【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、電力増幅器に関し、特に、スイッチング式電力増幅器に関する。 【0002】 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】 スイッチング式電力増幅器は、高出力付加効率(high power−added efficiency:PAE)を備えて、高い信号品質、すなわち理想的な信号に対して低い2乗平均(RMS)誤りを持ち、電力スペクトル密度(PSD)の劣化が殆どあるいは全く無い位相変調信号を実証した。 これらの電力増幅器は、また、温度変化に対して高い耐性を実証しており、また製造過程の変化に高い耐性があると信頼されており、消費者向け電子製品のような大量の用途に対して興味のあるものとなっている。 そのような電力増幅器には、共振ネットワーク(resonant network)に接続されるスイッチが含まれ、次に、共振ネットワークの出力は、負荷(例えば無線送信器のアンテナ)に接続される。 【0003】 初期のスイッチング式増幅器は、Sokal他による米国特許第3,900,823号に記載されており、ここに参考のために組み入れる。 Sokal他は、低電力時の電力制御の問題(増幅器の入力から増幅器の出力への不可避の貫通(feedthrough)が引き起こす)と、この問題を最終増幅段へのRF入力駆動振幅を制御することによる解決とを述べている。 特に、最終段の入力駆動振幅は、負帰還の技術を用いて、最終段前の一つあるいは二つ以上の段の直流電力の供給を制御することによって、制御される。 他の様々な既知の技術では、既述したような線形化のための増幅器電力供給の変動を用いる、例えば、ここに参考のために組み入れる次の特許がある:米国特許第5,091,919号、米国特許第5,142,240号、米国特許台5,745,526号。 【0004】 Sokalのような負帰還を用いる必要の無い、スイッチング式増幅器の他の種類が、本譲受人の国際特許公報WO0048306号とWO0048307号の、それぞれ”HIGH−EFFICIENCY MODULATING RF AMPLIFIER”と”HIGH EFFICIENCY AMPLIFIER OUTPUT LEVEL AND BURST CONTROL”、および、国際特許公報01/10013号の”HIGH−EFFICIENCY MODULATING RF AMPLIFIER”に記載されている。 後者のスイッチング式電力増幅器において、平均電力は、2つの信号、つまりスイッチ供給信号とスイッチ制御信号とによって決定される。 スイッチ供給信号は、スイッチの片側で利用可能な直流電圧であり、この電圧が増加すると、発振信号のピーク電圧が共振ネットワーク内で高まり、従って負荷に配られたものも増加する。 スイッチ制御信号は、典型的には、スイッチを制御する(すなわちスイッチがオンかオフかを決定する)位相変調信号である。 このスイッチ制御信号は、スイッチをオン又はオフにトグルするのに充分な強さが無くてはならないが、過度に強くてはいけない、つまり、出力信号の強さが入力信号の強さで決まる線形増幅器のようではいけなく、スイッチング式電力増幅器においては、もしスイッチ制御信号が強すぎると、過度の信号は、単にスイッチを通って共振ネットワークへと漏れる(すなわち、貫通)。 このようなことが起こると、希望する信号に関して位相がずれているスイッチ制御信号のバージョンは、共振ネットワーク内の希望する信号に加えられ、出力信号の位相と振幅の両方を希望しない方法で変えてしまう。 【0005】 仏国特許第2,768,574号にも、スイッチング式電力増幅器の装置が記載されている。 図1を参照すると、この装置において、電力増幅器回路は、DC−DC変換器20と、電力増幅器30とを備えている。 DC−DC変換器20には、パルス巾変調器22と整流子(commutator)/整流器(rectifier)24とフィルター26が含まれる。 パルス巾変調器22は、信号入力端子21からのDC−DC命令入力信号を受信するべく結合され、パルス巾変調された信号を整流子/整流器24に与えるように、まとめられている。 整流子(commutator)/整流器(rectifier)24は、信号入力端子25からのDC−DC電力供給入力信号を受信するべく結合され、また、スイッチングされた信号をフィルター26に与えるように結合される。 