【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、赤外線信号を受信する装置および方法に関する。 より詳細には本発明は、最適な信号を選択する方式に関する。 【0002】 【従来の技術】 現在、多くの装置およびほとんどのモバイル・コンピュータが通信リンク用の無線赤外線機能を装備している。 伝統的に赤外線リンクは、指向性の受信機および送信機を使用しているかまたは無指向性の受信機および送信機を使用しているか、および受信機と送信機の間の遮るもののない見通し線経路の存在に依存するか否かに基づいて分類されている。 現在のところ指向性見通し線リンクが最も広く使用されている。 以下、見通し線をLOSと略記する。 このリンクでは指向性の受信機および送信機が使用されるため、経路損失が最小限に抑えられ、多重通路ひずみは通常無視できる。 リンク設計にはその他、天井、壁などの表面からの光の拡散反射に依存する無指向性非LOSリンクがあり、これは拡散リンクとも呼ばれる。 【0003】 赤外線信号を送受信することができるユニットはトランシーバと呼ばれる。 実際の無線赤外線トランシーバは、1つの光受信機、例えばフォトダイオード(P D)および1つの光エミッタ、例えば発光ダイオード(LED)の使用に限定されている。 LOS伝搬に基づく現行のトランシーバが最も適するのは2地点間通信であり、無線赤外線ネットワーキング環境で動作させる予定の移動または固定プラットフォームに組み込むのには適さない。 これらのトランシーバは一般に、 光送信機の特性と比較して基本的に異なる受信特性を有する光受信部品を1つだけ含む。 このようなトランシーバは光パリティ・ルールに違反する。 なぜなら、 受信機は広角とも呼べる約±60゜の受信角φ Rを示し、送信機は狭角とも呼べる約±15゜の放射角φ Eを有するからである。 一般的なネットワーキング応用においてはこのことによって接続有効範囲が不十分となり、リンク性能が低下する。 接続有効範囲が不十分であるとは、i)ネットワーク参加者が他のある参加者に接続できないこと、ii)あるリンクが信頼できないこと、または iii)いくつかのリンクがその応用に対して十分な帯域を提供しないこと、 すなわち要求されたデータ転送速度を達成できないことを意味する。 さらに、低いデータ転送速度または高い誤り率、あるいはその両方のためデータ・スループットは低い。 これは、リンク品質の低下と衝突回避機構の不適切な動作が相まって性能低下が起こることを意味する。 【0004】 光パリティの概念は、寄稿「Request for Comments on Advanced Infrared(AI r) IrPHY Physical Layer Specifications」, Standards contribution to Infr ared Data Association(IrDA), Toronto, Canada, April 15-17, 1977, Version 0.1(ヒューレット・パッカード社(Hewlett-Packard Company)およびIBM 社(IBM Corpoation))で開示された。 【0005】 1998年3月26日出願の「Optoelectornic Transceiver」という名称の米国特許出願第048749US号には、光トランシーバ・パリティの概念が開示されている。 この米国特許出願は現在、本出願の譲受人に譲渡されている。 【0006】 米国特許第5566022号は赤外線通信システムに関する。 このシステムは、自由空気(free air)中で赤外線信号を送受信する複数の赤外線トランシーバを含む。 レジストレーション目的およびそれぞれの赤外線送信機を制御する目的で、1つの回路が受信信号の到着方向を決定し、この情報を専用論理制御装置( DLC)に提供する。 【0007】 赤外線通信の重要な特徴の1つは受信方向に対するその感度にある。 M. R. パクラバン(Pakravan)とM. カベラッド(Kavehrad)の文献「Direction Dive rsity for Indoor Infrared Wireless Communication Receivers」, IEEE Inter national Conference on Communication, June 18-22, 1995, Seattleでは、受信信号特性に対する回転の影響がシミュレーションの観点から論じられている。 【0008】 M. R. パクラバン(Pakravan)とM. カベハード(Kavehard)の論文「Desi gn Considerations for Broadband Indoor Infrared Wireless Communication S ystems」,International Journal of Wireless Information Networks, Vol.2, No.4, 1995は前述の文献と同類のものであり、チャネル・パラメータに対する受信機の方向および視野の影響が論じられている。 【0009】 A. P. タン(Tang)、J. M. カーン(Kahn)、カンポホー(Keang-Po Ho )の論文「Wireless Infrared Communication Links using Multi-Beam Transmi tters and Imaging Receivers」, IEEE International Conference on Communic ation, June 23-27, 1966, Dallasでは、赤外線リンクにおけるイメージング受信機の使用が分析されている。 【0010】 米カリフォルニア大学バークレー校のJ. B. カラザーズ(Carruthers)とJ . M. カーン(Kahn)によってIEEE Transactions on Communicationsに提出された研究報告「Angle Diversity for Nondirected Wireless Infrared Communic ation」では、多素子角度ダイバーシチ・システムに対する実際的な考慮事項が論じられている。 残念ながらこの報告は、非常に複雑で高価な光受信機アレイおよびアナログ高位信号選択/集中方式に基づくため、この問題に対する実際的な解決法を提供していない。 【0011】 R. T. バラダス(Valadas)、A. R. タバレス(Tavares)、A. M. デ・ オリベイラ・デュアルテ(de Oliveira Duarute)の論文「Angle Diversity to Combat the Ambient Noise in Indoor Optical Wireless Communication system s」, International Journal of Wireless Information Networks, Vol.4, No.4 , 1997には、いくつかのフォトダイオードのアナログ電流に基づいていくつかの信号対雑音比を推定する理論的方法が記載されている。 