Carburizing method of a member having an inner peripheral surface tooth profile

申请号 JP2003398724 申请日 2003-11-28 公开(公告)号 JP4121451B2 公开(公告)日 2008-07-23
申请人 本田技研工業株式会社; 发明人 宏 増渕; 孝 市村; 貴文 村上; 好己 薄井; 泰久 長山; 好夫 飯山;
摘要
权利要求
  • 内周面の孔部を介して基台に立設された軸部材に対して挿通可能なワークを有し、前記ワークの内周面に形成された歯形形状部と前記軸部材との間に所定の離間間隔からなる間隙を形成し、前記ワークの内周径より拡径した第1孔部を有する第1調整部材を前記軸部材の軸線方向に沿って前記ワークの下部側に配置した後、前記軸部材の軸線方向に沿って複数のワークを順次積層し、前記ワークの内周径より縮径した第2孔部を有 し且つ軸線方向に沿った幅寸法が前記第1調整部材より小さい第2調整部材を前記積層されたワークの最上部に配置することにより、複数のワークによって形成された間隙と第1及び第2調整部材の第1及び第2孔部と軸部材との間に形成された所定の離間間隔からなる間隙とを前記軸部材の軸線方向に沿って連通させる工程と、
    所定の離間間隔からなる間隙の連通状態を保持しながら積層された複数のワークを熱処理炉内に搬入し、前記複数のワークを所定温度に加熱すると共に、前記熱処理炉内に浸炭剤を供給して、前記第1調整部材の第1孔部を介して前記ワークの前記歯形形状部と前記軸部材との間の間隙に前記浸炭剤を流入させると同時に、前記第2調整部材の第2孔部を介して前記ワークの前記歯形形状部と前記軸部材との間の間隙に前記浸炭剤を流入させて浸炭処理を施す工程と、
    を有することを特徴とする内周面に歯形形状を有する部材の浸炭方法。
  • 請求項1記載の浸炭方法において、
    前記ワークに浸炭処理を施して硬化層を形成する工程の後に、
    前記軸部材の軸線方向に沿って積層された複数のワークを冷却用媒体で満たされた槽の内部に浸し、前記第1調整部材の第1孔部を介して前記ワークの前記歯形形状部と前記軸部材との間の間隙に前記冷却用媒体を流入させると同時に、前記第2調整部材の第2孔部を介して前記ワークの前記歯形形状部と前記軸部材との間の間隙に前記冷却用媒体を流入させ、加熱されたワークを所定温度に冷却させる工程を有することを特徴とする内周面に歯形形状を有する部材の浸炭方法。
  • 说明书全文

    本発明は、内周面に歯形形状を有する部材に対して浸炭処理を施す内周面に歯形形状を有する部材の浸炭方法に関する。

    従来から、金属製部材の表層部に炭素を拡散させて焼入れ処理を行うことにより、前記表層部を硬化させる浸炭方法が知られている。

    例えば、バーフィールドタイプの等速自在継手を構成するインナレース等のように内周面にセレーションが形成された部品に対して浸炭方法を用いた場合、インナレースの外周面及び内周面を含む全表面に均一の深さで硬化層が形成されるため、使用時にが加わると内周面のセレーション部分にクラックが発生するおそれがある。 インナレースの内周面に必要以上に硬化層が形成されるからである。 なお、クラックが発生する点については、トリポートタイプの等速自在継手を構成するスパイダも同様である。

    クラックの発生を防止するために、セレーション部分に浸炭防止剤(例えば、ニッケルメッキ等)を塗布する防炭処理を施し、あるいは前記セレーション部分の表面を硬化させないために該セレーション部分を平面スペーサ、防炭プレート等によって囲繞する方法が採用されている。

    しかしながら、浸炭防止剤を用いる前者の方法では、浸炭焼入れ処理をした後に前記浸炭防止剤をインナレースから剥離除去する作業が必要となって煩雑であると共に、前記インナレースの表層部に対する硬化層の深さを調整することができないという不都合がある。

    また、平面スペーサ、防炭プレート等を用いる後者の方法では、平面スペーサ等の設置作業を人力によって行わなければならないため、多大な労力と時間を要し、生産効率が低下するという不都合がある。

