無線通信システム、無線基地局および通信制御方法

申请号 JP2012095226 申请日 2012-04-19 公开(公告)号 JP5706848B2 公开(公告)日 2015-04-22
申请人 株式会社NTTドコモ; 发明人 森本 彰人; 三木 信彦;
摘要
权利要求

第1セルを形成する第1無線基地局と、 前記第1無線基地局と接続し、前記第1無線基地局の送信電よりも送信電力が小さく、接続先の第1無線基地局が形成する前記第1セル内に第2セルを形成する第2無線基地局と、 前記第1無線基地局および前記第2無線基地局のうち少なくともいずれか1つと各々が無線接続を確立して無線通信を実行する複数の移動端末と を備える無線通信システムであって、 前記第1無線基地局は、前記第2無線基地局で使用されるリソースと同じリソースを使用して移動端末へ無線送信を行うことが可能であるとともに、前記第2無線基地局とセル間干渉制御のために協調するように構成され、 前記第1無線基地局は、 異なる変調多値数をそれぞれ有する複数の変調方式のうちいずれかを使用して、前記第1無線基地局に接続する移動端末を宛先とするデータ信号の各々を変調する変調部と、 前記第1セルに在圏する移動端末へデータ信号を無線送信する無線送信部と、 前記第1無線基地局に接続する移動端末の各々に対して、前記第1無線基地局の前記無線送信部が第1送信電力でデータ信号を無線送信すべき第1リソースグループおよび前記第1無線基地局の前記無線送信部が前記第1送信電力より低い第2送信電力でデータ信号を無線送信すべき第2リソースグループのいずれかを割り当てるリソースグループ割り当て部と、 前記第1リソースグループにおいて前記第1送信電力でデータ信号を無線送信し、前記第2リソースグループにおいて前記第2送信電力でデータ信号を無線送信するように前記無線送信部を制御する送信制御部と、 前記第1無線基地局に接続する移動端末の各々へのデータ信号の無線送信のために前記変調部で使用されるべき変調方式を暫定的に判断する変調方式暫定判断部と、 前記リソースグループ割り当て部によって前記第2リソースグループが割り当てられる移動端末に対して、前記変調方式暫定判断部で暫定的に判断された変調方式が前記第2送信電力に対して不適切である場合に、前記変調方式暫定判断部で暫定的に判断された変調方式の変調多値数よりも小さい変調多値数を有する変調方式を前記変調部で使用されるべき変調方式として設定する変調方式設定部と、 前記リソースグループ割り当て部によって前記第2リソースグループが割り当てられる移動端末に対して、前記変調方式暫定判断部で暫定的に判断された変調方式が前記第2送信電力に対して不適切である場合に、当該移動端末へのMIMO技術を利用するデータ信号の無線送信に使用される送信ストリーム数の増加および当該移動端末に無線送信されるデータ信号に適用される符号化率の増加の両方を実行する送信パラメータ調整部とを備える 無線通信システム。移動端末と通信する無線基地局であって、 当該無線基地局自身が形成する第1セル内に第2セルを形成する、当該無線基地局の送信電力よりも送信電力が小さい第2無線基地局で使用されるリソースと同じリソースを使用して移動端末へ無線送信を行うことが可能であるとともに、前記第2無線基地局とセル間干渉制御のために協調するように構成され、 異なる変調多値数をそれぞれ有する複数の変調方式のうちいずれかを使用して、当該無線基地局に接続する移動端末を宛先とするデータ信号の各々を変調する変調部と、 前記第1セルに在圏する移動端末へデータ信号を無線送信する無線送信部と、 当該無線基地局に接続する移動端末の各々に対して、前記無線送信部が第1送信電力でデータ信号を無線送信すべき第1リソースグループおよび前記無線送信部が前記第1送信電力より低い第2送信電力でデータ信号を無線送信すべき第2リソースグループのいずれかを割り当てるリソースグループ割り当て部と、 前記第1リソースグループにおいて前記第1送信電力でデータ信号を無線送信し、前記第2リソースグループにおいて前記第2送信電力でデータ信号を無線送信するように前記無線送信部を制御する送信制御部と、 当該無線基地局に接続する移動端末の各々へのデータ信号の無線送信のために前記変調部で使用されるべき変調方式を暫定的に判断する変調方式暫定判断部と、 前記リソースグループ割り当て部によって前記第2リソースグループが割り当てられる移動端末に対して、前記変調方式暫定判断部で暫定的に判断された変調方式が前記第2送信電力に対して不適切である場合に、前記変調方式暫定判断部で暫定的に判断された変調方式の変調多値数よりも小さい変調多値数を有する変調方式を前記変調部で使用されるべき変調方式として設定する変調方式設定部と、 前記リソースグループ割り当て部によって前記第2リソースグループが割り当てられる移動端末に対して、前記変調方式暫定判断部で暫定的に判断された変調方式が前記第2送信電力に対して不適切である場合に、当該移動端末へのMIMO技術を利用するデータ信号の無線送信に使用される送信ストリーム数の増加および当該移動端末に無線送信されるデータ信号に適用される符号化率の増加の両方を実行する送信パラメータ調整部とを備える 無線基地局。移動端末と通信するとともに、当該無線基地局自身が形成する第1セル内に第2セルを形成する、当該無線基地局の送信電力よりも送信電力が小さい第2無線基地局で使用されるリソースと同じリソースを使用して移動端末へ無線送信を行うことが可能であるとともに、前記第2無線基地局とセル間干渉制御のために協調するように構成された無線基地局における通信制御方法であって、 異なる変調多値数をそれぞれ有する複数の変調方式のうちいずれかを使用して、当該無線基地局に接続する移動端末を宛先とするデータ信号の各々を変調することと、 当該無線基地局に接続する移動端末の各々に対して、第1送信電力でデータ信号を無線送信すべき第1リソースグループおよび前記第1送信電力より低い第2送信電力でデータ信号を無線送信すべき第2リソースグループのいずれかを割り当てることと、 前記第1リソースグループにおいて前記第1送信電力でデータ信号を無線送信し、前記第2リソースグループにおいて前記第2送信電力でデータ信号を無線送信することと、 当該無線基地局に接続する移動端末の各々へのデータ信号の無線送信のために使用されるべき変調方式を暫定的に判断することと、 前記第2リソースグループが割り当てられる移動端末に対して、暫定的に判断された前記変調方式が前記第2送信電力に対して不適切である場合に、前記暫定的に判断された変調方式の変調多値数よりも小さい変調多値数を有する変調方式を当該移動端末のために設定することと、 前記第2リソースグループが割り当てられる移動端末に対して、暫定的に判断された前記変調方式が前記第2送信電力に対して不適切である場合に、当該移動端末へのMIMO技術を利用するデータ信号の無線送信に使用される送信ストリーム数の増加および当該移動端末に無線送信されるデータ信号に適用される符号化率の増加の両方を実行する 通信制御方法。

说明书全文

本発明は、無線通信システム、無線基地局および通信制御方法に関する。

3GPP(Third Generation Partnership Project)におけるLTE(Long Term Evolution)Advancedでは、MU-MIMO(multi-user multiple-input multiple-output)を用いたOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access)が提案されている。MU-MIMOの下りリンク送信においては、1つの基地局が複数の移動端末(UE、user equipment)と通信するだけでなく、1つの移動端末に異なるデータストリーム(レイヤ、ランク)を同時に送信することが可能である。

他方、近年、送信電(送信能力)が相異なる複数種の無線基地局(マクロ基地局、ピコ基地局、フェムト基地局、リモートラジオヘッド(Remote Radio Head)等)を重層的に設置したヘテロジーニアスネットワーク(Heterogeneous Network,HetNet)が提案されている(例えば、非特許文献1)。

ヘテロジーニアスネットワークにおいては、送信電力(送信能力)の大きい基地局(例えばマクロ基地局)の方が、送信電力(送信能力)の小さい基地局(例えばピコ基地局)と比較して、セルサーチまたはハンドオーバの段階で移動端末300の無線接続先として選択されやすいと想定される。したがって、送信電力の大きい基地局に移動端末300からの接続が集中し、ひいては通信負荷が過大となる傾向があると想定される。

そこで、セルレンジエクスパンション(cell range expansion)と呼ばれる技術が提案されている。セルレンジエクスパンションは、移動端末によるセル選択のための指標である小電力基地局からの受信品質または受信電力にオフセット値(バイアス値)を付与する技術である。オフセット値が加算(またはデシベルで加算)された小電力基地局からの受信品質または受信電力は、マクロ基地局からの受信品質または受信電力と比較される。これにより、小電力基地局からの受信品質または受信電力の方がマクロ基地局からの受信品質または受信電力よりも良好になりやすくなる。結果的に、移動端末はマクロ基地局よりも小電力基地局に接続することを選択するので、小電力基地局のセル範囲が拡大され、マクロ基地局の通信負荷が軽減されると考えられる。