【0012】 ポアン・スン(Po-An Sung)、ヤク・スン(Ya-Ku Sun)、カンチェン・チェン(Kwang-Cheng Chen)の論文「Signal Processing of High Speed Nondirecti ve Infrared Wireless Communications」, Journal of the Chinese Institute of Electrical Engineering, Vol.2, No.4, 1995には、異なるダイバーシチ技法の理論的および数値的結果が示されている。 【0013】 以上に述べた文書には、いくつかの理論的方法およびシミュレーションが記載されているが、周知の技術的課題に対する実際的な解決法は与えられていない。 【0014】 さらに、従来型の無線赤外線トランシーバが装備された移動プラットフォーム、例えばラップトップ・コンピュータと固定アクセス・ポイント、例えば中継ステーションまたはプリンタとの間のネットワーク接続有効範囲は、一般的なユーザ・シナリオに対して不十分であることが予想される。 通常、移動またはある固定プラットフォームではトランシーバが1つだけ使用され、このことが無線光ネットワーキング応用での前述の課題および欠点の原因となっている。 いくつかのプラットフォーム、例えばラップトップ・コンピュータは2つのトランシーバを装備するが、ユーザは、2つのトランシーバのうちのどちらを使用するかを手動で決定しなければならない。 したがって、マルチポイント接続に基づく将来の無線赤外線応用の使用に対して現行の赤外線トランシーバは十分とは言えない。 【0015】 【発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、赤外線信号を受信し、受信したいくつかの赤外線数信号の中から最も適した信号を選択する方法および装置を提供することにある。 【0016】 本発明の他の目的は従来技術の欠点を克服することにある。 【0017】 本発明の他の目的は、無線光ネットワークにおける接続性の向上を達成することにある。 【0018】 本発明の他の目的は、赤外線信号を高い信頼性で受信するための単純かつ高速な光受信機を提供することにある。 【0019】 本発明の他の目的は、赤外線信号を受信または送受信する装置であって、十分な接続有効範囲、または現在までに知られている構成が提供するよりもはるかに良好な接続有効範囲を提供する装置、すなわちそれぞれのネットワーク参加者がその他の全てのネットワーク参加者と十分な帯域幅で接続する装置を提供することにある。 【0020】 本発明の他の目的は、信頼できる通信リンクを達成するための赤外線信号の受信または送受信方法を提供することにある。 【0021】 【課題を解決するための手段】 本発明は、無線光ネットワークにおける接続性を向上させる装置および方法を提供するものであり、特にマルチポイント接続に適する。 着想は、赤外線信号を受信しこれをディジタル信号に変換する少なくとも2つ以上の受信ユニットを使用することにある。 このディジタル信号は、データ・フィールド、およびプリアンブルを含むヘッダ・フィールドをそれぞれが少なくとも含むフレームの形態のデータを表す。 それぞれの受信信号は同じ源すなわち同じ送信機から来ると想定できるため、プリアンブルはそれぞれの受信信号に対して同一である。 セレクタは、プリアンブルの信号対雑音比に関係した尺度(measure)を決定しこれらの尺度を比較して、後続の処理に最も適した信号を選択する。 したがってセレクタは、プリアンブルまたはプリアンブルの少なくとも一部分の信号対雑音比の対応する尺度を間接的に推定する。 したがって信号がやって来る正確な方向は重要ではなく、むしろ最も適した信号が必要となる。 最良の信号または最適な信号とは、誤り率が最も低い、または信号対雑音比が最も大きい信号であると考えることができ、このことは、雑音またはその他のひずみの影響を最も受けていない信号であることを指示する。 最も強い信号が必ずしも最良の信号ではないことに留意されたい。 最適な信号を決定するのにプリアンブル全体を使用する、または調べる必要はないことにも留意されたい。 これは、受信信号の品質およびハードウェアに実装された認識または分析方式の効率によって決まる。 【0022】 本発明は、無線光ネットワークにおける接続性を向上させ、特に、移動プラットフォームまたはポータブル装置、例えばラップトップ・コンピュータ、ハンドへルド装置と固定アクセス・ポイント、例えば中継ステーション、プリンタまたは周辺機器との間のマルチポイント接続に適する。 一般的なユーザ・シナリオの1つとして、複数のステーションを会議室内に含む円卓会議構成(round-table configuration)が考えられる。 【0023】 本発明は、単純な光受信機に、少なくとも2つ以上の受信ユニットから得た2 値信号の処理を組み合せるだけでよいという利点を有する。 単純な変換器が受信赤外線信号をディジタル信号に変換する。 このディジタル信号は、データ・フィールド、およびそれぞれのディジタル信号に対して同一のプリアンブルを含むヘッダ・フィールドを少なくとも含むフレームとして伝達されるデータを表す。 本発明の他の利点は、セレクタによっていくつかの受信赤外線信号の中から最適な信号を高速に選択し、後続の処理に使用できることにある。 これは、プリアンブルがそれぞれの信号に対して同一であるためである。 他の利点は、本発明に基づく装置、または受信ユニットおよび送信ユニットを装備した通信装置はかつてほど正確に整列している必要はなく、したがってマルチポイント・ネットワーキング応用によく適していることにある。 【0024】 フレームのプリアンブルが、周期的な周知のパルス・シーケンス、好ましくは定義された周期を有するパルス・シーケンスを形成するシンボルを含むときには、ディジタル受信ユニットまたはディジタル処理ユニットが予め定義されたシンボル・シーケンスを予想することができ、このユニットが、搬送波センシング、 シンボル・クロック同期、およびPLLとも呼ばれる位相同期ループによるチップ・クロック位相の捕捉を効率的に実行することができるという利点が生じる。 【0025】 それぞれの受信ユニット内の受信赤外線信号が2値判断ユニットによってディジタル信号に変換される場合には、後続の信号処理をディジタル処理によって実行することができるという利点が生じる。 受信赤外線信号は、容易に実装可能な単純な2値判断装置によって変換することができる。 