フロントエンドモジュール

申请号 JP2017527426 申请日 2016-07-01 公开(公告)号 JPWO2017006866A1 公开(公告)日 2018-03-29
申请人 株式会社村田製作所; 发明人 上野 晃一;
摘要 Band8およびBand3を同時に用いて通信するキャリアアグリゲーション方式が適用されるフロントエンドモジュール(1)であって、アンテナ素子(2)と複数の 信号 経路との接続を切り替えるアンテナスイッチモジュール(21)と、Band8の信号経路(31L)に接続された第1回路(51L)と、Band3の信号経路(31H)に接続され、第1回路(51L)と電磁界結合する第2回路(51H)とを備え、信号経路(31L)からアンテナスイッチモジュール(21)を経由して信号経路(31H)へ伝搬するBand3の周 波数 成分を有する信号と、第1回路(51L)および第2回路(51H)を経由して信号経路(31L)から信号経路(31H)へ伝搬するBand3の周波数成分を有する信号とは、位相がずれている関係にある。
权利要求

複数の周波数帯域から選択された第1周波数帯域と、前記複数の周波数帯域から選択された、前記第1周波数帯域と周波数が異なる第2周波数帯域とを同時に用いて通信するキャリアアグリゲーション方式が適用されるフロントエンドモジュールであって、 送信波を予め増幅する送信処理回路または受信波を信号処理する受信処理回路とアンテナ素子とを接続し、前記複数の周波数帯域のうち対応する周波数帯域の信号の伝搬に用いられる複数の信号経路と、 前記アンテナ素子と前記複数の信号経路のうちの少なくとも2つの信号経路とを同時接続させることにより、前記アンテナ素子と前記複数の信号経路との接続を切り替えるアンテナスイッチモジュールと、 前記第1周波数帯域の信号の伝搬に用いられる第1信号経路に接続された第1回路と、 前記第2周波数帯域の信号の伝搬に用いられる第2信号経路に接続され、前記第1回路と電磁界結合する第2回路とを備え、 前記第1信号経路から前記アンテナスイッチモジュールを経由して前記第2信号経路へ伝搬する前記第2周波数帯域の周波数成分を有する信号と、前記第1回路および前記第2回路を経由して前記第1信号経路から前記第2信号経路へ伝搬する前記第2周波数帯域の周波数成分を有する信号とは、位相がずれている関係にある フロントエンドモジュール。前記第1周波数帯域は、低周波数帯域群に属しており、 前記第2周波数帯域は、前記低周波数帯域群よりも高周波側に割り当てられた高周波数帯域群に属しており、 前記第1周波数帯域の信号の高調波の周波数は、前記第2周波数帯域に含まれる 請求項1に記載のフロントエンドモジュール。前記第1回路は、第1インダクタンス素子を有し、 前記第2回路は、前記第1インダクタンス素子と電磁界結合する第2インダクタンス素子を有し、 前記第1インダクタンス素子および前記第2インダクタンス素子は、いずれも、前記アンテナスイッチモジュールが搭載されたモジュール基板上に実装されたチップインダクタである 請求項1または2に記載のフロントエンドモジュール。前記第1回路は、第1インダクタンス素子を有し、 前記第2回路は、前記第1インダクタンス素子と電磁界結合する第2インダクタンス素子を有し、 前記第1インダクタンス素子および前記第2インダクタンス素子の一方は、前記アンテナスイッチモジュールが搭載されたモジュール基板上に実装されたチップインダクタであり、 前記第1インダクタンス素子および前記第2インダクタンス素子の他方は、前記モジュール基板に内蔵されている 請求項1または2に記載のフロントエンドモジュール。前記第1回路は、第1インダクタンス素子を有し、 前記第2回路は、前記第1インダクタンス素子と電磁界結合する第2インダクタンス素子を有し、 前記第1インダクタンス素子および前記第2インダクタンス素子は、いずれも、前記アンテナスイッチモジュールが搭載されたモジュール基板に内蔵されている 請求項1または2に記載のフロントエンドモジュール。さらに、 前記第1信号経路または前記第2信号経路に接続された、高周波信号の位相を調整することが可能な位相調整回路を備える 請求項1〜5のいずれか1項に記載のフロントエンドモジュール。前記第1回路および前記第2回路の一方は、インダクタンス素子を有し、 前記第1回路および前記第2回路の他方は、前記インダクタンス素子と電磁界結合する配線を有する 請求項1または2に記載のフロントエンドモジュール。前記フロントエンドモジュールは、 前記第1周波数帯域、前記第2周波数帯域、および、前記複数の周波数帯域から選択された、前記第1周波数帯域および前記第2周波数帯域と周波数が異なる第3周波数帯域のうち、前記第1周波数帯域と前記第2周波数帯域とを同時に用いて通信し、 前記第3周波数帯域の信号の伝搬に用いられる第3信号経路は、分岐ノードにおいて第3周波数帯域の信号の伝搬に用いられる第4信号経路と第5信号経路とに分岐されており、 さらに、 前記第3信号経路の前記分岐ノードよりも上り方向に接続された第3回路と、 前記第4信号経路に接続された第4回路と、 前記第5信号経路に接続された第5回路とを備え、 前記第3回路、前記第4回路、および前記第5回路のうちの2つの回路は電磁界結合しており、 前記第4信号経路から前記分岐ノードを経由して前記第5信号経路へ伝搬する第5周波数帯域の周波数成分を有する信号と、前記2つの回路を経由して前記第4信号経路から前記第5信号経路へ伝搬する前記第5周波数帯域の周波数成分を有する信号とは、位相がずれている関係にある 請求項1に記載のフロントエンドモジュール。前記フロントエンドモジュールは、 前記第1周波数帯域と、前記第2周波数帯域と、前記複数の周波数帯域から選択された、前記第1周波数帯域および前記第2周波数帯域と周波数が異なる第3周波数帯域とを同時に用いて通信し、 前記アンテナスイッチモジュールは、前記アンテナ素子と前記複数の信号経路のうちの3つの信号経路とを同時接続させることにより、前記アンテナ素子と前記複数の信号経路との接続を切り替え、 さらに、 前記第3周波数帯域の信号の伝搬に用いられる第3信号経路に接続された第3回路と、 前記第1信号経路と前記第1回路との接続点、または、前記第2信号経路と前記第2回路との接続点よりも下り方向に配置された第4回路とを備え、 前記第1回路または前記第2回路、前記第3回路、および前記第4回路のうちの2つの回路は電磁界結合しており、 前記第3信号経路から前記アンテナスイッチモジュールを経由して前記第2信号経路へ伝搬する前記第2周波数帯域の周波数成分を有する信号と、前記2つの回路を経由して前記第3信号経路から前記第2信号経路へ伝搬する前記第2周波数帯域の周波数成分を有する信号とは、位相がずれている関係にある 請求項1に記載のフロントエンドモジュール。

说明书全文

本発明は、高周波信号を処理するフロントエンドモジュールに関する。

近年の携帯電話には、1つの端末で複数の周波数および無線方式に対応することが要求されている(マルチバンド化およびマルチモード化)。マルチバンド化およびマルチモード化に対応するフロントエンドモジュールには、複数の送受信信号を品質劣化させずに高速処理することが求められている。

特許文献1には、高周波信号の伝搬に用いられる2経路間のアイソレーション特性が改善されたスイッチングデバイスおよびモジュールが開示されている。より具体的には、2経路のうち1経路が信号伝搬経路として選択される構成において、2つの入出端子間を遅延線によって接続することにより、一方の経路から他方の経路へ漏洩した信号を相殺している。

特開2014−96671号公報

しかしながら、上記従来のスイッチングデバイスは、常に2つの信号経路のうちから1つの信号経路を選択して信号伝搬させるシステムに適用されるものである。

これに対して、異なる周波数帯域の信号を同時に伝搬させる、いわゆるキャリアアグリゲーション(CA)方式を適用するシステムでは、複数の周波数帯域の信号を同時に伝搬させる。CA動作する複数の周波数帯域の信号の伝搬に用いられる複数の信号経路間のアイソレーション特性を所望の性能に確保するには、上記従来のスイッチングデバイスの構成では不十分である。

そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、キャリアアグリゲーション方式において、複数の周波数帯域間で良好なアイソレーション特性を確保できるフロントエンドモジュールを提供することを目的とする。

上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るフロントエンドモジュールは、複数の周波数帯域から選択された第1周波数帯域と、前記複数の周波数帯域から選択された、前記第1周波数帯域と周波数が異なる第2周波数帯域とを同時に用いて通信するキャリアアグリゲーション方式が適用されるフロントエンドモジュールであって、送信波を予め増幅する送信処理回路または受信波を信号処理する受信処理回路とアンテナ素子とを接続し、前記複数の周波数帯域のうち対応する周波数帯域の信号の伝搬に用いられる複数の信号経路と、前記アンテナ素子と前記複数の信号経路のうちの少なくとも2つの信号経路とを同時接続させることにより、前記アンテナ素子と前記複数の信号経路との接続を切り替えるアンテナスイッチモジュールと、前記第1周波数帯域の信号の伝搬に用いられる第1信号経路に接続された第1回路と、前記第2周波数帯域の信号の伝搬に用いられる第2信号経路に接続され、前記第1回路と電磁界結合する第2回路とを備え、前記第1信号経路から前記アンテナスイッチモジュールを経由して前記第2信号経路へ伝搬する前記第2周波数帯域の周波数成分を有する信号と、前記第1回路および前記第2回路を経由して前記第1信号経路から前記第2信号経路へ伝搬する前記第2周波数帯域の周波数成分を有する信号とは、位相がずれている関係にある。

