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Circular accelerator, electromagnetic wave generator, and electromagnetic wave imaging system

申请号 JP2006260419 申请日 2006-09-26 公开(公告)号 JP4622977B2 公开(公告)日 2011-02-02
申请人 三菱電機株式会社; 发明人 貴久 永山; 博文 田中; 信行 頭本;
摘要
权利要求
  • 高電圧電源から供給されるパルス状電圧を印加することにより電子をパルス的に発生する電子発生手段と、前記電子発生手段で発生した電子を入射し、この入射した電子を加速する電子加速手段、及び前記入射した電子を偏向させるための偏向磁界発生手段を有する ハイブリッド加速器とを具備する円形加速装置において、前記高電圧電源は、 前記電子発生手段で発生する電子パルスに対応した時間幅を有する低電圧パルスを昇圧する回路要素を有し、前記回路要素は、前記電子発生手段に印加する前記パルス状電圧の立ち上がり時間波形及び立ち下がり時間波形の少なくとも一方を鈍らせる ことを特徴とする円形加速装置。
  • パルス状電圧を電子発生手段に印加することにより発生した電子のうち、前記パルス状電圧のピーク値に至る立ち上がり部分に含まれる所定の時点から前記ピーク値を示す所定の時点までに発生する電子を 選択してハイブリッド加速器に入射することを特徴とした請求項1に記載の円形加速装置。
  • パルス状電圧を電子発生手段に印加することにより発生した電子のうち、前記パルス状電圧のピーク値を示す所定の時点から、前記ピーク値到達後の立ち下がり部分に含まれる所定の時点までに発生する電子を 選択してハイブリッド加速器に入射することを特徴とした請求項1に記載の円形加速装置。
  • パルス状電圧を電子発生手段に印加することにより発生した電子のうち、前記パルス状電圧のピーク値に至る立ち上がり部分に含まれる所定の時点から、前記ピーク値到達後の立ち下がり部分に含まれる所定の時点までに発生する電子を 選択してハイブリッド加速器に入射することを特徴とした請求項1に記載の円形加速装置。
  • ハイブリッド加速器に入射する電子の入射エネルギーの広がりは、5%を超えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の円形加速装置。
  • 電子発生手段用の高電圧電源は 、回路要素としてのトランスにより、パルス立ち上がり部の電圧値が時間とともに単調に変化する高電圧パルス を整形するものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の円形加速装置。
  • 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の円形加速装置と、前記円形加速装置を構成する ハイブリッド加速器の電子安定周回軌道上に配置した、電子との衝突により電磁波を発生する電磁波発生用ターゲットとを備えたことを特徴とする電磁波発生装置。
  • 請求項7に記載の電磁波発生装置と、この電磁波発生装置で発生した電磁波を計測する計測部と、この計測部で計測されたデータを処理するデータ処理部とを備えたことを特徴とする電磁波撮像システム。
  • 说明书全文

    この発明は、大電流電子ビームを加速できる円形加速装置と、この円形加速装置を用いて加速した電子をターゲットに衝突させてX線等の電磁波を発生させる電磁波発生装置、及び、この電磁波発生装置を用いて人体や半導体等の透視等を行うX線等による電磁波撮像システムに関するものである。

    以下では、円形加速装置は円形加速器と電子入射手段とこれらを動作させるために必要な電源とで構成されているものとする。 円形加速器とは、電子発生手段で発生した電子を入射電子とし、この入射電子を、その周回軌道上を走行させながら所定のエネルギーにまで加速するもので、必ずしも円形でなくとも良い。 電子が周回することから便宜的に「円形」という用語を付したものである。

    円形加速器を用いたX線等の電磁波発生装置には、円形加速器としてベータトロン加速器を利用したものや電子蓄積リング等のシンクロトロン加速器を利用したものがある。 しかし、ベータトロン加速器の場合、電子相互間のクーロン反発の影響で大電流化が難しく、そのため電子をターゲットに衝突させて発生するX線等の電磁波強度は低くなるため、これを利用した電磁波発生装置を産業・医療応用分野に適用することは困難であった。 また、シンクロトロン加速器を放射光源として利用する場合は、電磁波の強度は高いものの、発生する電磁波のエネルギーが低く、これを利用した電磁波発生装置を産業・医療応用分野に適用することは困難であった。 また、シンクロトロン加速器で高いエネルギーの電磁波を発生させるためには放射光ではなく、ターゲットに電子を衝突させる方法を採用することになるが、その場合はベータトロン加速器の場合と同様、大電流化が難しく、発生するX線等の電磁波強度が低くなるため、高エネルギーの電磁波発生装置としてシンクロトロン加速器を利用した電磁発生装置を産業・医療応用分野に適用することはやはり困難であった。

