光受信回路および光結合装置

申请号 JP2014173090 申请日 2014-08-27 公开(公告)号 JP6271372B2 公开(公告)日 2018-01-31
申请人 株式会社東芝; 東芝デバイス&ストレージ株式会社; 发明人 鈴永 浩; 佐倉 成之;
摘要
权利要求

第1の電流信号を出する第1の受光素子と、 前記第1の受光素子が接続された入力端子と、前記第1の電流信号に基づく電圧信号が出力される出力端子と、を有する反転増幅回路と、 前記入力端子と前記出力端子との間に直列に接続された第1の抵抗素子および第2の抵抗素子と、前記第1の抵抗素子と前記第2の抵抗素子との接続点と、基準電位、の間に直列接続された第3の抵抗素子およびコンデンサと、を含む第1の回路と、 前記第1の電流信号に基づいて出力される電流によって前記コンデンサを充電する充電回路と、 を備え、 前記充電回路は、前記コンデンサから放電される電荷量を増加するように補正する補正回路であり、 前記補正回路は、前記出力端子に接続された制御端子と、前記入力端子に接続された第1の主端子と、電源電位に接続された第2の主端子と、を有する第1導電形の第1のトランジスタを含む光受信回路。前記補正回路は、前記第1のトランジスタの第1の主端子に流れる電流に基づいて基準電流が設定され、前記基準電流に比例する電流を前記コンデンサに流すカレントミラー回路を含む請求項1記載の光受信回路。前記反転増幅回路は、前記入力端子に接続された制御端子と、前記基準電位に接続された第1の主端子と、前記出力端子に接続された第2の主端子と、を有する第1導電形の第2のトランジスタと、前記第2のトランジスタの第2の主端子に接続された負荷回路と、を含み、 前記カレントミラー回路は、第1の主端子が自己の制御端子に接続され、前記基準電流を生成する第2導電形の第3のトランジスタと、前記第3のトランジスタの制御端子が、自己の制御端子に接続されて前記電流を生成する第2導電形の第4のトランジスタと、を含む請求項2記載の光受信回路。前記第1導電形は、N形であり、前記第2導電形は、P形である請求項3記載の光受信回路。前記第1導電形は、NPN形であり、前記第2導電形は、PNP形である請求項3または4に記載の光受信回路。前記出力端子に接続された第1の端子と、基準電圧を出力する基準電源に接続された第2の端子と、を含むコンパレータをさらに備えた請求項1〜5のいずれか1項に記載の光受信回路。前記出力端子に接続された第1の端子と、基準電圧を出力する基準電源に接続された第2の端子と、を含むコンパレータと、 前記出力端子と前記コンパレータの入力との間に、前記出力端子の電圧をレベルシフトさせるレベルシフト回路と、をさらに備え、 前記コンパレータは、 前記レベルシフト回路から出力された第1の電圧信号を遅延させて第2の電圧信号を出力する遅延回路に接続された第3の端子をさらに含み、 前記第1〜第3の端子は、第1導電形の第1〜第3の入力トランジスタの制御端子にそれぞれ接続され、 互いに接続された、前記第1〜第3の入力トランジスタのそれぞれの第1の主端子と、前記基準電位と、の間に接続された電流源をさらに含み、 前記第1の入力トランジスタのトランジスタサイズは、前記第2の入力トランジスタおよび前記第3の入力トランジスタのそれぞれのトランジスタサイズの和とほぼ等しくなるように形成されており、前記第2の入力トランジスタおよび前記第3の入力トランジスタのそれぞれに流れる電流値の和と、前記第1の入力トランジスタに流れる電流値と、を比較して、これらの電流値の大きさが逆転した場合に、出力が反転する請求項1または2に記載の光受信回路。前記出力端子に接続された第1の端子と、基準電圧を出力する基準電源に接続された第2の端子と、を含むコンパレータと、 前記出力端子と前記コンパレータの入力との間に、前記出力端子の電圧をレベルシフトさせるレベルシフト回路と、をさらに備え、 前記コンパレータは、 前記レベルシフト回路から出力された第1の電圧信号を遅延させて第2の電圧信号を出力する遅延回路に接続された第3の端子をさらに含み、 前記第1〜第3の端子は、第1導電形の第1〜第3の入力トランジスタの制御端子にそれぞれ接続され、 互いに接続された、前記第1〜第3の入力トランジスタのそれぞれの第1の主端子と、前記基準電位と、の間に接続された電流源をさらに含み、 前記第1の入力トランジスタのトランジスタサイズは、前記第2の入力トランジスタおよび前記第3の入力トランジスタのそれぞれのトランジスタサイズの和とほぼ等しくなるように形成されており、前記第2の入力トランジスタおよび前記第3の入力トランジスタのそれぞれに流れる電流値の和と、前記第1の入力トランジスタに流れる電流値と、を比較して、これらの電流値の大きさが逆転した場合に、出力が反転する請求項3〜5のいずれか1項に記載の光受信回路。第1の電流信号を出力する第1の受光素子と、 前記第1の電流信号の大きさに比例する大きさを有する第2の電流信号を出力する第2の受光素子と、 前記第1の受光素子が接続された入力端子と、前記第1の電流信号に基づく電圧信号が出力される出力端子と、を有する反転増幅回路と、 前記入力端子と前記出力端子との間に直列に接続された第1の抵抗素子および第2の抵抗素子と、前記第1の抵抗素子と前記第2の抵抗素子との接続点と、基準電位、の間に直列接続された第3の抵抗素子およびコンデンサと、を含む第1の回路と、 前記第2の電流信号に基づいて出力される電流によって前記コンデンサを充電する充電回路と、 を備え、 前記充電回路は、前記コンデンサから放電される電荷量を増加するように補正する補正回路であり、前記第2の受光素子から出力される前記第2の電流信号に基づいて基準電流が設定され、前記基準電流に比例する電流を前記コンデンサに流すカレントミラー回路を含み、 前記カレントミラー回路は、第1の主端子が自己の制御端子に接続され、前記基準電流を生成する第1トランジスタと、前記第1トランジスタと同じ導電形であり、前記第1トランジスタの制御端子が自己の制御端子に接続されて前記電流を生成する第2トランジスタと、を含む光受信回路。前記第1〜第4のトランジスタおよび前記第1〜第3の入力トランジスタは、MOSFETであり、 前記入力トランジスタのトランジスタサイズは、ゲート幅/ゲート長によって規定される請求項8記載の光受信回路。前記第1〜第4のトランジスタおよび前記第1〜第3の入力トランジスタは、バイポーラトランジスタであり、 前記入力トランジスタのトランジスタサイズは、ベース−エミッタ接合面積で表される請求項8記載の光受信回路。発光素子と、 前記発光素子の光信号を受光し、電流信号を出力する受光素子と、前記受光素子が接続された入力端子と、前記電流信号に基づく電圧信号が出力される出力端子と、を有する反転増幅回路と、前記入力端子と前記出力端子との間に直列に接続された第1の抵抗素子および第2の抵抗素子と、前記第1の抵抗素子と前記第2の抵抗素子との接続点と、基準電位と、の間に直列接続された第3の抵抗素子およびコンデンサと、を含む第1の回路と、前記電流信号に基づいて出力される電流によって前記コンデンサを充電する充電回路と、 を備え、 前記充電回路は、前記コンデンサから放電される電荷量を増加するように補正する補正回路であり、 前記補正回路は、前記出力端子に接続された制御端子と、前記入力端子に接続された第1の主端子と、電源電位に接続された第2の主端子と、を有する第1導電形の第1のトランジスタを有する光受信回路と、 を備えた光結合装置。