しかし、セルレンジエクスパンション(CRE)で小電力基地局のセル範囲が拡大された場合、その小電力基地局のセルの端部にある移動端末は、周囲のマクロ基地局からの電波による大きな干渉を受ける可能性がある。このため、セル間干渉制御(inter-cell interference coordinationまたはinter-cell interference control)の拡張であるenhanced inter-cell interference coordinationまたはenhanced inter-cell interference controlと呼ばれる技術が提案されている。この技術はeICICと略称される。eICICは例えば非特許文献2に記載されている。

eICICは、周波数領域ベースのeICICと、時間領域ベースのeICICに大別される。いずれにせよ、eICICは、小電力基地局に接続される移動端末への干渉を予防または抑制するために、マクロ基地局で利用可能なリソースを制限する技術である。

周波数領域ベースのeICICでは、複数の周波数帯が準備される。第1の周波数帯はマクロ基地局からマクロ基地局に接続される移動端末への下りリンク送信と、小電力基地局から小電力基地局のセルの中央にある移動端末(例えばCREがなくても小電力基地局に接続される移動端末)への下りリンク送信に使用される。第2の周波数帯は、小電力基地局から小電力基地局のセルの端部にある移動端末(例えばCREのために小電力基地局に接続される移動端末)への下りリンク送信に使用され、マクロ基地局からの下りリンク送信には使用されない。したがって、小電力基地局のセルの端部にある移動端末へのマクロ基地局からの電波による干渉が予防されると想定される。

時間領域ベースのeICICでは、マクロ基地局と小電力基地局は同じ周波数帯を使用するが、異なる単位時間(例えばサブフレーム)が異なる用途で使用される。図1は、時間領域ベースのeICICでのマクロ基地局と小電力基地局の下りリンク送信電力の時間変化を例示するグラフである。図1から明らかなように、小電力基地局は継続的に下りリンク送信が可能である。しかし、マクロ基地局は間欠的にしか下りリンク送信ができない。この結果、小電力基地局だけが下りリンク送信する期間(プロテクテドサブフレーム、PSF)と、マクロ基地局と小電力基地局の両方が下りリンク送信する期間(ノンプロテクテドサブフレーム、NSF)が生ずる。ノンプロテクテドサブフレームは、マクロ基地局からマクロ基地局に接続される移動端末への下りリンク送信と、小電力基地局から小電力基地局のセルの中央にある移動端末(例えばCREがなくても小電力基地局に接続される移動端末)への下りリンク送信に使用される。プロテクテドサブフレームは、小電力基地局から小電力基地局のセルの端部にある移動端末(例えばCREのために小電力基地局に接続される移動端末)への下りリンク送信に使用される。したがって、小電力基地局のセルの端部にある移動端末へのマクロ基地局からの電波による干渉が予防されると想定される。

マクロ基地局からの送信効率をより改善するため、特定のリソースグループでマクロ基地局からの下りリンク送信を停止するのではなく、特定のリソースグループ(例えば、プロテクテドサブフレーム)でマクロ基地局から低い送信電力で下りリンク送信を実行する、eICICの変形が提案されている(非特許文献3)。図2は、時間領域ベースのeICICの変形でのマクロ基地局と小電力基地局の下りリンク送信電力の時間変化を例示するグラフである。この場合、特定のリソースグループ(図2ではプロテクテドサブフレーム)ではマクロ基地局からの送信電力が低減されるものの、マクロ基地局からのデータ送信が許容される。このような送信電力が低減されるリソースグループは、マクロ基地局に地理的に近い移動端末への無線送信に使用することができる。マクロ基地局での送信電力の低減により、これらの特定のリソースグループを小電力基地局に接続されている移動端末のために小電力基地局が使用しても、それらの移動端末へ与えられる干渉は小さいと考えられる。

3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Further advancements for E-UTRA physical layer aspects (Release 9); 3GPP TR 36.814 V9.0.0 (2010-03); Section 9A, Heterogeneous Deployments

R1-103264, 3GPP TSG RAN WG1 Meeting #61, Montreal, Canada, May 10 - 14, 2010, Source: NTT DOCOMO, Title: "Performance of eICIC with Control Channel Coverage Limitation", Agenda Item: 6.8, Document for: Discussion and Decision

3GPP, R1-113482, 3GPP TSG-RAN WG1 #66bis, Zhuhai, China, 10th - 14th October, 2011, Source: Ericsson, ST-Ericsson, Title: “System performance evaluations on FeICIC”, Agenda Item: 7.3.1, Document for: Discussion and Decision

上記の特定のリソースグループでマクロ基地局から低い送信電力で下りリンク送信を実行するeICICの変形においては、マクロ基地局はデータ信号の送信電力を低減するものの、参照信号の送信電力を低減しない。その理由は、例えばハンドオーバの契機を検出する場合など、移動端末にとって最適な無線基地局を選択するため、移動端末は複数の無線基地局からの参照信号の受信品質を測定するからである。ある無線基地局だけ参照信号の送信電力を低減すると、他の無線基地局からの参照信号の受信品質の適切な比較が不可能または困難になる。

したがって、このeICICの変形の技術が適用された場合、マクロ基地局に接続してデータ信号を低い送信電力で受信する移動端末は、比較的高い送信電力で参照信号を受信する。図3および図4は、時間領域ベースのeICICの変形において、異なる周波数を使用してマクロ基地局がデータ信号と参照信号を送信するときの送信電力を示すグラフである。これらのグラフは、プロテクテドサブフレームでのデータ信号と参照信号の送信電力を示す(ノンプロテクテドサブフレームではデータ信号と参照信号の送信電力は同じである)。データ信号に相当する周波数(サブキャリア)では低い送信電力が使用され、参照信号に相当する周波数では高い送信電力が使用されている。図3よりも図4では、データ信号と参照信号の送信電力の相違が大きい。

LTEで下りリンク送信に使用されるOFDMAでは、サブキャリアは互いに直交しているので、理論的には、隣合うサブキャリア相互に信号の干渉が発生しない。しかし、実際には、下りリンク送信の受信側である移動端末においては、高い電力で送信される参照信号によって、低い電力で送信されるデータ信号が干渉されてしまう。参照信号のデータ信号への干渉は、両方の送信電力の相違が大きいほど大きい。例えば、図3の状況よりも図4の状況の方が参照信号のデータ信号への影響が大きい。

参照信号のデータ信号への干渉は、信号を変調する変調方式にも依存する。具体的には、参照信号のデータ信号への干渉は変調方式の変調多値数(modulation level)に応じて異なる。例えば、64QAM(quadrature amplitude modulation)、16QAM、QPSK(quadrature phase shift keying)については、64QAMが最も干渉による特性劣化が大きく、QPSKが干渉による特性劣化が小さい。これは、変調多値数の増大に伴い信号点間距離が減少するためである。

したがって、例えば64QAMのような変調多値数が大きい信号変調方式は、異なるサブフレームで異なる送信電力を使用するeICICの変形には不適切であると考えられる。あるいは、例えば64QAMのような変調多値数が大きい信号変調方式を使用する場合には、参照信号とデータ信号の送信電力の相違を顕著に大きくするべきではないと考えられる。

上記の通り、マクロ基地局からの送信電力が低減されるリソースグループは、マクロ基地局に地理的に近い移動端末への無線送信に使用することができる。これは、移動端末がマクロ基地局に地理的に近ければ、移動端末での受信品質の劣化が少ないので、移動端末では下りリンク信号の復調が可能だからである。他方、通常の送信電力(高い送信電力)で送信されるリソースグループは、マクロ基地局に地理的に遠い移動端末への無線送信に使用することができる。

しかしながら、上記の通り、参照信号のデータ信号への干渉のため、変調多値数が大きい信号変調方式は、異なる周波数に異なる送信電力を使用するeICICの変形には不適切であると考えられる。そのため、マクロ基地局に地理的に近い移動端末宛のデータ信号については、変調多値数が大きい信号変調方式が使用できないおそれがある。変調多値数が大きいほど情報の伝送速度が大きい。したがって、マクロ基地局に地理的に近い移動端末宛に高い伝送速度でデータ信号を送信できないおそれがある。

そこで、本発明は、大電力基地局と小電力基地局とがセル間干渉制御のために協調する無線通信システム、特に小電力基地局に接続する移動端末への干渉を抑制するために、大電力基地局が特定のリソースグループで低い送信電力で無線送信する無線通信システムにおいて、大電力基地局に地理的に近い移動端末宛に高い伝送速度でデータ信号を送信できる技術を提供する。