    このような不具合を克服するために、本出願人は、パイプ等からなる支軸部材にワークとなるインナレースを挿通し、複数のインナレースを支軸部材に対して順次積層させ、前記インナレースの内周面と、支軸部材の外周面との間に形成される環状の間隙を一定距離に保持することにより、前記間隙を介して供給されるガスによってインナレースの内周面に形成される硬化層の深さを略均一とすると共に、インナレースの内周面に形成される硬化層を、外周面の硬化層よりも浅く形成する浸炭方法を提案している(特許文献1参照)。

    特開平9−324257号公報

    本発明は、前記の提案に関連してなされたものであり、簡便な方法によってワークの外周面と歯形形状を有する内周面とに対してそれぞれ異なる深さの硬化層を形成し、前記歯形形状を有する内周面の寸法精度を均一に保持することが可能な内周面に歯形形状を有する部材の浸炭方法を提供することを目的とする。

    前記の目的を達成するために、本発明は、内周面の孔部を介して基台に立設された軸部材に対して挿通可能なワークを有し、前記ワークの内周面に形成された歯形形状部と前記軸部材との間に所定の離間間隔からなる間隙を形成し、前記ワークの内周径より拡径した第1孔部を有する第1調整部材を前記軸部材の軸線方向に沿って前記ワークの下部側に配置した後、前記軸部材の軸線方向に沿って複数のワークを順次積層し、前記ワークの内周径より縮径した第2孔部を有し且つ軸線方向に沿った幅寸法が前記第1調整部材より小さい第2調整部材を前記積層されたワークの最上部に配置することにより、複数のワークによって形成された間隙と第1及び第2調整部材の第1及び第2孔部と軸部材との間に形成された所定の離間間隔からなる間隙とを前記軸部材の軸線方向に沿って連通させる工程と、
    所定の離間間隔からなる間隙の連通状態を保持しながら積層された複数のワークを熱処理炉内に搬入し、前記複数のワークを所定温度に加熱すると共に、前記熱処理炉内に浸炭剤を供給して、前記第1調整部材の第1孔部を介して前記ワークの前記歯形形状部と前記軸部材との間の間隙に前記浸炭剤を流入させると同時に、前記第2調整部材の第2孔部を介して前記ワークの前記歯形形状部と前記軸部材との間の間隙に前記浸炭剤を流入させて浸炭処理を施す工程と、
    を有することを特徴とする。

    本発明によれば、軸部材の軸線方向に沿って第1孔部を介して第1調整部材を挿通し、その後に複数のワークを順次挿通して、最後に第2孔部を介して第2調整部材を挿通させることにより、下部側の第1調整部材と上部側の第2調整部材との間に複数のワークが積層されている。 そして、ワークの歯形形状部と軸部材との間に所定間隔を有する間隙を形成すると共に、前記ワークの内周径より拡径した第1調整部材の第1孔部と軸部材との間、及び前記ワークの内周径より縮径した第2調整部材の第2孔部と軸部材との間にも間隙を形成する。

    次に、軸部材に保持された複数のワークを熱処理炉の内部に搬入し、前記ワークを所定温度に加熱すると共に、前記熱処理炉の内部に浸炭剤を供給することにより、ワークの内周径より拡径して形成された第1調整部材の第1孔部を介してワークの歯形形状部と軸部材との間の間隙に浸炭剤を流入させ、同時に、ワークの内周径より縮径して形成された第2調整部材の第2孔部を介してワークの歯形形状部と軸部材との間の間隙内に浸炭剤を流入させ、それぞれの間隙を介して流通する浸炭剤によって歯形形状部を有するワークの内周面に対して浸炭処理が施される。

    その際、ワークの内周径より拡径した第1孔部を有する第1調整部材と、前記ワークの内周径より縮径した第2孔部を有する第2調整部材によって、ワークと軸部材との間の間隙内を流通する浸炭剤の流量が制限される。 そのため、ワークの内周面に、その外周面よりも浅い硬化層を形成することができる。

    また、第1孔部を有する第1調整部材を積層された複数のワークの最下部に設けると共に、第2孔部を有する第2調整部材を積層された複数のワークの最上部に設けることにより、浸炭剤を積層された複数のワークの内周面に対してそれぞれ略均等に流通させることができるため、前記複数のワーク間において、その内周面に対して略均等に焼入れ処理を施すことができ、ワークの内周面に形成される歯形形状部の形状のバラツキが抑制されることにより、前記複数のワークの内周面の寸法精度を好適に保持することができる。