フィルター26は、次に、フィルターを受けたスイッチングされた信号28を、電力増幅器の多くの段に共通に与える。 【0006】 これまで述べた種類の回路は、実質的には、パルス巾変調器の周波数によって制限されている。 加えて、既述した方法による、多くの電力増幅器の段の制御信号は、以降により細かく説明するような欠点を示すかも知れない。 スイッチング式で生成されるRF信号を、より細かく制御できるのが望ましく、そこには、スイッチング式電力増幅器の前述した利点がより完全に実現されるように、振幅変調された信号が含まれる。 【0007】 【課題を解決するための手段】 本発明では、スイッチング式電力増幅器を制御および変調して、振幅変調(そして恐らく、必ずではないが、位相変調も)を含む信号を作ることを可能にしており、その平均電力は、潜在的に広い範囲に渡って制御することができる。 【0008】 振幅変調された信号を作るために、直流スイッチング電源電圧は、希望する振幅変調に関連する時変(time−varying)スイッチング電源信号に置き換えられる。 このスイッチング電源信号は、希望する振幅変調信号自身でも、それが既に歪んだものでもよく、その歪みは、出力信号が希望する振幅変調を持っているものである。 後者の場合、既に持っている歪みは、スイッチおよび/または共振ネットワークの中の振幅の非線形性(いわゆるAM/AM歪み)に対して正す。 【0009】 しかし、前の変調は、単独では、出力信号中の求められるであろうだけのダイナミックレンジを供給するのに不十分であろう。 また、その変調は、出力信号の平均電力を調整する間に、振幅変調のダイナミックレンジを維持するのに充分ではないだろう。 これらの問題は共に、前述した漏洩電流によって引き起こされ、その出力への影響は、スイッチング電源信号のレベルに大きく依存している。 すなわち、スイッチング電源信号は、ゼロボルト(最小限界振幅)まで減じられ、一方、出力信号は、相対的に高いレベルに留まり、同じ点以下では、スイッチング電源信号を通して分かれた振幅変調は、出力信号において明らかに次第に小さくなる。 【0010】 同様に、振幅依存の位相偏位(いわゆるAM/PM歪み)の程度は、スイッチング電源信号が減ずるにつれて増加する。 この結果は、スイッチング制御信号の漏れが、希望する信号に関連して位相外れであることによる。 スイッチング電源信号が減ずるにつれて、希望する信号も同様に減じ、それに対し漏洩信号は減ずることはないが、これら二つの信号が位相外れであるので、これらの和の位相は、漏洩信号の位相によってますます決定されてしまう。 本発明は、その一つの面において、期待しない漏洩効果を減らすために、スイッチング電源制御信号の振幅を調整することでスイッチングモードの電力増幅器を変更する。 結果として、広い範囲でどこでも平均電力をもった出力信号を作ることが可能になるか、あるいは、振幅変調を所定の平均電力レベルで作ることができるダイナミックレンジを大幅に広げることが可能になる、もしくはその両方が可能になる。 【0011】 【発明の実施の形態】 本発明は、添付の図面と共に、以下の説明から、より深く理解することができるだろう。 【0012】 次に図2を参照すると、スイッチングモードの電力増幅器が示されている。 スイッチ201は、共振ネットワーク205および電力制御論理回路215と結合され、次に、電力制御論理回路215は、直流電源203と結合される。 共振ネットワークは、負荷207に結合される。 スイッチ201の制御は、増幅器211に与えられる制御信号209を使用しておこなわれ、増幅器211は、スイッチ201に与えられるスイッチ制御信号219を作り出す。 スイッチ201は制御信号209に応答して開いたり閉じたりするので、共振ネットワーク205は、スイッチ電圧を整形して、希望する出力信号213を作り出す。 【0013】 図2の増幅器において、信号209と219は、位相変調されるであろう定振幅(CA:constant amplitude)信号(すなわち、一定ピーク振幅(constant peak amplitude))である。 スイッチ制御信号219の振幅は、電力制御論理回路215によって設定される。 電力制御論理回路215は、また、直流電源203によって作られスイッチ201へ与えられる直流電源電圧216を制御する。 電力制御論理回路215は、直流電源電圧216を増やすので、共振ネットワーク205内で作られ、その結果負荷207に運ばれる発振信号のピーク電圧も増加する。 