Transmitter

申请号 JP2005148291 申请日 2005-05-20 公开(公告)号 JP4255929B2 公开(公告)日 2009-04-22
申请人 パナソニック株式会社; 发明人 充 田邊; 泰司 秋月;
摘要
权利要求
  • 変調信号を発生する変調信号発生手段と、
    前記変調信号の振幅成分を増幅する少なくとも2つの振幅増幅手段と、
    前記少なくとも2つの振幅増幅手段のうちの何れか少なくとも1つの振幅増幅手段へ供給される前記変調信号の振幅成分に対してあらかじめ決められた振幅遅延時間量を加えて前記変調信号の振幅成分の遅延時間量を調整する第1の遅延時間補正手段と、
    前記変調信号の振幅成分の大きさに関係した信号に従って制御信号を出力する制御手段と、
    前記制御信号に応じて時間遅延量の異なる前記少なくとも2つの振幅増幅手段の出力の振幅成分を選択し少なくとも2つの出力端子に出力する切り替え手段と、
    前記変調信号に対してあらかじめ決められた位相遅延時間量を加えて前記変調信号の遅延時間量を調整し出力する第2の遅延時間補正手段と、
    少なくとも2段のアンプからなる構成を有し、前記第2の遅延時間補正手段により位相遅延時間量が調整された前記変調信号を高周波入力端子に入力し、前記切り替え手段の少なくとも2つの出力端子から出力される少なくとも2つの振幅成分を前記少なくとも2段のアンプの各アンプの電源端子にそれぞれ入力し、結果として変調波を出力する高周波電力増幅器とを備え、
    前記制御信号に応じて前記切り替え手段で時間遅延量の異なる前記少なくとも2つの振幅増幅手段の出力の振幅成分を前記少なくとも2段のアンプの電源端子に別々に供給するか前記少なくとも2つの振幅増幅手段の出力の振幅成分の何れか一つを前記少なくとも2段のアンプの電源端子に共通に供給するかを切り替えるようにした送信機。
  • 前記変調信号の振幅成分は、前記変調信号を振幅成分と位相成分とに分離する位相振幅分離手段より供給され、前記高周波電力増幅器の高周波入力端子へは前記位相振幅分離手段から前記変調信号の位相成分が供給される請求項1記載の送信機。
  • 前記変調信号の振幅成分は、前記変調信号から振幅成分を抽出する振幅抽出手段より供給され、前記高周波電力増幅器の高周波入力端子へは、前記変調信号生成手段から出力される前記変調信号がそのまま供給される請求項1記載の送信機。
  • 前記変調信号の振幅成分の大きさに関係した信号は前記変調信号発生手段で生成される変調信号のデータレートを設定するデータレート制御信号である請求項1、2または3記載の送信機。
  • 前記変調信号の振幅成分の大きさに関係した信号は前記変調信号発生手段で生成される変調信号のパワーレベルを設定するパワーレベル制御信号である請求項1、2または3記載の送信機。
  • 前記高周波電力増幅器の入力部に直交変調回路が設けられている請求項1、2または3記載の送信機。
  • 請求項1〜6記載の送信機に用いられる高周波電力増幅モジュールであって、少なくとも高周波電力増幅器と切り替え手段とを一体化した高周波電力増幅モジュール。
  • 说明书全文

    本発明は、例えばOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex;直交周波数分割多重)などサブキャリアを用いる通信方式に用いられる無線送信機に関するものである。

    一般に、振幅変調を伴う変調信号、特にQAM(直交振幅変調)などの多値変調を伴う変調信号においては、アンテナへ電を送信するために高周波電力増幅器に線形動作が必要となる。 そのため、高周波電力増幅器の動作級としてはA級あるいはAB級などが用いられてきた。

    しかしながら、通信のブロードバンド化に伴い、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex;直交周波数分割多重)などサブキャリアを用いる通信方式が利用され始め、従来のA級、AB級の高周波電力増幅器では高効率化が期待できない。 すなわち、OFDMでは、サブキャリアの重ね合わせによって、瞬間的に、全くランダムに大きな電力が発生する。 つまり、平均電力とその瞬間最大電力との比、PAPR(Peak to Average Power Ratio)が大きい。 そのため、瞬間最大電力も線形に増幅できるよう、常に大きな直流電力を保持している必要がある。 A級動作では電源効率が最大でも50%しかなく、特にOFDMの場合は、PAPRが大きいため電源効率は10%程度となってしまう。