说明书全文

本発明の実施形態は、光受信回路および光結合装置に関する。

近年、光結合素子や光データリンクなど光を用いて信号を伝送する装置では、発光素子の発光効率等の性能が改善され、光伝送路を形成するプラスチックファイバの伝送損失レベルも向上している。そのため、これらのデバイスを用いることによって、低コストで大容量の光データ通信が可能となってきている。このような光データ通信環境においては、光受信回路のダイナミックレンジを拡大するとともに、広い動作範囲において安定した動作を維持することが求められる。

光伝送路の伝送距離の延長化にともなって、伝送される光信号の強度は、微弱レベルから非常に強いレベルまでのものが含まれるようになり、光受信回路のダイナミックレンジの拡大がより重大な問題となってきている。たとえば、受光素子と、TIA(Trans Impedance Amplifier、トランスインピーダンス増幅回路)と、を入段に含む光受信回路では、微弱レベルの光信号を受信する場合にTIAのゲイン設定を行うと、信号強度が強い場合にはTIAが飽和して出力の信号波形が歪む。そのため、出力信号に誤出力が生じてしまうため、信号強度を抑えなければならなかった。

特開2008−182529号公報

発明が解決しようとする課題は、誤出力を生じにくく、安定に動作する光受信回路および光結合装置を提供することである。

実施形態に係る光受信回路は、第1の電流信号を出力する第1の受光素子と、前記第1の受光素子が接続された入力端子と、前記第1の電流信号に基づく電圧信号が出力される出力端子と、を有する反転増幅回路と、前記入力端子と前記出力端子との間に直列に接続された第1の抵抗素子および第2の抵抗素子と、前記第1の抵抗素子と前記第2の抵抗素子との接続点と、基準電位、の間に直列接続された第3の抵抗素子およびコンデンサと、を含む第1の回路と、前記第1の電流信号に基づいて出力される電流によって前記コンデンサを充電する充電回路と、を備える。前記充電回路は、前記コンデンサから放電される電荷量を増加するように補正する補正回路である。前記補正回路は、前記出力端子に接続された制御端子と、前記入力端子に接続された第1の主端子と、電源電位に接続された第2の主端子と、を有する第1導電形の第1のトランジスタを含む。

第1の実施形態に係る光受信回路を例示するブロック図である。

第2の実施形態に係る光受信回路を例示する回路図である。

第2の実施形態の比較例に係る光受信回路の動作を説明する回路図である。

第3の実施形態に係る光受信回路を例示するブロック図である。

第3の実施形態の比較例に係る光受信回路を例示するブロック図である。

図6(a)は第3の実施形態の光受信回路の動作を説明する動作波形図である。図6(b)は、その比較例の光受信回路の動作を説明する動作波形図である。

第4の実施形態に係る光受信回路を例示するブロック図である。

第4の実施形態の比較例に係る光受信回路を例示するブロック図である。

図9(a)は第4の実施形態の光受信回路の動作を説明する動作波形図である。図9(b)は、その比較例の光受信回路の動作を説明する動作波形図である。

第5の実施形態に係る光受信回路を例示するブロック図である。

図11(a)は、第6の実施形態に係る光結合装置を例示するブロック図である。図11(b)は、第6の実施形態に係る光結合装置の構造を例示する断面図である。

第7の実施形態に係る光通信システムを例示するブロック図である。

以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。 (第1の実施形態) 図1は、本実施形態に係る光受信回路を例示する回路図である。 図1に示すように、本実施形態の光受信回路10は、受光素子1(PD)と、反転増幅回路2(Ai)と、帰還回路3と、リミッタ回路4と、カレントミラー回路5と、を備える。光受信回路10は、基準電位20と、電源電位25と、の間に接続される。基準電位20は、光受信回路10が接続される電位のうちもっとも低い電位であり、典型的には接地電位であり、0Vである。電源電位25は、光受信回路10が接続される電位のうちもっとも高い電位であり、たとえば、3.3Vである。基準電位20および電源電位25は、上述の電位関係が維持されていればよく、基準電位20および電源電位の両方または一方が負の電位を有していてもよい。

受光素子1は、基準電位20と、受光素子1の出力電流Ipが入力される入力ノード21(N1)と、の間に接続される。受光素子1は、たとえばシリコンフォトダイオードである。受光素子1は、シリコンフォトダイオードのほか、光伝送距離や通信速度等に応じてシリコンPINフォトダイオード、あるいはアバランシェフォトダイオード等他の光電変換素子であってもよい。材料もシリコンに限らない。

反転増幅回路2は、入力ノード21に接続された入力端子I1と、出力ノード23(N2)に接続された出力端子O1と、を有する。反転増幅回路2は、入力端子I1に入力された電圧を反転増幅して出力端子O1に出力する。

