発明の背景 本出願は、1996年3月8日に同じ発明者のNorman F. Krasnerが出願した3つの特許出願の部分継続出願であり、その3つの特許出願とは、改良型GPS受信機およびGPS信号を処理する方法(第08/612,669号)、通信リンクを使用した改良型GPS受信機(第08/612,582号)、パワー管理機能付き改良型GPS受信機(第08/613,966号)である。
本発明は、(a)全世界測位衛星システムからの送信を受信することによって位置を決定し、(b)位置決めコマンドおよび他の情報を受信し、全世界測位衛星システムからの送信を受信することによって判明した位置情報を表すデータを返事として送信するために、他の位置との連絡を実行する、という二重の機能を実行する受信機に関する。
GPSシステムと他の通信システムとの結合は大きな関心を呼び、特に個人および属性トラッキング(personal and property tracking)の分野で注目されている。 このような組合せの例が米国特許第5,225,842号で示されている。 通信リンクによって、移動する人や物体(例えば車両または動物)に配置した安価なGPS(全世界測位システム)受信機が、正確に決定した位置を、その活動をモニタする遠隔位置に送信することができる。 この技術の用途にはトラック部隊の追跡、非常応答、在庫管理などがある。 従来技術は、個別のGPS受信機と通信システムとを、その2つの間の適切な電子的インタフェース、例えばシリアル通信ポートなどを使用して接続することによって、このような組合せを実行してきた。 全体的な費用を抑制するために、共通の筐体および共通の電源を共用することが多い。 にもかかわらず、従来技術は、個別の回路類を使用してGPSおよび通信機能を実行するシステムを構成していた。 これまで、2つの異なるシステムの回路類の多くを結合することは実際的ではなかった。 というのは、既知のGPS受信機はすべて、「相関器」と呼ばれる特殊化したハードウェアを使用して、複数の衛星から受信した信号を処理するからである。 この特殊化したハードウェアは、セルラー電話やポケットベルなどの通信用受信機やトランシーバーに使用されているハードウェアとは大きく異なる。 セルラー電話やポケットベルに見られるような多くの通信用受信機では、信号処理機能は、Texas InstrumentsのTMS 320ファミリーなど、汎用ディジタル信号処理用集積回路を使用して信号処理機能を実行する。 したがって、2つの異なるシステムの信号処理ハードウェアは、結合型GPSおよび通信システム内で互換性がない。 (発明の概要) 本発明は、GPS受信機と統合通信用受信機を有する移動システムである結合型装置を提供する。 典型的な実施態様では、システムは、GPS信号を表すデータを受信するGPSアンテナを含むGPS受信機を備え、GPSアンテナに接続されてGPS信号を表すデータを受信し、少なくとも一つの実施態様では疑似距離情報を提供するため、その信号を処理するディジタル・プロセッサなどのプロセッサを含む。 ディジタル・プロセッサなどのプロセッサは、通信リンクを通して受信した通信信号も処理し、したがってプロセッサは通常、結合型システムに送信される通信信号を復調する。 この方法で、GPS信号および通信信号の処理が、2つの機能に共用されるプロセッサで実行される。 代替実施態様では、GPS受信機と通信用受信機などの統合通信システムとを有する移動システムは、GPS信号を表すデータを受信するアンテナと、アンテナに接続された周波数変換器と、周波数変換器に接続された周波数合成器と、周波数変換器に接続されたアナログ/ディジタル変換器と、周波数変換器に接続されたディジタル・プロセッサとを含む。 このディジタル・プロセッサは、アンテナを通して受信したGPS信号を表すデータを処理し、GPS信号を表すデータに基づいて疑似距離情報を決定する。 統合通信用受信機は、アンテナ、周波数変換器、周波数合成器、ディジタル・プロセッサ、ディジタル・プロセッサまたはアナログ/ディジタル変換器に接続されたメモリなど、GPSシステムと共用される共用構成要素を含む。 本発明は、結合型システムで通信リンクを制御し、GPS信号を表すデータを処理する方法も提供する。 この方法は、典型的な実施態様では、処理ユニット内でGPS信号を表すデータを処理し、処理ユニットを使用して通信リンクを通る通信信号を制御して制御ステップを実行することを含み、処理ユニットはGPS受信機に送信された通信信号の復調を実行する。 本発明の典型的な実施態様では、GPSの操作および通信の受信/送信操作は別の時間に実行され、これが共通(共用)回路の使用を容易にする。 また、GPS信号の信号処理操作は、通常は高速フーリエ変換アルゴリズムを他のデータ圧縮法とともに用いて、プログラムできるディジタル信号処理(DSP)集積回路で実行する。 このアプローチは、従来通りのGPS受信機で従来通りの相関器に基づくアプローチをするのと比較し、捕捉時間および受信機の感度が非常に優れている。 このGPS信号処理法は、このようなDSP集積回路にプログラム可能DSPを実装することと互換性があり、この同じ回路類を使用して、同様のアプローチに基づく通信復調器を実行することができる。
本発明は、共用回路を使用した結合型システムで二重の機能を実行する方法および装置に関し、その機能とは(a)GPS信号処理を介した位置の決定、および(b)無線周波数通信リンクを介した他の位置との通信である。 共用回路がこれらの両機能の少なくとも一部を実行するよう、これらの機能の回路類を共用することにより、システムは電力の消耗を削減し、サイズおよび費用を削減することができる。 さらに、このようなシステムのインタフェースに関する複雑さを軽減することができる。 共用回路類を有する結合型GPSおよび通信システムの一例を、図1Aに示す。 結合型移動ユニット100は、GPS信号の処理に必要な機能、さらに通信リンクを介して受信した通信信号の処理に必要な機能を実行する回路類を含む。 通信リンク14aなどの通信リンクは、通常、通信アンテナ14を有する基地局17など、別の構成要素への無線周波数通信リンクである。 結合型移動ユニット100は、図1Aで示すように、プリセレクト・フィルタ3および4を通してスイッチ6に接続されるGPSアンテナ1および通信アンテナ2を含む。 送受信するのがGPS信号か通信信号かに応じて、2つのアンテナ1または2の一方をスイッチ6で選択する。 別個のプリセレクト・フィルタ3および4を使用して、特定の信号帯域外の干渉を除去する。 このような帯域の一方は、アンテナ1からのGPS信号に対応し、他方の帯域は通信信号のある帯域に対応する。 特殊なケースでは、GPS信号と通信信号の周波数の間隔が狭い場合に、1本のアンテナを使用できることもある。 