    このため、例えば電源として電池を用いる携帯型の無線機では、連続使用可能時間が短くなり、実用上問題が生じる。

    このような課題を解決すべく、カーンの方法として知られる従来のEER法(Envelope Elimination and Restoration)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。

    図7はEER法の概略を表すブロック図である。 図7において、変調信号発生手段であるOFDM信号生成手段100から出力された変調信号たとえばQAM信号は、2分岐される。 一方の分岐では、QAM信号は、直交変調回路106でアップコンバートされ、高周波変調波として飽和型アンプ110の高周波入力端子に入力される。 また、他方の分岐では、QAM信号は振幅抽出手段101により振幅成分に変換される。 振幅増幅手段102は、高周波電力増幅器110をドライブするために必要な直流電流が電源電圧Vdd1の直流電源から供給されるとともに、上記振幅成分を予め設定されたゲイン分だけ増幅して高周波電力増幅器110の電源電圧端子に供給する。 このように高周波電力増幅器110である飽和型アンプの電源電圧を、入力信号である高周波変調波の振幅成分に比例して制御すると、飽和型アンプ出力では、入力信号を増幅し出力する高周波変調波の振幅成分は失われるが、その代わりに電源電圧として振幅成分が入力される。 そのため、結果として元の振幅成分を含む高周波変調波が復元され出力される。

    このような構成をとることにより、変調信号の振幅成分が変化しても、飽和型アンプからなる高周波電力増幅器を高効率な飽和状態で動作させることができ、高効率化が可能となる。

    ここで、例えば高周波電力増幅器を電界効果型トランジスタで構成した場合、飽和型アンプとは、ドレイン電圧波形が矩形になるよう高調波制御されたF級アンプや、ドレイン電圧波形とドレイン電流波形が重ならないよう負荷条件を最適化したE級アンプやD級アンプを指す。 この飽和型アンプは、その特性として、ドレイン電流とドレイン電圧とが同時に発生する期間をできるだけ小さくしているので、消費電力を抑制することができる。

    たとえば、200mAの電源電流、3Vの電源電圧が増幅器に供給されたとすると、直流電力は600mWとなる。 ところが、高周波電力増幅器110としての飽和型アンプでは、電界効果型トランジスタのOFF時には電流が流れず、電源電圧のみが印加されるため、直流消費電力は0である。 一方、電界効果型トランジスタのON時には200mAの電流が流れるが、電界効果型トランジスタは完全に導通しているため、ドレイン−ソース間電圧V DSは飽和電圧つまりせいぜい0.3V程度であると仮定できる。 この場合、0.3V×0.2A=0.06W、つまり60mWの直流電力が電界効果型トランジスタの中で消費されたことになる。 電源効率は実に(600−60)/600=90%に達する。 A級アンプでは最大でも電源効率は50%にしか達しないため、この効果は大きい。

    また、一般にEER法を用いた送信機では、高周波電力増幅器の出力端子で、振幅成分と位相成分とがもとの変調信号の位相成分と振幅成分とを正確に再現しなければ、もとの変調信号(元の変調信号を周波数変換しているため正確には高周波変調波)が再現できない。 つまり、振幅成分および位相成分の誤差は、出力する高周波変調波のスペクトラム歪みや変調精度の劣化として現れる。

    そのため、EER法では、予め振幅成分および位相成分の誤差関数を取得し、その誤差関数の逆関数を掛け合わせる逆補正処理をした変調信号をOFDM信号生成手段100より出力する必要がある。

    また、誤差関数を取得するための変調信号は、誤差関数から逆関数を求める演算処理負荷を低減させるためにOFDMの変調信号よりデータレートが低速な変調信号を用いる。

    そのため、高速なデータレートを用いるOFDMの変調信号では振幅成分と位相成分との間に遅延時間が生じ、高周波変調波にスペクトラム歪みや変調精度の劣化が生じる結果となる。

    このため、一般にEER法を用いた送信機では、変調信号の位相成分に位相遅延時間を補正できる手段を設け遅延時間を最適化することで、もとの変調信号の再現を行っている。

    米国特許明細書第6,256,482B1

    米国特許明細書第5,251,330A1

    しかしながら、従来の送信機は、高周波電力増幅器が複数段のアンプを縦続接続した構成であり、2つ以上のアンプの電源電圧に同一の振幅増幅手段から出力される振幅成分を分岐し供給して制御する場合において、変調信号として無線LAN規格であるIEEE802.11a/g規格のような、最大のデータレートが54Mbpsと高速なデータレートを用いるときには、位相成分が終段アンプを通過するときの終段アンプの入出力間の遅延時間量がデータレートと比較し無視できなくなってくる。 すなわち、終段アンプとその他のアンプの電源端子に同一の振幅成分を例えば2分岐して使用した場合、変調信号の位相成分の位相遅延時間を補正する手段により終段アンプの位相成分と振幅成分の遅延時間は補正して合成できるが、その他のアンプでは、終段アンプを通過するときの終段アンプの入出力間の遅延時間量だけ位相成分と振幅成分とに誤差が生じ、最適に合成できないこととなる。 すなわち、飽和型アンプの出力端で変調波形を正確に再現できずに歪みが生じ、高周波変調波のスペクトラム歪みや変調精度の劣化が生じるという課題があった。

