【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、コードレスボタン電話システムの着信方式に関し、特にコードレス電話機の通話ゾーンが無線回線の制御チャネル数より多い複数ゾーン存在するシステムにおける着信方式に関するものである。 【0002】 【従来の技術】電話回線と接続装置とが主装置に収容され、電話回線と接続装置の間は主装置内のスイッチによって設定される有線回線により接続され、接続装置とコードレス電話機との間は接続装置によって設定される無線回線によって接続されることにより、任意の電話回線と任意のコードレス電話機との間を選択的に接続するようにしたコードレスボタン電話システムが公知である。 【0003】かかるコードレスボタン電話システムにおいて、コードレス電話機の通話ゾーンが複数ゾーン設定されるシステムが公知であり、このシステムでは、各通話ゾーンに接続装置が配置され、各通話ゾーンの接続装置は、無線回線の設定制御のための制御チャネルとして通常互に別個の制御チャネルを使用する。 【0004】例えば、通話ゾーンとして、No. 1ゾーンとNo. 2ゾーンが設定されており、No. 1ゾーンとNo. 2ゾーンで使用される制御チャネルをそれぞれNo. 1制御チャネル及びNo. 2制御チャネルとした場合を例に従来の着信制御を説明する。 【0005】電話回線に着信が生起すると、主装置はこれを検出して着呼信号(着信があった事実を知らせる信号)をNo. 1ゾーンとNo. 2ゾーンのそれぞれの接続装置(それぞれNo. 1接続装置及びNo. 2接続装置とする。)に送付し、これを受けてNo. 1接続装置はNo. 1 制御チャネルによってNo. 1ゾーン内に及びNo. 2接続装置はNo. 2制御チャネルによってNo. 2ゾーン内にそれぞれ上記着呼信号を同時に送出する。 【0006】コードレス電話機は、作動電力を電池から得ており、当該電池の消耗を軽減するため、待機時には制御チャネルに間欠的にアクセスするようになっており、上記のように通話ゾーンが2ゾーン設定されている場合には、設定周期毎に双方の通話ゾーンの制御チャネルにアクセスする。 【0007】例えば、No. 1ゾーン内にあるコードレス電話機において、No. 1接続装置から着呼信号が送出されたのち、最初の間欠動作時間が到来すると、当該コードレス電話機は上記間欠動作時間中のNo. 1制御チャネル受信時に上記着呼信号を受信してその動作を間欠動作から連続動作に転換し、No. 1制御チャネルによってN o. 1接続装置に着呼応答信号(着呼信号を受信し、制御チャネルの受信動作を連続動作としたことを知らせる信号)を送付する。 【0008】No. 1接続装置は、上記着呼応答信号を受信することにより、コードレス電話機において信号の連続受信が可能となったことを確認し、そのときに空き状態にある通話チャネルを選択し、上記コードレス電話機に当該通話チャネルを指定する信号(S−ch指定信号)をNo. 1制御チャネルにより送付したのち、無線回線をNo. 1制御チャネルから上記通話チャネルに切替える。 【0009】上記コードレス電話機は、上記S−ch指定信号を受信すると、自己の無線回線をNo. 1制御チャネルから上記S−ch指定信号で指定された上記通話チャネルに切替え、このようにしてNo. 1接続装置と当該コードレス電話機との間に設定された通話チャネルを介して通話チャネルの切替え完了信号(S−ch切替え完了信号)をNo. 1接続装置に送付する。 【0010】No. 1接続装置は、上記S−ch切替え完了信号の受信によってコードレス電話機との間に通話チャネルが設定されたことを確認し、当該通話チャネルを介してコードレス電話機に着信表示信号を送出し、これによってコードレス電話機に着信が表示される。 【0011】以上の動作は、No. 1ゾーン及びNo. 2ゾーンの双方で、それぞれの制御チャネルを使用して同時に進行し、いずれかの通話ゾーン内にある待機中の全てのコードレス電話機に着信が表示される。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】ところで、コードレスボタン電話システムでの通話可能区域を拡大するためには、より多くの通話ゾーンを設定する必要があるが、制御チャネル数が制限されている場合(現に現行の電波法では、コードレス電話システムに関し、制御チャネルを2チャネル以内と定めている。)