本発明によりGPS信号を収集する場合、RF/IF変換器7に入力するため、スイッチ6がプリセレクト・フィルタ3からの信号を選択することが理解される。 通信リンク14aからの通信信号を収集して復調する場合は、スイッチ6は、変換器7への入力用にプリセレクト・フィルタ4からの信号を選択する。 スイッチ6の出力部は無線周波数(RF)/中間周波数(IF)変換器7の入力部に接続される。 この変換器7は、信号を適切な中間周波数、例えば70MHzに変換する。 次に、例えば1MHzなどのさらに低い中間周波数に変換する。 RF/IF変換器7内の各変換器は、通常、図1Bに示すように増幅器とミキサで構成される。 第1変換器の構成要素は、通常、広い周波数範囲(例えば800ないし2000MHz)を含む十分に広い帯域である。 この帯域は、大抵の場合にGPS信号や大抵の重要な通信信号が係わる周波数範囲を扱うのに十分広い帯域である。 RF/IF変換器7の出力部は、アナログ/ディジタル(A/D)変換器8の入力部に接続され、それがRF/IF変換器7からの出力信号をディジタル化する。 実現形態によっては、RF/IF変換器7が直角位相の一対の出力を与えることがあり、そのような場合は2つのA/D変換器を使用することができる。 A/D変換器8の出力部は、処理するデータのレコードを記憶できるディジタル・スナップショット・メモリ9の入力部に接続される。 場合によっては、A/D変換器8から出力されるデータの転送率が十分低ければ、このメモリ9をバイパスし、データをプロセッサ構成要素10(図示のようにDSPチップか、1組のディジタル処理チップでもよい)に直接送信してもよい。 スナップショット・メモリ9は、メモリ9に記憶されるGPS信号の処理に使用される。 スナップショット・メモリ9は、通常、パケット化した通信信号、つまりデータ・ビットのバーストの後に長い非活動期間がある信号にも使用される。 これは、本発明で使用することが考えられる通信信号方式の主な形態である。 しかし、多くのセルラー・タイプの信号など、連続的な信号方式は、プロセッサ10で連続的に処理してもよい。 メモリ9は、プロセッサがメモリ9にデータを読み書きするため、典型的な実施形態ではプロセッサ10に双方向で接続される。 一つの実施形態では、メモリ9は、一方の入力ポートがA/D変換器8からの出力を受信するよう接続され、別の入力ポートがプロセッサ10からのデータを受信するよう接続された、従来通りのデュアル・ポート・メモリでよい。 処理構成要素10は、通信信号を変換器7で変換し、変換器8でこの信号をディジタル化してメモリ9に信号を記憶するか、それを直接処理することにより、通信リンク14aを通して受信した通信信号を受信することが理解されよう。 この方法で、プロセッサ10は通信信号内のコマンドまたは通信信号内の他のデータ(例えばドップラー・データまたは視界内の衛星の天文暦を表すデータ)を決定するために、通信信号を復調する。 通信リンクによって送信する必要がある場合、プロセッサ10は送信すべきデータと信号のベースバンド・ディジタル・サンプルとを生成する。 次に、このデータを使用して、変調器回路11を使用して搬送波信号を変調する。 このような変調は、周波数偏移変調または位相偏移変調などのディジタル・タイプであることが多い。 周波数変調などのアナログ変調も使用することができる。 変調を実行する搬送波周波数は、通信信号の最終的なRF周波数であっても、そうでなくてもよい。 中間周波数(IF)である場合は、追加のIF/RF変換器12を使用して、信号を通信信号の最終的なRF周波数に変換する。 電力増幅器13は、信号レベルを高め、次にその信号を送受信(T/R)スイッチ5を通して通信アンテナ2に供給する。 このスイッチは、敏感な受信機のステージを電力増幅器13からの強い信号レベル出力から分離することを目的とする。 この方法で、位置情報(例えば様々な衛星への疑似距離、または結合型移動ユニット100の緯度および経度)を表すデータを含む通信信号を通信リンク14aを通して基地局17などの基地局に送信する。 少なくとも一つの実施形態では、同じ周波数合成器を使用して、全操作モード用の局部発振を生成し、それらのモードはGPS信号を表すデータの受信、通信リンク14aからの通信信号の受信、および通信リンク14aへの通信信号の送信を含むことが理解できる。 また、RF/IF変換器7、アナログ/ディジタル変換器8、ディジタル・スナップショット・メモリ9およびプロセッサ・チップ10は、本発明の少なくとも一つの実施形態では、全操作モードに共通していることも分かる。 言うまでもなく、電源などの他の周辺回路が、このような全モードに共通している。 本発明の一つの実施形態によると、電力管理回路は、メモリ19に記憶された電力管理アルゴリズムを使用して実現してよいことも理解される。 このアルゴリズムはプロセッサ10を制御し、これは送信電力制御部18を制御する。 送信電力制御部18は、通信信号の送信後に送信電力制御ユニット18によって変調器11、変換器12および増幅器13が低電力状態になるよう、電力増幅器13、変換器12および変調器11に制御された電力信号を供給する。 これらの構成要素は、通常、通信リンク14aを通してさらに送信が必要になるまで、この低電力状態にある。 この実施形態の典型的な例は、移動ユニット100が双方向の受信機および送信機の機能を実行し、送信機が送信していない時には送信機の電源が切断されている(または消費電力が低下する)双方向のページャー・システムである。 図1Bは、RF/IF変換器7のさらなる詳細と、周波数合成器16とそれの関係とを示し、両方とも図1Bに図示されている。 図1Bで図示されているような二重周波数合成器42は共通して利用可能で、調整可能な局部発振器(LO)を形成するのに使用される。 これは、様々な操作モードの様々なRF周波数に対応するよう調整することができる。 第1変換器32の増幅器30は、スイッチ6からの出力を受信し、その出力を増幅してミキサ31へ入力を与える。 ミキサは発振器41からの入力も受信する。 ミキサ31からの出力は、増幅器33の入力部に供給され、その出力部は帯域フィルタ(BFP)34の入力部に接続される。 このフィルタ34からの出力は第2変換器37の入力に接続される。 これは同様に増幅器35とミキサ36を備えている。 ミキサ36からの出力は、自動利得制御部38に送られる。 そこで信号の利得を自動的に調整し、ロー・パス・フィルタ39へ出力を与える。 フィルタの出力は増幅器40によって増幅され、変換器7の出力としてアナログ/ディジタル変換器8の入力部に供給される。 局部発振器41と44は、本発明の受信操作モードで復調を実行するために、2つの変換器32、37へ調整済み周波数を与える。 このLO41、44は、本発明の送信モードで変調器11と変換器12に調整済み周波数も与える。 