給電装置および給電システム

申请号 JP2012092846 申请日 2012-04-16 公开(公告)号 JP6007561B2 公开(公告)日 2016-10-12
申请人 ソニー株式会社; 发明人 長谷野 慎一; 浦本 洋一;
摘要
权利要求

磁界または電界を用いて送電を行う送電部と、 外部電源から前記送電部への電供給ライン上に配設された電力制限部と、 前記送電のための制御信号に基づいて、前記電力供給ラインから前記電力制限部を介して供給される電力を用いて、前記送電を行うための交流信号を発生する交流信号発生部と、 前記電力制限部よりも前記外部電源側に配設され、前記送電の制御を行う送電制御部を含む制御部と、 装置の異常状態が検知されたときに、前記送電制御部による送電制御によらずに前記交流信号発生部の動作を強制的に停止させることによって、前記送電を強制的に停止させる動作停止部と を備えた給電装置。前記制御部は、前記送電制御部と、データ伝送用の制御部とを有する 請求項1に記載の給電装置。前記動作停止部は、前記送電のための制御信号を無効化して、前記交流信号発生部における動作を強制的に停止させることにより、前記送電を強制的に停止させる 請求項1または請求項2に記載の給電装置。前記動作停止部は、前記異常状態の検知の有無に応じて前記制御信号の有効化と無効化とを切り換える切換部を有する 請求項3に記載の給電装置。前記動作停止部は、 前記電力制限部における入出力間の電圧を検出する電圧検出部を有し、 前記電圧検出部による検出電圧の大きさに応じて、前記交流信号発生部における動作を強制的に停止させることによって、前記送電を強制的に停止させる 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の給電装置。前記動作停止部は、前記検出電圧が第1閾値を超えた場合に、前記交流信号発生部における動作を強制的に停止させることによって、前記送電を強制的に停止させる 請求項5に記載の給電装置。前記検出電圧が、前記第1閾値よりも大きい第2閾値をも超えた場合、 前記電力制限部は、前記送電部への電力供給を強制的に遮断する 請求項6に記載の給電装置。前記電力制限部は、 前記外部電源からの入力電流に対応する電圧と参照電圧との電位差に応じて電力制限動作を制御する誤差アンプを有し、 前記検出電圧が前記第2閾値を超えた場合には、前記参照電圧の大きさを制御することにより、前記送電部への電力供給を強制的に遮断する 請求項7に記載の給電装置。前記電力制限部は、 前記電力供給ライン上にトランジスタを有し、 前記参照電圧の大きさを制御して前記トランジスタをオフ状態に設定することにより、前記送電部への電力供給を強制的に遮断する 請求項8に記載の給電装置。前記第1閾値は、装置の通常動作時における過負荷状態であるか否かを規定するものであり、 前記第2閾値は、前記送電部が故障状態または破壊状態であるか否かを規定するものである 請求項7ないし請求項9のいずれか1項に記載の給電装置。前記検出電圧が前記第2閾値を超えたときは、前記動作停止部が動作不可能な状態となっている 請求項7ないし請求項10のいずれか1項に記載の給電装置。前記送電制御部は、給電対象機器に対して前記送電を行う給電期間と、前記給電対象機器との間で所定の通信を行う通信期間とが時分割に設定されるように制御し、 前記動作停止部は、前記通信期間において前記異常状態が検知されたときには、前記通信を強制的に停止させる 請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の給電装置。前記送電制御部は、 給電対象機器に対して前記送電を行う給電期間と、前記給電対象機器との間で所定の通信を行う通信期間とが時分割に設定されるように制御すると共に、 前記通信期間において前記電力制限部による電力制限動作を制御することにより、振幅変調による通信が行われるようにする 請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の給電装置。前記電力制限部は、前記給電期間では電力制限動作を行い、前記通信期間では振幅変調動作を行う 請求項13に記載の給電装置。前記送電制御部は、前記交流信号発生部の動作を制御することによって前記送電の制御を行う 請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の給電装置。前記交流信号発生部は、スイッチング素子を含むスイッチングアンプを用いて構成され、 前記送電制御部は、前記送電のための制御信号を用いて、前記スイッチング素子のオン・オフ動作を制御する 請求項15に記載の給電装置。前記送電制御部は、 給電対象機器に対して前記送電を行う給電期間と、前記給電対象機器との間で所定の通信を行う通信期間とが時分割に設定されるように制御すると共に、 前記通信期間において前記送電のための制御信号のデューティ比を制御することにより、パルス幅変調による通信が行われるようにする 請求項16に記載の給電装置。前記送電部は、共振動作を利用して前記送電を行う 請求項1ないし請求項17のいずれか1項に記載の給電装置。1または複数の電子機器と、 前記電子機器に対して送電を行う給電装置と を備え、 前記給電装置は、 磁界または電界を用いて前記送電を行う送電部と、 外部電源から前記送電部への電力供給ライン上に配設された電力制限部と、 前記送電のための制御信号に基づいて、前記電力供給ラインから前記電力制限部を介して供給される電力を用いて、前記送電を行うための交流信号を発生する交流信号発生部と、 前記電力制限部よりも前記外部電源側に配設され、前記送電の制御を行う送電制御部を含む制御部と、 装置の異常状態が検知されたときに、前記送電制御部による送電制御によらずに前記交流信号発生部の動作を強制的に停止させることによって、前記送電を強制的に停止させる動作停止部と を有する給電システム。

说明书全文

本開示は、電子機器等の給電対象機器に対して非接触に電供給(送電,電力伝送)を行う給電システム、ならびにそのような給電システムに適用される給電装置に関する。

近年、例えば携帯電話機や携帯音楽プレーヤー等のCE機器(Consumer Electronics Device:民生用電子機器)に対し、非接触に電力供給(送電,電力伝送)を行う給電システム(非接触給電システム、ワイヤレス充電システム)が注目を集めている。これにより、ACアダプタのような電源装置のコネクタを機器に挿す(接続する)ことによって充電を開始するのはなく、電子機器(2次側機器)を充電トレー(1次側機器)上に置くだけで充電を開始することができる。すなわち、電子機器と充電トレーと間での端子接続が不要となる。

このようにして非接触で電力供給を行う方式としては、電磁誘導方式が良く知られている。また、最近では、電磁共鳴現象を利用した磁界共鳴方式と呼ばれる方式を用いた非接触給電システムが注目されている。このような非接触による給電システムは、例えば特許文献1〜6等に開示されている。

特開2001−102974号公報

WO00−27531号公報

特開2008−206233号公報

特開2002−34169号公報

特開2005−110399号公報

特開2010−63245号公報

ところで、上記のような非接触による給電システムでは、状況に応じて給電装置の負荷状態が変動し、例えば過負荷状態になってしまう場合もある。したがって、そのような負荷変動が生じた場合であっても、給電装置内での適切な制御を担保することが求められる。これのことから、磁界等を用いた電力伝送(非接触給電)の際に、負荷状態によらずに適切な制御を実現することを可能とする手法の提案が望まれる。

