【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、移動端末に対して呼出を行う移動端末呼出装置及び移動端末呼出方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の移動通信システムでは、移動端末の呼出を行う際、移動端末が在圏するロケーションエリア内のすべてのセルに対して一斉呼出を行う手法が取られている。 図5は、19個のセル50でロケーションエリア51が形成される例を示す図である。 移動端末52 に呼出要求があると、システム側は、ロケーションエリア51内のすべてのセル50に対して呼出を行う。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】呼出要求には、音声呼のようにリアルタイム性が要求され遅延が問題となる性質のものや、電子メール等のようにリアルタイム性が要求されず遅延が問題とならない性質のものがある。 しかしながら、従来の移動通信システムでは、移動端末の呼出を行う際、呼出要求の性質に関わらず、移動端末が在圏するロケーションエリア内のすべてのセルに対して一斉呼出を行う手法が取られている。 従来の手法では、呼出の遅延が問題とならない非リアルタイム呼の場合でもロケーションエリア51内のすべてのセル50に対して呼出を行うため、移動端末が在圏するセル以外については、無線資源を無駄に使用していることとなる。 【0004】無線資源の有効利用を図るため、呼出の遅延が問題とならない場合には、セル単位で移動端末の呼出を行うことができるシステムの構築が望まれる。 【0005】本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、呼出要求の性質に応じて移動端末への呼出手法を決定し、無線資源の有効利用を図ることができる移動端末呼出装置及び移動端末呼出方法を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】請求項1記載の移動端末呼出装置の発明は、複数の無線基地局が形成するセル群からなるロケーションエリアに在圏する移動端末に対して呼出を行う移動端末呼出装置であって、移動端末に対して呼出要求があった場合、呼出要求の性質を判別する判別手段と、判別された呼出要求の性質に応じ、ロケーションエリアにおける各セル又は複数のセルからなるエリアに対して呼出の順序を決定する順序決定手段とを備える構成を採る。 【0007】このように、呼出要求の性質を判別するので、リアルタイム性が要求されず呼出遅延が問題とならない呼出要求の場合は、一斉呼出ではなく、各セル又は複数のセルからなるエリア毎に呼出の順序を決定することができる。 これにより、一斉呼出と比較して、より少ないセルに対して呼出を行い、移動端末の位置を特定できるので、無線資源の有効利用を図ることが可能となる。 また、無線トラフィックの向上が図られると共に、 基地局における処理及び基地局の制御を効率的に行うことが可能となる。 【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載の移動端末呼出装置において、ロケーションエリア内のすべてのセルにおけるチャネル状態を検出するチャネル状態検出手段を更に備え、順序決定手段は、検出されたチャネル状態が良好なセルを優先して呼出の順序を決定する構成を採る。 【0009】このように、ロケーションエリア内のすべてのセルにおけるチャネル状態を検出し、チャネル状態が良好なセルを優先して呼出の順序を決定するので、チャネル状態が良好なセルから順に呼出を行うことが可能となる。 【0010】請求項3記載の発明は、請求項1記載の移動端末呼出装置において、順序決定手段は、移動端末が最後に位置登録を行ったセル又はその近傍を優先して呼出の順序を決定する構成を採る。 【0011】このように、移動端末が最後に位置登録を行ったセル又はその近傍を優先して呼出の順序を決定するので、移動端末の位置登録時から時間が余り経過していない場合、又は移動端末の速度が小さい場合は、移動端末の位置を特定する確率を高めることが可能となる。 【0012】請求項4記載の発明は、請求項1記載の移動端末呼出装置において、グループ化された呼出要求の性質と、各グループに対応するように予め決められた呼出の順序とをテーブル化して管理するデータベース装置を更に備える構成を採る。 【0013】これにより、呼出要求の性質が判別されれば、それに対応する呼出の順序が既に決められているため、判別された性質に応じた順序を迅速に決定することが可能となる。 【0014】請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の移動端末呼出装置において、呼出の順序に基づいて移動端末に対して呼出を行う制御手段を更に備える構成を採る。 【0015】これにより、一斉呼出と比較して、より少ないセルに対して呼出を行い、移動端末の位置を特定できるので、無線資源の有効利用を図ることが可能となる。 