同様に、電力制御論理回路215は、直流電源電圧216を減少させるので、共振ネットワーク205内で作られ、その結果負荷207に運ばれ発振信信号のピーク電圧も減少する。 【0014】 本発明の一実施形態による、図2の増幅器のチェーンのさらなる詳細は、前の特許文献に説明されている。 本発明の一つの面に従って、信号218は、直流電源電圧216の制御と同等の方法で、スイッチ制御信号219の振幅を制御するのに使用され、それによって、スイッチ制御信号219がスイッチ201を通って共振ネットワーク205へと漏洩し過ぎるのを防ぐ。 【0015】 さらに特化して、いずれの実際の実施形態においても、スイッチの周囲に(意図しない)浮遊容量212が不可避的に存在する。 この浮遊容量は、スイッチ制御信号219に共振ネットワーク205へと漏れる漏洩経路を提供し、そこでは、この信号を希望するスイッチ出力信号と混合する。 スイッチ制御信号219は、希望するスイッチ出力信号とが位相が外れているので、希望する出力信号の大きさが漏洩信号の大きさと同じか小さいときに、大きな位相偏位が、スイッチ出力において発生するだろう。 この効果が図3に示されており、そこでは、出力位相と出力の大きさが、希望する大きさのパラメトリック関数として描かれている(すなわち、希望する大きさが減少するので、図3の曲線は、反時計回り方向に外へたどっている)。 図示の例では、信号の漏れは、−170度の相対位相偏位において、最大出力信号以下(1.7%)では35dBであろうと考えられる。 もし、スイッチ制御信号が減少しなければ(線A)、希望する出力の大きさが、ピーク出力振幅の10%よりも小さいときに、増幅器出力信号は、重大なAM−PM(そしてAM−AM)歪みを被る。 【0016】 この影響は、より低い増幅率の出力信号(例えば、ピーク出力の大きさの10%以下)に対して、呼応してスイッチ制御信号を減らす(例えば、元の値の10%まで)ことにより、反対に作用するかも知れない。 図3に示すように、この方策によって、必然的に、希望する出力信号(線B)からAM−PM歪みとAM−AM歪みを取り除く。 原則的には、この技術は、自由に、希望する出力信号の大きさが小さいものにも適用できる。 【0017】 図示するために、時間割り当てされたネットワーク内の、一定振幅のRF信号を作る必要性を考慮すると、そこでは、出力電力は、割り当て時間の間で変わる可能性がある。 図2の増幅器では、この方法による動作は、所定の割り当て時間の間、電源電圧216を一定に保つことによって、また、図4に示した割り当て時間の間、制御信号のピーク値の大きさを一定に保つことによって得ることができる。 結果として、出力信号213のピーク値の大きさは、所定の割り当て時間の間、一定となる。 電源電圧216が低レベルの時には、制御信号219も、また対応して低レベルであることに注意したい(例えば、割り当て時間(N))。 このやり方で、図3の線Bの低歪み特性が達成される。 【0018】 図2の電力制御論理回路215の中で、増幅段へ与えられる電力を制御するのに使用できる様々な特定の回路が、それぞれ図5と図6と図7に示される。 【0019】 図5を最初に参照すると、直流電源電圧V SUPPLYが、共通エミッタ構成のPNPバイポーラトランジスタQのエミッタに与えられる。 直流電源電圧は、無調整であるか、あるいは反対に、希望する即時出力電力に対する適切な直流レベルへと、例えば、先述の特許出願に詳細に記載されるような線形レギュレータと組み合わせるスイッチング電源を用いて、調整/調節されていたかも知れない。 トランジスタQのコレクタは、抵抗分割器ネットワークR1,R2を通して、接地電位に接続される。 演算増幅器501は、負入力の電力設定命令信号523を受け、また抵抗R1とR2の接合部で発生する正入力の電圧を受けるために接続される。 演算増幅器501は、トランジスタQのベースに与えられる出力信号を作り出す。 動作において、トランジスタは、制御された抵抗として機能し、演算増幅器501の制御下で、細かく制御された電圧を、多数の増幅段、例えば、ドライバ段(図2の信号209と似たRF信号509に応えて)と最終段505を含む段へと送る。 ドライバ段503の場合、トランジスタQからの制御された電圧は、抵抗R3を通して、最終増幅器に関連するドライバ増幅器のサイジングを明らかにするために与えられる。 