通信システム

申请号 JP2015545285 申请日 2014-10-30 公开(公告)号 JPWO2015064673A1 公开(公告)日 2017-03-09
申请人 三菱電機株式会社; 发明人 康公 大中; 康公 大中; 前田 美保; 美保 前田; 望月 満; 満 望月; 大成 末満; 大成 末満; 福井 範行; 範行 福井;
摘要 本発明の通信システムは、省電 力 セル(ESセル)を構成する基地局と、補償セル(Compセル)を構成する基地局とを備える。ESセルは、スイッチオン状態とスイッチオフ状態とを切替え可能である。Compセルは、ESセルがスイッチオフ状態であるときに、ESセルのカバレッジを補償する。ESセルを構成する基地局は、Compセルによってカバレッジの補償が開始される前に、例えばステップST1201でESセルのスイッチをオフにすることを決定する前、例えばステップST2201において、ESセルと接続状態にあるUEに、Compセルに関する情報、例えばCompセルリストを通知する。
权利要求

基地局装置と、前記基地局装置と無線通信可能な通信端末装置とを備える通信システムであって、 前記基地局装置は、 通常動作状態と、前記通常動作状態よりも消費電が低い省電力状態とを切替え可能な省電力セルを構成する省電力基地局装置と、 前記省電力セルが前記省電力状態であるときに、前記省電力セルの通信可能な範囲であるカバレッジを補償する補償セルを構成する補償基地局装置とを含み、 前記省電力基地局装置は、前記補償セルによって前記カバレッジの補償が開始される前に、前記省電力セルと接続状態にある前記通信端末装置に、前記補償セルに関する情報を通知することを特徴とする通信システム。前記省電力セルは、前記通常動作状態から前記省電力状態へ切替わることが決定された場合、自セルのカバレッジ内の前記通信端末装置に、自セルが通信対象のセルとして選択不可能であることを示す報知情報を報知することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。前記省電力セルは、前記省電力状態から前記通常動作状態へ切替わったとき、接続を要求してきた前記通信端末装置の優先順位を決定するための指標に応じて、前記通信端末装置の優先順位を決定し、決定した優先順位の高い順に、前記通信端末装置との接続のための処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の通信システム。

说明书全文

本発明は、通信端末装置と基地局装置との間で無線通信を行う通信システムに関する。

移動体通信システムの規格化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、無線区間についてはロングタームエボリューション(Long Term Evolution:LTE)と称し、コアネットワークおよび無線アクセスネットワーク(以下、まとめて、ネットワークとも称する)を含めたシステム全体構成については、システムアーキテクチャエボリューション(System Architecture Evolution:SAE)と称される新たな通信方式が検討されている(例えば、非特許文献1〜15参照)。この通信方式は3.9G(3.9 Generation)システムとも呼ばれる。

LTEのアクセス方式としては、下り方向はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、上り方向はSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)が用いられる。また、LTEは、W−CDMA(Wideband Code division Multiple Access)とは異なり、回線交換を含まず、パケット通信方式のみになる。

非特許文献1(5章)に記載される、3GPPでの、LTEシステムにおけるフレーム構成に関する決定事項について、図1を用いて説明する。図1は、LTE方式の通信システムで使用される無線フレームの構成を示す説明図である。図1において、1つの無線フレーム(Radio frame)は10msである。無線フレームは10個の等しい大きさのサブフレーム(Subframe)に分割される。サブフレームは、2個の等しい大きさのスロット(slot)に分割される。無線フレーム毎に1番目および6番目のサブフレームに下り同期信号(Downlink Synchronization Signal)が含まれる。同期信号には、第一同期信号(Primary Synchronization Signal:P−SS)と、第二同期信号(Secondary Synchronization Signal:S−SS)とがある。

3GPPでの、LTEシステムにおけるチャネル構成に関する決定事項が、非特許文献1(5章)に記載されている。CSG(Closed Subscriber Group)セルにおいてもnon−CSGセルと同じチャネル構成が用いられると想定されている。

物理報知チャネル(Physical Broadcast channel:PBCH)は、基地局装置(以下、単に「基地局」という場合がある)から、通信端末装置である移動端末装置(以下、単に「移動端末」という場合がある)への下り送信用のチャネルである。BCHトランスポートブロック(transport block)は、40ms間隔中の4個のサブフレームにマッピングされる。40msタイミングの明白なシグナリングはない。

物理制御フォーマットインジケータチャネル(Physical Control Format Indicator Channel:PCFICH)は、基地局から移動端末への下り送信用のチャネルである。PCFICHは、PDCCHsのために用いるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルの数について基地局から移動端末へ通知する。PCFICHは、サブフレーム毎に送信される。

物理下り制御チャネル(Physical Downlink Control Channel:PDCCH)は、基地局から移動端末への下り送信用のチャネルである。PDCCHは、後述のトランスポートチャネルの1つである下り共有チャネル(Downlink Shared Channel:DL−SCH)のリソース割り当て(allocation)情報、後述のトランスポートチャネルの1つであるページングチャネル(Paging Channel:PCH)のリソース割り当て(allocation)情報、DL−SCHに関するHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)情報を通知する。PDCCHは、上りスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant)を運ぶ。PDCCHは、上り送信に対する応答信号であるAck(Acknowledgement)/Nack(Negative Acknowledgement)を運ぶ。PDCCHは、L1/L2制御信号とも呼ばれる。

物理下り共有チャネル(Physical Downlink Shared Channel:PDSCH)は、基地局から移動端末への下り送信用のチャネルである。PDSCHには、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL−SCH)、およびトランスポートチャネルであるPCHがマッピングされている。

物理マルチキャストチャネル(Physical Multicast Channel:PMCH)は、基地局から移動端末への下り送信用のチャネルである。PMCHには、トランスポートチャネルであるマルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)がマッピングされている。

物理上り制御チャネル(Physical Uplink Control Channel:PUCCH)は、移動端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PUCCHは、下り送信に対する応答信号(response signal)であるAck/Nackを運ぶ。PUCCHは、CQI(Channel Quality Indicator)レポートを運ぶ。CQIとは、受信したデータの品質、もしくは通信路品質を示す品質情報である。またPUCCHは、スケジューリングリクエスト(Scheduling Request:SR)を運ぶ。

物理上り共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel:PUSCH)は、移動端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PUSCHには、トランスポートチャネルの1つである上り共有チャネル(Uplink Shared Channel:UL−SCH)がマッピングされている。

物理HARQインジケータチャネル(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel:PHICH)は、基地局から移動端末への下り送信用のチャネルである。PHICHは、上り送信に対する応答信号であるAck/Nackを運ぶ。物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel:PRACH)は、移動端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PRACHは、ランダムアクセスプリアンブル(random access preamble)を運ぶ。

下り参照信号(リファレンスシグナル(Reference Signal):RS)は、LTE方式の通信システムとして既知のシンボルである。以下の5種類の下りリファレンスシグナルが定義されている。セル固有参照信号(Cell-specific Reference Signals:CRSs)、MBSFN参照信号(MBSFN reference signals)、UE固有参照信号(UE-specific reference signals)であるデータ復調用参照信号(Demodulation Reference Signals:DM−RSs)、位置決定参照信号(Positioning Reference Signals:PRSs)、チャネル情報参照信号(Channel-State Information Reference Signals:CSI−RSs)。移動端末の物理レイヤの測定として、リファレンスシグナルの受信電(Reference Signal Received Power:RSRP)測定がある。

非特許文献1(5章)に記載されるトランスポートチャネル(Transport channel)について、説明する。下りトランスポートチャネルのうち、報知チャネル(Broadcast Channel:BCH)は、その基地局(セル)のカバレッジ全体に報知される。BCHは、物理報知チャネル(PBCH)にマッピングされる。

下り共有チャネル(Downlink Shared Channel:DL−SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。DL−SCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が可能である。DL−SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。準静的なリソース割り当ては、パーシステントスケジューリング(Persistent Scheduling)ともいわれる。DL−SCHは、移動端末の消費電力の削減のために、移動端末の間欠受信(Discontinuous reception:DRX)をサポートする。DL−SCHは、物理下り共有チャネル(PDSCH)へマッピングされる。

ページングチャネル(Paging Channel:PCH)は、移動端末の消費電力の削減を可能とするために、移動端末のDRXをサポートする。PCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が要求される。PCHは、動的にトラフィックに利用できる物理下り共有チャネル(PDSCH)のような物理リソースへマッピングされる。

マルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)は、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知に使用される。MCHは、マルチセル送信におけるMBMS(Multimedia Broadcast Multicast Service)サービス(MTCHとMCCH)のSFN合成をサポートする。MCHは、準静的なリソース割り当てをサポートする。MCHは、PMCHへマッピングされる。

上りトランスポートチャネルのうち、上り共有チャネル(Uplink Shared Channel:UL−SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。UL−SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。UL−SCHは、物理上り共有チャネル(PUSCH)へマッピングされる。

ランダムアクセスチャネル(Random Access Channel:RACH)は、制御情報に限られている。RACHは、衝突のリスクがある。RACHは、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)へマッピングされる。

HARQについて説明する。HARQとは、自動再送要求(Automatic Repeat reQuest:ARQ)と誤り訂正(Forward Error Correction)との組合せにより、伝送路の通信品質を向上させる技術である。HARQには、通信品質が変化する伝送路に対しても、再送により誤り訂正が有効に機能するという利点がある。特に、再送にあたって初送の受信結果と再送の受信結果との合成をすることで、更なる品質向上を得ることも可能である。

再送の方法の一例を説明する。受信側にて、受信データが正しくデコードできなかった場合、換言すればCRC(Cyclic Redundancy Check)エラーが発生した場合(CRC=NG)、受信側から送信側へ「Nack」を送信する。「Nack」を受信した送信側は、データを再送する。受信側にて、受信データが正しくデコードできた場合、換言すればCRCエラーが発生しない場合(CRC=OK)、受信側から送信側へ「Ack」を送信する。「Ack」を受信した送信側は次のデータを送信する。

非特許文献1(6章)に記載される論理チャネル(ロジカルチャネル:Logical channel)について、説明する。報知制御チャネル(Broadcast Control Channel:BCCH)は、報知システム制御情報のための下りチャネルである。論理チャネルであるBCCHは、トランスポートチャネルである報知チャネル(BCH)、あるいは下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。

ページング制御チャネル(Paging Control Channel:PCCH)は、ページング情報(Paging Information)およびシステム情報(System Information)の変更を送信するための下りチャネルである。PCCHは、移動端末のセルロケーションをネットワークが知らない場合に用いられる。論理チャネルであるPCCHは、トランスポートチャネルであるページングチャネル(PCH)へマッピングされる。

共有制御チャネル(Common Control Channel:CCCH)は、移動端末と基地局との間の送信制御情報のためのチャネルである。CCCHは、移動端末がネットワークとの間でRRC接続(connection)を有していない場合に用いられる。下り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。上り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされる。

マルチキャスト制御チャネル(Multicast Control Channel:MCCH)は、1対多の送信のための下りチャネルである。MCCHは、ネットワークから移動端末への1つあるいはいくつかのMTCH用のMBMS制御情報の送信のために用いられる。MCCHは、MBMS受信中の移動端末のみに用いられる。MCCHは、トランスポートチャネルであるマルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。

個別制御チャネル(Dedicated Control Channel:DCCH)は、1対1にて、移動端末とネットワークとの間の個別制御情報を送信するチャネルである。DCCHは、移動端末がRRC接続(connection)である場合に用いられる。DCCHは、上りでは上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL−SCH)にマッピングされる。

個別トラフィックチャネル(Dedicated Traffic Channel:DTCH)は、ユーザ情報の送信のための個別移動端末への1対1通信のチャネルである。DTCHは、上りおよび下りともに存在する。DTCHは、上りでは上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。

マルチキャストトラフィックチャネル(Multicast Traffic channel:MTCH)は、ネットワークから移動端末へのトラフィックデータ送信のための下りチャネルである。MTCHは、MBMS受信中の移動端末のみに用いられるチャネルである。MTCHは、マルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。

CGIとは、セルグローバル識別子(Cell Global Identifier)のことである。ECGIとは、E−UTRANセルグローバル識別子(E-UTRAN Cell Global Identifier)のことである。LTE、後述のLTE−A(Long Term Evolution Advanced)およびUMTS(Universal Mobile Telecommunication System)において、CSG(Closed Subscriber Group)セルが導入される。

CSG(Closed Subscriber Group)セルとは、利用可能な加入者をオペレータが特定しているセル(以下「特定加入者用セル」という場合がある)である。特定された加入者は、PLMN(Public Land Mobile Network)の1つ以上のセルにアクセスすることが許可される。特定された加入者がアクセスを許可されている1つ以上のセルを「CSGセル(CSG cell(s))」と呼ぶ。ただし、PLMNにはアクセス制限がある。

CSGセルは、固有のCSGアイデンティティ(CSG identity:CSG ID;CSG−ID)を報知し、CSGインジケーション(CSG Indication)にて「TRUE」を報知するPLMNの一部である。予め利用登録し、許可された加入者グループのメンバーは、アクセス許可情報であるところのCSG−IDを用いてCSGセルにアクセスする。

CSG−IDは、CSGセルまたはセルによって報知される。LTE方式の通信システムにCSG−IDは複数存在する。そして、CSG−IDは、CSG関連のメンバーのアクセスを容易にするために、移動端末(UE)によって使用される。

移動端末の位置追跡は、1つ以上のセルからなる区域を単位に行われる。位置追跡は、待受け状態であっても移動端末の位置を追跡し、移動端末を呼び出す、換言すれば移動端末が着呼することを可能にするために行われる。この移動端末の位置追跡のための区域をトラッキングエリアと呼ぶ。

3GPPにおいて、Home−NodeB(Home−NB;HNB)、Home−eNodeB(Home−eNB;HeNB)と称される基地局が検討されている。UTRANにおけるHNB、およびE−UTRANにおけるHeNBは、例えば家庭、法人、商業用のアクセスサービス向けの基地局である。非特許文献3には、HeNBおよびHNBへのアクセスの3つの異なるモードが開示されている。具体的には、オープンアクセスモード(Open access mode)と、クローズドアクセスモード(Closed access mode)と、ハイブリッドアクセスモード(Hybrid access mode)とが開示されている。

各々のモードは、以下のような特徴を有する。オープンアクセスモードでは、HeNBおよびHNBは、通常のオペレータのノーマルセルとして操作される。クローズドアクセスモードでは、HeNBおよびHNBは、CSGセルとして操作される。このCSGセルは、CSGメンバーのみアクセス可能なCSGセルである。ハイブリッドアクセスモードでは、HeNBおよびHNBは、非CSGメンバーも同時にアクセス許可されているCSGセルとして操作される。言い換えれば、ハイブリッドアクセスモードのセル(ハイブリッドセルとも称する)は、オープンアクセスモードとクローズドアクセスモードとの両方をサポートするセルである。

3GPPでは、全ての物理セル識別子(Physical Cell Identity:PCI)のうち、CSGセルで使用するためにネットワークによって予約されたPCI範囲がある(非特許文献1 10.5.1.1章参照)。PCI範囲を分割することをPCIスプリットと称することがある。PCIスプリットに関する情報(PCIスプリット情報とも称する)は、システム情報によって基地局から傘下の移動端末に対して報知される。基地局の傘下とは、該基地局をサービングセルとすることを意味する。

非特許文献4は、PCIスプリットを用いた移動端末の基本動作を開示する。PCIスプリット情報を有していない移動端末は、全PCIを用いて、例えば504コード全てを用いて、セルサーチを行う必要がある。これに対して、PCIスプリット情報を有する移動端末は、当該PCIスプリット情報を用いてセルサーチを行うことが可能である。

また3GPPでは、リリース10として、ロングタームエボリューションアドヴァンスド(Long Term Evolution Advanced:LTE−A)の規格策定が進められている(非特許文献5、非特許文献6参照)。LTE−Aは、LTEの無線区間通信方式を基本とし、それにいくつかの新技術を加えて構成される。

LTE−Aシステムでは、100MHzまでのより広い周波数帯域幅(transmission bandwidths)をサポートするために、二つ以上のコンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)を集約する(「アグリゲーション(aggregation)する」とも称する)、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation:CA)が検討されている。

CAが構成される場合、UEはネットワーク(Network:NW)と唯一つのRRC接続(RRC connection)を有する。RRC接続において、一つのサービングセルがNASモビリティ情報とセキュリティ入力を与える。このセルをプライマリセル(Primary Cell:PCell)と呼ぶ。下りリンクで、PCellに対応するキャリアは、下りプライマリコンポーネントキャリア(Downlink Primary Component Carrier:DL PCC)である。上りリンクで、PCellに対応するキャリアは、上りプライマリコンポーネントキャリア(Uplink Primary Component Carrier:UL PCC)である。

UEの能力(ケーパビリティ(capability))に応じて、セカンダリセル(Secondary Cell:SCell)が、PCellとサービングセルとの組を形成するために構成される。下りリンクで、SCellに対応するキャリアは、下りセカンダリコンポーネントキャリア(Downlink Secondary Component Carrier:DL SCC)である。上りリンクで、SCellに対応するキャリアは、上りセカンダリコンポーネントキャリア(Uplink Secondary Component Carrier:UL SCC)である。

一つのUEに対して、一つのPCellと、一つ以上のSCellからなるサービングセルとの組が構成される。

また、LTE−Aでの新技術としては、より広い帯域をサポートする技術(Wider bandwidth extension)、および多地点協調送受信(Coordinated Multiple Point transmission and reception:CoMP)技術などがある。3GPPでLTE−Aのために検討されているCoMPについては、非特許文献7に記載されている。

また、3GPPにおいて、リリース12版の規格書の策定が進められている。この中で、将来の膨大なトラフィックに対応するために、スモールセルを構成するスモールeNBを用いることが検討されている。例えば、多数のスモールeNBを設置して、多数のスモールセルを構成することによって、周波数利用効率を高めて、通信容量の増大を図る技術などが検討されている。

モバイルネットワークのトラフィック量は、増加傾向にあり、通信速度も高速化が進んでいる。LTEおよびLTE−Aが本格的に運用を開始されると、さらに通信速度が高速化され、トラフィック量が増加することが見込まれる。

また、持続可能な社会を実現するために、移動体通信システムにおいても消費電力の削減が要求されている。移動体通信システム全体として、消費電力の削減を実現するために、従来から消費電力の削減が要求されてきた移動端末だけでなく、基地局についても消費電力の削減が要求されるようになってきている。

3GPPにおいては、リリース12版の規格書の策定が進められている。この中で、基地局の消費電力の削減方法が検討されている(非特許文献13参照)。例えば、重層化(overlaid)シナリオ、補償eNB配置(compensating eNB(s) deployment)シナリオなどがある。

これらのシナリオでは、基地局によって構成されるセルを、通常動作状態から、通常動作状態よりも消費電力が低い省電力状態へ切替えることによって、具体的には基地局によって構成されるセルのスイッチをオフにすることによって、消費電力の削減、すなわちエナジーセービング(Energy Saving:ES)が行われる。

以下の説明では、エナジーセービングのためにスイッチのオンオフが切替えられるセルを、省電力セル(エナジーセービングセル(Energy Saving cell);略称:ESセル)という場合がある。

3GPP TS36.300 V11.5.0

3GPP TS36.304 V11.1.0

3GPP S1−083461

3GPP R2−082899

3GPP TR 36.814 V9.0.0

3GPP TR 36.912 V10.0.0

3GPP TR 36.819 V11.1.0

3GPP TS 36.141 V11.1.0

3GPP R1−131530

3GPP TS36.331 V11.3.0

3GPP TR36.842 V0.2.0

3GPP TS37.320 V11.3.0

3GPP TS36.887 V0.2.0

3GPP TS36.321 V11.2.0

3GPP TR36.872 V12.0.0

ESセルがスイッチオン状態からスイッチオフ状態へ、またはスイッチオフ状態からスイッチオン状態へ遷移するとき、ESセルまたはCompセルに接続している接続状態(RRC_Connected状態)のUEは、その状態を維持することが望まれる。しかし、以下のような問題がある。

例えば、補償eNB配置(compensating eNB(s) deployment)シナリオにおいて、ESセルのスイッチのオンオフが切替わるタイミングと、Compセルのカバレッジが増減するタイミングとが、セル間でずれた場合、セル間の干渉およびカバレッジホールが発生してしまうことがある。

このようなセル間の干渉およびカバレッジホールの発生を回避するために、ESセルのスイッチのオンオフを切替えるとき、またはCompセルのカバレッジを増減させるときに、各セルの送信電力を徐々に増減することが提案されている(非特許文献13参照)。

しかし、セル間で同期がとられていない場合、各セルにおける送信電力の増減のタイミングを完全に合わせることはできない。したがって、ESセルのスイッチのオンオフ、およびCompセルのカバレッジの増減が行われるときに、ESセルとCompセルとの間の干渉、およびカバレッジホールの発生を完全には回避することができず、RRC_Connected状態のUEが、その状態を維持できなくなることがある。

また、Compセルが、ESセルのカバレッジを補償するために送信電力を増大させた場合、ESセルへの干渉が生じる。ESセルのカバレッジの端に存在するUEほど、Compセルの送信電力の増大による干渉が大きくなる。

この干渉によって、ESセルと接続しているUEの受信品質が劣化し、UEが無線接続を失敗する、いわゆる無線リンク失敗(Radio Link Failure:RLF)を生じてしまうことがある。これによって、ESセルがスイッチオン状態からスイッチオフ状態へ遷移するときに、接続状態のUEが、新たな接続を確立できず、接続状態を維持できなくなるという問題がある。

本発明の目的は、省電力セルが通常動作状態から省電力状態へ遷移するときに、接続状態の通信端末装置が、その状態を維持することができる通信システムを提供することである。

本発明の通信システムは、基地局装置と、前記基地局装置と無線通信可能な通信端末装置とを備える通信システムであって、前記基地局装置は、通常動作状態と、前記通常動作状態よりも消費電力が低い省電力状態とを切替え可能な省電力セルを構成する省電力基地局装置と、前記省電力セルが前記省電力状態であるときに、前記省電力セルの通信可能な範囲であるカバレッジを補償する補償セルを構成する補償基地局装置とを含み、前記省電力基地局装置は、前記補償セルによって前記カバレッジの補償が開始される前に、前記省電力セルと接続状態にある前記通信端末装置に、前記補償セルに関する情報を通知することを特徴とする。

本発明の通信システムによれば、基地局装置と、基地局装置と無線通信可能な通信端末装置とを備えて、通信システムが構成される。基地局装置は、通常動作状態と省電力状態とを切替え可能な省電力セルを構成する省電力基地局装置と、補償セルを構成する補償基地局装置とを含む。省電力基地局装置は、補償セルによってカバレッジの補償が開始される前に、省電力セルと接続状態である通信端末装置に、省電力セルが省電力状態であるときに省電力セルのカバレッジを補償する補償セルに関する情報を通知する。これによって、省電力セルが通常動作状態から省電力状態へ遷移するときに、省電力セルに接続していた通信端末装置が、省電力セルと通信できない状態になった場合でも、通信端末装置は、予め通知されていた補償セルに関する情報を用いて、補償セルと通信を確立することが可能となる。したがって、省電力セルが通常動作状態から省電力状態へ遷移するときに、接続状態の通信端末装置が、その状態を維持することができる。

本発明の目的、特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。

LTE方式の通信システムで使用される無線フレームの構成を示す説明図である。

3GPPにおいて議論されているLTE方式の通信システム700の全体的な構成を示すブロック図である。

本発明に係る移動端末である図2に示す移動端末71の構成を示すブロック図である。

本発明に係る基地局である図2に示す基地局72の構成を示すブロック図である。

本発明に係るMMEの構成を示すブロック図である。

LTE方式の通信システムにおいて移動端末(UE)が行うセルサーチから待ち受け動作までの概略を示すフローチャートである。

重層化(overlaid)シナリオについて説明するための図である。

補償eNB配置(compensating eNB(s) deployment)シナリオについて説明するための図である。

補償eNB配置(compensating eNB(s) deployment)シナリオについて説明するための図である。

本発明の前提技術の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

本発明の実施の形態1の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

本発明の実施の形態1の変形例1の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

本発明の実施の形態1の変形例1の通信システムにおけるES処理のシーケンスの他の例を示す図である。

本発明の実施の形態1の変形例2の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

本発明の実施の形態1の変形例3の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

本発明の実施の形態1の変形例3の通信システムにおけるES処理のシーケンスの他の例を示す図である。

本発明の実施の形態2の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

本発明の実施の形態3の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

本発明の実施の形態3の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

本発明の実施の形態3の変形例1の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

本発明の実施の形態3の変形例2の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

本発明の実施の形態3の変形例3の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

本発明の実施の形態4におけるUEの送信電力を決定する手順の一例を示す図である。

本発明の実施の形態4におけるUEの送信電力を決定する手順の一例を示す図である。

本発明の実施の形態4におけるUEの送信電力を決定する手順の一例を示す図である。

本発明の実施の形態4におけるUEの送信電力を決定する手順の一例を示す図である。

エナジーセービングエリアとして、エナジーセービング(Energy Saving)セットリストと補償(Compensation)セットリストとの組合せが設定された場合のUEの動作を説明するための図である。

本発明の実施の形態6の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

本発明の実施の形態6の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

本発明の実施の形態6の変形例1の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

本発明の実施の形態6の変形例2の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

本発明の実施の形態7の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

本発明の実施の形態7の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

本発明の実施の形態8の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

本発明の実施の形態8の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

実施の形態1. 図2は、3GPPにおいて議論されているLTE方式の通信システム700の全体的な構成を示すブロック図である。図2について説明する。無線アクセスネットワークは、E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)70と称される。通信端末装置である移動端末装置(以下「移動端末(User Equipment:UE)」という)71は、基地局装置(以下「基地局(E-UTRAN NodeB:eNB)」という)72と無線通信可能であり、無線通信で信号の送受信を行う。

移動端末71に対する制御プロトコル、例えばRRC(Radio Resource Control)と、ユーザプレイン、例えばPDCP(Packet Data Convergence Protocol)、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)、PHY(Physical layer)とが基地局72で終端するならば、E−UTRANは1つあるいは複数の基地局72によって構成される。