帰還回路3は、第1の抵抗素子31(Rf1)と、第2の抵抗素子32(Rf2)と、第3の抵抗素子(Rp)33と、コンデンサ34(Cp)と、を含む。第1の抵抗素子31および第2の抵抗素子32は、直列に接続されて、反転増幅回路2の入力端子I1と出力端子O1との間に接続される。第3の抵抗素子33およびコンデンサ34は、直列に接続されて、第1の抵抗素子31および第2の抵抗素子32の接続点である接続ノード26(N3)と、基準電位20との間に接続される。

このような帰還回路3が接続された反転増幅回路2は、周波数によって帰還量が変化するトランスインピーダンス増幅回路30を構成する。入力端子I1に入力される電流をII1とし、出力端子O1から出力される電圧VO1とすると、トランスインピーダンスZは、以下のように表される。

Z=VO1/II1 =(Rf1+Rf2)・{1+jωCp(Rp+Rf1・Rf2/(Rf1+Rf2)}/(1+jωCpRp) (1)

低周波では、Cpのインピーダンスが大きく、第1の抵抗素子Rf1および第2の抵抗素子Rf2の直列抵抗(Rf1+Rf2)によってトランスインピーダンスが決定される。Cpのインピーダンスが小さくなる高周波では、(Rf1+Rf2)+Rf1・Rf2/Rpによってトランスインピーダンスが決定される。すなわち、本実施形態の光受信回路10では、入力される信号の周波数によってトランスインピーダンスZが変化する。

リミッタ回路4は、出力ノード23に接続されたゲート端子G2(制御端子)と、入力ノード21に接続されたソース端子S2(第1の主端子)と、を有するリミッタトランジスタ14(M2)を含む。リミッタトランジスタ14のドレイン端子D2(第2の主端子)は、カレントミラー回路5の基準電流設定端子CMrefに接続される。リミッタトランジスタ14は、たとえばNチャネルMOSFETである。

リミッタ回路4は、直列に接続された第1の抵抗素子31および第2の抵抗素子32の両端の電圧を検出する。この両端の電圧が、リミッタトランジスタ14のしきい値電圧に達した場合に、リミッタトランジスタ14が導通して第1の抵抗素子31および第2の抵抗素子32の両端電圧をクランプする。そのため、反転増幅回路2の出力端子O1から出力される電圧VO1は、それ以上上昇せず、出力の飽和が防止される。

リミッタ回路4は、リミッタトランジスタ14のソース端子と入力ノード21との間に接続された抵抗素子を含んでもよい。このような抵抗素子を挿入することによって、リミッタトランジスタ14の急激なインピーダンスの低下を防ぎ、出力端子O1から出力される電圧VO1の飽和をより安定して防止することができる。

カレントミラー回路5は、電源電位25に接続される電源端子Vddmを有する。カレントミラー回路5は、電源電位25から電力の供給を受けて、基準電流Irefを設定する基準電流設定端子CMrefと、設定された基準電流Irefを折り返して出力電流Ioutを出力する電流出力端子CMoutと、を有する。基準電流設定端子CMrefは、リミッタトランジスタ14のドレイン端子D2に接続される。電流出力端子CMoutは、帰還回路3の直列接続された第3の抵抗素子33およびコンデンサ34の接続点である接続ノード27(N4)に接続される。出力電流Ioutは、基準電流Irefのk倍の値とすることができる。ここで、kは任意の正数である。

本実施形態に係る光受信回路10の動作について以下に説明する。 受光素子1は、パルス状に駆動され、パルス状の出力電流Ipを出力するものとする。受光素子1は、光を受光してパルス状の出力電流Ipを生成する。生成された出力電流Ipは、入力ノード21を介して帰還回路3を流れる。

より具体的には、リミッタ回路4が動作しない入力信号レベルの場合には、出力電流Ipの立ち上りにしたがって、接続ノード26の電位が上昇し、接続ノード26から第3の抵抗素子33を経由してコンデンサ34を充電するように流れる電流が出力電流Ipに加わって第2の抵抗素子32を流れる。そのため、反転増幅回路2の出力ノード23の電圧は正側に大きく振れる。コンデンサ34が充電されるにしたがって、接続ノード27の電位が上昇するとともに、出力ノード23の電圧は低下し、式(1)のトランスインピーダンスZにしたがう出力電圧を出力する。すなわち、出力電流Ipの立上り時には、出力ノード23の電圧VO1は、トランスインピーダンスZにしたがう出力電圧(Rf1+Rf2)×Ipに、オーバシュート電圧Vos(=Rf1×Rf2/Rp)×Ip)を加えた電圧が立上り時に出力される。

受光素子1の受光量が0になると、出力電流Ipは、その受光素子1が有する固有の立下り時間をもって0になる。コンデンサ34に充電された電荷は、第3の抵抗素子33を通り接続ノード26を介して放電する。このため、反転増幅回路2の出力ノード23の電圧は、負側に向かって大きく振れる。コンデンサ34に充電されていた電荷が放電されるにしたがい、出力ノード23の電圧は、反転増幅回路2の回路構成により定まるローレベルの出力電圧を出力する。すなわち、出力電流Ipの立下り時には、出力ノード23の電圧VO1は、出力電圧VO1の最小値からさらにアンダシュート電圧Vusだけ低い電圧が出力される。このとき、受光素子1(PD)に受光素子1の表面から深い領域で発生した光キャリアなどによる拡散電流等の遅延電流成分があっても、Cp,Rpの値を適切に設定することによって、アンダシュートを生成することができる。そのため、後段に接続される回路の誤動作を防止することができる。

このように、受光素子1が受光する光信号があまり強くない場合には、光受信回路10が出力する電圧は、出力電流Ipの立上り時にはオーバシュート電圧Vosを加えた電圧となり、出力電流の立下り時には、アンダシュート電圧Vusを差し引いた電圧が出力される。オーバシュート電圧Vosおよびアンダシュート電圧Vusは、帰還回路3のコンデンサ34の充放電時間によって決定される。

