【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、複数の端末が相互に通信を行う無線通信網で用いられる主局端末及び従局端末に関する。 【0002】 【従来の技術】複数の無線通信端末が1つの無線通信網を構成し、該無線通信網内において通信リンクを確立して信号の送受信を行うシステムとしては、いわゆるブルートゥース(Bluetooth)無線通信システムが一般に知られている。 ブルートゥース(以下、単に「BT」と称する)無線通信システムは、極めて近距離に置かれる、例えば携帯電話とノートパソコン或いは、ステレオ装置とヘッドフォンなどの端末機器相互間を、2.4GHz帯域の微弱電波による無線通信リンクで接続してデータや音声等の信号を無線伝送するものである。 【0003】BTシステムでは、BTの仕様規格を満足するモジュール(以下、単に「BTモジュール」と称する)を内蔵する情報端末機器(以下、単に「BT機器」 と称する)間で、1対1のいわゆるポイント−ポイントの信号伝送を行う場合もあるが、一般には、複数のBT 機器が1つのネットワークを構成してネットワーク内における信号伝送を行うことが多い。 BTシステムにおいては、このような1対nのいわゆるポイント−マルチポイントの信号伝送ネットワークをピコネットと称している。 【0004】1のピコネットにはBT機器を最大8台まで含めることができ、その内の1つのBT機器が「マスター」と呼ばれ、他のBT機器は「スレーブ」と呼ばれる。 マスターは、そのピコネット内におけるBT無線通信リンクの形成、及びその他の通信手順を制御するものであり、各々のスレーブはマスターとの間でのみ信号の伝送を行うことができる。 【0005】マスターとスレーブの両機能は、各BT機器が内蔵するBTモジュールに固定して定められた機能ではなく、各々のBTモジュールが、かかる双方の機能を具備しており、必要に応じて双方の機能を使い分けることが可能になっている。 但し、1つのピコネット内に存在するマスターは常に1つのみである。 マスターとスレーブ間の信号伝送の手順は、先ず、双方のBTモジュール間においてBT仕様に基づく無線通信リンクを形成し、続いて当該無線通信リンクを介して信号の伝送が行われる。 BTモジュール間の信号伝送は、時間軸上におけるタイムスロット(原則として625μS)を一単位とし、かかるタイムスロットを相互に時分割して使用することにより行われる。 つまり、マスターとスレーブ間の信号伝送は、送信と受信を相互に行う半二重通信の一種であるTDD(Time Division Duplexing)方式が採用されている。 因みに、無線通信リンクの確立したBTモジュール間における通信速度は最大1Mbpsである。 【0006】また、BT無線通信システムにおける変調方式として周波数ホッピング型のスペクトラム拡散方式を採用している。 かかる変調方式は、通常の狭帯域変調方式の搬送波周波数を短時間に切り換えていく方式であり、この周波数の切換を周波数ホッピングというのである。 BT無線通信システムでは、2.4GHz帯域において1MHz間隔で79波のホッピング周波数を有している。 また、前述のタイムスロット(625μS)毎にかかる周波数ホッピングを行うので、毎秒1600回の周波数ホッピングが行われる。 【0007】なお、如何なる順序で、如何なる周波数を用いて周波数ホッピングを行うかの手順をホッピングパターンといい、各BT機器固有の識別番号に相当するB Tデバイスアドレスと、各BT機器の使用するクロックの値から所定の手順に基づいて算出される。 当然のことであるが、マスターとスレーブが相互にデータの伝送を行うためには、同一のホッピングパターンを使用しなければならない。 従って、ピコネット内のBT機器が、無線通信リンクを確立するには、相手側機器のBTデバイスアドレスやクロック値を知る必要がある。 このため、 ピコネット内の各BT機器は、後述する「問い合わせ」 (Inquiry)や「呼び出し」(Page)等の通信処理手順を実行することによってこれらの情報を交換するのである。 【0008】先ず、マスターが特定のスレーブと通信を行うためには、マスターの通信エリア内に存在するスレーブを「問い合わせ」処理によって確認した後、接続を目的とするスレーブを呼び出す「呼び出し」処理を行って両BT機器間の接続処理を行うことになる。 従って、 ピコネット内における通信行う際に、マスターは、「問い合わせ」処理によって確認したBT機器のBTデバイスアドレスを、例えばディスプレイ画面等に表示して、 どのような機器との間でピコネットを形成し得るかをユーザーに告知する必要がある。 