汎用DSP集積回路チップ(またはチップ・セットの数個のチップ)を使用して共通の通信信号を処理することが当業者の間で周知であることが理解される。 このような処理の例として、テキサス州ダラスのTexas Instrumentsによる部品TMS320C545およびTMS320C546のデータ・シートに言及することができ、そのデータ・シートは欧州ディジタル・セルラー網で使用されているGSM信号の処理について述べる。 通信信号を(例えば基地局17から)受信すると、プロセッサ10は、SAWフィルタ34の中心周波数と同量だけ通信信号の搬送周波数の上または下の値である出力周波数を与えるように、周波数合成器16に第1局部発振器41を調整させる。 GPS信号を(例えばGPS衛星から)受信すると、プロセッサ10は、SAWフィルタ34の中心周波数と同量だけGPS信号(米国のGPSシステムの場合は1575.42MHz)の中心周波数より高いか低い値の出力周波数を局部発振器41に供給させる。 大抵の場合、第2LO44は両方のケースで同じ周波数に調整され、したがって両方のケースで同じ最終IFが生成される。 典型的な実施形態では、プロセッサ10が、GPS信号の受信または通信信号の受信用に発振器(例えばLO41)を調整するため、(例えば図1Aに示す相互接続部14を介して)周波数合成器16に制御信号を与える。 同様に、プロセッサ10は、変調器11および任意選択で変換器12を通して通信信号を送信するために局部発振器の信号が必要な場合、周波数合成器16に制御信号を与える。 図2の流れ図は、図1Aの装置が典型的な操作のシナリオにいかに使用されるかの例を示す。 この状況で、受信機は通信リンク14aからの通信信号をモニタする通信受信モードで開始する。 したがって、ステップ20でプロセッサ10は通信システムのアクセス・チャンネルへ変換器7を調整する。 これは、メッセージの対象となるユーザのアドレスを同報通信し、そのユーザを通信する他のチャンネルへと割り当てるチャンネル(通常はセルラー網)である。 ステップ21で受信機がアドレスされると、プロセッサ10は特定のチャンネルへ調整し、その捕捉中にステップ22で搬送波周波数を正確に測定する。 これは、移動システム100の局部発振器を較正するために実行する。 ステップ23で示すようなGPSコマンドと言われる、位置を決定するというコマンドがあれば、このように搬送波周波数を測定すると、GPS受信機局部発振器のエラーを補正することができ、これによってGPS信号の捕捉が速くなる。 次に、受信機がGPSモードになり、プロセッサ10は受信機をGPS帯域に再調整させ、ステップ24でGPS信号を収集して処理する。 これは、以前の操作中に通信チャンネルを介して供給された情報を使用することができ、そのような情報には、衛星ドップラー情報、差分GPSデータ、視界内の衛星の衛星天文暦を表すデータなどを含むことができる。 ステップ25で、プロセッサ10はGPS信号から位置情報を計算するが、これは通常、その時点で計算される視界内の衛星までの疑似距離である。 これらの手順に関連するさらなる詳細は、1996年3月8日にNorman F. Krasnerが出願した上記の特許に記載され、その3つの特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。 ステップ25の位置決め操作の後、システムは送信モード26になり、通信リンク14aに位置情報を送信する。 GPS位置計算を実行する時刻および通信システムに応じて、通信リンク14aからメッセージを受信する間に使用したのと同じまたは異なるチャンネルを使用することができる。 異なるチャンネルを使用する場合は、受信中に用いたチャンネル・アクセス手順を再び用いる。 当業者には、以上の記述が一つの操作シナリオによる典型的な流れであることが理解される。 このシナリオの他の変形を、本発明にしたがって実行することができる。 例えば、通信リンクでの受信または送信の間に複数のGPS測定を行うか、あるいは通信リンクを通して大量の通信メッセージを双方向に流し、GPS信号の処理には時々しか時間を割り当てないことができる。 プロセッサ10を使用して位置決めのためにGPS信号を処理する方法について、次に説明する。 DSP10で実行される信号処理の詳細は、図3の流れ図および図4A、図4B、図4C、図4Dおよび図4Eの図の助けを借りて理解することができる。 当業者には、下記の信号処理を実行するためのマシン・コードまたは他の適切なコードがメモリ19に記憶されていることが明白である。 (例えば双方向ページャー・システムなどの)通信リンクを介する通信信号の送受信を制御する適切なコードもプログラム・メモリ19に記憶することができる。 他の非揮発性記憶装置を使用することもできる。 GPS処理の目的は、地元で生成した波形に対する受信波形のタイミングを決定することである。 さらに、高感度を達成するために、このような波形の非常に長い部分、通常は100ミリ秒ないし1秒が処理される。 処理を理解するために、まず、受信した各GPS信号(C/Aモード)は、通常は「チップ」と呼ばれる、1023個の記号でできた高速(1MHz)反復疑似乱数(PN)パターンで構成されることが分かる。 この「チップ」は図4Aに示す波形に似ている。 このパターンにはさらに、50ボーで衛星から送信された低率データが加えられる。 このデータはすべて、2MHzの帯域で測定した状態で、非常に低いS/N比で受信される。 搬送波の周波数およびすべてのデータ転送率が、非常に精度が高く、データがないことが分かったら、S/N比を大幅に改善し、互いに連続するフレームを加えることにより、データを大幅に減少させることができた。 たとえば、1秒の期間に1000のPNフレームがある。 最初のこのようなフレームを、次のフレームに一貫して追加し、結果を第3フレームに追加し、以下同様にすることができた。 その結果、継続時間が1023チップの信号となる。 これで、このシーケンスの位相を局部基準シーケンスと比較し、2つの間の相対的時間を決定して、いわゆる疑似距離を確立することができた。 上記のプロセスは、通常、スナップショット・メモリ9に記憶された受信データの同じセットから、視界内の各衛星について別個に実施される。 というのは、概して異なる衛星からのGPS信号はドップラー周波数が異なり、PNパターンが互いに異なるからである。 信号ドップラーの不確実さのために搬送波の周波数が5kHz以上不明になり、受信機の局部発振器の不確実さのためにこの量が追加されるので、上記のプロセスは困難になる。 このドップラーの不確実さは、本発明の一つの実施形態では、視界内の衛星からの全GPS信号を同時にモニタする基地局17から、このような情報を送信することによって取り除かれる。 したがって、ドップラー探索は遠隔ユニット100では回避される。 