移動端末71と基地局72との間の制御プロトコルRRC(Radio Resource Control)は、報知(Broadcast)、ページング(paging)、RRC接続マネージメント(RRC connection management)などを行う。RRCにおける基地局72と移動端末71との状態として、RRC_IDLEと、RRC_CONNECTEDとがある。

RRC_IDLEでは、PLMN(Public Land Mobile Network)選択、システム情報(System Information:SI)の報知、ページング(paging)、セル再選択(cell re-selection)、モビリティなどが行われる。RRC_CONNECTEDでは、移動端末はRRC接続(connection)を有し、ネットワークとのデータの送受信を行うことができる。またRRC_CONNECTEDでは、ハンドオーバ(Handover:HO)、隣接セル(Neighbour cell)の測定(メジャメント(measurement))などが行われる。

基地局72は、eNB76と、Home−eNB75とに分類される。通信システム700は、複数のeNB76を含むeNB群72−1と、複数のHome−eNB75を含むHome−eNB群72−2とを備える。またコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)と、無線アクセスネットワークであるE−UTRAN70とで構成されるシステムは、EPS(Evolved Packet System)と称される。コアネットワークであるEPCと、無線アクセスネットワークであるE−UTRAN70とを合わせて、「ネットワーク」という場合がある。

eNB76は、移動管理エンティティ(Mobility Management Entity:MME)、あるいはS−GW(Serving Gateway)、あるいはMMEおよびS−GWを含むMME/S−GW部(以下「MME部」という場合がある)73とS1インタフェースにより接続され、eNB76とMME部73との間で制御情報が通信される。一つのeNB76に対して、複数のMME部73が接続されてもよい。eNB76間は、X2インタフェースにより接続され、eNB76間で制御情報が通信される。

Home−eNB75は、MME部73とS1インタフェースにより接続され、Home−eNB75とMME部73との間で制御情報が通信される。一つのMME部73に対して、複数のHome−eNB75が接続される。あるいは、Home−eNB75は、HeNBGW(Home-eNB GateWay)74を介してMME部73と接続される。Home−eNB75とHeNBGW74とは、S1インタフェースにより接続され、HeNBGW74とMME部73とはS1インタフェースを介して接続される。

一つまたは複数のHome−eNB75が一つのHeNBGW74と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。HeNBGW74は、一つまたは複数のMME部73と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。

MME部73およびHeNBGW74は、上位装置、具体的には上位ノードであり、基地局であるeNB76およびHome−eNB75と、移動端末(UE)71との接続を制御する。MME部73は、コアネットワークであるEPCを構成する。基地局72およびHeNBGW74は、E−UTRAN70を構成する。

さらに3GPPでは、以下のような構成が検討されている。Home−eNB75間のX2インタフェースはサポートされる。すなわち、Home−eNB75間は、X2インタフェースにより接続され、Home−eNB75間で制御情報が通信される。MME部73からは、HeNBGW74はHome−eNB75として見える。Home−eNB75からは、HeNBGW74はMME部73として見える。

Home−eNB75が、HeNBGW74を介してMME部73に接続される場合および直接MME部73に接続される場合のいずれの場合も、Home−eNB75とMME部73との間のインタフェースは、S1インタフェースで同じである。

基地局装置72は、1つのセルを構成してもよいし、複数のセルを構成してもよい。各セルは、通信端末装置と通信可能な範囲であるカバレッジとして予め定める範囲を有し、カバレッジ内で通信端末装置と無線通信を行う。1つの基地局装置が複数のセルを構成する場合、1つ1つのセルが、移動端末と通信可能に構成される。

図3は、本発明に係る移動端末である図2に示す移動端末71の構成を示すブロック図である。図3に示す移動端末71の送信処理を説明する。まず、プロトコル処理部801からの制御データ、およびアプリケーション部802からのユーザデータが、送信データバッファ部803へ保存される。送信データバッファ部803に保存されたデータは、エンコーダー部804へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部803から変調部805へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコーダー部804でエンコード処理されたデータは、変調部805にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部806へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ807から基地局72に送信信号が送信される。

また、移動端末71の受信処理は、以下のように実行される。基地局72からの無線信号がアンテナ807により受信される。受信信号は、周波数変換部806にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部808において復調処理が行われる。復調後のデータは、デコーダー部809へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部801へ渡され、ユーザデータはアプリケーション部802へ渡される。移動端末71の一連の処理は、制御部810によって制御される。よって制御部810は、図3では省略しているが、各部801〜809と接続している。

図4は、本発明に係る基地局である図2に示す基地局72の構成を示すブロック図である。図4に示す基地局72の送信処理を説明する。EPC通信部901は、基地局72とEPC(MME部73など)、HeNBGW74などとの間のデータの送受信を行う。他基地局通信部902は、他の基地局との間のデータの送受信を行う。EPC通信部901および他基地局通信部902は、それぞれプロトコル処理部903と情報の受け渡しを行う。プロトコル処理部903からの制御データ、ならびにEPC通信部901および他基地局通信部902からのユーザデータおよび制御データは、送信データバッファ部904へ保存される。

送信データバッファ部904に保存されたデータは、エンコーダー部905へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部904から変調部906へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコードされたデータは、変調部906にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部907へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ908より一つもしくは複数の移動端末71に対して送信信号が送信される。

また、基地局72の受信処理は以下のように実行される。一つもしくは複数の移動端末71からの無線信号が、アンテナ908により受信される。受信信号は、周波数変換部907にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部909で復調処理が行われる。復調されたデータは、デコーダー部910へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部903あるいはEPC通信部901、他基地局通信部902へ渡され、ユーザデータはEPC通信部901および他基地局通信部902へ渡される。基地局72の一連の処理は、制御部911によって制御される。よって制御部911は、図4では省略しているが、各部901〜910と接続している。

図5は、本発明に係るMMEの構成を示すブロック図である。図5では、前述の図2に示すMME部73に含まれるMME73aの構成を示す。PDN GW通信部1001は、MME73aとPDN GWとの間のデータの送受信を行う。基地局通信部1002は、MME73aと基地局72との間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。PDN GWから受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、PDN GW通信部1001から、ユーザプレイン通信部1003経由で基地局通信部1002に渡され、1つあるいは複数の基地局72へ送信される。基地局72から受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、基地局通信部1002から、ユーザプレイン通信部1003経由でPDN GW通信部1001に渡され、PDN GWへ送信される。

PDN GWから受信したデータが制御データであった場合、制御データは、PDN GW通信部1001から制御プレイン制御部1005へ渡される。基地局72から受信したデータが制御データであった場合、制御データは、基地局通信部1002から制御プレイン制御部1005へ渡される。

HeNBGW通信部1004は、HeNBGW74が存在する場合に設けられ、情報種別によって、MME73aとHeNBGW74との間のインタフェース(IF)によるデータの送受信を行う。HeNBGW通信部1004から受信した制御データは、HeNBGW通信部1004から制御プレイン制御部1005へ渡される。制御プレイン制御部1005での処理の結果は、PDN GW通信部1001経由でPDN GWへ送信される。また、制御プレイン制御部1005で処理された結果は、基地局通信部1002経由でS1インタフェースにより1つあるいは複数の基地局72へ送信され、またHeNBGW通信部1004経由で1つあるいは複数のHeNBGW74へ送信される。

制御プレイン制御部1005には、NASセキュリティ部1005−1、SAEベアラコントロール部1005−2、アイドルステート(Idle State)モビリティ管理部1005−3などが含まれ、制御プレインに対する処理全般を行う。NASセキュリティ部1005−1は、NAS(Non-Access Stratum)メッセージのセキュリティなどを行う。SAEベアラコントロール部1005−2は、SAE(System Architecture Evolution)のベアラの管理などを行う。アイドルステートモビリティ管理部1005−3は、待受け状態(アイドルステート(Idle State);LTE−IDLE状態、または、単にアイドルとも称される)のモビリティ管理、待受け状態時のページング信号の生成および制御、傘下の1つあるいは複数の移動端末71のトラッキングエリアの追加、削除、更新、検索、トラッキングエリアリスト管理などを行う。

MME73aは、1つまたは複数の基地局72に対して、ページング信号の分配を行う。また、MME73aは、待受け状態(Idle State)のモビリティ制御(Mobility control)を行う。MME73aは、移動端末が待ち受け状態のとき、および、アクティブ状態(Active State)のときに、トラッキングエリア(Tracking Area)リストの管理を行う。MME73aは、UEが登録されている(registered)追跡領域(トラッキングエリア:Tracking Area)に属するセルへ、ページングメッセージを送信することで、ページングプロトコルに着手する。MME73aに接続されるHome−eNB75のCSGの管理やCSG−IDの管理、そしてホワイトリスト管理は、アイドルステートモビリティ管理部1005−3で行ってもよい。

次に通信システムにおけるセルサーチ方法の一例を示す。図6は、LTE方式の通信システムにおいて移動端末(UE)が行うセルサーチから待ち受け動作までの概略を示すフローチャートである。移動端末は、セルサーチを開始すると、ステップST1201で、周辺の基地局から送信される第一同期信号(P−SS)、および第二同期信号(S−SS)を用いて、スロットタイミング、フレームタイミングの同期をとる。

P−SSとS−SSとを合わせて、同期信号(Synchronization Signal:SS)という。同期信号(SS)には、セル毎に割り当てられたPCIに1対1に対応するシンクロナイゼーションコードが割り当てられている。PCIの数は504通りが検討されている。この504通りのPCIを用いて同期をとるとともに、同期がとれたセルのPCIを検出(特定)する。

次に同期がとれたセルに対して、ステップST1202で、基地局からセル毎に送信される参照信号(リファレンスシグナル:RS)であるセル固有参照信号(Cell-specific Reference Signal:CRS)を検出し、RSの受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)の測定を行う。参照信号(RS)には、PCIと1対1に対応したコードが用いられている。そのコードで相関をとることによって他セルと分離できる。ステップST1201で特定したPCIから、該セルのRS用のコードを導出することによって、RSを検出し、RSの受信電力を測定することが可能となる。

次にステップST1203で、ステップST1202までで検出された一つ以上のセルの中から、RSの受信品質が最もよいセル、例えば、RSの受信電力が最も高いセル、つまりベストセルを選択する。

次にステップST1204で、ベストセルのPBCHを受信して、報知情報であるBCCHを得る。PBCH上のBCCHには、セル構成情報が含まれるMIB(Master Information Block)がマッピングされる。したがってPBCHを受信してBCCHを得ることで、MIBが得られる。MIBの情報としては、例えば、DL(ダウンリンク)システム帯域幅(送信帯域幅設定(transmission bandwidth configuration:dl-bandwidth)とも呼ばれる)、送信アンテナ数、SFN(System Frame Number)などがある。

次にステップST1205で、MIBのセル構成情報をもとに該セルのDL−SCHを受信して、報知情報BCCHの中のSIB(System Information Block)1を得る。SIB1には、該セルへのアクセスに関する情報や、セルセレクションに関する情報、他のSIB(SIBk;k≧2の整数)のスケジューリング情報が含まれる。また、SIB1には、トラッキングエリアコード(Tracking Area Code:TAC)が含まれる。

次にステップST1206で、移動端末は、ステップST1205で受信したSIB1のTACと、移動端末が既に保有しているトラッキングエリアリスト内のトラッキングエリア識別子(Tracking Area Identity:TAI)のTAC部分とを比較する。トラッキングエリアリストは、TAIリスト(TAI list)とも称される。TAIはトラッキングエリアを識別するための識別情報であり、MCC(Mobile Country Code)と、MNC(Mobile Network Code)と、TAC(Tracking Area Code)とによって構成される。MCCは国コードである。MNCはネットワークコードである。TACはトラッキングエリアのコード番号である。

移動端末は、ステップST1206で比較した結果、ステップST1205で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれるTACと同じならば、該セルで待ち受け動作に入る。比較して、ステップST1205で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれなければ、移動端末は、該セルを通して、MMEなどが含まれるコアネットワーク(Core Network,EPC)へ、TAU(Tracking Area Update)を行うためにトラッキングエリアの変更を要求する。

コアネットワークを構成する装置(以下「コアネットワーク側装置」という場合がある)は、TAU要求信号とともに移動端末から送られてくる該移動端末の識別番号(UE−IDなど)をもとに、トラッキングエリアリストの更新を行う。コアネットワーク側装置は、移動端末に更新後のトラッキングエリアリストを送信する。移動端末は、受信したトラッキングエリアリストに基づいて、移動端末が保有するTACリストを書き換える(更新する)。その後、移動端末は、該セルで待ち受け動作に入る。

スマートフォンおよびタブレット端末の普及によって、セルラー系無線通信によるトラフィックが爆発的に増大しており、世界中で無線リソースの不足が懸念されている。これに対応して周波数利用効率を高めるために、小セル化し、空間分離を進めることが検討されている。

従来のセルの構成では、eNBによって構成されるセルは、比較的広い範囲のカバレッジを有する。従来は、複数のeNBによって構成される複数のセルの比較的広い範囲のカバレッジによって、あるエリアを覆うように、セルが構成されている。

小セル化された場合、eNBによって構成されるセルは、従来のeNBによって構成されるセルのカバレッジに比べて範囲が狭いカバレッジを有する。したがって、従来と同様に、あるエリアを覆うためには、従来のeNBに比べて、多数の小セル化されたeNBが必要となる。

以下の説明では、従来のeNBによって構成されるセルのように、比較的広い範囲のカバレッジを構成するセル、すなわちカバレッジエリアが比較的広いセルを「マクロセル」といい、マクロセルを構成するeNBを「マクロeNB」という。また、小セル化されたセルのように、比較的狭い範囲のカバレッジを構成するセル、すなわちカバレッジエリアが比較的狭いセルを「スモールセル」といい、スモールセルを構成するeNBを「スモールeNB」という。

マクロeNBは、例えば、非特許文献8に記載される「ワイドエリア基地局(Wide Area Base Station)」であってもよい。

スモールeNBは、例えば、ローパワーノード、ローカルエリアノード、ホットスポットなどであってもよい。また、スモールeNBは、ピコセルを構成するピコeNB、フェムトセルを構成するフェムトeNB、HeNB、RRH(Remote Radio Head)、RRU(Remote Radio Unit)、RRE(Remote Radio Equipment)またはRN(Relay Node)であってもよい。また、スモールeNBは、非特許文献8に記載される「ローカルエリア基地局(Local Area Base Station)」または「ホーム基地局(Home Base Station)」であってもよい。

持続可能な社会を実現するために、移動体通信システムにおいても消費電力の削減が要求されている。移動体通信システム全体として、消費電力の削減を実現するために、従来から消費電力の削減が要求されてきた移動端末だけでなく、基地局についても消費電力の削減が要求されるようになってきている。

3GPPにおいては、リリース12版の規格書の策定が進められている。この中で、基地局の消費電力の削減方法が検討されている(非特許文献13参照)。例えば、重層化(overlaid)シナリオ、補償eNB配置(compensating eNB(s) deployment)シナリオなどがある。

図7は、重層化(overlaid)シナリオについて説明するための図である。重層化(overlaid)シナリオでは、通信システムは、比較的広範囲のカバレッジを有するセル(以下「カバレッジセル」という場合がある)と、容量増大のために設置される比較的狭範囲のカバレッジを有するセル(以下「キャパシティセル」という場合がある)とによって構成される。

例えば図7に示す例では、第1および第2のeNB1103,1104は、カバレッジセルを構成する。第1のeNB1103によって構成されるカバレッジセルは、第1のカバレッジ1101を有する。第2のeNB1104によって構成されるカバレッジセルは、第2のカバレッジ1102を有する。

第3〜第7のeNB1105,1106,1107,1108,1109は、キャパシティセルを構成する。第3のeNB1105によって構成されるキャパシティセルは、第3のカバレッジ1110を有する。第4のeNB1106によって構成されるキャパシティセルは、第4のカバレッジ1111を有する。第5のeNB1107によって構成されるキャパシティセルは、第5のカバレッジ1112を有する。第6のeNB1108によって構成されるキャパシティセルは、第6のカバレッジ1113を有する。第7のeNB1109によって構成されるキャパシティセルは、第7のカバレッジ1114を有する。

図7に示すように、第1〜第7のeNB1103〜1109によって構成される各セルは、第3〜第7のeNB1105〜1109によって構成されるキャパシティセルのカバレッジ1110〜1114が、第1および第2のeNB1103,1104によって構成されるカバレッジセルのカバレッジ1101,1102内に存在するように配置される。

重層化(Overlaid)シナリオでは、第3〜第7のeNB1105〜1109によって構成されるキャパシティセルのスイッチをオフにすることによって、消費電力の削減、すなわちエナジーセービング(Energy Saving:ES)が行われる。以下の説明では、エナジーセービングのためにスイッチのオンオフが切替えられるセルを、省電力セル(エナジーセービングセル(Energy Saving cell);略称:ESセル)という場合がある。

ここで、「ESセルのスイッチをオフにする」とは、ESセルの少なくとも一部の動作を停止することをいい、「ESセルのスイッチをオフにした状態(以下「スイッチオフ状態」という場合がある)」とは、ESセルの少なくとも一部の動作を停止した状態をいう。したがって、ESセルのスイッチオフ状態は、ESセルの全ての動作を停止した状態、およびESセルの一部の動作を停止し、その他の動作を継続している状態を含む。

ESセルの一部の動作を停止し、その他の動作を継続している状態としては、例えば、RAN(Radio Access Network)側の動作を停止し、ネットワーク側とのインタフェースの動作を継続している状態がある。他の例として、ESセルが、予め定める無線信号のみを送信して、ネットワーク側とのインタフェースの動作を継続し、他の動作を停止している状態などがある。これらの状態を「休止(ドーマント(dormant))状態」という。

ドーマント状態などのスイッチオフ状態は、省電力状態に相当する。省電力状態とは、通常動作状態よりも消費電力が低い状態をいう。また、通常動作状態とは、ESセルの各動作を行っている状態、すなわちESセルの各動作を停止していない状態をいう。ESセルのスイッチをオンにした状態であるスイッチオン状態は、通常動作状態に相当する。したがって、ESセルは、通常動作状態と、省電力状態とを切替え可能である。

重層化(Overlaid)シナリオの場合、第3〜第7のeNB1105〜1109によって構成されるキャパシティセルのスイッチをオフにしても、キャパシティセルのカバレッジ1110〜1114内に存在していたUEは、第1および第2のeNB1103,1104によって構成されるカバレッジセルのカバレッジ1101,1102内に存在することが可能となる。

図8および図9は、補償eNB配置(compensating eNB(s) deployment)シナリオについて説明するための図である。補償eNB配置(compensating eNB(s) deployment)シナリオは、消費電力の削減のために、ESセルのスイッチをオフにするとともに、スイッチがオフにされたESセルのカバレッジを補償するために、周辺セルがカバレッジを広げる方法である。ESセルのカバレッジを補償するセルを「補償セル(Compensation cell;略称:Compセル)」という。

図8では、第1のマクロeNB1204によって構成されるセルがCompセルとなり、第2〜第4のマクロeNB1208〜1210によって構成されるセルがESセルとなる場合を示す。図8に示す例では、第1のマクロeNB1204は、3つのセルを構成し、その各セルがCompセルとなる。また、第2〜第4のマクロeNB1208〜1210は、それぞれ、1つのセルを構成し、その各セルがESセルとなる。

ESセルを構成する基地局装置、例えば図8に示す例では第2〜第4のマクロeNB1208〜1210は、省電力基地局装置に相当する。Compセルを構成する基地局装置、例えば図8に示す例では第1のマクロeNB1204は、補償基地局装置に相当する。

図8(a)は、第2〜第4のマクロeNB1208〜1210によって構成されるESセルがスイッチオン状態である場合を示す。図8(b)は、第2〜第4のマクロeNB1208〜1210によって構成されるESセルがスイッチオフ状態、具体的にはドーマント状態である場合を示す。

図8(a)に示すように、第2〜第4のマクロeNB1208〜1210によって構成されるESセルがスイッチオン状態である場合、第1のマクロeNB1204によって構成される各Compセルは、例えば楕円形状のカバレッジ1201〜1203を有する。また、第2〜第4のマクロeNB1208〜1210によって構成される各ESセルは、例えば楕円形状のカバレッジ1205〜1207を有する。Compセルのカバレッジ1201〜1203は、ESセルのカバレッジ1205〜1207と一部分が重なって形成されている。

補償eNB配置(compensating eNB(s) deployment)シナリオでは、第2〜第4のマクロeNB1208〜1210によって構成される各ESセルは、図8(a)に示すスイッチオン状態から、図8(b)に示すスイッチオフ状態、具体的にはドーマント状態に遷移する。以下の説明では、ドーマント状態のESセルを、「ドーマントセル(Dormant Cell)」という場合がある。

第2〜第4のマクロeNB1208〜1210によって構成されるESセルがドーマント状態になると、第1のマクロeNB1204によって構成される各Compセルのカバレッジ1201〜1203は、スイッチオン状態におけるESセルのカバレッジ1205〜1207を包含するように拡大され、例えば円形状になる。

図9では、第1のマクロeNB1204によって構成されるセルがESセルとなり、第2〜第4のマクロeNB1208〜1210によって構成されるセルがCompセルとなる場合を示す。図9に示す例では、第1のマクロeNB1204は、3つのセルを構成し、その各セルがESセルとなる。また、第2〜第4のマクロeNB1208〜1210は、それぞれ、1つのセルを構成し、その各セルがCompセルとなる。

図9(a)は、第1のマクロeNB1204によって構成されるESセルがスイッチオン状態である場合を示す。図9(b)は、第1のマクロeNB1204によって構成されるESセルがスイッチオフ状態、具体的にはドーマント状態である場合を示す。

図9(a)に示すように、第1のマクロeNB1204によって構成される各ESセルがスイッチオン状態である場合、各ESセルは、例えば楕円形状のカバレッジ1201〜1203を有する。また、第2〜第4のマクロeNB1208〜1210によって構成される各Compセルは、例えば楕円形状のカバレッジ1205〜1207を有する。ESセルのカバレッジ1201〜1203は、Compセルのカバレッジ1205〜1207と一部分が重なって形成されている。

補償eNB配置(compensating eNB(s) deployment)シナリオでは、第1のマクロeNB1204によって構成される各ESセルは、図9(a)に示すスイッチオン状態から、図9(b)に示すスイッチオフ状態、具体的にはドーマント状態に遷移する。これに伴い、第2〜第4のマクロeNB1208〜1210によって構成される各Compセルのカバレッジ1205〜1207は、スイッチオン状態におけるESセルのカバレッジ1201〜1203を包含するように拡大され、例えば円形状になる。

図8および図9に示すように、ESセルが、スイッチオン状態からスイッチオフ状態へ、またはスイッチオフ状態からスイッチオン状態へ遷移するとき、ESセルまたはCompセルに接続しているRRC_Connected状態のUEは、その状態を維持することが望まれる。しかし、以下のような問題がある。

例えば、補償eNB配置(compensating eNB(s) deployment)シナリオにおいて、ESセルのスイッチのオンオフが切替わるタイミングと、Compセルのカバレッジが増減するタイミングとが、セル間でずれた場合、セル間の干渉およびカバレッジホールが発生してしまうことがある。

このようなセル間の干渉およびカバレッジホールの発生を回避するために、ESセルのスイッチのオンオフを切替えるとき、またはCompセルのカバレッジを増減させるときに、各セルの送信電力を徐々に増減することが提案されている(非特許文献13参照)。

しかし、セル間で同期がとられていない場合、各セルにおける送信電力の増減のタイミングを完全に合わせることはできない。したがって、ESセルのスイッチのオンオフ、およびCompセルのカバレッジの増減が行われるときに、ESセルとCompセルとの間の干渉、およびカバレッジホールの発生を完全には回避することができず、RRC_Connected状態のUEが、その状態を維持できなくなることがある。

図10は、本発明の前提技術の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。図10では、ESセルがESのために自セルのスイッチをオフにし、Compセルが、ESセルのカバレッジを補償するために、自セルのカバレッジを増大させる場合のシーケンスを示している。

ステップST2101において、ESセルは、スイッチをオフにすること(以下「スイッチオフ」という場合がある)を決定する。図10に示す例では、ESセルがスイッチオフを決定しているが、他の例として、ESセルが、周辺セルあるいはO&M(operation and maintenance)などからスイッチオフを指示されてもよい。O&Mは、OAM(operation administration and maintenance)であってもよい。以下の説明では、O&MとOAMとをまとめて、「O&M」という。

ステップST2124において、ESセルは、自セルのカバレッジを補償する全てのCompセルに対して、補償要求処理を行う。ステップST2124の補償要求処理は、具体的には、ステップST2102〜ST2107の処理を含む。

ステップST2102において、ESセルは、Compセル1に、カバレッジの補償を要求する補償要求メッセージを通知する。またステップST2103において、ESセルは、Compセル2に、補償要求メッセージを通知する。

ステップST2104において、Compセル1は、カバレッジの補償を許可する。ステップST2105において、Compセル2は、カバレッジの補償を許可する。ステップST2106において、Compセル1は、ESセルに、補償応答メッセージ、具体的には許可メッセージを通知する。ステップST2107において、Compセル2は、ESセルに、補償応答メッセージ、具体的には許可メッセージを通知する。

ESセルから要求されたカバレッジの補償を許可したCompセル1およびCompセル2は、ステップST2109およびステップST2110において、それぞれ、カバレッジの補償を開始する。具体的には、Compセル1およびCompセル2は、送信電力を増大させることによって、カバレッジの増大を開始する。このとき、Compセル1およびCompセル2は、送信電力を徐々に増大させてもよい。

ステップST2106およびステップST2107において、ESセルは、全てのCompセル、ここではCompセル1およびCompセル2から、補償応答メッセージ、具体的には許可メッセージを受信する。全てのCompセルから補償応答メッセージとして、許可メッセージを受信したESセルは、ステップST2108において、自セルに接続しているUEをCompセルにオフロード(offload)することを決定する。