は、制御チャネル数以上の数の通話ゾーンを設定しなければならず、このようにした場合、2以上の通話ゾーンで同一の制御チャネルを共用する必要が生ずる。 【0013】また、複数の通話ゾーンを設定する場合、 隣接する通話ゾーンの境界で、謂わば死角的な通話不能領域が生ずるのを防止するため、通常は、上記境界部分で複数の通話ゾーンが重なり合うように設定される。 【0014】そこで、上記のように制御チャネル数以上の通話ゾーンを設定した場合、同じ制御チャネルを使用する通話ゾーンどうしが重なり合う区域が生ずることとなり、当該区域にあるコードレス電話機に対しては、制御チャネルが同一であることによって双方の通話ゾーンのそれぞれの接続装置から互に同一の電波を受けることとなり、電波干渉が生じて着呼信号を受信できなくなる。 従って、当該コードレス電話機には着信がなされないという問題点がある。 【0015】本発明は、以上の問題点を解決するために提案するもので、同一制御チャネルを共用する2つの通話ゾーンが重なり合う区域においても着呼信号が受信でき、着信制御が可能である着信方式を得ること、及びこれによってコードレスボタン電話システムの通話ゾーンを多く設定して、通話可能区域が広くとれるコードレスボタン電話システムを得ることを目的とする。 【0016】 【課題を解決するための手段】上記課題の解決のため、 本発明は、通話ゾーンの数を制御チャネル数より多く設定した場合において、各通話ゾーンに少なくとも2台の接続装置を配置し、電話回線に着信が生起したとき上記各通話ゾーンに属する接続装置の1台から制御チャネルにより着呼信号をコードレス電話機に送出し、当該着呼信号の送出時から設定時間が経過した時点において着呼応答信号を返送しないコードレス電話機があるときには、同一の制御チャネルを使用する複数の通話ゾーンに含まれる接続装置から待機中の1台を選択し、該選択した接続装置から制御チャネルを介して再度着呼信号を送出するようにしたものであり、また、再度の着呼信号の送出で着呼応答信号を返送したコードレス電話機に対しては、最初の着呼信号の送出で着呼応答信号を返送したコードレス電話機に設定された通話チャネルと同じ通話チャネルを設定し、着信表示信号は、各通話ゾーンについて1つの通話チャネルで当該各通話ゾーン中の全コードレス電話機に送出するようにしたものである。 【0017】 【作用】本発明では、着信があったとき、着呼信号に応答しないコードレス電話機があるときには、同じ制御チャネルを使用する複数の通話ゾーンの1つに再度着呼信号が送出されることとなり、当該2つの通話ゾーンの重なり合う区域に存在するコードレス電話機で上記再度送出した着呼信号の受信が可能となり、これにより当該コードレス電話機の着呼応答が可能となる。 従って、同一制御チャネルを複数の通話ゾーンで共用できるので、制御チャネル数以上の通話ゾーンが設定でき、コードレスボタン電話システムの通話可能区域が広くなる。 【0018】 【実施例】図面はいずれも本発明の実施例を説明するもので、図1はコードレスボタン電話システムのシステム構成図、図2はブロック図、図3(A)〜(C)はメモリー構成図、図4は同一制御チャネルを使用する2つの通話ゾーンの一方における着信制御シーケンス図、図5 はシステム全体について着信時に使用する無線回線の偏移を示すタイムチャート、図6は接続装置での着信処理のフローチャート、図7は主装置での着信装置のフローチャートである。 【0019】以下に説明する実施例では、通話ゾーンが4ゾーン設定され、各通話ゾーンに2個の接続装置が配置されており、使用する制御チャネル数は2チャネルで、各制御チャネルを2つの通話ゾーンで共用する場合を例とし、また、コードレス電話機数は6台であり、外線数は2本であるものとする。 【0020】図1に示すように、実施例のコードレスボタン電話システム(以下、システムという。)は、1台の主装置1と、8台の接続装置21〜28(相互に区別する必要のないときは、符号を2とする。)と、6台のコードレス電話機31〜36(相互に区別する必要のないときは、符号を3とする。)と、2本の外線41,4 2で構成され、接続装置2と外線41,42とは有線で主装置1に収容されている。 