本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、磁界または電界を用いて電力伝送(送電)を行う際に、負荷状態によらずに適切な制御を実現することが可能な給電装置および給電システムを提供することにある。

本開示の給電装置は、磁界または電界を用いて送電を行う送電部と、外部電源から送電部への電力供給ライン上に配設された電力制限部と、送電のための制御信号に基づいて、電力供給ラインから電力制限部を介して供給される電力を用いて、送電を行うための交流信号を発生する交流信号発生部と、電力制限部よりも外部電源側に配設され、送電の制御を行う送電制御部を含む制御部と、装置の異常状態が検知されたときに、送電制御部による送電制御によらずに交流信号発生部の動作を強制的に停止させることによって、送電を強制的に停止させる動作停止部とを備えたものである。

本開示の給電システムは、1または複数の電子機器(給電対象機器)と、この電子機器に対して送電を行う上記本開示の給電装置とを備えたものである。

本開示の給電装置および給電システムでは、制御部が電力制限部よりも外部電源側に配設されていることにより、例えば過負荷状態の場合等であっても、外部電源から制御部側への電力供給が制限されてしまうことがない。すなわち、制御部側への電力供給が常に確保され、制御部側への優先的な電力分配がなされる。

本開示の給電装置および給電システムによれば、制御部を電力制限部よりも外部電源側に配設するようにしたので、外部電源から制御部側への電力供給が常に確保され、制御部側への優先的な電力分配を行うことができる。よって、制御部の安定的動作が担保されることになり、磁界または電界を用いて電力伝送を行う際に、負荷状態によらずに適切な制御を実現することが可能となる。

本開示の第1の実施の形態に係る給電システムの外観構成例を表す斜視図である。

図1に示した給電システムの詳細構成例を表すブロック図である。

図2に示した各ブロックの詳細構成例を表す回路図である。

交流信号発生回路に対する制御信号の一例を表すタイミング波形図である。

給電期間および通信期間の一例を表すタイミング図である。

交流信号発生回路を用いたパルス幅変調による通信動作の一例を表すタイミング波形図である。

過負荷状態時における垂下特性の一例を模式的に表す特性図である。

過負荷状態時における電力制限・分配作用について説明するためのタイミング波形図である。

強制的な動作停止作用および電力供給遮断作用について説明するための模式図である。

第2の実施の形態に係る給電システムにおける要部構成例を表す回路図である。

図10に示した電力制限・変調回路の動作例を表すタイミング図である。

図10に示した電力制限・変調回路を用いた振幅変調による通信動作の一例を表すタイミング波形図である。

変形例に係る給電システムの概略構成例を表すブロック図である。

図13に示した給電システムにおける電界の伝播態様例を表す模式図である。

以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。 1.第1の実施の形態(交流信号発生回路を用いてパルス幅変調による通信を行う例) 2.第2の実施の形態(電力制限回路を用いて振幅変調による通信をも行う例) 3.変形例(電界を用いて非接触に電力伝送を行う給電システムの例等)

<第1の実施の形態> [給電システム4の全体構成] 図1は、本開示の第1の実施の形態に係る給電システム(給電システム4)の外観構成例を表したものであり、図2は、この給電システム4のブロック構成例を表したものである。給電システム4は、磁界を用いて(磁気共鳴や電磁誘導等を利用して;以下同様)、非接触に電力伝送(電力供給,給電,送電)を行うシステム(非接触型の給電システム)である。この給電システム4は、給電装置1(1次側機器)と、給電対象機器としての1または複数の電子機器(ここでは2つの電子機器2A,2B;2次側機器)とを備えている。

この給電システム4では、例えば図1に示したように、給電装置1における給電面(送電面)S1上に電子機器2A,2Bが置かれる(または近接する)ことにより、給電装置1から電子機器2A,2Bに対して電力伝送が行われるようになっている。ここでは、複数の電子機器2A,2Bに対して同時もしくは時分割的(順次)に電力伝送を行う場合を考慮して、給電装置1は、給電面S1の面積が給電対象の電子機器2A,2B等よりも大きなマット形状(トレー状)となっている。

(給電装置1) 給電装置1は、上記したように、磁界を用いて電子機器2A,2Bに対して電力伝送(送電)を行うもの(充電トレー)である。この給電装置1は、例えば図2に示したように、送電部110、電流検出回路111、電力制限回路112、交流信号発生回路(高周波電力発生回路)113および動作停止回路114を有する送電装置11と、データ伝送部13とを備えている。また、給電装置1は、送電装置11内に設けられた送電制御部(変調処理部)10Aと、送電装置11の外部に設けられたデータ伝送制御部10Bとを有する制御部10を備えている。これらのうち、電力制限回路112、交流信号発生回路113、動作停止回路114およびデータ伝送制御部10Bはそれぞれ、本開示における「電力制限部」、「交流信号発生部」、「動作停止部」および「データ伝送用の制御部」の一具体例に対応する。

送電部110は、後述する送電コイル(1次側コイル)L1およびコンデンサC1p,C1s(共振用のコンデンサ)等を含んで構成されている。送電部110は、これらの送電コイルL1およびコンデンサC1p,C1sを利用して、電子機器2A,2B(詳細には、後述する受電部210)に対して交流磁界を用いた電力伝送(送電)を行うものである(図2中の矢印P1参照)。具体的には、送電部110は、給電面S1から電子機器2A,2Bへ向けて磁界(磁束)を放射する機能を有している。この送電部110はまた、後述する受電部210との間で所定の通信動作を相互に行う機能を有している(図2中の矢印C1参照)。

交流信号発生回路113は、例えば給電装置1の外部電源9(親電源)から後述する電力制限回路112を介して供給される電力を用いて、送電を行うための所定の交流信号Sac(高周波電力)を発生する回路である。このような交流信号発生回路113は、例えば、後述するスイッチングアンプを用いて構成されている。なお、外部電源9としては、例えば、PC(Personal Computer)などに設けられているUSB(Universal Serial Bus)2.0の電源(電力供給能力:500mA,電源電圧:5V程度)等が挙げられる。

電力制限回路112は、外部電源9から送電部110への電力供給ライン(後述する電力供給ラインLp)上、すなわち、外部電源9用の電力入力端子(図示せず)と送電部110との間に配設されている。この電力制限回路112は、外部電源9から送電部110へ供給される電力を制限する(電力制限動作を行う)機能を有している。具体的には、詳細は後述するが、過負荷状態等の際の過電流を制限する過電流制限回路(過電流保護回路)として機能するようになっている。また、この電力制限回路112は、後述する所定の場合には、外部電源9から送電部110への電力供給を強制的に遮断する機能も有している。

電流検出回路111は、外部電源9から給電装置1全体へ流入する入力電流I1を検出する回路である。具体的には、この入力電流I1に対応する電圧を検知(測定)し、電力制限回路112へ出力するようになっている。

動作停止回路114は、後述する装置の異常状態(過負荷状態等)が検知されたときに、後述する送電制御部10Aによる送電制御によらずに、強制的に送電部10等による送電を停止させる回路である。