ステップST2111において、ESセルは、自セルに接続しているUEに、メジャメントを行わせるためのメッセージを通知する。メジャメントを行わせるためのメッセージとしては、RRCシグナリングのメジャメント設定(measurement configuration)メッセージを用いるとよい。メジャメント設定メッセージの中で、測定するセルをCompセルに設定するとよい。具体的には、Compセルのキャリア周波数とセル識別子とを設定するとよい。Compセルのキャリア周波数とセル識別子とは、Compセルリストとして設定してもよい。図10に示す例では、ESセルは、自セルに接続しているUEに対して、Compセルリストを含むメジャメント設定メッセージを通知する。

ステップST2111においてメジャメント設定メッセージを受信したUEは、ステップST2112において、受信したメジャメント設定メッセージに従って、メジャメントを実行する。

メジャメントイベントが発生した場合、ステップST2113において、UEは、ESセルに、メジャメント報告(Measurement Report)メッセージを通知する。

ステップST2114において、ESセルは、UEからのメジャメント報告メッセージを用いて、HOを決定する。ここでは、HO先のセル、すなわちターゲットセルは、Compセル1とする。

ステップST2115において、ESセルは、ターゲットセルであるCompセル1に、HOを要求するHO要求(HO request)メッセージを通知する。HO要求メッセージを受信したCompセル1は、ステップST2116において、流入制御(admission control)を行う。ステップST2117において、Compセル1は、ESセルに、HO要求に応じることを表すHO要求応答(HO request ack)メッセージを通知する。ステップST2118において、ESセルは、UEに、HOを指示するHO指示(HO command)メッセージを通知する。

以上のステップST2115〜ステップST2119において、ESセル、Compセル1およびUEの間で行われるHOのための前処理を、「HOプレパレーション処理」という。

HOプレパレーション処理の後、ステップST2119において、ESセル、Compセル1、MME、S−GWおよびUEの間で、HO処理が行われる。

ESセルは、自セルに接続している全てのUEのオフロードを確認した後、ステップST2120において、自セルのスイッチオフを開始する。ESセルのスイッチオフのときには、送信電力を徐々に減少させてもよい。

ステップST2121において、ESセルは、スイッチオフを完了し、ドーマント状態になる。

ステップST2122およびステップST2123において、ESセルは、周辺セルまたはCompセル、ここではCompセル1およびCompセル2に、スイッチオフが完了したことまたはドーマント状態になったことを表すスイッチオフメッセージを通知する。

以上のようにして、ESセルがES動作を行う場合の一連のシーケンスが完了する。しかし、本シーケンスの場合、ESセルと接続していた全てのUEに対して、CompセルへのHO処理が正常に完了するとは限らない。

例えば、ステップST2109またはステップST2110において、Compセル1またはCompセル2が、ESセルのカバレッジを補償するために送信電力を増大させた場合、ESセルへの干渉が生じる。ESセルのカバレッジの端に存在するUEほど、Compセルの送信電力の増大による干渉が大きくなる。

この干渉によって、ESセルと接続しているUEの受信品質が劣化し、UEが無線リンク失敗(Radio Link Failure:RLF)を生じてしまうことがある。例えば、ESセルと接続しているUEがESセルからメジャメント設定メッセージを受信する前に干渉が大きくなった場合、UEは、メジャメント設定メッセージの受信に失敗してしまい、ESセルとの間で、RLFを生じてしまうことになる。

RLFを生じたUEは、RRC接続を再度設立するRRC接続再設立(RRC connection reestablishment)を行うことになる。通常、RRC接続再設立は、セル選択の動作と同様に行われるので、セルサーチに多大な時間がかかったり、最適なセルをサーチすることができなかったりして、RRC接続再設立の繰返しが生じてしまう場合がある。RRC接続再設立の繰返しが生じた場合、UEが、接続状態(RRC_Connected状態)から待ち受け状態(RRC_Idle状態)に移行してしまうことがある。

これによって、通信に大きな遅延が生じたり、データの欠落が生じたりして、通信断となってしまうことがある。これは、ユーザエクスペリエンス(user experience)を劣化させることになる。

以上のような問題を解決するために、ESセルがスイッチオン状態からスイッチオフ状態へ遷移するときに、接続状態のUEが、その状態を維持することができる通信システムが求められる。そこで、本実施の形態では、以下の構成を採用している。

ESセルを構成するeNBは、ESセルの傘下のUEに、自ESセルのES時に補償するCompセルに関する情報を通知する。すなわち、ESセルは、UEに、Compセルに関する情報を通知する。

Compセルに関する情報の例として、以下の(1)〜(5)の5つを開示する。 (1)Compセルのセル識別子。 Compセルのセル識別子としては、例えば、PCI、E−CGIがある。Compセルが補償のためにカバレッジを増減する前後(以下、増減する前後を「Comp前後」といい、増減する前を「Comp前」といい、増減した後を「Comp後」いう場合がある)で、Compセルのセル識別子が変更される場合は、Comp後のセル識別子を用いるとよい。あるいは、Comp前のセル識別子とComp後のセル識別子との両方を対応付けて用いてもよい。

(2)キャリア周波数。 Comp前後でCompセルのキャリア周波数が変更される場合は、Comp後のキャリア周波数を用いるとよい。あるいは、Comp前のキャリア周波数とComp後のキャリア周波数との両方を対応付けて用いてもよい。

(3)周波数バンド。 Comp前後でCompセルの周波数バンドが変更される場合は、Comp後の周波数バンドを用いるとよい。あるいは、Comp前の周波数バンドとComp後の周波数バンドとの両方を対応付けて用いてもよい。 (4)Compセルインジケーション。Compセルであることを示す情報。 (5)前記(1)〜(4)の組合せ。

自ESセルのES時に補償するCompセルが複数の場合、Compセルリストとして、複数のCompセルに関する情報を用いてもよい。

ESセルが、UEに、Compセルに関する情報を通知する方法について開示する。ESセルは、傘下のUEに、Compセルに関する情報を報知する。Compセルに関する情報は、システム情報に含めて報知されてもよい。Compセルに関する情報は、システム情報の周辺セルリストに含めて報知されてもよい。あるいは、新たな周辺セルリストとしてCompセルリストを設けて、報知されてもよい。Compセルに関する情報を報知する場合、RRC_Connected状態のUEだけでなく、RRC_Idle状態のUEにも通知可能となる。ESセルがスイッチオフする場合のセル再選択のときに、通知されたCompセルをサーチするようにしてもよい。

ESセルが、UEに、Compセルに関する情報を通知する他の方法を開示する。ESセルは、対象となるUEに、Compセルに関する情報を個別シグナリングで通知する。個別シグナリングとしては、RRCシグナリングを用いるとよい。この場合、例えば、RRCシグナリングで通知するメッセージに、Compセルに関する情報を含めるとよい。Compセルに関する情報は、RRCシグナリングで通知する周辺セルリストに含めて通知されてもよい。あるいは、新たな周辺セルリストとしてCompセルリストを設けて、通知されてもよい。また、UEが接続する場合のRRC接続設立(RRC connection establishment)処理のときに通知されてもよい。ESセルが、UEのRRC接続設立時にCompセルに関する情報を通知することによって、UEは、早期にCompセルの存在を認識することが可能となる。

「ESセルはUEにCompセルに関する情報を通知する」としたが、ESセルは、自セルのスイッチオフを決定した場合あるいはスイッチオフを指示された場合に、UEにCompセルに関する情報を通知する、としてもよい。該情報の通知を、スイッチオフを決定した場合あるいはスイッチオフを指示された場合に限定することによって、例えば、ESセルでありながらスイッチオフする機会が少ない場合に、該情報の通知のための無駄なシグナリングを削減することが可能となる。

ESセルと接続しているUEは、RLFおよびハンドオーバ失敗(Handover failure:HOF)の少なくともいずれか一方を生じた場合、Compセルに、RRC接続再設立を行う。

UEが、自UEのサービングセルがESセルか否かを判断する方法を開示する。UEは、例えば、Compセルに関する情報を通知されたか否かに基づいて判断すればよい。UEは、サービングセルから、Compセルに関する情報を通知された場合、該サービングセルはESセルであると判断し、Compセルに関する情報を通知されない場合、該サービングセルはESセルではないと判断すればよい。

ESセルは、対象となるUEに、自セルがESセルであることを認識させたい場合、その対象となるUEに、Compセルに関する情報を通知するとよい。

UEが、自UEのサービングセルがESセルか否かを判断する他の方法として、ESセルは、対象となるUEに、自セルがESセルであること、あるいは自セルがESセルか否かを通知してもよい。これによって、UEは、明示的に自UEのサービングセルがESセルか否かを認識することができる。また、UEは、ESセルから通知される情報を用いて、サービングセルがESセルか否かを判断することができる。この方法では、先に開示した方法に比べて、ESセルからUEに通知する情報量は多くなるが、明示的にESセルであることをUEに通知するので、システムとして誤動作を少なくすることが可能となる。

以上の方法を用いることによって、仮に、ESセルがスイッチオン状態からスイッチオフ状態へ遷移するときに、ESセルに接続していたUEがRLFあるいはHOFを生じたとしても、それに続くRRC接続再設立をCompセルに対して行うことが可能となる。

ESセルがスイッチオン状態からスイッチオフ状態へ遷移するとき、Compセルは、ESセルのカバレッジを補償する。これによって、Compセルに対してRRC接続再設立を行ったUEが、Compセルと接続できる可能性は高くなる。したがって、ESセルに接続していたRRC_Connected状態のUEが、その状態を維持できる可能性は高くなる。

図11は、本発明の実施の形態1の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。図11に示すシーケンスは、図10に示すシーケンスと類似しているので、図10に対応するステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。

ステップST2201において、ESセルは、UEに、Compセルに関する情報を通知する。具体的には、ESセルは、UEに、Compセルに関する情報として、Compセルリスト(Comp cell list)を通知する。Compセルリストは、例えば、システム情報として報知するとよい。

その後、ESセルは、ステップST2101において、スイッチオフを決定し、ステップST2124において、自セルのカバレッジを補償する全てのCompセルに対して、補償要求処理を行う。

ESセルは、ステップST2101においてスイッチオフを決定する前、あるいはステップST2124においてCompセルに補償を開始させるためのメッセージを通知する前に、Compセルに関する情報をUEに通知しておくことが好ましい。したがって、本実施の形態では、前述のようにステップST2201において、ESセルは、UEに、Compセルに関する情報を通知している。前述のステップST2124におけるCompセルに補償を開始させるためのメッセージは、ここでは、補償要求メッセージとなる。

ESセルは、ステップST2108において、ESセルが接続しているUEに対してオフロードを決定した後、ステップST2202において、UEに、メジャメント設定のためのメッセージを通知する。ここでは、Compセルからの干渉によって、メジャメント設定メッセージがUEにおいて正常に受信できず、RLFを生じる場合について説明する。

ステップST2202においてメジャメント設定メッセージの受信に失敗したUEは、予め定める期間の経過後、ステップST2203において、RLFを発生する。RLFを発生したUEは、ステップST2207において、RRC接続再設立(RRC connection reestablishment)処理のためにセル選択処理を開始し、そのためのメジャメントを行う。このメジャメントにおいて、UEは、ステップST2201で通知されたCompセルに関する情報を用いる。具体的には、Compセルリストに含まれるCompセルのキャリア周波数とセル識別子とを用いて、該セルのメジャメントを行う。

メジャメントによってCompセルリスト内でベストセルを選択したUEは、ステップST2204において、ベストセルに、RRC接続再設立要求(RRC connection reestablishment request)メッセージを通知する。ここでは、Compセル1をベストセルとする。

ステップST2204でRRC接続再設立要求メッセージを受信したCompセル1は、UEに対してRRC接続の再構成を行う。Compセル1は、ステップST2205において、UEに、RRC接続の再構成パラメータを含むRRC接続再設立(RRC connection reestablishment)メッセージを通知する。

ステップST2205でRRC接続再設立メッセージを受信したUEは、RRC接続再設立処理を行う。UEは、ステップST2206において、Compセル1に、RRC接続再設立完了(RRC connection reestablishment complete)メッセージを通知する。これによって、RRC接続再設立処理が完了し、UEとCompセル1との間で通信が行われる。RRC接続再設立処理が成功した場合、UEは、RRC_Idle状態に移行することなく、RRC_Connected状態を維持することになる。

ステップST2207のメジャメントにおいて、UEは、ESセルのカバレッジを補償するCompセルをサーチすることが可能となるので、早期にベストセルを検出することができる。また、ESセルがスイッチオフした後に確実に接続できるセルを検出することが可能となる。

これによって、セルサーチの時間の短縮を図ることができ、RRC接続再設立の繰返しの発生を抑制することが可能となる。また、RRC接続再設立の成功の可能性を向上させることが可能となる。したがって、UEは、RRC_Idle状態に移行することなく、RRC_Connected状態を維持することが可能となる。また、遅延時間を低減させることが可能となり、データの欠落および通信断の発生確率を低減させることが可能となる。これは、ユーザエクスペリエンスの劣化を抑えることになる。

以上のように本実施の形態によれば、ESセルを構成する基地局装置は、Compセルによってカバレッジの補償が開始される前に、ESセルと接続状態にあるUEに、ESセルがスイッチオフ状態であるときにESセルのカバレッジを補償するCompセルに関する情報を通知する。これによって、ESセルがスイッチオン状態からスイッチオフ状態へ遷移するときに、ESセルに接続していたUEが、ESセルと通信できない状態になった場合でも、UEは、予め通知されていたCompセルに関する情報を用いて、Compセルと通信を確立することが可能となる。したがって、ESセルがスイッチオン状態からスイッチオフ状態へ遷移するときに、接続状態のUEが、その状態を維持することができる。

ESセルのカバレッジを補償する前のCompセルのカバレッジは、ESセルのカバレッジの補償を開始した後のCompセルのカバレッジよりも狭い。これによって、CompセルがESセルのカバレッジを補償する前の状態では、ESセルのカバレッジの中央付近に存在するUEは、CompセルにRRC接続再設立を行っても失敗する可能性が高い。UEがCompセルにRRC接続再設立を行うのは、CompセルがESセルのカバレッジを補償するために増大している状態、あるいは増大過程の状態である方がよい。ESセルが通常(ノーマル(normal))動作状態(以下「通常(ノーマル)状態」という場合がある)のときには、UEは、従来のRRC接続再設立動作を行うようにした方がよい。

したがって、ESセルがドーマント状態へ遷移する場合に、UEは、CompセルにRRC接続再設立を行うようにするとよい。ESセルがドーマント状態に遷移する場合以外は、UEは、Compセルに限定せずにRRC接続再設立を行うようにする。

UEが、CompセルがESセルのカバレッジを補償するために増大している状態、あるいは増大過程の状態であることを、どのようにして認識するかが課題となる。この課題を解決するための方法を、以下に開示する。

UEがESセルの状態を認識する。具体的には、新たに、ESセルの状態情報を設ける。ESセルの状態情報としては、通常(ノーマル)状態、すなわちスイッチオン状態か、またはES遷移状態、すなわちノーマル状態からドーマント状態への遷移状態かを含む情報とするとよい。ES遷移状態は、ESセルがスイッチオフを決定してからスイッチオフを開始するまでの状態としてもよい。

また、ESセルの状態情報としては、ES遷移状態か否かを示す情報としてもよい。これによって、UEに通知する情報が、少ない情報量で済む。

ESセルの状態情報は、ESセルによって、UEに通知される。ESセルが自セルの状態情報をUEに通知する方法を開示する。ESセルは、自セルの状態情報を傘下のUEに報知する。ESセルの状態情報は、システム情報に含めて報知されてもよい。ESセルの状態情報の変更は、システム情報の変更処理で行うとよい。ESセルの状態情報の変更は、ESセルがスイッチオフを決定したこと、あるいは、ESセルがスイッチオフ指示を受けたことを契機に行ってもよい。

ESセルが自セルの状態情報をUEに通知する他の方法を開示する。ESセルは、UEに、自セルの状態情報を個別シグナリングで通知する。ESセルの状態情報のUEへの最初の通知は、RRC接続設立(RRC connection establishment)時にRRC接続設立メッセージに含めて行われてもよい。ESセルの状態情報は、RRC接続再設定(RRC connection reconfiguration)メッセージに含めて通知されてもよい。ESセルの状態情報を通知するために、新たなRRCシグナリングメッセージを設けてもよい。この場合、新たなRRCシグナリングメッセージは、ESセルの状態が変更されたときに、個別シグナリングで通知されればよい。

前述の「UEが、CompセルがESセルのカバレッジを補償するために増大している状態、あるいは増大過程の状態であることを、どのようにして認識するか」という課題を解決するための他の方法を以下に開示する。UEがCompセルの状態を認識する。

具体例として、ESセルがCompセルの状態情報をUEに通知するとよい。通知方法は、前述のESセルが自セルの状態情報をUEに通知する方法を適用すればよい。

他の具体例として、UEが、Compセルに関する情報に基づいて、Compセルの状態を認識するようにしてもよい。

Compセルに関する情報は、ESセルがスイッチオフを決定した後に、ESセルからUEに通知するようにする。また、Compセルに関する情報は、Compセルに補償を開始させるためのメッセージを通知するときに、ESセルからUEに通知するようにする。

以上のようにすることによって、UEは、ESセルから該Compセルに関する情報を受信した場合、CompセルがESセルのカバレッジを補償するために送信電力を増大し、カバレッジの増大を開始することを認識することができる。

したがって、UEは、ESセルからCompセルに関する情報が通知された場合に、CompセルにRRC接続再設立を行うことによって、RRC接続再設立の失敗を低減させることができる。

この方法によれば、ESセルの状態情報をUEに通知する必要が無いので、シグナリング情報量の増大、シグナリング負荷の増大、およびシステムとしての制御の複雑化を抑制することが可能となる。

実施の形態1 変形例1. 本変形例では、実施の形態1で述べた問題を解決する他の方法を開示する。ESセルを構成するeNBは、ESセルがスイッチオフを決定した場合、あるいは、ESセルがスイッチオフの指示を受けた場合、接続しているUEに、メジャメントのためのメッセージでCompセルを設定して通知する。具体的には、ESセルを構成するeNBは、メジャメントのためのメッセージにCompセルの設定を含ませてUEに通知することによって、UEにCompセルを設定して通知する。Compセルの設定は、Compセルに関する情報に相当する。

メジャメントのためのメッセージとしては、RRCシグナリングのメジャメント設定(measurement configuration)メッセージを用いるとよい。Compセルの設定としては、例えば、Compセルのキャリア周波数とセル識別子とを設定するとよい。Compセルの設定は、Compセルリストとして設定されてもよい。Comp前後でCompセルの設定が変更される場合は、Comp後のCompセルの設定を用いるとよい。あるいは、Comp前のCompセルの設定とComp後のCompセルの設定との両方を対応付けて用いてもよい。メジャメントのためのメッセージは、Compセルに補償を開始させるためのメッセージを通知する前に通知しておくことが好ましい。

前述したように、RRC接続再設立の起動は、セル選択(セルセレクション)で始まる。通常、RRC接続再設立におけるセル選択では、記憶された情報に基づいたセル選択(以下「記憶情報セル選択(Stored Information Cell Selection)」という場合がある)が用いられる。記憶情報セル選択(Stored Information Cell Selection)では、以前にメジャメントのためのメッセージで受信したキャリア周波数およびセル識別子などのCompセルの設定について、あるいは以前に検出したセルについて、セル選択が行われる(非特許文献2参照)。

メジャメントのためのメッセージで受信したキャリア周波数およびセル識別子などのCompセルの設定、あるいは以前に検出したセルについての情報の記憶は、RLF発生時にUEで行われる。UEは、記憶されたキャリア周波数およびセル識別子などのCompセルの設定、あるいは以前に検出したセルについての情報を用いて、RRC接続再設立のための記憶情報セル選択(Stored Information Cell Selection)を行う。

以上のように、本変形例では、ESセルがスイッチオフを決定した場合、あるいは、ESセルがスイッチオフの指示を受けた場合、ESセルを構成するeNBは、ESセルに接続しているUEに、メジャメントのためのメッセージでCompセルを設定して通知する。これによって、その後、UEにおいてESセルとの間でRLFが発生した場合に、UEが記憶情報セル選択(Stored Information Cell Selection)によって、Compセル、あるいはCompセルのうち、メジャメントで検出したセルに対して、RRC接続再設立処理が行われることになる。

したがって、たとえESセルがスイッチオン状態からスイッチオフ状態へ遷移する場合に、ESセルに接続していたUEでRLFあるいはHOFが生じたとしても、それに続くRRC接続再設立をCompセルに対して行うことが可能となる。

また、ESセルがスイッチオン状態からスイッチオフ状態に遷移する場合、Compセルは、ESセルのカバレッジを補償するので、Compセルに対してRRC接続再設立を行ったUEが、該Compセルと接続できる可能性が高くなる。したがって、ESセルに接続していたRRC_Connected状態のUEが、その状態を維持できる可能性を高めることができる。

図12は、本発明の実施の形態1の変形例1の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。図12に示すシーケンスは、図10および図11に示すシーケンスと類似しているので、図10および図11に対応するステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。

ESセルは、ステップST2101において、スイッチオフを決定すると、ステップST2301において、UEに、メジャメントのためのメッセージを通知する。図12に示す例では、メジャメントのためのメッセージは、メジャメント設定(measurement configuration)メッセージとする。ESセルは、メジャメント設定メッセージに、メジャメント対象セルとしてCompセルを設定する。図12に示す例では、ESセルは、メジャメント設定メッセージに、一つまたは複数のCompセルを含むCompセルリストを設定する。Compセルリストには、ESセルがESした場合にカバレッジの補償を行うCompセルが含まれる。

ESセルは、Compセルの設定情報をメジャメント設定メッセージに含ませることによって、メジャメント設定メッセージにCompセルを設定する。CompセルがCompセルリストとしてメジャメント設定メッセージに設定される場合、ESセルは、Compセルに含まれる各Compセルの設定情報をメジャメント設定メッセージに含ませることによって、メジャメント設定メッセージにCompセルリストを設定する。Compセルの設定情報としては、Compセルのキャリア周波数およびセル識別子とするとよい。

ステップST2301においてメジャメントのためのメッセージ、具体的にはCompセルリストが設定されたメジャメント設定メッセージを受信したUEは、ステップST2302において、Compセルリストに含まれるCompセルのメジャメントを行う。メジャメントによるイベントは、多くの場合、Compセルがカバレッジを補償するために送信電力の増大を開始してから発生する。図12に示す例では、ステップST2109およびステップST2110の処理が実行されてからとなる。この場合、同時に、CompセルがESセルに干渉を与えることになる。

したがって、UEは、たとえメジャメントイベントが発生したとしても、ステップST2303においてメジャメント報告用の上りスケジューリングを受信することができず、メジャメント報告をESセルに通知できなくなる場合が生じる。この場合、ESセルは、該UEをCompセルにオフロードするためのHOを起動することができない。

さらにCompセルからの干渉によって、ステップST2203において、UEは、ESセルとの間でRLFを発生する場合がある。この場合、UEは、ステップST2301で受信したメジャメントのためのメッセージ内のメジャメント対象セル、ここではCompセルリストの情報を記憶する。あるいは、UEは、ステップST2302で行ったメジャメントによって検出したCompセルの情報を記憶する。

ステップST2304において、UEは、情報を記憶したセルに対して、RRC接続再設立のための記憶情報セル選択(Stored Information Cell Selection)を行う。したがって、UEは、ステップST2304のセル選択のためのメジャメントにおいて、Compセルの中からベストセルを選択することになる。

ステップST2204〜ステップST2206において、UEは、ベストセルであるCompセル、図12に示す例ではCompセル1に対して、RRC接続再設立処理を行うことになる。具体的には、ステップST2204において、UEは、Compセル1に、RRC接続再設立要求(RRC connection reestablishment request)メッセージを通知する。ステップST2205において、Compセル1は、UEに、RRC接続再設立(RRC connection reestablishment)メッセージを通知する。

UEは、ステップST2205でCompセル1からRRC接続再設立メッセージを通知されると、RRC接続再設立処理を実行し、ステップST2206において、Compセル1に、RRC接続再設立完了(RRC connection reestablishment complete)メッセージを通知する。

これによって、Compセル1とのRRC接続再設立処理が成功した場合、UEは、RRC_Idle状態に遷移することなく、RRC_Connected状態を維持することになる。

本変形例で開示した方法を用いることによって、ステップST2304のメジャメントにおいて、UEは、ESセルのカバレッジを補償するCompセルをサーチすることが可能となる。これによって、早期にベストセルを検出することができる。また、ESセルがスイッチオフした後に確実に接続できるセルを検出することが可能となる。したがって、前述の実施の形態1と同様の効果を得ることができる。

また、前述の実施の形態1では、別途、ESセルからUEに対してCompセルリストの通知が必要であったが、本変形例ではその必要がない。本変形例では、メジャメントのためのメッセージの通知を早期に行うだけでよい。これによって、通信システムにおける制御を簡易にすることができる。

さらに、本変形例では、前述の実施の形態1で開示したESセルの状態情報を新たに設ける必要がなく、また該情報をUEに通知する必要もない。したがって、通信システムにおける制御をより容易に行うことができる。

図13は、本発明の実施の形態1の変形例1の通信システムにおけるES処理のシーケンスの他の例を示す図である。図13に示すシーケンスは、図10〜図12に示すシーケンスと類似しているので、図10〜図12に対応するステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。

図13では、ESセルは、ステップST2108において、自セルに接続しているUEに対してオフロードすることを決定すると、ステップST2401およびステップST2402において、Compセルに、補償を開始させるためのメッセージとして、補償開始要求メッセージを通知する。

補償開始要求メッセージを受信したCompセルは、ステップST2109およびステップST2110において、カバレッジの補償を開始する。具体的には、Compセルは、カバレッジを補償するために、送信電力の増大を開始する。

以上のように、ESセルは、オフロードすることを決定した場合に、Compセルに補償開始要求メッセージを通知してもよい。これによって、全てのCompセルが補償許可をしない状態で、UEのオフロードを開始することを防ぐことが可能になる。また、ESセルがスイッチオフを開始してしまうことを防ぐことを可能とする。