局部発振器の不確実さも、図6に示すように、基地局から移動ユニットへの通信信号(および精密搬送波周波数信号)を使用してAFC操作を実行することにより、(恐らく50Hzまで)大幅に削減される。 GPS信号に重ねた50ボーのデータが存在することで、20ミリ秒の期間を超えるPNフレームの一貫した加算がなお制限される。 つまり、データ符号の反転でさらなる処理利得が妨げられるまでに、最大2のフレームを一貫して追加することができる。 以下のパラグラフで詳述するように、フレームの整合フィルタリングおよび絶対値(または絶対値の平方)の加算によって、追加の処理利得を達成することができる。 図3の流れ図は、ステップ101から開始し、基地局17からのコマンドでGPSの処理操作を初期化する(図3では「固定コマンド」と呼ぶ)。 このコマンドは(一つの実施形態では)、通信リンク14aを介して視界内の各衛星のドップラー・シフトおよびその衛星のIDとを送ることを含む。 ステップ102で、遠隔ユニット100は基地局17から送信された信号への周波数ロックによって、局部発振器のシフトを計算する。 代替法は、遠隔ユニットの非常に良質な温度補正水晶発振器を使用することである。 例えば、ディジタル制御のTCXO、いわゆるDCXOは現在、約0.1/百万の精度、つまりL1のGPS信号に約150Hzの誤差を達成することができる。 ステップ104では、遠隔ユニットのプロセッサ10は、C/AコードのPNフレームK個の継続時間だけデータのスナップショットを収集し、ここでKは通常100ないし1000(100ミリ秒から1秒の継続時間に相当)である。 十分な量のデータが収集されたら、プロセッサ10はRF/IF変換器7およびA/D変換器8を少なくともある期間(例えば所定の短期間)だけ低電力状態にすることにより、これらの構成要素の電力消費量を削減する。 この期間の後、通常は通信信号が遠隔/移動ユニット100に送信されているか検出するため、これらの構成要素に再び完全に電力を供給する。 図8に示すように、この低電力と完全電力とのサイクルを繰り返すことができ、これについて以下で検討する。 各衛星の疑似距離は、以下のように計算される。 まず、ステップ106では、処理すべき任意のGPS衛星信号について、対応する疑似乱数(PN)コードをメモリ19から検索する。 手短に検討するように、好ましいPN記憶フォーマットは、実際はこのPNコードのフーリエ変換を、1023PNビットあたりサンプル2048個の率でサンプリングしたものである。 スナップショット・メモリ9のデータは、N個の連続するPNフレームのブロック、つまり2048N個の複素数サンプルのブロックで処理される(Nは通常は5ないし10の範囲の整数である)。 図3の底部のループ(ステップ108〜124)で示すように、各ブロックで同様の操作を実行する。 つまり、このループを、処理すべきGPS信号ごとに合計K/N回、このループを実行する。 ステップ108では、2048N個のデータ・ワードのブロックに、信号搬送波のドップラー効果と、受信機の局部発振器のシフト効果とを取り除く複素指数関数を掛ける。 例証するために、基地局17から送信されるドップラー周波数と、f e Hzに対応する局部発振器のオフセットとを想定してみる。 データを予め逓倍すると、関数e −j2πf e nT ,n=[0、1、2・・・、2048N−1]+(B−1)×2048Nの形をとり、ここでT=1/2.048MHzはサンプリング期間で、ブロック数Bは1ないしK/Nの範囲である。 次に、ステップ110では、ブロック内のデータの隣接するフレームN個(通常は10個)のグループを、一貫して互いに加算する。 つまり、サンプル0、2048、4096、・・・2048(N−1)−1を互いに加算し、次に1、2049、4097、・・・2048(N−1)を互いに加算し、以下同様とする。 この時点で、ブロックは2048個しか複素サンプルを含まない。 このような加算演算によって生成した波形の例を、PNフレーム4個の場合で図4Bに示す。 この加算演算は、高速畳み込み演算に先立つ前処理演算と見なすことができる。 次に、ステップ112〜118で、平均化したフレームはそれぞれ、整合フィルタリング操作を受けるが、その目的はデータのブロック内に含まれる受信PNコードと地元で生成したPN基準信号との間に相対的時間を決定することである。 同時に、サンプリング時間に対するドップラー効果も補正される。 これらの演算は通常、一つの実施形態では、本明細書で述べるように、巡回畳み込みを実行する方法で用いた高速フーリエ変換アルゴリズムなど、高速畳み込み演算を使用することにより、大幅に高速化される。 話を単純にするために、上記のドップラー補正は最初に無視される。 実行される基本的操作は、処理されるブロックのデータ(2048個の複素数サンプル)を、地元で記憶される同様の基準PNブロックと比較することである。 比較は実際には、データ・ブロックの各エレメントに対応する基準エレメントを(複素数で)掛けて、結果を合計することによって実行される。 この比較を「相関」と呼ぶ。 しかし、個々の相関はデータ・ブロックのある特定の開始時間にしか実行せず、よりよく整合のとれそうな可能な位置が2048ある。 すべての可能な開始位置の全相関操作のセットを、「整合フィルタリング」操作と呼ぶ。 好ましい実施形態では、完全な整合フィルタリング操作が必要である。 PNブロックの他の時間は、PN基準を循環シフトし、同じ操作を実行することによって試験することができる。 つまり、PNコードをp(0)、p(1)・・・p(2047)とすると、サンプル1個による循環シフトはp(1)p(2)・・・p(2047)p(0)となる。 この変形シーケンスは、データ・ブロックがサンプルp(1)で開始するPN信号を含むか、試験して決定する。 同様に、データ・ブロックはサンプルp(2)、p(3)等で開始でき、それぞれは基準PNを循環シフトし、試験を再実行することによって試験される。 完全な試験のセットは2048×2048=4,194,304の操作が必要で、それぞれが複素数の乗法と加算法とを必要とすることが明白である。 高速フーリエ変換(FFT)を使用して、より効率的で数学的に同等の方法を使用することができ、これは約12×2048の複素数乗法と加算数の2倍を必要とするだけである。 この方法では、FFTをステップ112でデータ・ブロックとし、PNブロックとする。 データ・ブロックのFFTは、ステップ114で基準のFFTの複素共役行列を掛け、その結果をステップ118で逆フーリエ変換する。 このようにして得られた結果としてのデータは、長さ2048で、あらゆる可能な位置のデータ・ブロックおよびPNブロックの相関のセットを含む。 順方向または逆のFFT演算はそれぞれ、(P/2)log 2 Pの演算を必要とし、ここでPは送信するデータのサイズである(基を2とするFFTアルゴリズムを使用するものとする)。 