変換したディジタル信号を追加の雑音ペナルティなしに長い電線を介してセレクタまたはその他の処理装置に送ることができることは、長距離を転送することができない弱いアナログ信号に比べ極めて大きな利点である。 さらにセレクタは1つだけでよく、これを適当な位置または中央位置に配置することができる。 電線上を伝送されるアナログ信号は干渉を受けやすく、雑音を拾いやすい。 特に、CD−ROMドライブおよびその他の機器が背景雑音、雑音パルスまたは寄生周波数を生み出すコンピュータまたはラップトップ環境では、ディジタル処理によってより高い堅固性および信頼性が実際に達成される。 【0026】 プリアンブルのディジタル信号をオーバサンプリングし、重み付けすると、効率的な方法を適用して2つ以上の受信経路または受信チャネルのそれぞれに存在する信号対雑音比を推定することができるという利点が生じる。 信号対雑音比を以下、SNRと略記する。 最良の受信ディジタル信号を選択するのにSNRを実際に測定する必要はなく、このためには異なる受信経路の相対的な品質だけが必要である。 【0027】 セレクタでのプリアンブルの受取りの間に1つのまたは最適なディジタル信号の選択が実施される場合には、受信を続行する1つの受信機を高速に選択することができるという利点が生じる。 最適な信号を1つの受信機によって受信することができ、電力を節約するためにその他の受信機はオフにすることができる。 【0028】 受信ユニットがそれぞれ、鈍角の受信角φ Rによって記述される光受信特性を示すように設計され、受信角φ Rが、受信機の感度が受信機の光軸上での感度の半分となるところを定義する平面角であるときには、全体の受信角が大きくなるという利点が生じる。 この受信角を約120゜の範囲をカバーするものとすることができる。 【0029】 データがパルス変調、好ましくはパルス位置変調(PPM)によって符号化される場合には、データをベースバンドで伝送することができ、したがって複雑な変調技法を必要としないという利点が生じる。 【0030】 少なくとも、信号対雑音比が最も大きな1つのプリアンブルを受信した1つの受信ユニットよりも信号対雑音比が小さいプリアンブルを受信した受信ユニットをオフにすると、回路全体および装置の電力を減らすことができるという利点が生じる。 このことは移動装置に特に有利である。 【0031】 送信ユニットの光受信特性の形状が、受信ユニットの光受信特性の形状に等しい場合、例えばランバート(Lambert)特性φ E ≒φ Rの形態の場合であって、放射角φ Eが、送信機の電力が送信機の光軸上での電力の半分となるところを定義する平面角である場合には、所望のランバート特性で光パリティ・ルールが満たされ、これによって接続有効範囲が改善されるという利点が生じる。 さらに、両平面で等しいランバート受信/放射特性の使用により、接続有効範囲の拡大に寄与する拡散モード成分が導入される。 【0032】 少なくとも1つの送信ユニット、少なくとも1つの受信ユニットおよび変換器がトランシーバの一部品であるか、または少なくとも1つの受信ユニットおよび変換器が光装置の一部分である場合には、全ての光学構成部品および変換器を統合して、単一のトランシーバ・パッケージまたは光装置パッケージとすることができるという利点が生じる。 これによって統合化を通して空間を、結合を通して電力消費を節約することができ、製造および交換のコストを下げることができる。 【0033】 少なくとも3つのトランシーバまたはいくつかのトランシーバが、それらの光受信特性または光放射特性、あるいはその両方を補完するように配置される場合には、360゜の範囲をカバーする完全な接続有効範囲が達成されるという利点が生じる。 【0034】 セレクタを、第1のモデム・ユニットまたは第2のモデム・ユニット、あるいはその両方を少なくとも備えるユニットに接続すると、セレクタを、いくつかの転送速度または速度、あるいはその両方、例えば可変転送速度、固定転送速度、 高速、低速などを提供するユニットとともに動作させることができるという利点が生じる。 【0035】 セレクタを少なくとも1つのモデム・ユニット、好ましくは第1のモデム・ユニットと結合することができる場合には、セレクタとモデム・ユニットを単一のユニットまたはチップの中に実装することができるという利点が生じる。 このユニットまたはチップは現行のシステム内に容易に実装することができ、本発明に基づいてそれらの接続性を向上させることができる。 【0036】 少なくともセレクタ、第1のモデム・ユニットおよび第2のモデム・ユニットを単一のユニットに結合できるときには、統合化を通して空間を節約でき、ユニットおよびセレクタの機能が単一のユニットまたはチップの中に実装されるという利点が生じる。 【0037】 接続性を向上させる目的を、現行のトランシーバ、または好ましくは単純な改良型のトランシーバを用いて達成しなければならない場合、プラットフォーム、 すなわちラップトップ・コンピュータ、LANアクセス・ポイント、中継ステーション、プリンタ、ハンドへルド装置またはその他の装置に2つ以上の無線赤外線トランシーバを装備する必要が生じる。 これには、異なるトランシーバのそれぞれの信号を適当に結合または選択することによって必要な角ダイバーシチを達成するために、いくつかのトランシーバを相互接続しこれらを制御する装置または方法、あるいはその両方が必要となる。 【0038】 以下に、図面を参照して本発明を詳細に説明する。 【0039】 分かりやすくするため図は全て実際の寸法では示されておらず、寸法間の関係も実際のスケールどおりではない。 【0040】 【発明の実施の形態】 本発明の実施形態を説明する前にいくつかの基本的事項を本発明に基づいて説明する。 【0041】 PPM−パルス位置変調: 本発明によれば、以下PPMと略記するパルス位置変調(Pulse Position Mod ulation)方式が使用される。 代わりにその他の変調方式を使用することもできることに留意されたい。 特にパルス変調、例えばRLLと略記されるランレングス・リミテッド・コード(Run-Length Limited Code)が有利である。 PPMは、反復符号化を用いて可変データ転送速度を提供する。 L−スロット・パルス位置変調は、期間t Dのデータ・シンボルを定義し、続いてこのシンボルを「チップ」とも呼ぶL個、例えばL=2、4、8、16個の等しいタイム・スロットに細分することによって達成される。 L−PPM方式では、シンボルあたり1つのタイム・スロットまたはチップだけが論理「1」を意味するパルスを含む。 その他のチップはパルスを含まず、これは論理「0」を意味する。 ベースがL=4で定義される場合、その結果得られる変調方式は4パルス位置変調または4−PP Mと呼ばれる。 それぞれの4−PPMシンボルの中には4つの固有位置があるため、1つのチップだけが論理「1」でその他のチップが全て論理「0」である4 つの独立したシンボルが存在し、したがって組合せ1000、0100、001 0、0001が生じる。 