【0009】しかしながら、例えば、ノートパソコンのマスターに対するスレーブとして複数のプリンターが存在するような場合、スレーブ機器のBTデバイスアドレスのみを表示するのでは、ユーザーにとってピコネット内に在る各々のスレーブが具体的にどのプリンターに相当するかが判り難い。 何故ならユーザーは、殆どの場合、『A社製プリンター』或いは『小型プリンター』と言う具合に、スレーブとなるプリンターのメーカーや特徴は認知していても、そのBTデバイスアドレスまでも認知していることは希だからである。 更に、スレーブ機器が同一メーカー・同一形式のプリンターであるような場合は、ユーザーにとってスレーブとなるBT機器の識別は一層困難な問題となる。 【0010】また、マスターが、例えばコンポーネント・ステレオアンプのような場合は、スレーブ機器のBT デバイスアドレス一覧を十分に表示できるようなディスプレイを有していないこともある。 従って、ユーザーがピコネット内に存するスレーブ機器のBTデバイスアドレスと、それに対応した具体的なスレーブ機器を視覚的に認識するには何らかの解決方法が必須となる。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、ユーザーがピコネット内の特定のスレーブ機器を認識可能なBT端末を提供することを目的とする。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明は、1の主局端末と、複数の従局端末が相互に通信を行う無線通信網において用いられる主局端末であって、前記無線通信網内に存する複数の従局端末を探知し、該従局端末と通信を行う無線通信部と、前記無線通信部により探知された従局端末の内の少なくとも1局を選択する選択信号を生成し、前記無線通信部をして前記選択信号を該従局端末に向けて送信する制御部と、従局端末を個別に特定するための第1の識別子を含む従局端末特定指令の操作入力を受け入れる操作入力部とを含み、前記制御部は、前記従局端末特定指令に含まれる第1の識別子と、前記選択信号によって選択された1の従局端末とを対応づけることを特徴とする。 【0013】また、本発明は、1の主局端末と、複数の従局端末が相互に通信を行う無線通信網において用いられる従局端末であって、前記無線通信網内に存する1の主局端末と通信を行う無線通信部と、前記無線通信部を介して前記主局端末より受信した自局端末を対象とする選択信号を認識する制御部と、前記選択信号に基づいて所定の告知動作を為す選択告知部とを含むことを特徴とする。 【0014】 【発明の実施の形態】本発明による無線通信網の実施例を図1のピコネット構成図に示す。 図1に示すピコネットは、パソコン1、モニター装置2、モニター装置3、 及びモニター装置4の各情報端末機器を含むBT機器から構成されており、各々のBT機器には、各機器相互間における通信処理を担うBT無線通信端末がそれぞれ付随している。 かかるBT無線通信端末は、主にBTモジュールとそれを制御するCPUなどから構成されており、パソコン1やモニター装置2などの各情報端末機器は、BTプロトコルスタックの上位に位置するアプリケーションプログラムを介して各々のBTモジュールに接続されている。 因みに、BTプロトコルスタックとは、 BTモジュールが他のBTモジュールとの間で接続を行う際の通信処理手順を多層構造的にサポートするOSシステムの一種である。 【0015】本実施例では、ピコネット内でパソコン1 がマスターのBT機器となり、モニター装置2等の他の周辺機器がスレーブのBT機器となっている。 但し、本発明による実施形態は図1の構成に限定されるものではなく、スレーブとなる機器の数は、同一のピコネット内において7台までの範囲で自在に増減することが可能であり、また、必要に応じてパソコン1以外の他のBT機器がマスターとなることもできる。 【0016】次に、図1のピコネット内の各BT機器の構成を図2のブロック図に示す。 なお、図2は一般的なBT機器の構成を示すため、図中における情報端末機器は特に限定していない。 図2において、アンテナ10 は、ピコネット内の他のBT機器との通信に際して2. 4GHz帯域の電波の送受信を行うものである。 【0017】無線通信部11は、主に、BT仕様V1. 0等に規定された汎用のBTモジュールから構成される。 ここで、BTモジュールの構成を概説すれば、アンテナ10に接続された高周波処理部、周波数ホッピングの算出を行うホップ周波数計算部、伝送パケットや無線通信リンクの制御を行い、かつ伝送信号の誤り訂正や通信手順におけるセキュリティ制御等の処理を司るベースバンド信号処理部、そして以上の各部分を総括的に制御するCPU部、種々のデータを記憶するフラッシュメモリ等の記憶部から成り立っている。 