【発明の詳細な説明】 【0001】 【技術分野】 本発明は、第1局と第2局との間、例えば、セルラー電話ネットワークの基地局と移動局との間に確立される通信チャネルを持つ通信システムに関する。 とりわけ、本発明は、チャネルが可変レートデータソース、例えば、不連続な音声信号に割り当てられる場合にもたらされるシステム効率の低下に関する。 【0002】 【背景技術】 GSM等のいくつかの現行のセルラー無線システムは、話者が実際に話している時のみにコード化音声データを送信することによる音声データの不連続性が用いられている。 GSM等の従来の時分割多元接続(TDMA)システムにおいては、このことは、他の使用者への干渉レベルを低減させる効果を持ち、電力も節減する。 しかしながら、たとえ不連続な音声データの空白期間中に伝送が回避されるとしても、該音声データの伝送に対して確立されたチャネルは、通話の終わりまで該データに割り当てられたままである。 結果として、当該システムの容量は最適化されず、システム効率の低下に至る。 【0003】 同一チャネルを介する音声データ及びパケットデータの送信及び受信のためにデュアルモードチャネルを備えることも知られている。 斯様なシステムの一つは、国際特許出願第WO97/22216号に記載されている。 このシステムは、 とりわけ、セルラーディジタルパケットデータ(CDPD)サービスを提供するのに適している。 前記システムにおいては、デュアルモードチャネルが、音声通信がより高い優先度を持ちながら、音声通信及びパケットデータ通信の何れかに割り当てられる。 しかしながら、連続的なチャネルが、依然として不連続な音声データに割り当てられていることから、音声通信の不連続性は、なおシステム容量の非効率な使用をもたらす。 【0004】 【発明の開示】 本願第1の発明によれば、実時間データ及び非実時間パケットデータを送信するのに適し、第1通信局及び第2通信局を有し、前記第1局から前記第2局への実時間データと非実時間データとの両方の通信のためにデュアルモードチャネルを持つ通信システムであり、前記第1局は、前記実時間データ及び前記非実時間データの両方を送信可能な第1送受信機を有し、前記第2局は、前記実時間データ及び/又は前記非実時間データを受信可能な第2送受信機を有し、前記第1局は、更に、前記実時間データを有する出力データストリームを生成する制御器を有し、前記制御器は又、前記実時間データのデータレートが前記デュアルモードチャネルの全データ容量より少ない場合、非実時間パケットデータを前記出力データストリームへ割り当て、前記出力データストリームは、前記チャネルを介し前記送受信機により送信されることを特徴とする通信システムが提供される。 【0005】 本発明のシステムでは、非実時間パケットデータが、実時間データのデータレートがチャネルの全データ容量より少ない場合送信のため割り当てられる。 これにより、最大システム容量が利用可能である。 例えば、前記実時間データは、不連続な音声データを有しても良く、前記非実時間パケットデータは、コンピュータファイル又はファクシミリデータを有しても良い。 【0006】 第1局は、好ましくは音声入力から送信用の音声データを用意する音声コード化システムを有し、制御器は、前記音声コード化システムから音声データストリームにおける割込みのタイミングを指示するタイミング情報を受信する。 このように、音声コード化システムは、当該システムを実施可能にするために必要とされるタイミング情報を提供できる。 それ故、本発明を実施するために最小限の付加的なハードウェアしか必要とされない。 【0007】 第1送受信機は、好ましくは実時間データのデータレートの減少中に送信するために非実時間パケットデータを記憶するバッファを有する。 このことは、実時間データストリームのデータレートにおける減少が起こる度に送信するためデータの待ち行列を用意することを可能にする。 【0008】 第1局は、セルラー通信ネットワークの基地局を有し、第2局は、該ネットワークの移動局を有する。 【0009】 本願第2の発明によれば、本発明に応じて成された通信システム用の局が提供される。 【0010】 本願第3の発明によれば、実時間データ及び非実時間パケットデータを送信するのに適した通信システムを動作させる方法であり、前記システムは、第1通信局及び第2通信局を有し、前記第1局から前記第2局への前記実時間データと前記非実時間データとの両方の通信用のデュアルモードチャネルを持ち、前記第1 局は、前記実時間データ及び前記非実時間データの両方を送信可能な第1送受信機を有し、前記第2局は、前記実時間データ及び/又は前記非実時間データを受信可能な第2送受信機を有する方法であって、前記実時間データストリームのデータレートが前記デュアルモードチャネルの全データ容量より少ない場合、前記第1送受信機による非実時間パケットデータの前記実時間データを有する出力データストリームへの割り当てを制御し、前記チャネルを介し前記出力データストリームを送信するように前記第1送受信機を制御することを特徴とする方法が提供される。 【0011】 本発明の実施例を、一例として、添付の図を参照して述べる。 【0012】 【本発明を実施するための最良の形態】 本発明は、当該システム内で第1局から第2局への伝送を可能にする通信システムを提供する。 本発明による通信システムは、チャネル資源の効率的な使用を提供し、単一チャネルを用いる実時間データ及びパケットデータの伝送を可能にする。 