本発明に係る無線通信システムは、第1セルを形成する第1無線基地局と、前記第1無線基地局と接続し、前記第1無線基地局の送信電力よりも送信電力が小さく、接続先の第1無線基地局が形成する前記第1セル内に第2セルを形成する第2無線基地局と、前記第1無線基地局および前記第2無線基地局のうち少なくともいずれか1つと各々が無線接続を確立して無線通信を実行する複数の移動端末とを備える無線通信システムであって、前記第1無線基地局は、前記第2無線基地局で使用されるリソースと同じリソースを使用して移動端末へ無線送信を行うことが可能であるとともに、前記第2無線基地局とセル間干渉制御のために協調するように構成され、前記第1無線基地局は、異なる変調多値数をそれぞれ有する複数の変調方式のうちいずれかを使用して、前記第1無線基地局に接続する移動端末を宛先とするデータ信号の各々を変調する変調部と、前記第1セルに在圏する移動端末へデータ信号を無線送信する無線送信部と、前記第1無線基地局に接続する移動端末の各々に対して、前記第1無線基地局の前記無線送信部が第1送信電力でデータ信号を無線送信すべき第1リソースグループおよび前記第1無線基地局の前記無線送信部が前記第1送信電力より低い第2送信電力でデータ信号を無線送信すべき第2リソースグループのいずれかを割り当てるリソースグループ割り当て部と、前記第1リソースグループにおいて前記第1送信電力でデータ信号を無線送信し、前記第2リソースグループにおいて前記第2送信電力でデータ信号を無線送信するように前記無線送信部を制御する送信制御部と、前記第1無線基地局に接続する移動端末の各々へのデータ信号の無線送信のために前記変調部で使用されるべき変調方式を暫定的に判断する変調方式暫定判断部と、前記リソースグループ割り当て部によって前記第2リソースグループが割り当てられる移動端末に対して、前記変調方式暫定判断部で暫定的に判断された変調方式が前記第2送信電力に対して不適切である場合に、前記変調方式暫定判断部で暫定的に判断された変調方式の変調多値数よりも小さい変調多値数を有する変調方式を前記変調部で使用されるべき変調方式として設定する変調方式設定部と、前記リソースグループ割り当て部によって前記第2リソースグループが割り当てられる移動端末に対して、前記変調方式暫定判断部で暫定的に判断された変調方式が前記第2送信電力に対して不適切である場合に、当該移動端末へのMIMO技術を利用するデータ信号の無線送信に使用される送信ストリーム数の増加および当該移動端末に無線送信されるデータ信号に適用される符号化率の増加の両方を実行する送信パラメータ調整部とを備える。

本発明においては、低い方の第2送信電力に対応する第2リソースグループが割り当てられる移動端末に対して、一旦判断された変調方式が前記第2送信電力に対して不適切である場合に、大電力基地局(第1無線基地局、例えばマクロ基地局)は、その変調方式の変調多値数よりも小さい変調多値数を有する変調方式を設定し、MIMO技術を利用する無線送信に使用される送信ストリーム(レイヤ、ランク)の数を増加させる。送信ストリームの増加に加えてまたはこれに代えて、当該移動端末に無線送信される送信信号に適用される符号化率を増加させてもよい。小さい変調多値数を有する変調方式は伝送速度の低下を招くが、送信ストリーム数の増加および符号化率の増加は伝送速度を向上する。したがって、小電力基地局(第2無線基地局、例えばピコ基地局)に接続する移動端末への干渉を抑制するために、大電力基地局が特定のリソースグループで低い送信電力で無線送信する無線通信システムにおいて、大電力基地局に地理的に近い移動端末宛に高い伝送速度でデータ信号を送信できる。

本発明に係る無線基地局は、移動端末と通信する無線基地局であって、当該無線基地局自身が形成する第1セル内に第2セルを形成する、当該無線基地局の送信電力よりも送信電力が小さい第2無線基地局で使用されるリソースと同じリソースを使用して移動端末へ無線送信を行うことが可能であるとともに、前記第2無線基地局とセル間干渉制御のために協調するように構成され、異なる変調多値数をそれぞれ有する複数の変調方式のうちいずれかを使用して、当該無線基地局に接続する移動端末を宛先とする送信信号の各々を変調する変調部と、前記第1セルに在圏する移動端末へ無線送信を実行する無線送信部と、当該無線基地局に接続する移動端末の各々に対して、前記無線送信部が第1送信電力で無線送信を実行すべき第1リソースグループおよび前記無線送信部が前記第1送信電力より低い第2送信電力で無線送信を実行すべき第2リソースグループのいずれかを割り当てるリソースグループ割り当て部と、前記第1リソースグループにおいて前記第1送信電力で無線送信を実行し、前記第2リソースグループにおいて前記第2送信電力で無線送信を実行するように前記無線送信部を制御する送信制御部と、当該無線基地局に接続する移動端末の各々への無線送信のために前記変調部で使用されるべき変調方式を暫定的に判断する変調方式暫定判断部と、前記リソースグループ割り当て部によって前記第2リソースグループが割り当てられる移動端末に対して、前記変調方式暫定判断部で判断された変調方式が前記第2送信電力に対して不適切である場合に、前記変調方式暫定判断部で判断された変調方式の変調多値数よりも小さい変調多値数を有する変調方式を前記変調部で使用されるべき変調方式として設定する変調方式設定部と、前記リソースグループ割り当て部によって前記第2リソースグループが割り当てられる移動端末に対して、前記変調方式暫定判断部で判断された変調方式が前記第2送信電力に対して不適切である場合に、当該移動端末へのMIMO技術を利用する無線送信に使用される送信ストリーム数の増加および当該移動端末に無線送信される送信信号に適用される符号化率の増加の両方を実行する送信パラメータ調整部とを備える。

本発明に係る通信制御方法は、移動端末と通信するとともに、当該無線基地局自身が形成する第1セル内に第2セルを形成する、当該無線基地局の送信電力よりも送信電力が小さい第2無線基地局で使用されるリソースと同じリソースを使用して移動端末へ無線送信を行うことが可能であるとともに、前記第2無線基地局とセル間干渉制御のために協調するように構成された無線基地局における通信制御方法であって、異なる変調多値数をそれぞれ有する複数の変調方式のうちいずれかを使用して、当該無線基地局に接続する移動端末を宛先とする送信信号の各々を変調することと、当該無線基地局に接続する移動端末の各々に対して第1送信電力で無線送信を実行すべき第1リソースグループおよび前記第1送信電力より低い第2送信電力で無線送信を実行すべき第2リソースグループのいずれかを割り当てることと、前記第1リソースグループにおいて前記第1送信電力で無線送信を実行し、前記第2リソースグループにおいて前記第2送信電力で無線送信を実行することと、当該無線基地局に接続する移動端末の各々への無線送信のために使用されるべき変調方式を暫定的に判断することと、前記第2リソースグループが割り当てられる移動端末に対して、暫定的に判断された前記変調方式が前記第2送信電力に対して不適切である場合に、前記暫定的に判断された変調方式の変調多値数よりも小さい変調多値数を有する変調方式を当該移動端末のために設定することと、前記第2リソースグループが割り当てられる移動端末に対して、暫定的に判断された前記変調方式が前記第2送信電力に対して不適切である場合に、当該移動端末へのMIMO技術を利用する無線送信に使用される送信ストリーム数の増加および当該移動端末に無線送信される送信信号に適用される符号化率の増加の両方を実行することとを備える。

時間領域ベースのeICICでのマクロ基地局と小電力基地局の下りリンク送信電力の時間変化を例示するグラフである。

時間領域ベースのeICICの変形でのマクロ基地局と小電力基地局の下りリンク送信電力の時間変化を例示するグラフである。

時間領域ベースのeICICの変形において、異なる周波数を使用してマクロ基地局がデータ信号と参照信号を送信するときの送信電力を示すグラフである。

時間領域ベースのeICICの変形において、異なる周波数を使用してマクロ基地局がデータ信号と参照信号を送信するときの送信電力を示すグラフである。

本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムを示すブロック図である。

本発明の第1の実施の形態に係る移動端末の構成を示すブロック図である。

本発明の第1の実施の形態に係るマクロ基地局の構成を示すブロック図である。

本発明の第1の実施の形態に係るピコ基地局の構成を示すブロック図である。

以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。 第1の実施の形態 図5は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムのブロック図である。この無線通信システムは、マクロ基地局(マクロeNodeB(evolved Node B))100と、ピコ基地局200と、移動端末(UE、User Equipment)300とを備える。この実施の形態において、ピコ基地局200はリモートラジオヘッド(RRH)である。