これらの4つのシンボルだけが4−PPMで許された合法的なデータ・シンボルである。 それぞれのデータ・シンボルは、それぞれ00 、01、10、11である1つのデータ・ビット対からなる2つのビットを表す。 論理「1」は、送信機が光を放射しているチップ期間を表し、論理「0」は光を放射していないチップ期間を表す。 【0042】 プリアンブル: 本発明に基づくディジタル信号はフレームとして伝達されるデータを表し、それぞれのフレームは、データ・フィールドとプリアンブルを含むヘッダ・フィールドとを少なくとも含む。 プリアンブルは、初期搬送波センシング、シンボル・ クロック同期、およびPLLとも呼ばれる位相同期ループによるチップ・クロック位相の捕捉を可能にする周期的なシンボル・シーケンスを含む。 具体的には、 プリアンブルはディジタル受信/処理ユニットの初期相対同期を得るのに使用され、これは、周期的なパルス・シーケンスの送信によって達成される。 それぞれのシンボルがいくつのスロットを含むかを知っている受信ステーションは、このパルス・シーケンスの周期をある時間の後に検出することができる。 さらに受信ステーションは、PLLを使用してそのスロットまたはチップのクロック位相を調整する。 プリアンブルは、合法的4−PPMシンボルP(P=1000)の複数回の反復送信、好ましくは128回以上の反復送信を含む。 それが例えば追加情報の送信に有効または有用である場合にはその他の組合せも可能である。 プリアンブルの後には、同期フィールド、制御フィールド、データ・フィールドまたはその他のフィールドが続く。 【0043】 光パリティ: 無線システムとは異なり、赤外線システムは、受信および送信に物理的に異なる2つの部品、例えばフォトダイオード(PD)および発光ダイオード(LED )を使用する。 受信機の受信特性は、対応する送信機の放射特性とは異なるので、データ転送速度以外についても欠点が生じる。 送信対称性またはトランシーバ・パリティを確立すると、対称なデータ転送速度が可能になり、衝突回避特性が維持され、接続性が向上する。 【0044】 本発明に基づく受信ユニットは受信機およびアナログ・ディジタル変換器を少なくとも含む。 受信機は、受信機の半角φ Rとも呼ばれる受信角φ Rによって記述される光受信特性を有する。 同様に送信機は、送信機の半角φ Eとも呼ばれる放射角φ Eによって記述される光放射特性を有する。 トランシーバは、光放射部品および光受信部品を少なくとも含むことを特徴とし、ここで送信機は単一の発光部品に限定されず、受信機は単一の受光部品に限定されない。 光送信機は、その3次元放射特性が受信機の3次元光受信特性と等しくなるか、またはそれに少なくとも類似するように構築される。 光パリティまたはトランシーバ・パリティの使用は、狭角または広角、および短距離または長距離送信をサポートする異なる光ポートを有する装置の共存を可能にする。 この概念の詳細は、参照によって本明細書に組み込まれる1998年3月26日出願の「Optoelectronic Transceiv er」という名称の米国特許出願第048749US号に記載され、特許請求されている。 【0045】 以下に本発明の実施形態を説明する。 【0046】 図1〜4に、無線光通信システムまたは無線光ネットワーク内で赤外線信号を受信し、または赤外線信号を送信し、あるいはその両方を行う装置4を示す。 第1のトランシーバ13、第2のトランシーバ23および第3のトランシーバ33 がスタガ(stagger)式に配置されている。 隣接するトランシーバ13、23、 33の光軸間の角度は約120゜であり、そのため3つのトランシーバ13、2 3、33のこの基本幾何配置によって、無線光ネットワーキング用に装備された移動または固定プラットフォームの光インタフェースのところで360゜の水平角有効範囲を達成することができる。 第1のチャネル用に完全に組み込まれた第1のトランシーバ13は、ここでは第1のランバート(Lambert)受信特性14 を示すフォトダイオードである受信機および受信回路を含む第1の受信ユニット1を備える。 さらに第1の送信ユニット11は、ここでは発光ダイオードであるエミッタと呼ばれる少なくとも1つの送信機、送信機の上にあって第1のランバート放射特性15を示す拡散体、および送信回路を備える。 拡散体については後にさらに説明する。 【0047】 mW/srを単位とした放射強度特性15、25、35は余弦法則cos(φ ) m 、m=1に従うか、または少なくともほぼこれに従うことに留意されたい。 光受信機の受信特性14、24、34も同じ法則に従う。 【0048】 これらの受信および送信回路は、第1のトランシーバ・チップ12中の変換器に結合される。 そうしたほうが有利な場合には第1のトランシーバ・チップ12 を2つ以上のチップに分離してもよい。 これらの構成部品は、共通のリード・フレームに装着され、プラスチック・パッケージとして成形される。 第1のトランシーバ13の第1のトランシーバ・チップ12はセレクタ5に接続される。 その他の2つのトランシーバ23、33の構造も同等である。 したがって第2のチャネル用の第2のトランシーバ23は第2の受信ユニット2、第2の送信ユニット21および第2のトランシーバ・チップ22を備える。 第2のトランシーバ23 の第2のトランシーバ・チップ22はセレクタ5に接続される。 第3のチャネル用の第3のトランシーバ33は第3の受信ユニット3、第3の送信ユニット31 および第3のトランシーバ・チップ32を備える。 第3のトランシーバ33の第3のトランシーバ・チップ32はセレクタ5に接続される。 トランシーバ13、 23、33はそれぞれ特性を備え、互いに類似した第1の受信特性14および第1の送信特性15を第1のトランシーバ13の前面に概略的に示す。 第2の受信特性24および第2の送信特性25を第2のトランシーバ23の前面に概略的に示す。 さらに第3の受信特性34および第3の送信特性35を第3のトランシーバ33の前面に概略的に示す。 第1のトランシーバ13の方向を向いた第1の矢印は、S1と標識され、第1の着信赤外線信号S1の一部を指示する。 分かりやすくするため、理想的に信号対雑音比が無限大のこの第1の赤外線信号S1をこのトランシーバ配置の下方にS1として示す。 第2のトランシーバ23の方向を向いた第2の矢印はS2と標識され、同じ時間中に着信した第2の着信赤外線信号S2の一部を指示する。 信号対雑音比が約20dBの第2の赤外線信号S2を同様に装置4のトランシーバ配置の下方に示す。 さらに、第3のトランシーバ3 3の方向を向いた第3の矢印S3は、やはり同じ時間中に着信した第3の着信赤外線信号S3の一部を指示する。 信号対雑音比が約5dBの第3の赤外線信号S 3を同様にトランシーバ配置の下方に示す。 