これによれば、第1周波数帯域および第2周波数帯域の信号がCA動作する場合、例えば、アンテナスイッチモジュールを経由して第1信号経路から第2信号経路へ伝搬する第1周波数帯域の基本波または高調波成分と、第1回路および第2回路を経由して第1信号経路から第2信号経路へ伝搬する第1周波数帯域の基本波または高調波成分との位相がずれるので、互いに打ち消しあうことが可能となる。また、第1回路と第2回路との電磁界結合度を調整することにより、アンテナスイッチモジュールを経由せずに第1信号経路と第2信号経路との間を伝搬する信号の振幅および位相を容易に調整できる。よって、CA方式において、複数の周波数帯域間での良好なアイソレーション特性を確保することが可能となる。

また、前記第1周波数帯域は、低周波数帯域群に属しており、前記第2周波数帯域は、前記低周波数帯域群よりも高周波側に割り当てられた高周波数帯域群に属しており、前記第1周波数帯域の信号の高調波の周波数は、前記第2周波数帯域に含まれてもよい。

CA動作において、特に、低周波数帯域群の送信信号の高調波成分の周波数が、高周波数帯域群の受信帯域の周波数と略等しくなる場合が想定される。この場合には、上記送信信号と上記受信信号とが同時に送受信されているので、上記高調波成分がアンテナスイッチモジュールを経由して第1信号経路から第2信号経路へそのまま伝搬すると、高周波数帯域群において受信感度の著しい低下が発生してしまう。

本構成によれば、上記電磁界結合度を調整することにより、上記高調波成分の振幅および位相を容易に調整できる。よって、高周波数帯域群の受信帯域における受信感度の劣化を抑制することが可能となる。

また、前記第1回路は、第1インダクタンス素子を有し、前記第2回路は、前記第1インダクタンス素子と電磁界結合する第2インダクタンス素子を有し、前記第1インダクタンス素子および前記第2インダクタンス素子は、いずれも、前記アンテナスイッチモジュールが搭載されたモジュール基板上に実装されたチップインダクタであってもよい。

これにより、第1回路および第2回路を構成するチップインダクタの、モジュール基板上の配置位置を調整することにより、アンテナスイッチモジュールを経由せずに第1信号経路と第2信号経路との間を伝搬する信号の振幅および位相を容易に調整できる。例えば、電磁界結合する2つのチップインダクタ間の距離を調整することで、上記信号の振幅および位相を容易に調整できる。

また、前記第1回路は、第1インダクタンス素子を有し、前記第2回路は、前記第1インダクタンス素子と電磁界結合する第2インダクタンス素子を有し、前記第1インダクタンス素子および前記第2インダクタンス素子の一方は、前記アンテナスイッチモジュールが搭載されたモジュール基板上に実装されたチップインダクタであり、前記第1インダクタンス素子および前記第2インダクタンス素子の他方は、前記モジュール基板に内蔵されていてもよい。

これにより、第1回路および第2回路を構成するインダクタ素子の他方がモジュール基板内に内蔵されるので、モジュール基板上の回路部品の実装点数を低減でき、他の回路部品の配置レイアウトの自由度が向上する。また、第1インダクタンス素子と第2インダクタンス素子とを、モジュール基板の法線方向に近接配置できるので、電磁界結合度をより高めることが可能となる。また、一般的に、基板内蔵型インダクタに比べて、チップインダクタの方が大きなインダクタンス値を確保できる。よって、インピーダンス整合をとるにあたり、周波数帯域に応じてチップインダクタおよび基板内蔵型インダクタを使い分けることが可能となる。

また、前記第1回路は、第1インダクタンス素子を有し、前記第2回路は、前記第1インダクタンス素子と電磁界結合する第2インダクタンス素子を有し、前記第1インダクタンス素子および前記第2インダクタンス素子は、いずれも、前記アンテナスイッチモジュールが搭載されたモジュール基板に内蔵されていてもよい。

これにより、第1回路および第2回路を構成するインダクタ素子の双方がモジュール基板内に内蔵されるので、モジュール基板上の回路部品の実装点数を低減でき、他の回路部品の配置レイアウトの自由度が向上する。

また、さらに、前記第1信号経路または前記第2信号経路に接続された、高周波信号の位相を調整することが可能な位相調整回路を備えてもよい。

これにより、アンテナスイッチモジュールを経由せずに第1信号経路と第2信号経路との間を伝搬する信号の位相を、より高精度かつ広範囲に調整できる。

また、前記第1回路および前記第2回路の一方は、インダクタンス素子を有し、前記第1回路および前記第2回路の他方は、前記インダクタンス素子と電磁界結合する配線を有してもよい。

これにより、マイクロストリップ線路に例示される配線とインダクタンス素子との電磁界結合により、第1回路および第2回路を経由して第1信号経路から第2信号経路へ伝搬する第1周波数帯域の基本波または高調波成分を生成することが可能となる。また、上記配線とインダクタ素子との結合箇所を調整することで、電磁界結合する信号の振幅および位相を変化させることが可能となる。

また、前記フロントエンドモジュールは、前記第1周波数帯域、前記第2周波数帯域、および、前記複数の周波数帯域から選択された、前記第1周波数帯域および前記第2周波数帯域と周波数が異なる第3周波数帯域のうち、前記第1周波数帯域と前記第2周波数帯域とを同時に用いて通信し、前記第3周波数帯域の信号の伝搬に用いられる第3信号経路は、分岐ノードにおいて第3周波数帯域の信号の伝搬に用いられる第4信号経路と第5信号経路とに分岐されており、さらに、前記第3信号経路の前記分岐ノードよりも上り方向に接続された第3回路と、前記第4信号経路に接続された第4回路と、前記第5信号経路に接続された第5回路とを備え、前記第3回路、前記第4回路、および前記第5回路のうちの2つの回路は電磁界結合しており、前記第4信号経路から前記分岐ノードを経由して前記第5信号経路へ伝搬する前記第5周波数帯域の周波数成分を有する信号と、前記2つの回路を経由して前記第4信号経路から前記第5信号経路へ伝搬する前記第5周波数帯域の周波数成分を有する信号とは、位相がずれている関係にあってもよい。

これにより、第3信号経路から分岐した第4信号経路と第5信号経路との間で、第3回路、第4回路、および第5回路のうちの2つの回路が電磁界結合するので、第4信号経路から上記ノードを経由して第5信号経路へ伝搬する第5周波数帯域の周波数成分を有する信号と、上記2つの回路を経由して第4信号経路から第5信号経路へ伝搬する第5周波数帯域の周波数成分を有する信号とを、互いに打ち消しあうことが可能となる。

また、前記フロントエンドモジュールは、前記第1周波数帯域と、前記第2周波数帯域と、前記複数の周波数帯域から選択された、前記第1周波数帯域および前記第2周波数帯域と周波数が異なる第3周波数帯域とを同時に用いて通信し、前記アンテナスイッチモジュールは、前記アンテナ素子と前記複数の信号経路のうちの3つの信号経路とを同時接続させることにより、前記アンテナ素子と前記複数の信号経路との接続を切り替え、さらに、前記第3周波数帯域の信号の伝搬に用いられる第3信号経路に接続された第3回路と、前記第1信号経路と前記第1回路との接続点、または、前記第2信号経路と前記第2回路との接続点よりも下り方向に配置された第4回路とを備え、前記第1回路または前記第2回路、前記第3回路、および前記第4回路のうちの2つの回路は電磁界結合しており、前記第3信号経路から前記アンテナスイッチモジュールを経由して前記第2信号経路へ伝搬する前記第2周波数帯域の周波数成分を有する信号と、前記2つの回路を経由して前記第3信号経路から前記第2信号経路へ伝搬する前記第2周波数帯域の周波数成分を有する信号とは、位相がずれている関係にあってもよい。

これにより、第1信号経路から第2信号経路へ伝搬する第2周波数帯域の周波数成分を有する信号を抑制するだけでなく、第3信号経路から第2信号経路へ伝搬する第2周波数帯域の周波数成分を有する信号を抑制することが可能となる。

本発明に係るフロントエンドモジュールによれば、キャリアアグリゲーション方式において、複数の周波数帯域間で良好なアイソレーション特性を確保することが可能となる。

図1は、実施の形態1に係るフロントエンドモジュールの回路構成図である。

図2は、実施の形態1に係るフロントエンドモジュールの実装レイアウトを表す平面概略図である。

図3は、実施の形態1に係るフロントエンドモジュールのアイソレーション特性を表すグラフである。

図4は、比較例に係るフロントエンドモジュールのアイソレーション特性を表すグラフである。

図5は、実施の形態1の変形例1に係るフロントエンドモジュールの実装レイアウトを表す平面概略図である。

図6は、実施の形態1の変形例2に係るフロントエンドモジュールの実装レイアウトを表す平面概略図である。

図7は、実施の形態2に係るフロントエンドモジュールの回路構成図である。

図8は、実施の形態2に係るフロントエンドモジュールの実装レイアウトを表す平面概略図である。

図9は、実施の形態3に係るフロントエンドモジュールの回路構成図である。

図10は、実施の形態3の変形例に係るフロントエンドモジュールの回路構成図である。

図11は、実施の形態4に係るフロントエンドモジュールの回路構成図である。

図12は、実施の形態5に係るフロントエンドモジュールの回路構成図である。

以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面に示される構成要素の大きさまたは大きさの比は、必ずしも厳密ではない。