    このような状況を改善するものとして、所謂ハイブリッド加速器を利用した電磁波発生装置が提案されている(特許文献1)。 ハイブリッド加速器とは、電子をハイブリッド加速器に入射した当初から加速手段により加速しつつ、加速器を構成する偏向電磁石の偏向磁場を、電子の入射時間中は一定とし、入射完了後に変化させるという加速手法を採用している加速器である。 この加速器では、径方向に広い範囲で安定な電子周回軌道が存在するため、前述のような電子の入射を行った場合、入射された電子は入射時期に応じて径の異なる周回軌道上を安定して周回する。 従って、幅の広い周回軌道に分散して電子を周回させることになる。 これにより、電子の空間密度が低減し、その結果、電子相互間のクーロン反発力が小さくなり、大電流加速が可能となる。

    ハイブリッド加速器では、加速手段として、加速磁場により誘起される電界による所謂誘導加速を採用している。 図10は特許文献1に係る発明の偏向磁場強度と加速磁場強度の時間変化を示している。 図10の41は加速磁場強度の時間変化を、42は偏向磁場強度の時間変化を示し、入射はパルス的に行われるものとしている。 ここで、「入射はパルス的に行われる」というのは、矩形波形のパルスの波高値がピーク値になった所定時間入射されるという意味である。 より具体的にはパルスはその発生後すぐにピーク値にまで立ち上がるので、パルス印加時点からピーク値にまで立ち上がるのに必要な一定時間経過後から、更にピーク値を維持している所定時間経過後までを入射時間として設定しているということである。 加速磁場強度41は電子の入射開始時点から増加していくため、電子は入射した時点から加速されることになる。 一方、偏向磁場強度42は入射開始から終了時まで変化せず一定に保持され、入射完了と同時に加速磁場強度41と同様に増加し始める。 偏向磁場強度42が一定の間は、入射した一定エネルギーの電子は、入射とともに加速され、徐々に偏向半径が大きくなる。 従って、入射完了時には入射時点の違いにより加速状態が異なり、入射電子は径方向に広がった軌道上を周回することになる。 その後も所定のエネルギーになるまで加速は継続されるので径方向に広がった周回軌道は更に径方向にその軌道が移動していくことになる。 入射終了後は偏向磁場強度42が増加していくので、入射後の周回軌道の径方向への移動の程度は入射時に比べると通常は小さくなる。 所定のエネルギーにまで加速された後は、偏向磁場強度42を例えば一定値等に制御することにより、径方向に電子ビーム周回軌道を移動させることができる。

    電子が安定して周回できる軌道のうち、所定の径の軌道上にターゲットを配置しておくことにより、電子ビームの周回軌道の径が移動していくことで、ターゲットに電子ビームを衝突させることができ、この衝突によりX線等の電磁波が発生する。 なお、ターゲットはある大きさを持っているので、所定の径方向範囲の周回軌道上を周回する電子はターゲットと衝突可能な状態にある。 このような周回軌道を衝突軌道と呼ぶことにする。
    電子の周回軌道を径方向に移動させている場合でも、電子ビームは径方向に広がって周回しているので、周回軌道半径を徐々に変化させることによって、継続して電子ビームとターゲットとの衝突を起こすことができ、X線を連続して発生させることができる。 また、ターゲットに衝突しても衝突した全ての電子が完全に消滅するわけではなく、衝突後も、エネルギーが減少した電子が残る。 この残留電子も通常安定に周回できるエネルギーの範囲内にあるので、周回毎に加速磁場により再度エネルギーを付与され、衝突軌道に復帰することができるものがある。 このように、この加速器を利用すれば周回電子ビームを効率よく活用して電磁波を発生させることができる。 (特許文献1)