【0021】また、通話ゾーンとしては、第1ゾーンZ 1〜第4ゾーンZ4が、隣接ゾーンどうしで互に重なり合う重複区域Z12,Z24,Z43を有して設定されており、第1ゾーンZ1には接続装置21,22が、第2ゾーンZ2には接続装置23,24が、第3ゾーンZ 3には接続装置25,26が、及び第4ゾーンZ4には接続装置27,28がそれぞれ配置され、それぞれのゾーンZ1〜Z4で使用する制御チャネルとして、第1ゾーンZ1と第3ゾーンZ3とに第1制御チャネルC−c h(A)が、第2ゾーンZ2と第4ゾーンZ4とに第2 制御チャネルC−ch(B)がそれぞれ割当てられているものとする。 【0022】主装置1は、図2に示すように、外線4 1,42の接続制御を行なう外線インタフェース101 と、接続装置2の接続制御を行なう接続装置インタフェース102と、外線インタフェース101と接続装置インタフェース102との間に選択的に通話路を閉成して、外線41,42と接続装置2との間を選択的に接続するスイッチ103と、主装置1の制御全般を一括して行なう制御部104とで構成される。 【0023】主装置1の制御部104は、本発明の実施に関するものとして、CPU141、システムに収容するコードレス電話機3を予め設定してその収容データを格納する電話機識別メモリ142、システムに収容されたコードレス電話機3が、待機状態(発信、着信又は通話のいずれの状態にもなく、発信又は着信応答を待っている状態)又は非待機状態(発信中、着信中、又は通話中のいずれかの状態、なお、未収容のコードレス電話機3も非待機状態と同等に扱われる。)のいずれであるかをコードレス電話機3ごとに記憶する状態識別メモリ1 43、及び待機状態にあるコードレス電話機3が着信時に接続装置2から送出される着呼信号に対して着呼応答信号を返送したか否かを記憶する着呼応答識別メモリ1 44を有する。 【0024】接続装置2は、全て同じ構成であり、その構成は、図2において、接続装置21に示すように、主装置1との接続を制御する接続部201と、無線の送受信部202と、接続装置2の制御全般を一括して行なう制御部203と、アンテナ204とで構成される。 【0025】接続装置2の制御部203は、本発明の実施に関するものとして、CPU231、前記主装置1の状態識別メモリ143と同様の機能の状態識別メモリ2 32と、前記主装置1の着呼応答識別メモリ144と同様の機能の着呼応答識別メモリ233と、呼が生起したときの制御チャネルの連続設定の最長時間を規定するためのタイマ234を有している。 【0026】また、コードレス電話機3の構成は、本発明の実施に関して従来と特に変わる点はないので、詳細には示さない。 【0027】主装置1の制御部104に設けられる電話機識別メモリ142、状態識別メモリ143、着呼応答メモリ144及び接続装置2の制御部203に設けられる状態識別メモリ232、着呼応答識別メモリ233 は、図3(A)〜(C)に示すように、いずれもコードレス電話機3の電話機番号対応に1ビットづつが割り当てられたメモリで構成され、実施例の場合は、コードレス電話機3の収容最大数は8台であり、いずれも8ビットのメモリで構成され、それぞれのビットが電話機番号1〜8に割り当てられている。 【0028】上記電話機識別メモリ142は、電話機番号対応のコードレス電話機3がシステムに収容されているか否かを示すデータを格納するメモリであり、今の場合、コードレス電話機31〜36がそれぞれ電話機番号1〜6に対応させてあり、図3(A)に示すように電話機番号1〜6に対応するビットには収容されていることを示すデータ「1」が格納され、電話機番号7,8に対応するビットには未収容であることを示すデータ「0」 が格納されている。 なお、当該電話機識別メモリ142 の格納データを「α」とする。 【0029】また、状態識別メモリ143,232は、 電話機番号対応のコードレス電話機3が待機中にあるか又は非待機中にあるかを示すデータを格納するメモリであり、待機状態にあるときには「0」が、非待機状態にあるときには「1」がそれぞれ格納され、また、未収容の電話機番号、今の場合、電話機番号7,8に対応するビットには、非待機状態の場合と同じデータ「1」が格納され、このデータ「1」に固定される。 なお、当該状態識別メモリ143,232の格納データを「β」とする。 【0030】更に、着呼応答識別メモリ144,233 は、電話機番号対応のコードレス電話機3が着呼応答信号を返送したか否かを示すデータを格納するメモリであり、着呼応答信号が返送された場合には「1」が、返送されない場合には「0」がそれぞれ格納される。 