問題のケースの場合、B=2048なので、各FFTには11×1024の複素数乗法が必要である。 しかし、好ましい実施形態の場合のように、PNシーケンスのFFTをメモリ19に予め記憶しておくと、フィルタリング・プロセス中にFFTを計算する必要がない。 複素数の合計を順方向FFT、逆FFTについて掛け、FFTの積は(2×11+2)×1024=24576となり、これは直接的な相関に対して171倍の節約になる。 図4Cは、この整合フィルタリング演算で生成した波形を示す。 本発明の好ましい方法は、データのサンプル2048個がチップ1023個のPN期間に採取されるようなサンプル率を使用する。 これによって、長さ2048のFFTアルゴリズムを使用することができる。 べき数2または4のFFTアルゴリズムは他のサイズ(および2048=2 11 )より通常ははるかに効率的であることが分かっている。 したがって、このようにして選択したサンプリング率は、処理速度を大幅に改善する。 適切な循環畳み込みが達成できるよう、FFTのサンプル数は、一つのPNフレームのサンプル数に等しいことが好ましい。 つまり、上述したように、この状態によって、データ・ブロックをPNコードのすべての循環シフト・バージョンと突き合わせて試験することができる。 FFTのサイズを、一つのPNフレームの長さとは異なるサンプル数にまたがるよう選択する場合は、当技術分野で「オーバラップ・セーブ」または「オーバーラップ加算」畳み込みとして知られる代替方法のセットを使用することができる。 このアプローチには、好ましい実現形態について上述したアプローチより、約2倍の計算が必要である。 当業者には、様々なサイズおよび様々なサンプル率の様々なFFTアルゴリズムを使用して上記のプロセスを修正し、高速畳み込み演算を行う方法が明白なはずである。 また、必要な計算の数が、直接的な相関で必要なB 2ではなくBlog 2 Bに比例する特性も有する高速畳み込みアルゴリズムのセットが存在する。 このようなアルゴリズムの多くは、標準的な参考文献で列挙され、たとえばH. J. Nussbaumerの「高速フーリエ変換および畳み込みアルゴリズム」(New York,Springer−Verlag,C1982)である。 このようなアルゴリズムの重要な例は、Agarwal−Cooleyのアルゴリズム、分割入れ子アルゴリズム、再帰的な多項式入れ子アルゴリズム、およびWinogradフーリエ・アルゴリズムであり、最初の3つは畳み込みに、後者はフーリエ変換の実行に使用する。 これらのアルゴリズムを、上述した好ましい方法の代わりに使用してもよい。 次に、ステップ116で使用する時間ドップラー補正法について説明する。 好ましい実現形態では、受信GPS信号へのドップラー効果および局部発振器の不安定さのため、使用するサンプル率は、PNフレームにつきサンプル2048個という数字に正確に対応しなくてもよい。 たとえば、ドップラー・シフトは±2700ナノ秒/秒という遅延誤差を生じることがあることが知られている。 この効果を補正するために、上記のように処理したデータのブロックは、この誤差を補正するために時間をシフトする必要がある。 一例として、処理するブロックのサイズがPNフレーム5個(5ミリ秒)に相当する場合は、ブロックごとの時間シフトは±13.5ナノ秒にも成り得る。 局部発振器の不安定さによる時間シフトはこれより小さい。 これらのシフトは、単一のブロックに必要な時間シフトの倍数で、連続するデータのブロックを時間シフトさせることにより補正することができる。 つまり、ブロック当たりのドップラー時間シフトがdの場合、ブロックはnd(n=0、1、2・・・)だけ時間シフトされる。 概して、これらの時間シフトはサンプルの断片である。 これらの演算を、ディジタル信号処理法を使用して直接実行すると、非整数の信号補間法を使用することになり、計算の負担が大きくなる結果となる。 代替アプローチ、つまり本発明の好ましい方法は、高速フーリエ変換の関数に処理を組み込む。 d秒の時間シフトは、ある関数のフーリエ変換にe −j2πfdを掛けた値に等しいことがよく知られており、ここでfは周波数の変数である。 したがって、時間シフトは、データ・ブロックのFFTにe −j2πnd/T f(n=0、1、2・・・、1023)およびe −j2π(n−2048)d/T f(n=1024、1025、・・・2047)を掛けることによって達成され、ここでT fはPNフレームの継続時間(1ミリ秒)である。 この補正は、FFT処理に伴う処理時間を約8%しか増加させない。 補正は、0Hzにわたる位相補正の連続性を保証するため、半分の2つに分割される。 整合フィルタリング演算が終了したら、ブロックの複素数の絶対値、または絶対値の平方をステップ120で計算する。 いずれの選択肢でもほぼ同様に働く。 この演算は、(図4Dに示すような)50Hzのデータ位相の反転、および残っている低周波数搬送波の誤差を取り除く。 次に、サンプル2048個のブロックをステップ122で処理された前のブロックの合計に加算する。 ステップ122は、ステップ112〜118で行った高速畳み込み演算に続く後処理演算と見なすことができる。 これは、ステップ124の決定ブロックで示すように、すべてのK/Nブロックが処理されるまで続き、ここでサンプル2048個の1ブロックが残り、これで疑似距離を計算する。 図4Eは、加算演算の後の結果となる波形を示す。 疑似距離の決定はステップ126で行う。 局部的に計算したノイズ・レベルより上で、ピークを探索する。 このようなピークを発見したら、ブロックの開始時刻に対するその発生時刻が、特定のPNコードおよび付随のGPS衛星に伴う疑似距離を表す。 ステップ126で補間ルーチンを使用し、サンプル率(2.048MHz)に伴う精度よりはるかに大きい精度までピークの位置を探す。 補間ルーチンは、遠隔ユニット100のRF/IF部分に使用した前の帯域フィルタリングによって決まる。 良質のフィルタは、底辺の幅がサンプル4個に等しいほぼ三角形のピークをもたらす。 この状態で、(DCベースラインを除去するため)平均振幅を引いた後、最も大きい2つの振幅を使用して、ピーク位置をより精密に決定することができる。 サンプル振幅をA pおよびA p+1とし、ここでA p ≧A p+1で、一般性の損失がなく、pがピーク振幅の指標とする。 これで、A pに対応する位置に対するピークの位置は、ピーク位置=p+A p /(A p +A p+1 )という式で得られる。 たとえば、A p =A p+1とすると、ピーク位置はp+0.5である、つまり2つのサンプルの指標の中間であることが分かる。 場合によっては、帯域フィルタリングがピークをまるめることができ、3ポイントの多項式補間の方が適切である。 