データ伝送部13は、後述する電子機器2A,2B内のデータ伝送部23との間で、相互に非接触によるデータ伝送を行うものである(図2中の矢印D1参照)。なお、このような非接触によるデータ伝送を行う手法としては、例えば、近距離無線転送技術の1つである「Transfer Jet」を用いたものが挙げられる。

制御部10は、図2に示したように、電力制限回路112の前段(電力制限回路112よりも外部電源9側)、すなわち、外部電源9用の電力入力端子(図示せず)と電力制限回路112との間に配設されている。この制御部10は、送電部110による送電の制御を行う送電制御部10Aと、データ伝送部13によるデータ転送の制御を行うデータ伝送制御部10Bとを含んで構成され、給電装置1全体(給電システム4全体)における種々の制御動作を行うものである。具体的には、上記した送電制御およびデータ伝送制御の他、例えば、送電電力の最適化制御や2次側機器を認証する機能、2次側機器が1次側機器上にあることを判別する機能、異種金属などの混入を検知する機能などを有している。

送電制御部10Aは、後述する所定の制御信号CTL(送電用の制御信号)を用いて交流信号発生回路113の動作を制御する(ここでは、動作停止部114を介して制御する)ことにより、上記した送電制御を行うものである。また、この送電制御部10Aは、制御信号CTLを用いて、後述するパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)による変調処理を行う機能も有している。

(電子機器2A,2B) 電子機器2A,2Bは、例えば、テレビ受像機に代表される据え置き型電子機器や、携帯電話やデジタルカメラに代表される、充電池(バッテリー)を含む携帯型の電子機器等からなる。これらの電子機器2A,2Bは、例えば図2に示したように、受電装置21と、この受電装置21から供給される電力に基づいて所定の動作(電子機器としての機能を発揮させる動作)を行う負荷22と、データ伝送部23とを備えている。また、受電装置21は、受電部210、整流回路211、充電回路212およびバッテリー213を有している。

受電部210は、後述する受電コイル(2次側コイル)L2およびコンデンサC2p,C2s(共振用のコンデンサ)等を含んで構成されている。受電部210は、これらの受電コイルL2およびコンデンサC2p,C2s等を利用して、給電装置1内の送電部110から伝送(送電)された電力を受け取る機能を有している。この受電部210はまた、送電部110との間で前述した所定の通信動作を相互に行う機能を有している(図2中の矢印C1参照)。

整流回路211は、受電部210から供給された電力(交流電力)を整流し、直流電力を生成する回路である。

充電回路212は、整流回路211から供給される直流電力に基づいて、バッテリー213や負荷22内のバッテリー(図示せず)に対して充電を行うための回路である。

バッテリー213は、充電回路212による充電に応じて電力を貯蔵するものであり、例えばリチウムイオン電池等の充電池(2次電池)を用いて構成されている。なお、負荷22内のバッテリーのみを用いる場合等には、このバッテリー213は必ずしも設けられていなくともよい。

データ伝送部23は、給電装置1内のデータ伝送部13との間で、前述したように、相互に非接触によるデータ伝送を行うものである(図2中の矢印D1参照)。

[給電装置1および電子機器2A,2Bの詳細構成] 図3は、図2に示した給電装置1および電子機器2A,2B内の各ブロックの詳細構成例を回路図で表したものである。

(送電部110) 送電部110は、磁界を用いて電力伝送を行う(磁束を発生させる)ための送電コイルL1と、この送電コイルL1とともにLC共振回路を形成するためのコンデンサC1p,C1sとを有している。コンデンサC1sは、送電コイルL1に対して電気的に直列接続されている。つまり、コンデンサC1sの一端と送電コイルL1の一端とが、互いに接続されている。また、このコンデンサC1sの他端と送電コイルL1の他端とがコンデンサC1pに並列接続され、送電コイルL1とコンデンサC1pとの接続端は接地されている。

これらの送電コイルL1とコンデンサC1p,C1sとからなるLC共振回路と、後述する受電コイルL2とコンデンサC2p,C2sとからなるLC共振回路とは、互いに磁気結合する。これにより、後述する交流信号発生回路113により生成された高周波電力(交流信号Sac)と略同一の共振周波数によるLC共振動作がなされるようになっている。

(電流検出回路111) 電流検出回路111は、抵抗器R1および誤差アンプ(エラーアンプ)A1を有している。抵抗器R1の一端は、外部電源9用の電力入力端子(図示せず)に接続され、抵抗器R1の他端は接続点P0に接続されている。つまり、この抵抗器R1は電力供給ラインLp上に配置されている。誤差アンプA1における正側(+側)の入力端子は抵抗器R1の一端に接続され、負側(−側)の入力端子は抵抗器R1の他端に接続され、出力端子は、後述する電力制限回路112内の誤差アンプA3における正側の入力端子に接続されている。すなわち、この誤差アンプA3の正側の入力端子には、抵抗器R1の両端間の電位差(電圧)が入力されるようになっている。

このような構成により電流検出回路111では、抵抗器R1を流れる前述した入力電流I1(電力供給ラインLp上を流れる電流)を検出し、この入力電流Iの大きさに対応する電圧V1を、誤差アンプA1から誤差アンプA3へ出力するようになっている。

(電力制限回路112) 電力制限回路112は、トランジスタTr1,Tr2、比較器(コンパレータ)A2、誤差アンプA3、電源PS2,PS3を有している。これらのうち、トランジスタTr1はp型のFET(Field Effective Transistor;電界効果型トランジスタ)からなり、トランジスタTr2はn型のFETからなる。また、電源PS2は後述する所定の閾値電圧Vth2(>0V)(第2閾値)を出力する電源であり、電源PS3は後述する参照電圧(リファレンス電圧)Vrefを出力する電源である。なお、トランジスタTr1および誤差アンプA3はそれぞれ、本開示における「トランジスタ」および「誤差アンプ」の一具体例に対応する。

トランジスタTr1のソースは接続点P0に接続され、ドレインは前述したコンデンサC1p,C1sの各一端に接続され、ゲートは誤差アンプA3の出力端子に接続されている。すなわち、このトランジスタTr1は、電力供給ラインLp上に配置されている。比較器A2における負側の入力端子は、後述する動作停止回路114内の比較器A4の出力端子に接続され、正側の入力端子は電源PS2に接続され、出力端子はトランジスタTr2のゲートに接続されている。トランジスタTr2のソースは接地され、ドレインは、電源PS3と、誤差アンプA3における負側の入力端子とに接続されている。

このような構成により電力制限回路112では、誤差アンプA3において、前述した誤差アンプA1からの出力電圧(入力電流I1に対応する電圧V1)と参照電圧Vrefとの電位差に応じた出力信号S3が生成され、トランジスタTr1のゲートへ供給される。そして、この出力信号S3に従って、トランジスタTr1のソース・ドレイン間を流れる電流I2(前述した入力電流I1のうち、接続点P0から送電部110側の経路へ流れる電流)の大きさ(電力の大きさ)を制限される。このようにして、外部電源9から送電部110へ供給される電力が制限される(過負荷状態等の際の過電流が制限される)ようになっている。