Compセルは、補償を許可しない場合は、ESセルに、補償応答メッセージとして、不許可メッセージを通知するとよい。Compセルは、ステップST2124の補償要求処理、具体的には図10に示すステップST2106またはステップST2107において、補償応答メッセージ、具体的には不許可メッセージをESセルに通知するとよい。

図13に示す例では、ESセルは、ステップST2401およびステップST2402においてCompセルに補償開始要求を通知する前に、ステップST2301において、オフロード対象のUEに、メジャメントのためのメッセージを通知する。ステップST2301のメジャメントのためのメッセージを通知する処理は、ステップST2108のESセルがオフロードすることを決定する処理と、ステップST2401およびステップST2402のCompセルに補償開始要求メッセージを通知する処理との間に実行されてもよい。

以上のようにすることによって、UEは、たとえ、ステップST2303において、Compセルからの干渉によってESセルの下り品質が劣化して、上りスケジューリングなどの下り信号を受信できずに、ステップST2203においてRLFを発生したとしても、ステップST2304におけるメジャメントにおいて、記憶情報セル選択(Stored Information Cell Selection)を行うことが可能となる。また、ESセルのカバレッジを補償するCompセルをサーチすることが可能となる。

また、HOFの場合にも、ここで開示した方法を適用してもよい。ここで開示した方法を適用することによって、HOFの場合も、記憶情報セル選択(Stored Information Cell Selection)を行うことが可能となる。また、ESセルのカバレッジを補償するCompセルをサーチすることが可能となる。

これによって、UEは、早期にベストセルを検出することができる。また、UEは、ESセルがスイッチオフした後に、確実に接続できるセルを検出することが可能となる。したがって、前述の図12に示すシーケンスを実行した場合の効果と同様の効果を得ることができる。

実施の形態1 変形例2. RRC接続再設立は、RRC接続再設立を行うセルがプリペアされている場合にのみ成功する。ここで、「プリペアされている」とは、有効なUEコンテキスト(UE context)を有していることをいう。

従来のHOにおいて、対象となるUEのUEコンテキストは、HO元のeNBからHO先のeNBへのHO要求メッセージに含めて通知される。したがって、例えば、ESセルが、Compセルに、オフロードするUEのHO要求メッセージを通知する前に、該UEがRLFになった場合は、CompセルにはUEコンテキストが通知されない。この場合、UEがCompセルにRRC接続再設立を要求したとしても、RRC接続再設立は成功せず、RRC_Connected状態を維持できなくなる。

本変形例では、この問題を解決する方法を開示する。ESセルを構成するeNBは、該ESセルと接続したUEのUEコンテキストを、Compセルに通知する。これによって、ESセルが、オフロードするUEのHO要求メッセージをCompセルに通知する前に、該UEがRLFになったとしても、Compセルは該UEのUEコンテキストを既に取得しているので、UEがCompセルにRRC接続再設立を要求した場合に、RRC接続再設立が成功することになる。したがって、RRC_Connected状態を維持することが可能となる。

UEコンテキストの通知タイミングの具体例を以下に開示する。ESセルを構成するeNBは、ESセルがスイッチオフを決定した場合、あるいはESセルがスイッチオフの指示を受けた場合、Compセルに、ESセルと接続しているUEのUEコンテキストを通知する。

また、ESセルは、自セルを完全にスイッチオフする前に、Compセルに、ESセルと接続しているUEのUEコンテキストを通知するようにしてもよい。

また、ESセルは、Compセルに補償を開始させるためのメッセージを通知する前に、Compセルに、ESセルと接続しているUEのUEコンテキストを通知するようにしてもよい。

UEコンテキストを通知する方法の具体例として、UEコンテキストは、ESセルからCompセルに通知する補償要求メッセージに含ませて、あるいは補償要求メッセージと一緒にして、通知するとよい。ESセルは、Compセルに、自セルに接続しているUEのUEコンテキストを通知する。

UEコンテキストを通知する方法の他の具体例として、UEコンテキストは、ESセルからCompセルに通知する補償開始要求メッセージに含ませて、あるいは補償開始要求メッセージと一緒にして、通知するとよい。ESセルは、Compセルに、自セルに接続しているUEのUEコンテキストを通知する。

通知するUEコンテキストは、RRCコンテキスト(RRC context)、AS設定(AS-configuration)など、従来のHO要求メッセージで通知するUEコンテキストと同じとするとよい。あるいは、従来のHO要求メッセージのUEコンテキストのうち、RLFリカバリのための情報を、通知するUEコンテキストとしてもよい。

図14は、本発明の実施の形態1の変形例2の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。図14に示すシーケンスは、図10および図11に示すシーケンスと類似しているので、図10および図11に対応するステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。

ステップST2101においてスイッチオフを決定したESセルは、自セルに接続しているUEのUEコンテキストを、ステップST2501およびステップST2502において、Compセル、具体的にはCompセル1,2に通知する。UEコンテキストは、ESセルからCompセルに通知される補償要求メッセージに含ませて、あるいは補償要求メッセージと一緒にして、通知されてもよい。本実施の形態では、ESセルは、補償要求メッセージとUEコンテキストとを一緒にして、Compセルに通知する。

このようにステップST2501およびステップST2502でUEのUEコンテキストをCompセルに通知することによって、Compセルは、ESセルのカバレッジを補償するための送信電力の増大を開始する前に、オフロードされてくる可能性のあるUEのUEコンテキストを取得することができる。これによって、Compセルは、たとえESセルからHO要求を受信できなくても、ESセルと接続していたUEのUEコンテキストを取得することができる。

したがって、UEがESセルとの間でRLFを発生して、CompセルにRRC接続再設立を行った場合に、RRC接続再設立を成功させることが可能となる。また、UEがHOFを発生して、CompセルにRRC接続再設立を行った場合に、RRC接続再設立を成功させることが可能となる。

したがって、UEは、たとえRLFまたはHOFを発生したとしても、CompセルにRRC接続再設立を行うことによって、RRC_Idle状態に遷移することなく、RRC_Connected状態を維持することができる。

図14に示す例では、ESセルは、自セルのカバレッジを補償する全てのCompセルに、UEコンテキストを通知する。他方、UEがRLFを発生したときにRRC接続再設立を行うCompセル、あるいは、UEがHOを行うCompセルは、このうちの1つとなる。したがって、他のCompセルにRRC接続再設立を行った、あるいはHOされた、UEのUEコンテキストは、使用されないまま、Compセルに記憶される。

ESセルのES動作が行われる度に、この無駄なUEコンテキストの記憶が行われることになるので、CompセルにおけるUEコンテキストを記憶するための記憶容量は増大する。これによって、新たなUEコンテキストの記憶が妨げられるという問題がある。また、膨大な記憶容量が必要となるという問題がある。これらの問題を解決するための方法を、以下に開示する。

Compセルは、ESセルからUEコンテキストを受信してから、予め定める期間内にUEと接続しなかった場合、UEのUEコンテキストを廃棄する。Compセルは、UEのUEコンテキストを記憶部から消去するようにしてもよい。

予め定める期間は、タイマとして設定されてもよい。Compセルは、UEのUEコンテキストの受信を契機として、タイマを開始し、タイマの期間内にUEと接続した場合は、UEのUEコンテキストを廃棄せず、タイマの期間内にUEと接続せずにタイマが満了した場合は、UEのUEコンテキストを廃棄する。

このようにすることによって、不要なUEコンテキストを廃棄することができるので、新たなUEコンテキストの記憶が妨げられることを回避することができる。また、膨大な記憶容量が必要になることを回避することができる。

前述の新たなUEコンテキストの記憶が妨げられるという問題、および膨大な記憶容量が必要となるという問題を解決するための他の方法を、以下に開示する。Compセル間で、接続したUEに関する情報を通知する。Compセル間で、接続したUEに関する情報を通知する方法として、Compセルは、他のCompセルあるいは周辺セルに、予め定めるUEのUEコンテキストの廃棄を要求する廃棄要求メッセージを通知してもよい。予め定めるUEは、自セルが接続したUEとする。

廃棄要求メッセージには、予め定めるUEに関する情報を含めるとよい。UEに関する情報は、ESセルからCompセルに通知されたUEコンテキストの情報の一部であってもよいし、全てであってもよい。あるいは、UEに関する情報は、該UEコンテキスト情報のうち、UEを識別するための情報であってもよい。このようにすることによって、Compセルは、他のCompセルあるいは周辺セルが接続したUEを認識することができる。

予め定めるUEに関する情報あるいは廃棄要求メッセージを受信したCompセルは、他のCompセルあるいは周辺セルが接続したUEのUEコンテキストを廃棄する。

以上のようにすることによって、Compセルは、不要なUEコンテキストを廃棄することができるので、新たなUEコンテキストの記憶が妨げられることを回避することができる。また、膨大な記憶容量が必要となることを回避することができる。

Compセルが接続したUEに関する情報の通知は、CompセルからCompセルあるいは周辺セルに行うのではなく、ESセルを介して行ってもよい。あるいはO&Mを介して行ってもよい。

前述の新たなUEコンテキストの記憶が妨げられるという問題、および膨大な記憶容量が必要となるという問題を解決するためのさらに他の方法を、以下に開示する。Compセル間で、Compオン(Comp on)完了、すなわち補償のためのカバレッジの増大完了を通知する。Compセルは、他のCompセルに、Compオン完了を通知してもよい。

予め定めるESセルのCompセルリスト内の全てのCompセルからCompオン完了を受信したCompセルは、自セルが接続したUEではないUEのUEコンテキストを廃棄する。Compセルは、予め定めるESセルのCompセルリスト内の全てのCompセルからCompオン完了を受信してから予め定める期間が経過した後に、自セルが接続したUEではないUEのUEコンテキストを廃棄するようにしてもよい。

このようにすることによって、不要なUEコンテキストを廃棄することができるので、新たなUEコンテキストの記憶が妨げられることを回避することができる。また、膨大な記憶容量が必要となることを回避することができる。

Compオン完了の通知は、CompセルからCompセルに行うのではなく、ESセルを介して行ってもよい。あるいはO&Mを介して行ってもよい。

本変形例によれば、Compセルは、予め定めるESセルのCompセルリストを認識する必要が無い。

実施の形態1 変形例3. 前述の実施の形態1、実施の形態1の変形例1および変形例2では、RRC接続再設立の成功率を向上させて、RRC_Connected状態を維持させる方法を開示した。しかし、RRC接続再設立は、UEにおいてRLFあるいはHOFが発生した場合に行う処理である。そこで、本変形例では、RLFあるいはHOFが生じにくくする方法を開示する。

ESセルを構成するeNBは、ESセルがスイッチオフを決定した場合、あるいは、ESセルがスイッチオフの指示を受けた場合、Compセルに対して、ESセルと接続しているUEのHOプレパレーション処理を開始する。

また、ESセルは、自セルを完全にスイッチオフする前に、Compセルに対して、ESセルと接続しているUEのHOプレパレーション処理を開始するようにしてもよい。

また、ESセルは、補償を開始させるためのメッセージとともに、あるいは補償を開始させるためのメッセージを通知する前に、Compセルに対して、ESセルと接続しているUEのHOプレパレーション処理を開始するようにしてもよい。

HOプレパレーション処理の開始方法の一例として、ESセルからCompセルへの補償要求処理とともに、HO要求処理を行ってもよい。また、CompセルからESセルへの補償要求応答とともに、HO要求応答を行ってもよい。

あるいは、ESセルからCompセルへの補償開始要求処理とともに、HO要求処理を行ってもよい。また、CompセルからESセルへの補償開始要求応答とともに、HO要求応答を行ってもよい。

HO先のセルは1つであることが望ましい。したがって、ESセルは、HOプレパレーション処理を開始する前に、UEにメジャメントを実行させてもよい。ESセルは、接続するUEに対して、Compセルのメジャメントを実行させる。実施の形態1の変形例1で開示した方法と同様に、ESセルは、メジャメントのためのメッセージで、Compセルを設定して通知する。メジャメントのためのメッセージとしては、RRCシグナリングのメジャメント設定(measurement configuration)メッセージを用いるとよい。Compセルの設定としては、Compセルのキャリア周波数とセル識別子とを設定するとよい。Compセルリストとして設定してもよい。

ここで、メジャメントのためのメッセージを通知した時点では、Compセルは、まだESセルのカバレッジを補償するための送信電力の増大を開始していないことになる。したがって、Compセルは、補償前のカバレッジを有することになるので、Compセルのメジャメントを行ったUEにおけるCompセルの受信電力は小さい。

このことを考慮して、イベント発生のための隣接セルの受信電力あるいは受信品質の閾値を小さくするとよい。例えば、設定可能な最低値に設定しておくとよい。あるいは、規格で定義されたUEの受信感度となる受信電力あるいは受信品質を閾値に設定しておいてもよい。または、その規格で定義されたUEの受信感度となる受信電力あるいは受信品質の値にオフセットを与えて閾値に設定してもよい。

このようにすることによって、UEに、補償前のCompセルからの受信電力に基づいてイベントを発生させて、ESセルに、メジャメント報告を通知させることが可能となる。これによって、ESセルは、Compセルが補償前の段階でも、HOさせるUEに対して、HO先のセルを決定することが可能となる。

また、メジャメント報告に、Compセルの受信電力あるいは受信品質の値を含めて通知するとよい。これによって、イベントが発生したCompセルが複数存在した場合に、それぞれの受信電力あるいは受信品質の値を用いて、HOさせるUEに対して、HO先のセルを1つ決定することが可能となる。したがって、HOさせるUEに対して、HO先セルを一つにすることができる。また、ESセルは、一つのHO先セルに対して、HOプレパレーション処理を開始することが可能となる。

本変形例では、イベント発生のための隣接セルの受信電力あるいは受信品質の閾値を、設定可能な最低値に設定しておくとよいことなどを開示した。他の方法として、閾値を、予め定める値に設定しておき、受信電力あるいは受信品質の値が閾値以上になった場合、UEは、セルを検出することができ、かつ受信電力あるいは受信品質を測定できたと判断して、イベント発生として、メジャメント報告を行うようにしてもよい。この場合でも、イベント発生のための隣接セルの受信電力あるいは受信品質の閾値を、設定可能な最低値に設定する場合と同様の効果を得ることができる。

図15は、本発明の実施の形態1の変形例3の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。図15に示すシーケンスは、図10に示すシーケンスと類似しているので、図10に対応するステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。

ESセルは、ステップST2101において、スイッチオフを決定すると、ステップST2601において、接続しているUEに、メジャメントのためのメッセージを通知する。図15に示す例では、メジャメントのためのメッセージとして、RRCシグナリングのメジャメント設定(measurement configuration)メッセージを用いる。Compセルの設定としては、Compセルリストとし、Compセルのキャリア周波数とセル識別子とを設定する。また、イベント発生のための隣接セルの受信電力あるいは受信品質の閾値を、設定可能な最低値に設定する。

メジャメントのためのメッセージを受信したUEは、ステップST2602において、Compセルのメジャメントを行う。メジャメントイベント発生のための閾値は、最低値に設定されているので、Compセルがまだ補償前でも、イベントが発生しやすい。

イベントが発生した場合、UEは、ステップST2603において、ESセルに、メジャメント報告メッセージを通知する。

メジャメント報告メッセージを受信したESセルは、ステップST2604において、メジャメント報告メッセージ内のCompセルの情報を用いて、メジャメント報告を行ったUEに対してHOを決定し、HO先のセルを決定する。図15に示す例では、HO先のセルを、Compセル1とする。ESセルに接続しているUE毎に、HO先のCompセルは異なってもよい。

ステップST2604において、対象となるUEに対してHOおよびHO先のCompセルを決定したESセルは、該UEに対して、HOプレパレーション処理を開始する。

HOプレパレーション処理では、まず、ステップST2605において、ESセルは、Compセル1に、補償要求メッセージとともに、HO要求メッセージを通知する。これらは同一のメッセージとして通知されてもよい。例えば、補償要求メッセージの中に、HO要求メッセージに含まれる情報を含めて通知してもよい。あるいは逆に、HO要求メッセージに、補償要求メッセージに含まれる情報を含めて通知してもよい。

Compセル2は、HO先ではないので、ステップST2103において、ESセルは、Compセル2に、補償要求メッセージのみを通知する。

補償要求メッセージとHO要求メッセージとを受信したCompセル1は、ステップST2104において、ESセルのカバレッジ補償を許可する。さらに、Compセル1は、ステップST2606において、HOのためのアドミッション制御(流入制御)を行い、UEのHO受入を許可する。

ステップST2607において、Compセル1は、ESセルに、補償要求応答(許可)メッセージとともにHO要求応答(Ack)メッセージを通知する。これらは同一のメッセージとして通知されてもよい。例えば、補償要求応答メッセージの中に、HO要求応答メッセージに含まれる情報を含めて通知してもよい。あるいは逆に、HO要求応答メッセージに、補償要求応答メッセージに含まれる情報を含めて通知してもよい。

ステップST2607においてUEに対する補償要求応答(許可)メッセージとHO要求応答(Ack)メッセージとを受信したESセルは、ステップST2118において、HO要求応答メッセージで受信した情報を用いて、UEに、HO指示(HO command)メッセージを通知する。

HO指示メッセージを受信したUEは、ステップST2119において、ESセル、Compセル1、MMEおよびS−GWとの間で、HO処理を行う。

ステップST2105においてESセルのカバレッジ補償を許可したCompセル2は、ステップST2107において、ESセルに、補償要求応答(許可)メッセージを通知する。

ステップST2607およびステップST2107において補償要求応答(許可)メッセージを通知したCompセル1とCompセル2は、ステップST2109およびステップST2110において、補償を開始する。具体的には、カバレッジを補償するために、送信電力の増大を開始する。

このように、ESセルは、Compセルに補償を開始させるためのメッセージを通知するとともに、Compセルに対して、ESセルと接続しているUEのHOプレパレーション処理を開始することによって、UEに対して早期にHOを開始することが可能となる。これによって、Compセルがカバレッジの補償を開始して送信電力の増大を行うことで生じる干渉による影響を抑えることが可能となる。したがって、UEがHO指示メッセージを受信し易くなり、HO処理を正常に行うことが可能となる。したがって、RLFおよびHOFの少なくともいずれか一方を低減させることができる。

図16は、本発明の実施の形態1の変形例3の通信システムにおけるES処理のシーケンスの他の例を示す図である。図16に示すシーケンスは、図10および図15に示すシーケンスと類似しているので、図10および図15に対応するステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。

ステップST2701において、ESセルは、ステップST2607およびステップST2107で自セルのカバレッジを補償する全てのCompセルからの補償応答(許可)メッセージを受信した場合に、接続しているUEのオフロードを決定する。

ステップST2701においてオフロードを決定したESセルは、ステップST2118において、接続するUEに、HO指示メッセージを通知する。ステップST2702およびステップST2703において、ESセルは、全てのCompセルに、補償開始要求メッセージを通知する。補償開始要求メッセージを受信したCompセルは、ステップST2109およびステップST2110において、補償を開始する。具体的には、カバレッジを補償するために、送信電力の増大を開始する。

このようにすることによって、ESセルは、Compセルに補償を開始させるためのメッセージより前に、Compセルに対して、ESセルと接続しているUEのHOプレパレーション処理を開始することができる。また、UEに対して早期にHO指示メッセージを通知することが可能となる。

これによって、Compセルがカバレッジの補償を開始して送信電力の増大を行うことで生じる干渉による影響を最低限に抑えることが可能となる。したがって、UEがさらにHO指示メッセージを受信し易くなり、HO処理を正常に行うことが可能となる。また、RLFおよびHOFの少なくともいずれか一方を低減させることができる。

以上のように本変形例で開示した方法を用いることによって、早期にHOプレパレーション処理を行うことが可能となるので、RLFあるいはHOFを生じにくくさせることができる。これによって、ESセルと接続しているUEのオフロードのためのHO成功率を向上させることができ、UEのRRC_Connected状態を維持させることが可能となる。

したがって、RRC接続再設立のための遅延時間を削減することが可能となるとともに、データの欠落および通信断の発生を低減させることが可能となる。これは、ユーザエクスペリエンスの劣化を抑えることになる。

また、UEが、たとえ何らかの原因でRLFあるいはHOFを生じたとしても、ESセルは、Compセルを設定したメジャメントのためのメッセージを早期に通知しているので、UEがCompセルに対して、RRC接続再設立を成功させる可能性を高めることができる。その場合も、ユーザエクスペリエンスの劣化を抑えることになる。

前述の実施の形態1および実施の形態1の変形例1〜変形例3では、ESセルのスイッチオフとCompセルのカバレッジ増(補償実行)とが行われる場合について説明した。これらで開示した方法は、ESセルのスイッチオンとCompセルのカバレッジ減(補償終了)とが行われる場合にも、適用可能である。この場合、スイッチオフするESセルを、カバレッジ補償を終了するCompセルに対応させ、カバレッジ補償を実行するCompセルを、スイッチオンするESセルに対応させて適用すればよい。

これによって、仮に、Compセルがカバレッジ補償状態からカバレッジ補償終了状態へ遷移するときに、Compセルに接続していたUEがRLFあるいはHOFを生じたとしても、それに続くRRC接続再設立をESセルに対して行うことが可能となる。また、RRC接続再設立のための遅延時間を削減することができる、データの欠落および通信断の発生確率を低減させることができる、RRC接続再設立を成功させる可能性を高めることができるなど、実施の形態1および実施の形態1の変形例1〜変形例3と同様の効果を得ることができる。

実施の形態2. 実施の形態2で解決する課題について、以下に説明する。エナジーセービング(Energy Saving)セル(ESセル)がスイッチオフすることを決定した場合であっても、ESセルからの下り信号の送信が行われていれば、下り信号を受信可能なUEが存在する場合がある。下り信号とは、例えば下り参照信号、下り同期信号などである。下り信号を受信したUEは、通常のセル再選択処理を経て、ESセルをセル再選択する可能性がある。また、下り信号を受信したUEは、通常のメジャメント処理を経て、サービングセルに、ESセルのメジャメント報告メッセージを通知する可能性がある。

UEが、スイッチオフすることを決定したESセルをセル再選択した場合、以下の問題が発生する。ESセルがスイッチオフしたときは、UEは、再度セル再選択をする必要があるので、UEの処理負荷が高くなるという問題がある。また、制御遅延が発生するという問題がある。また、ESセルへのセル再選択、およびその後の再度のセル再選択がTAUを伴う場合、無駄なTAUが発生し、無線リソースの無駄が発生するという問題がある。

UEが、スイッチオフすることを決定したESセルのメジャメント報告メッセージをサービングセルに通知した場合、以下の問題が発生する。サービングセルが、ESセルをハンドオーバのターゲットセルとして選択する可能性がある。その場合、ESセルは、ハンドオーバ処理において、ハンドオーバ要求を拒絶する、あるいは一旦ハンドオーバしてきたUEを自セル以外のセル、例えばCompセルに再度ハンドオーバさせなければならない。このように、セル間のシグナリングの無駄および制御遅延が発生するという問題がある。

また、ESセルが、一旦ハンドオーバしてきたUEを自セル以外のセル、例えばCompセルに再度ハンドオーバさせる場合、ESセルがスイッチオフするときのハンドオーバ処理となるので、ハンドオーバ失敗(Handover failure:HOF)となる可能性が高くなり、ユーザが安定して通信サービスを受けられないという問題がある。

実施の形態2における解決策を以下に示す。ESセルがスイッチオフすることを決定した場合、待ち受け状態のUE(以下「待ち受けモードUE(Idle mode UE)」という場合がある)がESセルにキャンプオンすることを防ぐ。また、接続状態のUE(以下「接続モードUE(Connected mode UE)」という場合がある)がESセルをターゲットセルとしてハンドオーバしてくることを拒絶する。

この動作は、ESセルが、エナジーセービング(Energy Saving)することを決定した場合、あるいは下り信号の送信電力を徐々に下げることを決定した場合に行われてもよい。下り信号の具体例としては、下り参照信号、下り同期信号、PBCH、PCFICH、PDCCHなどがある。

待ち受けモードUEがESセルにキャンプオンすることを防ぐ方法の具体例を、以下に開示する。スイッチオフすることを決定したESセルは、カバレッジ内のUEに、自セルがキャンプオン不可であることを通知する。

キャンプオン不可であることの通知方法の具体例を、以下に開示する。報知情報内の「cellBarred」パラメータを「barred」に変更する(非特許文献10参照)。

UEが通常(normal)サービスを受けるためにキャンプオン(Camp ON)するセルとしては、バード(barred)セルでないこととの条件がある(非特許文献2参照)。したがって、本実施の形態の解決策において、スイッチオフすることを決定したESセルが「cellBarred」パラメータを「barred」に変更することによって、UEが通常(normal)サービスを受けるためにキャンプオンすることを防ぐことができる。また、既存のパラメータを用いることによって、通信システムが複雑化することを回避することができる。また、後方互換性(backward compatibility:バックワードコンパチビリティ)に優れた通信システムを構築することが可能となる。

接続モードUEがESセルをターゲットとしてハンドオーバしてくることを拒絶する方法の具体例を、以下に開示する。スイッチオフすることを決定したESセルは、周辺セルに、自セルをハンドオーバのターゲットセルとして選択不可であることを通知する。

ハンドオーバのターゲットセルとして選択不可であることの通知方法の具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。

(1)周辺セルに、スイッチオフすることを決定したことを通知する。この通知を受信した周辺セルは、ハンドオーバ決定(Handover decision)をするときに、ESセルをターゲットセルとして選択しない。ESセルが周辺セルに通知する通知内容は、以下の内容であってもよい。スイッチオフ処理が進行中(Switch Off Ongoing)であること、あるいは下り信号の送信電力を徐々に下げること、あるいは下り信号の送信電力を徐々に下げていること。

通知には、X2インタフェース、S1インタフェースを用いればよい。従来においてもX2インタフェースのeNB設定アップデート(ENB CONFIGURATION UPDATE)メッセージの中に、「Deactivation Indication」のパラメータがある(3GPP TS36.423参照)。「Deactivation Indication」パラメータは、セルがスイッチオフされていることを示すインジケータである。したがって、従来のパラメータ「Deactivation Indication」では、スイッチオフすることを決定してからスイッチオフされるまでの通知には用いることができない。元々、スイッチオフされているセルから下り信号は送信されない。したがって、従来のパラメータ「Deactivation Indication」は、実施の形態2で解決する課題を想定して設けられたものではない。