    したがって、本発明の目的は、複数段のアンプの縦続回路からなる高周波電力増幅器の各段のアンプの電源電圧を最適に制御することにより高速なデータレートを用いる場合に出力変調波形に歪みを生じさせない、EER法を実現できる送信機を提供することである。

    上記課題を解決するために、本発明の送信機は、変調信号を発生する変調信号発生手段と、変調信号の振幅成分を増幅する少なくとも2つの振幅増幅手段と、少なくとも2つの振幅増幅手段のうちの何れか少なくとも1つの振幅増幅手段へ供給される変調信号の振幅成分に対してあらかじめ決められた振幅遅延時間量を加えて変調信号の振幅成分の遅延時間量を調整する第1の遅延時間補正手段と、変調信号の振幅成分の大きさに関係した信号に従って制御信号を出力する制御手段と、制御信号に応じて時間遅延量の異なる少なくとも2つの振幅増幅手段の出力の振幅成分を選択し少なくとも2つの出力端子に出力する切り替え手段と、変調信号に対してあらかじめ決められた位相遅延時間量を加えて変調信号の遅延時間量を調整し出力する第2の遅延時間補正手段と、少なくとも2段のアンプからなる構成を有し、第2の遅延時間補正手段により位相遅延時間量が調整された変調信号を高周波入力端子に入力し、切り替え手段の少なくとも2つの出力端子から出力される少なくとも2つの振幅成分を少なくとも2段のアンプの各アンプの電源端子にそれぞれ入力し、結果として変調波を出力する高周波電力増幅器とを備えている。 そして、制御信号に応じて切り替え手段で時間遅延量の異なる少なくとも2つの振幅増幅手段の出力の振幅成分を少なくとも2段のアンプの電源端子に別々に供給するか少なくとも2つの振幅増幅手段の出力の振幅成分の何れか一つを少なくとも2段のアンプの電源端子に共通に供給するかを切り替えるようにしている。 これによって、高周波電力増幅器を構成する各段のアンプごとに振幅成分と位相成分の遅延時間量の調整可能を可能としている。

    ここで、変調信号発生手段より発生される変調信号の振幅成分の大きさに関係した信号としては、例えば振幅増幅手段で抽出された振幅成分が用いられる。

    この構成によれば、少なくとも2つの振幅増幅手段の少なくとも1つに振幅遅延補正手段を設け、制御信号に応じて時間遅延量の異なる少なくとも2つの振幅増幅手段の出力の振幅成分を選択し少なくとも2つの出力端子に出力する切り替え手段を設け、切り替え手段の少なくとも2つの出力端子から出力される少なくとも2つの振幅成分を高周波電力増幅器の少なくとも2段のアンプの各アンプの電源端子にそれぞれ入力しているため、変調信号の振幅成分の大きさに関係した信号、例えば振幅成分の電圧レベルに応じて制御手段から出力される制御信号により、切り替え手段から時間遅延量の異なる2つの振幅成分を例えば終段アンプおよびその他のアンプに別々に供給するか、同一の振幅成分を終段アンプおよびその他のアンプに共通に供給するかを切り替えることができる。

    そのため、高速なデータレートで、瞬間的な振幅成分変動が大きい電圧レベルにおいて、終段アンプにおける位相成分と振幅成分との合成では、もとの変調信号の位相成分と振幅成分とを正確に再現するように、第2の遅延時間補正手段により位相遅延時間があらかじめ調整された位相成分を終段アンプの高周波入力端子に入力することができる。

    また、その他のアンプにおける位相成分と振幅成分との合成では、もとの変調信号の位相成分と振幅成分とを正確に再現するように、第1の遅延時間補正手段により振幅遅延時間があらかじめ調整された振幅成分をその他のアンプの電源端子に入力することができる。
    そのため、高周波電力増幅器の各段のアンプそれぞれにおいて位相成分と振幅成分を正確に再現することができ、位相成分と振幅成分の遅延時間によって生じる合成誤差による出力波形の歪み成分を低減することができる。