また、無線トラフィックの向上が図られると共に、 基地局における処理及び基地局の制御を効率的に行うことが可能となる。 【0016】請求項6記載の移動端末呼出方法の発明は、複数の無線基地局が形成するセル群からなるロケーションエリアに在圏する移動端末に対して呼出を行う移動端末呼出方法であって、移動端末に対して呼出要求があった場合、呼出要求の性質を判別する判別ステップと、判別された呼出要求の性質に応じ、ロケーションエリアにおける各セル又は複数のセルからなるエリアに対して呼出の順序を決定する順序決定ステップとを含む構成を採る。 【0017】このように、呼出要求の性質を判別するので、リアルタイム性が要求されず呼出遅延が問題とならない呼出要求の場合は、一斉呼出ではなく、各セル又は複数のセルからなるエリア毎に呼出の順序を決定することができる。 これにより、一斉呼出と比較して、より少ないセルに対して呼出を行い、移動端末の位置を特定できるので、無線資源の有効利用を図ることが可能となる。 また、無線トラフィックの向上が図られると共に、 基地局における処理及び基地局の制御を効率的に行うことが可能となる。 【0018】請求項7記載の発明は、請求項6記載の移動端末呼出方法において、ロケーションエリア内のすべてのセルにおけるチャネル状態を検出するチャネル状態検出ステップを含み、順序決定ステップでは、検出されたチャネル状態が良好なセルを優先して呼出の順序を決定する構成を採る。 【0019】このように、ロケーションエリア内のすべてのセルにおけるチャネル状態を検出し、チャネル状態が良好なセルを優先して呼出の順序を決定するので、チャネル状態が良好なセルから順に呼出を行うことが可能となる。 【0020】請求項8記載の発明は、請求項6記載の移動端末呼出方法において、順序決定ステップでは、移動端末が最後に位置登録を行ったセル又はその近傍を優先して呼出の順序を決定する構成を採る。 【0021】このように、移動端末が最後に位置登録を行ったセル又はその近傍を優先して呼出の順序を決定するので、移動端末の位置登録時から時間が余り経過していない場合、又は移動端末の速度が小さい場合は、移動端末の位置を特定する確率を高めることが可能となる。 【0022】請求項9記載の発明は、請求項6記載の移動端末呼出方法において、グループ化された呼出要求の性質と、各グループに対応するように予め決められた呼出の順序とをテーブル化して管理するステップを含む構成を採る。 【0023】これにより、呼出要求の性質が判別されれば、それに対応する呼出の順序が既に決められているため、判別された性質に応じた順序を迅速に決定することが可能となる。 【0024】請求項10記載の発明は、請求項6から請求項9のいずれかに記載の移動端末呼出方法において、 呼出の順序に基づいて移動端末に対して呼出を行うステップを含む構成を採る。 【0025】これにより、一斉呼出と比較して、より少ないセルに対して呼出を行い、移動端末の位置を特定できるので、無線資源の有効利用を図ることが可能となる。 また、無線トラフィックの向上が図られると共に、 基地局における処理及び基地局の制御を効率的に行うことが可能となる。 【0026】 【発明の実施の形態】(実施の形態1)図1は、本発明の実施の形態1に係る移動通信システムの概略を示す図である。 ロケーションレジスタ10は、移動端末の位置登録や利用者への課金情報等を登録する。 交換局装置1 1は、伝送交換を行いつつ複数の基地局200〜218 との通信を管理する。 基地局200〜218は、それぞれセル300〜318を管理し、これらのセル300〜 318が、ロケーションエリア12を形成する。 今、移動端末13がロケーションエリア12に在圏しているものとする。 【0027】実施の形態1では、交換局装置11に移動端末呼出装置が設けられているものとする。 図2は、移動端末呼出装置20の概略構成を示す図である。 ロケーションエリア12に在圏する移動端末13に対して着呼が発生した場合、移動端末13の位置を認識しているロケーションレジスタ10は、交換局装置11に対して移動端末13への呼出要求を行う。 交換局装置11内の移動端末呼出装置20では、判別装置21が、呼出要求の性質を判別する。 ここでは、呼出要求の性質として、音声呼のようにリアルタイム性が要求され遅延が問題となる性質を有するリアルタイム呼と、電子メール等のようにリアルタイム性が要求されず遅延が問題とならない性質を有する非リアルタイム呼との2種類があるものとする。 【0028】判別装置21は、例えば、ATMセルヘッダ内のVCI(Virtual Channel Id entifier)、VPI(Virtual Pat hIdentifier)に示されるように、送信者からのデータパケットのヘッダ情報から呼出要求の性質を判別する。 また、送信者からのデータパケットのプロトコル情報から呼出要求の性質を判別してもよい。 判別装置21による判別結果は、制御装置23に入力される。 【0029】データベース22は、予め呼出要求の性質をグループ化し、それらと対応する呼出順序をテーブル化して管理する。 