先述の回路は高速の制御を実現し、別個の直流調整回路と共に、あるいはそれの代わりに使用することができる。 【0020】 一つあるいは二つ以上のドライバ段を与えることができ、例えば、図6に示してある。 図6において、初段607の電源電圧は、それほど厳密には制御されない。 多数の個々の電源電圧(V 1 ,V 2 ,...,V N )が、スイッチ609に与えられ、個々の電圧の中の希望する一つを選択するべく制御される。 最終段605とすぐ前のドライバ段603の制御は、前述した通りのままである。 【0021】 もし希望する出力信号が大きなダイナミックレンジを持っていれば、ドライバ段と最終段を共通に制御するのでは不十分である。 図7を参照すると、多数の増幅段の各々に、別々の制御が与えられている。 この装置は、いかなる任意の数の段にも拡張できる。 【0022】 再び図2を見ると、一定振幅の出力信号の場合に、図示される増幅器は、効率的な増幅と電力制御とを提供するのに効果的である。 しかし、振幅変調は提供しない。 【0023】 図8を次に参照すると、一般的な効率的な電力増幅器の構造が示され、振幅変調を含む、増幅器出力信号の複雑な制御を達成する多くの段の制御が可能となっている。 図8では、RF入力信号RF inが、N段を含む増幅器チェーンに与えられる。 増幅器チェーンは、RF出力信号RF outを作り出す。 各段への電源電圧は、独立して制御される。 一つあるいは二つ以上の制御ブロックが、直流電源電圧を受け取り、制御器(図示せず)からの制御信号に応答して、N個の増幅段の各々に対して別個の電源電圧を作り出す。 図8の例では、電力/バースト制御ブロック801と変調制御ブロック803の2つの制御ブロックが示されている。 しかし、制御ブロックの機能は、当業者には明らかなように、容易に統合したり分割したりすることができる。 【0024】 状況に応じて、独立したバイアス信号を一つの段ごとに与えることができる。 一実施形態において、適当な値のバイアス信号には、段をオンさせる、例えば、該当段の能動的な要素をハイインピーダンス状態にする値が含まれる。 加えて、各段は、状況に応じて、制御されたバイパスの要素あるいはネットワークを含むことができるが、これは、図8に、或る段の入力端子と出力端子に接続される抵抗として示されている。 そのようなバイパスによって、入力信号が低レベルの時の増幅段の性能を、より完全に特徴づけ、また制御することができる。 特に、回路の寄生により、不可避的にバイパスの影響が作り出されるので、バイパスをはっきりと与えることにより、寄生の影響を抑制するようなやり方で設計することができる。 【0025】 図8の一般的な増幅器の構成の特殊な例が、次に、詳細に説明される。 図9を参照すると、図2の増幅器の利点を提供し、さらに振幅変調を提供する増幅器が示される。 図9において、スイッチ901と直流電源903と共振ネットワーク905と負荷907と制御信号909と制御信号増幅器911と出力信号913と電源制御論理回路915とが与えられ、図2の要素に概ね対応しており、それらと似た名称が与えられる。 制御信号増幅器911は、駆動制御信号918に応答して、スイッチ制御信号919を作り出す。 しかし、図9において、AM信号923に応答する、振幅変調器917が追加して提供されている。 制御信号増幅器911を直接に制御する電力制御論理回路915の代わりに(図2におけるように)、電力制御論理回路915が振幅変調器917に結合され、これは、制御信号増幅器911を制御する電力制御論理回路915に応答する。 振幅変調器917の制御下で、制御信号増幅器911は、スイッチ901に与えられるスイッチ制御信号919を作り出す。 直流電源903は、振幅変調器917に結合されるが、この振幅変調器917は、AM信号923に応答して、電源電圧を適切に変更し、また結果として得られるスイッチ電源信号(switch supply signal)921をスイッチ901に与える。 【0026】 図9の増幅器の2種類の動作は区別することができる。 一つの動作は、図10に示されており、そこでは、振幅変調がスイッチ電源信号921の変化を通して単独で得られており、電力制御は、直流電源903の変化とスイッチ制御信号919の変化(信号918を経由して)を通して得られている。 割り当て時間(N−1)の間、スイッチ制御信号919のピーク振幅は、一定のままである。 この時間の間、制御信号909のピーク振幅も、一定のままである。 