    また、瞬間的な振幅成分変動が少なく、位相成分との合成誤差が少ない振幅成分の電圧レベルでは、切り替え手段により1つの振幅増幅手段のみから終段アンプおよびその他のアンプに振幅成分を供給し、他方の振幅増幅手段を動作させないことで、消費する電力損失を低減することができる。

    その結果、複数段のアンプの電源電圧を制御し、かつ高速なデータレートを用いる場合に出力変調波形に歪みを生じさせない、高効率なEER法を用いた送信機を実現させることができる。

    ここで、変調信号の振幅成分は、例えば変調信号を振幅成分と位相成分とに分離する位相振幅分離手段より供給され、高周波電力増幅器の高周波入力端子へは位相振幅分離手段から変調信号の位相成分が供給される。

    また、変調信号の振幅成分は、変調信号から振幅成分を抽出する振幅抽出手段より供給され、高周波電力増幅器の高周波入力端子へは、変調信号生成手段から出力される変調信号がそのまま供給されるようにしてもよい。

    上記のように、変調信号から分離された位相成分が高周波入力端子に供給される構成の場合、変調信号の瞬時的なピーク電力が高周波電力増幅器に入力された場合でも高周波電力増幅器が十分飽和できるだけのレベルで変調信号の位相成分を高周波入力端子に入力していた。 そのレベルは、高周波電力増幅器がOFF(振幅成分が0)の場合も変わらなかった。 そのため、高周波電力増幅器がOFFの場合のアイソレーション特性(出力電力中の入力電力からの漏れの割合)が良くない場合、期待される出力電力レベルよりも高い電力が出力され、振幅成分と掛け合わされた結果、高周波電力増幅器の出力で正しい変調波を合成できない。

    ところが、変調信号生成手段から出力される変調信号をそのまま高周波電力増幅器に供給する構成では、高周波電力増幅器がOFF(振幅成分が0)のとき、高周波電力増幅器に入力される電力も0であるため、アイソレーション特性に依存せず、高周波電力増幅器で正しい変調波を合成できる。

    また、変調信号を位相振幅分離手段により分離した位相成分と比較し、変調信号そのものは必要な帯域幅が1/6程度と小さい。 そのため、デジタルアナログ変換や、デジタルアナログ変換によって生じるスプリアス成分を抑圧するために挿入されるアンチエリアスフィルタの帯域幅を狭くすることができる。 そのため、デジタルアナログ変換器の低消費電力化や、フィルタに用いるインダクタの小型化や低コスト化に有利である。

    上記の変調信号の振幅成分の大きさに関係した信号としては、変調信号発生手段で生成される変調信号のデータレートを設定する、予め決められた1つ以上のデータレート制御信号、または、変調信号発生手段で生成される変調信号のパワーレベルを設定する、予め決められた1つ以上のパワーレベル制御信号であってもよい。

    この構成によれば、少なくとも2つの振幅増幅手段の少なくとも1つに振幅遅延補正手段を設けているため、変調信号の振幅成分の大きさに関係した信号、予め決められた1つ以上のデータレート制御信号、または、予め決められた1つ以上のパワーレベル制御信号に応じて、制御手段から出力される制御信号により、切り替え手段から時間遅延量の異なる2つの振幅成分を例えば終段アンプおよびその他のアンプに別々に供給するか、同一の振幅成分を終段アンプおよびその他のアンプに共通に供給するかを切り替えることができる。

    そのため、瞬間的な振幅成分変動が大きく、位相成分が終段アンプを通過する入出力間の遅延時間量が無視できない高速なデータレート設定および高出力のパワーレベル設定では、終段アンプにおける位相成分と振幅成分との合成では、もとの変調信号の位相成分と振幅成分とを正確に再現するように、第2の遅延時間補正手段により位相遅延時間があらかじめ調整された位相成分を終段アンプの高周波入力端子に入力することができる。

    また、その他のアンプにおける位相成分と振幅成分との合成では、もとの変調信号の位相成分と振幅成分とを正確に再現するように、第1の遅延時間補正手段により振幅遅延時間があらかじめ調整された振幅成分をその他のアンプの電源端子に入力することができる。

    そのため、高周波電力増幅器の各段のアンプそれぞれにおいて位相成分と振幅成分を正確に再現することができ、位相成分と振幅成分の遅延時間によって生じる合成誤差による出力波形の歪み成分を低減することができる。