【0018】制御部12は、主にマイクロコンピュータ(以下、単にμCPUと称する)から構成されており、 図2に示すBT機器全体の動作を制御すると共に、BT モジュールを介して、情報端末機器17とピコネット内に存する他のBT機器との通信処理を制御するものである。 記憶部13は、主にROM、RAM等のメモリ素子から構成されており、ここにBT機器の動作を制御するアプリケーションプログラムが格納されている。 また、 記憶部13にはいわゆる不揮発性のRAMも含まれており、例えばピコネット内で接続を予定する他のBT機器の属性等のデータが記憶される。 【0019】インターフェイス部14は、前記制御部1 2と情報端末機器17等とを接続する部分であり、例えばRS−232C等のシリアル・インターフェイスや、 セントロニクス等のパラレル・インターフェイスなどの汎用インターフェイスを用いて各部の間でデータの授受を行う。 表示部15は、液晶や有機EL(electrolumine scence)等のディスプレイを用いたデータ表示部分であり、例えばピコネット内に存する他のBT機器のBTデバイスアドレスや当該機器の属性等の情報がここに表示される。 【0020】操作入力部16は、キーボードやテンキー等からなる操作入力部であり、ここからユーザーが種々のデータや指示を入力する。 情報端末機器17は、図1 のピコネット構成図に示すように、例えばパソコンやモニター装置等の周辺機器がこれに相当する。 なお、図2 のブロック図では、表示部15、操作入力部16、及び情報端末機器17を各々個別に記載しているが、例えば、情報端末機器17がディスプレイやキーボード等の情報入出力部を有するときは、これをもって表示部15 や操作入力部16の代用とする構成としても良い。 本実施例では、マスターとなるBT機器をパソコンと想定し、スレーブとなるBT機器をモニター装置と想定している。 このため、以下本文では表示部15及び操作入力部16は、マスター及びスレーブ共にパソコン或いはモニター装置が具備しているディスプレイ画面及びキーボードを用いるものとして説明を行う。 【0021】本発明の第1の実施形態における処理動作を、添付図面に示すフローチャートに基づいて説明する。 先ず、マスター側BT機器(パソコン1)における処理動作について図3のフローチャートに基づいて説明を行う。 なお、図3のフローチャートに示す処理サブルーチン(以下、単に「サブルーチン」又は「本サブルーチン」と称する)は、無線通信部11に含まれるBTモジュールに対するいわゆるアプリケーションプログラムの1つとして位置づけられるものである。 即ち、本サブルーチンは、図2のBT機器全体を制御するメインルーチンプログラム(図示せず)と共に記憶部13のメモリー内に記憶されており、所定のタイミングに従って、制御部12のμCPUが本サブルーチンを内蔵クロックに同期して1ステップずつ実行することになる。 【0022】従って、本サブルーチンは、ユーザーが情報端末機器17から特定の指令を入力することによって起動されるようにしても良いし、所定のタイミング、例えば、端末の電源投入時やリセット時などのいわゆる初期設定時に、ユーザーがスレーブとなる情報端末機器を確認すべく起動されるようにしても良い。 本サブルーチンが起動されると、先ず、ステップ10において制御部12は、無線通信部11に対して「問い合わせ」処理の実行を指令する。 【0023】かかる指令を受けて無線通信部11内のB Tモジュールは、図1に示すピコネット内における「問い合わせ」処理を実行する。 因みに、BTシステムにおける「問い合わせ」処理とは、マスターとなるBT機器がその周辺に他の如何なるBT機器が存在するかを確認するために行う通信処理手順であり、マスター機器が自己の周辺に同報パケットを連続的に送信し、それを受信したBT機器が自己に関する情報を返送することによって実行されるものである。 【0024】すなわち、ステップ10の処理行程では、 先ず、マスター側からIQパケット(同報パケット)を周囲に同報送信する「問い合わせ同報」(Inquiry Broad cast)処理が実行される。 そして、スレーブ側においては、マスターからのIQパケットを受信すべく受信周波数のホッピングを行う「問い合わせ走査」(Inquiry Sca n)処理及び、受信したIQパケットに対する応答であるFHSパケットをマスター側に返送する「問い合わせ応答」(Inquiry Respons)処理が実行される。 【0025】従って、以下の説明ではピコネット内でスレーブとなる他のBT機器の電源が投入されており、各スレーブ側機器が「問い合わせ走査」処理、或いは「問い合わせ応答」処理の実施ができる状況にあることを前提とする。 