無線通信システム内の各通信要素(マクロ基地局100、ピコ基地局200、移動端末300)は所定の無線アクセス技術(Radio Access Technology)、例えばLTEに従って無線通信を行う。本実施の形態では、無線通信システムがLTEに従って動作する形態を例示して説明するが、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。本発明は、必要な設計上の変更を施した上で、他の無線アクセス技術にも適用可能である。

マクロ基地局(第1無線基地局、大電力基地局)100とピコ基地局(第2無線基地局、小電力基地局)200とは有線または無線にて相互に接続される。マクロ基地局100はマクロセル(第1セル)Cmを形成し、各ピコ基地局200はピコセル(第2セル)Cpを形成する。ピコセルCpは、そのピコセルCpを形成するピコ基地局200に接続されたマクロ基地局100が形成するマクロセルCm内に形成されるセルである。1つのマクロセルCm内には、複数のピコセルCpが形成され得る。

各無線基地局(マクロ基地局100,ピコ基地局200)は、その基地局自身のセルに在圏する移動端末300と無線通信が可能である。逆に言うと、移動端末300は、移動端末300自身が在圏するセル(マクロセルCm,ピコセルCp)に対応する基地局(マクロ基地局100,ピコ基地局200)と無線通信が可能である。

マクロ基地局100はピコ基地局200と比較して無線送信能力(最大送信電力,平均送信電力等)が高いので、より遠くに位置する移動端末300と無線通信可能である。したがって、マクロセルCmはピコセルCpよりも面積が大きい。例えば、マクロセルCmは半径数百メートルから数十キロメートル程度の大きさであり、ピコセルCpは半径数メートルから数十メートル程度の大きさである。

以上の説明から理解されるように、無線通信システム内のマクロ基地局100およびピコ基地局200は、送信電力(送信能力)が相異なる複数種の無線基地局が重層的に設置されたヘテロジーニアスネットワーク(Heterogeneous Network,HetNet)を構成する。

ピコセルCpがマクロセルCmの内部に重層的に形成される(オーバレイされる)ことを考慮すると、移動端末300がピコセルCp内に在圏する場合、その移動端末300は、そのピコセルCpを形成するピコ基地局200と、そのピコセルCpを包含するマクロセルCmを形成するマクロ基地局100との少なくともいずれか一方と無線通信が可能であると理解できる。

各基地局と移動端末300との間の無線通信の方式は任意である。例えば、下りリンクではOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)が採用され、上りリンクではSC−FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)が採用されてもよい。

図6は、本発明の第1の実施の形態に係る移動端末300の構成を示すブロック図である。移動端末300は、複数の送受信アンテナ312、無線通信部310、信号分離部320、制御信号復調部330、データ信号復調部332、受信品質測定部334、受信品質補正部336および受信品質報告部338を備える。図6において、音声・映像等を出力する出力装置およびユーザからの指示を受け付ける入力装置等の図示は、便宜的に省略されている。

無線通信部310は、無線基地局(マクロ基地局100,ピコ基地局200)と無線通信を実行するための要素であり、無線基地局から送受信アンテナ312で受信された電波を電気信号に変換する受信回路と、音声信号等の電気信号を電波に変換して送受信アンテナ312で送信する送信回路とを含む。無線通信部310は、移動端末300が在圏するマクロセルCmを形成するマクロ基地局100またはピコセルCpを形成するピコ基地局200から、接続先セル情報を受信する。接続先セル情報は、移動端末300が接続すべき無線基地局(マクロ基地局100またはピコ基地局200)を指定する情報である。接続先セル情報に従って、移動端末300はその接続先の無線基地局と通信する。

無線通信部310は、無線基地局からMIMO技術を利用して信号を受信することができる。したがって、無線通信部310は無線受信のために複数のアンテナを有する。図6に示すように、無線通信部310は複数の送受信アンテナ312を有するが、複数の受信専用のアンテナと少なくとも1つの送信専用のアンテナを有していてもよい。

信号分離部320、制御信号復調部330、データ信号復調部332、受信品質測定部334、受信品質補正部336および受信品質報告部338は、移動端末300内の図示しないCPU(Central Processing Unit)が、図示しない記憶部に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックである。

信号分離部320は、無線通信部310で処理された信号から当該移動端末300宛の信号を選択し、さらにそれらの信号を制御信号、データ信号および参照信号に分離する。制御信号復調部330は制御信号を復調する。データ信号復調部332は、復調された制御信号を参照して、データ信号の送信に利用されたリソースを識別して、データ信号を復調する。受信品質測定部334は、参照信号に基づいて受信品質測定を行う。受信品質測定部334は、当該移動端末300が接続される所望無線基地局からの参照信号の品質を測定するだけでなく、所望無線基地局の周辺にある周辺無線基地局からの参照信号の品質も測定する。受信品質測定部334、受信品質補正部336および受信品質報告部338の機能の詳細は後述される。

図7は、本発明の第1の実施の形態に係るマクロ基地局100の構成を示すブロック図である。マクロ基地局100は、送受信アンテナ112、無線通信部110、基地局間通信部120、リソースグループ割り当て部132、ユーザスケジューリング部134、送信制御部136、信号多重部140および接続先選択部142を備える。

無線通信部110は、移動端末300と無線通信を実行するための要素であり、移動端末300から送受信アンテナ112で受信された電波を電気信号に変換する受信回路と、電気信号を電波に変換して送受信アンテナ112で送信する送信回路とを含む。

無線通信部(無線送信部)110は、マクロ基地局100のマクロセルCmに在圏してマクロ基地局100に接続する移動端末300にMIMO技術を利用して信号を送信することができる。したがって、無線通信部110は無線送信のために複数のアンテナを有する。図7に示すように、無線通信部110は複数の送受信アンテナ112を有するが、複数の送信専用のアンテナと少なくとも1つの受信専用のアンテナを有していてもよい。

基地局間通信部120は、他の無線基地局(マクロ基地局100,ピコ基地局200)と通信を実行するための要素であり、他の無線基地局と電気信号を送受信する。マクロ基地局100が他の無線基地局と無線にて通信を行う場合は、無線通信部110が基地局間通信部120を兼ねることも可能である。

リソースグループ割り当て部132、ユーザスケジューリング部134、送信制御部136、信号多重部140および接続先選択部142は、マクロ基地局100内の図示しないCPUが、図示しない記憶部に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックである。これらの動作の詳細は後述される。ユーザスケジューリング部134は、送信パラメータ暫定判断部134A、変調方式確認部134B、変調方式設定部134C、ストリーム設定部134Dおよび符号化率設定部134Eを備える。送信制御部136は、データ信号処理部136Aおよび制御信号生成部136Bを備える。

図8は、本発明の第1の実施の形態に係るピコ基地局200の構成を示すブロック図である。ピコ基地局200は、少なくとも1つの送受信アンテナ212、無線通信部210、基地局間通信部220および制御部230を備える。

無線通信部210は、移動端末300と無線通信を実行するための要素であり、移動端末300から送受信アンテナ212で受信された電波を電気信号に変換する受信回路と、電気信号を電波に変換して送受信アンテナ212で送信する送信回路とを含む。

基地局間通信部220は、ピコ基地局200自身が接続されるマクロ基地局100と通信を実行するための要素であり、マクロ基地局100と電気信号を送受信する。ピコ基地局200がマクロ基地局100と無線にて通信する場合には、無線通信部210が基地局間通信部220を兼ねてもよい。

ピコ基地局200は、マクロ基地局100が送信した情報を受信して、ピコ基地局200に在圏する移動端末300にこれを転送できる。具体的には、ピコ基地局200の基地局間通信部220がマクロ基地局100から受信した情報(例えば接続先セル情報など)を示す電気信号を、制御部230が無線通信部210に供給する。無線通信部210は、供給された電気信号を電波に変換して移動端末300に対して送信する。

また、ピコ基地局200は、ピコ基地局200に在圏する各移動端末300から受信電力測定結果の報告を受信する。ピコ基地局200は、受信電力測定結果の報告をマクロ基地局100に転送することができる。具体的には、ピコ基地局200の無線通信部210が受信・変換して得た受信電力測定結果の報告を示す電気信号を、制御部230が基地局間通信部220に供給する。基地局間通信部220は、供給された電気信号をマクロ基地局100に対して送信する。以上の構成により、移動端末300がピコ基地局200に近接しているためマクロ基地局100との無線通信が困難である場合でも、移動端末300とマクロ基地局100との間で必要な情報を送受信することが可能となる。

