介して送給されねばならない電流及び変調周波数(ノード341−64 1を介しての電流がピークに到達するのにかかる時間に逆比例)は両方とも減少される。 従って、エネルギ効率が改善される。 図11に示した回路は、両方のスイッチ658及び644が短い注入及び取出しサイクル期間中のみ導通状態であり且つメインの加速サイクル期間中は導通状態にないという付加的な利点を有している。 これらのスイッチの動作に起因する損失は実質的に減少される。 更に、メインの励起エネルギはスイッチ658及び644を介して通過することがないので、比較的廉価なMOSFETスイッチを使用することが可能である。 従って、コスト経済性、寸法、エネルギ損失及び複雑性の全てが改善される。 【0033】密度検層用装置における穿孔ホトン発生源としての前述したタイプの小型ベータトロンを使用した状態を図12に示してある。 ダウンホールゾンデ70 が、マッドケーキ74で被覆された開放した穿孔72内に懸架して示されている。 間接を有するアーム76が、 ゾンデを穿孔の壁に対して押圧している。 該ゾンデは、 加速器セクション78を有しており、それは、ベータトロンを有しており、且つ電源80及びベータトロン用の制御セクション82を有している。 その他の電源(不図示)は、従来公知の如く、その他のダウンホール構成要素に対して必要に応じ設けられている。 制御セクション82は、図3乃至7に示した如く、ベータトロンを駆動するのに必要な変調器回路及びその他の回路を有している。 検知器セクション84は、加速器セクション78から離隔されており且つガンマ線吸収器86によってそれからシールドされている。 該検知器セクションは、好適には、加速器78から異なった距離に離隔された2個又はそれ以上のガンマ線検知器を有している。 制御セクション82及び検知器セクション84の両方がダウンホール信号処理及び遠隔操作セクション88へ接続されており、該セクション88は、ロギングケーブル90を介して、地表における信号処理及び遠隔操作回路92とインターフェースしている。 該回路92は、穿孔及びマッドケーキ補償嵩密度測定を計算するために、短間隔及び長間隔検知器データの処理のためにトラック乃至はスキッドマウント型コンピュータ94へ接続されている。 これらの測定値はデコーダ/プロッタ96へ出力され、それは、該穿孔内の深さの関数として可視的及び/又はテープ状のログ即ち記録を行なう。 そのために、デコーダ/ プロッタ96は、図8に概略示した如く、ケーブルホロワ機構98へ結合されている。 【0034】密度曲線に加えて、△ρ曲線と呼ばれる補償係数のログ(記録)も典型的に発生され且つ記録される。 このトレース、即ち記録は、長間隔検知器データから計算した見掛けの密度値に対してなされた補正を表わしている。 コンピュータ94は、更に、散乱されたガンマ線スペクトルの低エネルギ部分から光電断面特性を測定するためにプログラムすることが可能であり、それから、地層の岩石組成の情報を得ることが可能である。 嵩密度値即ち△ρ値及び光電断面測定値を図8に示したタイプの2検知器地層密度装置から派生する技術は従来公知である。 この技術に関する詳細な説明は、例えば、W ahl et al. 著「二重間隔地層密度検層(Th e Dual Spacing Formation Density Log)」、39回SPE年次会合、 1964年、Ellis etal. 著「岩石組成−密度装置較正(The Litho−Density T ool Calibration)」、SPEペーパー12048、SPE年次技術会議及びイグジビション、 1983年、及び「密度/光電断面検層に対する全スペクトルガンマ−ガンマ技術の適用(The Apply cation of Full Spectrum G amma−Gamma Techniques to Density/Photoelectric Cro ss Section Logging)」、DDDペーパー、SPWLA27回年次シンポジウム、1986 年の文献に記載されている。 【0035】本発明の小型ベータトロンを嵩密度検層用のガンマ線発生源として特に有用なものとして示したが、本発明のベータトロンはこの様な使用に限定されるべきものではなく、ガンマ線発生源が必要とされるその他の検層における適用に対しても使用することが可能なものである。 例えば、それは、可変ガンマ線エネルギレベル又は異なったスペクトル形状が所望される場合に使用することが可能であり、それらは両方とも本発明の穿孔用ベータトロンで達成することが可能である。 以上、 本発明の具体的実施の態様について詳細に説明したが、 本発明は、これら具体例にのみ限定されるべきものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱することなしに種々の変形が可能であることは勿論である。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明に基づいて構成された円形磁気誘導加速器の基本的な磁気回路及びコイル構成を示した概略図。 【図2】 図1のベータトロンの加速室内の帯電粒子の注入及びトラッピングを示した概略図。 【図3】 ベータトロンの基本的な電気回路を示したブロック図。 【図4】 加速室内の電子軌道を圧縮及び拡大するためのフィールドコイル、コアコイル及び関連する回路を有する駆動回路を示した概略図。 【図5】 充電/放電/回復サイクル期間中における低及び高電圧コンデンサを横断しての電圧及び回路内の電流の時間的変化の状態を示した各波形図。 【図6】 加速室内の電子軌道を圧縮及び拡大するためのフィールドコイル、コアコイル及び関連する回路を有する駆動回路を示した概略図。 【図7】 加速室内の電子軌道を圧縮及び拡大するためのフィールドコイル、コアコイル及び関連する回路を有する駆動回路を示した概略図。 【図8】 加速室内の電子軌道を圧縮及び拡大するためのフィールドコイル、コアコイル及び関連する回路を有する駆動回路を示した概略図。 【図9】 加速室内の電子軌道を圧縮及び拡大するためのフィールドコイル、コアコイル及び関連する回路を有する駆動回路を示した概略図。 【図10】 加速室内の電子軌道を圧縮及び拡大するためのフィールドコイル、コアコイル及び関連する回路を有する駆動回路を示した概略図。 【図11】 加速室内の電子軌道を圧縮及び拡大するためのフィールドコイル、コアコイル及び関連する回路を有する駆動回路を示した概略図。 【図12】 ダウンホールホトン発生源として本発明に基づいて構成されたベータトロンを組込んだ穿孔検層装置を示した概略図。 【符号の説明】 10 コア磁石 10a,10b 閉ループセクション 12 フィールド磁石 14a,14b 磁極片 16 加速室 18a,18b 中央軸方向脚部 20 フィールドコイル 22 コアコイル 24 軌道 26 注入器 28 ターゲット ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ウイリアム ベルトッツィ アメリカ合衆国, マサチューセッツ 02173, レキシントン, キャッスル ロード 8 (72)発明者 ゲイリー ダブリュ. コリス アメリカ合衆国, コネチカット 06470, ニュータウン, ブラッシイ ヒル ロ ード 40 (72)発明者 ウイリアム ダイアモンド カナダ国, ケイ0ジェイ 1ピイ0, オンタリオ, ディープ リバー, シェ リドン コート 7 (72)発明者 ジョセフ エイ. ドーセット アメリカ合衆国, コネチカット 06877, リッジフィールド, パンピング ステ ーション 70 (72)発明者 ジェフリー エス. シュバイツァー アメリカ合衆国, コネチカット 06877, リッジフィールド, シルバー ヒル ロード 41 |