ステップ10において前記一連の「問い合わせ」処理が終了すると、制御部12はステップ12に移行して、「問い合わせ応答」処理によって応答があった他のBT機器の有無を判断する。 【0026】ステップ12で、他のスレーブ機器から一切の応答がなかったと判断された場合、制御部12は、 本サブルーチンを速やかに終了してメインルーチンに復帰する。 一方、ステップ12で他のBT機器からの応答があったと判断された場合、制御部12は、ステップ1 4に移行して応答があったBT機器の一覧を作成し、これを情報端末機器17であるパソコン1のディスプレイ画面に表示する。 【0027】かかるBT機器一覧の表示方法としては、 ユーザーの理解を容易にすべく、例えば、予め記憶部1 3に記憶されているスレーブ機器と成り得る情報端末機器の属性データ(機器型番、製造メーカー等)を検索して、そのBTデバイスアドレスと共に表示するようにしても良い。 また、それらの情報端末機器を、例えば、モニター或いはプリンターなどの製品別のカテゴリーで分類表示するようにしても良い。 【0028】ここで表示の一例を示せば、例えば、図4 の表示画面構成図のようにマスター機器(パソコン1) に対して接続が可能なスレーブ機器(本実施例ではモニター装置2〜4)をBTデバイスアドレスと共に、その名称及び属性が識別できる程度のデータを付して表示するようにしても良い。 ユーザーは、かかる表示画面を視認することにより、図1のピコネット内においてパソコン1と接続可能なモニター装置2〜4を的確かつ迅速に把握することができる。 但し、この段階ではユーザーが画面に表示されたモニター装置の一覧から、それが具体的にどのモニター装置に相当するかを判断することは難しい。 特に、モニター装置が全て同一メーカーによる同一形式である場合はその識別は極めて困難といえる。 【0029】そこで、制御部12は、次のステップ16 において、表示された1つ目のモニター装置、例えば、 モニター装置2を特定のスレーブ機器として選択し、スレーブ選択カウンタk(以下、単にカウンタkと称する)の値を1にセットする。 そして、次のステップ18 において、選択したモニター装置2との間にBT無線通信リンクの接続を図るべく、無線通信部11内のBTモジュールに対して、当該スレーブを対象とした「呼び出し」処理の実行を指令する。 【0030】BTシステムにおける「呼び出し」処理とは、マスター機器がピコネット内に存する特定のスレーブ機器をピコネットに参加させる、即ちマスター機器との接続を成す為に行う処理である。 因みに、「呼び出し」処理は主に、マスター機器が行う「呼び出し送信」 (Page)処理、スレーブ機器が行う「呼び出し走査」(Pag e Scan)処理、マスターとスレーブが相互に行う「呼び出し応答」(Page Respons)処理から構成されている。 【0031】なお、本実施例において、ステップ18における「呼び出し」処理が遂行されるためには、両BT 機器同士が通信可能な範囲内におり、かつスレーブ側機器の電源が投入されていて、スレーブ側のBTモジュールが前記の「呼び出し走査」処理等を実行し得ることが前提となることは言うまでもない。 ステップ18において一連の「呼び出し」処理が終了すると、制御部12 は、次のステップ20に移り、今回選択したスレーブ機器、即ちモニター装置2とのBT無線通信リンクによる接続が完了したか否かを判断する。 【0032】因みに、接続が完了した場合、マスター機器とスレーブ機器の両BTモジュールは、いわゆる「通信接続フェーズ」に遷移する。 即ち、両BTモジュールにおける周波数ホッピングパターンは、マスター側のB Tデバイスアドレスから算出されたパターンが用いられ、また、通信リンク上のタイムスロットの同期はマスター側のBTクロックを基準として駆動される。 【0033】両BT機器の接続が正常に完了したと判断されたとき、制御部12はステップ22に移り、接続が完了したスレーブ機器、即ちモニター装置2に対して所定の選択信号(図示せず)を、例えば、BT通信リンクの一種である非同期通信リンク(ACL)を用いて送信する。 一方、選択信号を受信したモニター装置2は、後述するように、この選択信号に応答した所定の応答動作を実行する。 ユーザーは、かかる応答動作を視覚或いは聴覚によって認識することにより、マスター機器が現在選択しているスレーブ機器が、実際にはどのモニター装置に相当するのかを具体的に確認することができるのである。 【0034】ユーザーは、確認したモニター装置が自己の所望する周辺機器であるか否かを判断し(ステップ2 4)、所望する機器である場合はステツプ26において所定の確認処理を行う。 