コードレス電話機3が未収容の場合、電話機番号7,8に対応するビットは、着呼応答信号が返送されることはあり得ないので、当該ビットは結果的に「0」に固定されることとなる。 なお、当該着呼応答識別メモリ144,23 3の格納データを「γ」とする。 【0031】次に図4〜図7を参照して動作を説明する。 【0032】コードレス電話機3は、システムに設定された4つの通話ゾーンZ1〜Z4のいずれに在っても通話が可能であるが、以下の説明では、図1に示すように、各ゾーンZ1〜Z4にそれぞれコードレス電話機3 1〜34が、重複区域Z12,Z24にそれぞれコードレス電話機35,36が在るものとし、第3ゾーンZ3 のコードレス電話機33は接続装置26を介して既に外線42と通話中であって非待機状態にあり、その他のコードレス電話機31,32,34〜36は全て待機状態にあるものとする。 この状態では、主装置1の状態識別メモリ143の格納データβは、上記コードレス電話機33のみ非待機状態にあることにより、「001000 11」である。 【0033】例えば、外線41に着信が生起すると、主装置1において、外線インタフェース101が当該着信を検出して着信検出情報を制御部104に送付する。 制御部104は、CPU141の制御により当該着信検出情報を読込むと、接続装置インタフェース102を制御して、それぞれの通話ゾーンZ1〜Z4毎に、待機中にある接続装置2のうちの1台を選択し捕捉する。 ここでは、第1ゾーンZ1では接続装置21が、第2ゾーンZ 2では接続装置23が、第3ゾーンZ3では接続装置2 5が、第4ゾーンZ4では接続装置27がそれぞれ捕捉されたものとする。 【0034】以上の動作が終ると、図4のシーケンス図で接続装置27について例示したように、主装置1の制御部104から接続装置インタフェース102を介して上記各接続装置21,23,25及び27に第1着呼信号S1を出力する。 この第1着呼信号S1には、状態識別メモリ143の前記格納データβが付加されている。 【0035】上記各接続装置21,23,25及び27 は接続部201を介して上記第1着呼信号S1を受けると、制御部203においてCPU231の制御で送受信部202を起動し、図5のタイムチャートに示すようにそれぞれの通話ゾーンZ1〜Z4に割り当てられた無線回線の制御チャネルを設定し、それぞれの制御チャネルによりすなわち、接続装置21(第1ゾーンZ1)と接続装置25(第3ゾーンZ3)とは例えば第1制御チャネルC−ch(A)により、及び接続装置23(第2ゾーンZ2)と接続装置27(第4ゾーンZ4)とは例えば第2制御チャネルC−ch(B)により、上記第1着呼信号S1を送出する。 【0036】また、このとき、制御部203では上記第1着呼信号S1に付加されているデータβを読み取り、 状態識別メモリ232に当該データβを格納する。 【0037】コードレス電話機3は、図5に示すように、待機中は常時一定の周期t1で間欠的に、双方の制御チャネルC−ch(A),C−ch(B)のいずれかに第1着呼信号S1が送出されたか否かを監視しており、(ただし、コードレス電話機3相互では監視時間は非同期である。)第1着呼信号S1の送出開始時から最初の監視時間になると、待機中のコードレス電話機3 は、上記第1着呼信号S1を受信して(後述のように受信できないものもある。)自己の無線回線を上記第1着呼信号S1を受信した制御チャネルC−ch(A)又はC−ch(B)に設定して、動作を間欠監視動作から連続動作に転換する。 【0038】いまの場合、コードレス電話機31には第1制御チャネルC−ch(A)が、コードレス電話機3 2,34には第2制御チャネルC−ch(B)がそれぞれ設定され、コードレス電話機33は既に第4通話チャネルS−ch(D)により通話中であるので制御チャネルは設定されない。 【0039】また、第1ゾーンZ1と第2ゾーンZ2との重複区域Z12にあるコードレス電話機35では、当該第1ゾーンZ1と第2ゾーンZ2に設定された制御チャネルC−ch(A)とC−ch(B)とが互に異なるため、後で述べる電波干渉が生じないので、間欠監視時間において最初にアクセスした制御チャネル、例えば第1制御チャネルC−ch(A)から第1着呼信号S1を受信して、無線回線が当該第1制御チャネルC−ch (A)に設定される。 