また、後述する所定の場合には、上記した誤差アンプA3に入力される参照電圧Vrefの大きさが動作停止回路114によって制御されることにより、電力制限回路112において外部電源9から送電部110への電力供給が強制的に遮断されるようになっている。具体的には、上記した比較器A2における電圧の比較結果に応じて、参照電圧Vrefの大きさが制御されるようになっている。

(制御部10) 制御部10は、前述した送電制御部(変調処理部)10Aおよびデータ伝送制御部10Bを有しており、各々の入力端子が接続点P0に接続されている。すなわち、これらの送電制御部10Aおよびデータ伝送制御部10Bはそれぞれ、電力制限回路112の前段(外部電源9と電力制限回路112との間)において、互いに並列接続されるように配置されている。これにより詳細は後述するが、前述した入力電流I1のうち、接続点P0から制御部10側の経路に、電流I3が常時(負荷状態によらずに)流れるようになっている。

(動作停止回路114) 動作停止回路114は、比較器A4と、後述する所定の閾値電圧Vth1(>Vth2)(第1閾値)を出力する電源PS1と、論理積回路(AND回路)LG1とを有している。これらのうち、比較器A4および論理積回路LG1はそれぞれ、本開示における「電圧検出部」および「切換部」の一具体例に対応する。

比較器A4における正側の入力端子はトランジスタTr1のソースに接続され、負側の入力端子は、電源PS1を介してトランジスタTr1のドレインに接続されている。比較器A4における出力端子は、前述した比較器A2における負側の入力端子と、論理積回路LG1における一方の入力端子とに接続されている。また、論理積回路LG1における他方の入力端子には、送電制御部10Aから送電用の制御信号CTLが供給されるようになっている。

この制御信号CTLは、図3中に示したように、所定のデューティ比を有するパルス信号からなる。また、例えば図4(A),(B)に示したように、この制御信号CTLにおけるデューティ比を制御することにより、後述するパルス幅変調がなされるようになっている。

このような構成により動作停止回路114では、比較器A4において、電力制限回路112における入出力間の電圧ΔV2(トランジスタTr1のソース・ドレイン間の電位差)が検出され、上記した閾値電圧Vth1との比較がなされる。そして、この電圧の比較結果(検出された電圧ΔV2の大きさ)に応じて後述する装置の異常状態(過負荷状態等)が検知され、その検知結果に応じて、論理積回路LG1を介して交流信号発生回路113および送電部110による送電動作が強制的に停止されるようになっている。

(交流信号発生回路113) 交流信号発生回路113は、スイッチング素子としての1つのトランジスタTr3を有するスイッチングアンプ(いわゆるE級アンプ)を用いて構成されている。また、ここではトランジスタTr3は、n型のFETからなる。このトランジスタTr3のソースは接地され、ゲートは前述した論理積回路LG1の出力端子に接続され、ドレインは、前述したトランジスタTr1のドレインおよびコンデンサC1p,C1sの各一端に接続されている。

このような構成により交流信号発生回路113では、前述した送電用の制御信号CTLに基づく論理積回路LG1からの出力信号(信号S1)に従って、トランジスタTr3がオン・オフ動作(所定の周波数およびデューティ比からなるスイッチング動作)を行う。すなわち、送電制御部10Aから供給される制御信号CTLを用いて、スイッチング素子としてのトランジスタTr3のオン・オフ動作が制御される。これにより、電力制限回路112を介して入力する直流信号Sdcに基づいて交流信号Sac(交流電力)が生成され、送電部110へ供給されるようになっている。

(受電部210) 受電部210は、送電部110から伝送された(磁束から)電力を受け取るための受電コイルL2と、この受電コイルL2とともにLC共振回路を形成するためのコンデンサC2p,C2sとを有している。コンデンサC2pは、受電コイルL2に対して電気的に並列接続され、コンデンサC2sは、受電コイルL2に対して電気的に直列接続されている。すなわち、コンデンサC2sの一端は、コンデンサC2pの一端および受電コイルL2の一端に接続されている。また、コンデンサC2sの他端は、整流回路211における一方の入力端子に接続され、受電コイルL2の他端およびコンデンサC2pの他端はそれぞれ、整流回路211における他方の入力端子に接続されている。

これらの受電コイルL2とコンデンサC2p,C2sとからなるLC共振回路と、前述した送電コイルL1とコンデンサC1p,C1sとからなるLC共振回路とは、互いに磁気結合する。これにより、交流信号発生回路113により生成された高周波電力(交流信号Sac)と略同一の共振周波数によるLC共振動作がなされるようになっている。

[給電システム4の作用・効果] (1.全体動作の概要) この給電システム4では、給電装置1内の交流信号発生回路113が、外部電源9から供給される電力に基づいて、送電部110内の送電コイルL1およびコンデンサC1p,C1s(LC共振回路)に対して、電力伝送を行うための所定の高周波電力(交流信号Sac)を供給する。これにより、送電部110内の送電コイルL1において磁界(磁束)が発生する。このとき、給電装置1の上面(給電面S1)に、給電対象機器(充電対象機器)としての電子機器2A,2Bが置かれる(または近接する)と、給電装置1内の送電コイルL1と電子機器2A,2B内の受電コイルL2とが、給電面S1付近にて近接する。

このように、磁界(磁束)を発生している送電コイルL1に近接して受電コイルL2が配置されると、送電コイルL1から発生されている磁束に誘起されて、受電コイルL2に起電力が生じる。換言すると、電磁誘導または磁気共鳴により、送電コイルL1および受電コイルL2のそれぞれに鎖交して磁界が発生する。これにより、送電コイルL1側(1次側、給電装置1側、送電部110側)から受電コイルL2側(2次側、電子機器2A,2B側、受電部210側)に対して、電力伝送がなされる(図2,図3中の矢印P1参照)。このとき、給電装置1側の送電コイルL1と電子機器2A,2B側の受電コイルL2とが、電磁誘導等により互いに磁気結合し、前述したLC共振回路においてLC共振動作が行われる。

すると、電子機器2A,2Bでは、受電コイルL2において受け取った交流電力が整流回路211および充電回路212へ供給され、以下の充電動作がなされる。すなわち、この交流電力が整流回路211によって所定の直流電力に変換された後、充電回路212によって、この直流電力に基づくバッテリー213または負荷22内のバッテリー(図示せず)への充電がなされる。このようにして、電子機器2A,2Bにおいて、受電部210において受け取った電力に基づく充電動作がなされる。

すなわち、本実施の形態では、電子機器2A,2Bの充電に際し、例えばACアダプタ等への端子接続が不要であり、給電装置1の給電面S1上に置く(近接させる)だけで、容易に充電を開始させることができる(非接触給電がなされる)。これは、ユーザにおける負担軽減に繋がる。

また、例えば図5に示したように、このような給電動作の際には、給電期間Tp(充電期間)と通信期間Tc(非充電期間)とが、時分割で周期的(もしくは非周期的)になされる。換言すると、送電制御部10Aは、このような給電期間Tpと通信期間Tcとが時分割で周期的(もしくは非周期的)に設定されるように制御する。ここで、この通信期間Tcとは、1次側機器(給電装置1)と2次側機器(電子機器2A,2B)との間で、送電コイルL1および受電コイルL2を用いた相互の通信動作(互いの機器間認証や給電効率制御等のための通信動作)を行う期間である(図2,図3中の矢印C1参照)。なお、このときの給電期間Tpと通信期間Tcとの時間の比率は、例えば、給電期間Tp:通信期間Tc=9:1程度である。