    以上のとおり、径方向に広がった安定な周回軌道を有することで、電子相互間のクーロン反発力が小さくなるため、大電流加速が容易となり、加速磁場強度と偏向磁場強度の制御により、電子の安定周回条件を保持しつつ周回軌道の位置を変えることができるので、周回電子を効率よくターゲットに衝突させることが可能となる。 これにより発生するX線等の電磁波強度を増強することが可能になった。 なお、上記説明では典型的な例としてハイブリッド加速器について説明したが、電子周回軌道を径方向に広げることにより大電流化を図ることができるという事情は、ハイブリッド加速器に限られるわけではない。 円形加速器は程度の差こそあれ、安定周回軌道として径方向に一定の幅を有する。 従って、電子の周回軌道を径方向に広げることにより同様に大電流化を図ることができる。 ただし、加速器によっては磁場による誘導加速ではなく、電界加速方式のものもある。 この場合は、図10の加速磁場強度を電界強度と読み替えれば上記の議論はそのまま成り立つ。

    特許公開2004−296164

    しかし、ハイブリッド加速器では、電子の入射時に加速磁界強度と偏向磁界強度の双方の時間変化を所定の関係になるように制御しなければならず、そのため、電子加速手段や電子偏向手段で磁界を発生させるための電磁石電源制御が複雑になり高コストになるという問題点があった。 このことは、電子加速手段として誘導加速方式を用いる場合だけでなく、電界加速方式を用いる円形加速器の場合にも同様である。 この場合には、電界加速のための電源制御と電子偏向手段で磁界を発生させるための電磁石電源制御が複雑になり高コストになるという問題になる。 従って、ハイブリッド加速器に限らず、上記の方法で円形加速器の大電流化を図ろうとする場合に共通の問題として、電子加速手段に高電圧を供給する電源及び電子偏向手段の偏向磁場を形成するために電流を供給する電源の制御が複雑で高コストになるという問題が生じる。

    本発明に係る円形加速装置は、高電圧電源から供給されるパルス状電圧を印加することにより電子をパルス的に発生する電子発生手段と、前記電子発生手段で発生した電子を入射し、この入射した電子を加速する電子加速手段、及び前記入射した電子を偏向させるための偏向磁界発生手段を有するハイブリッド加速器とからなる円形加速装置であり、前記高電圧電源は、 前記電子発生手段で発生する電子パルスに対応した時間幅を有する低電圧パルスを昇圧する回路要素を有し、前記回路要素は、前記電子発生手段に印加する前記パルス状電圧の立ち上がり時間波形及び立ち下がり時間波形の少なくとも一方を鈍らせるものである。

    この発明によれば、電子発生手段用の簡便な高圧電源を採用することにより、電子偏向手段の偏向磁界の複雑な制御を回避しつつ大電流加速が可能な円形加速装置を実現することができる。 更に、電磁波発生装置及びこの電磁波発生装置を用いた電磁波撮像システムにこの円形加速装置を採用することにより高輝度のX線等電磁波発生装置と高解像の電磁波撮像システムを提供することができる。

    実施の形態1
    本実施の形態に係る発明は、電子発生手段で発生させる電子のエネルギーを変化させつつ円形加速器に入射することにより円形加速器中の電子周回軌道を径方向に拡大するというものである。 この方法により、偏向磁場強度の時間変化を従来技術のように複雑に制御することなく、加速磁場強度の時間変化パターンと同じにしても、入射加速する電子の周回軌道を径方向に広がったものとすることができる。 従って、簡便な手段により、周回電子の空間電荷密度が実効的に低減し、大電流の加速蓄積が可能となる。 ここでは、まず、装置全体の概要を説明し、その後に電子発生手段で発生させる電子のエネルギーを変える手段について説明する。

    図1は本実施の形態1に係る、円形加速器としてハイブリッド加速器を利用した円形加速装置による電磁波発生装置を示したもので、電子ビームが周回する周回軌道平面上での断面図を示したものである。 図1において、1は電子を発生させるための電子発生手段、2は電子発生手段1で発生した電子を入射し、周回軌道上を周回させながら、所定のエネルギーにまで加速する円形加速器で、ここではハイブリッド加速器を例示した。 3は円形加速器2の電子周回軌道上に設置されたX線等電磁波発生用ターゲットで、所定のエネルギーにまで加速された電子が、このX線等電磁波発生用ターゲット3と衝突することにより、X線等の電磁波が発生する。 以上、全体で電磁波発生装置を構成することになる。