【0049】 先に述べた拡散体はそれぞれの送信ユニット11、21、31の前に、光放射特性15、25、35を含む全ての面の電力半値角が60゜となるように構築される。 拡散体は例えば、拡散体内の屈折率を異なるものにするためにガラス・ビーズが埋め込まれたプラスチック材料またはその他の材料から構築することができる。 さらに、源の見かけのサイズは送信チップのサイズではなく拡散体のサイズによって決まるため、接続性を向上させる利点の他に拡散体は、アイ・セーフティ・ノルム(eye safety norm)IEC825.1の遵守に関して追加の利点を有する。 拡散体によるこの方法によれば、従来型の狭角エミッタをいくつか結合して広角放射を達成する代替方法よりもリード・フレーム構造が単純になる。 放射強度を強める必要がある場合には、いくつかの光エミッタを共通の拡散体の下方に装着することができる。 適当な拡散体の詳細についてはPCT国際出願公開WO96/08090号にでている。 このPCT出願は現在、本出願の譲受人に譲渡されており、参照によって本明細書に組み込まれる。 【0050】 図1では、第1のトランシーバ13が第1の赤外線信号S1を、第2のトランシーバ23が第2の赤外線信号S2を、第3のトランシーバ33が第3の赤外線信号S3をそれぞれ受信している。 受信された信号S1、S2、S3はそれぞれディジタル信号に変換される。 すなわち第1の赤外線信号S1は第1のディジタル信号RxS_1に、第2の赤外線信号S2は第2のディジタル信号RxS_2 に、第3の赤外線信号S3は第3のディジタル信号RxS_3にそれぞれ変換される。 分かりやすくするため第1のディジタル信号RxS_1、第2のディジタル信号RxS_2および第3のディジタル信号RxS_3をトランシーバ配置の下方(図2〜4)にそれぞれ図示した。 以下ではこの変換を、第1のトランシーバ13の第1の赤外線信号S1を例として説明するが、その他の2つの赤外線信号S2およびS3ならびにそれらのそれぞれのトランシーバ23、33についても原理は同じである。 第1の赤外線信号S1の変換は第1のトランシーバ・チップ12で実施される。 雑音の影響を受ける可能性がある長いリードまたは電線を回避するために第1のトランシーバ・チップ12は第1の受信ユニット1のすぐ近くに配置される。 受信された第1の赤外線信号S1はまず第1のトランシーバ・チップ12に導かれ、増幅器で増幅してから可変利得増幅器に送られる。 自動利得制御回路によって制御された可変利得増幅器は、次の判断装置での信号レベルが指定された受信光信号電力範囲にわたって一定に保たれることを保証する。 上述の判断装置は、第1の赤外線信号S1をしきい値と比較することによって第1の赤外線信号S1を第1のディジタル信号RxS_1に変換する2値判断ユニットまたはしきい値スイッチであり、しきい値判断装置または比較器とも呼ばれる。 装置4の下に示したこの第1のディジタル信号RxS_1はセレクタ5に送られる。 同じことが第2の赤外線信号S2および第3の赤外線信号S3にも実施される。 第2の赤外線信号S2は第2のディジタル信号RxS_2に変換されセレクタ5に送られる。 第3の赤外線信号S3は第3のディジタル信号RxS_3 に変換されやはりセレクタ5に送られる。 したがって3つのトランシーバ13、 23、33は、チャネルの結合、選択および制御機能を提供するセレクタ5に接続される。 セレクタ5の中に実装された制御機構に応じ、3重チャネル・ダイバーシチを活用してネットワーク接続性に対して異なるモードの角ダイバーシチを得ることができる。 セレクタ5は、後続の処理に最も適した信号を決定し、この最適信号を出力線xyを介して後続のユニットに渡す。 この最適信号を決定するのに使用する方法は図5および図6を参照して詳細に説明する。 装置4は、第1 、第2および第3の信号線上のRxS_1、RxS_2およびRxS_3でそれぞれ標識されたセレクタ5への矢印によって指示されたここでは受信信号を指示するデータを受信し、TxS_1、TxS_2およびTxS_3でそれぞれ標識されたセレクタ5からの矢印によって指示されたここでは送信データの送信信号を指示するデータを送信することができる。 【0051】 図5に、異なる信号から後続の処理に最も適した信号を協力して決定することができる部品およびユニットの概略図を示す。 第1のチャネルに対しては第1の2値判断ユニット12.1が第1のサンプリング/計数ユニット16に接続される。 この第1のサンプリング/計数ユニット16は、第1のサンプラ17、第1 の直列シフト・レジスタ17.1、以下第1のサンプル・カウンタ18と呼ぶ独立したサンプル・カウンタの第1のアレイ18、および第1の合計カウンタ19 を含む。 第1のサンプラ17は第1の直列シフト・レジスタ17.1に接続され、第1の直列シフト・レジスタ17.1はさらに第1のサンプル・カウンタ18 に接続される。 第1のサンプル・カウンタ18は第1の合計カウンタ19に接続される。 第2のチャネルに対しては第2のサンプリング/計数ユニット26が配置される。 この第2のサンプリング/計数ユニット26は、第2のサンプラ27 、第2の直列シフト・レジスタ27.1、以下第2のサンプル・カウンタ28と呼ぶ独立したサンプル・カウンタの第2のアレイ28、および第2の合計カウンタ29を含む。 第2のサンプラ27は第2の直列シフト・レジスタ27.1に接続され、第2の直列シフト・レジスタ27.1はさらに第2のサンプル・カウンタ28に接続される。 第2のサンプル・カウンタ28は第2の合計カウンタ29 に接続される。 第3のチャネルに対しては第3のサンプリング/計数ユニット3 6が配置される。 この第3のサンプリング/計数ユニット36は、第3のサンプラ37、第3の直列シフト・レジスタ37.1、以下第3のサンプル・カウンタ38と呼ぶ独立したサンプル・カウンタの第3のアレイ38、および第3の合計カウンタ39を含む。 第3のサンプラ37は第3の直列シフト・レジスタ37. 1に接続され、第3の直列シフト・レジスタ37.1はさらに第3のサンプル・ カウンタ38に接続される。 第3のサンプル・カウンタ38は第3の合計カウンタ39に接続される。 さらに、第1のサンプリング/計数ユニット16は第1の数値メモリ7に、第2のサンプリング/計数ユニット26は第2の数値メモリ8 に、第3のサンプリング/計数ユニット36は第3の数値メモリ9にそれぞれ接続される。 数値メモリ7、8、9は全て、セレクタまたは数値比較器6とも呼ぶ比較器6に接続される。 数値メモリ7、8、9をそれぞれのサンプリング/計数ユニット16、26、36の中に含めることもできる。 【0052】 第1の2値判断ユニット12.1は、第1の受信赤外線信号S1用の第1の入力「a」およびしきい値「TH」用の第2の入力「b」を備える。 図1〜4に関して既に述べたように、この第1の2値判断ユニット12.1は先に説明した第1のトランシーバ・チップ12上に配置される。 