(実施の形態1) [1.1 フロントエンドモジュールの構成] 図1は、実施の形態1に係るフロントエンドモジュール1の回路構成図である。同図には、実施の形態1に係るフロントエンドモジュール1と、アンテナ素子2とが示されている。フロントエンドモジュール1およびアンテナ素子2は、例えば、マルチモード/マルチバンド対応の携帯電話のフロントエンドに配置される。

フロントエンドモジュール1は、ダイプレクサ11と、アンテナスイッチモジュール21と、LTE規格のBand3(送信帯域:1710−1785MHz、受信帯域:1805−1880MHz)の信号の伝搬に用いられる信号経路31Hと、LTE規格のBand8(送信帯域:880−915MHz、受信帯域:925−960MHz)の信号の伝搬に用いられる信号経路31Lと、第1回路51Lと、第2回路51Hと、デュプレクサ41Hおよび41Lとを有している。

フロントエンドモジュール1は、マルチモード/マルチバンドに対応すべく、複数の周波数帯域により無線信号を送受信するための信号経路が複数設けられた、マルチキャリア用送受信装置である。本実施の形態では、複数の周波数帯域として、3G/4G対応のLTE規格Band3およびBand8が設けられている。Band3およびBand8を搬送波とする信号は、周波数分割複信(FDD)方式により、それぞれ信号経路31Hおよび31Lを伝搬する。

なお、本実施の形態に係るフロントエンドモジュール1は、Band3およびBand8だけでなく、その他の周波数帯域の信号を伝搬する信号経路を有していてもよく、また、FDD方式だけでなく、TDD方式に適用される周波数帯域の信号を伝搬する信号経路を有していてもよい。

信号経路31Hおよび31Lは、FDD方式により信号処理されるため、信号経路31Hおよび31L上には、それぞれ、同時送受信を可能とするためのデュプレクサ41Hおよび41Lが配置されている。なお、TDD方式により信号処理される信号経路の場合には、デュプレクサは配置されない場合がある。

信号経路31Hおよび31Lの送信経路(Tx)は、それぞれ、送信端子611Hおよび611Lを介して、送信波を予め増幅する送信処理回路(図示せず)と接続されている。また、信号経路31Hおよび31Lの受信経路(Rx)は、それぞれ、受信端子612Hおよび612Lを介して、ローノイズアンプなどの受信処理回路(図示せず)に接続されている。

ここで、本実施の形態に係るフロントエンドモジュール1は、通信品質の向上を目的として、異なる周波数帯域を同時に使用する、いわゆるキャリアアグリゲーション方式(CA)が採用される。つまり、高周波数帯域群に属する周波数帯域のうち選択された第2周波数帯域と、低周波数帯域群に属する周波数帯域のうち選択された第1周波数帯域とを同時に搬送波として用いて通信を行う。より具体的には、本実施の形態では、高周波数帯域群に属するBand3と低周波数帯域群に属するBand8とを同時使用する。

ダイプレクサ11は、アンテナ素子2から入力された無線信号を、低周波数帯域群(ローバンド部10L:例えば、700MHz−1GHz)または高周波数帯域群(ハイバンド部10H:例えば、1.7GHz−2.2GHz)に分岐してアンテナスイッチモジュール21へ出力する。また、ダイプレクサ11は、アンテナスイッチモジュール21を介して各信号経路から入力された送信信号を、アンテナ素子2へ出力する。

アンテナスイッチモジュール21は、アンテナ素子2と上記複数の信号経路のうちの少なくとも2つの信号経路とを接続させることにより、アンテナ素子2と複数の信号経路との接続を切り替える。より具体的には、アンテナスイッチモジュール21は、高周波スイッチ21Hおよび21Lを備える。高周波スイッチ21Hは、ダイプレクサ11に接続された高周波側入力端子121Hと、ハイバンド部10Hの複数の信号経路のそれぞれに接続された複数の出力端子とを備える。高周波側入力端子121Hは、Band3の信号経路31Hを含むハイバンド部10Hの信号経路のうちの1つと排他的に接続される。一方、高周波スイッチ21Lは、ダイプレクサ11に接続された低周波側入力端子121Lと、ローバンド部10Lの複数の信号経路のそれぞれに接続された複数の出力端子とを備える。低周波側入力端子121Lは、Band8の信号経路31Lを含むローバンド部10Lの信号経路のうちの1つと排他的に接続される。つまり、アンテナスイッチモジュール21は、高周波数帯域群および低周波数帯域群に対応して、2つの1入力多出力型の高周波スイッチを有しており、ハイバンド部10HのBand3の信号経路31Hとローバンド部10LのBand8の信号経路31Lとを同時接続することが可能である。

第1回路51Lは、Band8(第1周波数帯域)の信号の伝搬に用いられる信号経路31L(第1信号経路)に接続されている。また、第2回路51Hは、Band3(第2周波数帯域)の信号の伝搬に用いられる信号経路31H(第2信号経路)に接続されている。ここで、第1回路51Lと第2回路51Hとは、電磁界結合している。

第1回路51Lは、例えば、インダクタ151L(第1インダクタンス素子)を有する。インダクタ151Lの両端子は、それぞれ、信号経路31Lおよび接地端子に接続されている。

第2回路51Hは、例えば、インダクタ151H(第2インダクタンス素子)を有する。インダクタ151Hの両端子は、それぞれ、信号経路31Hおよび接地端子に接続されている。

ここで、本実施の形態において、Band8(第1周波数帯域)の送信信号(送信帯域:880−915MHz)の2次高調波成分の周波数は、Band3(第2周波数帯域)の受信帯域(1805−1880MHz)に含まれる。つまり、第1周波数帯域の送信信号の高調波の周波数は、第2周波数帯域に含まれる。この周波数関係により、送信処理回路から信号経路31Lを伝搬するBand8の送信信号の2次高調波成分が、アンテナスイッチモジュールおよびダイプレクサ11を経由して信号経路31Hの受信経路(Rx)へと伝搬する(経路A)可能性がある。この場合には、Bnad8とBand3とがCA動作している状態において、Band3の受信感度が劣化してしまう可能性がある。

しかしながら、本実施の形態に係るフロントエンドモジュール1は、信号経路31Lおよび31Hに、互いに電磁界結合する第1回路51Lおよび第2回路51Hが接続されている。

ここで、第1回路51Lおよび第2回路51Hは、第1回路51Lおよび第2回路51Hを経由して(アンテナスイッチモジュール21を経由せずに)信号経路31Lから信号経路31Hへ伝搬する(経路B)Band8の送信信号の2次高調波成分が、アンテナスイッチモジュール21を経由して信号経路31Lから信号経路31Hへ伝搬する(経路A)上記2次高調波成分を相殺する機能を有している。より具体的には、経路Aを伝搬する上記2次高調波成分と経路Bを伝搬する上記2次高調波成分との信号位相がずれるようにインダクタ151Lおよび151Hが配置されている。より好ましくは、経路Aを伝搬する上記2次高調波成分と経路Bを伝搬する上記2次高調波成分との信号振幅が等しく、かつ、位相反転する関係となるようインダクタ151Lおよび151Hが配置される。

上記のように第1回路51Lと第2回路51Hとの電磁界結合度を調整することにより、アンテナスイッチモジュール21を経由せずに信号経路31Lと信号経路31Hとの間を伝搬する信号の振幅および位相を容易に調整できる。よって、CA方式において、複数の周波数帯域間での良好なアイソレーション特性を確保することが可能となる。

[1.2 回路部品の配置レイアウト] 図2は、実施の形態1に係るフロントエンドモジュール1の実装レイアウトを表す平面概略図である。同図に示すように、フロントエンドモジュール1は、モジュール基板100の実装面上に、ダイプレクサ11と、アンテナスイッチモジュール21と、デュプレクサ41Hおよび41Lと、インダクタ151Hおよび151Lとが実装されている。なお、実装された上記回路部品同士を接続する配線については、表示を省略している。

モジュール基板100は、多層基板または単層基板のいずれであってもよく、材料としては、セラミックまたは樹脂が用いられる。

アンテナスイッチモジュール21は、それぞれ1チップで構成された高周波スイッチ21Hおよび21Lが、1パッケージ化された回路部品である。

ダイプレクサ11、デュプレクサ41Hおよび41Lは、それぞれ、パッケージ化された回路部品である。なお、高周波スイッチ21Hおよび21L、ダイプレクサ11、ならびに、デュプレクサ41Hおよび41Lは、それぞれ、パッケージ化されていないダイであって、例えば、キャビティー構造を有するモジュール基板100に直接実装される形態であってもよい。

インダクタ151Hおよび151Lは、それぞれ、チップ状のインダクタンス素子である。

なお、本実施の形態では、上記回路部品は同一実装面上に配置されているが、背向する表面および裏面に分散して配置されていてもよい。また、上記回路部品は、1枚のモジュール基板100に配置されていなくてもよく、複数の基板に分散して配置されてもよい。

図2に示されたフロントエンドモジュール1の実装レイアウトは、図1に示された回路構成図における回路部品の接続関係を反映している。つまり、図2に示された実装レイアウトは、原則として、各回路部品間を接続する配線が最小となるようなレイアウトとなっている。ここで、チップ状のインダクタ151Hとインダクタ151Lとの電磁界結合度は、インダクタ151Hおよび151Lの間隔GLに強く依存する。