    また、瞬間的な振幅成分変動が少なく、その結果、位相成分との合成誤差が少なくなるような、位相成分が終段アンプを通過する入出力間の遅延時間量が無視できる低速なデータレート設定および低出力のパワーレベル設定では、切り替え手段により1つの振幅増幅手段のみで終段アンプおよびその他のアンプに振幅成分を供給し、他方の振幅増幅手段を動作させないことで、消費する電力損失を低減することができる。

    その結果、複数段のアンプの電源電圧を制御し、かつ高速なデータレートおよび高出力のパワーレベルを用いる場合に出力変調波形に歪みを生じさせない、高効率なEER法を用いた送信機を実現させることができる。

    また、低速なデータレートおよび低出力のパワーレベルを使用する場合には、第2の遅延時間補正手段を動作させないため、第1の発明の構成と比較し、さらに電力損失を低減することができる。 さらに、第1の振幅増幅手段のみを使用するため、第1および第2の振幅増幅手段の特性バラツキによる振幅成分への影響を最低限に抑えることができる。

    また、切り替え手段の制御は、振幅成分を出力する前に実施することができるため、振幅成分に切り替え手段を制御することにより生じる不要な振幅成分変動が重畳されない。 そのため、飽和型アンプ出力に生じる歪み成分を低減することができる。

    上記本発明の送信機においては、パッケージングされていないデバイスとして例えば、少なくともMMIC(マイクロウェーブモノリシックIC)である高周波電力増幅器とシリコンICである切り替え手段とを、同一基板上に高周波電力増幅モジュール(一つの機能素子)として一体化、つまり集積化してもよい。

    この構成によれば、別々にパッケージングされている切り替え手段および高周波電力増幅器の部品を基板上に送信機を構成する部品としてそれぞれ実装する場合と比較し、切り替え手段と高周波電力増幅器間のIC素子間距離を狭められる。 そのため、基板、部品端子に発生する浮遊容量やパッケージングに起因する容量により生じる振幅成分の群遅延を低減することができる。

    本発明の送信機は、複数段のアンプの電源電圧を制御し、かつ高速なデータレートを用いる場合に出力変調波形に歪みを生じさせない、高効率なEER法を用いた送信機を実現させることができる。

    (実施の形態1)
    以下、図面を参照して本発明の実施の形態1について説明する。 本発明の実施の形態では、IEEE802.11a規格の無線LANシステムを例に挙げて説明する。

    図1は、EER法を用いた送信機を実現する本発明の形態1による送信機のブロック図を示している。

    この送信機は、図1に示すように、OFDM信号生成手段100と、位相振幅分離手段101と、振幅増幅手段102および103と、振幅遅延補正手段104と、位相遅延補正手段105と、直交変調回路106と、高周波電力増幅器110と、切り替え手段111と、制御手段112とで構成されている。

    高周波電力増幅器110は、例えば、飽和型アンプ108および109と線形アンプ107とを内蔵する多段アンプの構成となっている。

    OFDM信号生成手段100は、OFDM変調された信号を発生するもので、変調信号発生手段に相当する。

    つぎに、上記実施の形態1における送信機の動作について説明する。

    図1において、OFDM信号は、その生成手段であるOFDM信号生成手段100により生成され、I(同相)信号およびQ(直交)信号として出力される。 I信号およびQ信号は、位相振幅分離手段101により位相成分と振幅成分とに分離される。 位相成分は位相遅延補正手段105で予め設定された遅延補正時間分だけ遅延時間が調整され、直交変調回路106に出力される。 直交変調回路106は入力された位相成分を搬送波と掛け合わせ、所望の高周波変調信号にアップコンバートし、高周波電力増幅器110の高周波変調信号入力端子に入力する。

    一方、位相振幅分離手段101から出力される振幅成分は2つに分岐される。 振幅成分の一つはそのまま振幅増幅手段102に入力される。 また他方は振幅遅延補正手段104で予め設定された遅延補正時間分だけ遅延時間が調整され、振幅増幅手段103に入力される。

    振幅増幅手段102および103は高周波電力増幅器110をドライブするために必要な直流電流が電源電圧Vdd1の直流電源から供給されるとともに、振幅成分を予め設定されたゲイン分だけ増幅して切り替え手段111に出力する。

    切り替え手段111は、例えば図1に示すように、2つのスイッチ回路113A,113Bから構成されている。 また、制御手段112は、入力される位相振幅分離手段101の出力の振幅成分のレベルと予め設定された基準振幅レベルとを比較し、その比較結果に応じた切り替え制御信号を生成する。 切り替え手段111は、制御手段112から出力される切り替え制御信号に応じて動作させる回路の切り替えを行う。 つまり、切り替え手段111は、切り替え制御信号に応じて、振幅増幅手段102および103の両方を用いて終段アンプ109とその他のアンプ108のそれぞれに遅延時間の異なる振幅成分を入力するか、振幅増幅手段102のみを用いて終段アンプ109とその他のアンプ108の両方に同一の振幅成分を入力するかを切り替える。