受光素子1が受光する光の強度が強い場合では、受光素子1の出力電流Ipの立上り時の動作は、上述と同様に出力電流Ipの立上りにしたがって出力ノード23の電圧が上昇する。出力電流Ipが立上り後においては、大きな出力電流Ipが流れることによって、帰還回路3の第1の抵抗素子31および第2の抵抗素子32の両端電圧が、リミッタトランジスタ14のしきい値電圧を超えるので、リミッタトランジスタ14が導通する。リミッタトランジスタ14がオンして流れる電流は、カレントミラー回路5の基準電流Irefとなる。カレントミラー回路5は、基準電流Irefのk倍の出力電流Ioutを出力して、コンデンサ34を充電する。カレントミラー回路5の出力電流Ioutは、コンデンサCpを充電するとともに、第3の抵抗素子33を介して、第1の抵抗素子31から入力ノード21に向かって流れ、また、第2の抵抗素子32にも流れる。

次に、受光量が0になると、受光素子1が出力する出力電流Ipは低下する。受光時にコンデンサ34に蓄えられた電荷の放電により出力ノード23の電位は、アンダシュートを生じる。受光時においては、リミッタトランジスタ14が働いており、出力ノード23の電圧上昇を制限するので、接続ノード26の電位は、入力ノード21と出力ノード23との中間の電位となる。そのため、カレントミラー回路5からの電流注入がない場合には、コンデンサ34に充電されていた電荷は少なく、その電荷量で決まるアンダシュート電圧Vusも小さくなる。

ここで、受光素子1がシリコンフォトダイオードであり、近赤外光を受光していた場合には、光励起キャリアの拡散長が100μm程度と長いため、受光量が0になっても光電流が消滅するまで、たとえば数100ns程度の長い時間を要する。このようなキャリアの消滅時間に起因する電流は、裾引き電流と呼ばれる。受光素子1の出力電流Ipが大きい場合には、出力電流Ipの波高値はリミッタ回路4で制限されるので、リミッタ回路4による制限後の出力電流Ipに対する裾引き電流成分の割合は、制限前の波高値に対する割合よりも大きくなる。たとえば、リミッタ回路4による制限前の出力電流Ipの波高値に対する裾引き電流成分の割合が5%であり、その波高値が、リミッタ回路4によって1/4の電流値に制限される場合を考える。この場合には、TIAの出力ノード23では、制限後の波高値に対する裾引き電流成分の割合は、制限前の4倍の20%まで増加する。アンダシュート電圧が小さく、アンダシュートを生じて立ち下がる時間が短いと、アンダシュートが終了した後にも裾引き電流成分が残る。残った裾引き電流成分による出力波形が後段のコンパレータのしきい値を超える場合には、コンパレータの誤出力等の誤動作を生じるおそれがある。

本実施形態の光受信回路10では、カレントミラー回路5は、リミッタ回路4の動作時にコンデンサ34を充電する。そのため、コンデンサ34の電荷は、増加するように補正されるので、出力の立下り時において、コンデンサ34の放電を持続させることができる。入力ノード21側の出力電流Ipがゆっくりとした裾を引く波形を示していたとしても、コンデンサ34からの放電が確保されるので、出力ノード23において十分大きなアンダシュート電圧Vusを発生させることができる。このように、本実施の形態の光受信回路10では、出力ノード23の電圧VO1は、十分な電圧と時間で立ち下がるので、後段に接続される回路は、誤動作を生じにくくなる。

(第2の実施形態) 図2は、第2の実施形態に係る光受信回路を例示する回路図である。 図3は、第2の実施形態の比較例に係る光受信回路の動作を説明する回路図である。 図2に示すように、本実施形態の光受信回路40は、反転増幅回路2aがMOSFETによるソース接地増幅回路を含み、カレントミラー回路5がMOSFETによるカレントミラー回路5aを含む点で第1の実施形態の光受信回路10と相違する。以下では、第1の実施形態の光受信回路10と同じ回路要素および接続については、同じ符号をつけて詳細な説明は省略する。

反転増幅回路2aは、反転増幅トランジスタ42(M1)と、負荷回路46(I1)と、を含む。反転増幅トランジスタ42は、基準電位20に接続されたソース端子と、入力ノード21に接続されたゲート端子と、出力ノード23に接続されたドレイン端子と、を有する。負荷回路46は、電源電位25と出力ノード23との間に接続される。負荷回路46は、反転増幅トランジスタ42に電流を流して動作点を設定する負荷であり、反転増幅トランジスタ42は、入力ノード21における電圧信号を反転増幅して出力ノード23へ出力する。負荷回路46は、電流源に限らず、抵抗素子であってもよい。反転増幅回路2aの入力端子I1と出力端子O1との間には帰還回路3が接続されており、反転増幅回路2aと帰還回路3とは、トランスインピーダンス増幅回路30aを構成する。

カレントミラー回路5aは、基準電流設定トランジスタ51(M3)と、電流出力トランジスタ52(M4)と、を含む。基準電流設定トランジスタ51は、電源電位25に接続されたソース端子S3と、自己のドレイン端子D3に接続されたゲート端子G3と、を有する。電流出力トランジスタ52は、電源電位25に接続されたソース端子S4と、基準電流設定トランジスタ51のゲート端子G3に接続されたゲート端子G4と、基準電流設定トランジスタ51に流れる基準電流Irefを折り返した出力電流Ioutを出力するドレイン端子D4と、を有する。基準電流設定トランジスタ51のドレイン端子D3は、リミッタトランジスタ14のドレイン端子D2に接続され、電流出力トランジスタ52のドレイン端子D4は、帰還回路3の第3の抵抗素子33およびコンデンサ34の接続点である接続ノード27に接続される。基準電流設定トランジスタ51のトランジスタサイズと、電流出力トランジスタ52のトランジスタサイズとの比をkとすることによって、出力電流Ioutを基準電流Irefのk倍(k>0)とすることができる。すなわち、カレントミラー回路5aを構成するトランジスタのトランジスタサイズを適切に設定することによって、コンデンサCpを充電する出力電流値Ioutを容易に設定することができる。なお、カレントミラー回路5aを構成するトランジスタは、電源電位25と他の回路素子との間に接続するために、たとえばPチャネルMOSFETが用いられる。また、カレントミラー回路5aを安定に動作させるために、基準電流設定トランジスタ51および電流出力トランジスタ52のゲートソース間にシャント抵抗53を接続することが望ましい。