実時間データの性質は、可変レートを持つとみなしても良い。 送信局は、 実時間データ及びパケットデータの両方を単一チャネル搬送波へ変調できる。 パケットデータは、可変レート実時間データストリームのデータレートの減少中に送信される。 実時間データは、該実時間データの実時間の遅延に対する制約条件のために、パケットデータより優先される。 本発明の一用途は、音声データ内に散在させられた(ファクシミリメッセージ、インターネットファイル又は他のコンピュータファイル等の)パケットデータを伴う実時間不連続音声データの伝送である。 但し、本発明は、ビデオ伝送等の他のタイプの実時間データにも適用可能である。 【0013】 図1は、本発明によるシステムで使用可能な送信機を概略的な形態で示している。 当該送信機は、この例の目的のために以下音声入力端と述べられる実時間データ入力端12及び非実時間パケットデータ入力端14を持つ。 【0014】 音声入力端12からのデータは、アナログ音声信号を標本化ディジタル音声データに変換する音声コーダ16に進む。 音声コーダ16は、不連続なアナログ音声入力内に休止期間がある時を検出でき、前記休止期間は、空のディジタルサンプル(empty digital samples)をもたらす。 これら空サンプルのタイミングは、 前記音声コーダからシステム全体の制御器18に与えられる。 パケットデータ入力端14からのデータは、バッファ20に供給される。 バッファ20は、利用可能なタイムスロットにおける送信用の存するパケットデータを記憶する。 バッファ20及び音声コーダ16からのデータは、コーダ22に供給される。 コーダ2 2は、これら2入力を後の送信に適当な形態にフォーマットする。 とりわけ、前記コーダは、実時間データとパケットデータとを組合わせ、(例えば、TDMA システムが用いられている場合、次いで割り当てられるタイムセグメントにおいて)チャネルを介し伝送するための離散データパケットを生成する。 【0015】 本発明によるシステムの一実施例において、前記チャネルは、実時間データストリーム及び非実時間データストリームの何れも搬送する。 この実施例では、一方のデータストリームが、チャネルの最大ビットレートでデータを提供している場合、他方のデータストリームは、データを提供しない。 さらに一般的な実施例では、二つのデータストリームの瞬間ビットレートが、中間値をとっても良く、 いずれのデータストリームの最小ビットレートが、(総ビットレートがチャネル容量以下であるという条件で)零でなくても良い。 斯くして、前記チャネルの総ビットレートは、ある最大値より低い値をとっても良く、実時間データストリームと非実時間データストリームとの間で如何なる割合で分割されても良い。 この後者の実施例は、とりわけ、実時間データが可変データレートを持つ場合に適するかもしれない。 【0016】 前記コーダからのデータは、伝送制御ユニット24に進む。 伝送制御ユニット24は、割り当てられたタイムスロット中の伝送のために適当なヘッダをデータの各サンプルに割り当てる。 前記ヘッダは、実時間(音声)データ又はパケットデータのどちらにデータサンプルが割り当てられているかの指示を含んでも良い。 必要ならば、前記ヘッダは、個々のタイムセグメント各々のどの部分が音声データに割り当てられていて、どの部分がパケットデータに割り当てられているかを指示しても良い。 この情報は、他の例においては、伝送制御ユニット24により制御される別個の制御チャネルを介して提供されても良い。 【0017】 伝送制御ユニット24は、送信チャネルにおけるダイバーシチ(diversity)を増大させるために、複数のデータサンプルのインターリーブを実行しても良い。 【0018】 伝送制御ユニット24は、フレーム生成器も含み、故に、ユニット24の出力を、適当な選択変調技術による変調及び送信機28による送信のため変調器26 に供給することが可能である。 【0019】 システム制御器18は、システム全体の動作を管理し、サービスの質を保つため実時間データの割り当てにタイミングが特に重要である、と言うことが分かるであろう。 当業者は、タイミング制御を実施するのに適した技術範囲を熟知しているであろう。 【0020】 当該システムは、複数の基地局を備えるセルラー電話システムを有しても良い。 これら基地局は、該基地局のセル内の多数の移動局と特定の時点で各々通信する。 TDMAシステムの場合、本発明による方法によれば、特定のタイムスロットを2以上のデータストリームに割り当てることが出来る。 アップリンクチャネルの場合、これにより、移動端末内に複数のアプリケーションが共存する場合に、移動局により提供される異なるタイプのデータを、割り当てられた単一チャネルを介して基地局に送信することが出来る。 ダウンリンク信号の場合、基地局からの異なるタイプのデータが、単一チャネルを介して移動体に送信されても良く、他の例においては、異なるタイプのデータが、セル内の異なる移動端末に指向されても良い。 【0021】 TDMAシステムでは、伝送タイムフレーム内の2以上のスロットが、特定の通信チャネルに割り当てられても良い。 タイムフレーム内の複数タイムセグメント間の実時間データ及びパケットデータの割り当ては、本発明に従って動作するシステムにおいて可変であっても良い。 【0022】 本発明による方法は、CDMAシステム等の他のタイプのシステムに適用されても良い。 