ここで、この通信期間Tcでは、例えば図6(A)〜(D)に示したようにして、交流信号発生回路113におけるパルス幅変調を用いた通信動作が行われる。具体的には、例えば図6(A)に示したような変調データDmに基づいて、通信期間Tcにおける制御信号CTLのデューティ比が設定されることにより(図6(B)参照)、パルス幅変調による通信がなされる。なお、前述した送電部110および受電部210における共振動作時に周波数変調を行うことは原理的に難しいため、このようなパルス幅変調を用いることで簡易に通信動作が実現される。

更に、この給電システム4では、図2,図3中の矢印D1で示したように、1次側機器(給電装置1)内のデータ伝送部13と2次側機器(電子機器2A,2B)内のデータ伝送部23との間で、相互に非接触によるデータ伝送がなされる。これにより、給電装置1と電子機器2A,2Bとの間でデータ伝送用の配線等を接続させることなく、これらの給電装置1と電子機器2A,2Bとを近接させるだけで、データ伝送を行うことができる。つまり、この点でもユーザにおける負担軽減が図られる。

(2.過負荷時における電力制限・分配作用) ところで、このような給電システム4では、給電装置1において負荷が過剰な状態(過負荷状態)となってしまうことがある。具体的には、例えば、データ伝送部13において突発的に過剰な電力を消費する場合や、2次側機器(ここでは電子機器2A,2B)において過大な電力を要する場合等が想定される。

このような過負荷状態となったときには、例えば図7に示したように、電流−電圧特性においていわゆる垂下特性(「フ」の字状の特性)を示すように制御され、過電流に対する保護がなされる。具体的には、ここではまず、給電装置1内の電流検出回路111において、外部電源9からの入力電流I1に対応する電圧V1が検出される。そして、電力制限回路112では、誤差アンプA3においてこの電圧V1と参照電圧Vrefとの電位差に応じた信号S3が出力され、この信号S3に基づいてトランジスタTr1のソース・ドレイン間を流れる電流I2の大きさが制御される。すなわち、入力電流I1の大きさに応じて電流I2の大きさが制限される(トランジスタTr1のドレイン側への供給電力が制限される)ことにより、電力制限回路112において電力制限動作が行われる。例えば、外部電源9が前述したUSB2.0の電源である場合、I1≧500mAとなったとき(2.5Wを超えたとき)に、過電流状態(過負荷状態)であると判断される。

ただし、このような電力制限動作を給電装置1全体に適用してしまうと(給電装置1内のブロック全体に対して供給電力を制限してしまうと)、以下の問題が生じる。すなわち、上記した過電流状態(過負荷状態)になったときに、給電装置1全体(給電システム4全体)の制御を司る制御部10(特に送電制御部10A)への供給電力をも制限すると、この制御部10の動作が停止してしまい、不都合が生じる。つまり、例えば送電制御部10Aは給電システム4における安全面なども担保する重要な役割を担っていることから、過負荷状態等であっても、正常な動作を行うことが期待される(常に安定的な動作が担保される必要がある)のである。

そこで本実施の形態の給電装置1では、図2および図3に示したように、制御部10が、電力制限回路112の前段(外部電源9と電力制限回路112との間)に配置されている。これにより、外部電源9から給電装置1へ流入する入力電流I1のうち、接続点P0から制御部10側の経路に、電流I3が常時(負荷状態によらずに)流れるようになる(図3参照)。換言すると、例えば過負荷状態の場合等であっても、外部電源9から制御部10側への電力供給が制限されてしまうことがない。このようにして、給電装置1内では制御部10側への電力供給が常に確保され、制御部10側への優先的な電力分配がなされる。

具体的には、例えば図8(C)中の矢印で示したように、制御部10で消費される電流I3が急激に増加した場合(過負荷状態となった場合)であっても、この制御部10側へ流れる電流I3(制御部10側への電力供給)が制限されることはない。一方、例えば図8(B)中の矢印で示したように、このような過負荷状態になると、電力制限回路112によって、その後段に位置する送電部110側へ供給される電流I2(送電部110への電力供給)が制限される。このようにして、送電部110側よりも制御部10側への優先的な電力分配が実現される。

また、このとき例えば図8(A)中の矢印で示したように、外部電源9から給電装置1全体へ流入する入力電流I1(外部電源9から取り出される電力)は、所定の閾値Ith(例えば前述したUSB2.0の電源の場合、500mA)以下となるように制御される。これにより、外部電源9から過剰な(供給能力を超える)電力(閾値Ith以上の入力電流I1)が供給されてしまうのが回避される。したがって、例えばPCに設けられているUSB2.0の電源を外部電源9として用いた場合に、この外部電源9の供給能力を超える電力を給電装置1において取り出そうとして、例えばPCの表示画面上に「警告」などが表示されてしまうのが防止される。

(3.強制的な動作停止作用) また、本実施の形態の給電装置1では、動作停止回路114において、以下のような強制的な動作停止作用がなされる。

すなわち、まず比較器A4において、電力制限回路112における入出力間の電圧ΔV2(トランジスタTr1のソース・ドレイン間の電位差)が検出され、所定の閾値電圧Vth1との大小の比較がなされる。この閾値電圧Vth1は、例えば図9に示したように、給電装置1の通常動作時における過負荷状態(過電流状態)であるか否かを規定する閾値である。すなわち、上記した電圧の比較結果(検出された電圧ΔV2の大きさ)に応じて、通常動作時における適正負荷状態であるのか過負荷状態であるのかが検知される。ここでは、電圧ΔV2の大きさが閾値Vth1以下である場合には、通常動作時における適正負荷状態であると検知される一方、電圧ΔV2の大きさが閾値Vth1を超えた場合には、通常動作時における過負荷状態であると検知される。なお、比較器A4と論理積回路LG1との間の配線における時定数により、このときの検知感度が多少鈍るように設定されている。

そして、動作停止回路114では、上記した負荷状態の検知結果に応じて、論理積回路LG1を用いて、送電制御部10Aによる送電制御によらずに、交流信号発生回路113および送電部110による送電動作が強制的に停止するようになされる。具体的には、通常動作時における適正負荷状態であると検知されたとき(ΔV2≦Vth1)には、比較器A4からの出力信号S4=「H(ハイ)」状態となる。その結果、論理積回路LG1から交流信号発生回路113内のトランジスタTr3への出力信号S1は、送電制御部10Aから供給される送電用の制御信号CTLと等しくなる(制御信号CTLが有効になるように制御される)。したがって、この制御信号CTLを用いてトランジスタTr3がオン・オフ動作を行うことにより、交流信号発生回路113および送電部110によって通常の送電動作がなされる。