以上の処理では、閾値決定に使用する局部ノイズ基準は、このような最大ピークを幾つか除去した後に平均化した最終ブロックの全データを平均することによって計算することができる。 疑似距離が分かったら、ステップ128では、このような衛星を全て処理していない限り、視界内にある次の衛星について、同様の方法で処理を続行する。 このような全衛星の処理が終了したら、プロセスはステップ130に続き、疑似距離データを通信リンク14aを介して基地局17に送信する。 遠隔ユニット100の最終位置計算は、移動ユニット100ではなく基地局が緯度および経度を計算する本発明の実施形態では、基地局が実行する。 最後にステップ132で、遠隔ユニット100の回路の少なくとも一部(例えば変調器11、変換器12および増幅器13)を低電力状態にし、別の位置決め操作を実行するという新しいコマンドを待つ。 次に、上述し図3で図示した信号処理について概略する。 視界内の単数または複数のGPS衛星からのGPS信号を、GPSアンテナ1を使用して、遠隔GPSユニットで受信する。 この信号をディジタル化し、遠隔GPSユニットのバッファに記憶する。 この信号を記憶した後、プロセッサは前処理、高速畳み込み処理、および後処理操作を実行する。 これらの処理操作は以下のことを伴う。 a)記憶したデータを、GPS信号に含まれる疑似乱数(PN)コードのフレーム期間の倍数と継続時間を等しくする一連の隣接ブロックに分割する。 b)各ブロックで、データの連続するサブブロックを一貫して加算することにより、疑似乱数コード期間の継続時間に等しい長さを有するデータの圧縮ブロックを生成する前処理ステップを実行する。 サブブロックの継続時間は1PNフレームに等しい。 この加算ステップは、各サブブロックの対応するサンプル数を互いに加算することである。 c)圧縮ブロックごとに、整合フィルタリング演算を実行し、これは高速畳み込み技術を用いて、データのブロック内に含まれる受信PNコードと局部的に生成したPN基準信号(たとえば処理しているGPS衛星の疑似乱数シーケンス)との間の相対的タイミングを決定する。 d)前記整合フィルタリング演算で生成した積で絶対値平方演算を実行して疑似距離を決定し、絶対値平方データのブロックを互いに加算してピークを生成し、全ブロックの絶対値平方データを単一ブロックのデータにまとめることにより後処理する。 e)ディジタル補完法を用いて前記単一ブロックのデータのピーク位置を探す。 ここで、その位置はデータ・ブロックの開始から前記ピークまでの距離で、位置は処理中の疑似乱数シーケンスに対応するGPS衛星の疑似距離を表す。 通常、バッファしたGPS信号の処理に使用する高速畳み込み技術は、高速フーリエ変換(FFT)で、畳み込みの結果は圧縮ブロックの順方向変換の積と予め記憶した圧縮ブロックの順方向変換の表現とを計算し、第1結果を生成し、次に第1結果の逆変換を実行して結果を回収することによって生成する。 また、ドップラーによって誘発された時間遅延および局部発振器によって誘発された時間誤差の影響は、圧縮ブロックの前方向FFTと、ブロックに必要な遅延補正に対応するようサンプル数に対する位相が調整された複素指数関数との乗法を、前方向と逆高速フーリエ変換演算との間に挿入することにより、データの各圧縮ブロックごとに補正される。 以上の実施形態では、各衛星からのGPS信号の処理は、並列ではなく、時間の経過とともに順番に発生しする。 代替実施形態では、視界内の全衛星のGPS信号を、時間的に並列の方でまとめて処理することができる。 基地局17は、対象となる全衛星に対して共通の視野を有し、C/A PNコードの反復期間に伴う曖昧さを避けるために、遠隔ユニット100と十分に近い距離にあるものとする。 90マイルの距離であれば、この基準を満足する。 基地局17はまた、GPS受信機を有し、視界にある全衛星を高精度で連続的にトラッキングするような良好な地理的位置にあるものとする。 記載された基地局17の幾つかの実施形態は、移動GPSユニットの緯度および経度のような位置乗法を計算するための基地局のコンピュータなど、データ処理構成要素の使用を示すが、各基地局17は、単に、移動GPSユニットからの疑似距離などの受信情報を、実際に緯度および経度を計算する単数または複数の中心位置に中継するだけでもよい。 この方法で、各中継基地局からデータ処理ユニットおよびそれに関連する構成要素を除去することにより、これら中継基地局の費用および複雑さを軽減することができる。 中心位置は、受信機(例えば遠隔通信受信機)およびデータ処理ユニットおよび関連の構成要素を含むことになる。 さらに、特定の実施形態では、基地局は、遠隔ユニットにドップラー情報を送信する衛星でよく、これによって送信セル中の基地局をエミュレートするという点で仮想的でよい。 図5Aおよび図5Bは、本発明による基地局の2つの実施形態を示す。 図5Aに示す基地局では、GPS受信機501がGPSアンテナ501aを通してGPS信号を受信する。 GPS受信機501は、従来通りのGPS受信機でよく、通常、GPS信号に対して計時した計時基準信号を供給し、視界内の衛星に対するドップラー情報も供給する。 GPS受信機501は、時刻基準信号510を受信してこの基準に位相ロックする統制のとれた局部発振器505に結合される。 この統制のとれた局部発振器505は、モジュレータ506へと出力する。 モジュレータ506は、GPS移動ユニットの視界内にある各衛星からのドップラー・データ情報信号や他の衛星データ情報信号(例えば衛星の天文暦を表すデータ)も相互接続部511を介して受信する。 モジュレータ506は、送信機503に変調信号513を供給するため、ドップラー情報や他の衛星データ情報を、統制局部発振器505から受信した局部発振器信号へと変調する。 送信機503は、ドップラー情報などの衛星データ情報を送信機のアンテナ503aを介してGPS移動ユニット(例えば共用回路を有する遠隔ユニット100)に送信させるよう、データ処理ユニットが送信機503の操作を制御するように相互接続部514を介してデータ処理ユニット502に接続される。 この方法で、GPS移動ユニットはドップラー情報を受信することができ、その発生源はGPS受信機501で、図6に示すように、GPS移動ユニットの局部発振器の較正に使用することができる、高精度の局部発振器搬送波信号も受信する。 図5Aに示したような基地局は、通信アンテナ504aを介して遠隔ユニット100からの通信信号を受信するよう接続された受信機504も含む。 アンテナ504aは、1本のアンテナが従来通りの方法で送信機と受信機との両方の働きをするという点で、送信機のアンテナ503aと同じアンテナであることが理解される。 受信機504は、データ処理ユニット502に接続され、これは従来通りのコンピュータ・システムでよい。 