ピコ基地局200の制御部230は、ピコ基地局200内の図示しないCPUが、図示しない記憶部に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックである。制御部230の動作の詳細は後述される。

この無線通信システムで使用されるセルレンジエクスパンション(CRE)を説明する。移動端末300の各々の受信品質測定部334は、電波の受信品質として、その移動端末300が接続されている所望無線基地局から受信する電波の受信電力(例えば、参照信号受信電力。Reference Signal Received Power,RSRP)と、その移動端末300が接続されていない無線基地局から受信する電波の受信電力(例えば、参照信号受信電力)を測定する。ヘテロジーニアスネットワークにおいては、受信品質測定部334は、マクロ基地局100から受信した電波の受信電力とピコ基地局200から受信した電波の受信電力を測定する。マクロ基地局100が所望無線基地局か否かを問わず、マクロ基地局100からの電波の受信電力値を第1受信電力値R1とし、ピコ基地局200が所望無線基地局か否かを問わず、ピコ基地局200からの電波の受信電力値を第2受信電力値R2とする。

移動端末300の各々の受信品質補正部336は、ピコ基地局200からの電波の第2受信電力値R2を所定のオフセット値(バイアス値)αを用いて増加させる。例えば、R2にαを単純に加算してもよいし、R2にαをデシベルで加算してもよい。いずれにせよ、この処理により、ピコ基地局200からの電波の受信品質が見かけの上で向上させられる。このように補正された第2受信電力値R2を補正された第2受信電力値(R2+α)と呼ぶ。オフセット値αは例えば移動端末300の図示しない記憶部に記憶されている。

移動端末300の受信品質報告部338は、第1受信電力値R1と、補正された第2受信電力値(R2+α)とを含む受信電力結果報告を示す信号を、無線通信部310を介して所望無線基地局(マクロ基地局100またはピコ基地局200)に送信する。移動端末300の所望無線基地局がピコ基地局200である場合、受信電力結果報告を示す信号は、ピコ基地局200の無線通信部210で受信され、制御部230は受信電力結果報告を示す信号を基地局間通信部220によってマクロ基地局100に転送する。マクロ基地局100は、基地局間通信部120で受信電力結果報告を示す信号を受信する。

移動端末300の所望無線基地局がマクロ基地局100である場合、受信電力結果報告を示す信号は、マクロ基地局100の無線通信部110で受信される。こうして、マクロ基地局100のセル内に存在するすべての移動端末300の受信電力結果報告はマクロ基地局100に送信される。マクロ基地局100の接続先選択部142は、各移動端末300の受信電力結果報告に基づいて、その移動端末300が接続すべき無線基地局を選択する。この時、接続先選択部142は、最も高い受信電力を示す受信電力値(すなわち、最も良好な受信品質を示す受信品質値)に対応する無線基地局をその移動端末300が接続すべき無線基地局として選択する。具体的には、ある移動端末300について、第1受信電力値R1が補正された第2受信電力値(R2+α)より大きい場合には、接続先選択部142は、マクロ基地局100を移動端末300の接続先として選択する。ある移動端末300について、第1受信電力値R1よりも補正された第2受信電力値(R2+α)が大きい場合には、接続先選択部142は、ピコ基地局200を移動端末300の接続先として選択する。

接続先選択部142は、選択した無線接続先を示す接続先セル情報を移動端末300に通知する。具体的には、移動端末300がマクロ基地局100に接続されている場合には、接続先選択部142は、無線通信部110を介して接続先セル情報を移動端末300に通知する。移動端末300がピコ基地局200に接続されている場合には、接続先選択部142は、基地局間通信部120を介して接続先セル情報をピコ基地局200に送信し、ピコ基地局200の制御部230は接続先セル情報を無線通信部210を介して移動端末300に通知する。また、接続先選択部142は、移動端末300の接続先が変更される場合には、基地局間通信部120を介して、関連する無線基地局(例えばピコ基地局200または周辺にある他のマクロ基地局100)に移動端末300の接続先が変更されることを通知する。

移動端末300の無線通信部310は接続先セル情報を受信する。接続先セル情報が既に移動端末300が接続されている無線基地局を示す場合には、移動端末300はその接続を維持する。他方、接続先セル情報が他の無線基地局を示す場合には、移動端末300はその無線基地局への接続動作を実行する。例えば、移動端末300がマクロ基地局100に接続している場合において、ピコ基地局200を接続先として指定する接続先セル情報を移動端末300が受信すると、移動端末300は、指定されたピコ基地局200へと移動端末300自身を接続(オフロード)させる。

上記のように、ピコ基地局200からの電波の受信電力値R2がオフセット値αで補正される結果、ピコ基地局200からの電波の受信品質が見かけの上で向上させられる。このため、ピコセルCpの半径ひいては範囲が拡張させられ、その分、マクロ基地局100の処理負担が軽減される。

マクロ基地局100は、そのマクロセルCm内にあるピコ基地局200で使用されるリソース(周波数および時間で特定される)と同じリソースを使用して移動端末300へ無線送信を行うことが可能であるとともに、それらのピコ基地局200とeICIC(拡張されたセル間干渉制御)のために協調するように構成されている。この無線通信システムで使用されるeICICは、図2を参照して上記した時間領域ベースのeICICの変形である。

図2においては、無線フレームFは、各通信要素(マクロ基地局100、ピコ基地局200、移動端末300)が送信する無線信号の送信単位であり、所定の時間長(例えば、10ミリ秒)を有する。無線フレームFが連続的に送信されることにより一連の無線信号が構成される。

無線フレームFは複数のサブフレームSFを含む。サブフレームSFは、無線フレームFよりも短い時間長(例えば、1ミリ秒)を占める送信単位であり、1つの無線フレームF内において0番(#0)から昇順にナンバリングされ得る。

時間領域ベースのeICICにおいては、マクロ基地局100およびそのマクロ基地局100が形成するマクロセルCm内にピコセルCpを形成するピコ基地局200が、同一の無線フレームタイミングおよび同一の周波数帯域を使用して無線信号(無線フレームF)を送信する。ここで、「同一の無線フレームタイミングで無線信号が送信される」とは、マクロ基地局100が送信する無線フレームFの送信開始時刻とピコ基地局200が送信する無線フレームFの送信開始時刻とが同時であることを意味する。すなわち、マクロ基地局100の無線通信部110とピコ基地局200の無線通信部210は、同期して無線通信を実行し得る。

マクロ基地局100からの無線信号およびピコ基地局200からの無線信号は同一の周波数帯域にて送信されるから、相互に干渉し合う。特に、マクロ基地局100の送信電力はピコ基地局200の送信電力よりも大きいので、ピコ基地局200からの無線信号に対するマクロ基地局100からの無線信号の干渉は顕著に大きい。したがって、マクロ基地局100の無線信号が常に送信され続けると、ピコ基地局200からの無線信号をピコ基地局200を所望基地局とする移動端末300(特にピコセルCpの端部にある移動端末300)が受信することが困難である。

そこで、図2に示す時間領域ベースのeICICの変形では、ピコ基地局200が継続的に下りリンク送信を実行する一方、マクロ基地局100は間欠的に下りリンク送信の送信電力を低減させる。例えば、図2に示すように、マクロ基地局100は、1サブフレームSFごとに無線信号の送信電力上昇と送信電力低減とを切り替える。但し、送信電力の増減パターンは、図2に示すような1サブフレームSFごとに増減を繰り返す増減パターンではなくてもよい。マクロ基地局100による干渉からピコ基地局200の無線信号が守られる(プロテクトされる)ことから、マクロ基地局100が無線信号の送信電力を低減する(第2送信電力で無線送信を実行する)サブフレームSFをプロテクテドサブフレーム(Protected Subframe)PSFと称し、逆に、マクロ基地局100が無線信号の送信電力を上昇させる(第1送信電力で無線送信を実行する)サブフレームSFをノンプロテクテドサブフレーム(Non-Protected Subframe)NSFと称する。

マクロ基地局100には、無線通信部110での下りリンク送信の送信電力を制御する可変ゲインの電力増幅器144が設けられている。無線通信部110は、ノンプロテクテドサブフレームNSFにて第1送信電力でデータ信号を無線送信でき、プロテクテドサブフレームPSFにて第2送信電力でデータ信号を無線送信できる。マクロ基地局100の無線通信部110が低い方の第2送信電力で無線送信を実行するプロテクテドサブフレームPSFでは、ピコ基地局200からの無線信号がマクロ基地局100からの無線信号による干渉を受けにくいから、ピコ基地局200が形成するピコセルCpに在圏するユーザ装置300が、ピコ基地局200からの無線信号をより品質良く受信することが可能となる。