かかる確認処理は、スレーブ機器としてモニター装置2を特定した旨の識別コードを含む操作入力を、例えば、マスター機器であるパソコン1 の操作入力部から行っても良いし、スレーブ機器であるモニター装置2の操作入力部から行うような構成としても良い。 なお、スレーブ機器側で入力された識別コードは、例えば、非同期通信リンク(ACL)を介してマスター側に伝えられることになる。 【0035】制御部12は、ステップ26でユーザーによる確認処理の終了を認識すると、ピコネット内で接続を行うスレーブ機器をモニター装置2に特定する処理を実行した後に本サブルーチンを終了する。 一方、ユーザーは、モニター装置2が自己の所望する周辺機器でない場合、マスター機器によって選択されたスレーブ機器(モニター装置2)とのBT通信リンクを切断すべく、 パソコン1の操作入力部から所定の指令を入力する(ステップ28)。 【0036】制御部12は、かかる入力指令を認識するとステップ30に移り、カウンタkの値が、ステップ1 0で応答のあった全スレーブ機器の数Nに達したか否かを判断する。 そして、未だNに達していなければステップ32で、カウンタkをインクリメントした後ステップ18に戻る。 これによって、その他のスレーブ機器、即ちモニター装置3及び4に対する「呼び出し」処理、及びこれらのスレーブ機器に対する選択動作が順次行われ、ユーザーの所望するモニター装置がスレーブ機器として特定されるまでかかる処理が繰り返されることになる。 【0037】一方、ステップ30でカウンタkの値がN に達していたとき、制御部12は、応答のあった全てのスレーブ機器をチェックし終わったものと判断して本サブルーチンを終了させる。 なお、ステップ20において、選択したスレーブ機器に「呼び出し」処理を行った結果接続が出来なかった場合はステップ34に移行する。 そして、パソコン1の表示画面に接続が不可なる旨の所定の表示を行った後、次のスレーブ機器に対する「呼び出し」処理等を実行すべく、ステップ30に移り前述のカウンタkのカウント値判定の処理を行う。 【0038】続いて、マスター側機器(パソコン1)の動作に対応した、スレーブ側機器(モニター装置)における処理動作を説明する。 なお、スレーブ側におけるB T機器の構成も図2のブロック図と同様である。 従って、スレーブ側のBT機器を構成する各要素についてもマスター側の場合と同様に、制御部12,無線通信部1 1等の語句を用いて説明を行う。 もっとも、スレーブ側機器では、情報端末機器17がパソコンからモニター装置に代わることは言うまでもない。 【0039】スレーブ側における動作サブルーチンを図5のフローチャートに示す。 因みに本サブルーチンは、 前述したマスター側と同様に、スレーブ側のBTモジュールに対してアプリケーションプログラムに相当するものであり、記憶部13のメモリー中にスレーブ側機器全体の動作を制御するメインプログラムと共に記憶されている。 そして、所定のタイミングに応じて、制御部12 のμCPUが内部クロックに同期してこれを実行するものとする。 【0040】なお、本サブルーチンが起動される時点では、既にマスターから各スレーブに対する一連の「問い合わせ」処理(図3のフローチャートにおけるステップ10)が終了しているものとし、当該スレーブはマスター側に「問い合わせ応答」を返送していることを前提とする。 本サブルーチンは、マスターが当該スレーブを対象とする「呼び出し」処理を実行することによって起動される。 これに伴い、制御部12は、マスターの「呼び出し」処理に呼応した「呼び出し走査」や「呼び出し応答」等の処理動作を実行する(ステップ100)。 【0041】続いて、制御部12はステップ102において、例えば、BT通信システムにおける非同期通信リンクを用いてマスターから送信された選択信号を受信すると、次のステップ104に移行してこの選択信号に対する所定の応答処理動作を実行する。 かかる応答処理動作は、当該スレーブがマスターから選択されたことを、 情報端末機器17(モニター装置)を利用してユーザーに告知するために行うものである。 従って、モニター装置の表示画面に、例えばマスターから選択された旨を示すメッセージを点滅表示するようにしても良いし、モニター装置がLED等の表示ランプを具備する場合は、これを点滅させて当該機器が選択されたことをユーザーに告知するようにしても良い。 【0042】また、モニター装置が、例えば電子ブザー等の発音機能を有するときは、これを鳴動させることによって選択されたことをユーザーに告知しても良いし、 音声合成による出力機能を有するときは、これを用いて何らかの音声メッセージを出力して告知するようにしても良い。 さらに、これら複数の処理動作を組み合わせて用いる構成としても良い。 【0043】ユーザーは、かかる応答動作処理を視覚或いは聴覚によって認識することによって、現在マスターが選択しているスレーブ機器を具体的に認知することが可能となる。 