簡単にするために図5には2値判断ユニットを1つだけ示したが、チャネルごとにこのような2値判断ユニットが1つ使用される。 第1の2値判断ユニット12.1は第1の赤外線信号S1をしきい値「TH」と比較し、第1のサンプリング/計数ユニット16の第1のサンプラ17に送る第1のディジタル信号RxS_1を出力する。 第1の赤外線信号S1の値がしきい値「TH」の値よりも大きい場合、すなわちS1>THの場合には第1の2値判断ユニット12.1の出力に論理レベル「1」が生成され、 それ以外の場合には論理レベル「0」が生成される。 第2の2値判断ユニットによって生成され図1〜4に示した第2のトランシーバ・チップ22から送られた第2のディジタル信号RxS_2は、第2のサンプリング/計数ユニット26の第2のサンプラ27に送られる。 第3の2値判断ユニットによって生成され図1 〜4に示した第3のトランシーバ・チップ32から送られた第3のディジタル信号RxS_3は、第3のサンプリング/計数ユニット36の第3のサンプラ37 に送られる。 【0053】 最適な信号を選択するための尺度、数値または値を決定するのに使用する原理プロセスを、第1のサンプリング/計数ユニット16に関して図6と関連させて詳細に説明する。 このプロセスは、所与のまたは明確なしきい値の尺度または値に達するまで繰り返される。 ただし、2つのサンプリング/計数ユニット26および36は第1の計数ユニット16と同じように機能するため、以下では第1のサンプリング/計数ユニット16に対してだけこのプロセスを説明する。 第1のディジタル信号RxS_1のプリアンブルの1つの時間間隔の長さに等しい4つのスロットまたはチップが、第1のサンプリング/計数ユニット16に送られる。 この時間間隔は完全な4−PPMシンボル1つを表すが、パルスから始まる必要はなくどこから始まってもよい。 サンプル・カウンタ18の中の以前の時間間隔に同位相で累積するためには、以降の時間間隔がそれらの時間位相に関して等しくなければならない。 到着した第1のディジタル信号RxS_1は、第1のサンプリング/計数ユニット16の第1のサンプラ17でオーバサンプリングされ、2値シーケンスとして第1の直列シフト・レジスタ17.1に書き込まれる。 ここでは、定義された時間間隔に対して16個の2進数を得るためにそれぞれのチップが4倍の頻度でオーバサンプリングされている。 これらの2進数は、単ビット・レジスタまたはフラグ・レジスタに記憶される。 2進数は順序列の形態で到着する。 定義された時間間隔の16個の2進数が第1の直列シフト・レジスタ17.1に到着した場合、第1のサンプル・カウンタ18は記憶されたカウンタの値に、第1の直列シフト・レジスタ17.1のそれぞれの単ビット・レジスタの2進数を累積する。 このプロセスは以降の時間間隔について、合計カウンタ1 9が第1の尺度「A」を計算し、これが第1の数値メモリ7に書き込まれるまで繰り返される。 繰り返しの回数は、統計、受信信号の品質および認識または分析方式の効率によって決定される。 第2のサンプリング/計数ユニット26は第2 の尺度「B」を決定し、この尺度を第2の数値メモリ8に書き込む。 第3のサンプリング/計数ユニット36は第3の尺度「C」を決定し、この尺度を第3の数値メモリ9に書き込む。 数値メモリ7、8、9は数値比較器6に接続されるか、 または数値比較器6の中に実装される。 数値比較器6は尺度「A」、「B」、「 C」を比較し、後続の処理に最も適した信号を決定する。 図5には、数値比較器6の出力がS Aで標識されていることによって数値比較器6の出力が尺度「A」 に対応するチャネルを選択したことが指示されている。 したがって、3つの赤外線信号S1、S2、S3のうちの第1の赤外線信号S1、したがって第1のディジタル信号RxS_1は、一デジタル信号RxS_1とも称し、後続の処理に最も適した信号である。 【0054】 以上の方式が機能するのは、信号の信号対雑音比と誤り率の間にある関係が存在することが分かっており、それが調べられているためである。 例えば調査によって、決定された計算値、例えば「A」が対応する信号の信号対雑音比に直接に関係することが分かった。 すなわち、決定された計算値が大きいほど信号対雑音比は小さいことが分かった。 したがって信号対雑音比が最も大きいチャネルまたは経路を決定するためには、数値または尺度A、B、Cを比較し、集合{A、B 、C}の中から最も小さいものを見つければよい。 【0055】 次に、オーバサンプリングした2値信号の分析の段階を異なる時点のいくつかの段階について示す図6を参照する。 これらの段階は、図5に示したサンプリング/計数ユニット16の中で実行される。 より具体的には、図6には、第1の時間間隔T 1および第2の時間間隔T 2での第1の直列シフト・レジスタ17.1およびこれに接続された第1のサンプル・カウンタ18がそれぞれ示され、さらにその下には、第10の時間間隔T 10および第32の時間間隔T 32でのサンプル・ カウンタ18がそれぞれ示されている。 第1の尺度「A」は第32の時間間隔T 32の後に計算され、数値メモリ7に記憶される。 第1の直列シフト・レジスタ1 7.1は、第1の直列シフト・レジスタ17.1の上の単ビット・レジスタ番号1、2、. . . 、16によって指示された16個の単ビット・レジスタを備える。 これらの単ビット・レジスタ番号および16個の単ビット・レジスタは、第1 の時間間隔T 1のシーケンスの上に示したサンプル・クロック10に関係付けられている。 【0056】 分かりやすくするため最上部に、4つのパルス、すなわちパルス持続時間が異なる4つの論理「1」を含むプリアンブルの高雑音ディジタル信号の2つの時間間隔を時間軸t上に示した。 第1の時間間隔T 1のうちに生じたパルスは1つだけなのに対し、続く第2の時間間隔T 2では3つのパルスが生じている。 このうち2つのパルスは雑音によって生じたエラー・パルスである。 第1の時間間隔T 1は合法的な4−PPMシンボルの長さに対応する。 前述のとおり第1の時間間隔T 1では、第1のディジタル信号RxS_1のプリアンブルの4つのチップが図5に示したサンプラ17に送られる。 【0057】 第1の時間間隔T 1は完全な1つのシンボルの長さを表すが、一般にこのような時間間隔がプリアンブル・シンボルと整列する必要はない。 この例ではこの時間間隔がパルスではなく論理「ゼロ」から始まっている。 これは、シンボル同期およびチップ同期が受信機によってまだ確立されていないためである。 実際のところこの方式はこのような同期を必要としない。 第1の直列シフト・レジスタ1 7.1およびサンプル・カウンタ18のわきに物理的に示したオーバサンプリングされた第1の時間間隔T 1の4つのチップはある時刻に、第1の直列シフト・ レジスタ17.1に記憶される。 