    さらに、ワークに浸炭処理を施して硬化層を形成する工程の後に、
    前記軸部材の軸線方向に沿って積層された複数のワークを冷却用媒体で満たされた槽の内部に浸し、前記第1調整部材の第1孔部を介して前記ワークの前記歯形形状部と前記軸部材との間の間隙に前記冷却用媒体を流入させると同時に、前記第2調整部材の第2孔部を介して前記ワークの前記歯形形状部と前記軸部材との間の間隙に前記冷却用媒体を流入させ、加熱されたワークを所定温度に冷却させる工程を有している。

    これにより、浸炭処理によって硬化層が形成された複数のワークを、槽の内部に浸して冷却用媒体によって冷却する際、積層された複数のワークの歯形形状を有する内周面と軸部材との間の間隙に流入する冷却用媒体の流量を、第1及び第2調整部材によって好適に制御することができる。 そのため、複数のワークの内周面に形成される歯形形状部に対して焼入れ処理を均一に行うことができる。

    本発明によれば、以下の効果が得られる。

    すなわち、軸部材に沿って積層された複数のワークに対して第1及び第2調整部材を設けることにより、前記ワークの内周面と軸部材との間に流通する浸炭剤の流量を制限し、ワークの外周面と歯形形状を有する内周面とにそれぞれ異なる深さの硬化層を形成することができる。

    また、積層された複数のワークの最下部に第1調整部材を設け、同様に、複数のワークの最上部に第2調整部材を設け、浸炭剤をワークの内周面に対してそれぞれ略均等に流通させることにより、複数のワーク間における歯形形状部のバラツキを抑制し、前記複数のワークの内周面の寸法精度を好適に保持することができる。

    さらに、浸炭処理によって硬化層が形成された複数のワークを槽の内部に浸して冷却用媒体によって冷却する際、積層された複数のワークの歯形形状を有する内周面と軸部材の外周面との間の間隙に流入する冷却用媒体の流量を第1及び第2調整部材によって制御することができる。 そのため、複数のワークの内周面に形成される歯形形状部に対して均一な焼入れ処理がなされる。

    本発明に係る内周面に歯形形状を有する部材の浸炭方法について、これを実施する熱処理装置との関係において好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。

    この熱処理装置は、複数のワークを上下方向に積層した状態で保持するワーク保持機構10(以下、単に保持機構10という)を含む(図1参照)。 保持機構10は、略平行に並設された複数の枠体12と、前記枠体12の長手方向に沿って所定間隔離間する複数の支軸部材(軸部材)14とを有する。 支軸部材14は軸線方向に沿って貫通孔が形成されたパイプからなり、隣接する一組の枠体12間に、例えば、溶接等の方法によって固着されている。

    また、浸炭処理が施されるワークとしては、バーフィールドタイプの等速自在継手を構成するインナレース18が用いられる。 このインナレース18は、例えば、図示しない冷間鍛造加工装置等によって予め製造され、軸線方向に沿って所定の直径を有する貫通孔20が形成され、前記貫通孔20には一端部側に所定度傾斜して開口した開口部22が形成されている。 インナレース18の外周面には、図4に示されるように、実質的にボール転動溝として機能する半円形状溝部24が円周方向に沿って所定角度離間して複数個形成され、前記貫通孔20の内周面には、ドライブシャフトを嵌合するためのセレーションからなる歯形形状部26が形成されている。

    支軸部材14には、図2及び図3に示されるように、前記支軸部材14の下部に配置されるリング状の第1スペーサ(第1調整部材)28が挿通孔(第1孔部)30aを介して挿通され、前記第1スペーサ28が、支軸部材14の軸線に沿って枠体12上に載置される。 そして、貫通孔20を介してインナレース18が挿通され、複数(例えば、5個)の第1〜第5インナレース18a〜18eを支軸部材14の軸線に沿って挿通させた後、前記支軸部材14に挿通孔(第2孔部)30bを介して前記支軸部材14の上部に配置されるリング状の第2スペーサ(第2調整部材)32が挿通されている。

    すなわち、支軸部材14に挿通された複数の第1〜第5インナレース18a〜18eにおいて、その最下部の第1インナレース18aの下端面側に第1スペーサ28が配設されると共に、その最上部の第5インナレース18eの上端面側に第2スペーサ32が配設されている。