上述したように、第2の実施形態の光受信回路40は、第1の実施形態の光受信回路10の反転増幅回路2aおよびカレントミラー回路5aを具体的回路素子によって構成したものである。そのため、図3では、比較例の光受信回路40aを、第2の実施形態の光受信回路40との比較として例示しているが、第1の実施形態の光受信回路10との比較としても同様である。また、図3に示すように、比較例の光受信回路40aは、第2の実施形態の光受信回路40のカレントミラー回路5aを有しない点で相違する。以下では、第2の実施形態の光受信回路10と同じ回路要素および接続については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。

比較例の光受信回路40aは、受光素子1(PD)と、反転増幅回路2aと、帰還回路3と、リミッタ回路4と、を備える。反転増幅回路2aは、反転増幅トランジスタ42と負荷回路46とを有し、これらによりソース接地増幅回路を構成している。帰還回路3は、第2の実施形態と同様に、第1の抵抗素子31(Rf1)と、第2の抵抗素子32(Rf2)と、第3の抵抗素子(Rp)33と、コンデンサ34(Cp)と、を含む。第1の抵抗素子31および第2の抵抗素子32は、直列に接続されて、反転増幅回路2の入力端子I1と出力端子O1との間に接続される。第3の抵抗素子33およびコンデンサ34は、直列に接続されて、第1の抵抗素子31および第2の抵抗素子32の接続点である接続ノード26と、基準電位20との間に接続される。

比較例の光受信回路40aの動作について説明する。 受光素子1の受光量が小さい場合の動作は、第1の実施形態の光受信回路10の受光量が小さい場合の動作と同じである。

受光素子1が大きな光信号を受光すると、出力電流Ipの立上りでは、出力電流Ipは、図3の実線の矢印で示すように、第2の抵抗素子32および第1の抵抗素子31からなる経路とともに、コンデンサ34を充電するように電流が流れる。このとき、出力電流Ipは、第1の抵抗素子31および第2の抵抗素子32の経路を流れて、両端の電圧がリミッタトランジスタ14のしきい値電圧を超えると、リミッタトランジスタ14がオンする。そのため受光素子1がハイレベルの出力電流Ipを出力している場合には、リミッタトランジスタ14でクランプされている電圧が出力される。

受光素子1の受光量が0になると、帰還回路3のコンデンサ34に充電された電荷は、図3の破線の矢印で示すように、第2の抵抗素子32を介して反転増幅トランジスタ42へ放電する。そのため、出力ノード23から出力される電圧VO1は、アンダシュートVusを生ずる。

ここで、受光素子1がシリコンフォトダイオードであり、近赤外光を照射されていたような場合には、数100nsにわたって拡散電流が流れ、いわゆる裾引き電流を生ずる。受光素子1に拡散電流が流れている期間においては、図3の一点鎖線で示すように、コンデンサ34に充電されていた電荷は、出力ノード23側だけでなく、第1の抵抗素子31を介して受光素子1の側へ放電する経路に流れる。そのため、コンデンサ34に充電にされていた電荷が出力ノード23側に放電する時間を十分確保することができないので、出力ノード23側に十分なアンダシュートVusを発生させることが困難になる。

これに対して、本実施形態の光受信回路40では、コンデンサ34にカレントミラー回路5aから十分な電荷が充電されるため、第1の抵抗素子31を介した受光素子1の側への放電を考慮しても十分な電圧を確保することができる。コンデンサ34に充電された十分な電荷が放電することによって、出力ノード23のアンダシュートが確保される。したがって、光受信回路40では、後段に接続される回路の誤動作等が防止される。

(第3の実施形態) 図4は、第3の実施形態に係る光受信回路を例示するブロック図である。 図5は、第3の実施形態の比較例に係る光受信回路を例示するブロック図である。 図6(a)は、第3の実施形態の光受信回路の動作を説明する動作波形図である。図6(b)は、その比較例の光受信回路の動作を説明する動作波形図である。 図4に示すように、本実施形態の光受信回路60は、出力ノード23に非反転入力端子が接続されたコンパレータ61と、コンパレータ61の反転入力端子に接続された基準電源回路62とを有する点で第1の実施形態の光受信回路10と相違する。以下では、第1の実施形態の光受信回路10と同じ回路要素および接続については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。

本実施形態に係る光受信回路60は、コンパレータ61(CMP1)と、基準電源回路62と、をさらに備える。コンパレータ61は、出力ノード23が接続された非反転入力端子NI2と、反転入力端子II2とを有する。基準電源回路62は、コンパレータ61の反転入力端子II2に基準電圧Vrefを印加するように接続される。コンパレータ61は、出力ノード23の電圧VO1と、基準電圧Vrefと、を比較して、電圧VO1が基準電圧Vrefよりも高い場合には、出力24からハイレベルの出力電圧VO2を出力する。コンパレータ61は、電圧VO1が基準電圧Vrefよりも低い場合には、出力24からローレベルの出力電圧を出力する。なお、コンパレータ61の出力の論理は、コンパレータ61の出力が接続される後続の回路により任意に設定される。たとえば、トランスインピーダンス増幅回路30の出力ノード23に反転入力端子II2を接続し、基準電源回路62を非反転入力端子NI2を接続することによって、上述の場合とは逆の論理の出力信号を得ることができる。

本実施形態の光受信回路60では、リミッタ回路4が動作するような大きな光信号を受光素子1が受光したような場合であっても、リミッタ回路4によりカレントミラー回路5が動作するので、コンデンサ34が十分高い電圧まで充電される。したがって、受光量が0になって、受光素子1に拡散電流等による裾引き電流が流れていても、出力ノード23の電圧VO1には、十分なアンダシュートを生じるので、裾引き電流によるVO1の上昇が抑えられる。そのため、コンパレータ61の誤動作は生じにくくなる。

図5に示すように、比較例に係る光受信回路60aは、カレントミラー回路5を有さない点で第3の実施形態の光受信回路60と相違する。以下では、第3の実施形態の光受信回路60と同じ回路要素および接続については、同じ符号をつけて詳細な説明は省略する。