(2)周辺セルに、スイッチオフすることを決定したことを通知する。この通知を受信した周辺セルは、カバレッジ内のUEに、ESセルが測定対象外、あるいはイベント評価対象外、あるいは測定報告対象外であることを通知する。

測定対象外であることの通知方法の具体例を、以下に開示する。周辺セルは、ブラックリスト(BlackList)にESセルを追加し、RRCメッセージとして、あるいは報知情報として、傘下のUEに通知する。

ブラックリストとは、イベント評価、測定報告で考慮されないセルのリストである。したがって、本実施の形態の解決策において、周辺セルのブラックリストに、スイッチオフすることを決定したESセルを追加することによって、周辺セルの傘下のUEの測定対象などからESセルを外すことができる。

これによって、周辺セルにおいてESセルがハンドオーバのターゲットセルとして選択されることを防ぐことができる。また、既存のパラメータを用いることによって、通信システムが複雑化することを回避することができる。また、後方互換性(backward compatibility)に優れた通信システムを構築することが可能となる。

前記方法(2)は、ターゲットセルとして選択しない前記方法(1)と比較して、UEにおけるESセルを対象とする測定を削減すること、およびUEから周辺セルへのESセルを対象とする測定報告を削減することなどが可能となる。これによって、UEの処理負荷を軽減することができるとともに、無線リソースを有効に活用することができる。 (3)前記(1),(2)の組合せ。

図17は、本発明の実施の形態2の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

ステップST3101において、ESセル1は、スイッチオフすることを決定する。ステップST3102において、ESセル1は、報知情報内の「cellBarred」パラメータを「barred」に変更する。

ESセル1をサービングセルとするUE1と、ESセルの周辺セルをサービングセルとするUE2とが存在した場合について説明する。ステップST3103およびステップST3104において、ESセル1は、傘下のUE1およびUE2に、システム情報が変更されたことを通知、すなわちSI変更通知を行う。

ステップST3103においてSI変更通知を受信したUE1は、報知情報内、すなわちシステム情報内の「cellBarred」パラメータが「barred」に変更されたことを認識する。UE1は、ESセル1が通常(normal)サービスを受けるためにキャンプオン(Camp ON)するセルではなくなったことを認識する。これによって、ステップST3105において、UE1は、ESセル1以外のセルにキャンプオンし直すために、セル再選択処理を行う。

ステップST3104においてSI変更通知を受信したUE2は、報知情報内、すなわちシステム情報内の「cellBarred」パラメータが「barred」に変更されたことを認識する。UE2は、ESセル1が通常(normal)サービスを受けるためにキャンプオン(Camp ON)するセルではなくなったことを認識する。これによって、ステップST3106において、UE2は、ESセル1以外のセルを対象にセル再選択処理を行う。

ステップST3107において、ESセル1は、周辺セルに、スイッチオフすることを決定したことを通知する。周辺セルをCompensationセル1(Compセル1)とした場合を具体例として説明する。

Compセル1をサービングセルとするUE3と、UE4とが存在した場合について説明する。

ステップST3108において、UE3は、Compセル1に、ESセル1を対象とするメジャメント報告(Measurement Report)メッセージを通知する。

ステップST3107においてESセル1からスイッチオフすることを決定したことの通知を受信しているCompセル1は、ステップST3108においてUE3から、ESセル1を対象とするメジャメント報告メッセージを受信した場合であっても、ステップST3109において、ESセル1をハンドオーバのターゲットセルとして選択しない。

ステップST3110において、Compセル1は、「Black List」にESセル1を追加する。

ステップST3111およびステップST3112において、Compセル1は、傘下のUE3およびUE4に、「Black List」を通知する。

ステップST3111において「Black List」を受信したUE4は、ESセル1がイベント評価、測定報告で考慮されないセルとなったことを認識し、ステップST3113において、ESセル1をイベント評価の対象としない。ステップST3113では、ESセル1を測定対象としない、あるいはESセル1を測定報告の対象としないとしてもよい。

ステップST3112において「Black List」を受信したUE3は、ESセル1がイベント評価、測定報告で考慮されないセルとなったことを認識し、ステップST3114において、ESセル1をイベント評価の対象としない。ステップST3114では、ESセルを測定対象としない、あるいはESセルを測定報告の対象としないとしてもよい。

実施の形態2によって、以下の効果を得ることができる。待ち受けモードUE(Idle mode UE)がスイッチオフすることを決定したESセルにキャンプオンすること防ぎ、接続モードUE(Connected mode UE)が該セルをターゲットセルとしてハンドオーバしてくることを拒絶する。これによって、UEの処理負荷の軽減、無線リソースの有効活用、セル間のシグナリング増加の抑制、および制御遅延の防止を図ることができる。

実施の形態3. ドーマント状態のESセルのスイッチオンは、Compセルの負荷が増大した場合に行われる。したがって、ESセルのスイッチオンとCompセルのカバレッジ減の遷移時に、CompセルからESセルにオフロードされるUEの数が多数存在する場合がある。この場合、ESセルにオフロードされた多数のUEが一斉にESセルと接続しようとする場合、シグナリングの衝突および混雑状況が生じてしまう。したがって、オフロードされたUEがESセルと接続するときに多大な遅延が生じてしまう場合がある。UEが行うサービスのサービス品質(Quality of Service:QoS)要求によっては、要求される遅延量を超えてしまう場合がある。このように、要求される遅延量を超えると、データの欠落などを引き起こし、ユーザエクスペリエンス(user experience)を劣化させてしまう。本実施の形態では、この問題を解決するための方法を開示する。

ESセルを構成するeNBは、ESセルがスイッチオンを開始した後、HO要求を受信したUEの優先順位を決定するための指標に応じて、アクセス優先順位を決定する。

ESセルがスイッチオンを開始した後の予め定める期間、あるいは、ESセルがスイッチオンを完了するまで、HO要求を受信したUEの優先順位を決定するための指標に応じて、アクセス優先順位を決定するようにしてもよい。

優先順位を決定するための指標の具体例としては、QoSがある。QoSは、QoSクラス識別子(QoS Class Identifier:QCI)であってもよい。また、QoSの指標のうち、遅延量に応じてアクセスの優先順位を決定するようにしてもよい。これによって、高いQoS要求のUEの優先順位をあげ、早期にESセルにアクセス可能とし、オフロードを可能とすることができる。したがって、オフロード時に、サービスのQoS要求を満たさなくなってしまうこと、およびデータの欠落などを引き起こしてしまうことを抑えることができ、ユーザエクスペリエンスの劣化を低減させることができる。

優先順位を決定するための指標の他の具体例としては、データ量がある。データ量を指標として用いる場合、ESセルは、UEに対して未送信および未受信の少なくともいずれか一方のデータ量に応じて、アクセス優先順位を決定する。例えば、ESセルは、オフロードするUEに対する未送信の下りパケットデータ量および未受信の上りパケットデータ量の少なくともいずれか一方に応じて、アクセス優先順位を決定する。

データ量としては、パケット数、バイト数、ビット数などとするとよい。上りデータ量としては、バッファ状態報告(Buffer Status Report:BSR)情報を用いてもよい。BSR情報から、既に割当てたデータ量を減じたものでもよい。

前述のようにデータ量を指標として用いることによって、未送信あるいは未受信のデータ量が多いUEの優先順位を上げ、早期にESセルにアクセス可能とすることができる。これによって、早期にESセルにそれらのデータを転送(フォワーディング(forwarding))することで、データの欠落などを引き起こしてしまうことを抑えることができる。したがって、ユーザエクスペリエンスの劣化を低減させることができる。データ量を指標として用いる場合、QoSとデータ量とを組合せて用いて、アクセス優先順位を決定してもよい。

優先順位を決定するための指標のさらに他の具体例としては、オペレータのアクセス優先順位、UEがMTC(Machine Type Communication)用か否か、およびUEのEAB(Extended Access Barring)設定などがある。これらを指標として用いることによって、各設定に応じた優先順位とすることが可能となる。

アクセスを優先させる方法について開示する。ESセルは、HO要求を受信したUEの優先順位を決定するための指標に応じて、UEの優先順位を決定し、優先順位の高いUEから、個別RACH構成を割当てる。

個別RACH構成としては、PRACHに用いるプリアンブル構成のインデックスを示すプリアンブルID、PRACHを送信するリソースを示すPRACHマスクIDがある。プリアンブルIDとしては、「ra-PreambleIndex」、「Preamble Index」がある。PRACHマスクIDとしては、「ra-PRACH-MaskIndex」、「PRACH Mask Index」がある。

個別RACH構成が明白に通知されたUEは、個別RACH構成を用いて、PRACHを送信することになっている(非特許文献14参照)ので、ESセルにおいてPRACHの衝突は生じない。いわゆる非衝突ベース(non-contention based)のRA処理を行うことができる。これによって、多数のUEがESセルにアクセスを開始した場合でも、PRACHの衝突によるアクセスの遅延を防ぐことが可能となる。

ESセルは、UEの優先順位を決定するために、CompセルからオフロードされるUEの優先順位を決定するための指標を認識する必要がある。CompセルからオフロードされるUEの優先順位を決定するための指標を認識する方法として、Compセルは、予めESセルにオフロードを行うUEのUE−IDと優先順位を決定するための指標とを通知する。通知手段として、オフロードのためのHO要求とともに、あるいはHO要求に含ませるとよい。

ESセルは、UEの優先順位に応じて、個別RACH構成を割当てるが、UEは、個別RACH構成を認識する必要がある。UEが個別RACH構成を認識する方法として、ESセルは、Compセルを介して、UEに、割当てた個別RACH構成を通知する。ESセルは、先に受信したHO要求に対するHO要求応答メッセージとともに、あるいはHO要求応答メッセージに含ませて、個別RACH構成をCompセルに通知するとよい。HO要求応答メッセージで個別RACH構成を受信したCompセルは、HO指示(HO command)メッセージとともに、あるいはHO指示メッセージに含ませて、UEに、個別RACH構成を通知するとよい。以上のようにすることによって、ESセルは、個別RACH構成を割当てたUEに、個別RACH構成を通知することが可能となる。

個別RACH構成を受信したUEは、HOのために、個別RACH構成を用いて、PRACHをESセルに送信することが可能となる。

Compセルが、UEに、個別RACH構成を通知する他の方法として、UEがHOのためのPRACHを送信する前に、Compセルは、PDCCHに個別RACH構成情報を含めて、UEに通知するようにしてもよい。

図18および図19は、本発明の実施の形態3の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。図18と図19とは、境界線BL1の位置で、つながっている。UE1は、Compセル1の傘下のUEとする。UE2は、Compセル2の傘下のUEとする。

ステップST4101において、Compセル1は、負荷の増大などによって、ESセルのスイッチオンを決定する。

ステップST4102において、Compセル1は、ESセルに、スイッチオン要求メッセージを通知する。一つのCompセルからスイッチオン要求メッセージを受信したESセルは、他のCompセル、ここではCompセル2に、自セルのカバレッジの補償終了要求メッセージを通知する。

補償終了要求メッセージを受信したCompセル2は、自セルがESセルのカバレッジの補償を終了してもよいと判断すると、ステップST4104において、補償終了を許可する。

ステップST4105において、Compセル2は、ESセルに、補償終了応答(Ack)メッセージを通知する。これによって、ESセルは、自セルのカバレッジを補償する全てのCompセルの状況を確認した上で、スイッチオンを決定するか否かを判断することが可能となる。

Compセルから補償終了応答(Ack)メッセージを受信したESセルは、ステップST4106において、スイッチオンを決定する。

ステップST4107およびステップST4108において、ESセルは、全てのCompセル、ここではCompセル1およびCompセル2に、スイッチオン要求応答(Ack)メッセージを通知する。スイッチオン要求応答メッセージではなく、補償終了処理開始要求メッセージであってもよい。補償終了処理開始要求メッセージを受信したCompセルは、補償終了処理を開始する。

補償終了処理として、ステップST4110およびステップST4111において、Compセル1およびCompセル2は、傘下のUEのオフロード処理を開始する。傘下のUEのうち、ESセルにHOできるUEを認識するために、Compセル1およびCompセル2は、ステップST4113およびステップST4114において、傘下のUEに、メジャメントのためのメッセージを通知する。このメジャメントためのメッセージに、測定対象として、ESセルのセル識別子とキャリア周波数情報とを設定するとよい。ESセルリストとしてもよい。

ステップST4115およびステップST4116において、UE1およびUE2は、メジャメントを行う。

ESセルに対してイベントが発生した場合、ステップST4117およびステップST4118において、UE1およびUE2は、Compセル1およびCompセル2に、メジャメント報告(Measurement Report)メッセージを通知する。これによって、Compセルは、ESセルにHO可能なUEの情報を取得することが可能となる。

ESセルにHO可能なUEの情報を取得したCompセル1およびCompセル2は、ステップST4119およびステップST4121において、UEをESセルにHOさせることを決定する。

ステップST4120およびステップST4122において、Compセル1およびCompセル2は、ESセルに、HO要求メッセージを通知する。HO要求メッセージに、UEの識別子(UE−ID)と、優先順位を決定するための指標とを含ませる。優先順位を決定するための指標は、ここではQoSとする。これによって、ESセルは、HOを要求されたUEと、そのQoSを認識することが可能となる。

ステップST4107およびステップST4108において、全てのCompセル、ここではCompセル1およびCompセル2にスイッチオン要求応答(Ack)メッセージを通知したESセルは、ステップST4109において、スイッチオンを開始する。また、ステップST4112において、予め定める期間を有するタイマを開始する。ステップST4123において、ESセルは、タイマを終了する。ESセルは、ステップST4123においてタイマが終了するまでの期間に受信したHO要求メッセージを記憶する。

このようにすることによって、ESセルは、自セルのカバレッジを補償するCompセルからのオフロードさせるUEのためのHO要求メッセージを受信した上で、優先順位を決定することが可能となる。

ステップST4123においてタイマを終了したESセルは、図19のステップST4124において、タイマ内の予め定める期間に受信したHO要求メッセージ、HO要求対象のUE、およびUEのQoSについての情報を用いて、HO受入れの優先順位を決定する。例えば、高いQoSを有するUEに対しては、優先順位を高くする。

またESセルは、ステップST4125において、HO要求に対する流入制御を行う。ステップST4125の流入制御の処理を終了した後に、ステップST4124の優先順位を決定する処理を行ってもよい。また、ESセルのHO流入制御に優先順位決定機能を設けて、流入制御とともに優先順位決めを行うようにしてもよい。

ステップST4124において優先順位を決定したESセルは、優先順位の高いUEから、個別RACH構成を割当てる。ここでは、UE1は、優先順位が高く、個別RACH構成を割当てることとする。UE2は、優先順位が低く、個別RACH構成を割当てないこととする。個別RACH構成の数は、予め決められているので、割当可能なUEの数は制限される。

ステップST4126において、ESセルは、Compセル1に、優先順位の高いUE1に対して割当てた個別RACH構成とUEの識別子(UE−ID)とを通知する。ここでは、HO要求応答(Ack)メッセージとともに、あるいはHO要求応答(Ack)メッセージに含めて通知する。個別RACH構成としては、プリアンブルID、PRACHマスクIDとする。

ステップST4127において、ESセルは、Compセル2に、優先順位の低いUE2の識別子を、HO要求応答(Ack)メッセージとともに、あるいはHO要求応答(Ack)メッセージに含めて通知する。

ステップST4128において、Compセル1は、UE1に、UEに割当てられている個別RACH構成を通知する。ここでは、HO指示(HO command)メッセージとともに、あるいはHO指示メッセージに含めて通知する。

ステップST4129において、Compセル2は、UE2に、HO指示(HO command)メッセージを通知する。

以上のようにすることによって、ESセルによって優先順位を高く設定されたUE、すなわちUE1は、個別RACH構成を取得することが可能となる。

ステップST4128およびステップST4129において、UE1およびUE2は、HO指示(HO command)メッセージを受信したので、ESセルにアクセスを開始する。具体的には、RA(Random Access)処理を開始する。RA処理は、PRACHの送信で開始される。

ステップST4130において、UE1は、個別RACH構成を用いて、ESセルに、PRACHの送信を行う。したがって、衝突の生じない非衝突(non-contention)ベースのPRACHとなり、ESセルは、他のUEと衝突をすることなく、UE1からのPRACHを受信することができる。

これによって、ESセルは、ステップST4132において、UE1に、予め定めるタイミング内に早期にランダムアクセス応答(Random Access Response;略称:RAR)メッセージを通知することが可能となる。ステップST4132において、UE1は、予め定めるタイミング内でRARメッセージを受信することができる。ステップST4133において、引続き、UE1は、ESセルへのHO処理が実行される。ステップST4139において、Compセル1は、補償終了を行う。

UE2は、個別RACH構成を用いることができないので、ステップST4131において、共通のRACH構成から選択して、PRACHの送信を行う。したがって、衝突が生じる可能性のある衝突(contention)ベースのPRACHとなる。ESセルでは、他のUEからのPRACHとの衝突によって、PRACHを受信できない可能性がある。ESセルは、ステップST4134において、RARメッセージをUE2に通知する。UE2は、ステップST4135において、ESセルに、メッセージ3(Msg3)を通知する。

仮に、ESセルでUEからのRA処理が失敗に終わった場合、ESセルは、メッセージ4(Msg4)をUE2に通知しない。したがって、ステップST4136において、UE2は、メッセージ4(Msg4)を受信することができなくなる。したがって、UE2は、ステップST4137において、PRACHの再送から再度RA処理を開始しなければならない。

UE2は、ESセルに対してRA処理が成功した場合、ステップST4138において、RA処理以降のHO処理が実行される。ステップST4140において、Compセル2は、補償終了を行う。

UE2に対するHO処理は、衝突(contention)ベースのPRACHであるので、多数のUEがアクセスするような場合、衝突によって、PRACHの再送、RA処理の再実行の可能性が高くなる。したがって、遅延が生じる可能性が高くなる。しかし、衝突(contention)ベースのPRACHの実行は、ステップST4124において、ESセルによって、UE2のQoSに応じた優先順位によって決定されている。したがって、遅延の影響は殆ど無い。

このような方法とすることで、オフロードされたUEがESセルと接続する場合に、UEに、サービスのQoS要求によって優先順位を与えることが可能となる。これによって、優先順位の高いものは低遅延でアクセスを可能とし、優先順位の低いものは高遅延を許してアクセスさせるといった、優先順位に応じた遅延量の制御を実行することが可能となる。したがって、ユーザエクスペリエンスの劣化を低減させることが可能となる。

実施の形態3 変形例1. 実施の形態3では、個別RACH構成を割当てたUEが全て優先される場合について開示した。しかし、個別RACH構成を割当てられたUEが多数あった場合、たとえ多数のUEが非衝突(non-contention)ベースのPRACHをESセルに送信したとしても、ESセルにおいて、PRACHに対する応答であるRARを予め定める期間(ウインドウ)内にUEに対して送信することができない場合が発生する。RARを予め定める期間に受信できないUEは、PRACHの再送処理を行わなくてはならず、遅延が生じることになる。本変形例では、このような問題を解決するための方法を開示する。

実施の形態1と同様に、ESセルは、HO要求を受信したUEのQoSに応じて、UEの優先順位を決定し、優先順位の高いUEから、個別RACH構成を割当てる。ESセルは、優先順位と個別RACH構成とを関連付けて記憶する。割当てたUE識別子も併せて関連付けて記憶してもよい。

ESセルは、個別RACH構成を割当てたUEから、個別RACH構成を用いて送信されたPRACHを受信する。ESセルは、個別RACH構成を割当てたUEの全てのPRACHを受信した後、受信したPRACHの個別RACH構成と、記憶している優先順位と個別RACH構成との関連付けを用いて、UEの優先順位を判定する。

したがって、ESセルは、どのUEを優先すればよいかを認識することが可能となる。個別RACH構成を割当てたUEの全てのPRACHを受信した後ではなく、HO要求応答メッセージをCompセルに通知してから予め定める期間が経過した後、あるいは、割当てた個別RACH構成を用いたPRACHの最初の受信から予め定める期間が経過した後としてもよい。これによって、電波環境の急変によってPRACHが届かない場合に、ESセルが次の処理に進めなくなることを回避することができる。

ESセルは、RARを予め定める期間内でUEの優先順位の順に、RARを送信する。RARを予め定める期間内で送信できないUEに関しては、UEからのPRACHの再送を待つ。

UEは、RARを予め定める期間内で受信すると直ちに、RA処理以降のHO処理を行う。RARを予め定める期間内で受信できなかった場合は、次のPRACHの送信タイミングで、PRACHの再送を行う。

このようにすることによって、ESセルは、UEの優先順位の順にRARを送信できるので、優先順位の高いUEから、可及的速やかにHO処理を行うことが可能となる。したがって、CompセルからESセルにオフロードされるUEにおいて、優先順位の高いUEから、ESセルへのアクセス時の遅延を少なくすることが可能となる。これによって、ユーザエクスペリエンスの劣化を低減させることができる。

図20は、本発明の実施の形態3の変形例1の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。図20に示すシーケンスは、図18および図19に示すシーケンスと類似しているので、図18および図19に対応するステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。

ステップST4100のHOプレパレーション処理におけるステップST4123において、タイマを終了したESセルは、ステップST4124において、タイマ内の予め定める期間に受信したHO要求、HO要求対象のUE、UEのQoSについての情報を用いて、HO受入れの優先順位を決定する。例えば、高いQoSを有するUEに対しては、優先順位を高くする。

ステップST4124において優先順位を決定したESセルは、優先順位の高いUEから、個別RACH構成を割当てる。ここでは、UE1の優先順位を1番とし、UE2の優先順位を2番とする。UE1およびUE2のどちらにも個別RACH構成を割当てることとする。ESセルは、UEの優先順位と、該UEに割当てた個別RACH構成とを関連付けて記憶する。

ステップST4126において、ESセルは、Compセル1に、UE1に割当てた個別RACH構成とUEの識別子(UE−ID)とを通知する。ここでは、HO要求応答(Ack)メッセージとともに、あるいはHO要求応答(Ack)メッセージに含めて通知する。

ステップST4201において、ESセルは、Compセル2に、UE2に割当てた個別RACH構成とUEの識別子(UE−ID)とを通知する。ここでは、HO要求応答(Ack)メッセージとともに、あるいはHO要求応答(Ack)メッセージに含めて通知する。個別RACH構成としては、プリアンブルID、PRACHマスクIDとする。

ステップST4128において、Compセル1は、UE1に、UEに割当てられている個別RACH構成を通知する。ここでは、HO指示(HO command)メッセージとともに、あるいはHO指示メッセージに含めて通知する。

ステップST4202において、Compセル2は、UE2に、UEに割当てられている個別RACH構成を通知する。ここでは、HO指示(HO command)メッセージとともに、あるいはHO指示メッセージに含めて通知する。

ステップST4128およびステップST4202において、UE1およびUE2は、HO指示(HO command)メッセージを受信したので、ESセルにアクセスを開始する。

ステップST4130およびステップST4203において、UE1およびUE2は、HO指示(HO command)メッセージとともに取得した個別RACH構成を用いて、ESセルに、PRACHの送信を行う。したがって、衝突の生じない非衝突(non-contention)ベースのPRACHとなり、ESセルは、他のUEと衝突をすることなく、UE1およびUE2からのPRACHを受信することができる。

ステップST4130およびステップST4203において、ESセルは、個別RACH構成を割当てたUEから、個別RACH構成を用いて送信されたPRACHを受信する。

ステップST4204において、ESセルは、受信したPRACHの個別RACH構成と、記憶している優先順位と個別RACH構成との関連付けを用いて、UEの優先順位を判定する。

したがって、ESセルは、どのUEを優先すればよいかを認識することが可能となる。ここでは、UE1の優先順位が1番で、UE2の優先順位が2番である、と判定できる。

ステップST4132において、ESセルは、優先順位が1番のUE1に、RARメッセージを、予め定める期間内で最も早期に送信する。

次に、ステップST4205において、ESセルは、優先順位が2番のUE2に、RARメッセージを、予め定める期間内の次の送信タイミングで送信する。

UE1は、ステップST4132においてRARメッセージを受信すると直ちに、ステップST4133において、RA処理以降のHO処理を行う。

UE2は、ステップST4205においてRARメッセージを受信すると直ちに、ステップST4138において、RA処理以降のHO処理を行う。

UE1は、UE2よりもRARメッセージを早期に受信できるので、HO処理も早期に実行されることになる。したがって、優先順位の高いUE1の方が、ESセルにアクセスするときの遅延は小さくなる。

図20に示すシーケンスの例では、UE1とUE2のどちらもRARメッセージを予め定める期間内に送信した場合について示した。しかし、例えば、UEの数が多く、RARメッセージを予め定める期間内に送信することができないような場合がある。この場合、ESセルは、RARメッセージを予め定める期間内で送信できないUEに関しては、UEからのPRACHの再送を待つ。他方、RARメッセージを予め定める期間内に受信できないUEは、次のPRACHの送信タイミングで、PRACHの再送を行う。

このような場合も、前述のように、ESセルは、UEに、UEの優先順位の順にRARメッセージを送信する。これによって、RARメッセージを予め定める期間内に送信できないUEを、優先順位の低いUEとすることが可能となる。換言すれば、UEは、例えばQoS要求の低いUE、高遅延を許容するUEということになる。したがって、高いQoS要求のUEに対しては低遅延で、低いQoS要求のUEに対しては高遅延でHO処理を実行させることが可能となる。

以上のようにすることによって、優先順位の高いUEから、可及的速やかにHO処理を行うことが可能となる。したがって、CompセルからESセルにオフロードされるUEにおいて、優先順位の高いUEから、ESセルへのアクセス時の遅延を少なくすることが可能となる。これによって、ユーザエクスペリエンスの劣化を低減させることができる。