図3および図4を参照して上記したように、このeICICの変形においては、マクロ基地局100は、データ信号の送信電力を低減するものの、参照信号の送信電力を低減しない。つまり参照信号は、常に第1送信電力でマクロ基地局100から送信される。

無線フレームFにおけるノンプロテクテドサブフレームNSFおよびプロテクテドサブフレームPSFの個数および配置を示す情報であるリソース配分情報は、マクロ基地局100およびそのマクロ基地局100が形成するマクロセルCm内にピコセルCpを形成するピコ基地局200により共有されている。

ピコ基地局200の制御部230は、リソース配分情報に基づいて、移動端末300へのリソース配分を行う。例えば、ピコセルCpの中央にある移動端末300(CREによるピコセルCpの拡大がなくてもピコ基地局200に接続する移動端末300)への無線通信には、主にノンプロテクテドサブフレームNSFを使用するように、制御部230は無線通信部210を制御する。ピコセルCpの端部にある移動端末300(CREによるピコセルCpの拡大によりピコ基地局200に接続する移動端末300)への無線通信には、プロテクテドサブフレームPSFを使用するように、制御部230は無線通信部210を制御する。

移動端末300とピコ基地局200の距離の指標としては、ピコ基地局200が移動端末300から受信する受信電力結果報告に示される補正された第2受信電力値(R2+α)または第2受信電力値R2が使用される。制御部230は、例えば第2受信電力値R2が閾値より低い移動端末300への無線通信には、プロテクテドサブフレームPSFを使用するように無線通信部210を制御する。制御部230は、例えば第2受信電力値R2がその閾値より高い移動端末300への無線通信には、ノンプロテクテドサブフレームNSFを使用するように無線通信部210を制御する。

マクロ基地局100からの送信電力が低減される第2リソースグループ(プロテクテドサブフレームPSF)は、マクロ基地局に地理的に近い移動端末300への無線送信に使用することが好ましい。これは、移動端末300がマクロ基地局100に地理的に近ければ、移動端末300での受信品質の劣化が少ないので、移動端末300では下りリンク信号の復調が可能だからである。他方、通常の送信電力(高い方の第1の送信電力)で送信される第1リソースグループ(ノンプロテクテドサブフレームNSF)は、マクロ基地局100に地理的に遠い移動端末300への無線送信に使用することが好ましい。

移動端末300とマクロ基地局100の距離の指標としては、マクロ基地局100が移動端末300から受信する受信電力結果報告に示される第1受信電力値R1が使用される。マクロ基地局100において、リソースグループ割り当て部132は、マクロ基地局100に接続する移動端末300の各々に対して、マクロ基地局100の無線通信部(無線送信部)110が第1送信電力でデータ信号を無線送信すべき第1リソースグループ(ノンプロテクテドサブフレームNSF)および無線通信部(無線送信部)110が第1送信電力より低い第2送信電力でデータ信号を無線送信すべき第2リソースグループ(プロテクテドサブフレームPSF)のいずれかを割り当てる。より具体的には、リソースグループ割り当て部132は、例えば第1受信電力値R1が閾値より低い移動端末300(マクロ基地局100から遠いと考えられる移動端末300)へのデータ信号の無線送信には、ノンプロテクテドサブフレームNSFを割り当てる。リソースグループ割り当て部132は、例えば第1受信電力値R1が閾値より高い移動端末300(マクロ基地局100に近いと考えられる移動端末300)へのデータ信号の無線送信には、プロテクテドサブフレームPSFを割り当てる。リソースグループ割り当て部132による割り当ての結果は、ユーザスケジューリング部134に伝えられる。

ユーザスケジューリング部134の送信パラメータ暫定判断部(変調方式暫定判断部)134Aは、マクロ基地局100に接続する移動端末300の各々へのデータ信号の無線送信のためにデータ信号処理部(変調部)136Aで使用されるべき変調方式を暫定的に判断する。変調方式の暫定的な判断は、移動端末300から報告される情報、すなわちCQI(チャネル品質指標)に基づく。

CQIは、無線信号の受信品質を直接的に示す値でもよく、受信品質に基づいて算出される無線基地局への要求を示す制御パラメータでもよい。無線信号の受信品質を直接的に示す値には、例えば、信号対干渉雑音比(SINR)、信号対雑音比(SNR)、または信号対干渉比(SIR)がある。制御パラメータには、例えば、移動端末300が無線基地局に要求するデータレート、移動端末300が無線基地局に要求するMIMOの送信ストリーム(レイヤ、ランク)の数、移動端末300が無線基地局に要求する変調方式、またはこれらの組合せがある。いずれにせよ、送信パラメータ暫定判断部134Aによる変調方式の暫定的な判断は、移動端末300が所望無線基地局からの無線信号の受信品質を測定して得られた移動端末300から報告される情報に基づく。

この実施の形態では、送信パラメータ暫定判断部134Aは、移動端末300が無線基地局に要求する変調方式に基づいて、その移動端末300のための変調方式を暫定的に判断する。また、送信パラメータ暫定判断部134Aは、移動端末300が無線基地局に要求するMIMOの送信ストリームの数に基づいて、その移動端末300のための送信ストリームを暫定的に判断する。事前に、移動端末300の受信品質測定部334は、SINR、SNRまたはSIRを測定する。測定結果に基づいて、要求される送信ストリーム数および要求される変調方式を示すCQIを移動端末300は生成し、移動端末300が接続する無線基地局にそのCQIを報告する。

マクロ基地局100のユーザスケジューリング部134の送信パラメータ暫定判断部134Aは、移動端末300から送信されたCQIを参照し、CQIに示された送信ストリーム数と変調方式を抽出する。送信パラメータ暫定判断部134Aは、CQIから抽出された変調方式をそのCQIの送信元の移動端末300へのデータ信号の無線送信のためにデータ信号処理部136Aで使用されるべき変調方式として暫定的に判断する。また、送信パラメータ暫定判断部134Aは、CQIから抽出された送信ストリーム数をそのCQIの送信元の移動端末300へのデータ信号の無線送信のために使用されるべき送信ストリーム数として暫定的に判断する。

背景技術に関連して上記した通り、参照信号のデータ信号への干渉のため、プロテクテドサブフレームPSFが割り当てられた(マクロ基地局100に近いと考えられる)移動端末300宛のデータ信号については、変調多値数が大きい信号変調方式が使用できないおそれがある。そこで、ユーザスケジューリング部134の変調方式確認部134Bは、リソースグループ割り当て部132によってプロテクテドサブフレームPSFが割り当てられた移動端末300について、送信パラメータ暫定判断部134Aで暫定的に判断された変調方式が適切であるか否か判断する。

例えば、この無線通信システムでは、下りリンク送信のため64QAM、16QAM、QPSKの3種の変調方式が使用可能であると想定する。例えば、変調多値数が最大である64QAMは、低い方の第2送信電力に対応する第2リソースグループ(プロテクテドサブフレームPSF)が割り当てられた移動端末300へのデータ信号の送信には不適切であると決めることができる。64QAMに加えて16QAMも第2リソースグループ(プロテクテドサブフレームPSF)に対して不適切であると決めてもよい。

64QAMが不適切であって、16QAMとQPSKが適切であると想定する。この場合、送信パラメータ暫定判断部134Aで暫定的に判断された変調方式が64QAMであるならば、ユーザスケジューリング部134の変調方式確認部134Bはこれが不適切であると判断し、送信パラメータ暫定判断部134Aで暫定的に判断された変調方式が16QAMまたはQPSKであるならば、変調方式確認部134Bはこれが適切であると判断する。

第2リソースグループ(プロテクテドサブフレームPSF)が割り当てられる移動端末300に対して、送信パラメータ暫定判断部134Aで暫定的に判断された変調方式が不適切であると変調方式確認部134Bが判断する場合には、ユーザスケジューリング部134の変調方式設定部134Cは、送信パラメータ暫定判断部134Aで暫定的に判断された変調方式の変調多値数よりも小さい変調多値数を有する変調方式をデータ信号処理部(変調部)136Aで使用されるべき変調方式として設定する。例えば、送信パラメータ暫定判断部134Aで暫定的に判断された変調方式が64QAMならば、変調方式設定部134Cは16QAMをデータ変調のために設定する。