比較例の光受信回路60aでは、受光素子1の受光量が増大し、第1および第2の抵抗素子31,32の両端に発生する電圧がリミッタトランジスタ14のしきい値電圧を超えると、リミッタトランジスタ14がオンする。このときに、受光量が0になると、受光素子1は長い裾引き電流を発生する。光受信回路60aは、コンデンサ34に充電されていた電荷を第2の抵抗素子32を介して放電するため、出力ノード23の電位はアンダシュートを生じて立ち下がる。しかしながら、コンデンサ34の電荷は、第1の抵抗素子31を介して受光素子1の側にも放電するため、出力ノード23に十分なアンダシュート電圧Vusを発生させることが困難となる。

図6(a)および図6(b)のそれぞれの上段のグラフは、受光素子1が出力する出力電流Ipの波形である。図6(a)および図6(b)のそれぞれの中段のグラフは、コンパレータ61に入力される電圧VO1,Vrefの波形を重ねて示したグラフである。図6(a)および図6(b)のそれぞれの下段のグラフは、コンパレータ61の出力24から出力される電圧VO2の波形である。

図6(a)に示すように、本実施形態の光受信回路60では、受光素子1の出力電流Ipの立下り時に、リミッタ回路4の動作に連動して動作するカレントミラー回路5によって、帰還回路3内のコンデンサ34が十分に充電されるので、図中破線円内のように、出力ノード23の電圧VO1にアンダシュート電圧Vusを生じる。そのため、光受信回路60の出力電圧VO1は急速な立下りが実現される。したがって、本実施形態の光受信回路60では、大振幅の出力電流Ipが入力された場合であっても、裾引き波形によって出力電圧VO1が持ち上がることがなく、次段のコンパレータの誤動作等を生じにくくすることができる。

一方、図6(b)に示すように、比較例の光受信回路60aでは、出力ノード23の電圧VO1のアンダシュートが十分に発生しないので、出力電流Ipの裾引き電流成分が十分に放電されず、小さなアンダシュート電圧が発生した後、裾引き電流に相似した出力波形となる。このため、出力ノード23の出力電圧VO1は、一旦持ち上がるように上昇する波形を示す。アンダシュートした電圧VO1が基準電圧Vrefで与えられるしきい値電圧を一旦横切った後に再度しきい値電圧を横切ってしまう場合には、コンパレータ61は、誤パルスを出力する。

(第4の実施形態) 図7は、第4の実施形態に係る光受信回路を例示するブロック図である。 図8は、第4の実施形態の比較例に係る光受信回路を例示するブロック図である。 図9(a)は、第4の実施形態の光受信回路の動作を説明する動作波形図である。図9(b)は、その比較例の光受信回路の動作を説明する動作波形図である。 図7に示すように、本実施形態に係る光受信回路70は、第1の実施形態の光受信回路10の出力ノード23にレベルシフト回路を介して、3入力のコンパレータが接続されている点で相違する。以下では、第1の実施形態の光受信回路10と同じ回路要素および接続については、同じ符号をつけて詳細な説明は省略する。

本実施形態の光受信回路70は、受光素子1と、トランスインピーダンス増幅回路71と、レベルシフト回路72と、コンパレータ73と、遅延回路74と、基準電源回路75と、を備える。

受光素子1が接続されたトランスインピーダンス増幅回路71は、第1の実施形態の光受信回路10と同じものである。レベルシフト回路72は、トランスインピーダンス増幅回路71の出力ノード23と、コンパレータ73の入力との間に接続され、出力ノード23から出力される電圧VO1の範囲をレベルシフト電圧Vaだけ負側にシフトさせて、コンパレータ73の第1の入力端子81iに接続される。レベルシフト電圧Vaは、受光素子1の出力電流Ipに対するしきい値ithを提供し、出力電流Ipがしきい値ithを超えたか否かでコンパレータ73の出力を反転させる。

遅延回路74は、直列接続されたコンデンサCdおよび抵抗Rdからなる時定数回路である。遅延回路74は、レベルシフト回路72の出力と、基準電位20との間に接続される。コンデンサCdと抵抗Rdとの接続点は、第2の入力端子82iに接続される。遅延回路74は、トランスインピーダンス増幅回路71の出力ノード23の出力電圧VO1を入力して遅延した信号を生成してコンパレータ73に入力する。

基準電源回路75は、直列接続されたコンデンサCrおよび抵抗Rrからなる時定数回路である。基準電源回路75は、入力ノード21と基準電位20との間に接続される。コンデンサCrと抵抗Rrとの接続点は、第3の入力端子83iに接続される。基準電源回路75の時定数は、受光素子1に入力される光信号の周波数に対して十分大きく、入力ノード21の変動に対して、ほぼ一定の電圧をコンパレータ73の第3の入力端子83iに供給する。なお、反転増幅回路2のゲインが十分大きい場合には、入力ノード21における入力インピーダンスは十分小さく、入力ノード21の電位変動はほとんどないので、必ずしもコンデンサCrや抵抗Rrは必ずしも接続されなくともよい。

コンパレータ73は、3つの入力トランジスタ81〜83と、電流源84と、を含む。これら3つの入力トランジスタ81〜83は、たとえばNチャネルMOSFETである。第1の入力トランジスタ81のゲート端子G11は、第1の入力端子81iを介してレベルシフト回路72に接続される。第1の入力トランジスタ81のドレイン端子D11は、第1の電流出力端子81oに接続される。第2の入力トランジスタ82のゲート端子G11は、第2の入力端子82iを介して遅延回路74に接続される。第3の入力トランジスタ83のゲート端子G13は、第3の入力端子83iを介して基準電源回路75に接続される。第2および第3の入力トランジスタ82,83のドレイン端子D12,D13は、互いに接続されて、第2の電流出力端子82oに接続される。第1〜第3の入力トランジスタ81〜83のソース端子S11〜S13は、互いに接続される。電流源84は、互いに接続された第1〜第3の入力トランジスタ81〜83のソース端子S11〜S13と基準電位20との間に接続される。

コンパレータ73では、第1の入力トランジスタ81のトランジスタサイズは、第2の入力トランジスタ82および第3の入力トランジスタ83それぞれのトランジスタサイズの和に等しくなるように設定されている。ここで、トランジスタサイズは、入力トランジスタがMOSFETの場合には、ゲート幅/ゲート長で表されるものとする。すなわち、第1の入力トランジスタ81のゲート幅をW1、ゲート長をL1とし、第2の入力トランジスタ82のゲート幅をW2、ゲート長をL2とし、第3の入力トランジスタ83のゲート幅をW3、ゲート長をL3とすると、以下のように表される。