それぞれのチップは16個の2進数を得るために4倍の頻度でオーバサンプリングされている。 パルスが生じた場合には「1」 が生じ、それ以外の場合には「0」が生じる。 これらの2進数は、単ビット・レジスタまたはフラグ・レジスタを含む単純なレジスタに記憶され、あるレジスタはセットされ、あるものはセットされない。 第1の直列シフト・レジスタ17. 1の単ビット・レジスタを見ると、第3から第7までの単ビット・レジスタが「 1」になっている。 このうち1つの単ビット・レジスタが2進数30を含む。 第1の直列シフト・レジスタ17.1の単ビット・レジスタの個々の2進数は、第1のサンプル・カウンタ18の中に記憶された対応する値に累算される。 ここで、サンプル・カウンタ・アレイ18の長さは、第1の直列シフト・レジスタ17 . 1の長さと同じである。 例えば、第1のサンプル・カウンタ18に記憶された最初のパルスからの1つの値を指示するカウンタ値70が最初の段階で「1」になる。 さらにこのカウンタ値70およびその記憶された値を詳細に観察する。 次に、その下に示した次の時間間隔を参照する。 第2の時間間隔T 2の間にチップがオーバサンプリングされ、2進数が第1の直列シフト・レジスタ17.1にそれぞれ書き込まれる。 途中で、先の単ビット・レジスタは上書きされる。 その結果を、第2の時間間隔T 2のところの第1の直列シフト・レジスタ列17.1に示す。 第1のサンプル・カウンタ18は、セットされた単ビット・レジスタまたはフラグを先のカウンタ値にそれぞれ加算する。 加算後には、第1のサンプル・ カウンタ18のカウンタ値が変更されている。 例えば観察しているカウンタ値7 0は1増やされ、「2」になっている。 第2の時間間隔T 2と第10の時間間隔T 10の間の縦の点線によって指示されたある時間の後、すなわち8段階後の第1 0の時間間隔T 10では別のシーケンスがオーバサンプリングされている。 この第1のサンプル・カウンタ18は第10の段階の結果を示している。 観察しているカウンタ値70は増分され「8」になっている。 最後に、第32の時間間隔T 32ではさらに別のシーケンスがオーバサンプリングされている。 その結果がその第1のサンプル・カウンタ列18に示されている。 観察しているカウンタ値70は増分され「26」になっている。 第1のサンプル・カウンタ18のカウンタ値から数字の合計を計算し、尺度「A」を得る。 この計算は図示されていない合計カウンタで実施される。 この尺度「A」は「184」になり、図5に関して説明したように後続の処理に備えて第1の数値メモリ7に記憶される。 【0058】 他の実施形態は、雑音からではなくプリアンブル・パルスから生じた大きな数値を「ゼロ」に戻すためのしきい値を、好ましくは尺度「A」を計算する直前の段階に含む。 これは、雑音の識別および決定の向上に有利である。 【0059】 図7に、セレクタ40の基本内部アーキテクチャの実施形態を示す。 チャネル・コンバイナとも呼ぶセレクタ40は、RxS_1信号を受け取る第1のチャネル品質エスティメータ・ユニット41、RxS_2信号を受け取る第2のチャネル品質エスティメータ・ユニット42、およびRxS_3信号を受け取る第3のチャネル品質エスティメータ・ユニット43を備える。 チャネル品質エスティメータ・ユニット41、42、43は全て評価ユニット44に接続され、評価ユニット44の出力は、制御ユニット45への矢印の付いた点線によって指示された制御信号を受け取ることができる制御ユニット45に導かれる。 制御ユニット4 5は一方でRxSコンバイナ/セレクタ・ユニット46に接続される。 RxSコンバイナ/セレクタ・ユニット46はRxS_1、RxS_2、RxS_2信号を受け取り、RxD_VR信号およびRxD_HR信号を送達することができる。 さらに制御ユニット45は他方で、TxS_1、TxS_2、TxS_2信号を送達するTxSイネーブラ/ドライバ・ユニット47に接続される。 制御ユニット45はさらに、TxSイネーブラ/ドライバ・ユニット47に接続されたT xDセレクタ・ユニット48に接続される。 TxDセレクタ・ユニット48は、 TxD_VR信号およびTxD_HR信号の形態のデータを受け取ることができる。 【0060】 セレクタ40は、TxS_1、TxS_2およびTxS_3と標識された信号をTxSイネーブラ/ドライバ・ユニット47によって送信機に送達する。 分かりやすくするため図7に送信機は示されていないが、これらの信号は図1〜4に示したトランシーバ13、23、33にそれぞれ送られる。 TxSイネーブラ/ ドライバ・ユニット47は、送信すべきデータをTxD_VR信号およびTxD _HR信号から選択するTxDセレクタ・ユニット48からその入力信号を受け取る。 TxSイネーブラ/ドライバ・ユニット47およびTxDセレクタ・ユニット48はともに内部制御ユニット45によって制御される。 RxS_1、Rx S_2およびRxS_3と標識された受信信号はそれぞれチャネル品質エスティメータ・ユニット41、42、43によって並列に処理され、その出力は評価ユニット44で調べられる。 図5および図6を参照すると先に説明したプロセスは、チャネル品質エスティメータ・ユニット41、42、43および評価ユニット44で実施することができる。 後者のユニットはその出力を制御ユニット45に送達する。 この制御ユニット45は、RxS_1、RxS_2およびRxS_3 信号を処理し、RxD_VR信号およびRxD_HR信号を送達するRxSコンバイナ/セレクタ・ユニット46に対しても制御を提供する。 【0061】 他の実施形態によれば、RxS_1、RxS_2およびRxS_3と標識された受信信号が単一のチャネル品質エスティメータ・ユニットによって順番に処理され、その出力が評価ユニット44で調べられる。 【0062】 他の実施形態によれば、RxSコンバイナ/セレクタ・ユニット46がRxD _VR信号だけを送達し、TxSイネーブラ/ドライバ・ユニット47がTxD _VR信号を直接に受け取る。 そのためTxDセレクタ・ユニット48は必要なくなる。 【0063】 他の実施形態によれば、RxSコンバイナ/セレクタ・ユニット46がRxD _HR信号だけを送達し、TxSイネーブラ/ドライバ・ユニット47がTxD _HR信号を直接に受け取る。 この場合、TxDセレクタ・ユニット48は必要なくなる。 【0064】 他の実施形態によればセレクタ40が、2つのトランシーバに対してのみ信号を処理する手段を提供する。 したがって2重チャネル・ダイバーシチしか達成できない。 【0065】 図8に、3重チャネル・ダイバーシチを備えた赤外線通信システムの一実施形態の基本物理層構造を示す。 いくつかの部品およびユニットは先に使用し説明したものと同じであり、これらには同じ参照符号が付されている。 図8を単純にするため、トランシーバ12、23、33は一列に配置した。 