他方、スイッチ電源信号921は、その上に、振幅変調信号の変化を印加する。 結果として出力信号913は、対応する振幅の変化を示す。 割り当て時間(N)の間、制御信号909の振幅とスイッチ制御信号919は、低レベルで一定であり、直流電源電圧904(図10には図示されず)も、低レベルで一定であり、希望する出力電力レベルを示す。 別の振幅変調信号の変化が、スイッチ電源信号921の上に加えられ、その変化は、出力信号913の振幅において明白である。 割り当て時間(N+1)の間、制御信号909とスイッチ制御信号919のレベルは、直流電源電圧904のように、より高い希望する出力電力レベルに対応して、上げ戻される。 スイッチ制御信号909の一定ピーク振幅は、より高い希望する出力電力レベルに対して、より高く設定され、より低い希望する出力電力レベルに対して、より低く設定され、その結果、スイッチ901は、スイッチ制御信号919がスイッチ901を通して共振ネットワーク905へと好ましからぬ漏洩をするのを最小化する間に必要なだけ、上手にオンとオフをする。 【0027】 電力レベルが低い時、スイッチ制御信号919が出力信号913へと漏洩し過ぎるのを避けるために、スイッチ電源信号921とスイッチ制御信号919の両方の変化を調整することで、出力信号の振幅変調を得ることが必要だろう。 これは、前に参照した動作の第2の場合を表しており、図11に示されている。 特に図11は、スイッチ電源信号921の振幅変調とスイッチ制御信号919の振幅変調の間の異なる関係の例を示している。 スイッチ電源信号921の振幅変調とスイッチ制御信号919の両方の、電力制御および振幅変調が、出力信号913のダイナミックレンジを拡大するのに必要なだけ与えられる。 一実施形態において、AM信号923が電力レベルに依存する閾値未満に下がった時にのみ、スイッチ制御信号919の振幅変調が与えられる。 【0028】 割り当て時間(N−1)は、AM信号923が割り当て時間の期間に対する、電力レベルに依存する閾値未満である場合(図11の上枠内に点線で示した)を描いている。 従って、スイッチ制御信号919は、割り当て時間の間中、スイッチ電源信号921に従って変調される振幅である。 割り当て時間(N)において、割り当て時間の最初の部分と割り当て時間の最後の部分の両方の間、AM信号923は、閾値より大きいと考えられる。 従って、割り当て時間のこれらの部分の間、スイッチ制御信号919は、振幅変調されない。 (図11の真ん中の枠において、点線は、AM信号923が閾値より大きい時の、スイッチ制御信号919の公称振幅を示している。)しかし、割り当て時間の中間の部分において、AM信号923は、閾値より小さいと考えられる。 割り当て時間のこの部分の間、スイッチ制御信号919は、スイッチ電源信号921に従って振幅変調される。 最後に、割り当て時間(N+1)において、AM信号923は、割り当て時間の間中、閾値より大きいと考えられる。 スイッチ制御信号919の(ピークからピークまでの)振幅は、従って、割り当て時間の間中、一定に保たれる。 実際の振幅変調は、まだ、スイッチ電源信号921によって出力信号913に単独で印加されるということに注意したい。 信号918の変化と、信号921に呼応して現れる信号919の変化とは、漏れを減らすために単独で起こる。 そのようにして、信号918に必要な正確さは、信号921に要求される正確さよりも大幅に少なくてよい。 【0029】 次に図12を参照すると、本発明の一実施形態に従った増幅器の、より詳細な図が示され、そこでは、図9と似た要素は、似た参照番号が振られる。 図12の実施形態において、制御信号増幅器1211とスイッチ1201は、第1と第2の増幅段の、それぞれ“利得”段と“スイッチ段”として与えられる。 利得段11は、様々な方法で実現することができる。 一つの実現方法は、広く理解されているA級、AB級、B級、C級の、従来からの利得制御型線形CCS(管理電流源:controlled current source)増幅器である。 別の実現方法は、先述の米国同時係属出願に記載される種類の、より小規模のスイッチングモード段である。 【0030】 点線のブロック917内で、図9の振幅変調器917の一実施形態が、より詳細に示されている。 AM信号の例と電力制御論理回路1215からの信号1232とに応じて、AM論理回路1231は、第1増幅段1211と第2増幅段1201に対して、適切な電源レベルを計算する。 