[1.3 実施の形態に係るフロントエンドモジュールのアイソレーション特性] 図3は、実施の形態1に係るフロントエンドモジュール1のアイソレーション特性を表すグラフである。より具体的には、図3には、間隔GLを変化させた場合の、Band8送信経路(Tx)−Band3受信経路(Rx)間のアイソレーション(S21)を表している。なお、この場合、インダクタ151Hのインダクタンス値を3.0nHとし、インダクタ151Lのインダクタンス値を7.5nHとしている。

図3のグラフに示すように、インダクタ151Hおよび151Lが配置されていない場合(図中、インダクタなしと表記)と比較して、インダクタ151Hおよび151Lが配置された場合(図中、GL=250μm、200μm、150μmと表記)の方が、Band3の受信帯域(1805−1880MHz)において、アイソレーション(S21)が改善されている。

また、インダクタ151Hおよび151Lが配置された場合において、間隔GLが小さい方が、アイソレーション(S21)がより改善される。これは、上記インダクタンス値が選択されたインダクタ151H(3.0nH)およびインダクタ151L(7.5nH)の組み合わせにおいて、間隔GLが小さいほど、インダクタ151Hおよび151Lの電磁界結合度が強くなるためと解される。言い換えると、図1の経路Aを通過するBand8の送信波の2倍高調波成分と、図1の経路Bを通過するBand8の送信波の2倍高調波成分との振幅が揃い、かつ、位相が反転関係となる方向へ進行することによるものと解される。

図3のグラフにおいて、間隔GLを150μmとした場合には、インダクタ151Hおよび151Lが配置されていない場合と比較して、Band3の受信帯域(1805−1880MHz)において15dB−30dB程度のアイソレーションの改善が達成されている。

[1.4 比較例に係るフロントエンドモジュールのアイソレーション特性] 図4は、比較例に係るフロントエンドモジュールのアイソレーション特性を表すグラフである。より具体的には、同じ周波数帯域(Band5)内の送信経路(Tx)と受信経路(Rx)との間のアイソレーション(S21)を表している。なお、本比較例では、Band5の送信経路(Tx)に送信帯域通過フィルタが配置され、同じくBand5の受信経路(Rx)に受信帯域通過フィルタが配置された構成において、送信帯域通過フィルタ内に設けられたインダクタと、Band5の送信経路と受信経路とが合流した経路(送信帯域通過フィルタおよび受信帯域通過フィルタのアンテナ側の経路)上にシャント接続されたインダクタとが電磁界結合している。

上記構成により、図4のグラフに示すように、同一周波数帯域内において電磁界結合している場合(図中、アイソレーション対策ありと表記)には、上記電磁界結合していない場合(図中、アイソレーション対策なしと表記)と比較して、Band5の受信帯域(869−894MHz)において7dB程度のアイソレーションの改善が達成されている。

これは、上記電磁界結合を経由して送信経路(Tx)から受信経路(Rx)へ伝搬するBand5の送信信号が、上記電磁界結合を経由せずに送信経路(Tx)から受信経路(Rx)へ伝搬するBand5の送信信号を相殺する機能を有していることによるものと解される。

比較例1に係るフロントエンドモジュールの構成は、実施の形態に係るフロントエンドモジュール1の構成と比較して、以下の点で異なる。 (1)1つの周波数帯域(Band5)において同時送受信する点 (2)受信信号の周波数と受信経路に流入する送信信号の周波数とは、同じ周波数帯域(Band5)に属するが異なる点

本実施の形態に係るフロントエンドモジュール1の構成によれば、CA動作する低周波数帯域群に属する送信波の高調波の周波数と、低周波数帯域群と異なる周波数帯域である高周波数帯域群に属する受信波の基本周波数とが略一致するにもかかわらず、比較例1によるアイソレーション特性(7dB)よりも優れたアイソレーション特性(15−30dB)を有することが可能となる。

本実施の形態では、CA動作する信号経路のそれぞれに接続された2つのインダクタの間隔を調整することにより、異なる周波数帯域の伝搬に用いられる信号経路間であっても高アイソレーション特性を実現することが可能となる。つまり、2つのインダクタの距離を調整することにより、異なる周波数帯域の伝搬に用いられる信号経路間であっても、アンテナスイッチモジュール21を経由せずに2つのインダクタ間を伝搬する信号の振幅および位相を容易に調整できる。

なお、チップ状のインダクタ151Hおよび151Lの間に、樹脂などを充填してもよい。これによっても、電磁界結合度をさらに調整することが可能となる。

[1.5 変形例1に係る回路部品の配置レイアウト] 図5は、実施の形態1の変形例1に係るフロントエンドモジュール1Aの実装レイアウトを表す平面概略図である。同図に示すように、フロントエンドモジュール1Aは、モジュール基板100の実装面上に、ダイプレクサ11と、アンテナスイッチモジュール21と、デュプレクサ41Hおよび41Lと、インダクタ151Hおよび151Lとが実装されている。なお、実装された上記回路部品同士を接続する配線については、表示を省略している。

本変形例に係るフロントエンドモジュール1Aの配置レイアウトは、実施の形態1に係るフロントエンドモジュール1の配置レイアウトと比較して、2つのインダクタの一方が、モジュール基板100に内蔵されたインダクタ素子である点のみが異なる。以下、本変形例に係るフロントエンドモジュール1Aについて、実施の形態1に係るフロントエンドモジュール1と同じ点は説明を省略し、異なる点を中心に説明する。

インダクタ151Hは、モジュール基板100に内蔵された第2インダクタンス素子であり、例えば、モジュール基板100内に積層されたコイルパターンにより構成されている。

インダクタ151Lは、モジュール基板100上に実装されたチップ状の第1インダクタンス素子である。

これにより、第2回路を構成するインダクタ151Hがモジュール基板100内に内蔵されるので、モジュール基板100上の回路部品の実装点数を低減でき、他の回路部品の配置レイアウトの自由度が向上する。

ここで、チップ状のインダクタ151Hとインダクタ151Lとの電磁界結合度は、インダクタ151Hおよび151Lの距離に強く依存するが、インダクタ151Lとインダクタ151Hとを、モジュール基板100の法線方向に近接配置できるので、電磁界結合度を高めることが可能となる。

なお、インダクタ151Hおよび151Lの形態は、逆であってもよい。つまり、インダクタ151Hがモジュール基板100上に実装されたチップ状の第2インダクタンス素子であって、インダクタ151Lがモジュール基板100に内蔵された第1インダクタンス素子であってもよい。

ただし、一般的に、基板内蔵型のインダクタンス素子に比べて、チップ状のインダクタンス素子の方が大きなインダクタンス値を確保できる。この観点からインダクタンス素子により構成される第1回路51Lおよび第2回路51Hの複素インピーダンス(jωL)の整合を考慮した場合、低周波数帯域群に属する信号経路に接続されるインダクタ151Lを、相対的に大きなインダクタンス値を確保できるチップ状のインダクタンス素子で構成し、高周波数帯域群に属する信号経路に接続されるインダクタ151Hを、相対的に小さなインダクタンス値を確保できる基板内蔵型のインダクタンス素子で構成することが好ましい。つまり、インピーダンス整合をとるにあたり、周波数帯域に応じてチップ状のインダクタンス素子および基板内蔵型のインダクタンス素子を使い分けることが可能となる。

[1.6 変形例2に係る回路部品の配置レイアウト] 図6は、実施の形態1の変形例2に係るフロントエンドモジュール1Bの実装レイアウトを表す平面概略図である。同図に示すように、フロントエンドモジュール1Bは、モジュール基板100の実装面上に、ダイプレクサ11と、アンテナスイッチモジュール21と、デュプレクサ41Hおよび41Lと、インダクタ151Hおよび151Lとが実装されている。なお、実装された上記回路部品同士を接続する配線については、表示を省略している。

本変形例に係るフロントエンドモジュール1Bの配置レイアウトは、実施の形態1に係るフロントエンドモジュール1の配置レイアウトと比較して、2つのインダクタの双方が、モジュール基板100に内蔵されたインダクタ素子である点のみが異なる。以下、本変形例に係るフロントエンドモジュール1Bについて、実施の形態1に係るフロントエンドモジュール1と同じ点は説明を省略し、異なる点を中心に説明する。

インダクタ151Hは、モジュール基板100に内蔵された第2インダクタンス素子であり、例えば、モジュール基板100内に積層されたコイルパターンにより構成されている。

インダクタ151Lは、モジュール基板100に内蔵された第1インダクタンス素子であり、例えば、モジュール基板100内に積層されたコイルパターンにより構成されている。

これにより、第1回路および第2回路を構成するインダクタ素子の双方がモジュール基板100内に内蔵されるので、モジュール基板100上の回路部品の実装点数を低減でき、他の回路部品の配置レイアウトの自由度が向上する。

(実施の形態2) [2.1 フロントエンドモジュールの構成] 図7は、実施の形態2に係るフロントエンドモジュール1Cの回路構成図である。同図には、実施の形態2に係るフロントエンドモジュール1Cと、アンテナ素子2とが示されている。本実施の形態に係るフロントエンドモジュール1Cは、実施の形態1に係るフロントエンドモジュール1と比較して、第1回路51Lの回路構成のみが構成として異なる。以下、本実施の形態に係るフロントエンドモジュール1Cについて、実施の形態1に係るフロントエンドモジュール1と同じ点は説明を省略し、異なる点を中心に説明する。