また、マスター機器のディスプレイ上において、選択中のスレーブ機器のBTデバイスアドレスが、例えば点滅或いは反転表示されている場合、ユーザーは、かかるBTデバイスアドレスと実際のスレーブ機器との対応を容易に把握することができる。 【0044】なお、ステップ104の選択応答動作は、 ユーザーに対する告知動作であるので、ユーザーがこれを認識して何らかの確認処理(例えば、当該スレーブの切断要求指令の入力操作)を行うまで繰り返される(ステップ106)。 前述の図3に示したマスター側のフローチャートで説明したように、ユーザーは、マスターによって選択されたスレーブ機器を確認するとマスター側或いは、選択されたスレーブ側の操作入力部から何らかの入力処理を実行する。 かかる処理において選択中のスレーブとの通信リンクの切断が指令された場合は、マスターから当該スレーブに対して通信リンクの切断要求が為される。 【0045】制御部12は、ステップ106でかかる要求信号の受信検出処理を行い、切断要求信号を受信した場合は本サブルーチンを終了する。 次に、本発明の第2 の実施形態について説明する。 前述した第1の実施形態は、ユーザーがピコネット内に存する複数のBT機器の中から所望の情報端末機器を選択してこれを具体的に確認することを目的とした。 これに対して以下に説明する第2の実施形態は、ピコネット内に存する各々のBT機器の特定を目的とする。 つまり、マスターがBTデバイスアドレスを介して把握しているBT機器のそれぞれが、実際にはどの周辺機器に相当するかの特定を行うことを目的とするものである。 【0046】因みに、このような用途としては、例えば、図6に示すようにカーナビゲーション装置の集中制御端末をマスター機器とし、かかる集中制御端末にアクセス可能な複数の携帯端末をスレーブ機器とするピコネットが考えられる。 つまり、携帯端末を所持する複数のユーザーがカーナビゲーション装置を設備した車に同乗した場合、マスター機器であるカーナビゲーション装置は、「問い合わせ」処理等で取得した各携帯端末のBT デバイスアドレスを用いて各携帯端末との通信処理を行うことができる。 しかしながら、このままでは、どの携帯端末がどのユーザーの物であるかまでは認識することができない。 そこで、以下に説明する第2の実施形態による処理が必要となる。 【0047】なお、第2の実施形態においてマスター側及びスレーブ側共に、そのBT機器の構成は第1の実施形態の場合と同様である。 従って、BT機器の構成については、第1の実施形態図における図2の説明をそのまま引用するものとし、各構成要素についても、例えば、 無線通信部11,制御部12等のように図2と同様の語句を用いて説明を行う。 【0048】第2の実施形態におけるマスター側の処理サブルーチンを、図7のフローチャートに示す。 図7に示すサブルーチンの処理動作は、前述の図3に示した処理サブルーチンに近似するので図3と異なる部分のみを詳細に説明する。 なお、本サブルーチンの起動は、先に挙げた例示の場合であれば、カーナビゲーション装置の集中制御端末を操作するユーザーの指令入力によって起動されるようにしても良いし、また、カーナビゲーション装置の電源投入時における初期設定の際に自動的に起動されるような構成にしても良い。 【0049】本サブルーチンが起動されると、制御部1 2は、図7に示すように「問い合わせ」処理(ステップ40)以降の一連の処理ステップを実行する。 ステップ40からその後の、接続が完了したスレーブ機器に対する選択信号の送信処理(ステップ52)までの経過は、 前述の図3におけるステップ10〜22までの処理と同様であるのでその説明は割愛する。 【0050】先に挙げた実施例の場合に当て嵌めれば、 かかる選択信号を受信した携帯端末では、例えば、ディスプレイへのメッセージ表示や着信音の鳴動により、マスター側から選択された旨を当該携帯端末を所持するユーザーに告知する。 或いは、着信メロディーやバイブレーション等の選択応答動作によって、選択されたことをユーザーに告知する構成としても良い。 【0051】続くステップ54において、かかる携帯端末の応答動作を確認したユーザーは、カーナビゲーション装置の集中制御端末から、例えば、選択された携帯端末の電話番号等を入力して、スレーブ機器として選択された携帯端末についての確認処理を実行する。 これによってマスターであるカーナビゲーション装置の集中制御端末は、スレーブ機器として選択した携帯端末のBTデバイスアドレスと該携帯端末の電話番号を関連づけて認識することが可能となる。 