実施の形態3 変形例2. 実施の形態3では、UEの優先順位に応じて、個別RACH構成を割当てることによって、オフロード先へのアクセスを優先させる方法を開示した。個別RACH構成を割当てられなかったUEは、HO先へのアクセスで、PRACHが衝突する可能性がある。また、ESセルでRA処理が行われなかったUEは、PRACHの再送から行うことになる。個別RACH構成を割当てられないUEが多数存在する場合、その中でPRACHの再送に優先順位付けがなされないという問題が生じる。本変形例では、この問題を解決する方法を開示する。

ESセルは、HO要求を受信したUEの優先順位を決定するための指標に応じて、UEの優先順位を決定し、UEの優先順位に応じて、PRACHの再送時のバックオフタイムを設定する。バックオフタイムを設定されたUEは、バックオフタイムの設定値に従って、PRACHの再送を予め定める期間遅らせる。バックオフタイムの設定は、RARの既存のパラメータ「Backoff Parameter values」を用いて設定してもよい(非特許文献14参照)。UEの優先順位ではなく、QoS要求あるいは遅延時間要求値に応じて、バックオフタイムを設定してもよい。優先順位に応じて設定するよりも、UEの許容遅延時間との関係をつけやすく、制御が容易になる。バックオフタイムとしては、0、すなわち遅延無しを設定してもよい。

また、特に、個別RACH構成を割当てないUEに対して、UEの優先順位に応じて、RARのパラメータ「Backoff Parameter values」を設定するようにしてもよい。したがって、個別RACH構成を割当てたUEに対しては、RA処理失敗の場合、バックオフタイム無しにPRACHの再送を行わせることが可能となる。また、個別RACH構成を割当てないUEに対しては、RA処理失敗の場合、設定したバックオフタイムによってPRACHの再送を遅らせることが可能となる。これによって、PRACHの衝突を低減させるとともに、優先順位に応じた遅延時間とすることが可能になる。

UEは、バックオフタイムを認識する必要がある。UEがバックオフタイムを認識する方法は、実施の形態1で開示した、個別RACH構成を認識する方法と同様にするとよい。

ESセルは、Compセルを介して、UEに、設定したバックオフタイム、すなわちバックオフタイム設定値を通知する。ESセルは、先に受信したHO要求メッセージに対するHO要求応答メッセージとともに、あるいはHO要求応答メッセージに含ませて、Compセルに通知するとよい。HO要求応答メッセージでバックオフタイム設定値を受信したCompセルは、UEに、バックオフタイム設定値を、HO指示(HO command)メッセージとともに、あるいはHO指示メッセージに含ませて通知するとよい。

Compセルが、UEに、バックオフタイム設定値を通知する他の方法として、UEがHOのためのPRACHを送信する前に、Compセルは、UEに、PDCCHにバックオフタイム設定値を含めて通知するようにしてもよい。

バックオフタイム設定値を受信したUEは、RA処理失敗時のPRACHの再送時に、バックオフタイム設定値を用いて、ESセルに、PRACHを予め定める期間遅らせて送信することが可能となる。

図21は、本発明の実施の形態3の変形例2の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。図21に示すシーケンスは、図18〜図20に示すシーケンスと類似しているので、図18〜図20に対応するステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。

ステップST4100のHOプレパレーション処理におけるステップST4123において、タイマを終了したESセルは、ステップST4124において、タイマ内の予め定める期間に受信したHO要求、HO要求対象のUE、UEのQoSについての情報を用いて、HO受入れの優先順位を決定する。例えば、高いQoSを有するUEに対しては、優先順位を高くする。

図21に示す例では、UE1がUE2よりも優先順位が高いこととする。UE1およびUE2のどちらにも個別RACH構成を割当てず、バックオフタイムを設定する。バックオフタイムの設定としては、RARのバックオフパラメータ値(Backoff Parameter values)を用いて設定する。ESセルは、優先順位が相対的に高いUE1に、より小さい値のバックオフタイムを設定し、優先順位が相対的に低いUE2に、より大きい値のバックオフタイムを設定する。

ステップST4301およびステップST4302において、ESセルは、Compセル1およびCompセル2に、UE1およびUE2に設定したバックオフタイムであるバックオフパラメータ値とUEの識別子(UE−ID)とを通知する。ここでは、HO要求応答(Ack)メッセージとともに、あるいはHO要求応答(Ack)メッセージに含めて通知する。

ステップST4303およびステップST4304において、Compセル1およびCompセル2は、UE1およびUE2に、各UEに設定されたバックオフタイムであるバックオフパラメータ値を通知する。ここでは、HO指示(HO command)メッセージとともに、あるいはHO指示メッセージに含めて通知する。

ステップST4305およびステップST4306において、UE1およびUE2は、共通PRACH構成を用いて、ESセルに、PRACHの送信を行う。したがって、衝突発生の可能性のある衝突(contention)ベースのPRACHとなる。

ステップST4307およびステップST4308において、ESセルは、UE1およびUE2に、RARメッセージを通知する。

RARメッセージを受信したUE1およびUE2は、ステップST4309およびステップST4310において、ESセルに、RA処理のメッセージ3(Msg3)を通知する。

本シーケンスでは、衝突の可能性のあるRA処理であるので、どちらのUEもESセルとのRA処理を成功できなかった場合を示す。ステップST4311およびステップST4314において、UE1およびUE2は、RA処理のメッセージ4(Msg4)を受信できない。この場合、ステップST4312において、UE1は、ステップST4303で受信したバックオフパラメータ値を用いて、予め定める期間、PRACHの再送を遅らせる。

ステップST4313において、UE1は、予め定める期間遅らせてPRACHを再送し、ESセルとの間でRA処理を行う。RA処理が成功した場合、ステップST4133において、RA処理以降のHO処理が行われる。

ステップST4314においてメッセージ4(Msg4)を受信できなかったUE2は、ステップST4315において、ステップST4304で受信したバックオフパラメータ値を用いて、予め定める期間、PRACHの再送を遅らせる。

ステップST4137において、UE2は、予め定める期間遅らせてPRACHを再送し、ESセルとの間でRA処理を行う。RA処理が成功した場合、ステップST4138において、RA処理以降のHO処理が行われる。

以上のようにすることによって、個別RACH構成を割当てられないUEが多数存在する場合でも、その中でPRACHの再送に優先順位付けがなされることになり、優先順位の高いUEから、可及的速やかにHO処理を行うことが可能となる。したがって、CompセルからESセルにオフロードされるUEにおいて、優先順位の高いUEから、ESセルへのアクセス時の遅延を少なくすることが可能となる。これによって、ユーザエクスペリエンスの劣化を低減させることができる。

実施の形態3 変形例3. 実施の形態3の変形例2では、UEの優先順位に応じて、PRACH再送時のバックオフタイムを設定することによって、オフロード先へのアクセスを優先させる方法を開示した。しかし、この場合、PRACHの再送を行うUEが多くなるので、シグナリングの無駄、およびUEの消費電力の増大を引き起こす。本変形例では、この問題を解決するための方法を開示する。

ESセルは、HO要求メッセージを受信したUEの優先順位を決定するための指標に応じて、UEの優先順位を決定し、UEの優先順位に応じて、PRACH初送時のウエイトタイムを設定する。ウエイトタイムを設定されたUEは、ウエイトタイムの設定値に従って、PRACHの初送を、予め定める期間遅らせる。UEの優先順位ではなく、QoS要求メッセージあるいは遅延時間要求値に応じて、ウエイトタイムを設定してもよい。優先順位に応じて設定するよりも、UEの許容遅延時間との関係をつけやすく、制御が容易になる。ウエイトタイムとしては、0、すなわち遅延無しを設定してもよい。

UEは、ウエイトタイムを認識する必要がある。UEがウエイトタイムを認識する方法は、実施の形態1で開示した、個別RACH構成を認識する方法と同様にするとよい。

ESセルは、Compセルを介して、UEに、設定したウエイトタイム、すなわちウエイトタイム設定値を通知する。ESセルは、先に受信したHO要求メッセージに対するHO要求応答メッセージとともに、あるいはHO要求応答メッセージに含ませて、Compセルに通知するとよい。HO要求応答メッセージでウエイトタイム設定値を受信したCompセルは、UEに、ウエイトタイム設定値を、HO指示(HO command)メッセージとともに、あるいはHO指示メッセージに含ませて該通知するとよい。

Compセルが、UEに、ウエイトタイム設定値を通知する他の方法として、UEがHOのためのPRACHを送信する前に、Compセルは、UEに、PDCCHにウエイトタイム設定値を含めて通知するようにしてもよい。

ウエイトタイム設定値を受信したUEは、HO先へアクセスするためのPRACHの初送時に、ウエイトタイム設定値を用いて、ESセルに、PRACHを予め定める期間遅らせて送信することが可能となる。

図22は、本発明の実施の形態3の変形例3の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。図22に示すシーケンスは、図18〜図21に示すシーケンスと類似しているので、図18〜図21に対応するステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。

ステップST4100のHOプレパレーション処理におけるステップST4123において、タイマを終了したESセルは、ステップST4124において、タイマ内の予め定める期間に受信したHO要求、HO要求対象のUE、UEのQoSについての情報を用いて、HO受入れの優先順位を決定する。例えば、高いQoSを有するUEに対しては、優先順位を高くする。

図22に示す例では、UE1の優先順位を1番、UE2の優先順位を2番とする。UE1およびUE2のどちらにも個別RACH構成を割当てず、ウエイトタイムを設定する。ESセルは、優先順位が相対的に高いUE1に、より小さい値のウエイトタイムを設定し、優先順位が相対的に低いUE2に、より大きい値のウエイトタイムを設定する。

ステップST4401およびステップST4402において、ESセルは、Compセル1、Compセル2に、UE1およびUE2に設定したウエイトタイムであるウエイトタイマ値とUEの識別子(UE−ID)とを通知する。ここでは、HO要求応答(Ack)メッセージとともに、あるいはHO要求応答(Ack)メッセージに含めて通知する。

ステップST4403およびステップST4404において、Compセル1およびCompセル2は、UE1およびUE2に、各UEに設定されたウエイトタイムであるウエイトタイマ値を通知する。ここでは、HO指示(HO command)メッセージとともに、あるいはHO指示メッセージに含めて通知する。

ステップST4403およびステップST4404においてウエイトタイムを受信したUEは、ステップST4405およびステップST4406において、それぞれのウエイトタイマ値に従って、予め定める期間、PRACHの送信を遅らせる。ここでは、UE1の優先順位は、UE2の優先順位よりも高いので、UE1のウエイトタイマ値は、UE2のウエイトタイマ値よりも小さく設定される。

したがって、ステップST4305において、まずUE1からのPRACHが送信される。PRACHは、共通PRACH構成を用いた衝突(contention)ベースのPRACHである。本方法は、共通RACH構成を用いたPRACHに限らず、個別RACH構成が割当てられたPRACHの場合にも適用できる。

ESセルは、個別RACH構成を割当てたUEに、ウエイトタイマ値を設定することによって、さらに優先順位をつけて、PRACHを送信させることが可能となる。これによって、多数のUEが個別RACH構成を割当てられた場合に生じる、予め定める期間にRAR受信をできない場合のPRACHの再送を低減することが可能となる。

ESセルによるウエイトタイマ値の設定によって、各UEのPRACHの送信に時間差を与えることが可能となるので、衝突(contention)ベースのPRACHでも、複数のUEのPRACHが衝突する可能性は低い。したがって、ESセルは、ステップST4305のPRACHを受信できる可能性が高い。

ステップST4305においてPRACHをUE1から受信したESセルは、ステップST4307、ステップST4309、ステップST4407において、UE1との間でRA処理を行う。具体的には、ステップST4307において、ESセルは、UE1に、RARメッセージを通知する。ステップST4309において、UE1は、ESセルに、RA処理のメッセージ3(Msg3)を通知する。ステップST4407において、ESセルは、UE1に、RA処理のメッセージ4(Msg4)を通知する。ステップST4133において、UE1は、RA処理以降のHO処理を行う。

ステップST4406において、UE2は、ウエイトタイマ値に従って、予め定める期間、PRACHの送信を遅らせる。UE2は、UE1よりもウエイトタイマ値が大きく設定されているので、UE1がPRACHを送信するタイミングよりも遅れて、PRACHを送信する。

ステップST4306において、UE2は、ESセルに、PRACHを送信する。UE1の場合と同様に、ESセルは、ステップST4306においてPRACHを受信できる可能性が高い。

ステップST4306においてPRACHをUE2から受信したESセルは、ステップST4308、ステップST4310、ステップST4408において、UE2との間でRA処理を行う。具体的には、ステップST4308において、ESセルは、UE2に、RARメッセージを通知する。ステップST4310において、UE2は、ESセルに、RA処理のメッセージ3(Msg3)を通知する。ステップST4408において、ESセルは、UE2に、RA処理のメッセージ4(Msg4)を通知する。ステップST4138において、UE2は、RA処理以降のHO処理を行う。

以上のようにすることによって、UEの優先順位に応じて、PRACH初送時の送信タイミングを遅らせることが可能となる。オフロードされるUEが多数存在する場合でも、PRACHの送信タイミングを異ならせることができ、さらに、PRACHの送信に優先順位付けがなされることになり、優先順位の高いUEから、可及的速やかにHO処理を行うことが可能となる。したがって、CompセルからESセルにオフロードされるUEにおいて、優先順位の高いUEから、ESセルへのアクセス時の遅延を少なくすることが可能となる。これによって、ユーザエクスペリエンスの劣化を低減させることができる。

本変形例で開示したウエイトタイマ値を、PRACHの初送だけでなく、RA処理失敗時のPRACHの再送に用いてもよい。PRACHの再送時も、UEのPRACHの送信タイミングを異ならせることができ、さらにPRACHの再送に優先順位付けがなされることになり、優先順位の高いUEから、可及的速やかにHO処理を行うことが可能となる。

実施の形態3 変形例4. 実施の形態3の変形例2では、UEの優先順位に応じて、PRACHの再送時のバックオフタイムを設定し、実施の形態3の変形例3では、UEの優先順位に応じて、PRACHの初送時のウエイトタイムを設定することによって、オフロード先へのアクセスを優先させる方法を開示した。本変形例では、オフロード先へのアクセスを優先させる他の方法を開示する。

ESセルは、HO要求メッセージを受信したUEの優先順位を決定するための指標に応じて、UEの優先順位を決定し、UEの優先順位に応じて、ESセルへのRRCメッセージを送信するためのウエイトタイムを設定する。このウエイトタイムを、「RRCウエイトタイム」という場合がある。

RRCウエイトタイムを設定されたUEは、RRCウエイトタイムの設定値に従って、ESセルへのRRCメッセージの送信を、予め定める期間遅らせる。UEの優先順位ではなく、QoS要求メッセージあるいは遅延時間要求値に応じて、RRCウエイトタイムを設定してもよい。優先順位に応じて設定するよりも、UEの許容遅延時間との関係をつけやすく、制御が容易になる。RRCウエイトタイムとしては、0、すなわち遅延無しを設定してもよい。

RRCウエイトタイムは、例えば、UEがRLFあるいはHOFを生じた場合の、RRC接続再設立要求メッセージに用いてもよい。

オフロード先のセルに通知するRRCメッセージに対して、RRCウエイトタイムを適宜用いることによって、UEの優先順位に応じて、RRCメッセージの送信タイミングを異ならせることができる。さらに、RRCメッセージの送信に優先順位付けがなされることになり、優先順位の高いUEから、可及的速やかにオフロード先セルと接続することが可能となる。

UEがRRCウエイトタイムを認識する方法は、実施の形態3の変形例3で開示したウエイトタイムを用いる方法と同様に行えばよい。

本変形例のようにすることによって、UEの優先順位に応じて、オフロード先セルへのRRCメッセージの送信タイミングを遅らせることが可能となる。オフロードされるUEが多数存在する場合でも、RRCメッセージの送信タイミングを異ならせることができる。さらに、RRCメッセージの送信に優先順位付けがなされることになり、優先順位の高いUEから、可及的速やかにオフロード先セルとRRC接続を行うための処理を行うことが可能となる。

したがって、CompセルからESセルにオフロードされるUEにおいて、優先順位の高いUEから、ESセルへのアクセス時の遅延を少なくすることが可能となる。これによって、ユーザエクスペリエンスの劣化を低減させることができる。

実施の形態3および実施の形態3の変形例1〜変形例3では、ESセルのスイッチオンとCompセルのカバレッジ減の遷移時について説明した。これらで開示した方法は、ESセルのスイッチオフとCompセルのカバレッジ増の遷移時に、ESセルからCompセルへオフロードされるUEに対しても、適用可能である。ESセルのスイッチオフ遷移時については、ESセルの負荷を低減するためにスイッチオフを行うことになるので、ESセルのスイッチオンの場合に比べて、UEの数は少数と考えられる。しかし、少数であるが、CompセルへのUEのアクセスが衝突するような場合が生じる可能性がある。このような場合に、実施の形態3、実施の形態3の変形例1〜変形例3と同様の効果を得ることができる。

実施の形態4. 実施の形態1において送信電力を徐々に増減させるESセルまたはCompセルにおけるRS(Reference Signal)送信電力の通知方法と、ESセルまたはCompセルにアクセスするUEの上り送信電力の決定方法について以下に開示する。

複数の段階を経て送信電力を増減させるセルは、増減完了後のRS送信電力ではなく、増減の都度、UEに、RS送信電力を通知する。

UEは、通知された各段階のRS送信電力を用いて、各段階のパスロスを評価する。UEは、評価した各段階のパスロスを用いて、各段階の送信電力を決定する。

このようにすることによって、増減の都度、RS送信電力の通知を更新することになるので、UE側におけるパスロスの評価に誤差が生じる時間帯を少なくすることができる。したがって、UEは、各段階において誤差の少ない適切な送信電力を決定することが可能となる。

送信電力を徐々に増減させるESセルまたはCompセルにおける各段階の送信電力の設定タイミングと、該セルにアクセスするUEが通知される各段階のRS送信電力の受信タイミングとが異なる場合が生じる。このことを考慮した方法として、以下の(1),(2)の2つを開示する。

(1)UEによる与干渉低減を重視する場合 図23および図24は、本発明の実施の形態4におけるUEの送信電力を決定する手順の一例を示す図である。図23(a)および図24(b)の縦軸は、eNBのRS送信電力RS−TP(eNB)を示し、図23(b)および図24(a)の縦軸は、eNBからのRS通知電力RS−RP(eNB)を示し、図23(c)および図24(c)の縦軸は、UEで算出するパスロスPL(UE)を示し、図23(d)および図24(d)の縦軸は、UEの送信電力TP(UE)を示す。図23(a)〜図23(d)および図24(a)〜図24(d)の横軸は、時間を示す。図23と図24とを用いて、UEによる与干渉低減を重視する場合のUEの送信電力を決定する手順の一例を説明する。

複数の段階を経て送信電力を増減させるセルは、増減完了後のRS送信電力ではなく、増減の都度、UEに、RS送信電力を通知する。セルが送信電力を増すときは、送信電力を上げてから、UEにRS送信電力を通知する。セルが送信電力を減らすときは、UEにRS送信電力を通知してから、送信電力を下げる。

RS送信電力(RS−TP(eNB))の変更可能周期を、セルからUEへのRS送信電力の通知(RS通知電力RS−RP(eNB))可能な周期以上とすればよい。これによって、RS送信電力の増減の都度、UEにRS送信電力を通知することが可能となる。

RS送信電力の通知は、非特許文献10によれば、RRCシグナルによって通知される。具体的には、「referenceSignalPower」とのパラメータを用いて通知される。「referenceSignalPower」は、「pdsch-ConfigCommon」メッセージにマッピングされる。「pdsch-ConfigCommon」は、「radioResourceConfiguCommon」メッセージにマッピングされる。「radioResourceConfiguCommon」は、システム情報のSIB2にマッピングされることによって、傘下の全てのUEに通知される。システム情報は、システム情報の変更周期である「modification period」で変更される。

したがって、本実施の形態では、RS送信電力(RS−TP(eNB))の変更可能周期を「modification period」以上とすることを開示する。これによって、RS送信電力(RS−TP(eNB))の変更可能周期が、セルからUEへのRS送信電力の通知(RS通知電力RS−RP(eNB))可能な周期以上となり、RS送信電力の増減の都度、UEにRS送信電力を通知することが可能となる。

このような方法によって、増減の都度、RS送信電力の通知を更新するので、UE側におけるパスロスの評価に誤差を生じる時間帯を少なくすることができる。また、UEがパスロスを過大に推定する可能性が減るので、UEが、eNB側において必要な電力以上の電力を送信する確率が減り、送信電力を徐々に増減させているときのUEによる与干渉を抑制することができる。

(2)UEの通信品質を重視する場合 図25および図26は、本発明の実施の形態4におけるUEの送信電力を決定する手順の一例を示す図である。図25(a)および図26(b)の縦軸は、eNBからのRS通知電力RS−RP(eNB)を示し、図25(b)および図26(a)の縦軸は、eNBのRS送信電力RS−TP(eNB)を示し、図25(c)および図26(c)の縦軸は、UEで算出するパスロスPL(UE)を示し、図25(d)および図26(d)の縦軸は、UEの送信電力TP(UE)を示す。図25(a)〜図25(d)および図26(a)〜図26(d)の横軸は、時間を示す。図25と図26とを用いて、UEの通信品質を重視する場合のUEの送信電力を決定する手順の一例を説明する。

複数の段階を経て送信電力を増減させるセルは、増減完了後のRS送信電力ではなく、増減の都度、UEに、RS送信電力を通知する。セルが送信電力を増すときは、UEにRS送信電力を通知してから、送信電力を上げる。セルが送信電力を減らすときは、送信電力を下げてから、UEにRS送信電力を通知する。

このような方法によって、増減の都度、RS送信電力の通知を更新するので、UE側におけるパスロスの評価に誤差を生じる時間帯を少なくできる。また、UEがパスロスを過少に推定する可能性が減るので、UEの送信電力がeNB側において不足する確率が減り、送信電力を徐々に増減させているときのUEの通信品質を向上することができる。

実施の形態5. ESセルがスイッチオフにしている場合に、CompセルをサービングセルとするESセルのアンテナの近傍のUEは、大きな上り送信電力で送信している。ESセルがスイッチオンを開始し、スイッチオン状態に遷移している場合、ESセルのカバレッジ内の、CompセルをサービングセルとするUEは、ESセルにアクセスを行う。CompセルをサービングセルとするUEが複数存在する場合、それぞれのUEがESセルにアクセスするタイミングは異なってしまう。この場合、ESセルにアクセスを行うUEの上りリンクに対して、CompセルをサービングセルとするESセルのアンテナの近傍のUEの上りリンクが干渉してしまう場合がある。したがって、ESセルにアクセスを行っているUEあるいはESセルにアクセスしようとしているUEの処理が正常に行うことができなくなるという問題がある。本実施の形態では、この問題を解決する方法を開示する。

CompセルからESセルにオフロードされるUEが、ESセルにアクセスするときの上り送信電力は固定とする。上り送信電力の固定値の決定主体およびUEへの通知方法の具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。 (1)Compセルが設定し、予めCompセルからUEに通知する。 (2)ESセルが設定し、予めCompセルを介してUEに通知する。 (3)O&Mが設定し、予めCompセルを介してUEに通知する。

実施の形態4では、複数の段階を経て送信電力を増減させるセルが、増減完了後のRS送信電力ではなく、増減の都度、UEに、RS送信電力を通知することを開示した。

この場合、UEがESセルにアクセスを開始する場合の送信電力は、UEがESセルからのパスロスを導出し、このパスロスを用いて送信電力を決定することによって求められる。このため、ESセルの近傍のUEは送信電力が小さい。したがって、Compセルをサービングセルとしている、ESセルのアンテナの近傍のUEは、大きな上り送信電力で送信しているので、ESセルにアクセスするUEに干渉を与えてしまう。

UEがESセルにアクセスするときの上り送信電力を固定値にすることによって、ESセルの近傍のUEの送信電力が小さくなることを回避することができる。これによって、CompセルをサービングセルとするUEからの干渉の影響を低減することが可能となる。

CompセルからUEに前記固定値を通知する方法を開示する。前記固定値は、個別シグナリングを用いて通知する。例えば、前記固定値は、CompセルがESセルにUEをオフロードさせるために通知するHO指示(HO command)メッセージとともに、あるいはHO指示(HO command)メッセージに含めて通知してもよい。Compセルは、UEをESセルにHOさせることを認識している。したがって、ESセルへのアクセスに用いるための固定値を設定することは可能である。

ESセルからUEに、Compセルを介して前記固定値を通知する方法を開示する。ESセルからCompセルへは、X2シグナリングを用いて前記固定値を通知する。例えば、前記固定値は、UEがオフロードのときに、ESセルがCompセルへ通知するHO要求応答メッセージとともに、あるいはHO要求応答メッセージに含めて通知してもよい。前記固定値を受信したCompセルは、前記固定値を、CompセルがESセルにUEをオフロードさせるために通知するHO指示(HO command)メッセージとともに、あるいはHO指示(HO command)メッセージに含めてUEに通知してもよい。ESセルは、UEが自セルにHOしてくることを認識している。したがって、ESセルへのアクセスに用いるための固定値を設定することは可能である。

O&Mから、Compセルを介してUEに前記固定値を通知する方法を開示する。O&Mから、MMEを介してCompセルに前記固定値を通知する。MMEからCompセルへの通知には、S1シグナリングを用いるとよい。O&Mは、Compセルのセットアップのとき、あるいはCompセル構成のアップデートのときに、Compセルに前記固定値を通知してもよい。あるいは、CompセルがESセルのカバレッジの補償終了を決定したとき、あるいはカバレッジの補償終了開始指示を受信したときに、O&Mから前記固定値を取得するようにしてもよい。Compセルは、ESセルにHOさせるUEに対して、前記固定値を設定する。前記固定値を受信したCompセルは、前記固定値を、CompセルがESセルにUEをオフロードさせるために通知するHO指示(HO command)メッセージとともに、あるいはHO指示(HO command)メッセージに含めてUEに通知してもよい。