処理ユニット502は、GPS受信機501からドップラー情報や他の衛星データ情報を受信する内部接続部512も含む。 この情報は、受信機504を介して移動ユニット100から受信した疑似距離情報や他の情報の処理に使用することができる。 このデータ処理ユニット502は、ディスプレイ装置508に接続され、これは従来通りのCRTでよい。 データ処理ユニット502は、ディスプレイ508に地図を表示するのに使用するGIS(地理情報システム)ソフトウェア(例えばカリフォルニア州Santa ClaraのStrategic Mapping,Inc.によるAtlas GIS)を含む大量記憶装置507にも接続される。 ディスプレイの地図を使用して、ディスプレイ上で表示された地図に対する移動GPSユニット100の位置を表示することができる。 図5Bに示す代替基地局は、図5Aと同じ構成要素を多く含む。 しかし、ドップラー情報や他の衛星データ情報をGPS受信機から獲得するのではなく、図5Bの基地局は、従来通りに、遠隔通信リンクや無線リンクから獲得したドップラー情報や他の衛星データ情報552の発生源を含む。 このドップラー情報や衛星情報は、相互接続部553を通してモジュレータ506に伝達される。 図5Bに示すモジュレータ506の他の入力は、セシウム基準局部発振器などの基準品質の局部発振器551から得た発振器出力信号である。 この基準局部発振器551は、ドップラー情報や他の衛星データ情報を延長する精密な搬送波周波数を供給し、この情報は送信機503を介して移動GPSユニットに送信される。 図6は、図1Aのアンテナ2と同様の通信チャンネル・アンテナ601を通して受信した精密な搬送波周波数信号を使用する、本発明のGPS移動ユニットの実施形態を示す。 同様に、GPSアンテナ613は図1Aのアンテナ1と同様でよく、変換器614、A/D変換器616、メモリ618およびDSP構成要素620はそれぞれ図1Aの変換器7、A/D変換器8、メモリ9およびDSP構成要素10を表す。 周波数合成器609および局部発振器606はそれぞれ、図1Bに示す合成器42および周波数基準43を表す。 この実施形態では、通信信号の受信中にDSP構成要素620が精密搬送波周波数信号から調整エラーを計算し、調整の補正値610を周波数合成器609に送信する。 次に、調整補正値を使用して初期調整エラーを決定することができ、したがって、受信した通信信号の搬送波周波数が非常に安定しているものとして、局部発振器信号607の誤差が決定される。 次に、局部発振器のエラーは、周波数合成器609の調整周波数を、局部発振器606からの局部発振器エラーの効果を無効にする量だけ相殺することによって、その後のGPS受信操作中に補正される。 図7Aおよび図7Bは、共用構成要素を使用する本発明の代替実施形態を示す。 図7Aに示すように、プロセッサ421(例えばDSP IC)を、2つの別個の受信機のセクション間で共用する。 特に、変換器407、アンテナ401および変換器411はGPS受信機セクションを形成し、変換器413、アンテナ403および変換器416は通信用受信機セクションを受け持つ。 この2つの受信機からの出力信号は、スイッチ417の選択ライン418を通し、プロセッサ421の制御下でスイッチ417によって選択される。 このスイッチ417からの出力は、ディジタル・メモリ419の入力部に接続され、これは双方向バスによってプロセッサ421に接続される。 メモリ420はコンピュータ・プログラムおよびプロセッサ421の操作を制御するデータを記憶する。 このメモリはプロセッサ421に接続される。 プロセッサは、制御ライン423を通して周波数合成器424を制御する。 周波数合成器424は、変換器407および413が使用するそれぞれの様々な局部発振器信号409および415を提供し、変調器425および変換器427への局部発振器信号426も提供する。 プロセッサが通信アンテナ403を介して通信リンク405を通ってメッセージを送信したい場合、プロセッサは変調器425にメッセージを送信し、次の変調されたデータが変換器427で変換され、電力増幅器429で増幅される。 変調器425および変換器427および増幅器429の操作は、図1Aの変調器11、変換器12および増幅器13について上述したのと同様である。 図7Aは、アナログ北米AMPSシステムなどの特定のセルラー通信システムで使用するのに最も適しており、このシステムでは電話での会話やGPSの操作が同時に発生することがある。 このような状況では、変換器を共用することは不可能であるが、周波数合成器、ディジタル・メモリおよびディジタル・プロセッサは、サイズ、費用および電力削減のために共用することができる。 このケースでは、周波数合成器は単一の信号基準源から複数の局部発振器を形成することができ、したがって局部発振器信号が幾つかの同時の操作に同時に与えられる(例えば電話信号の受信と送信、およびGPS信号の受信)。 プロセッサ421は、一つの実施形態では変調器425、IF/RF変換器427および電力増幅器429を含む送信機セクションの消費電力を削減することにより、図7Aに示した結合型GPSおよび通信システムの電力消費を制御する。 この電力削減は、この送信機セクションに相互接続部432および434を通して制御された電力を供給する送信電力制御部431によって達成され、プロセッサ421は、送信機の操作モードに従い、相互接続部431a上の制御信号を通して、送信電力制御部431に完全電力または低電力を供給するよう命令する。 同様の方法で、プロセッサ421は、メモリ420(EPROMまたはEEPROMメモリでよい)に記憶されている電力管理プログラムの制御下で、GPS信号を受信していない時には、GPS受信機セクションを低電力消費モードにすることができる。 例えば、低電力消費モードでは、変換器407および411に電力を供給しなくてもよい。 図7Bは、受信機部分は共用するが処理部分は共用しない、本発明による別の実施形態を示す。 図7Bに示す受信機部分は、図1Aに示す受信機部分と同様であり、変換器459、変換器463および周波数合成器461が、GPS信号と通信信号の両受信機セクションの基本的構成要素となり、両受信機セクションに共用される。 図7Bに示す送信機部分も、図1Aに示す送信機部分と同様で、変調器479、IF/RF変換器481、電力増幅器483、送信電力制御部485およびスイッチ487を含む。 周波数合成器461は、図7Bの送信機部分の変調器479およびIF/RF変換器481に局部発振器信号も供給する。 しかし、図7Bに示すように、結合型システムの2つの機能を処理するために、2つの別個のプロセッサがある。 通信プロセッサ473は通信信号の処理(例えば復調および変調)を制御し、GPSプロセッサ475はGPS信号を処理する。 