    また、振幅増幅手段102のみを用いる場合には、制御手段112の切り替え制御信号により振幅増幅手段103が動作しないように制御される。

    高周波電力増幅器110は飽和型アンプとして動作する。 そのため、高周波変調信号入力端子から入力される位相成分は、振幅成分をもたない位相成分のみの変調波として出力端子に現れる。 ところが、切り替え手段111から出力される振幅成分を高周波電力増幅器110を構成する終段アンプ109およびその他のアンプ108の電源端子から再度供給し、位相成分と振幅成分とを掛け合わせることで、正しい位相成分と振幅成分を備えたOFDM変調波が得られる。

    また本構成では、振幅成分の遅延時間補正を、2つある振幅増幅手段のうち、片方のみで実施する構成としたが、両方の振幅増幅手段で実施できる構成とし、さらに各段のアンプの振幅成分ごとに両方の遅延時間量を調整する構成とすることも可能である。

    また、振幅増幅手段102および103は、例えば、図4に示すようにオペアンプ115とフィードバック回路116とエミッタフォロワ117により構成され、エミッタフォロア117の出力の振幅成分を負帰還させる閉ループ構成になっている。

    この閉ループ構成により、オペアンプ115およびエミッタフォロア117の素子特性ばらつきによる出力振幅成分の電圧レベル変動を低減することが可能となる。

    また、振幅遅延補正手段104における遅延時間補正はアナログ信号ではなく、デジタル信号で処理することが好ましい。

    図5は振幅成分と位相成分とを高周波電力増幅器110において合成する際の、遅延時間量に対する、出力するスペクトラム波形特性の指標となる次隣接チャネル漏洩電力特性(alternative adjacent channel leakage power ratio)(AL-ADJCH特性)を示している。 この特性では、データレートが54MbpsのOFDM変調信号を生成するために、デジタル処理の基準クロックを160MHzとして処理した場合を想定している。 この場合、図5では次隣接チャネル漏洩電力特性の劣化を最適な合成から10dB以内にするためには、振幅成分と位相成分とを合成する場合の遅延時間誤差を2.5nsec(=0.4クロック)以内に調整する必要がある結果となっている。

    つまり、このような微少な遅延時間の調整を振幅成分および位相成分の波形を歪ませずに行うためには、アナログ素子での調整は困難であり、デジタル信号による線形補間処理がきわめて有利となる。

    上記実施の形態における制御手段112の制御信号により切り替え手段111を切り替える具体的な例を以下に説明する。

    図1において、終段アンプ109で合成される振幅成分をAM2、位相成分をPM2とし、前段アンプ108で合成される振幅成分をAM1、位相成分をPM1とする。 また、位相成分PM1が終段アンプ109を通過し位相成分PM2を出力するまでに時間遅延Delay(Amp3)が発生すると仮定している。

    また、図6は瞬間的な振幅成分変動が大きい高速なデータレートのOFDM信号を用いた場合の各段のアンプ108,109の振幅成分を表す図であり、まず、振幅成分の切り替え手段を固定し各段のアンプ108,109に同一の振幅成分を電源端子より供給する場合について図6(a)、(b)、(c)を用いて説明する。

    図6(a)は、位相成分PM2に対し、遅延時間補正を最適化し合成するための振幅成分AM2の時間特性を表すグラフである。 図6(b)は、終段アンプ109と同一の振幅成分を前段アンプ108に供給した場合の振幅成分AM1の時間特性を表すグラフである。 この図6(b)は、前段アンプ108における位相成分PM1と最適に合成するための振幅成分(点線)から、終段アンプ109を位相成分PM2が通過する時間Delay(Amp3)分だけ振幅成分(実線)が遅延していることを表している。

    この場合、図6(b)において前段アンプ108の最適に合成するための振幅成分(点線)と、電源端子に供給される振幅成分AM1(実線)との振幅成分誤差(ΔAM)は、図6(c)に表すように瞬間的な振幅成分変動が大きい場合において最大値をとることとなる。

    すなわち、瞬間的な振幅成分変動が大きい場合には、終段アンプ109では位相成分PM2と振幅成分AM2とが正確に合成されるが、前段アンプ108では振幅成分誤差(ΔAM)から生じる合成誤差が大きくなり、その結果、高周波電力増幅器110の出力波形に歪み成分が生じることとなる。