例えば、リアルタイム呼は、ロケーションエリア12内のすべてのセル300〜318に対して同一順序、すなわち、一斉呼出が対応し、非リアルタイム呼は、セル単位で決められる各種の呼出順序のパターンが対応する。 各種の呼出順序のパターンには、各セルをランダムに呼び出すパターン、チャネル状態が良好なセルから優先して呼び出すパターン、移動端末が最後に位置登録をしたセル又はその近傍を優先して呼び出すパターン等がある。 【0030】これにより、呼出要求の性質が判別されれば、それに対応する呼出の順序が既に決められているため、判別された性質に応じた順序を迅速に決定することが可能となる。 【0031】制御装置23は、各セルに対する呼出の順序を決定する機能と、決定された呼出の順序に基づいて移動端末を呼び出す機能との両方を兼ね備えている。 すなわち、判別装置21から入力された判別結果と、データベース22における呼出要求の性質に対応する呼出順序を読み出して、セルの呼出順序を決定する。 また、制御装置23は、チャネル状態を検出する機能を有しており、検出したチャネル状態が良好なセルを優先して呼び出すように順序を決定することも可能である。 このように、ロケーションエリア12内のすべてのセルにおけるチャネル状態を検出し、チャネル状態が良好なセルを優先して呼出の順序を決定するので、チャネル状態が良好なセルから順に呼出を行うことが可能となる。 また、交換局装置11が、移動端末が最後に位置登録をしたセルを把握すれば、そのセル又はその近傍のセルを優先して呼び出すように順序を決定することが可能である。 このように、移動端末が最後に位置登録を行ったセル又はその近傍を優先して呼出の順序を決定するので、移動端末の位置登録時から時間が余り経過していない場合、又は移動端末の速度が小さい場合は、移動端末の位置を特定する確率を高めることが可能となる。 【0032】一方、制御装置23は、決定した呼出の順序に従って各セル又は複数のセルからなるエリア毎に呼出を行う。 この場合、制御装置23は、セル単位で呼出を行っても良いし、予めグループ化された複数のセルからなるエリア単位で呼出を行っても良い。 【0033】次に、以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る移動通信システムの動作について説明する。 図3は、実施の形態1に係る移動通信システムの動作を示すフローチャートである。 まず、ロケーションエリア12に在圏する移動端末13に対して着呼が発生する(ステップS1)。 ロケーションレジスタ10は、 交換局装置11に対して移動端末13に対する呼出要求を行う(ステップS2)。 交換局装置11内の移動端末呼出装置20は、送信されたデータパケットのヘッダ情報又はプロトコル情報から呼出要求の性質を判定する(ステップS3)。 この判定の結果、呼出要求の性質がリアルタイム呼でない場合、すなわち、非リアルタイム呼である場合は、図4に示すように、決定した呼出の順序に従って各セル又は複数のセルからなるエリア毎に呼出を行う(ステップS5)。 移動端末13が、図4に示す位置におり、呼出の順序が、ロケーションエリア12 の中心のセルから始まる図4に示す順序となっている場合は、6番目のセルを呼び出した段階で移動端末13の位置を認識することが可能となる。 これにより、ロケーションエリア12内にある全てのセル(この場合は19 個)に対して呼出を行うことと比較して、無線資源の有効利用及び呼出処理の効率化を図ることができる。 【0034】なお、移動端末13の位置特定は、移動端末13からの呼出応答を交換局装置11が受信することによって完了するが、移動端末13の無線環境の劣化等の原因により、移動端末13からの呼出応答を交換局装置11が受信できない場合もあり得る。 このため、ロケーションエリア12内のすべてのセルに対して呼出を行っても移動端末13からの呼出応答を受信できない場合は、再度、ロケーションエリア12内で同手順の呼出を行う。 【0035】一方、ステップS4において、呼出要求の性質がリアルタイム呼である場合は、図5に示したように、各セルに対して同一順序、すなわち、一斉呼出を行う(ステップS6)。 【0036】このように、実施の形態1に係る移動通信システムによれば、呼出要求の性質を判別するので、リアルタイム性が要求されず呼出遅延が問題とならない呼出要求の場合は、一斉呼出ではなく、各セル又は複数のセルからなるエリア毎に呼出の順序を決定することができる。 これにより、一斉呼出と比較して、より少ないセルに対して呼出を行い、移動端末の位置を特定できるので、無線資源の有効利用を図ることが可能となる。 また、無線トラフィックの向上が図られると共に、基地局における処理及び基地局の制御を効率的に行うことが可能となる。 【0037】(実施の形態2)図6は、実施の形態2に係る移動通信システムの概略を示す図である。 実施の形態2では、IPノード(例えば、ルータ)が呼出を行うセル順序を設定する。 本移動通信システムは、図6に示すように、ルータ60と、基地局200〜218と、移動端末13とから構成される。 