第1回路51Lは、Band8(第1周波数帯域)の信号の伝搬に用いられる信号経路31L(第1信号経路)に接続されている。また、第2回路51Hは、Band3(第2周波数帯域)の信号の伝搬に用いられる信号経路31H(第2信号経路)に接続されている。ここで、第1回路51Lと第2回路51Hとは、電磁界結合している。

第1回路51Lは、マイクロストリップ線路に例示される配線181Lを有する。配線181Lは、信号経路31Lの一部として挿入されている。

第2回路51Hは、例えば、インダクタ151H(インダクタンス素子)を有する。インダクタ151Hの両端子は、それぞれ、信号経路31Hおよび接地端子に接続されている。

配線181Lとインダクタ151Hとは電磁界結合している。

なお、インダクタ171Lは、インピーダンス整合用のインダクタンス素子であり、本発明に必須の構成要素ではない。

本実施の形態に係るフロントエンドモジュール1Cは、信号経路31Lおよび31Hに、互いに電磁界結合する第1回路51Lおよび第2回路51Hが接続されている。

ここで、第1回路51Lおよび第2回路51Hは、第1回路51Lおよび第2回路51Hを経由して(アンテナスイッチモジュール21を経由せずに)信号経路31Lから信号経路31Hへ伝搬する(経路C)Band8の送信信号の2次高調波成分が、アンテナスイッチモジュール21を経由して信号経路31Lから信号経路31Hへ伝搬する(経路A)上記2次高調波成分を相殺する機能を有している。より具体的には、経路Aを伝搬する上記2次高調波成分と経路Cを伝搬する上記2次高調波成分との信号位相がずれるように配線181Lおよびインダクタ151Hが配置されている。より好ましくは、経路Aを伝搬する上記2次高調波成分と経路Cを伝搬する上記2次高調波成分との信号振幅が等しく、かつ、位相反転となる方向へ進行するよう配線181Lおよびインダクタ151Hの位置が最適化される。

上記のように第1回路51Lと第2回路51Hとの電磁界結合度を調整することにより、アンテナスイッチモジュール21を経由せずに信号経路31Lと信号経路31Hとの間を伝搬する信号の振幅および位相を容易に調整できる。よって、CA方式において、複数の周波数帯域間での良好なアイソレーション特性を確保することが可能となる。

なお、第1回路51Lおよび第2回路51Hの回路構成は、逆であってもよい。つまり、第1回路51Lがインダクタ素子を有し、第2回路51Hが配線を有してもよい。

また、第1回路51Lおよび第2回路51Hの双方が、互いに電磁界結合する配線を有していてもよい。

[2.2 回路部品の配置レイアウト] 図8、実施の形態2に係るフロントエンドモジュール1Cの実装レイアウトを表す平面概略図である。同図に示すように、フロントエンドモジュール1Cは、モジュール基板100の実装面上に、ダイプレクサ11と、アンテナスイッチモジュール21と、デュプレクサ41Hおよび41Lと、インダクタ151Hおよび171Lと、配線181Lとが実装されている。なお、実装された上記回路部品同士を接続する配線については、表示を省略している。

インダクタ151Hは、モジュール基板100に内蔵された第2インダクタンス素子であり、例えば、モジュール基板100内に積層されたコイルパターンにより構成されている。

配線181Lは、モジュール基板100に形成された高周波伝送線路であり、例えば、モジュール基板100上に形成されたマイクロストリップ線路により構成されている。

インダクタ171Lは、モジュール基板100上に実装されたチップ状のインピーダンス整合用のインダクタンス素子である。

ここで、インダクタ151Hと配線181Lとの電磁界結合度は、インダクタ151Hと配線181Lとの配置関係に強く依存する。

これにより、配線181Lとインダクタ151Hとの電磁界結合により、第1回路51Lおよび第2回路51Hを経由してBand8の信号経路31Lから信号経路31Hへ伝搬するBand8の2次高調波成分を生成することが可能となる。

よって、上記のように第1回路51Lと第2回路51Hとの電磁界結合度を調整することにより、アンテナスイッチモジュール21を経由せずに信号経路31Lと信号経路31Hとの間を伝搬する信号の振幅および位相を容易に調整できる。また、配線181Lとインダクタ151Hとの電磁界結合箇所を調整することで、電磁界結合する信号の振幅および位相を変化させることが可能となる。つまり、経路Bを伝搬するBand8の送信信号の2次高調波成分が、経路Aを伝搬する上記2次高調波成分を打ち消しあうことが可能となる。よって、CA方式において、複数の周波数帯域間での良好なアイソレーション特性を確保することが可能となる。

なお、インダクタ151Hは、チップ状のインダクタンス素子であってもよい。

(実施の形態3) 本実施の形態では、実施の形態1および2で挙げた、CA動作する第1の周波数帯域および第2の周波数帯域のアイソレーション特性を向上させる構成に、上記2つの周波数帯域とはCA動作しない第3の周波数帯域内でのアイソレーション特性を向上させる構成が付加されたフロントエンドモジュール1Dについて説明する。

図9は、実施の形態3に係るフロントエンドモジュール1Dの回路構成図である。同図には、実施の形態3に係るフロントエンドモジュール1Dと、アンテナ素子2とが示されている。フロントエンドモジュール1Dおよびアンテナ素子2は、例えば、マルチモード/マルチバンド対応の携帯電話のフロントエンドに配置される。

フロントエンドモジュール1Dは、ダイプレクサ11と、アンテナスイッチモジュール21と、LTE規格のBand3(第2の周波数帯域)の信号の伝搬に用いられる信号経路31H(第2信号経路)と、LTE規格のBand8(第1の周波数帯域)の信号の伝搬に用いられる信号経路31L(第1信号経路)と、ハイバンド部10Hに属する周波数帯域(第3の周波数帯域)の信号の伝搬に用いられる信号経路32H(第3信号経路)と、インダクタ151L、151H、172H、173Hおよび174Hと、デュプレクサ41L、41H、421Hおよび422Hとを有している。また、信号経路32Hは、分岐ノードにおいて第3周波数帯域の信号の伝搬に用いられる信号経路321H(第4信号経路)と322H(第5信号経路)とに分岐されている。

アンテナスイッチモジュール21は、高周波スイッチ21Hおよび21Lを備える。高周波スイッチ21Hは、ダイプレクサ11に接続された高周波側入力端子と、ハイバンド部10Hの複数の信号経路のそれぞれに接続された複数の出力端子とを備える。高周波側入力端子は、Band3の信号経路31Hおよび信号経路32Hを含むハイバンド部10Hの信号経路のうちの1つと排他的に接続される。一方、高周波スイッチ21Lは、ダイプレクサ11に接続された低周波側入力端子と、ローバンド部10Lの複数の信号経路のそれぞれに接続された複数の出力端子とを備える。低周波側入力端子は、Band8の信号経路31Lを含むローバンド部10Lの信号経路のうちの1つと排他的に接続される。つまり、アンテナスイッチモジュール21は、高周波数帯域群および低周波数帯域群に対応して、2つの1入力多出力型の高周波スイッチを構成しており、ハイバンド部10HのBand3の信号経路31Hまたは32Hとローバンド部10LのBand8の信号経路31Lとを同時接続する。

インダクタ151Lは、第1回路を構成し、信号経路31Lに並列接続されている。インダクタ151Hは、第2回路を構成し、信号経路31Hに並列接続されている。インダクタ172Hは、第3回路を構成し、信号経路32Hに並列接続されている。インダクタ173Hは、第4回路を構成し、信号経路321Hに直列接続されている。インダクタ174Hは、第5回路を構成し、信号経路322Hに直列接続されている。

デュプレクサ41Lは、送信端子611Lおよび受信端子612Lと信号経路31Lとの間に配置されている。デュプレクサ41Hは、送信端子611Hおよび受信端子612Hと信号経路31Hとの間に配置されている。デュプレクサ421Hは、送信端子621Hおよび受信端子622Hと信号経路321Hとの間に配置されている。デュプレクサ422Hは、送信端子631Hおよび受信端子632Hと信号経路322Hとの間に配置されている。なお、デュプレクサ421Hおよび422Hは、第3の周波数帯域におけるクワッドプレクサを構成している。

ここで、第1回路と第2回路とは、電磁界結合している。

本実施の形態において、Band8の2次高調波成分の周波数は、Band3の受信帯域に含まれる。つまり、第1周波数帯域の送信信号の高調波の周波数は、第2周波数帯域に含まれる。この周波数関係により、送信処理回路から信号経路31Lを伝搬するBand8の送信信号の2次高調波成分が、アンテナスイッチモジュールおよびダイプレクサ11を経由して信号経路31Hの受信経路(Rx)へと伝搬する可能性がある。この場合には、Bnad8とBand3とがCA動作している状態において、Band3の受信感度が劣化してしまう可能性がある。