この場合においては、システム伝送容量のかなりの部分が可変レート実時間データに割り当てられている場合、残りのシステム容量を非実時間アプリケーションに用いることが出来る。 (送信チャネルを定義する)同一の拡散コード(spreading code)を異なるタイプのデータに用いることが出来る。 本発明の基礎となる概念は、3以上のアプリケーションが同一の伝送チャネルを共有する(例えば、ビデオ接続、音声接続及びパケットデータ伝送)ことを可能にすべく拡張されても良い。 【0023】 図2は、本発明のシステムで使用可能な受信機を示す。 当該受信機の構成要素は、図1における送信機の構成要素の逆の機能を効果的に実行する。 即ち、受信機30が設けられ、該受信機30は受信信号を復調器32に転送し、該復調器3 2は復調信号を伝送識別ユニット34に供給する。 ユニット34は、デインターリーブ(de-interleaving)、及び、例えば、どのフレームがパケットデータを含有し、どのフレームが音声データを含有するかを決定するため、フレームヘッダの読み取りの機能を実行することが出来る。 この情報は、デコーダ36に供給され、該デコーダ36は、ディジタル音声データ及びディジタルパケットデータを再構成する。 前記パケットデータは、バッファ38に供給され、前記音声データは、音声デコーダ40に与えられる。 音声出力端42及びパケットデータ出力端44も設けられる。 【0024】 勿論、実際のシステムでは、各局が、上述の送信機及び受信機のフィーチャを組合わせた送受信機を有するだろう。 【0025】 図3を参照すると、無線通信システムは、一次局(BS)300及び複数の二次局(MS)310を有する。 BS300は、上述の送信機及び受信機のフィーチャを持ち、無線伝送手段304に接続される送受信機302、及びPSTN又は他の適したネットワークへの接続用の接続手段308を持つ入力/出力(I/ O)手段306を有している。 MS310各々は、上述の送信機及び受信機のフィーチャを含み、無線伝送手段314に接続される送受信機312、及び入力/ 出力手段316を有している。 I/O手段316は、音声、ビデオ、パケットデータ等の入力及び出力のためのファシリティを含んでも良い。 BS300からM S310への通信は、ダウンリンクチャネル322によって行われ、一方、MS 310からBS300への通信は、アップリンクチャネル324によって行われる。 【0026】 単一チャネルを使って実時間データ及び非実時間データを伝送する方法が、図4にフローチャートとして示されている。 当該方法は、402で始まり、この時点において、実時間データストリームの伝送は進行中である。 送信局の制御器1 8は、実時間データストリーム内に休止期間(又は一般的にはデータレートの減少)があるかどうか404において決定する。 もしあれば、制御器18は、バッファ20内に伝送待ちの非実時間データがあるかどうか406において決定する。 もしあれば、制御器18は、伝送されるべき非実時間データの幾らかが408 において割り当てられる。 前記データは、コーダ22へ進められ、伝送のためフォーマットされる。 ここで、制御器18は、ステップ404に戻り、実時間データストリーム内に更なる休止期間があるかどうか決定する。 【0027】 上述した本発明は、当業者により既存の通信システムに適用されても良いので、本発明を用いることが出来る通信システムの設計及び動作の詳細な記述は与えられていない。 タイミング、暗号化及び詳細なシステム構成に関する既存の考察が、本発明にしたがって動作されるべきシステムに当てはまり、これらの考察は、当業者にとって明らかであろう。 【0028】 本発明の開示を読むことにより、他の変形例が、当業者にとって明らかとなるであろう。 斯様な変形例は、通信システム及びその構成部分において既知である、及び本明細書で述べたフィーチャに代えて又は付加して用いられ得る他のフィーチャを含んでも良い。 【0029】 本明細書及び特許請求の範囲において、“一つの”構成要素を表す語句は、複数の斯様な構成要素の存在を除外するものではない。 さらに、“有する”という語句は、ここで列挙されたもの以外の他の構成要素及び工程の存在を除外するものではない。 【0030】 産業上の適用 【0031】 本発明は、広範囲の産業上の適用、とりわけ、UMTS等のセルラー通信システムへの適用性を持つ。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明のシステムで用いる送信機を示す。 【図2】 本発明のシステムで用いる受信機を示す。 【図3】 無線通信システムの概略的なブロック図である。 【図4】 本発明による方法を図示するフローチャートである。 【符号の説明】 16 音声コーダ 18 制御器 20 バッファ 300 一次局(BS) 302 送受信機 310 二次局(MS) 312 送受信機 408 データ割当て ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 Groenewoudseweg 1, 5621 BA Eindhoven, Th e Netherlands Fターム(参考) 5K030 GA01 HA08 HB01 JT01 JT03 KA04 KA19 LA04 LE05 LE06 5K051 CC00 CC07 JJ11 5K069 BA02 CA02 FC11 FC16 FC20 |