第2リソースグループ(プロテクテドサブフレームPSF)が割り当てられる移動端末300に対して、送信パラメータ暫定判断部134Aで暫定的に判断された変調方式が不適切であると変調方式確認部134Bが判断する場合には、ユーザスケジューリング部134のストリーム設定部(送信パラメータ調整部)134Dは、送信パラメータ暫定判断部134Aで暫定的に判断された送信ストリーム数より大きい送信ストリーム数を、移動端末300へのMIMO技術を利用するデータ信号の無線送信のために設定する。あるいは、この場合、ストリーム設定部134Dは、現在、移動端末300へのデータ信号の無線通信に使用されている送信ストリーム数より大きい送信ストリーム数を、移動端末300へのMIMO技術を利用するデータ信号の無線送信のために設定してもよい。ストリーム数の増分は任意であり、例えば1である。

さらに、第2リソースグループ(プロテクテドサブフレームPSF)が割り当てられる移動端末300に対して、送信パラメータ暫定判断部134Aで暫定的に判断された変調方式が不適切であると変調方式確認部134Bが判断する場合には、ユーザスケジューリング部134の符号化率設定部(送信パラメータ調整部)134Eは、現在、移動端末300へのデータ信号に適用されている符号化率より大きい符号化率を、移動端末300へのデータ信号のために設定してもよい。例えば、現在使用されている符号化率が1/2であれば、2/3または3/4を新たに設定してよい。

ストリーム設定部(送信パラメータ調整部)134Dによるストリーム数の増加と、符号化率設定部(送信パラメータ調整部)134Eによる符号化率の増加は、一緒に行ってもよいが、いずれか一方だけ行ってもよい。例えば、ストリーム数の増加が可能であればストリーム数の増加だけ行い、ストリーム数の増加が不可能であれば(例えば使用可能な最大ストリーム数が既に使用されている場合)、ストリーム数の増加の代わりに符号化率を増加させることができる。

他方、第2リソースグループ(プロテクテドサブフレームPSF)が割り当てられる移動端末300に対して、送信パラメータ暫定判断部134Aで暫定的に判断された変調方式が適切であると変調方式確認部134Bが判断する場合には、ユーザスケジューリング部134の変調方式設定部134Cは、送信パラメータ暫定判断部134Aで暫定的に判断された変調方式をデータ信号処理部(変調部)136Aで使用されるべき変調方式として設定する。また、ユーザスケジューリング部134のストリーム設定部134Dは、送信パラメータ暫定判断部134Aで暫定的に判断された送信ストリーム数を、移動端末300へのMIMO技術を利用するデータ信号の無線送信のために設定する。あるいは、この場合、ストリーム設定部134Dは、現在、移動端末300へのデータ信号の無線通信に使用されている送信ストリーム数を、移動端末300へのMIMO技術を利用するデータ信号の無線送信のために設定してもよい。さらに、ユーザスケジューリング部134の符号化率設定部134Eは、現在、移動端末300へのデータ信号に適用されている符号化率を、移動端末300へのデータ信号のために設定する。

他方、第1リソースグループ(ノンプロテクテドサブフレームNSF)が割り当てられる移動端末300については、送信パラメータ暫定判断部134Aで暫定的に判断された変調方式を変調方式確認部134Bは確認しない。ユーザスケジューリング部134の変調方式設定部134Cは、送信パラメータ暫定判断部134Aで暫定的に判断された変調方式をデータ信号処理部(変調部)136Aで使用されるべき変調方式として設定する。また、ユーザスケジューリング部134のストリーム設定部134Dは、送信パラメータ暫定判断部134Aで暫定的に判断された送信ストリーム数を、移動端末300へのMIMO技術を利用するデータ信号の無線送信のために設定する。あるいは、この場合、ストリーム設定部134Dは、現在、移動端末300へのデータ信号の無線通信に使用されている送信ストリーム数を、移動端末300へのMIMO技術を利用するデータ信号の無線送信のために設定してもよい。さらに、ユーザスケジューリング部134の符号化率設定部134Eは、現在、移動端末300へのデータ信号に適用されている符号化率を、移動端末300へのデータ信号のために設定する。

このようにして、ユーザスケジューリング部134は変調方式、ストリーム数および符号化率を設定する。また、ユーザスケジューリング部134は、データ信号のスケジューリングを行う。

送信制御部136において、データ信号処理部136Aは、ユーザスケジューリング部134で上記のように設定された変調方式、ストリーム数および符号化率に従って、マクロ基地局100に接続する移動端末300宛のデータ信号を処理する。具体的には、データ信号処理部136Aは、データ信号をそのストリーム数のストリームに分配し、その符号化率に従って符号化を行い、その変調方式でデータ信号を変調する。

また、データ信号処理部136Aは、ユーザスケジューリング部134が生成したデータ信号のスケジューリング情報に従って、データ信号のリソースマッピングを行う。制御信号生成部136Bは、データ信号のスケジューリング情報、および移動端末300でのデータ信号の復調に必要な情報を示す制御信号を生成する。この結果、送信制御部136は、第1リソースグループ(ノンプロテクテドサブフレームNSF)において第1送信電力でデータ信号の無線送信を実行し、第2リソースグループ(プロテクテドサブフレームPSF)において第2送信電力でデータ信号の無線送信を実行するように無線通信部110を制御することになる。

この実施の形態においては、低い方の第2送信電力に対応する第2リソースグループ(プロテクテドサブフレームPSF)が割り当てられる移動端末300に対して、一旦判断された変調方式が第2送信電力に対して不適切である場合に、マクロ基地局100は、その変調方式の変調多値数よりも小さい変調多値数を有する変調方式を設定し、MIMO技術を利用する無線送信に使用される送信ストリーム(レイヤ、ランク)の数を増加させる。送信ストリームの増加に加えてまたはこれに代えて、当該移動端末300に無線送信される送信信号に適用される符号化率を増加させてもよい。小さい変調多値数を有する変調方式は伝送速度の低下を招くが、送信ストリーム数の増加および符号化率の増加は伝送速度を向上する。したがって、ピコ基地局200に接続する移動端末300への干渉を抑制するために、マクロ基地局100が第2リソースグループで低い送信電力で無線送信する無線通信システムにおいて、マクロ基地局100に地理的に近い移動端末300宛に高い伝送速度でデータ信号を送信できる。

例えば、変調方式が64QAM(26QAM)で、符号化率が1/2、送信ストリーム数が1の場合、1サブキャリアあたり、6×1/2×1 = 3ビットのデータをマクロ基地局100は送信することができる。64QAMが不適切な場合、変調方式設定部134Cが16QAM(24QAM)の変調方式を設定し、ストリーム設定部134Dがストリーム数2を設定したと想定する。符号化率設定部134Eは符号化率1/2のまま変えないと想定する。この場合、4×1/2×1 = 4ビットのデータをマクロ基地局100は送信することができる。すなわち、変調方式が低い変調多値数でもMIMOの送信ストリーム数を増加させることによって、高効率な伝送を実現できる。

例えば、変調方式が64QAM(26QAM)で、符号化率が1/2、送信ストリーム数が2の場合、1サブキャリアあたり、6×1/2×2 = 6ビットのデータをマクロ基地局100は送信することができる。64QAMが不適切な場合、変調方式設定部134Cが16QAM(24QAM)の変調方式を設定し、符号化率設定部134Eが符号化率3/4を設定したと想定する。ストリーム設定部134Dはストリーム数2のまま変えないと想定する。この場合、4×3/4×2 = 6ビットのデータをマクロ基地局100は送信することができる。すなわち、変調方式が低い変調多値数でも符号化率を増加させることによって、高効率な伝送を実現できる。

第2の実施の形態 第1の実施の形態では、マクロ基地局100の送信パラメータ暫定判断部134Aは、移動端末300が無線基地局に要求する変調方式に基づいて、その移動端末300のための変調方式を暫定的に判断する。また、送信パラメータ暫定判断部134Aは、移動端末300が無線基地局に要求するMIMOの送信ストリームの数に基づいて、その移動端末300のための送信ストリームを暫定的に判断する。

しかし、第2の実施の形態として、マクロ基地局100の送信パラメータ暫定判断部(変調方式暫定判断部)134Aは、移動端末300が所望無線基地局からの無線信号の受信品質を測定して得たSINR、SNRまたはSIRに基づいて、その移動端末300のための変調方式を暫定的に判断してもよい。事前に、移動端末300の受信品質測定部334は、SINR、SNRまたはSIRを測定する。測定結果を示すCQIを移動端末300は生成し、移動端末300が接続する無線基地局にそのCQIを報告する。

マクロ基地局100のユーザスケジューリング部134の送信パラメータ暫定判断部134Aは、移動端末300から送信されたCQIを参照し、CQIに示されたSINR、SNRまたはSIRを抽出する。送信パラメータ暫定判断部134Aは、CQIから抽出されたSINR、SNRまたはSIRに基づいて、そのCQIの送信元の移動端末300へのデータ信号の無線送信のためにデータ信号処理部136Aで使用されるべき変調方式を暫定的に判断する。さらに、SINR、SNRまたはSIRに基づいて、送信パラメータ暫定判断部134Aは、その移動端末300のための送信ストリームを暫定的に判断してもよい。