一方、通常動作時における過負荷状態であると検知されたとき(ΔV2>Vth1)には、比較器A4からの出力信号S4=「L(ロー)」状態となる。その結果、論理積回路LG1から交流信号発生回路113内のトランジスタTr3への出力信号S1も常に「L」状態となり(制御信号CTLが無効になるように制御され)、トランジスタTr3が常にオフ状態となる(トランジスタTr3がオープン状態となる)。つまり、論理積回路LG1は、比較器A4からの出力信号S4の値(過負荷状態の検知の有無)に応じて、制御信号CTLの有効化と無効化とを切り換える役割を果たしている。そして、動作停止回路114では、この送電用の制御信号CTLを無効化することにより、交流信号発生回路113および送電部110における送電動作を、送電制御部10Aによる送電制御によらずに強制的に停止させている。

また、この動作停止回路114では、このような給電期間Tpに加え、前述した通信期間Tcにおいても、上記した過負荷状態(過電流状態)が検知されたときには、同様に制御信号CTLを無効化することにより、通信動作も強制的に停止するようになされる。

なお、比較器A4において過負荷状態から適正負荷状態へと回復(復帰)したことが検知されると、上記した原理により制御信号CTLが再び有効となるため、この場合も送電制御部10Aによる送電制御によらず、自動的に送電動作が再稼働することになる。

このようにして、給電装置1の異常状態(過負荷状態)が検知されると、送電制御部10Aによる送電制御によらずに、送電部110による送電が強制的に停止される。これにより、例えば負荷状態が変動して過負荷状態になった場合等に、送電制御部10Aによる送電制御を待たずして迅速に送電が停止することになり、送電停止まで要する時間(つまり不要な送電期間)が短くなる。

(4.強制的な電力供給遮断作用) また、このとき比較器A4において、電圧ΔV2の大きさが所定の閾値Vth2(>Vth1)をも超えたことが検知された場合、電流制限回路112において、送電制御部10Aによる送電制御によらず、以下のような強制的な電力供給の遮断作用がなされる。

ここで、この閾値電圧Vth2は、例えば図9に示したように、給電装置1内での回路の短絡(ショート)状態等を起因として、送電部110が故障状態あるいは破壊された状態(破壊状態)に陥ってしまったか否かを規定する閾値である。このような状態では、電流制限回路112内のトランジスタTr1の両端間の電圧ΔV2が過大となって発熱してしまうおそれがあり、また、動作停止回路114も動作不可能な状態となってしまう(上記した強制的な動作停止作用がなされなくなってしまう)おそれがある。

このように比較器A4では、検出された電圧ΔV2の大きさに応じて、上記した送電部110の故障状態または破壊状態であるのか否かも検知される。具体的には、ここでは電圧ΔV2の大きさが閾値Vth2以下である場合には、そのような故障状態または破壊状態ではないと検知される一方、電圧ΔV2の大きさが閾値Vth2を超えた場合には、そのような故障状態または破壊状態に陥っていると検知される。

そして、電圧ΔV2の大きさが閾値Vth2をも超えたこと(故障状態または破壊状態に陥っていること)が検知された場合、電流制限回路112では以下のようにして、外部電源9から交流信号発生回路113および送電部110の側への電力供給が強制的に遮断される。すなわち、誤差アンプA3に入力される参照電圧Vrefの大きさが、比較器A2における電圧の比較結果に応じて制御され、トランジスタTr1が常時オフ状態となることにより、強制的な電力供給の遮断が行われる。

具体的には、このとき(ΔV2>Vth2)には、比較器A2からの出力信号S2=「L」状態となるため、トランジスタTr2がオフ状態となる。これにより、誤差アンプA3の負側の入力端子における電位が、電源PS3から供給される元々の参照電圧Vrefからグランド(0V)側に引っ張られて低下する。その結果、誤差アンプA3からの出力信号S3=「H」状態となり、トランジスタTr1が常にオフ状態となる。このようにして、トランジスタTr1がオフ状態になることにより、そのソース・ドレイン間に電流I2が流れなくなり(I2=0A)、送電部110側への電力供給が強制的に遮断される。そして、このような正帰還による電流I2の停止作用(過電流の抑制作用)が働き、動作停止回路114が動作不可能な状態に陥ったとしても、過電流が完全に停止するまで動作し、前述したトランジスタTr1における発熱のおそれが回避される。すなわち、例えば送電部110の故障状態または破壊状態に陥った場合(動作停止回路114が動作不可能な状態に陥った場合等)であっても、給電装置1内での発熱のおそれが回避される。

以上のように本実施の形態では、制御部10を電力制限回路112よりも外部電源9側に配設するようにしたので、外部電源9から制御部10側への電力供給が常に確保され、制御部10側への優先的な電力分配を行うことができる。よって、制御部10の安定的動作が担保されることになり、磁界を用いて電力伝送を行う際に、負荷状態によらずに適切な制御を実現することが可能となる。また、給電システム4(非接触給電システム)における電源保護および電源分配の役割を明確化することで、安全面を担保する効果も得ることができる。

また、給電装置1の異常状態(過負荷状態)が検知されたときに、動作停止回路114において、送電制御部10Aによる送電制御によらずに強制的に送電を停止させるようにしたので、例えば負荷状態が変動して過負荷状態になった場合等に、不要な送電期間を短くすることができる。よって、磁界を用いた電力伝送の際に、負荷状態の変動に起因した電力損失(電力ロス)を低減することが可能となる。

更に、動作停止回路114では、検出電圧(電圧ΔV2)が閾値電圧Vth1を超えた場合に送電を強制的に停止させると共に、この電圧ΔV2が閾値電圧Vth1よりも大きい閾値電圧Vth2をも超えた場合には、電力制限回路112において、送電部110への電力供給を強制的に遮断するようにしたので、例えば送電部110の故障状態または破壊状態に陥った場合であっても過電流を完全に停止させることができ、給電装置1内(トランジスタTr1)での発熱のおそれを回避することができる。よって、磁界を用いた電力伝送の際での安全性を向上させることが可能となる。

加えて、送電部110において、共振動作(LC共振動作)を利用して送電を行うようにした場合には、特に以下の利点も得られる。すなわち、共振動作をしているため、出力電力の変動に対して鈍く、一瞬の電力遮断等に強い構成とすることができる。換言すると、急な電力の変動があっても、いわゆる「振り子の原理」(慣性の作用)によって、しばらく動き続ける(電力を送り続ける)ことが可能となる。

<第2の実施の形態> 続いて、本開示の第2の実施の形態について説明する。なお、上記第1の実施の形態と同一の構成要素については同一符号を付し、その説明を適宜省略する。

[給電システム4Aの構成] 図10は、第2の実施の形態に係る給電システム(給電システム4A)における要部構成例を回路図で表わしたものである。本実施の形態の給電システム4Aは、1つの給電装置1Aと、2つの電子機器2A,2Bとを備えている。この給電装置1Aは、第1の実施の形態の給電装置1において、電力制限回路112の代わりに電力制限・変調回路112Aを設けたものであり、他の構成は同様となっている。なお、この電力制限・変調回路112Aは、本開示における「電力制限部」の一具体例に対応する。