UEがESセルにアクセスするための上り送信電力として前記固定値を用いる期間の具体例について、以下の(1)〜(4)の4つを開示する。

(1)CompセルがESセルのカバレッジの補償を終了するまで。換言すると、Compセルが通常状態に戻るまで。

Compセルは、ESセルを介してUEに、通常状態に戻ったことを通知するとよい。CompセルからESセルへの通知には、X2シグナリングを用いるとよい。セルがカバレッジの補償状態か通常状態かを示す状態情報を、X2メッセージに設ける。Compセルは、前記状態情報をX2メッセージに設定し、ESセルに通知するとよい。ESセルは、UEに、受信したCompセルの状態情報を通知する。

Compセルがカバレッジの補償を終了して通常状態である場合、ESセルのアンテナの近傍でCompセルに接続しているUEは存在しない。したがって、Compセルの傘下のUEからの上り干渉は無くなる。

(2)予め定める期間が経過するまで。予め定める期間は、タイマとして設定されてもよい。

UEは、固定値を受信した後、予め定める期間が経過するまで、上り送信電力を固定値に設定して送信する。予め定める期間が経過した後は、通常の上り送信電力の決定方法によって導出した上り送信電力で送信する。

予め定める期間は、固定値とともにUEに通知されるようにするとよい。予め定める期間の決定主体およびUEへの通知方法は、上り送信電力の固定値の決定主体およびUEへの通知方法の具体例で開示した方法を適用することができる。

予め定める期間の経過によって、Compセルが通常状態への移行を進ませることで、ESセルのアンテナの近傍でCompセルに接続しているUEが存在しなくなる。したがって、Compセルの傘下のUEからの上り干渉は無くなる。この方法では、シグナリング量を削減することができる。

(3)UEのメジャメントによるCompセルの受信電力あるいは受信品質が予め定める閾値より小さくなるまで。

UEは、自身がメジャメントを決定してメジャメントを行う。予め定める閾値の決定主体およびUEへの通知方法は、前記上り送信電力の固定値の決定主体およびUEへの通知方法の具体例で開示した方法を適用することができる。

対象となるUEは、Compセルがカバレッジの補償を終了して通常状態に戻ったかどうか、あるいはCompセルからの干渉が問題にならないかどうかを直接測定して認識することが可能となる。Compセルのカバレッジの補償終了までの時間に、ばらつきがある場合における、UEのESセルへのアクセスの成功確率を向上させることが可能となる。

(4)ESセルが、UEに、通常の上り送信電力の設定に戻すことを通知するまで。

ESセルが、UEが通常の上り送信電力の設定に戻すことを判断する方法を開示する。ESセルは、UEに、Compセルを設定したメジャメントを通知して、イベント発生時に報告させる。ESセルは、メジャメント報告を用いて、UEが通常の上り送信電力の設定に戻すことを判断する。イベント発生のための閾値は、ESセルが決定し、メジャメントのためのメッセージでUEに通知するとよい。UEが直接測定した結果を、ESセルが利用することができる。これによって、前記具体例(3)と同様の効果を得ることができる。

ESセルが、UEが通常の上り送信電力の設定に戻すことを判断する他の方法を開示する。ESセルが、上り干渉を測定して、上り干渉が予め定める値よりも小さくなった場合、UEが通常の上り送信電力の設定に戻すことを判断する。これによって、UEの測定を必要とせず、ESセルが、Compセルがカバレッジの補償を終了して通常状態に戻ったかどうか、あるいはCompセルからの干渉が問題にならないかどうかを直接測定して、認識することが可能となる。

本実施の形態で開示した方法を用いることによって、CompセルをサービングセルとするESセルのアンテナの近傍のUEが存在したとしても、ESセルにアクセスを行うUEへの干渉の影響を低減することが可能となる。ESセルにアクセスを行っているUEあるいはESセルにアクセスしようとしているUEの処理を正常に実行することが可能となる。これによって、RRC接続を継続させることが可能となり、ユーザエクスペリエンスの劣化を低減させることができる。

以上に述べた方法は、UEがESセルに対してRRC接続再設立を行う場合にも適用することができ、前記具体例(4)と同様の効果を得ることができる。

また、RRC_Idle状態のUEがESセルに接続する場合にも適用することができる。これによって、ES動作時におけるRRC_Idle状態のUEのセルとの接続確立性能を劣化させることなく、ES動作を行うことが可能となる。

実施の形態6. 実施の形態6で解決する課題について、以下に説明する。実施の形態1において、図8を用いて説明したように、補償eNB配置(compensating eNB(s) deployment)シナリオでは、いずれのセルのカバレッジにも属さないカバレッジホール(coverage holes)が発生するおそれがある。

カバレッジホールが発生すると、以下のような問題が生じる。ESセルが動作している場合には、ESセルにおいてサービスを受けることが可能であったUEを考える。UEが移動していないにも関わらず、ESセルがスイッチをオフにすることによって、UEが存在する場所が、いずれのセルのカバレッジにも属さなくなる。つまり、UEが、サービス可能なセルに存在しないこととなり、UEはサービスを受けることが不可能となる。通信システムにおいては、カバレッジホールを早期に発見し、カバレッジホールが発生しないネットワークの構築を進める必要がある。

3GPPでは、測定記録(Logged Measurement)について議論されている(非特許文献12参照)。測定記録では、待受け状態のUEが、下り参照信号の信号強度の測定結果を記録する。測定記録では、周期的に測定結果を記録する。測定記録の周期は、設定可能である。測定記録エリアは、設定可能である。E−UTRANからUEに通知される測定記録設定(Logged Measurement configuration)メッセージによって、測定記録エリアが設定されると、その測定記録エリアに存在するUEは、測定記録を行う。

測定記録エリアとは、(1)32種類までのGCI(Global Cell Identity)、(2)8種類までのTA(Tracking Areas)、(3)8種類までのLA(Location Areas)および(4)8種類までのRA(Routing Areas)である。

また、UEは、UE内の最小運転テスト(Minimization of Drive Tests:MDT)用のメモリに保存される情報量が、メモリの最大記憶容量に達するまで、測定記録設定メッセージに従って、測定記録を継続する。測定記録は、測定結果、タイムスタンプ、位置情報(location information)によって構成される。

記録される近隣のセル、すなわち周辺セルの数の上限の数は規定されている。具体的には、(1)同周波数周辺セルの固定上限は、「6」、(2)異周波数周辺セルの固定上限は、「3」、(3)GERAN(GSM(登録商標)/EDGE Radio Access Network)周辺セルの固定上限は、「3」、(4)UTRAN(non-serving)周辺セルの固定上限は、「3」、(5)E−UTRAN(non-serving)周辺セルの固定上限は、「3」、および(6)CDMA2000(non-serving)周辺セルの固定上限は、「3」である。

測定記録は、UE内の最小運転テスト用のメモリに保存される情報量が、メモリの最大記憶容量に達するまでの期間のみ実行される。したがって、何の工夫もなく測定記録を実行すれば、カバレッジホールが存在する可能性のあるエリアにUEが到達したときに、メモリの最大記憶容量に達しており、測定記録が実行されないことも考えられる。その場合、E−UTRANは、カバレッジホール周辺の測定記録を取得することができないという問題がある。

実施の形態6における前述の問題の解決策を以下に示す。E−UTRANは、UEに、測定記録エリアとしてエナジーセービングエリア(Energy Saving Area)を設定する。測定記録エリアを受信したUEは、設定された測定記録エリアにおける測定記録を実行する。つまり、エナジーセービングエリアにおける測定記録を実行する。エナジーセービングエリアにおける測定記録を取得したE−UTRANは、カバレッジホールの有無を判断し、カバレッジホールが有る場合は、カバレッジホールを無くすように調整する。

エナジーセービングエリアの具体例として、以下の(1)〜(4)の4つを開示する。 (1)ESセル、Compセルが属するTA、ESセル、Compセルが属するLA、ESセル、Compセルが属するRA。 (2)エナジーセービング(Energy Saving)セット(セル)リスト。ESセルのPCI、あるいはCGIのリスト。

(3)補償(Compensation)セット(セル)リスト。CompセルのPCI、あるいはCGIのリスト。ESセルがスイッチオフ状態に移行し、Compセルが該ESセルのカバレッジを補償する場合に、カバレッジホールが発生し易いと考えられる。したがって、ESセルがスイッチオフ状態に移行し、該ESセルのカバレッジを補償するCompセルのリストとしてもよい。また、Comp前とComp後でPCIが変更される場合、Comp後のPCIのリストとしてもよい。 (4)前記(1)〜(3)の組合せ。

例えば、測定記録エリアとして、エナジーセービングエリアが設定された場合を考える。エナジーセービングエリアとして、エナジーセービング(Energy Saving)セットリストと補償(Compensation)セットリストとの組合せが設定された場合のUEの動作について、図27を用いて説明する。

図27は、エナジーセービングエリアとして、エナジーセービング(Energy Saving)セットリストと補償(Compensation)セットリストとの組合せが設定された場合のUEの動作を説明するための図である。

図27では、通常のマクロセルのカバレッジを、参照符号「7201」、「7202」で示している。また、ESセルのカバレッジを、参照符号「7203」、「7204」、「7205」、「7206」、「7208」、「7209」、「7210」、「7211」、「7213」、「7214」、「7215」、「7216」、「7217」、「7219」、「7220」で示している。また、Compセルのカバレッジを、参照符号「7207」、「7212」、「7218」で示している。図27では、参照符号「7221」で示す破線部分が、概ねエナジーセービングエリアとなる。

UEが、まず、参照符号「7201」で示すカバレッジを有するマクロセルをサービングセルとしているとする。このマクロセルは、測定記録エリアに含まれない。このマクロセルは、エナジーセービングエリアに属さない。このマクロセルのPCIなどは、測定記録エリアとして設定されたPCIと一致しない。したがって、UEは、測定記録を実行しない。

次に、UEが、参照符号「7203」で示すカバレッジを有するESセルにセル再選択した場合を考える。このESセルは、測定記録エリアに含まれる。このESセルは、エナジーセービングエリアに属する。このESセルのPCIなどは、測定記録エリアとして設定されたPCIと一致する。したがって、UEは、測定記録を実行する。換言すれば、UEは、測定記録を開始する。

次に、UEが、参照符号「7202」で示すカバレッジを有するマクロセルにセル再選択した場合を考える。このマクロセルは、測定記録エリアに含まれない。このマクロセルは、エナジーセービングエリアに属さない。このマクロセルのPCIなどは、測定記録エリアとして設定されたPCIと一致しない。したがって、UEは、測定記録を実行しない。換言すれば、UEは、測定記録を停止する。

カバレッジホールの有無の判断の具体例として、以下を開示する。測定記録中のあるタイムスタンプ、あるいはある測定場所において、予め定める閾値以下の参照信号強度のセルしか存在しない場合、この測定場所をカバレッジホールと判断する。測定記録中のあるタイムスタンプ、あるいはある測定場所において、サービングセルおよび周辺セルのいずれも、参照信号強度が予め定める閾値以下であった場合、この測定場所をカバレッジホールと判断するとしてもよい。

カバレッジホールの有無判断の主体の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。 (1)eNB(セル)。UEから測定記録を受信したeNB。 (2)O&M(Operation and Maintenance)。UEから測定記録を受信したeNBは、O&Mに測定記録を送信する。

カバレッジホールを無くすように調整する方法の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。 (1)カバレッジホールと判断された測定場所をカバーするはずのセル(Compセル)の送信電力を上げる。 (2)カバレッジホールと判断された測定場所に最も近いセルの送信電力を上げる。

前記方法の具体例(1),(2)ともに、カバレッジホールが有ると判断して、直ぐに送信電力を上げてもよいし、次にESセルがスイッチオフして、CompセルがESセルのカバレッジを補償するときに、送信電力を上げてもよい。

図28は、本発明の実施の形態6の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。

ステップST7301において、UEは、MDT測定設定(MDT Measurement configuration)中の測定記録エリアとして、エナジーセービングエリアを受信する。

ステップST7302において、UEは、測定記録エリアに入ったか否かを判断する。つまり、UEは、エナジーセービングエリアに入ったか否かを判断する。エナジーセービングエリアに入ったと判断された場合は、ステップST7303に移行し、エナジーセービングエリアに入っていないと判断された場合は、ステップST7306に移行する。

エナジーセービングエリアに入ったか否かは、例えば、サービングセルのPCIが、測定記録エリアとして設定されたPCIと一致するか否かによって判断する。あるいは、TAが、測定記録エリアとして設定されたTAと一致するか否かによって判断する。サービングセルのPCIが、測定記録エリアとして設定されたPCIと一致する場合は、測定記録エリアに入ったと判断し、サービングセルのPCIが、測定記録エリアとして設定されたPCIと一致しない場合は、測定記録エリアに入っていないと判断する。

ステップST7303において、UEは、測定記録を実行する。UEは、例えば、タイムスタンプ、位置情報、サービングセルと周辺セルとの下り参照信号強度の測定結果を記録する。

ステップST7304において、UEは、測定記録エリアから出たか否かを判断する。つまり、UEは、エナジーセービングエリアから出たか否かを判断する。エナジーセービングエリアから出たと判断された場合は、ステップST7305に移行し、エナジーセービングエリアから出ていないと判断された場合は、ステップST7303に戻る。エナジーセービングエリアから出たか否かは、例えば、サービングセルのPCIが、測定記録エリアとして設定されたPCIと一致するか否かによって判断する。サービングセルのPCIが、測定記録エリアとして設定されたPCIと一致する場合は、測定記録エリアから出ていないと判断し、サービングセルのPCIが、測定記録エリアとして設定されたPCIと一致しない場合は、測定記録エリアから出たと判断する。

ステップST7305において、UEは、測定記録を停止する。本来は、ステップST7305の処理を終了した後は、ステップST7302に戻り、前述の処理を繰り返すが、理解を容易にするために、図示および説明を省略する。

ステップST7306において、UEは、サービングセルから送信される測定記録報告要求(Logged Measurement report request)メッセージを受信する。サービングセルの具体例としては、Compセルとする。測定記録報告要求メッセージは、前述のタイミングで実行されなくてもよく、いつ実行されてもよい。

ステップST7307において、UEは、測定記録報告要求メッセージの送信元であるCompセルに、測定記録報告(Logged Measurement report)メッセージを通知する。

ステップST7308において、Compセルは、UEの測定記録の中でカバレッジホールが有るか否かを判断する。例えば、自セルがカバーするはずの測定場所(測定位置)でカバレッジホールが有るか否かを判断する。自セルがカバーするはずの測定場所でカバレッジホールが有ると判断された場合は、ステップST7309に移行し、自セルがカバーするはずの測定場所でカバレッジホールが無いと判断された場合は、ステップST7311に移行する。

ステップST7309において、Compセルは、送信電力を上げ、カバレッジホールを無くすように調整する。

ステップST7310において、Compセルは、O&Mに、ステップST7309において送信電力を上げたことを通知する。

ステップST7311において、Compセルは、O&Mに、ステップST7307で受信した測定記録報告メッセージを通知する。Compセルは、測定記録報告メッセージと併せて、ステップST7308で処理したUEの測定記録の中でカバレッジホールの有無を判断結果として通知してもよい。

ステップST7312において、O&Mは、UEの測定記録の中でカバレッジホールが有るか否かを判断する。カバレッジホールが有ると判断された場合は、ステップST7313に移行し、カバレッジホールが無いと判断された場合は、処理を終了する。

ステップST7313において、O&Mは、カバレッジホールの測定場所をカバーするはずのセルに、送信電力を上げることを指示する。

図29は、本発明の実施の形態6の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。図29に示すシーケンスは、図28に示すシーケンスと類似しているので、図28に対応するステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。

ステップST7401において、Compセルは、O&Mに、ステップST7307で受信した測定記録報告メッセージを通知する。

ステップST7402において、O&Mは、UEの測定記録の中でカバレッジホールが有るか否かを判断する。カバレッジホールが有ると判断された場合は、ステップST7403に移行し、カバレッジホールが無いと判断された場合は、処理を終了する。

ステップST7403において、O&Mは、カバレッジホールの測定場所をカバーするはずのセルに、送信電力を上げることを指示する。

実施の形態6によって、以下の効果を得ることができる。UE内の最小運転テスト用のメモリが最大記憶容量に達し、カバレッジホールが存在する可能性のあるエリアで、測定記録が実行されないという不都合を解消することができる。カバレッジホールが存在する可能性のあるエリアで測定記録が実行されるので、測定記録から、カバレッジホールが存在するか否かを判断することができる。これによって、カバレッジホールを早期に発見し、カバレッジホールが発生しないネットワークの構築が可能となる。

実施の形態6 変形例1. 実施の形態6の変形例1で解決する課題について、以下に説明する。カバレッジホールの部分は、比較的小さいことが考えられる。したがって、従来どおりの1種類での測定周期では、以下の課題が発生する。

カバレッジホールの部分に合わせた比較的短い測定周期を設定した場合、MDT用のメモリに保存される情報量が、短時間でメモリの最大記憶容量に達することが考えられる。したがって、ネットワーク側が、予定するUEの測定記録(Logged Measurement)を取得することが不可能となるおそれがある。ネットワーク側が、UEの測定記録を通信システムの構築に用いる場合、効率的な通信システムの構築が不可能となるという課題が発生する。

他方、カバレッジホール以外の部分に合わせた測定周期を設定した場合、カバレッジホールの部分で測定が実行されず、MDTを用いてカバレッジホールを発見できないという課題が発生する。

実施の形態6の変形例1における解決策を以下に示す。本変形例では、前述の実施の形態6の解決策のうち、本変形例の特徴部分のみを説明する。測定記録において、複数の測定記録エリアを設け、測定記録エリア毎の測定周期とする。

複数の測定記録エリアの具体例を、以下に開示する。複数の測定記録エリアのうち、1つの測定記録エリアをエナジーセービングエリアとする。エナジーセービングエリアの具体例は、実施の形態6と同様であるので、説明を省略する。

また、複数の測定記録エリアを設ける代わりに、測定記録エリアで指定したエリアと、それ以外のエリアとしてもよい。その場合、測定記録エリアで指定したエリアとしては、エナジーセービングエリアとすればよい。

測定記録エリア毎の測定周期の具体例を、以下に開示する。エナジーセービングエリア用周期と、それ以外のエリア用周期とを設ける。エナジーセービングエリア用周期は、それ以外のエリア用周期よりも短く設定すればよい。

図30は、本発明の実施の形態6の変形例1の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。図30に示すシーケンスは、図28に示すシーケンスと類似しているので、図28に対応するステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。また、図30では、本変形例の特徴部分のみを示すために、図28のステップST7308以降の図示を省略しているが、本変形例においても、図28のステップST7308以降の処理が同様に実行される。

ステップST7501において、UEは、MDT測定設定(MDT Measurement configuration)中の測定記録エリアとして、測定記録エリア1と、測定記録エリア2とを受信する。測定記録エリア2としては、エナジーセービングエリアを受信する。

ステップST7502において、UEは、MDT測定設定中の測定周期として、測定記録エリア1用周期と、測定記録エリア2用周期とを受信する。測定記録エリア2用周期としては、エナジーセービングエリア用周期として受信してもよい。

ステップST7503において、UEは、測定記録エリア2に入ったか否かを判断する。つまり、UEは、エナジーセービングエリアに入ったか否かを判断する。エナジーセービングエリアに入ったと判断された場合は、ステップST7504に移行し、エナジーセービングエリアに入っていないと判断された場合は、ステップST7507に移行する。エナジーセービングエリアに入ったか否かは、サービングセルのPCIが、測定記録エリア2として設定されたPCIと一致するか否かによって判断する。サービングセルのPCIが、測定記録エリア2として設定されたPCIと一致する場合は、測定記録エリア2に入ったと判断し、サービングセルのPCIが、測定記録エリア2として設定されたPCIと一致しない場合は、測定記録エリア2に入っていないと判断する。

ステップST7504において、UEは、測定記録エリア2用周期を適用する。ステップST7505において、UEは、測定記録を実行する。UEは、測定記録エリア2用周期において、例えば、タイムスタンプ、位置情報、サービングセルと周辺セルとの下り参照信号強度の測定結果を記録する。

ステップST7506において、UEは、測定記録エリア2から出たか否かを判断する。つまり、UEは、エナジーセービングエリアから出たか否かを判断する。エナジーセービングエリアから出たと判断された場合は、ステップST7507に移行し、エナジーセービングエリアから出ていないと判断された場合は、ステップST7505に戻る。エナジーセービングエリアから出たか否かは、サービングセルのPCIが、測定記録エリア2として設定されたPCIと一致するか否かによって判断する。サービングセルのPCIが、測定記録エリア2として設定されたPCIと一致する場合は、測定記録エリア2から出ていないと判断し、サービングセルのPCIが、測定記録エリア2として設定されたPCIと一致しない場合は、測定記録エリア2から出たと判断する。

ステップST7507において、UEは、測定記録エリア1用周期を適用する。ステップST7508において、UEは、測定記録を実行する。UEは、測定記録エリア1用周期において、例えば、タイムスタンプ、位置情報、サービングセルと周辺セルとの下り参照信号強度の測定結果を記録する。本来は、ステップST7508の処理を終了した後は、ステップST7503に戻り、前述の処理を繰り返すが、理解を容易にするために、図示および説明を省略する。

実施の形態6の変形例1によって、以下の効果を得ることができる。測定周期を複数設けることによって、短い測定周期で測定記録が必要と考えられるエナジーセービングエリアでは短い周期で、それ以外のエリアでは通常の周期で測定記録を実行することが可能となる。UE内の最小運転テスト用のメモリが最大記憶容量に達し、カバレッジホールが存在する可能性のあるエリアで測定記録が実行されないという不都合を解消することができる。カバレッジホールが存在する可能性のあるエリアで測定記録が実行されるので、測定記録から、カバレッジホールが存在するか否かを判断することができる。これによって、カバレッジホールを早期に発見し、カバレッジホールが発生しないネットワークの構築が可能となる。

実施の形態6 変形例2. 実施の形態6の変形例2では、実施の形態6の変形例1と同様の課題を解決する。実施の形態6の変形例2における解決策を以下に示す。本変形例では、前述の実施の形態6および実施の形態6の変形例1の解決策のうち、本変形例の特徴部分のみを説明する。UEは、カバレッジホールの有無を判断し、カバレッジホールが有ると判断した場合は、カバレッジホール用の測定周期で測定記録を実行する。

カバレッジホールの有無の判断は、実施の形態6と同様であるので、説明を省略する。ただし、カバレッジホールの有無の判断に用いる閾値は、サービングセルからUEに通知されるものとする。通知方法の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。

(1)サービングセルから、UEに、カバレッジホールの有無の判断に用いる閾値として、測定記録設定によって通知する。

(2)サービングセルからUEにセル再選択開始の受信電力値あるいは測定開始の受信電力値として通知された値を、UEはカバレッジホールの有無の判断に用いる閾値として流用する。本具体例(2)は、通知方法の具体例(1)と比較して、新たなパラメータを通知する必要がなく、無線リソースを有効活用することができるという点で有効である。

カバレッジホール用の測定周期の具体例を、以下に開示する。カバレッジホール用周期は、それ以外のエリア用周期よりも短く設定すればよい。カバレッジホール用周期、およびそれ以外のエリア用周期は、ともに、E−UTRANから設定されるとしてもよい。また、カバレッジホール用周期は、E−UTRANから設定されるのではなく、予め決められていてもよい。

図31は、本発明の実施の形態6の変形例2の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。図31に示すシーケンスは、図28に示すシーケンスと類似しているので、図28に対応するステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。また、図31では、本変形例の特徴部分のみを示すために、図28のステップST7308以降の図示を省略しているが、本変形例においても、図28のステップST7308以降の処理が同様に実行される。

ステップST7601において、UEは、MDT測定設定(MDT Measurement configuration)中の測定周期として、カバレッジホール用周期と、それ以外のエリア用の周期(測定記録エリア1用周期)とを受信する。

ステップST7602において、UEは、測定記録エリア1用周期を適用する。ステップST7603において、UEは、測定記録を実行する。UEは、測定記録エリア1用周期において、例えば、タイムスタンプ、位置情報、サービングセルと周辺セルとの下り参照信号強度の測定結果を記録する。

ステップST7604において、UEは、測定記録の中でカバレッジホールが有るか否かを判断する。カバレッジホールが有ると判断された場合は、ステップST7605に移行し、カバレッジホールが無いと判断された場合は、ステップST7608に移行する。

ステップST7605において、UEは、カバレッジホール用周期を適用する。ステップST7606において、UEは、測定記録を実行する。UEは、カバレッジホール用周期において、例えば、タイムスタンプ、位置情報、サービングセルと周辺セルとの下り参照信号強度の測定結果を記録する。

ステップST7607において、UEは、カバレッジホールから出たか否か判断する。カバレッジホールから出たか否かは、測定記録の中でカバレッジホールが有るか否かによって判断する。カバレッジホールが有る場合は、UEがカバレッジホールを出ていないと判断して、ステップST7606に戻る。カバレッジホールが無い場合は、UEがカバレッジホールを出たと判断して、ステップST7608に移行する。

ステップST7608において、UEは、測定記録エリア1用周期を適用する。ステップST7609において、UEは、測定記録を実行する。UEは、測定記録エリア1用周期において、タイムスタンプ、位置情報、サービングセルと周辺セルとの下り参照信号強度の測定結果を記録する。本来は、ステップST7609の処理を終了した後は、ステップST7604に戻り、前述の処理を繰り返すが、理解を容易にするために、図示および説明を省略する。

実施の形態6の変形例2によって、実施の形態6の変形例1と同様の効果を得ることができる。

実施の形態7. 実施の形態7で解決する課題は、実施の形態6と同じであり、ESセルがスイッチオフすることによって、カバレッジホールが発生するおそれがある。本実施の形態では、ネットワーク側が、カバレッジホールの発生を検出する方法を開示する。

図32および図33は、本発明の実施の形態7の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。図32と図33とは、境界線BL2の位置で、つながっている。図32および図33では、図17に基づいて、ESセルがスイッチオフしたときに、カバレッジホールが生じているか否かを識別する手順を示している。

カバレッジホールが生じているか否かを識別する方法の具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。

(1)ES開始前のセルにおいてアクティブ(Active)状態または待受け(Idle)状態のUEが、ES開始後にデタッチ(Detach)状態になったことを、ネットワーク側が統計的に判断して、カバレッジホールの発生を推定する。