【0040】また、第2ゾーンZ2と第4ゾーンZ4との重複区域Z24にあるコードレス電話機36では、当該第2ゾーンZ2と第4ゾーンZ4に設定された制御チャネルがいずれも第2制御チャネルC−ch(B)であるため、接続装置23及び27から送出される電波は当該重複区域Z24において互に干渉し合うため、第1着呼信号S1を受信することができず、当該第1着呼信号S1の送出によっては、間欠監視動作を、上記第2制御チャネルC−ch(B)の設定による連続動作に転換できず、上記間欠監視動作を継続する。 【0041】以上のようにして、第1制御チャネルC− ch(A)又は第2制御チャネルC−ch(B)により第1着呼信号S1を受信したコードレス電話機3、いまの場合、コードレス電話機31,32,34及び35 は、図4にコードレス電話機34について例示するように、それぞれに設定された制御チャネルC−ch(A) 又はC−ch(B)を介して、それぞれ接続装置21, 23,27に着呼応答信号S2を送付する。 この着呼応答信号S2には送付したコードレス電話機3の電話機番号が付加されている。 なお、前記した処により、図4に示すように、コードレス電話機36に対しては、第1着呼信号S1の送出に伴う動作は何等行なわれない。 また、第3ゾーンZ3では、待機中のコードレス電話機3 がないことにより接続装置25に着呼応答信号S2は返送されない。 【0042】コードレス電話機3から着呼応答信号S2 が送られると、接続装置2は送受信部202でこれを受信し、図6の(1)に示すように接続部201を介して当該着呼応答信号S2を主装置1に送付するとともに、 制御部203はCPU231の制御で上記着呼応答信号S2を読み込み、図6の(2)に示すように、着呼応答識別メモリ233の、当該着呼応答信号S2に含まれる電話機番号に対応するビットに「1」を格納する。 【0043】以上の動作により、接続装置21,23及び27のそれぞれの着呼応答識別メモリ233の格納データγは、それぞれ「10001000」「01000 000」及び「00010000」となる。 また、接続装置25の着呼応答識別メモリ233の格納データγ は、当該接続装置25に着呼応答信号が返送されないことにより、「00000000」となる。 【0044】また、主装置1では、制御部104において、CPU141の制御により接続装置インタフェース102を介して各接続装置21,23,27からの着呼応答信号S2を読み込み、図7の(1)に示すように、 前記接続装置2における動作と同様にして、着呼応答識別メモリ144の該当ビットに「1」を格納する。 主装置1には着呼応答信号S2は、システムに含まれる全コードレス電話機3からのものが集められるので、今の場合、当該着呼応答識別メモリ143の格納データγは、 「11011000」となる。 【0045】待機中のコードレス電話機3が、全て同一の通話ゾーン中で制御チャネルを同一とする他の通話ゾーンと重複する区域を除く区域にある場合には、当該通話ゾーンに配置された接続装置2で上記待機中の全てのコードレス電話機3からの着呼応答信号S2の受信が確認できるので、これを確認して無線回線を制御チャネルから通話チャネルに移行させるが(この動作は後で説明する。)、今の場合、当該待機中のコードレス電話機3 は第1ゾーンZ1〜第4ゾーンZ4に分散しているので、唯一の接続装置2で全ての着呼応答信号S2を確認できないため、上記通話チャネルへの移行は、制御装置2内のタイマ234による時限動作によって行なう。 なお、タイマ234による時限動作とは、着呼信号S1を読込んでから時間t2を計数する動作であり、この時間t2は、待機中のコードレス電話機3が着呼信号を受信してから着呼応答信号を返送するまでに要する充分な時間に設定される。 【0046】すなわち、各接続装置21,23,25, 27の制御部203では、図6の(3)(4)に示すように、状態識別メモリ232の格納データβ(=「00 100011」)と前記着呼応答識別メモリ233の格納データγを比較する演算「(βの反対論理)−γ」により、待機中の全てのコードレス電話機3から着呼応答信号S2を受信したか否かの監視を行ない、今の場合、 この結果はいずれの接続装置に21,23,25,27 においても上記タイマ234による時限時間t2以内に「0」とならないので当該時限時間t2が経過すると、 図6の(5)に示すように、その時点における当該接続装置21,23,25,27が後述する第2着呼信号S 7による制御の進行中であるか否かを判断する。 