    つぎに、振幅成分の切り替え手段111を制御し、各段のアンプ108,109に供給する振幅成分AM1,AM2を制御手段112からの制御信号によって切り替える場合について図6(d)、(e)、(f)を用いて説明する。

    図6(d)において、瞬間的な振幅成分変動が大きい場合には、予め設定した基準電圧Vthと振幅成分AMとを比較し、その比較結果に基づいて前段アンプ108の電源端子に供給する振幅成分AM1を切り替える。

    すなわち、前段アンプ108の振幅成分AM1としては、図6(e)に示すように、振幅成分AMが予め設定した基準電圧Vth以下であれば、制御手段112からの制御信号により切り替え手段111を制御し、振幅増幅手段102から出力される終段アンプ109の振幅成分AM2と同一の振幅成分を前段アンプ108に電源端子より供給する。

    一方、振幅成分AMが予め設定した基準電圧Vth以上であれば、制御手段112からの制御信号により切り替え手段111を制御し、振幅増幅手段102から出力され終段アンプ109の電源端子に供給される振幅成分AM2とは別に、予め終段アンプ109を位相成分が通過する遅延時間分の調整を行った振幅成分を振幅増幅手段103から前段アンプ108の電源端子に供給する。

    そのため、図6(f)に示すように、振幅成分AMが基準電圧Vth以上において、前段アンプ108の振幅成分AM1と位相成分PM1を最適に合成するための振幅成分誤差(ΔAM)は最小値まで減衰される。 その結果、高周波電力増幅器の出力波形に生じる歪み成分が改善されることとなる。

    (実施の形態2)
    図2は、本発明の実施の形態2による送信機のブロック図を示している。 図2において、図1と同じ構成については、同じ符号を用い説明を省略する。

    この送信機は、図2に示すように、OFDM信号生成手段100で生成されるOFDM信号が2つに分岐される。 2分岐されたOFDM信号の一方は、振幅抽出手段114に入力され、振幅抽出手段114において振幅成分が抽出される。 2分岐されたOFDM信号の他方は位相遅延補正手段105で予め設定された遅延補正時間分だけ遅延時間量が調整された後、直交変調回路106に出力される。 以上の点が実施の形態1とは異なる。

    この構成によれば、高周波電力増幅器110の高周波変調信号入力端子には、振幅成分と位相成分との双方を含んだOFDM信号が入力されることとなるが、高周波電力増幅器110が飽和型アンプのため、出力端子には振幅成分が減衰した位相成分のみの変調波として出力される。 そのため、切り替え手段111から出力される振幅成分を、高周波電力増幅器110を構成する終段アンプ109およびその他のアンプ108の電源端子から再度供給し、位相成分と振幅成分とを掛け合わせることで、正しい位相成分と振幅成分を備えたOFDM変調波が得られる。

    また、高周波電力増幅器110の高周波変調信号入力端子には、OFDM信号をそのまま入力するため、入力するOFDM信号がOFF(振幅成分0)の場合には、高周波電力増幅器110の入出力アイソレーション特性に関わらず出力電力も0となり、高周波電力増幅器110で正しい変調波を合成できる。 そのため、実施の形態1で構成される送信機より高周波電力増幅器110の特性を緩和することができる。

    また、OFDM変調信号では、位相成分のみの変調波と比較し必要な周波数帯域が1/6程度であるため、使用する帯域が狭い分だけ周波数特性を緩和でき、実施の形態1で構成される送信機よりデジタルアナログ変換器の低消費電力化や、フィルタに用いるインダクタの小型化や低コスト化を図ることができる。

    (実施の形態3)
    図3は、本発明の実施の形態2による送信機のブロック図を示している。 図3において、図1と同じ構成については、同じ符号を用い説明を省略する。

    この送信機は、図3に示すように、振幅成分ではなく、OFDM信号生成手段100から出力されるOFDM変調信号の予め決められたデータレート制御信号(複数存在する制御信号のうち、予め決められた一つの制御信号)、またはパワーレベル制御信号(複数存在する制御信号のうち、予め決められた他の一つの制御信号)に従って切り替え手段111を制御し、高周波電力増幅器110の各段のアンプの電源端子に入力する振幅成分を切り替える点が実施の形態1の図1とは異なる。

    なお、図2の構成においても、上記と同様に、振幅成分ではなく、OFDM信号生成手段100から出力されるOFDM変調信号の予め決められたデータレート制御信号、またはパワーレベル制御信号に従って切り替え手段111を制御し、高周波電力増幅器110の各段のアンプの電源端子に入力する振幅成分を切り替えるように変更してもよい。