しかしながら、本実施の形態に係るフロントエンドモジュール1Dは、信号経路31Lおよび31Hに、互いに電磁界結合する第1回路および第2回路が接続されている。

これにより、第1回路および第2回路は、第1回路および第2回路を経由して(アンテナスイッチモジュール21を経由せずに)信号経路31Lから信号経路31Hへ伝搬する(経路B)Band8の送信信号の2次高調波成分が、アンテナスイッチモジュール21を経由して信号経路31Lから信号経路31Hへ伝搬する(経路A)上記2次高調波成分を打ち消す機能を有している。より具体的には、経路Aを伝搬する上記2次高調波成分と経路Bを伝搬する上記2次高調波成分との信号位相がずれるようにインダクタ151Lおよび151Hが配置されている。より好ましくは、経路Aを伝搬する上記2次高調波成分と経路Bを伝搬する上記2次高調波成分との信号振幅が等しく、かつ、位相反転する関係となるようインダクタ151Lおよび151Hが配置される。

上記のように第1回路51Lと第2回路51Hとの電磁界結合度を調整することにより、アンテナスイッチモジュール21を経由せずに信号経路31Lと信号経路31Hとの間を伝搬する信号の振幅および位相を容易に調整できる。よって、CA方式において、複数の周波数帯域間での良好なアイソレーション特性を確保することが可能となる。

さらに、第3回路、第4回路、および第5回路のうちの2つの回路は電磁界結合している。

ここで、信号経路321Hを伝搬する送信信号が、信号経路32H、421Hおよび422Hの接続点(上記分岐点)を経由して信号経路322Hの受信経路(Rx)へと伝搬する可能性がある。この場合には、信号経路322Hを伝搬する受信信号の受信感度が劣化してしまう可能性がある。

しかしながら、本実施の形態に係るフロントエンドモジュール1Dは、信号経路32H、321Hおよび322Hに、それぞれ、第3回路、第4回路および第5回路が接続されている。

これにより、第3回路、第4回路および第5回路のうち2つの回路の電磁界結合度を調整することにより、信号経路32H、421Hおよび422Hの接続点(上記分岐点)を経由せずに信号経路321Hと信号経路322Hとの間を伝搬する信号の振幅および位相を容易に調整できる。よって、信号経路32H、421Hおよび422Hの接続点(上記分岐点)を経由せずに信号経路321Hから信号経路322Hへ伝搬する(経路D)送信信号成分が、上記接続点を経由して信号経路321Hから信号経路322Hへ伝搬する(経路C)送信信号成分を打ち消すことが可能となる。

よって、CA動作する複数の周波数帯域間での良好なアイソレーション特性を確保できるとともに、同一の周波数帯域内での送受信信号のアイソレーション特性を確保することが可能となる。

なお、本実施の形態では、第3の周波数帯域はハイバンド部10Hに属している例を挙げたが、第3の周波数帯域はローバンド部10Lに属していてもよい。

図10は、実施の形態3の変形例に係るフロントエンドモジュール1Eの回路構成図である。

本変形例では第1の周波数帯域および第2の周波数帯域とはCA動作しない第3の周波数帯域内でのアイソレーション特性を向上させる構成が、実施の形態3に係るフロントエンドモジュール1Dと異なる。以下、本変形例に係るフロントエンドモジュール1Eについて、実施の形態3に係るフロントエンドモジュール1Dと同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。

フロントエンドモジュール1Eは、ダイプレクサ11と、アンテナスイッチモジュール21と、LTE規格のBand3(第2の周波数帯域)の信号の伝搬に用いられる信号経路31H(第2信号経路)と、LTE規格のBand8(第1の周波数帯域)の信号の伝搬に用いられる信号経路31L(第1信号経路)と、ハイバンド部10Hに属する周波数帯域(第3の周波数帯域)の信号の伝搬に用いられる信号経路32H(第3信号経路)と、インダクタ151L、151H、172H、173H、174H、177Hおよび178Hと、デュプレクサ41L、41H、421Hおよび422Hとを有している。また、信号経路32Hは、分岐ノードにおいて第3周波数帯域の信号の伝搬に用いられる信号経路321H(第4信号経路)と322H(第5信号経路)とに分岐されている。

インダクタ151Lは、第1回路を構成し、信号経路31Lに並列接続されている。インダクタ151Hは、第2回路を構成し、信号経路31Hに並列接続されている。インダクタ172Hは、第3回路を構成し、信号経路32Hに並列接続されている。インダクタ173Hは、第4回路を構成し、信号経路321Hの送信経路に直列接続されている。インダクタ174Hは、第5回路を構成し、信号経路322Hの受信経路に直列接続されている。さらに、インダクタ177Hは、第4回路を構成し、信号経路321Hの送受信経路に直列接続されている。インダクタ178Hは、第5回路を構成し、信号経路322Hの送受信経路に直列接続されている。

ここで、第1回路と第2回路とは、電磁界結合している。

上記のように第1回路51Lと第2回路51Hとの電磁界結合度を調整することにより、アンテナスイッチモジュール21を経由せずに信号経路31Lと信号経路31Hとの間を伝搬する信号の振幅および位相を容易に調整できる。よって、CA方式において、複数の周波数帯域間での良好なアイソレーション特性を確保することが可能となる。

さらに、インダクタ177H(第4回路)とインダクタ174H(第5回路)とは電磁界結合している、および、インダクタ173H(第4回路)とインダクタ178H(第5回路)とは電磁界結合している、の少なくともいずれかが成立している。

ここで、信号経路321Hを伝搬する送信信号が、信号経路32H、421Hおよび422Hの接続点(上記分岐点)を経由して信号経路322Hの受信経路(Rx)へと伝搬する可能性がある。この場合には、信号経路322Hを伝搬する受信信号の受信感度が劣化してしまう可能性がある。

しかしながら、本変形例に係るフロントエンドモジュール1Eは、信号経路321Hおよび322Hに、それぞれ、第4回路および第5回路が接続されている。

これにより、第4回路および第5回路の電磁界結合度を調整することにより、信号経路32H、421Hおよび422Hの接続点(上記分岐点)を経由せずに信号経路321Hと信号経路322Hとの間を伝搬する信号の振幅および位相を容易に調整できる。よって、信号経路32H、421Hおよび422Hの接続点(上記分岐点)を経由せずに信号経路321Hから信号経路322Hへ伝搬する(経路D)送信信号成分が、上記接続点を経由して信号経路321Hから信号経路322Hへ伝搬する(経路C)送信信号成分を打ち消すことが可能となる。

よって、CA動作する複数の周波数帯域間での良好なアイソレーション特性を確保できるとともに、同一の周波数帯域内での送受信信号のアイソレーション特性を確保することが可能となる。

なお、本変形例では、第3の周波数帯域はハイバンド部10Hに属している例を挙げたが、第3の周波数帯域はローバンド部10Lに属していてもよい。

(実施の形態4) 本実施の形態では、実施の形態1および2で挙げた、CA動作する第1の周波数帯域および第2の周波数帯域に加え、さらに、第1の周波数帯域および第2の周波数帯域とCA動作する第3の周波数帯域の間のアイソレーション特性を向上させる構成を有するフロントエンドモジュール1Fについて説明する。

図11は、実施の形態4に係るフロントエンドモジュール1Fの回路構成図である。同図には、実施の形態4に係るフロントエンドモジュール1Fと、アンテナ素子2とが示されている。フロントエンドモジュール1Fおよびアンテナ素子2は、例えば、マルチモード/マルチバンド対応の携帯電話のフロントエンドに配置される。

フロントエンドモジュール1Fは、ダイプレクサ11と、アンテナスイッチモジュール21と、LTE規格のBand3(第2の周波数帯域)の信号の伝搬に用いられる信号経路31H(第2信号経路)と、LTE規格のBand8(第1の周波数帯域)の信号の伝搬に用いられる信号経路31L(第1信号経路)と、ハイバンド部10Hに属する周波数帯域(第3の周波数帯域)の信号の伝搬に用いられる信号経路33H(第3信号経路)と、インダクタ151L、151H、175Hおよび176Hと、デュプレクサ41L、41Hおよび42Hとを有している。

アンテナスイッチモジュール21は、高周波スイッチ21Lおよび22Hを備える。高周波スイッチ22Hは、いわゆるダイレクトマッピング対応のスイッチであり、ダイプレクサ11に接続された高周波側入力端子と、ハイバンド部10Hの複数の信号経路のそれぞれに接続された複数の出力端子とを備える。高周波側入力端子は、Band3の信号経路31Hおよび信号経路33Hを含むハイバンド部10Hの信号経路のうちの2つと接続される。一方、高周波スイッチ21Lは、ダイプレクサ11に接続された低周波側入力端子と、ローバンド部10Lの複数の信号経路のそれぞれに接続された複数の出力端子とを備える。低周波側入力端子は、Band8の信号経路31Lを含むローバンド部10Lの信号経路のうちの1つと排他的に接続される。つまり、アンテナスイッチモジュール21は、高周波数帯域群に対応した2パスオン型の高周波スイッチ22Hと、低周波数帯域群に対応した1パスオン型の高周波スイッチ21Lとで構成されている。この構成により、ハイバンド部10HのBand3の信号経路31Hと、ハイバンド部10Hの信号経路33Hと、ローバンド部10LのBand8の信号経路31Lとを同時接続する。

インダクタ151Lは、第1回路を構成し、信号経路31Lに並列接続されている。インダクタ151Hは、第2回路を構成し、信号経路31Hに並列接続されている。インダクタ176Hは、第3回路を構成し、信号経路33Hの送信信号経路に直列接続されている。インダクタ175Hは、第4回路を構成し、信号経路31Hと第2回路との接続点よりも下り方向の受信信号経路に直列接続されている。