今の場合、第2着呼信号による制御ではないので、図6の(6)に示すように、制御部203はそのときに空いている通話チャネルを選択し、これを指定するS−ch指定信号S3を、送受信部202からそれぞれの通話ゾーンZ1〜Z4に送出し、自己の無線回線を制御チャネルC−ch(A)またはC−ch(B)から上記S−ch 指定信号S3で指定した通話チャネルに遷移させる。 【0047】また、待機中のコードレス電話機3が、全て同一の通話ゾーンにあるとき(ただし、制御チャネルを同一とする他の通話ゾーンとの重複区域を除く。)には、当該通話ゾーン中の接続装置2において、着呼応答識別メモリ233の格納データγが「1101110 0」となるので、前記演算「(βの反対論理)−γ」は「0」となり、タイマ234による時限時間t2のタイムオーバーを待たないで図6の(5)以降に示す処理を行なう。 【0048】以上により、図5に示すように、接続装置21の無線回線は、第1制御チャネルC−ch(A)から例えば第1通話チャネルS−ch(A)に、接続装置23の無線回線は、第2制御チャネルC−ch(B)から例えば第2通話チャネルS−ch(B)に、接続装置27の無線回線は、第2制御チャネルC−ch(B)から例えば第3通話チャネルS−ch(C)にそれぞれ遷移する。 なお、接続装置25では、着呼応答信号S2が受信されなかったことにより、無線回線は、第1制御チャネルC−ch(A)が消滅して待機状態に戻り、通話チャネルの設定は行なわれない。 【0049】また、待機中のコードレス電話機3は、それぞれが存在する通話ゾーンZ1〜Z4の接続装置2から上記S−ch指定信号S3を受信すると、自己の無線回線を制御チャネルから上記S−ch指定信号S3で指定された通話チャネルに切替える。 今の場合、図5に示すように、コードレス電話機31は第1制御チャネルC −ch(A)から第1通話チャネルS−ch(A)に、 コードレス電話機32は第2制御チャネルC−ch (B)から第2通話チャネルS−ch(B)に、コードレス電話機34は第2制御チャネルC−ch(B)から第3通話チャネルS−ch(C)に、及びコードレス電話機35は第1制御チャネルC−ch(A)から第1通話チャネルS−ch(A)にそれぞれ無線回線を切替える。 【0050】上記各コードレス電話機3において、通話チャネルの切替が終ると、当該各コードレス電話機3からは、それぞれに設定された通話チャネルによって通話チャネルへの切替完了を示すS−ch切替完了信号S4 が送出され、当該各コードレス電話機3が存在する通話ゾーンZ1〜Z4の接続装置2で当該S−ch切替完了信号S4が受信される。 【0051】接続装置2では、送受信部202を介して上記S−ch切替完了信号S4が制御部203に読込まれると、当該制御部203は当該接続装置2といずれかのコードレス電話機3との間の無線回線が制御チャネルから通話チャネルに遷移したことを示すS−ch遷移完了信号S5を、接続部201を介して主装置1に送り、 主装置1では、接続装置インタフェース102を介して制御部104が上記S−ch遷移完了信号S5を読み込み、これにより接続装置インタフェース102を介して上記S−ch遷移完了信号S5を送付した接続装置2に着信表示信号S6を送付する。 【0052】接続装置2では、上記着信表示信号S6を送受信部202を介して、それぞれに設定された通話チャネルS−ch(A)〜(C)により送出し、コードレス電話機31,32,34,35は当該着信表示信号S 6を受信して、着信の表示を行なう。 【0053】次に、重複区域Z24内にあり、第1着呼信号S1による制御では着信表示がされなかったコードレス電話機36に対する着信動作を説明する。 なお、以下の動作は、第1制御チャネルC−ch(A)を共用する第1ゾーンZ1と第3ゾーンZ1及び第2制御チャネルC−ch(B)を共用する第2ゾーンZ2と第4ゾーンZ4の双方において同時に進行するが、以下の説明では、理解し易いように、上記重複区域Z24に係る第2 ゾーンZ2と第4ゾーンZ4における動作を主体に説明する。 【0054】主装置1の制御部104は、前記S−ch 遷移完了信号S5を受信すると、前記し、また図7 (2)に示すように各接続装置21,23,27への着信表示信号S6の送出を開始するとともに、図7の(3)に示すように、電話機識別メモリ142の格納データα、状態識別メモリ143の格納データβ及び着呼応答識別メモリ144の格納データγについて、「α− β−γ」の演算を行ない、この結果が「0」であるか否かの判定を行なう。 