    第1及び第2スペーサ28、32は、図3に示されるように、ステンレス鋼(例えば、SUS309)より形成され、その外周径A1、A2が略同一直径(A1=A2)に形成されると共に、下部側の第1スペーサ28の挿通孔30aの直径B1が、上部側の第2スペーサ32の挿通孔30bの直径B2より大きく形成されている(B1>B2)。

    また、第1スペーサ28の軸線方向に沿った幅寸法C1は、第2スペーサ32の軸線方向に沿った幅寸法C2より大きく形成されている(C1>C2)。

    本発明の実施の形態に係る浸炭方法を実施する熱処理装置は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。

    先ず、挿通孔30aを介して第1スペーサ28を、保持機構10における支軸部材14の軸線方向に沿って挿通し、次に、貫通孔20を介して第1インナレース18aから順番に開口部22が上方となるように支軸部材14の軸線方向に沿って挿通する。 そして、複数の第1〜第5インナレース18a〜18eを支軸部材14に沿って第1スペーサ28の上方に順番に積層させた後、第2スペーサ32を、挿通孔30bを介して支軸部材14に沿って挿通させて前記第5インナレース18eの上部へと載置する(図2及び図3参照)。

    その際、第1〜第5インナレース18a〜18eの内周面に形成された歯形形状部26と支軸部材14の外周面との間には、所定の離間間隔を有する第1間隙34が形成されると共に、同様に、第1スペーサ28の挿通孔30aと支軸部材14の外周面の間に所定の離間間隔を有する第2間隙36が形成され、第2スペーサ32の挿通孔30bと支軸部材14の外周面との間に、所定の離間間隔を有する第3間隙38が形成されている。

    なお、第1スペーサ28の挿通孔30aの直径B1は、第2スペーサ32の挿通孔30bの直径B2より大きく形成されているため、それに伴って、第1スペーサ28と支軸部材14の外周面との間の第2間隙36が、第2スペーサ32と支軸部材14の外周面との間の第3間隙38より大きくなる。 また、歯形形状部26と支軸部材14の外周面との間に形成される第1間隙34は、第1スペーサ28の第2間隙36より小さく形成されると共に、第2スペーサ32の第3間隙38よりも大きく形成されている。

    そして、第1〜第5インナレース18a〜18eと支軸部材14の外周面との間に、軸線方向に沿って連通して形成された第1間隙34の一端部は、図3に示されるように、第2スペーサ32によって閉塞されることなく外部と連通状態にある。 また、支軸部材14の下部側に形成された第1間隙34の他端部側も同様に、第1スペーサ28によって閉塞されることなく、枠体12によって形成された空間39(図1参照)を介して外部と連通状態にある。

    このように、第1〜第5インナレース18a〜18eの内周面に形成された歯形形状部26と支軸部材14の外周面、第1及び第2スペーサ28、32の挿通孔30a、30bと支軸部材14の外周面とが、それぞれ所定間隔離間した状態を維持しながら、複数の第1〜第5インナレース18a〜18eが積層された保持機構10を図示しない熱処理炉の室内に搬入し、前記第1〜第5インナレース18a〜18eに対して浸炭処理を施す。

    この第1〜第5インナレース18a〜18eに対して浸炭処理を施す場合には、図5に示されるように、熱処理炉の閉塞された室内において、図示しない加熱手段を介して前記第1〜第5インナレース18a〜18eを所定温度に加熱する昇温工程が行われ、次に、図示しないガス供給手段を介して浸炭剤としてのガス(例えば、メタンガス、プロパンガス等)を供給する浸炭工程が行われる。 そして、熱処理炉の室内に供給されたガス中の炭素成分が第1〜第5インナレース18a〜18eの外周面に吸収されることによって、前記外周面の表層部に所定の深さの硬化層が形成される。

    一方、第1〜第5インナレース18a〜18eの内周面には、複数の第1インナレース18aの下面側に設けられた第1スペーサ28の挿通孔30aを介してガスが流入すると共に、第5インナレース18eの上面側に設けられた第2スペーサ32の挿通孔30bを介して同様にガスが流入する。