    円形加速器2(以下ハイブリッド加速器を例にとり説明する。)の構成機器について、もう少し詳しく説明する。 11はその中を電子が周回する真空ダクト、12は真空ダクト11内を周回する電子の周回軌道で、図示するように径方向に広がっている。 なお、この図に示されている複数の周回軌道12はそれぞれが閉じた軌道を構成しているように描かれているが、後述するように、周回する電子は周回中に加速されるので、これも後述する偏向磁場強度の時間変化の程度に応じて、周回軌道は、同一軌道上に固定される場合や螺旋状に連続して変化するものになる場合がある。 しかし、この周回ごとの径の変化は、変化があったとしても通常は微小なものであるため、大雑把な言い方をすれば閉じた周回軌道22を構成しているということができる。 従って、以下で使用する「閉じた」という記載は、上記の意味を含むものとして使用することとする。 また、記載された周回軌道は電子が安定して周回できる軌道を示すものであり、記載された軌道間にも安定周回軌道は存在する。
    13は円形加速器2の周回軌道12上を走行する電子を加速する機能を持つ電子加速手段、14は周回軌道12で構成される面上で、加速されつつ走行する電子の走行方向を偏向させる電子偏向手段である。 電子加速手段13及び電子偏向手段14には電源(図示していない)により、50Hzから数10kHz程度の交流磁場がかけられており、それぞれを加速磁界、偏向磁界と呼ぶこととする。

    以上をまとめると、電子発生手段1で発生した電子は、円形加速器2に入射され、電子偏向手段14を通過する際に偏向磁界により偏向を受け、真空ダクト11中で閉じた周回軌道12上を周回する。 周回電子は周回中、電子加速手段13を通過する際に電子加速手段13で発生する加速磁界で誘起される電界により加速され、電子偏向手段14で発生する偏向磁界強度の時間変化との関係に対応してその軌道の径を変化させることができる。 加速により所定のエネルギーに達した電子は、上述の方法で、その周回軌道をX線等電磁波発生用ターゲット3の設置位置に移動させることにより、X線等電磁波発生用ターゲット3と衝突することで電子の走行方向にX線等の電磁波が発生する。

    次に、本願発明のポイントとなる電子発生手段1で発生する電子の円形加速器2への入射について、図2を使って説明する。 図2は円形加速器2の電子加速手段13による加速磁場強度21と、電子偏向手段14による偏向磁場強度22と、電子を発生させるために電子発生手段1に印加するパルス状高電圧23の時間波形を示す。 このパルス状高電圧23を拡大して示したのが図3である。 電子発生手段1で発生する電子のエネルギーは印加するパルス状高電圧23の電圧値に依存する。

    加速磁場強度21と偏向磁場強度22とは、互いに類似の波形、例えば正弦波に近い時間変化パターンとする。 この場合は電子加速手段13と電子偏向手段14の磁極ギャップを所定の値にすると、両者の電源を共通化することが可能になり、また図10に示すような、偏向磁場強度の複雑な制御も不要になるので、非常に低コストの電源を構築することが可能となる。 このように類似の波形で磁場制御された場合、入射時間中、偏向磁場強度は加速磁場強度と同様に増加するので、図10の場合と比べて入射時間中の電子の周回軌道変化は小さいものになる。 従って、入射時間中の入射電子軌道の広がりも図10の場合に比べて小さくなることになり、電子密度は相対的に高くなる。 これを避けるために、本発明では入射時の電子エネルギーのばらつきを積極的に拡大することにより、上記環境下でも電子ビームの周回軌道を径方向に広げ、それにより電子密度の低減を図ることとした。 以下、図2、図3で具体的に説明する。