    この構成によれば、出力するOFDM変調信号の低速なデータレートの場合、または低出力のパワーレベルの場合には、振幅成分と位相成分との合成誤差を無視できる程度に瞬間的な振幅成分変動が少なく、高周波電力増幅器110から出力されるOFDM変調波形に歪み成分がほとんど生じない。 このような場合には、振幅成分の電圧レベルによらず制御手段112により切り替え手段111が1つの振幅増幅手段102で終段アンプ109およびその他のアンプ108に同一の振幅成分を供給し、他方の振幅増幅手段103を動作させないように制御できる。

    一方、高速なデータレートの場合、または高出力のパワーレベルの場合には、瞬間的な振幅成分変動が大きく、振幅成分と位相成分との間の遅延時間により高周波電力増幅器110から出力されるOFDM変調波形に歪み成分が生じる。 このような場合には、振幅成分のレベルによらず制御手段112により振幅増幅手段1および2を動作させ、電力消費が大きいものの、終段アンプ109およびその他のアンプ108のそれぞれにあらかじめ遅延時間調整されている振幅成分を電源端子から供給する。 これによって、各段のアンプ108,109において位相成分と振幅成分との合成を正確に再現するように制御できる。

    そのため、主にOFDM変調信号が低速なデータレートの場合、または低出力なパワーレベルの場合で使用する頻度が高い送信機では、実施の形態1で構成する送信機より電力増幅手段を1つのみで動作させ、低損失で用いる時間が多くなり、より高効率化を図ることができる。

    また、OFDM変調信号を出力する前に制御手段112の制御状態を予め固定設定しておくことで、切り替え手段111を制御する際に生じる過渡応答特性が振幅成分に生じない。 そのため、歪み成分を低減したOFDM変調信号を出力することができる。

    また、PAPRが大きく瞬間最大電力が大きい振幅成分に対応して切り替え手段111を動作させる必要がないため、構成する回路を簡略化することができる。

    なお、上記の各実施の形態は、振幅成分が電源端子に入力されるアンプは2段であったが、3段以上であってもよい。 その場合、振幅増幅手段とスイッチ113A,113Bのペアと振幅遅延補正手段とを、アンプの段数に応じて追加すればよい。

    本発明にかかる送信機は、高速なデータレートの変調信号を用い、各段のアンプを通過する遅延時間が無視できない複数段のアンプを有する高周波電力増幅器において、各段のアンプごとに遅延時間を調整することで出力波形に歪みを生じさせないEER法を実現できるという効果を有し、複数の電源電圧が制御される高周波増幅器を含む送信機の用途にも適応できる。

    本発明の実施の形態1の送信機の構成を示すブロック図である。

    本発明の実施の形態2の送信機の構成を示すブロック図である。

    本発明の実施の形態2の送信機の構成を示すブロック図である。

    振幅増幅手段の具体的な構成を示すブロック図の一例である。

    振幅成分と位相成分を合成する遅延時間誤差量に対する次隣接チャネル漏洩電力特性を現すグラフである。

    (a)は本発明の実施の形態1による終段アンプの振幅成分AM2の時間特性を表すグラフ(切り替え手段固定)、(b)は本発明の実施の形態1による前段アンプの振幅成分AM1の時間特性を表すグラフ(切り替え手段固定)、(c)は本発明の実施の形態1による前段アンプの振幅成分AM1と前段アンプで必要な最適な振幅成分との振幅成分誤差の時間特性を表すグラフ(切り替え手段固定)、(d)は本発明の実施の形態1による終段アンプの振幅成分AM2の時間特性を表すグラフ(切り替え手段制御)、(e)は本発明の実施の形態1による前段アンプの振幅成分AM1の時間特性を表すグラフ(切り替え手段制御)、(f)は本発明の実施の形態1による前段アンプの振幅成分AM1と前段アンプで必要な最適な振幅成分との振幅成分誤差の時間特性を表すグラフ(切り替え手段制御)である。

    従来の送信機の構成を示すブロック図である。

    符号の説明

    100 OFDM信号生成手段 101 位相振幅分離手段 102,103 振幅増幅手段 104、105 遅延時間補正手段 106 直交変調回路 107 線形アンプ 108 前段アンプ 109 終段アンプ 110 高周波電力増幅器 111 切り替え手段 112 制御手段 113A,113B スイッチ回路 114 振幅成分抽出手段 115 オペアンプ 116 フィードバック回路 117 エミッタフォロア

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