デュプレクサ41Lは、送信端子611Lおよび受信端子612Lと信号経路31Lとの間に配置されている。デュプレクサ41Hは、送信端子611Hおよび受信端子612Hと信号経路31Hとの間に配置されている。デュプレクサ42Hは、送信端子641Hおよび受信端子642Hと信号経路33Hとの間に配置されている。

ここで、第1回路と第2回路とは、電磁界結合している。

本実施の形態において、Band8の2次高調波成分の周波数は、Band3の受信帯域に含まれる。つまり、第1周波数帯域の送信信号の高調波の周波数は、第2周波数帯域に含まれる。この周波数関係により、送信処理回路から信号経路31Lを伝搬するBand8の送信信号の2次高調波成分が、アンテナスイッチモジュールおよびダイプレクサ11を経由して信号経路31Hの受信経路(Rx)へと伝搬する可能性がある。この場合には、Bnad8とBand3とがCA動作している状態において、Band3の受信感度が劣化してしまう可能性がある。

しかしながら、本実施の形態に係るフロントエンドモジュール1Fは、信号経路31Lおよび31Hに、互いに電磁界結合する第1回路および第2回路が接続されている。

これにより、第1回路および第2回路は、第1回路および第2回路を経由して(アンテナスイッチモジュール21を経由せずに)信号経路31Lから信号経路31Hへ伝搬する(経路B)Band8の送信信号の2次高調波成分が、アンテナスイッチモジュール21を経由して信号経路31Lから信号経路31Hへ伝搬する(経路A)上記2次高調波成分を打ち消す機能を有している。より具体的には、経路Aを伝搬する上記2次高調波成分と経路Bを伝搬する上記2次高調波成分との信号位相がずれるようにインダクタ151Lおよび151Hが配置されている。より好ましくは、経路Aを伝搬する上記2次高調波成分と経路Bを伝搬する上記2次高調波成分との信号振幅が等しく、かつ、位相反転する関係となるようインダクタ151Lおよび151Hが配置される。

上記のように第1回路51Lと第2回路51Hとの電磁界結合度を調整することにより、アンテナスイッチモジュール21を経由せずに信号経路31Lと信号経路31Hとの間を伝搬する信号の振幅および位相を容易に調整できる。よって、CA方式において、複数の周波数帯域間での良好なアイソレーション特性を確保することが可能となる。

さらに、第2回路、第3回路、および第4回路のうちの2つの回路は電磁界結合している。

ここで、信号経路33Hを伝搬する送信信号または高調波成分が、高周波スイッチ22Hを経由して信号経路31Hの受信経路(Rx)へと伝搬する可能性がある。この場合には、信号経路31Hを伝搬する受信信号の受信感度が劣化してしまう可能性がある。

しかしながら、本実施の形態に係るフロントエンドモジュール1Fは、信号経路31Hおよび33Hに、第2回路、第3回路および第4回路が接続されている。

これにより、第2回路、第3回路および第4回路のうち2つの回路の電磁界結合度を調整することにより、高周波スイッチ22Hを経由せずに信号経路31Hと信号経路33Hとの間を伝搬する信号の振幅および位相を容易に調整できる。よって、高周波スイッチ22Hを経由せずに信号経路33Hから信号経路31Hへ伝搬する(経路D)送信信号または高調波成分が、高周波スイッチ22Hを経由して信号経路33Hから信号経路31Hへ伝搬する(経路C)送信信号または高調波成分を打ち消すことが可能となる。

これにより、CA動作する第1信号経路から第2信号経路へ伝搬するノイズ成分を抑制するだけでなく、CA動作する第3信号経路から第2信号経路へ伝搬するノイズ成分を抑制することが可能となる。

よって、ダイレクトマッピング対応のスイッチを有するシステムにおいて、CA動作する複数の周波数帯域間での良好なアイソレーション特性を確保できる。

なお、本実施の形態では、第3の周波数帯域はハイバンド部10Hに属している例を挙げたが、第3の周波数帯域はローバンド部10Lに属していてもよい。

(実施の形態5) 実施の形態1〜4では、低周波数帯域群(ローバンド部)および高周波数帯域群(ハイバンド群)の2周波数帯域群でCA動作が可能なフロントエンドモジュールを説明したが、本実施の形態では、低周波数帯域群(ローバンド部)、高周波数帯域群(ハイバンド群)、および中周波数帯域群(ミドルバンド群)の3周波数帯域群でCA動作が可能なフロントエンドモジュールを説明する。

図12は、実施の形態5に係るフロントエンドモジュール1Gの回路構成図である。同図には、実施の形態5に係るフロントエンドモジュール1Gと、アンテナ素子2とが示されている。フロントエンドモジュール1Gおよびアンテナ素子2は、例えば、マルチモード/マルチバンド対応の携帯電話のフロントエンドに配置される。

フロントエンドモジュール1Gは、トリプレクサ12と、アンテナスイッチモジュール21と、LTE規格のBand3(送信帯域:1710−1785MHz、受信帯域:1805−1880MHz)の信号の伝搬に用いられる信号経路31Mと、LTE規格のBand8(送信帯域:880−915MHz、受信帯域:925−960MHz)の信号の伝搬に用いられる信号経路31Lと、LTE規格のBand42(送受信帯域:3400−3600MHz)の信号の伝搬に用いられる信号経路31Hと、第1回路51Lと、第2回路51Hと、第6回路51Mと、デュプレクサ41H、41Lおよび41Mとを有している。

フロントエンドモジュール1Gは、マルチモード/マルチバンドに対応すべく、複数の周波数帯域により無線信号を送受信するための信号経路が複数設けられた、マルチキャリア用送受信装置である。本実施の形態では、複数の周波数帯域として、3G/4G対応のLTE規格Band3、Band8およびBand42が設けられている。Band3、Band8およびBand42を搬送波とする信号は、周波数分割複信(FDD)方式により、それぞれ信号経路31Hおよび31Lを伝搬する。

なお、本実施の形態に係るフロントエンドモジュール1Gは、Band3、Band8およびBand42だけでなく、その他の周波数帯域の信号を伝搬する信号経路を有していてもよく、また、FDD方式だけでなく、TDD方式に適用される周波数帯域の信号を伝搬する信号経路を有していてもよい。

信号経路31H、31Lおよび31Mは、FDD方式により信号処理されるため、信号経路31H、31Lおよび31M上には、それぞれ、同時送受信を可能とするためのデュプレクサ41H、41Lおよび41Mが配置されている。なお、TDD方式により信号処理される信号経路の場合には、デュプレクサは配置されない場合がある。

信号経路31H、31Lおよび31Mの送信経路(Tx)は、それぞれ、送信端子611H、611Lおよび611Mを介して、送信波を予め増幅する送信処理回路(図示せず)と接続されている。また、信号経路31H、31Lおよび31Mの受信経路(Rx)は、それぞれ、受信端子612H、612Lおよび612Mを介して、ローノイズアンプなどの受信処理回路(図示せず)に接続されている。

ここで、本実施の形態に係るフロントエンドモジュール1Gは、通信品質の向上を目的として、異なる周波数帯域を同時に使用する、いわゆるキャリアアグリゲーション方式(CA)が採用される。つまり、高周波数帯域群(ハイバンド部)に属する周波数帯域のうち選択された第2周波数帯域と、低周波数帯域群(ローバンド部)に属する周波数帯域のうち選択された第1周波数帯域と、中周波数帯域群(ミドルバンド部)に属する周波数帯域のうち選択された周波数帯域とを同時に搬送波として用いて通信を行う。より具体的には、本実施の形態では、高周波数帯域群に属するBand42と低周波数帯域群に属するBand8と中周波数帯域群に属するBand3とを同時使用する。

トリプレクサ11は、アンテナ素子2から入力された無線信号を、低周波数帯域群(ローバンド部10L:例えば、700MHz−1GHzなど)、中周波数帯域群(ミドルバンド部10M:例えば、1GHz−3GHz、1.5GHz−2.2GHz、または1.5GHz−2.7GHzなど)または高周波数帯域群(ハイバンド部10H:例えば、2.3GHz−、または3GHz−など)に分岐してアンテナスイッチモジュール21へ出力する。また、トリプレクサ12は、アンテナスイッチモジュール21を介して各信号経路から入力された送信信号を、アンテナ素子2へ出力する。

アンテナスイッチモジュール21は、アンテナ素子2と上記複数の信号経路のうちの少なくとも2つの信号経路とを接続させることにより、アンテナ素子2と複数の信号経路との接続を切り替える。より具体的には、アンテナスイッチモジュール21は、高周波スイッチ21H、21Lおよび21Mを備える。高周波スイッチ21Hは、トリプレクサ12に接続された高周波側入力端子121Hと、ハイバンド部10Hの複数の信号経路のそれぞれに接続された複数の出力端子とを備える。高周波側入力端子121Hは、Band42の信号経路31Hを含むハイバンド部10Hの信号経路のうちの1つと排他的に接続される。また、高周波スイッチ21Lは、トリダイプレクサ12に接続された低周波側入力端子121Lと、ローバンド部10Lの複数の信号経路のそれぞれに接続された複数の出力端子とを備える。低周波側入力端子121Lは、Band8の信号経路31Lを含むローバンド部10Lの信号経路のうちの1つと排他的に接続される。また、高周波スイッチ21Mは、トリダイプレクサ12に接続された中周波側入力端子121Mと、ミドルバンド部10Mの複数の信号経路のそれぞれに接続された複数の出力端子とを備える。中周波側入力端子121Mは、Band3の信号経路31Mを含むミドルバンド部10Mの信号経路のうちの1つと排他的に接続される。