第2の実施の形態において、マクロ基地局100、ピコ基地局200、および移動端末300の構成は、第1の実施の形態のそれらと同じでよい。第1の実施の形態と共通する特徴については詳細には説明しない。

第3の実施の形態 第3の実施の形態として、マクロ基地局100の送信パラメータ暫定判断部(変調方式暫定判断部)134Aは、移動端末300が無線基地局に要求する伝送レート(データレート)に基づいて、その移動端末300のための変調方式を暫定的に判断してもよい。事前に、移動端末300の受信品質測定部334は、SINR、SNRまたはSIRを測定する。測定結果に基づいて、要求される伝送レートを示すCQIを移動端末300は生成し、移動端末300が接続する無線基地局にそのCQIを報告する。

マクロ基地局100のユーザスケジューリング部134の送信パラメータ暫定判断部134Aは、移動端末300から送信されたCQIを参照し、CQIに示された伝送レートを抽出する。送信パラメータ暫定判断部134Aは、CQIから抽出された伝送レートに基づいて、そのCQIの送信元の移動端末300へのデータ信号の無線送信のためにデータ信号処理部136Aで使用されるべき変調方式を暫定的に判断する。さらに、伝送レートに基づいて、送信パラメータ暫定判断部134Aは、その移動端末300のための送信ストリームを暫定的に判断してもよい。

第3の実施の形態において、マクロ基地局100、ピコ基地局200、および移動端末300の構成は、第1の実施の形態のそれらと同じでよい。第1の実施の形態と共通する特徴については詳細には説明しない。

他の変形 変形1 以上の実施の形態では、図2に示すように、無線フレームF内のプロテクテドサブフレームPSFとノンプロテクテドサブフレームNSFは同数であるが、無線フレームF内のプロテクテドサブフレームPSFとノンプロテクテドサブフレームNSFの比率を変えてもよい。また、各種のファクターを考慮して、無線フレームF内のプロテクテドサブフレームPSFとノンプロテクテドサブフレームNSFの比率を調整してもよい。各種のパラメータは、例えば、ピコ基地局200もしくはマクロ基地局100に無線接続された移動端末300の総数、ピコ基地局200もしくはマクロ基地局100に無線接続された移動端末300の総トラヒック量、ピコ基地局200もしくはマクロ基地局100の送信電力またはこれらのいずれかの組合せを含む。

変形2 以上の実施の形態は時間領域ベースのeICICに基づいている。しかし、時間領域ベースのeICICの代わりに、周波数領域ベースのeICICを利用してもよい。周波数領域ベースのeICICを利用する場合には、マクロ基地局100は、あるサブキャリアでは高い送信電力でデータ信号を送信し、あるサブキャリアでは低い送信電力でデータ信号を送信する。低い送信電力でデータ信号が送信されるサブキャリアではマクロ基地局100による干渉からピコ基地局200の無線信号が守られることから、このサブキャリアをプロテクテドサブキャリア(Protected Subcarrier)PSCと称し、高い送信電力でデータ信号が送信されるサブキャリアをノンプロテクテドサブキャリア(Non-Protected Subcarrier)NSCと称する。ピコ基地局200はいずれのサブキャリアも使用する。例えば、ピコセルCpの中央にある移動端末300(CREによるピコセルCpの拡大がなくてもピコ基地局200に接続する移動端末300)への無線通信には、主にノンプロテクテドサブキャリアが使用され、ピコセルCpの端部にある移動端末300(CREによるピコセルCpの拡大によりピコ基地局200に接続する移動端末300)への無線通信には、プロテクテドサブキャリアが使用される。

マクロ基地局100からの送信電力が低減される第2リソースグループ(プロテクテドサブキャリア)は、マクロ基地局100に地理的に近い移動端末300への無線送信に使用され、通常の送信電力(高い方の第1の送信電力)で送信される第1リソースグループ(ノンプロテクテドサブキャリア)は、マクロ基地局100に地理的に遠い移動端末300への無線送信に使用される。第2リソースグループ(プロテクテドサブキャリア)が割り当てられる移動端末300について、上記のような変調方式の修正、ならびに送信ストリーム数と符号化率の少なくとも一方の修正を行ってよい。

変形3 以上の実施の形態では、移動端末300の受信品質測定部334が測定する電波の受信特性は参照信号受信電力(RSRP)であるが、参照信号受信品質(Reference Signal Received Quality,RSRQ)等が受信特性として採用されてもよい。

変形4 以上の実施の形態では、CREのためにピコ基地局200からの電波の受信特性がオフセット値(バイアス値)αで補正される。さらに、マクロ基地局100またはピコ基地局200からの電波の受信特性は、他の目的のオフセット値(バイアス値)で補正してもよい。例えば、一旦ハンドオーバされた移動端末300が元の無線基地局にすぐにハンドオーバされることを防止するためのヒステリシス用のオフセット値を使用してもよい。

変形5 以上の実施の形態では、移動端末300の受信品質報告部338が複数の無線基地局からの受信品質および補正された受信品質を所望無線基地局に報告し、マクロ基地局100の接続先選択部142は、各移動端末300の受信電力結果報告に基づいて、その移動端末300が接続すべき無線基地局を選択する。しかし、移動端末300は、複数の無線基地局からの受信品質および補正された受信品質を比較し、最良の受信品質またはその最良の受信品質に相当する無線基地局を示す信号を所望無線基地局に報告してもよい。マクロ基地局100の接続先選択部142は、各移動端末300のその報告に基づいて、最良の受信品質に相当する無線基地局をその移動端末300が接続すべき無線基地局として選択してよい。

変形6 以上の実施の形態では、マクロ基地局100よりも送信能力の低い基地局(第2無線基地局)としてピコ基地局200が例示されるが、マイクロ基地局、ナノ基地局、フェムト基地局等が送信能力の低い基地局として採用されてもよい。相異なる送信能力を有する3種類以上の無線基地局の組合せ(例えば、マクロ基地局、ピコ基地局、およびフェムト基地局の組合せ)により無線ネットワークが構成されてもよい。また、以上の実施の形態では、ピコ基地局200としてリモートラジオヘッドが例示され、このピコ基地局200は、ユーザ端末から受信した受信品質情報をマクロ基地局に転送し、マクロ基地局がピコ基地局200に接続するユーザ端末の接続先の無線基地局を選択する。しかし、ピコ基地局200は、ピコ基地局200に接続するユーザ端末から受信した受信品質情報に基づいて当該ユーザ端末の接続先の無線基地局を選択する、ピコeNodeBであってもよい。

変形7 移動端末300は、各無線基地局と無線通信が可能な任意の装置でよい。移動端末300は、例えばフィーチャーフォンまたはスマートフォン等の携帯電話端末でもよく、デスクトップ型パーソナルコンピュータでもよく、ノート型パーソナルコンピュータでもよく、UMPC(Ultra-Mobile Personal Computer)でもよく、携帯用ゲーム機でもよく、その他の無線端末でもよい。

変形8 無線通信システム内の各要素(マクロ基地局100、ピコ基地局200、移動端末300)においてCPUが実行する各機能は、CPUの代わりに、ハードウェアで実行してもよいし、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)等のプログラマブルロジックデバイスで実行してもよい。

前記の実施の形態および変形は、矛盾しない限り、組み合わせてもよい。

100 マクロ基地局(第1無線基地局、大電力基地局)、110 無線通信部(無線送信部)、112 送受信アンテナ、120 基地局間通信部、132 リソースグループ割り当て部、134 ユーザスケジューリング部、134A 送信パラメータ暫定判断部(変調方式暫定判断部)、134B 変調方式確認部、134C 変調方式設定部、134D ストリーム設定部(送信パラメータ調整部)、134E 符号化率設定部(送信パラメータ調整部)、136 送信制御部、136A データ信号処理部(変調部)、136B 制御信号生成部、140 信号多重部、142 接続先選択部、144 電力増幅器、200 ピコ基地局(第2無線基地局、小電力基地局)、212 送受信アンテナ、210 無線通信部、220 基地局間通信部、230 制御部、300 移動端末、310 無線通信部、312 送受信アンテナ、320 信号分離部、330 制御信号復調部、332 データ信号復調部、334 受信品質測定部、336 受信品質補正部、338 受信品質報告部、Cm マクロセル(第1セル)、Cp ピコセル(第2セル)。

QQ群二维码
意见反馈