W1/L1=W2/L2+W3/L3 (2)

ここで、第1の入力トランジスタ81に流れる電流I1、第2の入力トランジスタ82に流れる電流をI2、第3の入力トランジスタに流れる電流をI3とし、I1=I2+I3となるような受光素子1の出力電流をしきい値ithとする。

コンパレータ73は、受光素子1にしきい値ith以上の光電流が流れた場合およびith未満の光電流が流れた場合に、第1の電流出力端子81oおよび第2の電流出力端子82oの出力電流の大小関係が反転する。このようにして、光受信回路70は、入力ノード21における受光素子1の出力電流Ipのパルス幅PWに対して、歪みの少ない出力信号を得ることができる。また、式(2)を満たすことによって、しきい値ithは、温度によらずほぼ一定となる。

上述のようなコンパレータ73がトランスインピーダンス増幅回路71の出力側に接続された場合では、リミッタ回路4がオンするような大きな光信号による電流信号が入力された後に光信号がオフする際に長時間の裾引き電流を生じても、出力ノード23の立下りにアンダシュートが生成されるので、コンパレータ73の出力に誤動作が生じにくい。

図8に示すように、比較例の光受信回路70aは、本実施形態の光受信回路70と比べて、トランスインピーダンス増幅回路30bが、カレントミラー回路5を有さない点で、本実施形態の光受信回路70と相違する。

比較例の光受信回路70aは、光信号が0になったときに、受光素子1によって長い裾引き電流を生じる。帰還回路3のコンデンサ34に蓄積された電荷によって発生させるアンダシュートが不十分なために、コンパレータ73には、出力電圧VO1の持ち上がりが発生して、コンパレータ73は、誤パルスを出力するおそれがある。

図9(a)および図9(b)のそれぞれの上段のグラフは、受光素子1が出力する出力電流Ipの波形である。図9(a)および図9(b)のそれぞれの中段のグラフは、コンパレータ73に入力される電圧V11〜V13の波形を重ねて示したグラフである。図9(a)および図9(b)のそれぞれの下段のグラフは、コンパレータ73の出力NO1,NO2から出力される電圧の波形である。 図9(a)に示すように、本実施形態の光受信回路70では、トランスインピーダンス増幅回路71の出力ノード23の十分なアンダシュートが発生し、速い立下りが実現されるので、コンパレータ73の出力は、誤出力を生じない。

これに対して、図9(b)に示すように、比較例の光受信回路70aでは、入力ノード21における受光素子1の裾引き電流の波形は、一旦アンダシュートを発生して出力を反転させても、裾引き波形が残ってしまい再度しきい値を通過して出力を反転させてしまうため、コンパレータ73の出力には意図しない誤出力を生じてしまう。

本実施形態の光受信回路70では、後段の回路構成によらず、トランスインピーダンス増幅回路の出力ノード23から出力される電圧VO1に安定してアンダシュートVusを発生させることができる。したがって、上述したコンパレータの形式、回路構成によらず誤出力の少ない光受信回路を実現することができる。また、本実施形態の光受信回路70では、より低い電源電圧で動作する場合であっても、カレントミラー回路5からコンデンサ34に十分な電荷を充電することができる。そのため低電圧動作を含む広い電源電ある範囲において、出力ノード23において十分なアンダシュートを発生し、後段のコンパレータの誤動作を生じにくくすることができる。なお、本実施形態の光受信回路70では、波形整形回路として、特定の構成のコンパレータを備えるものとしたが、光受信回路に用いられる波形整形回路は上述の構成に限らず、その他の回路を後段に接続してもよい。

(第5の実施形態) 図10は、第5の実施形態に係る光受信回路を例示するブロック図である。 図10に示すように、本実施形態に係る光受信回路90は、サブ受光素子91をさらに備えており、カレントミラー回路5aの基準電流設定トランジスタ51のドレイン端子がサブ受光素子91に接続されている点で第2の実施形態の光受信回路40と相違する。以下では、第2の実施形態の光受信回路40と同じ回路要素および接続については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。

本実施形態の光受信回路90は、サブ受光素子91をさらに備える。サブ受光素子91は、受光素子1と同時に光信号1aを受信し、出力電流Ip’を出力する。サブ受光素子91の出力電流Ip’は、受光素子1が出力する出力電流Ipにほぼ比例する。そのため、受光素子1と同一の半導体基板に形成されるのが好ましい。サブ受光素子91は、カレントミラー回路5aと基準電位20との間に接続されており、サブ受光素子91の出力電流は、カレントミラー回路5aの基準電流設定トランジスタ51のドレイン端子D3に入力されている。基準電流設定トランジスタ51のドレイン端子D3は、第2の実施形態の光受信回路40と同様に、第3の抵抗素子33とコンデンサ34との接続点である接続ノード27に接続されている。

サブ受光素子91は、受光素子1の出力電流Ipに比例した出力電流Ip’を出力するので、カレントミラー回路5aの基準電流Irefは受光素子Ipに比例した電流値となる。カレントミラー回路5aの電流出力トランジスタ52のドレイン端子D4から出力される出力電流Ioutは、基準電流Irefを折り返した電流であり、基準電流Irefに比例した電流値である。したがって、コンデンサ34は、受光素子1の出力電流Ipに比例した電流Ioutで充電されることとなる。

本実施形態の光受信回路90の場合には、受光素子1の出力電流Ipに比例してアンダシュート発生のためのコンデンサ34への電荷の充電量を制御することができるので、リミッタ回路4が動作しない条件においても安定してアンダシュートを発生させることができる。たとえば、リミッタ回路4動作前の出力電流Ipの振幅が比較的小さい場合に、高温条件下では裾引き電流が長くなる傾向があるが、そのような場合であっても、アンダシュートを発生して、安定した立下りを実現することができる。