【0031】 第1増幅段1211の場合、直流電源電圧は、トランジスタ1235−1を通って与えられる。 トランジスタ1235−1のベースの駆動は、AM論理回路1231がDAC(ディジタル・アナログ変換器)1233−1を通して制御する。 従って、DAC1233−1は、第2増幅段1201から見たスイッチ制御信号1219のレベルを、設定する。 同様に、第2増幅段1201の場合、直流電源電圧が、トランジスタ1235−2を通して供給される。 トランジスタ1235−2のベースの駆動は、AM論理回路1231がDAC(ディジタル・アナログ変換器)1233−2を通して制御する。 【0032】 一実施形態において、DAC1233−1の出力は、以下の規則で与えられる:
ここで、a(t)は、時刻tの時のAM信号、m(p)は、電力レベルpに依存する閾値、v(p)は、電力レベルpに対する、DAC 1の公称出力電圧である。 【0033】
先述した方法での図12の増幅器の動作が図13に図示される。 ここに見られるように、信号a(t)(時刻tにおけるAM信号の振幅)は、第1期間に、変動するので、信号は、現在の電力レベルpに対する閾値m(p)を越える。 この間に、電圧DAC
1 (t)が、公称レベルv(p)に設定される。 その後、信号a(t)は、ある期間、閾値より下に下がる。 この期間中、電圧DAC 1 (t)は、信号a(t)の変動に従って、振幅変調される。 信号a(t)が再び閾値より大きくなると、電圧DAC 1 (t)は、再び公称レベルに設定される。 【0034】
こうして、広いダイナミックレンジに渡って振幅変調を提供する、RF信号に対する効率的な増幅器を説明してきた。 スイッチ制御信号の増幅は、希望しない漏洩効果を減らすように調整される。 結果として、平均電力を持った出力信号を広い範囲内のどこでも作り出すこと、あるいは、所定の平均電力レベルで振幅変調を作り出せるダイナミックレンジを大幅に拡大すること、あるいは、その両方が可能となる。
【0035】
当業者には、本発明がその趣旨と必須の特徴から逸脱せずに、他の特定の形態で実現することができることは明らかであろう。 従って、ここに記載された実施形態は、全ての観点から、説明を意図したものであり、限定は意図していない。 本発明の範囲は、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、等価なものの意味と範囲の内にある全ての変更は、その中に包括されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】多数の段に共通して可変電源電圧が与えられる、既知のスイッチングモードの電力増幅器のブロック図である。
【図2】振幅変調の機能を持たないスイッチングモード電力増幅器のブロック図である。
【図3】本発明の手段を持ったものと持たないものの、スイッチングモード電力増幅器無いのAM/PM歪みを比較した図である。
【図4】図2の回路における波形を示す波形図である。
【図5】一つあるいは二つ以上の増幅段への電力の適用を制御するのに使用することのできる適当な回路の図である。
【図6】一つあるいは二つ以上の増幅段への電力の適用を制御するのに使用することのできる他の適当な回路の図である。
【図7】一つあるいは二つ以上の増幅段への電力の適用を制御するのに使用することのできる、さらに他の適当な回路の図である。
【図8】一般的な効率的な電力増幅器の構造を示すブロック図である。
【図9】振幅変調の機能を持ったスイッチングモードの電力増幅器のブロック図である。
【図10】図9の回路内の波形を示す波形図である。
【図11】図9の回路内の波形を示す他の波形図である。
【図12】図9のスイッチングモードの電力増幅器の一実施例のより詳細な図である。
【図13】図12の回路における波形を示す波形図である。
【符号の説明】
501…演算増幅器503,603…ドライバ段505605,…最終段509…RF信号523…電力設定命令信号607…初段609…スイッチ801…電力/バースト制御ブロック803…変調制御ブロック901,1201…スイッチ903,1203…直流電源905,1205…共振ネットワーク907,1207…負荷909,1219…制御信号911,1211…制御信号増幅器913…出力信号915,1215…電源制御論理回路917…振幅変調器1231…AM論理回路Q…PNPバイポーラトランジスタR1,R2,R3…抵抗
|