【0052】なお、第1の実施形態の場合と同様に選択確認処理の入力操作に関しては、ユーザーがスレーブ側の携帯端末から行うような構成としても良く、この場合は、携帯端末のテンキー等から入力された電話番号等のデータが、例えばACLリンクを介してマスター側に伝送される。 ステップ54でユーザーによる選択確認処理がなされ、制御部12がこれを認識すると次のステップ56に移り、選択されたスレーブ機器(携帯端末)との接続リンクの切断処理を実行する。 【0053】スレーブ側との接続リンク切断以降の処理に関しては、前述の図3に示したフローチャートと同様であるためその説明を省略する。 また、第2の実施形態におけるスレーブ側機器の動作処理は、マスターからの選択に対する応答動作の実施態様が第1の実施形態と異なるのみであるためその説明を省略する。 【0054】次に、本発明の第3の実施形態について説明する。 前述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、ピコネット内に存するBT機器のデバイスアドレスと個別BT機器との特定を行う際にユーザーによる確認処理を必要とした。 これに対し、以下に示す第3の実施形態では、マスターがスレーブの有する固有の認識番号を取得し、ユーザーによる確認処理を要することなく、 かかる認識番号を用いてデバイスアドレスと個別BT機器との特定を自動的に実行するものである。 【0055】このような用途としては、例えば、第2の実施形態で挙げたカーナビゲーション装置のマスター機器と、スレーブ機器となる複数の携帯端末がピコネットを構成する場合の利用が考えられる。 先ず、第3の実施形態におけるマスター側の動作サブルーチンについて図8のフローチャートを基に説明する。 図8に示すサブルーチンの処理は、第2の実施形態において図7に示したマスター側の処理サブルーチンに近似する。 このため以下の説明では図7と異なる部分のみを述べる。 【0056】また、マスター側及びスレーブ側共にそのBT機器構成は、第1及び第2の実施形態と同様であり図2に示す構成となっている。 本サブルーチンの起動は、先に挙げたカーナビゲーション装置の場合に当て嵌めれば、例えばマスター機器であるカーナビゲーション装置からのユーザーの指令入力によって起動されるようにしても良し、カーナビゲーション装置の電源投入時における初期設定によって自動的に起動されるような構成にしても良い。 【0057】本サブルーチンが起動されると、マスター側機器、即ちカーナビゲーション装置の集中端末装置側の制御部12は、図8に示すように「問い合わせ」処理(ステップ70)以降の一連の処理ステップを実行する。 当該処理からその後の、接続完了判断処理(ステップ80)までの経過は、前述した、図3及び図7のフローチャートに示した処理と同様であるのでその説明は割愛する。 但し、本実施形態においては、ユーザーの手を介することなく制御部12がスレーブ機器の特定処理を自動的に実行する。 このため、ステップ74に示す応答スレーブ機器の一覧表示処理は、単に、制御部12がこれを処理過程における一履歴として記憶部13のメモリーに記憶するに留めてディスプレイへの実際の表示は省略しても良い。 【0058】ステップ80において、選択したスレーブとの接続が正常に完了した判断された場合、制御部12 はステップ82に移り、接続を完了したスレーブ機器に対して、当該スレーブ機器に固有の認識番号を要求する信号を送信する。 マスターによって選択されたスレーブ機器は、かかる要求信号を受信すると当該スレーブ機器にとっての固有の認識番号を、例えばBTシステムにおけるACLリンクを用いてマスター側に返送する。 なお、スレーブ側の処理に関しては後述する。 【0059】この『スレーブ機器に固有の認識番号』とは、当該スレーブ機器のみが有する特定の識別コードであって、当該スレーブ機器を示すものとしてユーザーに熟知されているものであれば良い。 本実施例ではスレーブ機器として携帯端末を挙げているので、例えば携帯端末の電話番号をかかる認識番号として用いても良い。 もっとも、本実施形態における認識番号は電話番号等の数値コードのみに限定されるものではない。 例えば、当該スレーブ機器である携帯端末がユーザー家族の父親或いは母親のものであれば固有の認識番号として、『お父さん』或いは『お母さん』等の文字コードを使用しても良い。 【0060】制御部12は、無線通信部11を介してスレーブから上記認識番号を取得するとステップ84に移行し、この認識番号を当該スレーブ機器のBTアドレスと関連づけて記憶部13のメモリーに登録する。 かかる処理を実行することにより、これ以降のピコネット内における通信処理において、ユーザーは当該スレーブ機器を選択するに際し、当該スレーブのBTデバイスアドレスを意識することなく、前記登録済みの認識番号を用いて当該スレーブ機器を選択することが可能となる。 