    図2の電子加速手段13の磁場強度21と電子偏向手段14の磁場強度22とがそれぞれ所定値にまで立ち上がった後、電子発生手段1に対して図3の23で示す時間波形のパルス状高電圧を印加する。 この波形は、通常、電子発生手段1に印加するパルス状高電圧の時間波形と異なり、立ち上がり部を鈍らせた形状にしてある。 図1の電子発生手段1からは前記パルス状高電圧23のその時々の電圧値に対応するエネルギーの電子が発生する。 電子発生手段1にかけるパルス状高電圧23の時間波形は、図3に示すように、例えば1μs程度で徐々に立ち上がる時間波形にする。 円形加速器では、入射後の安定した加速が可能な許容入射エネルギー範囲というものがある。 電子発生手段1で発生する電子のエネルギーは先にも述べたとおり、パルス状高電圧値により決まるので、このパルスの高さは上記入射エネルギー範囲の上限値に対応した電圧値に設定される。 一方、上記入射エネルギー範囲の下限値は、図3に示す、徐々に立ち上がる電圧の時間波形中、所定の電圧値に対応することになる。 また、円形加速器2では入射時間についての上限値というのが存在する。 入射時間が長くなりすぎると入射ビームの周回が不安定になるためである。 以上から、図3のパルス状高電圧23の印加時間中、入射後の電子が安定に周回できる入射時間帯が決まることになる。 この入射時間帯を図3の24で示す。

    このように、パルス状高電圧23の時間波形中、時間帯24に対応して発生する電子のエネルギーは初期に低エネルギー、時間の経過とともに高いエネルギーの電子が発生し、その都度円形加速器2に入射される。 エネルギーの低い電子は早く入射され、早い段階から加速されることにより、エネルギーは高くなるので、入射時間帯24の後段で入射される電子のエネルギーと近接してくることにはなる。 しかし、それでも十分に周回軌道の広がりを確保することは可能である。 また、加速磁場強度21と偏向磁場強度22との強度の関係を、電子が一定エネルギーで入射した場合に、入射時間によらず一定軌道を周回するようにすれば、入射エネルギーが異なることにより電子周回軌道は径方向に広がったものになる。 いずれの場合も、加速磁場強度21、偏向磁場強度22の複雑な制御を行うことなく、電子発生手段1に印加するパルス状高電圧23の時間波形立ち上がり部の形状を鈍らせることで、容易に電子の周回軌道を径方向に拡大することができるので、空間電荷を低減でき、大電流化という所期の目的が達成されることになる。 なお、従来のパルス状高電圧の電子発生手段1への印加はパルスが立ち上がり一定電圧になった時点で入射をはじめ、一定電圧が保持されている時点で入射を終了している。 即ち、基本的には一定エネルギーでの入射を前提としたものである。 本願発明は一定電圧になる前の時点から入射を開始し、一定になった後のある時点まで入射を続けるというものであるという点で、従来技術とは全く異なるものである。

    大電流化の程度については図6にその例を示す。 図6は、加速磁場強度21と偏向磁場強度22とを加速によっても周回軌道が変化しないようにした場合の、円形加速器2に入射する電子のエネルギー広がり(エネルギーの幅)をパラメータに、加速電流をシミュレーション計算した結果を示したものである。 図からわかる様に、入射エネルギーの広がりとともに加速電流最大値は増加していくが、エネルギー広がり5%以下では加速電流の増加はあまり見られない。 これはエネルギー広がり5%以下では各エネルギーの平衡軌道の相違が小さく、各エネルギーでのビームサイズ自体の大きさが空間電荷効果を決める主要因となっているからと考えられる。 エネルギー広がりが5%を超えると加速可能電流は急激に増え、エネルギー広がり15%まで、エネルギー広がりの増加とともにほぼ直線的に増加する。 それ以上エネルギー広がりを大きくすると加速電流の増加は再び緩やかとなる。 これはエネルギー広がりがあまりに大きいと円形加速器2の安定周回領域を超えてしまい、電子ビームの一部は安定に周回しなくなることに起因する。 図6からは5倍以上の大電流加速が可能になることが分る。 なお、加速器設計によっては10倍以上の大電流化も可能である。