GPS信号の処理結果(たとえば位置情報)は、共用メモリ471を通して通信プロセッサ473に送られ、これが次に位置情報を相互接続部477を通して、変調器479、変換器481、電力増幅器483および送受信器スイッチ487を備える送信機部分に送られる。 図7Bに示す実施形態のプロセッサ473は、様々な操作モード(例えば通信の受信またはGPSの受信)の間で周波数合成器461を切り換える。 プロセッサ473は、通常、スイッチ465の切り換えも(制御ライン464を通して)制御し、従って(共用受信機がGPS受信モードで作動している場合は)GPS信号がGPSメモリ467に記憶され、共用受信機が通信信号受信モードで作動している場合は、通信信号が通信メモリ469に記憶される。 図7Bは、双方向ページャーなどのシステムおよび同様のこのようなシステムに適しており、このようなシステムでは通信受信操作とGPS受信操作を同時に行う必要がない。 ここでは、RF連鎖とA/D変換器の大部分を共用することができる。 しかし、図7Bは図1Aと異なり、GPS処理機能と通信処理機能との処理負担が非常に過酷で、所望の期間内に完了できない場合は、必要に応じて別個のディジタル・プロセッサを設ける。 図7Aに示したシステムと同様、プロセッサ473によって電力消費量の削減が達成され、送信電力制御部485を通して送信機部分の消費電力を削減する。 図8は、共用回路を有する結合型GPSおよび通信システムの消費電力量を節約し、削減するための本発明による典型的な方法を示す。 一例として、図8の方法を、図1Aに示す結合型システムについて説明する。 この方法は通常、メモリ19に記憶されているプログラムの制御下で電力削減を制御するプロセッサ10によって操作される。 電力削減は、通常、様々な構成要素への電力相互接続部を制御することによって達成される。 例えば、送信機セクションは、送信電力制御部18を通して、相互接続を制御された電力を受ける。 同様に、受信機セクションは、共用する受信機セクションの構成要素(例えば変換器7および8)に電力を供給する電力制御接続部(図示せず)を通して電力を受けることができる。 用途によっては、周波数合成器の位相ロック・ループ(PLL)および基準発振器を中断せずに電力を供給することができる。 というのは、このような構成要素は最初に電源を投入してから安定化するのに多少時間が必要だからである。 この方法はステップ801で始まり、通信用受信機に完全な電力が供給される。 この受信機はRF/IF変換器7およびA/D変換器8およびプリセレクト・フィルタ4を含む。 この時間に通信信号を受信すると、それはメモリ9に記憶され、プロセッサ10で復調される。 プロセッサ10は、ステップ803で、ステップ801での通信信号が結合型システムの位置情報を供給するという要求を含むか判断するが、この要求は「固定コマンド」とも呼ばれる。 このようなコマンドを受信していない場合は、ステップ805で通信用受信機の電力が削減され、ステップ807でプロセッサ10は、ステップ801で回復するまである期間(例えば所定の期間)待つ。 このような要求を受信している場合は、プロセッサ10はステップ809で、既に完全な電力を受けていない共用GPS/通信用受信機の構成要素に完全な電力を供給する。 このような構成要素の一例は、通信信号の受信中に低電力状態にあるプリセレクト・フィルタ3(低ノイズ増幅器を含むことができる)である。 プロセッサ10は、ステップ815で通信受信操作で受信した全ての通信データを処理する。 このようなデータには、視界内にある衛星の衛星ドップラー情報およびその衛星のIDなどがある。 次にステップ820で、共用GPS/通信用受信機のGPS受信機は、視界内の衛星からGPS信号を受信し、信号のディジタル版をメモリ9に記憶する。 プロセッサ10は次に、共用GPS/通信用受信機(例えば変換器7および8)の消費電力をステップ825で削減し、ステップ830で、プロセッサ10は記憶してあるGPS信号を処理する。 プロセッサ10が位置情報(例えば視界内にある複数の衛星までの疑似距離または結合型システムの緯度および経度)を決定した後、プロセッサ10はステップ835で、送信電力制御部18に対して変調器11、変換器12および電力増幅器13へ完全な電力を供給するよう命令することにより、送信機セクションに電力を供給する。 次に、ステップ840で送信機が位置情報を送信し、ステップ845で送信機セクションへの電力が削減される。 次に、処理はステップ801に戻り、このポイントから続行する。 以上の明細書で、本発明について特定の例証的な実施形態を参照しながら説明してきた。 しかし、添付の請求の範囲で述べる本発明の幅広い精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更ができることは明白である。 したがって、明細書および図面類は、限定的な意味ではなく例示と見なすものとする。 すものとする。
本発明を、例および非制限的な添付図面類の図によって例証し、そこで参照番号は同様の要素を示す。
基地局との通信を確立することができる通信システムとGPS受信システムを有する移動結合型システムの主要構成要素のブロック図である。 図1AのRF/IF変換器および周波数合成器の典型的な実装ブロック図である。 本発明の一つの実施形態における様々な処理ステップを示す流れ図である。 本発明の一つの実施形態によりDSPプロセッサが実行する主要操作の流れ図である。 本発明の一つの実施形態の方法によるGPS信号処理の様々なステージにおける信号処理波形を示す。 本発明の一つの実施形態の方法によるGPS信号処理の様々なステージにおける信号処理波形を示す。 本発明の一つの実施形態の方法によるGPS信号処理の様々なステージにおける信号処理波形を示す。 本発明の一つの実施形態の方法によるGPS信号処理の様々なステージにおける信号処理波形を示す。 本発明の一つの実施形態の方法によるGPS信号処理の様々なステージにおける信号処理波形を示す。 本発明の一つの実施形態の基地局システムを示す。 本発明の代替実施形態の基地局を示す。 本発明の一つの態様により、局部発振器の相関または較正機能を有するGPS移動ユニットを示す。 本発明の代替実施形態による結合型GPSおよび通信システムの図である。 本発明の別の実施形態による結合型GPSおよび通信システムを示す。 本発明の一つの実施形態による結合型GPSおよび通信システムで電力消費の管理に関わる様々なステップを示す流れ図である。 符号の説明 1:GPSアンテナ2:通信アンテナ3、4:プリセレクト・フィルタ6:スイッチ7:RF/IF変換器8:アナログ/ディジタル(A/D)変換器9:ディジタル・スナップショット・メモリ10:プロセッサ11:変調器12:IF/RF変換器13:電力増幅器14:通信アンテナ14a:通信リンク16:周波数合成器17:基地局18:送信電力制御部19:プログラム・メモリ |