しかし3重チャネル・ダイバーシチを達成するためには、トランシーバ12、23、33を異なる方向または好ましい方向に配置することが必要である。 トランシーバ12、23、 33は、トランシーバ12、23、33の前面の矢印によって指示された赤外線信号を受信および送信することができる。 トランシーバ12、23、33は、所望の角ダイバーシチをシステムに提供するのに必要な機能を含むセレクタ40に接続される。 セレクタ40は、VRモデム/制御装置51およびHRモデム/制御装置61に接続される。 VRモデム/制御装置51は、第2のモデム・ユニット51または可変転送速度(Variable Rate)モデム/制御装置51とも呼ばれ、トランシーバ制御線54を介してトランシーバ12、23、33に接続され、 ホスト・インタフェース52にも接続される。 HRモデム/制御装置61は、第1のモデム・ユニット61または高転送速度(High Rate)モデム/制御装置6 1とも呼ばれ、ホスト・インタフェース52に接続され、制御線62を介してセレクタ40にも接続される。 ホスト・インタフェース52はホスト53に接続される。 TxS_1、TxS_2およびTxS_3と標識された送信信号はトランシーバ12、23、33の変調信号を伝達する。 例えばTxS_1、TxS_2 およびTxS_3信号は、先に説明したとおり4スロット・パルス位置変調(4 −PPM)に符号化される。 RxS_1、RxS_2およびRxS_3と標識された受信信号はそれぞれの受信機から得た信号を伝達する。 先に述べたとおり好ましい実施態様ではこれらの信号が2値信号である。 セレクタ40は、VRモデム/制御装置51またはHRモデム/制御装置61から送信すべきデータを受け取る。 対応するデータ線はTxD_VRおよびTxD_HRと標識されている。 同様にセレクタ40は、受信したデータをVRモデム/制御装置51またはHR モデム/制御装置61に送達する。 対応するデータ線はRxD_VRおよびRx D_HRと標識されている。 VRモデム/制御装置51およびHRモデム/制御装置61は異なるデータ転送速度で受信および送信することができる。 例えばV Rモデム/制御装置51は4Mbpsまでのデータ転送速度で動作することができ、HRモデム/制御装置61は約16Mbpsのデータ転送速度をサポートする。 ただしVRモデム/制御装置51は、判断しきい値、帯域幅、送信機の電力レベルなどを設定するコマンドを発行することによってトランシーバ12、23 、33の動作モードを制御する。 HRモデム/制御装置61は、関連コマンドを発行することによってセレクタ40の動作モードを制御する。 これらのコマンドは、RxS_1、RxS_2およびRxS_3信号をどのように結合し、または選択し、あるいはその両方を行うかに関する受信経路に対する命令、ならびにT xS_1、TxS_2およびTxS_3信号をどのように使用可能にするかに関する送信経路に対する命令を含む。 VRモデム/制御装置51およびHRモデム/制御装置61は、バス信号VR_IFおよびHR_IFと標識されたそれぞれのバスによってホスト・インタフェース52に接続される。 ホスト・インタフェース52は、プロトコル・スタック、例えばMACと略記される媒体アクセス制御と通信するため、H_IFと標識されたバスを介してホスト53に接続される。 【0066】 図9に、3重チャネル・ダイバーシチを備えた赤外線通信システムの他の基本実施形態を示す。 HRモデム/制御装置61およびセレクタ40で実施される機能が単一のセレクタ40.1の中にに結合される以外、説明した部品および機能は全て同じである。 【0067】 図8および図9に関して部品およびユニットのいくつかの組合せが可能である。 そのいくつかを以下に述べる。 【0068】 他の実施形態によれば、セレクタ40が単一のユニットとして構成され、VR モデム/制御装置51とHRモデム/制御装置61とが別の単一ユニットとして結合される。 【0069】 他の実施形態によれば、セレクタ40、VRモデム/制御装置51およびHR モデム/制御装置61で実施される機能が全て単一のユニットの中に結合される。 【0070】 他の実施形態によれば、HRモデム/制御装置61が存在せず、セレクタ40 がVRモデム/制御装置51から制御される。 【0071】 他の実施形態によれば、HRモデム/制御装置61が存在せず、セレクタ40 とVRモデム/制御装置51が単一のユニットとして結合される。 【0072】 他の実施形態によれば、VRモデム/制御装置51が存在せず、3つのトランシーバ13、23、33がHRモデム/制御装置61から制御される。 【0073】 他の実施形態によれば、VRモデム/制御装置51が存在せず、セレクタ40 とHRモデム/制御装置61が単一のユニットとして結合される。 【0074】 開示した任意の実施形態を、図示または説明し、あるいはその両方を行ったその他の1つまたは複数の実施形態と結合することができる。 このことは、これらの実施形態の1つまたは複数の特徴に対しても可能である。 本明細書に記載し、 請求した段階を記載の順序で実行する必要はない。 これらの段階は少なくともある程度まで別の順序で実施することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 3つのトランシーバ、付随する信号およびセレクタを含む本発明に基づく構成の第1の概略図である。 【図2】 3つのトランシーバ、付随する信号およびセレクタを含む本発明に基づく構成の第2の概略図である。 【図3】 3つのトランシーバ、付随する信号およびセレクタを含む本発明に基づく構成の第3の概略図である。 【図4】 3つのトランシーバ、付随する信号およびセレクタを含む本発明に基づく構成の第4の概略図である。 【図5】 比較器およびいくつかのサンプリング/計数ユニットの概略図である。 【図6】 オーバサンプリングしたビット・シーケンスを分析する諸段階を示す図である。 【図7】 セレクタの基本内部アーキテクチャを示す図である。 【図8】 3重チャネル・ダイバーシチを備えた本発明に基づく赤外線通信システムの基本実施形態を示す図である。 【図9】 3重チャネル・ダイバーシチを備えた赤外線通信システムの他の基本実施形態を示す図である。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヒルト、ヴァルター スイス国 シー・エイチ−8907 ヴェット シュヴィル ヒンダヴァイドシュトラッセ 29 (72)発明者 イングハム、ブライアン、アール カナダ国 エル4ジー 5シー7 オンタ リオ州オーロラ ウィスパリング・パイ ン・トレイル 31 Fターム(参考) 5K002 AA05 CA02 FA03 5K029 AA02 CC05 HH00 HH08 JJ01 JJ10 KK01 KK28 【要約の続き】 |