    次に、X線等の電磁波を発生させる場合には、X線等電磁波発生用ターゲット3に周回する電子を衝突させる必要がある。
    図1の例では、電子発生手段1を円形加速器2の外側に配置し、その外周から電子を入射させる構成を採り、これに対してX線等電磁波発生用ターゲット3は円形加速器2の内側に配置している。 図2に示すような加速磁場強度21と偏向磁場強度22の時間変化の環境下では、相互の強度比率を予め所定の値にしておけば、その値に依存して電子の周回軌道を加速中に径方向内側に移動させることができる。 上記のとおり円形加速器2の径方向に拡大された電子周回軌道を、加速磁界強度21と偏向磁界強度22との関係を所定の関係に定めておくことにより、徐々に内径方向に移動させて、X線等電磁波用ターゲット3に衝突させ、周回軌道の径方向幅に対応した移動時間の間、連続してX線等の電磁波を発生させることができる。 また、加速が終了した時点で偏向磁界に摂動を加えることにより周回軌道を変えてX線等電磁波発生用ターゲット3に衝突させても同様の効果を得ることができる。 このように大電流化した電子ビームをX線等電磁波発生用ターゲット3に衝突させることが可能なので、X線等電磁波発生用ターゲット3のサイズを小さくしても相応強度のX線等電磁波を得ることができる。 即ち、高輝度化が可能となる。

    以上の説明では円形加速器2としてハイブリッド型加速器を例示したが、円形加速器はハイブリッド型加速器に限られるものではない。 一定幅のエネルギーを有する入射電子に対して安定加速が可能なものであれば、これまで説明してきたことと同様の効果を奏することができる。 例えば、シンクロトロン加速器、ベータトロン加速器はこの円形加速器の例である。 ただ、加速器の種類によって、許容される入射エネルギーの幅に違いがあるので、大電流化の改善の程度は異なるものとなる。 また、電子加速手段13は加速磁場により生じる電界で加速する誘導磁場加速であることを前提として説明してきた。 しかし、この方法は誘導磁場加速のみに限定されるものではなく、高周波電界加速の場合もそのまま成立する。 その場合は、図2の加速磁場強度21を加速電界強度と読み替えればよい。

    実施の形態2
    本実施の形態は、電子発生装置1に印加するパルス状高電圧23の時間波形をパルスの立ち下がり部で鈍らせ、この立下り部で発生する電子を円形加速器2に入射するというものである。 図3の時間帯25を入射時間帯として利用することでパルス状高電圧23のパルス立下り部で発生する低エネルギーの電子までを入射電子として利用することができる。 図4には、本実施の形態の他のパルス状高電圧23の時間波形の例を示す。 パルス立下り部を利用するため、パルス立ち上がり部の形状は特に問わない。 図では従来どおり、急峻に立ち上がるものについて示してある。 安定して加速できる入射エネルギー範囲と入射時間という制約から定まる入射時間帯はここでは25で示している。 即ち、パルスのピーク部で始まり、立下り部の所定の時点までの時間帯である。 図3、図4のいずれの場合であっても、電子発生手段1に印加される高電圧は、最初に高く、時間の経過とともに低下していくので、それに対応して、最初に高いエネルギーの電子が円形加速器2に入射され、時間の経過とともにより低いエネルギーの電子が円形加速器2に入射されることになる。 従って、入射完了時点での入射電子のエネルギーの広がりは、図3の場合とは異なり、各入射時のエネルギーの違いよりも拡大することになり、これに対応して入射電子の周回軌道も径方向に広がりを持つ。 このように、パルス状高電圧23の時間波形の立下り部を鈍らせ、この部分を入射に利用した場合も電子周回軌道を径方向に拡大することができるので、実施の形態1の場合と同様に、円形加速器での大電流化を図ることができる。 従って、このような円形加速装置を利用した場合、X線等電磁波発生装置で発生するX線等電磁波の高輝度化が可能となる。

    実施の形態3
    本実施の形態は、電子の入射時間帯を図3の24と25とで示す時間帯を併せたものにするというものである。 この場合は実施の形態1及び2で述べた効果を兼ね備えることになるため、やはり電子周回軌道を径方向に拡大することができ、実施の形態1の場合と同様に、円形加速器での大電流化を図ることができる。 従って、このような円形加速装置を利用した場合、X線等電磁波発生装置で発生するX線等電磁波の高輝度化が可能となる。 但し、既に説明した通り、入射時間帯には上限があるので、実施の形態1、2でそれぞれ説明した時間帯を単純に併せたものにすることはできない場合がある。 このような場合は、両時間帯を併せたものが入射時間帯として許容できる時間幅となるように全体のパルス幅を狭めることにすればよい。