ただし、ここでの判定は、システムに収容されたコードレス電話機31〜36についてのみ行なわれる。 【0055】図7(3)での判定は、前記第1着呼信号S1の送出時において、待機中のコードレス電話機3 1,32,34,35及び36が全て着呼応答信号S2 を返送したか否かの判断をするための処理であり、仮に当該コードレス電話機31,32,34,35及び36 が全て着呼応答信号S2を返送したものとすれば、データγは「110111−−」となり(「−」は判断に加えないビットを表わす。)また、データαは「1111 11−−」であり、データβは「001000−−」であるので、図7の(3)の判定で処理フローは「YE S」の方向に流れ、着信表示までの一連の制御が終了する。 【0056】しかしながら、今の場合、コードレス電話機36が重複区域Z24にあることにより、上記データγは「110110−−」であるので、図7の(3)の判定が「0」とならず、これにより、図7の(4)に示すように、主装置1の制御部104は、接続装置インタフェース102を介して、制御チャネルを同一とする2 つの通話ゾーン、すなわち、第2ゾーンZ2と第4ゾーンZ4を合わせた区域に含まれる接続装置で待機中のもの、今の場合、接続装置24,28のうちの1台、例えば接続装置28を選択し、これに第2着呼信号S7を送出し、続いて図7(5)に示すように、当該第4ゾーンZ4で既に接続装置27とコードレス電話機34との間に設定されている第3通話チャネルS−ch(C)を通知するためのS−ch通知信号S8を上記接続装置28 に送付する。 なお、主装置1の制御部104には、全ての通話ゾーンZ1〜Z4に設定された通話チャネルを、 接続装置2からのS−ch遷移完了信号S5(この信号S5にはチャネル番号が含まれる。)を受信することによって図示しない記憶部(メモリ)に記憶しており、上記S−ch通知信号S8の送出が可能である。 【0057】接続装置28は主装置1から上記第2着呼信号S7とS−ch通知信号S8を受信すると、制御部203は図示しない記憶部(メモリ)に上記S−ch通知信号S8で通知された第3通話チャネルS−ch (C)を記憶するとともに送受信部202を制御して上記第2着呼信号S7を第2制御チャネルC−ch(B) により第4ゾーンZ4に送出する。 この第2着呼信号S 7には、待機中のコードレス電話機3で前記第1着呼信号S1に未応答のもの、今の場合コードレス電話機36 の電話機番号「6」が付加されている。 【0058】上記第2着呼信号S7の送出は、第2ゾーンZ2には送出されず、第4ゾーンZ4のみに送出されるので、前記第1着呼信号S1の送出時のように重複区域Z24で電波干渉が生ずることはなく、コードレス電話機36は当該第2着呼信号S7を受信することができる。 【0059】すなわち、コードレス電話機36は図5に示すように、第2着呼信号S7が送出されてから最初の間欠監視時間が到来すると、当該第2着呼信号S7に付加された自己の電話機番号「6」によって当該第2着呼信号S7を受信し、無線回線を当該第2着呼信号S7を受信した第2制御チャネルC−ch(B)に設定して連続動作となり、第2制御チャネルC−ch(B)により着呼応答信号S9を接続装置28に送出する。 【0060】接続信号28は、送受信部202を介して着呼応答信号S9を受信すると、図6の(1)に示すように接続部201を介して当該着呼応答信号S9を主装置1に送付するとともに、制御部203の着呼応答識別メモリ233の電話機番号6に対応するビットに「1」 を格納し、前記第1着呼信号S1に関連する制御と同様、図6の(3)に示す判定を行なう。 今の場合、当該判定において「(βの反対論理)−γ」が「0」とはならないので、タイマ234の時限時間t2のタイムオーバーを待って、図6の(5)の判定を行ない、今の場合、第2着呼信号S7による処理中であるので、当該判定では処理フローが「YES」の方向に流れる。 【0061】一方、主装置1では、接続装置のインタフェース102を介して上記着呼応答信号S9が制御部1 04に読み込まれると、当該制御部104は、無線回線を第2制御チャネルC−ch(B)から通話チャネルに遷移させるための(ただし、後述のように、実際には第2制御チャネルC−ch(B)を消滅させるだけである。)S−ch遷移信号S10を接続装置インターフェース102を介して接続装置28に送付する。 