ルータ60は、実施の形態1と同様の移動端末呼出装置20を備えているものとする。 基地局が管理するセル300〜318は、ロケーションエリア12を形成する。 【0038】ここで、移動端末13に着呼が発生したとする。 移動端末13がルータ60以下にいることは、例えば、Mobile IPのHome Agentを用いることによって把握できるため、移動端末13宛のデータパケットは、ルータ60まで到達する。 【0039】ルータ60における移動端末呼出装置20 の判別装置21は、送信されたデータパケットのヘッダ情報若しくはプロトコル情報を判定し、その結果を制御装置23へ出力する。 制御装置23は、入力された情報に基づいてデータベース22を参照し、移動端末13に対する呼出方法を決定する。 このとき、移動端末13に対する着呼が非リアルタイム呼であれば、図4に示すように、ロケーションエリア12内のセルにおいて1個毎に呼び出しを行う。 この際、呼出を行うセル順序を決定する方法としては、ランダムな順序、チャネル状態が良い順序、移動端末13が最近位置登録を行ったセル又はその近傍を優先させることができる。 図4に示すように、実施の形態2に係る移動通信システムによれば、6 個のセルに対して呼出を行うだけで移動端末13の位置を特定することができるため、従来の一斉呼出方法が1 9個のセルに対して呼出を行うことと比較して効率的な呼出方法を実現することが可能となる。 【0040】移動端末13の呼出における位置の特定は、移動端末13からの呼出応答をルータ60が受信することによって完了するが、移動端末13の無線環境劣化などの原因により、移動端末13からの呼出応答をルータ60が受信できない場合もあり得る。 このため、ロケーションエリア12内の全セルに対して呼出を行っても移動端末13からの呼出応答が返ってこない場合は、 再度ロケーションエリア12内で同手順の呼出を行う。 【0041】次に、本発明の変形例について説明する。 上記の説明では、呼出要求の性質としてリアルタイム呼と非リアルタイム呼の2種類を示したが、本発明は、これに限定されず、クラス化した複数種類の呼の性質がある場合についても適用可能である。 また、実施の形態1 では、移動端末呼出装置20が交換局装置11に搭載される例を示したが、位置管理装置(例えば、ロケーションレジスタ)、基地局装置に搭載する形態を採ることも可能である。 また、上記の説明では、ロケーションエリア12は静的に設定される場合について示したが、本発明は、ロケーションエリア12が動的に設定される場合についても適用可能である。 この場合、ロケーションエリア12内のセル情報(例えば、セル識別情報)を管理するデータベースの内容が動的に変更されることとなる。 【0042】 【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る移動端末呼出装置は、複数の無線基地局が形成するセル群からなるロケーションエリアに在圏する移動端末に対して呼出を行う移動端末呼出装置であって、移動端末に対して呼出要求があった場合、呼出要求の性質を判別する判別手段と、判別された呼出要求の性質に応じ、ロケーションエリアにおける各セル又は複数のセルからなるエリアに対して呼出の順序を決定する順序決定手段とを備える構成を採る。 【0043】このように、呼出要求の性質を判別するので、リアルタイム性が要求されず呼出遅延が問題とならない呼出要求の場合は、一斉呼出ではなく、各セル又は複数のセルからなるエリア毎に呼出の順序を決定することができる。 これにより、一斉呼出と比較して、より少ないセルに対して呼出を行い、移動端末の位置を特定できるので、無線資源の有効利用を図ることが可能となる。 また、無線トラフィックの向上が図られると共に、 基地局における処理及び基地局の制御を効率的に行うことが可能となる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施の形態1に係る移動通信システムの概略を示す図である。 【図2】移動端末呼出装置の概略構成を示す図である。 【図3】実施の形態1に係る移動通信システムの動作を示すフローチャートである。 【図4】ロケーションエリア内のセルの呼出順序の例を示す図である。 【図5】19個のセルでロケーションエリアが形成される例を示す図である。 【図6】実施の形態2に係る移動通信システムの概略を示す図である。 【符号の説明】 10…ロケーションレジスタ、11…交換局装置、12 …ロケーションエリア、13…移動端末、20…移動端末呼出装置、21…判別装置、22…データベース、2 3…制御装置、50…セル、51…ロケーションエリア、52…移動端末、200〜218…基地局、300 〜318…セル。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5K024 AA02 DD01 DD04 GG03 GG05 GG10 5K067 AA11 EE02 EE10 EE16 FF03 FF13 GG06 HH22 HH23 JJ66 JJ72 JJ73 JJ74 |