    実施の形態4
    本実施の形態では、電子発生手段1に対して図3に示すパルス状高電圧23を印加するための手段について説明する。 従来のベータトロン加速器等のパルス高圧電源は高電圧発生装置で発生した電荷をコンデンサーに蓄積し、サイラトロン等の真空管でスイッチングすることで発生させていた。 しかし、この方法では、電源の大きさが大きく、高価格で、真空管も頻繁に交換しなければならないという問題があった。 本願発明では、図5に示すような簡単な電源回路で図3に示すパルス状高電圧を発生させることができる。

    電子発生手段1の等価回路31に、所定の高電圧パルスを発生させる為に、最初に低電圧パルスを生成する。 即ち交流電源32の交流電圧を、整流・平滑化回路33で直流化し、IGBTやMOSFET等のスイッチング素子34で所定の低電圧パルスを作成する。 そして、高圧トランス35で昇圧して高電圧にする。 パルス整形は低電圧部で行うので任意のパルス波形整形が容易で、且つ、高圧トランス35で電圧の立ち上がりを鈍らせることができるため、簡単に図3のパルス状高電圧23の波形を実現できる。 また非常に低価格の素子のみを用いて回路を構成することができるため、パルス高圧電源の製造コストを大幅に低減することができる。

    実施の形態5
    実施の形態1ではX線等電磁波発生用ターゲット3は電子の周回軌道12中の内側に配置されていたが、図7に示す様に外側に配置しても実施の形態1と同様の効果を奏する。 電子加速手段13と電子偏向手段14には電磁石電源により50Hzから数10kHz程度の交流磁場がかけられており、両者の磁場強度の関係を所定の値にすると電子ビームは大きく軌道を変化しないである領域の中を安定に加速する。 加速された電子ビームは電子加速手段13と電子偏向手段14の磁場強度の関係を少し変えると外側に移動し、安定周回領域に設置されたX線等電磁波発生用ターゲット3に衝突してX線等の電磁波を発生する。 なお、外側にX線等電磁波発生用ターゲット3を配置した場合、入射直後に一部の電子ビームがX線等電磁波発生用ターゲット3に衝突する。 しかしながら、X線等電磁波発生用ターゲット3の大きさが数μm程度であれば、入射時にX線等電磁波発生用ターゲット3に衝突する電子ビームは僅かであり、大部分の電子ビームは安定に加速することが可能である。

    この場合は、X線等電磁波発生用ターゲット3の配置されている場所よりも内径側で加速が行われることになる。 加速が完了した時点で周回軌道の径を拡大してX線等電磁波発生用ターゲット3の配置されている場所にまで移動させることになる。 移動及びX線等電磁波の発生については実施の形態1で説明したとおりである。 なお、円形加速器の外側近傍でX線等電磁波を発生させる場合は、内側近傍でX線等電磁波を発生させる場合に比べて、照射対象近くにX線等電磁波発生源が配置されることになるので、照射線量密度を高くすることができ、短時間照射が可能になる。 また、撮像倍率を上げることも容易になる。 これは、照射対象位置と撮像位置とを離すことで実現できる。 照射対象とX線等電磁波発生源との距離をR1、照射対象と撮像位置との距離をR2とすると、撮像倍率はR2/R1となる。 R1+R2を一定にした状態で、R1を小さく取れる分、撮像倍率は大きくなる。 逆に、R1が大きいときに撮像倍率を大きくするにはR2を大きくする必要があるが、その場合は必要な施設の広さが大きくなるという問題が発生するというばかりでなく、撮像面積が大きくなるために、単位面積あたりの撮像に利用できる電磁波の強度が低くなり、撮像データの統計精度が低下するという問題も生じる。 なお、R1を小さく取る場合には、照射野はその分だけ小さくなる。