【0062】図6の(7)に示すように、接続装置28 の制御部203が接続部201を介して上記S−ch遷移信号S10を読込むと、当該制御部203は、図6の(8)に示すように、先に記憶している第3通話チャネルS−ch(C)を指定するためのS−ch指定信号S 11をコードレス電話機36に送付し、電波の送出を停止して第2制御チャネルC−ch(B)を消滅させる。 ここでは、第2制御チャネルC−ch(B)の消滅後、 接続装置28とコードレス電話機36との間に通話チャネルは設定されず、当該接続装置28は上記S−ch指定信号S11を送出後、待機状態に戻る。 【0063】以上の動作は前記したように、第1ゾーンZ1と第3ゾーンZ3を合せた区域においても進行するが、当該区域では、例えば接続装置22が第2着呼制御に係ったものとすれば、当該接続装置22には着呼応答信号S9が受信されないので、タイマ234による時限時間t2のタイムオーバーを待って当該接続装置22は第1制御チャネルC−ch(A)を消滅させ、待機状態に戻る。 また、第1着呼信号S1に応答しなかった待機中のコードレス電話機3が、システムの通話ゾーンの圏外にあるときには、第2着呼信号S7にも応答できないので、上記と同様、時限時間t2のタイムオーバーを待って第2着呼制御に係った全ての接続装置2が待機状態に戻る。 【0064】コードレス電話機36は、上記S−ch指定信号S11を受信すると、図5に示すように、無線回線を第2制御チャネルC−ch(B)から上記S−ch 指定信号S11で指定された第3通話チャネルS−ch (C)に遷移させる。 これによりコードレス電話機36 は、第4ゾーンZ4において、接続装置27によって設定済みの第3通話チャネルS−ch(C)に当該接続装置27から既に送出されている着信表示信号S6を受信して着信表示を行なう。 【0065】以上の動作で明らかなように、第2着呼制御を行った接続装置28からは着信表示信号S6を送出する必要がないので、着信表示がなされている間に他の呼が生起した場合、この接続装置28を使用して新たな呼処理が行なえることとなり、極めて好都合である。 【0066】以上の説明は、外線着信の場合を例としたが、内線着信又はドアホン着信等でも同様の制御で着信表示が可能であり、本発明は一般に電話回線への着信に対して実施できる。 【0067】 【発明の効果】以上に説明したように、本発明は、着信の際の着呼信号の送出で、着呼応答信号を返送しないコードレス電話機があるときには、制御チャネルを同一とする複数の通話ゾーンを合せた区域に含まれる待機中の接続装置の1台から再度着呼信号を送出するようにしたものであり、同一制御チャネルを使用する複数の通話ゾーンの重複区域では、再度の着呼信号の送出時には電波干渉が生じないので当該重複区域にあるコードレス電話機にも着信制御が可能となる。 従って、制御チャネル数以上の通話ゾーンを設定できるので、システムの通話可能区域が拡大される効果がある。 【0068】また、再度の着呼信号に応答したコードレス電話機には、最初の着呼制御時に設定された通話チャネルと同じ通話チャネルが設定され、該通話チャネルにより着信表示信号が送付されるので、再度の着呼制御に係った接続装置は短時間のうちに待機状態に戻ることができ、本発明方式を採用しても呼び処理の効率の低下は最小限にすることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明実施例のコードレスボタン電話システムのシステム構成図 【図2】本発明実施例のブロック図 【図3】(A),(B),(C)は本発明実施例のメモリ構成図 【図4】本発明実施例の着信制御シーケンス図 【図5】本発明実施例の無線 回線の偏移タイムチャート 【図6】本発明実施例の接続装置の着信処理フローチャート 【図7】本発明実施例の主装置の着信処理フローチャート 【符号の説明】 1…主装置 21〜28…接続装置 31〜36…コードレス電話機 Z1〜Z4…通話ゾーン(第1〜第4ゾーン) 104,203…制御部 142…電話機識別メモリ 143,232…状態識別メモリ 144,233…着呼応答識別メモリ 234…タイマ ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村直泰 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 三枝 伸 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内 |