また、当該スレーブ機器からの通信があった場合、マスター側機器であるカーナビゲーション装置のディスプレイには当該スレーブ機器を示すコードとして前記認識番号が表示される。 【0061】図8のフローチャートの説明に戻り、制御部12は、ステップ84の処理を終了すると、次のステップ86に移行して接続されているスレーブ機器との通信リンクを切断し、以後他の複数のスレーブ機器に対しても同様の、認識番号を要求処理及び該認識番号の登録処理を実行する。 続いて第3の実施形態におけるスレーブ側機器の動作処理について、図9に示すフローチャートに基づいて説明する。 【0062】なお、第1及び第2の実施形態の場合と同様にスレーブ側の処理が起動される前提としては、既にマスターとの間で「問い合わせ」処理が終了し、当該スレーブはマスター側に応答を返送しているものとする。 また、図9のサブルーチンは、マスターからの「呼び出し」処理(図8のステップ78)によって起動されるものとする。 【0063】図9のサブルーチンにおいて、スレーブ機器(本実施例では、携帯端末)の制御部12は、無線通信部11を介してマスター側からの「呼び出し」処理に呼応する応答動作を実行する(ステップ110)。 続いて、マスター側からBT通信リンクを介して認識番号要求信号を受信すると(ステップ112)、予め記憶部1 3のメモリーに記憶していた認識番号を読み出してこれをマスターに通報する(ステップ114)。 【0064】かかる認識番号はユーザーが熟知している識別コードであれば良く、前述のように、例えば、スレーブ機器である携帯端末の電話番号を用いる構成としても良いし、また、ユーザーが容易に認識可能な文字コードなどを用いる構成としても良い。 制御部12は、自己の認識番号をマスター側に通報するとステップ116に移行して、マスターからの通信リンクの切断要求信号の受信検出を行い、切断要求を受信した場合は本サブルーチンを終了する。 【0065】第3の実施形態によれば、図6に示すような複数のスレーブ機器の特定が困難な事態が生じても、 スレーブの識別を可能とするに際してユーザーの手を煩わすことはない。 つまり、ユーザーがスレーブ機器の応答動作に対応した確認入力操作を行わずとも、マスターからの要求に対して、各スレーブがユーザーが熟知する自己の認識番号を自動的に返送することによりマスター側では各スレーブの識別が可能となる。 【0066】以上、本発明による第1乃至第3の実施形態について説明したが、本発明の実施はかかる実施形態に限定されるものではない。 例えば、各実施形態において、マスターは「問い合わせ」処理で応答のあったスレーブを選択する毎に「呼び出し」処理を行っているが、 応答のあった全てのスレーブに対して予め「呼び出し」 処理を行った後に、各スレーブに対して選択信号又は、 要求信号を送出する構成としても良い。 【0067】 【発明の効果】本発明では、ピコネットを構成する各々のスレーブ機器を表示や音により確認できるので、ピコネット内に同一形式のスレーブ機器が複数存在する場合であっても、ユーザーは、マスター機器に接続を所望するスレーブ機器を迅速かつ容易に選択することができる。 【0068】また、本発明では、各々のスレーブ機器が、例えば電話番号のような各機器に固有で、かつユーザーにとって周知である認識番号を有する場合、これを当該機器のBTデバイスアドレスと関連してマスター側に自動登録できる。 このため、ユーザーは、かかる認識番号を用いてピコネット内のスレーブ機器を特定することが可能となり、BT通信システムの利便性を著しく向上することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の第1の実施形態におけるピコネットの構成を示す構成図である。 【図2】本発明の各実施形態におけるブルートゥース端末機器の構成を示すブロック図である。 【図3】第1の実施形態におけるマスター側機器の動作を示すフローチャートである。 【図4】第1の実施形態において、マスター側機器における表示画面の一例である。 【図5】第1の実施形態におけるスレーブ側機器の動作を示すフローチャートである。 【図6】第2及び第3の実施形態におけるピコネットの構成を示す構成図である。 【図7】第2の実施形態におけるマスター側機器の動作を示すフローチャートである。 【図8】第3の実施形態におけるマスター側機器の動作を示すフローチャートである。 【図9】第3の実施形態におけるスレーブ側機器の動作を示すフローチャートである。 【符号の説明】 10 …アンテナ 11 …無線通信部 12 …制御部 13 …記憶部 14 …インターフェイス部 15 …表示部 16 …操作入力部 17 …情報端末機器 |