    実施の形態6
    図8は本実施の形態によるX線撮像システム(広義には電磁波撮像システム)の概略構成図である。 この撮像システムは、電磁波発生装置71と、被撮像体、ここでは人体72と、撮像検出器73と、データ処理装置74とで構成されている。 電磁波発生装置71で発生した高輝度X線75は、人体72に照射され、撮像検出器73で検出され、データ処理装置74で処理され、透視画像となる。 電磁波発生装置71では光源サイズ数μmから数10μm程度の高輝度のX線を発生させることができるので、X線の微小な屈折を利用した撮像方法である屈折コントラスト撮像が可能となる。 この方法は、屈折の効果が微小であるため、光源サイズが小さくないと利用できなかった。 しかし光源サイズを小さくすると通常はX線強度が低下してしまうので、十分な統計精度の画像を取ることが困難であった。 そのため、従来はSpring8等の直径が数100m程度の高輝度放射光装置でしか実現できず医学利用が進まなかったが、本発明では、従来のX線管球と同じ程度か、よりコンパクトな電磁波発生装置71を用いて屈折コントラスト撮像が実現できるので、医学利用が大きく促進されると考えられる。 屈折コントラスト撮像法を用いると密度の異なる微小物質の境界を強調した撮像が可能となり、拡大画像をとることもできるので、数mm程度の微小ながんを識別することができる。 しかも、屈折コントラストによる撮像画像では従来の吸収コントラスト撮像画像の10倍以上の高コントラストが実現できるので、従来の撮像方法と比較して1/10程度の低被曝線量で撮像が実現できる。

    図9は、図8に記載のシステムで、微小がんを想定した直径1mmの等価物質球の透過撮像画像をシミュレーションした結果である。 ターゲットサイズは10μm、電子ビームの加速エネルギーを1MeVとし、ビーム電流値は、入射ビームのΔE/E=15%のときの値である2Aを仮定した。 81は従来の吸収コントラスト画像、82は屈折コントラスト画像を示す。 屈折コントラスト画像82のくっきりとした部分が水等価物質球の境界を示すもので、吸収コントラスト画像81との違いは歴然としている。 このような屈折コントラスト撮像法を利用できるのは微小光源でかつ線源強度が大きい、高輝度光源であるということによるものである。 これにより、本願発明をX線撮像システムの光源として利用することの意義が実証できた。 このことはX線のみでなく発生する電磁波全体についても当然に成立する。

    なお、X線撮像システムの撮像対象は人体に限られるものではない、例えばパワー半導体を透視することで、従来の吸収コントラスト撮像法では見えなかった、素子中のアルミ配線を、屈折コントラスト撮像法を用いることにより見ることができる。 これは、屈折コントラスト撮像法では原子番号の近い2つの物質の識別が可能なので、シリコンと原子番号の近いアルミ配線でも識別できるということによるものである。

    本発明の実施の形態1に係る電磁波発生装置の断面図

    本発明の実施の形態1に係る円形加速器の電子加速手段と電子偏向手段の磁場強度の時間波形と電子発生手段に印加する電圧のタイミングを示す図

    本発明の実施の形態1乃至3に係る電子発生手段に印加するパルス状高電圧の時間波形を示す図

    本発明の実施の形態2に係る電子発生手段に印加するパルス状高電圧の時間波形を示す図

    本発明の実施の形態4に係る円形加速装置の電子発生手段にかける高電圧電源の概略回路構成図。

    本発明の実施の形態1に係る円形加速器の加速電流と電子発生手段で発生する電子のエネルギー広がりの関係を示す図

    本発明の実施の形態5に係る電磁波発生装置の断面図

    本発明の実施の形態6に係るX線撮像システムの概略構成図である。

    本発明の実施の形態6に係るX線撮像システムで撮影した1mm球の撮像画像のシミュレーション結果の図

    背景技術に係る円形加速器の電子加速手段と電子偏向手段の磁場強度の時間波形を示す図

    符号の説明

    1 電子発生手段、2 円形加速器、3 X線等電磁波発生用ターゲット、11 真空ダクト、12 電子の周回軌道、13 電子加速手段、14 電子偏向手段、21 電子加速手段の磁場強度、22 電子偏向手段の磁場強度、23 電子発生手段にかけるパルス状高電圧、24 入射時間帯、25 入射時間帯、31 電子発生手段の等価回路、32 交流電源、33 整流・平滑化回路、34 スイッチング素子、35 高圧トランス、41 従来の電子加速手段の磁場強度、42 従来の電子偏向手段の磁場強度、71 電磁波発生装置、72 人体、73 撮像検出器、74 データ処理装置、75 X線、81 従来の吸収コントラスト画像、82 本発明の電磁波発生装置を利用した屈折コントラスト画像

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