    その際、第1〜第5インナレース18a〜18eの下部側に設けられた第1スペーサ28の挿通孔30aは、第1〜第5インナレース18a〜18eの貫通孔20の内周径より拡径して形成されているため、該第1スペーサ28の挿通孔30aを介して第1〜第5インナレース18a〜18eの下部側より流入されるガスの流量が増大され、反対に、第1〜第5インナレース18a〜18eの上部側に設けられた第2スペーサ32の挿通孔30bが、貫通孔20の内周径より縮径して形成されているため、該第2スペーサ32の挿通孔30bを介して第1〜第5インナレース18a〜18eの上部側より流入されるガスの流量が抑制される。

    これにより、第1スペーサ28の挿通孔30aから第1間隙34へと流入されるガスの流量と、第2スペーサ32の挿通孔30bから第1間隙34へと流入されるガスの流量とを略同等になるように制限することができる。

    また、それに加えて、第1〜第5インナレース18a〜18eの内周面に形成された歯形形状部26は、所定の離間間隔を有する第1間隙34を介して支軸部材14の外周面と対峙しているため、前記第1間隙34に沿って循環するガスの流量がさらに制限される。 従って、第1〜第5インナレース18a〜18eの外周面と比較して、該第1〜第5インナレース18a〜18eの内周面に形成された歯形形状部26に対してガス中の炭素成分が吸収される量が制限されることから、前記歯形形状部26には外周面よりも浅い硬化層が形成される。

    上記のように、第1〜第5インナレース18a〜18eに対して浸炭工程が行われた後に、順次、熱処理炉の閉塞された室内のガスを排気する拡散工程、前記熱処理炉の内部の温度を略一定の焼入れ保持温度に保持する均熱工程がなされる。 そして、次に、前記加熱された第1〜第5インナレース18a〜18eを所定温度に冷却するための冷却工程が行われる。

    この冷却工程では、図6に示されるように、浸炭処理が施されて所定温度に加熱された複数の第1〜第5インナレース18a〜18eを、図示しない移送装置を介して支軸部材14に挿通した状態のまま、前記保持機構10と共に冷却用油(冷却用媒体)40で満たされた油槽(槽)42の内部へと浸している。 複数の第1〜第5インナレース18a〜18eを、冷却用油40の内部に所定時間浸しておくことにより所定温度へと冷却している。

    そして、第1〜第5インナレース18a〜18eの外周面は、油槽42内の冷却用油40と接することにより好適に冷却される。

    一方、第1〜第5インナレース18a〜18eの内周面には、第1スペーサ28の挿通孔30aを介して下方より冷却用油40が、上方へと向うように第1インナレース18aの歯形形状部26と支軸部材14の外周面との間の第1間隙34に徐々に浸入すると共に、第2スペーサ32の挿通孔30bを介して上方より冷却用油40が、下方へと向うように第5インナレース18eの歯形形状部26と支軸部材14の外周面との間の第1間隙34に徐々に浸入する。

    その際、第1スペーサ28の挿通孔30aの直径B1は、第1〜第5インナレース18a〜18eの歯形形状部26の内周径より大きく形成されているため、第1スペーサ28の挿通孔30aから支軸部材14の外周面と第1〜第5インナレース18a〜18eの内周面との間の第1間隙34へと浸入する冷却用油40の流量が制御される。

    一方、第2スペーサ32の挿通孔30bの直径B2は、第1〜第5インナレース18a〜18eの歯形形状部26の内周径より小さく形成されているため、第2スペーサ32の挿通孔30bから支軸部材14の外周面とインナレース18の内周面との間の第1間隙34へと浸入する冷却用油40の流量が制御される。

    そのため、第1スペーサ28の挿通孔30aから前記第1間隙34へと浸入する冷却用油40と、第2スペーサ32の挿通孔30bから第1間隙34へと浸入する冷却用油40とによって、第1〜第5インナレース18a〜18eの内周面に対して均一な焼入れ処理を行うことが可能となる。

    本実施の形態に係る浸炭方法では、冷却工程において、インナレース18と支軸部材14の外周面との間の第1間隙34に浸入する冷却用油40の流量が、第1及び第2スペーサ28、32によって所定量だけ制御され、それに伴って、前記冷却用油40によって冷却される第1〜第5インナレース18a〜18eの歯形形状部26の内部を流通する冷却用油40の流量を制御することができる。 その結果、第1〜第5インナレース18a〜18eにおける歯形形状部26に対する焼入れ処理の均一化を図ることができる。