(2)前記方法(1)の統計的な判断材料として、UEからの位置登録要求(TAU)の欠落を追加する。

(3)前記方法(2)のTAUについて、通常のTAU周期よりも短いTAU周期を設定することによって、さらに推定精度を向上させる。ここで、TAUは、「Periodic Tracking Area Update」(3GPP TS24.301 8.2.26.2 T3412 value、または、5.3.5章参照)である。また、通常のTAU周期とは、通常(ノーマル)状態、すなわちスイッチオン状態におけるTAUの周期として、予め定められる周期をいう。

ESセルが存在する地域の周期的TAU(Periodic Tracking Area Update)について、通常のTAU周期よりも短い周期に設定するとしてもよい。

また、基地局において省電力(ES)を実行する地域の周期的TAUについて、通常のTAU周期よりも短い周期に設定するとしてもよい。

また、周期的TAUの周期を2種類用意してもよい。例えば、通常のTAU周期と、省電力(ES)時のTAU周期との2種類を用いてもよい。ここで、省電力(ES)時のTAU周期とは、ESを実行するときのTAUの周期として、予め定められる周期をいう。UEは、ネットワーク側から省電力(ES)実行の通知がある場合には、ES時のTAU周期を用い、ネットワーク側から省電力実行の通知がない場合には、通常のTAU周期を用いるようにすればよい。

図32および図33では、前記カバレッジホールの識別を目的とした、統計情報を得るためのシーケンスを示している。図32および図33では、1つのESセル、2つのCompセル、およびESセルと通信接続中の7つのUEがある場合について示している。

ESセルに対して、UE1〜UE7は、それぞれ、アクティブ状態もしくは待受け状態である。具体的には、ステップST8101において、UE4は、ESセルに対して、アクティブ状態もしくは待受け状態である。ステップST8102において、UE5は、ESセルに対して、アクティブ状態もしくは待受け状態である。

ステップST8103において、UE3は、ESセルに対して、アクティブ状態もしくは待受け状態である。ステップST8104において、UE6は、ESセルに対して、アクティブ状態もしくは待受け状態である。ステップST8105において、UE2は、ESセルに対して、アクティブ状態もしくは待受け状態である。ステップST8106において、UE7は、ESセルに対して、アクティブ状態もしくは待受け状態である。ステップST8107において、UE1は、ESセルに対して、アクティブ状態もしくは待受け状態である。

ステップST8108において、ESセルは、スイッチオフすることを決定する。その後、ESセルは、UE1〜UE7に対して、TAU周期の変更を行い、UE1〜UE7からのTAUの報告周期を短くする。具体的には、ステップST8109において、ESセルは、UE4に、TAU周期の変更を行う。ステップST8110において、ESセルは、UE5に、TAU周期の変更を行う。

ステップST8111において、ESセルは、UE3に、TAU周期の変更を行う。ステップST8112において、ESセルは、UE6に、TAU周期の変更を行う。ステップST8113において、ESセルは、UE2に、TAU周期の変更を行う。ステップST8114において、ESセルは、UE7に、TAU周期の変更を行う。ステップST8115において、ESセルは、UE1に、TAU周期の変更を行う。

UE1〜UE7は、サービングセル(ESセル)を介して、TAUを周期的にMMEに通知する。具体的には、UE4は、ステップST8116において、ESセルを介して、MMEに、TAUを周期的に通知する。UE5は、ステップST8117において、ESセルを介して、MMEに、TAUを周期的に通知する。UE3は、ステップST8118において、ESセルを介して、MMEに、TAUを周期的に通知する。

UE6は、ステップST8119において、ESセルを介して、MMEに、TAUを周期的に通知する。UE2は、ステップST8120において、ESセルを介して、MMEに、TAUを周期的に通知する。UE7は、ステップST8121において、ESセルを介して、MMEに、TAUを周期的に通知する。UE1は、ステップST8122において、ESセルを介して、MMEに、TAUを周期的に通知する。

ステップST8123において、ESセルは、報知情報内の「cellBarred」パラメータを「barred」に変更する。これによって、ESセルは、エナジーセービング状態となる。UE1〜UE7は、ハンドオーバまたはセル再選択によって、それぞれ、Compセル1、または、Compセル2との通信接続状態に移行する。すなわち、UE1〜UE7は、Compセル1、または、Compセル2にサービングセルを変更する。

具体的には、図33のステップST8125において、UE5は、ハンドオーバまたはセル再選択によって、Compセル1との通信接続状態に移行する、すなわちCompセル1にサービングセルを変更する。ステップST8126において、UE4は、ハンドオーバまたはセル再選択によって、Compセル2との通信接続状態に移行する、すなわちCompセル2にサービングセルを変更する。

ステップST8127において、UE3は、ハンドオーバまたはセル再選択によって、Compセル1との通信接続状態に移行する、すなわちCompセル1にサービングセルを変更する。ステップST8128において、UE1は、ハンドオーバまたはセル再選択によって、Compセル2との通信接続状態に移行する、すなわちCompセル2にサービングセルを変更する。

ステップST8129において、UE7は、ハンドオーバまたはセル再選択によって、Compセル2との通信接続状態に移行する、すなわちCompセル2にサービングセルを変更する。ステップST8130において、UE6は、ハンドオーバまたはセル再選択によって、Compセル2との通信接続状態に移行する、すなわちCompセル2にサービングセルを変更する。ステップST8131において、UE2は、ハンドオーバまたはセル再選択によって、Compセル1との通信接続状態に移行する、すなわちCompセル1にサービングセルを変更する。

ここで、ステップST8132およびステップST8133において、UE2およびUE6が、デタッチ状態または在圏しない状態となる。

また、ステップST8134において、UE4は、Compセル2を介してMMEに、TAUを通知する。ステップST8135において、UE3は、Compセル1を介してMMEに、TAUを通知する。ステップST8136において、UE1は、Compセル2を介してMMEに、TAUを通知する。ステップST8137において、UE5は、Compセル1を介してMMEに、TAUを通知する。ステップST8138において、UE7は、Compセル2を介してMMEに、TAUを通知する。

このように、ステップST8134〜ステップST8138において、TAUが、UE1、UE3、UE4、UE5、UE7から、Compセル1またはCompセル2を介してMMEに通知されるが、UE2およびUE6から、Compセル1またはCompセル2を介してMMEにはTAUが通知されていない。これによって、UE2およびUE6の位置は、カバレッジホールが生じていると推定する。

TAUは、UEからの送信周期毎に、UE2またはUE6から検出することができることもあるが、検出できないこともある。したがって、どのセルにおいても、TAUを検出できない割合が高い場合には、カバレッジホールが生じていると判断することができる。この位置登録要求(TAU)の周期が短いほど、TAUを検出できない回数と、TAU送信周期の回数との合計を短い時間で高くすることができるので、TAUを検出できない割合の精度を向上することができる。すなわち、カバレッジホールの識別の精度を高めることができる。

サービングセルにのみTAUを送信する場合、他のCompセルにTAUを送信している場合があり、その場合、カバレッジホールが生じているかどうかわからない場合がある。

そこで、MME、あるいは、OAMなどのO&Mなどの集中制御(管理)ノードにおいて、カバレッジホールの発生の判断を実行することもできる。

MMEは、TAUがES前後のどちらかであることを認識する必要があるので、サービングセル(ESセル)が「barred」に変更直後、「Energy Saving通知メッセージ」(S1シグナリング)をMMEに通知する。

これによって、MMEは、TAUがES前後のどちらかであることを認識できるので、サービングセルの変更時に、TAU周期が変更されることがあっても、そのことを認識することができる。したがって、カバレッジホールが生じているかを正確に判断することができる。

実施の形態8. 3GPPでは、ドーマント状態のESセルがディスカバリーシグナル(Discovery Signal:DS)を送信することが検討されている(非特許文献15参照)。UEがDSを受信することによって、該DSを送信するセルとの同期、および該セルからの受信電力あるいは受信品質の測定を可能とすることが提案されている。ドーマント状態のセルがDSを送信することによって、UEは、ドーマント状態のセルを検出することが可能となる。

しかし、通常、RRC_Idle状態のUEがセル再選択処理を行う場合、UEは、セルが送信するCRSを測定して再選択するセルを検出する。したがって、UEは、DSしか送信していないドーマント状態のESセルを検出することができない。また、RRC_Idle状態のUEがドーマント状態のESセルを検出することを可能とするために、CRSだけでなく、DSの測定も行うようにした場合、UEは、常にCRSおよびDSの両方の測定を行わなければならない。したがって、測定時間の長期化および、それに伴うUEの消費電力の増大という問題が発生する。

また、DSのみを送信するドーマント状態では、RRC_Idle状態のUEは、SIBを受信することができない、およびページングを受信することができないなどの問題がある。

したがって、ドーマント状態でDSのみを送信するESセルは、RRC_Idle状態のUEをサポートしないことが提案されている。これは、該ESセルを重層化シナリオなどで他の通常動作のセルと重層化して運用することが必要となる。

他方、重層化していないセル(以下「非重層化セル」という場合がある)は、RRC_Connected状態およびRRC_Idle状態のUEをサポートしなければならないので、常に通常状態で動作させることが必要となり、消費電力が削減されないことになる。

しかし、多数のスモールセルが運用されるような場合、例えば、ビル内およびカバレッジホール対策などで、非重層化セルが多数配置されることが考えられる。したがって、非重層化セルについても、消費電力の低減が求められる。

本実施の形態では、この課題を解決する方法を開示する。まず、UEの消費電力の増大を抑えつつ、ドーマント状態のESセルを検出および測定する方法を開示する。

UEは、圏外にいる場合、DSの検出および測定を行う。圏外にいるか否かの判断は、UEがCRSの測定によってセルを検出できたか否かで判断するとよい。UEがCRSの測定によってセルを検出できない状態を、圏外であると判断するとよい。DSの検出および測定を起動する具体的な方法として、UEが、CRS測定によってセルを検出できなかった場合に、DSの検出および測定を開始するとよい。

このようにすることによって、UEは、常にCRSとDSの両方の測定を行う必要は無く、CRSの測定でセルを検出できなかった場合にのみDSの測定を行えばよくなる。したがって、UEにおける測定時間の長期化および、それに伴うUEの消費電力の増大を抑制することが可能となる。

また、UEは、セル選択処理を行う場合、DSの検出および測定を行う、としてもよい。例えば、UEの電源オン時、RRC再選択に失敗した場合、RRC_Connected状態から離れる場合、RLFあるいはHOFの場合などに、UEは、DSの検出とメジャメント(測定)を行う、としてもよい。このように、予め定める処理を行う場合に、DSの検出およびメジャメント(測定)を起動することによって、圏外か否かの判断を不要にすることができ、UEの制御を簡易にすることができる。

また、前述の方法を組み合わせてもよい。例えば、UEは、セル選択処理を行う場合で、CRSの測定によってセルを検出できなかった場合に、DSの検出および測定を開始する。これによって、DSを検出および測定する場合を限定できるので、UEの消費電力の増大をさらに抑えることが可能となる。

次に、RRC_Idle状態のUEがESセルをサービングセルにするための方法を開示する。

前述したように、ESセルがDSのみを送信するドーマント状態では、RRC_Idle状態のUEは、SIBを受信することができない、また、ページングを受信することができない。この問題を解決する方法を開示する。

UEは、DSの検出および測定によってESセルを検出した場合、ウェイクアップ(wake up)信号をESセルに送信する。

ESセルは、ドーマント状態でウェイクアップ信号を受信する機能を備える。UEからウェイクアップ信号を受信したESセルは、スイッチオンをして通常動作に移行する。

UEは、DSの受信電力あるいは受信品質が、予め定める閾値以上あるいは前記閾値よりも大きくなった場合に、ESセルを検出したと判断すればよい。ESセルを複数検出した場合は、最も受信電力が高いセルあるいは最も受信品質が高いセルに対して、ウェイクアップ信号を送信するようにしてもよい。

ウェイクアップ信号の周期、シーケンスなどの構成は、予め決めておくとよい。これによって、関連するセルから、ESセルのウェイクアップ信号の構成をUEに通知する必要が無くなる。したがって、ESセルが非重層化セルである場合に有効である。

ウェイクアップ信号の構成は、規格で定義して全てのUEで共通とするとよい。あるいは、SIM(Subscriber Identity Module)に記憶させてもよい。これによって、オペレータ毎にすることが可能となる。

また、ウェイクアップ信号の構成は、セル毎にするとよい。各セルが自セルに送信されたか否かを判断することができる。セル毎にする方法として、ウェイクアップ信号の構成を、セル識別子を用いて導出できるようにしておくとよい。

セル毎でなく、セルクラスタ毎であってもよい。セルクラスタ識別子を用いて導出できるようにしておくとよい。

UEがウェイクアップ信号を送信可能なタイミングとして、DS受信のタイミングから予め定める期間経過後、としてもよい。DS受信のタイミングおよび予め定める期間の単位としては、サブフレーム、無線フレームなどとするとよい。

UEからウェイクアップ信号を受信したドーマント状態のESセルは、スイッチオンをして通常動作に移行することが可能となる。通常動作に移行したESセルは、傘下のUEに、SIBの送信、およびページング信号の送信を行うことが可能となる。これによって、RRC_Idle状態のUEが、ESセルをサービングセルにすることが可能となる。

また、ESセルが非重層化セルの場合は、傘下にRRC_Idle状態のUEが存在する場合、通常動作を行う、とするとよい。

RRC_Connected状態のUEのみをサポートするESセルは、通常、傘下にRRC_Connected状態のUEが存在しなくなった場合、ドーマント状態に移行する。本実施の形態では、たとえ非重層化セルであるESセルの傘下のUEがRRC_Idle状態だけになったとしても、該セルがドーマント状態に移行しないようにすることで、該セルの傘下のRRC_Idle状態のUEが該セルをサービングセルとすることができる。すなわち、該セルは、RRC_Idle状態のUEをサポートすることが可能となる。

セルが、傘下にRRC_Idle状態のUEが存在するか否かを識別するための具体的な方法を開示する。

セルは、UEに対して存在確認を行う。存在確認の方法の具体例を開示する。 存在確認の方法として、周期的TAUを用いる。RRC_Idle状態のUEに、周期的TAUを送信させる。周期的TAUの送信設定は、予め傘下のUEにシステム情報として報知するとよい。または、TAC(Tracking Area Code)が異なる場合に行われるTAU処理の際に設定して、個別シグナリングでUEに通知してもよい。MMEが、非重層化セルであるESセルの傘下のUEに該周期的TAUの送信設定を行い、周期的TAUを送信させてもよい。あるいは、非重層化セルであるESセルが、傘下のUEに該周期的TAUの送信設定を行い、周期的TAUを送信させてもよい。

また、セルは、自セルがESセルであること、および非重層化セルであることの少なくともいずれか一方を傘下のUEに通知するとよい。これによって、UEが周期的TAUを送信するか否かを、サービングセルがESセルか否かおよび非重層化セルか否かの少なくともいずれか一方に応じて判断することが可能となる。自セルがESセルであること、および非重層化セルであることの通知方法は、前述の周期的TAUの送信設定に用いた方法を適用するとよい。

セルが、RRC_Idle状態のUEが存在するか否かを認識する方法を開示する。 非重層化セルであるESセルは、UEからのRRC接続設立要求を受信したか否かによって、RRC_Idle状態のUEが存在するか否かを認識する。UEからのRRC接続設立要求は、周期的TAUを送信する処理で実行される。非重層化セルであるESセルは、予め定める期間内に、UEからのRRC接続設立要求を受信した場合に、RRC_Idle状態のUEが存在すると判断する。非重層化セルであるESセルは、予め定める期間内に、UEからのRRC接続設立要求を受信しなかった場合に、RRC_Idle状態のUEが存在しないと判断する。予め定める期間として、周期的TAUの周期としてもよいし、該周期が複数含まれる期間としてもよい。

また、MMEが、UEからの周期的TAUを受信したか否かによって、UEが存在するか否かを判断するようにしてもよい。MMEは、予め定める期間内に、UEからのTAUを受信した場合に、RRC_Idle状態のUEが存在すると判断する。MMEは、予め定める期間内に、UEからのTAUを受信しなかった場合に、RRC_Idle状態のUEが存在しないと判断する。予め定める期間として、周期的TAUの周期としてもよいし、該周期が複数含まれる期間としてもよい。MMEは、UEからのTAUを通知してきたセルに対して、RRC_Idle状態のUEが存在することを通知するとよい。

ここでは、周期的TAUを用いた方法を開示したが、これに限らず、セルが傘下のRRC_Idle状態のUEに、上り送信を実行させるような機能を設けるようにすればよい。例えば、セルは、システム情報(SI)修正メッセージに、RRC_Idle状態のUEにPRACH送信を実行させるようなインジケータを設けて、報知するとよい。セルは、UEからのPRACHを一つでも受信した場合は、RRC_Idle状態のUEが存在すると判断することができる。

以上のようにすることによって、非重層化セルであるESセルは、傘下にRRC_Idle状態のUEが存在するか否かを判断することができ、存在する場合は、通常動作を行うようにすることが可能となる。また、これによってUEは、SIBおよびページングを受信することが可能となり、非重層化セルであるESセルにおいてRRC_Idle状態状態を保つことが可能となる。

本実施の形態で開示した方法によって、UEがDSのみを送信している非重層化セルであるESセルを検出および測定することが可能となる。

また、UEは、DSの検出と測定によってESセルを検出した場合、ウェイクアップ信号をESセルに送信するようにする。これによって、ドーマント状態のESセルがウェイクアップ信号を受信した場合、スイッチオンをして通常動作に移行することが可能である。

また、スイッチオンをして通常動作になった非重層化セルであるESセルは、傘下にRRC_Idle状態のUEが存在する場合、通常動作を行うことによって、RRC_Idle状態のUEが該セルからSIBおよびページングを受信可能となり、該セルの傘下でRRC_Idle状態を維持することが可能となる。

また、このように、ESセルがドーマント状態から通常動作状態に移行するメカニズムを設けたことによって、ESセルは、傘下にRRC_Idle状態のUEが存在しない場合に、ドーマント状態に移行することが可能となる。したがって、ESセルの消費電力の削減が可能となる。

図34および図35は、本発明の実施の形態8の通信システムにおけるES処理のシーケンスの一例を示す図である。図34と図35とは、境界線BL3の位置で、つながっている。ESセル1およびESセル2は、重層化されていないセル、いわゆる非重層化セルである。本実施の形態で開示した方法は、ESセル1とESセル2とが、重層化されていないクラスタ内のセルであるとしてもよい。重層化していないクラスタ内のセルにも適用することが可能である。

ESセル2は、ステップST9101において通常動作状態とし、ESセル1は、ステップST9103において通常動作状態とする。UE1は、ステップST9102において、ESセル1とRRC_Connected状態である。

ステップST9104において、UE1は、ESセル1と通信を行い、通信が終了した場合、ステップST9105において、RRC_Idle状態に移行する。

ステップST9106において、UE1は、ページングのための間欠受信を行う。ESセル1は、RRC_Idle状態のUEが存在するか否かを認識するために、ステップST9107において、UE1に対して存在確認を行う。例えば、UE1がESセルに周期的TAUを送信する。TAUを実行したUEは、RRC接続の必要がない場合、ステップST9108において、RRC_Idle状態になる。

ステップST9109において、UE1は、ESセル1からESセル2に移動する。ステップST9110において、UE1は、CRSに基づく測定を行う。この場合、ESセル1およびESセル2のCRSを測定する。ステップST9111において、UE1は、ステップST9110におけるCRSの測定結果に基づいて、セルの再選択処理を行い、ESセル2を再選択する。

ステップST9112において、UE1は、ESセル2のSIBを受信する。ステップST9113において、UE1は、間欠受信状態となる。ここで、SIB上のTACは、ESセル1とESセル2とで同じとする。すなわち、ESセル1とESセル2とは、同じTA内に存在する。

ステップST9114において、ESセル2は、RRC_Idle状態のUEが傘下に存在するか否かを判断するために、UE1に対して存在確認を行う。例えば、UE1がESセルに周期的TAUを送信する。TAUを実行したUEは、ステップST9115において、RRC_Idle状態に戻る。

他方、ESセル1は、ステップST9116において、傘下にRRC_Connected状態のUEが存在するか否かを判断する。RRC_Connected状態のUEが存在すると判断された場合は、通常動作状態を維持して、再度ステップST9116の判断処理を行う。RRC_Connected状態のUEが存在しないと判断された場合は、ステップST9117に移行する。

ステップST9117において、ESセル1は、傘下にRRC_Idle状態のUEが存在するか否かを判断する。この判断は、UEから周期的TAUを受信したか否かによって判断する。周期的TAUを受信した場合は、RRC_Idle状態のUEが存在すると判断し、通常動作状態を維持して、再度ステップST9117の判断処理を行う。周期的TAUを受信しない場合は、RRC_Idle状態のUEが存在しないと判断して、ステップST9118に移行する。

ステップST9118において、ESセル1は、スイッチオフを行う。スイッチオフを行ったESセル1は、ステップST9119において、ドーマント状態に移行する。ドーマント状態に移行したESセル1は、DSのみを送信する。また、ウェイクアップ信号の受信を行う。

図35のステップST9120において、UE1は、ESセル2からESセル1に移動する。ステップST9121において、UE1は、CRSに基づく測定を行う。しかし、ここでは、ESセル1はドーマント状態であり、DSしか送信していないので、CRSを測定してもESセル1を検出することは不可能である。したがって、ステップST9122において、UE1はセル不検出となり、ステップST9123において、UE1は圏外となる。

CRSに基づく測定によってセルを検出できずに圏外となったUE1は、ステップST9124において、DSに基づくセルの検出および測定を行う。ESセル1はDSを送信しているので、UE1は、ESセル1を検出して測定することが可能となる。

ステップST9125において、UE1は、セル選択の基準に適したセルとして、ESセル1を検出して選択するとする。

ステップST9126において、UE1は、ESセル1にウェイクアップ信号を送信する。

ステップST9126において自セルに送信されたウェイクアップ信号を受信したESセル1は、ステップST9127において、スイッチオンを実行する。スイッチオンを実行したESセル1は、ステップST9128において、通常動作状態に移行する。通常動作状態に移行したESセル1は、傘下のUEに、予め定めるサブフレームでCRSを送信し、システム情報を報知し、ページングを可能にする。

ステップST9129において、UE1は、ESセル1のSIBを受信することが可能となり、UE1はESセル1のシステム情報を取得することができる。

ステップST9130において、UE1は、ESセル1からページングを受信することが可能となるので、間欠受信を行う。

ステップST9131において、UE1は、ESセル1との間で存在確認を行う。例えば、UE1がESセルに周期的TAUを送信する。TAU処理が終了したUE1は、ステップST9132において、RRC_Idle状態に戻り、再度ステップST9129、ステップST9130、およびステップST9131の処理を行う。

以上のようにすることによって、RRC_Idle状態であるUE1は、非重層化セルであるESセル1を検出することが可能となり、さらにESセル1をドーマント状態から起動させて通常動作状態にすることが可能となる。したがって、RRC_Idle状態であるUE1は、非重層化セルであるESセル1をサービングセルとすることが可能となる。

本実施の形態で開示した方法によって、非重層化セルであるESセルが存在する場合でも、UEの消費電力の増大を抑制しつつ、RRC_Idle状態のUEをサポートすることが可能となる。また、非重層化セルであるESセルの傘下に、RRC_Connected状態およびRRC_Idle状態のUEが存在しない場合は、該セルをドーマント状態に移行することが可能となるので、該セルの消費電力削減が可能となる。

実施の形態8 変形例1. 重層化セルであるESセルと非重層化セルであるESセルとで動作を異ならせることを可能にする方法の具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。

(1)O&MがESセルに、該セルが重層化セルか非重層化セルかを通知する。MMEを介して通知してもよい。 (2)MMEがESセルに、該セルが重層化セルか非重層化セルかを通知する。 (3)ESセルは、自セルが重層化セルか非重層化セルかを判断する。判断方法の具体例としては、自セルは周辺セルサーチを行い、自セルにおいてセル選択あるいはセル再選択可能なセルが存在するか否かを判断するとよい。存在する場合は、重層化セルであると判断し、存在しない場合は非重層化セルであると判断する。

ESセルは、自セルが重層化セルであるか非重層化セルかを判断し、自セルが重層化セルであると判断した場合は、重層化セルとしての動作を行う。ESセルは、自セルが非重層化セルであると判断した場合は、非重層化セルとしての動作を行う。このような方法とすることによって、ESセルは、自セルの状態に応じた動作を行うことが可能となる。

例えば、重層化セルであるESセルは、RRC_Connected状態のUEのみをサポートし、RRC_Idle状態のUEをサポートしない。RRC_Connected状態のUEが傘下に存在しなくなった場合、ドーマント状態に移行する動作とする。非重層化セルであるESセルは、RRC_Connected状態のUEとRRC_Idle状態のUEのどちらもサポートする。RRC_Connected状態のUEとRRC_Idle状態のUEのどちらもが傘下に存在しなくなった場合、ドーマント状態に移行する動作とする。

このようにすることによって、ESセルは、自セルの状態に応じて適したES処理を行うことが可能となる。

前述の各実施の形態およびその変形例は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において、各実施の形態およびその変形例を自由に組合せることができる。また、各実施の形態およびその変形例の任意の構成要素を適宜、変更または省略することができる。

本発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての態様において、例示であって、本発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。

1101 第1のカバレッジ、1102 第2のカバレッジ、1103 第1のeNB、1104 第2のeNB、1105 第3のeNB、1106 第4のeNB、1107 第5のeNB、1108 第6のeNB、1109 第7のeNB、1110 第3のカバレッジ、1111 第4のカバレッジ、1112 第5のカバレッジ、1113 第6のカバレッジ、1114 第7のカバレッジ、1201〜1203,1205〜1207 カバレッジ、1204 第1のマクロeNB、1208 第2のマクロeNB、1209 第3のマクロeNB、1210 第4のマクロeNB、7201,7202 マクロセルのカバレッジ、7203〜7206,7208〜7211,7213〜7217,7219,7220 ESセルのカバレッジ、7207,7212,7218 Compセルのカバレッジ。

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