電力制限・変調回路112Aは、ここでは図10に示したように、図3に示した電力制限回路112において、1つの論理和回路(OR回路)LG2を更に追加した構成となっている。この論理和回路LG2では、一方の入力端子が誤差アンプA3の出力端子に接続され、他方の入力端子には、送電制御部(変調処理部)10Aから出力される変調データDmが入力されるようになっている。また、論理和回路LG2の出力端子は、トランジスタTr1のゲートに接続されている。

[給電システム4Aの作用・効果] 本実施の形態の給電装置1Aでは、電力制限・変調回路112Aにおいて、第1の実施の形態の電力制限回路112と同様の手法により、電力制限動作がなされる。また、それとともに、この電力制限・変調回路112Aでは、例えばASK(Amplitude Shift Keying;振幅偏移)変調等の振幅変調(AM:Amplitude Modulation)動作がなされる。

具体的には、例えば図11に示したように、電力制限・変調回路112Aでは、給電期間Tcでは電力制限動作が行われる一方、通信期間Tcでは振幅変調動作が行われる。そして、この通信期間Tc(負荷が軽い状態)では、電力制限・変調回路112Aによる電力制限動作が送電制御部10Aによって制御されることにより、上記した振幅変調による通信が行われる。このようにして本実施の形態では、比較的簡単に、ASK変調等の振幅変調による通信動作が実現されるようになっている。

この通信期間Tcでは、詳細には例えば図12(A)〜(D)に示したようにして、電力制限・変調回路112Aにおける振幅変調を用いた通信動作が行われる。すなわち、まず、例えば図12(A)に示したような変調データDmが、送電制御部10Aから電力制限・変調回路112A内の論理和回路LG2を介して、トランジスタTr1へ供給される。これにより、この電力制限・変調回路112Aから電力供給ラインLp上に出力される直流信号Sdcは、例えば図12(B)に示したような振幅変調がなされた信号となる。そして、このような直流信号Sdcに基づいて交流信号発生回路113により交流信号Sacが生成され(図12(C)参照)、最終的に振幅変調による通信動作がなされる(図12(D)参照)。

このような電力制限・変調回路112Aによる電力制限動作を利用した振幅変調による通信動作では、例えば第1の実施の形態で説明した交流信号発生回路113におけるパルス幅変調を用いた通信動作と比べ、以下の利点が得られる。

すなわち、パルス幅変調による通信では、例えば前述の図6(D)中の破線で示したように、交流信号(ここでは送電コイルL1の両端間の電圧V(L1))における正負の波形が異なっており(非対称となっており)、いわゆる偶数次の高調波成分(2倍波を含む)を含んだ波形となる。ここで、2次側機器においてこの交流信号を復調(包絡線検波)する際、偶数次の高調波成分のノイズは通信波形を歪ませるため、C/N比(Carrier to Noise ratio:搬送波対雑音比)が悪化し、通信品質が低下するおそれがある。

これに対して振幅変調による通信では、例えば図12(D)中の破線で示したように、交流信号(送電コイルL1の両端間の電圧V(L1))における正負の波形が一致し(対称となり)、いわゆる奇数次の高調波成分を含んだ波形となる。これにより、2次側機器においてこの交流信号を復調(包絡線検波)するときのC/N比が向上し、通信品質も向上することになる。

以上のように本実施の形態では、通信期間Tcにおいて電力制限・変調回路112Aによる電力制限動作を制御することによって、振幅変調による通信が行われるようにしたので、第1の実施の形態における効果に加え、通信期間Tcでの通信品質を向上させることが可能となる。また、電力制限・変調回路112Aにおいて、電力制限動作と変調動作(振幅変調動作)との双方を担う(双方の機能を兼用する)ようにしたので、装置のコスト低減や実装部品の削減、小型化を図ることも可能となる。

<変形例> 以上、いくつかの実施の形態を挙げて本開示の技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。

例えば、上記実施の形態では各種のコイル(送電コイル,受電コイル)を挙げて説明しているが、これらのコイルの構成(形状)としては種々のものを用いることが可能である。すなわち、例えばスパイラル形状やループ形状、磁性体を用いたバー形状、スパイラルコイルを2層で折り返すように配置するα巻き形状、更なる多層のスパイラル形状、厚み方向に巻線が巻回しているヘリカル形状などによって、各コイルを構成することが可能である。また、各コイルは、導電性を有する線材により構成された巻き線コイルだけではなく、プリント基板やフレキシブルプリント基板などにより構成された、導電性を有するパターンコイルであってもよい。

また、上記実施の形態では、給電対象機器の一例として電子機器を挙げて説明したが、これには限られず、電子機器以外の給電対象機器(例えば、電気自動車等の車両など)であってもよい。

更に、上記実施の形態では、給電装置および電子機器の各構成要素を具体的に挙げて説明したが、全ての構成要素を備える必要はなく、また、他の構成要素を更に備えていてもよい。例えば、給電装置や電子機器内に、通信機能や何かしらの制御機能、表示機能、2次側機器を認証する機能、2次側機器が1次側機器上にあることを判別する機能、異種金属などの混入を検知する機能などを搭載するようにしてもよい。

加えて、上記実施の形態では、主に、給電システム内に複数(2つ)の電子機器が設けられている場合を例に挙げて説明したが、この場合には限られず、給電システム内に1つの電子機器のみが設けられているようにしてもよい。

また、上記実施の形態では、給電装置の一例として、携帯電話機等の小型の電子機器(CE機器)向けの充電トレーを挙げて説明したが、給電装置としてはそのような家庭用の充電トレーには限定されず、様々な電子機器等の充電器として適用可能である。また、必ずしもトレーである必要はなく、例えば、いわゆるクレードル等の電子機器用のスタンドであってもよい。

(電界を用いて非接触に電力伝送を行う給電システムの例) また、上記実施の形態では、1次側機器としての給電装置から2次側機器としての電子機器に対して、磁界を用いて非接触に電力伝送(給電)を行う給電システムの場合を例に挙げて説明したが、これには限られない。すなわち、本開示内容は、1次側機器としての給電装置から2次側機器としての電子機器に対して、電界(電界結合)を用いて非接触に電力伝送を行う給電システムにおいても適用することが可能であり、上記実施の形態と同様の効果を得ることが可能である。

具体的には、例えば図13に示した給電システムは、1つの給電装置81(1次側機器)と、1つの電子機器82(2次側機器)とを備えている。給電装置81は、主に、送電電極E1(1次側電極)を含む送電部810と、交流信号源811(発振器)と、接地電極Eg1とを有している。電子機器82は、主に、受電電極E2(2次側電極)を含む受電部820と、整流回路821と、負荷822と、接地電極Eg2とを有している。すなわち、この給電システムは、送電電極E1および受電電極E2と、接地電極Eg1,Eg2との2組の電極を備えている。換言すると、給電装置81(1次側機器)および電子機器82(2次側機器)はそれぞれ、モノポールアンテナのような非対称性の一対の電極構造からなるアンテナを、機器内部に有している。