    このように外周面及び歯形形状部26を含む第1〜第5インナレース18a〜18eの全体が所定温度まで冷却された後、前記第1〜第5インナレース18a〜18eが保持された保持機構10を、図示しない移送装置を介して油槽42の内部より外部へと引き上げることにより冷却工程が終了する。 そして、第1〜第5インナレース18a〜18eの外周面と比較して、内周面に形成された歯形形状部26の硬化層が浅く形成された第1〜第5インナレース18a〜18eの浸炭処理が終了する。

    その際、支軸部材14に沿って複数積層された第1〜第5インナレース18a〜18eに対して一組の第1及び第2スペーサ28、32を最上部、最下部にそれぞれ設けることにより、複数の第1〜第5インナレース18a〜18eに浸炭処理を施した際に、前記第1及び第2スペーサ28、32には、第1〜第5インナレース18a〜18eと同様に浸炭処理が施される。

    このように、支軸部材14の軸線方向に沿って積層された複数の第1〜第5インナレース18a〜18eに浸炭処理を施す場合においては、その最上部及び最下部に配設される第1及び第5インナレース18a、18eの内周面が、略中央部近傍に配設される第2〜第4インナレース18b〜18d等の内周径と比較してバラツキが生じる場合がある。

    その場合においても、第1及び第2スペーサ28、32を、複数の第1〜第5インナレース18a〜18eの最上部と最下部とに配設することにより、浸炭処理を行った際に、前記第1及び第2スペーサ28、32を第1〜第5インナレース18a〜18eの最上部及び最下部にさらに設けられたインナレースの代わりとすることができる。 そのため、第1及び第5インナレース18a、18e等の最上部及び最下部に近いインナレースにおいても、その内周面の寸法精度を第2〜第4インナレース18b〜18dにおける内周面の寸法精度と略同等に保持することができる。

    さらに、本実施の形態に係る浸炭方法では、積層されたワークの上方に載置された第2スペーサ32の挿通孔30bの内径が第1〜第5インナレース18a〜18eの貫通孔20の内周径よりも小さく形成され、前記第2スペーサ32の挿通孔30bと支軸部材14の外周面との間のクリアランスが狭小となっているため、例えば、浸炭ガスとしてプロパン(C3H8)(比重;1.520)を用いて図示しない熱処理炉の室の上方から前記プロパンを導出した場合、前記プロパンが第2スペーサ32と支軸部材14との間の狭小なクリアランスによって第1〜第5インナレース18a〜18eの貫通孔20の内部に進入することが抑制され、一方、積層されたワークの下方に載置された第1スペーサ28の挿通孔30aの内径が第1〜第5インナレース18a〜18eの貫通孔20の内周径よりも大きく形成され、前記第1スペーサ28の挿通孔30aと支軸部材14の外周面との間のクリアランスが幅広となっているため、冷却工程において供出される冷却用油40が第1〜第5インナレース18a〜18eの貫通孔20の内部に浸入することが促進される。

    このように、本実施の形態では、積層されたワークの上部側と下部側とで第1及び第2スペーサ28、32の挿通孔30a、30bの口径が異なるように設定することにより加熱及び冷却処理においてワークの外周面と内周面との間で異なる深さの硬化層を好適に形成することができる。

    なお、本実施の形態に係る浸炭方法においては、等速継手部材におけるインナレース18に対して浸炭処理を行う場合について説明したが、内周面に歯形を有するワーク(例えば、内歯車)であれば、特にワークの形状に限定されるものではない。 その場合、第1間隙34は、前記ワークの形状及びそのワークの表面層に要求される硬度に応じて設定すればよい。

    本発明に係る内周面に歯形形状を有する部材の浸炭方法を実施する熱処理装置における保持機構の一部省略斜視図である。

    図1に示す保持機構によって複数のワークを積層した状態を示す斜視図である。

    図2の縦断面図である。

    図2の平面図である。

    熱処理装置によってワークに浸炭焼入れを施す際の工程説明図である。

    加熱されたインナレースを保持機構に保持された状態で油槽によって冷却を行う際の概略動作説明図である。

    符号の説明

    10…保持機構 12…枠体14…支軸部材 18、18a〜18e…インナレース20…貫通孔 24…半円形状溝部26…歯形形状部 28…第1スペーサ30a、30b…挿通孔 32…第2スペーサ34…第1間隙 36…第2間隙38…第3間隙 40…冷却用油42…油槽

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