(第6の実施形態) 図11(a)は、第6の実施形態に係る光結合装置を例示するブロック図である。図11(b)は、第6の実施形態に係る光結合装置の構造を例示する断面図である。 上述した実施形態に係る光受信回路は、光信号を送信する光送信回路とともに用いられて、光結合装置110とすることができる。光結合装置110は、入出力間で電圧レベルが異なることにより電気回路を直接接続して信号の伝送を行うことが困難な環境等で用いられる。光結合装置110は、たとえばフォトカプラである。

図11(a)に示すように、本実施形態に係る光結合装置110は、発光素子111と、受信回路112と、を備える。

発光素子111は、たとえばAlGaAs等を含む赤外発光ダイオードである。発光素子111は、駆動回路114により駆動される。駆動回路114は、たとえばVdd1−Vss1の電圧を出力する外部電源に接続されて、信号入力端子INから信号が入力される。発光素子111は、入力信号にしたがって発光し、光信号を光受信回路10に伝達する。Vdd1は、たとえば+5Vであり、Vss1は、たとえば−5Vである。

受信回路112は、上述した第1の実施形態の光受信回路10を含む。伝送帯域等に応じて他の実施形態の光受信回路が用いられてももちろんよい。光受信回路10は、受光した光信号を受光素子1で電流に変換して、トランスインピーダンス増幅回路30によって電圧に変換して出力する。受信回路112は、上述したコンパレータのような波形整形回路113をさらに含んでもよい。波形整形回路113は、光受信回路10の出力に接続される。波形整形回路113は、光受信回路10から出力されたアナログの電圧信号を、しきい値と比較することによってデジタル信号に変換して出力端子OUTから出力する。光受信回路10および波形整形回路113は、共通の電源で動作するのが好ましく、動作電圧はVdd2−Vss2である。Vdd2は、たとえば3.3Vであり、Vss2は、たとえば0Vである。

図11(b)に示すように、光結合装置110は、発光素子111が半導体基板上に形成された発光素子チップ111aがマウントされ、ボンディングワイヤ(図示せず)によって接続されたリードフレーム121と、受信回路112が半導体基板上に形成された受信回路チップ112aがマウントされ、ボンディングワイヤ(図示せず)によって接続されたリードフレーム122と、を有する。リードフレーム121,122は、発光素子チップ111aおよび受信回路チップ112aがマウントされた面を向かい合わせるように配置される。向かい合わされて配置された発光素子チップ111aおよび受信回路チップ112aの部分は、光伝送損失を考慮した透明樹脂によって覆われる。さらにその外周部分は、たとえばトランスファモールド技術を用いて、エポキシ系の遮光性樹脂124で覆われる。光結合装置110は、発光素子チップ111aがマウントされたリードフレーム121のリードを用いて、駆動回路114と電気的に接続され、受信回路チップ112aがマウントされたリードフレーム122のリードから出力信号を得る。

光結合装置110は、広帯域で安定して動作することができる光受信回路10を備えているので、微弱な信号から大振幅信号まで、誤出力を生じにくい信号伝送を、電気的に絶縁された環境の下で行うことができる。

(第7の実施形態) 図12は、第7の実施形態に係る光通信システムを例示するブロック図である。 上述した実施形態に係る光受信回路10は、光信号を送信する送信回路とともに用いられて、光通信システム130とすることができる。光通信システム130は、光ファイバ135を介して伝送された光信号を受信して電気信号に変換して出力する。

図12に示すように、本実施形態に係る光通信システム130は、送信装置131と、光ファイバ135と、受信装置140と、を備える。送信装置131は、駆動回路132と、駆動回路132で駆動される発光素子133と、を有する。送信装置131の発光素子133は、光ファイバ135の端部で光学的に結合されて、光信号を伝送する。受信装置140は、光受信回路10と、光受信回路10から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する波形整形回路142と、を有する。光ファイバ135の他方の端部は、受信装置140の光受信回路10の受光素子1と光学的に結合されて、光ファイバ135を介して伝送されてきた光信号を受信する。光受信回路10では、光信号をアナログの電気信号に変換して波形整形回路142に出力する。

本実施形態に係る光通信システム130は、誤出力を生じにくく、広帯域で安定して動作する光受信回路10を備えているので、ダイナミックレンジを広げることが可能になる。したがって、通信距離を長くすることができ、伝送損失が大きい場合でも高ゲインで光信号を受信することができる。

上述のすべての実施形態においては、トランジスタには、MOSFETを用いることとしたが、一部または全部をバイポーラトランジスタに置き換えることもできる。バイポーラトランジスタのベースエミッタ間のしきい値電圧は、本質的に同じであり、トランジスタサイズと、電流密度を適切に設定することによって、上述の実施形態と同様の結果を得ることができる。

また、図示されたトランジスタの極性は、基準電位を高電位側とし、電源電位を低電位側に配置することによって、それぞれ逆極性のトランジスタを用いることができる。

以上説明した実施形態によれば、誤出力を生じにくく、安定に動作する光受信回路および光結合装置を実現することができる。

以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明及びその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。

1 受光素子、2,2a 反転増幅回路、3 帰還回路、4 リミッタ回路、5,5a カレントミラー回路、10,40,40a,60,60a,70,70a,90 光受信回路、14 リミッタトランジスタ、20 基準電位、21 入力ノード、23 出力ノード、24 出力、25 電源電位、26,27 接続ノード、31 第1の抵抗素子、32 第2の抵抗素子、33 第3の抵抗素子、34 コンデンサ、42 反転増幅トランジスタ、46 負荷回路、51 基準電流設定トランジスタ、52 電流出力トランジスタ、53 シャント抵抗、61 コンパレータ、62 基準電源、71 トランスインピーダンス増幅回路、72 レベルシフト回路、73 コンパレータ、74 遅延回路、75 基準電源回路、76 電流源、81〜83 入力トランジスタ、81i〜83i 入力端子、81o〜82o 電流出力端子、91 サブ受光素子、110 光結合装置、111 発光素子、111a 発光素子チップ、112 受信回路、112a 受信回路チップ、113 波形整形回路、114 駆動回路、121,122 リードフレーム、123 透明樹脂、124 遮光性樹脂、130 光通信システム、131 送信装置、132 送信回路、133 発光素子、135 光ファイバ、140 受信装置、142 波形整形回路

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