つまり、アンテナスイッチモジュール21は、高周波数帯域群、低周波数帯域群および中周波数帯域群に対応して、3つの1入力多出力型の高周波スイッチを有しており、ハイバンド部10HのBand42の信号経路31Hとローバンド部10LのBand8の信号経路31Lとミドルバンド部10MのBand3の信号経路31Mとを同時接続することが可能である。

第1回路51Lは、Band8(第1周波数帯域)の信号の伝搬に用いられる信号経路31L(第1信号経路)に接続されている。また、第2回路51Hは、Band42(第2周波数帯域)の信号の伝搬に用いられる信号経路31H(第2信号経路)に接続されている。また、第6回路51Mは、Band3の信号の伝搬に用いられる信号経路31Mに接続されている。ここで、第1回路51L、第2回路51Hおよび第6回路のうち、少なくとも2つは、電磁界結合している。

第1回路51Lは、例えば、インダクタ151L(第1インダクタンス素子)を有する。インダクタ151Lの両端子は、それぞれ、信号経路31Lおよび接地端子に接続されている。

第2回路51Hは、例えば、インダクタ151H(第2インダクタンス素子)を有する。インダクタ151Hの両端子は、それぞれ、信号経路31Hおよび接地端子に接続されている。

第6回路51Mは、例えば、インダクタ151Mを有する。インダクタ151Mの両端子は、それぞれ、信号経路31Mおよび接地端子に接続されている。

ここで、本実施の形態において、Band8(第1周波数帯域)の送信信号(送信帯域:880−915MHz)の2次高調波成分の周波数は、Band3(第2周波数帯域)の受信帯域(1805−1880MHz)に含まれる。つまり、第1周波数帯域の送信信号の高調波の周波数は、第2周波数帯域に含まれる。この周波数関係により、送信処理回路から信号経路31Lを伝搬するBand8の送信信号の2次高調波成分が、アンテナスイッチモジュールおよびトリプレクサ12を経由して信号経路31Mの受信経路(Rx)へと伝搬する(経路A2)可能性がある。この場合には、Bnad8とBand3とがCA動作している状態において、Band3の受信感度が劣化してしまう可能性がある。

また、Band8(第1周波数帯域)の送信信号(送信帯域:880−915MHz)の4次高調波成分の周波数は、Band42の受信帯域(3400−3600MHz)に含まれる。この周波数関係により、送信処理回路から信号経路31Lを伝搬するBand8の送信信号の4次高調波成分が、アンテナスイッチモジュールおよびトリプレクサ12を経由して信号経路31Hの受信経路(Rx)へと伝搬する(経路A1)可能性がある。この場合には、Bnad8とBand42とがCA動作している状態において、Band42の受信感度が劣化してしまう可能性がある。

また、Band3の送信信号(送信帯域:1710−1785MHzMHz)の2次高調波成分の周波数は、Band42の受信帯域(3400−3600MHz)に含まれる。この周波数関係により、送信処理回路から信号経路31Mを伝搬するBand3の送信信号の2次高調波成分が、アンテナスイッチモジュールおよびトリプレクサ12を経由して信号経路31Hの受信経路(Rx)へと伝搬する(経路A3)可能性がある。この場合には、Bnad3とBand42とがCA動作している状態において、Band42の受信感度が劣化してしまう可能性がある。

しかしながら、本実施の形態に係るフロントエンドモジュール1Gは、信号経路31L、31Hおよび31Mに、互いに電磁界結合する第1回路51L、第2回路51Hおよび第6回路51Mが接続されている。

ここで、第1回路51Lおよび第2回路51Hは、第1回路51Lおよび第2回路51Hを経由して(アンテナスイッチモジュール21を経由せずに)信号経路31Lから信号経路31Hへ伝搬する(経路B1)Band8の送信信号の4次高調波成分が、アンテナスイッチモジュール21を経由して信号経路31Lから信号経路31Hへ伝搬する(経路A1)上記4次高調波成分を相殺する機能を有している。より具体的には、経路A1を伝搬する上記4次高調波成分と経路B1を伝搬する上記4次高調波成分との信号位相がずれるようにインダクタ151Lおよび151Hが配置されている。より好ましくは、経路A1を伝搬する上記4次高調波成分と経路B1を伝搬する上記4次高調波成分との信号振幅が等しく、かつ、位相反転する関係となるようインダクタ151Lおよび151Hが配置される。

また、第1回路51Lおよび第6回路51Mは、第1回路51Lおよび第6回路51Mを経由して(アンテナスイッチモジュール21を経由せずに)信号経路31Lから信号経路31Mへ伝搬する(経路B2)Band8の送信信号の2次高調波成分が、アンテナスイッチモジュール21を経由して信号経路31Lから信号経路31Mへ伝搬する(経路A2)上記2次高調波成分を相殺する機能を有している。より具体的には、経路A2を伝搬する上記2次高調波成分と経路B2を伝搬する上記2次高調波成分との信号位相がずれるようにインダクタ151Lおよび151Mが配置されている。より好ましくは、経路A2を伝搬する上記2次高調波成分と経路B2を伝搬する上記2次高調波成分との信号振幅が等しく、かつ、位相反転する関係となるようインダクタ151Lおよび151Mが配置される。

また、第6回路51Mおよび第2回路51Hは、第6回路51Mおよび第2回路51Hを経由して(アンテナスイッチモジュール21を経由せずに)信号経路31Mから信号経路31Hへ伝搬する(経路B3)Band3の送信信号の2次高調波成分が、アンテナスイッチモジュール21を経由して信号経路31Mから信号経路31Hへ伝搬する(経路A3)上記2次高調波成分を相殺する機能を有している。より具体的には、経路A3を伝搬する上記2次高調波成分と経路B3を伝搬する上記2次高調波成分との信号位相がずれるようにインダクタ151Mおよび151Hが配置されている。より好ましくは、経路A3を伝搬する上記2次高調波成分と経路B3を伝搬する上記2次高調波成分との信号振幅が等しく、かつ、位相反転する関係となるようインダクタ151Mおよび151Hが配置される。

上記のように第1回路51L、第2回路51Hおよび第6回路51Mの電磁界結合度を調整することにより、アンテナスイッチモジュール21を経由せずに信号経路31L、信号経路31Hおよび信号経路31Mの間を伝搬する信号の振幅および位相を容易に調整できる。よって、CA方式において、複数の周波数帯域間での良好なアイソレーション特性を確保することが可能となる。

(その他の実施の形態など) 以上、本発明の実施の形態に係るフロントエンドモジュールついて、実施の形態および変形例を挙げて説明したが、本発明のフロントエンドモジュールは、上記実施の形態および変形例に限定されるものではない。上記実施の形態および変形例における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、上記実施の形態および変形例に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本開示のフロントエンドモジュールを内蔵した各種機器も本発明に含まれる。

例えば、上記実施の形態1〜5およびその変形例では、高周波数帯域群に属する周波数帯域のうち選択された第2周波数帯域としてBand3を、また、低周波数帯域群に属する周波数帯域のうち選択された第1周波数帯域としてBand8を適用したが、本発明に係るフロントエンドモジュールでは、Band3およびBand8の組み合わせに限定されない。第1周波数帯域および第2周波数帯域に適用される各バンドは、第1周波数帯域の信号の高調波の周波数が第2周波数帯域に含まれる関係であれば、任意である。

なお、実施の形態1〜5に係るフロントエンドモジュールは、さらに、信号経路31L(第1信号経路)、信号経路31H(第2信号経路)または信号経路31Mに接続された、高周波信号の位相を調整することが可能な位相調整回路を備えても良い。この位相調整回路は、互いに電磁界結合する第1回路〜第6回路とは異なるものであり、他の回路と電磁界結合していなくてもよい。

これにより、位相調整回路が第1回路、第2回路および第6回路が有する高周波信号の位相調整機能を補強するので、アンテナスイッチモジュール21を経由せずに信号経路31L、31Hおよび31Mの間を伝搬する信号の位相を、より高精度かつ広範囲に調整できる。

また、上記実施の形態および変形例に係るフロントエンドモジュールにおいて、図面に開示された各回路素子および信号経路を接続する経路の間に別の高周波回路素子および配線などが挿入されていてもよい。

本発明は、キャリアアグリゲーション方式を採用するマルチバンド/マルチモード対応のフロントエンドモジュールとして、携帯電話などの通信機器に広く利用できる。

1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G フロントエンドモジュール 2 アンテナ素子 10H ハイバンド部 10L ローバンド部 10M ミドルバンド部 11 ダイプレクサ 12 トリプレクサ 21 アンテナスイッチモジュール 21H、21L、21M、22H 高周波スイッチ 31H、31L、31M、32H、33H、321H、322H 信号経路 41H、41L、41M、42H、421H、422H デュプレクサ 51H 第2回路 51L 第1回路 51M 第6回路 100 モジュール基板 121H 高周波側入力端子 121L 低周波側入力端子 121M 中周波側入力端子 151H、151L、151M、171L、172H、173H、174H、175H、176H、177H、178H インダクタ 181L 配線 611H、611L、611M、621H、631H、641H 送信端子 612H、612L、612M、622H、632H、642H 受信端子

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