このような構成の給電システムでは、送電電極E1と受電電極E2とが互いに対向すると、上記した非接触性のアンテナ同士が、互いに結合する(電極の垂直方向に沿って互いに電界結合する)。すると、これらの間に誘導電界が発生し、これにより電界を用いた電力伝送が行われる(図13中に示した電力P8参照)。具体的には、例えば図14に模式的に示したように、送電電極E1側から受電電極E2側へと向かって、発生した電界(誘導電界Ei)が伝播すると共に、接地電極Eg2側から接地電極Eg1側へと向かって、発生した誘導電界Eiが伝播する。すなわち、1次側機器と2次側機器との間で、発生した誘導電界Eiのループ経路が形成されることになる。このような電界を用いた非接触による電力供給システムにおいても、上記実施の形態と同様の手法を適用することにより、同様の効果を得ることが可能である。

なお、本技術は以下のような構成を取ることも可能である。 (1) 磁界または電界を用いて送電を行う送電部と、 外部電源から前記送電部への電力供給ライン上に配設された電力制限部と、 前記電力制限部よりも前記外部電源側に配設され、前記送電の制御を行う送電制御部を含む制御部と を備えた給電装置。 (2) 前記制御部は、前記送電制御部と、データ伝送用の制御部とを有する 上記(1)に記載の給電装置。 (3) 装置の異常状態が検知されたときに、前記送電制御部による送電制御によらずに強制的に前記送電を停止させる動作停止部を備えた 上記(1)または(2)に記載の給電装置。 (4) 前記動作停止部は、前記送電用の制御信号を無効化することにより、前記送電を強制的に停止させる 上記(3)に記載の給電装置。 (5) 前記動作停止部は、前記異常状態の検知の有無に応じて前記制御信号の有効化と無効化とを切り換える切換部を有する 上記(4)に記載の給電装置。 (6) 前記動作停止部は、 前記電力制限部における入出力間の電圧を検出する電圧検出部を有し、 前記電圧検出部による検出電圧の大きさに応じて、前記送電を強制的に停止させる 上記(3)ないし(5)のいずれかに記載の給電装置。 (7) 前記動作停止部は、前記検出電圧が第1閾値を超えた場合に、前記送電を強制的に停止させる 上記(6)に記載の給電装置。 (8) 前記検出電圧が、前記第1閾値よりも大きい第2閾値をも超えた場合、 前記電力制限部は、前記送電部への電力供給を強制的に遮断する 上記(7)に記載の給電装置。 (9) 前記電力制限部は、 前記外部電源からの入力電流に対応する電圧と参照電圧との電位差に応じて電力制限動作を制御する誤差アンプを有し、 前記検出電圧が前記第2閾値を超えた場合には、前記参照電圧の大きさを制御することにより、前記送電部への電力供給を強制的に遮断する 上記(8)に記載の給電装置。 (10) 前記電力制限部は、 前記電力供給ライン上にトランジスタを有し、 前記参照電圧の大きさを制御して前記トランジスタをオフ状態に設定することにより、前記送電部への電力供給を強制的に遮断する 上記(9)に記載の給電装置。 (11) 前記第1閾値は、装置の通常動作時における過負荷状態であるか否かを規定するものであり、 前記第2閾値は、前記送電部が破壊された状態であるか否かを規定するものである 上記(8)ないし(10)のいずれかに記載の給電装置。 (12) 前記検出電圧が前記第2閾値を超えたときは、前記動作停止部が動作不可能な状態となっている 上記(8)ないし(11)のいずれかに記載の給電装置。 (13) 前記送電制御部は、給電対象機器に対して前記送電を行う給電期間と、前記給電対象機器との間で所定の通信を行う通信期間とが時分割に設定されるように制御し、 前記動作停止部は、前記通信期間において前記異常状態が検知されたときには、前記通信を強制的に停止させる 上記(3)ないし(12)のいずれかに記載の給電装置。 (14) 前記送電制御部は、 給電対象機器に対して前記送電を行う給電期間と、前記給電対象機器との間で所定の通信を行う通信期間とが時分割に設定されるように制御すると共に、 前記通信期間において前記電力制限部による電力制限動作を制御することにより、振幅変調による通信が行われるようにする 上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の給電装置。 (15) 前記電力制限部は、前記給電期間では電力制限動作を行い、前記通信期間では振幅変調動作を行う 上記(14)に記載の給電装置。 (16) 前記送電を行うための交流信号を発生する交流信号発生部を備え、 前記送電制御部は、前記交流信号発生部の動作を制御することによって前記送電の制御を行う 上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の給電装置。 (17) 前記交流信号発生部は、スイッチング素子を含むスイッチングアンプを用いて構成され、 前記送電制御部は、前記送電用の制御信号を用いて、前記スイッチング素子のオン・オフ動作を制御する 上記(16)に記載の給電装置。 (18) 前記送電制御部は、 給電対象機器に対して前記送電を行う給電期間と、前記給電対象機器との間で所定の通信を行う通信期間とが時分割に設定されるように制御すると共に、 前記通信期間において前記制御信号のデューティ比を制御することにより、パルス幅変調による通信が行われるようにする 上記(17)に記載の給電装置。 (19) 前記送電部は、共振動作を利用して前記送電を行う 上記(1)ないし(18)のいずれかに記載の給電装置。 (20) 1または複数の電子機器と、 前記電子機器に対して送電を行う給電装置と を備え、 前記給電装置は、 磁界または電界を用いて前記送電を行う送電部と、 外部電源から前記送電部への電力供給ライン上に配設された電力制限部と、 前記電力制限部よりも前記外部電源側に配設され、前記送電の制御を行う送電制御部を含む制御部と を有する給電システム。

1,1A,81…給電装置(1次側機器)、10…制御部、10A…送電制御部(変調処理部)、10B…データ伝送制御部、11…送電装置、110,810…送電部、111…電流検出回路、112…電力制限回路、112A…電力制限・変調回路、113…交流信号発生回路、114…動作停止回路、13…データ伝送部、2A,2B,82…電子機器(2次側機器)、21…受電装置、210,820…受電部、211…整流回路、212…充電回路、213…バッテリー、22…負荷、23…データ伝送部、4,4A…給電システム、811…交流信号源、821…整流回路、822…負荷、9…外部電源、S1…送電面、L1…送電コイル、L2…受電コイル、E1…送電電極(1次側電極)、E2…受電電極(2次側電極)、C1p,C1s,C2p,C2s…コンデンサ、Eg1,Eg2…接地電極、A1,A3…誤差アンプ(エラーアンプ)、A2,A4…比較器(コンパレータ)、Tr1,Tr2,Tr3…トランジスタ、R1…抵抗器、LG1…論理積回路(AND回路)、LG2…論理和回路(OR回路)、PS1,PS2,PS3…電源、CTL…制御信号、Sdc…直流信号、Sac…交流信号、S1〜S5…信号、Dm…変調データ、V1…電圧、ΔV2…電位差(電圧)、Vref…参照電圧、Vth1,Vth2…閾値電圧、I1,I2,I3…電流、Ith…閾値電流、Tp…給電期間、Tc…通信期間、Lp…電力供給ライン。

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